JP2022089691A - シールド掘進機の方向制御方法、力点判定装置、方向制御システム、及び学習済みモデルの生成方法。 - Google Patents

シールド掘進機の方向制御方法、力点判定装置、方向制御システム、及び学習済みモデルの生成方法。 Download PDF

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健太 松原
Kenta Matsubara
勇介 小澤
Yusuke Ozawa
智紀 星野
Tomonori Hoshino
弘之 森野
Hiroyuki Morino
淳 中本
Atsushi Nakamoto
成卓 林
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Abstract

【課題】掘進時にジャッキ推力の実力点を追従させる最適な力点を自動判定するシールド掘進機の方向制御方法、力点判定装置、方向制御システム、学習済みモデルの生成方法を提供する。【解決手段】判定用制御支援情報を取得する工程、学習用制御支援情報、学習用制御支援情報に対応する最適力点の正解データとを含む教師データを用いて機械学習した学習済みモデルに、判定用制御支援情報を入力し、掘進予定区間の最適力点を出力する工程を備え、学習用制御支援情報は、所定区間のジャッキ稼働状態、位置・姿勢に関する計測情報と、後行の所定区間における掘進方向の指示情報、及びカッターディスクの回転方向情報と、後行の所定区間の掘進時におけるジャッキ推力の作用力点に推奨する推奨力点と、を含み、判定用制御支援情報は、掘進予定区間を掘進する直前のシールド掘進機の計測情報と、掘進予定区間で予定する指示情報、回転方向情報、及び推奨力点、を含む。【選択図】図17

Description

本発明は、シールド掘進機の掘進方向を制御するための、シールド掘進機の方向制御方法、力点判定装置、方向制御システム、及び学習済みモデルの生成方法に関する。
従来よりシールド掘進機は、コンピューターを利用した掘進方向の自動制御化が実現されており、高い掘進制度をもって作業を進めるべく、様々なシステムが検討されている。例えば、特許文献1では、シールド掘進機に作用するジャッキ推力の作用力点を用いて、シールド掘進機の掘進方向を制御する、シールド掘進機の方向制御システムが開示されている。
特許文献1ではまず、シールド掘進機の正面視で、左右端に位置するシールドジャッキの伸縮量の差をストローク差、上下端方向のシールド掘進機の傾斜角度をピッチング角として設定し、所定区間だけ掘進して停止させたシールド掘進機において、現在のストローク差及びピッチング角を計測しておく。その一方で、現場職員が、次の所定区間の掘進作業に向けて、シールド掘進機を計画線形に沿って掘進させるための進行目標値を設定する。
方向制御システムは、進行目標値、現在のストローク差及びピッチング角から算出したピッチング角度差、実績に基づく回帰分析結果等に基づいて、次の掘進作業でシールド掘進機を計画線形に沿って掘進させるために適したジャッキ推力の作用力点として推奨する推奨力点を設定する。シールド掘進機のオペレーターは、この推奨力点を参照しつつシールド掘進機の性能や地盤状況を勘案し、最適な目標力点を決定し、これをシールド掘進機の制御装置に入力する。
すると、シールド掘進機の制御装置にシールドジャッキの自動制御機能が搭載されている場合、シールド掘進機は、運転中のシールド掘進機に作用するジャッキ推力の実力点が目標力点を追従するよう、運転を自動制御される。一方、自動制御機能が搭載されていない場合、オペレーターが決定した目標力点に作用力点が最も近いジャッキパターンを、方向制御システムまたはオペレーター自身が選択する。そして、オペレーターは選択されたジャッキパターンを用いて、運転中のシールド掘進機に作用するジャッキ推力の実力点が目標力点を追従するよう、シールド掘進機を運転する。
特開2019-82003号公報
シールド掘進機の方向制御に影響を及ぼす可能性がある要因として、ストローク差やピッチング角度差等のシールド掘進機のジャッキ稼働状態のほかにも、シールド掘進機のジャイロ方位や水レベル値、テールクリアランスといったシールド掘進機の位置や姿勢等、様々な要因が考えられる。しかし、これら方向制御に影響を及ぼす可能性のあるすべての項目を、推奨力点に反映させることは困難である。このため、ジャッキ推力の作用力点として推奨力点を推奨しても、推奨力点はそのまま採用されず、これを支援情報としてオペレータが決定した目標力点が採用される場合が多い。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、シールド掘進機の掘進方向をジャッキ推力の作用力点を用いて制御するにあたり、掘進時にジャッキ推力の実力点を追従させる最適な力点を、自動判定することである。
かかる目的を達成するため、本発明のシールド掘進機の方向制御方法は、掘進予定区間の掘進時に、シールド掘進機に作用させるジャッキ推力の最適力点を自動判定し、該最適力点に前記ジャッキ推力の実力点を追従させてシールド掘進機の掘進方向を制御するシールド掘進機の方向制御方法であって、判定用制御支援情報を取得する工程と、学習用制御支援情報と、該学習用制御支援情報に対応する前記最適力点の正解データとを含む教師データを用いて機械学習した学習済みモデルに、前記判定用制御支援情報を入力し、前記掘進予定区間の前記最適力点を出力する工程と、を備え、前記学習用制御支援情報は、所定区間を掘進した前記シールド掘進機のジャッキ稼働状態、位置・姿勢に関する計測情報と、後行の所定区間における掘進方向の指示情報、及びカッターディスクの回転方向情報と、前記後行の所定区間の掘進時における前記ジャッキ推力の作用力点に推奨する推奨力点と、を含み、前記判定用制御支援情報は、前記掘進予定区間を掘進する直前の前記シールド掘進機の前記計測情報と、前記掘進予定区間で予定する前記指示情報、前記回転方向情報、及び前記推奨力点、を含むことを特徴とする。
また、本発明のシールド掘進機の方向制御方法は、前記教師データを変えて機械学習した複数の前記学習済みモデルから、前記最適力点を出力する工程で用いる前記学習済みモデルを、前記掘進予定区間の前記指示情報に基づいて選定する工程を含むことを特徴とする。
本発明のシールド掘進機の力点判定装置は、掘進予定区間の掘進時に、シールド掘進機に作用させるジャッキ推力の最適力点を自動判定するシールド掘進機の力点判定装置であって、前記最適力点の自動判定に用いる判定用制御支援情報を取得する支援情報取得部と、前記最適力点を、前記判定用制御支援情報に基づいて自動判定する自動判定部と、を備えるシールド掘進機の力点判定装置であって、前記自動判定部は、学習用制御支援情報と、該学習用制御支援情報に対応する前記最適力点の正解データとを含む教師データを用いた機械学習により生成された学習済みモデルを備え、前記学習用制御支援情報は、所定区間を掘進した前記シールド掘進機のジャッキ稼働状態、位置・姿勢に関する計測情報と、後行の所定区間における掘進方向の指示情報、及びカッターディスクの回転方向情報と、前記後行の所定区間の掘進時におけるジャッキ推力の作用力点に推奨する推奨力点と、を含み、前記判定用制御支援情報は、前記掘進予定区間を掘進する直前の前記シールド掘進機の前記計測情報と、前記掘進予定区間で予定する前記指示情報、前記回転方向情報、及び前記推奨力点、を含むことを特徴とする。
また、本発明のシールド掘進機の力点判定装置は、前記教師データを変えて機械学習した複数の前記学習済みモデルから、前記掘進予定区間の前記指示情報に基づいて前記最適力点を出力する工程で用いる前記学習済みモデルを選定するモデル抽出部を備えることを特徴とする。
本発明のシールド掘進機の方向制御システムは、本発明のシールド掘進機の力点判定装置と、前記シールド掘進機の前記計測情報を取得する掘進管理/線形管理装置と、前記推奨力点を取得する方向制御装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の学習済みモデルの生成方法は、掘進予定区間を掘進するシールド掘進機に作用させるジャッキ推力の最適力点を自動判定するために用いる学習済みモデルの生成方法であって、学習用制御支援情報と、該学習用制御支援情報に対応する前記最適力点の正解データとを含む教師データを複数取得する工程と、前記教師データを用いて、判定用制御支援情報を入力とし前記掘進予定区間の前記最適力点を出力とする学習済みモデルを生成する工程と、を備え、前記学習用制御支援情報は、所定区間を掘進した前記シールド掘進機のジャッキ稼働状態、位置・姿勢に関する計測情報と、後行の所定区間における掘進方向の指示情報、及びカッターディスクの回転方向情報と、前記後行の所定区間の掘進時における前記ジャッキ推力の作用力点に推奨する推奨力点と、を含み、前記判定用制御支援情報は、前記掘進予定区間を掘進する直前の前記シールド掘進機の前記計測情報と、前記掘進予定区間で予定する前記指示情報、前記回転方向情報、及び前記推奨力点、を含むことを特徴とする。
また、本発明の学習済みモデルの生成方法は、前記掘進予定区間の前記指示情報に基づいて、前記学習済みモデルの生成に用いる前記教師データを選択する工程を含むことを特徴とする。
本発明のシールド掘進機の方向制御方法、力点判定装置、及び方向制御システムによれば、学習済みモデルを用いて自動判定した最適力点にジャッキ推力の実力点を追従させてシールド掘進機を掘進させることができるため、シールド掘進機の掘進方向を安定した精度で制御し、計画線形に沿って掘進させることが可能となる。
また、方向制御に影響を及ぼす可能性のある数多くの項目を含む学習用制御支援情報を用いて機械学習した学習済みモデルにより自動判定した最適力点は、熟練したオペレータがシールド掘進機の性能や地盤状況を勘案しつつ決定していた目標力点に代えて用いることができ、シールド掘進機の自動運転化の実現に寄与することが可能となる。
さらに、教師データを変えて機械学習した複数の学習済みモデルから、最適力点を出力する工程で用いる学習済みモデルを、掘進予定区間の指示情報に基づいて抽出する。これにより、各々で掘進条件の異なる掘進予定区間に見合った学習済みモデルを採用することができ、より高い精度でシールド掘進機の掘進方向を制御することが可能となる。
本発明の学習済みモデルの生成方法によれば、教師データに用いる学習用制御支援情報として、シールド掘進機のジャッキ稼働状態、位置・姿勢に関する計測情報及び後行の所定区間における掘進方向の指示情報だけでなく、後行の所定区間の掘進時におけるジャッキ推力の作用力点に推奨する推奨力点、及びカッターディスクの回転方向情報を採用する。このように、シールド掘進機の方向制御に影響を及ぼす可能性のある数多くの項目を教師データに用いて機械学習を行うため、学習済みモデルを用いて自動判定した最適力点に、高い信頼性をもたらすことが可能となる。
また、掘進予定区間の指示情報に基づいて、前記学習済みモデルの生成に用いる前記教師データを選択すると、掘進条件が異なる掘進予定区間ごとに学習済みモデルを生成することができ、掘進予定区間ごとにより信頼性の高い最適力点を自動判定することが可能となる。
本発明によれば、シールド掘進機の掘進方向をジャッキ推力の作用力点を用いて制御する際、方向制御に影響を及ぼす可能性のある数多くの項目を反映させて自動判定した、信頼性の高い最適力点を採用して、シールド掘進機の掘進方向を制御することが可能となる。
本発明の実施の形態におけるシールド掘進機の方向制御システムを示す図である。 本発明の実施の形態における掘進予定範囲、掘進方向区間、計測点を示す図である。 本発明の実施の形態におけるシールド制御装置の操作盤上の力点を示す図である。 本発明の実施の形態におけるシールド掘進機の計画線形に対する逸脱量を示す図である。 本発明の実施の形態における方向制御装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態における推奨力点を算定する手順のフローである。 本発明の実施の形態における力点判定装置の構成を示す図である。 本発明の実施の形態における制御支援情報(学習用・判定用)を示す図である。 本発明の実施の形態における制御支援情報(学習用・判定用)で用いる理想値の概念を示す図である。 本発明の実施の形態における学習済みモデルの生成方法、及び最適力点の自動判定方法を示す図である。 本発明の実施の形態における学習用制御支援情報を取得する手順のフローである。 本発明の実施の形態における学習済みモデルの評価方法を示す図である。 本発明の実施の形態における学習済みモデルの評価方法で用いる「勝ち数」の考え方を示す図である。 本発明の実施の形態における学習済みモデルの評価結果(水平方向)を示す図である。 本発明の実施の形態における学習済みモデルの評価結果(垂直方向)を示す図である。 本発明の実施の形態における教師データに推奨力点を用いることの評価結果を示す図である。 本発明の実施の形態における学習済みモデルを用いたシールド掘進機の方向制御方法を示す図である。
以下に、シールド掘進機の方向制御方法、力点判定装置、方向制御システム、及び学習済みモデルの生成方法について、その詳細を図1~17を参照しながら説明する。これに先立ち、以下に図1~図3を参照しつつ、シールド掘進機10、ジャッキ推力の作用力点P、実力点E、推奨力点R、目標力点G、進行目標値(掘進指示書)、最適力点Mの自動判定の概略について、その概略を説明する。
≪≪シールド掘進機≫≫
シールド掘進機10は、図1(a)の側面図及び図1(b)の正面図で示すように、先端面にカッターディスク25を備えた筒状の外殻体11と、外殻体11の内周面に沿って周方向に設けられる複数のシールドジャッキ14と、外殻体11の内部に装備されたコンピュータからなりシールド掘進機10の駆動制御を実行するシールド制御装置15と、を備えている。
シールドジャッキ14は、左右対称に配置され、外殻体11の内部でセグメント13を組み立て形成したトンネル12の内壁面を覆う覆工体から掘進用の反力を得る。これにより、シールド掘進機10は、カッターディスク25を回転させつつ、覆工体を構成するセグメント13を掘進反力にしてシールドジャッキ14を伸張させる動作を繰り返すことで、地盤中を順次掘進していく。また、シールド掘進機10は、これら複数のシールドジャッキ14によってシールド掘進機10に作用するジャッキ推力の作用力点Pの位置により、その掘進方向が制御される。
≪≪ジャッキ推力の作用力点P≫≫
図1(b)で示すような作用力点Pは、複数のシールドジャッキ14のうち、シールド掘進機10の掘進に寄与するべく高圧なジャッキ圧が設定されるものと、掘進に寄与しない同調圧が設定されるものとの配置(ジャッキパターン)によりおおよその位置が決定される。したがって、これらの配置を適宜組み合わせることにより、シールド掘進機10に作用するジャッキ推力の作用力点Pにおける配置位置を変化させ、シールド掘進機10を所望の掘進方向に向けて掘進させる。
上述する構造のシールド掘進機10を用いてトンネル施工を実施する際には、まず、図2で示すように、現場職員が例えば片番(昼勤、夜勤)ごとに、次の勤務時間内に実施する掘進予定範囲L1の掘進作業に向けて、施工計画に基づく計画線形Lに沿ってシールド掘進機10を掘進させるよう、進行目標値を設定した掘進指示書を作成する。
≪≪進行目標値(指示値)≫≫
進行目標値は、図2で示すように、掘進予定範囲L1を複数の掘進方向区間L2に区分けし、この区分けされた掘進方向区間L2ごと設定される、ストローク差とピッチング角度差の目標値(指示値)である。また、進行目標値には、ジャイロ方位、水レベル値、及びコピーカッターの位置・伸び量についても目標値(指示値)が設定されている。
なお、ストローク差は、図1(b)で示すようなシールド掘進機10において、左右端に位置するシールドジャッキ14の伸縮量(シールドジャッキストローク)の差であり、ピッチング角度差は、掘進進方向区間L2を1区画分掘進した前後のピッチング角(上下端方向のシールド掘進機の傾斜角度)の差である。また、進行目標値が設定される掘進方向区間L2の距離はいずれでもよく、掘進方向区間L2で掘進予定範囲L1を区分けする際の区間数も、なんら限定されるものではない。
例えば、図2では、掘進方向区間L2をセグメント13の1リング分の幅に対応させ、掘進予定範囲L1を掘進方向区間L2にして3区画分、つまり3リング分に区分けした事例を示している。したがって、図2では、進行目標値が、セグメント13の1リング分の幅に相当する距離ごとに設定されることとなる。シールド掘進機10のオペレーターは、この進行目標値を満足するようシールド掘進機10の掘進方向を方向制御システム100を用いて制御することにより、地盤中を計画線形Lに沿って掘進させる。
≪≪推奨力点R≫≫
シールド掘進機10が計画線形Lに沿って掘進するよう制御するにあたっては、図3で示すように、シールド掘進機10に作用するジャッキ推力の作用力点Pとして推奨する推奨力点Rを、方向制御システム100を用いて算出する。推奨力点Rの算定方法について、詳細は後述するが、シールド掘進機10で地盤を掘進方向区間L2の1区画分だけ掘進するごとに取得した実績ストローク差、実績ピッチング角度差、実績水平力点、実績垂直力点を用いて算定する。また、算定には、後行の掘進方向区間L2で予定するカッターディスク25の回転方向を加味することができる。
なお、実績ストローク差と実績水平力点は、掘進方向区間L2の1区画分(セグメント13の1リング分の幅の距離)を掘進した後の、ストローク差と水平力点である。そして、水平力点は、シールド掘進機10に作用した複数のシールドジャッキ14各々の、ジャッキ推力の合力に基づいて算出したシールド掘進機の軸線Oを通る水平方向線上の作用点である。
また、実績ピッチング角度差と実績垂直力点は、掘進方向区間L2の1区画分(セグメント13の1リング分)を掘進した後の、ピッチング角度差と垂直力点である。そして、垂直力点は、シールド掘進機10に作用した複数のシールドジャッキ14各々の、ジャッキ推力の合力に基づいて算出した、シールド掘進機10の軸線Oを通る水平方向線と直交する垂直方向線上の作用点である。
≪≪目標力点G及び実力点E≫≫
上記のとおり、推奨力点Rは、実績ストローク差や実績ピッチング角度差等を利用して算出しているが、シールド掘進機10の姿勢やテールクリアランス(シールド掘進機10とセグメント13のすき間)、余掘り量等の計測値は、利用していない。つまり、推奨力点Rは、シールド掘進機10の方向制御に影響を及ぼすことが想定されるすべての要因を、反映した力点とはいえない。
このため、シールド掘進機10のオペレーターは、図3で示すように、この推奨力点Rを参照しつつ、シールド掘進機10の性能や地盤状況もしくは過去の経験等を勘案したうえで、シールド掘進機10に作用させるジャッキ推力の目標力点Gを決定する。そして、この目標力点Gを、シールド制御装置15に入力すると、例えば、シールド制御装置15にシールドジャッキ14の自動制御機能が搭載されている場合には、運転中のシールド掘進機10に作用するジャッキ推力の実力点Eが、目標力点Gを追従するよう自動制御される。
≪≪最適力点Mの自動判定≫≫
このようにして、シールド掘進機10は、その掘進方向が制御され、掘進指示書を満足するよう地盤中を掘進する。しかし、目標力点Gはオペレーターが決定するため、その掘進精度はオペレータの熟練度に影響を受けやすい。そこで、図1(a)で示すように、方向制御システム100にシールド掘進機10の力点判定装置40を設け、この力点判定装置40で、図3で示すように、オペレーターが決定する目標力点Gに代わり、運転中のシールド掘進機10に作用するジャッキ推力の実力点Eを追従させる最適力点Mを自動判定することとした。
以下に、図1、図4~7を参照しつつ、力点判定装置40を具備した方向制御システム100、及び力点判定装置40について説明する。
≪≪シールド掘進機の方向制御システム≫≫
方向制御システム100は、図1(a)で示すように、掘進管理/線形管理装置20と、方向制御装置30と、力点判定装置40を備える。これらは、相互にデータ通信が可能なように有線もしくは無線で接続されている。また、多重伝送装置親局21及び多重伝送装置子局22を介して、シールド掘進機10の内部に装備されているシールド制御装置15と接続されている。
≪≪掘進管理/線形管理装置≫≫
掘進管理/線形管理装置20は、シールド掘進機10に装備された計測機器から得た掘進作業中の各種データの収集・計算・記録・蓄積を行うとともに、シールド掘進機10の稼働状況を監視するものである。また、シールド掘進機10の位置・姿勢、及び図4(a)(b)で示すような、施工計画に基づく計画線形Lに対する水平方向の逸脱量Dh及び垂直方向の逸脱量Dp等を把握し、シールド掘進機10の線形管理を行う。
シールド掘進機10に装備された計測機器として、シールド掘進機10に自動測量機能が備えられている場合には、図1(a)で示すように、少なくともレーザー発振機16、光波距離計17、及びレーザーターゲット18が装備されている。また、自動測量機能が備えられていない場合は、水平方向はジャイロとストローク計により、垂直方向は水レベル計とピッチング計により、シールド掘進機10の位置や姿勢の演算を実施する。
また、少なくとも、シールド掘進機10のストローク差やピッチング角度差の現在値等、シールドジャッキ14の稼働状態に係るデータを算出するともに、シールド掘進機10に作用したシールドジャッキ14のジャッキ推力から水平力点及び垂直力点を算出する。
≪≪方向制御装置≫≫
方向制御装置30は、前述した推奨力点Rを算定可能な装置であり、図5で示すように、入力装置31、出力装置32、中央演算処理装置33、ファイル装置34、及びメインメモリ35とを備えている。なお、推奨力点Rは、推奨水平力点Rhと推奨垂直力点Rvを合成したものである。
入力装置31は、例えばキーボード、スキャナー、スイッチ等であり、出力装置32は、ディスプレイやプリンター等が挙げられる。中央演算処理装置33は、CPU、GPU、ROM、RAM及びハードウェアインタフェース等を有するコンピュータである。ファイル装置34は、半導体メモリ又はハードディスクドライブ等からなる記憶装置であり、詳細は後述するが、少なくともデータファイル341、回帰分析情報ファイル342、推奨力点設定用ファイル343、ジャッキパターンファイル344、作用力点格納ファイル345等が格納されている。
また、メインメモリ35は、中央演算処理装置33によって実行可能なプログラムやデータを一時的に格納するものであり、少なくも実目標値算出部351、回帰分析部352、回転情報取得部353、回帰式選択部354、推奨力点算出部355、及びパターン抽出部356が備えられている。
≪≪推奨力点の算定方法≫≫
以下に、上記の方向制御装置30を用いて推奨力点Rを算定する手順を、図6のフローに沿って説明する。ここでは、掘進時に予定するカッターディスク25の回転方向を加味して推奨力点Rを算定する手順の概略を示すこととし、詳細は、特願2020―116950号に譲る。
<事前準備>
図2で示すように、シールド掘進機10により地盤を掘進方向区間L2の1区間分を掘進したのち、掘進作業を一時停止して、前述の計測機器を用いてシールド掘進機10の位置を計測する。また、計測結果に基づいて、シールド掘進機10のストローク差及びピッチング角度差の現在値を算出するとともに、シールド掘進機10に作用したシールドジャッキ14のジャッキ推力から、水平力点及び垂直力点を算出する。
さらに、1区間分を掘進した際のカッターディスク25の回転方向(右方向もしくは左方向)を検出し、これを上記の計測結果及び算出結果と併せて、掘進方向区間L2の区間番号もしくはセグメント13のリング番号とともに、掘進管理/線形管理装置20に記録する。このようなストローク差及びピッチング角度差、これらに対応する水平力点及び垂直力点、及びデータ取得時のカッターディスク25の回転方向情報は、掘進方向区間L2の1区間分を掘進するごとに算出される。
したがって、これらを実績データ(実績ストローク差、実績ピッチング角度差、実績水平力点、実績垂直力点、実績回転方向)とし、掘進管理/線形管理装置20から方向制御装置30に送信し、ファイル装置34のデータファイル341に格納し蓄積する。
<STEP1-1、1-2>
データファイル341に、実績データが回帰分析に必要な数量以上蓄積されると、方向制御装置30は、掘進方向区間L2の1区間分を掘進するごとに、次の作業を実施する。中央演算処理装置33がメインメモリ35に格納されている実目標値算出部351の指令を受け、ファイル装置34のデータファイル341に格納されているストローク差の現在値(実績ストローク差の最新値)を取得する。同様に、ピッチング角度差の現在値(実績ピッチング角度差の最新値)を取得する。
また、掘進指示書で設定された次の掘進方向区間L2を掘進するための進行目標値(ストローク差の目標値、及びピッチング角度差の目標値)を取得する。進行目標値は、進行目標値が設定されるごとに、入力装置31を介して方向制御装置30に入力されるとともに、ファイル装置34のデータファイル341に格納される。
<STEP1-2>
こののち、ストローク差の現在地と進行目標値(ストローク差の目標値)との差から、ストローク差の実目標値を算出する。同様に、ピッチング角度差の現在値と進行目標値(ピッチング角度差の目標値)との差から、ピッチング角度差の実目標値を算出する。こうして算出したストローク差の実目標値及びピッチング角度差の実目標値は、ファイル装置34の推奨力点設定用ファイル343に格納する。
<STEP1-3>
その一方で、実績データを利用して、カッターディスクの回転方向を加味した回帰分析を行い、推奨水平力点Rh及び推奨垂直力点Rvを算出可能な回帰式を、それぞれ3種類(回転方向を加味した場合(右回転、左回転)、回転を加味しない場合)取得しておく。
具体的には、中央演算処理装置33がメインメモリ35に格納されている回帰分析部352の指令を受け、ファイル装置34に格納されているデータファイル341に記録された実績データのうち、カッターディスク25の右回転時に取得した、実績ストローク差とこれに対応する実績水平力点を、回帰分析に必要なデータ数だけ抽出する。これら右回転時のみの実績データを利用して、実績ストローク差と実績水平力点の関係を求める回帰分析を行い、右回転時の実績データを用いた回帰式を取得する。同様の手順で、カッターディスク25が左回転時の実績データを用いた回帰式と、右回転及び左回転の両者を含む実績データを用いた回帰式(回転方向を加味しない場合に相当)を取得する。これらは、推奨水平力点Rhを算出可能な回帰式であり、回帰分析情報ファイル342に格納する。
さらに、実績ピッチング角度差と実績垂直力点の関係を求める回帰分析も同様に、右回転時のみの実績データ、左回転時のみの実績データ、右回転時と左回転時の両者を含む実績データを利用して、それぞれ回帰分析を行い、回帰式を取得する。これらは、推奨垂直力点Rvを算出可能な回帰式であり、回帰分析情報ファイル342に格納する。
<STEP1-4>
方向制御装置30に、次の掘進方向区間L2で予定するカッターディスク25の回転方向情報が入力されると、中央演算処理装置33が回転情報取得部353の指令を受け、回転方向に対応する回帰式(右回転用もしくは左回転用)と、回転方向を加味しない回帰式の2種類の回帰式を、回帰分析情報ファイル342から抽出し、回帰式選択部354に供給する。すると、中央演算処理装置33が回帰式選択部354の指令を受け、2種類の回帰式のうち、いずれかを好適な回帰式を、任意の手段で選択する。回帰式の選択は、推奨水平力点Rhを算出可能な回帰式及び推奨水垂直点Rvを算出可能な回帰式の各々で実施される。
<STEP1-5>
選択した回帰式が推奨力点設定用ファイル343に格納されると、中央演算処理装置33が推奨力点算出部355の指令を受け、推奨水平力点Rhを算出するべく選択した回帰式(Step1-4で選択)に、推奨力点設定用ファイル343に格納されたストローク差の実目標値(STEP1-2で算定)を説明変数として入力する。これにより、回帰式の目的変数として推奨水平力点Rhが出力される。また、推奨垂直力点Rvも同様の手順で選択した回帰式に、ピッチング角度差の実目標値(STEP1-2で算定)を説明変数として入力することにより出力される。
こうして、推奨力点算出部355にて算出された推奨力点Rは、ファイル装置34の推奨力点設定用ファイル343に格納される。また、多重伝送装置親局21を介してシールド制御装置15に入力し、図3で示すように、シールド制御装置15の操作盤上の選択画面151に表示させてもよい。
≪≪力点判定装置≫≫
力点判定装置40は、前述したように、運転中のシールド掘進機10に作用するジャッキ推力の実力点Eを追従させる最適力点Mを自動判定する装置であり、また、自動判定に用いる学習済みモデルTを生成する装置である。なお、最適力点Mは、最適水平力点Mhと最適垂直力点Mvを合成したものである。
図7で示すように、力点判定装置40は、入力部41、出力部42、中央演算処理装置43、ファイル装置44、及びメインメモリ45とを備えている。入力部41は、掘進管理/線形管理装置20及び方向制御装置30に加え、キーボードやマウス等の入力装置から入力される情報を、力点判定装置40に供給する。また、出力部120は、入力部41から供給された情報やファイル装置44に格納された情報等を、シールド制御装置15や出力装置(例えば、ディスプレー及びプリンタ等)に出力する。
中央演算処理装置43は、CPU、GPU、ROM、RAM及びハードウェアインタフェース等を有するコンピュータである。また、ファイル装置44には、半導体メモリ又はハードディスクドライブ等からなる記憶装置であり、詳細は後述するが、少なくとも支援情報データファイル441、学習済みモデルファイル442、最適力点判定用ファイル443等が格納されている。メインメモリ45は、中央演算処理装置43によって実行可能なプログラムやデータを一時的に格納するものであり、少なくも、支援情報取得部451、自動判定部452、モデル抽出部453、学習済みモデル生成部454が備えられている。そして、学習済みモデル生成部454は、訓練データ取得部4541と、教師データ作成部4542と、機械学習部4543とを備える。
以下に、力点判定装置40を用いた最適力点Mを自動判定する手順と学習済みモデルTの生成する手順を説明するが、これに先立ち、最適力点Mを自動判定に用いる判定用制御支援情報と、学習済みモデルTの生成に用いる学習用制御支援情報について、図8で示す制御支援情報(判定用・学習用)を参照しつつ、その概略を説明する。
≪≪制御支援情報(学習用・判定用)≫≫
制御支援情報(判定用・学習用)は、計測情報(H01~H17、V01~V17)、指示情報(H18~H23、V18~V23)、カッターディスク25の回転方向情報(H24、V24)、前述した推奨力点Rに関する推奨力点情報(H25、V25)の4種類の情報を備える。
<計測情報(H01~H17、V01~V17)>
計測情報は、前述のシールド掘進機10に装備された計測機器にて計測される計測値、及び掘進管理/線形管理装置20もしくはその他の機器を用いて算出される算出値である。これらは、図2で示す掘進方向区間L2ごとに取得してもよいし、掘進方向区間L2の途中に設けられた複数の計測点Pに到達するごとに取得してもよい。
計測情報のうち、計測値に該当する説明変数(水平方向、垂直方向)は、実ストローク差(ストローク差の現在値)、実ピッチング角度差(ピッチング角度差の現在値)、シールドジャッキストローク(右、左)、シールドジャッキ速度(右、左)、ジャイロ方位、水レベル値、ローリング角、コピーカッタ位置(実値)、コピーカッタストローク(実値)、カッタモータ総トルク及び中折角度(水平、垂直)である。そして、これら以外の計測情報に含まれる説明変数(水平方向、垂直方向)が、計測値を用いて算出される算出値である。
<「理想値」を用いた説明変数の算定方法>
ここで、図8をみると上記の計測値を用いて算出される算出値には、「理想値」を用いた説明変数(H02、V02、H08、V08)が含まれている。これらは、計測点Pに到達するごとに計測情報を取得する場合に追加する項目である、以下に、説明変数H02の「実績ストローク差(理想値)―実績ストローク差」を事例に挙げ、その算出方法を以下に説明する。なお、計測情報を掘進方向区間L2ごとに算出する場合は、「理想値」を用いた説明変数(H02、V02、H08、V08)が不要となる
図9(a)には、横軸に掘進方向距離、縦軸にストローク差を取ったグラフ上に、実ストローク差、ストローク差(指示値)及びストローク差(理想値)が表示されている。このうち、実ストローク差は、上述のとおり、掘進方向区間L2及び複数の計測点Pに到達するごとに取得される。一方、ストローク差(指示値)は、掘進指示書に設定された進行目標値の1つであるから、掘進方向区間L2ごとに設定される。ここで、実ストローク差は、シールド掘進機10を掘進させる際、計測点Pを通過するごとに段階的にストローク差(指示値)に近づき、掘進方向区間L2を掘進し終えた時点でストローク差(指示値)を満足することが理想である。
そこで、図9(a)において、掘進方向区間L2の始点に掘進直前の実ストローク差をプロットするととに、終点にストローク差(指示値)をプロットし、これらを結ぶ理想直線を描く。そして、シールド掘進機10が計測点Pを通過するごとに、実ストローク差の計測値と理想直線状上の実績ストローク差(理想値)との差を算定し、これを説明変数H02とした。なお、図示は省略するが、説明変数V02の「実績ピッチング角度差(理想値)―実績ピッチング角度差」も同様の考え方に基づいて算定する。
また、図9(b)で示すよう、説明変数H08「ジャイロ方位(理想値)―ジャイロ方位」も同様の考え方を採用している。横軸に掘進方向距離、縦軸にジャイロ方位を取ったグラフ上で、掘進方向区間L2の始点に掘進直前のジャイロ方位をプロットするとともに、終点にジャイロ方位(指示値)をプロットし、これらを結ぶ理想直線を描く。そして、シールド掘進機10が計測点Pを通過するごとに、ジャイロ方位の計測値と理想直線状上のジャイロ方位(理想値)との差を算定し、これを説明変数H08とした。なお、図示は省略するが、説明変数V08「水レベル値(理想値)―水レベル値」も同様の考え方に基づいて算定する。
<指示情報(H18~H23、V18~V23)>
指示情報は、前述の掘進指示書に設定された進行目標値、及び進行目標値を用いて算出される算出値であり、図2で示すような掘進方向区間L2ごとに取得される。指示情報のうち、進行目標値に該当する説明変数(水平方向、垂直方向)は、ストローク差(指示値)、ジャイロ方位(指示値)、水レベル値(指示値)、コピーカッターの位置及び伸び量(指示値)である。そして、これら以外の指示情報に含まれる説明変数(水平方向、垂直方向)が、進行目標値を利用して算出される算出値である。
上記の制御支援情報(判定用・学習用)において、判定用制御支援情報は、最適力点Mを自動判定しようとする掘進予定区間に関する情報であって、計測情報は、掘進予定区間を掘進する直前の情報であり、指示情報、回転方向情報及び推奨力点情報は、掘進予定区間で予定する情報である。また、学習用制御支援情報は、過去のシールド工事で蓄積した情報であって、計測情報は、所定区間を掘進した時点の情報であり、指示情報、回転情報及び推奨力点は、後行の所定区間を掘進する際に用いる情報である。
≪≪学習済みモデルT及び教師データL≫≫
学習済みモデルTは、最適水平力点Mhの自動判定に用いる学習済みモデルThと、最適垂直力点Mvの自動判定に用いる学習済みモデルTvを含み、例えば、ランダムフォレスト(Random Forest)、ディープラーニング(Deep Learning)や、ニューラルネットワーク(Neural Network)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)等の各種のアルゴリズムを用いた学習により得られた学習結果である。本実施の形態では、機械学習の手法に、ランダムフォレスト(Random Forest)を採用している。
教師データLは、学習済みモデルTの機械学習に用いられるデータであり、教師データLh及び教師データLvを含む。教師データLhは、上記の学習用制御支援情報の説明変数(水平方向)とこれに対応する最適水平力点Mhの正解データとを含む。また、教師データLvは、上記の学習用制御支援情報の説明変数(垂直方向)とこれに対応する最適垂直力点Mvの正解データとを含む。そして、教師データLhの正解データ及び教師データLvの正解データは、目標水平力点Gh及び目標垂直力点Gvを採用する。目標水平力点Gh及び目標垂直力点Gvは、学習用制御支援情報に含まれる推奨水平力点Rを参照しつつ、オペレータが決定した目標力点Gの分力である。
≪≪訓練データ及び訓練データの取得方法≫≫
上記の教師データLは、図10で示すように、あらかじめ必要なデータクレンジングを適宜実施した訓練データから作成する。訓練データは、学習用制御支援情報と目標力点Gと含む蓄積データがすでに存在する場合には、これを用いればよい。一方、あらためて訓練データを取得する場合には、図11のフローに従って、以下の手順によりデータを蓄積すればよい。
<所定の掘進方向区間L2ごとに訓練データを取得する場合>
<STEP2-1~2-2>
まず、シールド掘進機10が、図2で示すような所定の掘進方向区間L2を掘進したのち一旦掘進作業を停止し、前述の計測機器を用いてシールド掘進機10の位置を計測して、計測情報を取得する。計測情報は、掘進管理/線形管理装置20により取得してもよいし、他の設備を利用して取得してもよい。次に、後行の掘進方向区間L2で予定する指示情報と、カッターディスク25の回転方向情報とを取得するとともに、これらの情報を用いて上述した手順により推奨力点Rを算定する。これにより、学習用制御支援情報が取得される。
<STEP2-3>
次に、オペレータが、後行の掘進方向区間L2を掘進する際に用いる目標力点Gを、上記の推奨力点Rに基づいて決定する。これにより、学習用制御支援情報と、これに対応する目標力点Gとを含む訓練データを取得することができる。
<STEP2-4、2-5>
こののち、この目標力点Gを利用して後行の掘進方向区間L2を掘進する。このような、訓練データを取得する作業とシールド掘進機10による掘進作業とを、シールド掘進機10が目標地点に到達するまで繰り返す。これにより、訓練データを、掘進方向区間L2における掘進した区間数に相当する数量だけ、蓄積することができる。
<計測点Pごとに訓練データを取得する場合>
上述する方法では、訓練データを図2で示すような掘進方向区間L2ごとに取得した。しかし、この方法に限定されるものではなく、掘進方向区間L2の途中に設けられた複数の計測点Pに到達するごとに取得してもよい。この場合、学習用制御支援情報のうち、計測情報はシールド掘進機10が計測点Pを通過するごとに取得することができる。しかし、指示情報、カッターディスク25の回転方向情報、推奨力点R、及び目標力点Gは、掘進方向区間L2ごとに設定されるから、所定の掘進方向区間L2の途中に設けられた複数の計測点Pでは、これらはすべて同一の情報となる。
なお、計測点Pで計測情報を取得した際、シールド掘進機10の追従性に問題がある場合には、その時点で進行目標値を変更したり、カッターディスク25の回転方向を変更することもありうる。このような場合には、推奨力点R及び目標力点Gも併せて修正変更することとなるから、これらを採用して計測点Pごとに、学習用制御支援情報及びこれに対応する目標力点Gを、訓練データとして蓄積すればよい。このような、進行目標値に対する追従性の確認及び進行目標値を調整する方法は、いずれの手段を採用してもよいが、例えば、特願2019-165405号に開示されている、シールド掘進機の掘進方向調整方法を用いると良い。
なお、訓練データは、シールド掘進機10の掘進作業とともに取得するため、シールド掘進機10の掘進方向に連続する一連の連続データとして蓄積することができる。したがって、訓練データに対してデータクレンジングを行う際、例えば、学習用制御支援情報のテールクリアランス(H14~H17、V14~V17)に欠損が生じている場合には、その前後の訓練データの学習用制御支援情報を利用して、欠損部分のデータを線形補完することができる。また、教師データLは、図10の訓練データ収集時の部分(a)で示すように、掘進方向区間L2をセグメントリングにして1リング分の幅とした場合に、少なくとも10~100リング分程度蓄積しておくとよい。
≪教師データLの作成及び学習済みモデルTの生成≫
上記の訓練データから教師データLを作成する手順、及び学習済みモデルTを生成する手順を、図7及び図10を参照しつつ以下に説明する。なお、掘進方向区間L2が、セグメントリングにして1リング分の幅に相当する場合を事例に挙げる。
<教師データLh、Lvの作成>
訓練データが、力点判定装置40の入力部41を介して、ファイル装置44の支援情報データファイル441に格納されると、中央演算処理装置43が訓練データ取得部4541の指令を受け、訓練データを教師データ作成部4542に供給する。すると、図10(a)で示すように、学習用制御支援情報の説明変数(水平方向)とこれに対応する目標水平力点Ghを組み合わせて、訓練データから教師データLhを作成する(図10における(1)の流れ)。また、学習用制御支援情報の説明変数(垂直方向)とこれに対応する目標垂直力点Gvに設定した教師データLvを作成する。そして、この教師データLh、Lvをそれぞれ、機械学習部4543に供給する。
これにより、訓練データを掘進方向区間L2ごとに収集した場合、教師データLを、掘進方向区間L2の区間数(リング数)に相当する数量だけ取得することができる。一方、訓練データを計測点Pごとに取得した場合、教師データLを、掘進方向区間L2に設けた計測点Pの数量と掘進方向区間L2の区間数(リング数)の積に相当する数量だけ取得することができる。
<学習済みモデルTh、Tvの生成>
機械学習部4543に教師データLが供給されると、中央演算処理装置43は機械学習部4543の指令を受け、機械学習の手法(アルゴリズム)のいずれかを採用して教師データLhを用いた機械学習を行い、その結果として最適水平力点Mhの算出に用いる学習済みモデルThを生成する。同様に、教師データLvを用いた機械学習を行い、その結果として、最適垂直力点Mvの算出に用いる学習済みモデルTvを生成する。本実施の形態では、機械学習の手法にランダムフォレスト(Random Forest)を採用している。また、このようにして生成された学習済みモデルTh、Tvを、学習済みモデルファイル442に格納する。
≪≪学習済みモデルTの精度検証≫≫
上記の手順で生成した学習済みモデルTh、Tvについて精度検証を行った。以下に、精度検証の手順を、最適水平力点Mhの自動判定に用いる学習済みモデルThの精度検証を事例に挙げて説明する。
まず、事前準備として図12で示すように、訓練データを取得した複数の掘進方向区間L2のうち、任意に抽出した1区間(1リング分)を評価対象区間に設定し、評価対象区間で取得した訓練データ(評価対象区間に設定された複数の計測点P各々から取得)を評価用データとして取り扱うこととする。次に、計測点P各々で取得した評価用データの目標水平力点Ghについて平均値を算定する。同様に、評価用データの推奨水平力点Rhについて平均値を算定する。図13に、計測点P各々で取得した評価用データの目標水平力点Ghをプロットするとともに、目標水平力点Ghの平均値、及び推奨水平力点Rhの平均値を表示する。なお、図13は、縦軸に水平力点を取るとともに横軸に掘進方向距離を取ったグラフである。
その一方で、最適水平力点Mhの自動判定に用いる学習済みモデルThを生成する。学習済みモデルThは、図12で示すように、まず、評価対象区間の直近10区間(10リング分)から訓練データを取得し、これら訓練データから教師データLhを作成する。次に、作成した教師データLhを用いた機械学習により、学習済みモデルTh生成する。そして、評価対象区間に設定された複数の計測点P各々で、生成した学習済みモデルThに説明変数として評価用データに含まれる学習用制御支援情報を入力し、目標変数として最適水平力点Mhを出力させる。この作業により複数の計測点Pごとに取得した最適水平力点Mhの平均値を算出し、図13のグラフに表示する。
上記の事前準備が済んだところで、力点位置0と目標水平力点Ghの平均値で囲まれた面積、力点位置0と推奨水平力点Rhの平均値で囲まれた面積、力点位置0と最適水平力点Mhで囲まれた面積を各々算定する。算定した結果、最適水平力点Mhの面積が推奨水平力点Rhより目標水平力点Ghの面積に近い場合を、「勝ち数1」とする。評価対象区間として342区間を任意に選択し、上記の作業を各々で実施して、勝ち数を合計を算出した。したがって、勝ち数の最大値は342となる。
図14(a)のグラフとみると、直近10区間(10リング分)から作成した教師データLhでは、最適水平力点Mhの勝ち数が186となっている様子がわかる。このような勝ち数の算定を、図12で示すように、教師データLhの数量を適宜変更して機械学習した10パターンの学習済みモデルTh各々で実施する。なお、10パターンの学習済みモデルTh各々の教師データLhは、その数量を直近10区間分(10リング分)から10区間単位で追加し、直近100区間分(100リング分)までの10パターンを作成した。
<説明変数に推奨力点Rを含む場合と含まない場合の比較>
図14(a)をみると、評価対象区間の直近100区画分(100リング分)の訓練データから作成した教師データLhを用いて機械学習した学習済みモデルThにより最適水平力点Mhを算定した場合に、最大の勝ち数212を獲得している様子がわかる。また、同様の作業を実施して最適垂直力点Mvを算定した結果を、図15(a)に示す。これをみると、評価対象区間の直近10区画(10リング分)から作成した教師データLvを用いて機械学習した学習済みモデルTvにより最適垂直力点Mvを出力した場合に、最大の勝ち数231を獲得している様子がわかる。
図14(a)及び図15(a)で示した最適力点Mはいずれも、学習用制御支援情報の説明変数(水平方向、垂直方向)に推奨力点Rが含まれている場合である。そこで、説明変数(水平方向、垂直方向)から推奨力点Rを削除して上記と同様の算定を行った結果を、図14(b)及び図15(b)で示す。
図14(b)をみると、説明変数(水平方向)に推奨水平力点Rhを含まない場合、評価対象区間の直近80区画(80リング分)及び直近100区画(100リング分)の訓練データから作成した教師データLhを用いて機械学習した学習済みモデルThにより最適水平力点Mhを出力した場合に、最大の勝ち数200を獲得している様子がわかる。これは、説明変数(水平方向)に推奨水平力点Rhを含む場合の勝ち数212を下回る。
また、図15(b)をみると、説明変数(垂直方向)に推奨垂直力点Rvを含まない場合、評価対象区間の直近10区画(10リング分)から作成した教師データLvを用いて機械学習した学習済みモデルTvにより最適垂直力点Mvを出力した場合に、最大の勝ち数225を獲得している様子がわかる。これも、説明変数(垂直方向)に推奨垂直力点Rvを含む場合の勝ち数231より下回る。以上より、学習用制御支援情報の説明変数(水平方向、垂直方向)のいずれについても、推奨力点Rを含めた場合の最適垂直力点Mvの勝ち数が、含めない場合より上回っている様子がわかる。
また、図16(a)に、学習用制御支援情報の説明変数(水平方向、垂直方向)に推奨力点Rを含む場合について、評価対象区画当たりの、推奨水平力点Rhと目標水平力点Rhの面積絶対差分(推奨面積絶対差分)、及び最適水平力点Mhと目標水平力点Rhの面積絶対差分(予測面積絶対差分)を算定した結果を示す。また、評価対象区画当たりの、推奨垂直力点Rvと目標垂直力点Rvの面積絶対差分(推奨面積絶対差分)、及び最適垂直力点Mvと目標垂直力点Rvの面積絶対差分(予測面積絶対差分)を算定した結果を示す。
さらに、図16(b)に、学習用制御支援情報の説明変数(水平方向、垂直方向)に推奨力点Rを含まない場合について、同様の4種類の算定結果を示す。なお、いずれの面積絶対差分も、図14及び図15のグラフで示す最適水平力点Mh及び最適水平力点Mvが最大勝ち数を獲得した際の学習済みモデルを採用して算定している。
図16(a)(b)をみると、学習用制御支援情報の説明変数(水平方向、垂直方向)のいずれについても、推奨力点Rを含める場合の予測面積絶対差分(水平=89,189、垂直=115,142)が、含めない場合(水平=99,208、垂直=120,932)より減少(面積誤差が減少)している。したがって、説明変数(水平方向、垂直方向)に推奨力点Rを含めた学習済みモデルTは、オペレータが決定した目標力点Gに近似した最適適力点Mを目的変数として出力していることがわかる。
≪≪方向制御システム100を用いたシールド掘進機10の方向制御方法≫≫
上記の力点判定装置40を備えた方向制御システム100を用いて、シールド掘進機10の掘進方向を制御するシールド掘進機10の方向制御方法を最適力点Mの自動判定方法と併せて、図17のフローに沿って以下に説明する。
本実施の形態では、掘進方向区間L2を掘進するごとに、次の掘進方向区間L2を掘進予定区間として最適力点Mを自動判定する場合を事例に挙げる。また、本実施の形態では力点判定装置40が、教師データLを変えて生成した複数の学習済みモデルTを格納しており、その中から掘進予定区間に好適な学習済みモデルを抽出し、最適力点Mの自動判定を行う場合を事例に挙げる。
<STEP3-1>
シールド掘進機10が、所定の掘進方向区間L2を掘進したのち一旦掘進作業を停止し、前述の計測機器を用いてシールド掘進機10の位置を計測して、計測情報を取得する。計測情報は、掘進管理/線形管理装置20により取得してもよいし、他の設備を利用して取得してもよい。次に、掘進予定区間で予定する指示情報とカッターディスク25の回転方向情報を取得するとともに、これらの情報を用いて前述した手順により推奨力点Rを算定する。こうして、掘進予定区間に対応する判定用制御支援情報が取得される。
判定用制御支援情報が、図7で示す力点判定装置40に入力部41を介してに入力されると、中央演算処理装置43がメインメモリ45に格納されている支援情報取得部451の指令を受け、判定用制御支援情報をファイル装置44の最適力点判定用ファイル443に格納する。
<Step3-2>
最適力点判定用ファイル443に判定用制御支援情報が格納されると、中央演算処理装置43がモデル抽出部453の指令を受け、判定用制御支援情報に含まれる指示情報(掘進予定区間に対して設定された指示情報)に基づいて、学習済みモデルファイル442に格納されている複数種類の学習済みモデルTの中から、掘進予定区画の条件に見合う好適なモデルを抽出し、自動判定部452に供給する。
≪≪複数種類の学習済みモデルTの生成方法及び好適な学習済みモデルTの抽出方法≫≫
<例1:教師データLの数量を変化させて複数の学習済みモデルTを生成(図10(1)の流れ)>
図10(a)で示すように、連続する掘進方向区間L2の区画数(リング数)を変えた複数パターンで訓練データを取得する。例えば、10種類の学習済みモデルTを生成したい場合には、連続する掘進方向区間L2の区画数(リング数)を10リング単位で変更した訓練データ群を10パターン取得する。そして、10パターンの訓練データ群各々で教師データLを作成する。なお、上記の手順に限定する連続する掘進方向区間L2よりなる訓練データ群は、例えば、地盤が変状するごとに形成してもよい。
こうして作成した数量の異なる10パターンの教師データLの群各々で機械学習を行い、その結果として10種類の学習済みモデルTを生成する。なお、訓練データから教師データLを作成し、教師データLを用いて学習済みモデルTを生成する方法は、前述した「学習済みモデルの生成方法」と同様である。生成した10種類の学習済みモデルTは、学習済みモデルファイル442に格納する。学習済みモデルTの抽出方法はいずれでもよいが、例えば、掘進予定区間に対して設定された指示情報と類似する指示情報を有する訓練データを選定し、これをテストデータとして取り扱う。
最適水平力点Mhの自動判定に用いる学習済みモデルThを事例に挙げると、このテストデータが有する学習用制御支援情報の説明変数(水平方向)を、10種類の学習済みモデルTh各々に入力する。その結果、目的変数として出力された最適水平力点Mhと、テストデータが有する目標水平力点Ghとを比較し、目的水平力点Ghに最も近似する最適水平力点Mhを出力した学習済みモデルThを抽出する。同様の作業を、最適垂直力点Mvを自動判定する学習済みモデルTvについても実施する。これにより、掘進予定区画に好適な学習済みモデルTh、Tvが抽出される。
<例2:複数のクラスタごとに学習済みモデルTを生成(図10(2)の流れ)>
まず、連続する複数の掘進方向区間L2各々から訓練データを取得する。次に、これら訓練データを、任意の手法を用いて各々が有する指示情報の類似する複数のクラスタに分類する。こののち、クラスタごとに訓練データから教師データLを作成し、教師データLを用いて学習済みモデルTを生成する。こうすると、クラスタの数だけ学習済みモデルTが作成される。
複数のクラスタを作成方法はいずれでもよいが、例えば、最適水平力点Mhの自動判定に用いる学習済みモデルThを複数生成する場合、まず、図10(a)で示すように複数の訓練データを連続して取得したのち、図10(b)で示すような横軸にストローク差(指示値)を取るとともに縦軸にジャイロ方向(指示値)を取ったグラフにこれらをプロットし、散布図を作成する。こののち、これら散布図上の訓練データを、k平均法(k-means法)等のアルゴリズムを用いた教師なし学習によりクラスタリングし、ストローク差(指示値)及びジャイロ方向(指示値)が類似する、複数のクラスタを形成する。
ここでは、5つのクラスタ(G1~G5)が形成されているから、5つのクラスタごとに訓練データから教師データLを作成し、教師データLを用いて5種類の学習済みモデルThを生成する。生成した5種類の学習済みモデルThは、学習済みモデルファイル442に格納する。そして、好適な学習済みモデルThを抽出する方法としては、図10(b)で示すグラフの5つのクラスタ(G1~G5)の中から、掘進予定区間に設定された指示情報のストローク差(指示値)とジャイロ方向(指示値)が含まれるクラスタ、もしくは近似するクラスタを特定する。この特定したクラスタに対して生成された学習済みモデルThを抽出する。
最適垂直力点Mvの自動判定に用いる学習済みモデルTvも、同様の方法を採用できるが、この場合には、指示情報のうち、水レベル値(指示値)とピッチング角度差(指示値)を採用して実施すると良い。
<Step3-3>
学習済みモデルTh、Tvが抽出されると、中央演算処理装置43が自動判定部452の指令を受け、抽出した学習済みモデルTh、Tv各々に、説明変数として最適力点判定用ファイル443に格納されている判定用制御支援情報の説明変数(水平方向、垂直方向)を入力する。これにより、目的変数として最適水平力点Mh及び最適垂直力点Mvが出力されるとともに、これらの合力である最適力点Mが自動判定される。最適水平力点Mh及び最適垂直力点Mvと、その合力最適力点Mは、最適力点判定用ファイル443に格納されるとともに、図1(a)で示すような多重伝送装置親局21を介してシールド制御装置15に入力される。
<Step3-4>
最適力点Mが、図1(a)で示すようなシールド制御装置15に入力されると、シールド制御装置15にシールドジャッキ14の自動制御機能が搭載されている場合には、シールド掘進機10の掘進作業を再開するのみで、運転中のシールド掘進機10に作用するジャッキ推力の実力点Eが、最適力点Mを追従するよう自動制御される。また、シールドジャッキの自動制御機能が搭載されていない場合は、自動判定した最適力点Mに作用力点Pが最も近い、シールドジャッキ14のジャッキパターンを選択する機能を、図5で示すような方向制御装置30に追加しておく。
方向制御装置30に設けるシールドジャッキ14のジャッキパターンを選択する機能について、その概略を以下に説明するが、詳細は、特願2019-165404号に譲る。
事前準備として、シールド掘進機10の掘進に寄与する(高圧なジャッキ圧が作用する)シールドジャッキ14と寄与しない(同調圧が作用する)シールドジャッキとの配置を任意に組み合わせた複数のジャッキパターンを作成する。また、ジャッキパターンごとで、過去に掘進した際のジャッキ圧及び同調圧を引用して運転中のシールド掘進機10に作用するジャッキ推力の作用力点を算定する。ジャッキパターンは、図5で示すように、方向制御装置30のファイル装置34に備えたジャッキパターンファイル344に格納し、作用力点は、ジャッキパターンとの紐づけを行って、作用力点格納ファイル345に格納しておく。さらに、方向制御装置30のメインメモリ35に、パターン抽出部356を設けておく。
力点判定装置40で自動判定した最適力点Mが、入力装置31を介して方向制御装置30に入力されると、中央演算処理装置33がパターン抽出部356の指令を受け、作用力点格納ファイル345に格納された作用力点Pと最適力点Mとを比較する。そして、最適力点Mに作用力点Pが近似するジャッキパターンを検出し、ジャッキパターンファイル344から多重伝送装置親局21および多重伝送装置子局22を介して、図6で示すような、シールド制御装置15の操作盤上の選択画面151に表示させる。
選択画面151にジャッキパターンが複数表示された場合には、自動判定した最適力点Mに最も近い作用力点を有するジャッキパターンを選択すると、方向制御システム100が、シールド制御装置15に制御信号として出力する。これにより、シールド掘進機10を稼働させると、選択されたジャッキパターンに対応するジャッキ圧もしくは同調圧が、複数のシールドジャッキ14各々に設定されて、シールド掘進機10は、運転中のシールド掘進機10に作用するジャッキ推力の実力点Eが、自動判定した最適力点Mを追従するようシールド制御装置15によって制御されつつ、掘削予定区間を掘進する。
上記の手順により、掘進予定区間を掘進するシールド掘進機10の方向制御は、図2(a)で示すような、掘進方向区間L2にして1区画分(1リング分の幅に相当する距離)を掘進するごとに繰り返される。
本発明によれば、学習済みモデルTを用いて自動判定した最適力点Mにジャッキ推力の実力点Eを追従させてシールド掘進機10を掘進させることができるため、シールド掘進機10の掘進方向を安定した精度で制御し、計画線形Lに沿って掘進させることが可能となる。また、方向制御に影響を及ぼす可能性のある数多くの項目を含む制御支援情報(判定用・学習用)を用いて自動判定した最適力点Mは、熟練したオペレータがシールド掘進機10の性能や地盤状況を勘案しつつ決定していた目標力点Gに代えて用いることができ、シールド掘進機10の自動運転化の実現に寄与することが可能となる。
さらに、教師データLを変えて機械学習した複数の学習済みモデルTから、最適力点Mの自動判定に好適なモデルを、掘進予定区間の指示情報に基づいて選定するため、各々で掘進条件の異なる掘進予定区間に見合った学習済みモデルTを採用することができ、より高い精度でシールド掘進機10の掘進方向を制御することが可能となる。
本発明のシールド掘進機の方向制御システム100は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施の形態では、所定の掘進方向区間L2を掘進するごとに、次の掘進方向区間L2を掘進予定区間として最適力点Mを自動判定する場合を事例に挙げ、シールド掘進機10の方向制御方法を説明した。しかし、掘進予定区間はこれに限定されるものではなく、例えば、図2で示した計測点Rごとに実施してもよい。
また、本実施の形態では、力点判定装置40の学習済みモデルファイル442に、数量や取得方法を適宜変更して作成した複数の教師データLを用いて生成した複数種類の学習済みモデルTを格納しておく場合を事例に挙げたが。しかし、必ずしもこれに限定するものではなく、学習済みモデルファイル442に、学習済みモデルTh、Tvをそれぞれ1つずつ格納してもよい。
≪≪掘進予定区画ごとに学習済みモデルTを生成する方法≫≫
さらに、本実施の形態では、学習済みモデルファイル442にあらかじめ格納した複数の学習済みモデルTの中から、掘進予定区間に好適なモデルを抽出し、抽出した学習済みモデルTを用いて最適力点Mを自動判定する場合を例示した。しかし、必ずしもこれに限定されるものではなく、掘進予定区間ごとに好適な学習モデルTを生成してもよい。
この場合には、あらかじめ、図10(a)で示すように連続して取得した複数の訓練データを、図10(b)で示すようなグラフにプロットし、散布図を作成し、散布図上の訓練データを教師なし学習によりクラスタリングし、複数のクラスタを形成しておく。ここまでの作業は、前述した複数種類の学習済みモデルTの生成方法における<例2>と同様である。
そのうえで、図17で示すフローにおけるStep3-1で、掘進予定区間の判定用制御支援情報を取得した際、これと併せて、図10(b)で示すグラフの5つのクラスタ(G1~G5)の中から、掘進予定区間に設定された指示情報のストローク差(指示値)とジャイロ方向(指示値)が含まれるクラスタ、もしくは近似するクラスタを特定する。そして、特定したクラスタのみ、訓練データから教師データLを作成し、教師データLを用いて学習済みモデルTを生成する。こうして生成した学習済みモデルTにより最適力点Mの自動判定を行う。こうすると、掘進予定区間ごとに好適な学習済みモデルTを生成することができる。
10 シールド掘進機
11 外殻体
12 トンネル
13 セグメント
14 シールドジャッキ
15 シールド制御装置
151 選択画面
16 レーザー発振機
17 光波距離計
18 レーザーターゲット
20 掘進管理/線形管理装置
21 多重伝送装置親局
22 多重伝送装置子局
25 カッターディスク
30 方向制御装置
31 入力装置
32 出力装置
33 中央演算処理装置
34 ファイル装置
341 データファイル
342 回帰分析情報ファイル
343 推奨力点設定用ファイル
344 ジャッキパターンファイル
345 作用力点格納ファイル
35 メインメモリ
351 実目標値算出部
352 回帰分析部
353 回転情報取得部
354 回帰式選択部
355 推奨力点算出部
356 パターン抽出部
40 力点判定装置
41 入力部
42 出力部
43 中央演算処理装置
44 ファイル装置
441 支援情報データファイル
442 学習済みモデルファイル
443 最適力点判定用ファイル
45 メインメモリ
451 支援情報取得部
452 自動判定部
453 モデル抽出部
454 学習済みモデル生成部
4541 訓練データ取得部
4542 教師データ作成部
4543 機械学習部
100 方向制御システム
P 作用力点
R 推奨力点
G 目標力点
E 実力点
M 最適力点

L 計画線形
L1 掘進予定範囲
L2 掘進方向区間

Claims (7)

  1. 掘進予定区間の掘進時に、シールド掘進機に作用させるジャッキ推力の最適力点を自動判定し、該最適力点に前記ジャッキ推力の実力点を追従させてシールド掘進機の掘進方向を制御するシールド掘進機の方向制御方法であって、
    判定用制御支援情報を取得する工程と、
    学習用制御支援情報と、該学習用制御支援情報に対応する前記最適力点の正解データとを含む教師データを用いて機械学習した学習済みモデルに、前記判定用制御支援情報を入力し、前記掘進予定区間の前記最適力点を出力する工程と、を備え、
    前記学習用制御支援情報は、
    所定区間を掘進した前記シールド掘進機のジャッキ稼働状態、位置・姿勢に関する計測情報と、
    後行の所定区間における掘進方向の指示情報、及びカッターディスクの回転方向情報と、
    前記後行の所定区間の掘進時における前記ジャッキ推力の作用力点に推奨する推奨力点と、
    を含み、
    前記判定用制御支援情報は、
    前記掘進予定区間を掘進する直前の前記シールド掘進機の前記計測情報と、
    前記掘進予定区間で予定する前記指示情報、前記回転方向情報、及び前記推奨力点、を含むことを特徴とするシールド掘進機の方向制御方法。
  2. 請求項1に記載のシールド掘進機の方向制御方法において、
    前記教師データを変えて機械学習した複数の前記学習済みモデルから、前記最適力点を出力する工程で用いる前記学習済みモデルを、前記掘進予定区間の前記指示情報に基づいて選定する工程を含むことを特徴とするシールド掘進機の方向制御方法。
  3. 掘進予定区間の掘進時に、シールド掘進機に作用させるジャッキ推力の最適力点を自動判定するシールド掘進機の力点判定装置であって、
    前記最適力点の自動判定に用いる判定用制御支援情報を取得する支援情報取得部と、
    前記最適力点を、前記判定用制御支援情報に基づいて自動判定する自動判定部と、
    を備えるシールド掘進機の力点判定装置であって、
    前記自動判定部は、学習用制御支援情報と、該学習用制御支援情報に対応する前記最適力点の正解データとを含む教師データを用いた機械学習により生成された学習済みモデルを備え、
    前記学習用制御支援情報は、
    所定区間を掘進した前記シールド掘進機のジャッキ稼働状態、位置・姿勢に関する計測情報と、
    後行の所定区間における掘進方向の指示情報、及びカッターディスクの回転方向情報と、
    前記後行の所定区間の掘進時におけるジャッキ推力の作用力点に推奨する推奨力点と、
    を含み、
    前記判定用制御支援情報は、
    前記掘進予定区間を掘進する直前の前記シールド掘進機の前記計測情報と、
    前記掘進予定区間で予定する前記指示情報、前記回転方向情報、及び前記推奨力点、を含むことを特徴とするシールド掘進機の力点判定装置。
  4. 請求項3に記載のシールド掘進機の力点判定装置において、
    前記教師データを変えて機械学習した複数の前記学習済みモデルから、前記掘進予定区間の前記指示情報に基づいて前記最適力点を出力する工程で用いる前記学習済みモデルを選定するモデル抽出部を備えることを特徴とするシールド掘進機の力点判定装置。
  5. 請求項3または4に記載のシールド掘進機の力点判定装置と、
    前記シールド掘進機の前記計測情報を取得する掘進管理/線形管理装置と、
    前記推奨力点を取得する方向制御装置と、
    を備えることを特徴とするシールド掘進機の方向制御システム。
  6. 掘進予定区間を掘進するシールド掘進機に作用させるジャッキ推力の最適力点を自動判定するために用いる学習済みモデルの生成方法であって、
    学習用制御支援情報と、該学習用制御支援情報に対応する前記最適力点の正解データとを含む教師データを複数取得する工程と、
    前記教師データを用いて、判定用制御支援情報を入力とし前記掘進予定区間の前記最適力点を出力とする学習済みモデルを生成する工程と、を備え、
    前記学習用制御支援情報は、
    所定区間を掘進した前記シールド掘進機のジャッキ稼働状態、位置・姿勢に関する計測情報と、
    後行の所定区間における掘進方向の指示情報、及びカッターディスクの回転方向情報と、
    前記後行の所定区間の掘進時における前記ジャッキ推力の作用力点に推奨する推奨力点と、
    を含み、
    前記判定用制御支援情報は、
    前記掘進予定区間を掘進する直前の前記シールド掘進機の前記計測情報と、
    前記掘進予定区間で予定する前記指示情報、前記回転方向情報、及び前記推奨力点、を含むことを特徴とする学習済みモデルの生成方法。
  7. 請求項6に記載の学習済みモデルの生成方法において、
    前記掘進予定区間の前記指示情報に基づいて、前記学習済みモデルの生成に用いる前記教師データを選択する工程を含むことを特徴とする学習済みモデルの生成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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