(実施形態1)
以下、実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る空調機1の一構成を例示する模式的正面図である。図2は、空調機1の外観を例示する斜視図である。なお、図1は、図2におけるA-A線において切断した断面を、上方向から模式的に示したものである。空調機1は、箱状の筐体11と、当該筐体11(本体)とは別体で構成されるタンク12とを備え、例えば、図8に示すように車両等の移動体Mに載置され、当該移動体Mの操作者の周辺空間を被空調空間として冷却する。又は、空調機1は、工場等の屋内に載置されるものであってもよい。図1に示す空調機1の載置状態(正面視、上方からの視点)を、当該空調機1の通常の使用態様として、前後左右を示す。図2に示す空調機1の載置状態を、当該空調機1の通常の使用態様として、上下及び前後左右を示す。
空調機1は、水を貯水するタンク12、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32からなる2つの気化フィルタを含む冷却ユニット3を備える。空調機1は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32によって、タンク12から供給された水の気化熱を用いて雰囲気温度を低下させ、被空調空間を冷却するものであり、例えば気化冷却式の空調機である。
冷却ユニット3は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32、給水部33、ドレンパン34を含む。給水部33は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の上部に備えられ、下方の第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に水を供給する。ドレンパン34は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32にて気化しなかった水を受ける。冷却ユニット3の詳細は、後述する。
空調機1は、更に顕熱交換器4を備え、第2気化フィルタ32を通過した第2空気と、第1気化フィルタ31を通過する前の第1空気との間で熱交換させて第1空気を冷却し、冷却した第1空気を第1気化フィルタ31に通過させることにより当該第1空気を2段階で冷却する。第1空気は、顕熱交換により湿度を上昇させないで冷却された後に気化冷却されることで、2段階で冷却された第1空気は、給気(SA:Service Air)として被空調空間に吹き出される。第2空気は、排気(EA:Exhaust Air)として、筐体11の外部に排出される。
空調機1の筐体11には、被空調空間の空気を吸い込む2つの吸込口5、顕熱交換器4及び第1気化フィルタ31を通過し2段階で冷却された第1空気を被空調空間に給気として吹き出す第1吹出口71、及び第2気化フィルタ32及び顕熱交換器4及通過し、第1空気と顕熱交換された第2空気を排気として吹き出す第2吹出口72が設けられている。第1吹出口71及び第2吹出口72は、筐体11の同じ側面(本実施形態では左側面)に設けられている。
空調機1は、第1空気及び第2空気を搬送するためのファンを備え、当該ファンは、第1空気を搬送する第1ファン81と、第2空気を搬送する第2ファン82とを含む。図1における第1ファン81及び第2ファン82の形状は、外殻形状の一例を表している。第1ファン81及び第2ファン82を含むファンは、例えば、シロッコファン等の遠心ファン又は、プロペラファンであってもよい。第1ファン81は、第1吹出口71の近傍に設けられており、第2ファン82は、第2吹出口72の近傍に設けられている。すなわち、空調機1の空気の流れとして、2つの吸込口5を最上流端とし、第1吹出口71及び第2吹出口72を最下流端とした場合、第1ファン81及び第2ファン82は、当該空気の流れ方向において、顕熱交換器4及び冷却ユニット3よりも下流側に設けられている。第1ファン81及び第2ファン82を下流側に設けることにより、これらファンは、いわゆる吸い込みファンとして機能し、空調機1における空気の流通経路内を負圧に保っている。空気の流路内を負圧に保つことで、給水部33から第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32への水の浸透(吸収)を促進する構成を採用している。本実施例においては、後述のように給水部33から第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32への水の滴下を促進する構成を採用している。
第1ファン81及び第2ファン82は、単一のファンモータ8を共用しており、ファンモータ8の両端の夫々に設けられたシャフト夫々に締結されている。第2ファン82と第1ファン81との間には、第2ファン82が設けられている空間と、第1ファン81が設けられている空間とを仕切る仕切板83が設けられている。当該仕切板83によって、第1ファン81によって搬送される第1空気と、第2ファン82によって搬送される第2空気とが、混合することを防止することができる。
ファンモータ8、第1ファン81及び第2ファン82は、ファンケーシング84により区画化されたファン室に配置されている。当該ファン室は、例えば、一部が発泡スチロール等の断熱性を有する伝熱抑制部材によって構成されるファンケーシング84により区画化される。第2ファン82と第1ファン81との間に設けられる仕切板83は、ファンケーシング84の一部を構成する。ファンケーシング84に関する詳細は、後述する。
本実施形態においては、ファンモータ8は、仕切板83により仕切られた第2ファン82側の空間に配置される。より具体的には、仕切板83は、ファンモータ8と第1ファン81との間に設けられている。このようにファンモータ8を第2ファン82側に設けることにより、第2ファン82によって搬送される第2空気、すなわち排気によってファンモータ8を冷却することができる。従って、第1ファン81によって搬送される第1空気、すなわち給気の温度を上昇させることなく、第2空気(排気)による冷熱を利用してファンモータ8を効率的に冷却することができる。また、ファンモータ8が仕切板83により仕切られた第2ファン82側の空間に配置されていれば同様の効果が発揮できるため、変形例としては、第2ファン82にかかる構成とファンモータ8の配置を入れ替えた構成を採用することも可能である。
空調機1には、空気の流通経路として、吸込流路51、分岐流路52、第1流路61及び第2流路62が設けられている。分岐流路52は、吸込流路51を、第1流路61及び第2流路62に分岐する。吸込流路51は、後方向及び右方向にある2つの吸込口5を起点とし、分岐流路52を介して顕熱交換器4に連通している。第1流路61は、図1において給気(SA)を表す矢印に沿って連通する空間である。第2流路62は、図1において排気(EA)を表す矢印に沿って連通する空間である。また、吸込流路51及び分岐流路52は、第1流路61及び第2流路62へ空気が分配される前の共通領域である。換言すると、吸込流路51及び分岐流路52内部の空気は、第1空気でも第2空気でもある。本実施形態における吸込流路51と分岐流路52との境界については後述する。
分岐流路52は、顕熱交換器4の2つの入口に連通している。顕熱交換器4の2つの入口は、第1空気が流入する顕熱交換器4の第1経路41の入口と、第2空気が流入する顕熱交換器4の第2経路42の入口とを含む。第1経路41の入口は、第1入口側開口面431に形成される。第2経路42の入口は、第2入口側開口面432に形成される。第1経路41は、第1流路61の一部を構成する。第2経路42は、第2流路62の一部を構成する。すなわち、吸込流路51に流れる吸込空気の流れ方向において吸込流路51の下流には、分岐流路52、及び顕熱交換器4が、この順番で設けられている。
吸込空気は、分岐流路52において、顕熱交換器4における第1経路41又は第2経路42のいずれかの入口に流入する。すなわち、吸込空気は、分岐流路52において、第1経路41に流入する第1空気と、第2経路42に流入する第2空気とに、分流される。
2つの吸込口5と、顕熱交換器4の2つの入口(第1経路41の入口及び第2経路42の入口)との間には、集塵フィルタ53が、介在して設けられている。集塵フィルタ53は、ポリエステル又はオレフィン系繊維により形成され、塵埃を捕獲するフィルタ部と、当該フィルタ部を固定する格子状の枠体とを含む。集塵フィルタ53は、樹脂金型の内部にフィルタ部を載置した後、枠体の材料となる樹脂を流し込むことによるインサート成形によって、形成されるものであってもよい。樹脂製からなる枠体にて構成される集塵フィルタ53は、可撓性を有し、顕熱交換器4の第1経路41及び第2経路42の入口それぞれを覆うように湾曲して設けられている。集塵フィルタ53を湾曲して設けるにあたり、筐体11の内面には、集塵フィルタ53の長手方向の縁部が篏合する溝等により構成されるガイド部が、設けられているものであってもよい。
集塵フィルタ53は、第1入口側開口面431と第2入口側開口面432とが、顕熱交換器4の異なる端面(側面)に設けられているため、図1に示すように湾曲させて設けられている。これにより、集塵フィルタ53は、第1入口側開口面431と、第2入口側開口面432とを1枚で覆うことができる。集塵フィルタ53を1枚にすることで、フィルタの着脱の手間が軽減される。
集塵フィルタ53のそれぞれの両端部には、シール部材531が設けられている。集塵フィルタ53の両端部は、第1経路41の側の端部と、第2経路42の側の端部とを含む。第1経路41の側の端部は、第1経路41の入口が設けられている第1入口側開口面431と、当該第1入口側開口面431に対向する筐体11の内面との接触箇所に位置している。第2経路42の側の端部は、後述するドレンパン34と、当該ドレンパン34に近接する筐体11の内面との間に位置している。シール部材531は、筐体11の内面と集塵フィルタ53との隙間を埋める。
集塵フィルタ53のそれぞれの両端部には、シール部材531が設けられているため、当該集塵フィルタ53を通過することなく、顕熱交換器4に空気が流入することを抑制することができる。集塵フィルタ53を設けることにより、吸込口5から吸込した吸込空気の塵埃を捕集し、空調機1内の空気が流れる流通経路において、塵埃が付着することを抑制することができる。
顕熱交換器4の2つの入口(第1経路41の入口、第2経路42の入口)と、吸込口5との間の空間は、第1空気及び第2空気の流れ方向における上流側空間と、下流側空間とに集塵フィルタ53により区切られる。換言すると、集塵フィルタ53は、吸込口5を有する筐体11及び集塵フィルタ53に囲まれた空間である上流側空間と、集塵フィルタ53、第1入口側開口面431及び第2入口側開口面432に囲まれた空間である下流側空間とに区画化する。上流側空間は、吸込流路51に相当する。下流側空間は、分岐流路52に相当する。吸込流路51は、分岐流路52の上流において第1経路41及び第2経路42に共用される経路である。そのため、2つの吸込口5についても第1経路41及び第2経路42にて共用することができ、2つの吸込口5の開口面積を大きくして吸込空気における流路抵抗(圧力損失)を低減することができる。また、流路抵抗を低減するため、2つの吸込口を連結する構成を採用してもよい。具体的には集塵フィルタ53と同様に筐体11の側面を湾曲させ、湾曲した側面に1つの吸込口5を形成して開口面積を広くしてもよい。この場合、上流側空間の体積を最小にすることができ、上流側空間において発生する可能性がある乱流等の影響を最小限にできる。
顕熱交換器4には、上述のとおり、第1空気が流れる第1経路41と、第2空気が流れる第2経路42とが、設けられている。第1経路41は、第1吹出口71に連通している第1流路61の一部を構成する。第2経路42は、第2吹出口72に連通している第2流路62の一部を構成する。顕熱交換器4における第1経路41と第2経路42とは、中空構造を有する複数の樹脂プレートにより構成され、これら樹脂プレート夫々を並列に設けることにより構成される。当該樹脂プレートの板厚を薄くすることにより伝熱性を向上させると共に、顕熱交換器4の重量を低減させることができる。当該中空構造は、金属プレートにより構成されるものであってもよい。
第1経路41を構成する樹脂プレートと、第2経路42を構成する樹脂プレートとは、第1空気及び第2空気の流れ方向に対し垂直となるように積層されて設けられており、これら樹脂プレートを介して、第1空気及び第2空気との間の顕熱交換が行われる。第1経路41と第2経路42とは、互いに直交することにより、第1経路41を流れる第1空気と、第2経路42を流れる第2空気とによって、直交流が形成される。
第1経路41及び第2経路42を構成するそれぞれの樹脂プレートにおいて、互いに隣接する樹脂プレートと樹脂プレートとの間には、樹脂枠が設けられ、当該樹脂枠は、これら樹脂プレート間の距離を確保するためのスペーサーとして機能するものであってもよい。スペーサーを樹脂枠にすることにより、顕熱交換器4の軽量化を図ることができる。当該スペーサーが顕熱交換器4の内部の風の流れを規制するための役割を担うことにより、顕熱交換器4の内部での風の流れが均一になり、第1空気と第2空気とが熱交換する面積を増加させることができる。顕熱交換器4の内部において、スペーサーにより一部の経路にて第1空気と第2空気とが対向流関係で熱交換するように風の流れを規制するものであってもよい。対向流での熱交換により、顕熱交換器4における熱交換効率が向上させることができる。第1空気用のスペーサーの厚さより、第2空気用のスペーサーの厚さの方が厚いものであってもよい。すなわち、第2空気用のスペーサーの幅は、第1空気用のスペーサーの幅よりも、大きいものであってもよい。このような構成とすることにより、顕熱交換器4を流れる際の第2空気に対する圧力損失を下げることができ、第1空気の風量よりも、第2空気の風量を増やすことができる。このような構成とすることにより、第2空気によって第1空気を更に効率的に冷却し、第1空気の温度を、より冷やすことができる。本実施形態において顕熱交換器4は樹脂プレート等を用いたプレートタイプとしたがこれに限定されず、例えばストロー形状等の円筒から成る経路が並んで設けられている構成によるものであってもよい。
顕熱交換器4におけるそれぞれの端面(側面)には、第1経路41の入口、第2経路42の入口、第1経路41の出口、及び第2経路42の出口が、設けられている。第1経路41の入口が設けられている端面(側面)は、第1入口側開口面431に相当する。第2経路42の入口が設けられている端面(側面)は、第2入口側開口面432に相当する。第1経路41の出口が設けられている端面(側面)は、第1出口側開口面441に相当する。第2経路42の出口が設けられている端面(側面)は、第2出口側開口面442に相当する。つまり、第1経路41は、第1入口側開口面431から第1出口側開口面441に向けて連通された複数の空間が積層されて形成されている。また、第2経路42は、第2入口側開口面432から第2出口側開口面442に向けて連通された複数の空間が積層されて形成されている。
第2空気の流れ方向において、第2入口側開口面432の上流側には、第2気化フィルタ32が設けられている。図1の正面視にて矩形状を成す第2気化フィルタ32は、一面を第2入口側開口面432に対向させて設けられている。第1空気の流れ方向において、第1出口側開口面441の下流側には、第1気化フィルタ31が設けられている。図1の正面視にて矩形状を成す第1気化フィルタ31は、一面を第1出口側開口面441に対向させて設けられている。
分岐流路52にて分流された第2空気は、第2気化フィルタ32を通過し、当該第2気化フィルタ32によって冷却された後、第2入口側開口面432に設けられた第2経路42の入口から、顕熱交換器4の内部(第2経路42)に流入する。分岐流路52にて分流された第1空気は、第1入口側開口面431に設けられた第1経路41の入口から、顕熱交換器4の内部(第1経路41)に流入する。
第1経路41に流れる第1空気と、第2経路42に流れる第2空気とは、顕熱交換器4を介して熱交換される。第2経路42に流れる第2空気は、第2気化フィルタ32によって冷却されており、第2空気の温度は、吸込口5にて吸い込まれた直後の吸込空気の温度よりも低い。第1経路41の入口に流入した直後の第1空気の温度は、吸込口5にて吸い込まれた直後の吸込空気の温度と同じ(同等)であるが、顕熱交換器4を介し、第2経路42に流れる第2空気によって冷却される。具体的には、第1空気は、第2空気の温度よりも高いため、第2空気に熱が奪われる。これにより、第1空気と第2空気は吸込空気及び筐体11外部の空気よりも低い温度状態になる。
第1経路41の出口から流出した第1空気は、第1気化フィルタ31よって、更に冷却される。これにより、第1空気は2段階にて冷却されるものとなる。すなわち、第1空気は、第2気化フィルタ32の第2空気を介した間接的な冷熱源として用い、第1気化フィルタ31を直接的な冷熱源として用いた2つの冷熱源によって、冷却される。つまり、1段階目では顕熱のみを交換し、2段階目で全熱交換をしている。これにより、気化又は顕熱交換のみの冷却及び気化冷却からの顕熱交換による冷却よりも湿球温度が低くなる。また、全熱交換時に気化する水の量も減少できるため、不快な湿度上昇も防ぐことができる。
顕熱交換器4の第1経路41の出口(第1出口側開口面441に設けられた出口)から流出し、第1気化フィルタ31を通過した第1空気は、第1気化フィルタ31よりも下流側に位置する第1ファン81によって搬送され、第1吹出口71から被空調空間に給気(SA)として吹き出される。第1吹出口71には、例えば蛇腹構造にて構成される吹出ダクト711が設けられており、第1空気は、当該吹出ダクト711によって調整された吹出方向に給気(SA)として吹き出されるものであってもよい。これにより、移動体Mの操作者の周辺空間を被空調空間として冷却することができる。第1ファン81は第1気化フィルタ31よりも下流側に位置するとしたがこれに限定されず、第1ファン81は、第1気化フィルタ31よりも上流側に位置するものであってもよい。
顕熱交換器4の第2経路42の出口(第2出口側開口面442に設けられた出口)から流出した第2空気は、顕熱交換器4の第2経路42の出口よりも下流側に位置する第2ファン82によって搬送され、第2吹出口72から筐体11の外部に排気(EA)として吹き出される。
第1吹出口71及び第2吹出口72は、筐体11の同じ側面(本実施形態では左側面)に設けられている。第2吹出口72は、第1吹出口71の方向に向いており、第2吹出口72から吹き出された排気(EA)は、第1吹出口71に取り付けられた吹出ダクト711の周辺近傍に吹き出されるものであってもよい。より具体的には、第2吹出口72は、
第2ファン82よりも前方向に設けられることで、第2ファン82から送られる第2空気は左前方向に吹き出される。また、吹出ダクト711がある場合は、直射日光や照明による吹出ダクト711の外表温度の上昇を抑制することができる。
第2吹出口72から吹き出された排気(EA)を、吹出ダクト711の周辺近傍に吹き出すことにより、当該吹出ダクト711の周辺空気の温度(雰囲気温度)を低下させ、吹出ダクト711から吹き出される給気(SA)が、筐体11の外の空気(外気)によって上昇することを抑制することができる。また、直射日光や照明による吹出ダクト711の外表温度の上昇を抑制することができる。
第1吹出口71及び第2吹出口72が設けられている側面とは、異なる側面に、吸込口5が設けられている。これにより、第1吹出口71及び第2吹出口72から吹き出された空気が吸込口5から吸い込まれるショートサーキット現象の発生を、抑制することができる。ただし、本実施形態の空調機1においては、換気効率を考慮する必要はなく、かつ、給気側もしくは排気側においてショートサーキット現象を発生させた場合、外気よりも低温な空気を再度冷却することになり、第1空気の湿球温度を更に下げることも可能になる利点を有している。第1吹出口71、第2吹出口72、又は、第1吹出口71及び第2吹出口72は、筐体の上面に設けられているものであってもよい。
本実施形態における図示のとおり、筐体11の側面の内、2つの吸込口5、第1吹出口71及び第2吹出口72が設けられていない側面には、開閉自在に構成された扉部111が設けられている。扉部111が設けられている側面は、第1気化フィルタ31の端部と、第2気化フィルタ32の端部とが隣接する箇所に対応した側面であり、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に最も近接した側面である。扉部111を開く(開状態にする)ことにより、筐体11の外部から内部にアクセスでき、例えば第1気化フィルタ31又は第2気化フィルタ32の交換等のメンテナンス作業を行うことができる。扉部111は、上方向の端部以外の1つの端部を蝶番により筐体11に連結され、扉部111の蝶番により連結された端部と対向する端部を開閉自在なロック機構により筐体11に固定される構成で筐体11に固定されることが好ましい。これにより、開放時における扉部111の脱落を防止でき、かつ、メンテナンス時の開状態の維持がしやすい。
当該メンテナンス作業を行うにあたり、扉部111を開けた後、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を水平方向にスライドさせて脱着可能とすることができ、筐体11の高さ、すなわち製品の高さを低くすることができる。これにより、メンテナンス性を向上させることができる。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、いずれか一つの側面のみ樹脂部材と一体成型されている。これにより、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に対するメンテナンス性を向上させつつ、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32のそれぞれのエレメント部分からの風のリーク、すなわち当該エレメント部分を通過することなく空気が流れることを抑制できる。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の一つの側面に一体成型された樹脂部材には、取手部又は把持部が設けられている。メンテナンス作業を行うにあたり、作業者は、当該取手部を持つことにより、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の脱着を容易に行うことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32から成る2つの気化フィルタが交差する関係で引き出せるものであってもよい。このような構成とすることで、部品の共通化を図り、部品コストの削減によるコストダウンを期待することができる。また、筐体11のサイズに応じて限られた点検口スペースから、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を抜き出せるものとなり、筐体11のサイズ、すなわち製品サイズの小型化を図ることができる。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32から成る2つの気化フィルタが移動しないように、これら気化フィルタを固定する抑え部が設けられており、当該抑え部が、扉部111の一部と接触及び押圧することにより、扉部111を圧接している。このような構成とすることにより、第1空気と第2空気とのリーク、すなわち第1空気と第2空気とが混合することを抑制することができる。更に、振動等により、気化フィルタのずれが発生することを抑制することができる。更に、メンテナンス作業等における気化フィルタの脱着時に、当該気化フィルタが正しく設置されない状態となることを防止することができる。
扉部111の内面には、第1気化フィルタ31を通過することなく第1流路61に空気が侵入することを抑制するための抑制部材112が、設けられている。抑制部材112は、例えばシール材により形成されるものであり、扉部111を閉める(閉状態)ことにより、扉部111の内面と第1気化フィルタ31の縁部とによって挟み込まれてシール機能を発揮し、第1気化フィルタ31を通過することなく第1流路61に空気が侵入することを抑制する。
抑制部材112は、扉部111の内面に貼付されている場合に限定されず、第1気化フィルタ31又は、第1気化フィルタ31と第2気化フィルタ32とを締結する締結部材に抑制部材112が貼付されているものであってもよい。すなわち、扉部111の内面に抑制部材112が設けられているとは、当該抑制部材112が扉部111の内面に貼付されている場合のみならず、例えば、第1気化フィルタ31等に抑制部材112が貼付されていることを含む。
空調機1は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に供給する水を貯水するタンク12を備える。当該タンク12は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32等を収納する筐体11とは、別体として構成されている。空調機1において本体となる筐体11と、別体として構成されるタンク12とは、供給水路91及び回収水路92によって接続(連通)されている。タンク12から、筐体11に収納される第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に供給する水は、供給水路91を流れる。第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32にて気化しなかった水は、回収水路92を流れて、タンク12に回収される。供給水路91及び回収水路92は、軟性樹脂によるホース、又は硬性樹脂による配管によって構成される。本実施形態のように移動体Mに設置される場合、タンク12は給水及び交換がしやすい操作者の背面又は足元に設置されるのが好ましい。また、供給水路91及び回収水路92は、操作者の視認性確保及び、操作時に引っ掛けて漏水することを防止するために、ヘッドガードの柱などに結束しておくことが好ましい。
図5に示すように、供給水路91には、給水ポンプ913及び供給水センサ914が設けられている。筐体11とタンク12とが、異なる場所に載置され、筐体11及びタンク12の間で高低差(揚程)が生じる場合、当該揚程に対応した送水能力を有する給水ポンプ913によって、下方にあるタンク12から、上方の筐体11に水を送り出すことができる。供給水センサ914は、例えば、供給水路91の内部に設けられ、当該供給水路91に流れる水量に応じたセンサ値(検出値)を出力する。
図5に示すように、回収水路92には、回収ポンプ923及び回収水センサ924が設けられている。筐体11とタンク12とが、異なる場所に載置され、筐体11がタンク12よりも上方にある場合であっても、回収ポンプ923によってドレンパン34に溜まっている水を確実に回収することができる。回収水センサ924は、例えば、回収水路92の内部に設けられ、当該回収水路92に流れる水量に応じたセンサ値(検出値)を出力する。本実施形態においては、供給水センサ914及び回収水センサ924がそれぞれ設けられているが、いずれか一方により実現されてもよい。更に、給水ポンプ913又は回収ポンプ923のトルクを検出することによって供給又は回収された水量を推定し、供給水センサ914及び回収水センサ924を備えない構成としてもよい。又は、空調機1は、回収水センサ924のみを備える構成であってもよい。回収水センサ924により、ドレンパン34から排水され、タンク12に回収される水を検出することができ、供給水センサ914を不要とすることで、空調機1に搭載させるセンサの個数を削減し、部品コストの低減によるコストダウンを図ることができる。
図5に示すように、給水ポンプ913、供給水センサ914、回収ポンプ923及び回収水センサ924は、後述するコントローラ130に接続されており、コントローラ130は、供給水センサ914、回収水センサ924、又は双方のセンサからの出力されるセンサ値に基づき、給水ポンプ913及び回収ポンプ923を駆動する。
タンク12から延設された供給水路91の一部は、筐体11の内部に収納され、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の上方に取り付けられている給水部33に連通している。筐体11に内部に収納される供給水路91の一部は、集塵フィルタ53により区切られる上流側空間(吸込流路51)に設けられている。空調機1が移動体Mに載置され屋外で使用される際、タンク12内の水の温度は、直射日光等により熱され、外気温度(吸込空気の温度)よりも高くなる場合がある。このような場合であっても、上流側空間(吸込流路51)に位置する供給水路91に流れる水(供給水)は、当該吸込流路51に流れる吸込空気と熱交換され、当該水(供給水)を吸込空気により冷却し、空調機1における冷却効率を向上させることができる。上流側空間に配置される供給水路91の外周面には、例えばフィン等が設けられており、吸込空気と熱交換する際の伝熱面積を増加させることにより、伝熱効率を向上させるものであってもよい。また、供給水路91内の水を冷却する構成として、第2流路62の顕熱交換器4の下流を供給水路91が通るように配置してもよい。
給水部33に流入した水(供給水)は、第1気化フィルタ31側の第1供給水路911と、第2気化フィルタ32側の第2供給水路912とにより分流され、給水部33に設けられた第1給水孔331を通過して第1気化フィルタ31に滴下し、第2給水孔332を通過して第2気化フィルタ32に滴下する(図7参照)。第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に滴下した水は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32それぞれに浸透する。この時、水(供給水)は、ポンプによる水圧、水の自重、及び、第1流路61及び第2流路62内部が負圧であることから、第1給水孔331及び第2給水孔332から順次滴下される。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に浸透した水は、第1空気及び第2空気が通過する際に気化されるが、給水量及び空調機1が使用される環境の相対湿度によっては、供給された水の一部が液体の状態で、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の下方に位置するドレンパン34に流れ込む。ドレンパン34は、例えば、第1気化フィルタ31に対応した領域(第1ドレン領域)と、第2気化フィルタ32に対応した領域(第2ドレン領域)とによる2つの領域に区分けされている。区分けされることにより、ドレンパン34に流れ込んだ第1空気及び第2空気の混合を抑えることができる。
ドレンパン34とタンク12とは、回収水路92によって連通しており、当該回収水路92は、第1ドレン領域に連通している第1回収水路921と、第2ドレン領域に連通している第2回収水路922とを含む(図5参照)。第1回収水路921と第2回収水路922とは合流した後、回収ポンプ923を介してタンク12と連通している。ドレンパン34(第1ドレン領域及び第2ドレン領域)に流れ落ちた水(回収水)は、回収水路92(第1回収水路921及び第2回収水路922)を介して、タンク12に回収される。図5に示すように、回収ポンプ923が、第1回収水路921及び第2回収水路922に対応した2つの入水口を有する場合、第1回収水路921及び第2回収水路922は、回収ポンプ923の入水口それぞれに接続され、当該回収ポンプ923にて合流されるものであってもよい。
タンク12と、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32とは、供給水路91及び回収水路92により連通される。従って、タンク12、供給水路91、給水部33、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32、ドレンパン34、及び回収水路92を経て、タンク12に水が回収(戻る)される循環回路が形成される。当該循環回路により、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32にて気化しなかった水をタンク12内に効率的に回収し、筐体11の内部に残存する水の量を低減させ、筐体11内における衛生度を向上させることができる。
図3は、顕熱交換器4の配置態様を例示する模式的平面図である。図3は、集塵フィルタ53及び給水部33などの一部構成を省略している。顕熱交換器4は、正面視にて矩形状を成し、例えば直方体の外観を有する。顕熱交換器4に設けられている第1経路41及び第2経路42は、直交しており、本実施形態においては、第1経路41及び第2経路42の交差角度は、例えば90°である。
顕熱交換器4は、端面(側面)として、第1入口側開口面431、第2入口側開口面432、第1出口側開口面441及び第2出口側開口面442を備え、隣接するそれぞれの端面(側面)による角度は、例えば90°である。第1入口側開口面431、第2入口側開口面432、第1出口側開口面441、及び第2出口側開口面442は、顕熱交換器4を正面視した際の周方向にて、この順番で設けられている。すなわち、第1入口側開口面431は第2入口側開口面432に隣接し、第2入口側開口面432は第1出口側開口面441に隣接し、第1出口側開口面441は第2出口側開口面442に隣接し、第2出口側開口面442は第1入口側開口面431に隣接している。
筐体11の内面と、当該内面に対向する顕熱交換器4の端面とが、鋭角を成すように顕熱交換器4は、筐体11に収納されている。以下説明のため、筐体11の前側の内面と、第1出口側開口面441との成す角を角度θと定める。例えば角度θは、10度より大きく50度未満となる鋭角を成す。角度θの下限値10度は、第1流路61の経路径を確保するために定められればよい。また、角度θの上限値は、第2経路42下流に備えられるファンモータ8及び電気ユニット13の配置及び仕切板83の配置によって定められればよい。具体的には、第1出口側開口面441の左側端部と、仕切板83の右側端部とが接続可能な位置関係になるように角度θを定められればよい。また、ファンモータ8及び電気ユニット13にも第2空気が流れやすいように、ファンモータ8及び電気ユニット13の少なくとも一方の後ろ側端部よりも前方に第1出口側開口面441の左側端部と、仕切板83の右側端部とが配置される構成を採用し、角度θの上限値を定めるのが好ましい。これにより、第2空気がファンモータ8及び電気ユニット13に流れ込みやすく、ファンモータ8及び電気ユニット13の冷却効率を高めることができる。顕熱交換器4は、筐体11の内面と、当該内面に対抗する顕熱交換器4の端面とが成す角度が0度である平行状態(姿勢位置)から、当該鋭角に相当する角度θだけ回転された状態で、筐体11に収納されている。これにより、例えば、筐体11は直方体であり、顕熱交換器4は立方体であるため、第1入口側開口面431と第1入口側開口面431に対抗する筐体11の後側の内面との角度と、第1出口側開口面441と第1出口側開口面441に対抗する筐体11の前側の内面との角度は、等しい値となる。このように所定の回転角度で回転された状態で、顕熱交換器4を筐体11に収納することにより、当該筐体11のサイズに対し、顕熱交換器4における熱交換可能な面積(熱交換面積)を大きく確保することができる。また、θが10度より大きく50度未満の範囲、かつ、45度とならない角度に設定することで、45度で設置するよりも筐体11の前後左右方向の長さを小さくすることができる。これにより、熱交換面積に対する筐体11の前後左右の長さを抑えることができるため小型化できる。同様に、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、顕熱交換器4の第2入口側開口面432及び第1出口側開口面441に沿って備えられるため、冷却ユニット3の左右方向の長さを短くすることができ、メンテナンス用に備えられた扉部111の面積も小さくすることができる。
筐体11を所定の鋭角に相当する角度θを付けて回転させて配置することにより、第1出口側開口面441と、第1出口側開口面441に対向する筐体11の前側の内面との面間距離を、第1空気の下流側に向けて段階的に大きくすることができる。具体的には、図3に示すように面間距離は、第1吹出口71に近づくにつれて、段階的に大きくなる(d3>d2>d1)。すなわち、最も下流側における第1出口側開口面441と、筐体11の内面との面間距離とを、最も大きくすることができる。これにより第1出口側開口面441から第1空気から流出する際の流路抵抗(圧力損失)を低減することができる。ちなみに第2入口側開口面432と、第2入口側開口面432に対向する筐体11の右側の内面との面間距離は、第1出口側開口面441から離れるにつれて小さくなる(k3>k2>k1)。
第1出口側開口面441に対向する第1気化フィルタ31と、第2入口側開口面432に対向する第2気化フィルタ32とは、下方に備えられるドレンパン34の上部を覆うケーシングに締結されており、L字状となるように配置されている。この場合、ドレンパン34の上部を覆うケーシングは、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を締結する締結部材として機能する。L字状に屈曲して配置される第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32により形成される角度(β)は、第1経路41及び第2経路42の交差角度(α)以上であり、例えば、60度から120度である。また、例えば顕熱交換器4がひし形である場合等を考慮して角度(β)と角度(α)の関係を式で表すと、β=α±30(度)程度であることが好ましい。第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32をL字状に屈曲させて設けることにより、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32のそれぞれに端面より形成されるL字の内側を顕熱交換器4の角部に沿わせて、これらフィルタを配置することができる。これにより、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の収納性を向上させ、筐体11の小型化を図ることができる。図3では、第1出口側開口面441と第1気化フィルタ31の長さは、小型化のために第1気化フィルタ31の長さがわずかに短くなっている。しかし、第1気化フィルタ31の長さは適宜変更してもよい。一例として、第1出口側開口面441と第1気化フィルタ31の長さは、流路断面積が同程度となるように決定されることが好ましい。これにより流路断面積が変化することによる圧力損失を軽減できる。また、第1出口側開口面441を通った第1空気は第1気化フィルタ31を通るように、第1出口側開口面441と第1気化フィルタ31の間には流路を規定する壁面(シール部材)が設置されることが好ましい。この壁面は、第1気化フィルタ31のケーシングに形成されていても、顕熱交換器4の固定部材に形成されていてもよい。第2気化フィルタ32についても第1気化フィルタ31と同様に適宜変更されてもよい。第2入口側開口面432と第2気化フィルタ32の長さは、小型化のために第2気化フィルタ32の長さがわずかに短くなっている。しかし、第2気化フィルタ32の長さは適宜変更してもよい。一例として、第2出口側開口面442と第2気化フィルタ32の長さは、流路断面積が同程度となるように決定されることが好ましい。これにより流路断面積が変化することによる圧力損失を軽減できる。また、第2出口側開口面442を通った第2空気は第2気化フィルタ32を通るように、第2出口側開口面442と第2気化フィルタ32の間には流路を規定する壁面が形成されることが好ましい。
図4は、電気ユニット13(基板131)の冷却に関する説明図である。ファンモータ8、第1ファン81及び第2ファン82は、一部が発泡スチロール等の熱伝導性が低い(断熱性を有する)伝熱抑制部材により構成されるファンケーシング84によって区画化されるファン室に、配置されている。図1及び図4において当該ファン室は、ファンケーシング84の一部を構成する仕切板83により、第1流路61と、第2流路62とに仕切られており、第1ファン81によって搬送される第1空気と、第2ファン82によって搬送される第2空気とが、混合することを防止している。
第2ファン82の側のファン室には、ファンモータ8及び電気ユニット13が設けられており、当該ファンモータ8及び電気ユニット13は、顕熱交換器4から流出した第2空気によって冷却される。図4において、第2ファン82のファン室の流路構造の詳細及び断熱材の配置は一部省略している。一例として、第2空気を整流するためのハニカム構造の整流板や、除湿用のデシカントを設置する等種々の構成を採用することが可能である。
電気ユニット13は、空調機1を制御するためのコントローラ130が実装された基板131、当該基板131の実装面の裏面に設けられた伝熱促進部材132、及び伝熱促進部材132が貼付された封止板133を含む。すなわち、伝熱促進部材132は、基板131と封止板133との間に介在して設けられており、基板131、伝熱促進部材132、及び封止板133による積層構造が形成される。伝熱促進部材132は、例えば、高放熱フィラーを高充填した絶縁性をもった、熱伝導率が高い放熱材料にて成形される伝熱シート又は伝熱ペーストである。封止板133は、銅又はアルミ等の熱伝導率が高い金属製の板であり、例えば、箱体を成す電気ユニット13の外装の一部であってもよい。基板131の実装面には、コントローラ130を構成する半導体チップ、及びコイル、キャパシタ等の電気部品が搭載されており、これら電気部品等は、電流が流れることにより発熱する。すなわち基板131は発熱源となるところ、基板131にて発生した熱は、積層構造を形成する伝熱促進部材132及び封止板133を介して、当該封止板133から第2ファン82の側のファン室の内部空間に放熱される。封止板133のファンケーシング84の側の面には、例えば、フィン、ピン又はヒートシンク等、放熱面積を増加させるための部位が設けられているものであってもよい。
電気ユニット13が配置されている場所に設けられているファンケーシング84の部位には、第2流路62に向かって貫通孔841が形成されている。当該ファンケーシング84の部位は、例えば板状の発泡スチロール等によって構成され、貫通孔841が形成されている。電気ユニット13の封止板133は、基板131の側から、ファンケーシング84の貫通孔841を封止している。
電気ユニット13は、第2ファン82のファン室とは隔離して配置されており、ファンケーシング84の貫通孔841は電気ユニット13の封止板133によって封止されているため、当該電気ユニット13に含まれる基板131が、第2空気に直接触れることを防止し、第2空気に含まれる水蒸気(湿気)による基板131への影響を防止することができる。その上で、ファンケーシング84の貫通孔841から露出する封止板133を介し、基板131と第2空気との間で熱交換可能とし、当該第2空気により基板131を冷却することができる。封止板133には、ファンケーシング84の貫通孔841から、第2ファン82のファン室の内部に向かって突出した放熱フィン又は放熱ピンが設けられているものであってもよい。封止板133の一面から突設された放熱フィン等により、第2ファン82のファン室における第2空気との伝熱面積を大きくし、伝熱効率を向上させることができる。基板131と封止板133との間には、放熱材料等による伝熱促進部材132が設けられているため、基板131と、封止板133(第2空気)との伝熱効率を向上させ、第2空気を用いて、より効率的に基板131を冷却することができる。また、電気ユニット13は、第2流路62側は伝熱抑制部材を備えず、封止板133や放熱素材で構成されてもよい。これにより、第2空気と電気ユニット13が熱交換可能な面積を増やし、冷却効率を高めることもできる。
第2ファン82のファン室を形成するファンケーシング84の一部は、第2ファン82が収納される側の筐体11の内面によって構成されるものであってもよい。当該筐体11の内面にてファンケーシング84の一部を構成することにより、第2空気によって筐体11の内面を冷却し、外気の影響により筐体11の外面の温度が上昇することを緩和することができる。また、第2ファン82を筐体11の内面に密着して配置することにより、筐体11の内面によって、第2ファン82の一面を構成するものであってもよい。これにより、第2ファン82の設置位置における第2空気の流量を増やし、当該筐体11の内面を、第2空気によって積極的に冷却し、外気の影響により筐体11の外面の温度が上昇することを緩和することができる。
第1ファン81の側のファン室は形成するファンケーシング84は、発泡スチロール等の熱伝導率が低い(断熱性を有する)伝熱抑制部材により構成されている。これにより、第1ファン81のファン室(第1流路61)を通過する第1空気に対する外気の影響を低減し、当該第1空気の温度が上昇することを抑制することができる。第1ファン81の外殻は、顕熱交換器4の第1経路41の出口と連通するファンケーシング84の部位の形状に合わせて、角落ちされた形状によるものであってもよい。
図5は、タンク12からの給水に関する説明図である。タンク12と、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32とは、供給水路91及び回収水路92により連通されている。タンク12、供給水路91、給水部33、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32、ドレンパン34、回収水路92の順に水が流れ、タンク12に水が回収される循環回路が形成される。
供給水路91は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の上部に取り付けられている給水部33に接続される。給水部33は、第1気化フィルタ31の上方に位置する第1給水領域991と、第2気化フィルタ32の上方に位置する第2給水領域992とを含む。
給水部33は、上方に開口を有する皿状を成し、皿状を成す給水部33の内面にて形成されているリブ又は溝により、タンク12から供給された水が流れる第1供給水路911及び第2供給水路912が、形成される。第1供給水路911及び第2供給水路912は、供給水路91の一部を構成する。第1供給水路911は第1給水領域991に含まれ、第2供給水路912は第2給水領域992に含まれる(図7)。給水部33に流入した水は、第1供給水路911及び第2供給水路912によって分流される。
第1供給水路911を流れる水は、第1供給水路911に設けられた第1給水孔331を通過して第1気化フィルタ31に滴下する。第2供給水路912を流れる水は、第2供給水路912に設けられた第2給水孔332を通過して第2気化フィルタ32に滴下する。第1ファン81は第1気化フィルタ31よりも第1空気の流れ方向において下流に設けられており、同様に、第2ファン82は第2気化フィルタ32よりも第2空気の流れ方向において下流に設けられている。従って、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、負圧の状態にあるため、こられ第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32への水の滴下、及び浸透を促進することができる。第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に滴下した水(供給水)は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に浸透して気化され、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を通過する第1空気及び第2空気に水蒸気として混在するものとなる。空調機1が使用される環境の相対湿度及び水の供給量によっては、供給された水の一部は、気化せず液体の状態で、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の下方に位置するドレンパン34に流れ込む。
ドレンパン34は、例えば、第1気化フィルタ31に対応した領域(第1ドレン領域)と、第2気化フィルタ32に対応した領域(第2ドレン領域)とによる2つの領域に区分けされており、第1ドレン領域には第1回収水路921が連通し、第2ドレン領域には第2回収水路922が連通している。当該第1回収水路921及び第2回収水路922は、回収水路92の一部を構成する。第1回収水路921と第2回収水路922は合流した後、回収ポンプ923を介してタンク12と連通している。これにより、ドレンパン34に流れ落ちた水(第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32にて気化しなかった水)は、回収水路92(第1回収水路921と第2回収水路922)を介して、タンク12に回収される。上記の例においては、第1ドレン領域と第1回収水路921の接続点、及び第2ドレン領域と第2回収水路922接続点は隣接している、もしくは移動体Mの傾きが変わっても排水能力が変化しないように第1ドレン領域及び第2ドレン領域が同様の形状及び傾きで備えられるのが好ましい。また別の例では、ドレンパン34は、第1ドレン領域及び第2ドレン領域の2つの領域に区分けされず、第1回収水路921及び第2回収水路922が1つの回収水路であってもよい。これにより、第1回収水路921又は第2回収水路922の何れか一方から回収ポンプ923が空気を吸い込むことによる回収ポンプ923の排水能力の低下を低減できる。つまり、空調機1内部の水を十分に排水し、スライムの発生も抑制できる。
供給水路91には供給水センサ914が設けられ、回収水路92には回収水センサ924が設けられている。供給水センサ914及び回収水センサ924は、例えば、供給水路91及び回収水路92に流れる水により回転する水車部を備え、当該水車部の回転に応じて、供給水路91及び回収水路92に流れる水の有無、又は水量(体積流量)に関するセンサ値(検出値)を出力する。
供給水センサ914及び回収水センサ924は、コントローラ130(基板131)に通信可能に接続されており、コントローラ130は、供給水センサ914及び回収水センサ924から出力されるセンサ値に基づき、供給水路91及び回収水路92に流れる水の有無、又は水量(体積流量)に関するデータを取得することができる。コントローラ130は、例えばメモリ等の記憶部、及びMPU等の制御部を備えたマイコンにより構成される。
コントローラ130は、更に給水ポンプ913及び回収ポンプ923と通信可能に接続されており、例えば駆動信号を送信することにより、当該給水ポンプ913及び回収ポンプ923の駆動及び停止等の駆動制御を行う。コントローラ130は、供給水センサ914及び回収水センサ924に基づき、供給水路91及び回収水路92に流れる水の有無等のデータを取得するとしたが、これに限定されない。コントローラ130は、例えば、給水ポンプ913及び回収ポンプ923に含まれるモータの電流値(モータ電流値)をシャント抵抗等を用いて取得し、当該モータ電流値等に基づき、供給水路91及び回収水路92に流れる水の有無等を判定するものであってもよい。供給水路91及び回収水路92に流れる水がない場合、給水ポンプ913及び回収ポンプ923のモータは空転することになり、モータにかかるトルクは低減し、モータ電流値も低減する。従って、当該モータ電流値に対し所定の閾値を設け、所定の閾値以下の場合、コントローラ130は供給水路91及び回収水路92に流れる水が無い旨を判定することができる。
供給水路91及び回収水路92に配置される給水ポンプ913、供給水センサ914、回収ポンプ923、及び回収水センサ924は、全て筐体11に収納される。すなわち、タンク12には、供給水路91及び回収水路92が連通されるのみであり、給水ポンプ913、供給水センサ914、回収ポンプ923、及び回収水センサ924等の電気部品は、搭載されない。これにより、タンク12の構造及び構成を簡易化し、筐体11とは別体として構成されるタンク12の載置自由度を向上させることができる。
図6は、ポンプ(給水ポンプ913、回収ポンプ923)の駆動に関する説明図である。コントローラ130は、給水ポンプ913及び回収ポンプ923の駆動する時間帯を異ならせて、給水ポンプ913及び回収ポンプ923を駆動する。コントローラ130は、給水ポンプ913及び回収ポンプ923の駆動を周期的に行う。これにより、給水ポンプ913及び回収ポンプ923は、駆動状態及び停止状態を周期的に繰り返す、間欠運転を行う。
コントローラ130は、例えば空調機1の操作者の操作により当該空調機1の運転が開始された際、回収ポンプ923よりも先に、給水ポンプ913を駆動する。すなわち、給水ポンプ913の駆動開始時点と、回収ポンプ923の駆動開始時点との間には、所定の遅延時間が設けられている。空調機1の運転開始は、移動体Mの始動に連動させてもよい。遅延時間は、例えば、供給水センサ914から出力される給水量が所定量を超えるまでの可変時間であってもよい。また、遅延時間はあらかじめ定められた一定時間であってもよい。
コントローラ130は、例えば、回収水センサ924から、回収水路92に水が流れていることを示すセンサ値を取得した場合、給水ポンプ913の駆動を停止する。回収水路92に水(回収水)が流れるということは、第1気化フィルタ31又は第2気化フィルタ32にて気化されなかった水がドレンパン34に流れ落ちてきていることを示している。
そこで、回収水センサ924から回収水路92に水が流れていることを示すセンサ値が出力された場合、給水ポンプ913の駆動を停止することにより、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に過度に水(供給水)が供給されることを抑制することができる。
空調機が、例えばフォークリフト等の移動体に載置される場合、空調機の本体の電源のオン・オフは、フォークリフトのエンジンのキースイッチのオン・オフに連動して行われるものであってもよい。すなわち、フォークリフトのエンジンをオンにすることにより空調機の電源はオンにされ、フォークリフトのエンジンをオフにすることにより空調機の電源はオフにされるものであってもよい。前回の運転においてタンクが空と判断された後に空調機の電源がオフにされ、これ以降にて1回目、すなわち最初の給水タイミングの際、コントローラ130は、他の給水タイミングよりも、多く水を給水するように給水ポンプ913を長く駆動して、初期給水動作を行うものであってもよい。このような制御態様とすることにより、タンクが空の場合は送風状態で使われているため、気化フィルタが乾燥しきってしまう等、過度に乾燥することを抑制することができる。当該初期給水動作を、空調機の電源がオンにされた際に常に実行することなく、前回の運転においてタンクが空と判断された後のみとすることにより、給水ポンプ913の駆動時間が長くなることを抑制し、長時間駆動されることによる給水ポンプ913の経年劣化を緩和することができる。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に過度に水が供給された場合、これらフィルタを通過する第1空気及び第2空気と、当該水との間における顕熱交換が促進され、水の気化量が低減することが懸念される。これに対し、上述のように給水ポンプ913の駆動を停止して水の供給量の適正化を図り、当該水の気化を効率的に行うことができる。
コントローラ130は、給水ポンプ913を駆動させて第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に水を供給するにあたり、第2気化フィルタ32の表面に接触させて設けられた熱電対を用いて測定した外気の湿球温度に基づき、給水ポンプ913の駆動制御を行うものであってもよい。第2気化フィルタ32における第2空気の上流側の表面には、例えば熱電対が接触して設けられており、当該熱電対を用いて、外気の湿球温度及び乾球温度を測定することができる。コントローラ130は、湿球温度及び乾球温度の差分に基づき気化可能量を導出し、導出した気化可能量に応じて給水タイミングを予測し給水するものであってもよい。このような制御形態とすることにより、不要な給水量をへらすことができ、給水ポンプ913、又は回収ポンプ923の稼働時間を減少させ、長時間駆動されることによる経年劣化を緩和することができる。又は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の後に熱電対を設けておき、個別で監視しておき温度上昇が確認されたいずれかの気化フィルタのみに給水を行うものであってもよい。不要な給水量をへらすことができ、給水ポンプ913、又は回収ポンプ923の稼働時間を減少させ、長時間駆動されることによる経年劣化を緩和することができる。
コントローラ130は、給水ポンプ913の駆動を停止した後、給水ポンプ913の駆動時間よりも回収ポンプ923の駆動時間が長くなる時点にて、回収ポンプ923を停止する。すなわち、コントローラ130は、給水ポンプ913の駆動時間(P1)よりも、回収ポンプ923の駆動時間(P2)を長くして(P1<P2)、給水ポンプ913及び回収ポンプ923の駆動制御を行う。回収ポンプ923を給水ポンプ913よりも長く駆動することにより、ドレンパン34に滞留する水を確実に回収し、筐体11の内部に残存する水の量を低減させ、筐体11内における衛生度を向上させることができる。
コントローラ130は、回収ポンプ923の駆動を停止した後、給水ポンプ913の駆動を開始する。当該開始により、次位の周期における給水ポンプ913及び回収ポンプ923の駆動が開始される。これにより、給水ポンプ913及び回収ポンプ923による間欠運転が行われ、給水ポンプ913及び回収ポンプ923に対し、コントローラ130による周期的な駆動制御が、継続されるものとなる。本制御に関しては、種々の構成を採用することが可能である。一例として給水ポンプ913の駆動時間(P1)は、回収水センサ924の出力タイミングに関わらず、所定時間実行する構成でもよい。これにより、十分に水が供給されないままに回収水センサ924の出力を検知して給水ポンプ913を停止してしまうことを回避することができる。具体的には、乾燥状態の第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の表面を伝って流れ落ちる供給水を回収水センサ924が検知してしまい十分な給水ができない状態で給水ポンプ913を停止することを回避できる。特に、起動時の初回の給水ポンプ913駆動タイミングにおいて有効となる。つまり、起動時の初回の給水ポンプ913駆動タイミングのみ必要十分な給水が可能な駆動時間を設定してもよい。また、回収ポンプ923で水を空調機1内部から積極的に回収する構成を採用しているため、あらかじめ定めた所定時間で間欠運転させる構成であっても十分な冷却効果及び排水効果を実現することも可能である。
図7は、冷却ユニット3の一構成を例示する模式的斜視図である。冷却ユニット3は、吸込口5が設けられている側面の側に偏倚させて、当該筐体11に収納されている。冷却ユニット3は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32、給水部33、及びドレンパン34を含む。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の上部に給水部33が設けられており、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の下部にドレンパン34が設けられている。すなわち、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、上下方向において、給水部33とドレンパン34とによって挟持されている。
ドレンパン34は、例えば樹脂製又は金属製であり、上方に開口面を有する皿状を成す。ドレンパン34は正面視にてL字状を成し、屈曲している。L字を構成するそれぞれの辺に相当する領域には、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32が載置されている。第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32はドレンパン34に締結されており、ドレンパン34は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を締結する締結部材として機能する。
ドレンパン34は、例えば、第1気化フィルタ31に対応した領域(第1ドレン領域)と、第2気化フィルタ32に対応した領域(第2ドレン領域)とによる2つの領域に区分けされている。第1ドレン領域には、第1回収水路921に連通するための孔が設けられている。第2ドレン領域には、第2回収水路922に連通するための孔が設けられている。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、矩形状のフィルタエレメントを含み、当該フィルタエレメントは、例えばレーヨン・ポリエステル、不織布等によって成形されている。第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、吸水性を有し、タンク12から供給された水(供給水)が第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32(フィルタエレメント)の全面に浸透することにより、当該水の気化を促進する。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、L字状のドレンパン34の上に載置され、当該ドレンパン34に締結されることにより、L字状に屈曲して配置されている。L字状に構成される第1気化フィルタ31と第2気化フィルタ32との角度は、例えば60度から120度である。このように第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32をL字状に屈曲させて設けることにより、L字の内側を、矩形状を成す顕熱交換器4の角部に向け、当該角部にL字の内側を沿わせて、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を配置することができ、これらフィルタ等の収納性を向上させて筐体11の小型化を図ることができる。
給水部33は、例えば樹脂製であり、上方に開口を有する皿状を成す。給水部33は、ドレンパン34と同様に正面視にてL字状を成し、屈曲している。給水部33には、供給水路91に接続される管部335が突設されており、当該管部335を通過した水(供給水)は、給水部33の内部に流入する。皿状を成す給水部33の内面には、複数のリブによる溝が設けられており、当該溝に沿って供給水が流れる。
管部335を通過した水(供給水)は、2つに分岐する溝により分流され、一方の溝による流路が第1供給水路911に相当し、他方の溝による流路が第2供給水路912に相当する。第1供給水路911は、第1気化フィルタ31に連通しており、第2供給水路912は、第2気化フィルタ32に連通している。供給水路91に接続される管部335から2つに分岐した第1供給水路911及び第2供給水路912は、一定の幅にて延設された後、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32のそれぞれの長手方向に沿って当該幅が広がるT字状の形状を成す。
第1供給水路911及び第2供給水路912において、T字状における上辺の部分(領域)、すなわち第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32のそれぞれの長手方向に沿ったそれぞれの部分(領域)には、複数の第1給水孔331及び第2給水孔332が、設けられている。第1供給水路911における複数の第1給水孔331は、第1気化フィルタ31に対向する第1出口側開口面441の側に設けられており、すなわち第1気化フィルタ31に第1空気が通過するにあたっての上流側に設けられている。第2供給水路912における複数の第2給水孔332は、第2気化フィルタ32に対向する第2入口側開口面432の反対側に設けられており、すなわち第2気化フィルタ32に第2空気が通過するにあたっての上流側に設けられている。
このように給水部33に設けられる第1給水孔331及び第2給水孔332を、空気(第1空気、第2空気の)の流れ方向における上流側に設けることにより、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に浸透した水の密度分布を上流側に偏らせることができる。これにより、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32における水の気化を促進し、冷却効率を向上することができる。また、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に浸透した水が液体の状態で、第1空気及び第2空気と共に流出する液飛び現象を抑制することができる。
第1給水孔331と第1気化フィルタ31との間には、親水性の介在部材が設けられているものであってもよい。同様に、第2給水孔332と第2気化フィルタ32との間には、親水性の介在部材が設けられているものであってもよい。当該介在部材を設けることにより、第1給水孔331から第1気化フィルタ31に給水される水をより均一に給水、すなわち滴下させることができる。同様に、第2給水孔332から第2気化フィルタ32に給水される水をより均一に給水、すなわち滴下させることができる。このような構成とすることにより、より少ない給水量で効率よく給水できるので、給水ポンプ913及び回収ポンプ923の稼働時間を減らすことができる。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を含め、冷却ユニット3はL字状に構成されている。これにより、冷却ユニット3を筐体11に収納するにあたっての収納性を向上させ、当該筐体11の小型化を図ることができる。
図8は、空調機1を移動体Mに載置した態様を例示する模式的側面図である。冷却ユニット3等が収納される筐体11と、当該冷却ユニット3に供給する水を貯留するタンク12とを含む空調機1は、例えば、フォークリフト等の車両(移動体M)に搭載される。移動体Mは、フォークリフトの他にゴルフカート、小型ショベルカー、タレット、トライクなど種々の車両が考えられる。この場合は、電力を車両側からとることで、車両の起動と同時に空調機1を起動できる。また、電力供給減を車両と共通化できる。
筐体11は、例えばフォークリフトの天面(ヘッドガード)の上部に載置される。タンク12は、例えばフォークリフトの後面部(バランスウェイト)、又は天面(ヘッドガード)を支持する支柱等、筐体11が載置された場所よりも下方の場所に載置される。タンク12を筐体11よりも下方に載置することにより、筐体11に収納されているドレンパン34内の水を、重力(水の自重)を用いて、確実にタンク12に回収することができ、筐体11の内部に残存する水の量を低減させ、筐体11内における衛生度を向上させることができる。
供給水路91及び回収水路92に配置される給水ポンプ913、供給水センサ914、回収ポンプ923、及び回収水センサ924等の電気部品は、全て筐体11に収納されており、タンク12には、これら電気部品は搭載されない構成としている。従って、タンク12の構造及び構成を簡易化し、軽量化することができ、フォークリフト等の移動体Mに空調機1を搭載するにあたり、タンク12の載置自由度を向上させることができる。
筐体11に設けられた第1吹出口71には、吹き出し方向の可変(調整)が可能な吹出ダクト711が取り付けられており、当該吹出ダクト711は、筐体11が載置された天面の下方に向けて延設されている。従って、第2空気(排気)を吹き出す第2吹出口72は、天面の上部に位置させつつ、被空調空間となるフォークリフトの運転席には、吹出ダクト711を介して第1空気(空気)を吹き出すことができ、当該運転席に位置するフォークリフトの操作者に対する冷却を効率的に行うことができる。
第2空気(排気)を吹き出す第2吹出口72の吹き出し方向は、吹出ダクト711の周辺近傍としており、これにより、第2吹出口72から吹き出された第2空気によって、吹出ダクト711の周辺空気の温度(雰囲気温度)を低下させることができる。これにより、吹出ダクト711から吹き出される第1空気(給気)が、外気(筐体11の外の空気)によって上昇することを抑制することができる。
タンク12と、筐体11(冷却ユニット3)とは、供給水路91及び回収水路92によって連通してある。例えば、軟性樹脂によるホース等により構成される供給水路91及び回収水路92は、天面を支持する支柱に沿って、配設されるものであってもよい。供給水路91及び回収水路92を当該支柱に沿わせて配設するにあたり、例えばタイラップ等の締結部材により、供給水路91及び回収水路92を支柱に締結するものであってもよい。これにより、フォークリフトの走行により発生する振動により、供給水路91及び回収水路92が、タンク12又は筐体11から外れることを抑制することができる。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、図3に示すようにL字に備えられた例を説明したがこの限りではない。具体的には、第1気化フィルタ31は第1流路61を流れる第1空気が通過可能であればよく、第2気化フィルタ32は第2流路62を流れる第2空気が通過可能であればよい。例えば、図1を参考に、第1気化フィルタ31は、第1出口側開口面441の左側端部と筐体11の前側面との間に形成される第1流路61において第1出口側開口面441を覆うように第1気化フィルタ31が形成されていてもよい。同様に、第2気化フィルタ32は、第2入口側開口面432の右側端部と筐体11の前側面との間に形成される第2流路62において第2入口側開口面432を覆うように第2気化フィルタ32が形成されていてもよい。
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る空調機1の一構成を例示する模式的正面図である。図10は、空調機1の一構成を例示する模式的側面図である。図10においては、空調機1を前方向から見た状態の配置関係を模式的に示している。なお、図10は、図2におけるB-B線において切断した断面を、前方向から模式的に示したものである。実施形態2に係る空調機1は、実施形態1と同様に、筐体11、タンク12、電気ユニット13、冷却ユニット3、顕熱交換器4、ファンモータ8、第1ファン81、第2ファン82、給水ポンプ913及び回収ポンプ923を備え、第1空気(給気)が流れる第1経路、及び第2空気(排気)が流れる第2経路を含む。
実施形態2の冷却ユニット3は、実施形態1と同様に第1気化フィルタ31、第2気化フィルタ32、給水部33、及びドレンパン34を備える。実施形態2の給水部33は、第1気化フィルタ31の上部に載置される第1給水部33Aと、第2気化フィルタ32の上部に載置される第2給水部33Bとを含み、当該第1給水部33Aと第2給水部33Bとは、分離した形態にて、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の上部に載置される点で、実施形態1と異なる。
本実施形態における図示のとおり、給水ポンプ913及び回収ポンプ923は、顕熱交換器4の上方に並んで設けられている。給水ポンプ913は、実施形態1と同様に供給水路91に設けられており、当該供給水路91において、筐体11(本体)とタンク12(別体)とは、例えば止め弁(閉鎖弁)を介して、供給水路91は連通している。
回収ポンプ923及び給水ポンプ913を顕熱交換器4の上方にて横並びに載置し、筐体11の天板を開けることにより、これらポンプに対しアクセス可能とするものであってもよい。これにより、空調機1のメンテナンス時等における回収ポンプ923及び給水ポンプ913の点検又は交換等の作業効率を向上させることができる。給水ポンプ913と回収ポンプ923を横並びに載置することにより、上下それぞれに載置スペースを設ける必要がなくなり、筐体11の高さを小さくし製品の小型化を図ることができる。
給水ポンプ913によって、タンク12からくみ上げられた水(供給水)は、供給水路91を介して、給水部33(第1給水部33A、第2給水部33B)に供給される。給水ポンプ913と、第1給水部33A及び第2給水部33Bとの間の供給水路91には、第1供給水路911及び第2供給水路912に分岐する分岐路が設けられている。当該分岐路は、顕熱交換器4の上方に位置するものであってもよい。供給水路91にて形成されている分岐路によって、分岐された第1供給水路911及び第2供給水路912は、第1給水部33A及び第2給水部33Bに接続されている。すなわち、第1供給水路911は第1給水部33Aに連通し、第2供給水路912は第2給水部33Bに連通している。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32のそれぞれに対し、個々に対応するように第1給水部33Aと第2給水部33Bとを分離した構成とする。その上で、供給水路91の分岐路によって分岐した第1供給水路911及び第2供給水路912を、第1給水部33A及び第2給水部33Bに連通させることにより、第1給水部33A及び第2給水部33Bのそれぞれに供給される水の量(水量)において、偏りが発生することを抑制することができる。すなわち、第1給水部33A及び第2給水部33Bの外側に位置する分岐路にて、水(供給水)を分流する。これにより、例えば移動体Mに載置された空調機1が当該移動体Mの挙動により傾き、第1給水部33A及び第2給水部33Bにて高低差が生じた場合であっても、第1給水部33A及び第2給水部33Bに流入する水量において、偏流が発生することを抑制することができる。従って、空調機1が移動体Mに載置され、当該移動体Mが移動する路面の状態等により、空調機1の姿勢が変化する場合であっても、第1給水部33A及び第2給水部33Bのそれぞれに供給される水量の均等化を図ることができる。
第1供給水路911を介して第1給水部33Aに流入した水(供給水)は、実施形態1と同様に第1給水孔331を介して、第1気化フィルタ31に滴下される。第2供給水路912を介して第2給水部33Bに流入した水(供給水)は、実施形態1と同様に第2給水孔332を介して、第2気化フィルタ32に滴下される。
回収ポンプ923は、実施形態1と同様に回収水路92に設けられており、当該回収水路92において、筐体11(本体)とタンク12(別体)とは、例えば止め弁(閉鎖弁)を介して、回収水路92は連通している。実施形態1と同様にドレンパン34に流れ落ちた水(回収水)は、回収水路92を介して、タンク12に回収される。
第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32から流れ落ちた水は、ドレンパン34で1箇所に集約し、回収水路92として合流され、回収ポンプ923に接続されるものであってもよい。すなわち、ドレンパン34において、第1気化フィルタ31を追加した後の第1回収水路921と、第2気化フィルタ32を追加した後の第2回収水路922とが、1箇所に集約(合流)するものであってもよい。このような構成とすることにより、例えば空調機1が移動体に載置され、当該移動体の挙動により筐体11が傾いた場合であっても、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32から流れ落ちた水をドレンパン34の1箇所、すなわち回収水路92と連通している連通孔に集約し、水を確実に回収ポンプ923によって搬送することができる。すなわち、例えばドレンパン34に複数の連通孔が設けられている場合、筐体11が傾いた際、いずれかの連通孔から空気が回収ポンプ923によって引かれ、他方の連通孔から水を引くことができなくなることが懸念されるところ、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32から流れ落ちた水をドレンパン34で1箇所に集約して、回収水路92を介して回収ポンプ923により搬送することにより、当該水を確実にタンク12に回収することができる。
図11は、冷却ユニット3の一構成を例示する模式的斜視図である。実施形態2の冷却ユニット3は、実施形態1と同様に第1気化フィルタ31、第2気化フィルタ32、ドレンパン34、及び給水部33を備え、当該給水部33は、別個に構成される第1給水部33A及び第2給水部33Bを含む。
ドレンパン34はL字状を成し、当該L字を構成するそれぞれの辺を構成する領域には、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32が載置されている。第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、ドレンパン34に載置されることにより、L字状に締結されている。
第1気化フィルタ31の上部には第1給水部33Aが載置され、第2気化フィルタ32の上部には第2給水部33Bが載置され、これにより第1給水部33A及び第2給水部33Bは、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32と同様にL字状を成すように配置される。このような構成とすることにより、冷却ユニット3の外殻がL字状となるように構成することができ、冷却ユニット3の収納性を向上させ、当該冷却ユニット3を収納する空調機1の筐体11の小型化を図ることができる。
図12は、給水部33の内部構造を例示する説明図である。図13は、給水部33の一構成を例示する模式的側面図である。図14は、給水部33の要部を例示する説明図である。図12は、給水部33を上方から見た図であり、図13は、給水部33を管部335側から見た時の中央断面図(C-C線において切断した断面)である。図12から図14に示す給水部33は、図11に示す給水部33の変形構成である。本実施形態における図示において、給水部33を構成する第1給水部33Aに基づき、当該第1給水部33Aの構造を説明する。なお、第2給水部33Bの構造は、第1給水部33Aの構造と同様である。
第1給水部33Aは、内部が中空構造となっている箱体を成し、水(供給水)が流入する横長形状の容器部333と、当該容器部333を上方より封止する矩形状の天面部334とを含む。容器部333の上部に位置する開口面は、天面部334によって塞がれることにより、容器部333は封止され、内部が中空構造となる第1給水部33Aが構成される。
天面部334の面積(正面視による天面部334の面積)は、容器部333の上部に位置する開口面の開口面積よりも広く、天面部334の周縁は、容器部333の開口縁より外側に位置している。従って、天面部334の下面には、容器部333が設けられている領域と、当該容器部333が設けられている領域の周辺となる周辺領域とが、形成されている。
容器部333の側面における中央部には、筒状の管部335が設けられており、当該管部335には、供給水路91(第1供給水路911)が連通する。第1供給水路911を流れる水(供給水)は、管部335を介して、容器部333に流入する。すなわち、第1給水部33Aの管部335及び容器部333の内部空間は、第1供給水路911の一部を構成する。容器部333は、第1給水部33Aが載置される第1気化フィルタ31の長手方向に沿って設けられており、容器部333と、当該容器部333の側面から突設されている管部335とによって、T字状の水路が形成される。当該T字状の水路は、第1供給水路911の一部を形成する。
容器部333の底面には、実施形態1と同様に複数(図示においては13個)の第1給水孔331が、当該容器部333の長手方向に沿って設けられている。すなわち第1給水孔331は、第1給水部33Aが載置される第1気化フィルタ31の長手方向に沿って設けられている。一例として、第1給水孔331は、容器部333の中央に設けられた第1給水孔331を中心点として点対称に長手方向に配置される。容器部333を、第1気化フィルタ31を通過する第1空気の上流側に配置することにより、容器部333に設けられた第1給水孔331を第1空気の上流側に偏倚させるものであってもよい。
容器部333の長手方向におけるそれぞれの両端には、抜孔336が設けられている。抜孔336は、容器部333の側面を貫通させて設けており、底面に設けられている第1給水孔331よりも、上方に形成されている。例として、抜孔336は、容器部333の最上部に設けられる。更に、抜孔336の開口面積は、第1給水孔331の開口面積よりも小さく設けられる。これにより、水よりも比重が軽い空気が抜孔336から優先的に排出できる。言い換えれば、大半の供給水は第1給水孔331から第1気化フィルタ31に滴下される。一例として、抜孔336が設けられている側面は、管部335が設けられている側面の反対側に位置する側面である。側面を貫通して設けられている抜孔336の貫通方向は、底面に設けられている第1給水孔331の貫通方向に対し90°の角度を形成し、すなわち抜孔336の貫通方向は、第1給水孔331の貫通方向とは異なる。
容器部333は天面部334によって封止されることにより、容器部333(第1給水部33A)の内部にて空気が滞留することが懸念されるところ、抜孔336は、第1給水孔331よりも上方に形成されているため、容器部333の上方にて滞留した空気を効率的に排出することができる。抜孔336は、容器部333の長手方向における両端のそれぞれに設けられており、管部335は、容器部333の長手方向における中央部に設けられている。従って、中央部に位置する管部335から容器部333の内部に水が流入した際、当該水によって両端に寄せられる空気を抜孔336から効率的に排出することができる。一例として、容器部333の壁部に形成された切り欠き部と天面部334が対向して、抜孔336が形成されればよい。又は、容器部333の壁面より少し大きな凹部を天面部334に設け、容器部333が天面部334により封止されることにより、抜孔336が形成されてもよい。
容器部333を上方より封止する天面部334の下面は、容器部333が設けられている領域と、当該容器部333が設けられている領域の周辺となる周辺領域とを含む。当該周辺領域には、抜孔336から流出(吐出)した水を受ける水受壁337が、設けられている。
水受壁337は、天面部334の下面から、下方、すなわち第1気化フィルタ31の側に向かって、突出して設けられている。水受壁337は、例えばリブにより構成され、L字状をなす。水受壁337をL字状に構成することにより、当該水受壁337の剛性を向上させることができる。また、L字状に形成することにより、抜孔336に対向する水受壁337にあたって飛び散る供給水をL字部分で受け止め、確実に第1気化フィルタ31に滴下することができる。L字状を成す水受壁337において、当該L字の長辺に相当する壁面は、抜孔336の貫通方向に対し、垂直となるように設けられている。L字の短辺に相当する壁面は、抜孔336の貫通方向に対し、平行となるように設けられている。L字状を成す水受壁337は、当該L字の内側を、矩形状を成す容器部333の角部に向け、当該角部に沿わせて設けられている。
容器部333の側面を貫通させて設けられている抜孔336は、容器部333の内側の開口端部と、容器部333の外側の開口端部とを備える。L字状を成す水受壁337の長辺に相当する壁面は、抜孔336の貫通方向に対し垂直であり、すなわち、当該壁面は、抜孔336における外側の開口端部に対向して設けられている。従って、抜孔336から流出(吐出)した水は、L字状を成す水受壁337の長辺に相当する壁面にあたり、当該壁面によって受けられた後、壁面の突設方向である下方に向かって案内される。当該壁面の下方、すなわち第1給水部33Aの下方には、第1気化フィルタ31が設けられているため、下方に向かって案内される水は、第1気化フィルタ31に滴下される。これにより、第1給水部33Aに供給される水(供給水)の体積流量が、第1給水孔331から第1気化フィルタ31に滴下する体積流量よりも多くなる場合であっても、抜孔336から水を抜く(流出させる)ことができる。抜孔336から流出した水は、水受壁337によって下方に案内され、第1気化フィルタ31に滴下することができる。
L字状を成す水受壁337の長辺に相当する壁面は、突設方向である下方に向かって、例えば、V字又はU字等、先細りする形状に形成されている。従って、当該壁面において、先細りする形状の先端部は、水受壁337における最下部に相当するものとなり、当該先細りの形状の先端部から、効率的に水を第1気化フィルタ31に滴下することができる。また、水受壁337に当たった供給水の一部は、跳ね返り容器部333の外壁に付着することが考えられる。また、供給水の一部は抜孔336から容器部333の外壁を伝うことが考えられる。そのため、図14に示すように抜孔336から容器部333の壁面において下方に延びるリブを設けてもよい。図14の例では、リブの最下部は、複数の第1給水孔331を結んだ直線状に配置される。これにより、第1気化フィルタ31に対する供給水の滴下位置を分散させ、第1気化フィルタ31における供給水の偏りをなくすことが可能になる。
第2給水部33Bの構造は、第1給水部33Aの構造と同様である。第2給水部33Bは、第1給水部33Aと同様に容器部333及び天面部334を含み、容器部333には管部335、第2給水孔332、及び抜孔336が設けられ、天面部334の下面には水受壁337が突設されている。第1給水部33Aに関する記載を、第2給水部33Bに関する記載に読み替えることにより、当該第2給水部33Bに関する構造が説明される。
供給水路91の分岐路において、第1供給水路911及び第2供給水路912に分岐するにあたり、第1給水部33A及び第2給水部33Bそれぞれへの単位時間あたりの給水量において、差異を出すものであってもよい。具体的には、第1給水部33Aへの給水量が、第2給水部33Bへの給水量よりも、少ない量であってもよい。すなわち、第1気化フィルタ31への給水量の方が第2気化フィルタ32への給水量よりも少ないものであってもよい。このように第1給水部33A及び第2給水部33Bへの給水量に差異を発生させるにあたり、例えば、供給水路91の分岐路にて分岐された第1供給水路911の内径は、第2供給水路912の内径よりも、小さくするものであってもよい。又は、第1供給水路911が接続される第1給水部33Aの管部の内径を、第2供給水路912が接続される第2給水部33Bの管部の内径よりも、小さくするものであってもよい。第1気化フィルタ31を通過する第1空気は、顕熱交換器4において第2空気により冷却されているため、飽和水蒸気圧(飽和水蒸気量)は低下している。これに対し、第2気化フィルタ32を通過する第2空気は、吸込口5から吸い込まれた直後の空気である。従って、第1気化フィルタ31を通過する第1空気の飽和水蒸気圧は、第2気化フィルタ32を通過する第2空気の飽和水蒸気圧よりも低い。すなわち、単位時間における、第1気化フィルタ31での第1空気の気化量は、第2気化フィルタ32での第2空気の気化量よりも少なくなる。これに対し、第1気化フィルタ31への給水量を、第2気化フィルタ32への給水量よりも少ない量とすることにより、第1気化フィルタ31に過度な水が供給されることを抑制し、給水ポンプ913の積算駆動量の節約になり、製品寿命の向上や消費電力の低下を図ることができる。
供給水路91の分岐路に例えば電磁三方弁を設けて、第1給水部33Aを介した第1気化フィルタ31への給水と、第2給水部33Bを介した第2気化フィルタ32への給水を交互に行うものであってもよい。このような構成とすることにより、給水ポンプ913が一度に送水する流量を半減することができ、給水ポンプ913の寿命を伸ばすことができる。又は給水ポンプ913を小型化できて空調機1(製品全体)のコストダウンや小型化を図ることができる。当該電磁三方弁は、例えば、コントローラ130によって各弁の開閉が制御される。コントローラ130は、電磁三方弁を制御するにあたり、第1供給水路911に接続される弁を開にする時間を、第2供給水路912に接続される弁を開にする時間よりも短くすることにより、第1気化フィルタ31への給水量を、第2気化フィルタ32への給水量よりも少なくするものであってもよい。
ドレンパン34の水をタンク12に回収(排水)するための経路と、タンク12に回収(排水)せずに第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32への給水する経路とを切替可能な電磁三方弁を設けるものであってもよい。コントローラ130は給水ポンプ913を駆動し、ドレンパン34にて最大量の水が貯まるだけ水をタンク12から給水した後、ドレンパン34の水を第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に給水するために、水をドレンパン34と、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32との間にて循環する。循環後、十分に第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32が濡れたらドレンパン34の水を回収(排水)してタンク12に戻す。ドレンパン34に溜まった水だけ循環すること水温を湿球温度まで冷やしやすくし、水冷効果も得られて冷却性能を向上させることができる。
(付記1:空調機1全般)
本開示の一態様に係る空調機1は、第1吹出口71及び第2吹出口72を有する筐体11と、前記第1吹出口71に連通する第1流路61と、前記第2吹出口72に連通する第2流路62と、前記第1流路61に流れる第1空気と、前記第2流路62に流れる第2空気との間で顕熱交換する顕熱交換器4と、前記第1空気を水の潜熱によって冷却する第1気化フィルタ31と、前記第2空気を水の潜熱によって冷却する第2気化フィルタ32とを備え、前記第1気化フィルタ31は、前記第1空気の流れ方向において前記顕熱交換器4よりも下流側に設けられており、前記第2気化フィルタ32は、前記第2空気の流れ方向において前記顕熱交換器4よりも上流側に設けられている。
本態様にあたっては、空調機1は、第1流路61及び第2流路62の2つの流路と、これら流路に流れる第1空気と第2空気との間で顕熱交換する顕熱交換器4を備える。空調機1は、更に第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を備え、第1気化フィルタ31を通過する第1空気は、第1気化フィルタ31に浸透している水の潜熱(気化熱)によって冷却され、第2気化フィルタ32を通過する第2空気は、第2気化フィルタ32に浸透している水の潜熱(気化熱)によって冷却される。第2気化フィルタ32は、第2空気の流れ方向において顕熱交換器4よりも上流側に設けられているため、気化熱によって冷却された後、顕熱交換器4に流入する。顕熱交換器4に流入した第1空気は、当該顕熱交換器4を介して、第2気化フィルタ32にて冷却された第2空気との間で熱交換し、冷却される。顕熱交換器4から流出した第1空気は、第1空気の流れ方向において顕熱交換器4よりも下流側に設けられている第1気化フィルタ31によって、更に冷却されたのち、第1吹出口71から給気(SA)として被空調空間に吹き出される。従って、空調機1は、被空調空間に吹き出される第1空気を2段階にて冷却するため、第1空気を効率的に冷却し、当該第1空気を用いて被空調空間を効率的に冷却することができる。このように構成された空調機1は、異なる流路となる第1流路61(給気流路)及び第2流路62(排気流路)のそれぞれに、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の2つの気化フィルタを備える。第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を冷熱源として用いることにより、第1空気を効率的に冷却することができる。第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の内、給気(SA)として被空調空間に吹き出される第1空気が通過するのは、第1気化フィルタ31であるため、当該第1空気の絶対湿度が上昇することを抑制しつつ、第1空気を効率的に冷却することができる。気化熱を生じさせるための水は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に供給(給水)されるものとなり、すなわち顕熱交換器4に対し、当該気化熱を生じさせるための水は、直接的には供給(給水)されない。従って、顕熱交換器4の内部となる第1経路41及び第2経路42において、水滴が残留することを抑制することができる。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記第1気化フィルタ31及び前記第2気化フィルタ32は、締結部材によってL字状に締結されている。
本態様にあたっては、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、締結部材によってL字状に締結されているため、筐体11に収納するにあたっての収納性を向上させ、当該筐体11の小型化を図ることができる。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記締結部材は、前記第1気化フィルタ31及び前記第2気化フィルタ32にて気化しなかった水を受けるドレンパン34である。
本態様にあたっては、締結部材として、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の下方に設けられるL字状のドレンパン34を用いることにより、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を締結するための専用部品を不要とし、空調機1の小型化及び軽量化を図ることができる。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記顕熱交換器4は、前記筐体11の内面と該内面に対向する前記顕熱交換器4の端面とが鋭角を成すように前記筐体11に収納されている。
本態様にあたっては、顕熱交換器は、筐体11の内面と該内面に対向する顕熱交換器4の端面とが、例えば10度から50度の範囲となる鋭角を成すように筐体11に収納されている。すなわち、顕熱交換器4は、筐体11の内面と、当該内面に対抗する顕熱交換器4の端面とが平行となる状態(姿勢位置)から、当該鋭角に相当する回転角度にて回転された状態で、筐体11に収納されている。このように所定の回転角度で回転された状態で、顕熱交換器4を筐体11に収納することにより、当該筐体11サイズに対し、顕熱交換器4における熱交換可能な面積(熱交換面積)を大きく確保することができる。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記顕熱交換器4は、前記第1空気が流れる第1経路41と、前記第2空気が流れる第2経路42とを含み、前記第1気化フィルタ31は前記第1経路41の出口を覆い、前記第2気化フィルタ32は前記第2経路42の入口を覆う。
本態様にあたっては、顕熱交換器4は、第1空気が流れる第1経路41と、第2空気が流れる第2経路42とを含む。従って、当該第1経路41は第1流路61の一部を構成し、第2経路42は第2流路62の一部を構成する。第1空気の流れ方向において顕熱交換器4よりも下流側に設けられている第1気化フィルタ31は、第1経路41の出口を覆うように設けられているため、第1経路41の出口が流出(顕熱交換器4から流出)した第1空気を、効率的に冷却することができる。すなわち、第1経路41の出口が流出した第1空気は、全て、第1気化フィルタ31を通過するように、第1気化フィルタ31は、第1経路41の出口が形成されている第1出口側開口面441を、覆っている。第2空気の流れ方向において顕熱交換器4よりも上流側に設けられている第2気化フィルタ32は、第2経路42の入口を覆うように設けられているため、第2経路42の入口に流入(顕熱交換器4に流入)する第2空気を、効率的に冷却することができる。すなわち、第2経路42の入口に流入する第2空気は、全て、第2気化フィルタ32を通過するように、第2気化フィルタ32は、第2経路42の入口が形成されている第2入口側開口面432を、覆っている。このような構成とすることにより、第1気化フィルタ31又は第2気化フィルタ32を通過せずにバイパスする空気の流量を削減することができる。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記顕熱交換器4において直交流を形成するにあたり、前記第1経路41及び前記第2経路42は交差して設けられており、前記顕熱交換器4に対向する前記第1気化フィルタ31及び前記第2気化フィルタ32の一面それぞれより形成される角度は、前記第1経路41及び前記第2経路42による交差角度以上である。
本態様にあたっては、顕熱交換器4の第1経路41及び第2経路42は交差して設けられることにより、第1空気と第2空気との間にて直交流が形成される。顕熱交換器4に対向する第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の端面それぞれより形成される角度は、第1経路41及び第2経路42による交差角度以上であり、例えば60度から120度である。なお、顕熱交換器4の第1経路41及び第2経路42による交差角度が、90度でなく、60度から120度までのいずれかの角度を成すひし形となることもあり、この場合、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の端面それぞれより形成される角度は、交差角度に対し、±30度となるものであってもよい。従って、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32のそれぞれに端面より形成されるL字の内側を、矩形状を成す顕熱交換器4の角部に向けて、締結部材により締結された第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を配置することができるため、これらフィルタ等の収納性を向上させて筐体11の小型化を図ることができる。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記顕熱交換器4における前記第1経路41の出口が設けられている第1出口側開口面441と、前記第1出口側開口面441に対向する前記筐体11の内面との面間距離は、前記第1空気の下流側になるにつれて大きくなる。
本態様にあたっては、顕熱交換器4の第1出口側開口面441と、当該第1出口側開口面441に対向する筐体11の内面との面間距離は、第1空気の下流側になるにつれて大きくなるように、顕熱交換器4は、筐体11に収納されている。従って、第1出口側開口面441に設けられている第1経路41の出口の下流側に位置する第1流路61の流路断面積を、下流側に向けて徐々に大きくすることができ、第1経路41の出口から流出した第1空気に対する圧力損失を低減することができる。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記筐体11には、前記第1空気及び前記第2空気が吸い込まれる吸込口5が設けられており、前記吸込口5と、前記顕熱交換器4との間に介在する集塵フィルタ53を備え、前記集塵フィルタ53は、前記第1経路41の入口及び前記第2経路42の入口を覆うように湾曲して設けられている。
本態様にあたっては、吸込口5と顕熱交換器4との間に介在する集塵フィルタ53は、顕熱交換器4の第1経路41の入口及び第2経路42の入口を覆うように湾曲して設けられている。従って、第1流路61と第2流路62とにおいて、集塵フィルタ53を共用することにより、空調機1における部品点数を削減することができる。第1経路41の入口と、第2経路42の入口とが、顕熱交換器4の異なる端面に設けられている場合であっても、単一の集塵フィルタ53を湾曲することにより当該第1経路41及び第2経路42の双方の入口を覆い、顕熱交換器4の内部に塵埃が入り込むことを抑制することができる。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記集塵フィルタ53のそれぞれの両端部には、シール部材531が設けられている。
本態様にあたっては、集塵フィルタ53のそれぞれの両端部には、シール部材531が設けられているため、当該集塵フィルタ53を通過することなく、顕熱交換器4に空気が流入することを抑制することができる。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記顕熱交換器4と前記吸込口5との間の空間は、前記集塵フィルタ53によって、前記第1空気及び前記第2空気の流れ方向における上流側空間と、下流側空間とに区切られており、前記下流側空間には、前記吸込口5から吸い込まれた吸込空気を、前記第1経路41に流れる前記第1空気と、前記第2経路42に流れる前記第2空気とに分流する分岐流路52が形成されている。
本態様にあたっては、顕熱交換器4と吸込口5との間の空間は集塵フィルタ53により、第1空気及び第2空気の流れ方向における上流側空間及び下流側空間に区切られており、下流側空間には、第1経路41及び第2経路42に分岐する分岐流路52が形成されている。従って、第1経路41及び第2経路42において吸込口5及び集塵フィルタ53を共用しつつ、集塵フィルタ53よりも下流側となる下流側空間にて、第1空気が流れる第1経路41と、第2空気が流れる第2経路42とに分岐し、分流した第1空気及び第2空気を、顕熱交換器4に効率的に流入させることができる。上流側空間は、第1空気及び第2空気に分岐される前の吸込空気が流れる空間となり、吸込流路51に相当する。当該吸込流路51(上流側空間)は、吸込口5を介して、筐体11の外部と連通している。吸込流路51(上流側空間)は、第1経路41及び第2経路42により共用される経路となるため、吸込口5についても第1経路41及び第2経路42にて共用することができ、筐体11に孔状の吸込口5を設ける際の配設自由度を向上させ、筐体11の強度を担保しつつ、吸込口5の開口面積を大きくして吸込空気における流路抵抗(圧力損失)を低減することができる。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記上流側空間には、前記第1気化フィルタ31又は前記第2気化フィルタ32に水を供給するための供給水路91が設けられている。
本態様にあたっては、上流側空間は、吸込口5から吸い込まれた吸込空気が流れる吸込流路51に相当するものであり、当該吸込空気の温度は、筐体11の外部における周辺空気の温度を同等である。上流側空間(吸込流路51)に位置する供給水路91に流れる水は、当該吸込流路51に流れる吸込空気と熱交換されるところ、例えば、供給水路91に流れる水の水温が周辺空気の温度よりも高い場合、当該水を吸込空気により冷却し、空調機1における冷却効率を向上させることができる。上流側空間に配置される供給水路91の外周面には、例えばフィン等が設けられており、吸込空気と熱交換する際の伝熱面積を増加させることにより、伝熱効率を向上させるものであってもよい。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記筐体11において、前記第1気化フィルタ31が設けられている側の側面には、開閉自在に構成された扉部111が設けられており、前記扉部111の内面には、前記第1気化フィルタ31を通過することなく前記第1流路61に空気が侵入することを抑制する抑制部材112が、設けられている。
本態様にあたっては、筐体11の側面の内、第1気化フィルタ31が設けられている側の側面には、開閉自在に構成された扉部111が設けられているため、当該扉部111を開く(開状態にする)ことにより、筐体11の外部から内部にアクセスして、例えば第1気化フィルタ31又は第2気化フィルタ32の交換等のメンテナンス作業を行うことができる。扉部111の内面には、第1気化フィルタ31を通過することなく第1流路61に空気が侵入することを抑制する抑制部材112が、設けられているため、第1気化フィルタ31よりも下流側の第1流路61に、第1気化フィルタ31によって冷却されていない空気が混入することを抑制することができる。扉部111の内面に抑制部材112が設けられているとは、当該抑制部材112が扉部111の内面に貼付されている場合のみならず、例えば、第1気化フィルタ31又は、第1気化フィルタ31と第2気化フィルタ32とを締結する締結部材に抑制部材112が貼付されていることを含む。この場合、扉部111を閉める(閉状態)ことにより、当該扉部111の内面が抑制部材112を押圧して、第1気化フィルタ31を通過することなく第1流路61に空気が侵入することを抑制するものであってもよい。
本開示の一態様に係る空調機1においては、前記筐体11の外部に設けられたタンク12と、前記タンク12内の水を、前記第1気化フィルタ31及び前記第2気化フィルタ32に給水する供給水路91と、前記第1気化フィルタ31及び前記第2気化フィルタ32にて気化しなかった水を、前記タンク12内に回収する回収水路92とを備える。
本態様にあたっては、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に供給する水を保持するタンク12を、筐体11の外部に設けることにより、筐体11に当該タンク12を収納することを不要とし、筐体11のサイズを小さくし、筐体11の重量を低減させることができる。これにより、例えば、空調機1をフォークリフト等の移動体Mに搭載する場合、空調機1の本体となる筐体11と、当該筐体11とは別体として構成されるタンク12とを、離間して載置することができ、空調機1が搭載される移動体Mの外形等の形状に応じて、筐体11及びタンク12を搭載することができる。タンク12と、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32とは、供給水路91及び回収水路92により連通されるものとなり、すなわち、タンク12、供給水路91、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32、及び回収水路92を経て、タンク12に水が回収(戻る)される循環回路が形成される。当該循環回路により、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32にて気化しなかった水をタンク12内に効率的に回収し、筐体11の内部に残存する水の量を低減させることができる。第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に浸透している水に対しては、例えば、空調機1の操作者によって停止ボタンが押下された後、タンク12からの水を供給しない状態にてファンを駆動する無給水運転を行うことにより、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を乾かすものであってもよい。
(付記2:冷却ユニット3の構成)
本開示の一態様に係る冷却ユニット3は、被空調空間を冷却する空調機1に用いられる冷却ユニット3であって、前記被空調空間に吹き出される第1空気を、水の潜熱によって冷却する第1気化フィルタ31と、前記第1空気と顕熱交換される第2空気を、水の潜熱によって冷却する第2気化フィルタ32とを備え、前記第1気化フィルタ31及び前記第2気化フィルタ32は、締結部材によってL字状に締結されている。
本態様にあたっては、本態様にあたっては、冷却ユニット3に含まれる第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、締結部材によってL字状に締結されているため、収納性を向上することができ、当該冷却ユニット3を収納する空調機1の筐体11の小型化を図ることができる。
本開示の一態様に係る冷却ユニット3において、前記締結部材は、前記第1気化フィルタ31及び前記第2気化フィルタ32にて気化しなかった水を受けるドレンパン34である。
本態様にあたっては、本態様にあたっては、締結部材として、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の下方に設けられるL字状のドレンパン34を用いることにより、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を締結するための専用部品を不要とし、空調機1の小型化及び軽量化を図ることができる。
本開示の一態様に係る冷却ユニット3において、前記ドレンパン34は、L字状を成し、前記ドレンパン34においてL字を構成するそれぞれの辺を構成する領域には、前記第1気化フィルタ31及び前記第2気化フィルタ32が載置されている。
本態様にあたっては、L字状を成すドレンパン34において、当該L字を構成するそれぞれの辺を構成する領域には、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32が載置されている。ドレンパン34と、当該ドレンパン34に載置される第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32とは共に、正面視にてL字状を成すことにより、冷却ユニット3についても、L字状に構成することができる。従って、冷却ユニット3の収納性を向上させ、当該冷却ユニット3を収納する空調機1の筐体11の小型化を図ることができる。
本開示の一態様に係る冷却ユニット3において、前記第1気化フィルタ31に水を給水する第1給水部33Aと、前記第2気化フィルタ32に水を給水する第2給水部33Bとを備え、前記第1給水部33Aは前記第1気化フィルタ31の上部に載置され、前記第2給水部33Bは前記第2気化フィルタ32の上部に載置されることにより、前記第1給水部33A及び前記第2給水部33BはL字状を成す。
本態様にあたっては、冷却ユニット3は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に水を給水する給水部33を備え、当該給水部33は、第1気化フィルタ31の上部に載置される第1給水部33Aと、第2気化フィルタ32の上部に載置される第2給水部33Bとを含む。これら第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の上に載置される第1給水部33A及び第2給水部33Bは、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32と同様にL字状を成すため、冷却ユニット3の収納性を向上させ、当該冷却ユニット3を収納する空調機1の筐体11の小型化を図ることができる。
本開示の一態様に係る冷却ユニット3において、前記第1給水部33Aに形成された第1給水孔331は、前記第1空気の流れ方向における前記第1気化フィルタ31の上流側に設けられており、前記第2給水部33Bに形成された第2給水孔332は、前記第2空気の流れ方向における前記第2気化フィルタ32の上流側に設けられている。
本態様にあたっては、第1給水部33Aに形成された第1給水孔331は、第1空気の流れ方向における第1気化フィルタ31の上流側に設けられ、第2給水部33Bに形成された第2給水孔332は、第2空気の流れ方向における第2気化フィルタ32の上流側に設けられており、すなわち、第1給水孔331及び第2給水孔332ともに、それぞれの空気の流れ方向における上流側に設けられている。従って、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に浸透した水の密度分布を、それぞれの空気の流れ方向における上流側に偏らせることができ、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32における水の気化を促進し、冷却効率を向上することができる。
本開示の一態様に係る冷却ユニット3においては、前記第1給水部33A及び前記第2給水部33Bには、空気又は水を抜くための抜孔336が形成されており、前記抜孔336は、前記第1給水部33Aに形成された第1給水孔331及び前記第2給水部33Bに形成された第2給水孔332よりも、上方に設けられている。
本態様にあたっては、第1給水部33A及び第2給水部33Bには、空気又は水を抜くための抜孔336が形成されているため、例えば、第1給水部33A及び第2給水部33Bが、中空の内部構造を有する箱体によって構成されている場合であっても、箱体内の空気を抜孔336から排出し、空気が内部に滞留することを抑制することができる。抜孔336は、第1給水孔331及び第2給水孔332よりも、上方に設けられているため、第1給水部33A及び第2給水部33Bの内部の空気を効率的に排出することができる。第1給水孔331及び第2給水孔332の貫通方向は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の側である下方に向いているのに対し、抜孔336の貫通方向は、当該第1給水孔331及び第2給水孔332の貫通方向とは異ならせ、側方に向けて当該抜孔336は形成されているものであってもよい。
本開示の一態様に係る冷却ユニット3において、前記抜孔336から流出した水を受ける水受壁337を備え、前記水受壁337は、前記第1気化フィルタ31又は前記第2気化フィルタ32に向けて突出して設けられている。
本態様にあたっては、第1給水孔331及び第2給水孔332の貫通方向は、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32の側である下方に向いているのに対し、抜孔336の貫通方向は、当該第1給水孔331及び第2給水孔332の貫通方向とは異ならせ、側方に向けて当該抜孔336は形成されている。すなわち、抜孔336は、第1給水部33A及び第2給水部33Bにおける容器部333の側壁を貫通させて、設けられている。従って、抜孔336は、容器部333の内側の開口端部と、容器部333の外側の開口端部とを備える。抜孔336における外側の開口端部に対向し、抜孔336から流出した水を受ける水受壁337が設けられている。水受壁337は、第1気化フィルタ31又は第2気化フィルタ32に向けて突出して設けられているため、抜孔336から、空気と共に水が流出した場合であっても、当該流出した水は、水受壁337によって受けられ、水受壁337の突出方向である第1気化フィルタ31又は第2気化フィルタ32に向けて滴下される。すなわち、水受壁337は、抜孔336から流出した水を第1気化フィルタ31又は第2気化フィルタ32に案内(ガイド)する案内壁(ガイド壁)として機能する。
本開示の一態様に係る冷却ユニット3において、前記水受壁337は、先細りの形状を有する。
本態様にあたっては、水受壁337は、第1給水部33A及び第2給水部33Bに対し、下方に位置する第1気化フィルタ31又は第2気化フィルタ32に向けて突設されており、先細りの形状を有する。従って、先細りの形状の先端部は、水受壁337における最下部に相当するものとなり、当該先細りの形状の先端部から、効率的に水を第1気化フィルタ31又は第2気化フィルタ32に滴下することができる。
本開示の一態様に係る空調機1は、本開示の一態様に係る冷却ユニット3と、前記第1空気が流れる第1経路41と、前記第2空気が流れる第2経路42とを含み、前記第1空気及び前記第2空気との間で顕熱交換を行う顕熱交換器4とを備え、前記第1気化フィルタ31は、前記第1空気の流れ方向において前記顕熱交換器4の下流側に設けられ、前記第2気化フィルタ32は、前記第2空気の流れ方向において前記顕熱交換器4の上流側に設けられている。
本態様にあたっては、冷却ユニット3が備える第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32は、L字状を成し、屈曲している。従って、当該L字の内側を、例えば矩形状を成す顕熱交換器4の角部に向け、当該角部にL字の内側を沿わせて、第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32を配置することができ、冷却ユニット3の収納性を向上させて空調機1の筐体11の小型化を図ることができる。第1気化フィルタ31は、第1空気の流れ方向において顕熱交換器4の下流側に設けられ、第2気化フィルタ32は、第2空気の流れ方向において顕熱交換器4の上流側に設けられているため、顕熱交換器4において、第2気化フィルタ32にて冷却された第2空気により第1空気を冷却した後、当該第1空気を更に第1気化フィルタ31によって冷却し、被空調空間に吹き出すことができる。
(付記3:電気ユニット13の冷却)
本開示の一態様に係る空調機1は、第1吹出口71及び第2吹出口72を有する筐体11と、前記第1吹出口71に連通し、水の潜熱によって冷却される第1空気が流れる第1流路61と、前記第2吹出口72に連通し、水の潜熱によって冷却される第2空気が流れる第2流路62と、前記筐体11に収納される電気ユニット13とを備え、前記電気ユニット13は、前記第2流路62に面して設けられ、前記第1空気との間で顕熱交換がされた後の前記第2空気によって冷却される。
本態様にあたっては、空調機1は、水の潜熱によって冷却される第1空気が流れる第1流路61と、水の潜熱によって冷却される第2空気が流れる第2流路62とを備えるものであり、水の潜熱(気化熱)を用いて冷却した第1空気を、給気として第1吹出口71から被空調空間に吹き出す。空調機1の筐体11に収納され、電力を消費することにより発熱源となる電気ユニット13は、第2空気が流れる第2流路62に面して設けられているため、当該第2空気によって電気ユニット13を冷却することができる。電気ユニット13を冷却する第2空気は、第1空気との間で顕熱交換がされた後の第2空気であるため、第2吹出口72から排気として吹き出される(排出される)第2空気の冷熱を用いて電気ユニット13を冷却することができる。従って、給気として第1吹出口71から吹き出す第1空気に対し影響を与えることなく、効率的に電気ユニット13を冷却することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記第2流路62にて前記第2空気を搬送する第2ファン82と、前記第2流路62の一部を構成し、前記第2ファン82を収納するファンケーシング84とを備え、前記第2ファン82を収納するファンケーシング84と前記電気ユニット13とは、熱的に接続されている。
本態様にあたっては、第2ファン82を収納するファンケーシング84と、電気ユニット13とを熱的に接続することにより、当該ファンケーシング84内を流れる第2空気と、電気ユニット13との伝熱効率を向上させ、当該第2空気を用いて効率的に電気ユニット13を冷却することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記電気ユニット13が面しているファンケーシング84の部位には、貫通孔841が形成されており、前記貫通孔841から前記電気ユニット13の一部が露出している。
本態様にあたっては、ファンケーシング84には貫通孔841が形成されており、当該貫通孔841を介して電気ユニット13の一部が露出している。従って、貫通孔841を介して露出している電気ユニット13の一部は、ファンケーシング84内を流れる第2空気に直接、触れるものとなるため、第2空気と電気ユニット13との伝熱効率を向上させ、当該第2空気を用いて効率的に電気ユニット13を冷却することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記電気ユニット13は、基板131、前記貫通孔841を前記電気ユニット13の側から封止する封止板133及び、前記基板131と前記封止板133との間に介在する伝熱促進部材132を含み、前記貫通孔841から前記封止板133の一部が露出している。
本態様にあたっては、貫通孔841から露出している電気ユニット13の一部は、貫通孔841を電気ユニット13の側から封止する封止板133の一部であり、当該封止板133は、例えば、箱体を成す電気ユニット13の外装の一部である。電気ユニット13は、発熱源となる電気部品が実装された基板131を含み、当該基板131と封止板133との間には、熱伝導率が高い放熱材料にて成形される伝熱促進部材132が介在して設けられているため、基板131からの発熱を、伝熱促進部材132及び封止板133を介して、ファンケーシング84の内部空間に効率的に放熱することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記第2ファン82を収納するファンケーシング84の一部は、前記筐体11の内面によって構成される。
本態様にあたっては、第2ファン82を収納するファンケーシング84の一部は、筐体11の内面によって構成されるため、筐体11の内面を、ファンケーシング84内を流れる第2空気によって冷却し、外気の影響により筐体11の外面の温度が上昇することを緩和し、空調機1の冷却能力が低下することを抑制することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記第1流路61にて前記第1空気を搬送する第1ファン81と、前記第1流路61の一部を構成し、前記第1ファン81を収納するファンケーシング84とを備え、前記第1ファン81を収納するファンケーシング84は、伝熱抑制部材により構成されている。
本態様にあたっては、第1ファン81を収納するファンケーシング84は、例えば発泡スチロール等の熱伝導率が低い(断熱性を有する)伝熱抑制部材により構成されているため、第1ファン81を収納するファンケーシング84を通過する第1空気に対する外気温度の影響を低減し、当該第1空気の温度が上昇することを抑制することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記ファンケーシング84内には、前記第1ファン81が設けられている空間と、前記第2ファン82が設けられている空間とを仕切る仕切板83が設けられており、前記第1ファン81及び前記第2ファン82を駆動するファンモータ8は、前記第2ファン82が設けられている空間に配置されている。
本態様にあたっては、第1ファン81及び第2ファン82は、単一のファンモータ8を共用しているため、空調機1の部品点数を削減し、軽量化を図ることができる。ファンケーシング84内には、仕切板83が設けられており、当該仕切板83によって、ファンケーシング84の内部空間は、第1ファン81が設けられている空間(第1ファン81のファン室)と、第2ファン82が設けられている空間(第2ファン82のファン室)とに、仕切られている。仕切板83は、例えば樹脂部材にて構成されており、更に、第1ファン81のファン室の側の仕切板83部位には、例えば発泡スチロール等の熱伝導率が低い伝熱抑制部材が貼付された積層構造によるものであってもよい。又は、仕切板83は、内部に空気層を有する中空部材等による伝熱抑制部材によって、構成されるものであってもよい。仕切板83の少なくとも一部を構成する伝熱抑制部材により、当該仕切板83の熱伝導率を低下させ、第1ファン81のファン室内の第1空気と、第2ファン82のファン室内の第2空気との間での熱交換を抑制して、第1空気の温度が上昇することを防止することができる。当該ファンモータ8は、第2ファン82が設けられている空間に配置されているため、第2空気、すなわち排気によってファンモータ8を冷却することができる。これにより、第1ファン81によって搬送される第1空気(給気)の温度を上昇させることなく、第2空気(排気)による冷熱を利用してファンモータ8を効率的に冷却することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記第1吹出口71及び前記第2吹出口72は、前記筐体11の同じ側面に設けられており、前記第2吹出口72は、前記第1吹出口71の方向に向いている。
本態様にあたっては、筐体11の同じ側面に設けられている第1吹出口71及び第2吹出口72において、第2吹出口72は、第1吹出口71の方向に向けて設けられている。従って、例えば、第1吹出口71に長尺体から成る吹出ダクト711が取り付けられている場合、第2吹出口72から排気として吹き出される第2空気により、第1吹出口71に取り付けられた吹出ダクト711の周辺空気の温度(雰囲気温度)を低下させ、当該吹出ダクト711から吹き出される第1空気(給気)の温度が、外気(筐体11の外の空気)によって上昇することを抑制することができる。
(付記4:移動体M、ポンプ制御)
本開示の一態様に係る空調機1は、被空調空間に吹き出す空気を水の潜熱によって冷却する冷却ユニット3と、前記冷却ユニット3を収納する筐体11と、前記筐体11の外部に設けられ、前記冷却ユニット3に供給する水を貯水するタンク12とを備え、前記筐体11と前記タンク12とは、前記水が流れる水路により接続されている。
本態様にあたっては、冷却ユニット3に供給する水を貯水するタンク12は、冷却ユニット3を収納する筐体11の外部に設けられており、当該タンク12と筐体11とは、例えば軟性樹脂によるホース、又は硬性樹脂による配管によって構成される水路によって、接続されている。すなわち、タンク12は、空調機1の本体に相当する筐体11に対し、別体として構成されている。従って、筐体11(空調機1の本体)の重量を軽減し、当該筐体11をいずれかの場所に載置する際の載置自由度を、向上させることができる。更に、空調機1を構成する筐体11とタンク12とを離間して載置することができ、当該空調機1を載置するにあたっての載置自由度を向上させることができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記筐体11及び前記タンク12は、移動体Mに載置され、前記タンク12が載置されている前記移動体Mの部位は、前記筐体11が載置されている前記移動体Mの部位よりも、下方に位置する。
本態様にあたっては、空調機1が、例えばフォークリフト又はトラクタ等の車両から成る移動体Mに載置するにあたり、筐体11とタンク12とは離間して、当該移動体Mにおける別個の部位に載置される。タンク12が載置されている移動体Mの部位は、筐体11が載置されている移動体Mの部位よりも、下方に位置しているため、気化しなかった液体の水が筐体11の内部に残存した場合であっても、当該気化しなかった水を重力によって、タンク12内に回収することができる。これにより、筐体11の内部に残存する水の量を低減させ、筐体11内における衛生度を向上させることができる。タンク12を筐体11よりも下方に載置することにより、当該タンク12に対するアクセス性(可触性)を向上させ、タンク12に水を補給する作業を容易化することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記移動体Mはフォークリフトであり、前記筐体11が載置されている前記移動体Mの部位は、前記フォークリフトのヘッドガードの上部であり、前記タンク12が載置されている前記移動体Mの部位は、前記フォークリフトのバランスウェイトの上部である。
本態様にあたっては、空調機1をフォークリフトに載置するにあたり、筐体11はフォークリフトのヘッドガードの上部に載置され、タンク12はフォークリフトのバランスウェイトの上部に載置される。バランスウェイトは、フォークリフトの重量配分における割合が高い部位に相当するものであり、バランスウェイトに載置されるタンク12は、ヘッドガードに載置される筐体11よりも、フォークリフトの重心に近い場所に載置される。これにより、移動体Mの移動等に伴う振動によって、タンク12の液面が暴れることを緩和し、タンク12から冷却ユニット3への水の供給を効率的に行うことができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記筐体11には、前記被空調空間となる前記移動体Mの操作者の周辺空間に向かって延びる吹出ダクト711が設けられている。
本態様にあたっては、筐体11に設けられた吹出ダクト711は、移動体Mの操作者の周辺空間に向かって延設されているため、筐体11が、移動体Mのいずれの部位に載置された場合であっても、当該吹出ダクト711を介して、冷却された空気を移動体Mの操作者の周辺空間に吹き出すことができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記水路は、前記冷却ユニット3に水を供給する供給水路91と、前記冷却ユニット3にて気化しなかった水を回収する回収水路92とを含み、前記タンク12、前記供給水路91、前記冷却ユニット3、及び前記回収水路92によって、水が循環する循環回路が形成される。
本態様にあたっては、筐体11とタンク12を接続する水路は、冷却ユニット3に水を供給する供給水路91と、冷却ユニット3にて気化しなかった水を回収する回収水路92とを含み、タンク12を起点として、タンク12、供給水路91、冷却ユニット3、及び回収水路92の順で水が循環する循環回路が形成される。すなわち、空調機1は、当該循環回路を有することにより、冷却ユニット3にて気化しなかった水をタンク12に回収し、当該気化しなかった水を、冷却ユニット3に再度、供給することができ、水の消費量を抑制してタンク12内への水の補給回数を低減することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記冷却ユニット3は、前記被空調空間に給気として吹き出される第1空気を、冷却するための第1気化フィルタ31と、前記第1空気と顕熱交換された後に前記筐体11の外部に排気として吹き出される第2空気を、冷却するための第2気化フィルタ32とを含み、前記循環回路は、前記第1気化フィルタ31を介する水路と、前記第2気化フィルタ32を介する水路とに分岐する分岐路を含む。
本態様にあたっては、空調機1は、第1空気を冷却するための第1気化フィルタ31と、第2空気を冷却するための第2気化フィルタ32とによる2つの気化フィルタを備えるため、冷却能力を向上させることができる。循環回路は、第1気化フィルタ31を介する水路(第1供給水路911、第1回収水路921)と、2気化フィルタを介する水路(第2供給水路912、第2回収水路922)とに分岐する分岐路と、分岐された第1気化フィルタ31を介する水路と、2気化フィルタを介する水路とが、合流する合流路を含む。これにより、第1気化フィルタ31に連通する水路と、第2気化フィルタ32に連通する水路からなる並行路が、循環回路の一部として構成されるため、当該第1気化フィルタ31及び第2気化フィルタ32に対し、効率的に水を供給することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記供給水路91に流れる水を搬送する給水ポンプ913と、前記回収水路92に流れる水を搬送する回収ポンプ923とを備える。
本態様にあたっては、空調機1は、供給水路91に設けられる給水ポンプ913と、回収水路92に設けられる回収ポンプ923とを備えるため、例えば空調機1が移動体Mに載置され、当該移動体Mが移動する路面の状態等により空調機1の姿勢が変化して筐体11及びタンク12が傾いた場合であっても、供給水路91及び回収水路92に流れる水を確実に搬送することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記回収水路92に流れる水を検出する回収水センサ924と、前記回収水センサ924、前記給水ポンプ913及び前記回収ポンプ923と通信可能に接続されるコントローラ130を備え、前記コントローラ130は、前記回収水センサ924から出力されるセンサ値に基づき、前記給水ポンプ913及び前記回収ポンプ923の駆動制御を行う。
本態様にあたっては、空調機1は、例えばマイコン等にて構成されるコントローラ130を備え、当該コントローラ130は、回収水路92に流れる水を検出する回収水センサ924から出力されるセンサ値に基づき、給水ポンプ913及び回収ポンプ923の駆動制御を行う。タンク12から供給された水の気化量は、空調機1の使用環境、すなわち当該空調機1が吸い込んだ空気の温度及び絶対湿度により変動するものであり、回収水路92に流れる水は、冷却ユニット3において気化することなく液体の状態で残存した水である。従って、回収水センサ924からのセンサ値に基づき給水ポンプ913及び回収ポンプ923の駆動制御を行うことにより、空調機1の使用環境に応じて、供給する水量の適正化を図ることができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記コントローラ130は、前記回収水センサ924から出力されるセンサ値が、前記回収水路92に流れる水量は所定量以上であることを示す場合、前記給水ポンプ913を停止する。
本態様にあたっては、コントローラ130は、回収水センサ924から出力されるセンサ値が、回収水路92に流れる水量は所定量以上であることを示す場合、給水ポンプ913を停止し、更に当該センサ値が、回収水路92に流れる水量は所定量未満であることを示す場合、給水ポンプ913を駆動するものであってもよい。当該所定量を、例えば質量流量として0[kg/s]とすることにより、回収水路92に流れる水の有無に基づき、コントローラ130は給水ポンプ913の停止及び駆動を制御することができる。回収水路92に流れる水が有る(回収水路92に水が流れている)場合、冷却ユニット3において気化することなく液体の状態で水が残存していることを示すものであり、コントローラ130は給水ポンプ913を停止することにより、冷却ユニット3に過度に水が供給されることを防止し、気化効率を向上させることができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記コントローラ130は、前記給水ポンプ913及び前記回収ポンプ923の駆動及び停止を繰り返すことによる間欠運転を行う。
本態様にあたっては、コントローラ130は、給水ポンプ913及び回収ポンプ923の駆動及び停止を繰り返すことによる間欠運転を行うため、冷却ユニット3に過度に水が供給されることを防止することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記コントローラ130は、前記給水ポンプ913の駆動開始時点と、前記回収ポンプ923の駆動開始時点との間に所定の遅延時間を設けて、前記給水ポンプ913及び前記回収ポンプ923の駆動制御を行う。
本態様にあたっては、コントローラ130は、給水ポンプ913及び回収ポンプ923の駆動及び停止を繰り返すことによる間欠運転を周期的に行うにあたり、同じ周期における給水ポンプ913の駆動開始時点と、回収ポンプ923の駆動開始時点との間に所定の遅延時間を設けて、当該給水ポンプ913及び回収ポンプ923を駆動する。すなわち、給水ポンプ913が駆動を開始した時点においては、回収ポンプ923の駆動は開始しておらず、当該回収ポンプ923は停止している。給水ポンプ913の駆動を開始し、冷却ユニット3への水の供給が開始された時点以降、しばらくの間は、供給された水は、冷却ユニット3に含まれる気化フィルタ(第1気化フィルタ31、第2気化フィルタ32)に吸収される傾向にあるため、回収ポンプ923を駆動しても空転することが懸念される。これに対し、給水ポンプ913の駆動開始時点と、回収ポンプ923の駆動開始時点との間に所定の遅延時間を設けることにより、回収ポンプ923を不要に駆動させることを防止し、当該回収ポンプ923による電力消費を削減することができる。
本開示の一態様に係る空調機1において、前記コントローラ130は、前記給水ポンプ913の駆動時間よりも、前記回収ポンプ923の駆動時間を長くして、前記給水ポンプ913及び前記回収ポンプ923の駆動制御を行う。
本態様にあたっては、コントローラ130は回収ポンプ923を給水ポンプ913よりも長く駆動することにより、冷却ユニット3に滞留する水を確実に回収し、筐体11の内部に残存する水の量を低減させ、筐体11内における衛生度を向上させることができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。