JP2022091129A - 組成物ならびにその製造方法および用途 - Google Patents

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雄洋 堤
Takahiro Tsutsumi
幸二 北田
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Abstract

【課題】不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類を有効成分とする固形製剤における前記有効成分の安定性を向上できる組成物を提供する。【解決手段】不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類を有効成分とし、崩壊剤、賦形剤および結合剤をさらに含む組成物において、前記有効成分の割合を前記組成物中40質量%以上に調整する。前記賦形剤の割合は、前記組成物中40質量%以下であってもよい。前記組成物は、顆粒を含み、この顆粒が前記有効成分、前記賦形剤および前記結合剤を含んでいてもよい。前記組成物は、鉱物系滑沢剤をさらに含んでいてもよい。少なくとも一部の領域が樹脂シートで形成された包装体の収容部に、前記組成物で形成された錠剤を収容し、前記樹脂シートの透湿度を1.5g/m2/24hr以上に調整してもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、医薬固形製剤を製造するための組成物ならびにその製造方法および用途に関する。
男性ホルモンであるアンドロゲンの生合成に必要な酵素(CYP17)の阻害剤として作用するアビラテロン酢酸エステル(酢酸アビラテロン)は、前立腺癌の治療薬として利用されている。アビラテロン酢酸エステルを含む製剤は、乳糖水和物および結晶セルロースからなる賦形剤、崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、結合剤としてのポビドン、界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウムなどを含む錠剤として市販されている。アビラテロン酢酸エステルを含む製剤において、製剤の安定性および保存寿命を向上させる試みも提案されている。
特表2019-517497号公報(特許文献1)には、薬学的に許容される担体、アビラテロン酢酸エステルおよび固体分散体を含む医薬製剤であって、前記固体分散体が、アパルタミド(ARN-509)と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ポリ(メタ)アクリレート共重合体およびその混合物から選択されるポリマーとを含む医薬製剤が開示されている。実施例では、ARN-509およびHPMCASからなる粉末と、アビラテロン酢酸エステルおよび賦形剤を含む顆粒と、コロイド状シリカ、クロスカルメロースナトリウム、界面活性剤などとを混合して調製された錠剤などが記載されている。
特表2019-517497号公報
しかし、特許文献1の医薬製剤でも安定性は十分ではなかった。出願人がアビラテロン酢酸エステルを含む錠剤の安定性の低下原因について検討したところ、アビラテロン酢酸エステルは、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類であるため、保存中に、酸化したり、加水分解したりすることにより、薬理作用が低下することが判明した。
従って、本発明の目的は、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類を有効成分とする固形製剤における前記有効成分の安定性を向上できる組成物ならびにその製造方法および用途を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類を有効成分とし、崩壊剤、賦形剤および結合剤をさらに含む組成物において、前記有効成分の割合を前記組成物中40質量%以上に調整することにより、前記ステロイド類を有効成分とする固形製剤における前記有効成分の安定性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の組成物は、有効成分、崩壊剤、賦形剤および結合剤を含む組成物であって、前記有効成分が、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類であり、かつ前記有効成分の割合が、前記組成物中40質量%以上である。前記賦形剤の割合は、前記組成物中40質量%以下であってもよい。前記組成物は、顆粒を含み、この顆粒が前記有効成分、前記賦形剤および前記結合剤を含んでいてもよい。
前記顆粒は前記崩壊剤をさらに含んでいてもよい。一方、前記顆粒は前記崩壊剤を含まない顆粒であってもよい。
前記有効成分は、アビラテロン酢酸エステルであってもよい。前記組成物は打錠用組成物であってもよい。前記組成物は鉱物系滑沢剤をさらに含んでいてもよい。
本発明には、有効成分、賦形剤および結合剤を含む顆粒用組成物を造粒して顆粒を得る造粒工程を含む前記組成物の製造方法も含まれる。前記造粒工程において、前記顆粒用組成物は崩壊剤をさらに含んでいてもよい。前記製造方法は、前記造粒工程で得られた顆粒と、崩壊剤とを混合する混合工程をさらに含んでいてもよい。
本発明には、前記組成物で形成された錠剤も含まれる。前記錠剤は、フィルムコーティング錠であってもよい。
本発明には、前記組成物を打錠して錠剤を得る前記錠剤の製造方法も含まれる。
本発明には、前記組成物を打錠して素錠を得る打錠工程と、前記素錠をフィルムコーティング剤でコーティングしてフィルムコーティング錠を得るフィルムコーティング工程とを含む前記フィルムコーティング錠の製造方法も含まれる。
本発明には、少なくとも一部の領域が樹脂シートで形成された収容部に前記錠剤が収容された包装体であって、前記樹脂シートの透湿度が1.5g/m/24hr以上である包装体も含まれる。前記錠剤はPTP包装されていてもよい。前記包装体において、PTP包装された錠剤が、さらにアルミピロー包装されており、前記アルミピロー包装の内部に乾燥剤および/または脱酸素剤を含んでいてもよい。
本発明には、少なくとも一部の領域が樹脂シートで形成された収容部に、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分を含む固形製剤が収容された包装体であって、前記樹脂シートの透湿度が1.5g/m/24hr以上である包装体も含まれる。
本発明には、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分、崩壊剤、賦形剤および結合剤を含む組成物において、前記有効成分の割合を前記組成物中40質量%以上に調整することにより、前記有効成分の安定性を向上させる方法も含まれる。
本発明には、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分、崩壊剤、賦形剤および結合剤を含む組成物において、前記有効成分、前記賦形剤および前記結合剤を含む顆粒と、崩壊剤とを組み合わせることにより、固形製剤(特に、錠剤)における有効成分の溶出性を向上させる方法も含まれる。
本発明には、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分および滑沢剤を含む組成物において、前記滑沢剤に鉱物系滑沢剤を含有させることにより、前記組成物の崩壊性を向上させる方法も含まれる。この方法では、前記有効成分がアビラテロン酢酸エステルであり、前記鉱物系滑沢剤がタルクであり、かつ前記有効成分を含む顆粒と前記タルクとを組み合わせることにより、錠剤における前記組成物の崩壊性を向上させてもよい。
本発明には、少なくとも一部の領域が樹脂シートで形成された収容部に、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分を含む固形製剤が収容された包装体において、前記樹脂シートの透湿度を1.5g/m/24hr以上に調整することにより、前記有効成分の安定性を向上させる方法も含まれる。
本発明では、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類を有効成分とし、崩壊剤、賦形剤および結合剤をさらに含む組成物において、前記有効成分の割合が前記組成物中40質量%以上に調整されているため、前記ステロイド類を有効成分とする固形製剤における前記有効成分の安定性(特に、錠剤の安定性)を向上できる。また、有効成分の割合が大きいため、固形製剤(特に、錠剤)の安定性を向上できるとともに、固形製剤(特に、錠剤)を小型化できる。さらに、本発明では、組成物を、有効成分、賦形剤および結合剤を含む顆粒と崩壊剤とを含む形態とすることにより、固形製剤(特に、錠剤)の安定性および有効成分の溶出率を向上できる。また、有効成分および滑沢剤を含む組成物において、前記滑沢剤に鉱物系滑沢剤を含有させることにより、固形製剤(特に、錠剤)の崩壊性(または水中での分散性)を向上できる。特に、少なくとも一部の領域が樹脂シートで形成された収容部に、固形製剤(特に、錠剤)が収容された包装体において、前記樹脂シートの透湿度1.5g/m/24hr以上に調整することにより、固形製剤(特に、錠剤)の安定性をより向上できる。
[組成物]
本発明の組成物は、錠剤などの固形製剤の安定性を向上できるため、打錠用組成物であってもよい。前記組成物(例えば、打錠用組成物)の形態は、有効成分、崩壊剤、賦形剤および結合剤を含み、特に限定されない。好ましい形態としては、取り扱い性などの点から、顆粒の形態が好ましく、前記成分のうち、有効成分、賦形剤および結合剤を含む顆粒を含む形態が特に好ましい。
顆粒の形状としては、例えば、球状、楕円体状、多面体状、板状、繊維状、不定形などが挙げられる。
顆粒の中心粒径(D50)は、例えば30~500μm、好ましくは50~400μm、さらに好ましくは70~300μm、最も好ましくは100~250μmである。顆粒の中心粒径が小さすぎると、取り扱い性が低下する虞があり、大きすぎると、均一な固形製剤(特に、錠剤)を製造するのが困難となる虞がある。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、中心粒径(D50)などの粒子径は、連続全自動音波振動式ふるい分け測定器を用いて体積基準で測定できる。D50は、粒子径分布の小粒子側から累積50体積%となる粒子の粒径を意味する。
本発明の組成物が、有効成分、賦形剤および結合剤を含む顆粒を含む場合、前記組成物は、前記顆粒のみで構成されていてもよく、前記顆粒と、前記顆粒以外の成分(後末成分)との組み合わせ(顆粒と後末成分との組み合わせ)で構成されていてもよい。これらのうち、取り扱い性などの点から、顆粒と後末成分との組み合わせ(打錠用混合末)が好ましい。
本発明の組成物が顆粒と後末成分との組み合わせである場合、前記後末成分は、固形製剤(特に、錠剤)の生産性を向上できる点から、滑沢剤を含むのが好ましく、有効成分の溶出性および固形製剤(特に、錠剤)の安定性を向上できる点から、崩壊剤を含むのが好ましく、固形製剤(特に、錠剤)の生産性、有効成分の溶出性および固形製剤(特に、錠剤)の安定性を向上できる点から、滑沢剤および崩壊剤を含むのが特に好ましい。
(有効成分)
前記有効成分(薬理または生理活性成分)は、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である。本発明では、有効成分が不飽和結合およびエステル結合を有するため、保存中に酸化したり、分解することにより、有効成分が劣化し易い。本発明者らは、このようなステロイド類の保存中の劣化について検討したところ、酸化によりエポキシ体やケトン体が生成したり、エステル結合が加水分解することが判明した。本発明では、このようなステロイド類の安定化に効果があり、特に、エポキシ体の生成を抑制するのに効果的である。
前記ステロイド類が有する不飽和結合は、ステロイド骨格の側鎖が不飽和結合を有していてもよいが、ステロイド骨格自身が不飽和脂肪族環を有するのが好ましい。
前記ステロイド類が有するエステル結合は、ステロイド骨格の側鎖としてエステル結合を有していればよいが、ステロイド骨格が有するヒドロキシル基にカルボン酸が結合(縮合)したエステル結合が好ましい。カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸などのC2-10アルカンカルボン酸などが挙げられる。これらのカルボン酸は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、酢酸、プロピオン酸、吉草酸などのC2-5アルカンカルボン酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
前記有効成分としては、例えば、アビラテロン酢酸エステル、コルチゾン酢酸エステル、フルドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸プロピオン酸エステル、プレドニゾロン酢酸エステル、プレドニゾロン吉草酸酢酸エステル、クロベタゾールプロピオン酸エステル、クロベタゾン酪酸エステル、ジフロラゾン酢酸エステル、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステル、ベタメタゾン吉草酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル、フルオシノニド、デキサメタゾン酢酸エステル、デキサメタゾンプロピオン酸エステル、デキサメタゾン吉草酸エステル、ジフルプレドナート、ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、ジフルコルトロン吉草酸エステル、デプロドンプロピオン酸エステル、アルクロメタゾンプロピオン酸エステルなどが挙げられる。これらのうち、錠剤などの固形製剤として汎用されている点から、アビラテロン酢酸エステル、コルチゾン酢酸エステル、フルドロコルチゾン酢酸エステルが好ましく、アビラテロン酢酸エステルが特に好ましい。アビラテロン酢酸エステルは、薬学的に許容される酸との塩の形態であってもよい。
有効成分の中心粒径(D50)は、例えば0.5~30μm、好ましくは1~20μm、さらに好ましくは2~10μm、最も好ましくは3~7μmである。有効成分の中心粒径が小さすぎると、取り扱い性が低下する虞があり、大きすぎると、均一な固形製剤(特に、錠剤)を製造するのが困難となる虞がある。
本発明では、組成物中の有効成分の割合を40質量%以上に調整することにより、有効成分の安定性を向上できる。有効成分の割合を調整することにより安定性を向上できるメカニズムは正確には不明であるが、本発明者等の検討の結果、以下のように推定できる。すなわち、有効成分の割合を大きくすることにより、崩壊剤、賦形剤および結合剤などの他の成分の割合を小さくできるため、他の成分による有効成分の劣化を抑制できると推定できる。
有効成分の割合は、組成物中40質量%以上であればよいが、好ましくは40~90質量%、さらに好ましくは45~80質量%、より好ましくは50~70質量%、最も好ましくは60~65質量%である。有効成分の割合が小さすぎると、固形製剤(特に、錠剤)における有効成分の安定性が低下する虞がある。なお、本発明では、有効成分の割合を40質量%以上に調整することにより、有効成分の安定性を向上でき、かつ固形製剤(特に、錠剤)も小型化できる。
(崩壊剤)
崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、クロスポビドンコポリマーなどの架橋ポリビニルピロリドン類;カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)などのセルロースエーテル類;デンプングリコール酸ナトリウム、部分アルファー化デンプンなどのデンプン類;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、グアーガムなどの多糖類;ゼラチンなどのタンパク質類などが挙げられる。これらの崩壊剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらの崩壊剤のうち、セルロースエーテル類が好ましく、クロスカルメロース塩がさらに好ましく、クロスカルメロースナトリウムが最も好ましい。
本発明では、前述のように、有効成分に対する崩壊剤の割合を小さくすることにより、固形製剤(特に、錠剤)の保存中における有効成分の劣化を抑制できる。
崩壊剤の割合は、固形製剤(特に、錠剤)の安定性を向上できる点から、組成物中30質量%以下程度であってもよく、例えば0.5~15質量%、好ましくは1~12質量%、さらに好ましくは1.5~9質量%、より好ましくは2~8質量%、最も好ましくは2.5~7質量%である。また、崩壊剤の割合は、有効成分100質量部に対して、例えば1~40質量部、好ましくは2~20質量部、さらに好ましくは3~15質量部、より好ましくは4~13質量部、最も好ましくは4.5~12質量部である。崩壊剤の割合が少なすぎると、有効成分の溶出性が低下する虞があり、多すぎると、固形製剤(特に、錠剤)の安定性が低下する虞がある。
本発明の組成物が顆粒と後末成分との組み合わせである場合、崩壊剤は、顆粒および後末成分の少なくとも一方に含まれていればよく、顆粒および後末成分の双方に含まれていてもよいが、顆粒および後末成分の一方に含まれるのが好ましく、有効成分の溶出性の点から、後末成分のみに含まれるのが特に好ましい。本発明では、後末成分が崩壊剤を含むことにより、固形製剤(特に、錠剤)における有効成分の溶出性を向上できる。
特に、本発明の組成物が顆粒と後末成分との組み合わせである場合、崩壊剤の割合は、顆粒が崩壊剤を含む場合と、含まない場合とに応じて、適宜選択できる。
すなわち、顆粒が崩壊剤を含み、かつ後末成分が崩壊剤を含まない場合、崩壊剤の割合は、組成物中10質量%以下程度であってもよく、例えば0.5~10質量%、好ましくは1~5質量%、さらに好ましくは2~4質量%である。また、崩壊剤の割合は、有効成分100質量部に対して、例えば1~8質量部、好ましくは3~7質量部、さらに好ましくは4~6質量部である。
一方、顆粒が崩壊剤を含まず、かつ後末成分が崩壊剤を含む場合、崩壊剤の割合は、組成物中30質量%以下程度であってもよく、例えば3~25質量%、好ましくは5~20質量%、さらに好ましくは8~15質量%である。また、崩壊剤の割合は、有効成分100質量部に対して、例えば3~40質量部、好ましくは10~30質量部、さらに好ましくは15~25質量部である。
さらに、顆粒および後末成分がいずれも崩壊剤を含む場合、崩壊剤の割合は、組成物中20質量%以下程度であってもよく、例えば2~15質量%、好ましくは3~10質量%、さらに好ましくは5~7質量%である。また、崩壊剤の割合は、有効成分100質量部に対して、例えば1~30質量部、好ましくは3~20質量部、さらに好ましくは5~15質量部である。
(賦形剤)
賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、ショ糖、白糖などの糖類;ソルビトール、マンニトール、還元麦芽糖水飴(マルチトール)、キシリトール、還元パラチノース、ブドウ糖を醗酵させた4炭糖(例えば、エリスリトールなど)などの糖アルコール;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルファ化デンプン、部分アルファ化デンプン、酸化デンプン、デキストリン、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウムなどのデンプン類;微結晶セルロース、結晶セルロース、粉末セルロースなどのセルロース類;メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)などのアルキルセルロースなどが挙げられる。これらの賦形剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらの賦形剤のうち、乳糖、白糖などの糖類、マンニトールなどの糖アルコール、デンプンなどのデンプン類、結晶セルロースなどのセルロース類が好ましく、結晶セルロースなどのセルロース類を含むのがさらに好ましく、結晶セルロースなどのセルロース類と乳糖などの糖類との組み合わせが特に好ましい。
セルロース類と糖類とを組み合わせる場合、糖類の割合は、セルロース類100質量部に対して、例えば1~200質量部、好ましくは5~180質量部、さらに好ましくは20~150質量部である。特に、本発明の組成物が顆粒と後末成分との組み合わせである場合、セルロース類と糖類との比率は、顆粒が崩壊剤を含む場合と、含まない場合とに応じて、適宜選択できる。すなわち、顆粒が崩壊剤を含み、かつ後末成分が崩壊剤を含まない場合、糖類の割合は、セルロース類100質量部に対して、例えば10~200質量部、好ましくは50~150質量部、さらに好ましくは80~120質量部である。一方、顆粒が崩壊剤を含まず、かつ後末成分が崩壊剤を含む場合、糖類の割合は、セルロース類100質量部に対して、例えば1~100質量部、好ましくは5~50質量部、さらに好ましくは20~30質量部である。さらに、顆粒および後末成分がいずれも崩壊剤を含む場合、糖類の割合は、セルロース類100質量部に対して、例えば10~200質量部、好ましくは50~180質量部、さらに好ましくは100~150質量部である。
本発明の組成物が顆粒と後末成分との組み合わせである場合、賦形剤は、顆粒に含まれていればよく、さらに後末成分に含まれていてもよいが、顆粒のみが賦形剤を含むのが好ましい。
本発明では、組成物中の賦形剤の割合を小さくすることにより、固形製剤(特に、錠剤)の保存中における有効成分の劣化を抑制できる。
賦形剤の割合は、固形製剤(特に、錠剤)の安定性を向上できる点から、組成物中40質量%以下程度であってもよく、例えば5~40質量%、好ましくは10~35質量%、さらに好ましくは15~30質量%、より好ましくは20~30質量%である。特に、本発明の組成物が顆粒と後末成分との組み合わせである場合、賦形剤の割合は、顆粒が崩壊剤を含む場合と、含まない場合とに応じて、適宜選択できる。すなわち、顆粒が崩壊剤を含み、かつ後末成分が崩壊剤を含まない場合、賦形剤の割合は、組成物中10~40質量%、好ましくは15~35質量%、さらに好ましくは20~30質量%である。一方、顆粒が崩壊剤を含まず、かつ後末成分が崩壊剤を含む場合、賦形剤の割合は、組成物中5~30質量%、好ましくは8~25質量%、さらに好ましくは10~20質量%である。さらに、顆粒および後末成分がいずれも崩壊剤を含む場合、賦形剤の割合は、組成物中8~35質量%、好ましくは10~30質量%、さらに好ましくは15~25質量%である。
また、賦形剤は、固形製剤(特に、錠剤)の安定性を向上できる点から、有効成分100質量部に対して80質量部以下程度であってもよく、例えば5~80質量部、好ましくは10~50質量部、さらに好ましくは20~45質量部である。顆粒が崩壊剤を含み、かつ後末成分が崩壊剤を含まない場合、賦形剤の割合は、有効成分100質量部に対して、例えば10~80質量部、好ましくは20~50質量部、さらに好ましくは30~45質量部である。一方、顆粒が崩壊剤を含まず、かつ後末成分が崩壊剤を含む場合、賦形剤の割合は、有効成分100質量部に対して、例えば5~50質量部、好ましくは10~40質量部、さらに好ましくは20~30質量部である。さらに、顆粒および後末成分がいずれも崩壊剤を含む場合、賦形剤の割合は、有効成分100質量部に対して、例えば10~50質量部、好ましくは20~45質量部、さらに好ましくは30~40質量部である。
(結合剤)
結合剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン類(ポビドン、酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体など)、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸系ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸共重合体など)、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニルなどの合成高分子;カルボキシメチルセルロース(カルメロースまたはCMC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)などのカルボキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロースまたはHPMC)などのヒドロキシアルキルセルロースエーテル;酢酸セルロースなどのセルロースエステル類などが挙げられる。これらの結合剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらの結合剤のうち、ポビドンなどのポリビニルピロリドン類が好ましい。
結合剤(特に、ポリビニルピロリドン類)の形態は、特に限定されず、液状であってもよく、固体状(粒状)であってもよい。これらのうち、固形製剤(特に、錠剤)の安定性を向上できる点から、液状が好ましい。
本発明の組成物が顆粒と後末成分との組み合わせである場合、結合剤は、顆粒に含まれていればよく、さらに後末成分に含まれていてもよいが、顆粒のみが結合剤を含むのが好ましい。
結合剤の割合は、固形製剤(特に、錠剤)の機械的特性などの点から、組成物中30質量%以下程度であってもよく、例えば1~30質量%、好ましくは1.5~20質量%、さらに好ましくは2~10質量%、より好ましくは3~8質量%である。また、結合剤の割合は、固形製剤(特に、錠剤)の安定性を向上できる点から、有効成分100質量部に対して14質量部以下であってもよく、好ましくは1~14質量部、さらに好ましくは3~13質量部、より好ましくは5~12質量部である。
(界面活性剤)
本発明の組成物は、固形製剤(特に、錠剤)の均質性を向上できる点から、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。界面活性剤としては、例えば、プルロニック(登録商標)、ポロクサマーなどのポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ポリソルベート80などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート類);ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン硬化油;モノステアリン酸グリセリンなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖ラウリン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル;ラウリル硫酸ナトリウムなどの脂肪酸金属塩などが挙げられる。これらの界面活性剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらの界面活性剤のうち、ラウリル硫酸ナトリウムなどの脂肪酸金属塩が好ましい。
本発明の組成物が顆粒と後末成分との組み合わせである場合、界面活性剤は、顆粒に含まれていればよく、さらに後末成分に含まれていてもよいが、顆粒のみが界面活性剤を含むのが好ましい。
界面活性剤の割合は、組成物中0.1~10質量%程度の範囲から選択でき、例えば1~8質量%であってもよいが、固形製剤(特に、錠剤)の安定性を向上できる点から、3質量%以上が好ましく、さらに好ましくは3~8質量%、より好ましくは3.5~7質量%、最も好ましくは4~6質量%である。
(滑沢剤)
本発明の組成物は、取り扱い性などの点から、滑沢剤をさらに含んでいてもよい。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウムなどの高級脂肪酸またはその金属塩;タルク、ベントナイト、合成ヒドロタルサイト、カオリンなどの鉱物類;軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素などのケイ酸類;ジメチルポリシロキサンなどのポリオルガノシロキサン;硬化油、カカオ脂などの油脂類;ミツロウ、サラシミツロウ、カルナウバロウ、ラノリン、パラフィン、ワセリンなどのワックス類などが挙げられる。これらの滑沢剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらの滑沢剤のうち、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、タルクなどの鉱物類、軽質無水ケイ酸などのケイ酸類が好ましく、脂肪酸金属塩とケイ酸類との組み合わせ、鉱物類とケイ酸類との組み合わせが特に好ましい。
脂肪酸金属塩とケイ酸類との質量比は、前者/後者=90/10~1/99、好ましくは70/30~3/97、さらに好ましくは60/40~5/95である。
さらに、本発明では、滑沢剤が鉱物類(特に、タルク)を含むことにより、前記有効成分(特に、水に対して難溶であるアビラテロン酢酸エステル)の崩壊性(特に、水中での分散性)を向上できる。すなわち、前記滑沢剤は、取り扱い性(固形製剤の生産性)に加えて、崩壊性を向上できる点から、タルクなどの鉱物類(鉱物系滑沢剤)を含むのが好ましく、鉱物類とケイ酸類との組み合わせが特に好ましい。滑沢剤が鉱物系滑沢剤を含むと、固形製剤の崩壊性が向上するメカニズムは厳密には不明であるが、次のように推定できる。すなわち、鉱物系滑沢剤は、脂肪酸金属塩と比べ固形製剤表面の濡れ性を向上させ、固形製剤中への水の浸入を促進する作用を有すると推定できる。特に、水に対して難溶である有効成分の含有量が高くなると、より固形製剤の濡れ性が低下するが、水中での分散性が低い固形製剤であっても、鉱物系滑沢剤を用いることにより、水中での分散性を向上できる。そのため、鉱物系滑沢剤を含む固形製剤は、水とともに服用された場合など、胃内で速やかに崩壊または分散することにより、有効成分の溶出性を向上できる。滑沢剤が鉱物類とケイ酸類との組み合わせである場合、組成物中における鉱物類(特に、タルク)とケイ酸類との質量比は、前者/後者=99.5/0.5~10/90、好ましくは99/1~50/50、さらに好ましくは98/2~80/20、より好ましくは97/3~90/10、最も好ましくは97/3~95/5である。
鉱物類(特に、タルク)の平均粒径は、例えば1~40μm、好ましくは1.5~30μm、さらに好ましくは2~10μm、より好ましくは3~8μmである。
本発明の組成物が顆粒と後末成分との組み合わせである場合、滑沢剤は、後末成分に含まれていればよく、さらに顆粒に含まれていてもよいが、後末成分のみが滑沢剤を含むのが好ましい。
滑沢剤の割合は、取り扱い性などの点から、組成物中0.01~5質量%、好ましくは0.05~3質量%、さらに好ましくは0.1~2質量%である。滑沢剤が鉱物類(特に、タルク)を含む場合、鉱物類の割合は、組成物中0.5~5質量%、好ましくは1~4.5質量%、さらに好ましくは2~4質量%、より好ましくは2.5~3.5質量%である。
前記組成物において、滑沢剤の割合は、有効成分100質量部に対して20質量部以下程度の範囲から選択できる。また、滑沢剤が脂肪酸金属塩とケイ酸類との組み合わせである場合、滑沢剤の割合は、固形製剤(特に、錠剤)の安定性を向上できる点から、有効成分100質量部に対して5.5質量部以下であってもよく、好ましくは0.05~5質量部、さらに好ましくは0.1~4.5質量部、より好ましくは0.15~4質量部である。滑沢剤が鉱物類(特に、タルク)を含む場合、鉱物類(鉱物系滑沢剤)の割合は、有効成分100質量部に対して、例えば1~20質量部、好ましくは3~15質量部、さらに好ましくは5~10質量部である。
(他の成分)
本発明の組成物は、固形製剤に慣用的に配合される他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分としては、可塑剤、pH調整剤、着色剤、甘味剤または矯味剤、着香剤または清涼化剤、抗酸化剤、防腐剤または保存剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊補助剤などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの親水性可塑剤;トリアセチン、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、ラウリル酸、ステアリルアルコール、セタノールなどの脂溶性可塑剤などが挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸;酢酸、クエン酸などの有機酸;水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基;アミン類などの有機塩基などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用レーキ色素、ベンガラ、ウコン抽出液、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、カロチン液、タール色素、カラメルなどが挙げられる。
甘味剤または矯味剤としては、例えば、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスコルビン酸、ステビア、カンゾウ粗エキス、単シロップなどが挙げられる。
着香剤または清涼化剤としては、例えば、ヨーグルトミクロン、ペパーミントミクロン、メントール、ジンジャーオイルなどが挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、クエン酸などが挙げられる。
防腐剤または保存剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル類などが挙げられる。
これら他の成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
他の成分の合計割合は、組成物中0.01~5質量%、好ましくは0.05~3質量%、さらに好ましくは0.1~2質量%である。
[組成物の製造方法]
本発明の組成物(例えば、打錠用組成物)の製造方法は、特に限定されず、例えば、慣用の方法によって各成分を混合する方法であってもよい。本発明の組成物が顆粒を含む場合、組成物の製造方法は、有効成分、賦形剤および結合剤を含む顆粒用組成物を造粒して顆粒を得る造粒工程を含む製造方法であってもよい。
特に、本発明の組成物が顆粒と後末成分との組み合わせ(打錠用混合末)である場合、打錠用混合末の製造方法は、有効成分、賦形剤および結合剤を含む顆粒用組成物を造粒して顆粒(造粒末)を得る造粒工程と、前記造粒工程で得られた顆粒と後末成分とを混合する混合工程とを含む製造方法であってもよい。
造粒工程において、有効成分、賦形剤および結合剤を含む組成物(顆粒用組成物)を造粒する方法としては、特に限定されず、慣用の造粒方法を利用できる。慣用の造粒方法は、乾式造粒法であってもよいが、湿式造粒法が好ましい。湿式造粒法では、溶媒を用いて顆粒用組成物を造粒する方法であればよく、例えば、押出造粒法、転動造粒法、流動層造粒法、混合・攪拌造粒法、噴霧乾燥造粒法、振動造粒法などが挙げられる。これらのうち、高剪断力造粒機などを用いた混合・攪拌造粒法を利用する造粒法が好ましい。
混合・攪拌造粒法を利用する湿式造粒法は、混合・攪拌造粒法を単独で利用する方法(有効成分、賦形剤、結合剤および界面活性剤を含む顆粒用組成物を一括して混合・攪拌造粒法で造粒する方法)であってもよく、混合・攪拌造粒法と他の造粒法とを組み合わせた方法であってもよい。混合・攪拌造粒法と他の造粒法とを組み合わせた方法しては、例えば、有効成分および賦形剤を含む組成物を混合・攪拌造粒法で造粒した後、乾燥して(または乾燥せずに)界面活性剤および結合剤を含む造粒液を用いて流動層造粒法で造粒する方法などが挙げられる。
湿式造粒で用いられる溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水、低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノールなどのC1-4アルコールなど)、脂肪族ケトン(例えば、アセトンなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、安全性の面から、特に、水および/またはエタノールが好ましく、水が特に好ましい。
溶媒の割合は、顆粒用組成物100質量部に対して、例えば5~200質量部、好ましくは10~150質量部、さらに好ましくは20~100質量部である。
顆粒用組成物は、有効成分、賦形剤および結合剤を含んでいればよく、界面活性剤をさらに含むのが好ましい。
顆粒用組成物は、崩壊剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。後末成分が崩壊剤を含んでいない場合、顆粒用組成物は崩壊剤を必須成分として含む。
顆粒用組成物は、他の成分をさらに含んでいてもよい。
混合工程において、顆粒と後末成分との混合方法は、特に限定されず、慣用の攪拌手段や混練手段を利用でき、慣用のミキサー(ホモミキサー、ホモジナイザー、ホモディスパー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンミキサー、V型ミキサーなど)を用いた方法であってもよい。
後末成分は、滑沢剤(特に、タルクなどの鉱物系滑沢剤)を含むのが好ましい。
後末成分は、崩壊剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。顆粒が崩壊剤を含んでいない場合、後末成分は崩壊剤を必須成分として含む。
後末成分は、他の成分をさらに含んでいてもよい。
後末成分は、有効成分、賦形剤および結合剤を含んでいてもよいが、通常、有効成分、賦形剤および結合剤を含んでいない。
[錠剤およびその製造方法]
本発明の錠剤は、前記組成物(打錠用組成物)を打錠して形成された錠剤であればよく、有効成分の種類などに応じて適宜選択できる。錠剤としては、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、有核錠(圧縮被包錠)、多層錠(二層または三層錠)などが挙げられる。これらのうち、本発明の効果が発現し易い点から、フィルムコーティング錠が好ましい。
本発明のフィルムコーティング錠の製造方法は、特に限定されず、例えば、組成物(打錠用組成物)を打錠して素錠を得る打錠工程、前記素錠をフィルムコーティング剤でコーティングしてコーティング錠を得るフィルムコーティング工程を含む製造方法であってもよい。
打錠工程において、打錠方法としては、慣用の方法を利用できる。打錠圧としては、例えば4~20kN、好ましくは5~16kN、さらに好ましくは6~12kNである。
フィルムコーティング工程において、フィルムコーティング方法としては、慣用の方法を利用でき、パンコーティングが好ましい。
フィルムコーティング剤は、結合剤を含むのが好ましい。結合剤としては、前記組成物の項で例示された結合剤などを利用できる。前記結合剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記結合剤のうち、酸素バリア性を向上できる点から、ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、部分けん化物であってもよい。ポリビニルアルコールのけん化度は、例えば70~98モル%、好ましくは80~95モル%、さらに好ましくは85~90モル%である。
結合剤の割合は、フィルムコーティング剤(フィルムコーティング層)中30質量%以上であってもよく、例えば30~90質量%、好ましくは35~80質量%、さらに好ましくは40~75質量%である。
フィルムコーティング剤は、結合剤に加えて、可塑剤をさらに含んでいてもよい。可塑剤としては、前記組成物の項で例示された可塑剤などを利用できる。前記可塑剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。フィルムコーティング層には伸縮性および強度が求められ、前記可塑剤のうち、ポリエチレングリコールを用いることが好ましい。
可塑剤の割合は、結合剤100質量部に対して、例えば1~100質量部、好ましくは5~80質量部、さらに好ましくは10~60質量部である。
フィルムコーティング剤は、結合剤に加えて、着色剤をさらに含んでいてもよい。着色剤としては、前記組成物の項で例示された着色剤などを利用できる。前記着色剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。有効成分の光安定性向上および錠剤識別性向上のため、前記着色剤のうち、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄などの金属酸化物が好ましく、酸化鉄が特に好ましい。
着色剤の割合は、結合剤100質量部に対して、例えば1~100質量部、好ましくは5~80質量部、さらに好ましくは10~70質量部である。
フィルムコーティング剤は、結合剤に加えて、滑沢剤をさらに含んでいてもよい。滑沢剤としては、前記組成物の項で例示された滑沢剤などを利用できる。前記滑沢剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記滑沢剤のうち、タルクなどの鉱物類が好ましい。
フィルムコーティング剤において、滑沢剤の割合は、結合剤100質量部に対して、例えば1~50質量部、好ましくは5~45質量部、さらに好ましくは10~40質量部である。
フィルムコーティング剤は、溶媒をさらに配合して、フィルムコーティング液として利用するのが好ましい。溶媒としては、前記組成物の製造方法の項で例示された溶媒などを利用できる。前記溶媒は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。前記溶媒のうち、水および/またはエタノールが好ましく、水が特に好ましい。
溶媒の割合は、フィルムコーティング剤100質量部に対して、例えば100~5000質量部、好ましくは300~3000質量部、さらに好ましくは400~1000質量部である。
得られたフィルムコーティング錠は、素錠と、この素錠を被覆するフィルムコーティング層とで形成されている。フィルムコーティング層の割合は、素錠100質量部に対して、例えば0.5~20質量部、好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは3~5質量部である。
得られたフィルムコーティング錠の錠剤径は、例えば3~20mm、好ましくは5~15mm、さらに好ましくは8~14mmである。なお、錠剤径は、異方形状である場合は、長径と短径との平均値とする。フィルムコーティング錠の厚みは、例えば1~10mm、好ましくは3~8mm、さらに好ましくは5~7mmである。
[包装体]
本発明の包装体は、少なくとも一部の領域が樹脂シートで形成された収容部に、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分を含む固形製剤が収容された包装体であり、前記樹脂シートの透湿度が1.5g/m/24hr以上であることを特徴とする。従来の技術では、包装体の収容部を形成する樹脂シートは、内容物である固形製剤の保存における安定性を向上させるためには、透湿度を可能な限り低く(防湿性をできるだけ大きく)するのが技術常識であった。これに対して、本発明者等は、前記有効成分の保存においては、前記樹脂シートの透湿度を低くしすぎると、かえって安定性が低下することを見出した。有効成分の安定性が向上する厳密なメカニズムは不明であるが、透湿度を1.5g/m/24hr以上に調整すると、所定量の水分が取り込まれ、水が活性酸素と反応することにより、活性酸素が有効成分と反応することを抑制していると推定できる。
前記樹脂シートの透湿度は1.5g/m/24hr以上(特に2.5g/m/24hr以上)であればよく、例えば1.5~30g/m/24hr、好ましくは2~20g/m/24hr、さらに好ましくは2.5~15g/m/24hr、より好ましくは3~10g/m/24hr、最も好ましくは4~8g/m/24hrである。透湿度が小さすぎると、有効成分の安定性が低下する虞がある。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、樹脂シートの透湿度は、慣用の方法、例えば、JIS K7129またはJIS Z0208に準拠した方法で測定できる。
樹脂シートの酸素透過率は150cc/m/24hr/atm以下(特に100cc/m/24hr/atm以下)であってもよく、例えば0.1~150cc/m/24hr/atm、好ましくは0.5~100cc/m/24hr/atm、さらに好ましくは1~50cc/m/24hr/atm、より好ましくは5~30cc/m/24hr/atm、最も好ましくは10~20cc/m/24hr/atmである。酸素透過率が大きすぎると、有効成分の安定性が低下する虞がある。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、樹脂シートの酸素透過率は、慣用の方法、例えば、JIS K7126に準拠した方法で測定できる。
このような特性を有する樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリアミド6などのポリアミド系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。また、樹脂シートは、透湿度を調整するために、異種の樹脂シートを積層してもよい。また、樹脂シートは、透湿度を調整するために、厚みを調整してもよい。
樹脂シートの平均厚みは、例えば0.05~3mm、好ましくは0.1~1mm、さらに好ましくは0.15~0.5mmである。
本発明の包装体としては、固形製剤を収容する収容部の少なくとも一部の領域が樹脂シートで形成されていれば、特に限定されず、慣用の包装体を利用できる。慣用の包装体としては、例えば、フィルム包装体(ヒートシールなどによって密封したフィルム包装体など)、SP(ストリップパッケージ)包装体、PTP(プレススルーパック)包装体などが挙げられる。これらのうち、本発明の効果が発現し易い点から、PTP包装体が好ましい。
PTP包装体は、通常、樹脂で形成され、かつ固形製剤を収容するための複数のポケット部を有する基材シートと、アルミニウム箔で形成され、かつ前記ポケット部に収容された固形製剤を密封するための蓋材(またはカバー材)で形成されている。PTP包装体において、少なくともポケット部が前記樹脂シートで形成されていればよく、生産性などの点から、基材シートが前記樹脂シートで形成されているのが好ましい。
PTP包装体は、さらにアルミピロー包装(アルミニウムピロー包装)されていてもよい。PTP包装体をアルミピロー包装した包装体(アルミピロー包装体)としては、慣用のアルミピロー包装体を利用できる。
アルミピロー包装体の内部には、PTP包装体に加えて、乾燥剤および/または脱酸素剤を含んでいてもよい。乾燥剤としては、慣用の乾燥剤を利用でき、例えば、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライトなどが挙げられる。脱酸素剤としては、慣用の脱酸素剤を利用でき、例えば、鉄系脱酸素剤、有機系脱酸素剤などが挙げられる。これらのうち、本発明の効果が発現し易い点から、乾燥剤が好ましく、ゼオライトが特に好ましい。
このような包装体に収容される固形製剤としては、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類を有効成分とする固形製剤であれば、特に限定されず、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤、ドライシロップ剤などが挙げられる。これらのうち、前記組成物で形成された錠剤が好ましく、前記組成物で形成されたコーティング錠が特に好ましい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において、使用した製剤原料および包装資材の詳細、評価した方法を以下に示す。
[製剤原料]
アビラテロン酢酸エステル:中心粒子径3.8~6.6μm
乳糖水和物:DFE pharma(株)製「Fine Powder」
結晶セルロース:旭化成(株)製「セオラスPH-101」、平均重合度100~300、乾燥減量値2~6%、嵩密度0.26~0.31g/cm
クロスカルメロースナトリウム:DuPont Nutrition USA Inc.(株)製「アクジゾル」
ポビドン:BASFジャパン(株)製「コリドン30」、K値30
ラウリル硫酸ナトリウム:花王(株)製「エマール0S」
軽質無水ケイ酸:富士シリシア化学(株)製
ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業(株)製、グレード「植物性(太平)」
ポリビニルアルコール:三菱ケミカル(株)製「ゴーセノール EG-05P」、部分けん化物(けん化度86.5~89.0mol%)
マクロゴール4000:日油(株)製
酸化チタン:フロイント産業(株)製「酸化チタンFG」
三二酸化鉄:癸巳化成(株)製
黄色三二酸化鉄:癸巳化成(株)製
タルク:林化成(株)製「タルカンハヤシ」、平均粒径10μm
ポリビニルアルコール・酸化チタン・マクロゴール4000・タルク混合物:カラコン社製「OPADRYII85440022」、微量の三二酸化鉄および黄色三二酸化鉄含有
[包装資材]
PVC:三菱ケミカル(株)製「ビニルホイル(登録商標)C-0436」、PTP用ポリ塩化ビニルシート、厚み0.2mm、透湿度5g/m/24hr、酸素透過率17.1cc/m/24hr/atm
PVC/PCTFE:三菱ケミカル(株)製「ビニルホイル(登録商標)L-2223」、PTP用ポリ塩化ビニル/ポリクロロトリフルオロエチレン複合シート、厚み0.223mm(PVC層0.2mm、PCTFE層0.023mm)、透湿度0.26g/m/24hr、酸素透過率17.1cc/m/24hr/atm
CPP:三菱ケミカル(株)製「スーパーホイル(登録商標)E0025」、PTP用ポリプロピレンシート、厚み0.25mm、透湿度1.1g/m/24hr、酸素透過率194cc/m/24hr/atm
PTP用アルミ箔:大和化成工業(株)製「PVC用アルミ箔 銀無地」
アルミピローフィルム:(株)生産日本社製「ラミジップ(登録商標)」
[乾燥・脱酸素剤]
塩化カルシウム乾燥剤(塩化Ca):田中製紙工業(株)製「ドライマット」
ゼオライト乾燥剤(ゼオライト):(株)東海化学工業所製「MS-セラム-W3G」
乾燥機能付脱酸素剤(ファーマキープ):三菱ガス化学(株)製「ファーマキープKD-10」。
[評価方法]
(錠剤硬度)
錠剤硬度は、ERWEKA型錠剤硬度計(ERWEKA社製、商品名「錠剤硬度計 TBH425TD」を用いて、電動錘荷重により圧子で錠剤に荷重を負荷する方法で測定した。
(崩壊時間(第十七改正日本薬局方)または静止状態の崩壊性)
崩壊試験機(日本薬局方準拠)を用いた。ガラス容器に37℃の水900mLを入れ、錠剤を入れたバスケット(底部が網状)を容器の水中で上下運動させ、錠剤が崩れきるまでの時間を測定した。なお、参考例1~3で得られた錠剤については、バスケットを上下運動させることなく、ガラス容器内の水中に宙づり状態のままとし、錠剤の分散状態を目視で経時的に観察し、静止状態における崩壊性(または分散性)を評価した。
(類縁物質の測定方法)
恒温恒湿槽を用いて、40℃75%RH条件で、保存安定性試験後、試験体5個をとり、水50mLを加えて超音波処理し、よく振り混ぜて崩壊させた。この液にアセトニトリル300mLを加えよく振り混ぜた後、超音波処理し、アセトニトリルを加えて500mLとした。この液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過した。初めのろ液5mLを除き、次のろ液2mLにアセトニトリル/水混液(9:1)6mLを加えて試料溶液とした。試料溶液10μLにつき、以下の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行う。試料溶液の各々のピーク面積を自動積分法により測定し、面積百分率法によりそれらの量を求めた。ただし、アビラテロン酢酸エステルに対する相対保持時間約0.64及び相対保持時間約0.70のピーク面積は、自動積分法で求めた面積に感度係数3.9を乗じた値とした。本方法では、アビラテロン酢酸エステルの類縁体を測定した。
<試験条件>
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
カラム:内径3.0mm、長さ15cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填した。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相A:酢酸アンモニウム0.77gに水1000mLを加えて溶かした。
移動相B:アセトニトリル/エタノール(99.5)混液(3:2)
移動相の送液:移動相Aおよび移動相Bの混合比を表1に示すように変えて濃度勾配制御した。
Figure 2022091129000001
流量:毎分0.45mL
面積測定範囲:試料溶液注入後58分間。
(水分値)
滴定びんに溶剤を入れ、カールフィッシャー試薬で滴定して無水状態にしておく。40℃75%RH条件で、保存安定性試験後、軽く砕いた錠剤1個を滴定びんに加えた。あらかじめ精製水で力価を標定したカールフィッシャー試薬を用いて水分値を測定した。
<試験条件>
測定機器:京都電子工業(株)製「MKV-710」
溶剤:林純薬工業(株)製「ハヤシソルベント FM-II 脱水溶剤 (糖類用)」
カールフィッシャー試薬:三菱ケミカル(株)製「アクアミクロン(商標登録) 滴定剤 SS-Z 3mg」
(溶出率)
恒温恒湿槽を用いて、70℃条件で、密栓した状態で保管する熱安定性試験後、第17改正日本薬局方に規定される溶出試験法第2法に従い、溶出試験を行った。試験体1個をとり、試験を開始し、サンプリング時間ごと(15分、30分、60分)に溶出液20mLを採取し、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過した。初めのろ液15mLを除き、次のろ液1mLをとり、希釈液8mLを加え、試料溶液とした。別に定量用アビラテロン酢酸エステル(慣用の規格によってアビラテロン酢酸エステルと同様の方法で水分を測定しておく)約35mgを精密に量り、メタノールを加えて溶かし、正確に100mLとした。この液5mLを正確に量り、希釈液を加えて正確に50mLとした。この液8mLを正確に量り、試験液1mLを正確に加え、標準溶液とした。試料溶液および標準溶液20μLずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行い、それぞれの液のアビラテロン酢酸エステルのピーク面積ATaおよびASならびに試料溶液のアビラテロン酢酸エステルに対する相対保持時間約0.4のアビラテロンのピーク面積ATbを測定し、アビラテロン酢酸エステルのピーク面積とアビラテロンのピーク面積の和を算出した。
<試験条件>
希釈液:酢酸アンモニウム3.85gに水1000mLを加えて溶かした。この液200mLにメタノール600mLを加えた。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
カラム:内径4.6mm、長さ10cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填した。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:酢酸アンモニウム0.77gに水1000mLを加えて溶かした。この液250mLにアセトニトリル600mL及びエタノール(99.5)150mLを加えて混合した。
比較例1および実施例1
(素錠の製造方法)
表2に示す割合で、アビラテロン酢酸エステル、乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドンおよびラウリル硫酸ナトリウムを湿式高剪断力造粒機に投入し、精製水を固形分が77質量%となるように加えて造粒後、乾燥し、中心粒径140μmの顆粒を得た。得られた顆粒と後末成分としての軽質無水ケイ酸とを混合し、さらに後末成分としてのステアリン酸マグネシウムを加えて、打錠用混合末を得た。ロータリー式打錠機を用いて、得られた打錠用混合末を打錠し、素錠を得た。
詳しくは、比較例1では、打錠圧12kNで打錠し、長径15.9mm、短径9.5mm、厚み6.2mmの素錠を得た。比較例1で得られた素錠の硬度は190N、崩壊時間は12.5分であった。
一方、実施例1では、打錠圧9kNで打錠し、長径12.9mm、短径7.7mm、厚み5.4mmの素錠を得た。実施例1で得られた素錠の硬度は160Nであり、崩壊時間は10分であった。
(フィルムコーティング液の調製)
ポリビニルアルコール(部分けん化物)とマクロゴール4000とを精製水に溶解し、さらに酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、タルクを加えてフィルムコーティング液(固形分12.5質量%)を得た。
(フィルムコーティング錠)
素錠をコーティングパン機に入れ、フィルムコーティング液をコーティングして乾燥し、フィルムコーティング錠を得た。
詳しくは、比較例1のコーティング錠は、長径16.0mm、短径9.6mm、厚み6.3mmであった。比較例1で得られたコーティング錠の硬度は250N、崩壊時間は13分であった。
一方、実施例1のコーティング錠は、長径13.0mm、短径7.8mm、厚み5.5mmであった。実施例1で得られたフィルムコーティング錠の硬度は250Nであり、崩壊時間は12分であった。
(PTP包装体)
表3または4に示すPTP用シートおよびPTP用アルミ箔を用いて、得られたコーティング錠をPTP成形機でPTP包装し、40℃75%RHの条件で6か月保存し、類縁物質の発生量を測定した。
(アルミピロー包装体)
アルミピローフィルムを用いて、実施例1で得られたPTP包装体をアルミピロー包装機でアルミピロー包装した。一部のアルミピロー包装体には、アルミピロー包装体の内部に、表3に示す乾燥・脱酸素剤を内包し、40℃75%RHの条件で3か月保存し、水分値および類縁物質の発生量を測定した。なお、比較(ブランク)として、フィルムコーティング錠をPTP包装、アルミピロー包装のいずれの包装もせずに、開放してシャーレに載置して、同様に3か月保存し、水分値および類縁物質の発生量を測定した。
保存によって発生した類縁物質の量を測定した結果を表3および4に示す。
Figure 2022091129000002
Figure 2022091129000003
表3の結果から明らかなように、実施例1の小型化されたフィルムコーティング錠は、比較例1のフィルムコーティング錠よりも、類縁物質の発生量が低く、保存安定性に優れていた。さらに、実施例1の包装資材を比較すると、防湿性の高いPVC/PCTFEよりも、防湿性の低いPVCで形成されたPTPシートを用いた方が、顕著に類縁物質の発生が減少していた。
Figure 2022091129000004
表4の結果から明らかなように、乾燥・脱酸素剤を内包しない場合は、防湿性の高いCPPおよびPVC/PCTFEよりも、防湿性の低いPVCで形成されたPTPシートを用いた方がα-エポキシ体量が少なく、安定な傾向であった。一方、乾燥・脱酸素剤を内包させると、全般的に安定性は向上した。
実施例2~9
表5に示す割合で、各成分を混合する以外は実施例1と同様にしてフィルムコーティング錠を製造した。これらの実施例では、崩壊剤であるクロスカルメロースナトリウムの添加場所について検討しており、表5において、実施例2の「内1.5%外9%」は、それぞれ、素錠中の崩壊剤の割合を示し、内1.5%は顆粒に含まれる崩壊剤の割合が素錠中1.5質量%であり、外9%は後末成分に含まれる崩壊剤の割合が素錠中9質量%であることを意味する。
得られたフィルムコーティング錠の溶出率を測定した結果を表5に示す。
Figure 2022091129000005
表5の結果から明らかなように、崩壊剤を後末成分に配合することにより、溶出率が向上し、特に、熱安定性試験後において顕著に向上した。
参考例1~3
(素錠の製造方法)
表6に示す割合で、アビラテロン酢酸エステル、乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドンおよびラウリル硫酸ナトリウムを湿式高剪断力造粒機に投入し、精製水が77質量%となるように加えて造粒後、乾燥し、中心粒径140μmの顆粒を得た。得られた顆粒と後末成分としての軽質無水ケイ酸とを混合し、さらに後末成分としてのステアリン酸マグネシウムまたはタルクを加えて、打錠用混合末を得た。ロータリー式打錠機を用いて、打錠圧12kNで打錠し、得られた打錠用混合末を打錠し、長径15.9mm、短径9.5mm、厚み6.2mmの素錠を得た。
参考例1で得られた素錠の硬度は240Nであり、崩壊時間は12~13分であった。また、参考例2で得られた素錠の硬度は230Nであり、崩壊時間は10~11分であった。さらに、参考例3で得られた素錠の硬度は240Nであり、崩壊時間は11~12分であった。
(フィルムコーティング液の調製)
ポリビニルアルコールとマクロゴール4000とを精製水に溶解し、さらに酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、タルクを加えてフィルムコーティング液(固形分12.5質量%)を調製した。
(フィルムコーティング錠)
素錠をコーティングパン機に入れ、フィルムコーティング液でコーティングして乾燥し、長径16.0mm、短径9.6mm、厚み6.3mmのフィルムコーティング錠を得た。
参考例1で得られたコーティング錠の硬度は、320Nであった。さらに、静止状態の崩壊性を評価した結果、コーティング錠は、試験開始から20分経過後でも残留しており、35分経過後でも残留していた。
参考例2で得られたコーティング錠の硬度は、320Nであった。さらに、静止状態の崩壊性を評価した結果、コーティング錠は、試験開始から20分経過後でも残留しており、35分経過後でも残留していた。
参考例3で得られたコーティング錠の硬度は、280Nであった。さらに、静止状態の崩壊性を評価した結果、コーティング錠は、試験開始から20分経過後でも残留していたが、35分経過後には全て水中に分散して未残留であった。
静止状態の崩壊性は、胃内でのコーティング錠の崩壊性に類似するため、参考例1~2と参考例3との比較から、水に対して難溶であるアビラテロン酢酸エステルを含むコーティング錠では、滑沢剤としてタルクを用いることにより、胃での分散性を向上できることが示された。
Figure 2022091129000006
参考例4、5
(素錠の製造方法)
表7に示す割合で、アビラテロン酢酸エステル、乳糖水和物、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを湿式高剪断力造粒機に入れて混合した後、精製水をスプレーし、造粒末Iを得た。造粒末Iにラウリル硫酸ナトリウムおよびポビドンを精製水に溶解した造粒液をスプレーし、乾燥させた後、乾式造粒機(コーミル(スクリーン径:1143μm))で整粒し、顆粒を得た。
得られた顆粒と、後末成分としてのクロスカルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を拡散式混合機に投入して混合し、一次混合末を得た。得られた一次混合末と後末成分としてのステアリン酸マグネシウムまたはタルクを拡散式混合機に投入して混合し、打錠用混合末を得た。ロータリー式打錠機を用いて、得られた打錠用混合末を打錠し(打錠圧:8kN)、長径12.9mm、短径7.7mm、厚み5.4mmの素錠を得た。参考例4で得られた素錠硬度は200Nであり、崩壊時間は8分であった。
(フィルムコーティング液の調製)
ポリビニルアルコール・酸化チタン・マクロゴール4000・タルク混合物を精製水に加えて分散し、フィルムコーティング液を調製した。
(フィルムコーティング錠)
素錠をコーティングパン機に入れ、フィルムコーティング液でコーティングして乾燥し、長径13.0mm、短径7.8mm、厚み5.5mmのフィルムコーティング錠を得た。参考例4で得られたフィルムコーティング錠の硬度は250Nであり、崩壊時間は9分であった。
(PTP包装体)
PVCおよびPTP用アルミ箔を用いて、得られたコーティング錠をPTP成形機でPTP包装した。
Figure 2022091129000007
本発明の組成物は、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類を有効成分とする医薬固形製剤に利用できる。

Claims (24)

  1. 有効成分、崩壊剤、賦形剤および結合剤を含む組成物であって、前記有効成分が、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類であり、かつ前記有効成分の割合が、前記組成物中40質量%以上である組成物。
  2. 前記賦形剤の割合が、前記組成物中40質量%以下である請求項1記載の組成物。
  3. 顆粒を含み、この顆粒が前記有効成分、前記賦形剤および前記結合剤を含む請求項1または2記載の組成物。
  4. 前記顆粒が前記崩壊剤をさらに含む請求項3記載の組成物。
  5. 前記顆粒が前記崩壊剤を含まない請求項3記載の組成物。
  6. 前記有効成分がアビラテロン酢酸エステルである請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 打錠用組成物である請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 鉱物系滑沢剤をさらに含む請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 有効成分、賦形剤および結合剤を含む顆粒用組成物を造粒して顆粒を得る造粒工程を含む請求項3~8のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
  10. 前記造粒工程において、前記顆粒用組成物が崩壊剤をさらに含む請求項9記載の製造方法。
  11. 前記造粒工程で得られた顆粒と、崩壊剤とを混合する混合工程をさらに含む請求項9または10記載の製造方法。
  12. 請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物で形成された錠剤。
  13. フィルムコーティング錠である請求項12記載の錠剤。
  14. 請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を打錠して錠剤を得る請求項12記載の錠剤の製造方法。
  15. 請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を打錠して素錠を得る打錠工程と、前記素錠をフィルムコーティング剤でコーティングしてフィルムコーティング錠を得るフィルムコーティング工程とを含む請求項13記載のフィルムコーティング錠の製造方法。
  16. 少なくとも一部の領域が樹脂シートで形成された収容部に、請求項12または13記載の錠剤が収容された包装体であって、前記樹脂シートの透湿度が1.5g/m/24hr以上である包装体。
  17. 前記錠剤がPTP包装されている請求項16記載の包装体。
  18. PTP包装された錠剤が、さらにアルミピロー包装されており、前記アルミピロー包装の内部に乾燥剤および/または脱酸素剤を含む請求項17記載の包装体。
  19. 少なくとも一部の領域が樹脂シートで形成された収容部に、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分を含む固形製剤が収容された包装体であって、前記樹脂シートの透湿度が1.5g/m/24hr以上である包装体。
  20. 不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分、崩壊剤、賦形剤および結合剤を含む組成物において、前記有効成分の割合を前記組成物中40質量%以上に調整することにより、前記有効成分の安定性を向上させる方法。
  21. 不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分、崩壊剤、賦形剤および結合剤を含む組成物において、前記有効成分、前記賦形剤および前記結合剤を含む顆粒と、崩壊剤とを組み合わせることにより、錠剤における有効成分の溶出性を向上させる方法。
  22. 不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分および滑沢剤を含む組成物において、前記滑沢剤に鉱物系滑沢剤を含有させることにより、前記組成物の崩壊性を向上させる方法。
  23. 前記有効成分がアビラテロン酢酸エステルであり、前記鉱物系滑沢剤がタルクであり、かつ前記有効成分を含む顆粒と前記タルクとを組み合わせることにより、錠剤における前記組成物の崩壊性を向上させる請求項22記載の方法。
  24. 少なくとも一部の領域が樹脂シートで形成された収容部に、不飽和結合およびエステル結合を有するステロイド類である有効成分を含む固形製剤が収容された包装体において、前記樹脂シートの透湿度を1.5g/m/24hr以上に調整することにより、前記有効成分の安定性を向上させる方法。
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