JP2022084050A - 生分解性水可溶性潤滑油組成物 - Google Patents

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剛 古市
Takeshi Furuichi
径 中西
Kei Nakanishi
宗一郎 石田
Soichiro Ishida
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Abstract

【課題】生分解性と水可溶性に優れ、さらに、低流動点、高引火点を有し、且つ、低粘性を有する生分解性水可溶性潤滑油組成物を提供する。【解決手段】プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られるポリアルキレングリコール化合物を基油とするものであり、ポリアルキレングリコール化合物がOECDテストガイドライン301F法の微生物による化学物質の分解度試験において、生分解率が60%以上である。これにより、生分解性と水可溶性に優れ、さらに、低流動点、高引火点を有し、且つ、低粘性を有する生分解性水可溶性潤滑油組成物を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性水可溶性潤滑油組成物に関する。
近年、環境汚染対策の面から、潤滑油分野においても、生分解性潤滑油が実用化されつつある。生分解性潤滑油には、高い生分解率が要求されることから、通常の潤滑油で基油として汎用されている鉱油を多く使用することが難しい。そのため、基油を天然植物油、ポリアルキレングリコール系合成基油、エステル系合成基油等の限られたものの中から選択して使用する必要がある。従来、これらの中では、比較的熱安定性、酸化安定性等に優れているエステル系合成基油が多く使用されている(例えば、特許文献1~2参照)。
特開平05-331481号公報 特開平11-323373号公報
しかしながら、上記のような天然油脂や合成エステル系潤滑基油は、水が混入した場合に加水分解しやすく潤滑油の使用中の安定性に問題があった。また、これらの基油は、水への溶解性が低い為、潤滑油が漏洩した場合に水面での油滴により周辺汚染が大きくなり、洗浄除去も困難であるという問題があった。
そこで本発明は、上記問題に鑑み、生分解性と水可溶性に優れ、さらに、低流動点、高引火点を有し、且つ、低粘性を有する生分解性水可溶性潤滑油組成物を提供することを目的としている。
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
すなわち、請求項1に係る生分解性水可溶性潤滑油組成物は、下記一般式(1)で表される末端に水酸基を有するポリアルキレングリコール化合物(1)を含有し、且つ、金属水酸化物又はその塩を含まず、
前記ポリアルキレングリコール化合物(1)の40℃における動粘度が28~51mm/s、流動点が-20℃以下、引火点が200℃以上であることを特徴としている。
Figure 2022084050000001
式(1)中、mは独立して0~100の整数、nは独立して0~100の整数を表す。
また、請求項2の発明は、上記請求項1に記載の生分解性水可溶性潤滑油組成物において、前記ポリアルキレングリコール化合物(1)がOECDテストガイドライン301F法の微生物による化学物質の分解度試験において、生分解率が60%以上であることを特徴としている。
さらに、請求項3の発明は、上記請求項1又は2に記載の生分解性水可溶性潤滑油組成物において、極圧剤、油性剤、酸化防止剤、防錆剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含んでなることを特徴としている。
本発明によれば、生分解性と水可溶性に優れ、さらに、低流動点、高引火点を有し、且つ、低粘性を有する生分解性水可溶性潤滑油組成物を提供することができる。
本発明に係る生分解性水可溶性潤滑油組成物は、上記一般式(1)で表される末端に水酸基を有するポリアルキレングリコール化合物(1)を含有し、且つ、金属水酸化物又はその塩を含まず、ポリアルキレングリコール化合物(1)の40℃における動粘度が28~51mm/s、流動点が-20℃以下、引火点が200℃以上であるものである。
式(1)中、mは独立して0~100の整数、nは独立して0~100の整数を表す。
ところで、本発明に係る生分解性を有する水可溶性潤滑油組成物は、具体的には、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られるポリアルキレングリコール化合物を基油とするものであり、40℃における動粘度が28~51mm/s、流動点が-20℃以下、引火点が200℃以上であるものである。これにより、生分解性と水可溶性に優れ、さらに、低流動点、高引火点を有し、且つ、低粘性を有する生分解性水可溶性潤滑油組成物を提供することができる。
また、このような生分解性水可溶性潤滑油組成物は、基油であるポリアルキレングリコール化合物がOECDテストガイドライン301F法の微生物による化学物質の分解度試験において、生分解率が60%以上である。
また、このような生分解性水可溶性潤滑油組成物に対し、極圧剤、油性剤、酸化防止剤、防錆剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含めることも可能である。例えば、極圧添加剤としては、リン酸エステル、亜リン酸エステル、チオリン酸塩等のリン酸化合物、トリクレジルホスフェート、ジアルキルジオリン酸亜鉛等が挙げられる。また、油性剤としては、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の一価の脂肪酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の多価脂肪酸等が挙げられる。さらに、酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。さらに、防錆剤としては、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、アルケニルコハク酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。またさらに、消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、アクリレートエステル系消泡剤等が挙げられる。しかして、このような添加剤を含めたとしても、本発明に係る生分解性水可溶性潤滑油組成物は、生分解性と水可溶性に優れ、さらに、低流動点、高引火点を有し、且つ、低粘性を有している。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
<生分解性水可溶性潤滑油組成物(実施例1~10)>
実施例1は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた分子量332からなるものである。
実施例2は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた分子量550からなるものである。
実施例3は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた分子量332からなるものである。
実施例4は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた分子量550からなるものである。
実施例5は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた99.9質量%に極圧剤(リン系極圧剤)を0.1質量%添加したものである。
実施例6は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた98質量%に油性剤(オレイン酸)を2質量%添加したものである。
実施例7は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた99.5質量%に酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)を0.5質量%添加したものである。
実施例8は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた99.5質量%に酸化防止剤(アミン系酸化防止剤)を0.5質量%添加したものである。
実施例9は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた98質量%に防錆剤(ジエタノールアミン)を2質量%添加したものである。
実施例10は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた99.99質量%に消泡剤(シリコーン系消泡剤)を0.01質量%添加したものである。
実施例11は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた99.99質量%に消泡剤(アクリレートエステル系消泡剤)を0.01質量%添加したものである。
実施例12は、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた98.99質量%に、酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤)を0.5質量%、及び、防錆剤(ジエタノールアミン)を0.5質量%、並びに、消泡剤(シリコーン系消泡剤)を0.01質量%添加したものである。
<比較例1~5>
比較例1として、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた分子量200からなるものを使用し、比較例2として、PEG300の分子量300のものを使用し、比較例3として、PEG400の分子量400のものを使用し、比較例4として、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイドを反応させて得られた分子量1000からなるものを使用し、比較例5として、プロパン-1,2-ジオールと、エチレンオキサイド(20mol)を反応させて得られた分子量1016からなるものを使用した。
<試験項目>
実施例1~12、及び、比較例1~5に対して、以下の表1に示す試験を実施した。
Figure 2022084050000002
<試験結果>
上記の試験方法にて行った試験結果を表2に示す。
Figure 2022084050000003
上記表2に示す結果から明らかなように、本発明に係る生分解性水可溶性潤滑油組成物は、比較例と同様、生分解性と水可溶性に優れ、高引火点を有している。そしてさらに、本発明に係る生分解性水可溶性潤滑油組成物は、40℃における動粘度が28~51mm/s、流動点が-20℃以下、引火点が200℃以上であるから、比較例と比べ、低流動点、高引火点、及び、低粘性を有していることが分かった。
また、本発明に係る生分解性水可溶性潤滑油組成物によれば、添加剤を添加したとしても、生分解性と水可溶性に優れ、さらに、低流動点、高引火点を有し、且つ、低粘性を有していることが分かった。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表される末端に水酸基を有するポリアルキレングリコール化合物(1)を含有し、且つ、金属水酸化物又はその塩を含まず、
    前記ポリアルキレングリコール化合物(1)の40℃における動粘度が28~51mm/s、流動点が-20℃以下、引火点が200℃以上であることを特徴とする生分解性水可溶性潤滑油組成物。
    Figure 2022084050000004
  2. 前記ポリアルキレングリコール化合物(1)がOECDテストガイドライン301F法の微生物による化学物質の分解度試験において、生分解率が60%以上である請求項1に記載の生分解性水可溶性潤滑油組成物。
  3. 極圧剤、油性剤、酸化防止剤、防錆剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含んでなる請求項1又は2に記載の生分解性水可溶性潤滑油組成物。
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