JP2022082886A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】着用者の動作時においても、高いフィット性を有し、かつ、着用者の肌との擦れを抑制することが可能な吸収性物品の提供に関する。【解決手段】吸収性物品は、吸収性コアと、該吸収性コアと前記厚み方向に積層された複数のシートと、を備える。複数のシートは、縦方向における伸縮性を有する伸縮性シートを少なくとも1つ含む。伸縮性シートは、着用者の排泄部と対向する排泄部対向領域を挟んで横方向両側に配置された縦方向に延びる左右の接着剤によって、厚み方向に隣接するシート又は吸収性コアに固定された左右の接着領域と、左右の接着領域の間に配置された、隣接するシート又は吸収性コアに固定されていない非接着領域と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品は、排泄液の漏れ防止や装着感の向上等の観点から、着用者の身体に追従し、高いフィット性を有することが求められる。例えば特許文献1には、着用者の動きに対する追従性、防漏性及び装着感の向上等の観点から、吸収シートの表面シート側の面上に、不織布製の伸長性シートが配されている吸収性物品が記載されている。
特開2009-153736号公報
吸収性物品の着用者の肌へのフィット性を高めることにより、肌と吸収性物品が接触し、それに伴う肌の擦れによって、肌トラブルが生じやすくなる。そこで、着用者の動作時においても、高いフィット性を維持しつつ、着用者の肌と吸収性物品との擦れを抑制することが可能な吸収性物品が求められている。
本発明の課題は、着用者の動作時においても、高いフィット性を有し、かつ、着用者の肌との擦れを抑制することが可能な吸収性物品の提供に関する。
本発明の一形態に係る吸収性物品は、着用者の前後方向に対応する縦方向、該縦方向に直交し着用者の左右方向に対応する横方向、及び該縦方向及び該横方向に直交する厚み方向を有し、吸収性コアと、表面シート及び裏面シートを含み該吸収性コアと前記厚み方向に積層された複数のシートと、を備える。
前記複数のシートは、前記縦方向における伸縮性を有する伸縮性シートを少なくとも1つ含む。
前記伸縮性シートは、
着用者の排泄部と対向する排泄部対向領域を挟んで前記横方向両側に配置された前記縦方向に延びる左右の接着剤によって、前記厚み方向に隣接するシート又は前記吸収性コアに固定された左右の接着領域と、
前記左右の接着領域の間に配置された、前記隣接するシート又は前記吸収性コアに固定されていない非接着領域と、を有する。
本発明の吸収性物品によれば、着用者の動作時においても、高いフィット性を有し、かつ、着用者の肌との擦れを抑制することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る吸収性物品を示す平面図である。 図1のII-II線で切断した断面を示す断面図である。 上記吸収性物品の伸縮性シートの各領域と防漏溝との関係を示す要部の平面図であり、(A)が図1に対応する態様を示し、(B)及び(C)が他の構成例を示す。 上記吸収性物品の縦断面と着用者の肌との関係を模式的に示す断面図である。 上記第1実施形態の変形例に係る吸収性物品を示す平面図である。 上記第1実施形態の他の変形例に係る吸収性物品を示す平面図である。 上記吸収性物品の表面シートの一構成例を示す拡大平面図である。 図7のVIII-VIII線で切断した上記表面シートの断面を示す拡大断面図である。 本発明の第2実施形態に係る吸収性物品の要部を示す断面図であり、図2と同様の位置における断面の一部を拡大した図である。 上記第2実施形態の変形例に係る吸収性物品の要部を示す断面図であり、図2と同様の位置における断面の一部を拡大した図である。 本発明の実施例における吸収性物品と肌との擦れにくさの評価方法を説明する模式的な断面図である。 上記実施例において引張試験機によって作成されたチャートの一例を示す図であり、縦軸が摩擦力、横軸が錘の変位(mm)を示す。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1実施形態>
[ナプキン(吸収性物品)の全体構成]
本発明の第1実施形態の吸収性物品1は、図1に示すように、本体Mと、一対のウイング部Wと、を備える。吸収性物品1は、生理用ナプキンとして構成され、以下、ナプキン1と称する。なお、ナプキン1は、ウイング部Wを備えていなくてもよい。
ナプキン1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。さらに、ナプキン1は、縦方向X及び横方向Yの双方に直交する厚み方向Zを有する。なお、本明細書では、厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上又は肌側、着衣に近い側を下又は非肌側と表現することがある。
また、本明細書において、「平面視」とは、厚み方向Zから見た平面視を意味する。
また、本明細書において、「平面方向」とは、厚み方向Zと直交する方向であり、XY平面に平行な方向を意味する。
図1に示すように、ナプキン1は、縦方向Xに沿って、前方領域Fと、中間領域Cと、後方領域Rと、に区分される。
中間領域Cは、着用時に着用者の排泄部に対向する排泄部対向領域Eを含む。排泄部は、吸収性物品がナプキン1の場合、膣口である。図1において、中間領域Cは、ウイング部Wが設けられる領域である。
前方領域Fは、中間領域Cの前方(着用者の腹側)に配される領域であり、着用時に着用者の排泄部の前方に対向する。
後方領域Rは、中間領域Cの後方(着用者の背側)に配される領域であり、着用時に着用者の排泄部の後方に対向する。
ここでいう着用時とは、通常の適正な着用位置(ナプキン1の想定される着用位置)が維持された状態を意味し、ナプキン1が当該着用位置からずれた状態にある場合は含まない。
なお、ナプキン1がウイング部Wを有さない場合には、ナプキン1を縦方向Xに沿って3等分して、中央の領域を中間領域Cとし、その前方に配される領域を前方領域F、後方に配される領域を後方領域Rとする。
本体Mは、縦方向Xに沿って延び、着用者の着衣の内面に配置される。本体Mは、後述する表面シート2、吸収体4及び裏面シート3が厚み方向Zに積層されており、着用者の経血等の排泄液(以下、「液」とも称する)を吸収する機能を有する。
ウイング部Wは、中間領域Cにおける本体Mから横方向Y外側に突出する。
さらに、ナプキン1は、排泄部対向領域Eの周囲に配置され、厚み方向Zに圧搾された防漏溝6を備えていてもよい。防漏溝6は、本体Mの表面シート2側から厚み方向Zに圧搾加工等することによって形成される。防漏溝6の詳細な構成については、後述する。
なお、ナプキン1は、防漏溝6の他にも圧搾溝を有していてもよい。図1に示す例では、ナプキン1は、後方領域Rにおいて横方向Yに延びる後方圧搾溝17を有している。
図2に示すように、ナプキン1は、吸収体4と、表面シート2と、裏面シート3と、一対のサイドシート5と、を備える。これらの各部材は、例えば、接着剤や熱シール等による接合、及び防漏溝6による圧搾加工等によって、適宜接合されて一体化している。
吸収体4は、縦方向Xに沿って延び、表面シート2と裏面シート3との間に配置される。吸収体4は、液を表面シート2側の面から吸収し、内部で拡散させて当該液を保持する。
吸収体4は、吸収性コア7と、コアラップシート8と、を有する。
吸収性コア7は、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維で構成された繊維集合体で形成されてもよいし、当該繊維集合体に吸水性ポリマーを保持させた構成を有していてもよい。
コアラップシート8は、吸収性コア7を被覆するシートであり、例えば吸収性コア7の形状を保持する機能等を有する。コアラップシート8は、例えばティッシュペーパー状の薄く柔らかい紙や液透過性の不織布等で形成される。
なお、吸収体4は、コアラップシート8を有さなくてもよい。この場合、吸収性コア7は、例えば、吸水性ポリマーを含む吸収性シートの積層構造又は折り畳み構造を有していてもよい。
表面シート2は、液透過性を有し、吸収体4の厚み方向Z上方に配置される。表面シート2の詳細な構成については、後述する。
裏面シート3は、吸収体4の厚み方向Z下方に配置される。裏面シート3は、例えばその周縁において、表面シート2及びサイドシート5と、吸収体4を介さずに熱シール等によって接合される。裏面シート3は、接着剤等によって吸収体4に接合されていてもよい。
裏面シート3は、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。当該シート材としては、例えば熱可塑性樹脂のフィルムや、当該フィルムと不織布とのラミネート等を用いることができる。
なお、図示はしないが、裏面シート3の外表面には、ナプキン1を着衣に対して固定させる粘着剤が設けられていてもよい。
一対のサイドシート5は、表面シート2の横方向Y外側に配される。サイドシート5の材料としては、表面シート2よりも親水性が低いシート材料が好ましく、具体的には、表面シート2よりも親水性の低い不織布、フィルム材料、及び不織布とフィルム材料のラミネート構造のシート等が挙げられる。
このように、ナプキン1は、本体Mにおいて、吸収体4の吸収性コア7と、吸収性コア7と厚み方向Zに積層された複数のシートと、を備える。当該複数のシートは、表面シート2及び裏面シート3を含み、さらに本実施形態ではコアラップシート8を含む。当該複数のシートは、フィット性の向上及び肌との擦れ防止の観点から、以下に説明するような伸縮性シート10を少なくとも1つ含んでいる。
本実施形態では、伸縮性シート10が表面シート2である例について説明するが、これに限定されず、伸縮性シート10は裏面シート3、コアラップシート8等であってもよい。
[伸縮性シートの構成]
伸縮性シート10は、縦方向Xにおける伸縮性を有する。伸縮性シート10は、縦方向Xに加えて、横方向Yにおける伸縮性を有していてもよい。
「伸縮性」とは、伸縮可能であって、伸張後に材料の永久歪みがほとんどなく、ほぼ完全に復元可能である性質を意味する。
伸縮性シート10では、以下の方法により算出された伸張率が、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上40%以下であり、以下の方法により算出された永久歪みが、好ましくは5%以下である。
(伸張率の算出方法)
まず、伸縮性を確認したいシートを、12cm×1cmの大きさの矩形状にカットして試験片とする。試験片の長手方向は、伸縮性を確認したい方向とし、幅方向は、それと直交する方向とする。
続いて、試験片の長手方向を引張試験機(例えば株式会社オリエンテック製 テンシロン引張試験機 RTM100)を用いて引っ張る。チャック間距離は10cmとし、引っ張り速度は100mm/分とする。荷重が50gとなったところで装置を停止する。
チャート又はチャック間距離の実測により、試験片の長手方向の長さの変化を読み取り、以下の式によって伸張率を計算する。
伸張率(%)=長さの変化量(mm)/元の試験片の長さ(mm)×100
(永久歪みの算出方法)
永久歪みは、50gの荷重まで伸張し、その荷重を0gに戻した際の歪みの割合として算出される。このため、永久歪みは、上述の伸張率の測定に引き続いて測定されることが好ましい。
例えば、伸張率の測定後直ちに、100mm/分の速度で、引張試験機のチャック間距離を狭める。チャートより、引張荷重が0gとなる点を読み取る。完全に伸縮する材料の場合、0gとなるのは0mm伸張の点となり、不完全な伸縮性の材料では手前側(数mm~数cmの伸びを残した位置)で0gとなる。この0g位置の伸張率を永久歪みとする。すなわち、永久歪みは、以下の式によって算出される。
永久歪み(%)=0g復元時の伸び(mm)/元の試験片の長さ(mm)×100
伸縮性シート10は、伸縮性を有する不織布で構成されることが好ましい。「伸縮性を有する不織布」とは、伸縮可能な構成繊維を含むことにより伸縮性を発揮する不織布を意味する。これにより、伸縮性シート10の無荷重時のシワが抑制され、フィット性が確実に高められる。伸縮性シート10は、例えば、捲縮繊維又は弾性繊維を含む不織布が好ましい。伸縮性シート10を構成する不織布の具体例については、後述する。
伸縮性シート10の平面形状は、後述する接着領域11及び非接着領域12を設けることができれば特に限定されないが、以下のように構成されることが好ましい。図1及び図2に示すように、伸縮性シート10は、横方向Yにおいて、後述する排泄部対向領域Eを通ってその横方向Y外側まで延び、より好ましくは、吸収性コア7の横方向Y全幅にわたって延びる。また、伸縮性シート10は、縦方向Xにおいて、好ましくは中間領域Cの全長にわたって延び、より好ましくは、吸収性コア7の縦方向Xにおける全長にわたって延びる。
着用時において伸縮性シート10を縦方向Xに十分に伸張させる観点から、伸縮性シート10は、さらに以下のような特徴的な構成を有する。
図1及び図2に示すように、伸縮性シート10は、左右の接着領域11と、左右の接着領域11の間に配置された非接着領域12と、を有する。
図1及び図2に示すように、接着領域11は、排泄部対向領域Eを挟んで横方向Y両側に配置された縦方向Xに延びる左右の接着剤13によって、厚み方向Zに隣接するシート又は吸収性コア7に固定される。
なお、図1において、接着剤13は、実際には表面シート2側からは視認できないが、説明のため、グレーの線で示している。後述する図5及び図6についても同様である。
本明細書において、排泄部対向領域Eとは、中間領域Cの縦方向X及び横方向Y中央部に位置する、着用時に排泄部と対向し得る領域である。排泄部対向領域Eは、好ましくは、本体Mを横方向Yに2等分する縦中心線CLの左右両側にそれぞれ7.5mm広がる領域である。
「厚み方向Zに隣接するシート」は、図2に示す例では、コアラップシート8である。つまりこの例では、接着領域11は、接着剤13によってコアラップシート8に固定される。
接着剤13は、吸収性物品に用いることが可能な接着剤であり、例えばホットメルト接着剤である。
「接着剤13が縦方向Xに延びる」とは、接着剤13が全体として前方から後方に延びていることを意味する。図1に示すように、接着剤13は、排泄部対向領域Eの横方向Y両側だけでなく、中間領域Cの全長にわたって延びることが好ましく、伸縮性シート10の縦方向Xにおける全長にわたって延びることがより好ましい。
より具体的に、「接着剤13が縦方向Xに延びる」とは、接着剤13が縦方向Xに平行な線状に延びる態様に限定されず、縦方向Xに対して斜めに延びる態様、局所的に湾曲若しくは蛇行するような態様も含む。また、接着剤13は、縦方向Xに連続して塗工される態様に限定されず、例えば途切れ部を有するように間欠的に塗工される態様でもよい。接着剤13の具体的な塗工パターンとしては、スパイラル状、直線状、ストライプ状、ドット状、破線状等が挙げられる。図2に示す例では、接着剤13は、縦方向Xに延びるスパイラル状に塗工されている。
接着領域11は、接着剤13の塗工部の外縁を囲んで得られた領域を意味し、非塗工部が含まれていてもよい。図1に示す例では、接着領域11は、前方領域Fから中間領域Cを通って後方領域Rまで延びる帯状の領域である。各接着領域11の横方向Yにおける幅は、接着剤13によって伸縮性シート10を確実に固定しつつ、十分な幅の非接着領域12を設ける観点から、好ましくは5mm以上20mm以下である。
非接着領域12は、左右の接着領域11の間に配置された、厚み方向Zに隣接するシート又は吸収性コア7のいずれにも固定されていない領域である。すなわち、非接着領域12は、接着剤13が配置されない領域であって、他の部材に拘束されずに、左右の接着領域11を起点として縦方向Xに伸縮し得る領域である。
非接着領域12は、縦方向Xに延びる接着領域11間に挟まれて位置する領域であることから、縦方向Xに延びる領域となる。非接着領域12は、好ましくは、前方領域Fから中間領域Cを通って後方領域Rまで延びる。
非接着領域12は、平面視において、排泄部対向領域Eを含んでいればよく、例えば図3(A)~(C)の各構成例に示す配置を採り得る。非接着領域12は、好ましくは、縦中心線CLの左右両側にそれぞれ8mm以上20mm以下の幅で広がる領域であり、横方向Yにおける幅D(図3参照)が、好ましくは16mm以上40mm以下となる。「非接着領域12の幅D」とは、左右の接着領域11の間の横方向Yにおける距離のうち、最も狭い距離を意味する。
上記構成の作用効果について説明する。
上記構成の伸縮性シート10では、非接着領域12が、他の部材によって拘束されておらず、縦方向Xにおける伸張を規制されない状態となっている。また、非接着領域12は、横方向Yにおいて、排泄部対向領域Eをカバーする十分な幅を有する。このため、非接着領域12が、左右の接着領域11を起点として縦方向Xに十分伸縮性を発揮し得る。これにより、着用者の動作時に非接着領域12が縦方向Xに伸張し、ナプキン1(吸収性物品)が着用者の動きに追従するように変形しやすくなる。これにより、着用者の動作時においてもナプキン1(吸収性物品)と着用者の排泄部との密着状態が維持されやすくなり、フィット性が高められる。
上記密着状態において、さらに着用者が平面方向にずれるように動いた際には、着用者の肌からナプキン1(吸収性物品)に対し、平面方向に引きずるような力(以下、「引きずり力」と称する)が付加され得る。上記引きずり力は、特に、ナプキン1(吸収性物品)の長手方向である縦方向Xに沿って発生しやすい。伸縮性シート10の非接着領域12は、肌との密着部分から上記引きずり力を受けることで、縦方向Xに容易に伸張できる。これにより、上記密着状態を維持したまま非接着領域12が伸張でき、ナプキン1(吸収性物品)と肌とのずれが抑制され、肌の擦れが抑制される。この結果、ナプキン1(吸収性物品)と肌との擦れに起因する、かゆみやかぶれといった肌トラブルが抑制される。
したがって、上記構成により、着用者との高いフィット性と、肌擦れの抑制とを両立することが可能なナプキン1(吸収性物品)が得られる。
図4の模式図を用いて、本実施形態の肌擦れの抑制作用についてより具体的に説明する。
着用者の肌Sがナプキン1と接触した状態で、縦方向Xに動いた場合を想定する。この場合、ナプキン1は、肌Sから、縦方向Xに沿った引きずり力F1を受ける。これにより、縦方向Xへの伸張が規制されていない非接着領域12が、縦方向Xに伸張する。
なお、ナプキン1と肌Sとの間には、肌Sからナプキン1への厚み方向Zの押圧力(図示せず)等に起因する垂直抗力Nも作用する。
一方、肌Sとナプキン1との間には、引きずり力F1と反対方向の摩擦力F2も作用する。本実施形態では、伸縮性シート10の非接着領域12が引きずり力F1によって容易に伸張するため、引きずり力F1のエネルギが非接着領域12の伸張によって消費される。これにより、摩擦力F2が低減される。
摩擦力F2は、静摩擦係数と垂直抗力Nとの積により表される最大静摩擦力以上の大きさになると、静摩擦から動摩擦へ移行する。上記構成では、摩擦力F2が低減されるため、肌Sがナプキン1に対して相対的に移動する動摩擦へ移行しにくく、静摩擦の状態で維持されやすくなる。したがって、伸縮性シート10(表面シート2)の非接着領域12が、肌Sと密着状態を維持したまま肌Sの動きに追従して伸張し、肌Sとナプキン1との擦れが効果的に抑制される。
[防漏溝と接着領域との構成]
図1及び図2に示すように、ナプキン1は、厚み方向Zに圧搾された、縦方向Xに延びる左右の防漏溝6をさらに備えることが好ましい。防漏溝6は、例えば、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工等により形成される。
「防漏溝6が縦方向Xに延びる」とは、全体として防漏溝6が前方から後方へ延びていることを意味し、湾曲、屈曲等している態様を含む。また、防漏溝6は、不連続な多数の凹部(例えば、点エンボス、線エンボス)が列をなして形成されてもよく、比較的短い長さ(例えば8mm以下)の、溝の存在しない途切れ部があっても良い。
左右の防漏溝6は、排泄部対向領域Eの周囲に配置され、図1に示す例においては、前方領域F及び後方領域Rにおいて相互に連結される。ただし、ナプキン1においては、防漏溝6は少なくとも中間領域Cに存在していればよく、更に、排泄部対向領域Eの横方向Y両側(左右の横方向Y外側)に配置されていることが好ましい。
防漏溝6は、繊維密度が高い部分となるため、毛管作用によって液を引き込み、保持する。これにより、防漏溝6の外側への液の拡散が抑制され、防漏溝6が防漏作用を発揮する。また、防漏溝6は、周囲の領域と比較して高い剛性を有し、高剛性領域を形成する。
一方、接着領域11は、固化した接着剤13の影響により、やはり周囲の領域よりも高い剛性を有する高剛性領域となり得る。
このため、高剛性領域となり得る防漏溝6と接着領域11との位置関係を考慮することで、ナプキン1の変形性及びフィット性を制御することができる。
図3(A)~(C)に示すように、左右の接着領域11の少なくとも一部は、平面視において、左右の防漏溝6と重なることが好ましい。「接着領域11の一部が防漏溝6と重なる」ことは、図3(B)及び(C)に示すように、接着領域11の一部が、平面視において、防漏溝6と接している態様も含むものとする。
上記構成では、防漏溝6による高剛性領域と接着領域11による高剛性領域とが、重なるように配置される。このため、左側の防漏溝6及び左側の接着領域11により左側の高剛性領域が形成され、右側の防漏溝6及び右側の接着領域11により右側の高剛性領域が形成される。つまり、ナプキン1(吸収性物品)には、横方向Y中央部に配置された非接着領域12による低剛性領域と、左右の高剛性領域と、が形成されることになる。
ナプキン1(吸収性物品)の横方向Yにおける幅は、一般に着用者の股間幅よりも広いため、ナプキン1(吸収性物品)には、着用者の脚等によって横方向Y内側へ向かう外力が付加されやすい。この際、ナプキン1(吸収性物品)では、変形しにくい左右の高剛性領域(接着領域11及び防漏溝6)が基軸となり、その間の低剛性領域(非接着領域12)が肌側へ盛り上がるように変形しやすくなる。これにより、非接着領域12の広い範囲で着用者の肌との密着性が確保される。したがって、着用者がナプキン1(吸収性物品)に対して縦方向Xに動いた際にも、伸縮性シート10の非接着領域12が、着用者からの上記引きずり力をより広い範囲で受け、着用者の動きに応じてより伸張しやすくなる。この結果、上記構成により、ナプキン1(吸収性物品)と着用者の肌とのフィット性が高まるとともに、これらの擦れがより効果的に防止される。特に、防漏溝6と接着領域11とが重なるのが中間領域Cであることが上述した効果発現の観点からは好ましく、更に、排泄部対向領域Eの横方向Y両側(左右の横方向Y外側)であることが好ましい。
[吸収性コアの変形例]
吸収性コア7は、図1に示すような構成に限定されない。よりフィット性を高める観点から、吸収性コア7は、図5及び図6に示すように、横方向Y両側の側縁7sが横方向Y内側に括れた形状を有する幅狭部14を有していてもよい。幅狭部14は、吸収性コア7において、その前後の領域よりも横方向Yにおける幅が狭い領域である。
図5に示す幅狭部14は、左右の側縁7sに切り欠き14aを有する。本明細書において、「切り欠き」とは、側縁7sにおいて、吸収性コア7を構成するコア材が局所的に存在せずに、凹状に形成された領域を意味する。切り欠きの形状は、特に限定されず、略三角形状、略四角形状、円の一部若しくはそれに近い形状、楕円の一部若しくはそれに近い形状、その他の形状等が挙げられる。「コア材が存在しない」とは、吸収性コア7の本体は存在しないが、吸収性コア7の周縁から外方へ突出した繊維や、吸収性コア7から分離したコア材の一部が部分的に存在する態様を含む。
幅狭部14が一対の切り欠き14aを有する場合、幅狭部14の横方向Yにおける幅は、一対の切り欠き14aの最も横方向Y内側の端部間の距離を意味する。
図5に示すように、吸収性コア7は、複数の幅狭部14を有していてもよい。図5に示す例では、吸収性コア7は、吸収性コア7の縦方向Xにおける中間部を挟んで前後に2つの幅狭部14を有する。これら複数の幅狭部14において、切り欠き14aの形状は、同一でもよいし、相互に異なっていてもよい。前方の幅狭部14の切り欠きは、例えば、横方向Y内側かつ縦方向X後方に向かって延びている。後方の幅狭部14の切り欠きは、例えば、横方向Y内側かつ縦方向X前方に向かって延びている。
幅狭部14が切り欠き14aを有することで、着用者の動きによって側縁7sに沿った応力が発生した場合にも、切り欠き14aの前後が開いて吸収性コア7が柔軟に変形することができる。これにより、ナプキン1(吸収性物品)が身体に追従するようにより変形しやすくなり、ナプキン1(吸収性物品)と着用者とのフィット性が高まる。
図6に示す幅狭部14は、中間領域Cにおいて縦方向Xに延びる括れ形状を有する。この場合、幅狭部14の縦方向Xにおける長さは、中間領域Cの縦方向Xの全長の70%以上であることが好ましく、100%以上であること(つまり、幅狭部14が中間領域C全長に亘る形態、又は中間領域Cから前方領域F及び/又は後方領域Rまで延在している形態)がより好ましい。
図6に示す幅狭部14は、縦方向Xの中間部に最小幅となる領域を有し、その前後にテーパ形状を有する。幅狭部14は、図6に示すように、当該中間部の幅が縦方向Xに沿って一定に構成されてもよい。なお、ある領域において「幅が一定」とは、当該領域の最小幅を100%としたときに、各領域内の幅の変動が20%以下に収まっていることをいう。当該変動は、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
幅狭部14は、図6に示すような直線状の側縁7sを有する例に限定されず、側縁7sが横方向Y内側に凸な曲線状に構成されてもよい。
幅狭部14が中間領域Cにおいて縦方向Xに延びる括れ形状を有することで、着用者の脚から横方向Y内側に向かう外力が付加された場合に、幅狭部14の横方向Y外側の領域が当該外力の影響を受けて柔軟に変形する。これにより、幅狭部14の横方向Y外側の領域によって当該外力が緩衝され、吸収性コア7への当該外力の影響が緩和される。この結果、中間領域Cが横方向Yに圧縮されるように変形することが抑制され、中間領域Cが肌側に盛り上がるように好ましく変形し得る。したがって、ナプキン1(吸収性物品)と着用者とのフィット性が高まる。
以上のように、吸収性コア7が幅狭部14を有することで、ナプキン1(吸収性物品)と着用者とのフィット性が高まり、非接着領域12の広い範囲で着用者の肌との密着性が確保される。したがって、着用者がナプキン1(吸収性物品)に対して縦方向Xに動いた際にも、伸縮性シート10の非接着領域12が、着用者からの上記引きずり力をより広い範囲で受け、着用者の動きに応じてより伸張しやすくなる。この結果、上記構成により、ナプキン1(吸収性物品)と着用者の肌とのフィット性が高まるとともに、これらの擦れがより効果的に防止される。
幅狭部14は、中間領域C及び/又はその近傍に配置されていることが好ましい。「中間領域Cの近傍」とは、前方領域F又は後方領域R内の領域であって、中間領域Cとの境界部から縦方向Xに20mm以内の領域を意味する。例えば、幅狭部14が切り欠き14aを有する場合は、切り欠き14aが中間領域C又はその近傍に配置されていることが好ましい。あるいは、幅狭部14が括れ形状を有する場合は、上述のように、幅狭部14が中間領域Cに配置され、さらに、中間領域Cからその近傍(前方領域F及び/又は後方領域Rの一部)まで延在することが好ましい。これにより、着用者の排泄部とナプキン1(吸収性物品)とのフィット性が高まり、ナプキン1(吸収性物品)と着用者の排泄部との擦れがより効果的に防止される。さらに、排泄部における高いフィット性によって、ナプキン1の外側への液の漏れも抑制される。
さらに、図5及び図6に示すように、接着領域11が、幅狭部14の横方向Y外側に配置されないことが好ましい。「接着領域11が、幅狭部14の横方向Y外側に配置されない」とは、接着領域11が、平面視において、幅狭部14の横方向Y外側の領域と重ならないように配置されることを意味する。つまり、接着領域11の横方向Y外側の側縁が、幅狭部14の横方向Y外側の領域上を通らずに、幅狭部14の側縁7s上又は幅狭部14の側縁7sよりも横方向Y内側の領域上を通ることが好ましい。
上記構成により、高剛性領域である接着領域11が、幅狭部14の横方向Y外側に配置されないことになり、幅狭部14の横方向Y外側の領域における変形が阻害されにくくなる。これにより、吸収性コア7のフィット性を高める変形が阻害されず、ナプキン1(吸収性物品)と着用者の肌との密着性がより確実に高められる。したがって、ナプキン1(吸収性物品)と着用者の肌との擦れがより一層効果的に防止される。
[伸縮性シートの構成例]
伸縮性シート10は、捲縮繊維を含む伸縮層を有していることが好ましい。この場合、伸縮性シート10は、全体が捲縮繊維を含む伸縮層で構成されてもよいし、捲縮繊維を含む伸縮層と捲縮繊維を含まない非伸縮層との積層構造を有していてもよい。後者の場合、非伸縮層は、伸縮層の伸縮を阻害しないようにする観点から、伸縮層上に局所的に積層される、又は厚みの薄い領域と厚い領域とが交互に配置される、等の構成を有していることが好ましい。
上記捲縮繊維としては、繊維に機械的に2次又は3次元の捲縮を付与したものを用いることもできるが、潜在捲縮性繊維を含むことが好ましい。潜在捲縮性繊維は、加熱される前においては、従来の不織布用の繊維と同様に取り扱うことができ、かつ所定温度で加熱することによって螺旋状の捲縮が発現して収縮する性質を有する繊維である。捲縮を発現した潜在捲縮性繊維は、例えば、コイル状の捲縮繊維となっている。潜在捲縮性繊維は、例えば収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維からなる。その例としては、特開平9-296325号公報や特許第2759331号公報に記載のものが挙げられる。収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料の例としては、例えばエチレン-プロピレンランダム共重合体(EP)とポリプロピレン(PP)との組み合わせが好適に挙げられる。
伸縮性シート10の伸縮層は、捲縮繊維、特に潜在捲縮性繊維を、構成繊維全量中に25質量%以上含むことが好ましく、30~100質量%含むことがより好ましく、40~90質量%含むことが更に好ましい。
潜在捲縮性繊維と共存させる他の繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる繊維、及びこれらの複合繊維の他、レーヨン、パルプ、コットン等の親水性繊維等が挙げられる。
製法の観点からは、伸縮性シート10としては、カード法又はエアレイド法により得た繊維ウェブにエアスルー法で繊維同士の熱融着点を形成したエアスルー不織布、カード法により得た繊維ウェブにヒートロール法で繊維同士の熱融着点を形成したヒートロール不織布、ヒートエンボス不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等の種々の不織布を用いることができる。潜在捲縮性繊維を応用し、嵩密度のあまり高くない伸縮性の不織布を得るためには、所定の繊維組成で堆積した繊維ウェブに、ドット状などの部分的なエンボスを施した後にエアスルー法で加熱し捲縮発現する方法が最も好ましい。
なお、伸縮性シート10が伸縮層と非伸縮層とを含む場合には、例えば、これらの各層に対応する繊維ウェブを積層した状態で熱処理を行うことにより、各層の接合部に熱融着点が形成され、各層が接合される。
伸縮性シート10が捲縮繊維を含むことで、多方向に伸縮性が発揮されやすくなる。これにより、着用者の縦方向X以外の方向へのずれに対しても伸縮性シート10が伸張できる。したがって、上記構成により、着用者の多様な動作時においても、着用者とのフィット性が高められ、着用者の肌の擦れがより効果的に抑制される。
伸縮性シート10は、捲縮繊維を含む例に限定されず、上述の「伸縮性」を有しているシートを適宜用いることができる。
例えば、伸縮性シート10は、弾性繊維層と非弾性繊維層との積層構造を有していてもよい。一例として、伸縮性シート10としては、特開2012-87452号公報に記載の伸縮性不織布を用いることができる。
弾性繊維層は、弾性を有する繊維の集合体であり、例えば弾性を有する短繊維又は連続フィラメントからなるウェブや不織布の形態であり得る。当該ウェブや不織布は、スピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成されることが好ましい。
弾性繊維層の構成繊維としては、例えば熱可塑性エラストマーやゴムなどを原料とする繊維を用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、SBS、SIS、SEBS、SEPS等のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。これらは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。またこれらの樹脂からなる芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維を用いることもできる。特にスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、又はそれらを組み合わせて用いることが、弾性繊維の成形性、伸縮特性及びコストの面で好ましい。
非弾性繊維層は、伸張性を有するが、実質的に非弾性のものである。実質的に非弾性の繊維としては、その長さ方向において繊維の太さが一様になっていない繊維(以下「不定径繊維」という)が好ましい。不定径繊維は、一定の繊維径を有する低延伸の繊維を原料とすることが好ましい。この場合、低延伸の繊維は、単一の原料からなる繊維でもよく、あるいは2種以上の原料を用いた複合繊維、例えば芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維であってもよい。不定径繊維同士の接合しやすさや、非弾性繊維層と弾性繊維層との接合しやすさを考慮すると、複合繊維を用いることが好ましい。芯鞘型の複合繊維の場合、芯がポリエステル(PETやPBT)、ポリプロピレン(PP)、鞘が低融点ポリエステル(PETやPBT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)であることが好ましい。特にこれらの複合繊維を用いると、ポリオレフィン系エラストマーを含む弾性繊維層の構成繊維との熱融着が強くなり、層剥離が起こりにくい点で好ましい。不定径繊維は、ステープルファイバのような短繊維でもよく、あるいは連続フィラメントのような長繊維でもよい。
弾性繊維層と非弾性繊維層とを有する伸縮性シート10は、例えば、弾性繊維層に対応するウェブと非弾性繊維層に対応するウェブとを積層した後、エアスルー方式の熱風処理によって構成繊維同士が交点において熱融着することにより、形成される。
[伸縮性シートの配置例]
伸縮性シート10は、着用者とのフィット性向上作用及び肌擦れの抑制作用をより効果的に発揮する観点から、図1及び図2に示すように、表面シート2であることが好ましい。
この場合、接着剤13は、表面シート2とこれに隣接する部材(例えばコアラップシート8)とを接着するものとなる。
これにより、伸縮性シート10が、着用者の肌と直接接するように配置される。したがって、非接着領域12が着用者の排泄部及びその近傍と直接接触して、着用者の動きに追従して伸張しやすくなり、フィット性がより一層高められる。さらに、着用者の肌からの上記引きずり力が伸縮性シート10である表面シート2に直接作用するため、非接着領域12がより確実に伸張し、表面シート2である伸縮性シート10と着用者の肌との間の摩擦力がより確実に低減される。したがって、表面シート2と着用者の肌との擦れがより確実に抑制される。
[表面シートの構成例]
表面シート2は、上述のように、着用者の肌と直接接するため、着用者の肌との擦れをより確実に低減できる構成であることが好ましい。
このような観点から、図2に示すように、表面シート2は、厚み方向Z肌側に突出した複数の凸部20を有することが好ましい。各凸部20は、厚み方向Z非肌側に窪んだ凹部23(図7及び図8参照)の間に形成される。凸部20は、凹部23間の厚み方向Zに隆起した領域と定義される。
なお、表面シート2は、吸収性コア7と厚み方向Zに重なる領域に複数の凸部20を有することが好ましく、本体Mの周縁部等、凸部20が形成されていない領域を有していてもよい。
表面シート2が凸部20を有することにより、着用者の肌と表面シート2との接触領域が少なくなり、着用者の肌と表面シート2との静摩擦係数が小さくなる。静摩擦から動摩擦に移行する最大静摩擦力は、静摩擦係数と垂直抗力の積で表されるところ、静摩擦係数が低減されることにより、動摩擦への移行を効果的に抑制できる。これにより、着用者の肌と表面シート2との間の擦れが効果的に抑制される。
なお、凸部20を有する表面シート2は、伸縮性シート10であることが好ましいが、伸縮性シート10でない場合であっても、上記肌の擦れを低減する効果を発揮し得る。
以下、表面シート2の好ましい構成例について説明する。この例に示す表面シート2は、捲縮繊維を含む伸縮性シート10となり得るとともに、複数の凸部20を有する。
図7に示す表面シート2では、複数の凸部20が縦方向X及び横方向Yに並んでおり、その間に凹部23が配置される。これらの図に示すように、複数の凸部20は、例えば、厚み方向Zの高さが高く平面視における面積が大きい複数の高凸部21と、厚み方向Zの高さが低く平面視における面積が小さい複数の低凸部22と、を有していてもよい。
図8に示すように、各凸部20の断面形状は、例えば内部にも繊維が分布し中実に構成されているが、繊維密度が均質でなくてもよく、繊維がほとんど分布しない領域を有していてもよい。なお、図8では、凸部20として高凸部21の断面の構成を示すが、低凸部22の断面についても同様に構成される。
凹部23は、厚み方向Z非肌側に窪んでいる領域である。凹部23の厚み方向Zから見た平面形状は、例えば、凸部20の周囲を区画する線状であり、各凸部20を囲む多角形の頂点部分を含む形状であり得る。ここで、多角形の頂点部分とは、多角形の頂点を含み、かつ当該頂点から当該多角形の辺が延出する部分である。図7に示す凹部23は、例えば六角形と四角形の頂点部分を含む形状を有する。
図7に示すように、凸部20は、縦方向Xに沿って縦列をなして並んでいる。
高凸部21は、縦方向Xに沿って高凸部縦列21Lxをなして並んでいる。低凸部22は、縦方向Xに沿って低凸部縦列22Lxをなして並んでいる。高凸部縦列21Lxと低凸部縦列22Lxは、横方向Yに交互に配列されている。
また、高凸部縦列21Lx内の高凸部21と隣接する低凸部縦列22Lxの低凸部22とは、互い違いに配置されている。言い換えれば、隣接する縦列の凸部20同士は、縦列内の各凸部20の配置間隔の半分の間隔で縦方向Xにずれて配置されており、斜方格子状の千鳥配置となっている。
図7に示すように、凸部20は、横方向Yに沿って横列をなして並んでいる。
高凸部21は、横方向Yに沿って高凸部横列21Lyをなして並んでいる。低凸部22は、横方向Yに沿って低凸部横列22Lyをなして並んでいる。高凸部横列21Lyと低凸部横列22Lyは、縦方向Xに交互に配列されている。
また、高凸部横列21Ly内の高凸部21と隣接する低凸部横列22Lyの低凸部22とは、互い違いに配置されている。言い換えれば、隣接する横列の凸部20同士は、横列内の各凸部20の配置間隔の半分の間隔で横方向Yにずれて配置されており、斜方格子状の千鳥配置となっている。
なお、凸部20の配置パターンは上記に限定されず、隣接する縦列及び横列において各凸部20の位置がそろっている矩形格子状の配置でもよいし、他の配置でもよい。
複数の凸部20が縦方向X及び/又は横方向Yに沿って列をなして並んでいることにより、表面シート2と肌との接触面積を確実に低減させ、肌との擦れを効果的に抑制することができる。
さらに、図7に示す表面シート2では、高凸部横列21Lyと低凸部横列22Lyとが、縦方向Xに交互に配されているので、着用者が激しく動いた際等に、縦方向Xへ肌の動きに対して凸部が変形し肌の動きに追従しやすい。したがって、縦方向Xにおける肌の擦れを一層効果的に抑制することができる。
図7に示す表面シート2では、高凸部縦列21Lxと低凸部縦列22Lxとが、横方向Yに交互に配されているので、着用者が激しく動いた際等に、横方向Yへの肌の動きに対して凸部が変形し肌の動きに追従しやすい。したがって、横方向Yにおける肌の擦れを一層効果的に抑制することができる。
さらに、図7に示す表面シート2では、高凸部縦列21Lx内の高凸部21と、これに隣接する低凸部縦列22Lxの低凸部22とは、縦方向Xに関して互い違いに配置されているので、着用者が動いた際に縦方向Xと横方向Yの双方に対して中間の方向である斜め方向への肌の動きに対して凸部20が変形し肌の動きに追従しやすい。したがって、当該斜め方向における肌の擦れを一層効果的に抑制することができる。
図8に示すように、表面シート2の凸部20は、例えば上層の非熱収縮繊維層2uと、下層の熱収縮繊維層2dと、を含む。表面シート2では、凸部20の内表面2b側では熱収縮繊維層2dが熱収縮した構成となり、外表面2a側では非熱収縮繊維層2uが盛り上がった構成となる。
本構成例における熱収縮繊維層2dは、熱収縮繊維として、加熱することによって螺旋状の捲縮が発現して収縮する潜在捲縮性繊維(捲縮繊維)を含んでいる。一方で、非熱収縮繊維層2uは、捲縮繊維を含んでいない。このため、この例では、熱収縮繊維層2dが「捲縮繊維を含む伸縮層」、非熱収縮繊維層2uが「非伸縮層」を構成する。
一方、凹部23では、厚み方向Zにこれらの2層の繊維層が圧縮されている。つまり、凹部23は、凸部20よりも繊維密度が高い構成となる。
高凸部21及び低凸部22は、凹部23のパターンを調整することで形成することができる。具体的には、凹部23の区画する面積が大きい領域には高凸部21、凹部23の区画する面積が小さい領域には低凸部22を形成することができる。
このように、表面シート2では、高凸部21及び低凸部22を容易に形成できる。これにより、静摩擦係数の低い表面シート2を実現することができる。さらに、表面シート2に対し、頂部から凹部23に向かって繊維密度が徐々に大きくなるような繊維密度勾配を付与することができる。これにより、表面シート2が液を素早く引き込むことができ、液排泄後においても、表面シート2の静摩擦係数の上昇を抑制することができる。
非熱収縮繊維層2uとしては、例えば、カード法によって形成されたウェブや嵩高な不織布が好ましく用いられる。カード法によって形成されたウェブは、不織布化される前の状態の繊維集合体である。嵩高な不織布としては、表面シート2に所望の密度勾配を持たせることが可能であること、また表面シート2に良好な風合いをもたらすことが可能であるとの観点から、エアスルー不織布、エアレイド不織布、レジンボンド不織布が好ましく用いられる。
熱収縮性繊維を含む熱収縮繊維層2dとしては、カード法によって形成されたウェブや熱収縮性を有する不織布を用いることができる。具体的には、熱収縮繊維層2dの構成繊維の熱収縮性繊維としては、熱可塑性ポリマー材料からなり且つ熱収縮性を有するものが好適に用いられる。そのような繊維の例としては、上述の潜在捲縮性繊維が挙げられる。
図7及び図8に示す表面シート2の製造方法としては、まず、非熱収縮繊維層2uを構成するシート材と、熱収縮繊維層2dを構成するシート材とを積層し、線状のエンボスパターンで圧縮する。これにより、非熱収縮繊維層2u及び熱収縮繊維層2dからなる積層体が形成される。これと同時に、又はこの後に、積層体に熱を加えて、熱収縮繊維層2dを面内方向に熱収縮させ、上記構成の表面シート2が作製される。
非熱収縮繊維層2uと、捲縮繊維を含む熱収縮繊維層2dとを有する表面シート2により、複数の凸部20が形成されるとともに、捲縮繊維によって多方向への伸縮性が発現される。これにより、静摩擦係数が小さく、かつ良好な伸縮性を有する伸縮性シート10としての表面シート2を得ることができる。したがって、このような表面シート2を伸縮性シート10として用いることにより、着用者の肌と表面シート2との擦れをより一層効果的に抑制することができる。
<第2実施形態>
図9に示すように、本発明の第2実施形態の吸収性物品1A(以下、ナプキン1Aと称する)は、第1実施形態のナプキン1Aの構成に加えて、中間シート15を備える。つまり、ナプキン1Aは、本体Mにおいて、吸収体4の吸収性コア7と、吸収性コア7と厚み方向Zに積層された複数のシートと、を備え、複数のシートは、表面シート2及び裏面シート3に加えて、さらに中間シート15を含む。中間シート15は、伸縮性シート10であってもよいが、本実施形態では第1実施形態と同様に、表面シート2が伸縮性シート10である例について説明する。
なお、本実施形態において、上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図9に示す中間シート15は、表面シート2と吸収性コア7の間に配置される。「中間シート15が表面シート2と吸収性コア7の間に配置される」とは、表面シート2と吸収性コア7との間に、中間シート15以外のシートが配置される態様も含む。例えば、図9に示す例において、表面シート2と吸収性コア7の間には、コアラップシート8が配置され、中間シート15は、表面シート2とコアラップシート8との間に配置される。
図9に示す中間シート15は、本技術分野において、セカンドシート、サブレイヤーシートなどとも呼ばれる吸収性物品の構成部材であり、表面シート2から吸収体4への液の透過性の向上、吸収体4に吸収された液の表面シート2への液戻りの低減などの機能を有する。
中間シート15の平面視における形状は特に限定されないが、吸収性コア7の肌対向面のほぼ全体をカバーできる形状が好ましい。
伸縮性シート10である表面シート2は、本実施形態において、排泄部対向領域Eを挟んで横方向Y両側に配置された縦方向Xに延びる接着剤13によって、中間シート15に固定される。接着剤13の配置された領域は、左右の接着領域11を形成し、それらの間に非接着領域12が配置される。また、接着剤13による接着領域11の少なくとも一部は、上述のように、平面視において防漏溝6と重なるように配置されることが好ましい。
なお、中間シート15は、非肌側では、例えば接着剤16によって吸収体4(コアラップシート8)に固定されていてもよい。接着剤16の塗工形態は特に限定されず、例えば排泄部対向領域Eを横切るように塗工されていてもよい。
着用者がナプキン1(吸収性物品)と接触しつつ動いた場合、中間シート15にも、表面シート2を介して着用者から縦方向Xにおける上記引きずり力が付加され得る。これにより、中間シート15に縦方向Xに沿ったずり応力が生じ、中間シート15が縦方向Xに沿ってずり変形しやすくなる。このずり変形の影響が伸縮性シート10の非接着領域12に伝搬することで、伸縮性シート10の縦方向Xにおける伸張が促進される。したがって、ナプキン1A(吸収性物品)の着用者に対するフィット性が向上するとともに、ナプキン1A(吸収性物品)と着用者の肌との摩擦力が低減し、肌との擦れがより効果的に抑制される。
中間シート15は、例えば、不織布や繊維集合体で構成され、不織布で構成されることがより好ましい。当該不織布としては、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、レジンボンド不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布等が挙げられる。
中間シート15が不織布で構成される場合、上述のずり変形をより効果的に発生させる観点から、当該不織布として、吸収性コア7よりも嵩高な不織布を用いることが好ましい。「嵩高な不織布」とは、その内部に、不織布の構成繊維によって画成される空間部(繊維等の不織布構成材料が存在していない部分)を多数有しており、不織布の全体積に占める空間部の割合(空間占有率)が大きい不織布を意味する。「吸収性コア7よりも嵩高な不織布」とは、吸収性コア7よりも見かけ密度が低い不織布を意味する。
(見かけ密度の測定方法)
測定対象となる部材から、4cmの範囲の部分を切断し、測定片を得る。測定片の切断面を、無荷重の状態でマイクロスコープ(KEYECE社製VHX-100)を用いて20~100倍の倍率で観察し、各部材の見かけ厚みを測定する。次いで、測定片の坪量を上述のように測定し、当該坪量を測定した見かけ厚みで除して、見かけ密度を測定する。各部材について5個の測定片の見かけ密度の平均値を算出し、各部材の見かけ密度とする。
なお、本実施形態の変形例として、図10に示すように、吸収性物品(ナプキン1B)の複数のシートが、裏面シート3と吸収性コア7との間に配置される中間シート15を含んでいてもよい。「中間シート15が裏面シート3と吸収性コア7の間に配置される」とは、裏面シート3と吸収性コア7との間に、中間シート15以外のシートが配置される態様も含む。例えば、図10に示す例において、裏面シート3と吸収性コア7の間には、コアラップシート8が配置され、中間シート15は、裏面シート3とコアラップシート8との間に配置される。
中間シート15の平面視における形状は特に限定されないが、吸収性コア7の非肌対向面のほぼ全体をカバーできる形状が好ましい。
なお、中間シート15は、図示はしないが、吸収体4(コアラップシート8)及び裏面シート3に接着剤等によって固定されていることが好ましい。
図10に示す吸収性物品(ナプキン1B)においても、着用者がナプキン1(吸収性物品)と接触しつつ動いた場合、中間シート15に表面シート2、吸収体4等を介して着用者から縦方向Xにおける上記引きずり力が付加され得る。これにより、中間シート15に縦方向Xのずり応力が生じ、中間シート15が縦方向Xに沿ってずり変形しやすくなる。このずり変形の影響が伸縮性シート10に伝搬することで、伸縮性シート10の伸張が促進される。したがって、ナプキン1B(吸収性物品)の着用者に対するフィット性が向上するとともに、ナプキン1B(吸収性物品)と着用者の肌との摩擦力が低減し、肌との擦れがより効果的に抑制される。
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上述の各実施形態では、伸縮性シート10が表面シート2である例について説明したが、これに限定されない。
例えば、伸縮性シート10は、中間シート15であってもよい。伸縮性シート10としての中間シート15は、例えば、上述の第1実施形態で説明した捲縮繊維又は弾性繊維を含む不織布で構成されてもよいし、その他の伸縮性のシートで構成されてもよい。
また、表面シート2と吸収性コア7との間に配置された中間シート15は、左右の肌側接着剤により表面シート2に固定され、左右の非肌側接着剤によりコアラップシート8又は吸収性コア7と固定される。また、裏面シート3と吸収性コア7との間に配置された中間シート15は、左右の肌側接着剤によりコアラップシート8又は吸収性コア7に固定され、左右の非肌側接着剤により裏面シート3と固定される。これらの肌側接着剤及び非肌側接着剤は、いずれも、排泄部対向領域Eを挟んで横方向Y両側に配置され、縦方向Xに延びる。
中間シート15が伸縮性シート10の場合、右側の肌側接着剤による接着領域と右側の非肌側接着剤による接着領域を合わせた領域が、右側の接着領域11となる。同様に、左側の肌側接着剤による接着領域と左側の非肌側接着剤による接着領域を合わせた領域が、左側の接着領域11となる。左右の接着領域11の間の伸縮性シート10(中間シート15)が固定されていない領域が、非接着領域12となる。
あるいは、伸縮性シート10は、裏面シート3であってもよい。伸縮性シート10としての裏面シート3は、例えば、熱可塑性エラストマーを含むフィルム等によって構成されてもよい。また、伸縮性シート10としての裏面シート3は、排泄部対向領域Eを挟んで横方向Y両側に配置された縦方向Xに延びる左右の接着剤によって厚み方向Zに隣接するシート又は吸収性コア7に固定された左右の接着領域11と、左右の接着領域11の間に配置された、固定されていない非接着領域12と、を有する。
また、伸縮性シート10は、コアラップシート8であってもよい。伸縮性シート10としてのコアラップシート8は、捲縮繊維又は弾性繊維を含む不織布で構成されてもよいし、その他の伸縮性のシートで構成されてもよい。コアラップシート8は、例えば、肌側に配置された肌側接着剤により表面シート2又は中間シート15に固定され、非肌側に配置された非肌側接着剤により吸収性コア7と固定される。コアラップシート8が伸縮性シート10の場合、右側の肌側接着剤による接着領域と右側の非肌側接着剤による接着領域を合わせた領域が、右側の接着領域11となる。同様に、左側の肌側接着剤による接着領域と左側の非肌側接着剤による接着領域を合わせた領域が、左側の接着領域11となる。左右の接着領域11の間の伸縮性シート10(コアラップシート8)が固定されていない領域が、非接着領域12となる。
伸縮性シート10が上述の各シートであっても、着用者が吸収性物品と接触して動いた場合、伸縮性シート10に表面シート2等を介して着用者からの縦方向Xに沿った上記引きずり力が付加され得る。これにより、伸縮性シート10の非接着領域12が縦方向Xに伸張する。したがって、吸収性物品と着用者とのフィット性が高められるとともに、着用者の肌と吸収性物品との擦れが抑制される。
なお、引きずり力はナプキン1の厚み方向Zにおいてナプキン1の表面から離れるにつれて減衰する。このため、ナプキン1内部の伸縮性シート10がナプキン1の厚み方向Zにおいてナプキン1の表面からより離れた位置に配置されるほど縦方向Xに伸長されにくくなる。したがって、肌の擦れを抑制する観点から、伸縮性シート10は吸収性コア7の上に配置されることが好ましい。
また、伸縮性シート10は、本体Mに含まれる複数のシートのうち、2枚以上で構成されてもよい。例えば、表面シート2及び中間シート15が伸縮性シート10を構成してもよい。この場合、伸縮性シート10の左右の接着剤は、中間シート15とコアラップシート8(又は吸収性コア7)とを固定する左右の接着剤となる。この接着剤による左右の接着領域11の間の中間シート15が固定されていない領域が、非接着領域12となる。なお、この例において、伸縮性シート10を構成する表面シート2及び中間シート15間の接着剤の塗工態様は特に限定されない。
このような構成でも、伸縮性シート10が非接着領域12を有するため、上述のフィット性の向上効果及び肌擦れの抑制効果が十分に得られる。
また、以上の実施形態では、吸収性物品として生理用ナプキンの例を示したが、これに限定されない。本発明の吸収性物品は、例えば、尿取りパットやおりものシート、使い捨ておむつ等であってもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[評価用の吸収性物品の作製]
(実施例1)
実施例1の吸収性物品として、図1及び図2に示す構成の生理用ナプキン(ナプキン)を作製した。
まず図7及び図8に示す表面シートを準備した。具体的には、非熱収縮性繊維からなる上層と、熱収縮性の潜在捲縮性繊維からなる下層と、を積層し、この積層体を、多角形の頂点部分を含むエンボスパターンで厚み方向に圧縮加工した。非熱収縮性繊維としては、ポリエチレンテレフタレートを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維を用いた。潜在捲縮性繊維としては、ポリプロピレンを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする偏心芯鞘型複合繊維またはサイド・バイ・サイド型複合繊維を用いた。続いて、この積層体を、110℃±10℃の熱風に5~10秒間曝し、下層の潜在捲縮性繊維を平面方向に収縮させた。これにより、上層が凸状に突出し、多数の立体ドーム構造の高凸部、低凸部を有する表面シートを作製した。この表面シートは、下層に捲縮繊維を含み、上述の伸縮性シートとして機能することを確認した。
続いて、吸収性コアをコアラップシートで巻回して吸収体を作製した。
続いて、ポリエチレン製の樹脂フィルムからなる裏面シートにホットメルト接着剤を塗工し、その上に吸収体を配置した。
さらに、この吸収体のコアラップシートの上面に、縦方向に延びる左右一対のホットメルト接着剤を塗工した。ホットメルト接着剤の塗工パターンはスパイラル状であり、各接着剤の塗工幅(接着領域の横方向における幅)は約8mmとした。また、左右の接着剤の間は、横方向に約35mm離間させ、表面シート(伸縮性シート)の非接着領域を設けた。
接着剤が塗工されたコアラップシートの上面に上記表面シートを配置した。
さらに、図1の防漏溝と同様のパターンで表面シート上を圧搾加工して防漏溝を形成し、実施例1のナプキンを得た。左右の防漏溝は、少なくとも一部において、表面シートを固定する左右の接着剤と重なるように配置した。
これにより、実施例1のナプキンを得た。
(実施例2)
実施例2の吸収性物品として、図9に示すような構成の生理用ナプキン(ナプキン)を作製した。実施例2のナプキンの構成は、中間シートを有する以外、実施例1と同様とした。
中間シートとしては、ポリエチレンテレフタレートを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維を主体として構成された、吸収性コアよりも嵩高な不織布を用いた。
また、表面シートは伸縮性シートであって、実施例1と同様のものを用いた。
まず、実施例1と同様の裏面シート上に、実施例1と同様の吸収体を配置した。
続いて、この吸収体のコアラップシートの上面にホットメルト接着剤を塗工した。
接着剤が塗工されたコアラップシートの上面に、上記中間シートを配置した。
中間シートの上面に、実施例1のコアラップシート上の接着剤と同様のパターンで、左右一対のホットメルト接着剤を塗工した。
中間シートを表面シートに接合するための左右の接着剤の間は、横方向に約35mm離間させ、表面シート(伸縮性シート)の非接着領域を設けた。
接着剤が塗工された中間シートの上面に上記表面シートを配置した。
さらに、実施例1と同様に防漏溝を形成し、実施例2のナプキンを得た。左右の防漏溝は、少なくとも一部において、表面シートと中間シートを固定する左右の接着剤と重なるように配置した。
(比較例1)
比較例1の吸収性物品として、コアラップシートと表面シートとを接合するホットメルト接着剤の塗工パターンを変更した以外は、実施例1と同様の構成の生理用ナプキン(ナプキン)を作製した。
表面シートは伸縮性シートであって、実施例1と同様のものを用いた。
まず、実施例1と同様の裏面シート上に、実施例1と同様の吸収体を配置した。
続いて、このコアラップシートの上面に、スパイラル状のパターンで、コアラップシートのほぼ全面にホットメルト接着剤を塗工した。これにより、表面シートの排泄部対向領域には非接着領域が形成されないようにした。
接着剤が塗工されたコアラップシートの上面に上記表面シートを配置した。
さらに、実施例1と同様に防漏溝を形成し、比較例1のナプキンを得た。
[吸収性物品と肌との擦れにくさの評価]
実施例1、2及び比較例1のナプキンについて、下記方法により、肌との擦れにくさの評価を行った。
図11に示すように、評価対象のナプキン1をアクリル板P上に配置し、表面シート2(伸縮性シート10)上に、肌を模したシリコン製のモデル皮膚(今井ゴム株式会社製)Gを配置した。モデル皮膚Gのサイズは、縦6.5cm、横3.5cm、厚み0.5cmであった。モデル皮膚Gは、ナプキン1の排泄部対向領域を含む中間領域C上であって、一対の防漏溝(図11において図示を省略する)の間に、防漏溝と重ならないように配置した。さらに、モデル皮膚G上に、13gf/cmの錘WEを配置した。これにより、ナプキン1が、モデル皮膚Gによって、厚み方向Zに13gf/cmの荷重が付加された状態となった。
錘WEに引張試験機T(株式会社オリエンテック製、「TENSILON RTC-1210S」)を接続し、錘WEを縦方向Xに引っ張った。これにより、表面シート2上で、錘WEとモデル皮膚Gを縦方向Xに5cm滑らせた。引張速度は200mm/分とした。引張試験機Tによって、錘WEの変位(mm)と、錘WEに作用した縦方向Xの力とを測定し、横軸を当該変位(mm)、縦軸を当該力の値とするチャート(グラフ)を作成した。「錘WEに作用した縦方向Xの力」は、モデル皮膚Gとナプキン1との間に作用する摩擦力に対応するため、チャートの縦軸の値を、摩擦力の値と読み替えて判断した。
図12のチャートの例に示すように、変位が0mmから所定の値となるまでは、摩擦力が変位に対してほぼ比例的に上昇する。この間は、ナプキン1とモデル皮膚Gとの間には静摩擦力が作用している。つまり、表面シート2が伸張することで、モデル皮膚Gはナプキン1に対して相対的に静止した状態となる。最大静摩擦力に到達すると、その後は摩擦力が急激に低下し、動摩擦に移行する。動摩擦に移行すると、モデル皮膚Gがナプキン1に対して相対的に移動し、モデル皮膚Gがナプキン1と擦れた状態となる。
このため、最大静摩擦力に到達した変位量が大きいほど、表面シート2が十分に伸張し、モデル皮膚Gがナプキン1と擦れた状態になりにくい。
そこで、実施例1、2及び比較例1における図12のようなチャートから、最大静摩擦力に到達した変位量を読み取り、これを着用者の動作時における肌の擦れにくさの指標とした。
実施例1、2及び比較例1において測定された最大静摩擦力における変位量の値を、表1に示す。
Figure 2022082886000002
表1に示すように、実施例1の最大静摩擦力における変位量は8.64mm、実施例2の当該変位量は9.18mmであり、比較例1の当該変位量(4.45mm)よりも大幅に大きくなった。この結果から、表面シート(伸縮性シート)に排泄部対向領域を挟んで左右の接着領域を設け、その間に非接着領域を設けることで、縦方向に伸縮性シートが十分伸張でき、動摩擦に移行しにくくなることがわかった。したがって、実施例1及び2のナプキンでは、着用者がナプキンと接触した状態で動いた場合でも、肌が擦れにくくなることがわかった。
さらに、実施例1及び2の結果を比較すると、実施例2の最大静摩擦力における変位量の方が大きかった。この結果から、表面シートと吸収性コア(吸収体)との間に中間シートを設けることで、表面シート(伸縮性シート)がより伸張しやすくなり、肌がより一層擦れにくくなることがわかった。
1,1A,1B…吸収性物品(生理用ナプキン、ナプキン)
2…表面シート
3…裏面シート
7…吸収性コア
10…伸縮性シート
11…接着領域
12…非接着領域
13…接着剤
E…排泄部対向領域

Claims (8)

  1. 着用者の前後方向に対応する縦方向、該縦方向に直交し着用者の左右方向に対応する横方向、及び該縦方向及び該横方向に直交する厚み方向を有し、吸収性コアと、表面シート及び裏面シートを含み該吸収性コアと前記厚み方向に積層された複数のシートと、を備えた吸収性物品であって、
    前記複数のシートは、前記縦方向における伸縮性を有する伸縮性シートを少なくとも1つ含み、
    前記伸縮性シートは、
    着用者の排泄部と対向する排泄部対向領域を挟んで前記横方向両側に配置された前記縦方向に延びる左右の接着剤によって、前記厚み方向に隣接するシート又は前記吸収性コアに固定された左右の接着領域と、
    前記左右の接着領域の間に配置された、前記隣接するシート又は前記吸収性コアのいずれにも固定されていない非接着領域と、を有する
    吸収性物品。
  2. 前記吸収性物品は、
    前記厚み方向に圧搾された、前記縦方向に延びる左右の防漏溝をさらに備え、
    前記左右の接着領域の少なくとも一部は、平面視において前記左右の防漏溝と重なる
    請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収性コアは、前記横方向両側における側縁が前記横方向内側に括れた形状を有する幅狭部を含む
    請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記左右の接着領域が、前記幅狭部の前記横方向外側に配置されない
    請求項3に記載の吸収性物品。
  5. 前記伸縮性シートは、捲縮繊維を含む伸縮層を有する
    請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記伸縮性シートは、前記表面シートである
    請求項1から5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  7. 前記表面シートが、前記厚み方向肌側に突出した複数の凸部を有する
    請求項1から6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  8. 前記複数のシートは、前記表面シートと前記吸収性コアの間、又は前記裏面シートと前記吸収性コアの間に配置される中間シートを含む
    請求項1から7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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