JP2022082235A - 表皮内の抗酸化物質の発現増強剤 - Google Patents

表皮内の抗酸化物質の発現増強剤 Download PDF

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Abstract

【課題】ジアシルグリセロールPEG付加物を利用することによって、表皮内の抗酸化関連物質の発現を増強する。【解決手段】ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として含む、表皮内の抗酸化関連物質の発現増強剤である。前記抗酸化関連物質が、酸化ストレス応答遺伝子,抗酸化酵素、及び抗酸化タンパクである。前記ジアシルグリセロールPEG付加物が、ジミリスチン酸グリセロールPEG-12(GDM12)、ジステアリン酸グリセロールPEG-12(GDS12)、ジステアリン酸グリセロールPEG-23(GDS23)、ジパルミチン酸グリセロールPEG-23(GDP23)、及びジオレイン酸グリセロールPEG-12(GDO12)からなる群から選択される。【選択図】図1

Description

本発明は、表皮内の抗酸化物質の発現増強剤及び発現増強方法に関する。
リン脂質と界面活性剤とからなる閉鎖小胞体(ベシクル)が知られており、リポソームとも称される。特許文献1には、リン脂質に替えて、ジアシルグリセロールポリエチレングリコール付加物(以下「ジアシルグリセロールPEG付加物」と称する場合がある)を主体とする脂質を用い、水又は界面活性剤と混合することによって、自発的にベシクルを形成させる調製方法が提示されている。このようなベシクルは、それらの内部や表面にタンパク質や抗体などの目的物質を封入又は結合させて生体内の細胞に送達するドラッグデリバリーシステムに利用されている。
ジアシルグリセロールPEG付加物を脂質とするベシクルは、その表面が親水性のPEG鎖で覆われた形態を有しており、生体内への浸透性と血中での安定性が良好である。特許文献2には、ジアシルグリセロールPEG付加物からなるベシクルの表面に荷電要素を結合させて正帯電させることにより、表皮の角層への浸透性と貯留性を向上させることが記載されている。
特許第4497765号公報 特許第6297737号公報 米国特許第6998421号明細書 米国特許第6495596号明細書
ドラッグデリバリーシステムにおけるベシクルは、単に目的物質のキャリアとして認識されている。ベシクルは、最終的に生体内で個々の分子に分解するが、ベシクルを構成する分子自体の生体内での作用は、ほとんど知られていない。特許文献3及び特許文献4は、ジアシルグリセロールPEG付加物の生体内での幾つかの作用を開示している。それによれば、ジアシルグリセロールPEG付加物が、体内でホスホリパーゼA及びシクロオキシゲナーゼ-2に結合してこれらの酵素を阻害することによって、痛み、発熱、炎症を抑制する作用を発揮するとされている。しかしながら、炎症経路の抑制機構には、ホスホリパーゼA及びシクロオキシゲナーゼ-2阻害による炎症等の軽減以外にも多数存在する。それらの別の炎症抑制機構に関して、ジアシルグリセロールPEG付加物の生体内での作用は、これまで不明であった。
本発明の目的は、ジアシルグリセロールPEG付加物に関して新たに見出された特性を利用することであり、特に、表皮内の抗酸化物質の発現を増強することである。
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を提供する。
本発明の態様は、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として含み、前記ジアシルグリセロールPEG付加物が、以下の構造式を有し、長鎖脂肪酸におけるRの炭素数が11~23の範囲内であり、ポリエチレングリコール鎖におけるnが11~46の範囲内である、表皮内の抗酸化物質の発現増強剤である。
また、本発明の別の態様は、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として含み、前記ジアシルグリセロールPEG付加物が、以下の構造式を有し、長鎖脂肪酸におけるRの炭素数が11~23の範囲内であり、ポリエチレングリコール鎖におけるnが11~46の範囲内である、表皮内の抗酸化物質の発現増強方法である。
Figure 2022082235000002
好ましくは、前記ジアシルグリセロールPEG付加物が、ジミリスチン酸グリセロールPEG-12(GDM12)、ジステアリン酸グリセロールPEG-12(GDS12)、ジステアリン酸グリセロールPEG-23(GDS23)、ジパルミチン酸グリセロールPEG-23(GDP23)、及びジオレイン酸グリセロールPEG-12(GDO12)からなる群から選択される。
好ましくは、前記ジアシルグリセロールPEG付加物が、溶液状態で表皮内に浸透される。
好ましくは、前記ジアシルグリセロールPEG付加物が、ベシクル状態で表皮内に浸透される。
好ましくは、前記ジアシルグリセロールPEG付加物のベシクルが、20~40nmの範囲内の直径を有する。
好ましくは、前記抗酸化物質が酸化ストレス応答遺伝子であり、前記酸化ストレス応答遺伝子がNrf2である。
好ましくは、前記抗酸化物質が酸化ストレス応答遺伝子であり、前記酸化ストレス応答遺伝子がPPARGである。
好ましくは、前記抗酸化物質が抗酸化酵素であり、前記抗酸化酵素が、NAD(P)Hキノン還元酵素(NQO-1)、カタラーゼ(CAT)、及びヘムオキシゲナーゼ-1(HMOX1)からなる群のうち1つ又はそれ以上である。
好ましくは、前記抗酸化物質が抗酸化タンパクであり、前記抗酸化タンパクがグルタチオンである。
本発明はさらに、上記の抗酸化物質の発現増強剤を用いた、紫外線による表皮損傷の抑制剤を提供する。
本発明はさらに、上記の抗酸化物質の発現増強剤を用いた、大気汚染物質による表皮損傷の抑制剤を提供する。
本発明はさらに、上記の抗酸化物質の発現増強剤を用いた、表皮内のハイドロキノンの酸化抑制剤を提供する。
本発明によれば、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として含む、表皮内の抗酸化物質の発現増強剤が実現される。また、本発明によれば、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として用いた、表皮内の抗酸化物質の発現増強方法が実現される。
図1は、試料1~4についてのNrf-2の発現量を示すグラフである。 図2は、試料1~4についてのPPARGの発現量を示すグラフである。 図3は、試料1~4についてのNQO-1の発現量を示すグラフである。 図4は、試料1~4についてのCATの発現量を示すグラフである。 図5は、試料1~4についてのHMOX1の発現量を示すグラフである。 図6は、試料5~9におけるタンパク質当たりの総グルタチオン量を示すグラフである。 図7は、試料10~15(GDS12)の結果を示すグラフである。 図8は、試料16~19(GDM12)の結果を示すグラフである。 図9は、試料20~24(GDS23)の結果を示すグラフである。 図10は、試料25~39についてのプロスタグランジンE2の産生率を示すグラフである。 図11は、試料25~39についてのインターロイキン1-αの産生率を示すグラフである。 図12は、試料40~46についてのタンパク量の測定結果を示すグラフである。 図13は、試料47~53についてのプロスタグランジンE2の産生量を示すグラフである。 図14は、試料47~53についてのインターロイキン1-αの産生量を示すグラフである。 図15は、ハイドロキノンとベンゾキノンの細胞傷害性に関する試験結果を示すグラフである。 図16は、ハイドロキノンの細胞傷害性に関する試験結果を示すグラフである。 図17は、試料54~58についての細胞生存率の測定結果を示すグラフである。 図18は、試料59~62についての細胞生存率の測定結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、ジアシルグリセロールポリエチレングリコール付加物(ジアシルグリセロールPEG付加物)において新たに見出された特性を利用して創作されたものである。ここで新たに見出された特性は、ヒトの表皮内の抗酸化物質の発現を増強する作用である。
本発明に関する脂質分子であるジアシルグリセロールPEG付加物の構造式を概略的に示す。
Figure 2022082235000003
ジアシルグリセロールPEG付加物は、3つの炭素を有するグリセロール骨格部(CHCHCH)と、骨格部の3つの炭素のうち末端の1つの炭素に結合した直鎖型ポリエチレングリコールであるPEG鎖と、3つの炭素のうち他の2つの炭素にそれぞれ結合した同種の長鎖脂肪酸(COOR)とから構成されている。PEG鎖の部分が親水性であり、長鎖脂肪酸の部分が疎水性である。
以下の説明において特定のジアシルグリセロールPEG付加物を表すとき、長鎖脂肪酸の種類と、PEG鎖のnの数に基づいて、"[ジ]+[長鎖脂肪酸名]+[グリセロール]+[PEG-n]"と称する。例えば、長鎖脂肪酸がミリスチン酸、PEG鎖のnが12の場合は、"ジミリスチン酸PEG-12"である。また、特定のジアシルグリセロールPEG付加物をさらに略称で示す場合もある。
長鎖脂肪酸におけるRの炭素数は、11~23の範囲内とすることができる。この範囲に含まれる長鎖脂肪酸は、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、又はオレイン酸などである。PEG鎖のnの数は、11~46の範囲内とすることができる。本発明に関係するジアシルグリセロールPEG付加物として、以下のものを例示することができる。括弧内に、融点と略称を示す。
・ジミリスチン酸グリセロールPEG-12(25.0℃:GDM12)
・ジステアリン酸グリセロールPEG-12(40.0℃:GDS12)
・ジステアリン酸グリセロールPEG-23(39.8℃:GDS23)
・ジパルミチン酸グリセロールPEG-23(31.2℃:GDP23)
・ジオレイン酸グリセロールPEG-12 (25.0℃:GDO12)
ヒトの生体における炎症経路には、細胞内物質の酸化が関係している。近年、紫外線や大気汚染物質等による細胞への酸化ストレスによって皮膚トラブルが生じることが多く報告されている。
生体への酸化ストレスに対する防御機構においては、酸化ストレス応答遺伝子であるNrf-2が重要な役割を果たすことが知られている。転写活性因子であるNrf-2は、酸化ストレスのない状態ではタンパク質のKeap-1と結合しており、不活性化されている。生体に酸化ストレスがかかると、Keap-1が抑制されることによりNrf-2が活性化する。活性化したNrf-2は細胞の核内に移行して、抗酸化酵素を産生する。さらに、タンパク質であるPPARγもまた抗酸化物質であり、Nrf-2と相互に刺激し合うことによって、細胞の抗酸化活性を高めている。
発明者らは、ジアシルグリセロールPEG付加物をヒトの表皮に適用することによって、表皮内の抗酸化物質であるNrf-2及びPPARγの発現が増強されることを見出した。さらに、これらの抗酸化物質によって産生される抗酸化酵素及び抗酸化タンパクも増強されることを見出した。具体的な抗酸化酵素として、NAD(P)Hキノン還元酵素(NQO-1)、カタラーゼ(CAT)、及びヘムオキシゲナーゼ-1(HMOX1)の産生がそれぞれ増強されることが確認された。また、具体的な抗酸化タンパクとして、グルタチオンの産生が増強されることが確認された。表皮細胞内においてこれらの抗酸化物質の発現を増強する作用は、ジアシルグリセロールPEG付加物について新たに見出された作用であり、ジアシルグリセロールPEG付加物の新たな特性といえる。このジアシルグリセロールPEG付加物の新規作用は、表皮表面の単なる物理的な保護ではなく、表皮細胞内で発揮される作用である。この新規特性による表皮内の抗酸化効果によって、外部からの様々な酸化ストレスによる皮膚トラブルを軽減することが可能となると考えられる。
本発明は、このジアシルグリセロールPEG付加物において新たに見出された特性を利用して、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分とする、表皮内の抗酸化物質の発現増強剤を提供する。また、本発明は、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として用いた、表皮内の抗酸化物質の発現増強方法を提供する。
本発明では、ジアシルグリセロールPEG付加物をヒトの表皮に適用する場合、一種のみで用いてもよく、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
本発明によれば、表皮内に到達したジアシルグリセロールPEG付加物は、それが無い場合に比べて、表皮内の抗酸化物質をより多く発現させることによって、外部からの酸化ストレス、例えば、紫外線や大気汚染物質による表皮内の細胞損傷を軽減又は防止することが可能となる。この効果は、後述する試験によって確認された。
さらに、表皮内に到達したジアシルグリセロールPEG付加物は、それが無い場合に比べて、表皮内の抗酸化物質をより多く発現させることによって、化粧品に美白成分として含まれるハイドロキノンの表皮内での酸化を抑制することが可能となる。その結果、表皮内でのハイドロキノンの酸化によって生成される、毒性をもつベンゾキノンによる細胞損傷を防止することができる。この効果も、後述する試験によって確認された。
したがって、本発明によれば、表皮内の抗酸化物質の発現増強を目的として、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分とする化粧品又は医薬品を提供することができる。さらに、本発明によれば、表皮内の抗酸化物質の発現増強を目的として、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として用いた、表皮内の細胞損傷の軽減又は防止方法を提供することができる。
ジアシルグリセロールPEG付加物をヒトの表皮内に到達させる1つの方法では、ジアシルグリセロールPEG付加物を水又は所定の溶媒に溶解させた溶液状態で表皮内に到達させることができる。例えば、リン酸緩衝食塩水PBS(-)を溶媒とする所定の濃度のジアシルグリセロールPEG付加物溶液を調製し、皮膚表面に塗布することで表皮内に浸透させることができる。塗布された溶液は、最上層の角層内に浸透し、さらに角層の下の顆粒層へと浸透する。そして、ジアシルグリセロールPEG付加物は、浸透した表皮内の各層において当該層に元々存在する抗酸化物質の発現を増強する。
好適な方法では、ジアシルグリセロールPEG付加物をベシクル状態で表皮内に到達させることができる。そのようなベシクルは、ジアシルグリセロールPEG付加物の二重層、又は、二重層が複数重なった多重層からなる閉じた球殻として形成されており、親水性のPEG鎖が最外層の表面に配置されている。ジアシルグリセロールPEG付加物のベシクルを調製し、それを皮膚表面に塗布することで表皮内に浸透させることができる。表皮内に到達した後にベシクルが分解し、個々の分子に分離することで、ジアシルグリセロールPEG付加物自体の作用を発揮することができる。
従来のドラッグデリバリーシステムでは、ベシクルの材料であるジアシルグリセロールPEG付加物は、目的物質の単なるキャリアと考えられてきたが、本発明では、ジアシルグリセロールPEG付加物自体を有効成分として利用する。したがって、本発明では、通常のドラッグデリバリーシステムにおいてベシクルに組み込まれる目的物質は、基本的に不要である。本発明では、水とジアシルグリセロールPEG付加物のみを混合して形成したベシクルを表皮内に浸透させることによって、ジアシルグリセロールPEG付加物自体が、表皮内の抗酸化物質の発現増強剤として機能することができる。
幾つかのジアシルグリセロールPEG付加物は、所定の温度で水と混合することにより、自発的にベシクルを形成する(特許文献1、2参照)。例えば、2質量%のGDM12又はGDO12を98質量%の脱イオン水に室温で混合し撹拌することにより、GDM12又はGDO12のベシクルの懸濁液が得られる。別の例として、2質量%のGDS12又はGDS23を45~55℃で溶解させてから、45~55℃の98質量%の脱イオン水に混合し撹拌することにより、GDS12又はGDS23のベシクルの懸濁液が得られる。さらに別の例として、2質量%のGDP23を37℃で溶解させてから、37℃の98質量%の脱イオン水に混合し撹拌することにより、GDP23のベシクルの懸濁液が得られる。室温よりも高い温度で得られた懸濁液を室温に冷却しても、ベシクルは安定している。
別の例として、水に替えて、種々の物質の水溶液とジアシルグリセロールPEG付加物を混合撹拌することによって形成したベシクルを用いる場合も、本発明の範囲に含まれるその場合、水溶液に含まれる物質に、別の機能をもたせることもできる。
ジアシルグリセロールPEG付加物により形成された一般的なベシクルの大きさは、例えば、直径が約100~300nmである。後述する試験によって、特に、20~40nmの範囲内の直径を有する微細化ベシクルは、良好な抗酸化作用を示すことが判明した。これは、微細化ベシクルの良好な浸透性によると考えられる。このような微細化ベシクルは、例えば、ジアシルグリセロールPEG付加物を、別の脂質であるスクワラン及びコレステロールと混合することによって得ることができる(詳細は後述)。
さらに別の例として、水又は水溶液とジアシルグリセロールPEG付加物とを混合撹拌することによって形成したベシクルの表面を、例えばカチオン性界面活性剤などの荷電要素で修飾して用いる場合も、本発明の範囲に含まれる。特許文献2には、正帯電したベシクルが、特に表皮への浸透性と貯留性に優れていることが記載されている。
ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として含む化粧品や医薬品は、例えば、水溶液、乳液、ゲル、クリーム等の多様な形態で提供することができる。
以下、表皮に対するジアシルグリセロールPEG付加物の適用と、表皮内の抗酸化物質及び酸化ストレスとの関係を試験データにより示す。
(1)酸化ストレス応答遺伝子及び抗酸化酵素の発現に関する試験
ヒト正常表皮メラノサイトを用いて試料を作製した後、RNAを抽出し、リアルタイムPCRにより、各目的物質(Nrf-2、PPARG、NQO-1、CAT、HMOX1)の遺伝子の発現及び増幅を確認した。PPARGは、タンパク質PPARγの遺伝子コードであり、酸化ストレス応答遺伝子の1つである。
(1-1)試験方法
ヒト正常表皮メラノサイト(NHEM:クラボウ製)を3.0×10cells/wellの細胞密度にて、培地(DermaLife(登録商標)M Comp kit培地:クラボウ製)を用いて96穴培養プレートに播種した。続いて、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、以下の試料1~4をそれぞれ添加した培地に交換した後、37℃、5%二酸化炭素下で6時間培養した。
試料1は、コントロール(GDS23無添加)である。試料2~4では、GDS23の量がそれぞれ異なる。
試料1:コントロール(N.C.)
試料2:GDS23(500μM)
試料3:GDS23(1000μM)
試料4:GDS23(2000μM)
その後、各試料について、培養された細胞からRNAをそれぞれ抽出した。抽出したRNAを逆転写してcDNAを作成し、定量リアルタイムPCR発現解析により各目的物質のmRNAを定量した。内部標準としてはGAPDH(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ)を用いた。解析は、各目的物質のmRNA発現量を、同一試料における内部標準であるGAPDHの発現量の値でそれぞれ補正した後、コントロールの補正値を100%としたときの各試料の補正値をそれぞれ算出した。
(1-2)試験結果
図1、図2、図3、図4、及び図5はそれぞれ、試料1~4についてのNrf-2、PPARG、NQO-1、CAT、及びHMOX1の発現量を示すグラフである。
図1及び図2の結果は、表皮メラノサイトをGDS23で処理することによって、酸化ストレス応答遺伝子であるNrf-2及びPPARGの発現が増強されることを示している。Nrf-2及びPPARGの発現が増強されると、これらによって誘導される抗酸化酵素の産生も増強されると考えられる。図3は、酸化還元酵素であるNQO-1の増強を示している。図4は、過酸化水素を酸素と水に変える反応の触媒となる酵素であるCATの増強を示している。図5のHMOX1の増強は、ヘム分解律速酵素及び細胞を酸化ストレスによる傷害から守る細胞保護タンパクの増強を示している。
(2)抗酸化タンパクの発現に関する試験
ヒト正常表皮メラノサイトを用いて試料を作製した後、細胞内の抗酸化タンパクであるグルタチオンの量を確認した。
(2-1)試験方法
ヒト正常表皮メラノサイト(NHEM:クラボウ製)を2.0×10cells/wellの細胞密度にて、培地(DermaLife(登録商標)M Comp kit培地:クラボウ製)を用いて96穴培養プレートに播種した。続いて、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、以下の試料5~9をそれぞれ添加した同種の培地に交換した後、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。
試料5は、コントロール(GDS23無添加)である。試料6~9では、GDS23の量がそれぞれ異なる。
試料5:コントロール(N.C.)
試料6:GDS23(500μM)
試料7:GDS23(1000μM)
試料8:GDS23(2000μM)
試料9:GDS23(4000μM)
その後、各試料について、アッセイキット(TaKaRa BCA Protein Assay Kit:タカラバイオ(株)製)を用いて、表皮メラノサイトのタンパク量及び総グルタチオン(GSH+GSSG)量をグルタチオンレダクターゼリサイクリング法によりそれぞれ定量した。各試料について定量したタンパク量と総グルタチオン量からタンパク量当たりの総グルタチオン量をそれぞれ求めた後、コントロールの増加比を100%としたときの各試料の増加比をそれぞれ算出した。
(2-2)試験結果
図6は、試料5~9におけるタンパク質当たりの総グルタチオン量を示すグラフである。図6によれば、表皮メラノサイトをGDS23で処理することによって、高い抗酸化力を有するタンパクであるグルタチオンの細胞内における産生が促進されることが確認された。グルタチオンは、グルタチオン産生酵素により生成され、そしてグルタチオン産生酵素は、Nrf-2及び/又はPPARγにより誘導される。したがって、GDS23によりNrf-2及び/又はPPARγが発現増強されることによって、結果的にグルタチオンの産生が促進されることが確認された。
(3)紫外線損傷の抑制効果試験-1
紫外線による紅斑反応は、短波長紫外線(UVB)(290~320nm)によって引き起こされる紫外線損傷であり、サンバーンと呼ばれる。このサンバーンは、活性酸素及びプロスタグランジンE2によって引き起こされるとされている。そこで、表皮内の抗酸化物質の発現を増強するジアシルグリセロールPEG付加物による紫外線損傷の軽減効果を示すために、UVB照射と細胞生存率との関係を確認する試験を行った。
(3-1)試験方法
正常ヒト表皮角化細胞(NHEK:クラボウ製)を2.0×10cells/wellの細胞密度にて、KG2培地(クラボウ製)を用いて96穴培養プレートに播種した。続いて、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、以下の試料10~15、16~19、及び20~24をそれぞれ添加した同種の培地に交換した後、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。試料10、16、及び20は、コントロール(無添加)である。試料11~15、17~19、及び21~24では、ジアシルグリセロールPEG付加物の種類及び/又は濃度(質量%、溶媒はHBSS(-))がそれぞれ異なる。
試料10:コントロール(N.C.)
試料11:GDS12(0.03125%)
試料12:GDS12(0.0625%)
試料13:GDS12(0.125%)
試料14:GDS12(0.25%)
試料15:GDS12(0.5%)
試料16:コントロール(N.C.)
試料17:GDM12(0.0125%)
試料18:GDM12(0.025%)
試料19:GDM12(0.05%)
試料20:コントロール(N.C.)
試料21:GDS23(0.03125%)
試料22:GDS23(0.0625%)
試料23:GDS23(0.125%)
試料24:GDS23(0.25%)
培養後、培地をHBSS(-)(富士フィルム和光純薬(株)製)に交換し、各試料を、UVB照射(UVB(+))と非照射(UVB(-))に分けた。UVB(+)群については、UVBを50mJ/cmで照射した。UVB(-)群は、培地交換のみを行なった。その後、培地をKB2培地 (クラボウ製)に交換し、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、ニュートラルレッドアッセイによって、細胞生存率を測定した。コントロール(無添加)のUVB(-)の場合の細胞生存率を100%として、各試料について細胞生存率をそれぞれ算出した。
(3-2)試験結果
図7は、試料10~15(GDS12)の結果を、図8は、試料16~19(GDM12)の結果を、図9は、試料20~24(GDS23)の結果をそれぞれ示すグラフである。
試料10、16、及び20のコントロールにおいて、UVB照射(UVB(+))は、細胞損傷のためにUVB非照射(UVB(-))に比べて細胞生存率が低下した。ジアシルグリセロールPEG付加物を含む各試料においても、UVB(+)は、当該試料のUVB(-)に比べて細胞生存率が低下しているが、ジアシルグリセロールPEG付加物を含む各試料のUVB(+)は、コントロールのUVB(+)と比べるといずれも細胞生存率が高い。
また、コントロールと、ジアシルグリセロールPEG付加物を含む各試料のUVB(-)群を比較すると、各試料はいずれもコントロールよりも細胞生存率が高い。これは、ジアシルグリセロールPEG付加物を含む各試料では、UVB照射前の24時間の培養中にUVB以外の酸化ストレスによって、抗酸化物質が増加したためと考えられる。
この試験結果により、表皮に予めジアシルグリセロールPEG付加物を適用し、表皮内の抗酸化物質を増強しておくことにより、その後にUVBを照射したときの紫外線による細胞損傷を軽減できることが確認された。
(4)紫外線損傷の抑制効果試験-2
次に、ジアシルグリセロールPEG付加物による紫外線損傷の軽減効果を示すために、紫外線損傷を引き起こす炎症性サイトカインであるプロスタグランジンE2及びインターロイキン1-αの産生率を確認する試験を行った。
(4-1)試験方法
正常ヒト表皮細胞(クラボウ製)を4.0×10cells/wellの細胞密度にて、KG2培地(クラボウ製)を用いて48穴培養プレートに播種した。続いて、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、以下の試料25~29、30~34、及び35~39を添加したKB2培地に交換した後、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。
試料25、30、及び35は、コントロール(無添加かつUVB(-))である。試料26、31、及び36は、別のコントロール(無添加かつUVB(+))である。試料27~29、32~34、及び37~39では、ジアシルグリセロールPEG付加物の種類及び/又は濃度(質量%、溶媒はKB2培地)がそれぞれ異なり、いずれもUVB照射された。
試料25:コントロール(UVB(-))
試料26:コントロール(UVB(+))
試料27:GDM12(0.005%)
試料28:GDM12(0.01%)
試料29:GDM12(0.05%)
試料30:コントロール(UVB(-))
試料31:コントロール(UVB(+))
試料32:GDM12(0.025%)
試料33:GDM12(0.05%)
試料34:GDM12(0.1%)
試料35:コントロール(UVB(-))
試料36:コントロール(UVB(+))
試料37:GDS23(0.0125%)
試料38:GDS23(0.025%)
試料39:GDS23(0.05%)
培養後、培地をHBSS(-)(富士フィルム和光純薬(株)製)に交換し、UVB(+)群については、UVBを20mJ/cmで照射した。UVB(-)群は、培地交換のみを行なった。その後、再び培地をKB2培地 (クラボウ製)に交換し、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、アッセイキット(TaKaRa BCA Protein Assay Kit:タカラバイオ(株)製)を用いて、プロスタグランジンE2及びインターロイキン1-αの産生量を測定した。
コントロール(無添加かつUVB(-))の産生率を100%として、各試料についてプロスタグランジンE2(PGE2)及びインターロイキン1-α(IL1-α)の各々の産生率を以下の式1、式2から算出した。
式1: PGE2産生率(%) =UVB(+)/UVB(-)×100
式2: IL1-α産生率(%) =UVB(+)/UVB(-)×100
(4-2)試験結果
図10及び図11は、試料25~39についてのプロスタグランジンE2及びインターロイキン1-αの産生率をそれぞれ示すグラフである。
ジアシルグリセロールPEG付加物無添加の試料26、31、36は、UVB照射により炎症性サイトカインの産生率が大きく増加している。それに比べて、ジアシルグリセロールPEG付加物を添加した試料27~29、32~34、37~39では、UVB照射による炎症性サイトカインの産生率の増加が抑制されている。
この試験結果により、表皮に予めジアシルグリセロールPEG付加物を適用し、表皮内の抗酸化物質を増強しておくことにより、その後にUVBを照射したときの炎症性サイトカインの産生を抑制できることが確認された。
図7~図11に示した紫外線損傷の抑制効果試験1、2の結果は、本発明により、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分とする抗酸化物質の発現増強剤を用いた、紫外線による表皮損傷の抑制剤を提供できることを示している。同様に、これらの試験結果は、本発明により、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として用いる抗酸化物質の発現増強方法を適用した、紫外線による表皮の損傷の抑制方法を提供できることを示している。これらの剤又は方法は、化粧品又は医薬品の形態で提供可能である。
(5)大気汚染物質損傷の抑制効果試験-1
近年大気汚染物質であるPM2.5による健康被害の懸念が報告されている。大気汚染物質の人体への悪影響は、活性酸素が発生して各細胞及び臓器に損傷を与えることである。この大気汚染物質損傷に対抗するために、本来ヒトが兼ね備えている体内の抗酸化機能を強化すれば、大気汚染物質への暴露による健康被害を軽減できると考えられる。そこで、表皮内の抗酸化物質の発現を増強するジアシルグリセロールPEG付加物による大気汚染物質損傷の軽減効果を示すために、大気汚染疑似物質であるDPE(Diesel Particle Extracts)への接触と、細胞のタンパク量との関係を確認する試験を行った。
(5-1)試験方法
正常ヒト表皮細胞(クラボウ製)を2.0×10cells/wellの細胞密度にて、KG2培地(クラボウ製)を用いて96穴培養プレートに播種した。続いて、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、以下の試料40~46をそれぞれ添加したKB2培地に交換した後、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。
試料40は、コントロール(無添加)である。試料41~46では、ジアシルグリセロールPEG付加物の種類及び/又は濃度(質量%、溶媒はKB2培地)がそれぞれ異なる。
試料40:コントロール(N.C.)
試料41:GDS23(0.0005%)
試料42:GDS23(0.001%)
試料43:GDS23(0.002%)
試料44:GDM12(0.001%)
試料45:GDM12(0.002%)
試料46:GDM12(0.004%)
培養後、各試料の培地を、DPE無添加のKB2培地と、5%DPEを含むKB2培地の2つの培地に交換し、37℃、5%二酸化炭素下で24時間それぞれ培養した。その後、アッセイキット(TaKaRa BCA Protein Assay Kit:タカラバイオ(株)製)を用いて、細胞のタンパク量を測定した。
(5-2)試験結果
図12は、試料40~46についてのタンパク量の測定結果を示すグラフである。DPE無添加群では、試料40のコントロールと、試料41~46のジアシルグリセロールPEG付加物添加群との間に大きな差がない。すなわち、ジアシルグリセロールPEG付加物の添加は、細胞のタンパク量に影響を与えていないこと、すなわちジアシルグリセロールPEG付加物による細胞傷害性がないことを示している。
5%DPE添加群では、試料40のコントロールでは、細胞のタンパク量が大きく減少している(細胞が傷害を受けている)のに対し、試料41~46のジアシルグリセロールPEG付加物添加群では、タンパク量の減少が抑制されている。したがって、ジアシルグリセロールPEG付加物を予め添加して生体内の抗酸化物質を増強したことにより、その後にDPEに接触した際のDPEによる細胞傷害が緩和されたことが確認された。
(6)大気汚染物質損傷の抑制効果試験-2
次に、大気汚染疑似物質であるDPE(Diesel Particle Extracts)への接触と、細胞傷害を引き起こす炎症性サイトカインであるプロスタグランジンE2及びインターロイキン1-αの産生率を確認する試験を行った。
(6-1)試験方法
正常ヒト表皮細胞(クラボウ製)を2.0×10cells/wellの細胞密度にて、KG2培地(クラボウ製)を用いて96穴培養プレートに播種した。続いて、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、以下の試料47~53をそれぞれ添加したKB2培地に交換した後、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。
試料47は、コントロール(無添加)である。試料48~53では、ジアシルグリセロールPEG付加物の種類及び/又は濃度(質量%、溶媒はKB2培地)がそれぞれ異なる。
試料47:コントロール(N.C.)
試料48:GDS23(0.0005%)
試料49:GDS23(0.001%)
試料50:GDS23(0.002%)
試料51:GDM12(0.001%)
試料52:GDM12(0.002%)
試料53:GDM12(0.004%)
培養後、各試料の培地を、DPE無添加のKB2培地と、5%DPEを含むKB2培地の2つの培地に交換し、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、アッセイキット(TaKaRa BCA Protein Assay Kit:タカラバイオ(株)製)を用いて、タンパク量を測定すると共に、ELISA法を用いてプロスタグランジンE2及びインターロイキン1-αの産生量を測定した。プロスタグランジンE2及びインターロイキン1-αの産生量は、タンパク量当たりに換算した。
(6-2)試験結果
図13及び図14は、試料47~53についてのプロスタグランジンE2及びインターロイキン1-αの産生量をそれぞれ示すグラフである。
ジアシルグリセロールPEG付加物無添加の試料47は、DPEにより炎症性サイトカインの産生量が大きく増加している。それに比べて、ジアシルグリセロールPEG付加物を添加した試料48~53では、DPEによる炎症性サイトカインの産生量の増加が抑制されている。
この試験結果により、表皮に予めジアシルグリセロールPEG付加物を適用し、表皮内の抗酸化物質を増強しておくことにより、その後にDPEと接触したときの炎症性サイトカインの産生を抑制できることが確認された。
図12~図14に示した大気汚染物質損傷の抑制効果試験1、2の結果は、本発明により、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分とする抗酸化物質の発現増強剤を用いた、大気汚染物質による表皮損傷の抑制剤を提供できることを示している。同様に、これらの試験結果は、本発明により、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として用いる抗酸化物質の発現増強方法を適用した、大気汚染物質による表皮損傷の抑制方法を提供できることを示している。これらの剤又は方法は、化粧品又は医薬品の形態で提供可能である。
(7)ハイドロキノンの酸化抑制効果試験
ハイドロキノン(HQ)は、世界中の美容医療機関で処方されるクリームや軟膏剤などの皮膚外用剤において一般的に用いられている物質である。ハイドロキノンによる皮膚の美白効果は1950年代から報告されているが、副作用の問題から日本では敬遠する医師が多い。日本では2001年まで、医師の管理下でのみ処方が許されていたが、同年の規制緩和以降、化粧品へのハイドロキノンの配合が許されるようになった。しかし、未だハイドロキノンの美白に対する明確な作用機序及び安全性の情報は少なく、その副作用である皮膚の乾燥、紅斑、接触性皮膚炎などが課題である。副作用の要因となる細胞傷害性は、以下の化学反応式に示すように、ハイドロキノンが酸化されることで生じるベンゾキノン(BQ)によってその傷害性及び毒性が強くなると考えられる。ハイドロキノンとベンゾキノンの酸化還元反応は、平衡反応である。
Figure 2022082235000004
そこで細胞自体の抗酸化力を高めることによってハイドロキノンの酸化が抑制されれば、細胞傷害性を軽減でき、副作用の抑制につながると考えられる。
(7-1)ハイドロキノンとベンゾキノンの細胞傷害性の確認試験
先ず、ハイドロキノンとベンゾキノンの細胞傷害性の違いを確認するための試験を行った。
<試験方法>
正常ヒト表皮メラノサイト(NHEM:クラボウ製)を2.0×10cells/wellの細胞密度にて、培地(DermaLife(登録商標)M Comp kit培地:クラボウ製)を用いて96穴培養プレートに播種した。続いて、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、ハイドロキノン(HQ)又はベンゾキノン(BQ)を所定の量(0μM、62.5μM、125μM、250μM、500μM)で含む同種の培地に交換した後、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。培養後、ニュートラルレッドアッセイによって、細胞生存率を測定した。無添加のコントロール(N.C.)の細胞生存率を100%として、HQ又はBQを添加した各試料の細胞生存率を算出した。
<試験結果>
図15は、ハイドロキノンとベンゾキノンの細胞傷害性に関する試験結果を示すグラフである。ハイドロキノンは250μMでも細胞傷害性がないが、ベンゾキノンは250μMで細胞傷害性(細胞毒性)を示すことが判明した。したがって、ベンゾキノンはハイドロキノンより毒性及び傷害性が大きいといえる。
(7-2)ハイドロキノンの細胞傷害性の確認試験
次に、ハイドロキノンをベンゾキノンに酸化させずに維持した場合の細胞傷害性を確認するための試験を行った。
<試験方法>
ハイドロキノンとベンゾキノンの酸化還元反応は平衡反応であり、ハイドロキノンは容易にベンゾキノンへ酸化されやすい。そこで、以下の化学反応式で示すように、ピロ亜硫酸ナトリウム(食品等でも一般的に用いられる酸化防止剤)をハイドロキノンと併用して培地へ溶解させることでハイドロキノンの酸化を抑止し、前項と同様の試験方法で細胞傷害性の評価を行なった。コントロール(N.C.)は無添加試料であり、それ以外は、全てピロ亜硫酸ナトリウムを0.5μM含み、ハイドロキノンの量が異なる試料である。
Figure 2022082235000005
<試験結果>
図16は、ハイドロキノンの細胞傷害性に関する試験結果を示すグラフである。ピロ亜硫酸ナトリウムのみの試料は、コントロールと差はなかった。ピロ亜硫酸ナトリウムとハイドロキノンを含む試料では、ハイドロキノンが2000μMまで細胞傷害性を示さなかった。それに対し、上述した図15では、ハイドロキノンが500μMで細胞傷害性を示しており、ハイドロキノンの酸化が起こっていたと考えられる。この結果から、細胞内でハイドロキノンを酸化させなければ、細胞傷害性を軽減でき、ベンゾキノンに起因する副作用も抑制できると考えられる。
(8)ハイドロキノンの細胞傷害性抑制試験-1
ジアシルグリセロールPEG付加物による表皮内の抗酸化物質の発現増強作用によって、ハイドロキノンの酸化抑制すなわち細胞傷害性抑制の効果が得られるかを確認するための試験を行った。
(8-1)試験方法
ヒト正常表皮メラノサイト(NHEM:クラボウ製)を2.0×10cells/wellの細胞密度にて、培地(DermaLife(登録商標)M Comp kit培地:クラボウ製)を用いて96穴培養プレートに播種した。続いて、37℃、5%二酸化炭素下で24時間培養した。その後、以下の試料54~58を添加した培地に交換した後、37℃、5%二酸化炭素下で6時間培養した。
試料54は、コントロール(ハイドロキノン及びGDS23の両方無添加)である。試料56は、別のコントロール(ハイドロキノン300μMのみ添加)である。試料56、57、58は、300μMのハイドロキノンと、異なる量のGDS23とを含む。
試料54:コントロール(N.C.)
試料55:コントロール(HQのみ)
試料56:GDS23(500μM、HQ)
試料57:GDS23(1000μM、HQ)
試料58:GDS23(2000μM、HQ)
培養後、ニュートラルレッドアッセイによって、細胞生存率を測定した。無添加のコントロール(N.C.)の細胞生存率を100%として、各試料の細胞生存率を算出した。
(8-2)試験結果
図17は、試料54~58についての細胞生存率の測定結果を示すグラフである。ハイドロキノン300μMとジアシルグリセロールPEG付加物を含む試料56~58は、試料54のコントロールとほぼ同じ細胞生存率が得られた。したがって、試料56~58では、ハイドロキノンが酸化せずに維持されていると考えられる。
試験結果から、ジアシルグリセロールPEG付加物が、生体内で抗酸化物質を予め増強したことによって、ハイドロキノンの投与後に細胞内でのハイドロキノンの酸化を抑制でき、細胞傷害を起こさなかったことが確認された。
(9)ハイドロキノンの細胞傷害性抑制試験-2
ジアシルグリセロールPEG付加物による表皮内でのハイドロキノンの酸化抑制効果を確認するために、上記(8)よりもハイドロキノンを増量した試験を行った。
(9-1)試験方法
上記(8-1)と同じ試験方法により、細胞生存率を測定した。ただし、培地に添加する試料として、以下の試料59~62を用いた。試料59は、コントロール(ハイドロキノン及びGDS23の両方無添加)である。試料60は、別のコントロール(ハイドロキノン400μMのみ添加)である。試料61は、400μMのハイドロキノン及び500μMのGDS23を含む。試料62は、400μMのハイドロキノン、500μMのGDS23、スクワラン、及びコレステロールを含む。
試料59:コントロール(N.C.)
試料60:コントロール(HQのみ)
試料61:GDS23(500μM、HQ)
試料62:GDS23(500μM、HQ、スクワラン、コレステロール)
試料62は、微細化ベシクルの形態で培地に添加した。微細化ベシクルは、次のように調製した。163.8mgのGDS23、122.85mgのスクワラン、及び16.38mgのコレステロールを80℃で溶解した混合物に、10mLの培地(DermaLife(登録商標)M Comp kit培地:クラボウ製)を80℃で添加し、混合撹拌した後、室温まで冷却し、所定の濃度に希釈した。この調製方法により得られるベシクルは、その97.3%が20~40nmの範囲内の直径を有していた。一般的には、例えば、GDM12の2%水溶液及びGDS23の2%水溶液においてそれぞれ自己形成されるベシクルの平均直径は、いずれも約140nmである。
(9-2)試験結果
図18は、試料59~62についての細胞生存率の測定結果を示すグラフである。試料61を、図17の試料56と比較すると、ハイドロキノンが増量されたために細胞生存率が低下している。しかしながら、試料61も、ハイドロキノンのみを含む試料60よりも高い細胞生存率を示している。
特に、微細化ベシクルを含む試料62では、試料59のコントロールとほぼ同じ細胞生存率が得られた。したがって、ジアシルグリセロールPEG付加物のみを用いるよりも、他の脂質と混合してジアシルグリセロールPEG付加物を微細化ベシクルの形態とすることによって、細胞への取り込みがさらに向上すると考えられる。
図17及び図18に示したハイドロキノンの細胞傷害性抑制試験1、2の結果は、本発明により、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分とする抗酸化物質の発現増強剤を用いた、表皮内のハイドロキノンの酸化抑制剤を提供できることを示している。同様に、これらの試験結果は、本発明により、ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として用いる抗酸化物質の発現増強方法を適用した、表皮内のハイドロキノンの酸化抑制方法を提供できることを示している。これらの剤又は方法は、化粧品又は医薬品の形態で提供可能である。
以上、実施例を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施例に限られるものではなく、これらから自明の変形例も本発明に含まれる。

Claims (12)

  1. ジアシルグリセロールPEG付加物を有効成分として含み、前記ジアシルグリセロールPEG付加物が、以下の構造式を有し、長鎖脂肪酸におけるRの炭素数が11~23の範囲内であり、ポリエチレングリコール鎖におけるnが11~46の範囲内である、表皮内の抗酸化物質の発現増強剤。
    Figure 2022082235000006
  2. 前記ジアシルグリセロールPEG付加物が、ジミリスチン酸グリセロールPEG-12(GDM12)、ジステアリン酸グリセロールPEG-12(GDS12)、ジステアリン酸グリセロールPEG-23(GDS23)、ジパルミチン酸グリセロールPEG-23(GDP23)、及びジオレイン酸グリセロールPEG-12(GDO12)からなる群から選択される、請求項1に記載の表皮内の抗酸化物質の発現増強剤。
  3. 前記ジアシルグリセロールPEG付加物が、溶液状態で表皮内に浸透する、請求項1又は2に記載の表皮内の抗酸化物質の発現増強剤。
  4. 前記ジアシルグリセロールPEG付加物が、ベシクル状態で表皮内に浸透する、請求項1又は2に記載の表皮内の抗酸化物質の発現増強剤。
  5. 前記ジアシルグリセロールPEG付加物のベシクルが、20~40nmの範囲内の直径を有する、請求項4に記載の表皮内の抗酸化物質の発現増強剤。
  6. 前記抗酸化物質が酸化ストレス応答遺伝子であり、前記酸化ストレス応答遺伝子がNrf2である、請求項1~5のいずれかに記載の表皮内の抗酸化物質の発現増強剤。
  7. 前記抗酸化物質が酸化ストレス応答遺伝子であり、前記酸化ストレス応答遺伝子がPPARGである、請求項1~5のいずれかに記載の表皮内の抗酸化物質の発現増強剤。
  8. 前記抗酸化物質が抗酸化酵素であり、前記抗酸化酵素が、NAD(P)Hキノン還元酵素(NQO-1)、カタラーゼ(CAT)、及びヘムオキシゲナーゼ-1(HMOX1)からなる群のうち1つ又はそれ以上である、請求項1~5のいずれかに記載の表皮内の抗酸化物質の発現増強剤。
  9. 前記抗酸化物質が抗酸化タンパクであり、前記抗酸化タンパクがグルタチオンである、請求項1又は2に記載の抗酸化物質の発現増強剤。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の抗酸化物質の発現増強剤を用いた、紫外線による表皮損傷の抑制剤。
  11. 請求項1~9のいずれかに記載の抗酸化物質の発現増強剤を用いた、大気汚染物質による表皮損傷の抑制剤。
  12. 請求項1~9のいずれかに記載の抗酸化物質の発現増強剤を用いた、表皮内のハイドロキノンの酸化抑制剤。
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