JP2022092262A - コンクリート打設装置、及びコンクリート打設方法 - Google Patents

コンクリート打設装置、及びコンクリート打設方法 Download PDF

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Abstract

【課題】床面に対する特別な加工を不要とすると共に、クライミング作業を簡便に行うことができるコンクリート打設装置を提供する。【解決手段】複数の階を備える建物100の床面にコンクリートを打設するコンクリート打設装置1であって、建物の床面に形成される開口を通過可能な形状に形成されると共に、床面の上に固定される架台2と、開口を通過可能な径に形成され、架台に基端が固定されたマスト10と、縦方向に回転自在に連接され折り畳み及び展開自在に設けられた複数のアーム21-24を有し、マストの上端において横方向に旋回自在に設けられたブーム20と、ブームに沿って配設されブームの先端から垂下されている吐出口を有するコンクリート配管30と、を備えることを特徴とする、コンクリート打設装置である。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の階を有する建築物の床面にコンクリートを打設するためのコンクリート打設装置、及びコンクリート打設方法に関する。
高層建築物の建設において、例えば、建設中における最上階には、コンクリートが打設され床面が構築される。建設中の建物にコンクリートを打設するものとして、例えば、特許文献1又は特許文献2に記載されたコンクリート打設装置が知られている。
コンクリート打設装置は、例えば、設置面に基端が固定されたマストと、マストの上端に設けられた旋回可能なブームと、ブームに沿って配設されたコンクリート配管とを備えている。
特開昭61-196069号公報 特開2010-013880号公報
特許文献1に記載されたコンクリート打設装置は、既存のクレーン装置を利用したものであり、新たな階が構築された後、マストを上方に伸長するクライミング作業において作業に精通した作業者を確保する必要がある。
特許文献2に記載されたコンクリート打設装置は、マストの基端を床面に設置する際に床面に専用の穴(いわゆるダメ穴)を形成する必要があり、穴を塞ぐ工程が必要となり施工性が低下する虞がある。また、クライミング作業において作業に精通した作業者を確保する必要がある。
本発明は、床面に対する特別な加工を不要とすると共に、クライミング作業を簡便に行うことができるコンクリート打設装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、本発明は、複数の階を備える建物の床面にコンクリートを打設するコンクリート打設装置であって、建物の床面に形成される開口を通過可能な形状に形成されると共に、前記床面の上に固定される架台と、前記開口を通過可能な径に形成され、前記架台に基端が固定されたマストと、縦方向に回転自在に連接され折り畳み及び展開自在に設けられた複数のアームを有し、前記マストの上端において横方向に旋回自在に設けられたブームと、前記ブームに沿って配設され前記ブームの先端から垂下されている吐出口を有するコンクリート配管と、を備えることを特徴とする、コンクリート打設装置である。
本発明によれば、架台及びマストが床面に形成される開口を通過可能な形状に形成されているため、上方の階の床面に装置を移動させるクライミング作業を行う際に、クレーン装置により上方に吊り上げて移動させることができる。
本発明の前記架台は、前記開口を通過可能な形状に形成される脚部と、前記脚部に収納されると共に、前記開口を跨ぐように展開され前記床面に固定される複数のアウトリガとを有するように構成されていてもよい。
本発明によれば、クライミング作業において架台が開口を通過した後、アウトリガを展開することにより、開口を跨いで架台を床面に設置することができる。
本発明の前記アウトリガは、鉛直方向から見て前記脚部に対して予め設定された所定角度をなした展開状態に固定する角度調整部を備えていてもよい。
本発明によれば、床面の設置対象の状態に応じてアウトリガの角度を変更して床面に架台を設置することができる。
本発明の前記アウトリガは、前記床面を構成する梁に固定されてもよい。
本発明によれば、アウトリガを梁に固定することで、架台の設置のために床面を補強する必要がなく、設置工程を簡略化することができる。
本発明の前記架台は、コンクリートが打設されて床スラブ面が形成された前記床面に固定されていてもよい。
本発明によれば、床スラブ面が形成されて強度が確保された床面に架台を設置することで、床面の補強する必要がなく、設置工程を簡略化することができる。
本発明は、複数の階を備える建築物の床面にコンクリートを打設するコンクリート打設方法であって、建物の床面に形成された開口を通過可能な形状に形成された架台と、前記開口を通過可能な径に形成され、前記架台に基端が固定されたマストと、縦方向に回転自在に連接され折り畳み及び展開自在に設けられた複数のアームを有し、前記マストの上端において横方向に旋回自在に設けられたブームと、前記ブームに配設され前記ブームの先端から垂下されている吐出口を有するコンクリート配管と、を備えるコンクリート打設装置の前記架台を前記床面において前記開口の上に設置する工程と、前記床面より上方に構築されたコンクリート打設前の床面に前記コンクリート打設装置によりコンクリートを打設する工程と、を備えることを特徴とする、コンクリート打設方法である。
本発明によれば、ブームが水平方向の任意の位置に移動できるため、複数の階を備える建設中の建物に構築される床面の任意の場所にコンクリートを打設することができる。
本発明は、前記架台を前記床面から取り外す工程と、前記コンクリート打設装置をクレーン装置により吊架して上方に移動させ、前記床面の上方に隣接する他の床面に形成された他の開口に前記マスト及び前記架台を通過させる工程と、前記架台を前記他の床面において前記他の開口の上に設置する工程と、を備えていてもよい。
本発明によれば、架台及びマストが床面に形成される開口を通過可能な形状に形成されているため、上方の階の床面に装置を移動させるクライミング作業を行う際に、クレーン装置により上方に吊り上げて移動させることができる。
本発明によれば、床面に対する特別な加工を不要とすると共に、クライミング作業を簡便に行うことができる。
実施形態に係る建物とコンクリート打設装置の構成を示す図である。 架台から展開されるアウトリガの状態を示す平面断面図である。 アウトリガの角度調整部の構成を示す図である。 コンクリート打設装置の構成を示す側面図である。 コンクリート打設装置の構成を示す平面図である。 ブームの折畳みの状態を概略的に示す図である。 架台の設置状態を示す平面図である。 コンクリート打設方法の工程を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るコンクリート打設装置の実施形態について説明する。コンクリート打設装置は、複数の階を備える建設中の高層建築物等の床面にコンクリートを打設するものである。
図1に示されるように、コンクリート打設装置1の設置対象となる建設中の建物100は、複数の階が構築される。建物100は、各階においてコンクリートが打設されて床スラブ面が既に形成された床面YN-2,YN-1(Nは自然数)と、建設中における最上階においてコンクリート打設前の他の床面YNを有する。
床面YN-2の一部には、例えば、鉛直方向から見て貫通した矩形の開口HN-2が形成されている。開口HN-2は、例えば、非常用のエレベータ用の昇降路である。床面YN-2の上方に隣接する床面YN-1においても鉛直方向から見て開口HN-2と同心に開口HN-2と略同一の形状の開口HN-1が形成されている。
床面YN-1の上方に隣接して床面YNが構築されている。施工対象となる床面YNは、コンクリートが打設されておらず、梁と梁の間に床スラブ面を形成するための鉄筋が配筋され、型枠が固定されている。床面YN-2においては、鉛直方向から見て開口HN-1と同心に開口HN-1と略同一の形状の開口HNを形成するための配筋により形成された開口HN´が形成されている。
床面YN-2には、コンクリート打設装置1が固定される。コンクリート打設装置1は、コンクリートの打設対象となる床面YNに比して2段下方の床面YN-2に固定される。コンクリート打設装置1は、地表面からマスト10を構築する装置に比して軽量及び簡略化して構成されている。
コンクリート打設装置1は、床面YN-2において開口HN-2の上に設置される架台2と、架台2に基端が固定されたマスト10と、マスト10の上端において横方向に旋回自在に設けられたブーム20と、ブーム20に沿って配設されたコンクリート配管30とを備える。
架台2は、コンクリートが打設されて床スラブ面が形成された床面YN-2に固定される。架台2は、床面YN-1に比してコンクリートが打設されてからより長い時間が経過して床面YN-1に比して強度が高くなった床面YN-2に固定される。架台2は、例えば、開口HM(Mは1からNまでの自然数)を通過可能な形状に形成されている。
図2及び図3に示されるように、架台2は、例えば、開口HMを通過可能な形状に形成される脚部3を備える。脚部3は、例えば、鉛直方向から見て開口HMを通過するように矩形に収まる形状に形成されている。脚部3は、例えば、鉛直方向に見てマスト10の4つの角部から斜め45度の方向にそれぞれ突出したX状の脚部3により形成されている。脚部3は、例えば、H型鋼により形成されている。
脚部3は、上下方向に対向した一対の矩形の板状に形成されたフランジ板3Aと、一対のフランジ板3Aの間に設けられたウェブ3Bとを備える。ウェブ3Bは、一対のフランジ板3Aの間に起立して設けられている。脚部3において第1側面と、第1側面に対向する第2側面は、一対の連結部材3Dにより連結され、補強されている。連結部材3Dは、例えばH型鋼により形成されている。
脚部3において第1側面と直交する第3側面と、第3側面に対向する第4側面は、開放されている。脚部3において第3側面と第4側面には、複数のアウトリガ4が収納されている。アウトリガ4は、連結部材3Dの先端に回転自在に取り付けられている。脚部3の第3側面において、一対のアウトリガ4は、第3側面に対向して収納されるように形成されている。脚部3の第4側面において、一対のアウトリガ4は、第4側面に対向して収納されるように形成されている。これにより、アウトリガ4は、脚部3に収納及び展開自在に設けられている。
アウトリガ4は、例えば、水平方向が長手の棒状に形成されている。アウトリガ4は、例えば、H型鋼により形成されている。アウトリガ4は、例えば、基端が一対のフランジ板3Aの間に鉛直方向を回転軸として回転自在に軸支されている。回転軸として例えば、シャフト3Sが設けられている。シャフト3Sは、一対のフランジ板3Aの間において鉛直方向に沿って設けられている。アウトリガ4は、例えば、一対のフランジ板3Aの一辺の間に収納される。アウトリガ4は、展開時において開口HMを通過しない長さに形成されている。
複数のアウトリガ4は、開口HMを跨ぐように展開されると共に、床面YMに固定される。アウトリガ4は、例えば、床面YN-2の設置対象部分の状態に応じて脚部3に収納された状態を0度とすると、0度から所定方向に回転した90度、135度、180度等の所定角度において展開される。アウトリガ4は、所定角度に限らず自由な角度において展開されてもよい。
アウトリガ4は、例えば、鉛直方向から見て脚部に対して予め設定された所定角度をなした展開状態に固定する角度調整部Xを備える。角度調整部Xは、例えば、脚部3側に形成された第1ピン穴3Pと、アウトリガ4において所定角度において第1ピン穴3Pの位置に対応して形成された第2ピン穴4Pとを有する。
第1ピン穴3Pは、例えば、連結部材3Dの先端部に形成されている。第1ピン穴3Pは、連結部材3Dに形成された回転中心となるシャフト3Sを中心に外方に向かって同心をなした所定位置に形成されている。アウトリガ4には、シャフト3Sが挿通される貫通孔4Hが形成されている。
第2ピン穴4Pは、貫通孔4Hを中心に外方に向かって同心をなした所定位置に複数個形成されている。第2ピン穴4Pは、例えば、アウトリガ4の収納時を0度とすると、0度における第1ピン穴3Pの位置に対応して形成されている。他の第2ピン穴4Pは、アウトリガ4の展開時における90度、135度、180度の所定角度においてそれぞれ第1ピン穴3Pの位置に応じて形成されている。第1ピン穴3P及び第2ピン穴4Pには、所定角度においてピンPが挿入され、アウトリガ4が所定角度において固定される。アウトリガ4の先端には、後述のように適宜、延長部材が連結される。
即ち、複数の第2ピン穴4Pは、貫通孔4Hを中心に0度、90度、135度、180度の所定角度においてピンPによって固定されるように形成されている。複数のアウトリガ4が床面YMに固定された状態において、架台2は、マスト10の基端に加わるあらゆる方向の荷重を支持する強度を有するように形成されている。
マスト10は、例えば、矩形断面のトラス構造に形成されている。マスト10は、トラス構造の他に鋼管により形成されていてもよい。マスト10は、例えば、L断面や帯状に形成された鉄骨が組まれて形成されている。マスト10は、これにより、軽量に形成されている。マスト10の断面は、開口HMを通過可能な径に形成されている。マスト10は、鉛直方向に床面YN-2から床面YNを超えた高さに形成されている。即ち、マスト10の先端は、床面YNから上方に突出している。マスト10の先端には、ブーム20が設けられている。一般的に、クライミングするタイプのコンクリート打設装置のマストは、施工階の床面より下方の階の床面と、その下方の床面との2か所で支持される構造を有し、1か所の床面によって支持されない。これに比してコンクリート打設装置1は、アウトリガ4によって設置階の床面YN-2のみによってマスト10が支持される。コンクリート打設装置1によれば、設置のための補強を1フロア分に施工するだけでよく、盛替作業が簡略化され、工期を大幅に短縮できる。
図4及び図5に示されるように、ブーム20は、折り畳み及び展開自在に設けられた複数のアーム21-24を有する。複数のアーム21-24は、縦方向に回転自在に連接されている。ブーム20は、例えば、既存のコンクリートポンプ車に設けられたブームが用いられてもよい。アーム21は、例えば、基端がマスト10の先端に連結されている。アーム21は、例えば、基端が鉛直方向を軸にマスト10に対して回転自在に取り付けられている。アーム21は、例えば、モータ(不図示)を駆動源として鉛直方向の回転軸L1回りに回転する。
アーム21は、更に、基端がマスト10の先端において縦方向に回転自在に取り付けられている。アーム21の基端には、例えば、アーム21を上下方向に回転させるアクチュエータ21Aが設けられている。アクチュエータ21Aは、例えば、伸縮自在な油圧ピストンとシリンダとを備える。アクチュエータ21Aの基端はマスト10の先端側に接続され、先端はアーム21の基端側に接続されている。アーム21は、水平方向の回転軸L2回りに水平方向に折れ曲がった状態からアクチュエータ21Aが伸長することにより、上方に起立するように回転する。アーム21の先端には、アーム22の基端が縦方向に回転自在に連結されている。
アーム22の基端には、例えば、アーム22を上下方向に回転させるアクチュエータ22Aが設けられている。アクチュエータ22Aは、例えば、伸縮自在な油圧ピストンとシリンダとを備える。アクチュエータ22Aの基端はアーム21の先端側に接続され、先端は、アーム22の基端側に接続されている。アクチュエータ22Aにより、アーム22は、水平方向の回転軸L3回りに回転する。
アーム22は、アーム21に対して下方に折れ曲がるように回転する。アーム22は、アーム21が上方に起立した状態からアクチュエータ22Aが短縮することで下方に折り畳まれた状態まで回転することができる。アーム22の先端には、アーム23の基端が縦方向に回転自在に連結されている。
アーム23の基端には、例えば、アーム23を上下方向に回転させるアクチュエータ23Aが設けられている。アクチュエータ23Aは、例えば、伸縮自在な油圧ピストンとシリンダとを備える。アクチュエータ23Aの基端はアーム22の先端側に接続され、先端はアーム23の基端側に接続されている。アクチュエータ23Aにより、アーム23は、水平方向の回転軸L4回りに回転する。
アーム23は、アーム22に対して上方に折れ曲がるように回転する。アーム23は、アーム22が下方に垂下した状態からアクチュエータ23Aが伸長することで上方に折り畳まれた状態まで回転することができる。アーム23の先端には、アーム24の基端が縦方向に回転自在に連結されている。
アーム24の基端には、例えば、アーム24を上下方向に回転させるアクチュエータ24Aが設けられている。アクチュエータ24Aは、例えば、伸縮自在な油圧ピストンとシリンダとを備える。アクチュエータ24Aの基端はアーム23の先端側に接続され、先端はアーム24の基端側に接続されている。アクチュエータ24Aにより、アーム24は、水平方向の回転軸L5回りに回転する。
アーム24は、アーム23に対して下方に折れ曲がるように回転する。アーム24は、アーム23が上方に起立した状態からアクチュエータ24Aが短縮することで下方に折り畳まれた状態まで回転することができる。ブーム20においてアームの数は、上記の限りでなく適宜増減されて構成されていてもよい。
上記構成により、ブーム20は、水平方向に最大限に伸長させた状態を保持すると共に、アーム21-24が折り畳まれて水平方向の距離を調整することができると共に、鉛直方向に沿った方向まで折り畳むことができる。ブーム20には、各アーム21-24に沿ってコンクリート配管30が敷設されている。
コンクリート配管30は、例えば、金属製のパイプにより形成されている。コンクリート配管30は、例えば、アーム21の一側面側に沿って取り付けられた第1配管31を有する。第1配管31は、基端が回転軸L2方向に沿って折り曲げられ、回転軸L2回りに回転自在に取り付けられている。
第1配管31の基端側には、例えば、マスト10に沿って敷設されたマスト用配管11に接続されている。マスト用配管11は、例えば、コンクリートポンプ車(不図示)等から圧送されるコンクリート配管(不図示)が接続される。第1配管31の先端側は、回転軸L3方向に沿って折り曲げられ、アーム21の他面側まで貫通すると共に、回転軸L3回りに回転自在に取り付けられている。第1配管31の先端側は、第2配管32の基端側に接続されている。
第2配管32は、例えば、アーム22の他側面側に取り付けられている。第2配管32は、基端が回転軸L3方向に沿って折り曲げられ、回転軸L3回りに回転自在に取り付けられている。第2配管32の先端側は、回転軸L4方向に沿って折り曲げられ、アーム23の一側面側まで貫通すると共に、回転軸L4回りに回転自在に取り付けられている。第2配管32の先端側は、第3配管33の基端側に接続されている。
第3配管33は、例えば、アーム23の一側面側に取り付けられている。第3配管33は、基端が回転軸L4方向に沿って折り曲げられ、回転軸L4回りに回転自在に取り付けられている。第3配管33の先端側は、回転軸L5方向に沿って折り曲げられ、回転軸L4回りに回転自在に取り付けられている。第3配管33の先端側は、第4配管34の基端側に接続されている。
第4配管34は、例えば、アーム24の一側面側に取り付けられている。第4配管34は、基端が回転軸L5方向に沿って折り曲げられ、回転軸L5回りに回転自在に取り付けられている。第4配管34の先端側には、吐出口を有する第5配管35(図1参照)が垂下して接続されている。コンクリート配管30により、マスト用配管11を介して圧送されたコンクリートを床面YNに打設することができる。
次に複数の階を備える建築物の床面にコンクリートを打設するコンクリート打設方法について説明する。
上述したように、建設中の建物100には、エレベータ用の昇降路のために複数の床面YMを貫通して複数の開口HM(M=1~N)が形成されている(図1参照)。コンクリートの打設対象となる床面YNから例えば、2段下方の階の床面YN-2の開口HN-2に架台2が設置される。架台2は、施工現場に応じて床面YN、床面YNより1段下方の床面YN-1、床面YN-2より下方の床面に設置されてもよい。架台2において、脚部3から開口HN―2を跨ぐように4個のアウトリガ4が展開される。アウトリガ4は、例えば、床面YMを構成する梁に固定される。架台2は、床面YN-2において開口HN-2の上に設置される。
図7に示されるように、アウトリガ4は、例えば、床面において大梁B1に固定される。アウトリガ4は、大梁B1に到達しない場合、延長部材4Jにより、延長され大梁B1に固定されてもよい。アウトリガ4は、大梁B1に到達しない場合、小梁B2に固定されてもよい。アウトリガ4は、大梁B1、小梁B2の位置に応じて適宜、所定角度において展開され、固定される。これにより、従来のコンクリート打設装置の設置において山留鋼材を複雑に組み合わせて補強していたのに比して、コンクリート打設装置1によれば、設置に伴う躯体補強を簡便におこなうことができ、安価で対応できる。
図8(1)に示されるように、コンクリートが打設される前の床面YNが床面YN-1の上方に構築される。床面YNは、マスト10の周りにコンクリート打設前の開口HN´(図1参照)を形成して構築される。次に、コンクリート打設装置1により、床面YN-1より上方に構築されたコンクリート打設前の床面YNにコンクリートが打設される。
床面YNにコンクリートが打設される。コンクリート打設装置1は、ブーム20の水平方向における折り畳み量を調整することにより、床面YNの上面の全体にコンクリートを打設することができる。このとき、マスト10の周りの開口HN´に型枠(不図示)を取り付け、コンクリートを打設して開口HNが形成される。
図8(2)に示されるように、床面YNに対してコンクリートの打設が終了すると、コンクリート打設装置1は、ブーム20が折り畳まれる。マスト10には、ワイヤWが掛けられ、クレーン装置(不図示)により上方に対して緊張される。マスト10の基端において、コンクリート配管30が切り離される。この時、コンクリート配管30の切断部において、例えば、コンクリート流出防止用のバルブ(不図示)が閉じられ、コンクリート配管30内からコンクリートが流出することが防止される。マスト10の下方におけるコンクリート配管(不図示)に余剰な長さがある場合、コンクリート配管30は必ずしも切り離されなくてもよい。
その後、複数のアウトリガ4は、床面YN-2から取り外される。そして、複数のアウトリガ4は、脚部3に収納される。これにより、架台2が床面YN-2から取り外される。マスト10は、クレーン装置により上方に吊り上げられる。コンクリート打設装置1は、クレーン装置により吊架されて上方に移動される。マスト10は、開口HN-1を通過する。架台2は、他の床面YN-1の他の開口HN-1を通過する。架台2が他の開口HN-1の上方の高さ位置に到達した時点でクレーン装置の吊り上げを停止する。
図8(3)に示されるように、架台2において脚部3から複数のアウトリガ4を展開し、床面YN-1に固定する。これにより、架台2は、他の床面YN-1において他の開口HN-1の上に設置される。その後、マスト10の基端において、コンクリート配管30が接続される。その後、コンクリートが打設される前の床面YN+1が床面YNの上方に構築される。その後、上記工程を繰り返し、複数の床面を有する建物100が構築される。
上述したように、コンクリート打設装置1によれば、コンクリート打設作業を少ない人数で施工することが可能となり、特にコンクリート打設装置1を上方の床面に移動させる際におけるコンクリート配管30の設置及び撤去作業を大幅に簡略化することができる。コンクリート打設装置1によれば、コンクリート配管30の設置及び撤去における手間が大幅に簡略化され、コンクリートの連続打設ができるため作業時間が短縮され、全体的な工期を大幅に短縮することができる。
従来、コンクリート強度が梁、柱(仕口)、床において異なる場合、それぞれの打設対象の場所において配管してコンクリートの打設をしていたのに比して、コンクリート打設装置1によれば、打設するコンクリートの種類を変更するだけで床面における任意の場所にコンクリートを打設することができる。
コンクリート打設装置1によれば、従来、バケットを使用してクレーンで打設していた壁や柱においてコンクリートを短時間で打設できる。コンクリート打設装置1によれば、アウトリガ4が架台2に収納されるため、上方の床面に移動する盛替え作業が簡略化されると共に、盛替えにおける作業時間が大幅に短縮される。コンクリート打設装置1によれば、従来油圧シリンダ等を用いて半日程度要していたクライミング作業を30分程度に大幅に短縮することができる。
従来、床面にコンクリート打設装置専用の穴(ダメ穴)を構築し、後の施工において専用の穴を塞ぐ施工を要していたのに比してコンクリート打設装置1によれば、エレベータ用の昇降路のために形成された開口HMを利用するため、専用の穴の施工を不要とし工期を大幅に短縮することができる。コンクリート打設装置1によれば、1日当たりのコンクリートの打設量が増加し、現場に設置するコンクリートポンプ車の台数を大幅に削減することができる。コンクリート打設装置1によれば、コンクリート打設回数を大幅に削減でき、使用されずに余った残コンクリートの量も大幅に削減することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、コンクリート配管30を介してコンクリートを圧送するだけでなく、ブーム20の先端にコンクリートホッパを吊架してコンクリートを打設してもよい。また、コンクリート打設装置を設置する開口は、非常用エレベータ用の昇降路だけでなく、床面を貫通する吹抜部など現場のあらゆる開口部であってもよい。また、開口は、塞がれるものであってもよい。また、架台2は、コンクリートを打設する床面YNから2段下方の階の床面YN-2に設置されるだけでなく、施工現場に応じて床面YN及び、床面YNより下方の階の床面に設置されてもよい。
1 コンクリート打設装置、2 架台、3 脚部、3A フランジ板、3B ウェブ、3D 連結部材、3P 第1ピン穴、3S シャフト、4 アウトリガ、4H 貫通孔、4J 延長部材、4P 第2ピン穴、10 マスト、11 マスト用配管、20 ブーム、21-24 アーム、21A-24A アクチュエータ、30 コンクリート配管、31 第1配管、32 第2配管、33 第3配管、34 第4配管、35 第5配管、100 建物、B1 大梁、B2 小梁、HN 開口、L1-L5 回転軸、P ピン、W ワイヤ、X 角度調整部、YN 床面

Claims (7)

  1. 複数の階を備える建物の床面にコンクリートを打設するコンクリート打設装置であって、
    建物の床面に形成される開口を通過可能な形状に形成されると共に、前記床面の上に固定される架台と、
    前記開口を通過可能な径に形成され、前記架台に基端が固定されたマストと、
    縦方向に回転自在に連接され折り畳み及び展開自在に設けられた複数のアームを有し、前記マストの上端において横方向に旋回自在に設けられたブームと、
    前記ブームに沿って配設され前記ブームの先端から垂下されている吐出口を有するコンクリート配管と、を備えることを特徴とする、コンクリート打設装置。
  2. 前記架台は、前記開口を通過可能な形状に形成される脚部と、前記脚部に収納されると共に、前記開口を跨ぐように展開され前記床面に固定される複数のアウトリガとを有する、
    請求項1に記載のコンクリート打設装置。
  3. 前記アウトリガは、鉛直方向から見て前記脚部に対して予め設定された所定角度をなした展開状態に固定する角度調整部を備える、
    請求項2に記載のコンクリート打設装置。
  4. 前記アウトリガは、前記床面を構成する梁に固定される、
    請求項2又は3に記載のコンクリート打設装置。
  5. 前記架台は、コンクリートが打設されて床スラブ面が形成された前記床面に固定される、
    請求項1から4のうちいずれか1項に記載のコンクリート打設装置。
  6. 複数の階を備える建築物の床面にコンクリートを打設するコンクリート打設方法であって、
    建物の床面に形成される開口を通過可能な形状に形成された架台と、前記開口を通過可能な径に形成され、前記架台に基端が固定されたマストと、縦方向に回転自在に連接され折り畳み及び展開自在に設けられた複数のアームを有し、前記マストの上端において横方向に旋回自在に設けられたブームと、前記ブームに配設され前記ブームの先端から垂下されている吐出口を有するコンクリート配管と、を備えるコンクリート打設装置の前記架台を前記床面において前記開口の上に設置する工程と、
    前記床面より上方に構築されたコンクリート打設前の床面に前記コンクリート打設装置によりコンクリートを打設する工程と、を備えることを特徴とする、コンクリート打設方法。
  7. 前記架台を前記床面から取り外す工程と、
    前記コンクリート打設装置をクレーン装置により吊架して上方に移動させ、前記床面の上方に隣接する他の床面に形成された他の開口に前記マスト及び前記架台を通過させる工程と、
    前記架台を前記他の床面において前記他の開口の上に設置する工程と、を備える、
    請求項6に記載のコンクリート打設方法。
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