JP2022091529A - ステージ装置、撮像装置およびレンズ鏡筒 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動方向の異なる複数のアクチュエータを適切に制御する。
【解決手段】固定部40bは、可動部40aを相対的に変位可能に支持する。超音波モータ30a、30bは、振動を用いて互いに平行でない方向の駆動力を発生させる。ブレ補正制御部15bは、Act.30a、30b制御量に基づいてAct.30a、30b駆動指令を生成する。アクチュエータ駆動部17bは、Act.30a、30b駆動指令に応じたAct.30a、30b駆動信号を出力することで超音波モータ30a、30bを駆動する。ブレ補正制御部15bは、自モータ(あるアクチュエータ)である超音波モータ30aに対応する第1の制御量(Act.30a制御量)と、他モータである超音波モータ30bに対応する第2の制御量(Act.30b制御量)とに基づいて、自モータに対応するAct.30a駆動指令を生成する。
【選択図】図11
【解決手段】固定部40bは、可動部40aを相対的に変位可能に支持する。超音波モータ30a、30bは、振動を用いて互いに平行でない方向の駆動力を発生させる。ブレ補正制御部15bは、Act.30a、30b制御量に基づいてAct.30a、30b駆動指令を生成する。アクチュエータ駆動部17bは、Act.30a、30b駆動指令に応じたAct.30a、30b駆動信号を出力することで超音波モータ30a、30bを駆動する。ブレ補正制御部15bは、自モータ(あるアクチュエータ)である超音波モータ30aに対応する第1の制御量(Act.30a制御量)と、他モータである超音波モータ30bに対応する第2の制御量(Act.30b制御量)とに基づいて、自モータに対応するAct.30a駆動指令を生成する。
【選択図】図11
Description
本発明は、振動と摩擦力とによって駆動力を生じさせるステージ装置、撮像装置およびレンズ鏡筒に関する。
従来、撮像装置等に適用されるステージ装置が知られている。ステージ装置を駆動するアクチュエータとして、超音波モータ等の摩擦駆動アクチュエータが用いられている。摩擦駆動アクチュエータは、被駆動体に対して摩擦子を加圧接触させたうえで、圧電素子等により振動させることで、被駆動体を一定方向に繰り返し摩擦して駆動力を伝達するモータである。摩擦駆動アクチュエータは一般に、小型で大ストローク、高トルク、非磁性といった特性を持つため、ステージ装置に採用される。
摩擦駆動アクチュエータの例として、特許文献1には共振型の超音波モータが開示されている。この超音波モータは、摩擦子を備える振動子と一体化された圧電素子に対して二相交番電圧を印可することで駆動力が発生する。二相交番電圧の周波数、振幅、位相差をパラメータとして駆動制御が行われる。
しかしながら、上述のような摩擦駆動アクチュエータは一般に、1方向にのみ駆動力を発生させるもの(いわゆるリニアアクチュエータ)が多く、その他の方向に対しては、摩擦子を被駆動体に対して加圧接触させていることから大きな抵抗を示すものが多い。ここで、2方向以上に駆動するステージ装置(いわゆる2次元ステージ装置等)において、特に、単一の固定部(支持体)と可動部(被駆動体)の組み合わせに対して複数の摩擦駆動アクチュエータを接続した構成のものがある。このような構成のステージ装置で、可動部を2方向以上に駆動しようとする場合には、上述したその他の方向に対する抵抗が問題となる場合がある。
本発明は、駆動方向の異なる複数のアクチュエータを適切に制御することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、被駆動体と、前記被駆動体を相対的に変位可能に支持する支持体と、摩擦子を有し、前記被駆動体および前記支持体のいずれか一方に固定されると共に、前記被駆動体および前記支持体のいずれか他方に対して前記摩擦子が加圧接触し、振動を用いて互いに平行でない方向の駆動力を前記被駆動体に与える複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータの各々に対応する制御量に基づいて、前記アクチュエータの各々に対応する駆動指令を生成する制御手段と、前記制御手段により生成された駆動指令に応じた駆動信号を出力することで前記アクチュエータの各々を駆動する駆動手段と、を有し、前記制御手段は、前記複数のアクチュエータのうち、あるアクチュエータに対応する第1の制御量と、前記複数のアクチュエータのうち前記あるアクチュエータではない他のアクチュエータに対応する第2の制御量とに基づいて、前記あるアクチュエータに対応する前記駆動指令を生成することを特徴とする。
本発明によれば、駆動方向の異なる複数のアクチュエータを適切に制御することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るステージ装置が適用される撮像装置のシステム構成を示すブロック図である。この撮像装置10は、一例としてレンズ交換式デジタルカメラ10(以下、カメラ10)として構成される。カメラ本体10aに交換レンズ10b(レンズ鏡筒)を着脱可能である。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るステージ装置が適用される撮像装置のシステム構成を示すブロック図である。この撮像装置10は、一例としてレンズ交換式デジタルカメラ10(以下、カメラ10)として構成される。カメラ本体10aに交換レンズ10b(レンズ鏡筒)を着脱可能である。
カメラ本体10aは、カメラ制御部14a、撮像素子11、信号処理部19(集積回路及びそのプログラムによる)、ブレ補正機構20、カメラブレ検出部16aを有する。カメラ本体10aは、ブレ補正制御部15a(集積回路及びそのプログラムによる)、アクチュエータ駆動部17a(電子回路による)を有する。撮像素子11は撮像面11aを有する。
交換レンズ10bは、レンズ制御部14b、レンズ群12、ブレ補正機構40、レンズブレ検出部16bを有する。レンズ群12は撮像光学系を構成する。レンズ群12にはブレ補正用レンズ12bが含まれる。交換レンズ10bは、ブレ補正制御部15b(集積回路及びそのプログラムによる)、アクチュエータ駆動部17b(電子回路による)を有する。
カメラ10において、カメラ制御部14aとレンズ制御部14bとは、通信経路を備えたマウント部材13を通じて互いに通信しながら、それぞれカメラ本体10a、交換レンズ10bの各部の動作制御やプログラム処理を行う。カメラ10において、被写体からの光がレンズ群12によって屈折して、撮像素子11の撮像面11a上に被写体像が結像する。この被写体像を撮像素子11が光電変換して画像信号を生成する。この画像信号に対して信号処理部19が各種の信号処理を行い、画像データ化することで、撮影を行うことができる。
ブレ補正機構20、40はそれぞれ、カメラ本体10a、交換レンズ10bにおける本発明のステージ装置に相当する。ブレ補正機構20、40の詳細な構成は後述するが、ブレ補正機構20、40は、相対移動可能な可動部及び固定部を有し、固定部に対して可動部を移動させる摩擦駆動アクチュエータを備えるステージ装置として構成される。ブレ補正機構20、40の各可動部には、撮像素子11、ブレ補正用レンズ12bが保持されている。各固定部に対する各可動部の移動方向が、レンズ群12の光軸12aに対して略直交する方向(以降、光軸直交方向と記述する)に向くように、各固定部におよび各可動部が配置されている。具体的には、撮像素子11およびブレ補正用レンズ12bを光軸直交方向に移動制御することができる。これにより、カメラ10は、光学的ブレ補正を行うことが可能である。
ブレ補正制御部15a、15bはそれぞれ、カメラ本体10a、交換レンズ10bにおける上述の光学的ブレ補正における各部の動作制御やプログラム処理を行う。アクチュエータ駆動部17a、17bはそれぞれ、カメラ本体10a、交換レンズ10bにおける上述の光学的ブレ補正において、ブレ補正制御部15a、15bの駆動指令に基づき、ブレ補正機構20、40の摩擦駆動アクチュエータを駆動する。この観点で、ブレ補正制御部15a、15bは、本発明における制御手段として機能し、アクチュエータ駆動部17a、17bは本発明における駆動手段として機能する。
カメラ10を用いた撮影中に、カメラ10を保持する手がぶれることや、被写体が動くこと等により、カメラ10と被写体との間の相対的な位置関係が変化し、これにより、撮像面11a上における被写体像が移動して撮影画像にブラーが生じる。これに対して、被写体像の移動量を検出(予測)し、それに対応するようにブレ補正機構20が撮像素子11を光軸直交方向に移動制御することで、撮像面11a上における被写体像を固定化してブレ補正を行うことができる。また、ブレ補正用レンズ12bは光軸直交方向に移動すると、光軸12aを屈折させて撮像面11a上における被写体像を移動させる作用を生じさせる。よって、上述の被写体像の移動量に対応する(打ち消す)ように、ブレ補正機構40がブレ補正用レンズ12bを光軸直交方向に移動制御することによってブレ補正を行うことができる。
カメラブレ検出部16a、レンズブレ検出部16bはそれぞれ、カメラ本体10a、交換レンズ10bにおける、カメラ10のブレを検出する。これらには例えばジャイロセンサが用いられる。ジャイロセンサによれば、カメラ10の各方向のブレの角速度が検出されるため、それを積分して得た角度量と、レンズ群12の焦点距離等の撮影情報をパラメータとして、被写体像の移動量を算出することができる。よって、これに対応するような撮像素子11やブレ補正用レンズ12bの動きを算出し、目標位置を設定してブレ補正機構20、40を駆動制御することで、ブレ補正を行うことができる。
また、撮影前に時系列的なプレビュー画像を取得し、信号処理部19が被写体の動きベクトルを検出することで被写体の動きによる被写体像の移動量を検出(予測)し、これに対応するようにカメラ本体10aがブレ補正を行うこともできる。これらのブレ補正のための被写体像の移動量の検出方法や、駆動目標の算出方法については、様々な技術が開示されているが、本発明の要部ではないので詳細な説明を省略する。
ここで、カメラ10における方向を定義する。図1に示すように、カメラ10における光軸12aに対して平行な方向をZ方向とし、特に被写体に向かう方向を+Z方向と定義する。また、Z方向に直交する光軸直交方向で且つ、カメラ10が想定する標準の姿勢における鉛直上向きの方向を+Y方向と定義する。従って、上下方向がY方向である。また、Y方向とZ方向とに直交する方向(つまり左右方向)をX方向とし、特に、被写体を前方に見たときの左方を+X方向と定義する。
続いて、ブレ補正機構20、40の詳細な構成及びその駆動制御方法について説明する。なお、ブレ補正機構20、40は互いに類似する役割及び構成を有するため、代表として、主として交換レンズ10b側のブレ補正機構40について詳細に説明する。
図2(a)は、ブレ補正機構40を+Z側から見た図である。図2(b)は、図2(a)のA-A線に沿う断面図である。ブレ補正機構40は、可動部40a、固定部40bを含み、さらに、複数の摩擦駆動アクチュエータである超音波モータ30a、30bを含む。可動部40aが被駆動体であり、固定部40bは、可動部40aを相対的に変位可能に支持する支持体である。
超音波モータ30a、30bは、薄板形状の接続部材35a、35bによって可動部40aに接続されている。圧縮バネ部材36a、36bはそれぞれ、超音波モータ30a、30bを固定部40aに加圧接触させるための弾性部材である。可動部40aは、略平面状に延在する固定部40b上で、3つのボール部材47と3つの引張バネ部材48とにより転動可能に付勢支持されている。可動部40aの移動平面が光軸12aに略直交するようにブレ補正機構40が配置されている。従って、可動部40aは、固定部40aに対して相対的に、XY平面方向に移動可能である。可動部40aには、ブレ補正用レンズ12bの光軸が光軸12aに合わされた状態でブレ補正用レンズ12bが保持されている。これより、ブレ補正機構40は、ブレ補正用レンズ12bを光軸直交方向(XY平面内)に移動させるステージ装置となっている。
超音波モータ30a、30bは圧縮バネ部材36a、36bにより固定部40bに加圧接触させられている。接続部材35a、35bは、可動部40aの移動方向には比較的高い剛性を示す一方で、それ以外の光軸12a方向(Z方向)や、ねじれ方向(X軸周り、Y軸周り)には比較的低い剛性を示すように設計されている。これにより、超音波モータ30a、30bは、固定部40b上における可動部40aの付勢支持状態に倣うようにして、矛盾することなく固定部40bに加圧接触させられる。
超音波モータ30a、30bはそれぞれ、X方向、Y方向の駆動力を発生させる。これらの駆動力の方向は、可動部40aの移動面に相当するXY平面内で互いに平行でない関係にある。すなわち、超音波モータ30a、30bは、それぞれX方向、Y方向に駆動力を伝達することができる。よって、可動部40aをXY平面内の一定の範囲内で任意の箇所に移動させることができる。また、その際、ガイド機構である回転規制部49は、可動部40aのXY平面内の並進移動を妨げることなく回転移動を規制する。これにより、可動部40aはXY平面内で姿勢を保ったまま移動することができる。
ブレ補正機構40においては、可動部40aと固定部40bの単一の組み合わせに対して複数の超音波モータ30a、30bが接続されている。これにより、ブレ補正機構40は、一般的な2段以上の構成(例えば、X方向移動ステージ上にY方向移動ステージが乗ったような構成)と比べて、薄型に構成されている。
次に、超音波モータ30a、30bの詳細構成を説明する。なお、超音波モータ30a、30bは互いに同一の構成を有するため、ここでは一般化して、超音波モータ30として説明する。
図3(a)は、超音波モータ30の正面図、下面図、B-B線に沿う断面図である。超音波モータ30は、摩擦子を備える金属製の振動子31と、振動子31を加振する圧電素子32とを有する。振動子31と圧電素子32とは接着剤等により強固に固定され、一体化されている。図3(b)は、超音波モータ30の背面図である。図3(c)は、圧電素子32の正面図である。超音波モータ30は共振型の超音波モータである。
ここで、超音波モータ30に関して用いる方向を定義する。超音波モータ30が被駆動体に加圧接触させられる方向を加圧方向とし、これを便宜用に縦方向と定義する。振動子31および圧電素子32は、加圧方向に直交する平面内に延在する略平板形状を成し、略平板形状に対して長手方向と短手方向とが定義される。超音波モータ30は長手方向に駆動力を伝達するので、この長手方向は駆動方向であり、便宜用に横方向と定義される。被駆動体は超音波モータ30の正面側に位置する。振動子31の背面と圧電素子32の正面とが接着される。
この方向の定義によれば、図3(a)において、超音波モータ30が超音波モータ30aである場合は、短手方向、長手方向、加圧方向はそれぞれY方向、X方向、Z方向に相当する。正面図、右側面図はそれぞれ、-Z側、+X側からみた図である。
図4(a)、(b)は、超音波モータ30の共振モードを示す模式図である。図5は、超音波モータ30の駆動力伝達原理を示す模式図である。なお、図5に示すように、超音波モータ30は、可動部40a(図2)に固定されて、固定部40bに対して駆動力を作用させる構成である。この場合、固定部40bが被駆動体と見なすことかできる。しかし、駆動力は相対的なものであるので、超音波モータ30は、固定部40bに固定されて、可動部40aに相対的な駆動力を作用させる構成であってもよい。すなわち、超音波モータ30は、被駆動体および支持体のいずれか一方に固定されると共に、被駆動体および支持体のいずれか他方に対して摩擦子が加圧接触する構成であればよい。
圧電素子32に超音波域の交番電流を流して振動させ、振動子31を加振させると、振動子31と圧電素子32の組み合わせにより、超音波モータ30は、図4(a)、(b)に示す2つの共振モードで共振する。2つの共振が互いに近い周波数域で現れるように、振動子31および圧電素子32の形状等が予め設計されている。振動子31には、摩擦子に相当する部分として2か所に突起部31a、31bが形成されている。突起部31a、31bは、図5に示すように位相の揃った楕円形状の軌跡を描くように振動して、固定部40bを相対的に単一の方向に繰り返し摩擦駆動する。
図3に示すように、圧電素子32には3箇所の電極32a、32b、32cが形成され、これにより圧電素子32には2箇所の分極領域32ac、32bcが形成される。第1の電極32a、第2の電極32bはそれぞれ、圧電素子32の背面の長手方向における約半分ずつの領域に存在する。また、第3の電極32cは圧電素子32の正面におけるほぼ全面と、背面における電極32a、32bの間に存在する。第3の電極32cの正面側の部分と背面側の部分とは、周囲を経由して導通されている。
第1の分極領域32ac、第2の分極領域32bcはそれぞれ、加圧方向(縦方向)において、第1の電極32aと第3の電極32cとの間に位置する領域と、第2の電極32bと第3の電極32cとの間に位置する領域である。圧電素子32に交番電流を流すと、圧電効果により分極領域32ac、32bcが伸縮振動する。電極32a、32bにはそれぞれ独立して通電することができるため、分極領域32ac、32bcはそれぞれ半独立的に伸縮することが可能である。従って、分極領域32ac、32bcの伸縮振動の位相差を制御することができる。
振動子31における突起部31a、31bは、短手方向における振動子31の略中心線上において長手方向に並列配置されている。これらの突起部31a、31bは、例えば金属板の絞り加工等により形成され、先端は丸みを有しており、被駆動体に略点接触する。
このような超音波モータ30は、圧電素子32に流す交番電流に応じて、図4に示すような2つの顕著なモードの共振を、互いに近い周波数域で示す。第1の共振モードは、図4(b)に示すような短手方向における1次共振である。これは、圧電素子32の第1の分極領域32acと第2の分極領域32bcとを互いに同位相(位相差0°)で伸縮振動させることで生じる励振状態である。これを適切に実現するためには、第3の電極32cを基準電位0(GND)とし、且つ、電極32a、32bに対して同位相で交番電流が流れるようにするとよい。すなわち、超音波モータ30に対しては、位相差0°の二相交番電流(以降、単に「二相交流」と記述する)が流れるようにするとよい。この際、突起部31a、31bは共に共振の腹の位置に配置されており、突起部31a、31bは矢印431abに示すように縦方向に振動する。
第2の共振モードは、図4(a)に示すような長手方向における2次共振である。これは、圧電素子32の第1の分極領域32acと第2の分極領域32bcとを互いに逆位相で伸縮振動させることで生じる励振状態である。これを適切に実現するためには、第3の電極32cを基準電位0(GND)とし、且つ、電極32a、32bに対して逆位相で交番電流が流れるようにするとよい。すなわち、超音波モータ30に対しては、位相差180°の二相交流が流れるようにするとよい。この際、突起部31a、31bは共に、長手方向における1個飛びの節の箇所に近い所に配置されており、さらに節点を起点に縦方向に突出している。これにより、突起部31a、31bの先端は、矢印431a、431bに示すように互いに同位相で略横方向に振動する。
これらの2つの共振モードは、互いに近い周波数域で現れるように設計されているため、上述の位相差0°の二相交流の成分と、位相差180°の二相交流の成分を共に含む電流が流れるようにすることで、2つのモードで同時に励振することができる。このような電流として、例えば、図5に示すように、位相差0°の交流501aおよび位相差90°の交流501bを流すとよい。この場合、図5に示すように、突起部31a、31bは、図4(a)に矢印431a、431bで示した横方向の振動と、図4(b)に矢印431abで示した縦方向の振動とが重ね合わされた振動を示す。
すなわち、突起部31a、31bはそれぞれ、矢印502a、502bに示すような楕円軌跡を描くように振動する。これにより、突起部31a、31bは、被駆動体(ここでは固定部40b)に対して、縦方向に接触と離間を繰り返しながら横方向一方向への振動を繰り返すことで、摩擦力503a、503bを及ぼす。従って、これらの合力が超音波モータ30の駆動力として被駆動体に伝達される。
図6は、超音波モータ30に流れる二相交流の位相差に応じた超音波モータ30の特性の変化を示す図である。図6では、二相交流の位相差に対応して、振動子31の2か所の突起部31a、31bの振動強度(横、縦)、振動軌跡、さらには摩擦により伝達される駆動力(横摩擦力)を示している。なお、2か所の突起部31a、31bの特性は互いに同様であるため、図6~図9においては、代表して突起部31aに着目して超音波モータ30の特性について説明する。図6に示す例では、二相交流の周波数、振幅はそれぞれ一定であるとする。
図6に示すように、超音波モータ30に流れる二相交流の位相差が0°の場合は、図4(b)で示したように、突起部31aの振動は専ら縦方向に大きい振幅を示す。これに対して、二相交流の位相差が90°まで大きくなっていくと、その中に含まれる位相差0°の成分は小さくなり、位相差180°の成分が大きくなっていく。そのため、突起部31aの振動は、図4(a)で示したような横方向の成分が大きくなり、縦方向の成分が小さくなっていく。
これにより、突起部31aの先端の振動軌跡は、二相交流の位相差が0°の場合には離心率が大きい(約1)楕円形状であるが、そこから位相差が90°まで大きくなっていくにつれて、離心率が小さい楕円形状となっていく。これより、突起部31aの横方向の摩擦により伝達される駆動力は、二相交流の位相差が0°の場合には小さくほぼ0であるのに対して、位相差が90°まで大きくなっていくに応じて大きくなっていく。従って、超音波モータ30は、二相交流を流し、その位相差をパラメータとして出力を制御する駆動制御(位相差制御による駆動制御)が可能なアクチュエータとして利用することができる。位相差制御による駆動制御について図7で説明する。
図7(a)は、位相差制御による駆動制御を実現する制御ブロック図である。図7(b)は、位相差制御による駆動制御における超音波モータ30の特性を示す図である。
超音波モータ30を駆動させるためには、二相交流が流れるようにすればよいが、そのための駆動信号としては、例えば図7(a)に示すように、二相交番電圧を印可してもよい。圧電素子32は電気的にはキャパシタと等価である。そのため、二相交番電圧が印可されると、周波数と位相差とは等しく、振幅は回路のリアクタンス成分に応じて決まる値の二相交番電流が圧電素子32に流れる。
そこで、例えば、アクチュエータ駆動部17を、例えば正弦波発生器により構成する。そして、アクチュエータ駆動部17は、駆動指令として周波数指令、振幅指令、位相差指令の各値が入力されると、それに応じた駆動信号である二相交番電圧を生成して超音波モータ30に印可する。詳細は後述するが、この際の駆動指令は、ブレ補正制御部15bが決定してアクチュエータ駆動部17に出力する。
上述の位相差制御による駆動制御時の超音波モータ30の特性は、図7(b)に示すものとなる。位相差指令が0°から90°に増加するに応じて、駆動力は概ね単調に増加する傾向を示す。これより、超音波モータ30を駆動制御することができる。しかし、位相差指令によらずに消費電力が大きいという問題が存在する。すなわち、超音波モータ30においては、一般のDCモータ等とは異なり、低出力時でも消費電力があまり下がらない。これは、図4(b)や図6でも説明たように、低出力時も超音波モータ30が縦方向に大きく振動するからである。このような縦方向の振動は出力には殆ど寄与しない。そのため、消費電力削減の観点からは、低出力時は超音波モータ30への入力を減らすように併せて制御するとよい。
図8は、超音波モータ30に流れる二相交流の振幅に応じた超音波モータ30の特性の変化を示す図である。図8では、二相交流の振幅に対応して、消費電力、突起部31aの振動軌跡、駆動力、保持力(横方向静止摩擦力)を示している。図8に示す例では、二相交流の周波数は一定であるとする。
図8に示すように、二相交流の振幅が小さくなると、消費電力も小さくなる。この際、消費電力は電流の二乗に比例するため、振幅を小さくすることによる電力の削減効果は大きい。一方で、二相交流の振幅が小さくなると、振動子31の突起部31aの振動軌跡の楕円の長辺が小さくなるが、同時に短辺も小さくなり、楕円の離心率はあまり変わらない。よって、二相交流の振幅が小さくなっても、駆動力は極端に変化することはなく、元々小さい駆動力がより小さくなるといった程度の変化に留まる。
図9は、省電力駆動制御における超音波モータ30の特性を示す図である。「省電力駆動制御」は、位相差制御による駆動制御に加えて、低出力時には、流れる二相交流の振幅が小さくなるように振幅指令も小さくする制御である。つまり、位相差制御による駆動制御は、必要な駆動力が低いほど位相差を小さくする制御であり、省電力駆動制御は、これに加えて、必要な駆動力が低いほど、位相差だけでなく振幅も小さくする制御である。
なお、圧電素子32に流れる電流と電圧とは略比例の関係となるため、省電力駆動制御における振幅指令としては、電流を小さくしようとする割合(を示す係数α)と同じ割合で電圧を小さくすればよい。この割合を係数αとする。係数αは0より大きく1より小さい係数である。
図9に示すように、省電力駆動制御を行うことで、図7(b)で示した単なる位相差制御による駆動制御と比べて、低出力時の消費電力を大きく低減することができる。一方で、駆動力は位相差指令に対して概ね単調増加となる傾向は変わらないため、超音波モータ30を駆動制御に支障はない。
このような省電力駆動制御は、一般に、駆動方向が1方向だけのステージ装置(いわゆるリニアステージ)にはそのまま適用することができる。しかし、本実施の形態におけるブレ補正機構40は、可動部40aと固定部40bの組み合わせに対して複数の超音波モータ30が接続されて、XY平面内に駆動するステージ装置(いわゆる二次元ステージ等)である。そのため、省電力駆動制御を単純に適用すると新たな課題が生じる場合がある。この課題について説明する。
図8に示すように、超音波モータ30に流れる二相交流の振幅が小さくなると、振動子31の突起部31aの振動の縦方向の成分が小さくなるため、被駆動体への接触、離間の繰り返しにおいて、接触している時間の割合が大きくなる。これにより、被駆動体に及ぼす保持力(静止摩擦力)が大きくなるため、駆動方向と異なる方向に対して及ぼす抵抗力が大きくなる。
図2に示すようなブレ補正機構40において、例えばX方向駆動用の超音波モータ30aに対して省電力駆動制御を適用すると、Y方向の駆動(超音波モータ30bの駆動)に対する抵抗力が大きくなる。これにより、ブレ補正機構40の駆動制御性が低下するという課題が生じる場合がある。
例えば、カメラ10において、X方向にはあまりぶれず、Y方向には大きくぶれたような場合は、ブレ補正機構40はX方向にはあまり移動せず、Y方向には大きな駆動力で移動しようとする。この場合、X方向駆動用の超音波モータ30aは低出力となるよう制御されるが、省電力駆動制御によりY方向に大きな抵抗力を示すようになるため、Y方向に大きな駆動力で移動しようとしてもそのようにならない。例えば、移動が遅延して補正が間に合わなくなる場合がある。
また、例えばカメラ10がブレ補正を利用した画素ずらし撮影等を行うような場合に、ブレ補正機構40はY方向には動かさないが、X方向には極微小量だけ精密に動かそうとする場合がある。つまり、X方向に関する目標位置までの位置偏差が非常に小さい場合である。この場合、Y方向駆動用の超音波モータ30bに省電力駆動制御が適用されることでX方向に大きな抵抗力を示すようになると、X方向に極微小量、精密に動かそうとしてもそのように動作せず、やがてフィードバック制御がオーバーシュートするおそれもある。
このような事情から、ブレ補正機構40のような二次元ステージ装置の駆動制御においては、各々の超音波モータに対して省電力駆動制御を適用する際に、自身による駆動方向以外の他の方向の駆動制御に及ぼす影響を勘案するとよい。そのためには、制御対象の超音波モータの省電力駆動制御において、他の超音波モータを含めた複数の超音波モータの制御量を参照するとよい。
このような制御量としては、例えば、超音波モータの出力を制御しようとする操作量である制御量や、フィードバック制御における目標位置までの変位量である制御量を利用することができる。以降、必要とする駆動力を示す制御量を「駆動力制御量」と呼称する。必要とする変位量(被駆動体を変位させる量)を示す制御量、すなわち現在位置から目標位置までの位置偏差を「変位量制御量」と呼称することもある。
例えば、他の超音波モータにおける必要とする駆動力制御量が大きい場合には、被駆動体を大きな駆動力で動かそうとしている場合と判断できるため、このような場合には省電力駆動制御を控えるとよい。また、他の超音波モータのフィードバック制御における変位量制御量が小さい場合には、上述の極微小量、精密に動かそうとしている場合と判断できるため、同様に省電力駆動制御を控えるとよい。ここでいう「省電力駆動制御を控える」とは、他の超音波モータにおける必要な駆動力が低いほど、自身の(制御対象の)超音波モータにおける二相交流の振幅を小さくする程度を緩和する(振幅を小さくする度合いを低くする)という意味である。従って、省電力駆動制御を控えることで、省電力の効果は若干低下することになる一方、補正が間に合わなくなったりフィードバック制御がオーバーシュートしたりすることが回避される。本実施の形態では、単純な省電力駆動制御に、二相交流の振幅を小さくする程度を緩和する制御を組み合わせた、「改良された省電力駆動制御」を採用する。
言い換えると、各々の超音波モータに対する振幅指令を決定する際に、指令を行う対象の超音波モータの制御量だけでなく、他の超音波モータも含めた複数の超音波モータの制御量に基づいて振幅指令を決定するとよい。この内容の詳細について、ブレ補正機構40の駆動制御を例にとって説明する。
図10は、ブレ補正機構40に関する制御ブロック図である。上述のように、ブレ補正機構20、40は互いに類似する役割及び構成を有するため、代表としてブレ補正機構40における制御構成について詳細に説明する。図10において、駆動制御上の実際の信号を実線で示し、仮想的な力の作用を破線で示している。また、X方向の処理とY方向の処理については、パラメータは異なるものの処理内容は共通であるため、ブロックと信号はまとめて示している。その際、複数の信号の組み合わせは太線により示している。
まず、ブレ補正機構40の制御における主要な各部の動作(役割と入出力)について説明する。図2では図示を省略したが、ブレ補正機構40は、位置センサ1011を備える。位置センサ1011は、可動部40aの固定部40bに対する相対位置を検出し、これをブレ補正用レンズ12bの位置に関する位置情報(X、Y)として、レンズ制御部14bに出力する。位置情報(X、Y)はX、Y方向の各情報を含む。レンズ制御部14bには、レンズブレ検出部16bからブレ情報が入力される。
レンズ制御部14bは、ブレ補正制御部15bがブレ補正用レンズ12bの位置に関するフィードバック制御を行うための、目標位置および位置検出量を算出する役割を果たす。まず、レンズ制御部14bは、ブレ情報に基づいて、目標位置(X、Y)を算出すると共に、位置情報(X、Y)に基づいて、現在を示す位置検出量(X、Y)を算出する。そしてレンズ制御部14bは、目標位置(X、Y)および位置検出量(X、Y)をブレ補正制御部15bに出力する。なお、ここでの処理はブレ補正制御部15bが直接行ってもよい。
ブレ補正制御部15bは、ブレ補正用レンズ12bの位置に関するフィードバック制御を行う。ブレ補正制御部15bは、レンズ制御部14bから、ブレ補正用レンズ12bの目標位置(X、Y)と位置検出量(X、Y)を受け取る。フィードバック制御器1000は、X、Yの方向ごとに、位置目標量と位置検出量との位置偏差を解消するために、超音波モータ30a、30bを駆動する量に相当する制御量(X、Y)を算出する。フィードバック制御器1000は、算出した制御量(X、Y)を出力変換器1001に出力する。
出力変換器1001は、フィードバック制御器1000から受けた制御量(X、Y)を、超音波モータ30a、30bの各々の制御量であるAct.30a制御量(第1の制御量)、Act.30b制御量(第2の制御量)にそれぞれ変換する。なお、ブレ補正機構40においては、超音波モータ30a、30bの駆動方向はそれぞれX方向、Y方向に合わせられているため、X方向とY方向に関する制御量をそのまま超音波モータ30a、30bの制御量として割り振ることができる。一方で、仮に、各アクチュエータの駆動方向が、フィードバック制御器1000が出力する制御量の方向と合っていない場合には、出力変換器1001は、これらを合わせるための変換計算を行う。なお、Act.30a、30b制御量にはいずれも、駆動力制御量、変位量制御量のほか、周波数を制御するための周波数制御量が含まれる。
出力変換器1001は、Act.30a制御量を、アクチュエータ制御器1002a、1002bへ出力すると共に、Act.30b制御量を、アクチュエータ制御器1002a、1002bへ出力する。アクチュエータ制御器1002aは、Act.30a制御量およびAct.30b制御量の双方に基づいて、超音波モータ30a用の駆動指令として、Act.30a駆動指令を生成する。アクチュエータ制御器1002bは、Act.30a制御量およびAct.30b制御量の双方に基づいて、超音波モータ30b用の駆動指令として、Act.30b駆動指令を生成する。
ここで、Act.30a駆動指令には、Act.30a位相差指令、Act.30a振幅指令、Act.30a周波数指令が含まれる。同様に、Act.30b駆動指令には、Act.30b位相差指令、Act.30b振幅指令、Act.30b周波数指令が含まれる。アクチュエータ制御器1002a、1002bは、生成したAct.30a駆動指令、Act.30b駆動指令を、それぞれアクチュエータ駆動部17bの駆動部1003a、1003bへ出力する。このように、アクチュエータ制御器1002a、1002bは、対応する超音波モータ用だけでなく、他の超音波モータ用の制御量も受け取り、それらに基づいて駆動指令を決定する。
駆動部1003a、1003bは、Act.30a駆動指令、Act.30b駆動指令に基づいて、それぞれ、超音波モータ30a、30b用の駆動信号として、二相交流であるAct.30a駆動信号、Act.30b駆動信号を生成する。そして、駆動部1003a、1003bは、これらAct.30a駆動信号、Act.30b駆動信号を、ブレ補正機構40内の超音波モータ30a、30bに印可することで駆動する。
ブレ補正機構40は、ブレ補正用レンズ12bを目標位置に移動させる役割を果たす。Act.30a、30b駆動指令により超音波モータ30a、30bが駆動されて可動部40aに相対的な駆動力を作用させることで、ブレ補正用レンズ12bが移動する。
図11は、アクチュエータ制御器1002a、1002bのブロック図である。アクチュエータ制御器1002a、1002bの構成は共通であるので、アクチュエータ制御器1002aについて説明する。アクチュエータ制御器1002aは、Act.30a位相差指令、Act.30a振幅指令、Act.30a周波数指令のそれぞれを決定するためのルックアップテーブル(LUT)を備える。各LUTは、入力された制御量に対応する指令値を生成するための情報である。なお、アクチュエータ制御器1002aの内部構成はこのようなLUTに限らず、より基本的な、ゲイン乗算とオフセット演算、及び場合分けによる処理により、入力された制御量に対して各々の指令値を決定できる構成であってもよい。
振幅指令を算出するための振幅LUTは2次元(2D)であり、制御対象の超音波モータの制御量だけではなく、他の超音波モータの制御量も受け取る。振幅LUTでは、他の超音波モータの制御量に応じたテーブルが選択されて、このテーブルを使用して制御対象の超音波モータの制御量に応じた振幅指令が出力される。例えば、アクチュエータ制御器1002a内の振幅LUTは、Act.30a制御量だけでなく、Act.30b制御量も受け取り、Act.30b制御量に応じたテーブルを用いて、Act.30a制御量に応じたAct.30a振幅指令を出力する。
図12(a)、(b)、(c)はそれぞれ、アクチュエータ制御器1002aにおける周波数LUT、振幅LUT、位相差LUTを示す図である。図12(b)に示すように、振幅LUTは2次元である。他の超音波モータの制御量の入力に応じて、複数の振幅LUTのうち1つが、使用する振幅LUTとして選択される。
例えば、他の超音波モータの駆動力制御量が小さい場合には、テーブル1201が選択され、他の超音波モータの駆動力制御量が中程度であればテーブル1202が選択され、他の超音波モータの駆動力制御量が大きければテーブル1203が選択される。テーブル1201よりもテーブル1202の方が、振幅を小さくする程度が緩和されるようになっている。さらに、テーブル1202よりもテーブル1203の方が、振幅を小さくする程度が緩和されるようになっている。これにより、他の超音波モータにおける必要な駆動力が低いほど振幅を小さくする程度が緩和される。
なお、他の超音波モータの駆動力制御量ではなく、他の超音波モータの変位量制御量に基づいて、使用する振幅LUTを選択してもよい。例えば、他の超音波モータの変位量制御量が大きい場合には、テーブル1201が選択され、他の超音波モータの変位量制御量が中程度であればテーブル1202が選択され、他の超音波モータの変位量制御量が小さければテーブル1203が選択される。
なお、複数の振幅LUTは3段階に限らず、4段階以上設けられていてもよい。また、使用する振幅LUTが選択される際、他の超音波モータの駆動力制御量と他の超音波モータの変位量制御量の双方に基づいて選択されてもよい。その場合、予め、駆動力制御量と変位量制御量とに重み付けを設けてもよい。そして、駆動力制御量に基づき選択される振幅LUTと変位量制御量に基づき選択される振幅LUTとが合致しない場合は、重み付けに従って、いずれかの振幅LUTまたは中間の振幅LUTを選択するようにしてもよい。
位相差LUT(図12(c))おいては、正負の制御量に応じて位相差指令が概ね単調増加・減少するようになっている。また、周波数指令については、図4(a)、(b)で示した超音波モータ30の共振に近い周波数(共振ピーク周波数)であるほど、縦方向、横方向共に大きな振動が得られ、これにより超音波モータ30の出力が大きくなる。しかし、その分、低出力側の応答特性が低下したり、超音波モータ30が破損しやすくなったりといった課題が生じるおそれがある。そのため、周波数LUT(図12(a))は、通常の低~中出力時は、共振ピーク周波数から離れたイニシャル周波数で駆動するようになっている。また、周波数LUTは、イニシャル周波数で駆動した後、出力を上げるために位相差を0°から90°まで上げ切り、より高出力が必要になった場合には、周波数を徐々に共振ピーク周波数に近づけるように周波数指令を行うようになっている。
図13(a)~(c)は、2つの超音波モータにおける駆動力制御量に応じた駆動制御による効果および駆動特性を示す図である。図13(a)は本実施の形態における改良された省電力駆動制御、図13(b)は、単純な省電力駆動制御、図13(c)は省電力駆動制御でない従来の駆動制御を示している。各図において、消費電力および駆動特性は、ブレ補正機構40としての特性を定性的に示したものである。各図に示した制御量は、駆動力制御量である。
一例として、超音波モータ30aを制御対象(ここでは自モータと呼ぶ)とし、超音波モータ30bを他の超音波モータ(ここでは他モータと呼ぶ)として説明する。
図13(c)に示すように、従来の駆動制御では、自モータは、自モータの駆動力制御量を小さくする際、他モータの駆動力制御量の大小にかかわらず、自モータの位相差だけ小さくし、振幅は一定にする。この場合、各々の超音波モータの出力が小さい場合でも、図7(b)で示したように消費電力があまり減少しない。そのため、ブレ補正機構40の消費電力は常に大きい。
図13(b)に示す単純な省電力駆動制御では、自モータは、自モータの駆動力制御量を小さくする際、他モータの駆動力制御量の大小にかかわらず、自モータの位相差だけでなく振幅も小さくする。この場合、各々の超音波モータの出力が小さい場合に、図9で示したように消費電力が低減するため、ブレ補正機構40の消費電力が低減されるという効果が得られる。しかし、他モータに及ぼす抵抗力が大きくなるため、ブレ補正機構40の駆動特性が低下する。
図13(a)に示す改良された省電力駆動制御では、自モータは、自モータの駆動力制御量を小さくする際、単純な省電力駆動制御(図13(b))と同様に、自モータの位相差だけでなく振幅も小さくすることで、消費電力が低減される。さらにその際、自モータは、他モータの駆動力制御量の大小に応じて振幅を小さくする程度を変更する。つまり、他モータの駆動力制御量が大きいとき(図13(a)の下2行)は、他モータの駆動力制御量が小さいとき(図13(a)の上2行)と比べて、振幅を小さく程度が緩和される。これにより、単純な省電力駆動制御と比べて、消費電力削減の効果は低下するものの、駆動特性の著しい低下は回避される。従って、ブレ補正機構40のバランスの良い駆動制御を行うことができる。
なお、他モータの変位量制御量に応じて、改良された省電力駆動制御を実施する場合は、図13の各図の縦軸は他モータの変位量制御量となり、その大小関係は図示したものとは逆になる。
本実施の形態によれば、ブレ補正制御部15bは、超音波モータ30a、30bの各々に対応するAct.30a、30b制御量に基づいて、各々に対応するAct.30a、30b駆動指令を生成する。その際、ブレ補正制御部15bは、制御対象となる自モータに対応する第1の制御量(Act.30a制御量)と、他モータに対応する第2の制御量(Act.30b制御量)とに基づいて、自モータに対応するAct.30a駆動指令を生成する。アクチュエータ駆動部17bは、Act.30a、30b駆動指令に応じたAct.30a、30b駆動信号を出力することで超音波モータ30a、30bを駆動する。
例えば、ブレ補正制御部15bは、自モータ(あるアクチュエータ)に対応する駆動指令のうち交番電流の位相差に関する指令を、第1の制御量(Act.30a制御量)における制御量に基づき決定する。それと共に、ブレ補正制御部15bは、自モータに対応する駆動指令のうち振幅指令を、第1の制御量(Act.30a制御量)と第2の制御量(Act.30b制御量)(駆動力制御量または変位量制御量)とに基づいて決定する。
これにより、自モータ(あるアクチュエータ)が他モータ(他のアクチュエータ)へ及ぼす抵抗が低くなるので、駆動方向の異なる複数のアクチュエータを適切に制御することができる。
すなわち、まず、単純な省電力駆動制御(図13(b))により、自モータの駆動力制御量が小さいほど、振幅を小さくするので、消費電量を抑制することができる。さらに、改良された省電力駆動制御(図13(a))により、他モータの駆動力制御量が大きいほど、振幅を小さくする度合いを低くするので、消費電量抑制の効果をある程度維持しつつ駆動特性の大きな低下を回避することができる。また、改良された省電力駆動制御(図13(a))により、他モータの変位量制御量が小さいほど、振幅を小さくする度合いを低くするので、消費電量抑制の効果をある程度維持しつつ駆動特性の大きな低下を回避することができる。以上の効果は、ブレ補正制御部15aにおいても得られる。
なお、各LUTにおいて、全領域でパラメータを一様に増減する構成である必要はなく、一部の領域でパラメータが一定となってもよい。この観点を考慮すると、次のように表現してもよい。ブレ補正制御部15bが制御手段となる場合を例にとる。
図9等において、省電力のため、自モータに対応する交番電流の振幅指令を決定する際、次のようにする。ブレ補正制御部15bは、第1の制御量(Act.30a制御量)における駆動力制御量が、第1の量である場合よりも、第1の量より小さい第2の量である場合の方が、振幅を小さくする。
また、図13(a)に示すように、改良された省電力駆動制御において、自モータに対応する交番電流の振幅指令を決定する際で且つ、振幅を小さく場合において、次のようにする。ブレ補正制御部15bは、第2の制御量(Act.30b制御量)における駆動力制御量が、第3の量である場合(図13(a)の上2行)よりも、第3の量より大きい第4の量である場合(図13(a)の下2行)の方が、振幅を小さくする度合いを低くする。あるいは、ブレ補正制御部15bは、第2の制御量(Act.30b制御量)における変位量制御量が第5の量である場合よりも、第5の量より小さい第6の量である場合の方が、振幅を小さく度合いを小さくする。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、アクチュエータ駆動部17a、17bとして、正弦波発生器を例示した。一般に、正弦波発生器においては、電子回路規模や論理構成規模が大きいため、小型精密機器への搭載には不利である。そこで、本発明の第2の実施の形態では、アクチュエータ駆動部17a、17bに、より小型な構成を採用する。
第1の実施の形態では、アクチュエータ駆動部17a、17bとして、正弦波発生器を例示した。一般に、正弦波発生器においては、電子回路規模や論理構成規模が大きいため、小型精密機器への搭載には不利である。そこで、本発明の第2の実施の形態では、アクチュエータ駆動部17a、17bに、より小型な構成を採用する。
図14は、アクチュエータ駆動部およびその周辺構成を示す模式図である。本実施の形態において、アクチュエータ駆動部17a、17bに相当するものを、アクチュエータ駆動部17-2と記す。アクチュエータ駆動部17-2には、ロジックIC1400が接続される。アクチュエータ駆動部17-2は、モータドライバIC1401を含むほか、インダクタンス成分及びトランス成分を含む駆動回路として、インダクタ1402a、1402b、トランス1403a、1403bを含む。なお、ロジックIC1400はアクチュエータ駆動部17-2とは別に構成されるが、アクチュエータ駆動部17-2の一部として構成されてもよい。また、逆に、ロジックIC1400が、アクチュエータ駆動部17-2の一部または全部を包含する構成であってもよい。
図15(a)は、ロジックIC1400が出力する各信号を示す図である。図15(b)は、圧電素子32の電極32a、32bの電位(電極32cを基準電位0とした場合)と、分極領域32ac、分極領域32bcを流れる電流を示す図である。
ロジックIC1400は、図7(a)で示したような駆動指令、すなわち、二相交流の周波数、振幅、位相差に関する指令を受け取ると、それに対応して、図15(a)に示すA、NA、B、NBの4種類の信号を出力する。ここで、AはA相信号を示し、BはB相信号を示す。NA、NBはそれぞれ、A相、B相信号に対して位相が180°ずれた信号である。また、A相とNA相の組み合わせ、B相とNB相の組み合わせがそれぞれ差動入力として機能するため、これらの差分信号A-NA、B-NBも併せて示されている。
A相、B相信号はそれぞれ、周期的なパルス信号である。これらの信号の周波数fと位相差Δθには、二相交流の周波数指令と位相差指令とがそのまま適用される。さらに、これらの信号は所定のデューティー比Dで出力され、これは振幅指令に基づき決定される。具体的には、振幅指令が0から所定の最大値に変化する間に、デューティー比Dは0%から50%に変化し、D=τ/(1/f)により決定される。τは信号がゼロでない期間である。
モータドライバIC1401はバッファとして機能し、上述の4種類の信号を受け取り、同様の信号を出力する。このようなバッファが必要な理由は、超音波モータ30の駆動時は大きな電流が流れるが、一般に、ロジックIC1400は大きな電流を流すことはできないからであり、別途専用のICとしてモータドライバIC1401が設けられている。
モータドライバIC1401から出力されるA相信号とNA相信号の組み合わせの差動により、インダクタ1402aとトランス1403aとにより構成される回路を経由して、圧電素子32の電極32aと電極32cとの間に駆動信号が印可される。また、B相信号とNB相信号の組み合わせの差動により、インダクタ1402bとトランス1403bとにより構成される回路を経由して、圧電素子32の電極32bと電極32cとの間に駆動信号が印可される。
ここで、電極32cは基準電位(GND)に接続されているため、電位は一定(0)である。これに対して、電極32a、32bの各電位が周期的に正負反転しながら変化する。このような構成では、電極32aと電極32cとの間、及び、電極32bと電極32cとの間に印可される電圧は、それぞれ、電極32a、電極32bと等しい。そのため、以降はこれらの電圧を便宜上、A相電圧、B相電圧と記述する。また、これにより圧電素子32の分極領域32acおよび分極領域32bcに流れる電流を、それぞれ、A相電流およびB相電流と記述する。
A相電圧及びB相電圧はそれぞれ、インダクタ1402及びトランス1403のインダクタンス成分と、圧電素子32のキャパシタンス成分とにより、差動信号A-NA、B-NBから高周波成分が減衰された略正弦波状になる。これより、アクチュエータ駆動部17-2の構成においても、超音波モータ30には図7(a)で示したような二相交番電圧に近い駆動信号を印可することができるため、超音波モータ30を駆動することができる。
その際、A相電圧及びB相電圧の主成分の周波数及び位相差は、ロジックIC1400が出力するA相及びB相信号のものに相当し、すなわち、周波数指令及び位相差指令に相当する。また、A相電圧及びB相電圧の主成分の振幅は、モータドライバIC1401が出力するA相、B相信号の振幅(Hiレベル)から、トランス1403の効果や、いわゆるLC回路の電気共振により増幅される。この際、当該振幅は、A相、B相信号のデューティー比に応じて単調増加する。これより、当該振幅は、間接的に振幅指令にも応じて単調増加する。
本実施の形態によれば、交番電流の振幅に関する指令は、パルス交流のデューティー比Dによって制御される。従って、本実施の形態の構成においても、周波数指令、位相差指令、振幅指令により、超音波モータ30を駆動制御することができる。よって、アクチュエータ駆動部をより小型に構成することができるため、適用対象の範囲を広げることができる。なお、振幅指令に代えて、上述のデューティー比Dを直接指定するようにしてもよい。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態では、超音波モータを3つ有するステージ装置を説明する。超音波モータを3つ有するステージ装置として、カメラ本体10a側のブレ補正機構20を例にとる。
本発明の第3の実施の形態では、超音波モータを3つ有するステージ装置を説明する。超音波モータを3つ有するステージ装置として、カメラ本体10a側のブレ補正機構20を例にとる。
ブレ補正機構20においては、駆動する対象は撮像部としての撮像素子11である。ブレ補正機構20は、交換レンズ10b側のブレ補正機構40と比べて、X方向、Y方向のブレだけではなく、XY平面内における回転方向(以降、θ方向と呼ぶ)のブレも補正するために、θ方向も駆動制御する。このために、ブレ補正機構20は少なくとも3つの超音波モータを備える。
図16は、ブレ補正機構20の構成を示す模式図である。ブレ補正機構20は、可動部20a、固定部20bを含み、さらに、複数の摩擦駆動アクチュエータである超音波モータ30a、30b、30cを含む。可動部20aが被駆動体であり、固定部20bは、可動部20aを相対的に変位可能に支持する支持体である。図16に示す矢印は、各超音波モータによる駆動方向(伝達する駆動力の方向)を示している。他の部品については図示を省略している。
ブレ補正機構20において、超音波モータ30a、30bの組み合わせは、ブレ補正機構40の場合と同様に、互いに直交するX方向及びY方向に駆動力を伝達するように配置されている。これに加えて、第3の超音波モータ30cは、第2の超音波モータ30bから離れた位置で且つ、同じ方向(Y方向)に駆動力を伝達するように配置されている。さらに、ブレ補正機構40の場合と同様に、可動部20aと固定部20bの単一の組み合わせに対して複数の超音波モータ30a、30b、30cが接続されている。従って、薄型である一方、第1の実施の形態で説明したものと同様に、互いに及ぼす抵抗力による駆動特性の低下という問題を有する。
第2の超音波モータ30bと第3の超音波モータ30cとを逆相で駆動することで、可動部20aに回転モーメントを加えることができるため、θ方向に駆動することができる。また、これらを同相で駆動すれば、Y方向にも駆動することができる。
ブレ補正機構20における駆動制御は、ブレ補正機構40における駆動制御(図10)と基本的に同様であり、位置フィードバックを行う対象の位置信号がX、Yの2種類から、X、Y、θの3種類に増えたものに相当する。ただし、これに対応して、ブレ補正制御部15a中の出力変換器1001と、アクチュエータ制御器の構成が変わるため、これらについて説明する。
図17(a)、(b)はそれぞれ、ブレ補正制御部15aにおける出力変換器、アクチュエータ制御器を示すブロック図である。図17(b)では、代表として超音波モータ30aに対応するアクチュエータ制御器1702aを示している。出力変換器1701(図17(a))は、第1の実施の形態における出力変換器1001に相当する。アクチュエータ制御器1702aは評価器1703aを含む。超音波モータ30a、30b、30cにおけるアクチュエータ制御器1702aの構成は、含まれる評価器の構成以外は基本的に互いに同様である。図17(c)では、超音波モータ30b中の評価器1703bが示されている。超音波モータ30c中の評価器(図示せず)の構成は評価器1703bと同様である。
図17(a)に示すように、出力変換器1701において、入力されたX方向の制御量(X)は、そのまま第1の超音波モータ30aのAct.30a制御量とすることができる。この際、超音波モータ30aの出力方向に合わせた変換を行うために、構成に応じて、正又は負の方向単位ゲインが掛けられる。一方、入力されたY方向の制御量(Y)は、超音波モータ30b、30cに、符号が同じで大きさが等しい同相成分として割り振られる。この際、第1の超音波モータ30aと出力レベルを合わせるために、方向単位ゲインは半分の大きさとされる。さらに、入力されるθ方向の制御量(θ)は、超音波モータ30b、30cのどちらかに正、どちらかに負で大きさが互いに等しい逆相成分として割り振られる。
図17(b)に示すように、アクチュエータ制御器1702aにより各超音波モータの駆動指令は決定されるが、この際、アクチュエータ制御器1702aが参照する他の超音波モータの制御量は2つ存在する。例えば、一例として、超音波モータ30aを制御対象(ここでは自モータと呼ぶ)とし、超音波モータ30b、30cを他の超音波モータ(ここでは他モータと呼ぶ)として説明する。自モータのAct.30a駆動指令を決定する際、他モータのAct.30b、30c制御量も参照される。特に、図17(b)に示すように、自モータのAct.30a振幅指令は、自モータのAct.30a制御量だけでなく、他モータのAct.30b、30c制御量も加味して決定される。しかも、評価器1703aによりAct.30b、30c制御量に重み付けをして、Act.30a振幅指令の算出に反映される。図17(b)に示す例では、Act.30b、30c制御量の重み付けは0.5同士であり、均等の重み付けとなっている。
評価器1703aによる重み付けは、他モータに与える抵抗の大きさを勘案して予め決定されている。図17(b)に示すように、超音波モータ30a用のアクチュエータ制御器1702aにおける評価器1703aは、他の超音波モータ30b、30cの出力を同量ずつ参照して加算し、第2の制御量1704bとして出力する。これは、超音波モータ30aに対して超音波モータ30b、30cは共に駆動方向が略直交しているため、各々に与える抵抗の大きさが概ね等しいからである。
ところで、評価器1703aは、パラメータ変換器及び次元削減器となるように構成され、第2の制御量は1次元の情報として出力されることで、図11、図12で示したのと同様に振幅指令に関する処理を実現できる。ただし、これに限らず、振幅LUTを3次元以上のテーブルにより構成し、振幅LUTが評価器1703aを兼ねる処理を行うように構成してもよい。
一方、超音波モータ30bが自モータとなる場合は、超音波モータ30a、30cが他モータとなる。この場合、図17(c)に示すように、超音波モータ30b中の評価器1703bは、自モータのAct.30b振幅指令を、自モータのAct.30b制御量だけでなく、他モータのAct.30a、30c制御量も加味して決定する。図17(c)に示す例では、Act.30a、30c制御量の重み付けは0.8対0.2であり、Act.30c制御量よりもAct.30a制御量の重み付けが大きくなっている。これは、超音波モータ30bに対して、超音波モータ30cの駆動方向が略平行であるのに対し、超音波モータ30aの駆動方向が略直交するため、超音波モータ30cに与える抵抗よりも超音波モータ30aに与える抵抗の方が大きくなるからである。
本実施の形態によれば、自モータに対応する振幅指令を決定する際、2以上の他のモータのうち、自モータによる駆動により与える駆動抵抗が小さい方よりも与える駆動抵抗が大きい方に対応する第2の制御量の重み付けが大きく設定される。このように、各々が互いに及ぼす抵抗の影響度合いを勘案しながら振幅指令を算出することで、駆動方向の異なる3以上のアクチュエータを適切に制御することができる。
なお、本実施の形態において、仮に、自モータの駆動方向と他モータの駆動方向とが平行でも直交でもない場合は、次のように制御するとよい。自モータに対応する振幅指令を決定する際、2以上の他のモータのうち、駆動方向が自モータの駆動方向と平行に近い方に対応する第2の制御量よりも平行に近くない方に対応する第2の制御量の重み付けがより大きく設定される。
(第4の実施の形態)
第1~第3の実施の形態では、摩擦駆動アクチュエータとして共振型の超音波モータ30を例示したが、本発明の駆動制御は他の種類の摩擦駆動アクチュエータにも適用することができる。例えば、図18に示すような非共振型の超音波モータ1800に対しても、本発明の駆動制御を適用することができる。
第1~第3の実施の形態では、摩擦駆動アクチュエータとして共振型の超音波モータ30を例示したが、本発明の駆動制御は他の種類の摩擦駆動アクチュエータにも適用することができる。例えば、図18に示すような非共振型の超音波モータ1800に対しても、本発明の駆動制御を適用することができる。
図18において、超音波モータ1800は、主筐体1800a、1800b、摩擦子1801、圧電素子1802a、1802b、加圧部(圧縮バネ)1803を備える。可動部1810aが、固定部1810bに対し、相対的に移動する。図18では、圧電素子1802a、1802bの伸縮振動、及び、これによる摩擦子1801の先端の振動軌跡を矢印F1により示している。また、これにより伝達される駆動力を矢印F2で示している。
この超音波モータ1800において、摩擦子1801は、超音波モータ30aにおける振動子31の突起部の1つに相当する。2つの圧電素子1802a、1802bは、超音波モータ30aにおける圧電素子32の2つの分極領域32ac、32bcにそれぞれ相当する。超音波モータ30aと同様に、2つの圧電素子1802a、1802bに二相交流を流すように駆動信号を印可することで、摩擦子1801の先端が楕円軌跡で振動し、可動部1810aを摩擦するので、可動部1810aに駆動力を伝達することができる。この超音波モータ1800では、主筐体1800aと摩擦子1801とが別体であり、主筐体1800aは剛体である。そのため、摩擦子1801は共振しないが、駆動力伝達の原理は超音波モータ30aと同様であるため、本発明を適用することができる。
(第5の実施の形態)
上記各実施の形態では、XY方向の平面ステージに相当するブレ補正機構20、40を例示した。しかし、本発明は他の形式のステージ装置にも適用することができる。
上記各実施の形態では、XY方向の平面ステージに相当するブレ補正機構20、40を例示した。しかし、本発明は他の形式のステージ装置にも適用することができる。
図19(a)、(b)は、球面ステージ装置の平面図、正面図である。この球面ステージ装置1920は、例えば、ネットワークカメラ等に用いられる。球面ステージ装置1920の可動部1920aにカメラ部1901が備えられる。いわゆる北半球側(下半分)の広範囲を選択的に撮影可能にするために、球面ステージ装置1920の南半球(上半分)の部分に複数の超音波モータ1930a、1930b、1930cが接続されている。これらの連携制御により、固定部1920bに対して可動部1920aが相対的に移動し、カメラ部1901が北半球側の任意の方向に向くように駆動制御される。
カメラ部1901を北半球の任意の方向に向くようにするために、可動部1920aに複数の超音波モータ1930a~1930cが接続されている。超音波モータ1930a~1930cは、矢印1950aで示す回転方向、及び、矢印1950b、1950cの並進方向で示される球面座標系において、互いに平行でない関係にあるように配置される。
よって、上記各実施の形態で説明した抵抗による課題が発生する。すなわち、各々の超音波モータ1930a~1930cに対して単純な省電力駆動制御を行うと、他の超音波モータに対する抵抗が増大して、駆動特性が低下する。このような球面ステージ装置1920に対しても、本発明の駆動制御を適用することで、省電力と駆動特性のバランスのよい駆動制御を行うことができる。
なお、各実施の形態において、「略」を付したものは完全を除外する趣旨ではない。例えば、「略直交」、「略平行」、「略比例」、「略平面状」、「略平板形状」、「略中心線上」は、それぞれ完全な「直交」、「平行」、「比例」、「平面状」、「平板形状」、「中心線上」を含む趣旨である。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
15a、15b ブレ補正制御部
17a、17b アクチュエータ駆動部
30a、30b、30c 超音波モータ
31a、31b 突起部
40b、20b 固定部
40a、20a 可動部
17a、17b アクチュエータ駆動部
30a、30b、30c 超音波モータ
31a、31b 突起部
40b、20b 固定部
40a、20a 可動部
Claims (11)
- 被駆動体と、
前記被駆動体を相対的に変位可能に支持する支持体と、
摩擦子を有し、前記被駆動体および前記支持体のいずれか一方に固定されると共に、前記被駆動体および前記支持体のいずれか他方に対して前記摩擦子が加圧接触し、振動を用いて互いに平行でない方向の駆動力を前記被駆動体に与える複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータの各々に対応する制御量に基づいて、前記アクチュエータの各々に対応する駆動指令を生成する制御手段と、
前記制御手段により生成された駆動指令に応じた駆動信号を出力することで前記アクチュエータの各々を駆動する駆動手段と、を有し、
前記制御手段は、前記複数のアクチュエータのうち、あるアクチュエータに対応する第1の制御量と、前記複数のアクチュエータのうち前記あるアクチュエータではない他のアクチュエータに対応する第2の制御量とに基づいて、前記あるアクチュエータに対応する前記駆動指令を生成することを特徴とするステージ装置。 - 前記駆動信号は、前記アクチュエータの各々が有する圧電素子に二相の交番電流を流すための信号であり、
前記制御量は、前記アクチュエータごとに、駆動力を示す駆動力制御量と前記被駆動体を変位させる量を示す変位量制御量とを含み、
前記制御手段は、前記あるアクチュエータに対応する駆動指令のうち前記交番電流の位相差に関する指令を、前記第1の制御量における前記駆動力制御量に基づき決定すると共に、前記あるアクチュエータに対応する駆動指令のうち前記交番電流の振幅に関する指令を、前記第1の制御量における前記駆動力制御量と前記第2の制御量における前記駆動力制御量または前記変位量制御量とに基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載のステージ装置。 - 前記制御手段は、前記あるアクチュエータに対応する駆動指令のうち前記交番電流の振幅に関する指令を決定する際、前記第1の制御量における前記駆動力制御量が、第1の量である場合よりも、前記第1の量より小さい第2の量である場合の方が、前記振幅を小さくすることを特徴とする請求項2に記載のステージ装置。
- 前記制御手段は、前記あるアクチュエータに対応する駆動指令のうち前記交番電流の振幅に関する指令を決定する際、前記第1の制御量における前記駆動力制御量が前記第2の量であって前記振幅を小さくする場合において、前記第2の制御量における前記駆動力制御量が、第3の量である場合よりも、前記第3の量より大きい第4の量である場合の方が、前記振幅を小さくする度合いを低くすることを特徴とする請求項3に記載のステージ装置。
- 前記制御手段は、前記あるアクチュエータに対応する駆動指令のうち前記交番電流の振幅に関する指令を決定する際、前記第1の制御量における前記駆動力制御量が前記第2の量であって前記振幅を小さくする場合において、前記第2の制御量における前記変位量制御量が第5の量である場合よりも、前記第5の量より小さい第6の量である場合の方が、前記振幅を小さくする度合いを低くすることを特徴とする請求項3に記載のステージ装置。
- 前記駆動信号は、前記アクチュエータの各々が有する圧電素子に二相の交番電流を流すための信号であり、
前記他のアクチュエータは2以上の他のアクチュエータを含み、
前記制御手段は、前記あるアクチュエータに対応する駆動指令のうち前記交番電流の振幅に関する指令を決定する際、前記2以上の他のアクチュエータのうち、前記あるアクチュエータの駆動により与える駆動抵抗が小さい方に対応する前記第2の制御量よりも前記あるアクチュエータの駆動により与える駆動抵抗が大きい方に対応する前記第2の制御量の重み付けを大きくすることを特徴とする請求項1に記載のステージ装置。 - 前記駆動信号は、前記アクチュエータの各々が有する圧電素子に二相の交番電流を流すための信号であり、
前記他のアクチュエータは2以上の他のアクチュエータを含み、
前記制御手段は、前記あるアクチュエータに対応する駆動指令のうち前記交番電流の振幅に関する指令を決定する際、前記2以上の他のアクチュエータのうち、駆動方向が前記あるアクチュエータの駆動方向と平行に近い方に対応する前記第2の制御量よりも平行に近くない方に対応する前記第2の制御量の重み付けを大きくすることを特徴とする請求項1に記載のステージ装置。 - 前記アクチュエータの各々が有する圧電素子には、3つの電極により2つの分極領域が形成され、
前記駆動信号は、前記2つの分極領域に二相の交番電流を流すための信号であることを特徴とする請求項1に記載のステージ装置。 - 前記駆動信号は、前記アクチュエータの各々が有する圧電素子に二相の交番電流を流すための信号であり、
前記駆動手段は、モータドライバICと、インダクタンス成分及びトランス成分を含む駆動回路と、を有し、
前記駆動手段は、前記駆動信号としてパルス交流を生成して前記圧電素子に印可し、
前記駆動指令のうち前記交番電流の振幅に関する指令は、前記パルス交流のデューティー比によって制御されることを特徴とする請求項1に記載のステージ装置。 - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のステージ装置と、
前記ステージ装置によって駆動される撮像部と、を有することを特徴とする撮像装置。 - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のステージ装置と、
前記ステージ装置によって駆動されるレンズと、を有することを特徴とするレンズ鏡筒。
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