JP2022092155A - SiC多結晶基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】SiC多結晶基板の表面粗度(ISO 25178で規定された算術平均高さSa値)を0.3nmオーダーまで平滑化可能なSiC多結晶基板の製造方法を提供すること。【解決手段】両面ラッピング工程、研削工程、研磨工程を有するSiC多結晶基板の製造方法において、研磨工程が、平均粒径0.2μm~0.5μmのダイヤモンド砥粒が含まれるスラリーをショアD硬度80HSD以上の樹脂製パッドに滴下し、フリンジ・スキャン法で測定される表面粗度(Sa値)が0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)になるまで機械研磨を行う第一工程と、pH7~8に調整されたコロイダルシリカ水性研磨液を用いて樹脂製若しくは布製パッドにより化学機械研磨を行うと共に処理時間が第一工程で形成された表面粗度(Sa値)を維持する時間に設定された第二工程とで構成されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、SiC多結晶基板の両面を粗研磨する両面ラッピング工程と、SiC多結晶基板を平面研削する研削工程と、SiC多結晶基板の一方の面を平滑にする研磨工程を有するSiC多結晶基板の製造方法に係り、特に、SiC多結晶基板の表面粗さ(ISO 25178で規定された算術平均高さSa値で示される表面粗度)を0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)まで平滑化できる製造方法の改良に関する。
炭化珪素(SiC)は、珪素(Si:シリコン)と比較すると、3倍程度の大きなバンドギャップ(4H-SiCで、3.8eV程度、6H-SiCでは、3.1eV程度、シリコンは1.1eV程度)と高い熱伝導率(5W/cm・K程度、シリコンは1.5W/cm・K程度)を有することから、近年、パワーデバイス用途の基板材料としてSiC単結晶が使用され始めている。例えば、従来用いられてきたSiパワーデバイスと比較して、SiCパワーデバイスは5~10倍程度大きい耐電圧と数百℃以上高い動作温度を実現し、更に、素子の電力損失を1/10程度に低減できるため、鉄道車両用インバーター等で実用化されている。
基板材料としてのSiC単結晶は、通常、昇華再結晶法(改良レーリー法)と呼ばれる気相法で作製され(例えば非特許文献1参照)、所望の直径および厚さに加工される。
改良レーリー法は、固体状のSiC原料(通常は粉末)を高温(2,400℃以上)で加熱・昇華させ、不活性ガス雰囲気中を昇華したSi原子と炭素原子が2,400℃の蒸気として拡散により輸送され、原料よりも低温に設置された種結晶上に過飽和となって再結晶化させることにより塊状のSiC単結晶を育成する方法である。
しかし、この改良レーリー法は、プロセス温度が2,400℃以上と非常に高いため、結晶成長の温度制御や対流制御、結晶欠陥の制御が非常に難しく、この方法で作製されたSiC単結晶基板にはマイクロパイプと呼ばれる結晶欠陥やその他の結晶欠陥(積層欠陥等)が多数存在し、電子デバイス用途に耐え得る高品質のSiC単結晶基板を歩留まりよく製造することが極めて難しい。この結果、電子デバイス用に用いることのできる結晶欠陥の少ない高品質なSiC単結晶基板は非常に高額なものとなり、このようなSiC単結晶基板を用いたデバイスも高額なものになってしまうため、SiC単結晶基板が普及されることの妨げになっていた。
そこで、近年、SiC単結晶基板とSiC多結晶基板を準備し、上記SiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程を行い、その後、上記SiC単結晶基板を薄膜化する工程を行ってSiC多結晶基板上にSiC単結晶薄板層が形成されたSiC基板を製造する方法が提案されている(例えば非特許文献2参照)。
このSiC基板の製造方法によれば、SiC単結晶基板の厚さを、従来に較べて数分の一から数百分の一まで減少させることができるため、従来のように基板のすべてを高額でかつ高品質のSiC単結晶で構成した場合と比較し、SiC基板のコストを大幅に低減させることができる。また、結晶欠陥の少ない高品質なSiC単結晶層上にパワーデバイス等の素子を形成することが可能なため、デバイス性能の向上および製造歩留りを大きく改善させることができる。
このようなSiC単結晶基板とSiC多結晶基板を貼り合わせる工程において、SiC多結晶基板は緻密で高純度であると共に、SiC多結晶基板の表面粗度(ISO 25178で規定された算術平均高さSa値)が0.3nmオーダー程度と高い平滑性が求められる。このため、SiC多結晶基板の製造には化学的気相蒸着法(以下、CVD法と記載することがある)が用いられ、CVD法を用いたSiC多結晶基板の製造方法が特許文献1~2に記載されている。
そして、SiC単結晶基板に関する製造方法ではあるが、SiC単結晶基板の表面粗度(Sa値)を0.1nmオーダー(0.1nm≦Sa<0.2nm)程度まで平滑化できる方法が非特許文献3に記載されている。すなわち、SiC単結晶基板に係るこの製造方法は、粒径40μmのB4C砥粒を用いてSiC単結晶基板の両面を粗研磨する両面ラッピング工程と、4000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒が適用された研削砥石によりSiC単結晶基板を平面研削する粗研削工程と、8000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒が適用された研削砥石によりSiC単結晶基板を平面研削する精密研削工程と、研削されたSiC単結晶基板の一方の面を触媒反応型のコロイダルシリカを用いて平滑にする化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)工程を有しており、この方法により、高平坦で高平滑な表面[表面粗度(Sa値)が0.1nmオーダー]を有するSiC単結晶基板が得られるとされている。
特開平8-026714号公報 特開平8-188408号公報
Yu.M.Tairov and V.F.Tsvetkov: J.of Cryst.Growth 43(1978)209 精密工学会誌,2017,83巻,9号,p.833-836 デンソーテクニカルレビュー,Vol.20 2015,p.222-228.
ところで、SiC単結晶基板に係る表面粗度(Sa値)を0.1nmオーダー(0.1nm≦Sa<0.2nm)まで平滑化できる上記非特許文献3の方法をSiC多結晶基板の製造方法に応用した場合、以下に示す理由からSiC多結晶基板の表面粗度(Sa値)を0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)まで平滑化させることができない問題が存在した。
まず、特許文献1~2に記載のCVD法により緻密で高純度なSiC多結晶体を製造したとしても多結晶粒の成長方位は一定でない。更に、炭化珪素(SiC)は原子半径が大きく異なるシリコン(Si)原子と炭素(C)原子の2種類の元素で構成される化合物であるが、シリコンと比較して炭素は酸化し易いことが知られている。従って、SiC多結晶基板を平滑にする化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)工程の際、個々の多結晶粒の化学的エッチング速度が僅かに相違するため多結晶粒毎の加工速度に差異が生じ、その結果、多結晶粒の粒界に沿って微小な凹凸(粒界段差)が発生してしまう。
上記理由から、非特許文献3の方法をSiC多結晶基板の製造方法に転用してもSiC多結晶基板全体の表面粗度(Sa値)を0.3nmオーダーまで平滑化させることはできず、かつ、研磨を繰り返して表面粗度(Sa値)を0.3nmオーダーまで平滑化させるにはコストがかかるという問題が存在した。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、SiC多結晶基板全体の表面粗度(Sa値)を0.3nmオーダーまで平滑化できるSiC単結晶基板の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため以下のような技術的検討を行った。
まず、炭化珪素(SiC)は、ダイヤモンド、炭化硼素に次いで硬いと言われる材料であり、シリコン原子と炭素原子の結合は極めて強いが、結晶表面においては結合の手が一部切れている。このため、SiC多結晶基板に対し、触媒反応型のコロイダルシリカを適用して非特許文献3に記載の化学機械研磨(CMP)を実施した場合、結合の手が切れた炭素原子は優先的に酸素原子と化学的に結合することで気化し脱離する。その後、残留したシリコン原子がコロイダルシリカに固溶し、脱離するという反応がSiC多結晶表面で繰り返し起こっていると考えられる。このため、SiC多結晶からの離脱過程が異なるシリコン原子と炭素原子が共に近い速度で離脱を起こすことができれば、多結晶粒の成長方位等が異なっていても上記微小な凹凸(粒界段差)は発生し難くなると考えられる。
しかし、様々な施策を施してもシリコン原子の脱離速度は炭素原子の脱離速度に追いつくことはできない。このため、化学機械研磨(CMP)の処理時間を極力少なくして、研磨速度の違いによる粒界段差の発生を抑制する必要がある。
化学機械研磨(CMP)の処理時間を少なくするには化学機械研磨(CMP)工程の前に機械研磨工程を追加し、この機械研磨によりSiC多結晶基板の表面粗度(Sa値)を0.3nmオーダー程度まで平滑化させ、然る後、適正な研磨条件下において化学機械研磨(CMP)を実施する方法が得策であることが分かった。但し、機械研磨で使用する樹脂製パッドのショアD硬度が80HSD未満である場合、機械研磨によりSiC多結晶基板の表面粗度(Sa値)を0.5nm以下に加工できないことが確認され、上記表面粗度(Sa値)を0.3nmオーダー程度まで平滑化させるには樹脂製パッドのショアD硬度が80HSD以上であり、かつ、平均粒径0.2μm~0.5μmのダイヤモンド砥粒を含有するダイヤモンド・スラリーの適用が必要であることが判明した。
上記知見に基づき、本発明者は、平均粒径0.2μm~0.5μmのダイヤモンド砥粒を含有するダイヤモンド・スラリーをショアD硬度80HSD以上の樹脂製パッドに滴下し、フリンジ・スキャン法で測定される表面粗度(Sa値)が0.3nmオーダー程度になるまで機械研磨を実施し、更に、pH7~8に調整されたコロイダルシリカ水性研磨液を用いて樹脂製若しくは布製パッドによる短時間[機械研磨で形成された上記0.3nmオーダー程度の表面粗度(Sa値)が維持される処理時間]の化学機械研磨(CMP)を実施したところ、SiC多結晶基板の表面粗さ(ISO 25178で規定された算術平均高さSa値で示される表面粗度)が0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)程度まで平滑化されることを発見するに至った。本発明はこのような技術的発見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
SiC多結晶をスライスして得られたSiC多結晶基板の両面を粗研磨する両面ラッピング工程と、ラッピングされたSiC多結晶基板を平面研削する研削工程と、研削されたSiC多結晶基板の一方の面を平滑にする研磨工程を有するSiC多結晶基板の製造方法において、
上記研磨工程が、
平均粒径0.2μm~0.5μmのダイヤモンド砥粒を含有するダイヤモンド・スラリーを、ショアD硬度80HSD以上の樹脂製パッドに滴下し、フリンジ・スキャン法で測定される表面粗度(ISO 25178で規定された算術平均高さSa値)が0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)になるまで機械研磨を行う第一研磨工程と、
pH7~8に調整されたコロイダルシリカ水性研磨液を用いて樹脂製若しくは布製パッドにより化学機械研磨を行うと共に、その処理時間が第一研磨工程で形成された表面粗度(Sa値)を維持する時間に設定された第二研磨工程、
とで構成されることを特徴とする。
また、本発明に係る第2の発明は、
第1の発明に記載のSiC多結晶基板の製造方法において、
第二研磨工程で、上記表面粗度(Sa値)を維持する時間の上限が30分であることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明に記載のSiC多結晶基板の製造方法において、
第一研磨工程で、ダイヤモンド・スラリーの滴下速度が8mL/min以上であることを特徴とする。
次に、本発明に係る第4の発明は、
第1の発明~第3の発明のいずれかに記載のSiC多結晶基板の製造方法において、
上記両面ラッピング工程で、100番~300番(ISO 8486表示)のB4C砥粒が適用されることを特徴し、
第5の発明は、
第1の発明~第4の発明のいずれかに記載のSiC多結晶基板の製造方法において、
上記研削工程が、6000番~8000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有する研削砥石が適用された精密研削工程で構成されることを特徴とし、
また、第6の発明は、
第1の発明~第4の発明のいずれかに記載のSiC多結晶基板の製造方法において、
上記研削工程が、600番~2000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有する研削砥石が適用された粗研削工程と、6000番~8000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有する研削砥石が適用された精密研削工程とで構成されることを特徴とするものである。
本発明に係るSiC多結晶基板の製造方法によれば、
化学機械研磨する前の第一研磨工程において、フリンジ・スキャン法で測定される表面粗度(Sa値)が0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)になるまで機械研磨をするため、その分、第二研磨工程における化学機械研磨の処理時間が短縮される。
このため、個々の多結晶粒における加工速度(研磨速度)の差異に起因する粒界段差の発生が抑制され、SiC多結晶基板全体の表面粗度(Sa値)を0.3nmオーダーまで平滑化できる効果を有する。
ショアD硬度80HSDの樹脂製パッドにダイヤモンド砥粒が含まれるダイヤモンド・スラリーを滴下して研磨する機械研磨における上記ダイヤモンド砥粒の平均粒径(μm)と化学機械研磨後におけるSiC多結晶基板全体(基板の周辺部分、中央部分、および、中間部分)の表面粗度Sa(nm)との関係を示すグラフ図。 ショアD硬度80HSD未満(ショアD硬度75HSD)の樹脂製パッドにダイヤモンド砥粒が含まれるダイヤモンド・スラリーを滴下して研磨する機械研磨における上記ダイヤモンド砥粒の平均粒径(μm)と機械研磨後におけるSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)との関係を示すグラフ図。 図3(A)(B)は両面ラッピング工程に用いるラッピング装置の構成説明図。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係るSiC多結晶基板の製造方法は、
SiC多結晶をスライスして得られたSiC多結晶基板の両面を粗研磨する両面ラッピング工程と、ラッピングされたSiC多結晶基板を平面研削する研削工程と、研削されたSiC多結晶基板の一方の面を平滑にする研磨工程を有するSiC多結晶基板の製造方法において、
上記研磨工程が、
平均粒径0.2μm~0.5μmのダイヤモンド砥粒を含有するダイヤモンド・スラリーを、ショアD硬度80HSD以上の樹脂製パッドに滴下し、フリンジ・スキャン法で測定される表面粗度(ISO 25178で規定された算術平均高さSa値)が0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)になるまで機械研磨を行う第一研磨工程と、
pH7~8に調整されたコロイダルシリカ水性研磨液を用いて樹脂製若しくは布製パッドにより化学機械研磨を行うと共に、その処理時間が第一研磨工程で形成された表面粗度(Sa値)を維持する時間に設定された第二研磨工程、
とで構成されることを特徴とするものである。
(1)第一研磨工程で用いる樹脂製パッドのショアD硬度
(1-1)図2は、ショアD硬度が80HSD未満の「ショアD硬度75HSDのウレタン樹脂パッド」を適用した機械研磨において、ダイヤモンド・スラリーに含まれるダイヤモンド砥粒の平均粒径(μm)と機械研磨後におけるSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)との関係を示したグラフ図である。
ダイヤモンド砥粒の平均粒径が1μmを超える場合、図2に示すようにダイヤモンド砥粒の平均粒径が小さくなるに従い、機械研磨後におけるSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)が小さくなることが確認される。
しかし、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が1μm以下になると、図2に示すようにダイヤモンド砥粒の平均粒径が小さくなるに従い、機械研磨後におけるSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)は増加に転じ、SiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)を0.5nm以下に加工できないことが確認される。この理由として、ダイヤモンド・スラリーに含まれるダイヤモンド砥粒の平均粒径が小さくなると、切削性が低下して脆性破壊モードになり易く、SiC多結晶基板の単結晶粒が破壊され、あるいは、単結晶粒の一部が脱落してピット状の欠陥を生じ、表面粗度Sa(nm)が増加したものと推測される。
(1-2)一方、ショアD硬度が80HSD以上である樹脂製パッドを適用した機械研磨においては、ダイヤモンド・スラリーに含まれるダイヤモンド砥粒の平均粒径が0.5μm以下であっても切削性が維持されると考えられる。
更に、ダイヤモンド砥粒の平均粒径を0.2μm~0.5μmとした場合、SiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)を0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)程度まで平滑化させることが可能となり、樹脂製パッドに対するダイヤモンド・スラリーの滴下速度を8mL/min以上にした場合、SiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)を0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)まで平滑化させることが可能となる。
(2)第二研磨工程の化学機械研磨と処理時間
第二研磨工程の化学機械研磨は、第一研磨工程で形成されたSiC多結晶基板における0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)の表面粗度Sa(nm)を悪化させずに研削工程や機械研磨工程等で発生した加工変質層や線状痕を除去し、かつ、SiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)が0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)に維持される処理工程で、pH7~8に調整されたコロイダルシリカ水性研磨液を用いて樹脂製若しくは布製パッドにより化学機械研磨がなされ、その処理時間は0.3nmオーダーの表面粗度Sa(nm)が維持される時間(上限は30分)に設定される。
(3)両面ラッピング工程と研削工程
(3-1)両面ラッピング工程は、図3(A)(B)に示すラッピング装置を用い、かつ、上定盤と下定盤の間にSiC多結晶基板を配置すると共に、上定盤と下定盤間に100番~300番(ISO 8486表示)の炭化ホウ素(B4C)砥粒が含まれる研磨液を供給しながらSiC多結晶基板の両面を粗研磨する処理工程である。
(3-2)研削工程
研削工程は、ラッピングされたSiC多結晶基板を平面研削する処理工程で、600番~2000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有する研削砥石が適用された粗研削工程と、6000番~8000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有する研削砥石が適用された精密研削工程とで構成され、粗研削工程は必要に応じて省略してもよい。
以下、本発明の実施例について比較例も挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
(両面ラッピング工程)
図3(A)(B)に示すラッピング装置の上定盤と下定盤の間に直径6インチのSiC多結晶基板(ウェハ)を配置し、かつ、上定盤と下定盤間に280番(ISO 8486表示)の炭化ホウ素(B4C)砥粒が含まれる研磨液を供給しながら両面ラッピングを実施し、SiC多結晶基板両面で計20μmの粗研磨加工を行った。
(研削加工)
次いで、7000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有するダイヤモンドホイールが適用された精密グラインダーによりSiC多結晶基板の両面で計10μmの精密研削加工を行った。
(第一研磨工程:機械研磨)
次に、平均粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒を3重量%の濃度で水中に分散させ、かつ、添加剤としてエチレングリコールとトリエタノールアミンが0.2重量%添加されたダイヤモンド・スラリーを10mL/minの液量で定盤上に滴下すると共に、定盤の回転速度80rpm、ヘッドの回転速度64rpm、定盤とヘッドの回転方向は共にCCW(反時計回り)とし、および、60kPaの圧力で機械研磨を実施した。
尚、上記定盤にはSUS製定盤を用い、かつ、定盤の上にショアD硬度80HSDの樹脂製パッドを貼ったものを用いた。
この結果、上記精密グラインダーによる研削加工で発生していた大きな線状痕は15分間の機械研磨で消滅し、かつ、機械研磨されたSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)をフリンジ・スキャン法(光学式表面形状粗さ測定装置)により測定したところ、SiC多結晶基板の周辺部分で0.36nm、該基板中央部分で0.34nm、中央と周辺の中間部分で0.36nmとなった。
(第二研磨工程:化学機械研磨)
次に、水酸化ナトリウムと過酸化水素水を添加してpH7.7に調整した平均粒径70nmのコロイダルシリカ(シリカ重量比:5重量%)水性研磨液を100mL/minの液量で定盤上に滴下し、かつ、定盤の回転速度40rpm、ヘッドの回転速度32rpm、定盤とヘッドの回転方向は共にCCW(反時計回り)とし、および、40kPaの圧力で化学機械研磨(CMP)を20分間実施した。
尚、上記定盤にはSUS製定盤を用い、かつ、定盤の上に不織布タイプの研磨布パッドを貼ったものを用いた。
次いで、化学機械研磨(CMP)されたSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)についてフリンジ・スキャン法により測定したところ、SiC多結晶基板の周辺部分で0.39nm、該基板中央部分で0.37nm、中央と周辺の中間部分で0.38nmと基板全体(基板の周辺部分、中央部分、および、中間部分)でほぼ同じ数値になっており、基板全体で0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)の表面粗度Saであることが確認された。
これ等の結果を下記表1と表2に示す。
[実施例2]
上記両面ラッピング工程(B4C砥粒使用)と研削加工(精密グラインダー使用)を実施例1と同一の条件で実施し、「平均粒径0.3μmのダイヤモンド砥粒」に変更された以外は実施例1と同一の条件で第一研磨工程(機械研磨)を実施したところ、精密グラインダーによる研削加工で発生していた大きな線状痕は40分間の機械研磨で消滅した。
次いで、実施例1と同一の条件で第二研磨工程(化学機械研磨)を実施し、かつ、化学機械研磨(CMP)されたSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)についてフリンジ・スキャン法により測定したところ、SiC多結晶基板の周辺部分で0.38nm、該基板中央部分で0.35nm、中央と周辺の中間部分で0.37nmとなり、基板全体で0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)の表面粗度Saであることが確認された。
これ等の結果も下記表1と表2に示す。
[実施例3]
上記両面ラッピング工程(B4C砥粒使用)と研削加工(精密グラインダー使用)を実施例1と同一の条件で実施し、「平均粒径0.2μmのダイヤモンド砥粒」に変更された以外は実施例1と同一の条件で第一研磨工程(機械研磨)を実施したところ、精密グラインダーによる研削加工で発生していた大きな線状痕は90分間の機械研磨で消滅した。
次いで、実施例1と同一の条件で第二研磨工程(化学機械研磨)を実施し、かつ、化学機械研磨(CMP)されたSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)についてフリンジ・スキャン法により測定したところ、SiC多結晶基板の周辺部分で0.39nm、該基板中央部分で0.38nm、中央と周辺の中間部分で0.38nmとなり、基板全体で0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)の表面粗度Saであることが確認された。
これ等の結果も下記表1と表2に示す。
[比較例1]
上記両面ラッピング工程(B4C砥粒使用)と研削加工(精密グラインダー使用)を実施例1と同一の条件で実施し、「平均粒径0.1μmのダイヤモンド砥粒」に変更された以外は実施例1と同一の条件で第一研磨工程(機械研磨)を実施したところ、精密グラインダーによる研削加工で発生していた大きな線状痕は150分間の機械研磨でようやく消滅した。
次いで、実施例1と同一の条件で第二研磨工程(化学機械研磨)を実施し、かつ、化学機械研磨(CMP)されたSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)についてフリンジ・スキャン法により測定したところ、SiC多結晶基板の周辺部分で0.45nm、該基板中央部分で0.51nm、中央と周辺の中間部分で0.48nmとなり、基板全体で0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)の表面粗度Saに到達させることは困難であることが確認された。
これ等の結果も下記表1と表2に示す。
[比較例2]
上記両面ラッピング工程(B4C砥粒使用)と研削加工(精密グラインダー使用)を実施例1と同一の条件で実施し、「平均粒径0.8μmのダイヤモンド砥粒」に変更された以外は実施例1と同一の条件で第一研磨工程(機械研磨)を実施したところ、精密グラインダーによる研削加工で発生していた大きな線状痕は10分間の機械研磨で消滅した。
次いで、実施例1と同一の条件で第二研磨工程(化学機械研磨)を実施し、かつ、化学機械研磨(CMP)されたSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)についてフリンジ・スキャン法により測定したところ、SiC多結晶基板の周辺部分で0.52nm、該基板中央部分で0.53nm、中央と周辺の中間部分で0.49nmとなり、基板全体で0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)の表面粗度Saに到達させることは困難であることが確認された。
これ等の結果も下記表1と表2に示す。
[比較例3]
上記両面ラッピング工程(B4C砥粒使用)と研削加工(精密グラインダー使用)を実施例1と同一の条件で実施し、「平均粒径1.0μmのダイヤモンド砥粒」に変更された以外は実施例1と同一の条件で第一研磨工程(機械研磨)を実施した。
この結果、上記精密グラインダーによる研削加工で発生していた大きな線状痕は3分間の機械研磨で消滅し、かつ、機械研磨されたSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)をフリンジ・スキャン法(光学式表面形状粗さ測定装置)により測定したところ、SiC多結晶基板の周辺部分で0.58nm、該基板中央部分で0.58nm、中央と周辺の中間部分で0.69nmとなった。
次いで、実施例1と同一の条件で第二研磨工程(化学機械研磨)を実施し、かつ、化学機械研磨(CMP)されたSiC多結晶基板の表面粗度Sa(nm)についてフリンジ・スキャン法により測定したところ、SiC多結晶基板の周辺部分で0.58nm、該基板中央部分で0.55nm、中央と周辺の中間部分で0.53nmとなり、基板全体で0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)の表面粗度Saに到達させることは困難であることが確認された。
これ等の結果も下記表1と表2に示す。
Figure 2022092155000002
Figure 2022092155000003
[確 認]
ショアD硬度80HSDの樹脂製パッドにダイヤモンド砥粒が含まれるダイヤモンド・スラリーを滴下して研磨する機械研磨における上記ダイヤモンド砥粒の平均粒径(μm)と化学機械研磨後におけるSiC多結晶基板全体(基板の周辺部分、中央部分、および、中間部分)の表面粗度Sa(nm)との関係を示す図1のグラフ図から、ショアD硬度が80HSDの樹脂製パッドを使用した機械研磨におけるダイヤモンド・スラリー中に含まれるダイヤモンド砥粒の平均粒径が0.2μm~0.5μm(実施例1~3)の範囲にある場合、化学機械研磨後におけるSiC多結晶基板全体の表面粗度Sa(nm)を0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)まで平滑化できることが確認される。
本発明方法によれば、SiC多結晶基板全体の表面粗度Sa(nm)を0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)まで平滑化できるため、SiC基板に使用されるSiC多結晶基板の製造方法に利用される産業上の利用可能性を有している。

Claims (6)

  1. SiC多結晶をスライスして得られたSiC多結晶基板の両面を粗研磨する両面ラッピング工程と、ラッピングされたSiC多結晶基板を平面研削する研削工程と、研削されたSiC多結晶基板の一方の面を平滑にする研磨工程を有するSiC多結晶基板の製造方法において、
    上記研磨工程が、
    平均粒径0.2μm~0.5μmのダイヤモンド砥粒を含有するダイヤモンド・スラリーを、ショアD硬度80HSD以上の樹脂製パッドに滴下し、フリンジ・スキャン法で測定される表面粗度(ISO 25178で規定された算術平均高さSa値)が0.3nmオーダー(0.3nm≦Sa<0.4nm)になるまで機械研磨を行う第一研磨工程と、
    pH7~8に調整されたコロイダルシリカ水性研磨液を用いて樹脂製若しくは布製パッドにより化学機械研磨を行うと共に、その処理時間が第一研磨工程で形成された表面粗度(Sa値)を維持する時間に設定された第二研磨工程、
    とで構成されることを特徴とするSiC多結晶基板の製造方法。
  2. 第二研磨工程において、上記表面粗度(Sa値)を維持する時間の上限が30分であることを特徴とする請求項1に記載のSiC多結晶基板の製造方法。
  3. 第一研磨工程において、ダイヤモンド・スラリーの滴下速度が8mL/min以上であることを特徴とする請求項1に記載のSiC多結晶基板の製造方法。
  4. 上記両面ラッピング工程において、100番~300番(ISO 8486表示)のB4C砥粒が適用されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のSiC多結晶基板の製造方法。
  5. 上記研削工程が、6000番~8000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有する研削砥石が適用された精密研削工程で構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のSiC多結晶基板の製造方法。
  6. 上記研削工程が、600番~2000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有する研削砥石が適用された粗研削工程と、6000番~8000番(ISO 8486表示)のダイヤモンド砥粒を有する研削砥石が適用された精密研削工程とで構成されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のSiC多結晶基板の製造方法。
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