JP2022081479A - 電位差イオン選択性電極及びこれを用いた検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン選択性電極(ISE)の用途の1つは、生体試料、特に血液中、のマグネシウムイオンの量を測定するためのものである。現在のマグネシウムISEで遭遇する主な問題は、Ca2+に対するMg2+の選択性が弱いことである。【解決手段】イオン選択性電極用の内部電解質層であって、金属塩をドープしたカーボンペーストを含む内部電解質層が開示されている。また、イオン選択性電極及び内部電解質層を含むセンサアレイアセンブリも開示されている。また、前記内部電解質層、イオン選択性電極及びセンサアレイアセンブリを作製し、使用する方法も開示されている。【選択図】図1

Description

(関連出願の相互参照/参照による引用)
本出願は、2017年5月9日に出願された米国仮出願第62/503,588号の35USC§119(e)に基づく利益を主張する。上記参照特許出願の全内容は、ここに参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
(連邦政府の資金提供を受けた研究開発の記載)
該当せず。
病院及び臨床研究機関において、マグネシウム分析への要求がますます増加している。イオン化マグネシウムの生物学的活性部分を検出することができる強固なマグネシウムイオンセンサは、患者の臨床診断に役立つことができる。
生体試料中の種々の分析物の存在および量を決定するためのイオン選択性電極(ISE)の使用は、有用な診断技術となっている。実際、ISEは、とりわけマグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及び塩化物等の分析物を検出するために使用されてきている。これらのISEのいくつかは、多数の分析物の同時分析のために、しばしば、臨床診断機器内に収容される。
このようなISEの用途の1つは、生体試料、特に血液中、のマグネシウムイオンの量を測定するためのものである。血液は多くのイオンを含有し、存在する主なイオンは、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、ナトリウムイオン(Na)である。現在のマグネシウムISEで遭遇する主な問題は、Ca2+に対するMg2+の選択性が弱いことである。
市販の血液ガス分析装置製品に使用されている現在のMg ISEは、3つの構成要素:マグネシウム検知カバーメンブレン、内部電解質層、及び内部参照電極;から構成されている。マグネシウム検知カバーメンブレンは、(これは例であって、限定するものではないが)マグネシウム検知イオノフォアをドープした可塑化PVC膜を含むことができ、更に他の添加剤を含むことができる。内部電解質(IE)層は、一般的に、(これは例であって、限定するものではないが)水溶液(即ち、AVL-998、KONE Microlyte、Nova SP等)を含有するが、より新しい血液イオン化マグネシウム(iMg)分析器は、IEとして、ハイドロゲル/親水性ポリマー(即ち、セルロース、アクリルゲル等(例えば、Nova CCX))を使用する。内部参照電極は、典型的には、(これは例であって、限定するものではないが)Ag/AgClで構成される。
ISEは、イオン種ごとに、異なる反応速度論的パターンを呈しており、そのため、イオン選択性の差異を考慮に入れてISEを較正しなければ、データが大きく歪む原因となる。現在、イオン化マグネシウムを測定するための電位差ISE(「Mg ISE」)の較正は、一般に、傾き、切片、及びカルシウムイオンに対するマグネシウムイオンの選択性を特徴付ける3つの較正試薬を用いて、Mg ISEを較正することを包含する。
当業者が本発明の主題を作成し、使用するのを支援するために、添付の図面が参照され、添付の図面は、縮尺どおりに描かれることを意図されておらず、同様の参照番号は、一貫性のために同様の要素を指すことを意図されている。明確にするために、全ての構成要素が全ての図面に表示されているわけではない。
本明細書に開示された概念に従って構築されたイオン選択性電極センサの非限定的な一実施形態を図示している。 MgCl及びCaCl溶液系列(DI HO)において、従来技術の水系内部電解質層(Aq IE)と比較したカーボンペースト内部電解質層(CP IE)の未加工の応答曲線を図示している。 MgCl溶液系列(DI HO)及びCaCl溶液系列(緩衝バックグラウンド)におけるCP IE及びAq IEの未加工の応答曲線を図示している。 溶液系列1:MgCl溶液における、CP iMg及び標準IE iMgの正規化信号を図示している。丸で囲んだ濃度範囲は、臨床範囲におけるイオン化Mg2+の報告濃度範囲である。 溶液系列2:CaCl溶液における、CP iMg及び標準IE iMgの正規化信号を図示している。丸で囲んだ濃度範囲は、Ca2+の報告濃度範囲である。 Mg2+溶液系列及びCa2+溶液系列における、CP IEの未加工の信号を図示している。 Mg2+溶液系列及びCa2+溶液系列における、水系IEの未加工の信号を図示している。 複数のMg2+濃度において算出された、Ca2+に対する選択性係数(SSM)を図示している。(1)カーボンペーストIE及び水系MgCl IEの選択性係数(SSM)は、Mg2+濃度が増加するに連れて乖離している。(2)Mg2+濃度が増加するに連れて、CP IE iMgセンサは選択性係数の低下を示す。Mg2+濃度が0.5mM~10mMの範囲において、Kpot Mg,Caは0.02付近である。各溶液の活量係数を用いてモル活量を算出した。
本発明の概念の少なくとも1つの実施形態を、例示的な用語及び結果によって詳細に説明する前に、本発明の概念が、その適用において、以下の説明に記載される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを、理解していただきたい。本発明の概念は、他の実施形態が可能であるか、様々な方法で実施又は実行することが可能である。従って、本明細書で使用される用語は、可能な限り広範な範囲及び意味を与えることを意図したものであり、実施形態は、例示的であることを意図したものであり、網羅的なものではない。また、本明細書で使用される語句及び用語は、説明の目的のためであり、限定的であるとみなされるべきではないことを理解していただきたい。
本明細書において別途定義されない限り、現在開示されている発明概念に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者に共通して理解される意味を有するものとする。更に、文脈によって別途必要とされる場合を除き、単数形の用語は複数形を含み、複数の用語は単数形を含むものとする。前述の技術及び手順は、一般的に、当技術分野で周知であり、本明細書全体に亘って引用され議論される種々の一般的でより具体的な参考文献に記載されている従来の方法に従って実施される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、及び医薬・薬学化学に関連して利用される命名法、並びに分析化学、合成有機化学、及び医薬・薬学化学の実験手順及び技法は、当技術分野でよく知られ、かつ一般的に使用されるものである。化学合成や化学分析には標準的な手法が用いられる。
本明細書に言及されている全ての特許、公開された特許出願、及び非特許刊行物は、この現在開示されている発明概念が関連する当業者の技術レベルを示すものである。本出願の何れかの部分において参照された全ての特許、公表された特許出願、及び非特許刊行物は、各々の個々の特許又は刊行物が、参照によって組み込まれることを具体的かつ個別的に示された場合と同程度に、その全体を参照によって明示的に本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示された物品、組成物及び/又は方法の全ては、本開示に照らして過度の実験をすることなく作製及び実行することができる。本発明概念の物品、組成物及び方法は、特定の実施形態の観点から説明されてきたが、本発明の概念、精神、及び範囲から逸脱することなく、物品、組成物及び/又は方法並びに本明細書に記載する方法のステップ又は一連のステップに、変化を加えることができることは、当業者に明らかであろう。当業者に明らかなこのような全ての類似の代替物及び改変は、特許請求範囲によって定義される本発明概念の精神、範囲及び概念の内にあるとみなされる。
本開示に従って利用される場合、以下の用語は、以下の意味を有すると理解される。
用語「a」又は「an」の使用は、請求項及び/又は明細書において用語「含有する(comprising)」と併せて使用される場合、「一つ」を意味することがあるが、「一つ又はそれ以上」、「少なくとも一つ」、及び「一つ又は一つ以上」の意味とも一致する。従って、「a」、「a」、「an」及び「the」という用語は、文脈が明らかに他を示す場合を除き、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「化合物」とは、1つ以上の化合物、2つ以上の化合物、3つ以上の化合物、4つ以上の化合物又はより多数の化合物を指すことができる。用語「複数」は、「2以上」を指す。
用語「少なくとも1つ」の使用は、一つ並びに、これらに限定されるわけではないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100等を含む任意の一つより多い量を含むと理解されるであろう。用語「少なくとも1つ」は、それが付されている用語に応じて、100又は1000以上にまで及ぶことがある。更に、より高い限界値も満足のいく結果をもたらす可能性があるため、100/1000の量は限定的と考えられるべきではない。更に、「X、Y、Zのうちの少なくとも1つ」という用語の使用は、X単独、Y単独、及びZ単独、並びにX、Y及びZの任意の組合せを含むと理解される。序数の用語(即ち、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等)の使用は、2つ以上の項目を区別する目的のためのみであり、例えば、順列若しくは順序又は1つの項目の他に対する重要性或いは添加の順序を意味するものではない。
請求項中の用語「又は」の使用は、選択肢のみを指すように明示的に示されている場合を除き又は選択肢が相互に排他的でない場合を除き、包括的な「及び/又は」を意味するために使用される。例えば、条件「A又はB」は、以下のいずれかによって満たされる:Aは真である(又は存在する)であり、Bは偽である(又は存在しない)、Aは偽である(又は存在しない)であり、Bは真である(又は存在する)、AとBは両方とも真である(又は存在する)。
本明細書で使用する場合、「1つの実施形態」、「或る実施形態」、「幾つかの実施形態」、「1つの例」、「例えば」又は「或る例」とは、実施形態に関連して記述される特定の要素、特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。例えば、明細書の種々の場所における「幾つかの実施形態において」又は「1つの例において」という語句の出現は、必ずしも全てが、同じ実施形態を参照しているわけではない。更に、1つ以上の実施形態又は例への言及は、全て、請求項を限定するものではないと解釈されるべきである。
本願全体を通して、「約」という用語は、値が組成/器具/装置の誤差の固有の変動、
値を決定するために用いられる方法、又は研究対象の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。例えば、限定するものではないが、用語「約」が利用される場合、指定された値は、開示された方法を実行するのに適切であり、当業者によって理解されるように、指定された値から、プラス又はマイナスの20パーセント又は15パーセント又は12パーセント又は11パーセント又は10パーセント又は9パーセント又は8パーセント又は7パーセント又は6パーセント又は5パーセント又は4パーセント又は3パーセント又は2パーセント又は1パーセント、だけ変化し得る。
本明細書及び請求項で用いられているように、用語「含有してなる(comprising)」(並びに"comprise"及び"comprises"といった"comprising"の任意の形)、「有する(having)」(並びに"have"及び"has"といった"having"の任意の形)、「包含する(including)」(並びに"includes"及び"include"といった"including"の任意の形)、又は「含む(containing)」(並びに"contains"及び"contain"といった"containing"の任意の形)は、包括的であるか無制限であり、追加の、引用されていない要素又は方法ステップを排除しない。
本明細書で用いられる用語「又はこれらの組合せ」は、この用語に先立って列挙された項目の全ての順列及び組合せに言及する。例えば、「A、B、C又はこれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABCの少なくとも1つを、そして、特定の文脈において順序が重要であるならば、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABをも、包含することを意図している。この例に引き続いて、特に、1つ又はそれ以上の項目又は用語の繰り返しを含む組合せ、例えば、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等々といった、組み合わせも明示的に含まれる。当業者は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、典型的には、如何なる組合せにおいても項目又は用語の数に制限がないことを理解するであろう。
本明細書で用いられる用語「実質的に」は、それに引き続いて記述される出来事又は状況が完璧に起きるか又はそれに引き続いて記述される出来事又は状況が大いに又はかなりの程度起きることを意味する。例えば、例えば、特定の事象又は状況と関連する場合、用語「実質的に」は、それに引き続いて記述される出来事又は状況が時間の80%以上、又は85%以上、又は90%以上、又は95%以上に起きることを意味する。「実質的に隣接している」という用語は、2つの項目が互いに100%隣接していること、又は2つの項目が互いに近接しているが100%隣接していないこと、又は2つの項目の1つの一部が他の項目に100%隣接していないが、当該他の項目に近接していることを意味してもよい。
本明細書中で使用される場合、「関連する(associated with)」及び「結合する(coupled to)」という語句には、2つの部分の互いに直接的な関連/結合及び2つの部分の互いに間接的な関連/結合の両方が含まれる。関連(associations)(会合)/結合(couplings)の非限定的な例には、例えば、ある部位と別の部位とが直接結合に依るかまたはスペーサー基を介して共有結合すること、ある部位と別の部位とが直接的にまたは当該部位に結合した特定の結合対メンバーによって非共有結合すること、ある部位を別の部位に溶解するまたは合成する等によってある部位を別の部位へ組み込むこと、ある部位を別の部位にコーティングすること、等が含まれる。
本明細書中で使用される用語「試料」は、本発明の概念に従って利用され得る任意のタイプの生体試料を含むと理解されるであろう。利用することができる流体生体試料の例としては、これらに限定されるわけではないが、全血又はその任意の部分(即ち、血漿又は血清)、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、のう胞液、汗、間質液、細胞外液、涙液、粘液、膀胱洗浄液、精液、便、胸水、鼻咽頭液、これらの組み合わせ等が挙げられる。
用語「患者」には、ヒト及び動物の被験体を含む。ある実施形態では、患者は哺乳動物である。或る他の実施形態では、患者はヒトである。治療目的の「哺乳動物」とは、ヒト、家畜及び農場の動物、非ヒト霊長類、及び、イヌ、馬、ネコ、ウシ等の動物園の動物、スポーツ動物又はペット動物を始めとする哺乳動物として分類されるあらゆる動物を指す。
本明細書中で使用される用語「精製された」とは、出発物質又は天然物質と比較して、例えば、少なくとも1桁の精製が達成されることを意味するが、出発物質又は天然物質の2、3、4、又は5桁の程度の精製に限定されるものではない。従って、本明細書中で使用される用語「精製された」は、材料が100%精製されていることを必ずしも意味せず、従って、そのような用語は、精製された組成物中の他の物質の存在を除外しない。
本明細書で使用される用語「水和(wetup)」は、分析器中へのセンサの設置から、較正試薬から安定した信号が得られる点までの水和過程を意味すると理解されるであろう。
本明細書で使用される「回収(recovery)」という用語は、単独で又は別の用語(これらに限定するものではないが、例えば、「品質管理の回収」、「回収期間」、及び「回収上昇」)と関連して、指定された値又は参照値と比較した分析プロセスの収率を意味すると理解される。
用語「ETH」は、本開示に従って利用される特定のイオノフォアを記述するために使用される場合、スイス連邦工科大学(Eidgenoesissche Technische Hochschule)のドイツ語版を示す。
血液分析器較正試薬に存在し、一般的に使用される非イオン性界面活性剤(例えば、これに限定されるわけではないが、ポリオキシアルキレンタイプの界面活性剤)は、マグネシウム検知膜中に存在するイオノフォア(即ち、マロン酸ベースのイオノフォア、イオノフォアETH5506、ETH7025、及びETH3832等)に重大な影響を及ぼし得る。血液ガス分析試薬中に一般的に使用されるポリオキシアルキレン非イオン性界面活性剤の干渉を回避するために、国際特許出願公開第WO2015/160755号(2015年10月22日に公開され、その内容は、参照により、明示的に本明細書に組み込まれる。)には、界面活性剤の干渉を最小限に抑えたマグネシウム検知膜における、ETH5506/ホウ酸塩の最適比の改良について開示されている。
現在の全てのiMgセンサについて、Ca2+に対する選択性係数は不十分であり、logKのレベルは約0.1~0.5である。従って、現在の全ての検査システムにおいて、Ca2+補正を適用しなければならない(即ち、Ca2+センサ性能を、較正及び回収アルゴリズムに含ませなければならない)。
従って、血中Mg2+検出の正確さ及び精密さは、センサの固有性能だけでなく、較正およびサンプル試験プロセス中のCa2+センサの変動によっても、影響を受ける可能性がある。Mg2+の較正及び回収の計算はアルゴリズム操作である程度補償できるとしても、Ca2+に対する選択性の影響を受けたままである。更に、Ca2+センサの性能のバラつきもまた、Mg2+の較正及び回収の計算における選択性因子であるために、iMgセンサの性能に寄与する。即ち、Mg2+の回収の変動は、イオン化カルシウム(iCa)センサ及びiMgセンサの両方からの不正確さに大きく関係している。
本明細書に開示されている発明概念に戻ると、Ca2+に対する選択性が改善されたiMgセンサが、較正及び回収の計算に対するCa2+センサからの影響を最小限にする、ことが開示される。これらのiMgセンサには、内部電解質層に、水溶液又はハイドロゲル/セルロースコポリマーではなく、カーボンペーストを使用することが含まれる。IEの塩の負荷がiMgセンサの性能に影響することが証明されており、本明細書に開示される、センサウエハ上にカーボンペースト含有内部電解質層を配するプロセスは、高い負荷量と再現性とを有する。このように、本明細書に記載されるiMgセンサの製造方法は、高い精度と正確性で実施することができ、それによって、高品質のiMgセンサを生産する際の現在のボトルネックを克服することができる。
驚くべきことに、ここに開示されているカーボンペースト含有内部電解質iMg(CP IE iMg)センサは、Mg2+溶液系列(0.1mM~10mM)ではネルンスト応答を示し、Ca2+溶液系列では応答勾配が減少して負のオフセットでシフトすることを示す。現在汎用されている水系IE又はセルロースIEを有するiMgセンサと比較して、ここに開示されているCP IE iMgセンサは、Ca2+に対する選択性が、堅実かつ有意に改善されている(SSM、0.5~10mMのMg2+範囲における選択性係数は0.3から0.015へと改善)。従って、本明細書に記載される方法は、Ca2+センサ補正がないか又は最小限に抑えたiMgセンサを作り出し、これにより、Ca2+補正のためのアルゴリズムへの依存性をより低減させる一方で、Mg2+結果の正確さ及び精密さを高度に改善することができる。
このように、ここに開示されているCP IE iMgセンサは、主要な妨害種であるCa2+に対する選択性の顕著な向上を始めとする、従来技術のセンサを超える幾つかの利点を提供し、この向上は、Ca2+妨害に対する補正を最小限にするか又は全く必要とせずに、較正及び回収の遥かに単純なアルゴリズムの使用を可能にする。そのため、このセンサで得られた結果の精密さ及び正確さは、従来技術のセンサで得られた結果よりも、有意に改善される。加えて、ここに開示されている製造方法は、先行技術の方法を上回る幾つかの利点も有する。ここに開示されている、スクリーン印刷アプローチを利用する製造方法は、従来のキャスト法又はディスペンサ法によるアプローチよりも有意に効率的である。この効率は、センサの大量生産を可能にするので、特に利点である。
ここに開示されている本発明の概念の或る実施形態は、中核検査室及び/又はPOCの用途に適応可能な新しい電位差イオン選択性電極の開発に使用することができる、新しい改善された内部電解質層に向けられている。内部電解質層は、カーボンペーストを含み、更にカーボンペースト中に分散された金属塩を含んでいてもよい。内部電解質層は、内部参照電極及びイオン検知膜と結合して電位差イオン選択性電極を形成することができる。
当該技術分野で公知の任意のカーボンペーストは、それから形成される電位差イオン選択性電極がここに開示される発明概念にしたがって機能し得る限りにおいて、内部電解質層に利用することができる。例えば、カーボンペーストは、電気伝導性であると同時に水分を不要とするべきである。カーボンペーストの電気伝導特性は、検知膜と電極との間の電子-イオン電荷移動プロセスを可能にし、また、より長い期間に亘って標的電解質に対して安定した応答信号を提供する。利用することができるカーボンペーストの非限定的な例としては、(これらに限定されないが)ウロツフ(登録商標)L15(Reichhold LLC、Durham、NC)等のポリウレタンエラストマータイプのものが挙げられる。
任意の金属塩が存在する場合、それから形成される電位差イオン選択性電極がここに開示される発明の概念に従って機能することができる限り、その金属塩を内部電解質層に利用することができる。特別の実施形態では(限定するものではないが)、内部電解質層に存在する金属塩は、(これらに限定しないが)MgCl、HCl、NaCl、KCl、KNO及びNaClO等の、標的電解質の金属塩である。例えば、マグネシウムセンサの内部電解質層へMgClを添加することで、干渉に対する感度及び選択性の応答性能を改善することに役立つ。標的電解質の金属塩を内部電解質層へ添加することはまた、センサの使用寿命に亘ってオフセット安定性を改善し得る。
ここに開示される発明概念の或る実施形態は、生体試料中のイオン化分析物を検出する電位差イオン選択性電極であって、上記で詳細に説明されたカーボンペースト含有内部電解質層のいずれかを含む電位差イオン選択性電極に向けられている。内部電解質層に加えて、電位差イオン選択性電極は、更に、イオン検知膜及び内部参照電極を含み、ここで、(i)内部電解質層の少なくとも一部は、内部参照電極の少なくとも一部と結合されており、(ii)内部電解質層の少なくとも一部は、イオン検知膜の少なくとも一部と結合されている。
標的分析物は、流体生体試料中に存在し、電位差イオン選択性電極によって検出可能であると当該技術分野で公知であるか又は本明細書中で考えられる、任意の分析物であってよい。例えば(制限するものではないが)、標的分析物は、生体試料中に潜在的に存在し得るカチオン又はアニオンであってよい。標的分析物の非限定的な例としては、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ナトリウム、塩素、pH等が挙げられる。従って、イオン検知膜は、(これは例示であって、限定するものではないが)マグネシウム検知膜、カリウム検知膜、カルシウム検知膜、ナトリウム検知膜、塩素検知膜又はpH検知膜であってもよい。特別な(しかし非限定的な)実施形態において、イオン検知膜はマグネシウム検知膜であってよく、内部電解質層に存在する金属塩はMgClであってもよい。
電極は、ここに開示されている発明概念に従って電極が機能することを可能にする、任意の形状を有することができる。例えば、或る非限定的な実施形態では、電極は平面状又は円形状であってよい。電極は、当技術分野で知られているか、又は本明細書で意図されている任意の方法によって作製することができる。ここに開示される発明概念に従って利用することができる製造方法の例としては、これらに限定されないが、スクリーン印刷法、金属スパッタリング法、フォトリソグラフィー法、又はその他の標準的な電極製造法が挙げられる。
ここに開示される発明概念の具体的な(しかし非限定的な)実施形態は、生体試料中のイオン化マグネシウムを検出し、本明細書中で詳細に記載されたカーボンペースト含有内部電解質層のいずれかを含む、電位差イオン選択性電極に向けられる。電位差イオン選択性電極は、内部電解質層に加えて、マグネシウム検知膜及び内部参照電極を含む。電位差イオン選択性電極が、本明細書に開示された方法又は本明細書で意図されている方法に従って機能することができる限り、当技術分野で公知であるか又は本明細書で意図されている任意のマグネシウム検知膜及び内部参照電極を、カーボンペースト含有内部電解質層と組み合わせて利用することができる。例えば、マグネシウム検知膜は、従来の膜又は固相平面膜であってもよい。
特定の(しかし、非限定的な)実施形態では、電位差イオン選択性電極は、国際特許出願公開第WO2015/160755号(上述)に開示されているようなマグネシウム検知膜を含んでいてもよい。この実施形態では、マグネシウム検知膜は、三分岐立体化学構造を有するイオノフォアと、親油性ホウ酸塩と、イオノフォア及び親油性ホウ酸塩が配置されるポリマーマトリックスと、を含む。ポリマーマトリックスは、ポリマー及び可塑剤を含む。
或る実施形態において、親油性ホウ酸塩は、イオノフォアに対する親油性ホウ酸塩のモル比を約60モル%~約100モル%の範囲とする量で存在し得る。利用され得るホウ酸:イオノフォア比の非限定的な例は、約60モル%、約65モル%、約70モル%、約7
5モル%、約80モル%、約85モル%、約90モル%、約95モル%及び約100モル%を含む。ホウ酸:イオノフォア比の特別の非限定的な例は、約75モル%である。
当技術分野内で公知であるか意図されている、ここで開示されている電位差イオン選択性電極のマグネシウム検知膜に従って機能することができる、三分岐立体化学構造を有するいずれのイオノフォアも、ここに開示する発明概念の範囲に入る。1つの実施形態において、イオノフォアは、少なくとも1つのマロンイミド官能基を有し得る。
ここに開示する発明概念に従って利用することができるイオノフォアの非限定的な例としては、式I~IVのいずれかの構造によって表わされるイオノフォアが挙げられる。
Figure 2022081479000002
(式I)
Figure 2022081479000003
(式II)
Figure 2022081479000004
(式III)
Figure 2022081479000005
(式IV)
式IVにおいて、nは、約6~約8の範囲にある。式I~IIIの構造のいずれかによって表わされるイオノフォアは、当技術分野では、それぞれ、ETH5506、ETH5504、ETH3832という製品名で知られている。式IVにおいて、nが6の場合、イオノフォアは生成物名ETH5282によって知られ、式IVにおいて、nが8の場合、イオノフォアは生成物名ETH7025によって知られている。
当技術分野内で公知であるか意図されており本明細書に記載する電位差イオン選択性電極のマグネシウム検知膜の一部として機能することができる任意の親油性ホウ酸塩を、ここに開示する発明概念に従って利用することができる。本発明で利用することができる親油性ホウ酸塩の非限定的な例としては、以下が挙げられる:
Figure 2022081479000006
テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸カリウム 又は
テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム
Figure 2022081479000007
テトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウム
当技術分野内で公知であるか意図されており本明細書に記載された電位差イオン選択性電極のマグネシウム検知膜の一部として機能することができる任意のポリマーを、ここに開示されている発明概念に従って、ポリマーマトリックスの一部として利用することができる。本明細書で利用できるポリマーの非限定的な例としては、ポリ(塩化ビニル)、ポリウレタン、及び、これらの組合せが挙げられる。
当技術分野内で公知であるか意図されており本明細書に記載され高い電位差イオン選択
性電極のマグネシウム検知膜の一部として機能することができる任意の可塑剤を、ここに開示された発明概念に従い、ポリマーマトリックスの一部として利用することができる。本明細書で利用することができる可塑剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる。
Figure 2022081479000008
2-ニトロフェニルオクチルエーテル
Figure 2022081479000009
[12-(4-エチルフェニル)ドデシル] 2-ニトロフェニルエーテル
内部参照電極は、それから形成される電位差イオン選択性電極が、ここに開示する発明概念に従って機能することができる限り、任意の材料から、当技術分野で公知であるか又は本明細書で意図されている任意の方法によって、構築することができる。例えば(制限のためではないが)、内部参照電極は、金及び銀の少なくとも1つを含むことができる。特定の(しかし非限定的な)実施例において、内部参照電極は、その上に配置された塩化銀層を有する銀ワイヤを含む。
或る実施形態では、ここに開示された発明概念の電位差イオン選択性電極は、使用寿命及び多試料曝露期間に亘って、前記電極が電位差イオン選択性電極の完全性、応答、及び精密さを実質的に維持するような、多用途(multi-use)であってもよい。特定の(しかし非限定的な)実施例において、電位差イオン選択性電極は、少なくとも約14日間の使用寿命と少なくとも約1,000サンプルの標本抽出能力に亘って、例えば、(これに限定するものではないが)少なくとも約30日間の使用寿命と少なくとも約3,000サンプルの標本抽出能力に亘って、その完全性を実質的に維持することができる。
ここに開示されている発明概念の或る実施形態は、本明細書に記載されているか又は意図されている電位差イオン選択性電極のいずれかを製造する方法を含む。この方法では、溶液中の金属塩をカーボンペーストに分散させて内部電解質層を形成し、内部電解質層の少なくとも一部を、内部参照電極の少なくとも一部に、スクリーン印刷する。次いで、イオン検知膜の少なくとも一部が、内部電解質層の少なくとも一部の上に配置される。本明細書において詳細に記載されているように、それから製造された電位差イオン選択性電極が、ここに開示された発明概念に従って機能することができる限り、当技術分野で公知であるか又は本明細書において意図されている任意の内部参照電極及びイオン検知膜を、本方法に従って利用することができる。特定の(しかし非限定的な)実施形態では、イオン検知膜は、マグネシウム検知膜、カリウム検知膜、カルシウム検知膜、ナトリウム検知膜、塩素検知膜及びpH検知膜を含む群から選択することができ、及び/又は、カーボンペースト中に分散した金属塩は、MgCl、HCl、NaCl、KCl、KNO、及びNaClOを含む群から選択することができる。例示的な実施形態では、金属塩は、カーボンペースト中に分散されるときに、溶液中にあってもよい。このような溶液の例としては、水溶液が挙げられる。
ここに開示された発明概念の或る実施形態は、流体生体試料中の標的イオン分析物の存在及び/又は濃度を検出する方法に向けられる。本方法では、本明細書に記載された又は意図された電位差イオン選択性電極のいずれかを、生体試料と接触させ、生体試料中の特定のイオンのレベルを電位差イオン選択性電極を用いて測定する。本方法は、更に、当該技術分野において公知であるか又は意図される何らかの方法によって、前記測定結果を報告する工程を含んでもよい。
本方法で利用され得る流体生体試料の例には、これらに限定されないが、血液、血漿、血清、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、のう胞液、汗、間質液、細胞外液、涙液、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸水、鼻咽頭液、及びこれらの組合せが含まれる。
ここに開示された発明概念の特定の(しかし、非限定的な)実施形態では、この方法は、更に、生体試料中に存在するマグネシウムイオンのレベルを測定する方法として、定義される。本方法では、本明細書に記載された又は意図された電位差イオン選択性電極のいずれかを生体試料と接触させ、生体試料中に存在するマグネシウムイオンのレベルを電位差イオン選択性電極を用いて測定する。方法は、更に、当該技術分野において公知であるか又は意図される何らかの方法によって、前記測定結果を報告する工程を含んでもよい。
ここに開示された発明概念の或る実施形態は、複数の多用途センサを含む多用途センサアレイアセンブリに向けられており、ここで、複数の多用途センサのうちの1つ又は複数が、本明細書に記載又は意図されている電位差イオン選択性電極の1つである。多用途センサアレイアセンブリに存在する残りのセンサは、流体生体試料中に潜在的に存在する1つ以上の分析物を検出するための、血液ガス、電解質、及び/又は代謝物分析器と共に使用するために、当技術分野で公知の任意の多用途センサであってもよい。
ここに開示された発明概念の追加の実施形態は、前記多用途センサアレイアセンブリを用いて、流体生体試料中の複数の標的分析物の存在及び/又は濃度を検出する方法に、向けられる。この方法では、流体生体試料を、多用途センサアレイアセンブリを含む、血液ガス、電解質、及び/又は代謝物分析器に挿入し、アレイアセンブリの個々の多用途センサによって検出される複数の標的分析物の各々の存在及び/又は濃度を測定する。本方法は、更に、当該技術分野で公知の方法又は意図される方法により、前記測定結果を報告する工程を含み得る。
本明細書に記載されているか又は意図されている検出方法のいずれも、電位差イオン選択性電極をポリ(エチレンオキシド)界面活性剤を含む試薬と接触させる工程を更に含み得る。ポリ(エチレンオキシド)界面活性剤は、界面活性剤及び電位差イオン選択性電極が、ここに開示されている発明概念に従って機能することを可能にする、任意の濃度で利用することができる。ここに開示されている発明概念の範囲内にあるポリ(エチレンオキシド)界面活性剤濃度の非限定的な例は、約100mg/L未満である。
当技術分野内で公知又は意図されており、本明細書に記載されているように機能することができる任意のポリ(エチレンオキシド)界面活性剤は、ここに開示されている発明概念に従って利用することができる。ここに開示されている発明概念に従って利用することができるポリ(エチレンオキシド)界面活性剤の非限定的な例は、式V-VIIの構造によって表わされる。
Figure 2022081479000010
(式V)
Figure 2022081479000011
(式VI)
Figure 2022081479000012
(式VII)
式Vにおいて、nは、約9~約10の範囲にあり、式VIIにおいて、nは、約100である。式Vの構造(例えば、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)で表わされる界面活性剤の非限定的な例の1つは、商品名TRITON(商標)X-100(Sigma-Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)の下で販売されている。式VIの構造(例えば、ポリオキシエチレン23ラウリルエーテル)で表わされる界面活性剤の非限定的な例の1つは、当技術分野では製品名Brij-35によって知られている。式VII(nは、約100である。)の構造で表わされる界面活性剤の非限定的な例は、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル非イオン性界面活性剤であり、このものは、当技術分野においてBrij-700(CAS No.9005-00-9)という製品名で知られている。式VIIの構造で表わされる界面活性剤の特定の非限定的な例は、2013年7月30日にZhangらに発行された米国特許第8,496,900号に開示されている。
ここに開示された発明概念の更に別の実施形態は、内部電解質層、電位差イオン選択性電極、及び/又は本明細書に記載又は意図されている多用途センサアレイアセンブリのいずれかを含むキットを含む。更に、キットは、更に、本明細書に記載されているか又は本明細書中で意図されているようなポリ(エチレンオキシド)界面活性剤を含む1つ以上の試薬(ただし、これらに限定されない)等の1つ以上の試薬を含んでもよい。試薬は、1つ又は複数の較正試薬、1つ又は複数の洗浄試薬、又は1つ又は複数の品質管理試薬、又は上記の任意の組合せであってもよい。
更に、キットは、本明細書中に記載され又は意図された特定の方法のいずれかを実施するための他の試薬を更に含んでいてもよい。これらの追加試薬の性質は、特定のアッセイ形式に依存し、その同定は、当業者の技術範囲内である。
構成要素/試薬は、それぞれ、キットの別々の容器/区画に配置されてもよく、又は、種々の構成要素/試薬を当該構成要素/試薬の競合的性質及び/又は当該構成要素/試薬の安定性に応じて、キットの1つ又は複数の容器/区画に組み合わせることができる。キットは、更に、分析を実施するための他の別個に包装された試薬を含むことができる。キット中の種々の構成要素/試薬の相対量は、アッセイ方法中に起こる必要がある反応を実質的に最適化し、更にアッセイの安定性/感度を実質的に最適化する構成要素/試薬の濃度を提供するために、広範に変化することができる。陽性の及び/又は陰性の対照をキットに含めてもよい。
キットには、更に、キットの使用方法を説明する一連の文書化された指示書を含めることができる。例えば、これは限定するものではないが、キットは、電位差イオン選択性電極をリンス、較正、及び/又は操作するための指示を更に含むことができる。この性質のキットは、本明細書において記載され又は意図された方法のいずれにおいても使用することができる。
以下に例を示す。しかしながら、ここに開示されている発明概念は、以下に開示されている特定の実験、結果及び実験手順への適用に限定されるものではないと理解されるべきである。むしろ、実施例は、単に、様々な実施形態の1つとして提供されるものであり、例示的であり、網羅的ではないことを意図している。
[材料及び方法]
イオン選択性電極を以下のように作製した。実施例で使用するために2つのタイプの内部電解質層を調製した。脱イオン水(DI HO)中に10mMのMgClを含む従来技術の水系内部電解質層(Aq IE)を作製した。MgCl(CP IE)をドープしたカーボンペーストを含む内部電解質層を、以下の3つの配合で調製した。
i)CP1:0.6MのMgClを0.005mlスパイク添加した、5.02gのペースト
ii)CP2:0.6MのMgClを0.035mlスパイク添加した5.02gのペースト
iii)CP3:0.6MのMgClを0.135mlスパイク添加した5.02gのペースト
3種類のCP IE配合は、全て、iMgセンサ応答に作用することが分かった。取り分け、CP-3は水溶液中で最も安定で最も速い応答を生じることが分かった。
マグネシウム検知カバーメンブレンは、以下の配合に従って調製した。
MgイオノフォアETH5506:3重量%
KTpClPB:ETH5506に対して75モル%
可塑剤ETH217: 55重量%
PVC: 41重量%
溶媒としてのテトラヒドロフラン(THF)
カバーメンブレンをグラスプレート上のガラスリング(d=1.5インチ)内にキャスティングし、その後、一晩硬化させた。
TYGON(登録商標)チューブ(d=0.5インチ;Saint-Gobain Corp. フランス、クールブヴォア州ラ・デファンス)を1インチの長さのセグメントに切断し、THFの溶融を利用してカバーメンブレンディスク(d=0.5インチ)をTYGON(登録商標)チューブの一端に取り付けた。乾燥後、カーボンペースト内部電解質層又は水系内部電解質溶液層を密封したTYGON(登録商標)チューブに添加した。
上記で作製したIE/TYGON(登録商標)チューブにAg/AgClワイヤを挿入することにより電位差測定機構を構築し、外部Ag/AgCl基準電極を用いて典型的な電位差測定システムを設定した。信号mVの取得には、Lawson LabのEMF16 Precision Electrochemistry EMF Interface(Lawson Labs、Inc. ペンシルベニア州、マルヴァーン)を使用した。使用する設定の描写については図1を参照のこと。
分析には2系列の溶液を用いた。これらの溶液系列は、以下のように処方された。
溶液系列1:DI HO中のMgCl:0.1、0.5、1.0、10mM
溶液系列2:DI HO中のCaCl:0.1、0.5、1.0、10mM
[結果と考察]
図2は、従来技術の水系内部電解質層(Aq IE)と比較したカーボンペースト内部電解質層(CP IE)の、MgCl及びCaCl溶液系列(DI HO)における未加工の応答曲線を図示している。
図3は、CP IE及びAq IEの、MgCl溶液系列(DI HO)及びCaCl溶液系列(緩衝バックグラウンド)における未加工の応答曲線を図示している。
図4は、溶液系列1:MgCl溶液における、CP iMg及び標準IE iMgの正規化された信号を図示している。丸で囲んだ濃度範囲は、イオン化Mg2+の報告濃度範囲である。
図5は、溶液系列2:CaCl溶液における、CP iMg及び標準IE iMgの正規化された信号を図示している。丸で囲んだ濃度範囲は、Ca2+の報告濃度範囲である。
図6は、Mg2+溶液系列及びCa2+溶液系列における、CP IEの未加工の信号を図示している。
図7は、Mg2+溶液系列及びCa2+溶液系列における、水系IEの未加工の信号を図示している。
CP IE iMgセンサは、特に臨床報告範囲(0.1~1.0mM Mg2+)において、従来の塩水溶液IE iMgセンサと同様の応答感度を有していた(図2及び図4参照)。驚くべきことに、CP IE iMgセンサは、Ca2+濃度変動に対して大幅に低い感度を示した(図2)。Mg2+(0.5mM)、及びNa(150mM)その他の電解質バックグラウンド、ないし緩衝pH7.2の一定条件において、水系IE iMgセンサは、0.1mMCa2+から1.0mMCa2+まで29.72mV/Decのネルンスト応答勾配を示したのに対し、CP IE iMgセンサは、Ca2+感受性を殆ど示さなかった(図3及び図5)。またCP IE iMgセンサは、Ca2+溶液中よりも、Mg2+溶液中ではるかに高い信号出力(オフセット)を示した。このような信号出力の差(オフセット差)は、Mg2+のCa2+に対する応答選択性に関連している。図6及び図7に示されるように、CP IE iMgセンサは、現在の水系IE iMgセンサよりも遥かに大きなオフセット差を有し、この差が、CP IE iMgセンサによる選択性係数の有意な改善につながっている(図8)。理論に束縛されることを望まないが、Mg2+の検出限界は変化しないCP IE iMgセンサについてのCa2+の検出限界の変化と、相関がある可能性がある。臨床報告範囲において、Ca2+に対するMg2+の選択性係数は、ここに開示されている発明概念のCP IE iMgセンサによって劇的に改善することができる。
表1は、様々なMg2+濃度における種々のIEセンサのCa2+に対する選択性係数(個別溶液法:SSM)を示している。試料中のMg2+濃度の増加に伴い、従来技術のAq IEセンサは、Kpot Mg,Ca値(SSM)が増加することを示したが、他方、CP IEセンサは、Kpot Mg,Caの減少を示した。この傾向は、図6にも反映されている。
Figure 2022081479000013
従来のAq IE iMgセンサは、Kpot Mg,Caが0.2~0.3の範囲にあることを示し、これは、iMgセンサに必要な選択性(Kpot Mg,Ca(必要)=0.02)よりもはるかに高い。従って、許容精度誤差<1%を満たすためには、Ca2+干渉に関するアルゴリズム補正を使用しなければならない。
しかしながら、CP IE iMgセンサは、通常から高Mg2+濃度の範囲(0.5~10mM Mg2+)において、Kpot Mg,Ca≦0.02(SSM)に達し、これは、従来のAq IEセンサよりも約10倍(1桁)良好であった。このKpot Mg,Ca値は、Ca2+に対して必要な選択性係数(Kpot Mg,Ca(必要)=0.02)に非常に近いため、CP IEセンサは、Ca2+干渉に対してアルゴリズム補正をしないか、最小の補正及び"僅かな"アルゴリズム補正で、Mg2+を測定できることがわかった。このように、血中Mg2+アッセイの質を有意に改善することができる。
図8は、異なるMg2+濃度における、Ca2+に対する種々のIEセンサの計算された選択性係数(SSM)を図示している。(1)カーボンペーストIE及び水系MgCl IEについての選択性係数(SSM)は、Mg2+濃度の勾配に沿って乖離している。(2)Mg2+濃度の増加に加え、CP IE iMgセンサは、選択性係数の低下を示した。Mg2+濃度が0.5mM~10mMの範囲について、0.02近傍のKpot Mg,Caが観察された。このことは、CP IE iMgセンサが、従来のAq IE iMgセンサと比較して、最小のCa2+補正で又はCa2+補正なしでも、血中Mg2+を測定できることを意味する。
(本発明概念の非限定的実施形態)
幾つかの実施形態は、電位差イオン選択性電極のための内部電解質層に向けられている。内部電解質層は、カーボンペーストと該カーボンペースト中に分散した金属塩とから成り、内部電解質層は、内部参照電極及びイオン検知膜と結合して電位差イオン選択性電極を形成することができる。金属塩は、MgCl、HCl、NaCl、KCl、KNO又はNaClOであり得る。
幾つかの実施形態は、(a)内部参照電極、(b)その内部に金属塩が分散したカーボンペーストを含む内部電解質層であって、その少なくとも一部が前記内部参照電極の少なくとも一部と結合している内部電解質層、及び(c)イオン検知膜であって、その少なくとも一部が前記内部電解質層の少なくとも一部と結合しているイオン検知膜を含む、電位差イオン選択性電極に向けられている。幾つかの実施形態では、イオン検知膜は、マグネシウム検知膜、カリウム検知膜、カルシウム検知膜、ナトリウム検知膜、塩素検知膜及びpH検知膜を含む群から選択される。幾つかの実施形態において、金属塩は、MgCl、HCl、NaCl、KCl、KNO、及びNaClOを含む群から選択される。特定の実施形態では、イオン検知膜は、更に、マグネシウム検知膜として定義され、内部電解質層に存在する金属塩はMgClである。
幾つかの実施形態では、マグネシウム検知膜は、(a)三分岐立体化学構造を有するイオノフォア;(b)親油性ホウ酸塩であって、親油性ホウ酸塩対イオノフォアのモル比が約60モル%~約100モル%の範囲となる量で存在する親油性ホウ酸塩;及び(c)前記イオノフォア及び前記親油性ホウ酸塩が配置されたポリマーマトリックスであって、ポリマー及び可塑剤を含むポリマーマトリックス、を含むと定義される。イオノフォアは、式I~IVの1つの構造によって表わされ得る。
Figure 2022081479000014
(式I)
Figure 2022081479000015
(式II)
Figure 2022081479000016
(式III)
Figure 2022081479000017
(式IV)
式IVにおいて、nは約6~約8の範囲である。
電位差イオン選択性電極の幾つかの実施形態では、親油性ホウ酸塩は、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸カリウム;テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム;及びテトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウムを含む群から選択される。幾つかの実施形態では、可塑剤は、2-ニトロフェニルオクチルエーテル、2-ニトロフェニルドデシルエーテル及び[12-(4-エチルフェニル)ドデシル]2-ニトロフェニルエーテルを含む群から選択される。幾つかの実施形態では、イオノフォアに対する親油性ホウ酸塩のモル比は、約80モル%である。幾つかの実施形態では、電極は、更に、固相の平面マグネシウム検知膜として定義される。幾つかの実施形態では、内部参照電極は、金及び銀の少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、内部参照電極は、その上に塩化銀層が配置された銀ワイヤを含む。
電位差イオン選択性電極は、特定の実施形態において、少なくとも14日間の使用寿命を有する多用途電位差イオン選択性電極として更に定義される。
幾つかの実施形態は、電位差イオン選択性電極を製造する方法に向けられている。この方法は、(a)カーボンペースト中に金属塩を分散させて内部電解質層を形成する工程;(b)内部参照電極の少なくとも一部に前記内部電解質層の少なくとも一部をスクリーン印刷する工程;及び、(c)前記内部電解質層の少なくとも一部にイオン検知膜の少なくとも一部を配置する工程を含む。
本方法の幾つかの実施形態では、イオン検知膜は、マグネシウム検知膜、カリウム検知膜、カルシウム検知膜、ナトリウム検知膜、塩素検知膜及びpH検知膜を含む群から選択される。本方法の幾つかの実施形態では、カーボンペースト中に分散された金属塩は、MgCl、HCl、NaCl、KCl、KNO、及びNaClOを含む群から選択される。幾つかの実施形態では、金属塩は、カーボンペースト中に分散させる場合、溶液中にあってもよい。このような溶液の例としては、水溶液が挙げられる。本方法の特定の実施形態では、イオン検知膜は、更に、マグネシウム検知膜として定義され、内部電解質層に存在する金属塩はMgClである。
本方法の幾つかの実施形態において、マグネシウム検知膜は、更に、(a)三分岐立体化学構造を有するイオノフォア;(b)親油性ホウ酸塩であって、親油性ホウ酸塩対イオノフォアのモル比が、約60モル%から約100モル%の範囲となる量で存在する親油性ホウ酸塩;及び(c)イオノフォア及び親油性ホウ酸塩が配置されたポリマーマトリックスであって、ポリマー及び可塑剤を含むポリマーマトリックスを含むものとして定義される。イオノフォアは、上記の式I~IVの1つの構造で表わされ得る。
幾つかの実施形態は、流体生体試料中の標的イオン分析物の存在及び/又は濃度を検出する方法に向けられており、該方法は、(i)上述の電位差イオン選択性電極を生体試料と接触させる工程;及び(ii)電位差イオン選択性電極を用いて該生体試料中の特定イオンのレベルを測定する工程を含む。本方法の幾つかの特定の実施形態は、電位差イオン選択性電極をポリ(エチレンオキシド)界面活性剤を含む試薬と接触させる追加の工程を含む。特定の実施形態では、ポリ(エチレンオキシド)界面活性剤は、式VIIの構造によって表わされる。
Figure 2022081479000018
(式VII)
ここで、nは約100である。幾つかの実施形態では、流体生体試料は、血液、血漿、血清、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、のう胞液、汗、間質液、細胞外液、涙液、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸水、鼻咽頭液及びこれらの組合せを含む群から選択される。
幾つかの実施形態は、複数の多用途センサを含む多用途センサアレイアセンブリに向けられており、複数の多用途センサのうちの少なくとも1つは、上述の電位差イオン選択性電極の1つである。
幾つかの実施形態は、流体生体試料中の複数の標的分析物の存在及び/又は濃度を検出する方法に向けられている。本方法は、(a)流体生体試料を、上述の多用途センサアレイアセンブリを含有する血液ガス、電解質及び/又は代謝物分析器に挿入する工程、及び、(b)アレイアセンブリの個々の多用途センサによって検出される複数の標的分析物の各々の存在及び/又は濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、流体生体試料は、血液、血漿、血清、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、のう胞液、汗、間質液、細胞外液、涙液、粘液、膀胱洗浄液、精液、糞便、胸水、鼻咽頭液及びこれらの組合せを含む群から選択される。
従って、本明細書に開示されている発明概念に従って、前述の目的及び利点を完全に満たす組成物及び装置並びにそれらを製造及び使用する方法が提供されてきた。ここに開示されている発明概念は、上述の特定の図面、実験、結果及び言語と共に説明されてきたが、多くの代替、修正及び変形が当業者に明らかであることは明らかである。従って、本発明は、ここに開示された発明概念の精神及び広範な範囲に入るそのような代替、修正及び変形の全てを包含することを意図している。
(参照)
以下の参考文献は、本明細書中に記載したものを補足する例示的な手順上又はその他の詳細を提供する範囲で、参照として明確に本明細書に組み入れられる。更に、以下は情報開示陳述書であることを意図したものではなく、むしろ37CFR(米国特許規則)1.97の規定に従った情報開示陳述書は別途提出される。
・Ursula E.Spichiger、Rudolf Eugster、E.Haase、G.Rumpf、Peter Gehrig、Angcla Schmid、Bruno Rusterholz及びWilhelm Simon.「ヒト血液血清への出願のためのマグネシウム選択性液膜電極の重要なパラメータと最適化」 Fresenius J Anal Chem (1991) 341:727-731.
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・Ursula E.Spichiger「マグネシウム選択性イオノフォア及びマグネシウム選択性電極の開発の歴史」Electro analysis(1993)5:739-745
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・Wei Zhang、K.Horan、U.Laura、国際特許出願公開第WO2010/021923号「マグネシウムイオン選択性電極を有するポリオキシアルキレン非イオン性界面活性剤の使用」2010年2月25日発行.

Claims (20)

  1. 電位差イオン選択性電極用の内部電解質層であって、
    カーボンペーストと、
    前記カーボンペースト中に分散された金属塩と、
    を含有し、
    内部参照電極及びイオン検知膜と結合して電位差イオン選択性電極を形成することができる、内部電解質層。
  2. 前記金属塩は、MgCl、HCl、NaCl、KCl、KNO及びNaClOを含む群から選択される、請求項1に記載の内部電解質層。
  3. (a)内部参照電極、
    (b)内部電解質層であって、その内部に金属塩を分散させたカーボンペーストを含み、当該内部電解質層の少なくとも一部が前記内部参照電極の少なくとも一部と結合している、内部電解質層、および
    (c)イオン検知膜であって、当該イオン検知膜の少なくとも一部が、前記内部電解質層の少なくとも一部と結合している、イオン検知膜、
    を備える、電位差イオン選択性電極。
  4. (i)前記イオン検知膜は、マグネシウム検知膜、カリウム検知膜、カルシウム検知膜、ナトリウム検知膜、塩素検知膜、及びpH検知膜を含む群から選択される、および
    (ii)前記金属塩は、MgCl、HCl、NaCl、KCl、KNO、及びNaClOを含む群から選択される、
    の少なくとも1つを満たす、請求項3に記載の電位差イオン選択性電極。
  5. 前記イオン検知膜は、更に、マグネシウム検知膜として定義され、
    前記内部電解質層に存在する前記金属塩は、MgClである、
    請求項4に記載の電位差イオン選択性電極。
  6. 前記マグネシウム検知膜は、
    三分岐立体化学構造を有するイオノフォア、
    親油性ホウ酸塩であって、前記イオノフォアに対する当該親油性ホウ酸塩のモル比が約60モル%~約100モル%の範囲となる量で存在する、親油性ホウ酸塩、および
    前記イオノフォア及び前記親油性ホウ酸塩が配され、ポリマー及び可塑剤を含む、ポリマーマトリックス、
    を含むとさらに定義される、請求項5に記載の電位差イオン選択性電極。
  7. 前記イオノフォアは、式I~IV:
    Figure 2022081479000019
    (式I)
    Figure 2022081479000020
    (式II)
    Figure 2022081479000021
    (式III)
    Figure 2022081479000022
    (式IV)
    ここで式IVにおいて、nは約6~約8の範囲である、
    のうちの1つの構造によって表わされる、請求項6に記載の電位差イオン選択性電極。
  8. (i)前記親油性ホウ酸塩は、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸カリウム;テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム;及びテトラキス(4-クロロフェニル)ホウ酸カリウムを含む群から選択される、
    (ii)前記可塑剤は、2-ニトロフェニルオクチルエーテル、2-ニトロフェニルドデシルエーテル及び[12-(4-エチルフェニル)ドデシル]2-ニトロフェニルエーテルを含む群から選択される、
    (iii)前記イオノフォアに対する前記親油性ホウ酸塩のモル比は、約80モル%である、および
    (iv)前記電極は、さらに、固相の平面マグネシウム検知膜として定義される、
    のうちの少なくとも1つの条件を満たす、請求項6に記載の電位差イオン選択性電極。
  9. 前記内部参照電極は、金及び銀の少なくとも1つを含む、請求項3に記載の電位差イオン選択性電極。
  10. 前記内部参照電極は、塩化銀層がその上に配置された銀ワイヤを含む、請求項9に記載の電位差イオン選択性電極。
  11. 少なくとも14日間の使用寿命を有する多用途電位差イオン選択性電極としてさらに定義される、請求項3に記載の電位差イオン選択性電極。
  12. 金属塩溶液をカーボンペースト中に分散させて内部電解質層を形成する工程;
    前記内部電解質層の少なくとも一部を、内部参照電極の少なくとも一部の上に、スクリーン印刷する工程;および
    イオン検知膜の少なくとも一部を、前記内部電解質層の少なくとも一部の上に配置する工程、
    を含む、電位差イオン選択性電極を作製する方法。
  13. (i)前記イオン検知膜は、マグネシウム検知膜、カリウム検知膜、カルシウム検知膜、ナトリウム検知膜、塩素検知膜及びpH検知膜を含む群から選択される、および
    (ii)カーボンペースト中に分散された前記金属塩溶液は、MgCl、HCl、NaCl、KCl、KNO及びNaClOを含む群から選択される、
    の少なくとも1つの条件を満たす、請求項12に記載の方法。
  14. 前記イオン検知膜は、マグネシウム検知膜としてさらに定義され、
    前記内部電解質層に存在する前記金属塩は、MgClである、
    請求項13に記載の方法。
  15. 前記マグネシウム検知膜はさらに、
    三分岐立体化学構造を有するイオノフォア、
    親油性ホウ酸塩であって、前記イオノフォアに対する当該親油性ホウ酸塩のモル比が約60モル%~約100モル%の範囲となる量で存在する、親油性ホウ酸塩、および
    前記イオノフォア及び前記親油性ホウ酸塩が配置され、ポリマー及び可塑剤を含む、ポリマーマトリックス、
    を含むものとして定義される、請求項14に記載の方法。
  16. 流体生体試料中の標的イオン分析物の存在及び/又は濃度を検出する方法であって、
    請求項3に記載の前記電位差イオン選択性電極を生体試料と接触させる工程、および
    前記生体試料中の特定のイオンのレベルを、前記電位差イオン選択性電極を用いて測定する工程、
    を含む方法。
  17. 前記流体生体試料は、血液、血漿、血清、尿、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、皮膚、腸液、腹腔内液、のう胞液、汗、間質液、細胞外液、涙液、粘液、膀胱洗浄液、精液、便、胸水、鼻咽頭液及びこれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記電位差イオン選択性電極を、ポリ(エチレンオキシド)界面活性剤を含む試薬と接触させる工程、
    を更に含む、請求項16に記載の方法。
  19. 複数の多用途センサを含み、
    前記複数の多用途センサのうちの少なくとも1つは、請求項3に記載の前記電位差イオン選択性電極である、多用途センサアレイアセンブリ。
  20. (a)流体生体試料を、請求項19に記載の前記多用途センサアレイアセンブリを含む、血液ガス、電解質、及び/又は代謝物分析器に挿入する工程、および
    (b)前記アレイアセンブリの個々の前記多用途センサによって検出された、前記複数の標的分析物の各々の存在及び/又は濃度を測定する工程、
    を含む、流体生体試料中の複数の標的分析物の存在及び/又は濃度を検出する方法。
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