JP2022081114A - 熱成形品の製造方法、および、撥液膜付き熱成形品 - Google Patents

熱成形品の製造方法、および、撥液膜付き熱成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】表面に撥液膜が施された樹脂基材を熱成形しても、その撥液性が維持されるような熱成形品の製造方法、および、撥液膜付きの熱成形品を提供すること。【解決手段】熱成形品100の製造方法は、下記工程(1)および(2)を含む。工程(1):基材2の表面に、微粒子の凝集体6およびバインダー8を有する撥液膜4を形成する撥液膜形成工程であって、基材2の表面を構成する樹脂の表面張力とバインダー8を構成する樹脂の膜の表面張力との差が10mJ/m2以下であること、および、工程(2):工程(1)で得られた撥液膜付きの基材2を、熱成形する熱成形工程であって、熱成形前の撥液膜付きの基材2の厚さを100%として、当該厚さが60%までの範囲に入るように、撥液膜付きの基材2を延伸すること。【選択図】 図1

Description

本発明は、熱成形品を製造する方法、および、撥液膜を備えた熱成形品に関する。
熱成形品を日用品や工業用品として用いる際、その表面に様々な機能が付与されているものが求められる。特に、表面の撥液性は、容器への内容物の付着を防止し、内容物の残留を減少させることから、重視されてきた。例えば、食品容器の撥液性が劣っていると、その表面に食品が付着したまま廃棄され易くなり、食品ロスやプラスチックリサイクルの促進を阻害する。また、食品を取り出す際に、容器に付着した食品で手や衣服、周囲にあるものが汚れ易くなる。さらに、食品が残留した容器を放置すると、腐敗や異臭が生じたり、虫などが集まったりするなど、様々な問題が生じる。
特許文献1には、樹脂基材に撥水性を付与する方法として、樹脂基材上に微粒子を含んだ塗料を塗布し、樹脂基材の表面に多数の微粒子による微小な凹凸構造を形成することが開示されている。この方法を用いれば、150度以上の水接触角を示す撥水性の膜が得られる。
特開2018-62660号公報 特許6336287号公報
しかし、撥水性の膜が形成された樹脂基材をシート状のまま、或いは袋状にして使用するのであればよいが、容器等の立体形状に熱成形する場合、撥液性の膜が、熱成形に伴う樹脂基材の延伸に追従できず、破損してしまうという課題がある。
特許文献1の撥水性の膜は、Cassie-Baxterモデルと呼ばれる多数の微粒子の凹凸構造を有することで撥水性を発現するので、熱成形によってその凹凸構造が破損すれば、撥水性を発現できなくなる。
一方、特許文献2のように、予め樹脂基材を熱成形して、その熱成形品の表面に撥水性の膜を形成する方法(ポストコート)がある。しかし、ポストコートは、一般にスプレーを用いるため、塗工の処理能力、塗工剤のロス、塗工設備の費用、熱成形品の形状の違いによる型の交換、熱成形品の形状ごとの専用設備の必要性など、多くの課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、表面に撥液膜が施された樹脂基材を熱成形しても、その撥液性(水の接触角が150°以上であること)が維持されるような熱成形品の製造方法を提供すること、また、撥液膜付きの熱成形品を提供することを目的とする。
発明者らは、微粒子、バインダーおよび溶剤を含む塗料を用いて撥液膜を形成する方法の開発を進めてきたところ、基材とバインダーをそれぞれ構成する樹脂同士の密着性が良いものを用いれば、熱成形した後も撥液膜の機能が維持されるという知見を得て、本発明の完成に至った。密着性を示すパラメータとして、基材の表面張力とバインダーのみの膜の表面張力の差を用いた。
すなわち、本発明に係る熱成形品の製造方法は、下記工程(1)および(2)によって熱成形品を得ることを特徴とする。
工程(1) 基材の表面に、微粒子およびバインダーを有する撥液膜を形成する撥液膜形成工程であって、前記基材の表面を構成する樹脂の表面張力と前記バインダーを構成する樹脂の膜の表面張力との差が10mJ/m以下である工程と、
工程(2) 工程(1)で得られた前記撥液膜付きの基材を、熱成形する熱成形工程であって、熱成形前の前記撥液膜付きの基材の厚さを100%として、当該厚さが60%までの範囲(好ましくは80%から60%までの範囲)に入るように、前記撥液膜付きの基材を延伸する工程である。
このような方法によって熱成形品を製造すれば、基材の表面の撥液膜が、熱成形後も撥液性(水の接触角が150°以上であること)を発現することができる。
ここで、前記熱成形工程において、圧空成形または真空圧空成形を実行してもよい。
本発明に係る撥液膜付き熱成形品は、
基材、および、前記基材の表面に形成された撥液膜を備え、
前記撥液膜は、微粒子およびバインダーを有し、
前記基材の表面を構成する樹脂の表面張力と前記バインダーを構成する樹脂の膜の表面張力との差が10mJ/m以下であり、
熱成形前の撥液膜付きの基材の厚さを100%として、当該厚さが60%までの範囲(好ましくは80%から60%までの範囲)に入るように、熱成形によって前記撥液膜付きの基材が延伸されたものであることを特徴とする。
ここで、前記撥液膜は、前記基材の表面を露出する露出領域を有し、下記条件(1)および(2)を満たすことが好ましい。
条件(1) 前記露出領域の個々の形状の長さが50μm未満であること、および、
条件(2) 前記露出領域の個々の形状に直径12μmの円形が入らないことである。
なお、露出領域の形状の条件は、撥液膜の剥離などの顕微鏡画像を解析して判断する。
また、前記バインダーを、アクリル樹脂と、塩化ビニルおよび酢酸ビニルの共重合体樹脂との混合物としてもよい。
また、前記微粒子および前記バインダーのそれぞれの溶解度パラメータ(SP値)の差が1以上、4以下であるように、それぞれの材料を選択してもよい。また、前記微粒子を疎水性シリカ粒子として、前記バインダーを熱可塑性樹脂としてもよい。
本発明に係る撥液膜付き熱成形品は、容器包装材であることを特徴とする。すなわち、本発明の熱成形品は、食品用、化粧品用、医薬品用などの包装や容器に適している。
一実施形態に係る熱成形品の製造方法を説明するための模式図であり、(A)は撥液塗料の状態を示し、(B)は熱成形用の樹脂部材の断面構造を示し、(C)は撥液膜付きの熱成形品の断面構造を示す図である。 撥液膜が粗大粒子を含んでいる場合の熱成形品の断面構造を示す図である。 真空圧空成形装置を用いた製造例の説明図であり、(A)は熱成形用の樹脂部材を加熱する工程、(B)は真空ポンプおよびプラグを用いた真空吸引の工程を示す図。 真空圧空成形装置を用いた製造例の説明図であり、(C)は更に圧縮空気を用いて真空吸引を完了する工程を示す図である。 (A)は熱成形品に生じる亀裂、剥離および脱落、(B)は撥液膜に生じたボイド、(C)は亀裂の急激な成長による細長いボイドの横断面をそれぞれ模式的に示した撥液膜付きの熱成形品の断面構造図。 実施例で用いる3種類の熱成形品(蓋)を正面から見た図である。 実施例で測定する熱成形品(蓋)の厚さを測定する位置を示す図。 実施例1および比較例2の熱成形品の成形前後の表面の顕微鏡画像。 実施例1および比較例2の熱成形品の成形後の表面の顕微鏡画像。 実施例2および比較例1の熱成形品の成形前後の表面の顕微鏡画像。 実施例2および比較例1の熱成形品の成形後の表面の顕微鏡画像。 図8の各顕微鏡画像を拡大した画像。 図9の各顕微鏡画像を拡大した画像。 図10の各顕微鏡画像を拡大した画像。 図11の各顕微鏡画像を拡大した画像。
本発明に係る熱成形品の一実施形態について、その製造プロセスを示す図1を用いて順番に説明する。
1.撥液塗料
撥液塗料は、図1(A)のように微粒子、バインダーおよび溶剤からなる。微粒子は、有機でも無機でも良いが、表面が疎水性を示すものがよい。有機微粒子の場合、アクリルビーズ、オレフィンビーズなどを使用できる。無機微粒子の場合、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどを使用できる。特にシリカ微粒子が好適である。
微粒子の平均一次粒径は、特に限定はないが、5nm~300nmの範囲内であることが好適で、より好適には10nm~200nmの範囲内である。微粒子は、塗料中において適度に凝集して二次粒子(凝集体)を形成し、複数の微粒子が連結したナノオーダーの微細な凹凸構造を有している。塗工によって、これらの凝集体が基材表面に分布することで、撥液性に優れた凹凸構造が形成される。微粒子の凝集体の平均粒径についても、5nm~300nmの範囲内であることが好適で、より好適には10nm~200nmの範囲内である。
これらの平均粒径は、電子顕微鏡による微粒子の観察画像を解析して円相当径を測定し、個数基準の平均粒径を算出したものである。
また、シリカ微粒子の表面を疎水化処理して形成された疎水性シリカを用いることが好ましい。疎水化処理として、例えば、ポリジメチルシロキサンを用いてシリカ微粒子の表面をコーティングする方法がある。
微粒子の凝集体による撥液性を補強するため、平均粒径がより大きな粗大粒子を含ませると良い。その平均粒径に限定は無いが、1μm~20μmの範囲内であることが好適で、より好適には3μm~7μmの範囲内である。粗大粒子の平均粒径は、光学顕微鏡による微粒子の観察画像を解析して円相当径を測定し、個数基準の平均粒径を算出したもの。
バインダーは、微粒子の凝集体を基材の表面に接続する役目があり、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリオレフィン(塩素化ポリプロピレン樹脂など)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミドなどを用いることができる。特に、アクリルと塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体のブレンド樹脂が好適である。
溶媒は、バインダーを溶かし、微粒子を分散させるものであればよく、特に限定されない。例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンなどを溶媒として用いることができる。
塗料の調製において、微粒子とバインダーの割合は特に限定されないが、25:75質量%~55:45質量%が好適であり、35:65質量%~45:55質量%がより好適である。また、塗料に粗大粒子を混ぜる場合は、バインダー100質量部につき粗大粒子を30~100質量部とするとよい。
2.熱成形用の樹脂部材
図1(B)に、一例として撥液膜4を備えた樹脂部材10の断面図を示す。この樹脂部材10は、樹脂製の基材2と、その表面に塗布形成された撥液膜4とからなる積層構造であり、熱成形に優れるとともに、熱成形後も撥液性を発現できることに特徴がある。
基材2は、特に限定されないが、生産性を考慮すると、フィルム、シートおよび板状部材など、平坦な面を有した形状がよい。基材2の厚さによって、フィルム(1~200μm)、シート(200μm~1mm)および板状部材(1mm以上)を区別している。基材がフィルムやシートである場合、単層に限られず、複数の層の積層体であってもよい。
基材2の表面は、熱可塑性の樹脂を含んだ樹脂組成物からなるものがよい。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、メタクリルスチレン共重合体、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)などから1つ或いは複数を選択して用いる。
本実施形態では、基材2と、撥液膜4に含まれるバインダー8との密着性について規定したことに特徴がある。すなわち、基材2の少なくとも表面を構成する樹脂の表面張力と、バインダー8を構成する樹脂のみの膜の表面張力との差は、10mJ/m以下であることが好ましい。
また、本実施形態では、微粒子およびバインダーの溶解度パラメータ(SP値)の差を1以上、4以下にしてもよい。
撥液膜4は、基材2の表面に一般的な塗布方法によって前述の撥液塗料を塗布して形成される。例えば、グラビア印刷機などのロールコーティングを用いれば、シート状の基材に連続印刷する要領で塗布することができて生産性に優れている。塗料の塗布後、乾燥させることで塗料中の溶媒が揮発し、撥液膜が形成される。乾燥方法は、一般的な方法でよい。例えば、熱風などの加熱乾燥が生産性の面で優れている。
塗料の塗布厚さについては特に限定されないが、乾燥後の撥液膜4が0.1~20μmの厚さになることが好適で、より好適には、1~5μmの厚さである。
撥液膜4は、図1(B)の一例では、複数の微粒子の凝集体6と、これらの凝集体6を基材2の表面に接続しているバインダー8とを備えている。突起状の凝集体6が基材2の表面に分布することで、微細な凹凸構造が形成され、撥液性を発現することができる。
なお、基材2と撥液膜4との密着性を向上させるために、塗布を2回に分けてもよい。例えば、微粒子や粗大粒子を含まず、バインダーを含む塗料を基材上にベースコーティングし、その後、ベースコートの表面に撥液塗料を塗布して、撥液膜4を形成してもよい。また、ベースコーティングする塗料に粗大粒子を含めて、ベースコート層が粗大粒子による大きな凹凸構造を形成するようにして、その表面に微粒子の凝集体6による小さな凹凸構造が形成されるようにしてもよい。塗布を2回に分ける場合、ベースコーティングの塗料のバインダーは、撥液塗料のバインダーと通常は同じにするが、異なるバインダーを用いてもよい。ただし、基材の樹脂の表面張力と、ベースコーティングの塗料のバインダーの表面張力との差が10mJ/m以下になるものを用いるものとする。
しる。
3.熱成形品
図1(C)に樹脂部材10を熱成形して製造した熱成形品100の一例を示す。熱成形によって基材2が延伸され、樹脂部材10の厚さが60~70%まで減少した場合を模式的に示した図である。基材2の延伸に伴って撥液膜4が変形し、微粒子の凝集体6同士の間隔が一様に広がった状態を示す。このような変形であれば、凝集体6の間隔が大きくなり過ぎずに済む。仮に、凝集体6同士の間隔に、基材2の表面が露出する領域が生じたとしても、その間隔は小さくて済み、撥液膜4の撥液性が維持される。図2に他の実施形態として、撥液膜14が粗大粒子12を含んでいる場合の熱成形品102の断面を模式的に示す。
熱成形の方法は多くあるが、本実施形態の撥液膜4を有する樹脂部材10は、加熱による軟化後、型への圧空密着、または、これに加えて真空吸引によって成形する方法に特に適している。軟化処理は、一般的に、基材2の樹脂のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)未満の温度領域まで樹脂部材10を加熱することによる。
熱成形の方法としては、型再現精度の点で、圧空成形や真空圧空成形が好ましい。圧空成形は、加熱して軟化させたシート状の樹脂部材10を型に密着させるため、シートの反対面に圧縮空気を送って加圧することにより、樹脂部材10を型の形状に応じた立体形状にする成形法である。真空圧空成形は、圧空成形とほぼ同じであるが、圧空成形と同時にシートを真空吸引することで、より複雑な形状にすることができる成形法である。真空圧空成形法には、プラグアシスト・圧空併用法や真空スナップバック法等がある。
図3および図4に、一例としてプラグアシストタイプの真空圧空成形装置の概略図を示す。この図に基づいて、コップ状の熱成形品100の成形工程について説明する。まず、図3(A)のように、
工程1:連続するシート状の樹脂部材10を、撥液膜が上面になる姿勢で上下の電熱ヒーター20の間に挿入し、加熱して軟化させる。
工程2:樹脂部材10の軟化した部分を型30とプラグ60の間の位置まで送る。
工程3:型30およびクランプ部材40で樹脂部材10をクランプする。
次に、図3(B)のように、
工程4:真空ポンプ50によって、型30の凹部の空気を排出し、樹脂部材10を真空吸引する。型30の凹部には微細な真空孔が多数あり、樹脂部材10は型30の凹部の表面に向かって凹むように変形する。同時に、凸形状のプラグ60を下降させて、樹脂部材10を下方に押していく。このプラグ60は補助型として機能する。
続いて、図4(C)のように、
工程5:プラグ60と樹脂部材10との隙間に圧縮空気を送って、真空吸引を補助する。プラグ60の凸部の表面には微細な圧縮空気用の孔が多数あり、この孔から圧縮空気が噴き出す。これらの動作によって、樹脂部材10が型30の凹部に密着して、型の形状に応じた立体形状に成形される。
工程6:成形後、プラグ60を上昇させて、成形品100が冷えた後、型30の真空孔を利用して凹部内に空気を送って成形品100を離型させる。最後に不要な部位を切断して、成形品100が取り出される。
工程3~6の間に、次の成形対象部分を電熱ヒーター20で軟化させて、型30とプラグ60の間の位置に送ることにより、熱成形品100を繰り返し製造することができる。
以上のように、本実施形態の熱成形品100は、撥液塗料(図1(A))によって基材2に撥液膜4が形成され、その樹脂部材10(図1(B))を熱成形したものである。上述したとおり、基材2は熱成形によって軟化状態で延伸するため、理想としては、撥液膜4も基材2の延伸に追従して同様に延伸することが好ましい(図1(C))。
しかし、現実的には、熱成形品の表面の撥液膜4は、基材2の延伸に完全に追従することができず、図5(A)に示すように、バインダー8の亀裂が生じたり、バインダー8と微粒子の凝集体6との間に剥離が生じたり、微粒子の凝集体6の脱落(図2における粗大粒子12の脱落を含む)が生じたりしている。
亀裂、剥離、脱落の程度が小さければ、熱成形品の表面の撥液性が維持されるが、個々の亀裂、剥離、脱落の範囲が大きくなってしまうと、熱成形品の表面の単位面積中の微粒子の存在率が大幅に減少し、撥液膜の空隙(ボイド)になる。ここでは、撥液性の断絶を生じる程度まで大きくなった領域を撥液膜の空隙(ボイド)と呼ぶ。
熱成形後に撥液性の断絶が生じる例を図5(B)と(C)に示す。図5(B)では、亀裂、剥離、脱落が大きくなって、ボイド6Aが形成された状態を示す。ボイド6Aでは、基材2の表面が撥液膜を保持しなくなり、基材2の表面が露出している。なお、図5(C)の例は、基材2による撥液膜の保持力にムラがあって、基材2の延伸の程度が小さくても、亀裂や剥離が急激に大きくなって細長い領域のボイド6Bが形成されるケースを示す。
発明者らは、予め基材2の表面に撥液膜4が施されている樹脂部材10を熱成形して、立体的な熱成形品100を作製しても、その表面の撥液性が維持されるためには、次の(1)から(3)の要件が重要であると考えた。
(1) 基材とバインダーの密着性が強いこと
(2) バインダーの軟化時における変形性が大きいこと
(3) バインダーと微粒子の親和性が強いこと
本実施形態では、要件(1)に着目し、基材2の樹脂の表面張力と、バインダー8を構成する樹脂のみの膜の表面張力との差が、10mJ/m以下になるように各々の材料を選択しているので、両者の密着性が強くなり、熱成形後も撥液膜4の撥液性が維持されるようになった。
加えて、要件(2)については、バインダー8に軟化状態で延伸性の良い樹脂(熱可塑性樹脂)を使用することによって、撥液膜4が基材2の延伸に追従する際に亀裂が生じにくくなり、撥液膜4の撥液性の維持によい影響を与える。
要件(3)については、バインダー8と微粒子6とのSP値の差が1以上、4以下になるように各々の材料を選択することで、微粒子6が熱成形時の延伸によって微粒子6がバインダー8から脱落するのを防止する効果があり、撥液膜4の撥液性の維持によい影響を与える。
実施例1
<撥液塗料の作製>
微粒子として、疎水性シリカ粒子(平均一次粒径10nm、平均二次粒径100~200nm)を用いた。バインダーとして熱可塑性樹脂であるアクリルと塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とのブレンド樹脂を用いた。粗大粒子として、平均粒径6μmのシリカ粗大粒子を用いた。溶媒としてメチルエチルケトンと酢酸エチルを40:60~45:55の割合で使用した。微粒子5質量%、バインダー6.3質量%、粗大粒子3.8質量%、溶媒85質量%の割合で混合し、攪拌によって均一に溶解・分散させて撥液塗料を作製した。
ここで、アクリルと塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とのブレンド樹脂は、以下の測定方法による溶解度パラメータ(SP値)が10.2になるような配合量で調製した。すなわち、SP値(δ)は、SUH、CLARKEらによる濁点滴定によって算出する[参考文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A-1、5、1671~1681(1967)]。SP値の算出式を次式に示す。ここで、Vmhは良溶媒の体積、δmhは良溶媒のSP値、Vmlは貧溶媒の体積、δmlは貧溶媒のSP値である。
Figure 2022081114000002
SP値の単位は、「(cal/cm0.5」であるがここでは省略する。
<熱成形用の樹脂部材の作製>
樹脂基材として、オージェーケイ株式会社製A-PETシート(厚み400μm)を使用した。この樹脂基材に、撥液塗料をバーコーターを用いて、乾燥膜で1μmになるように塗布(塗布量1.00g/m)し、50℃で1分乾燥することで、撥液膜付きの樹脂部材を作製した。
<熱成形品の作製>
作製する熱成形品の形状は、図6に示す3種類のカウンター飲料用の蓋であり、下端の円形の枠部の直径が92.5mmで共通し、高さが19mm、40mm、60mmとそれぞれ異なっている。
熱成形には真空圧空成形機を使用する。まず、撥液膜付きの樹脂部材を輻射加熱によって熱成形可能な状態まで軟化させる。輻射加熱は、ヒーターが放射する赤外線で樹脂部材を加熱する方法である。次に、軟化した状態の樹脂部材を型およびプラグを用いて真空圧空成形を行ない、熱成形品を得た。型の深さを変えて、3通りの高さを有する蓋を成形した。形状ごとの上下ヒーターの設定温度およびシート表面温度を表1に示す。
Figure 2022081114000003
比較例1
実施例1と同様に基材をPETシートとし、撥液塗料は、疎水性シリカ粒子およびシリカ粗大粒子を含む。ただし、バインダーとして、熱可塑性樹脂である塩素化ポリオレフィンを用いて、溶媒として、メチルエチルケトンとトルエンを所定の割合で用いた。微粒子5.4質量%、バインダー5.4質量%、粗大粒子3.2質量%、溶媒86質量%の割合で混合し、攪拌によって均一に溶解・分散させて撥液塗料を作製した。塗布量は1.14g/mとする。
実施例2
樹脂基材としてCPPシート(厚み400μm)を用いる。撥液塗料は、比較例1と同じ配合量で調製して、塗布量は1.14g/mとする。比較例1と実施例2において、形状ごとの上下ヒーターの設定温度およびシート表面温度を表2に示す。
Figure 2022081114000004
比較例2
樹脂基材としてCPPシート(厚み400μm)を用いる。撥液塗料は、実施例1と同じ配合量で調製して、塗布量は1.00g/mとする。
実施例3
バインダーとして、SP値が10.0になるような配合量で調製されたアクリルと塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とのブレンド樹脂を用いた以外は、実施例1と同様とした。
比較例3
樹脂基材をPETシートからCPPシートに変更した。その他は、実施例3と同様である。
<評価方法>
得られた熱成形品の特性を、下記の方法に従って評価した。結果を表3,表4に示す。
樹脂部材の厚さの残存率
熱成形後の蓋の側面の厚さ(I)を測定した。測定箇所を図7の符号7-A、7-Bで示す。熱成形前の厚さ(I)に基づいて、残存率(I/I×100)を算出した。なお、比較例1については、さらに、図7の符号7-Cで示す平坦部を測定箇所に加えた。平坦部の厚さの残存率は側面に比べて大きくなり、残存率が高い範囲での評価が可能になる。熱成形前後の厚さは、マイクロメーターを用いて測定した。
撥液性の有無
接触角計CA-DT(協和界面科学社製)を用いて、10マイクロリットル(μL)の水滴(純水)を蓋状成形物の側面内側の撥液膜の表面に滴下した直後の接触角を測定した。その接触角が150度以上のものを撥液性有り「○」とし、150度未満のものを撥液性無し「×」と評価した。
<総合判定>
判定「○」は、熱成形前の厚さを100%として、熱成形によって厚さがほぼ60%まで減少しても撥液性を維持したものを示す。
なお、今回の実施例1および2は、厚さの残存率が低い(60~70%)場合でも撥液性を発現できる熱形成品であるが、本発明の熱成形品は、これらの他、厚さの残存率が70~80%である場合に撥液性を維持できる熱成形品も含まれる。
熱成形品の形状の自由度を考慮して、厚さの残存率が少なくとも70~80%になっても、撥液性を維持できる熱成形品が好ましい。そのため、判定「×」は、厚さの残存率が70~80%になる条件で、撥液性を維持できなかったものを示す。
Figure 2022081114000005
Figure 2022081114000006
表3、表4の通り、実施例1では、樹脂部材の厚さ残存率が64.3%である高さ60mmの熱成形品まで熱成形した場合でも、水の接触角が150度以上となり、熱成形前の優れた撥液性が維持された。実施例2でも同様に、厚さ残存率が60.8%である高さ60mmの熱成形品で優れた撥液性が維持された。また、実施例3も同様に、厚さ残存率が74.0%である高さ60mmの熱成形品で優れた撥液性が維持された。
一方、比較例1では、厚さ残存率が82.5%である高さ19mmの熱成形品でも、水の接触角が150度未満となり、熱成形前の撥液性は維持されなかった。厚さ残存率が60.8%である高さ60mmの熱成形品では、水の接触角が143度まで低下した。比較例2でも同様に、厚さ残存率が72.3%である高さ19mmの熱成形品で水の接触角が147度となり、撥液性は維持されなかった。厚さ残存率が61.5%である高さ60mmの熱成形品では、水の接触角が138度まで低下した。また、比較例3も同様に、厚さ残存率が88.5%である高さ19mmの熱成形品で、水の接触角が148度となり、撥液性は維持されなかった。厚さ残存率が73.0%である高さ60mmの熱成形品では、水の接触角が142度まで低下した。
Figure 2022081114000007
表5に、比較例1の熱成形品について、図7の平坦部7-Cの厚さから算出した残存率およびその部分の水の接触角を示す。平坦部の厚さの残存率は、86~88%であり、このような熱成形による延伸が少ない範囲では、水の接触角が150度以上となり、熱成形前の優れた撥液性が維持されている。
基材表面を構成する樹脂の表面張力と、バインダーを構成する樹脂のみの膜の表面張力とを以下の方法で測定した。
ここでは、北原・畑の理論に基づいて、表面自由エネルギーが既知である3種類の液体を使って、固体(樹脂膜)の表面自由エネルギー、すなわち表面張力を測定する方法を採用する。北原・畑の理論によれば、液体および固体の表面張力γは、式(2)のように、3つの表面自由エネルギー成分(分散、極性、水素結合)の和で表される。また、表6に、3種類の液体(水、ジヨードメタン、エチレングリコール)の表面自由エネルギー成分(γ,γ,γ)の既知の値を示す。
γ=γ+γ+γ ・・・(2)
Figure 2022081114000008
北原・畑、および、拡張フォークスの式から、固体と液体の界面自由エネルギーγSLは、式(3)のように、固体の表面自由エネルギー成分(γ ,γ ,γ )および表面張力γと、液体の表面自由エネルギー成分(γ ,γ ,γ )および表面張力γとを用いて示される。さらに、Young-Dupreの式により、式(4)が導かれる。θは、固体の表面に液体を滴下した際の接触角である。
Figure 2022081114000009
Figure 2022081114000010
式(4)に、表6の3種類の液体の表面自由エネルギー成分(γ ,γ ,γ )および表面張力γの既知の値を代入し、また、固体表面に対する3種類の液体の接触角θの測定値を代入すれば、連立3元1次方程式となって、固体の表面自由エネルギー成分(γ ,γ ,γ )が算出され、式(2)より固体の表面張力γが得られる。
以上の固体の表面張力の測定方法に基づいて、実施例および比較例それぞれの基材の表面張力およびバインダーの表面張力を測定した。3種類の液体の接触角θを表7に、算出した表面張力γを表8にそれぞれ示す。
Figure 2022081114000011
Figure 2022081114000012
また、基材およびバインダーのそれぞれの樹脂について、式(5)で算出される付着仕事WSLを表9に示す。
Figure 2022081114000013
Figure 2022081114000014
表3、表4に示す熱成形後の撥液性の有無の判定結果と、表8に基づく基材とバインダーの表面張力の差との間には、表面張力の差が10以下であれば判定結果が「〇」(熱成形後も水の接触角が150°以上という高い撥液性が維持される)になり、表面張力の差が10を超えると判定結果が「×」になる、という相関性がある(表10)。
Figure 2022081114000015
以上のことより、基材とバインダーの表面張力の差が10以下である密着性の良好な材料の組み合わせの場合、厚さ残存率が概ね60~80%になる範囲で撥液膜付きの樹脂部材を熱成形しても、水の接触角が150度以上を維持し、実用的にも十分に使用し得る良好な撥液性を保持することがわかった。
図8から図15までの画像は、実施例1、2および比較例1、2の熱成形前後の撥液膜の顕微鏡画像である。画像毎に付した「○」、「×」は撥液性の有無の評価結果である。
図8および図9には、バインダーがいずれも「アクリルと塩酢ビ共重合体」である実施例1と比較例2の画像を並べた。図8の熱成形前の画像A1、B1はどちらも撥液膜を構成する粒子がきれいに整然と存在しているのが分かる。これに対して、熱成形後の高さ19mmの画像A2、B2を比べると、実施例1は粒子がきれいに整然と存在しているが、比較例2では亀裂状のボイドが生じていることが分かる。図9の熱成形後の高さ40mmの画像A3、B3を比べると、実施例1では一部の小さな箇所で粒子が脱落している程度であるが、比較例2ではボイドの幅が広がり、長くなっていることが分かる。熱成形後の高さ60mmの画像A4、B4を比べると、実施例1では小さな箇所での粒子の脱落の箇所が増えているのに対し、比較例2では細長いボイドがより大きく、より長くなっていることが分かる。
図10および図11には、バインダーがいずれも「塩素化ポリオレフィン」である実施例2と比較例1の画像を並べた。図10の熱成形前の画像C1、D1はどちらも撥液膜を構成する粒子がきれいに整然と存在しているのが分かる。これに対して、熱成形後の高さ19mmの画像C2、D2を比べると、実施例2は粒子がきれいに整然と存在しているが、比較例1では一部の箇所でボイド(やや大きめの粒子の脱落)が生じていることが分かる。図11の熱成形後の高さ40mmの画像C3、D3を比べると、実施例2では一部の小さな亀裂・剥離または脱落の発生が認められるのに対し、比較例1では大きく穴が開くようにボイド(粒子が大きく脱落して、基材表面が露出している領域)が生じている。熱成形後の高さ60mmの画像C4、D4を比べると、実施例2では小さな亀裂・剥離または脱落の増加が認められる程度であるのに対し、比較例1では大きくまた多数に渡ってボイドが生じていることが分かる。
比較例1の画像D1~D4を画像解析して基材表面の露出領域の形状を測定した。露出領域である個々の開口部について、開口部の最大内径(例えば楕円形であれば長軸長さ)を測定したところ、熱成形前(画像D1)の撥液膜には内径が12μmを超える開口部はなく、内径の最大が11.5μmだった。熱成形後の高さ19mm(画像D2)の撥液膜には内径が12以上である開口部が多く、内径の最大値が20.1μmだった。
熱成形後の高さ40mm(画像D3)の撥液膜から比較的大きな開口部を選択し、各開口部の最大内径および最小内径(例えば楕円形であれば長軸長さおよび短軸長さ)を測定した。画僧D3では、最大内径が91μm、最小内径が33μmだった。同様に、熱成形後の高さ60mm(画像D4)の撥液膜については、最大内径が111μm、最小内径が22μmだった。
また、比較例2の画像B1~B4を画像解析して基材表面の露出領域の形状を測定した。露出領域である個々の亀裂について、亀裂の長さ(亀裂の両端の直線距離)および亀裂の幅を測定したところ、熱成形前(画像B1)の撥液膜に生じた亀裂は、長さが24~47μm、幅3~4μmの範囲のものだった。
これに対し、熱成形後の高さ19mm(画像B2)の撥液膜には、長さが48~131μm、幅7~16μmの範囲の亀裂が多数生じた。また、熱成形後の高さ40mm(画像B3)の撥液膜には、長さが74~142μm、幅12~24μmの亀裂が多数生じた。熱成形による延伸が大きくなるほど、亀裂が長く太くなる傾向があった。さらに、熱成形後の高さ60mm(画像B4)の撥液膜には、長さが29~85μm、幅17~29μmの亀裂が多数生じた。楕円状の亀裂も見られた。
図12から図15には、図8から図11の画像(500倍)を2000倍まで拡大した画像を並べた。例えば、図13の実施例1の高さ60mmの画像a4によれば、亀裂・剥離または脱落とみられる領域が複数見つかるが、それらの開口部はいずれも直径12μmの円形が入るような大きさにはなっていない。また、長さ50μm以上の領域も存在しない。これに対して、図12の比較例2の高さ19mmの画像b2によれば、長さが50μm以上の細長いボイドの発生が認められる。図13の画像b3およびb4では、このようなボイドの幅が大きくなっている。
また、図15の実施例2の高さ60mmの画像c4によれば、亀裂・剥離または脱落とみられる領域が複数見つかるが、それらの開口部はいずれも直径12μmの円形が入るような大きさにはなっていない。また、長さ50μm以上の領域も存在しない。これに対して、図14の比較例1の高さ19mmの画像d2によれば、直径12μmの円形が入る大きさのボイドの発生が認められる。図15の画像d3およびd4の空隙は、直径22μmを超える円形でも十分に入るような大きさのボイドがあることが分かる。
2 基材
4,14 撥液膜
6 微粒子の凝集体
8 バインダー
10 熱成形用の樹脂部材
12 シリカ粗大粒子
20 電熱ヒーター
30 型
40 クランプ部材
50 真空ポンプ
60 プラグ
100,102 熱成形品

Claims (8)

  1. 熱成形品を得る方法であって、下記工程(1)および(2)を含むことを特徴とする熱成形品の製造方法。
    工程(1) 基材の表面に、微粒子およびバインダーを有する撥液膜を形成する撥液膜形成工程であって、前記基材の表面を構成する樹脂の表面張力と前記バインダーを構成する樹脂の膜の表面張力との差が10mJ/m以下である工程
    工程(2) 工程(1)で得られた前記撥液膜付きの基材を、熱成形する熱成形工程であって、熱成形前の前記撥液膜付きの基材の厚さを100%として、当該厚さが60%までの範囲に入るように、前記撥液膜付きの基材を延伸する工程
  2. 前記熱成形工程では圧空成形または真空圧空成形を実行することを特徴とする請求項1記載の熱成形品の製造方法。
  3. 基材、および、前記基材の表面に形成された撥液膜を備える熱成形品であって、
    前記撥液膜は、微粒子およびバインダーを有し、
    前記基材の表面を構成する樹脂の表面張力と前記バインダーを構成する樹脂の膜の表面張力との差が10mJ/m以下であり、
    熱成形前の撥液膜付きの基材の厚さを100%として、当該厚さが80%から60%までの範囲に入るように、熱成形によって前記撥液膜付きの基材が延伸されたものであることを特徴とする撥液膜付き熱成形品。
  4. 前記撥液膜は、前記基材の表面を露出する露出領域を有し、下記条件(1)および(2)を満たすことを特徴とする請求項3記載の撥液膜付き熱成形品。
    条件(1) 前記露出領域の個々の形状の長さが50μm未満であること
    条件(2) 前記露出領域の個々の形状に直径12μmの円形が入らないこと
  5. 前記バインダーを、アクリル樹脂と、塩化ビニルおよび酢酸ビニルの共重合体樹脂との混合物とすることを特徴とする請求項3または4記載の撥液膜付き熱成形品。
  6. 前記微粒子と前記バインダーを構成する樹脂との溶解度パラメータの差が1以上、4以下であることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の撥液膜付き熱成形品。
  7. 前記微粒子を疎水性シリカ粒子として、前記バインダーを熱可塑性樹脂とすることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の撥液膜付き熱成形品。
  8. 容器包装材である前記請求項3から7のいずれかに記載の撥液膜付き熱成形品。
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