JP2022080721A - 脂環式化合物の製造方法及び脂環式化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノルボルナン環を有する脂環式化合物の選択的な製造方法及び脂環式化合物を提供する。【解決手段】一般式(1)JPEG2022080721000028.jpg1546(式中、R11及びR12は、一方はホルミル基又はヒドロキシメチル基を表し、他方は水素原子を表す。)で表される化合物とシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応に付して、一般式(2)JPEG2022080721000029.jpg1750(式中、R11及びR12は、それぞれ前記と同義である。)で表される脂環式化合物の製造方法である。【選択図】なし
Description
本発明は、ノルボルナン環を有する脂環式化合物の選択的な製造方法及び脂環式化合物に関する。
脂環式化合物特に脂環式ジオールはポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等の重合体の原料として使用されており、その重合体は、光学材料、電子情報材料、コーティング材料、粘・接着材料等の用途に用いられている。例えば、脂環式ジオールとしてペンタシクロペンタデカンジメタノールを用いたポリカーボネート樹脂や、ペンタシクロペンタデカンジメタノールを用いた変性ポリエステル樹脂が知られている(特許文献1及び2)。
ペンタシクロペンタデカンジメタノールの一般的な製造方法として、トリシクロペンタジエンのヒドロホルミル化によりペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドを合成し、次いで該ジアルデヒドに接触水添を施す方法が知られている(特許文献3)。
上記の製造方法における原料となるトリシクロペンタジエンは、ジシクロペンタジエンのディールス・アルダー(Diels-Alder)反応により、式(A1)及び式(B1)で表される2種類の構造異性体の混合物として得られ、さらに、式(A1)で表される化合物が主成分となることが知られている(特許文献4)。
従って、上記の製造方法によりペンタシクロペンタデカンジカルバルデヒドを製造する場合、該ジカルバルデヒドは式(A2)及び式(B2)で表される2種類の環構造が異なる構造異性体の混合物として得られ、このときの主成分は式(A2)で表される化合物となる。
同様に、上記の製造方法によりペンタシクロペンタデカンジメタノールを製造する場合、該ジメタノールは式(A3)及び式(B3)で表される2種類の構造異性体の混合物として得られ、このときの主成分は式(A3)で表される化合物となる。
すなわち、従来知られていた製造方法では、式(B3)で表される化合物のみを選択的に製造することはできない。また、式(A3)及び式(B3)で表される異性体混合物から高純度の式(B3)で表される化合物を単離した例は知られていない。さらに、式(B3)で表される化合物の原料である式(B1)で表される化合物及び式(B2)で表される化合物についても同様に、それぞれを含有する異性体混合物から純度良く式(B1)で表される化合物及び式(B2)で表される化合物を単離した例についても知られていない。
本発明の目的は、ノルボルナン環を有する脂環式化合物の選択的な製造方法及び脂環式化合物を提供することにある。
本発明は、以下の[1]~[10]を提供する。
[1] 一般式(1)
[1] 一般式(1)
(式中、R11及びR12は、一方はホルミル基又はヒドロキシメチル基を表し、他方は水素原子を表す。)
で表される化合物とシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応に付すことを特徴とする、一般式(2)
で表される化合物とシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応に付すことを特徴とする、一般式(2)
(式中、R11及びR12は、それぞれ前記と同義である。)
で表される脂環式化合物の製造方法。
で表される脂環式化合物の製造方法。
[2] 一般式(1)
(式中、R11及びR12は、一方はホルミル基又はヒドロキシメチル基を表し、他方は水素原子を表す。)
で表される化合物とシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応に付して、一般式(2)
で表される化合物とシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応に付して、一般式(2)
(式中、R11及びR12は、それぞれ前記と同義である。)
で表される脂環式化合物を得る工程を含むことを特徴とする、一般式(4)
で表される脂環式化合物を得る工程を含むことを特徴とする、一般式(4)
(式中、R41及びR42は、一方はヒドロキシメチル基を表し、他方は水素原子を表し、R43及びR44は、一方はヒドロキシメチル基を表し、他方は水素原子を表す。)
で表される脂環式化合物の製造方法。
で表される脂環式化合物の製造方法。
[3] 前記一般式(2)で表される脂環式化合物をヒドロホルミル化反応に付して、一般式(3)
(式中、R11及びR12は、それぞれ前記と同義であり、R33及びR34は、一方はホルミル基を表し、他方は水素原子を表す。)
で表される脂環式化合物を得る工程と、該一般式(3)で表される脂環式化合物を還元反応に付して、前記一般式(4)で表される脂環式化合物を得る工程とを更に含む[2]に記載の脂環式化合物の製造方法。
で表される脂環式化合物を得る工程と、該一般式(3)で表される脂環式化合物を還元反応に付して、前記一般式(4)で表される脂環式化合物を得る工程とを更に含む[2]に記載の脂環式化合物の製造方法。
[4] 式(5)
で表される化合物をヒドロホルミル化反応に付す工程を含む、前記一般式(1)で表される化合物を得る工程、を更に含む[1]~[3]のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
[5] 一般式(1)におけるR11及びR12の一方がホルミル基であり、他方が水素原子である[1]~[4]のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
[6] 一般式(2)で表される脂環式化合物を得る工程において、シクロペンタジエンの使用量が、一般式(1)で表される化合物1モルに対して0.05~2.0モルである[1]~[5]のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
[7] 一般式(2)で表される脂環式化合物を得る工程において、あらかじめ一般式(1)で表される化合物を入れた反応器に、温度100~250℃で、シクロペンタジエンを供給する[1]~[6]のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
[8] 一般式(2)で表される脂環式化合物をヒドロホルミル化反応に付す際の触媒として、ロジウム化合物及び有機リン化合物を用いる[3]~[7]のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
[9] 還元反応が、金属触媒存在下、前記一般式(3)で表される脂環式化合物を水素添加反応に付す工程である[3]~[8]のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
[10] 一般式(2)で表される脂環式化合物。
(式中、R11及びR12は、一方はホルミル基又はヒドロキシメチル基を表し、他方は水素原子を表す。)
本発明により、ノルボルナン環を有する脂環式化合物の選択的な製造方法及び脂環式化合物を提供できる。
以下、本発明の好適な実施形態(以下本実施形態ということもある。)について詳細に説明する。
本発明の一般式(2)で表される脂環式化合物の製造方法は、前記一般式(1)で表される化合物とシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応に付すことを要する。このように、一般式(1)で表される化合物を原料として用いることにより、選択的に一般式(2)で表される脂環式化合物が得られるため好ましい。
本発明の一般式(2)で表される脂環式化合物の製造方法は、前記一般式(1)で表される化合物とシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応に付すことを要する。このように、一般式(1)で表される化合物を原料として用いることにより、選択的に一般式(2)で表される脂環式化合物が得られるため好ましい。
前記一般式(2)で表される脂環式化合物を得る工程を含む、前記一般式(4)で表される脂環式化合物の製造方法は、前記のように光学材料等の原料として有用な一般式(4)で表される脂環式化合物を選択的に製造できる点で好ましい。
更に前記一般式(2)で表される脂環式化合物をヒドロホルミル化反応に付して、前記一般式(3)で表される脂環式化合物を得る工程と、該一般式(3)で表される脂環式化合物を還元反応に付して、前記一般式(4)で表される脂環式化合物を得る工程とを更に含むことが好ましい。
すなわち、前記一般式(1)で表される化合物とシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応に付して、前記一般式(2)で表される脂環式化合物とし、次いでヒドロホルミル化反応に付して、一般式(3)で表される脂環式化合物とし、次いで還元反応に付すことで、一般式(4)で表される脂環式化合物(ペンタシクロペンタデカンジメタノール)が得られる。これにより、一般式(1)で表される化合物より一般式(4)で表される脂環式化合物を選択的に製造できる点で好ましい。
(式中、R11、R12、R33、R34、R41、R42、R43及びR44は、それぞれ前記と同義である。)
また、還元反応としては、金属触媒存在下、前記一般式(3)で表される脂環式化合物を水素添加反応に付すことが、より好ましい。
また、還元反応としては、金属触媒存在下、前記一般式(3)で表される脂環式化合物を水素添加反応に付すことが、より好ましい。
以下、一般式(1)で表される化合物を化合物(1)という。他の式番号の化合物についても同様である。
工程1(ディールス・アルダー反応)
本実施形態の工程1において化合物(2)は、化合物(1)とシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応に付すことにより製造することができる。
化合物(1)は、化合物(11)又は化合物(12)であるか、それらの混合物であってもよい。
本実施形態の工程1において化合物(2)は、化合物(1)とシクロペンタジエンとをディールス・アルダー反応に付すことにより製造することができる。
化合物(1)は、化合物(11)又は化合物(12)であるか、それらの混合物であってもよい。
化合物(11)は、例えば、特開2005-139179号公報等に記載の方法に従い、ジシクロペンタジエン(化合物(5)に該当)をヒドロホルミル化反応に付すことにより製造することができる。該ヒドロホルミル化は後記するヒドロホルミル化の方法と同様の方法で行うことができる。
(式中、R13及びR14は、それぞれ前記と同義である。)
また、化合物(12)は、例えば、特開2001-139638号公報等に記載の方法に従い、化合物(11)を還元反応に付すことにより製造することができる。
(式中、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ前記と同義である。)
前記化合物(5)をヒドロホルミル化反応に付して得られる化合物は、化合物(1)のR11及びR12の少なくとも一方がホルミル基である前記の化合物(11)となり、他方が水素原子として得られる。このため、化合物(11)はR13及びR14の水素原子の置換位置が異なる構造異性体として得られる。構造異性体は、単一でも混合物でもよい。化合物(12)についても、同様の構造異性体として得られ、単一でも混合物でもよい。本実施形態では、前記化合物(5)の特定の位置の炭素-炭素二重結合に対し、ヒドロホルミル化反応が進行し、他方の炭素-炭素二重結合が残存することにより、工程1のディールス・アルダー反応の結果物である化合物(2)が、前記の特定の環構造となるため、好ましい。
前記化合物(5)をヒドロホルミル化反応に付して得られる化合物は、化合物(1)のR11及びR12の少なくとも一方がホルミル基である前記の化合物(11)となり、他方が水素原子として得られる。このため、化合物(11)はR13及びR14の水素原子の置換位置が異なる構造異性体として得られる。構造異性体は、単一でも混合物でもよい。化合物(12)についても、同様の構造異性体として得られ、単一でも混合物でもよい。本実施形態では、前記化合物(5)の特定の位置の炭素-炭素二重結合に対し、ヒドロホルミル化反応が進行し、他方の炭素-炭素二重結合が残存することにより、工程1のディールス・アルダー反応の結果物である化合物(2)が、前記の特定の環構造となるため、好ましい。
化合物(1)として、R11が水素原子である化合物を用いて以降の工程を行うと、R11に対応する置換基が、水素原子である脂環式化合物が得られ、R12が水素原子である化合物を用いて以降の工程を行うと、R12に対応する置換基が、水素原子である脂環式化合物が得られることとなる。なお、本願において、各化合物の純度は、水素原子の置換位置の異なる構造異性体の合計により算出している。
本実施形態の工程1では、化合物(1)はシクロペンタジエンと反応させるが、シクロペンタジエンは、通常ジシクロペンタジエン等のシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応物との混合物として存在している。ジシクロペンタジエン等とは、シクロペンタジエンの2量体以上を意味する。
本実施形態のシクロペンタジエンは、実質的にシクロペンタジエンの単体であってもよく、シクロペンタジエンとジシクロペンタジエン等との混合物であってもよく、ジシクロペンタジエン等の混合物であってもよい。実質的とは純度が98質量%以上を意味する。なお、以下『%』は特別な記載がない限り『質量%』を意味する。
ジシクロペンタジエン等は熱等で容易にシクロペンタジエンとなるため、化合物(1)とジシクロペンタジエン等のディールス・アルダー反応では、反応系内でシクロペンタジエンが発生するため、ジシクロペンタジエン等として反応系内に加えることもできるし、シクロペンタジエン及びジシクロペンタジエン等との混合物として反応系内に加えることもできる。以下、実施形態の説明においては、シクロペンタジエンとジシクロペンタジエン等とをシクロペンタジエンと総称し、すべてシクロペンタジエンであると換算して、使用量等を記載する。
化合物(2)は、化合物(21)であっても、化合物(22)であっても、又はそれらの混合物であってもよい。
(式中、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ前記と同義である。)
本実施形態の工程1において化合物(12)をディールス・アルダー反応に付すことにより、化合物(22)としてもよく、又は化合物(11)をディールス・アルダー反応に付した後に、得られた化合物(21)を前記と同様の還元反応に付すことにより、化合物(22)としてもよい。
本実施形態の工程1において化合物(12)をディールス・アルダー反応に付すことにより、化合物(22)としてもよく、又は化合物(11)をディールス・アルダー反応に付した後に、得られた化合物(21)を前記と同様の還元反応に付すことにより、化合物(22)としてもよい。
(式中、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ前記と同義である。)
本実施形態の工程1に使用するシクロペンタジエンの純度は、脂環式化合物を純度よく得られる観点から、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましい。
シクロペンタジエンの使用量は、化合物(1)1モルに対して0.05~2.0モルが好ましく、0.1~1.8モルがより好ましく、0.2~1.5モルがさらに好ましい。0.05モル以上では化合物(2)の生成量が増加するため好ましい。また、2.0モル以下では副生物が減少するため好ましい。
本実施形態の工程1に使用するシクロペンタジエンの純度は、脂環式化合物を純度よく得られる観点から、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましい。
シクロペンタジエンの使用量は、化合物(1)1モルに対して0.05~2.0モルが好ましく、0.1~1.8モルがより好ましく、0.2~1.5モルがさらに好ましい。0.05モル以上では化合物(2)の生成量が増加するため好ましい。また、2.0モル以下では副生物が減少するため好ましい。
本実施形態の工程1は、溶媒を使用せずに行うことも可能であるが、溶媒を使用することもできる。溶媒は、化合物(1)とシクロペンタジエンとを溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、イソオクタン、イソノナン等の飽和脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の工程1は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスの具体例としては、窒素、アルゴン等が挙げられる。
本実施形態の工程1の温度は、100~250℃が好ましく、120~240℃がより好ましく、140~230℃がさらに好ましい。100℃以上の温度では反応効率が上がるため好ましい。また、250℃以下の温度では高沸点成分等の副生物が減少するため好ましい。
本実施形態の工程1の温度は、100~250℃が好ましく、120~240℃がより好ましく、140~230℃がさらに好ましい。100℃以上の温度では反応効率が上がるため好ましい。また、250℃以下の温度では高沸点成分等の副生物が減少するため好ましい。
本実施形態の工程1の方式としては、槽型反応器等による回分式、反応条件下の槽型反応器に基質や溶媒を供給する半回分式、管型反応器に反応条件下で基質や溶媒を流通させる連続流通式等、多様な反応方式を採用することができる。あらかじめ化合物(1)を反応器に入れ、シクロペンタジエンを反応条件下の反応器に供給する半回分式が、高沸点成分等の副生物が減少するため好ましい。シクロペンタジエンの供給温度は、100~250℃がより好ましい。
本実施形態の工程1により得られる化合物(2)は、そのまま次の工程の原料として使用することもできるが、蒸留、抽出、晶析、カラムクロマトグラフィー、これらの組合せ等の方法によって精製した後で次工程に供してもよい。また、精製の際に回収した化合物(1)、及びシクロペンタジエンは工程1に再利用することで収率を向上させることができる。
工程2(ヒドロホルミル化反応)
本実施形態の工程2において化合物(3)は、化合物(2)と一酸化炭素(以下、「CO」と記載することもある。)及び水素(以下、「H2」と記載することもある。)との混合ガス(以下、合成ガスという。)を、触媒及び必要により溶媒の存在下でヒドロホルミル化反応に付することにより製造することができる。
化合物(3)は化合物(31)であっても、化合物(32)であっても、又はそれらの混合物であってもよい。
本実施形態の工程2において化合物(3)は、化合物(2)と一酸化炭素(以下、「CO」と記載することもある。)及び水素(以下、「H2」と記載することもある。)との混合ガス(以下、合成ガスという。)を、触媒及び必要により溶媒の存在下でヒドロホルミル化反応に付することにより製造することができる。
化合物(3)は化合物(31)であっても、化合物(32)であっても、又はそれらの混合物であってもよい。
(式中、R13、R14、R15、R16、R33及びR34は、それぞれ前記と同義である。)
本実施形態の工程2において化合物(21)をヒドロホルミル化反応に付すことにより、化合物(31)としてもよく、又は化合物(22)をヒドロホルミル化反応に付すことにより、化合物(32)としてもよい。
本実施形態の工程2において化合物(21)をヒドロホルミル化反応に付すことにより、化合物(31)としてもよく、又は化合物(22)をヒドロホルミル化反応に付すことにより、化合物(32)としてもよい。
(式中、R13、R14、R15、R16、R33及びR34は、それぞれ前記と同義である。)
本実施形態の工程2に使用する触媒は、一般的なヒドロホルミル化反応に用いられる触媒、例えば、コバルト系触媒、ロジウム系触媒、白金系触媒等の公知の金属触媒が使用可能である。中でも、反応速度及び収率等の点からロジウム系触媒が好ましい。ロジウム系触媒は、ロジウム化合物及び有機リン化合物を組み合わせて用いることがより好ましい。
本実施形態の工程2に使用する触媒は、一般的なヒドロホルミル化反応に用いられる触媒、例えば、コバルト系触媒、ロジウム系触媒、白金系触媒等の公知の金属触媒が使用可能である。中でも、反応速度及び収率等の点からロジウム系触媒が好ましい。ロジウム系触媒は、ロジウム化合物及び有機リン化合物を組み合わせて用いることがより好ましい。
ロジウム化合物及び有機リン化合物を組み合わせて用いる場合、ロジウム化合物は、有機リン化合物と錯体を形成し、ヒドロホルミル化の触媒活性を示すものであれば特に限定されない。具体例としては、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、酢酸ロジウム、Rh(acac)3 (式中、acacはアセチルアセトナート基を表す。以下同様である。)、Rh(acac)(CO)2、Rh(acac)(cod)(式中、codは1,5-シクロオクタジエニル基を表す。)、RhCl3、RhCl(PPh3)3、(式中、Phはフェニル基を表す。以下同様である。)、RhH(CO)(PPh3)3等が挙げられる。
本実施形態のロジウム化合物の濃度は、反応混合物中のロジウム原子の重量濃度として、0.1~100ppmが好ましく、0.5~50ppmがより好ましく、1~20ppmがさらに好ましい。0.1ppm以上の濃度では、反応効率が上がるため好ましい。また、100ppm以下の濃度では、ロジウム触媒のコストを低減できるため好ましい。
有機リン化合物は、ロジウム化合物と錯体を形成し、ヒドロホルミル化の触媒活性を示すものであれば特に限定されない。具体例としては、一般式R1
3Pで表されるホスフィン又は一般式(R2O)3Pで表されるホスファイト等が挙げられる。3つのR1及び3つのR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基等が挙げられる。具体的には、特に限定されないが、炭素数1~12のアルキル基;炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基又はスルホン基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数1~8のアルキル基又は炭素数1~8のアルコキシ基で置換されていてもよい脂環式アルキル基等が挙げられる。ここで脂環式アルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、二環性複素環式ホスフィンも使用することができる。具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリス(2-メチルフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィントリスルホン酸ナトリウム、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2-メチルフェニル)ホスファイト、トリス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられ、それらの中でもトリフェニルホスフィン又はトリフェニルホスファイトが好ましい。これらの有機リン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機リン化合物の使用量は、ロジウムに対して、5~2000モル倍が好ましく、10~1000モル倍がより好ましく、20~500モル倍がさらに好ましい。5モル倍以上の使用量では、ロジウム触媒の安定性が向上するため好ましい。また、2000モル倍以下の使用量では、有機リン化合物にかかるコストが低減するため好ましい。
本実施形態の工程2は、溶媒を使用せずに行うことも可能であるが、溶媒を使用することもできる。溶媒としては、化合物(2)、ロジウム化合物及び有機リン化合物を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、イソオクタン、イソノナン等の飽和脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の工程2の温度は、60~160℃が好ましく、70~130℃がより好ましく、80~100℃がさらに好ましい。60℃以上の温度では反応効率が上がるため好ましい。また、160℃以下の温度では高沸点成分等の副生物が減少するため好ましい。
本実施形態の工程2は、一酸化炭素と水素を混合した合成ガスによる加圧下で実施することが好ましい。その際、一酸化炭素及び水素は、各々独立に反応系内に導入することも、また、予め合成ガスを調製して反応系内に導入することも可能である。反応系内に導入する合成ガスのモル比(=CO/H2)は、0.4~2.5が好ましく、0.6~1.7がより好ましく、0.8~1.3がさらに好ましい。合成ガスのモル比が上記の範囲内であれば、反応の活性低下や化合物(3)の選択性低下等の問題が起きにくいため好ましい。なお、反応系中にヒドロホルミル化反応に対して不活性なガス、例えばメタン、エタン、プロパン、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス等が共存していてもよい。
本実施形態の工程2の圧力は、0.6~20MPa(以下、『Pa』は特別な記載がない限りゲージ圧を意味する。)が好ましく、0.8~15MPaがより好ましく、1.0~10MPaがさらに好ましい。0.6MPa以上の圧力では反応効率が上がるため好ましい。また、20MPa以下の圧力では耐圧性能に優れる設備のコストが低減できるため好ましい。
本実施形態の工程2の方式としては、槽型反応器等による回分式、反応条件下の槽型反応器に基質、触媒、溶媒等を供給する半回分式、管型反応器に反応条件下で基質、触媒、溶媒等を流通させる連続流通式等、多様な反応方式を採用することができる。
本実施形態の工程2により得られる化合物(3)は、そのまま次の工程3の原料として使用することもできるが、蒸留、抽出、晶析、カラムクロマトグラフィー、これらの組合せ等の方法によって精製した後で工程3に供してもよい。本実施形態の工程2により得られる化合物(3)に含まれるホルミル基は、その一部がヒドロキシメチル基に還元されることがあるが、それらを混合物として工程3に供することができる。
工程3(還元反応)
本実施形態の工程3において化合物(4)は、化合物(3)を還元反応に付すことにより製造することが好ましい。還元反応は、水素化ホウ素ナトリウム等のヒドリドを発生する還元試薬と化合物(3)とを反応させる(ヒドリド還元反応)ことによって行ってもよいが、工業的には、金属触媒存在下、水素ガスと化合物(3)とを反応させる(水素添加反応)ことが有利である。
本実施形態の工程3において化合物(4)は、化合物(3)を還元反応に付すことにより製造することが好ましい。還元反応は、水素化ホウ素ナトリウム等のヒドリドを発生する還元試薬と化合物(3)とを反応させる(ヒドリド還元反応)ことによって行ってもよいが、工業的には、金属触媒存在下、水素ガスと化合物(3)とを反応させる(水素添加反応)ことが有利である。
水素添加反応において、水素ガスと化合物(3)とを反応させる際に用いる金属触媒としては、特に限定されないが、公知の触媒を使用することができる。例えば、元素周期表における第6~12族遷移金属から選ばれる一種以上の元素を含有するものが好ましく、具体的にはラネーニッケル、ラネーコバルト、ラネー銅等のラネー金属類、還元ニッケル担持触媒、還元コバルト担持触媒、銅-クロム酸化物系触媒、銅-亜鉛酸化物系触媒、銅-鉄酸化物系触媒、パラジウムブラック、白金ブラック、ルテニウムブラック、パラジウム担持シリカ、パラジウム担持アルミナ、パラジウム担持活性炭、白金担持シリカ、白金担持アルミナ、白金担持活性炭、ルテニウム担持シリカ、ルテニウム担持アルミナ、ルテニウム担持活性炭、ロジウム担持活性炭、イリジウム担持活性炭、レニウム担持活性炭等の貴金属担持触媒等が挙げられる。水素ガスと化合物(3)とを反応させる際に用いる触媒の使用量は、特に限定されないが、触媒の種類や反応形式等によって適宜選択できる。
水素添加反応は、溶媒を使用せずに行うことも可能であるが、溶媒を使用することもできる。溶媒としては、化合物(3)を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、イソオクタン、イソノナン等の飽和脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、アルコール類を使用する場合、水を添加してもよい。
水素添加反応の温度は、使用する触媒の種類や使用量等により反応速度、収率等を考慮して適宜設定できるが、80~250℃が好ましく、90~200℃がより好ましく、100~170℃がさらに好ましい。80℃以上の温度では反応効率が上がるため好ましい。また、250℃以下の温度では高沸点成分等の副生物が低減するため好ましい。
水素添加反応の圧力は、1.0~20MPaが好ましく、1.5~15MPaが、より好ましく、2.0~10MPaがさらに好ましい。1.0MPa以上の圧力では反応効率が上がるため好ましい。また、20MPa以下の圧力では耐圧性能に優れる設備のコストが低減できるため好ましい。なお、反応系中に水素添加反応に対して不活性なガス、例えばメタン、エタン、プロパン、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス等が共存していてもよい。
水素添加反応の方式としては、槽型反応器等による回分式、反応条件下の槽型反応器に基質、触媒、溶媒等を供給する半回分式、管型反応器に反応条件下で基質、触媒、溶媒等類を流通させる連続流通式等、多様な反応方式を採用することができる。
本実施形態の工程3により得られる化合物(4)は、蒸留、抽出、晶析、カラムクロマトグラフィー、これらの組合せ等の方法によって精製することができる。
化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)及び化合物(4)は、それぞれいかなる立体構造を有していてもよく、単一の立体構造を有するものであってもよく、またそれらの混合物であってもよい。
最終的に化合物(4)を得るにあたって、R11又はR12のホルミル基のヒドロキシメチル基への還元は、化合物(1)、化合物(2)及び化合物(3)のいずれの段階で行ってもよい。
化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)及び化合物(4)は、それぞれいかなる立体構造を有していてもよく、単一の立体構造を有するものであってもよく、またそれらの混合物であってもよい。
最終的に化合物(4)を得るにあたって、R11又はR12のホルミル基のヒドロキシメチル基への還元は、化合物(1)、化合物(2)及び化合物(3)のいずれの段階で行ってもよい。
オレフィンを有する分子のホルミル基を還元する際にはヒドリド還元反応によることが好ましい。より具体的には、前記化合物(11)を化合物(12)とする還元、及び前記化合物(21)を化合物(22)とする還元はヒドリド還元反応によることが好ましい。
ヒドリド還元反応において用いる、ヒドリドを発生させる還元試薬としては、金属水素化物又は金属水素錯化合物が挙げられる。金属水素化物又は金属水素錯化合物としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、ボラン・ジメチルスルフィド、ボラン・テトラヒドロフランが好ましく、取り扱いの容易さ及び目的物の収率の観点から水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
ヒドリド還元反応は、溶媒を使用せずに行うことも可能であるが、溶媒を使用することもできる。溶媒としては、化合物(11)及び化合物(21)を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、イソオクタン、イソノナン等の飽和脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、等が挙げられる。前工程で使用した溶媒をそのまま使用することもできる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドリド還元反応の温度は、0~160℃が好ましく、10~130℃がより好ましく、15~100℃がさらに好ましく、外部から加熱及び冷却せず行ってもよい。
ヒドリド還元反応の温度は、0~160℃が好ましく、10~130℃がより好ましく、15~100℃がさらに好ましく、外部から加熱及び冷却せず行ってもよい。
ヒドリド還元反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、窒素ガス雰囲気下又はアルゴンガス雰囲気下で行うことが好ましい。
反応装置は、特に制限はなく適宜選び得る。
反応装置は、特に制限はなく適宜選び得る。
得られた化合物(4)は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等の重合体の原料として使用することができる。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
実施例で得られた化合物(1)~(4)の純度は、水素炎イオン検出器付ガスクロマトグラフィーで分析した。
[水素炎イオン検出器付ガスクロマトグラフィー]
<測定条件>
・ 装置:島津製作所社製 ガスクロマトグラフGC-2014
・ カラム:アジレント・テクノロジー社製DB-1(カラム長30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
[水素炎イオン検出器付ガスクロマトグラフィー]
<測定条件>
・ 装置:島津製作所社製 ガスクロマトグラフGC-2014
・ カラム:アジレント・テクノロジー社製DB-1(カラム長30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
・ 昇温条件:50℃で5分間保持した後、1分あたり10℃の昇温速度で320℃まで昇温した後、28分間保持した。
・ 試料注入部の温度:320℃
・ 検出器の温度:330℃
・ 試料注入部の温度:320℃
・ 検出器の温度:330℃
[計算方法]
化合物(1)~(4)の純度はGCのピーク面積から次式により算出した。
純度(%)=(A/B)×100
ここで、Aは目的生成物のピーク面積、Bは全ピーク面積の合計を表す。
また、収率は次式により算出した。
化合物(1)~(4)の純度はGCのピーク面積から次式により算出した。
純度(%)=(A/B)×100
ここで、Aは目的生成物のピーク面積、Bは全ピーク面積の合計を表す。
また、収率は次式により算出した。
収率(%)=(C/D)×100
ここで、Cは目的生成物のモル数(不純物を含む目的生成物の重量に純度を乗じ、目的生成物の分子量で除して算出)、Dは基準となる原料のモル数を表す。
ここで、Cは目的生成物のモル数(不純物を含む目的生成物の重量に純度を乗じ、目的生成物の分子量で除して算出)、Dは基準となる原料のモル数を表す。
化合物(2)及び化合物(3)の同定はガスクロマトグラフィー質量分析で行い、化合物(4)の同定は1H-NMR及びガスクロマトグラフィー質量分析で行った。
[ガスクロマトグラフィー質量分析]
<測定条件>
・ 装置:アジレント・テクノロジー社製 ガスクロマトグラフ6890N
・ 装置:日本電子社製質量分析計JMS-K9
・ カラム:アジレント・テクノロジー社製 DB-1(カラム長30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
<測定条件>
・ 装置:アジレント・テクノロジー社製 ガスクロマトグラフ6890N
・ 装置:日本電子社製質量分析計JMS-K9
・ カラム:アジレント・テクノロジー社製 DB-1(カラム長30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
・ 昇温条件:50℃で5分間保持した後、1分あたり7℃の昇温速度で300℃まで昇温した後、20分間保持した。
・ 試料注入部の温度:320℃
・ イオン源:CI又はEI
・ イオン化部の温度:CI 150℃、EI 200℃
・ 試料注入部の温度:320℃
・ イオン源:CI又はEI
・ イオン化部の温度:CI 150℃、EI 200℃
[1H-NMR]
<測定条件>
・ 装置:日本電子社製 JNM-ECA500
・ 測定溶媒:クロロホルム-d 99.8% 0.05Vol%テトラメチルシラン含有
・ 共鳴周波数:500MHz
<測定条件>
・ 装置:日本電子社製 JNM-ECA500
・ 測定溶媒:クロロホルム-d 99.8% 0.05Vol%テトラメチルシラン含有
・ 共鳴周波数:500MHz
[実施例1]
[化合物(11)の製造]
容積1000mlのオートクレーブにジシクロペンタジエン(東京化成工業社製)200g(1.51mol)、トリフェニルホスファイト(関東化学社製)0.47g(1.51mmol)、及びRh(acac)(CO)2(エヌ・イーケムキャット社製)0.0039g(0.0151mmol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を50℃に昇温し、この温度を保持しながら10分間撹拌した。その後系内を合成ガス(CO/H2のモル比=0.8)で置換してから7.0MPaに昇圧した後、系内の温度を90℃、内圧を8.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止し、前記化合物(11)を含む粗生成物を233.8g得た。
[化合物(11)の製造]
容積1000mlのオートクレーブにジシクロペンタジエン(東京化成工業社製)200g(1.51mol)、トリフェニルホスファイト(関東化学社製)0.47g(1.51mmol)、及びRh(acac)(CO)2(エヌ・イーケムキャット社製)0.0039g(0.0151mmol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を50℃に昇温し、この温度を保持しながら10分間撹拌した。その後系内を合成ガス(CO/H2のモル比=0.8)で置換してから7.0MPaに昇圧した後、系内の温度を90℃、内圧を8.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止し、前記化合物(11)を含む粗生成物を233.8g得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、得られた化合物(11)の純度は96.5%で、ジシクロペンタジエン基準で収率は92.1%であった。
[工程1:化合物(21)の製造]
容積1000mlのオートクレーブに[化合物(11)の製造]と同様にして得られた化合物(11)を含む粗生成物245.5g(化合物(11)含有量236.9g、1.46mol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を窒素で0.9MPaに昇圧した後、230℃に昇温し、この温度を保持し、攪拌しながら、ジシクロペンタジエン(東京化成工業社製)25g(0.19mol、シクロペンタジエン0.38mol相当)とメチルシクロヘキサン(富士フイルム和光純薬社製)2.5gの混合液を1.7時間かけて系内に添加した。この温度を保持して30分後に反応を停止し、前記化合物(21)を含む粗生成物265.5gを得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、得られた化合物(21)の純度は6.2%で、シクロペンタジエン基準で収率は19.0%であった。
ガスクロマトグラフィー質量分析法(CI)での測定の結果、化合物(21)に一致する229[(M+H)+]のピークが確認された。
ガスクロマトグラフィー質量分析法(CI)での測定の結果、化合物(21)に一致する229[(M+H)+]のピークが確認された。
[実施例2]
[工程2:化合物(31)の製造]
容積1000mlのオートクレーブに実施例1と同様にして得られた化合物(21)を含む粗生成物265.5g(化合物(21)含有量16.5g、0.07mol)、トリフェニルホスファイト(関東化学社製)0.53g(1.70mmol)、及びRh(acac)(CO)2(エヌ・イーケムキャット社製)0.0044g(0.0170mmol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を50℃に昇温し、この温度を保持しながら10分間撹拌した。その後系内を合成ガス(CO/H2のモル比=0.8)で置換してから7.0MPaに昇圧した後、系内の温度を90℃、内圧を8.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止し、前記化合物(31)を含む粗生成物を268.0g得た。
[工程2:化合物(31)の製造]
容積1000mlのオートクレーブに実施例1と同様にして得られた化合物(21)を含む粗生成物265.5g(化合物(21)含有量16.5g、0.07mol)、トリフェニルホスファイト(関東化学社製)0.53g(1.70mmol)、及びRh(acac)(CO)2(エヌ・イーケムキャット社製)0.0044g(0.0170mmol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を50℃に昇温し、この温度を保持しながら10分間撹拌した。その後系内を合成ガス(CO/H2のモル比=0.8)で置換してから7.0MPaに昇圧した後、系内の温度を90℃、内圧を8.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止し、前記化合物(31)を含む粗生成物を268.0g得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、得られた化合物(31)の純度は4.6%で、化合物(21)基準で収率は66.3%であった。
ガスクロマトグラフィー質量分析法(CI)での測定の結果、化合物(31)に一致する259[(M+H)+]のピークが確認された。
ガスクロマトグラフィー質量分析法(CI)での測定の結果、化合物(31)に一致する259[(M+H)+]のピークが確認された。
[工程3:化合物(4)の製造]
容積1000mlのオートクレーブに上記工程2で得られた化合物(31)を含む粗生成物268.0g(化合物(31)含有量12.3g、0.05mol)、2-プロパノール(富士フイルム和光純薬社製)200g、水2.0g及び還元ニッケル担持触媒6.0gを入れ、系内を水素置換し、水素ガスで系内の圧力を3.0MPaGに昇圧した後、系内の温度を150℃、内圧を5.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止し、加圧ろ過で還元ニッケル担持触媒を除去して、前記化合物(4)を含む粗生成物を441.7g得た。得られた粗生成物から、蒸留(内部温度105~190℃の範囲で0.1kPa{絶対圧}の圧力)により、溶媒及び低沸分を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、及び蒸留(内部温度200~220℃の範囲で0.03kPa{絶対圧}の圧力)を行うことで、化合物(4)を2.4g得た。
容積1000mlのオートクレーブに上記工程2で得られた化合物(31)を含む粗生成物268.0g(化合物(31)含有量12.3g、0.05mol)、2-プロパノール(富士フイルム和光純薬社製)200g、水2.0g及び還元ニッケル担持触媒6.0gを入れ、系内を水素置換し、水素ガスで系内の圧力を3.0MPaGに昇圧した後、系内の温度を150℃、内圧を5.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止し、加圧ろ過で還元ニッケル担持触媒を除去して、前記化合物(4)を含む粗生成物を441.7g得た。得られた粗生成物から、蒸留(内部温度105~190℃の範囲で0.1kPa{絶対圧}の圧力)により、溶媒及び低沸分を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、及び蒸留(内部温度200~220℃の範囲で0.03kPa{絶対圧}の圧力)を行うことで、化合物(4)を2.4g得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、得られた化合物(4)の純度は98.5%で、化合物(31)基準で収率は18.9%であった。
ガスクロマトグラフィー質量分析法(EI)での測定の結果、化合物(4)に一致する262[M+]のピークが確認された。
ガスクロマトグラフィー質量分析法(EI)での測定の結果、化合物(4)に一致する262[M+]のピークが確認された。
また1H-NMRの測定結果は以下に示す通りであった。
1H-NMR(CDCl3, δppm); 3.53(2H),3.40-3.22(4H),2.78-0.76(20H)
参考までに、1H-NMRスペクトルを図1に示す。
1H-NMR(CDCl3, δppm); 3.53(2H),3.40-3.22(4H),2.78-0.76(20H)
参考までに、1H-NMRスペクトルを図1に示す。
[実施例3]
[化合物(12)の製造]
容積1000mlのオートクレーブにジシクロペンタジエン(東京化成工業社製)200g(1.51mol)、2-プロパノール(富士フイルム和光純薬社製)100g、トリフェニルホスファイト(関東化学社製)0.47g(1.51mmol)、及びRh(acac)(CO)2(エヌ・イーケムキャット社製)0.0039g(0.0151mmol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を50℃に昇温し、この温度を保持しながら10分間撹拌した。その後系内を合成ガス(CO/H2のモル比=0.8)で置換してから7.0MPaに昇圧した後、系内の温度を90℃、内圧を8.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止し、化合物(11)を含む反応液を335.1g得た。これを容積1000mlのガラス製反応器に移し、そこに2-プロパノール(富士フイルム和光純薬社製)100gを入れ、系内を窒素置換した。その後水素化ホウ素ナトリウム(東京化成工業社製)57.1g(1.51mol)を系内の温度を20~75℃に保ちながら加え、4.5時間後に水を400g加えて反応を停止した。得られた液を酢酸エチルと水で抽出し、前記化合物(12)を含む有機層から溶媒を除去し、化合物(12)を含む粗生成物を239.2g得た。
[化合物(12)の製造]
容積1000mlのオートクレーブにジシクロペンタジエン(東京化成工業社製)200g(1.51mol)、2-プロパノール(富士フイルム和光純薬社製)100g、トリフェニルホスファイト(関東化学社製)0.47g(1.51mmol)、及びRh(acac)(CO)2(エヌ・イーケムキャット社製)0.0039g(0.0151mmol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を50℃に昇温し、この温度を保持しながら10分間撹拌した。その後系内を合成ガス(CO/H2のモル比=0.8)で置換してから7.0MPaに昇圧した後、系内の温度を90℃、内圧を8.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止し、化合物(11)を含む反応液を335.1g得た。これを容積1000mlのガラス製反応器に移し、そこに2-プロパノール(富士フイルム和光純薬社製)100gを入れ、系内を窒素置換した。その後水素化ホウ素ナトリウム(東京化成工業社製)57.1g(1.51mol)を系内の温度を20~75℃に保ちながら加え、4.5時間後に水を400g加えて反応を停止した。得られた液を酢酸エチルと水で抽出し、前記化合物(12)を含む有機層から溶媒を除去し、化合物(12)を含む粗生成物を239.2g得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、得られた化合物(12)の純度は82.3%で、ジシクロペンタジエン基準で収率は79.3%であった。
[化合物(12)を原料とした化合物(4)の製造]
容積1000mlのオートクレーブに[化合物(12)の製造]と同様にして得られた化合物(12)を含む粗生成物235.0g(化合物(12)含有量193.4g、1.18mol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を窒素で0.9MPaに昇圧した後、系内を200℃に昇温し、この温度を保持し、攪拌しながら、ジシクロペンタジエン(東京化成工業社製)100g(0.76mol、シクロペンタジエン1.51mol相当)とメチルシクロヘキサン(富士フイルム和光純薬社製)50gの混合液を3.5時間かけて系内に添加し、添加を終えた時点で反応を停止した。その後、この反応液にトリフェニルホスファイト(関東化学社製)0.47g(1.51mmol)、及びRh(acac)(CO)2(エヌ・イーケムキャット社製)0.0039g(0.0151mmol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を50℃に昇温し、この温度を保持しながら10分間撹拌した。その後系内を合成ガス(CO/H2のモル比=0.8)で置換してから7.0MPaに昇圧した後、系内の温度を90℃、内圧を8.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止した。その後、この反応液に2-プロパノール(富士フイルム和光純薬社製)163g、水2.0g及び還元ニッケル担持触媒6.0gを入れ、系内を水素置換し、水素ガスで系内の圧力を3.0MPaに昇圧した後、系内の温度を150℃、内圧を5.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止し、加圧ろ過で還元ニッケル担持触媒を除去し、溶媒を留去することで、前記化合物(4)を含む粗生成物を337.5g得た。
容積1000mlのオートクレーブに[化合物(12)の製造]と同様にして得られた化合物(12)を含む粗生成物235.0g(化合物(12)含有量193.4g、1.18mol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を窒素で0.9MPaに昇圧した後、系内を200℃に昇温し、この温度を保持し、攪拌しながら、ジシクロペンタジエン(東京化成工業社製)100g(0.76mol、シクロペンタジエン1.51mol相当)とメチルシクロヘキサン(富士フイルム和光純薬社製)50gの混合液を3.5時間かけて系内に添加し、添加を終えた時点で反応を停止した。その後、この反応液にトリフェニルホスファイト(関東化学社製)0.47g(1.51mmol)、及びRh(acac)(CO)2(エヌ・イーケムキャット社製)0.0039g(0.0151mmol)を室温で入れ、系内を窒素置換した。系内を50℃に昇温し、この温度を保持しながら10分間撹拌した。その後系内を合成ガス(CO/H2のモル比=0.8)で置換してから7.0MPaに昇圧した後、系内の温度を90℃、内圧を8.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止した。その後、この反応液に2-プロパノール(富士フイルム和光純薬社製)163g、水2.0g及び還元ニッケル担持触媒6.0gを入れ、系内を水素置換し、水素ガスで系内の圧力を3.0MPaに昇圧した後、系内の温度を150℃、内圧を5.0MPaに調節した。この温度と圧力を保持して2時間後に反応を停止し、加圧ろ過で還元ニッケル担持触媒を除去し、溶媒を留去することで、前記化合物(4)を含む粗生成物を337.5g得た。
ガスクロマトグラフィーにて分析した結果、得られた化合物(4)の純度は3.4%で、化合物(12)基準で収率は3.7%であった。
本発明により、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂等の重合体の原料として有用なノルボルナン環を有する脂環式化合物の選択的な製造方法及び脂環式化合物が提供される。
Claims (10)
- 一般式(1)におけるR11及びR12の一方がホルミル基であり、他方が水素原子である請求項1~4のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
- 一般式(2)で表される脂環式化合物を得る工程において、シクロペンタジエンの使用量が、一般式(1)で表される化合物1モルに対して0.05~2.0モルである請求項1~5のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
- 一般式(2)で表される脂環式化合物を得る工程において、あらかじめ一般式(1)で表される化合物を入れた反応器に、温度100~250℃で、シクロペンタジエンを供給する請求項1~6のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
- 一般式(2)で表される脂環式化合物をヒドロホルミル化反応に付す際の触媒として、ロジウム化合物及び有機リン化合物を用いる請求項3~7のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
- 還元反応が、金属触媒存在下、前記一般式(3)で表される脂環式化合物を水素添加反応に付す工程である請求項3~8のいずれか1項に記載の脂環式化合物の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020191939A JP2022080721A (ja) | 2020-11-18 | 2020-11-18 | 脂環式化合物の製造方法及び脂環式化合物 |
Applications Claiming Priority (1)
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