JP2022084322A - 切削工具および切削工具の製造方法 - Google Patents

切削工具および切削工具の製造方法 Download PDF

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Takuya Kubo
涼太 ▲高▼部
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Abstract

【課題】耐摩耗性が良好に維持され、冷却効果が高められ、工具の長寿命化を図ることができる切削工具、およびその製造方法を提供する。【解決手段】焼結合金製の工具基体1と、工具基体1の表面に配置される硬質被膜2と、すくい面および逃げ面の少なくともいずれかに配置され、硬質被膜2の表面から窪む複数の溝7と、を備え、硬質被膜2は、単一の層、または硬質被膜2の膜厚方向に重なる複数の層により構成され、全体の膜厚が0.1μm以上30μm以下であり、溝7は、溝7の延在方向と垂直な断面の形状が、V字状および台形状のいずれかであり、膜厚方向において硬質被膜2から工具基体1側へ向かうに従い溝幅が狭くなり、溝7は、膜厚方向において硬質被膜2および工具基体1にわたって配置され、溝幅方向において互いに対向する一対の溝壁部7a,7aと、一対の溝壁部7a,7aと繋がり、工具基体1に配置される溝底部7bと、を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、切削工具および切削工具の製造方法に関し、特に、表面被覆切削工具の工具寿命を高めるための技術に関する。
近年、切削インサートなどの切削工具の表面に微細な周期形状を形成することで、工具寿命が向上することが報告されている。例えば、特許文献1ではレーザ加工により切削インサートのすくい面に周期的なうねりを設けることで、切削中の冷却液の保持効果が高まり、すくい面摩耗を抑制している。また、非特許文献1では硬質被膜を有さない超硬インサートのすくい面に、ブレードによりV字型の溝を複数加工することで、ドライ切削時の空冷効果を高めて刃先温度の上昇を抑えている。
特開2009-202283号公報
J.Xie,M.J.Luo,K.K.Wu,L.F.Yang,D.H.Li,Experimental study on cutting temperature and cutting force in dry turning of titanium alloy using a non-coated micro-grooved tool,"International Journal of Machine Tools & Manufacture 73",Elsevier Ltd.,2013,p.25-36
一般に広く用いられている切削工具の多くは、工具寿命を高めるために、超硬合金製の工具基体の表面に硬質被膜がCVD法またはPVD法によりコーティングされた表面被覆切削工具である。表面被覆切削工具の場合、特許文献1のようなレーザ加工では、溝の開口部つまり肩部がなだらかな凸曲面状に形成される。このため、溝周囲の硬質被膜がレーザビームの裾野が当たることで過剰に加工される問題や、溝の周辺がレーザの熱による変形で溝に沿って土手のように盛り上がることで摺動性(切屑流れ)が低下する問題や、レーザの熱影響により硬質被膜が脆弱化する問題があった。また、非特許文献1のような機械加工では、溝周辺の硬質被膜が剥離する問題があった。
本発明は、耐摩耗性が良好に維持され、冷却効果が高められ、工具の長寿命化を図ることができる切削工具、およびその製造方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の一つの態様は、すくい面、逃げ面、およびこれらが接続される稜線部に位置する切れ刃を備える切削工具であって、焼結合金製の工具基体と、前記工具基体の表面に配置される硬質被膜と、前記すくい面および前記逃げ面の少なくともいずれかに配置され、前記硬質被膜の表面から窪む複数の溝と、を備え、前記硬質被膜は、単一の層、または前記硬質被膜の膜厚方向に重なる複数の層により構成され、全体の膜厚が0.1μm以上30μm以下であり、前記溝は、前記溝の延在方向と垂直な断面の形状が、V字状および台形状のいずれかであり、前記膜厚方向において前記硬質被膜から前記工具基体側へ向かうに従い溝幅が狭くなり、前記溝は、前記膜厚方向において前記硬質被膜および前記工具基体にわたって配置され、溝幅方向において互いに対向する一対の溝壁部と、一対の前記溝壁部と繋がり、前記工具基体に配置される溝底部と、を有する。
また、本発明の一つの態様は、すくい面、逃げ面、およびこれらが接続される稜線部に位置する切れ刃を備える切削工具を製造する方法であって、焼結合金製の工具基体の表面に配置された硬質被膜上から、前記硬質被膜の加工閾値よりも低いエネルギー密度を有するレーザを、同一ライン上で複数回走査することにより、前記硬質被膜の表面から前記工具基体にわたって窪む溝深さの、断面V字状および断面台形状のいずれかの溝を、前記すくい面および前記逃げ面の少なくともいずれかに複数形成する。
本発明では、硬質被膜の加工閾値(レーザ加工閾値)を下回るエネルギー密度のレーザ(例えば超短パルスレーザ)を同一ライン上に繰り返し照射することで、硬質被膜および工具基体の表層部に歪(塑性変形)を発生させるレーザピーニングを応用している。詳しくは、硬質被膜の表面がレーザ衝撃波により塑性変形し、この塑性変形によって、硬質被膜および工具基体の内部にわたって歪の大きな断面V字型の領域(以下、歪領域と呼ぶ)が形成される。さらにレーザ衝撃波を重ねて受けることで、硬質被膜および工具基体の歪領域が応力破壊により粉砕・飛散して、断面V字状または断面台形状の溝が加工される。これにより、溝周辺への熱影響を顕著に抑えつつ、硬質被膜と工具基体とが連続的(断面形状で直線的)に切り取られた溝壁部を有する、エッジの立った溝を形成することが可能になる。これは、工具基体の表面に、工具基体よりもレーザ加工されにくい硬質被膜が配置されているために、上記応力破壊等により断面V字状または断面台形状の溝が形成されるものと考えられる。すなわち本発明と異なり、工具基体の表面に硬質被膜がコーティングされていない切削工具では、上記同様のレーザ加工によって上記同様の溝を形成することはできない。
なお、本明細書でいう「硬質被膜の加工閾値」とは、レーザによる熱加工、またはアブレーション加工が生じるエネルギー密度の閾値のことであり、詳しくは、レーザ未処理の硬質被膜表面に対して、最初の1回のレーザ走査で有意な深さ(深さ1μm以上)の溝が形成されるエネルギー密度の閾値を指す。なお、本発明の歪領域の応力破壊においても、その原動力は、わずかに材料表面(1μm未満)をアブレーションさせた際に発生するプラズマに起因した力学的衝撃であるため、厳密な意味でのアブレーションの閾値とは定義が異なる。また、本発明の方法で、同一ライン上への2回目以降のレーザ走査では、一つ前のレーザ走査により付与された応力歪を利用するため、1走査あたりの溝深さは1μmよりも増加する場合が多い。そのため、上記「硬質被膜の加工閾値」の定義では、レーザ未処理の硬質被膜表面に対する1回目のレーザ走査に限定する。
本発明では、例えば超硬合金などの焼結合金製の工具基体に硬質被膜がコーティングされた表面被覆切削工具でありながらも、すくい面や逃げ面に複数の溝をレーザ加工するときに、溝周辺の硬質被膜が損傷したり熱影響で脆弱化したりすることを抑制でき、つまり硬質被膜の機能が良好に維持されるため、切削工具の機械的な耐摩耗性が確保され、かつ下記のテクスチャ効果が得られる。
すなわち本発明によれば、溝が膜厚方向において硬質被膜から工具基体にわたって形成されており、溝深さが深く溝のエッジが立った形状とされているため、切削加工中に発生する切粉等の硬質粒子を溝にトラップする効果が高く、アブレッシブ摩耗を抑制できる。また本発明では、溝幅に対する溝深さの割合つまりアスペクト比が、従来品よりも大きい溝を形成できるため、ウェット切削時の冷却液やドライ切削時の圧縮エア等のクーラントの溝内への保持量および保持力が高められ、冷却効果が向上する。
なお、溝底部が平坦な断面台形状の溝である場合には、上述の作用効果が得られつつ、高負荷の切削時(重切削時)においても、溝底部を起点とした工具の欠損が抑制される。また、溝底部が切り込んだ谷形状(断面V字)とされた、全体としても断面V字状の溝である場合には、クーラント保持量等がより高められて、冷却効果が向上する。
以上より本発明によれば、耐摩耗性が良好に維持され、冷却効果が高められ、工具の長寿命化を図ることができる。
また、本発明ではレーザピーニング技術を利用しており、硬質被膜を(直接的に)レーザ加工するわけではないため、硬質被膜の種類や厚さによる影響を受けにくい。つまり、各種の硬質被膜がコーティングされた表面被覆切削工具に対して、本発明を適用可能である。なお、硬質被膜の膜厚は、例えばDLC膜の場合は0.1~0.5μm程度であり、それ以外の膜では2~30μm程度である。硬質被膜の膜厚が厚すぎると自壊しやすくなるため、本発明では30μm以下としている。
上記切削工具において、前記硬質被膜は、元素周期律表のIVa族元素、Va属元素、VIa族元素、AlおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物、窒酸化物、炭窒酸化物またはこれらの固溶体、並びに、ダイヤモンド、DLC、窒化ホウ素のいずれかにより形成されることが好ましい。
この場合、例えば、被削材の材質・特性、切削工具の種類、転削(ミーリング)・旋削(ターニング)等の切削形態、各種の切削条件等に応じて、様々な硬質被膜を工具基体上にコーティングした各種の切削工具において、上述した本発明の優れた作用効果が得られる。このため、各種の切削工具において耐摩耗性や冷却効果を安定して高めることができ、工具寿命を延長できる。
上記切削工具において、前記溝壁部は、前記溝の延在方向と垂直な断面視で、直線状に延び、前記溝壁部と、前記硬質被膜の表面との接続部分の前記断面視の形状は、V字状であることが好ましい。
この場合、溝の開口部(肩部)と硬質被膜の表面との接続部分に尖った稜線が形成されるため、エッジの立った溝となり、溝内に切粉等の硬質粒子をトラップする効果や、クーラントを保持する効果が安定して高められる。このため、切削工具の耐摩耗性や冷却効果を向上でき、工具寿命をより長寿命化できる。
上記切削工具において、前記溝の溝幅が、前記溝の延在方向に沿って変化することが好ましい。
この場合、溝の溝幅が、溝の延在方向へ向かうに従い、不規則に増加と減少とを繰り返したり、規則的に増加と減少とを繰り返したりする。すなわち、溝の延在方向に沿って溝の溝幅が大小に変動するため、溝の内面の濡れ性の向上や毛細管現象の作用などによって、切削中の冷却液等のクーラントの保持力が高められる。また上記構成と異なり、例えば溝の延在方向に沿って溝幅が一定とされた直線的な溝に比べて、本発明の上記構成によれば、溝の表面積が大きく確保されるため、放熱性が高まり、切れ刃近傍の刃先温度を低下させることができる。したがって、切削工具の工具寿命が高められる。
上記切削工具において、前記溝の溝幅方向の中心位置が、前記溝の延在方向に沿って変化することが好ましい。
この場合、溝の溝幅方向の中心位置が、溝の延在方向へ向かうに従い、溝幅方向の一方側と他方側とに不規則にまたは規則的に、繰り返し変位する。すなわち、溝の延在方向に沿って溝幅の中心位置が変動するため、溝の内面の濡れ性の向上や毛細管現象の作用などによって、切削中の冷却液等のクーラントの保持力が高められる。また上記構成と異なり、例えば溝の延在方向に沿って溝の溝幅方向の中心位置が一定とされた直線的な溝に比べて、本発明の上記構成によれば、溝の表面積が大きく確保されるため、放熱性が高まり、切れ刃近傍の刃先温度を低下させることができる。したがって、切削工具の工具寿命が高められる。
上記切削工具は、前記溝の延在方向と垂直な断面視で、前記膜厚方向に延びる仮想法線と、前記溝壁部との間の角度が、15°以上30°以下であることが好ましい。
上記角度が15°~30°であることにより、切削加工中に発生する切粉等の硬質粒子を溝にトラップする効果が高まり、アブレッシブ摩耗を抑制でき、ウェットおよびドライ切削時において高い冷却効果が得られる。また上記角度は、レーザ条件によりほぼ一定の大きさとなる。なお上記仮想法線とは、硬質被膜の表面と直交する方向に延びる仮想直線に相当する。
具体的に、上記角度が15°以上であると、溝の開口部(肩部)のエッジが立ち過ぎることが抑えられ、溝開口部に切屑の流れが引っ掛かり過ぎることを抑制できる。このため、上記角度が15°未満の場合と比べて、溝周辺の摩耗の進行を進みにくくさせる効果が得られる。
また、上記角度が30°以下であると、上記角度が30°よりも大きい場合と比べて、硬質粒子を溝にトラップする効果やクーラントによる冷却効果がより安定する。
上記切削工具において、複数の前記溝はそれぞれ、前記膜厚方向と直交する第1方向に延び、前記溝の溝幅の平均値をWとし、前記溝の延在方向に沿う前記平均値Wの10倍の長さを単位長さ10Wとして、前記単位長さ10Wあたりの前記溝の溝幅の最大値Wmaxと最小値Wminとの比Wmax/Wminが、1.3以上であり、かつ、前記単位長さ10Wの間で前記溝の溝幅の中心位置が溝幅方向に変化する範囲X1が、0.3W以上1.5W以下であることが好ましい。
上記構成では、複数の溝は、第1方向に沿って互いに平行に延びる。この場合において、Wmax/Wmin≧1.3であり、かつ、0.3W≦X1≦1.5Wであることにより、溝の表面積を増大させて放熱効果等を安定して高めることが出来る。また、隣り合う溝同士が繋がる(連通する)と局所的に構造の弱い部分が生じるため、隣り合う溝同士の距離は連通が発生しない大きさを確保することが望ましい。
上記切削工具において、複数の前記溝は、前記膜厚方向と直交する第1方向に延びる第1溝と、前記膜厚方向と直交し前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記第1溝と交差する第2溝と、を含み、前記溝の溝幅の平均値をWとし、前記溝の延在方向に沿う前記平均値Wの10倍の長さを単位長さ10Wとして、前記単位長さ10Wあたりの前記溝の溝幅の最大値Wmaxと最小値Wminとの比Wmax/Wminが、1.5以上であり、かつ、前記単位長さ10Wの間で前記溝の溝幅の中心位置が溝幅方向に変化する範囲X2が、0.6W以上3.0W以下であることが好ましい。
上記構成では、複数の溝は、第1方向に延びる第1溝と、第2方向に延びる第2溝と、が交差するクロスハッチング状の溝となる。この場合において、Wmax/Wmin≧1.5であり、かつ、0.6W≦X2≦3.0Wであることにより、溝の表面積を増大させて放熱効果等を安定して高めることが出来る。また、隣り合う溝同士が繋がる(連通する)と局所的に構造の弱い部分が生じるため、隣り合う溝同士の距離は連通が発生しない大きさを確保することが望ましい。
上記切削工具において、前記溝の溝幅の平均値Wが、10μm以上120μm以下であることが好ましい。
溝の溝幅の平均値Wが、10μm以上であると、溝がその延在方向において部分的に分断したり細くなり過ぎたりすることが抑制され、つまり溝の形状が安定するため、工具の性能にばらつきが生じることが抑えられ、本発明による作用効果が安定して得られる。
また、溝の溝幅の平均値Wが、120μm以下であると、硬質被膜に占める溝の開口面積の割合が大きくなり過ぎることが抑制され、つまり硬質被膜の表面積が安定して確保されることで耐摩耗性が良好に維持され、本発明による作用効果が安定して得られる。
本発明の一つの態様の切削工具および切削工具の製造方法によれば、耐摩耗性が良好に維持され、冷却効果が高められ、工具の長寿命化を図ることができる。
図1は、本実施形態の切削工具を示す斜視図である。 図2は、本実施形態の切削工具の切れ刃近傍(すくい面)を示すSEM画像である。 図3は、図2の溝の一部を拡大して示す図である。 図4(a)は、本実施形態の切削工具の製造方法のレーザ照射を示す断面図であり、図4(b)は、本実施形態の切削工具の製造方法において、複数回のレーザ照射により形成される溝を示す断面図である。 切削工具の硬質被膜上からレーザを同一ライン上に複数回走査して溝を形成する過程を示すSEM画像であり、図5(a)は10スキャンした状態、図5(b)は20スキャンした状態、図5(c)は30スキャンした状態を示す。 図6(a)は、本実施形態の変形例の切削工具の切れ刃近傍の一部を拡大して示すSEM画像であり、図6(b)は、図6(a)のVIb-VIb断面を示すラインプロファイル(断面図)である。 図7は、本実施形態の変形例の切削工具の切れ刃近傍の一部を拡大して示す斜視図である。
本発明の一実施形態の切削工具10およびその製造方法について、図面を参照して説明する。本実施形態の切削工具10は、切削インサートである。本実施形態の切削工具10は、例えば、被削材に旋削加工(ターニング)を施す刃先交換式バイトに用いられる。
図1に示すように、本実施形態の切削工具10は、板状である。具体的に、切削工具10は多角形板状であり、図示の例では四角形板状である。なお切削工具10は、四角形板状以外の多角形板状や円板状等であってもよい。
本実施形態では、切削工具10の中心軸Cが延びる方向、つまり中心軸Cと平行な方向を、軸方向と呼ぶ。切削工具10の平面視において、中心軸Cは、切削工具10の中心に位置する。中心軸Cは、切削工具10の厚さ(板厚)方向に沿って延びる。
中心軸Cと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Cに近づく向きを径方向内側と呼び、中心軸Cから離れる向きを径方向外側と呼ぶ。
中心軸C回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
図4(a)、(b)に示すように、本実施形態の切削工具10は、超硬合金製の工具基体1と、工具基体1の表面(外面)に配置される硬質被膜2と、を備える。つまり本実施形態の切削工具10は、工具基体1上に硬質被膜2がコーティングされた表面被覆切削工具である。
工具基体1は、焼結合金製であり、本実施形態ではWC基の超硬合金製である。
硬質被膜2は、化学蒸着法(CVD法)または物理蒸着法(PVD法)により、工具基体1の表面に成膜される。硬質被膜2は、元素周期律表のIVa族元素、Va属元素、VIa族元素、AlおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物、窒酸化物、炭窒酸化物またはこれらの固溶体、並びに、ダイヤモンド、DLC、窒化ホウ素(BN)のいずれかにより形成される。
硬質被膜2は、単一の層、または硬質被膜2の膜厚方向に重なる複数の層により構成される。硬質被膜2が複数の層により構成される場合、各層は、互いに異なる材質でもよいし、互いに同じ材質でもよい。硬質被膜2は、全体の膜厚が0.1μm以上30μm以下である。具体的に、硬質被膜2がDLCである場合、膜厚は、例えば0.1~0.5μm程度である。また、硬質被膜2がDLC以外の層からなる場合、膜厚は、例えば2~30μm程度である。
本実施形態でいう硬質被膜2の「膜厚方向」は、硬質被膜2の表面と直交する方向に相当する。膜厚方向は、各図に示すXYZ直交座標系において、Z軸方向に相当する。本実施形態では膜厚方向のうち、硬質被膜2から工具基体1へ向かう方向(-Z側)を、膜厚方向における硬質被膜2から工具基体1側、または単に膜厚方向の内側と呼ぶ。膜厚方向のうち、工具基体1から硬質被膜2へ向かう方向(+Z側)を、膜厚方向における工具基体1から硬質被膜2側、または単に膜厚方向の外側と呼ぶ。
また本実施形態では、膜厚方向と直交する所定の方向を、第1方向と呼ぶ。第1方向は、各図においてY軸方向に相当する。
また、膜厚方向と直交し第1方向と交差する方向を、第2方向と呼ぶ。本実施形態では第2方向が、第1方向と直交する方向である。第2方向は、各図においてX軸方向に相当する。
図1に示すように、硬質被膜2は、工具基体1の表面のうち、少なくとも後述する切れ刃3を含む領域に配置される。本実施形態では硬質被膜2が、少なくとも後述する切れ刃3、すくい面5および逃げ面6に配置される。なお硬質被膜2は、工具基体1の表面全域に成膜されていてもよい。
また、切削工具10は、一対の板面10a,10bと、外周面10cと、貫通孔10dと、を備える。
一対の板面10a,10bは、多角形状であり、軸方向を向く。本実施形態では、一対の板面10a,10bがそれぞれ四角形状である。一対の板面10a,10bは、一方の板面10aと、他方の板面10bと、を有する。一方の板面10aと他方の板面10bとは、軸方向において互いに反対側を向く。
一対の板面10a,10bのうち、少なくとも一方の板面10aは、板面10aの一部(コーナ部近傍)が切削加工時に図示しない被削材と対向して配置される。
外周面10cは、軸方向において一対の板面10a,10b間に位置し、径方向外側を向く。外周面10cは、その軸方向の両端部が一対の板面10a,10bと接続される。外周面10cは、周方向に延び、切削工具10の周方向全域にわたって配置される。
貫通孔10dは、切削工具10を軸方向に貫通する。貫通孔10dは、切削工具10の内部を軸方向に延び、一対の板面10a,10bに開口する。貫通孔10dの中心軸は、切削工具10の中心軸Cと同軸に配置される。図示の例では、貫通孔10dが円孔状である。貫通孔10dには、例えば、図示しないクランプネジやクランプ部材等が挿入される。
また、切削工具10は、すくい面5と、逃げ面6と、切れ刃3と、複数の溝7と、を備える。
すくい面5は、一対の板面10a,10bのうち、少なくとも一方の板面10aに配置される。すくい面5は、板面10aの少なくとも一部を構成する。すくい面5は、一方の板面10aのコーナ部に位置する。本実施形態ではすくい面5が、板面10aの外周部に位置する4つのコーナ部のうち、少なくとも2つのコーナ部にそれぞれ配置される。上記2つのコーナ部は、中心軸Cを中心として互いに180°回転対称となる位置に配置される。
逃げ面6は、外周面10cに配置される。逃げ面6は、外周面10cの少なくとも一部を構成する。逃げ面6は、外周面10cのうち各すくい面5と隣接する部分にそれぞれ配置される。本実施形態では逃げ面6が、外周面10cにおいて径方向外側に突出する4つのコーナ部のうち、少なくとも2つのコーナ部にそれぞれ配置される。上記2つのコーナ部は、中心軸Cを中心として互いに180°回転対称となる位置に配置される。
切れ刃3は、すくい面5と逃げ面6とが接続される稜線部に位置する。本実施形態では切れ刃3が、板面10aの外周部に位置する4つのコーナ部のうち、少なくとも2つのコーナ部にそれぞれ配置される。
図1および図2に示すように、切れ刃3は、コーナ刃部3aと、直線刃部3bと、を有する。コーナ刃部3aは、径方向外側に向けて突出する凸曲線状である。直線刃部3bは、直線状であり、コーナ刃部3aと接続される。本実施形態では、コーナ刃部3aが延びる刃長方向の両端部に、一対の直線刃部3bが接続される。すなわち直線刃部3bは、一対設けられる。
図2に示すように、複数の溝7は、すくい面5および逃げ面6の少なくともいずれかに配置され、硬質被膜2の表面から窪む。本実施形態では複数の溝7が、すくい面5に配置される。複数の溝7はそれぞれ、膜厚方向と直交する第1方向(Y軸方向)に延びる。つまり複数の溝7は、第1方向に沿って互いに平行に延びる。なお本実施形態において、第1方向は、板面10aの外周部に位置する4つのコーナ部のうち、すくい面5が配置される2つのコーナ部を通る方向に相当する。複数の溝7は、第2方向(X軸方向)において、互いに間隔をあけて配置される。
図4(b)に示すように、溝7は、溝7の延在方向(第1方向)と垂直な断面の形状が、V字状および台形状のいずれかであり、本実施形態では断面V字状である。溝7は、膜厚方向において硬質被膜2から工具基体1側へ向かうに従い、溝幅つまり第2方向の幅が狭くなる。
溝7は、膜厚方向において硬質被膜2および工具基体1にわたって配置され、溝幅方向において互いに対向する一対の溝壁部7a,7aと、一対の溝壁部7a,7aと繋がり、工具基体1に配置される溝底部7bと、を有する。すなわち、溝7は、膜厚方向において硬質被膜2を貫通し、硬質被膜2から工具基体1(の表層部)にわたって配置される。
溝壁部7aは、図4(b)に示すように溝7の延在方向と垂直な断面視で、直線状に延びる。溝壁部7aのうち、膜厚方向の外側の端部(外端部)に位置する開口部つまり肩部は、硬質被膜2に配置される。溝壁部7aのうち、膜厚方向の外端部以外の部分、つまり開口部以外の部分は、工具基体1に配置される。溝壁部7aのうち硬質被膜2に配置される部分と、工具基体1に配置される部分とは、上記断面視で、全体として1つの直線を構成するように互いに接続される。
上記断面視で、膜厚方向に延びる仮想法線VNと、溝壁部7aとの間の角度θは、15°以上30°以下である。なお仮想法線VNとは、硬質被膜2の表面と直交する方向(Z軸方向)に延びる仮想直線に相当する。
また、溝壁部7aと、硬質被膜2の表面との接続部分の上記断面視の形状は、V字状である。具体的に、上記断面視において、溝壁部7aと、硬質被膜2の表面とは、互いの間に鈍角を形成するように、明りょうな稜線部分を介して互いに接続される。
溝底部7bは、溝7のうち膜厚方向の内側の端部(内端部)に位置する。溝底部7bは、一対の溝壁部7a,7aの各膜厚方向の内端部と接続される。すなわち、溝底部7bを介して一対の溝壁部7a,7a同士が繋がる。
本実施形態では図4(b)に示すように、溝底部7bが膜厚方向の内側へ切り込んだ谷形状(断面V字状)であり、このため溝7全体としての形状も断面V字状である。ただしこれに限らず、図4(b)に2点鎖線で示すように、溝底部7bが、膜厚方向と垂直な方向に拡がる平坦状であり、溝7全体としての形状が断面台形状とされていてもよい。
溝7の溝幅は、溝7の延在方向へ向かうに従い、不規則に増加と減少とを繰り返し、または、規則的に増加と減少とを繰り返す。つまり溝7の溝幅は、溝7の延在方向に沿って変化する。本実施形態では図3に示すように、溝7の溝幅が、溝7の延在方向に沿って不規則に増減を繰り返す。
本実施形態では、溝7の溝幅の平均値Wが、10μm以上120μm以下である。また、溝幅方向(第2方向)において隣り合う溝7,7同士の配置ピッチ(溝中心間距離)は、上記平均値Wよりも大きい。このため、隣り合う溝7,7間にはそれぞれ、硬質被膜2が配置される。
溝7の溝幅方向の中心位置は、溝7の延在方向へ向かうに従い、溝幅方向の一方側と他方側とに不規則にまたは規則的に、繰り返し変位する。つまり溝7の溝幅方向の中心位置は、溝7の延在方向に沿って変化する。本実施形態では溝7の溝幅方向の中心位置が、溝7の延在方向に沿って、不規則に溝幅方向に変動する。
本実施形態では図3に示すように、溝7の溝幅の平均値をWとし、溝7の延在方向に沿う平均値Wの10倍の長さを単位長さ10Wとして、単位長さ10Wあたりの溝7の溝幅の最大値Wmaxと最小値Wminとの比Wmax/Wminが、1.3以上であり、かつ、単位長さ10Wの間で溝7の溝幅の中心位置が溝幅方向に変化する範囲X1が、0.3W以上1.5W以下である。
次に、切削工具10の製造方法について説明する。
特に図示しないが、本実施形態の切削工具10の製造方法は、焼結工程と、成膜工程と、溝成形工程と、を含む。
焼結工程では、工具基体1の形状とされた圧粉体、つまり工具基体1の製造過程において圧粉成形される中間成形体を、焼結する。本実施形態では、圧粉体は板状であり、具体的には多角形板状である。
成膜工程では、焼結した工具基体1の表面上に、化学蒸着法(CVD法)または物理蒸着法(PVD法)により、単一の層または複数の層からなる所定の膜厚の硬質被膜2を成膜する。
図4(a)、(b)に示すように、溝成形工程では、超硬合金製の工具基体1の表面に配置された硬質被膜2上から、硬質被膜2の加工閾値よりも低いエネルギー密度を有するレーザLを、同一ライン上で複数回走査することにより、硬質被膜2の表面から工具基体1にわたって窪む溝深さの、断面V字状および断面台形状のいずれかの溝7を、すくい面5および逃げ面6の少なくともいずれかに複数形成する。本実施形態では、溝7の延在方向と垂直な断面視でV字状をなす溝7を、すくい面5に、互いに平行となるように複数形成する。
なお、本実施形態でいう「硬質被膜2の加工閾値」とは、レーザによる熱加工、またはアブレーション加工が生じるエネルギー密度の閾値のことであり、詳しくは、レーザ未処理の硬質被膜2表面に対して、最初の1回のレーザ走査で有意な深さ(深さ1μm以上)の溝が形成されるエネルギー密度の閾値を指す。なお、本実施形態の後述する歪領域Aの応力破壊においても、その原動力は、わずかに材料表面(1μm未満)をアブレーションさせた際に発生するプラズマに起因した力学的衝撃であるため、厳密な意味でのアブレーションの閾値とは定義が異なる。また、本実施形態の方法で、同一ライン上への2回目以降のレーザ走査では、一つ前のレーザ走査により付与された応力歪を利用するため、1走査あたりの溝深さは1μmよりも増加する場合が多い。そのため、上記「硬質被膜2の加工閾値」の定義では、レーザ未処理の硬質被膜2表面に対する1回目のレーザ走査に限定する。
具体的に、溝成形工程では、レーザピーニング効果が効率よく得られるレーザ条件を用いる。例えば、パルス幅が100fs(フェムト秒)~10ps(ピコ秒)程度の範囲の超短パルスレーザを用いて、大気中にて、硬質被膜2の表面の同一ライン(溝7予定部)上を複数回ハッチング走査する。
図5(a)、(b)、(c)は、上記レーザ条件のレーザLを硬質被膜2上から同一ライン上で10スキャンした状態(図5(a))、20スキャンした状態(図5(b))、30スキャンした状態(図5(c))を表している。なお図5(a)~(c)に示す硬質被膜2は、厚さ3μmのTiCN層と、厚さ2μmのAl層とを、膜厚方向に積層した一例である。図示するように、レーザLをハッチング走査する回数によって、溝底部7bが平坦な断面台形状の溝7から、溝底部7bが切り込んだ谷形状とされた断面V字状の溝7へと徐々に形状が変化する。このため、溝7の形状が変化する過程において、実際の切削用途等に合わせた溝形状となるように調整可能である。
詳しくは、例えば、断続切削などの衝撃が発生する切削加工の場合には、図5(a)に示すように工具剛性を重視した断面台形状の溝7とし、あるいは、チタン合金の切削など放熱性が重視される切削加工の場合には、図5(b)、(c)に示すように断面V字状の溝7とするなど、被削材の種類や加工条件等に適した溝形状に成形すればよい。
図5(a)~(c)に示すように、溝7以外の部位には完全に硬質被膜2が残っており、溝7のエッジは立っている。溝7の内部には、工具基体1の表層部が露出している。
以上説明した本実施形態の切削工具10および切削工具10の製造方法によれば、下記の作用効果を奏する。
本実施形態では、硬質被膜2の加工閾値(レーザ加工閾値)を下回るエネルギー密度のレーザL(例えば超短パルスレーザ)を同一ライン上に繰り返し照射することで、硬質被膜2および工具基体1の表層部に歪(塑性変形)を発生させるレーザピーニングを応用している。詳しくは、図4(a)に示すように、硬質被膜2の表面がレーザ衝撃波により塑性変形し、この塑性変形によって、硬質被膜2および工具基体1の内部にわたって歪の大きな断面V字型の領域A(以下、歪領域と呼ぶ)が形成される。さらにレーザ衝撃波を重ねて受けることで、図4(b)に示すように、硬質被膜2および工具基体1の歪領域Aが応力破壊により粉砕・飛散して、断面V字状または断面台形状の溝7が加工される。これにより、溝7周辺への熱影響を顕著に抑えつつ、硬質被膜2と工具基体1とが連続的(断面形状で直線的)に切り取られた溝壁部7aを有する、エッジの立った溝7を形成することが可能になる。これは、工具基体1の表面に、工具基体1よりもレーザ加工されにくい硬質被膜2が配置されているために、上記応力破壊等により断面V字状または断面台形状の溝7が形成されるものと考えられる。すなわち本実施形態と異なり、工具基体1の表面に硬質被膜2がコーティングされていない切削工具では、上記同様のレーザ加工によって上記同様の溝7を形成することはできない。
本実施形態では、超硬合金製の工具基体1に硬質被膜2がコーティングされた表面被覆切削工具10でありながらも、すくい面5や逃げ面6に複数の溝7をレーザ加工するときに、溝7周辺の硬質被膜2が損傷したり熱影響で脆弱化したりすることを抑制でき、つまり硬質被膜2の機能が良好に維持されるため、切削工具10の機械的な耐摩耗性が確保され、かつ下記のテクスチャ効果が得られる。
すなわち本実施形態によれば、溝7が膜厚方向において硬質被膜2から工具基体1にわたって形成されており、溝深さが深く溝7のエッジが立った形状とされているため、切削加工中に発生する切粉等の硬質粒子を溝7にトラップする効果が高く、アブレッシブ摩耗を抑制できる。また本実施形態では、溝幅に対する溝深さの割合つまりアスペクト比が、従来品よりも大きい溝7を形成できるため、ウェット切削時の冷却液やドライ切削時の圧縮エア等のクーラントの溝7内への保持量および保持力が高められ、冷却効果が向上する。
なお、図4(b)に2点鎖線で示すように、溝底部7bが平坦な断面台形状の溝7である場合には、上述の作用効果が得られつつ、高負荷の切削時(重切削時)においても、溝底部7bを起点とした工具の欠損が抑制される。また、図4(b)に実線で示すように、溝底部7bが切り込んだ谷形状(断面V字)とされた、全体としても断面V字状の溝7である場合には、クーラント保持量等がより高められて、冷却効果が向上する。
以上より本実施形態によれば、耐摩耗性が良好に維持され、冷却効果が高められ、工具の長寿命化を図ることができる。
また、本実施形態ではレーザピーニング技術を利用しており、硬質被膜2を(直接的に)レーザ加工するわけではないため、硬質被膜2の種類や厚さによる影響を受けにくい。つまり、各種の硬質被膜2がコーティングされた表面被覆切削工具10に対して、本発明を適用可能である。なお、硬質被膜2の膜厚が厚すぎると自壊しやすくなるため、本実施形態では30μm以下としている。
また本実施形態では、硬質被膜2が、元素周期律表のIVa族元素、Va属元素、VIa族元素、AlおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物、窒酸化物、炭窒酸化物またはこれらの固溶体、並びに、ダイヤモンド、DLC、窒化ホウ素のいずれかにより形成される。
この場合、例えば、被削材の材質・特性、切削工具の種類、転削(ミーリング)・旋削(ターニング)等の切削形態、各種の切削条件等に応じて、様々な硬質被膜2を工具基体1上にコーティングした各種の切削工具10において、上述した本実施形態の優れた作用効果が得られる。このため、各種の切削工具10において耐摩耗性や冷却効果を安定して高めることができ、工具寿命を延長できる。
また本実施形態では、溝壁部7aが、溝7の延在方向と垂直な断面視で、直線状に延びており、従来品のレーザ加工溝のように、溝の開口部(肩部)がなだらかな凸曲面状に形成されてはいない。そして、溝壁部7aと、硬質被膜2の表面との接続部分の前記断面視の形状は、V字状である。
この場合、溝7の開口部(肩部)と硬質被膜2の表面との接続部分に尖った稜線が形成されるため、エッジの立った溝7となり、溝7内に切粉等の硬質粒子をトラップする効果や、クーラントを保持する効果が安定して高められる。このため、切削工具10の耐摩耗性や冷却効果を向上でき、工具寿命をより長寿命化できる。
また本実施形態では、溝7の溝幅が、溝7の延在方向に沿って変化する。
この場合、溝7の溝幅が、溝7の延在方向へ向かうに従い、不規則に増加と減少とを繰り返したり、規則的に増加と減少とを繰り返したりする。すなわち、溝7の延在方向に沿って溝7の溝幅が大小に変動するため、溝7の内面の濡れ性の向上や毛細管現象の作用などによって、切削中の冷却液等のクーラントの保持力が高められる。また上記構成と異なり、例えば溝の延在方向に沿って溝幅が一定とされた直線的な溝に比べて、本実施形態の上記構成によれば、溝7の表面積が大きく確保されるため、放熱性が高まり、切れ刃3近傍の刃先温度を低下させることができる。したがって、切削工具10の工具寿命が高められる。
また本実施形態では、溝7の溝幅方向の中心位置が、溝7の延在方向に沿って変化する。
この場合、溝7の溝幅方向の中心位置が、溝7の延在方向へ向かうに従い、溝幅方向の一方側と他方側とに不規則にまたは規則的に、繰り返し変位する。すなわち、溝7の延在方向に沿って溝幅の中心位置が変動するため、溝7の内面の濡れ性の向上や毛細管現象の作用などによって、切削中の冷却液等のクーラントの保持力が高められる。また上記構成と異なり、例えば溝の延在方向に沿って溝の溝幅方向の中心位置が一定とされた直線的な溝に比べて、本実施形態の上記構成によれば、溝7の表面積が大きく確保されるため、放熱性が高まり、切れ刃3近傍の刃先温度を低下させることができる。したがって、切削工具10の工具寿命が高められる。
また本実施形態では、溝7の延在方向と垂直な断面視で、膜厚方向に延びる仮想法線VNと、溝壁部7aとの間の角度θが、15°以上30°以下である。
上記角度θが15°~30°であることにより、切削加工中に発生する切粉等の硬質粒子を溝7にトラップする効果が高まり、アブレッシブ摩耗を抑制でき、ウェットおよびドライ切削時において高い冷却効果が得られる。また上記角度θは、レーザ条件によりほぼ一定の大きさとなる。
具体的に、上記角度θが15°以上であると、溝7の開口部(肩部)のエッジが立ち過ぎることが抑えられ、溝開口部に切屑の流れが引っ掛かり過ぎることを抑制できる。このため、上記角度θが15°未満の場合と比べて、溝7周辺の摩耗の進行を進みにくくさせる効果が得られる。
また、上記角度θが30°以下であると、上記角度θが30°よりも大きい場合と比べて、硬質粒子を溝7にトラップする効果やクーラントによる冷却効果がより安定する。
また本実施形態では、複数の溝7が、第1方向に沿って互いに平行に延びる。この場合において、溝7の延在方向に沿う単位長さ10Wあたりの溝7の溝幅の最大値Wmaxと最小値Wminとの比Wmax/Wminが、Wmax/Wmin≧1.3であり、かつ、前記単位長さ10Wの間で溝7の溝幅の中心位置が溝幅方向に変化する範囲X1が、0.3W≦X1≦1.5Wであることにより、溝7の表面積を増大させて放熱効果等を安定して高めることが出来る。また、隣り合う溝7,7同士が繋がる(連通する)と局所的に構造の弱い部分が生じるため、隣り合う溝7,7同士の距離は連通が発生しない大きさを確保することが望ましい。
また本実施形態では、溝7の溝幅の平均値Wが、10μm以上120μm以下である。
溝7の溝幅の平均値Wが、10μm以上であると、溝7がその延在方向において部分的に分断したり細くなり過ぎたりすることが抑制され、つまり溝7の形状が安定するため、工具の性能にばらつきが生じることが抑えられ、本実施形態による作用効果が安定して得られる。
また、溝7の溝幅の平均値Wが、120μm以下であると、硬質被膜2に占める溝7の開口面積の割合が大きくなり過ぎることが抑制され、つまり硬質被膜2の表面積が安定して確保されることで耐摩耗性が良好に維持され、本実施形態による作用効果が安定して得られる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
前述の実施形態では、複数の溝7が、すくい面5に配置される例を挙げたが、これに限らない。複数の溝7が、逃げ面6に配置されてもよく、あるいは、すくい面5および逃げ面6の両方にそれぞれ配置されてもよい。
図6(a)、(b)および図7は、前述の実施形態で説明した切削工具10の変形例を示す。この変形例では、複数の溝7が、膜厚方向と直交する第1方向(Y軸方向)に延びる第1溝7Aと、膜厚方向と直交し第1方向と交差する第2方向(X軸方向)に延び、第1溝7Aと交差する第2溝7Bと、を含む。第1溝7Aは、互いに平行に複数設けられ、第2溝7Bは、互いに平行に複数設けられる。すなわち、複数の溝7は、第1方向に延びる第1溝7Aと、第2方向に延びる第2溝7Bと、が交差するクロスハッチング状の溝となる。なお、この変形例では、前述の実施形態と同様に、第1方向と第2方向とが互いに直交する場合を示しているが、これに限らない。すなわち、第2方向は、第1方向に対して90°の角度で直交する代わりに、90°以外の角度で交差してもよい。この場合、第2溝7Bは、第1溝7Aに対して90°以外の角度で交差する。
この変形例では、前述の実施形態のように複数の溝7が第1方向にのみ延びる場合と比べて、溝7の溝幅や溝幅の中心位置の変動が大きくなる傾向がある。具体的には、溝7の溝幅の平均値をWとし、溝7の延在方向に沿う平均値Wの10倍の長さを単位長さ10Wとして、単位長さ10Wあたりの溝7の溝幅の最大値Wmaxと最小値Wminとの比Wmax/Wminが、1.5以上であり、かつ、単位長さ10Wの間で溝7の溝幅の中心位置が溝幅方向に変化する範囲X2が、0.6W以上3.0W以下である(図3参照)。
この変形例では、Wmax/Wmin≧1.5であり、かつ、0.6W≦X2≦3.0Wであることにより、溝7の表面積を増大させて放熱効果等を安定して高めることが出来る。また、隣り合う溝7,7同士が繋がる(連通する)と局所的に構造の弱い部分が生じるため、隣り合う溝7,7同士の距離は連通が発生しない大きさを確保することが望ましい。
また特に図示しないが、この変形例の切削工具10の製造方法では、溝成形工程において、工具基体1の表面に配置された硬質被膜2上から、硬質被膜2の加工閾値よりも低いエネルギー密度を有するレーザLを、クロスハッチング状の同一ライン上で複数回走査することにより、複数の溝7を形成する。詳しくは、例えば、硬質被膜2の第1溝7Aとなる予定の直線上をレーザスキャンし、第2溝7Bとなる予定の直線上をレーザスキャンするクロスハッチング状の動作を、複数回繰り返す。これにより、膜厚方向から見て、第1溝7Aと第2溝7Bとにより区画される硬質被膜2の残部が、安定して四角形状となり、硬質被膜2の機能が安定する。
なお上記製造方法とは異なり、例えば、硬質被膜2の第1溝7Aとなる予定の直線上を複数回レーザスキャンして第1溝7Aを形成した後、第2溝7Bとなる予定の直線上を複数回レーザスキャンして第2溝7Bを形成すると、膜厚方向から見て、第1溝7Aと第2溝7Bとにより区画される硬質被膜2の残部が、大きさのばらついた略円形状等となり、硬質被膜2の機能が安定しないおそれがある。
前述の実施形態では、工具基体1が焼結合金製であり、具体的には超硬合金製である場合について説明したが、これに限らない。工具基体1は、サーメットやcBN焼結体などの焼結合金製であってもよい。すなわち本発明は、超硬合金に限らず、サーメットやcBN焼結体などを基体としたコーティング工具に対して適用しても良い。
前述の実施形態では、切削工具10が刃先交換式バイトに用いられる例を挙げたが、これに限らない。切削工具10は、例えば、被削材に転削加工(ミーリング)を施す刃先交換式ドリルや刃先交換式エンドミル等に用いられてもよい。
また、切削工具10が切削インサートである例を挙げたが、これに限らない。切削工具10は、例えばソリッドタイプのドリル、エンドミル、リーマおよびそれ以外の切削工具であってもよい。
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態および変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されない。
<切削工具の製造例>
本発明の実施例および比較例の各切削工具として、超硬合金製の工具基体1上にCVD法またはPVD法により、下記表1に示す各種の膜構成No.の硬質被膜2をコーティングした切削インサートを用意した。なお表1中の「層No.」は、各膜構成No.の硬質被膜2を構成する複数の層または単一の層の、工具基体1の表面から膜厚方向の外側へ向けた積層順(成膜順)を示す。
Figure 2022084322000002
上記の各切削インサートに対し、硬質被膜2上から下記のレーザ条件でガウシアンビームを発振し、互いに平行にまたはクロスハッチング状に走査することで、溝を複数形成した。なおレーザの出力は、各硬質被膜2がレーザ加工される出力をあらかじめ測定した後、その測定値(加工閾値)に対するパーセンテージで調整し、溝に形成されるまでレーザ走査を行った。
(レーザ条件)
・波長:1030nm
・パルス幅:1ps
・繰り返し周波数:100kHz
・走査速度:5mm/s
具体的には、下記表2に示すように、本発明の実施例1~11では、硬質被膜2の加工閾値よりも低いエネルギー密度を有するレーザを、同一ライン上で複数回走査して溝を形成し、比較例1、2では、硬質被膜2の加工閾値以上のエネルギー密度を有するレーザを1回走査して、溝を形成した。
なお、溝の形状はレーザ顕微鏡(キーエンス社製 VK-X200)にて測定した。
Figure 2022084322000003
表2に示すように、製造された切削インサートのうち、実施例1~11は、溝7の溝幅の平均値Wが、10μm以上120μm以下であった。なお、溝幅の平均値Wは、ビームスポット直径よりも若干小さくなる傾向が確認された。
また実施例1~11は、溝7の延在方向と垂直な断面視で、膜厚方向に延びる仮想法線VNと溝壁部7aとの間の角度θが、15°以上30°以下であった。なお、角度θは、レーザ出力(%)が高いほど、小さくなる傾向が確認された。
なお実施例1~11では、形成した溝7が断面V字状の溝(V溝)もしくは断面台形状の溝(台形溝)となり、すなわち、膜厚方向において硬質被膜2から工具基体1側へ向かうに従い略一定の割合で溝幅が狭くなる溝形状となったが、一方、比較例1、2では、上記溝形状とはならず、具体的には、溝がレーザ加工されており溝開口部(肩部)がなだらかな凸曲面状に形成されたため、溝壁部と硬質被膜の表面との境界が不明りょうであり、角度θが測定不可であった。
また、複数の溝7が互いに同一方向(第1方向)に延びる「平行ハッチング」の場合、実施例1~11は、溝7の延在方向に沿う単位長さ10Wあたりの溝7の溝幅の最大値Wmaxと最小値Wminとの比Wmax/Wminが、1.3以上であり、かつ、単位長さ10Wの間で溝7の溝幅の中心位置が溝幅方向に変化する範囲X1と、溝幅の平均値Wとの比X1/Wが、0.3以上1.5以下であった。
一方、比較例1、2では、レーザ加工により直線的な溝が形成され、溝の溝幅および溝幅の中心位置が、溝の延在方向に沿って一定であった。
また、複数の溝7が互いに交差(直交)する「クロスハッチング」の場合、実施例1~11は、溝7の延在方向に沿う単位長さ10Wあたりの溝7の溝幅の最大値Wmaxと最小値Wminとの比Wmax/Wminが、1.5以上であり、かつ、単位長さ10Wの間で溝7の溝幅の中心位置が溝幅方向に変化する範囲X2と、溝幅の平均値Wとの比X2/Wが、0.6以上3.0以下であった。
一方、比較例1、2では、レーザ加工により直線的な溝が形成され、溝の溝幅および溝幅の中心位置が、溝の延在方向に沿って一定であった。
なお実施例1~11において、溝7の溝幅と溝幅の中心位置の各変動量(揺らぎ)は、平行ハッチングよりもクロスハッチングの方がいずれも大きくなる傾向が確認された。
<切削試験>
次に、本発明の実施例および比較例の各切削工具を用いて、下記切削条件にてNC旋盤で切削加工を行い、工具寿命を比較した。なお切削工具としては、上記製造例で製作した切削インサートを用いた。具体的に、切削インサートは菱形板状であり(図1参照)、中心軸Cと直交する方向のうち切削インサートの長軸方向に沿って、平行ハッチングで複数のV溝を形成した(図2参照)。
(切削条件)
・被削材の材質(鋼種):炭素鋼(S55C)
・クーラント:ウェット切削
・切込み量:ap=2.0mm
・送り量:f=0.25mm/rev
・切削速度:200m/min
工具寿命(切削寿命)については、マイクロスコープで観察した際の逃げ面摩耗幅が200μmに達するまでの切削時間を測定した。結果を下記表3に示す。なお表中の比較例3は、工具基体1の表面に上記膜構成No.1の硬質被膜2を有し、溝加工を行っていない未処理インサート(溝無し)である。
Figure 2022084322000004
表3に示すように、本発明の実施例1~3は、従来品の比較例1、3よりも工具寿命が長寿命化されることが確認された。
本発明の切削工具および切削工具の製造方法によれば、耐摩耗性が良好に維持され、冷却効果が高められ、工具の長寿命化を図ることができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
1…工具基体、2…硬質被膜、3…切れ刃、5…すくい面、6…逃げ面、7…溝、7a…溝壁部、7b…溝底部、7A…第1溝、7B…第2溝、10…切削工具、10W…単位長さ、L…レーザ、VN…仮想法線、W…溝幅の平均値、Wmax…溝幅の最大値、Wmin…溝幅の最小値、X1,X2…溝幅の中心位置の変動範囲、θ…角度

Claims (10)

  1. すくい面、逃げ面、およびこれらが接続される稜線部に位置する切れ刃を備える切削工具であって、
    焼結合金製の工具基体と、
    前記工具基体の表面に配置される硬質被膜と、
    前記すくい面および前記逃げ面の少なくともいずれかに配置され、前記硬質被膜の表面から窪む複数の溝と、を備え、
    前記硬質被膜は、単一の層、または前記硬質被膜の膜厚方向に重なる複数の層により構成され、全体の膜厚が0.1μm以上30μm以下であり、
    前記溝は、前記溝の延在方向と垂直な断面の形状が、V字状および台形状のいずれかであり、前記膜厚方向において前記硬質被膜から前記工具基体側へ向かうに従い溝幅が狭くなり、
    前記溝は、
    前記膜厚方向において前記硬質被膜および前記工具基体にわたって配置され、溝幅方向において互いに対向する一対の溝壁部と、
    一対の前記溝壁部と繋がり、前記工具基体に配置される溝底部と、を有する、
    切削工具。
  2. 前記硬質被膜は、元素周期律表のIVa族元素、Va属元素、VIa族元素、AlおよびSiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物、窒酸化物、炭窒酸化物またはこれらの固溶体、並びに、ダイヤモンド、DLC、窒化ホウ素のいずれかにより形成される、
    請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記溝壁部は、前記溝の延在方向と垂直な断面視で、直線状に延び、
    前記溝壁部と、前記硬質被膜の表面との接続部分の前記断面視の形状は、V字状である、
    請求項1または2に記載の切削工具。
  4. 前記溝の溝幅が、前記溝の延在方向に沿って変化する、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の切削工具。
  5. 前記溝の溝幅方向の中心位置が、前記溝の延在方向に沿って変化する、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の切削工具。
  6. 前記溝の延在方向と垂直な断面視で、前記膜厚方向に延びる仮想法線と、前記溝壁部との間の角度が、15°以上30°以下である、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の切削工具。
  7. 複数の前記溝はそれぞれ、前記膜厚方向と直交する第1方向に延び、
    前記溝の溝幅の平均値をWとし、前記溝の延在方向に沿う前記平均値Wの10倍の長さを単位長さ10Wとして、
    前記単位長さ10Wあたりの前記溝の溝幅の最大値Wmaxと最小値Wminとの比Wmax/Wminが、1.3以上であり、かつ、前記単位長さ10Wの間で前記溝の溝幅の中心位置が溝幅方向に変化する範囲X1が、0.3W以上1.5W以下である、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の切削工具。
  8. 複数の前記溝は、
    前記膜厚方向と直交する第1方向に延びる第1溝と、
    前記膜厚方向と直交し前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記第1溝と交差する第2溝と、を含み、
    前記溝の溝幅の平均値をWとし、前記溝の延在方向に沿う前記平均値Wの10倍の長さを単位長さ10Wとして、
    前記単位長さ10Wあたりの前記溝の溝幅の最大値Wmaxと最小値Wminとの比Wmax/Wminが、1.5以上であり、かつ、前記単位長さ10Wの間で前記溝の溝幅の中心位置が溝幅方向に変化する範囲X2が、0.6W以上3.0W以下である、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の切削工具。
  9. 前記溝の溝幅の平均値Wが、10μm以上120μm以下である、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の切削工具。
  10. すくい面、逃げ面、およびこれらが接続される稜線部に位置する切れ刃を備える切削工具を製造する方法であって、
    焼結合金製の工具基体の表面に配置された硬質被膜上から、前記硬質被膜の加工閾値よりも低いエネルギー密度を有するレーザを、同一ライン上で複数回走査することにより、前記硬質被膜の表面から前記工具基体にわたって窪む溝深さの、断面V字状および断面台形状のいずれかの溝を、前記すくい面および前記逃げ面の少なくともいずれかに複数形成する、
    切削工具の製造方法。
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