JP2022089006A - 植物内での活性型ヒトフリン断片の生産 - Google Patents

植物内での活性型ヒトフリン断片の生産 Download PDF

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Kyoji Yoshinaka
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雅之 結城
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Abstract

【課題】従来技術よりも安価にフリンを生産する技術を提供する。【解決手段】ヒトフリンのプロドメイン及び触媒領域を含む非活性型ヒトフリン断片をコードする塩基配列を含む、非活性型ヒトフリン断片を植物細胞内で発現させるための核酸構築物であって、非活性型ヒトフリン断片をコードする前記塩基配列は、特定の配列からなる塩基配列、又は特定の配列からなる塩基配列において1~15個の塩基が置換された塩基配列である、核酸構築物(ただし、該核酸構築物がRNA構築物である場合、塩基配列中のtはuである)。【選択図】図6

Description

本発明は、植物を用いて活性型ヒトフリン断片を生産する方法、及び植物で生産された活性型ヒトフリン断片を用いてTGFβスーパーファミリーの活性タンパク質を製造する方法に関する。
再生医療では、未分化の細胞を目的とする組織に誘導するために、培養培地に発生の各段階に必要な成長因子、サイトカイン等を添加する。例として心臓に関係する組織を目標とした場合、未分化の細胞を培養する培地に中胚葉系の細胞への誘導に適した成長因子(BMP-4: Bone morphogenetic protein 4、FGF-2: Fibroblast growth factor 2、Activin A等)を加える必要がある。次の段階として、分化誘導した細胞を三次元化(立体化)する際にも、その目的に適した成長因子が使用される。
これらの成長因子はほとんどがタンパク質であり、ヒトの細胞の遺伝子よりそのアミノ酸配列及びそれをコードしている核酸配列が知られている。
成長因子をはじめとするタンパク質は、細胞の核においてその遺伝子配列がDNAよりmRNAに転写され、mRNAは細胞質内に移動し細胞質においてリボソームによりタンパク質に翻訳される。タンパク質は20種類のアミノ酸が多重連結したポリペプチドであり、構成するアミノ酸同士の相互作用(水素結合やファンデルワールス力)により折りたたまれ、一定の三次元構造(立体構造)を形成する。細胞質内で自発的に折りたたまれるタンパク質もあれば、小胞体内でシャペロンタンパク質の補助を受けて立体構造を形成するタンパク質も存在する。
タンパク質がそれぞれのタンパク質の特定の機能(活性)を発揮するためには、一定の立体構造を形成することが必須である。また、小胞体やゴルジ体における糖鎖修飾などの翻訳後修飾が必要なタンパク質も存在する。例えば成長因子の場合、適切な翻訳後修飾を受け特定の立体構造を形成することにより細胞表面にある受容体に結合可能となり、受容体への結合が細胞内の情報伝達系を活性化させる起点となる。なお、培養細胞に添加する成長因子など、外因性の物質の機能を生物活性と称する。
多くの成長因子の遺伝子には、タンパク質本体の配列に加え、適切な翻訳後修飾を受けるために小胞体及びゴルジ体に移行するためのシグナルペプチド、立体構造形成を補助する分子シャペロンとして機能するプロドメインがコードされている。タンパク質への翻訳後、シグナルペプチドは小胞体に移行する際に切断されるが、プロドメインは立体構造形成後も成長因子本体に連結しており、成長因子は活性のないプロタンパク質と呼ばれる形態をとる。そのような成長因子が活性を発揮するためには、ゴルジ体における翻訳後修飾中あるいは細胞外への分泌後の適切なタイミングで生体内のタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)によりプロドメインを切断・除去する必要がある。
プロタンパク質を切断して活性を有するタンパク質に転換させているタンパク質分解酵素のひとつがフリン(Furin)である。フリンは、生体内で活性を有する成長因子の産生に重要な役割を演じているプロテアーゼである。
現在、再生医療に使用されている細胞培養培地に添加されている成長因子の生産は、それぞれの成長因子をコードしている核酸配列を用いて、微生物(大腸菌、酵母)、動物由来の培養細胞、植物等に適応する核酸構造物を作製して、種々の手法を用いてそれぞれの宿主に導入して生産している。
再生医療に使用する成長因子は、充分な生物活性を有することはもちろん、動物由来の病原体等を含まず、適切な価格での供給が要求される。これらの要求を満たす生産生物が真核生物である植物であるという観点から、植物を用いた成長因子の生産が開発されている。
真核生物である植物はヒト細胞と同様に翻訳後修飾が可能であり、植物内で発現させるための成長因子の遺伝子に必要に応じ適切なシグナルペプチド、プロドメインを組み込むことにより翻訳後修飾や複雑な立体構造形成が可能である。しかしながら、シグナルペプチドについては植物特有のものを使用するため植物内で切断されるが、プロドメインと成熟タンパク質間の切断については関連する酵素の働きにはヒトと植物では違いがあり、例えばフリンの場合、植物においてもフリンのホモログのプロテアーゼ(Kex2p)がゴルジ体に局在していることは確認されている(非特許文献2)が、プロドメインを含むTGF-β1を植物で発現させた場合、その切断活性は不十分であり、プロタンパク質として蓄積される(成熟化したタンパク質の蓄積にはフリンの共発現が必要であった) という報告(非特許文献3)がある。このように、立体構造形成のためにプロドメインを含む遺伝子を植物に導入した場合、プロドメインが切断されずにプロタンパク質として蓄積される場合がある。
プロタンパク質として蓄積された成長因子を抽出・精製する場合、精製工程においてプロドメインを適切なプロテアーゼで切断・除去しなければならない。再生医療で重要な役割を担う幾つかの成長因子からプロドメインを切断するプロテアーゼがフリンである。フリンは、生体内では微量のプロテアーゼであるため、遺伝子組換え技術によって動物由来細胞によって生産されている。このため高価であり、このプロテアーゼを成長因子の生産に用いることは再生医療に不可欠な成長因子の供給の障害となっている。
米国特許第5935815号明細書 米国特許第5989856号明細書 米国特許第6274365号明細書 特表2010-527596号公報
K. Hatsuzawa et al., J. Biol. Chem., 267, 16094-9 (1992) L. Jiang and J. C. Rogers, Plant J., 18(1), 23-32 (1999) R. H. P. Wilburs et al., Plant Biotech. J., 14, 1695-1704 (2016)
本発明は、従来技術よりも安価にフリンを生産する技術を提供することを目的とする。
本願発明者らは、植物を用いたヒトフリンの生産技術の開発を目指し鋭意研究した結果、シグナルペプチドを入れ替え高システイン領域及びそれ以降のC末側領域を除去した、プロドメイン及び触媒領域を含むヒトフリン断片を植物内で発現させ、プロテアーゼ活性を有するヒトフリン断片を得ることに成功するとともに、該ヒトフリン断片が粗精製液でも商業利用できるレベルのプロテアーゼ活性を有しており、アクチビンをはじめとするTGFβスーパーファミリータンパク質をプロタンパク質の形態で発現させて活性のあるタンパク質を生産する際に、植物で生産したヒトフリン断片の精製液だけではなく粗精製液も利用できることを見出し、本願発明を完成した。
すなわち、本発明は、プロドメイン及び触媒領域を含む非活性型ヒトフリン断片をコードする塩基配列を含む、非活性型ヒトフリン断片を植物細胞内で発現させるための核酸構築物であって、非活性型ヒトフリン断片をコードする前記塩基配列は、配列番号11に示す塩基配列、又は配列番号11において1~15個の塩基が置換された塩基配列である、核酸構築物(ただし、該核酸構築物がRNA構築物である場合、塩基配列中のtはuである)を提供する。
また、本発明は、上記本発明の核酸構築物を含むプラスミドを提供する。
さらに、本発明は、上記本発明の核酸構築物又はその相補鎖を含む感染性核酸分子を提供する。
さらに、本発明は、上記本発明の核酸構築物又はその相補鎖を含むゲノムを有する組換えウイルス粒子を提供する。
さらに、本発明は、上記本発明の感染性核酸分子又は請求項11記載の組換えウイルス粒子に感染し、自己切断によりプロドメインが切断除去された活性型ヒトフリン断片を体内に蓄積した植物を提供する。
さらに、本発明は、上記本発明の植物より、プロドメインが切断除去された活性型ヒトフリン断片を抽出すること、又は、上記本発明の感染性核酸分子若しくは上記本発明の組換えウイルス粒子を植物体に感染させ、プロドメイン及び触媒領域を含む非活性型ヒトフリン断片を植物体内で発現させ、自己切断によりプロドメインが切断除去された活性型ヒトフリン断片を該植物体より抽出することを含む、活性型ヒトフリン断片の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、プロドメイン及び触媒領域を含む非活性型ヒトフリン断片を発現させた第1の植物と、TGFβスーパーファミリーに属するタンパク質をプロタンパク質の形態で発現させた第2の植物を準備する工程;自己切断によりプロドメインが切断除去された活性型ヒトフリン断片を第1の植物より抽出して粗精製液を調製し、さらに、第2の植物よりプロタンパク質を抽出、精製する工程;並びに精製されたプロタンパク質を、活性型ヒトフリン断片の粗精製液、又は該粗精製液から調製した精製液と反応させることにより、プロタンパク質を切断して活性タンパク質を生成させる工程を含む、TGFβスーパーファミリーの活性タンパク質を製造する方法であって、TGFβスーパーファミリーに属するタンパク質は、プロドメインと活性タンパク質ドメインの間にArg-Xaa-Lys-Arg又はArg-Xaa-Arg-Argの配列を有するタンパク質である、方法を提供する。
本発明により、植物を利用して十分なプロテアーゼ活性を有するフリンを低コストで大量生産することを可能にする新規な手段が提供される。植物はヒトと同じく真核生物に属しており、両者の細胞は非常によく似たタンパク質の発現機構を有している。また、植物は光合成に基づく独立栄養生物であり、極めてエネルギー効率のよいタンパク質合成システムである。本発明により生産されるフリンは、動物由来の病原体等を含むおそれがなく、安全性の面でも優れている。さらに、本発明のフリン生産技術と、植物を用いたTGFβスーパーファミリープロタンパク質の生産技術を組み合わせることで、TGFβスーパーファミリーの活性タンパク質の低コスト大量生産が可能になる。また、その他異種タンパク質発現系におけるタグや融合タンパク質の除去においても効果が期待される。フリンは認識配列である4アミノ酸残基の直後を切断するプロテアーゼであることから、N末端側に付加したタグ配列や融合タンパク質などを除去する際に使用すると余計なアミノ酸残基がタンパク質側に残らないように切断可能、すなわち発現させた異種タンパク質に余計なアミノ酸残基が残存することによるタンパク質の機能に対する何らかの悪影響を避けられる利点がある。同様の機能を持つプロテアーゼにはウシエンテロキナーゼがあるが、そちらは動物由来を避けるために大腸菌で発現・精製することが困難であるために市販の製品は高価であり比活性の低い傾向がある。また、エンテロキナーゼとは認識配列が異なることから、エンテロキナーゼでは予期せぬ位置で切断されてしまうタンパク質の生産にも有効に利用できると考えられる。フリンはゴルジ体に局在するプロテアーゼであることから、ゴルジ体で翻訳後修飾を受けるヒトタンパク質をターゲットとした異種発現系による生産においては予期せぬ位置における切断のリスクが低くタグ配列などの除去に有効に利用できると考えられる。そのようなプロテアーゼを動物由来の病原体等を含む恐れのない植物により生産することは、高い安全性を求められる医薬品や再生医療用の原料となるタンパク質の精製工程において高い効果を発揮する。
フリンの構造を示す模式図である。 非活性型ヒトフリン断片をコードする核酸を導入した組換えTMVを製造する際に用いられる核酸構築物の構造の一例を示す模式図である。 大麦アミラーゼのシグナルペプチドをコードする大麦の野生型塩基配列の図である。 ヒトフリンの第27番~第574番アミノ酸をコードする野生型の塩基配列と、タバコ(ニコチアナ・ベンサミアナ)に最適化した塩基配列(Hisタグ領域を含む)を対比した図である。 (図4-1の続き)ヒトフリンの第27番~第574番アミノ酸をコードする野生型の塩基配列と、タバコ(ニコチアナ・ベンサミアナ)に最適化した塩基配列(Hisタグ領域を含む)を対比した図である。 (図4-2の続き)ヒトフリンの第27番~第574番アミノ酸をコードする野生型の塩基配列と、タバコ(ニコチアナ・ベンサミアナ)に最適化した塩基配列(Hisタグ領域を含む)を対比した図である。 実施例で用いたヒトフリン断片発現用プラスミドpUB003Fの構造図である。 実施例で製造した活性型ヒトフリン断片のプロアクチビン切断活性をSDS-PAGEにより調べた結果である。
フリンは、タンパク質のアミノ酸配列中のArg-Xaa-Lys-Arg(配列番号16)又はArg-Xaa-Arg-Arg(配列番号17)を認識して、この配列に続く配列を切断するプロテアーゼである。シグナルペプチド及びプロドメインを含めた、ヒトフリンタンパク質全長のアミノ酸配列を配列番号6に、これをコードするヒトの(野生型の)塩基配列を配列番号5に、それぞれ示す。ヒトフリンタンパク質は、図1に示すように、シグナルペプチド配列(aa1-26)、プロドメイン(aa27-107)、触媒領域(aa108-574)、高システイン領域(aa575-715)、膜貫通部(aa716-738)、細胞質側末端(aa739-794)を有する。aa104-107のRTKR(配列番号18)は、フリン自身が分子内で認識して切断(自己切断)する部位である。プロドメインは分子シャペロンとして機能すると同時にヒトフリンの触媒部位を覆うことによりヒトフリンの活性を抑制しており、aa104-107のRTKRが切断されることにより除去され活性のある成熟ヒトフリンとなる。また、第387番アスパラギン、第440番アスパラギン及び第553番アスパラギンは、N結合型糖鎖が結合する部位である。
本発明において、ヒトフリン断片とは、配列番号6に示すヒトフリンのアミノ酸配列の部分配列を含むポリペプチドである。非活性型ヒトフリン断片とは、ヒトフリンのうちのプロドメイン(配列番号6のアミノ酸配列における第27番~第107番アミノ酸の領域)及び触媒領域(配列番号6のアミノ酸配列における第108番~第574番アミノ酸の領域)を含むヒトフリン断片であり、プロドメイン及び触媒領域以外のヒトフリン部分領域をさらに含んでいてもよい。ヒトフリン断片が活性のある正しい立体構造を形成するためには、プロドメインを必要とする。そのため、植物細胞内でヒトフリン断片を発現させ、活性のあるヒトフリン断片を生産するためには、ヒトフリンの触媒領域を含む断片にプロドメインを持たせて植物細胞内で発現させる必要がある。配列番号8に示すアミノ酸配列は、ヒトフリンのプロドメイン及び触媒領域の配列(配列番号6のうちの第27番~第574番アミノ酸の配列)であり、本発明における非活性型ヒトフリン断片は、ヒトフリン配列として配列番号8に示すアミノ酸配列を含んでいてよい。また、本発明における活性型ヒトフリン断片とは、非活性型ヒトフリン断片から自己切断によりプロドメインが切断除去された断片であり、触媒領域を含みプロドメインを含まないヒトフリン断片である。例えば、ヒトフリン配列部分が配列番号8に示すアミノ酸配列(プロドメイン及び触媒領域)からなる非活性型ヒトフリン断片が自己切断により活性型となった場合、活性型ヒトフリン断片は、ヒトフリン配列部分が配列番号8のアミノ酸配列のうちの第81番~第548番アミノ酸の配列(触媒領域)からなるヒトフリン断片となる。高システイン領域~C末端の領域は、細胞内での固定に関する機能を有しており、活性の発揮には直接関与しない領域であるため、非活性型ヒトフリン断片及び活性型ヒトフリン断片は高システイン領域~C末端の領域を有していなくてよいが、高システイン領域~C末端領域のうちの一部をヒトフリン配列としてさらに含んでいても差し支えない。
非活性型ヒトフリン断片のN末端側には、ヒトフリンが本来有するシグナルペプチド(配列番号6中の第1番~第26番アミノ酸)に替えて、植物由来のシグナルペプチドを有することが好ましい。植物由来のシグナルペプチドの好ましい例として、配列番号4に示す大麦アミラーゼのシグナルペプチドを挙げることができる。ヒトフリンの第27番~第574番アミノ酸の領域のN末端に大麦アミラーゼのシグナルペプチドを付加したアミノ酸配列を配列番号14に示す。
非活性型ヒトフリン断片及び活性型ヒトフリン断片は、精製や検出等の便宜のためのタグ配列をさらに含んでいてよい。タグ配列の例として、ヒスチジンタグ、FLAGタグ等を挙げることができる。タグ配列は、適当なリンカー配列を介してヒトフリン配列に連結されていてよい。タグ配列は、非活性型ヒトフリン断片のいずれかの末端に付加するのが一般的であるが、タグを付加する位置は目的に応じて適宜選択できる。例えば、活性型ヒトフリン断片にもタグ配列を持たせたい場合には、非活性型ヒトフリン断片中の触媒領域よりもC末端側に連結することができる。
配列番号2に示すアミノ酸配列は、本発明における、プロドメイン及び触媒領域を含む非活性型ヒトフリン断片の特に好ましいアミノ酸配列の一例であり、ヒトフリンの第27番~第574番アミノ酸の領域(プロドメイン及び触媒領域)のN末端に大麦アミラーゼのシグナルペプチド(配列番号4)を、C末端にヒスチジンタグ(配列番号2中の第573番~第585番アミノ酸の領域がリンカー+ヒスチジンタグである)を有する。
本発明の核酸構築物は、非活性型ヒトフリン断片を植物細胞内で発現させ、活性型ヒトフリン断片を蓄積させるための核酸構築物であり、プロドメイン及び触媒領域を含む非活性型ヒトフリン断片をコードする塩基配列を含む。該核酸構築物において、非活性型ヒトフリン断片をコードする塩基配列は、配列番号11に示す塩基配列、又は配列番号11において1~15個の塩基、例えば1~10個、1~9個、1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1~2個、若しくは1個の塩基が置換された塩基配列であることが好ましい。配列番号11との配列同一性(%)で表現した場合、非活性型ヒトフリン断片をコードする塩基配列は、配列番号11と99%以上の同一性を有する塩基配列であることが好ましい。配列番号11に示す塩基配列は、ヒトフリンの第27番~第574番アミノ酸の領域(配列番号8)をコードする塩基配列をタバコ内での発現のために最適化した塩基配列である。
ここで、塩基配列の「同一性」とは、比較すべき2つの塩基配列の塩基ができるだけ多く一致するように両配列を整列させ、一致した塩基数を、全塩基数で除したものを百分率で表したものである。上記整列の際には、必要に応じ、比較する2つの配列の一方又は双方に適宜ギャップを挿入する。このような配列の整列化は、例えばBLAST、FASTA、CLUSTAL W等の周知のプログラムを用いて行なうことができる。ギャップが挿入される場合、上記全塩基数は、1つのギャップを1つの塩基として数えた塩基数となる。このようにして数えた全塩基数が、比較する2つの配列間で異なる場合には、同一性(%)は、長い方の配列の全塩基数で、一致した塩基数を除して算出される。ただし、比較すべき配列が他の任意の配列と連結された状態にある場合には(例えば、発現ベクターに組み込まれた状態など)、相当する領域のみを取り出して配列を対比し、同一性を算出する。例えば、ヒトフリン断片をコードする塩基配列を比較するときには、当該ヒトフリン断片をコードする領域に相当する領域のみを取り出して配列を対比する。
1つの態様において、本発明の核酸構築物は、非活性型ヒトフリン断片をコードする塩基配列の上流に、植物由来のシグナルペプチド、例えば大麦アミラーゼのシグナルペプチド(配列番号4)をコードする塩基配列を含む。シグナルペプチドは、通常、アミノ酸数が3から60個ほどからなるペプチドで、細胞質内で合成されたタンパク質の輸送及び局在化を指示する構造である。配列番号3に示す塩基配列は、大麦アミラーゼシグナルペプチドをコードする野生型の配列である。シグナルペプチドのコドン配列は、宿主植物に対して最適化されていないものが好ましい(Yaramah M. Zalucki, Ifor R. Beacham, Michael P. Jennings, Biotechnology Journal, 2011, volume 6, issue 6, pages 660-667. https://doi.org/10.1002/biot.201000334; Yaramah M. Zalucki, Ifor R. Beacham, Michael P. Jennings, Cell Press: Trends in Microbiology, 2009, volume 17, issue 4, pages 146-150. https://doi.org/10.1016/j.tim.2009.01.005; Yalan Wang, Yuanhui Mao, Xiaodong Xu, Shiheng Tao, Hongying Chen, PLoS One, 2015, volume 10, issue 12, e0145887. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0145887)が、少数の塩基が野生型配列と相違していても差し支えない。例えば、本発明の核酸構築物に含まれるシグナルペプチドをコードする塩基配列は、配列番号3に示す塩基配列、又は配列番号3において1~数個の塩基、例えば1~8個、1~7個、1~6個、1~5個、1~4個、1~3個、1~2個、若しくは1個の塩基が置換された塩基配列であってよい。配列番号3との配列同一性(%)で表現した場合、シグナルペプチドをコードする塩基配列は、配列番号3と90%以上、例えば95%以上、98%以上、又は99%以上の同一性を有する塩基配列であってよい。
また、本発明の核酸構築物は、任意のタグ配列をコードする塩基配列を有していてよい。配列番号1に例示される塩基配列は、ヒトフリンの第27番~第574番アミノ酸の領域のN末端に大麦アミラーゼのシグナルペプチドを、C末端にヒスチジンタグを有する、配列番号2に示したアミノ酸配列の非活性型ヒトフリン断片をコードする、タバコ内発現のために最適化された塩基配列である。本発明の核酸構築物の好ましい一例として、配列番号1に示す塩基配列を含む核酸構築物を挙げることができる。
Met及びTrp以外の18種のアミノ酸は2~6種の同義語コドンにコードされているが、生物の種類に応じて同義語コドンの使用頻度が異なっていることが知られている(Grantham, R. (1980) Trends Biochem. Sci. 5, 327-331.; Grantham, R., Gautier, C. and Gouy, M. (t980) Nucl. Acids Res. 8, 1893-1912.; Grantham, R., Gautier, C., Gouy, M., Mercier, R. and Pave, A. (1980) Nucl. Acids Res. 8, r49-r62.; Grantham, R., Gautier, C., Gouyt, M., Jacobzone, M. and Mercier, R. (1981) Nucd. Acids Res. 9, r43-r74.; Aota, S.-I., Gojobori, T., Ishibashi, F., Maruvama, T. and Ikemura, T. (1988) Nucl. Acids Res. 16, r315-r402.)。Murrayらは植物におけるコドンの使用頻度について報告しており(Murray et al. (1989) Nucl. Acids Res. 17, 477-498)、当該報告を参考にして、植物細胞に導入する所望のアミノ酸配列をコードする塩基配列のコドンを植物細胞内での発現効率が高まるように改変することが可能である。
18種のアミノ酸の同義語コドンのうち、植物(特に双子葉植物)で使用頻度の高いコドンの具体例としては、表1に示すものを挙げることができる。これらのコドンは植物(特に双子葉植物)において好ましく使用できるコドンである。本発明の核酸構築物においては、上述したように、配列表に示した塩基配列と完全に同一ではなく少数の塩基が相違する塩基配列も利用可能であるが、そのような少数の塩基が相違する塩基配列は、表1に例示したような植物で使用頻度の高いコドンを多く利用したものであればよい。
Figure 2022089006000002
本発明の核酸構築物は、DNAでもRNAでもよく、またいずれの場合にも、PNA(ペプチド核酸)やLNA(Locked Nucleic Acid)等の核酸誘導体を一部に含んでいてよい。ウイルス発現ベクターの構築に用いられる核酸構築物は、通常、DNA構築物である。なお、核酸構築物に含まれ得る配列番号11等の塩基配列は、配列表中では全てDNA配列で記載されているが、核酸構築物がRNA構築物である場合には当然ながら、それらの塩基配列中のtはuである。
上記のような核酸構築物は、常法の化学合成により合成することができる。あるいは、周知の遺伝子工学的手法により、天然に存在する配列を有するcDNAを合成した後、このcDNAを鋳型として、適当なプライマーを用いて適宜変異を導入することにより合成することもできる。あるいは、合成すべきDNA構築物をいくつかの短い領域に分けて複数のDNA断片を化学合成し、公知のfusion PCR法により各断片を連結させて合成することもできる。RNA構築物は、DNA構築物の相補鎖からの転写反応により合成することもできる。
本発明の核酸構築物を用いた非活性型ヒトフリン断片の植物細胞内での発現は、一過性発現でも恒常的発現でもよい。一過性発現とは、外来の遺伝子を細胞や微生物に導入し、一時的にタンパク質を発現させることであり、導入した遺伝子が宿主のゲノムに取り込まれるなどして子孫にまで維持される恒常的発現とは区別される。
植物における一過性発現は、ウイルスベクターやアグロバクテリウムを用いて核酸構築物を植物細胞内で発現させる手法が一般的である。植物体細胞内で所望の外来遺伝子を発現させるための植物ウイルスベクターは各種のものが知られており(例えば、「蛋白質 核酸 酵素」、vol.45、p.607-613など参照)、市販品も各種のものが存在する。植物ウイルスベクターの中でも、最も活発に研究され広く利用されているのはタバコモザイクウイルス(TMV)ベクターであり、本発明でもTMVベクターを好ましく用いることができる。
RNAウイルスベクターを用いて本発明の核酸構築物を植物体内で一過性に発現させる場合、非活性型ヒトフリン断片をコードする領域を含む本発明の核酸構築物は、転写反応により感染性RNA分子を合成する際に必要となる適当なRNAポリメラーゼプロモーター(例えば、T7プロモーター等のファージポリメラーゼプロモーター)、ウイルスレプリカーゼをコードする核酸、ウイルス移行タンパク質をコードする核酸、及びウイルス外被タンパク質をコードする核酸と連結され、プラスミドDNAに組み込まれた形態で利用される。プラス鎖一本鎖RNAウイルスであるTMV等のトバモウイルスベクターを用いる場合であれば、例えば、[RNAポリメラーゼプロモーター]-[レプリカーゼcDNA]-[移行タンパク質cDNA]-[本発明の核酸構築物]-[外被タンパク質cDNA]の順で核酸構築物とウイルス因子cDNAを連結すればよい(図2)。このような構造を含むプラスミドを鋳型とし、転写反応を行なうことにより、非活性型ヒトフリン断片をコードする核酸構築物を含む感染性RNA分子を調製することができる。ウイルスベクターがDNAウイルスである場合は、本発明の核酸構築物を組み込んだプラスミドを鋳型として核酸増幅反応を行ない、非活性型ヒトフリン断片をコードする核酸構築物又はその相補鎖を含む感染性DNA分子を調製すればよい。以上のようにして、非活性型ヒトフリン断片をコードする核酸が組み込まれた感染性RNA分子又はDNA分子である、本発明の核酸構築物又はその相補鎖を含む感染性核酸分子を調製することができる。当然ながら、感染性核酸分子がRNAである場合には、該分子に含まれる核酸構築物又はその相補鎖もRNAであり、感染性核酸分子がDNAである場合には、該分子に含まれる核酸構築物又はその相補鎖もDNAである。
本発明で好ましく用いることができる、TMVに基づく一過性発現系の具体例を挙げると、特許第4750285号に記載されるBSG1037及びBSG1057や、市販品ではケンタッキーバイオプロセシング社のGENEWARE(登録商標)などがある。これらのプラスミドは、全身感染性の組換えTMVのcDNAが挿入されたプラスミドであり、RNAポリメラーゼプロモーター、TMVのレプリカーゼ(RNA依存性RNAポリメラーゼ)cDNA、移行タンパク質cDNA及び外被タンパク質cDNAが含まれている。所望の外来遺伝子を移行タンパク質cDNAと外被タンパク質cDNAの間に挿入し、これを鋳型として5'末端にキャップを有するRNAを合成することで、所望の外来遺伝子を植物細胞内で発現可能な全身感染性のTMVウイルスRNA(感染性RNA分子)を得ることができる。キャップが付加されたRNAの合成は、市販のキット(例えばライフテクノロジーズ社のmMESSAGE mMACHINE(登録商標)kitなど)を用いて容易に行うことができる。
なお、本発明において、ウイルスの「レプリカーゼ」、「移行タンパク質」、「外被タンパク質」といった場合には、天然の植物ウイルスが有するこれら因子と同一の配列を有するもののほか、一過性発現のために好適化された、人為的な改変を含む配列を有するものも包含される。例えば、特許第4750285号に記載されるTMV発現ベクターBSG1057では、レプリカーゼcDNA及び移行タンパク質cDNAに改変が加えられ、天然のTMVとは配列が若干異なるレプリカーゼと移行タンパク質が産生されるが、このような配列の改変が加えられたものも本発明の範囲に包含される。
非活性型ヒトフリン断片をコードする核酸が組み込まれた感染性核酸分子は、そのまま適当な宿主植物に接種してもよいし、あるいは、精製した外被タンパク質と混合してカプシド形成させ、ウイルス粒子の状態にしてから宿主植物に接種してもよい。あるいはまた、上記感染性核酸分子を接種した植物から非活性型ヒトフリン断片を発現する組換えウイルス粒子を回収することができるので、かかるウイルス粒子を宿主植物に接種してもよい。このようにして得られるウイルス粒子は、上記した本発明の核酸構築物又はその相補鎖を含むゲノムを有する組換えウイルス粒子であり、ウイルスがRNAウイルスの場合は当然ながら、ゲノムに含まれる核酸構築物又はその相補鎖もRNAである。ウイルスベクターがTMVの場合、宿主植物としてはタバコを最も好ましく使用できる。感染性核酸分子及び組換えウイルス粒子の接種は、常法の通り、植物の葉にカーボン粉末やセライト等の微粒子等を用いて機械的に傷をつけて接種原と接触させることにより行なえばよい。
感染性核酸分子又は組換えウイルス粒子を接種し、該分子又は粒子に感染した植物体内では、組換えウイルスが増殖し、植物細胞内で大量の非活性型ヒトフリン断片が発現する。発現した非活性型ヒトフリン断片は、自己切断によりプロドメインが切断除去され、活性型のヒトフリン断片となって植物体内に蓄積する。接種後10~15日間程度栽培した後、葉を収穫して活性型ヒトフリン断片を抽出回収すればよい。植物組織からの活性型ヒトフリン断片の抽出及び精製は、基本的には一般的なタンパク質精製方法(C. D. Mount et al., Archives of Biochemistry and Biophysics, 240 33 (1985), U. H. Gregory and I. R. Willshire, Hoppe-Sayler's Z. Physiol. Chem., 356 1765 (1975))を用いて行なうことができる。具体的には、例えば以下のようにして行えばよい。
感染した植物の組織に緩衝液を加え、ミキサーによって均一化してタンパク質を抽出する。この液を遠心後、上清を回収し、硫酸アンモニウムによる塩析(硫安沈殿、又は硫安分画)を行ない、粗精製液を得る。この粗精製液は、標的のプロタンパク質を切断してタンパク質を生成するために十分な活性を有しているが、所望によりアフィニティークロマトグラフィー担体等による精製をさらに行なって精製液を得てもよい。アフィニティークロマトグラフィー精製では、活性型ヒトフリン断片に親和性を持つリガンドであるAnthraquinone derivative dye(Cibacron Blue F3G-Aなど)が導入された担体(例えば、商品名HiTrap Blue、Cytiva)を好ましく使用できる。或いは、活性型ヒトフリン断片に付与したタグ配列に親和性のあるリガンドが導入された担体(Hisタグの場合には、ニッケルが配位結合した担体)を好ましく使用できる。
粗精製又は精製した活性型ヒトフリン断片(粗精製液又は精製液)の酵素活性は、pyroglutamyl-L-Arg-Thr-Lys-Arg-MCA (4-Methyl-7-Aminocumarin)のような、フリンが認識する配列を有するペプチド性化合物を基質として測定できる。pyroglutamyl-L-Arg-Thr-Lys-Arg-MCAを基質として用いた場合、フリンによる切断を受けて生成したMCAの量を蛍光光度計にて測定し、検量線に当てはめてMCAの生成量を算出すればよい。
上記の基質から37℃で1分間にMCA 1nmolを産生する活性を1単位(1 U)と定義した場合、粗精製又は精製した活性型ヒトフリン断片の比活性が0.30 U/mg程度以上であれば、アクチビン等のTGFβスーパーファミリータンパク質のプロタンパク質を切断して活性タンパク質を生産するために十分な活性を有しているといえる。硫安沈殿法により得られる活性型ヒトフリン断片の粗精製液は、通常、このレベルの比活性を有している。そのため、非活性型ヒトフリン断片を発現する感染性核酸分子又は組換えウイルス粒子を植物に接種し、植物体内でウイルスを増殖させ、該ウイルスから生産された後に自己切断により活性型となったヒトフリン断片を抽出することにより、活性型ヒトフリン断片を製造する場合には、アフィニティークロマトグラフィー担体等を用いた高度な精製は必ずしも必要ではない。
恒常的発現は、形質転換植物を作出することにより達成できる。非活性型ヒトフリン断片をコードする塩基配列、シグナルペプチド、及び、所望によりタグ配列を含むDNA構築物を、適当なプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター)と動作可能に連結し、植物のゲノムに組み込んで、非活性型ヒトフリン断片を発現する形質転換植物を作出すればよい。本発明のDNA構築物を用いることの他は、形質転換植物の作出において周知の常法を用いて非活性型ヒトフリン断片発現形質転換植物を作出できる。該形質転換植物からの活性型ヒトフリンの抽出回収は、非活性型ヒトフリン断片を一過性に発現させた植物からの抽出回収と同様に行なうことができる。
また、本発明は、植物で生産した活性型ヒトフリン断片を用いて、TGFβスーパーファミリーの活性タンパク質を製造する方法(以下、活性タンパク質製造法と呼ぶことがある)を提供する。該製造方法は、以下の工程を含む。
ヒトフリンのプロドメイン及び触媒領域を含む非活性型ヒトフリン断片を発現させた第1の植物と、TGFβスーパーファミリーに属するタンパク質をプロタンパク質の形態で発現させた第2の植物を準備する工程。
自己切断によりプロドメインが切断除去された活性型ヒトフリン断片を第1の植物より抽出して粗精製液を調製し、さらに、第2の植物よりプロタンパク質を抽出、精製する工程。
精製されたプロタンパク質を、活性型ヒトフリン断片の粗精製液、又は該粗精製液から調製した精製液と反応させることにより、プロタンパク質を切断して活性タンパク質を生成させる工程。
活性タンパク質製造法で用いる非活性型ヒトフリン断片及び活性型ヒトフリン断片は、上記に定義した通りのヒトフリン断片である。第1の植物における非活性型ヒトフリン断片の発現は、形質転換植物による恒常的発現でもよいし、ウイルスベクター等を利用した一過性発現でもよい。一過性発現による場合、非活性型ヒトフリン断片を植物細胞内で発現可能な感染性核酸分子又は組換えウイルス粒子を第1の植物に接種し、ウイルスが十分に増殖するまで当該第1の植物を栽培すればよい。感染性核酸分子及び組換えウイルス粒子としては、上記した本発明の核酸構築物又はその相補鎖を含む感染性核酸分子及び組換えウイルス粒子を好ましく用いることができる。
TGFβスーパーファミリーに属するタンパク質は特に限定されず、プロドメインと活性タンパク質ドメインの間にArg-Xaa-Lys-Arg(配列番号16)又はArg-Xaa-Arg-Arg(配列番号17)の配列を有するTGFβスーパーファミリータンパク質であればいかなるものであってもよい。好ましい具体例として、下記表2~5に示すTGFβファミリータンパク質、骨形成タンパク質(BMP)、成長/分化因子(GDF)、アクチビン及びインヒビンを挙げることができる。表中、Lengthはタンパク質の全アミノ酸数、Signalはシグナルペプチドのアミノ酸数、Proはプロドメインのアミノ酸数、Activeは活性タンパク質のアミノ酸数、Proteaseはプロテアーゼ(フリン)が認識するアミノ酸配列である。
Figure 2022089006000003
Figure 2022089006000004
Figure 2022089006000005
Figure 2022089006000006
TGFβスーパーファミリータンパク質は、活性タンパク質領域にプロドメインが付加したプロタンパク質の形態にて、第2の植物内で発現させる(以下、プロタンパク質形態のTGFβスーパーファミリータンパク質を単にプロタンパク質という)。シグナルペプチド配列は、含んでいてもいなくてもよいし、本来有するシグナルペプチドを植物タンパク質のシグナルペプチドに入れ替えてもよい。また、ヒトフリン断片と同様に、精製や検出の便宜のためにHisタグやFLAGタグ等のタグ配列を付加してもよい。第2の植物における当該タンパク質の発現も、形質転換植物による恒常的発現でもよいし、ウイルスベクター等を利用した一過性発現でもよい。一過性発現による場合、プロタンパク質を植物細胞内で発現可能な感染性核酸分子又は組換えウイルス粒子を第2の植物に接種し、ウイルスが十分に増殖するまで当該第2の植物を栽培すればよい。各TGFβスーパーファミリータンパク質のアミノ酸配列及びこれをコードする塩基配列は配列表の配列番号19~54に記載されており、これらの配列情報に基づいて、プロタンパク質を恒常的に発現する形質転換体や、プロタンパク質を植物細胞内で発現可能な感染性核酸分子又は組換えウイルス粒子を作製できる。プロタンパク質をコードする塩基配列も、上記した本発明の核酸構築物のように、植物で使用頻度の高いコドンを参考にして最適化を施してもよい。プロタンパク質を発現する感染性核酸分子及び組換えウイルス粒子は、非活性型ヒトフリン断片を発現する感染性核酸分子及び組換えウイルス粒子の作製方法と基本的には同様の方法にて作製できる。
本発明において、非活性型ヒトフリン断片及びプロタンパク質を、適切なベクターを用い同じ植物体内で一過性あるいは恒常的に共発現させ、成熟型のTGFβスーパーファミリータンパク質を植物体内に蓄積させることも可能である。しかしながら、共発現の場合、目的タンパク質ごとに植物体内で効率よくプロタンパク質の成熟化が起こる適切な比率でヒトフリン断片及びプロタンパク質を発現させるためにそれぞれのベクターなどの条件を検討する必要があることに加え、疎水性の強い成熟型のTGFβスーパーファミリータンパク質の適切な抽出・精製手法の検討等も必要である。それに対し、別の植物体でそれぞれを発現させ、植物体から抽出して両者を反応させる方法の場合、適切な比率でヒトフリン断片及びプロタンパク質を発現させるための検討などは不要であり、また後述するように、簡便な精製方法により活性型ヒトフリン断片及びプロタンパク質を回収できる等の精製工程における利点もある。そのため、本発明における活性タンパク質製造法においては、ヒトフリン断片及びプロタンパク質をそれぞれ別の植物体で発現させることがより好ましい。
非活性型ヒトフリン断片及びプロタンパク質の発現は、上述したように、形質転換植物による恒常的発現でもよいし、ウイルスベクター等を用いた一過性発現でもよいが、一過性発現の場合には、形質転換植物の管理の手間・コストが不要であるという利点がある。非活性型ヒトフリン断片及びプロタンパク質の発現の両者を一過性発現させる場合、タンパク質の種類や使用するベクターによって最適な接種後栽培日数が異なる為、それに合わせ第1の植物及び第2の植物に対し、適切な日数の間隔をあけてそれぞれの感染性分子又は組換えウイルス粒子を接種することにより、収穫日を揃えて収穫物や中間精製物の貯蔵によるタンパク質の品質の低下のリスクを回避した生産システムを構築することも可能である。第1の植物への感染性核酸分子又は組換えウイルス粒子の接種と、第2の植物への感染性分子又は組換えウイルス粒子の接種は、同日又は数日以内(例えば9日内、8日内、7日内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、若しくは2日以内)に行なってよい。
第1の植物において生成させた活性型ヒトフリン断片は、上述したように植物から抽出し、硫酸アンモニウム沈澱法等により粗精製液を調製する。粗精製液をさらに精製してもよいが、粗精製液でも十分な活性を有しているので、粗精製液のままプロタンパク質の切断に使用することができる。第2の植物で生成させたプロタンパク質についても、植物から抽出、精製する。プロタンパク質の抽出、精製は、硫酸アンモニウム沈澱法等により粗精製し、次いで、アフィニティークロマトグラフィーによる精製を行なえばよい。精製したプロタンパク質を、活性型ヒトフリン断片の粗精製液又は精製液と反応させることにより、プロタンパク質を切断して活性タンパク質を生成させる。本発明の活性タンパク質製造法によれば、TGFβスーパーファミリーの活性タンパク質を、低コストで大量生産することができる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
1.ヒトフリン断片発現用プラスミドの作製
活性のあるフリンをニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)内で発現させるアミノ酸配列は、次の点を考慮して定めた。
(1) 発現させたフリンをニコチアナ・ベンサミアナ細胞内において適切に移動させるシグナルペプチドとして、天然のシグナル配列に替えて、大麦のアミラーゼタンパク質のシグナルペプチド(配列番号3;配列番号2のうちのaa1-24)を用いた。
(2) フリンの高システイン領域からC末端までの部位は、細胞内での固定に関する機能を有している。活性の発揮には直接関与しない領域であり、植物内発現には必ずしも必要ないため、この領域は除去し、第574番残基までの領域を利用した。
(3) 発現後のタンパク質の抽出・精製を考慮してC末端にHisタグを入れた。
以上の通りに定めた配列番号2に示すアミノ酸配列を発現させるために、ニコチアナ・ベンサミアナに最適化したDNA(配列番号1)を作製した。大麦アミラーゼシグナルペプチドをコードする野生型の塩基配列を図3に、ヒトフリンのaa27-574の領域をコードする野生型の(すなわちヒトの)塩基配列と最適化した塩基配列の比較図を図4-1~図4-3に、それぞれ示す。
ヒトフリンのaa27-574の領域(プロドメイン及び触媒領域)のN末に大麦アミラーゼのシグナルペプチドを、C末に精製のためのタグ配列を連結した構成の非活性型ヒトフリン断片をコードする、植物内での発現に適した塩基配列に改変したインサートDNA(配列番号1)を、ユーロフィンジェノミクス株式会社に依頼して化学合成した。
組換えTMVのcDNAが挿入された公知の異種タンパク質植物一過性発現用プラスミドUB001(特許6302415号公報)をPacI及びXhoIによりインサート挿入部位で切断した後、アガロースゲル電気泳動及びゲル切り出し精製を実施することにより直鎖化したDNA断片を得た。さらに直鎖化したDNA断片と上記のインサートDNAをIn Fusionキット(タカラバイオ)によって融合・環化させた。
In Fusionキット反応液を42℃、1分間のヒートショックにより大腸菌に導入し、アンピシリン含有培地でスクリーニングしてシングルコロニーを増殖させ、この大腸菌細胞からMini prepキット(キアゲン)を用いてプラスミドを抽出・精製することにより、TMVのcDNAにおけるMP領域とCP領域との間にインサートDNAが挿入されたヒトフリン断片発現用プラスミド(pUB003F)(図5、配列番号15)を得た。
2.感染性RNAの調製
pUB003Fには、T7ファージのmRNA合成酵素のプロモーターが組み込まれており、T7 ファージ由来のRNA合成酵素を用いて感染性RNAを合成できる。上記で得たpUB003Fを鋳型として、Ambion mMessage mMachine kit (Thermo Fisher Scientific)を用いて転写反応を行った。反応液組成は以下のとおりとした。
Figure 2022089006000007
反応液を37℃で1~3時間インキュベートし、配列番号2に示すアミノ酸配列の非活性型ヒトフリン断片を発現可能なTMV RNAを含む感染性RNA液を調製した。
3.接種液の調製
接種用緩衝液(GENEWARE(登録商標)Inoculation Buffer)は以下のとおり調製した。250 mLの精製水をビーカー入れ、そこへGlycine 2.25 g、K2HPO4 3.14 g、 Sodium Pyrophosphate, decahydrate (Na4P2O7・10H2O) 3.00 gを加えて、15分以上撹拌し完全に溶解させた。その後、溶液を500 mLメスシリンダーに移し、精製水で300 mLに調製した。オートクレーブ可能な容器に移し、Bentonite, 3.00 g、 Celite 3.00 gを加えて軽く撹拌し湿らせた。オートクレーブで121℃、20分間処理した。このようにして調製した接種用緩衝液2 mLに、上記で調製した感染性RNA液20 μLを加えて、接種用溶液とした。
4.植物の栽培、感染性RNAの植物への接種、収穫
ニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)を播種後、14日目に植替えをして更に14日栽培した。上記で調製した接種液を、ニコチアナ・ベンサミアナ1個体につき2枚の葉に1枚当たり50 μL滴下し、手袋をはめた指で軽く擦って葉に傷をつけることにより、感染性RNAをニコチアナ・ベンサミアナに接種して感染させた。接種後14日栽培した。
5.精製
(1) タバコ葉からのタンパク質抽出
接種後14日間栽培したニコチアナ・ベンサミアナの葉21 gに、抽出用緩衝液(0.1 M NaPi、0.5 Mアルギニン塩酸塩、5 mMピロ亜硫酸ナトリウム、pH8.0)63 gを加えて、氷で冷やし低温を維持したホモジナイザー(スピミックスSX80:三井電気精機)で15000 rpm、3分間2回摩砕した。この液を15000 Gで遠心分離後、上清を回収して抽出液とした。
(2) 硫安沈殿処理
抽出液50 mLに40%飽和になるように硫酸アンモニウムを加えて、室温に30分間放置した後、15000 Gで20分間遠心して上清を回収した。更に70%飽和になるように硫酸アンモニウムを加えて、室温に30分間静置した後、15000 Gで20分間遠心して上清を捨て、沈殿物を溶解用緩衝液(10 mM MES/NaOH, pH6.0)50 mLで溶解した。Hitrap脱塩カラム(GEヘルスケア)により、緩衝液(10 mM MES/NaOH, pH6.0)に置換した(硫安分画液)。
(3) アフィニティークロマトグラフィーによる精製
硫安分画液5 mLを、10 mM MES/NaOH,pH6.0の緩衝液で平衡化したHitrap Blue 1 mLカラム(GEヘルスケア)に吸着させた。その後、約15 mLの10 mM MES/NaOH, pH6.5緩衝液で洗浄した後に、NaClを加えた緩衝液(10 mM MES/NaOH, 0.3 M NaCl, pH7.0)で溶出させて、フラクションを各1 mL分取した。
6.活性測定
活性型ヒトフリン断片の酵素活性測定はpyroglutamyl-L-Arg-Thr-Lys-Arg-MCA (4-Methyl-7-Aminocumarin)を基質として行った。基質液 200 μL(基質20 nmolを含む100 mM MES緩衝液)に、検体液を100 mM緩衝液で希釈して50 μLとした液を添加し、37℃の恒温槽で5分から2時間の反応時間で酵素反応を行った。一定の反応時間後、3 mLの5 mM EDTA液を加えて反応を停止した後、励起光300 nm, 蛍光460 nmの条件で蛍光光度計を用いて蛍光光度を測定した。検量線はMCA 0~20 nmoLを含む100 mM MES 緩衝液50 μLに基質液200 μL及び5 mM EDTA液 3 mLを加えて液を酵素反応の測定と同じ条件で蛍光光度を測定して作成した。この検量線から、酵素反応で生じたMCAを計算した。
フリンの酵素活性は、基質から37℃で1分間にMCA 1 nmolを産生する活性を1単位と定義する。活性の測定結果を下記表8に示す。
Figure 2022089006000008
7.植物で生成させた活性型ヒトフリン断片によるプロアクチビンからアクチビンへの転換
(1) プロアクチビンの作製
ヒトプロアクチビンのアミノ酸配列(配列番号52)に基づき、C末端にHisタグを付加したヒトプロアクチビンをコードする、植物内での発現に適した塩基配列に改変したインサートDNAを化学合成し、pUB003Fと同様の手法でヒトプロアクチビン発現プラスミドを作製した。これを鋳型として、Ambion mMessage mMachine kit (Thermo Fisher Scientific)を用いて転写反応によって感染性RNAを作製し、接種用緩衝液に加えて接種液を調製し、ニコチアナ・ベンサミアナへの接種を実施した。
ニコチアナ・ベンサミアナを播種して28日栽培した後、上記で調製した接種液をニコチアナ・ベンサミアナに接種して14日間栽培した。収穫した葉より抽出液でタンパク質を抽出した後、硫酸アンモニウム沈殿法により粗精製した。発現したプロアクチビンは、Hisタグを利用してニッケルカラムクロマトグラフィーによる吸着・溶出を行ない精製した。得られたプロアクチビン精製液のプロアクチビンの濃度は4mg/mLであった。
(2) プロアクチビンからアクチビンへの転換
上記で精製したプロアクチビンを用いて、植物で生成させた活性型ヒトフリン断片によるアクチビンへの転換を評価した。活性型ヒトフリン断片は、アフィニティーカラムによる精製後の1.96 U/mLのフリン液を用いた。
プロアクチビン液0.5 μL(2 μg)、フリン液0.5 μL(約0.001U)及び緩衝液4 μLの計5 μLを20℃、20時間インキュベーションした後、SDS-PAGEによりプロアクチビンの消失とアクチビンの生成を確認した。確認の結果を図6に示す。いずれの反応液においても、プロアクチビンのバンドが減少してアクチビン(成熟Activin A)のバンドが生成しており、切断活性が確認された。切断されたプロドメイン及びアクチビン(成熟Activin A)の明確なバンドはレーン4~8で確認できる。例えば、レーン5は硫安分画液(粗精製液)であるが、やはりプロアクチビンの切断とアクチビンの生成が確認できている。本発明の方法で製造された活性型ヒトフリン断片は、精製純度が低くてもプロアクチビンを切断する活性が十分にあることが示された。

Claims (19)

  1. ヒトフリンのプロドメイン及び触媒領域を含む非活性型ヒトフリン断片をコードする塩基配列を含む、非活性型ヒトフリン断片を植物細胞内で発現させるための核酸構築物であって、非活性型ヒトフリン断片をコードする前記塩基配列は、配列番号11に示す塩基配列、又は配列番号11において1~15個の塩基が置換された塩基配列である、核酸構築物(ただし、該核酸構築物がRNA構築物である場合、塩基配列中のtはuである)。
  2. 非活性型ヒトフリン断片をコードする塩基配列は、配列番号11に示す塩基配列である、請求項1記載の核酸構築物。
  3. 非活性型ヒトフリン断片をコードする塩基配列の上流に、配列番号4に示すアミノ酸配列のシグナルペプチドをコードする塩基配列を含む、請求項1又は2記載の核酸構築物。
  4. シグナルペプチドをコードする塩基配列は、配列番号3に示す塩基配列、又は配列番号3において1~数個の塩基が置換された塩基配列である、請求項3記載の核酸構築物。
  5. シグナルペプチドをコードする塩基配列は、配列番号3に示す塩基配列である、請求項4記載の核酸構築物。
  6. DNA構築物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の核酸構築物。
  7. RNAポリメラーゼプロモーター、ウイルスレプリカーゼをコードする核酸、ウイルス移行タンパク質をコードする核酸、及びウイルス外被タンパク質をコードすると連結された形態にある、請求項1~6のいずれか1項に記載の核酸構築物。
  8. 前記ウイルスレプリカーゼ、移行タンパク質及び外被タンパク質がタバコモザイクウイルス由来である、請求項7記載の核酸構築物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の核酸構築物を含むプラスミド。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の核酸構築物又はその相補鎖を含む感染性核酸分子。
  11. 請求項1~5のいずれか1項に記載の核酸構築物又はその相補鎖を含むゲノムを有する組換えウイルス粒子。
  12. 請求項10記載の感染性核酸分子又は請求項11記載の組換えウイルス粒子に感染し、自己切断によりプロドメインが切断除去された活性型ヒトフリン断片を体内に蓄積した植物。
  13. 請求項12記載の植物より、プロドメインが切断除去された活性型ヒトフリン断片を抽出すること、又は、請求項10記載の感染性核酸分子若しくは請求項11記載の組換えウイルス粒子を植物体に感染させ、ヒトフリンのプロドメイン及び触媒領域を含む非活性型ヒトフリン断片を植物体内で発現させ、自己切断によりプロドメインが切断除去された活性型ヒトフリン断片を該植物体より抽出することを含む、活性型ヒトフリン断片の製造方法。
  14. ヒトフリンのプロドメイン及び触媒領域を含む非活性型ヒトフリン断片を発現させた第1の植物と、TGFβスーパーファミリーに属するタンパク質をプロタンパク質の形態で発現させた第2の植物を準備する工程;
    自己切断によりプロドメインが切断除去された活性型ヒトフリン断片を第1の植物より抽出して粗精製液を調製し、さらに、第2の植物よりプロタンパク質を抽出、精製する工程;並びに
    精製されたプロタンパク質を、活性型ヒトフリン断片の粗精製液、又は該粗精製液から調製した精製液と反応させることにより、プロタンパク質を切断して活性タンパク質を生成させる工程
    を含む、TGFβスーパーファミリーの活性タンパク質を製造する方法であって、
    TGFβスーパーファミリーに属するタンパク質は、プロドメインと活性タンパク質ドメインの間にArg-Xaa-Lys-Arg又はArg-Xaa-Arg-Argの配列を有するタンパク質である、方法。
  15. 前記非活性型ヒトフリン断片は、ヒトフリン配列として配列番号8に示すアミノ酸配列を含む、請求項14記載の方法。
  16. TGFβスーパーファミリーに属するタンパク質が、TGFβファミリータンパク質、骨形成タンパク質(BMP)、成長/分化因子(GDF)、アクチビン及びインヒビンから選択されるタンパク質である、請求項14又は15記載の方法。
  17. 第1の植物が、前記非活性型ヒトフリン断片を植物細胞内で発現可能な感染性核酸分子又は組換えウイルス粒子を接種することにより、非活性型ヒトフリン断片を一過性に発現させた植物であり、第2の植物が、前記プロタンパク質を植物細胞内で発現可能な感染性核酸分子又は組換えウイルス粒子を接種することにより、前記プロタンパク質を一過性に発現させた植物である、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記非活性型ヒトフリン断片を植物細胞内で発現可能な感染性核酸分子が、請求項10記載の感染性核酸分子であり、前記非活性型ヒトフリン断片を植物細胞内で発現可能な組換えウイルス粒子が、請求項11記載の組換えウイルス粒子である、請求項17記載の方法。
  19. 第1の植物への感染性核酸分子又は組換えウイルス粒子の接種と、第2の植物への感染性核酸分子又は組換えウイルス粒子の接種が、同日又は数日以内に行われる、請求項17又は18記載の方法。
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