JP2022083408A - 排水配管部材およびその排水配管部材の施工方法、ならびに、その排水配管部材を用いた防火区画構造 - Google Patents

排水配管部材およびその排水配管部材の施工方法、ならびに、その排水配管部材を用いた防火区画構造 Download PDF

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Abstract

【課題】熱膨張材の使用量を増やすことなく、防火区画構造を実現することができる排水配管部材を提供する。【解決手段】排水配管部材10は、建築物における床スラブSを貫通する排水配管に用いられる排水配管部材であって、床スラブSの貫通孔内に配置される排水管継手100と、排水管継手100よりも下方に設けられる下階排水管530と、下階排水管530において熱膨張機能を発現する部位を内包するように排水管継手100の下端側の一部および下階排水管530の上端側の一部に跨るようにそれらの外周面に筒状に設けられる耐熱マット150とを備える。耐熱マット150は、耐熱温度が800℃以上である所定長さの無機繊維を絡み合わせて形成され、火災時を含めて筒状の形状を維持する形状維持機構および耐熱マット150自体が落下しない落下防止機構を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、排水配管部材およびその施工方法ならびに防火区画構造に関し、特に、たとえば、建物の床スラブを貫通する排水配管に用いられる、排水配管部材およびその排水配管部材の施工方法、ならびに、その排水配管部材を用いた防火区画構造に関する。
従来の排水配管部材の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される排水管継手は、床スラブ貫通部の一部を構成する第1継手構成部材が、耐火熱膨張性樹脂組成物からなる管状をした耐火膨張層を少なくとも備える耐火熱膨張性樹脂パイプで形成され、この継手構成部材とともに床スラブ貫通部を形成する第2継手構成部材の接合部の周囲に囲むように遮音カバーを備える。この遮音カバーは、遮音樹脂シートの熱収縮方向が床スラブ貫通部の中心軸に平行となるように、継手本体の周囲に巻回することによって形成されている。また、遮音樹脂シートは、軟質塩化ビニル樹脂製シート状体からなる表面層と、ポリエステル等の合成樹脂製不織布からなる裏面層とを備える。このような特許文献1の技術では、火災時において耐火膨張層(熱膨張材)が熱膨張して床スラブの貫通孔を閉塞することによって、熱、火炎および煙などが下階から上階へ移動することを阻止する。
特開2011-247372号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、火災時において熱膨張した熱膨張材が床スラブの貫通孔に適切に保持されずに、熱膨張材の一部が遮音カバーとともに落下してしまい、床スラブの貫通孔を適切に閉塞できないおそれがある。このため、床スラブの貫通孔を適切に閉塞するためには、使用する熱膨張材の量を多くせざるを得ないが、これでは部材コストが増してしまう。
本発明は、上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、新規な、排水配管部材およびその排水配管部材の施工方法、ならびに、その排水配管部材を用いた防火区画構造を提供することである。
本発明の他の目的とするところは、建物において貫通孔を備えた床スラブにおける防火区画構造を実現できる、排水配管部材およびその排水配管部材の施工方法、ならびに、その排水配管部材を用いた防火区画構造を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る排水配管部材は以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明のある局面に係る排水配管部材は、建物の床スラブを貫通する排水配管に用いられる排水配管部材であって、前記床スラブの貫通孔内に配置される排水管または排水管継手と、前記貫通孔よりも下方に設けられる下階排水管と、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管において熱膨張機能を発現する部位を内包するように前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管の外周面に筒状に設けられる耐熱マットとを備え、前記下階排水管は、前記排水管と同一である場合を含み、前記耐熱マットは、耐熱温度が800℃以上である所定長さの無機繊維を絡み合わせて形成され、火災時を含めて前記筒状の形状を維持する形状維持機構および前記耐熱マット自体が落下しない落下防止機構を備える。
好ましくは、前記排水管継手は鋳鉄製であって、前記下階排水管は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製または管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であって、前記落下防止機構は、前記耐熱マットが前記鋳鉄製の前記排水管継手に固定されることにより実現されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記排水管または前記排水管継手は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製または管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であって、前記落下防止機構は、前記耐熱マットが前記床スラブに固定されることにより実現されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記排水管または前記排水管継手は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製または管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であって、前記落下防止機構は、前記耐熱マットの少なくとも一部が前記床スラブに埋設されることにより実現されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記耐熱マットは、平面状の不織布マットが、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管の外周面に巻き付けられることにより筒状に形成され、前記形状維持機構は、前記筒状が前記平面状に戻らない機能を備えるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記形状維持機構は、前記筒状に形成した不織布マットの端部どうしを接合する接合部材を用いることにより、前記筒状に形成した不織布マットの外周1周分を巻着する巻着部材を用いることにより、または、前記耐熱マットが前記床スラブに埋設されることにより、前記筒状が前記平面状に戻らない機能を備えるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記排水管または前記排水管継手は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製または管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であって、前記排水配管部材は、前記耐熱マットの外周を覆う樹脂製カバーであって、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管と一体化される樹脂製カバーをさらに備え、前記落下防止機構は、前記樹脂製カバーに前記耐熱マットが固定されることにより実現されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記落下防止機構は、前記熱膨張機能を発現する部位よりも上方の位置において、前記樹脂製カバーに前記耐熱マットが固定されることにより実現されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記落下防止機構は、前記樹脂製カバーの内周面に設けられた係止部と、前記耐熱マットの外周面に設けられた被係止部とが係止されることにより実現されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記係止部は突起であって、前記被係止部は前記突起に係止される溝であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記樹脂製カバーは、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管と止水パッキンにより一体化されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記外周面に巻き付けられて筒状に形成された前記耐熱マットは、下方に行くに従って径小となるテーパ部分を備えるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記無機繊維はシリカ繊維であるように構成することができる。
また、本発明の別の局面に係る排水配管部材は、建物の床スラブを貫通する排水配管に用いられる排水配管部材であって、前記床スラブの貫通孔内に配置される排水管または排水管継手と、前記貫通孔よりも下方に設けられる下階排水管と、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管において熱膨張機能を発現する部位を内包するように前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管の外周面に筒状に設けられる耐熱マットとを備え、前記下階排水管は、前記排水管と同一である場合を含み、前記耐熱マットは、無機繊維を絡み合わせて形成され、前記耐熱マット自体が落下しない落下防止機構を備え、前記排水管または前記排水管継手は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製または管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であって、前記排水配管部材は、前記耐熱マットの外周を覆う樹脂製カバーであって、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管と一体化される樹脂製カバーをさらに備える。
好ましくは、前記落下防止機構は、前記樹脂製カバーに前記耐熱マットが固定されることにより実現されるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記無機繊維はグラスウール繊維であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記排水管または前記排水管継手は、塩化ビニル製であるように構成することができる。
また、本発明のさらに別の局面に係る防火区画構造は、貫通孔が形成された床スラブと、前記貫通孔を貫通するように設けられた上述したいずれかに記載の排水配管部材と、前記排水配管部材の外周面と前記貫通孔の内周面との間に充填された充填材とを備える。
好ましくは、前記床スラブは最下階の床を形成するように構成することができる。
また、本発明のさらに別の局面に係る施工方法は、貫通孔が形成された床スラブに、上述したいずれかに記載の排水配管部材を施工する施工方法であって、前記耐熱マットを、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管において熱膨張機能を発現する部位を内包するように、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管の外周面に筒状に、かつ、火災時を含めて前記筒状の形状を維持する形状維持機構および前記耐熱マット自体が落下しない落下防止機構を備えるように設けるステップと、前記排水配管部材を前記貫通孔に設置するステップと、前記排水配管部材の外周面と前記貫通孔の内周面との間に充填材を充填するステップとを含む。
本発明によると、火災時に熱膨張した熱膨張機能を発現する部位が耐熱マットによって適切に保持されるので、熱膨張材の使用量を増やすことなく、建物において貫通孔を備えた床スラブにおける防火区画構造を実現できる。
本発明の第1の実施の形態に係る、排水管継手100が採用された排水配管部材10を示す側面図(半断面図)である。 図1の排水配管部材10における(A)耐熱マット150の施工前の状態を示す斜視図、(B)耐熱マット150の施工後の状態を示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る、排水管200が採用された排水配管部材20を示す側面図(排水管200以外は断面図)である。 本発明の第3の実施の形態に係る、排水管300が採用された排水配管部材30を示す側面図(排水管300以外は断面図)である。 本発明の第4の実施の形態に係る、排水管継手400が採用された排水配管部材40を示す側面図(排水管継手400以外は断面図)である。 本発明の第5の実施の形態に係る、(A)排水管継手500が採用された排水配管部材50を示す側面図(排水配管部材50の左半分以外は断面図)であって、(B)図6(A)に示す領域6Bにおける排水配管部材50の拡大断面図である。 図6に示す排水配管部材50において樹脂製カバー560に耐熱マット550を固定する手順を説明するための図である。
以下において、本発明の第1の実施の形態に係る、排水管継手100が採用された排水配管部材10を図1および図2を参照して、排水管200が採用された排水配管部材20を図3を参照して、排水管300が採用された排水配管部材30を図4を参照して、排水管継手400が採用された排水配管部材40を図5を参照して、排水管継手500が採用された排水配管部材50を図6および図7を参照して、詳しく説明するとともに、防火区画構造および排水配管部材の施工方法についても詳しく説明する。ここで、以下の説明において、外周面と外表面と外側、外層側と外周側と外側、内層側と内周側と内側、とは、明確に区別して記載していない場合がある。また、本発明との関連性が低い、排水管継手100、400、500または排水管200、300が備える、制振材、吸音材、遮音カバー、止水パッキン等は図面に記載していない場合があり、説明もしていない場合がある。
<第1の実施の形態:排水配管部材の構造(その1)>
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る排水配管部材10は、排水管継手100(排水集合管とも記載される)を用いた排水配管部材である。この排水配管部材10は、建築物における床スラブSを貫通する排水配管に用いられる排水配管部材であって、床スラブSの貫通孔内に配置される排水管継手100と、排水管継手100よりも下方に設けられる下階排水管530と、排水管継手100または下階排水管530(ここでは下階排水管530)において熱膨張機能を発現する部位を内包するように排水管継手100または下階排水管530の外周面(ここでは排水管継手100の下端側の一部および下階排水管530の上端側の一部に跨った外周面)に筒状に設けられる耐熱マット150とを備える。耐熱マット150は、耐熱温度が800℃以上である所定長さの無機繊維を絡み合わせて形成され、火災時を含めて筒状の形状を維持する形状維持機構および耐熱マット150自体が落下しない落下防止機構を備える。この耐熱マット150の詳細については後述する。
ここで、排水管継手100は鋳鉄製であるように、かつ、下階排水管530は熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製、または、下階排水管530の管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であるように構成することができる。ここでは、下階排水管530が、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製(耐火ビニル製)パイプであるとして説明する。そして、耐熱マット150の落下防止機構は、耐熱マット150が鋳鉄製の排水管継手100に固定されることにより実現されるように構成することができる。なお、上階排水管520も下階排水管530と同じく熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製(耐火ビニル製)パイプである。
なお、限定されるものではないが、排水管継手100は、床スラブSの上方で上階からの排水を流入させる上階側の上階排水管520と、床スラブSの上方で(ここでは3本の)排水横枝管510と、床スラブSの下方で下階に排水を流出させる下階側の下階排水管530と接続されている。なお、上階側の上階排水管520は継手524で2本の上階排水管520が接続されるとともに、それらの管体の外周には立管被覆材522が巻着されている。また、排水管継手100の管体の外周には貫通部被覆材102が、下階側の下階排水管530の管体の外周には立管被覆材532が、それぞれ巻着されている。
排水管継手100は、鋳鉄で形成されていてそれ自体が耐火性を備え、通常の火災時の熱によっては変形も溶融も燃焼もしない。そして、排水管継手100は、図1に示すように、建築物に施工された際に、床スラブSの貫通孔を含んで配置される管本体110と、その床スラブSの上方に突出し上階からの排水を流入させる排水立管(ここでは上階排水管520)を接続する上立管接続部120と、その床スラブSの下方に突出し下階に排水を流出させる排水立管(ここでは下階排水管530)を接続する排水管接続部130と、その床スラブSの上方で排水横枝管510を接続する横枝管接続部140とを備える。なお、管本体110は、スラブSの位置に配置される直管部116と、直管部116の下部の縮径部118とで構成され、縮径部118にはその内面に旋回羽根等が設けられることがある。なお、これらの配管構造は一例であって、例示した配管構造に限定して本発明に係る排水配管部材が採用されるものではない。
ここで、耐熱マット150が跨って設けられる部分である、排水管継手100と下階側の下階排水管530との接続部分について説明する。排水管継手100においては、プレーンエンドな下階排水管530を接続するために排水管接続部130の下端面側に(鋳鉄製の)フランジ162および押し輪160を備えたメカニカル継手部を備え、下階排水管530の外周面とメカニカル継手部の内周面であって上下方向がフランジ162と押し輪160との間に設けられたゴム輪164を(複数組のボルト180およびナット170でフランジ162と押し輪160とを締結することにより)圧縮して面圧を発生させて止水して、鋳鉄製の排水管継手100と耐火性合成樹脂製(耐火ビニル製)の下階排水管530とが接続される。
そして、これらの排水管継手100と下階排水管530との接続部分を含めて(接続部分を含めるように排水管継手100と下階排水管530とに跨って)耐熱マット150が設けられる。ここで、排水管継手が鋳鉄製であって下階排水管530が熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製(耐火ビニル製)であるために、熱膨張機能を発現する部位は下階排水管530側に存在し排水管継手100側には存在しない。この熱膨張機能を発現する部位が存在する下階排水管530を内包するように下階排水管530の外周面を含めて耐熱マット150が筒状に設けられる。この場合において、このように熱膨張機能を発現する部位が存在する下階排水管530を内包するように下階排水管530に耐熱マット150が設けられるとともに、この耐熱マット150は排水管継手100の下端側の一部の外周面にも筒状に設けられる。このようにして、耐熱マット150は、熱膨張機能を発現する部位が存在する下階排水管530を内包するように、かつ、鋳鉄製の排水管継手100に固定されるように、設けられることになる。このように耐熱マットが鋳鉄製の排水管継手100に固定されることにより耐熱マット150の落下防止機能が発現されることになる。
ここで、この耐熱マット150について説明する。この耐熱マット150は、後述する他の実施の形態における耐熱マット250、耐熱マット350および耐熱マット550と(落下防止機構および/または形状維持機構を除いて)同じであるために(特に作用効果は同じ)、他の実施の形態においてこの点については繰り返して説明しない。
図1に示すように、このような排水管継手100は、床スラブSの貫通孔を貫通するように配管される。また、排水管継手100の外周面と貫通孔の内周面との間には、モルタル等の充填材Mが充填される。これによって、床スラブSの貫通孔に排水管継手100が配管された防火区画構造が形成される。そして、火災時には、下階排水管530を形成する合成樹脂に含有された熱膨張材が膨張することによって、床スラブSの下階で発生した熱、火炎および煙などが貫通孔を通過して上階側に到達することが防止される。
なお、この図1に示す床スラブSは、(最下階以外の)中間階の床を形成するものであっても、最下階の床を形成するものであっても構わない。さらに、このように床スラブSが中間層の床を形成しても最下階の床を形成しても構わない点は、他の実施の形態においても(後述する図3~図6における床スラブS)同じであるために、他の実施の形態においてこの点については繰り返して説明しない。
ここで、熱膨張材が膨張して防火区画構造を実現するためには、熱膨張した熱膨張材が所定の位置で適切に保持されることが必要であるが、本出願人による耐火試験において、熱膨張材の一部が所定の位置から落下してしまう可能性のあることが分かった。一方、熱膨張機能を発現する部位を耐熱温度が400℃程度のグラスウール、または耐熱温度が650℃程度のロックウールを用いて形成したカバーが公知であり、管本体に巻き付けて装着されるものが一般的である。グラスウールおよびロックウールは、一般的には耐熱性の高い材質として知られているが、グラスウールまたはロックウールを用いて形成したカバーは、本出願人による耐火試験において、その一部が開いたり(形状維持できなかったり)、脱落したり(落下防止できなかったり)してしまう可能性のあることが分かった。
そこで、本発明においては、ロックウールよりも耐熱性の高い無機繊維によって耐熱マット150を形成し、火災時には、このように形状維持機構と落下防止機構とを兼ね備えた耐熱マット150を利用して熱膨張材を保持することにより熱膨張材が適切に膨張して防火区画構造を実現できるようにした。すなわち、火災時において熱膨張材の適切な膨張を実現するための部材として、形状維持機構と落下防止機構とを兼ね備えた耐熱マット150を採用するようにしている。以下、耐熱マット150の構成について具体的に説明する。
耐熱マット150は、熱膨張機能を発現する部位を内包するように(ここでは下階排水管530の外周面を覆うように)、かつ、排水管継手100の下端側の一部および下階排水管530の上端側の一部に跨った外周面に筒状に設けられる。
そして、この耐熱マット150としては、耐熱温度が800℃以上である所定長さの無機繊維を絡み合わせて形成した平面状のマット部材(不織布マット)を筒状にしたものが用いられる。このように形成された耐熱マット150は、多孔質構造となり、その内周面および外周面には無数の凹凸が形成され後述するアンカ効果を発現する。
具体的には、無機繊維をニードルパンチ加工によって絡み合わせて形成した平面状の不織布マットを、図2に示すように管体を覆うことができるように筒状に形成される。
さらに、図2に示すように、この耐熱マット150は、形状維持機構を備え、筒状が元の平面状に戻らない機能を備える。さらに詳しくは、耐熱マット150が備える形状維持機構は、筒状に形成した不織布マットの端部どうしを接合する接合部材を用いることにより、筒状が元の平面状に戻らない機能を備える。具体的には、図2(A)に示す耐熱マット施工前における、複数のスナップボタン(メス側スナップボタン156およびオス側スナップボタン158)を、図2(B)に示す耐熱マット施工後のように、オス側スナップボタン158をそれと対になるメス側スナップボタン156に嵌合させることにより、筒状に形成した不織布マットの端部どうしを接合して筒状が元の平面状に戻らない形状維持機能を備える。なお、このスナップ以外の接合部材として、ホック、フック、ボタン、縫製、面ファスナー等があり、接合部材以外に、筒状に形成した不織布マットの外周1周分を巻着する巻着部材を用いるようにしても構わない。このような巻着部材として、番線、バンド、固定テープ(面ファスナー)等がある。なお、上述したように、耐熱マット150は、耐熱温度が800℃以上である所定長さの無機繊維を絡み合わせて形成した平面状のマット部材(不織布マット)を筒状に形成したものであって、不織布マット152には(不織布以外の)外層シート材154を付着させても構わない。
上記のように筒状に形成して、さらに形状維持機構および落下防止機構を備えた耐熱マット150を採用する理由は、耐熱温度が800℃以上である無機繊維で形成され、筒状が元の不織布マットの平面状に戻らず、かつ、耐熱マット150自体が落下しないために、火災時においても耐熱マット150の形状を筒状に保持できて、かつ、落下しないで、熱膨張機能を発現する部位を内包する形態を維持することができるようになるためである。
また、無機繊維をバインダで一体化したマット部材を用いることも考えられるが、これでは火災時にバインダが揮発して耐熱マット150の筒状の形状を保持できなくなるおそれがある。これに対して、無機繊維を機械的に絡み合わせて形成したマット部材(平面状の不織布マット)を用いることで、火災時に耐熱マット150の形状および位置を適切に保持することができる。
ここで、限定されるものではないが、図2(B)に示すように、上記のように外周面に巻き付けられて筒状に形成された耐熱マット150は、下方に行くに従って径小となるテーパ部分(図2(B)における耐熱マット150の下半分)を備えることも好ましい。
ここで、無機繊維としては、シリカ繊維、グラスウール繊維、生体溶解性セラミック繊維、ステンレス繊維などの金属繊維、カーボン繊維、アルミナ繊維、およびこれらの無機繊椎を2種以上混ぜ合わせた混合繊維などを用いることができる。この中でも、コストおよび成形性などを考慮すると、シリカ繊維を用いることが好ましい。このため、本実施の形態においては、無機繊維として耐熱温度が800℃以上を満足する耐熱温度が900℃であるシリカ繊維を用いている。また、本実施の形態においては、無機繊維として耐熱温度が300℃~400℃程度であるグラスウール繊維を用いる場合もある。
また、無機繊維の繊維長(所定長さ)は、50mm以上150mm以下であることが好ましい。繊維長が50mm未満であると、マット部材を筒状に形成する際に、繊維どうしが分離してしまい、繊維の落下および飛散が発生して筒状に形成することが困難となるからである。また、繊維長が150mmを超えると、マット部材を形成する際の成形性が低下するからである。なお、無機繊維の繊維長は、50mm以上150mm以下の範囲内で略同じ長さに揃えられていることが好ましいが、異なる長さのものが混在していても構わない。
このような耐熱マット150を備える排水管継手100(および防火区画構造)においては、火災時においても、耐熱マット150が備える形状保持機構および落下防止機構により、耐熱マット150が開いたりすることなくその形状およびその位置を保持することができる。また、火災時に熱膨張した熱膨張材は、耐熱マット150の内周面に形成される凹凸に絡まり、そのアンカ効果によって耐熱マット150内から落下し難くなる。したがって、熱膨張した熱膨張材は、耐熱マット150によって適切に保持され、耐熱マット150から落下し難い。
以上のように、本実施の形態によると、火災時に熱膨張した熱膨張材が耐熱マット150によってその形状および位置が保持されるので、熱膨張材の使用量を増やすことなく、建物において貫通孔を備えた床スラブSにおける防火区画構造を実現でき、床スラブSの下階で発生した熱、火炎および煙などが貫通孔を通過して上階側に到達することを防止することができる。
<第2の実施の形態:排水配管部材の構造(その2)>
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る排水配管部材20について説明する。本発明の実施の形態に係る排水配管部材20は、排水管200を用いた排水配管部材である。ここで、この排水管200は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂(耐火ビニルパイプ)であっても構わないが、ここでは熱膨張材を含有しない非耐火性合成樹脂(単なるビニルパイプ)であって管体とは別に熱膨張材210を備えた非耐火性合成樹脂製である。そして、耐熱マット250が備える落下防止機構は、耐熱マット250が床スラブSに固定されることにより実現されている。それ以外の構造については、上述した第1の実施の形態と同じであるためにここでの詳細な説明は繰り返さない。ここで、この図2に示す排水配管部材20においては、床スラブSの貫通孔内に配置される排水管200を描いている。ここでは、この床スラブSの貫通孔内に配置される排水管200は、図示しない(貫通孔よりも下方に設けられる)下階排水管と同一である。ただし、下階排水管は、排水管200と同一であるものに限定されるものではない。
図3に示すように、本実施の形態に係る排水配管部材20における耐熱マット250は、熱膨張機能を発現する部位である熱膨張材210を内包するように排水管200の外周面に、耐熱マット250が筒状に、かつ、鍔部252を備えるように設けられる。そして、この耐熱マット250は、スラブS下面に設けられたインサート(ナットアンカー、本体埋め込み式雌ネジアンカー)270に鍔部252に複数設けられたボルト穴を介してボルト280を挿入して、ボルト280をインサート270にねじ止めすることにより固定される。ここで、インサート270に替えてアンカーボルトをスラブSに打ち込んで、ボルト280に替えてナットをアンカーボルトにねじ止めするようにしても構わない。
このように、耐熱マット250が床スラブSに固定されることにより落下防止機構が発現され、熱膨張材210を内包するように排水管200の外周面に耐熱マット250が筒状に設けられることにより形状維持機構が発現される。この場合において、耐熱マット250は、その外表面に無数の凹凸を有しているために、耐熱マット250の鍔部252の上面に接するように施工される充填材Mは、耐熱マット250の上端面に入り込む状態で固化しており、そのアンカ効果によって耐熱マット250がスラブSから落下することを(インサート270に鍔部252に複数設けられたボルト穴を介してボルト280を締結させたことに加えて)防止している。また、火災時に熱膨張した熱膨張材は、耐熱マット250の内周面に形成される凹凸に絡まり、そのアンカ効果によって耐熱マット250内から落下し難くなる。したがって、熱膨張した熱膨張材は、耐熱マット250によって適切に保持され、耐熱マット250から落下し難い。
以上のように、本実施の形態によると、火災時に熱膨張した熱膨張材が耐熱マット250によってその形状および位置が保持されるので、熱膨張材の使用量を増やすことなく、建物において貫通孔を備えた床スラブにおける防火区画構造を実現でき、床スラブSの下階で発生した熱、火炎および煙などが貫通孔を通過して上階側に到達することを防止することができる。
<第3の実施の形態:排水配管部材の構造(その3)>
次に、図4を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る排水配管部材30について説明する。本発明の実施の形態に係る排水配管部材30は、排水管300を用いた排水配管部材である。ここで、この排水管300は、熱膨張材を含有しないで管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂(単なるビニルパイプ)であっても構わないが、ここでは熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂(耐火ビニルパイプ)であって、管体とは別に熱膨張材を備えない耐火性合成樹脂製である。そして、耐熱マット350が備える落下防止機構は、耐熱マット350の少なくとも一部が床スラブSに埋設されることにより実現されている。それ以外の構造については、上述した第1の実施の形態と同じであるためにここでの詳細な説明は繰り返さない。ここで、この図3に示す排水配管部材30においては、床スラブSの貫通孔内に配置される排水管300を描いている。ここでは、この床スラブSの貫通孔内に配置される排水管300は、図示しない(貫通孔よりも下方に設けられる)下階排水管と同一である。ただし、下階排水管は、排水管300と同一であるものに限定されるものではない。
図4に示すように、本実施の形態に係る排水配管部材30における耐熱マット350は、熱膨張機能を発現する排水管300を内包するように排水管300の外周面に、耐熱マット350が筒状に、かつ、耐熱マット350の少なくとも一部(ここでは上方側の約2/3~約3/4)がスラブSに埋設されるように設けられる。
このように、耐熱マット350の少なくとも一部が床スラブSに埋設されることにより落下防止機構および形状維持機構(形状維持機構は排水管300を内包するように排水管300の外周面に耐熱マット350が筒状に設けられることにも起因する)が発現される。この場合において、耐熱マット350は、その内周面および外周面に無数の凹凸を有しているために、耐熱マット350の外周面に接するように施工される充填材Mは、耐熱マット350の外周面に入り込む状態で固化しており、そのアンカ効果によって火災時に耐熱マット350がスラブSから落下することを(スラブSに耐熱マット350の少なくとも一部を埋設させたことに加えて)防止している。また、火災時に熱膨張した熱膨張材は、耐熱マット350の内周面に形成される凹凸に絡まり、そのアンカ効果によって耐熱マット350内から落下し難くなる。したがって、熱膨張した熱膨張材は、耐熱マット350によって適切に保持され、耐熱マット350から落下し難い。
以上のように、本実施の形態によると、火災時に熱膨張した熱膨張材が耐熱マット350によってその形状および位置が保持されるので、熱膨張材の使用量を増やすことなく、建物において貫通孔を備えた床スラブにおける防火区画構造を実現でき、床スラブSの下階で発生した熱、火炎および煙などが貫通孔を通過して上階側に到達することを防止することができる。
<第4の実施の形態:排水配管部材の構造(その4)>
次に、図5を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る排水配管部材40について説明する。本発明の実施の形態に係る排水配管部材40は、排水管継手400(排水集合管とも記載される)を用いた排水配管部材である。ここで、この排水管継手400は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂(耐火ビニルパイプ)であっても構わないが、ここでは熱膨張材を含有しない非耐火性合成樹脂(単なるビニルパイプ)であって管体とは別に熱膨張材210を備えた非耐火性合成樹脂製である。そして、耐熱マット250が備える落下防止機構は、耐熱マット250が床スラブSに固定されることにより実現されている。それ以外の構造については、上述した第2の実施の形態と同じであるためにここでの詳細な説明は繰り返さない。
以上のように、本実施の形態によると、火災時に熱膨張した熱膨張材が耐熱マット250によってその形状および位置が保持されるので、熱膨張材の使用量を増やすことなく、建物において貫通孔を備えた床スラブにおける防火区画構造を実現でき、床スラブSの下階で発生した熱、火炎および煙などが貫通孔を通過して上階側に到達することを防止することができる。
<第5の実施の形態:排水配管部材の構造(その5)>
次に、図6および図7を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る排水配管部材50について説明する。本発明の実施の形態に係る排水配管部材50は、排水管継手500(排水集合管とも記載される)を用いた排水配管部材である。ここで、この排水管継手500は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂(耐火ビニルパイプ)であっても構わないが、ここでは熱膨張材を含有しない非耐火性合成樹脂(単なるビニルパイプ)であって管体とは別に熱膨張材210を備えた非耐火性合成樹脂製である。第1の実施の形態における排水管継手100との対比において、素材が鋳鉄製ではなく(管体とは別に熱膨張材210を備えた)非耐火性合成樹脂製である点、横枝管接続部140が3本ではなく1本である点(ただし横枝管接続部140が1本に限定されるものではない)、および、旋回羽根119を備える点が、この排水管継手500と排水管継手100とで異なり、それら以外の点で共通する。また、第4の実施の形態における排水管継手400との対比において、素材が(管体とは別に熱膨張材210を備えた)非耐火性合成樹脂製である点が、この排水管継手500と排水管継手400とで共通する。そのため、この排水管継手500を示す図6および図7において、これらの実施の形態に係る排水管継手100(図1)および排水管継手400(図5)と共通する構成については同じ参照符号を付しており、それらの説明はここでは繰り返さない。
ここで、本実施の形態に係る排水管継手500における耐熱マット550の落下防止機構について、図6および図7を参照して詳しく説明する。
排水管継手500は、耐熱マット550の外周を覆う、排水管継手500と一体化される樹脂製カバー560をさらに備える。そして、落下防止機構は、樹脂製カバー560に耐熱マット550が固定されることにより実現される。
さらに特徴的であるのは、このように実現される落下防止機構は、熱膨張機能を発現する部位(熱膨張材210の位置)よりも上方の位置において、樹脂製カバー560に耐熱マット550が固定される。
限定されるものではないが、この落下防止機構は、樹脂製カバー560の内周面に設けられた係止部562と、耐熱マット550の外周面に設けられた被係止部552とが係止されることにより、樹脂製カバー560に耐熱マット550が固定される。
さらに、限定されるものではないが、この係止部562は突起であって、被係止部552はこの突起(係止部562)に係止される溝(スリット)であって、樹脂製カバー560の内周面に設けられた係止部562である突起が、耐熱マット550の外周面に設けられた被係止部552である溝に係止されることにより、樹脂製カバー560に耐熱マット550が固定される。なお、樹脂製カバー560の内周面に設けられる係止部562である突起は、被係止部552である溝の位置および個数に対応して設けられている。また、耐熱マット550の外周面に設けられた被係止部552である溝は、限定されるものではないが、図6(B)および図7(B)に示すように、耐熱マット550の外周面から内周面まで貫通するように設けられている。
ここで、この樹脂製カバー560は、排水管継手500の本体と止水パッキン570により一体化されている。さらに、施工方法に関連するが、樹脂製カバー560は、建物の床スラブSを貫通する区画貫通部にモルタル等の充填材Mにより埋め戻しされて、樹脂製カバー560により落下が防止された耐熱マット550を備えた排水管継手500が床スラブSに固定されることになる。この場合において、樹脂製カバー560は(耐熱マット550の落下を防止するとともに)排水管継手500として一体化されている。なお、本実施の形態においては、形状維持機構は、(樹脂製カバー560自体は焼失してしまう可能性があるために形状維持機構を備えることができない場合があり)、たとえば、耐熱マット550自体を、縫製、ステープル留めすること等により実現することになる。
次に、図7を参照して、この排水管継手500の本体に、落下防止機構を備えた耐熱マット550をセットする手順について簡単に説明する。図7(A)に示す状態は、熱膨張材210として耐火テープが(施工後に床スラブSよりも下方に位置する)直管部116に巻き付けられた後であって、耐熱マット550および樹脂製カバー560がセットされる前の状態である。この図7(A)に示す状態の排水管継手500に耐熱マット550を(筒状に形成された状態で)覆い被せたり、(平面状から筒状になるように)巻き付けたりして、図7(B)に示す状態になる。上述したように、この耐熱マット550の外周面には(内周面に貫通するように)、被係止部552である溝が複数箇所(ここでは4箇所)設けられている。このとき、筒状に形成された耐熱マット550を縫製、ステープル留めすること等により、形状維持機構を発現させる。
ここで、耐熱マット550の素材がシリカ繊維でなくグラスウール繊維(耐熱温度300℃~400℃程度)の場合には、落下防止機構さえあれば、形状維持機構を備えなくても耐火性能を発揮することが可能である。すなわち、耐熱マット550の素材としてグラスウール繊維を用いた場合には、火災時において排水管または排水管継手が塩化ビニル製であってその塩化ビニルの燃え殻と溶融したグラスウール繊維とが一体となって区画貫通部を閉塞させて、熱膨張機能を発現する部位(熱膨張材210の位置)より上の落下防止部分と繋がっていて、グラスウール繊維製の耐熱マット550が落下しないために耐火性能を発揮することができる。
次に、この図7(B)に示す状態の排水管継手500に樹脂製カバー560を黒矢示で示すように挿入して、図7(C)に示す状態になる。上述したように、この樹脂製カバー560の内周面には係止部562である突起が、被係止部552である溝の位置および個数に対応して設けられている。そして、この図7(D)に示す排水管継手500においては、樹脂製カバー560の内周面に設けられた係止部562である突起と、耐熱マット550の外周面に設けられた被係止部552である溝とが係止されることにより、樹脂製カバー560に耐熱マット550が固定される。さらに、この場合において、樹脂製カバー560に耐熱マット550が固定されている上下方向の位置(落下防止機構の上下方向の位置)については、熱膨張機能を発現する部位(熱膨張材210の位置)よりも上方の位置である。このような上下関係の位置である(熱膨張材210よりも上方に落下防止機構が存在している)ために、下方にあると(熱膨張材210よりも下方に落下防止機構が存在していると)熱膨張材210よりも手前(下側)で火災の影響を受けて落下防止機構が焼失して耐熱マット550が落下してしまう可能性があるが、そのような可能性を確実に防止することができる。
なお、図7を参照して説明した手順は、後述する排水配管部材の施工方法において実行しても構わないし、施工現場への搬入時には図7(D)に示す形態(熱膨張材210、耐熱マット550および樹脂製カバー560がセット済みの形態)が実現されていても構わない。ここで、耐熱マット550が予めセットされた状態の樹脂製カバー560を図7(A)に示す状態の排水管継手500に挿入しても構わないし、さらに熱膨張材210も樹脂製カバー560の中に(耐熱マット550とともに)予めセットされていても構わない。また、止水パッキン570は、図7(A)に示す状態で排水管継手500にセットされていても構わない。
以上のように、本実施の形態によると、火災時に熱膨張した熱膨張材が耐熱マット550によってその形状および位置が保持されるので、熱膨張材の使用量を増やすことなく、建物において貫通孔を備えた床スラブにおける防火区画構造を実現でき、床スラブSの下階で発生した熱、火炎および煙などが貫通孔を通過して上階側に到達することを防止することができる。
<排水配管部材を用いた防火区画構造>
図1、図3~図7に示すように、このような排水管継手100、排水管200、排水管300、排水管継手400および排水管継手500は、床スラブSの貫通孔を貫通するように配管される。また、これらの排水管継手100、排水管200、排水管300、排水管継手400、および、排水管継手500の外周面(排水管継手500については樹脂カバー560が排水管継手500として一体化されているために樹脂カバー560の外周面)と貫通孔の内周面との間には、モルタル等の充填材Mが充填される。これによって、床スラブSの貫通孔にこのような排水管継手100、排水管200、排水管300、排水管継手400、および、排水管継手500が配管された防火区画構造が形成される。そして、火災時には、下階排水管530を形成する合成樹脂に含有された熱膨張材、排水管200の外周に設けられた熱膨張材210、排水管300を形成する合成樹脂に含有された熱膨張材、排水管継手400の外周に設けられた熱膨張材210、または、排水管継手500の直管部116の外周に設けられた熱膨張材210が、所定の位置で適切に熱膨張して建物において貫通孔を備えた床スラブにおける防火区画構造を実現することによって、床スラブSの下階で発生した熱、火炎および煙などが貫通孔を通過して上階側に到達することが防止される。
<排水配管部材の施工方法>
排水配管部材を、建築物の床スラブSの貫通孔に配置して施工する施工方法について以下に説明する。以下においては、排水管継手100を備える排水配管部材10を代表させて説明する。なお、上述したように、排水管継手500を備える排水配管部材50の場合には、施工現場への搬入前に図7(D)に示した形態(熱膨張材210、耐熱マット550および樹脂製カバー560がセット済みの形態)が実現されていても構わないし、図7(B)および図7(C)に示したように、施工現場で形状維持機構および落下防止機構を備えるように施工するようにしても構わない。
耐熱マット150を、下階排水管530において熱膨張機能を発現する部位を内包するように、排水管継手100の下端側の一部および下階排水管530の上端側の一部の外周面に筒状に、かつ、火災時を含めて筒状の形状を維持する形状維持機構および耐熱マット自体が落下しない落下防止機構を備えるように設ける。具体的には、図2(A)に示す状態から図2(B)に示す状態へ移行させる。
次に、耐熱マット150を排水管継手100および下階排水管530に跨るように設けた後の排水配管部材10を貫通孔に設置する。
次に、排水配管部材10を貫通孔に設置した後に、排水配管部材10の外周面と貫通孔の内周面との間に充填材Mを充填する。
以上のようにして、排水管継手100を含む排水配管部材10の施工方法を実行することができて、排水管継手100を含む排水配管部材10を用いた防火区画構造を実現することができる。
ここで、上述した施工方法とは異なり、耐熱マット150が設けられていない排水管継手100を貫通孔に設置した後に、耐熱マット150を排水管継手100および下階排水管530に跨るように図2(B)に示すように設けるようにしても構わない。このように、施工手順の先後は本発明において限定されるものではない。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、建築物の床スラブSを貫通して設けられる排水配管部材およびその施工方法ならびに防火区画構造に好ましく、熱膨張材の使用量を増やすことなく、建物において貫通孔を備えた床スラブにおける防火区画構造を実現できる点で特に好ましい。
10、20、30、40、50 排水配管部材
100 (第1の実施の形態に係る)排水管継手(鋳鉄製)
200 (第2の実施の形態に係る)排水管(非耐火性合成樹脂製)
300 (第3の実施の形態に係る)排水管(耐火性合成樹脂製)
400 (第4の実施の形態に係る)排水管継手(非耐火性合成樹脂製)
500 (第5の実施の形態に係る)排水管継手(非耐火性合成樹脂製)
150、250、350、550 耐熱マット
210 熱膨張材
120 上立管接続部
130 排水管接続部
140 横枝管接続部
520 上階排水管
530 下階排水管

Claims (20)

  1. 建物の床スラブを貫通する排水配管に用いられる排水配管部材であって、
    前記床スラブの貫通孔内に配置される排水管または排水管継手と、
    前記貫通孔よりも下方に設けられる下階排水管と、
    前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管において熱膨張機能を発現する部位を内包するように前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管の外周面に筒状に設けられる耐熱マットとを備え、
    前記下階排水管は、前記排水管と同一である場合を含み、
    前記耐熱マットは、
    耐熱温度が800℃以上である所定長さの無機繊維を絡み合わせて形成され、火災時を含めて前記筒状の形状を維持する形状維持機構および前記耐熱マット自体が落下しない落下防止機構を備える、排水配管部材。
  2. 前記排水管継手は鋳鉄製であって、
    前記下階排水管は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製または管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であって、
    前記落下防止機構は、前記耐熱マットが前記鋳鉄製の前記排水管継手に固定されることにより実現される、請求項1に記載の排水配管部材。
  3. 前記排水管または前記排水管継手は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製または管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であって、
    前記落下防止機構は、前記耐熱マットが前記床スラブに固定されることにより実現される、請求項1に記載の排水配管部材。
  4. 前記排水管または前記排水管継手は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製または管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であって、
    前記落下防止機構は、前記耐熱マットの少なくとも一部が前記床スラブに埋設されることにより実現される、請求項1に記載の排水配管部材。
  5. 前記耐熱マットは、平面状の不織布マットが、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管の外周面に巻き付けられることにより筒状に形成され、
    前記形状維持機構は、前記筒状が前記平面状に戻らない機能を備える、請求項1~請求項4のいずれかに記載の排水配管部材。
  6. 前記形状維持機構は、前記筒状に形成した不織布マットの端部どうしを接合する接合部材を用いることにより、前記筒状に形成した不織布マットの外周1周分を巻着する巻着部材を用いることにより、または、前記耐熱マットが前記床スラブに埋設されることにより、前記筒状が前記平面状に戻らない機能を備える、請求項5に記載の排水配管部材。
  7. 前記排水管または前記排水管継手は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製または管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であって、
    前記排水配管部材は、前記耐熱マットの外周を覆う樹脂製カバーであって、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管と一体化される樹脂製カバーをさらに備え、
    前記落下防止機構は、前記樹脂製カバーに前記耐熱マットが固定されることにより実現される、請求項1に記載の排水配管部材。
  8. 前記落下防止機構は、前記熱膨張機能を発現する部位よりも上方の位置において、前記樹脂製カバーに前記耐熱マットが固定されることにより実現される、請求項7に記載の排水配管部材。
  9. 前記落下防止機構は、前記樹脂製カバーの内周面に設けられた係止部と、前記耐熱マットの外周面に設けられた被係止部とが係止されることにより実現される、請求項7または請求項8に記載の排水配管部材。
  10. 前記係止部は突起であって、前記被係止部は前記突起に係止される溝である、請求項9に記載の排水配管部材。
  11. 前記樹脂製カバーは、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管と止水パッキンにより一体化される、請求項7~請求項10のいずれかに記載の排水配管部材。
  12. 前記外周面に巻き付けられて筒状に形成された前記耐熱マットは、下方に行くに従って径小となるテーパ部分を備える、請求項5~請求項11のいずれかに記載の排水配管部材。
  13. 前記無機繊維はシリカ繊維である、請求項1~請求項12のいずれかに記載の排水配管部材。
  14. 建物の床スラブを貫通する排水配管に用いられる排水配管部材であって、
    前記床スラブの貫通孔内に配置される排水管または排水管継手と、
    前記貫通孔よりも下方に設けられる下階排水管と、
    前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管において熱膨張機能を発現する部位を内包するように前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管の外周面に筒状に設けられる耐熱マットとを備え、
    前記下階排水管は、前記排水管と同一である場合を含み、
    前記耐熱マットは、無機繊維を絡み合わせて形成され、前記耐熱マット自体が落下しない落下防止機構を備え、
    前記排水管または前記排水管継手は、熱膨張材を含有した耐火性合成樹脂製または管体とは別に熱膨張材を備えた非耐火性合成樹脂製であって、
    前記排水配管部材は、前記耐熱マットの外周を覆う樹脂製カバーであって、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管と一体化される樹脂製カバーをさらに備える、排水配管部材。
  15. 前記落下防止機構は、前記樹脂製カバーに前記耐熱マットが固定されることにより実現される、請求項14に記載の排水配管部材。
  16. 前記無機繊維はグラスウール繊維である、請求項14または請求項15に記載の排水配管部材。
  17. 前記排水管または前記排水管継手は、塩化ビニル製である、請求項14~請求項16のいずれかに記載の排水配管部材。
  18. 貫通孔が形成された床スラブと、
    前記貫通孔を貫通するように設けられた請求項1~請求項17のいずれかに記載の排水配管部材と、
    前記排水配管部材の外周面と前記貫通孔の内周面との間に充填された充填材とを備える、排水配管部材を用いた防火区画構造。
  19. 前記床スラブは最下階の床を形成する、請求項18に記載の防火区画構造。
  20. 貫通孔が形成された床スラブに、請求項1~請求項17のいずれかに記載の排水配管部材を施工する施工方法であって、
    前記耐熱マットを、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管において熱膨張機能を発現する部位を内包するように、前記排水管、前記排水管継手または前記下階排水管の外周面に筒状に、かつ、火災時を含めて前記筒状の形状を維持する形状維持機構および前記耐熱マット自体が落下しない落下防止機構を備えるように設けるステップと、
    前記排水配管部材を前記貫通孔に設置するステップと、
    前記排水配管部材の外周面と前記貫通孔の内周面との間に充填材を充填するステップとを含む、排水配管部材の施工方法。
JP2021181203A 2020-11-24 2021-11-05 排水配管部材およびその排水配管部材の施工方法、ならびに、その排水配管部材を用いた防火区画構造 Pending JP2022083408A (ja)

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