JP2022090269A - ピストンリングの組付方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】環状のピストンリング溝に対してピストンリングを正確に組み付け可能とする。【解決手段】筒状の保持部材2の外周に拡径状態で同軸的に保持された複数のピストンリングRに軸方向の送り力を付与し、先頭のピストンリングR1を上側筒部4の軸方向外側に配置したリング押さえ5に押し付けることにより、拡径状態にある先頭のピストンリングR1を軸方向に圧縮した状態で組付予定のピストンリング溝13(13A)の径方向外側に位置決め配置する。次いで、リング押さえ5を保持部材2に対して離反移動させて上記圧縮力を解放することにより、先頭のピストンリングR1を自己収縮力で縮径させてピストンリング溝13(13A)に組み付ける。【選択図】図5

Description

本発明は、ピストンリングの組付方法に関する。
周知のように、自動車用エンジン等の構成部品であるピストンの外周面には環状のピストンリング溝が軸方向に間隔を空けて複数(通常は3つ)設けられており、ピストンは、各ピストンリング溝にピストンリングが組み付けられた状態でシリンダ内に配置される。
例えば下記の特許文献1には、以下のようにしてピストンリング溝にピストンリングを組み付けることが記載されている。
まず、保持部材としてのマガジンの外周に拡径状態[自由状態よりも内径寸法(合口の周方向寸法)が大きく、自由状態に戻ろうとする自己収縮力(縮径方向の弾性復元力)が発生している状態。以下同様。]で同軸的に重ねて保持された複数のピストンリングに軸方向の送り力を付与し、先頭のピストンリングを、シャッターを介して位置規制部材に押し付ける。これにより、先頭のピストンリングは、軸方向(板厚方向)に圧縮された状態、つまり縮径するのを規制された状態で組付待機位置に位置決めされる。なお、組付待機位置とは、ピストンリングの内径面が組付予定のピストンリング溝の開口と対向する位置である。
次いで、シャッターを開動作する(ピストンリングの径方向外側に移動させる)ことにより、拡径状態にある先頭のピストンリングが縮径するのを規制していた圧縮力を解放する。これに伴い、先頭のピストンリングは、自己収縮力により縮径し、組付予定のピストンリング溝に組み付けられる。
特開2011-255427号公報
上記の従来方法では、主に、位置規制部材の配置位置によって組付待機位置が決定付けられることになるが、先頭のピストンリングがシャッターを介して位置規制部材に押し付けられる関係上、少なくともシャッターの厚み分、先頭のピストンリングが組付予定のピストンリング溝の開口に対して軸方向に位置ズレする。そのため、先頭のピストンリングを組付予定のピストンリング溝に対して正確に組み付けることができないおそれがある。ピストンリングの組付不良が生じると、組付装置を停止して不良品を取り除き、組付装置を定常運転可能な状態に復旧させる必要が生じるため、ピストンリング溝にピストンリングが組み付けられたピストン(ピストンアセンブリ)の量産効率が低下する。
また、シャッターは、ピストンリングの径方向に進退移動する関係上、先頭のピストンリングの全体を均一に圧縮することができない(ピストンリングの周方向の一部領域しか圧縮することができない)。そのため、先頭のピストンリングが縮径変形するときの変形挙動が安定せず、ピストンリングを組付予定のピストンリング溝に対して正確に組み付けることができない場合がある。
以上の実情に鑑み、本発明は、ピストンの外周面に設けられるピストンリング溝に対してピストンリングを正確に組み付け可能とし、もって、ピストンリング溝にピストンリングを組み付けてなるピストンアセンブリの量産効率を高めることを主たる目的とする。
上記の目的を達成するために創案された本発明は、ピストンの外周面に設けられた環状のピストンリング溝にピストンリングを組み付ける方法において、
筒状の保持部の外周に拡径状態で同軸的に保持された複数のピストンリングに軸方向の送り力を付与し、先頭のピストンリングを上記保持部の軸方向外側に配置したリング押さえに押し付けることにより、先頭のピストンリングを軸方向に圧縮した状態でピストンリング溝の径方向外側に位置決め配置し、
次いで、リング押さえを保持部に対して軸方向に相対的に離反移動させて軸方向の圧縮力を解放することにより、先頭のピストンリングを自己収縮力により縮径させてピストンリング溝に組み付けることを特徴とする。
なお、本発明でいう「軸方向」とは、ピストンの中心軸に沿う方向である。
本発明に係るピストンリングの組付方法では、外周に複数のピストンリングを拡径状態で保持した保持部に対するリング押さえの軸方向相対位置を変化させることにより、先頭のピストンリングの拘束(圧縮)/解放が切り替えられる。つまり、本発明では、上記特許文献1に記載の従来方法で先頭のピストンリングを組み付けるために使用されていたシャッターが省略される。そのため、シャッターの存在に起因した上記の各種問題の発生を防止し、ピストンリングを組付予定のピストンリング溝に対して正確に組み付けることができる。
先頭のピストンリングを軸方向(板厚方向)に圧縮した状態でピストンリング溝の径方向外側に位置決め配置した後には、複数のピストンリングに送り力を付与する加圧部材をリング押さえに対して所定量軸方向に離反移動させるのが好ましい。このようにすれば、先頭のピストンリングを軸方向に圧縮した状態で組付予定のピストンリング溝の径方向外側に位置決め配置しつつ、後続のピストンリング(特に先頭から2番目のピストンリング)に軸方向の圧縮力が蓄積されるのを可及的に防止することができる。そのため、先頭のピストンリングに付与されていた軸方向の圧縮力が解放されたときに、後続のピストンリングが保持部から外れるといった組付不良の発生を可及的に防止することができる。
以上で説明したように、本発明に係るピストンリングの組付方法によれば、組付予定のピストンリング溝に対してピストンリングを正確に組み付けることが可能となり、ピストンリングの組付不良の発生頻度を減じることができる。これにより、ピストンアセンブリの量産効率を高めることができる。
ピストンアセンブリの概要図である。 ピストンリングの組付設備の概略平面図である。 ピストンリングの組付装置の要部断面図である。 リング押さえの原点出しの様子を示す概要図である。 (a)図は、先頭のピストンリングを組付待機位置に位置決め配置したときの概要図、(b)図は、先頭のピストンリングに付与していた軸方向の圧縮力を解放したときの概要図、(c)図は、先頭のピストンリングが組付予定のピストンリング溝に組み付けられた状態を示す概要図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1に基づき、本発明に係る方法を用いて得られるピストンアセンブリAの一例を説明する。このピストンアセンブリAは、例えば自動車用エンジンのシリンダ内に配置されるものであって、環状のピストンリング溝が外周面の軸方向に離間した三箇所に形成されたピストン10と、各ピストンリング溝11~13に組み付けられたC型のピストンリングRとを備える。
ピストンリング溝11,12には1つずつピストンリングRが組み付けられており、各ピストンリングRは、主に気密保持(燃焼室内で生成された燃焼ガスの漏洩防止)機能およびピストン10の冷却機能を果たす。ピストンリング溝13には、エキスパンダーリングとも称される波型リング14を軸方向両側から挟み込むように2つのピストンリングRが組み付けられており、これら3つのリングの協働によりシリンダの内壁面に形成される油膜の膜厚が調整される。なお、ピストンリング溝11,12に組み付けられたピストンリングRは、それぞれ、トップリングおよびセカンドリングとも称され、ピストンリング溝13に組み付けられたピストンリング(2つのピストンリングRおよび波型リング14)はオイルリングとも称される。
図2に、図1に示すピストンアセンブリAを作製するために用いられるピストンリングの組付設備20の概略平面図を示す。この組付設備20は、枠体21に間隔を空けて設けられ、それぞれに後述するピストンリングの組付装置1が設置された第1ステーションS1~第3ステーションS3と、搬送ロボット22とを備える。図示例の搬送ロボット22は、垂直軸回りに旋回(回転)する第1アーム23と、第1アーム23の先端に連結され、垂直軸回りに旋回(回転)する第2アーム24と、第2アーム24に連結された図示外のピストン保持機構とを備え、ピストン保持機構はピストン10を昇降および回転(垂直軸回りに回転)可能に保持する。
図2に示す組付設備20においては、搬送ロボット22によりヘッド部10aを下側に配置した縦姿勢で保持されたピストン10(より詳細には、ピストンリング溝13の溝幅方向中央部に波型リング14が組み付けられたピストン10。図3を参照。)が、まず、第1ステーションS1に設置された組付装置1に投入され、この組付装置1でピストンリング溝13(の溝幅方向両端部)にピストンリングRが組み付けられる。ピストンリング溝13にピストンリングRが組み付けられたピストン10は、搬送ロボット22により第2ステーションS2に設置された組付装置1に投入され、この組付装置1でピストンリング溝12にピストンリングRが組み付けられる。ピストンリング溝12にピストンリングRが組み付けられたピストン10は、搬送ロボット22により第3ステーションS3に設置された組付装置1に投入され、この組付装置1でピストンリング溝11にピストンリングRが組み付けられる。これにより図1に示すピストンアセンブリAが得られる。
図3に、本発明に係るピストンリングの組付方法を実施する際に使用される組付装置1の要部を概念的に示す。同図に示す組付装置1は、第1ステーションS1に設置された組付装置1、すなわち、ピストン10のうちヘッド部10aから最も離れた位置に設けられたピストンリング溝13に所定の板厚を有するピストンリング(例えば、板厚t=0.4mmのピストンリング)Rを組み付けるものである。前述したとおり、ピストンリング溝13の溝幅方向中央部には波型リング14が予め組み付けられていることから、この組付装置1では、ピストンリング溝13のうち、波型リング14の軸方向一方側(ヘッド部10aとの離間距離が大きい側)および軸方向他方側にそれぞれ形成される、第1ピストンリング溝13Aおよび第2ピストンリング溝13BにピストンリングRが組み付けられる。板厚t=0.4mmのピストンリングRを用いる場合、両ピストンリング溝13A,13Bの溝幅は、例えば0.2mm~0.7mmの範囲内に設定される。
なお、ピストンリング溝12,11にピストンリングRを組み付けるための組付装置1、すなわち第2ステーションS2および第3ステーションS3にそれぞれ設置される組付装置1は、第1ステーションS1に設置される組付装置1と実質的に同一の構成を有することから、詳細説明を省略する。
図3に示す組付装置1は、一列に重ねて同軸配置された複数のピストンリングRが外周に嵌合された筒状の保持部材2と、保持部材2の上側に保持部材2と同軸に配置された環状のリング押さえ5と、上記複数のピストンリングRにその中心軸に沿う方向(ここでは上向き)の送り力を付与可能な加圧機構6とを備える。ピストン10は、図2に示す搬送ロボット22により上記の縦姿勢に保持された状態で保持部材2およびリング押さえ5の内周に配置される。
保持部材2は、外径面が径一定の円筒面に形成された下側筒部3と、外径面が上側に向けて徐々に拡径したテーパ状をなす上側筒部4とを有する筒状体からなり、組付設備20の枠体21に固定されている。保持部材2の上端面2aは、凹凸のない平坦面に形成されている。下側筒部3および上側筒部4の軸方向寸法は、何れも、ピストンリングRの板厚tよりも遥かに大きく設定されている。また、下側筒部3の外径寸法は、自由状態のピストンリングRの内径寸法以下に設定され、上側筒部4の外径寸法は自由状態のピストンリングRの内径寸法よりも大きく設定されている。以上の構成により、保持部材2の上側筒部4の外周には、それぞれが拡径状態にある複数のピストンリングRが段積み状態で嵌合・保持される。従って、ここでは、保持部材2の上側筒部4が本発明でいう「保持部」に相当する。
本実施形態では、保持部材2が筒状体で構成されると共に、ピストン10が搬送ロボット22により昇降可能に保持されることから、保持部材2は、特許文献1に記載の従来方法で使用されていた保持部材としてのマガジンとは異なり、ピストン10を装着(下方側から支持)するためのピストン装着部は有していない。また、保持部材2としては、下側筒部3と上側筒部4が一体に形成されたものを用いても良いし、両筒部3,4が分離可能に連結されたものを用いても良い。両筒部3,4のうち、特に上側筒部4は、その外周に嵌合された拡径状態のピストンリングRが加圧機構6の加圧力を受けて上昇移動するのに伴って外周面が摩耗する懸念がある。そのため、両筒部3,4が分離可能に連結されていれば、摩耗した筒部(上側筒部4)のみを交換することが可能となるので、設備費用を抑える上で有利となる。
環状のリング押さえ5は、図示外の駆動機構に連結されて昇降移動する。リング押さえ5の下端面5aは、これに対向する保持部材2の上端面2aと同様に、凹凸のない平滑な平坦面に形成されている。下端面5aの径方向内側の端部は、保持部材2の外周に嵌合された複数のピストンリングRのうち先頭のピストンリング(最も高位に位置するピストンリング)Rの径方向内側の端部よりも径方向内側に位置し、下端面5aの径方向外側の端部は、先頭のピストンリングRの径方向外側の端部よりも径方向外側に位置している。
加圧機構6は、保持部材2の外周に嵌合された複数のピストンリングRの下側に昇降可能に配置された昇降部材7と、この昇降部材7を昇降させるための駆動力を発生する駆動部8と、駆動部8の駆動制御を行う制御部9とを備える。駆動部8は、例えば、サーボモータ等の電動モータと、電動モータの回転運動を直線運動(上下方向の直線運動)に変換するボールねじ等の運動変換機構とを備えた電動アクチュエータで構成することができる。
以上の構成を有する本実施形態のピストンリングの組付装置1は、以下に説明する原点出しステップおよび組付ステップを実行することにより、保持部材2およびリング押さえ5の内周に配置されるピストン10のピストンリング溝13(13A,13B)にピストンリングRを組み付ける。
[原点出しステップ]
原点出しステップでは、リング押さえ5の原点出しを行う。この原点出しは、図4に示すように、枠体21に固定された保持部材2に対してリング押さえ5を接近移動させ、保持部材2の上端面2aにリング押さえ5の下端面5aを当接させることにより行われる。これにより、リング押さえ5の原点は、その下端面5aが保持部材2の上端面2aに当接する位置となる。図示例では、保持部材2の外周にピストンリングRを嵌合していない状態でリング押さえ5の原点出しを行っているが、保持部材2の外周にピストンリングRを嵌合した状態でリング押さえ5の原点出しを行っても良い。
[組付ステップ]
組付ステップでは、まず、リング押さえ5の高さ方向での位置決めを行う。この位置決めは、図5(a)に示すように、互いに対向するリング押さえ5の下端面5aと保持部材2の上端面2aとの間に所定の隙間幅dを有する環状の軸方向隙間15が形成されるように、リング押さえ5を原点から上昇移動させることにより行われる。板厚t=0.4mmのピストンリングRが使用される本実施形態では、軸方向隙間15の隙間幅dは、例えば0.4mm≦d≦0.5mm、より好ましくは0.4mm≦d≦0.45mmの範囲内に設定される。
また、保持部材2およびリング押さえ5の内周に配置されるピストン10の高さ方向での位置決めを行う。ここでは、上記の軸方向隙間15の径方向内側に、ピストンリング溝13内に画成された第1ピストンリング溝13Aが配置されるように搬送ロボット32を駆動することにより、ピストン10が高さ方向で位置決めされる。
上記のとおり、本実施形態の組付装置1を構成する保持部材2は、ピストン10が装着されるピストン装着部を有していないため、ピストン10を高さ方向で位置決めする際には、ピストン10に位置決め基準点を設定し、この位置決め基準点を基準としてピストン10を昇降移動させる必要がある。ここで、ピストン10の外周面にピストンリング溝11~13を加工する際には、ピストン10の軸方向の任意の位置(好ましくは、ヘッド部10aとは異なる位置)に加工基準点を設け、この加工基準点から軸方向に所定量離れた位置にピストンリング溝11~13が加工される。そのため、本実施形態では、ピストン10にピストンリング溝11~13を加工する際に設定される加工基準点を、ピストン10を高さ方向で位置決めする際の位置決め基準点として活用する。これにより、環状の軸方向隙間15の径方向内側に第1ピストンリング溝13Aを精度良く配置することができる。
リング押さえ5およびピストン10の高さ方向での位置決めが完了した後、加圧機構6の駆動部8を駆動して昇降部材7を上昇移動させることにより、保持部材2の外周に嵌合された複数のピストンリングRを一体的に上昇移動させ、拡径状態にある先頭のピストンリングRの上面をリング押さえ5の下端面5aに押し付ける[図5(a)を参照]。これにより、拡径状態にある先頭のピストンリングRは、軸方向に圧縮された状態、つまり縮径変形を規制された状態で軸方向隙間15の径方向外側に位置決め配置される。
以上のようにして、リング押さえ5およびピストン10の高さ方向での位置決めが完了すると共に、拡径状態にある先頭のピストンリングRが板厚方向に圧縮された状態で軸方向隙間15の径方向外側に位置決めされると、図5(b)中に白抜き矢印で示すように、リング押さえ5を所定量上昇移動(保持部材2に対して離反する方向に移動)させる。これに伴い、先頭のピストンリングRに付与されていた軸方向の圧縮力が解放されるので、先頭のピストンリングRは、自己収縮力によって縮径し、ピストン10の第1ピストンリング溝13Aに組み付けられる[図5(c)参照]。
ここで、保持部材2の外周には、表面に防錆油等のオイルが付着していない清浄なピストンリングRが嵌合される場合と、表面に防錆油等のオイルが付着したピストンリングRが嵌合される場合とがある。後者の場合、オイルの表面張力により、隣り合うピストンリングR同士が強固に密着するため、先頭のピストンリングRが自己収縮力によって縮径する際[図5(b)]、先頭のピストンリングRに隣接するピストンリングR(上から二番目のピストンリングR)が先頭のピストンリングRとともに縮径する(ピストンリング溝に組み付けられる)といった組付ミスが発生する可能性が高まる。そのため、本実施形態では、保持部材2の上端外周縁部(上端面2aと上側筒部4の外周面との接続部)にアール部や面取り部を意図的に設けず、保持部材2の上端外周縁部を尖頭形状としている。これにより、先頭のピストンリングRが自己収縮力によって縮径する際には、保持部材2の外周に嵌合された上から二番目のピストンリングRが保持部材2の上側筒部4から外れるのを可及的に防止し、先頭のピストンリングRとこれに隣接するピストンリングRとを適切に切り離すことが可能となる。従って、上述した組付ミスの発生確率(発生頻度)を効果的に減じることができる。
以上のようにしてピストンリング溝13内に画成された第1ピストンリング溝13AにピストンリングRが組み付けられると、これに続けて、波型リング14を挟んで第1ピストンリング溝13Aとは反対側に形成されている第2ピストンリング溝13BにピストンリングRが組み付けられる。第2ピストンリング溝13BへのピストンリングRの組み付けは、第1ピストンリング溝13AにピストンリングRを組み付ける場合と実質的に同一の手順で行われる。
すなわち、第1ピストンリング溝13AにピストンリングRが組み付けられると、まず、リング押さえ5が下降移動(原点復帰)する。リング押さえ5が原点復帰した後には、保持部材2の上端面2aとリング押さえ5の下端面5aとの間に所定の隙間幅dを有する環状の軸方向隙間15が形成されるようにリング押さえ5が上昇移動し、また、保持部材2の外周に嵌合された複数のピストンリングRのうち、拡径状態にある先頭のピストンリングRが軸方向隙間15の径方向外側に圧縮状態で位置決め配置されるように加圧機構6が作動する。また、搬送ロボット22のピストン保持部が上昇移動し、軸方向隙間15の径方向内側に第2ピストンリング溝13Bが位置決め配置される。そして、リング押さえ5が所定量上昇移動することにより、先頭のピストンリングRが縮径して第2ピストンリング溝13Bに組み付けられる。
以上で説明した本発明の一実施形態に係るピストンリングRの組付方法では、ピストンリングRを拡径状態で保持した保持部材2(の上側筒部4)に対するリング押さえ5の軸方向相対位置を変化させることにより、組付待機位置(組付予定のピストンリング溝の径方向外側)に位置する先頭のピストンリングRの拘束(圧縮)/解放が切り替えられる。そのため、従来方法で先頭のピストンリングRを組み付けるために使用されていた、ピストンリングRの径方向に進退移動するシャッターが省略される。この場合、シャッターの存在により、組付予定のピストンリング溝13(13A又は13B)に対して先頭のピストンリングRが軸方向に位置ズレするのを防止し、組付予定のピストンリング溝13に対して先頭のピストンリングRを正確に位置決めすることができる。これにより、先頭のピストンリングRをピストンリング溝13に対して正確に組み付けることができる。
また、軸方向に進退移動(昇降移動)する環状のリング押さえ5で先頭のピストンリングRを軸方向に圧縮する関係上、先頭のピストンリングRの全体を軸方向に圧縮することができることに加え、リング押さえ5を保持部材2に対して軸方向に離反移動させると上記の圧縮力が全て解放されるため、ピストンリングRが縮径変形するときの変形挙動を安定化することができる。そのため、この点からも、先頭のピストンリングRをピストンリング溝13に対して精度良く組み付けることができる。
従って、本発明の実施形態に係るピストンリングの組付方法によれば、組付予定のピストンリング溝に対してピストンリングRを正確に組み付けることができる。これにより、ピストンリングRの組付不良が発生したときに必要となる組付装置1を停止しての組付不良品の除去作業や、組付装置1を定常運転可能な状態に復旧させるための復旧作業の実施頻度を効果的に減じることが可能となるので、図1に示すピストンアセンブリAを効率良く量産することが可能となる。
ところで、従来方法では、複数のピストンリングを拡径状態で保持するマガジンにピストン装着部が設けられ、このピストン装着部でピストンを下方側から接触支持することにより、組付待機位置に位置決めされるピストンリングの径方向内側に組付予定のピストンリング溝が位置決め配置される。そのため、例えば、ピストンが、ピストンヘッドと組付予定のピストンリング溝の軸方向離間距離が異なるものに変更された場合、マガジンも変更する必要が生じる。要するに、従来方法では、ピストンリング溝の軸方向位置に応じて数多くのマガジン、ひいては組付装置を準備する必要がある。
これに対し、本発明に係る方法では、ピストン10が保持部材2に対して昇降移動する搬送ロボット22によって高さ方向で位置決めされる関係上、搬送ロボット22の動作態様(昇降移動量)を変更するだけでピストンの変更にも容易に対応することができる。そのため、本発明によれば、種々のピストンに対してピストンリングを精度良く組み付けることを可能とする汎用性に富む組付装置1を実現できる、という利点もある。
以上、本発明の一実施形態に係るピストンリングの組付方法について説明を行ったが、本発明の実施の形態はこれに限定されるわけではない。
例えば、先頭のピストンリングRをリング押さえ5に押し付ける(先頭のピストンリングRを軸方向に圧縮した状態で、組付予定のピストンリング溝および軸方向隙間15の径方向外側に位置決め配置する)に当たり、加圧機構6は、昇降部材7が上昇移動する(先頭のピストンリングRに付与される軸方向の圧縮力が増加する)のに伴って駆動部8を構成する電動モータを流れる電流値が所定値に到達した時点で一旦停止し、その後、昇降部材7を所定量(例えば、ピストンリングRの板厚tと同寸)下降移動させるように駆動することができる。
このようにすれば、拡径状態にある先頭のピストンリングRを軸方向に圧縮した状態で軸方向隙間15の径方向外側に位置決め配置しつつ、後続のピストンリング(特に先頭のピストンリングRに圧接された上から二番目のピストンリング)Rに軸方向の圧縮力が蓄積されるのを回避することができる。これにより、リング押さえ5の上昇移動に伴って先頭のピストンリングRに付与されていた軸方向の圧縮力が解放されたとき、これと同時に後続のピストンリングRが保持部材2の上側筒部4から外れるといった組付不良の発生を可及的に防止することができる。
1 ピストンリングの組付装置
2 保持部材
4 上側筒部(保持部)
5 リング押さえ
6 加圧機構
10 ピストン
11,12,13 ピストンリング溝
14 波型リング
15 軸方向隙間
20 組付設備
R ピストンリング
先頭のピストンリング
t ピストンリングの板厚

Claims (2)

  1. ピストンの外周面に設けられた環状のピストンリング溝にピストンリングを組み付ける方法において、
    筒状の保持部の外周に拡径状態で同軸的に保持された複数のピストンリングに軸方向の送り力を付与し、先頭のピストンリングを前記保持部の軸方向外側に配置したリング押さえに押し付けることにより、先頭のピストンリングを軸方向に圧縮した状態で前記ピストンリング溝の径方向外側に位置決め配置し、
    次いで、前記リング押さえを前記保持部に対して軸方向に相対的に離反移動させて軸方向の圧縮力を解放することにより、先頭のピストンリングを自己収縮力で縮径させて前記ピストンリング溝に組み付けることを特徴とするピストンリングの組付方法。
  2. 先頭のピストンリングを軸方向に圧縮した状態で前記ピストンリング溝の径方向外側に位置決め配置した後、複数のピストンリングに前記送り力を付与する加圧部材を前記リング押さえに対して所定量軸方向に離反移動させる請求項1に記載のピストンリングの組付方法。
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