1.実施形態1
以下、本発明に係る記録装置の一例としての実施形態1のプリンター1を具体的に説明する。
図1には、記録装置の一例としてのプリンター1が表されている。プリンター1は、記録用紙に代表される媒体Pに対し、液体の一例であるインクを吐出することで記録を行うインクジェット方式の装置として構成されている。
プリンター1は水平面上に置かれているものとし、各図において示すX-Y-Z座標系は、互いに直交する3つの空間軸をそれぞれX軸,Y軸,Z軸とする直交座標系である。また、X軸,Y軸,Z軸に沿った方向をそれぞれX方向,Y方向,Z方向とし、X軸,Y軸,Z軸に沿った+側に向かう正の向きをそれぞれ+X方向,+Y方向,+Z方向とし、X軸,Y軸,Z軸に沿った-側に向かう負の向きをそれぞれ-X方向,-Y方向,-Z方向とし、Z方向を鉛直方向とし、鉛直方向に沿い上方に向かう向きを+Z方向、鉛直方向に沿い下方に向かう向きを-Z方向とする。X軸,Y軸を含むX-Y面は水平面となる。また、X軸,Z軸を含むX-Z面に含まれ、X軸,Z軸に対して交差し、互いに直交する2つの空間軸をそれぞれA軸,B軸とするA-B座標系は、直交座標系である。また、A軸に沿った方向をA方向とし、A軸に沿い、上方に向かう向きを+A方向とし、+A方向の反対の向きを-A方向とし、B軸に沿った方向をB方向とし、B軸に沿い、下方に向かう向きを+B方向とし、+B方向の反対の向きを-B方向とする。
Y方向は、媒体Pの搬送方向と交差する媒体Pの幅方向及び装置奥行き方向であり、水平方向となっている。また、Y方向は、後述するA方向及びB方向の両方と交差する装置奥行方向の一例である。+Y方向はY方向の手前に向かう向きであり、-Y方向はY方向の奥に向かう向きである。
X方向は装置幅方向であり、水平方向となっている。+X方向はプリンター1の操作者から見てX方向の左に向かう向きであり、-X方向はX方向の右に向かう向きである。
Z方向は、装置高さ方向である。
プリンター1において、媒体Pは、破線で示す搬送経路Tを通って搬送される。
X-Z面に示されるA-B座標系は、直交座標系である。A方向は、搬送経路Tのうち後述するラインヘッド20と対向する領域における媒体Pの搬送方向の一例である。A方向の上流に向かう向きを-A方向、下流に向かう向きを+A方向と称する。本実施形態において、A方向は、+A方向側が-A方向側よりも+Z方向側に位置するように傾いた方向とされている。B方向は、移動方向の一例であり、後述するラインヘッド20が後述する搬送ユニット10に対し進退する方向となる移動方向である。B方向におけるラインヘッド20が搬送経路Tに近づく向きを+B方向、搬送経路Tから離れる向きを-B方向と称する。本実施形態において、B方向は、+B方向側が-B方向側よりも+Z方向側に位置するように傾いた方向とされており、A方向とは直交している。
具体的には、図2に示すように、Y方向から見た場合に、B方向とX方向との成す角度を第1角度θ1とした場合、第1角度θ1は0度より大きく45度と同じかそれより小さく、具体的には10度より大きく40度と同じかそれより小さく、より具体的には30度である。また、A方向とX方向との成す角度を第3角度θ3とした場合、第3角度θ3は45度と同じかそれより大きく90度より小さく、具体的には50度より大きく80度と同じかそれより小さく、より具体的には60度である。このように、ラインヘッド20が後述する搬送ユニット10に対し進退する方向となる移動方向は、水平方向および鉛直方向の両方向と交差する傾斜した方向である。また、ラインヘッド20による記録が行われる搬送ユニット10を含む領域の媒体Pの搬送方向は、水平方向および鉛直方向の両方向と交差する傾斜した方向である。
図1に示すように、プリンター1は、装置本体の一例としての筐体2を有する。筐体2は水平面上に置かれているものとする。筐体2のZ方向中央よりも+Z方向には、情報が記録された媒体Pが排出される空間部を形成する排出部3が形成されている。また、筐体2のZ方向中央よりも-Z方向には、複数の媒体カセット4が設けられている。媒体カセット4は媒体収容部の一例である。また、筐体2のZ方向中央には、筐体2から-X方向に突出するように手差トレイ9が設けられている。換言すると、手差トレイ9は搬送経路Tに対して-X方向側に設けられる。媒体Pをセット可能な手差トレイ9は、媒体カセット4にセットできない媒体Pに記録する場合に使用される。
複数の媒体カセット4には、複数の媒体Pが積層されて収容されている。媒体カセット4の中央より-X方向寄りには、媒体Pの上面に接触可能にピックローラー6が設けられている。ピックローラー6は排出部3より下方に位置する。各媒体カセット4に収容される媒体Pは、ピックローラー6によって、媒体カセット4から-X方向となる搬送経路Tに向けて送り出される。ピックローラー6が搬送経路Tに向けて送り出した媒体Pは、搬送ローラー対7、搬送ローラー対8によって、搬送経路Tに沿って搬送される。搬送経路Tには、外部装置から媒体Pが搬送される搬送路T1と、搬送経路Tに-X方向側から合流する搬送路T2と、が設けられている。搬送路T2は、手差トレイ9にセットされた媒体Pを搬送経路Tに搬送可能である。手差トレイ9は搬送路T2が搬送経路Tと合流する位置に対して-X方向側に位置する。これによれば、搬送路T2を手差トレイ9の沿った湾曲の少ない経路に形成しやすい。
また、搬送経路Tには、後述する搬送ユニット10と、媒体Pを搬送する複数の搬送ローラー対11と、媒体Pの傾きを修正するレジストローラー対11Aと、排出ローラー対11Bと、媒体Pが搬送される経路を切り替える複数のフラップ12と、媒体PのY方向の幅を検出する媒体幅センサー13とが配置されている。
搬送経路Tは、媒体幅センサー13と対向する領域において湾曲されており、媒体幅センサー13から斜め上方、即ち+A方向に延びている。搬送経路Tにおける搬送ユニット10よりも上流には、レジストローラー対11Aが設けられている。レジストローラー対11Aは、搬送ユニット10よりも-A方向側に配置される。レジストローラー対11Aは、搬送される媒体Pの斜行を矯正する。なお、媒体Pの斜行とは、媒体Pの姿勢が搬送方向に対して傾いた状態をいう。
搬送経路Tにおける搬送ユニット10よりも下流には、排出部3に向かう搬送路T3及び搬送路T4と、媒体Pの表裏を反転させる反転路T5とが設けられている。搬送路T3及び搬送路T4には、インクが吐出された媒体Pを排出部3に向けて排出する排出ローラー対11Bが配置されている。排出ローラー対11Bは、排出部3に対して-X方向側となる位置に設けられる。排出ローラー対11Bは、媒体Pを+X方向へ排出する。インクが吐出された媒体Pは、排出部3に排出され、積層される。
また、筐体2内には、インクを収容するインク収容部23と、インクの廃液を貯留可能な廃液貯留部16と、プリンター1の各部の動作を制御する制御部26と、が設けられている。インク収容部23は、不図示のチューブを介してラインヘッド20へインクを供給する。図2に示すように、廃液貯留部16は、後述する第1メンテナンスユニット62と、可撓性を有する廃液チューブ16Aを介して接続される。廃液貯留部16は、第1メンテナンスユニット62に対して下方にある。廃液貯留部16は、後述する第1メンテナンスユニット62に向けてラインヘッド20から排出されるメンテナンスのためのインクを、廃液チューブ16Aを介して収集し、廃液として貯留する。
制御部26は、図示を省略するCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびストレージを含んで構成され、プリンター1における媒体Pの搬送や、ラインヘッド20による媒体Pへの情報の記録動作を制御する。
図2に示すように、排出部3には、搬送路T3、搬送路T4に合わせて、排出トレイ21が設けられている。排出部3の底部を構成する排出トレイ21は、載置部材の一例として板状に形成された部材であり、排出された媒体Pが載置される載置面21Aを有する。また、排出トレイ21は、媒体Pの搬送経路Tにおける後述する搬送ユニット10よりも下流で且つZ方向における後述するラインヘッド20に対する+Z方向に設けられている。
具体的には、排出トレイ21は、+X方向側の部位が-X方向側の部位よりも+Z方向に位置するように斜め方向に延びている。換言すると、媒体Pの搬送方向において、排出トレイ21の下流端部が上流端部よりも+Z方向に位置している。載置面21Aは、媒体Pの排出方向に沿って斜め上に向かう傾斜を有している。
図2において、Y方向から見た場合に、載置面21Aの傾斜方向と、X方向とが成す角度を第2角度θ2とする。第2角度θ2は、載置面21Aと、X方向に沿った仮想面Kとが成す角度として表されている。本実施形態では、第2角度θ2は、一例として、第1角度θ1よりも小さい。
プリンター1は、要部として、媒体Pを搬送する搬送ユニット10と、媒体Pに情報を記録するラインヘッド20と、ラインヘッド20をB方向に移動させるヘッド移動部30とを有する。
図1、図2に示すように、搬送ユニット10は、2つのプーリー14と、2つのプーリー14に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト15と、プーリー14を駆動する不図示のモーターとを有する。搬送ユニット10は支持部の一例である。媒体Pを支持する搬送ベルト15の支持面は、搬送経路Tの一部を構成する。図2に示すように、2つのプーリー14に巻き掛けられた搬送ベルト15のX方向における外寸D1は、媒体Pを支持する搬送ベルト15の支持面のA方向における寸法D2より小さい。換言すると、2つのプーリー14に巻き掛けられた搬送ベルト15の水平方向における外寸のうち、搬送ベルト15の幅方向と直交する方向の外寸D1は、媒体Pを支持する搬送ベルト15の支持面のA方向における寸法D2より小さい。媒体Pは、搬送ベルト15の支持面に吸着されつつ、ラインヘッド20と対向する位置に搬送される。このため、図2に示すように、筐体2内には、搬送ユニット10を帯電させる帯電ローラー17と、搬送ユニット10に支持される媒体Pを除電する除電ブラシ18と、が設けられている。
帯電ローラー17は、帯電部の一例である。帯電ローラー17は、搬送ベルト15に接触することで搬送ベルト15を帯電させる。帯電ローラー17は、搬送ベルト15を帯電させることで搬送ベルト15の支持面に媒体Pを吸着させる。帯電ローラー17は、2つのプーリー14に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト15に対して+B方向側となる位置に設けられる。帯電ローラー17は、2つのプーリー14のうちの-A方向側に位置するプーリー14との間に搬送ベルト15を挟む位置に設けられてもよい。
帯電ローラー17は搬送ベルト15の支持面に接触しており、搬送ベルト15の稼働に応じて従動回転する。帯電ローラー17には、帯電ローラー17に直流電圧を印加する不図示の電源装置が接続され、これにより帯電ローラー17は搬送ベルト15に接触している部位に電荷を供給する。電源装置は制御部26により制御され、帯電ローラー17への電圧印加のオンオフ切り換えや、帯電ローラー17に印加する電圧を切り換える。なお、本実施形態では帯電ローラー17は搬送ベルト15に正の電荷を供給し、搬送ベルト15の支持面をプラス極性に帯電させる。
除電ブラシ18は除電部の一例である。除電ブラシ18は、搬送ベルト15に支持される媒体Pに接触することで媒体Pを除電する。除電ブラシ18は、2つのプーリー14に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト15に対して-B方向側となる位置に設けられる。除電ブラシ18は、ラインヘッド20の吐出面NAに対して-A方向側となる位置に設けられる。除電ブラシ18は、2つのプーリー14のうちの-A方向側に位置するプーリー14との間に搬送ベルト15を挟む位置に設けられてもよい。
除電ブラシ18は、媒体Pにおける吐出面NA側となる記録面の電荷を除去する。あるいは、除電ブラシ18は、搬送ベルト15の支持面の電荷を除去してもよい。より詳しくは、帯電ローラー17によって搬送ベルト15の支持面に電荷が付与されると、支持面に接する媒体Pには、支持面と接する面に反対極性の電荷が生じ、さらに媒体Pの反対側の面すなわち記録面にもその電荷と反対極性の電荷が生じる。この記録面側の電荷は、除電ブラシ18により除去される。これにより媒体Pには搬送ベルト15と接する側の電荷だけが残り、その結果、支持面に対して媒体Pが吸着されることとなる。
除電ブラシ18は、媒体Pおよび搬送ベルト15から電荷を除去できる材質であればどの様なものでもよく、例えば導電性ナイロンなどの樹脂材料で形成することができる。除電ブラシ18は不図示の切り換え装置に接続されており、切り換え装置は制御部26に制御されて、除電ブラシ18を接地すなわちアースさせる状態と接地させない状態とを切り換える。
このように、搬送ベルト15は、媒体Pを吸着しつつ、媒体Pを支持している。搬送ベルト15における媒体Pを支持する支持面は、搬送経路Tのうちラインヘッド20と対向する領域を構成する。すなわち、搬送ユニット10は、プーリー14が駆動されることで回動し、搬送ベルト15の支持面に支持される媒体Pを、搬送方向において+A方向へ搬送する。このとき、搬送方向における搬送方向下流側は、搬送方向上流側より上方である。また、搬送ユニット10は、ラインヘッド20とB方向に対向配置される。搬送ベルト15に媒体Pを吸着させる方式としては、エアー吸引方式などの吸着方式を採用してもよい。
搬送ユニット10は、搬送ベルト15の支持面からの媒体Pの浮きを抑制する従動ローラー19をさらに有してもよい。この場合、従動ローラー19は、2つのプーリー14に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト15に対して-B方向側となる位置に設けられる。従動ローラー19は、A方向において、ラインヘッド20の吐出面NAと除電ブラシ18との間となる位置に設けられる。従動ローラー19は、搬送ベルト15との間に媒体Pを挟む位置に設けられ、搬送ベルト15に支持される媒体Pの移動に応じて従動回転する。なお、従動ローラー19は、例えば金属などの導電材料で構成されるとともに、接地されていてもよい。
ラインヘッド20は、ヘッド部の一例である。また、ラインヘッド20は、液体の一例であるインクを吐出するノズルNを有する。また、ラインヘッド20は、後述する記録位置において搬送ユニット10とB方向に対向配置され、搬送方向へ搬送される媒体Pに対して、ノズルNからインクを吐出することで情報を記録する。ラインヘッド20は、インクを吐出するノズルNが媒体Pの幅方向としてのY方向の全域をカバーする様に構成されたインク吐出ヘッドである。また、ノズルNが配置される吐出面NAはA方向とY方向に沿って配置される。図2に示すように、吐出面NAは、+B方向を向いている。吐出面NAは、Y方向における吐出面NAの寸法がA方向における吐出面NAの寸法より大きい。吐出面NAは、A方向において、搬送ベルト15における媒体Pを支持する支持面の中央より+A方向側寄りと対向している。すなわち、ラインヘッド20は、A方向において、搬送ベルト15における媒体Pを支持する支持面の中央より+A方向側に位置している。
また、ラインヘッド20は、媒体Pの幅方向への移動を伴わないで媒体Pの幅方向の全域に記録が可能なインク吐出ヘッドとして構成されている。但し、インク吐出ヘッドのタイプはこれに限られず、キャリッジに搭載されて媒体Pの幅方向に移動しながらインクを吐出するタイプであってもよい。
図4に示すように、ラインヘッド20は、Y方向に延びている。ラインヘッド20のY方向の両端部における+A方向の側部には、+A方向に向けて板部20Aが突出されている。また、ラインヘッド20のY方向の両端部には、それぞれ支持フレーム22が取り付けられている。図4に示す第2メンテナンスユニット72については後述する。
支持フレーム22は、A-B面に沿った側板として構成されており、ラインヘッド20に対して-B方向へ延びている。支持フレーム22のY方向の外側面におけるB方向両端部には、それぞれ+Y方向及び-Y方向へ延びる円柱状の支持ピン24が設けられている。支持ピン24には、円環状のコロ25が回転可能に設けられている。
また、支持フレーム22のY方向の内面には、支持ピン27と、ラック28と、コイルバネ29とが設けられている。支持ピン27は、支持フレーム22からY方向に突出されている。
ラック28は、Y方向を厚さ方向とする板状の部材であり、B方向に延びている。ラック28の-A方向の端部には、B方向に並ぶ複数の歯部28Aが形成されている。また、ラック28には、Y方向に貫通し且つB方向に長い長孔28Bが形成されている。長孔28Bには、支持ピン27が挿通されている。これにより、ラック28は、支持フレーム22に対してB方向に相対移動が可能とされている。
コイルバネ29の一端部は、支持フレーム22に取り付けられている。コイルバネ29の他端部は、ラック28に取り付けられている。これにより、コイルバネ29は、ラック28に対してB方向の弾性力を作用させるようになっている。
ラインヘッド20は、図1に2点鎖線で示す交換位置において、図3に示すヘッド移動部30から離脱可能とされている。交換位置は、ラインヘッド20の移動方向において、搬送ユニット10から-B方向に最も離れた位置である。具体的には、ラインヘッド20は、後述するガイドレール37に沿って-B方向に移動された支持フレーム22が、さらにガイドレール38に沿って+Z方向に引き上げられることで、ヘッド移動部30から離脱されるようになっている。
ヘッド移動部30は、ラインヘッド20をB方向に沿って、後述する記録位置と退避位置とに移動させる。換言すると、ヘッド移動部30は、ラインヘッド20の移動方向が鉛直方向及び水平方向の両方と交差するように、ラインヘッド20をB方向へ移動させる。また、移動方向は水平面に対して0度より大きく45度以下の角度で交差する傾斜した方向であり、具体的には、移動方向が水平面に対して交差する角度は30度である。
図3、図5に示すように、ヘッド移動部30は、本体部分を構成する本体フレーム32と、ラインヘッド20をB方向に案内するガイド部材36と、後述するラインヘッド20をB方向に駆動する駆動ユニット40と、を有する。そして、ヘッド移動部30は、ラインヘッド20を、後述する記録位置に対して搬送ユニット10から離れた1つ以上の後述する退避位置に移動させる。具体的には、ヘッド移動部30は、第1位置と、第2位置と、第3位置とに、ラインヘッド20を移動可能に設けられている。なお、第1位置、第2位置及び第3位置については、後述する。
本体フレーム32は、筐体2に含まれる。つまり、本体フレーム32は、装置本体の一例に含まれる。具体的には、本体フレーム32は、サイドフレーム33と、サイドフレーム34と、複数の横フレーム35とを有する。
サイドフレーム33とサイドフレーム34は、それぞれA-B面に沿った側板として構成されており、Y方向に間隔をあけて対向配置されている。サイドフレーム33は、+Y方向側に配置され、サイドフレーム34は、-Y方向側に配置されている。サイドフレーム34には、後述する第2メンテナンスユニット72が移動するための貫通孔34Aが形成されている。複数の横フレーム35は、サイドフレーム33とサイドフレーム34をY方向に繋いでいる。また、複数の横フレーム35によって囲まれた空間には、ラインヘッド20が配置されている。
ガイド部材36は、案内部の一例であり、サイドフレーム33、およびサイドフレーム34にそれぞれ1つ設けられている。なお、2つのガイド部材36は、本体フレーム32におけるY方向の中央に対してほぼ対称に配置されている。このため、-Y方向のガイド部材36について説明し、+Y方向のガイド部材36の説明を省略する。
図5に示すように、ガイド部材36は、サイドフレーム34の+Y方向の側面に取り付けられている。ガイド部材36には、B方向に延びるガイドレール37と、ガイドレール37の途中の部位から分岐してZ方向に延びるガイドレール38とが形成されている。ガイドレール37、およびガイドレール38は、いずれも+Y方向に開口する溝となっている。また、ガイドレール37、およびガイドレール38は、コロ25をB方向又はZ方向に案内する。
図5に示すように、サイドフレーム34には、後述するキャップ移動部80を構成するガイドレール71が設けられている。ガイドレール71は、サイドフレーム33にも設けられている。すなわち、サイドフレーム33とサイドフレーム34との間には、1組のガイドレール71が設けられている。1組のガイドレール71は、Y方向の内側へ向けて開口する溝状に形成されており、A方向に沿って延びている。また、1組のガイドレール71は、後述する複数のコロ73をA方向に移動可能に支持している。つまり、ガイドレール71が複数のコロ73をA方向に案内することで、後述する第1メンテナンスユニット62がA方向に移動可能とされている。
図5に示すように、駆動ユニット40は、モーター41と、不図示のギア部と、シャフト42と、ピニオン43とを含んで構成されており、制御部26によって駆動が制御される。シャフト42は、Y方向に延びている。シャフト42の両端部は、図3に示すサイドフレーム33とサイドフレーム34に回転可能に支持されている。ピニオン43は、シャフト42のY方向の両端部に取り付けられている。ピニオン43の外周部には、歯部28Aと噛み合う歯部43Aが形成されている。
モーター41は、不図示のギア部を介してシャフト42及びピニオン43を一方向または逆方向に回転させる。このように、駆動ユニット40は、ピニオン43を回転駆動することで、ラインヘッド20をB方向に移動させる。
図6に示すように、プリンター1は、メンテナンスユニット60と、キャップ移動部80と、蓋ユニット90と、回動機構部100とを有する。
メンテナンスユニット60は、ノズルNを保管し且つノズルNのメンテナンスを行う保管部の一例である。具体的には、メンテナンスユニット60は、ノズルNを覆うことが可能な第1メンテナンスユニット62と、ノズルNにおけるインクの吐出面NAを払拭することで清掃する第2メンテナンスユニット72と、を有する。第2メンテナンスユニット72については後述する。
第1メンテナンスユニット62は、キャップ部の一例である。また、第1メンテナンスユニット62は、キャップ部本体63と、ノズルNを覆うキャップ64と、ノズルNと対向し且つノズルNから吐出されたインクを受けるフラッシング部66とを含んで構成されている。また、第1メンテナンスユニット62は、キャップ64とフラッシング部66とをA方向に沿って備えるとともに、A方向に移動することで、キャップ64がノズルNと対向する状態と、フラッシング部66がノズルNと対向する状態とを切り換える。さらに、第1メンテナンスユニット62は、ラインヘッド20よりも-A方向側に待機位置を有し、+A方向に向かって順に、待機位置、吐出位置、およびキャップ位置を有する。
待機位置は、A方向において-A方向へキャップ位置から離れている。すなわち、待機位置は、キャップ位置に対してラインヘッド20から離れており、キャップ位置よりも下方に位置する。これによれば、第1メンテナンスユニット62と、廃液貯留部16と、を接続する廃液チューブ16Aをラインヘッド20より下方に配置しやすい。よって、廃液チューブ16Aがラインヘッド20や搬送経路Tと干渉しにくい。また、キャップ位置において、廃液チューブ16Aが屈曲した状態になりにくいので、第1メンテナンスユニット62からの廃液を廃液貯留部16に収集しやすい。
吐出位置は、フラッシング部66がノズルNと対向する場合の第1メンテナンスユニット62の位置である。吐出位置は、A方向において+A方向へ待機位置から離れている。キャップ位置は、キャップ64が吐出面NAを覆う場合の第1メンテナンスユニット62の位置である。キャップ位置にある第1メンテナンスユニット62は、B方向において、ラインヘッド20と搬送ユニット10との間に位置する。キャップ位置は、A方向において-A方向へ吐出位置から離れている。
図7に示すように、キャップ部本体63は、Y方向における寸法がA方向における寸法より大きい箱状に形成されている。キャップ部本体63には、-B方向に開口する開口部65が形成されている。キャップ部本体63のうち、+Y方向の側壁63Aと-Y方向の側壁63Aとのそれぞれには、A方向に延びるラック69が設けられている。ラック69は、A方向に並ぶ複数の歯部69Aを有する。また、両方の側壁63Aには、Y方向を軸方向として回転可能とされた複数のコロ73が設けられている。キャップ部本体63の内側には、仕切壁67が設けられている。仕切壁67は、キャップ部本体63内の空間を、+A方向の空間と-A方向の空間とに区画している。仕切壁67の-A方向の空間にキャップ64が、仕切壁67の+A方向の空間にフラッシング部66が配置される。
第1メンテナンスユニット62のキャップ64は、吐出面NAを覆うキャップ面64Aを有する。キャップ64は、キャップ面64Aに開口する凹み部64Bを備える。キャップ面64Aの大きさ及び形状は、吐出面NAを覆う大きさ及び形状とされている。このため、キャップ位置にあるキャップ面64Aを-B方向側から見た場合、Y方向におけるキャップ面64Aの寸法D3は、A方向におけるキャップ面64Aの寸法D4よりも大きい。また、キャップ位置にある第1メンテナンスユニット62をB方向から見た場合、Y方向における第1メンテナンスユニット62の寸法は、A方向における第1メンテナンスユニット62の寸法よりも大きい。ここで、第1メンテナンスユニット62の待機位置はキャップ位置とA方向に間隔を置いた位置に設けられる。これによれば、待機位置をキャップ位置とY方向に間隔を置いた位置に設ける場合と比較して待機位置とキャップ位置との間隔を狭くすることができ、プリンター1の載置面積を小さくしやすい。
また、キャップ64は、キャップ面64Aが吐出面NAとB方向に対向配置されることで、吐出面NAを覆う。すなわち、キャップ位置において、第1メンテナンスユニット62が吐出面NAを覆うことで、ノズルNの乾燥が抑制され、インクの粘性の増加が抑制される。なお、キャップ64は、ラインヘッド20が退避位置に位置する場合にノズルNを覆うことが可能となる。すなわち、第1メンテナンスユニット62は、待機位置および吐出位置において、吐出面NAを覆わない。
フラッシング部66は、受部の一例であり、開口部65内に設けられている。また、フラッシング部66は、A方向におけるキャップ64よりも+A方向側に配置されている。換言すると、第1メンテナンスユニット62が待機位置に配置された状態において、フラッシング部66は、A方向において、キャップ64よりもラインヘッド20に近い位置に配置されている。
また、フラッシング部66は、-B方向に開口され且つフェルトなどの多孔質の繊維を有するフラッシングボックスとして構成されている。そして、フラッシング部66は、ノズルNから吐出されるインクを捕捉する。ノズルNにおいて、インクの粘性が増加した場合には、フラッシング部66に向けてインクが吐出されることで、インクの粘性が設定範囲内に維持される。これにより、ノズルNからのインクの吐出不良が抑制される。
第2メンテナンスユニット72は清掃部の一例である。第2メンテナンスユニット72は、本体部74と、ブレード76とを含んで構成されている。本体部74は、-B方向に開口する箱状に形成されている。ブレード76は、一例として、矩形板状のゴムで構成されている。また、ブレード76は、ノズルNを拭く部位が本体部74から-B方向へ突出し、A方向及びY方向に対して傾斜した状態で、本体部74に設けられている。
第2メンテナンスユニット72は、不図示のブレード移動部によって、サイドフレーム34に対して-Y方向となる退避位置と、吐出面NAを清掃する清掃位置と、の間を、Y方向に進出及び退避可能とされている。Y方向は、ブレード移動部が第2メンテナンスユニット72を進退させる第2方向の一例である。Y方向における第2メンテナンスユニット72の最大移動量D12は、図4に実線で示す退避位置と退避位置から最も離れた2点鎖線で示す位置とのY方向における距離になる。清掃位置にある第2メンテナンスユニット72は、B方向において、ラインヘッド20と搬送ユニット10との間に位置する。不図示の駆動ユニットは、一例として、モーター及び第2メンテナンスユニット72が取り付けられたベルトを含んで構成されており、モーターの回転によってベルトが周回移動されることで、第2メンテナンスユニット72をY方向に移動させるようになっている。なお、第2メンテナンスユニット72は、第1メンテナンスユニット62がラインヘッド20を覆う場合及びラインヘッド20が記録を行う場合には、退避位置に退避されている。
キャップ移動部80は、キャップ位置と待機位置との間において、第1メンテナンスユニット62を、A方向へ移動させる。A方向は、キャップ移動部80が第1メンテナンスユニット62を進退させる第1方向の一例である。第1方向は、水平面に対して45度以上90度未満の角度で交差する傾斜した方向であり、具体的には、第1方向が水平面に対して交差する角度は60度である。よって、第1方向は移動方向より傾きが大きい。図2に示すように、キャップ移動部80は、除電ブラシ18に対して-B方向側において、第1メンテナンスユニット62を移動させる。これによれば、レジストローラー対11Aとラインヘッド20とのA方向における間隔を狭めることができる。よって、レジストローラー対11Aを通過した後の斜行の少ない媒体Pに対して、ラインヘッド20による記録を行うことができる。また、キャップ移動部80は、レジストローラー対11Aに対して-B方向側において、第1メンテナンスユニット62を、A方向へ移動させる。キャップ移動部80は、キャップ64のキャップ面64Aが-B方向を向いた状態で、第1メンテナンスユニット62を支持する。-B方向を向いた状態は、X方向および+Z方向との間の方向を向いた状態の一例である。具体的には、キャップ移動部80は、ラック69の歯部69Aと噛み合う歯部82Aを有するギア82と、ギア82を回転させるモーター84と、第1メンテナンスユニット62のコロ73を支持する図6に示すガイドレール71と、を有する。キャップ移動部80の駆動制御は、制御部26によって行われる。
キャップ移動部80は、ラインヘッド20が後述する退避位置に位置した場合に、退避位置にあるラインヘッド20と搬送ユニット10との間に第1メンテナンスユニット62を進出させる。また、キャップ移動部80は、ラインヘッド20が後述する記録位置に位置する前に、退避位置にあるラインヘッド20と搬送ユニット10との間から第1メンテナンスユニット62を-A方向に退避させる。
蓋ユニット90は蓋部の一例である。蓋ユニット90は、全体がY方向に長い直方体状に形成されており、Y方向に延びる回動軸の周りに回動可能とされている。蓋ユニット90は、吐出位置において、A方向におけるラインヘッド20よりも+A方向側に位置する。蓋ユニット90は、キャップ64がノズルNを覆う場合に、フラッシング部66を覆う閉塞姿勢をとるようになっている。
回動機構部100は、蓋ユニット90を回動軸周りに回動させる機構部である。回動機構部100は、ヘッド移動部30がラインヘッド20を後述する記録位置から退避位置へ移動させる場合に、蓋ユニット90の姿勢が閉塞姿勢となるように、蓋ユニット90を回動させる。
次に、図2に示すラインヘッド20が、ヘッド移動部30によって移動された場合のB方向の各位置と、メンテナンスユニット60の位置について説明する。
図8に示すように、ラインヘッド20の記録位置とは、ラインヘッド20によって媒体Pへの情報の記録が可能となるときのラインヘッド20の停止位置を意味する。ラインヘッド20が記録位置にあるとき、第1メンテナンスユニット62は待機位置にあり、第2メンテナンスユニット72は退避位置にある。
ラインヘッド20の退避位置とは、ラインヘッド20が、記録位置より搬送ユニット10から-B方向に離れたときのラインヘッド20の停止位置を意味する。ラインヘッド20の退避位置には、後述する第1位置、第2位置、第3位置、ヘッド待機位置及び交換位置が含まれる。
図9に示すように、ラインヘッド20の第1位置とは、B方向において、第1メンテナンスユニット62がノズルNを覆うときのラインヘッド20の位置を意味する。ラインヘッド20が第1位置にあるとき、第1メンテナンスユニット62はキャップ位置にあり、第2メンテナンスユニット72は退避位置にある。第1位置にあるラインヘッド20と、キャップ位置にある第1メンテナンスユニット62と、は、Z方向から見た場合に、少なくとも一部が重なっている。また、キャップ位置にある第1メンテナンスユニット62と、搬送ユニット10と、は、Z方向から見た場合に、少なくとも一部が重なっている。
図10に示すように、ラインヘッド20の第2位置とは、フラッシング部66がノズルNとB方向において、第1位置よりも離隔して対向するときのラインヘッド20の位置を意味する。なお、第2位置では、フラッシング部66がノズルNに対して離れていてもよい。ラインヘッド20が第2位置にあるとき、第1メンテナンスユニット62は吐出位置にあり、第2メンテナンスユニット72は退避位置にある。
図11に示すように、ラインヘッド20の第3位置とは、B方向において、第2メンテナンスユニット72がノズルNの吐出面NAを清掃することが可能となるときのラインヘッド20の位置を意味する。ラインヘッド20が第3位置にあるとき、第1メンテナンスユニット62は待機位置にあり、第2メンテナンスユニット72は退避位置と清掃位置との間をY方向に移動可能である。
図12および図13に示すように、ラインヘッド20のヘッド待機位置とは、B方向において、ラインヘッド20が第1位置、第2位置、第3位置よりも搬送ユニット10から-B方向に離れた位置を意味する。これは、第1メンテナンスユニット62、第2メンテナンスユニット72が移動するときにラインヘッド20が移動の完了まで待機する位置である。ラインヘッド20がヘッド待機位置にあり、第1メンテナンスユニット62がA方向に移動するとき、第2メンテナンスユニット72は退避位置にある。また、第2メンテナンスユニット72がY方向に移動するとき、第1メンテナンスユニット62は待機位置にある。なお、図12に示すように、ヘッド移動部30がラインヘッド20を、2点鎖線の吐出面NAで示す記録位置から実線で示すヘッド待機位置に移動させるB方向の移動量D5は、B方向における第1メンテナンスユニット62の寸法D6と、B方向における除電ブラシ18の寸法D7と、の和より大きく設定されている。
図14に示すように、ラインヘッド20の交換位置とは、B方向において、ラインヘッド20がヘッド待機位置よりもさらに搬送ユニット10から-B方向に離れた位置を意味する。換言すると、ラインヘッド20の交換位置は、B方向において搬送ユニット10から最も離れた位置である。ラインヘッド20が交換位置においてヘッド移動部30に対して着脱されるとき、第1メンテナンスユニット62は待機位置にあり、第2メンテナンスユニット72は退避位置にある。このとき、待機位置にある第1メンテナンスユニット62は、交換位置にあるラインヘッド20の吐出面NAの鉛直下方に位置する。これによれば、例えば、ラインヘッド20の着脱の際に吐出面NAからインクが落下した場合に、落下したインクが搬送経路Tに付着することを抑制できる。
このように、ヘッド移動部30は、一例として、ラインヘッド20を記録位置、退避位置、第1位置、第2位置、第3位置、ヘッド待機位置及び交換位置のいずれか1つの位置に移動可能に設けられている。また、ヘッド移動部30は、ラインヘッド20を第1位置、第2位置及び第3位置のいずれか1つに位置させる前に、ラインヘッド20をヘッド待機位置に位置させるように構成されている。
また、図14に示すように、ラインヘッド20の2点鎖線の吐出面NAで示す記録位置と実線で示す交換位置との間のB方向における距離が、B方向におけるラインヘッド20の最大移動量D9になる。また、第1メンテナンスユニット62の実線で示す待機位置と2点鎖線のラック69の端部で示すキャップ位置との間のA方向における距離が、A方向における第1メンテナンスユニット62の最大移動量D8になる。本実施形態では、A方向における第1メンテナンスユニット62の最大移動量D8は、B方向におけるラインヘッド20の最大移動量D9と同じかそれより大きい。
また、図12に示すA方向における第1メンテナンスユニット62の外寸D10とA方向における第1メンテナンスユニット62の最大移動量D8との和は、図12に示すB方向におけるラインヘッド20の外寸D11とB方向におけるラインヘッド20の最大移動量D9との和より大きい。また、Y方向における第2メンテナンスユニット72の最大移動量D12は、A方向における第1メンテナンスユニット62の最大移動量D8と同じかそれより大きい。また、第1メンテナンスユニット62の質量は、ラインヘッド20の質量と同じかそれより小さい。また、第2メンテナンスユニット72の質量は、第1メンテナンスユニット62の質量と同じかそれより小さい。
以上述べたように、実施形態1に係るプリンター1によれば、以下の効果を得ることができる。
プリンター1は、搬送経路Tを構成する支持面を有し、前記支持面に支持される媒体Pを、搬送方向へ搬送する搬送ユニット10と、+B方向を向く吐出面NAであって、前記搬送方向へ搬送される媒体Pに対してインクを吐出するノズルNが設けられた吐出面NAを有するラインヘッド20と、吐出面NAを覆うことが可能な第1メンテナンスユニット62と、ラインヘッド20を移動方向へ移動させるヘッド移動部30と、第1メンテナンスユニット62を支持し、第1メンテナンスユニット62のキャップ面64Aが吐出面NAを覆うキャップ位置と、キャップ面64Aが吐出面NAを覆わない待機位置との間において、第1メンテナンスユニット62を移動させるキャップ移動部80と、を備え、キャップ位置にあるキャップ面64AをB方向から見た場合、Y方向におけるキャップ面64Aの寸法D3は、A方向におけるキャップ面64Aの寸法D4よりも大きく、前記待機位置は、前記搬送方向において前記キャップ位置から離れており、キャップ移動部80は、キャップ面64AがX方向と+Z方向の間となる傾いた方向を向いた状態で、第1メンテナンスユニット62を支持する。これによれば、キャップ面64AがX方向と+Z方向の間となる傾いた方向を向いているので、キャップ面64Aが鉛直上方を向いている場合と比較して、キャップ面64Aの水平方向の寸法を小さくできる。よって、プリンター1の設置面積を小さくできる。
前記搬送方向はA方向であり、前記移動方向は、B方向であり、キャップ移動部80は、キャップ面64Aが-B方向を向いた状態で、第1メンテナンスユニット62を支持し、A方向へ移動させる。これによれば、キャップ面64Aが-B方向を向いた状態で、第1メンテナンスユニット62がA方向に移動するので、吐出面NAが+B方向を向いたままで、第1メンテナンスユニット62が吐出面NAを覆うことができる。よって、ノズルNに形成されるメニスカスを安定させやすい。
プリンター1は、搬送ユニット10の前記支持面を帯電させる帯電ローラー17と、搬送ユニット10に対して-B方向側に配置され、搬送ユニット10に支持される媒体Pを除電する除電ブラシ18と、をさらに備え、キャップ移動部80は、除電ブラシ18に対して-B方向側において、第1メンテナンスユニット62を移動させる。これによれば、除電ブラシ18に対して-B方向側において、第1メンテナンスユニット62の移動が行われるため、除電ブラシ18と第1メンテナンスユニット62との干渉を避けるために除電ブラシ18を移動させる必要がない。
ヘッド移動部30がラインヘッド20を移動させるB方向の移動量は、B方向における第1メンテナンスユニット62の寸法と、前記B方向における除電ブラシ18の寸法と、の和より大きい。これによれば、ラインヘッド20のB方向への移動と、第1メンテナンスユニット62のA方向への移動とによって、キャップ面64Aにより吐出面NAを覆うことができる。
第1メンテナンスユニット62は、廃液を貯留可能な廃液貯留部16と、廃液チューブ16Aを介して接続され、前記待機位置は、前記キャップ位置よりも下方にあり、廃液貯留部16は、第1メンテナンスユニット62に対して、下方にある。これによれば、第1メンテナンスユニット62からの廃液を廃液貯留部16に収集しやすい。
搬送ユニット10は、+A方向へ媒体Pを搬送し、搬送ユニット10よりも-A方向側に配置されたレジストローラー対11Aをさらに備え、キャップ移動部80は、レジストローラー対11Aに対して-B方向側において、第1メンテナンスユニット62をA方向へ移動させる。これによれば、レジストローラー対11Aとラインヘッド20とのA方向における間隔を狭めることができる。よって、レジストローラー対11Aを通過した後の斜行の少ない媒体Pに対して、ラインヘッド20による記録を行うことができる。
プリンター1は、媒体カセット4に収容される媒体Pを媒体カセット4から-X方向へ送り出すピックローラー6と、インクが吐出された媒体Pを積層する排出部3へ向けて、媒体Pを+X方向へ排出する排出ローラー対11Bと、をさらに備える。これによれば、媒体カセット4から排出部3への媒体Pの搬送経路を筐体2の-X方向側に集約しやすい。よって、ラインヘッド20や第1メンテナンスユニット62を筐体2の+X方向側に配置しやすく、プリンター1を小型化しやすい。
プリンター1は、ピックローラー6に送り出された媒体Pが搬送ユニット10を介して排出部3へ向けて搬送される搬送経路Tに対して、-X方向側に設けられる手差トレイ9と、搬送経路Tに-X方向側から合流し、手差トレイ9にセットされた媒体Pを搬送経路Tに搬送可能な搬送路T2と、をさらに備える。これによれば、手差トレイ9からの媒体Pの搬送を含めた排出部3への搬送経路を筐体2の-X方向側に集約しやすい。よって、プリンター1を小型化しやすい。
2.実施形態2
次に、本発明に係る記録装置の一例としての実施形態2のプリンター501について説明する。なお、実施形態1のプリンター1と共通する部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。また、実施形態1と同様の作用および効果についても説明を省略する。
図15に示すように、プリンター501は、実施形態1におけるメンテナンスユニット60、およびキャップ移動部80を、メンテナンスユニット560、およびキャップ移動部580に変更したものである。
メンテナンスユニット560は、実施形態1におけるメンテナンスユニット60の第1メンテナンスユニット62を、第1メンテナンスユニット562に変更したものである。第1メンテナンスユニット562は、実施形態1における第1メンテナンスユニット62のキャップ部本体63をキャップ部本体563に変更し、第1メンテナンスユニット62からフラッシング部66を除いたものである。このため、プリンター501は、実施形態1における蓋ユニット90、および回動機構部100を備えない。
キャップ部本体563は、実施形態1におけるキャップ部本体63のラック69をラック569に変更したものである。よって、ラック569における不図示の複数の歯部69Aは円弧状に並ぶ。また、本実施形態では、図15に2点鎖線で示すキャップ位置において、キャップ64がノズルNから吐出されるインクを捕捉する。よって、第1メンテナンスユニット562の吐出位置は、キャップ位置と同じである。
キャップ移動部580は、実施形態1におけるキャップ移動部80のガイドレール71をガイドレール571に変更したものである。図15に示すように、ガイドレール571は、第1メンテナンスユニット562のコロ73を移動可能に支持している。ガイドレール571は、円弧状をしている。よって、ガイドレール571が複数のコロ73を案内することで、第1メンテナンスユニット562は、図15に示すY軸に平行な回動軸SC中心に回動可能とされている。
このため、待機位置において、第1メンテナンスユニット562におけるキャップ面64Aが向く方向は、X方向と+Z方向の間となる傾いた方向であるが、-B方向と異なっている。待機位置において、キャップ面64Aが向く方向とX方向との成す角度を、図15に示す第4角度θ4とした場合、第4角度θ4は、B方向とX方向との成す角度である第1角度θ1より大きい。また、第1メンテナンスユニット562におけるキャップ面64Aが向く方向とX方向との成す角度は、待機位置からキャップ位置に移動する過程において、第4角度θ4から第1角度θ1に変化する。
以上述べたように、実施形態2に係るプリンター501は、搬送経路Tを構成し、X方向とA方向の間となる搬送方向へ媒体Pを搬送する搬送ユニット10と、+B方向を向く吐出面NAであって、前記搬送方向へ搬送される媒体Pに対してインクを吐出するノズルNが設けられた吐出面NAを有するラインヘッド20と、吐出面NAを覆うことが可能な第1メンテナンスユニット562と、ラインヘッド20を移動方向へ移動させるヘッド移動部30と、第1メンテナンスユニット562を支持し、第1メンテナンスユニット562のキャップ面64Aが吐出面NAを覆うキャップ位置と、キャップ面64Aが吐出面NAを覆わない待機位置との間において、第1メンテナンスユニット562を移動させるキャップ移動部580と、を備え、キャップ位置にあるキャップ面64AをB方向から見た場合、Y方向におけるキャップ面64Aの寸法D3は、A方向におけるキャップ面64Aの寸法D4よりも大きく、前記待機位置は、前記搬送方向において前記キャップ位置から離れており、キャップ移動部580は、キャップ面64AがX方向と+Z方向の間となる傾いた方向を向いた状態で、第1メンテナンスユニット562を支持する。
本発明の実施形態1に係るプリンター1、実施形態2に係るプリンター501は、以上のべたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
第1角度θ1は、第2角度θ2と同じであってもよいし、第2角度θ2より小さくてもよい。
プリンター1は、第2メンテナンスユニット72を有していないものであってもよい。また、蓋ユニット90を有していないものであってもよい。
プリンター1は、ラインヘッド20をY方向に装着及び離脱させるものであってもよい。
プリンター1において、第1メンテナンスユニット62のフラッシング部66がキャップ64よりもA方向の-A方向側に配置されていてもよい。
ヘッド移動部30は、ラインヘッド20を第1位置、第2位置及び第3位置のいずれか1つに位置させる前に、ラインヘッド20を待機位置に位置させないものであってもよい。
プリンター1において、第1メンテナンスユニット62がA方向に移動する過程において、キャップ面64Aの向く方向が変化してもよい。この場合、キャップ移動部80は、キャップ面64AがX方向と+Z方向の間となる傾いた方向を向いた状態で、第1メンテナンスユニット62を支持し、A方向へ移動させてもよい。
プリンター1において、第1方向は移動方向と直交していなくてもよい。例えば、移動方向がB方向であり、B方向とX方向との成す角度である第1角度θ1が30度であるとき、第1方向とX方向との成す角度が70度であってもよい。また、このとき、搬送方向がA方向であってもよいし、A方向でなくてもよい。搬送方向がA方向でない場合、搬送方向が第1方向に沿い、搬送方向とX方向との成す角度が70度であってもよい。
プリンター1において、第1メンテナンスユニット62は円弧上を移動してもよい。この場合、キャップ移動部80は、第1メンテナンスユニット62をリンク機構によって支持してもよい。また、キャップ移動部80がリンク機構を駆動することにより、第1メンテナンスユニット62を移動させる場合、キャップ部本体63にラック69を設けなくてもよい。
プリンター1において、搬送方向は吐出面NAが向く+B方向と直交していなくてもよい。例えば、ラインヘッド20と搬送ユニット10とが対向する領域における媒体Pの搬送方向は、X方向であってもよい。この場合、キャップ移動部80は、キャップ面64AがX方向と+Z方向の間となる傾いた方向を向いた状態で、第1メンテナンスユニット62を支持し、X方向へ移動させてもよい。