JP2022085215A - くさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】くさびからロック部材が脱落することを防止することができるくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置を提供する。【解決手段】組付材本体31と組付材本体31の前端部に設けられたくさび4とを有する組付材3と、支柱1に設けられたポケット金具2にくさび4が緊結された緊結状態において、くさび4の抜け止めを図るためのロック部材5と、を備え、ロック部材5はくさび4内に挿通配置された状態において、上下方向にスライド自在に配置される抜け止め片51と、抜け止め片51の後面に取り付けられた板ばね6とを有し、緊結状態において、抜け止め片51が下方に押し込まれてその下端がくさび4とポケット金具2との間に圧入されることによって、くさび4のポケット金具2に対する抜け止めを図るくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置である。【選択図】図2
Description
本発明は建築現場のくさび緊結式仮設足場において、支柱に腕木材等の組付材がくさび緊結方式によって緊結固定されるくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置に関する。
従来、建築現場に設置される仮設足場は、多数の支柱が適宜の間隔おきに立設されるとともに、各支柱には例えば、腕木材等の水平材(組付材)が組み付けられている。このような仮設足場において、くさび緊結式のものでは支柱に設けられたポケット金具に、腕木材のくさびが組み付けられるようになっている。すなわちポケット金具は平面視コ字状に形成されており、その一対の脚片の先端(前端)が支柱の外周面に溶接固定されて、ポケット金具の内側に上下に貫通するポケット孔が形成されている。
一方、腕木材のくさびは腕木材の前端部から下方突出状に配置されており、そのくさびがポケット金具のポケット孔に上方から打ち込まれて緊結されることによって、腕木材が支柱に組み付けられるようになっている。
このような仮設足場においては、腕木材のくさびがポケット金具に緊結してその摩擦抵抗力によって取付強度(緊結力)を確保するものであるため、くさびをポケット金具に対し上方に押し出すような不慮の力が作用すると、緊結が緩んで取付強度が低下することや、場合によってはくさびがポケット金具から外れ落ちてしまうおそれもある。
そこで本出願人は板ばねが取り付けられたロック部材を備え、くさびをポケット金具に対してロック部材によって抜け止め状態にロックすることができる組付材の抜け止め装置を提案している(下記特許文献1および2参照)。
しかしながら、上記特許文献に示す抜け止め装置では長期間繰り返し使用することで、板ばねの経年劣化等により板ばねの弾性力が低下してしまうと、板ばねが腕木材の内周面に係止されなくなり、くさびからロック部材が脱落してしまうという課題があった。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、くさびからロック部材が脱落することを防止することができる組付材の抜け止め装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]組付材本体と前記組付材本体の前端部に設けられたくさびとを有する組付材と、
支柱に設けられたポケット金具に前記くさびが緊結された緊結状態において、前記くさびの抜け止めを図るためのロック部材と、を備え、
前記ロック部材は前記くさび内に挿通配置された状態において、上下方向にスライド自在に配置される抜け止め片と、前記抜け止め片の後面に取り付けられた板ばねとを有し、
前記緊結状態において、前記抜け止め片が下方に押し込まれてその下端が前記くさびと前記ポケット金具との間に圧入されることによって、前記くさびの前記ポケット金具に対する抜け止めを図るくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置であって、
前記抜け止め片と前記板ばねとの間に前記板ばねの機能を補完するための弾性体が配置されていることを特徴とするくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置。
支柱に設けられたポケット金具に前記くさびが緊結された緊結状態において、前記くさびの抜け止めを図るためのロック部材と、を備え、
前記ロック部材は前記くさび内に挿通配置された状態において、上下方向にスライド自在に配置される抜け止め片と、前記抜け止め片の後面に取り付けられた板ばねとを有し、
前記緊結状態において、前記抜け止め片が下方に押し込まれてその下端が前記くさびと前記ポケット金具との間に圧入されることによって、前記くさびの前記ポケット金具に対する抜け止めを図るくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置であって、
前記抜け止め片と前記板ばねとの間に前記板ばねの機能を補完するための弾性体が配置されていることを特徴とするくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置。
[2]前記弾性体はシリコンゴムである前項1に記載のくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置。
[3]前記抜け止め片の後面に前記弾性体を配置するための凹部を有する台座を備える前項1または2に記載のくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置。
[1]の発明によれば、抜け止め片と板ばねとの間に板ばねの機能を補完するための弾性体が配置されていることで、板ばねの経年劣化等により板ばねの弾性力が低下した状態において、抜け止め片がくさびから上方に押し出されるような不慮の力が作用したとしても、弾性体の弾性復元力によって板ばねを後方に押し上げることができるため(弾性圧縮変形した板ばねを自然体に戻すことができるため)、板ばねを組付材本体の内周面に係止させることができ、組付材から抜け止め片(ロック部材)が脱落することを防止することができる。
また弾性体の後面には板ばねが配置されているため、弾性体が摩耗されることを防止することができ、さらに弾性体が脱落することも防止することができる。
また抜け止め片の後面には板ばねが取り付けられていることで、板ばねの弾性復元力によって抜け止め片をくさび裏面に押し付けることができるため、抜け止め片をくさびの裏面に対し離間させずに沿わせるように配置することができる。このためくさびをポケット金具に挿入する際に、くさびと共に抜け止め片をスムーズにポケット金具内に挿入することができ、くさびをポケット金具に対し抜け止め片によって抜け止め状態に確実にロックすることもできる。
また本発明の抜け止め装置においては、抜け止め片に板ばねを取り付けてロック部材を製作しておき、そのロック部材を腕木材に組み付けるようにしているため、単独品の抜け止め片に板ばねを取り付けるだけで簡単に板ばねの取付作業が完了するとともに、その抜け止め片(ロック部材)を腕木材のくさびに挿入するだけでロック部材を腕木材に組み付けることができ、抜け止め装置の製造を効率良く簡単に行うこともできる。
[2]の発明によれば、弾性体としてシリコンゴムを用いることで、シリコンは熱に強く、さらに紫外線に対する耐候性も高いため、高温などの過酷な環境下でも使用できる耐久性の高い抜け止め装置を提供することができる。またシリコンは人体に無害なものでもあるため、抜け止め装置を使用する者の健康面における安全性を向上させることもできる。
[3]の発明によれば、抜け止め片の後面に弾性体を配置するための凹部を有する台座が備えられていることで、弾性体を凹部内に挿入配置するだけで弾性体の取付位置が定まるため、弾性体の位置決めを容易に行うことができる。
本発明のくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置(以下、抜け止め装置と称する)は建築現場における仮設足場に用いられるものである。
図1~図3に示すように、本実施形態の抜け止め装置が適用されるくさび緊結式足場は支柱1と、組付材としての腕木材3と、腕木材3に取り付けられるロック部材5とを基本的な構成要素として備えている。
図1および3に示すように、支柱1は所定の長さを有する丸パイプ材によって構成されており、長さ方向(高さ方向)に所定の間隔おきにポケット金具2が4つずつ設けられている。
ポケット金具2は互いにほぼ平行に配置される左右一対の略板状の脚片21,21と、一対の脚片21,21に一体に形成され、かつ一対の脚片21,21の基端部(後端部間)を連結する略板状の連結片22とを備えている。
このポケット金具2の一対の脚片21,21の先端部が支柱1の外周面に溶接によってそれぞれ固定されている。なお、ポケット金具2における連結片22は、支柱1の中心軸(垂直軸)に対し、下方に向かうに従って近付くように傾斜姿勢に配置されている。
また既述した通りポケット金具2は所定の高さおきに4つずつ取り付けられているが、この4つのポケット金具2のうち、隣り合うポケット金具2,2はポケット金具2の高さ寸法分だけ高さ位置をずらした状態に配置されるとともに、支柱1の中心軸を挟んで対向し合う2つのポケット金具2,2同士は同じ高さ位置に配置されている。
ここで本実施形態においては支柱1の中心軸に近付く方向(内径方向)を前方(前側)とし、遠ざかる方向(外径方向)を後方(後側)として説明する。例えばポケット金具2,2における一対の脚片21,21において、支柱1に固着される側が前方となり、連結片22に連結される側が後方となる。同様に、腕木材3やロック部材5においても支柱1に組み付けた状態において、支柱1の軸心に近付く方向を前方(前側)とし、遠ざかる方向を後方(後側)として説明する。なお、本実施形態においては前側を表面側と称し、後側を裏面側(背面側)と称する場合もある。
図1~図4に示すように支柱1に組み付けられる腕木材3は、直管状の丸パイプ材によって構成される腕木本体31と、腕木本体31の両端部に固着されるくさび4とを基本的な構成要素として備えている。本実施形態においては、腕木材3によって組付材が構成されるとともに、腕木本体31によって組付材本体またはパイプ材が構成されている。
くさび4は、垂直に配置される前壁部41を有している。前壁部41は、前面または後面から見た状態において上側部が腕木本体31の端面形状に対応して円形に形成されるとともに、下側部が下方に延びるように短冊状ないし帯板状に形成されている。さらに前壁部41の外周縁部には、後方に突出するようにして後方突出部42が形成されている。そしてその全周の後方突出部42のうち、上端の部分が上端後方突出部43として構成されるとともに、両側の部分が両側後方突出部44として構成されている。さらに上端後方突出部43は、両側後方突出縁部44に比べて後方への突出寸法が短く形成されている。換言すると、全周の後方突出部42のうち、上端後方突出部43に対応する部分には、後方に向けて開口する切欠部(後述のくさび上端開口部35に相当)が形成されることにより、上端後方突出部43は、両側後方突出部44に比べて後方への突出寸法が短く形成されている。
また両側後方突出部44のうち、上側部は腕木本体31の前端部を収容し得るように、背面から見た状態で両側に膨らむように円弧状に形成されている。
またくさび4の全周の後方突出部42のうち、下端の部分は下端後方突出部45として構成されている。この下端後方突出部45は、後方に向けて下り傾斜するように傾斜状に形成されて、後述する抜け止め片51を後方にガイドするガイド壁として機能するよう構成されている。
このくさび4の両側後方突出部44の上側部が腕木本体31の前端部の両側に嵌め込まれるように配置された状態で溶接されることにより、くさび4が腕木本体31の前端部に固着される。
この固着状態においては、くさび4における上端後方突出部43が両側後方突出部44よりも短く形成されるため、上端後方突出部43と腕木本体31の前端上部との間にくさび上端開口部35が形成されるとともに、両側後方突出部44,44間におけるくさび前壁部41と腕木本体31の前端面との間に、後述するロック部材5を収容可能な隙間(スペース)が形成されている。
図1等に示すようにくさび4の背面側における腕木本体31の下側には、くさび4の両側後方突出部44,44の後端部間に架け渡されるようにして矩形板状の板ばねカバー8が配置されている。この板ばねカバー8は、後述する板ばね6に対応して配置されており、両端部が両側後方突出部44,44に溶接されることによってくさび4に固定されている。また、板ばねカバー8にはその両側に前方に突出するようにして左右一対の押込凸部81,81が形成されている。
腕木材3に組み込まれるロック部材5は、上下方向に延びる細長形状ないし舌片状の抜け止め片51を有している。この抜け止め片51は、図1(a)に示す非ロック状態においては、その上端部が腕木材3のくさび上端開口部35に挿通配置された状態で、その上端部よりも下側がくさび4の前壁部41と腕木本体31の前端面との間の隙間におけるくさび4の両側後方突出部44,44間に上下方向にスライド自在に収容されている。
抜け止め片51は、上下寸法がくさび4の上下寸法に比べて少し長く形成されている。この抜け止め片51の上端は後方に突出するように形成されて、上端後方突出部53が形成されている。上端後方突出部53の前後長さ寸法(前後厚み寸法)は、腕木材3のくさび上端開口部35の前後寸法よりも長く形成されて、上端後方突出部53がくさび上端開口部35を下方に通過できないようになっている。これにより抜け止め片51(ロック部材5)が下方に抜け落ちることが防止されるように構成されている。
さらに抜け止め片51の下端は後方に傾斜するように形成されて、下端傾斜部55が形成されている。そして後述するように抜け止め片51が打ち込まれた際に、下端傾斜部55がくさび4における下端後方突出部45にガイドされて後方に移動しながら下方に差し込まれるようになっている。
また抜け止め片51の裏面側における上下方向中間位置よりもやや下側には、リベット60を介して板ばね6の下端が固定されている。板ばね6は、上下方向中間部が上端部および下端部に対し後方に凸となるような円弧状に形成されるとともに、上端が後方に屈曲されて上端屈曲部61として構成されている。
板ばね6は、その幅寸法が上記板ばねカバー8における一対の押込凸部81,81間の寸法よりも狭く形成されており、その一対の押込凸部81,81間に対応して配置されている。従って板ばね6は図1(a)の非ロック状態および図1(b)のロック状態のいずれの状態であっても一対の押込凸部81,81には干渉しないようになっている。
さらに板ばね6は、図1(a)の非ロック状態では上端屈曲部61がくさび4の裏面に対し後方に離間して配置されており、その上端屈曲部61が腕木本体(パイプ材)31の内周面における前端部上端に対向して配置されて、腕木本体31の内周面上端に係止可能に構成されている。
また抜け止め片51の裏面側における上下方向中間位置には、板ばね6の円弧状部に対応して凹部91が形成された台座9が一体に設けられている。この台座9は後述するシリコンゴムR(弾性体)を配置するためのものである。
このように、抜け止め片51の裏面側に凹部91が形成された台座9が一体に設けられていることで、シリコンゴムRを凹部91内に挿入配置するだけでシリコンゴムRの取付位置が定まるため、シリコンゴムRの位置決めを容易に行うことができる。
またシリコンゴムRは凹部91内に挿入配置されるため、シリコンゴムRが台座9から外れてしまうことを防止することもできる。
また図1等に示すように、本実施形態では凹部91の底部は前方に向けて下り傾斜するように傾斜状に形成されており、シリコンゴムRの姿勢が板ばね6の前面に沿うように構成されている。
本発明の抜け止め装置は、抜け止め片と板ばねとの間に弾性体が配置されていることを特徴としている。
本発明の弾性体は、板ばねの機能を補完するためのものである。
本実施形態では、抜け止め片51の後面に一体に設けられた台座9の凹部91内に板ばね6の前面と当接して弾性体としてのシリコンゴムRが取り付けられている。
このように弾性体としてシリコンゴムRを用いることで、シリコンは熱に強く、さらに紫外線に対する耐候性も高いため、高温などの過酷な環境下でも使用できる耐久性の高い抜け止め装置を提供することができる。またシリコンは人体に無害なものでもあるため、抜け止め装置を使用する者の健康面における安全性を向上させることもできる。
本実施形態では図1(a)に示すように、くさびをポケット金具に打ち込んだ直後の状態では、板ばね6の中間部よりもやや下側が腕木本体31の前端面下端に圧接することにより、板ばね6およびシリコンゴムRが前方に弾性圧縮変形して、板ばね6およびシリコンゴムRの弾性復元力によって、抜け止め片51が前方に押し込まれるとともに板ばね6がシリコンゴムRによって後方に押し上げられている。これにより、抜け止め片51がくさび4の前壁部41の裏面に沿うように配置されて、抜け止め片51の下端傾斜部55がくさび4の下端後方突出部45から離間しないようになっている。
なお、抜け止め片51の上側部の前面には外れ止め凸部7が前方に突出するようにして固定されている。この外れ止め凸部7はくさび4の上端後方突出部43の下面に対向して配置され、外れ止め凸部7が上端後方突出部43の下面に係止可能に構成されている。
一方、図2に示すように、抜け止め片51がくさび上端開口部35から上方に押し出されるような不慮の力が作用した状態においては、シリコンゴムRの弾性復元力によって板ばね6が後方に押し上げられているため、板ばね6の上端屈曲部61が腕木本体31の内周面に係止されるように構成されている。このようにシリコンゴムRは、弾性圧縮変形した板ばね6が自然体に戻るための手助けをしている。
また図1(b)に示すように、ロック部材5によって抜け止めした状態では板ばね6の中間部よりもやや上側が腕木本体31の前端面下端に圧接することにより、板ばね6およびシリコンゴムRが前方に弾性圧縮された状態となっており、板ばね6およびシリコンゴムRの弾性復元力により、抜け止め片51が前方に押し付けられるとともに板ばね6が腕木本体31の前端面に押し付けられている。なお、この状態では抜け止め片51の下端部はくさび4の下端部よりも下方に突出している。
また本実施形態ではシリコンゴムRが板ばね6の前面に当接して配置されている、すなわちシリコンゴムRの後端面を覆うように板ばね6が配置されているため、シリコンゴムRが摩耗することを防止することもできる。さらにシリコンゴムRが脱落することを防止することもできる。
ここで本実施形態において、ロック部材5のリベット60や外れ止め凸部7が形成されている部分の前後厚み寸法はくさび上端開口部35の前後寸法よりも小さく設定されており、板ばね6およびシリコンゴムRを前方に弾性圧縮変形した状態において、ロック部材5は上端後方突出部53を除いて、くさび上端開口部35に挿通可能に構成されている。
本実施形態の抜け止め装置は既述した通り、腕木材3にロック部材5が組み込まれているが、以下にこのロック部材5の腕木材3への組付手順について説明する。
本実施形態においては腕木材3とロック部材5とを別々に製作しておく。すなわち腕木本体31の端面にくさび4を溶接し、さらにくさび4に板ばねカバー8を溶接して固着することにより腕木材3を製作する。
その一方、抜け止め片51の裏面側に台座9を一体に設け、台座9に凹部91を形成し凹部91内にシリコンゴムRを配置する。さらに板ばね6の円弧状部がシリコンゴムRと対向するようにリベット60を介して板ばね6を取り付ける。なお、抜け止め片51には外れ止め凸部7を予め形成しておくようにする。これによりロック部材5を製作する。
次に図4(a)に示すように、ロック部材5の抜け止め片51の下側部を腕木材3のくさび上端開口部35に上側から挿入していき、ロック部材5の下側のリベット60の部分をくさび上端開口部35に挿入してくさび4の裏面側に配置する。
続けて図4(b)に示すように、ロック部材5をさらに下方に挿入していく。このとき板ばね6が腕木本体31の前端面上端に押されて板ばね6およびシリコンゴムRが前方に弾性圧縮変形することにより、ロック部材5における板ばね6およびシリコンゴムRの部分の前後厚み寸法がくさび上端開口部35の前後方向の開口寸法よりも狭くなり、ロック部材5をくさび4内に挿入することができる。
ここで板ばね6上側部をくさび上端開口部35に挿通する際には、板ばね6およびシリコンゴムRの弾性復元力によって抜け止め片51が前方に押されているため、そのままの状態で挿入していくと、外れ止め凸部7がくさび4の上端後方突出部43の上面に係止して、それ以上挿入できなくなってしまう場合がある。
そこで図4(c)に示すように、抜け止め片51を後方に押え付けて、板ばね6およびシリコンゴムRをより一層弾性圧縮変形させることにより、外れ止め凸部7をくさび上端開口部35に対応するように配置した状態でロック部材5を下方に押し込むことで、外れ止め凸部7をくさび上端開口部35に挿通する。これにより図1(a)に示すようにロック部材5の上端後方突出部53を除く所要部分をくさび上端開口部35に挿通できて、ロック部材5を腕木材3に組み込むことができる。こうして本実施形態の抜け止め装置を製作することができる。
以上のように構成された本実施形態の抜け止め装置において、腕木材3を支柱1に組み付ける際には、腕木材3のくさび4の下側部を、支柱1における所定のポケット金具2のポケット孔20に上方から挿入する。この際、くさび4内の抜け止め片51は板ばね6およびシリコンゴムRによって前方に押し付けられているため、抜け止め片51の下端部が後方に離間することなく、くさび4の下端裏面に沿うように配置されることにより、抜け止め片5の下端部がくさび4の下端部と一体となってポケット孔20内に確実に挿入される。
こうしてくさび4をポケット孔20に挿入した状態で図1(a)に示すように、くさび4の上端面周辺、例えば腕木本体31の前端部上面をハンマー等で叩いて、くさび4の下端部をポケット金具2の連結片22と支柱外周面との間に圧入してポケット孔20内に緊結する。なおこの緊結状態(非ロック状態)では、くさび4の下端がポケット金具2の下端よりも少し下方に突出するように配置されている。
次に図1(b)に示すようにハンマー等で抜け止め片51の上端後方突出部53を上から叩いて、抜け止め片51を下方に押し込んで、抜け止め片51の下端部をくさび4の下端後方突出部45とポケット金具2の連結片22の下端との間に圧入する。これによりくさび4の前面が支柱外周面により一層強固に圧接すると同時に、抜け止め片51の下端部がポケット金具2の連結片22により一層強固に圧接する。
この状態においては、くさび4がポケット孔20に対しより高い強度で強固に固定されるため、くさび4がポケット孔20から簡単には抜け出さない抜け止め状態(ロック状態)となっている。従って、くさび4に上方に押し出すような不慮の力が作用しても、くさび4がポケット金具2から抜け出すことがなく、くさび4が不用意に抜け落ちてしまうような不具合を確実に防止することができる。なおこのロック状態においては、抜け止め片51の下端がくさび4の下端よりも下方に突出するように配置されている。
一方図1(b)に示すロック状態から腕木材3を支柱1から取り外す場合には、ハンマー等で抜け止め片51の下端を上方に突き上げるように叩いて、抜け止め片51をくさび4に対し上方に押し上げて、抜け止め片51の下端部をくさび4の下端後方突出部45とポケット金具2の連結片22の下端との間から抜き出す。これにより図1(a)に示す非ロック状態となり、くさび4がポケット金具2に緊結しただけの状態となる。
続いて図1(a)に示す非ロック状態から、くさび4の下端あるいは腕木本体31の前端部下面を下から突き上げるように叩いて、くさび4をポケット金具2に対し上方に押し上げてくさび4のポケット金具2への緊結を解除する。その後、腕木材3の前端部を持ち上げればくさび4をポケット金具2から抜き取ることができ、腕木材3を支柱1から取り外すことができる。
以上のように本実施形態の抜け止め装置によれば、くさび4の裏面側に上下方向にスライド自在に抜け止め片51が組み込まれているため、くさび4をポケット孔20に緊結した状態でさらに抜け止め片51をくさび4とポケット金具2の連結片22との間に圧入することにより、くさび4をより一層高い強度でポケット金具2に固定することができる。このためくさび4をポケット金具2に対し上方に押し出すような不慮の力が作用しても、くさび4が抜け落ちるような不具合を確実に防止することができる。
また本実施形態の抜け止め装置においては、くさび4の裏面側に配置される抜け止め片51の裏面側に板ばね6を取り付けて、その板ばね6の弾性復元力によって抜け止め片51をくさび4の前壁部41の裏面に押し付けるようにしているため、抜け止め片51をくさび4の前壁部裏面に対し離間させずに沿わせるように配置することができる。このためくさび4をポケット金具2に挿入する際に、くさび4と共に抜け止め片51をスムーズにポケット孔20内に挿入することができ、くさび4をポケット金具2に対しロック部材5(抜け止め片51)を用いて抜け止め状態に確実にロックすることができる。従って腕木材3を簡単かつ効率良く支柱1に組み付けることができる。
また本実施形態においては、抜け止め片51に板ばね6を取り付けてロック部材5を製作しておき、そのロック部材5を腕木材3に組み付けるようにしているため、従来の抜け止め装置のように、腕木材に抜け止め片を挿入した状態でその抜け止め片に板ばねを固定する場合と比較して、簡単かつ効率良く製作することができる。
すなわち従来の抜け止め装置のように、腕木材に挿入した抜け止め片に対し板ばねを取り付ける方法においては、特に腕木材の長さが長いような場合には、板ばねの取付作業が面倒になってしまう。
これに対し、本実施形態の抜け止め装置においては、抜け止め片51に板ばね6を予め取り付けたロック部材5を腕木材3に組み付けるものであるため、単独品としての抜け止め片51に板ばね6を取り付けるだけで簡単に板ばね6の取付作業が完了する。さらに抜け止め片51に板ばね6を取り付けたロック部材5を腕木材3のくさび上端開口部35に挿入するだけでロック部材5を腕木材3に組み付けることができ、抜け止め装置の製作を効率良く簡単に行うことができる。
また言うまでもなく、本実施形態においては、腕木本体31にくさび4を溶接する際には、その2つの部材間のみで行うものであるため、従来の抜け止め装置のように抜け止め片等を挿入した状態で腕木本体31およびくさび4間の溶接作業を行う必要がなく、溶接作業を容易に行うことができ、より一層抜け止め装置の製造を容易に行うことができる。
また本実施形態の抜け止め装置において、腕木材3に組み込まれたロック部材5の外れ止め凸部7が、腕木材3の上端後方突出部43の下面側に対向配置されているため、ロック部材5を上方に押し上げるような不慮の力が作用したとしても、外れ止め凸部7が上端後方突出部43に係止することによって、ロック部材5がくさび上端開口部35を通って外れてしまうような不具合を確実に防止することができる。
その上さらにロック部材5の板ばね6の上端屈曲部61が、腕木本体31の内周面上端に対向配置されているため、ロック部材5を上方に押し上げるような不慮の力が作用したとしても、板ばね6の上端屈曲部61が、腕木本体31の内周面上端に係止することによって、ロック部材5がくさび上端開口部35を通って外れてしまうような不具合を確実に防止することができる。このように外れ止め手段を2重に採用しているため、ロック部材5が外れ落ちるのをより一層確実に防止できて、より一層製品価値を向上させることができる。
また上記実施形態においては、ロック部材5を前方に押圧付勢する板ばね6として、上端および下端に対し高さ方向中間部が後方に凸となるような円弧状のものを採用し、その円弧状の板ばね6を腕木材3の前端開口部下端に弾性力によって圧接するようにしているため、ロック部材5の抜け止め片51をポケット金具2に対し抜き差しするような際等には、板ばね6の全域が偏りなく弾性変形するようになる。つまり板ばね6が部分的に弾性変形するのを防止でき、板ばね6に作用する応力が極部的に集中するのを防止することができる。従って板ばね6が早期に劣化するのを防止でき、耐久性を十分に向上させることができる。
また本実施形態の腕木材の抜け止め装置においては、くさび4に板ばね6の裏面側を覆うように板ばねカバー8を設けているため、この板ばねカバー8によって、劣化しやすい部品である板ばね6を保護することができ、板ばね6が早期に劣化するのを有効に防止でき、耐久性を向上させることができる。特に腕木材3を持ち運んだり、支柱1に組み付けたり、取り外したりする際に、周辺の部位が板ばね6に当たって劣化してしまうような不具合を確実に防止でき、十分な耐久性を得ることができ、腕木材自体の製品価値を向上させることができる。
また本実施形態の抜け止め装置においては、板ばねカバー8に前方に突出するように押込凸部81を設けているため、抜け止め片51を打ち込んで図1(b)に示すようにロック状態とした際に、板ばねカバー8の押込凸部81によって抜け止め片51の前方に押し込まれることにより、抜け止め片51が前方に押されて、その抜け止め片51と板ばねカバー8との間の隙間が広くなる。このため板ばね6が板ばねカバー8に押されて圧縮変形するのが防止されて、ほぼ自然状態に保持される。従って板ばね6に余分なストレスを与えることがなく、耐久性を向上させることができる。
なお上記実施形態においては、板ばね6を1枚の板ばね材によって構成する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、板ばね6を2枚またはそれ以上の枚数の板ばね材を重ね合わせて構成するようにしても良い。このように板ばね6を、2枚程度の板ばね材による重ね板ばね構造によって構成することによって、腕木材3を放ったりしても、その際の板ばね6の耐振動性を向上できて、耐久性を向上させることができる。
また本実施形態の抜け止め装置では、抜け止め片51の後面に弾性体(シリコンゴムR)が板ばね6の前面と当接して配置されていることで、板ばね6の経年劣化等により板ばね6の弾性力が低下した状態において、抜け止め片51がくさび上端開口部35から上方に押し出されるような不慮の力が作用したとしても、弾性体の弾性復元力によって板ばね6を後方に押し上げることができるため(弾性圧縮変形した板ばね6を自然体に戻すことができるため)、板ばね6の上端屈曲部61を腕木本体31の内周面に係止させることができ、腕木材3から抜け止め片51(ロック部材5)が脱落することを防止することができる。
また本実施形態においては、くさび4をポケット金具2に緊結する際の加圧方向が下向きであり、ロック部材5の抜け止め片51をポケット孔20内に圧入する際の加圧方向も下向きとなっている。このため、くさび4を上からハンマーで叩いて緊結した後、ハンマーの操作方向を変更せずにそのまま抜け止め片51をハンマーで上から叩いてロックすることができる。従ってくさび4の緊結作業と抜け止め片51のロック作業とを連続してスムーズに行うことができ、腕木材3の支柱1への組付作業を効率良く簡単に行うことができる。
さらに本実施形態においては、抜け止め片51のロックを解除する際の加圧方向は上向きであり、くさび4の緊結を解除する際の加圧方向も上向きとなっている。このため抜け止め片51を下からハンマーで叩き上げて緊結を解除した後、ハンマーの操作方向を変更せずにそのままハンマーで叩き上げてくさび4の緊結を解除することができる。従って、抜け止め片51のロック解除作業とくさび4の緊結解除作業とを連続してスムーズに行うことができ、腕木材3の支柱1からの取外作業を効率良く簡単に行うことができる。
また上記実施形態においては、本発明の抜け止め装置を、腕木材に適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、腕木材以外でも、くさび緊結式で組み付けられる組付材であればどのような組付材にも適用することができる。例えば本発明の抜け止め装置を、手摺材、ブラケット、エンドストッパー、梁枠、筋交等の組付材にも適用することができる。
また上記実施形態においては、抜け止め片51にリベット60を介して板ばね6を取り付ける場合を例に挙げて説明したが、言うまでもなく本発明においては板ばねの抜け止め片に対する取付方法は限定されるものではなく、どのような方法で取り付けても良い。
本発明のくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置は、建築現場に設置されるくさび緊結式の仮設足場を組み立てる際に好適に用いることができる。
1:支柱
2:ポケット金具
20:ポケット孔
21:脚片
22:連結片
3:腕木材(組付材)
31:腕木本体(組付材本体)
35:くさび上端開口部
4:くさび
41:前壁部
42:全周後方突出部
43:上端後方突出部
5:ロック部材
51:抜け止め片
6:板ばね
9:台座
91:凹部
R:弾性体(シリコンゴム)
2:ポケット金具
20:ポケット孔
21:脚片
22:連結片
3:腕木材(組付材)
31:腕木本体(組付材本体)
35:くさび上端開口部
4:くさび
41:前壁部
42:全周後方突出部
43:上端後方突出部
5:ロック部材
51:抜け止め片
6:板ばね
9:台座
91:凹部
R:弾性体(シリコンゴム)
Claims (3)
- 組付材本体と前記組付材本体の前端部に設けられたくさびとを有する組付材と、
支柱に設けられたポケット金具に前記くさびが緊結された緊結状態において、前記くさびの抜け止めを図るためのロック部材と、を備え、
前記ロック部材は前記くさび内に挿通配置された状態において、上下方向にスライド自在に配置される抜け止め片と、前記抜け止め片の後面に取り付けられた板ばねとを有し、
前記緊結状態において、前記抜け止め片が下方に押し込まれてその下端が前記くさびと前記ポケット金具との間に圧入されることによって、前記くさびの前記ポケット金具に対する抜け止めを図るくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置であって、
前記抜け止め片と前記板ばねとの間に前記板ばねの機能を補完するための弾性体が配置されていることを特徴とするくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置。 - 前記弾性体はシリコンゴムである請求項1に記載のくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置。
- 前記抜け止め片の後面に前記弾性体を配置するための凹部を有する台座を備える請求項1または2に記載のくさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020196788A JP2022085215A (ja) | 2020-11-27 | 2020-11-27 | くさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020196788A JP2022085215A (ja) | 2020-11-27 | 2020-11-27 | くさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022085215A true JP2022085215A (ja) | 2022-06-08 |
Family
ID=81892620
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020196788A Pending JP2022085215A (ja) | 2020-11-27 | 2020-11-27 | くさび緊結式足場における組付材の抜け止め装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022085215A (ja) |
-
2020
- 2020-11-27 JP JP2020196788A patent/JP2022085215A/ja active Pending
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