JP2022080187A - 電力変換装置及び電力変換システム - Google Patents
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Abstract
【課題】モータの回転に対する制動の強さを適正に管理できる電力変換装置及び電力変換システムを提供する。【解決手段】制御装置は、インバータを制御対象としてインバータ制御処理を行う。インバータ制御処理では、インバータ異常が発生している場合に、ステップS104にて、モータ回転数Nmに応じてデューティ比Dを設定する。ステップS105では、デューティ比Dに応じて断続ASCを行う。断続ASCでは、インバータをASC状態と全オフ状態とに断続的に繰り返し移行させる。インバータのASC状態は、上アームスイッチ及び下アームスイッチのうち一方が3相全てについてオン駆動され、他方が3相全てについてオフ駆動された状態である。全オフ状態は、インバータの全てのアームスイッチがオフ駆動された状態である。【選択図】図4
Description
この明細書における開示は、電力変換装置及び電力変換システムに関する。
特許文献1には、直流電力を交流電力に変換して3相モータに供給するインバータと、このインバータの制御を行う制御装置と、が搭載された車両について開示されている。インバータは、3相のそれぞれに設けられたアーム回路を有している。これらアーム回路においては、電源ライン側のスイッチング素子とアースライン側のスイッチング素子とが互いに直列に接続されている。各アーム回路における電源ライン側のスイッチング素子は互いに並列に接続され、各アーム回路におけるアースライン側のスイッチング素子は互いに並列に接続されている。
制御装置は、インバータにおいてスイッチング素子の短絡が生じた場合に3相オン制御を行う。3相オン制御は、短絡が生じたスイッチング素子に並列に接続された全てのスイッチング素子をオン状態にする処理である。
しかしながら、上記特許文献1では、制御装置により3相オン制御が行われた場合、モータを流れる電流により、モータの回転を制動する制動トルクが生じやすい。このため、モータを流れる電流がある程度大きいと、制動トルクが大きくなりすぎてモータの回転に対する制動が強くなりすぎる、ということが懸念される。例えば、モータの高出力化を図ると、モータを流れる電流が増加してモータの回転に対する制動が強くなりやすいと考えられる。
本開示の主な目的は、モータの回転に対する制動の強さを適正に管理できる電力変換装置及び電力変換システムを提供することである。
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
上記目的を達成するため、開示された1つの態様は、
電源部(11)からモータ(12)に供給される電力を電力変換部(30)により直流から交流に変換する電力変換装置(13)であって、
電力変換部について、互いに並列に接続された複数のアーム回路(31)の全てについて高電位側の上アームスイッチ(32a)及び低電位側の下アームスイッチ(32b)のうち一方をオン状態にして他方をオフ状態にした片オン状態と称すると、
電力変換部に異常が発生したか否かを判定する異常判定部(S101)と、
異常判定部により異常発生と判断された場合に、電力変換部を片オン状態に断続的に繰り返し移行させる断続処理を行う片オン断続部(S105)と、
を備えている電力変換装置である。
電源部(11)からモータ(12)に供給される電力を電力変換部(30)により直流から交流に変換する電力変換装置(13)であって、
電力変換部について、互いに並列に接続された複数のアーム回路(31)の全てについて高電位側の上アームスイッチ(32a)及び低電位側の下アームスイッチ(32b)のうち一方をオン状態にして他方をオフ状態にした片オン状態と称すると、
電力変換部に異常が発生したか否かを判定する異常判定部(S101)と、
異常判定部により異常発生と判断された場合に、電力変換部を片オン状態に断続的に繰り返し移行させる断続処理を行う片オン断続部(S105)と、
を備えている電力変換装置である。
電力変換装置について、電力変換部が片オン状態に断続的に繰り返し移行した場合、電力変換部が片オン状態に保持された場合に比べて、モータにて生じる制動トルクが低減しやすい、という知見が試験等により得られた。
この知見に対して、第1の態様によれば、電力変換部に異常が発生した場合に、電力変換部を片オン状態に断続的に繰り返し移行させる断続処理が行われる。この場合、モータにて生じる制動トルクが低減しやすいため、モータの回転に対する制動が強くなりすぎるということを抑制できる。したがって、電力変換部の異常が発生した場合に、モータの回転に対する制動の強さを適正に管理することができる。
開示された1つの態様は、
電源部(11)から複数のモータ(12)に供給される電力を複数の電力変換部(30,301,302)によりモータごとに直流から交流に変換する電力変換システム(50)であって、
電力変換部について、互いに並列に接続された複数のアーム回路(31)の全てについて高電位側の上アームスイッチ(32a)及び低電位側の下アームスイッチ(32b)のうち一方をオン状態にして他方をオフ状態にした片オン状態と称すると、
複数の電力変換部のそれぞれについて、異常が発生したか否かを判定する異常判定部(S501)と、
少なくとも1つの電力変換部について異常判定部により異常発生と判断された場合に、異常発生と判断された電力変換部を含む少なくとも2つの電力変換部を少なくとも2つの対象変換部(301,302)として、少なくとも2つの対象変換部を片オン状態に移行させる順番を設定する順番設定部(S506)と、
順番設定部により設定された順番で少なくとも2つの対象変換部を片オン状態に移行させることを繰り返すことにより、電力変換部を片オン状態に断続的に繰り返し移行させる断続処理を少なくとも2つの対象変換部について並行して行う対象断続部(S507)と、
を備えている電力変換システムである。
電源部(11)から複数のモータ(12)に供給される電力を複数の電力変換部(30,301,302)によりモータごとに直流から交流に変換する電力変換システム(50)であって、
電力変換部について、互いに並列に接続された複数のアーム回路(31)の全てについて高電位側の上アームスイッチ(32a)及び低電位側の下アームスイッチ(32b)のうち一方をオン状態にして他方をオフ状態にした片オン状態と称すると、
複数の電力変換部のそれぞれについて、異常が発生したか否かを判定する異常判定部(S501)と、
少なくとも1つの電力変換部について異常判定部により異常発生と判断された場合に、異常発生と判断された電力変換部を含む少なくとも2つの電力変換部を少なくとも2つの対象変換部(301,302)として、少なくとも2つの対象変換部を片オン状態に移行させる順番を設定する順番設定部(S506)と、
順番設定部により設定された順番で少なくとも2つの対象変換部を片オン状態に移行させることを繰り返すことにより、電力変換部を片オン状態に断続的に繰り返し移行させる断続処理を少なくとも2つの対象変換部について並行して行う対象断続部(S507)と、
を備えている電力変換システムである。
上記態様によれば、電力変換部に異常が発生した場合に、異常が発生した電力変換部を含む少なくとも2つの対象変換部に対して断続処理が行われる。したがって、これら対象変換部のそれぞれについて、上記第1の態様と同様に、モータの回転に対する制動の強さを適正に管理することができる。なお、対象変換部から電力が供給されるモータを対象モータと称する。
上記態様とは異なり、例えば、少なくとも2つの対象変換部に対して断続処理が並行せずに別々に行われる構成を想定する。この構成では、少なくとも2つの対象モータとして、回転に対する制動の強さが断続処理により管理された状態のモータと、制動の強さが断続処理では管理されていない状態のモータとが混在した状況になる。このため、少なくとも2つの対象モータについて回転のバランスが悪くなることが懸念される。
これに対して、上記態様によれば、少なくとも2つの対象変換部に対する断続処理が並行して行われる。このため、少なくとも2つの対象モータのそれぞれについて、対象モータの回転に対する制動の強さを断続処理により並行して管理できる。したがって、少なくとも2つの対象モータについて回転のバランスを良くすることができる。
また、対象変換部に対して断続処理が行われた場合、対象変換部が片オン状態に断続的に繰り返し移行することに起因して、対象モータの制動トルクが片オン状態の繰り返しに合わせて増減しやすい。すなわち、対象モータではトルクリプルが生じやすい。上記態様とは異なり、例えば、少なくとも2つの対象変換部が片オン状態に同時に移行する構成では、少なくとも2つの対象モータのそれぞれで生じるトルクリプルが同期して増幅することが懸念される。
これに対して、上記態様によれば、少なくとも2つの対象変換部に対する断続処理が並行して行われている場合に、これら対象変換部が片オン状態に順番に移行する。この構成では、仮に少なくとも2つの対象モータのそれぞれでトルクリプルが生じたとしても、これらトルクリプルが同期しにくくなっている。このため、少なくとも2つの対象モータについて回転のバランスを良くした上で、これら対象モータのそれぞれで発生するトルクリプルを総合的に管理できる。
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
<第1実施形態>
図1に示す駆動システム10は、例えば電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)、燃料電池車などの車両に搭載されている。駆動システム10は、バッテリ11、モータ12、電力変換装置13を有している。駆動システム10は、モータ12を駆動して車両の駆動輪を駆動するシステムである。
図1に示す駆動システム10は、例えば電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HV)、燃料電池車などの車両に搭載されている。駆動システム10は、バッテリ11、モータ12、電力変換装置13を有している。駆動システム10は、モータ12を駆動して車両の駆動輪を駆動するシステムである。
バッテリ11は、充放電可能な2次電池で構成された直流電圧源であり、電力変換装置13を介してモータ12に電力を供給する電源部に相当する。2次電池は、たとえばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池である。バッテリ11は、インバータ30に高電圧(たとえば数100V)を供給する。
モータ12は、複数相の交流モータであり、例えば3相交流方式の回転電機である。モータ12は、3相としてU相、V相、W相を有している。モータ12は、車両の走行駆動源である電動機として機能する。モータ12は、回生時に発電機として機能する。モータ12は、電機子を形成する巻線12aと、界磁を形成する永久磁石とを有している。このモータ12では、永久磁石を含んで回転子が構成され、巻線12aを含んで固定子が構成されている。3相モータであるモータ12は、3相の巻線12aを有している。モータ12はモータジェネレータや電動モータと称されることがある。
図1に示す電力変換装置13は、バッテリ11とモータ12との間で電力変換を行う。電力変換装置13は、平滑コンデンサ21、インバータ30、制御装置40を有している。
平滑コンデンサ21は、バッテリ11から供給される直流電圧を平滑化する。平滑コンデンサ21は、高電位側の電力ラインであるPライン25と低電位側の電力ラインであるNライン26とに接続されている。Pライン25はバッテリ11の正極に接続され、Nライン26はバッテリ11の負極に接続されている。平滑コンデンサ21の正極は、バッテリ11とインバータ30との間において、Pライン25に接続されている。また、平滑コンデンサ21の負極は、バッテリ11とインバータ30との間において、Nライン26に接続されている。平滑コンデンサ21は、バッテリ11に並列に接続されている。電力変換装置13においては、Pライン25、Nライン26がバスバー等により形成されている。
電力変換装置13においては、バッテリ11と平滑コンデンサ21との間に開閉器22が設けられている。開閉器22は、バッテリ11とインバータ30とを通電可能に接続している。開閉器22は、システムメインリレーであり、Pライン25及びNライン26の少なくとも一方に設けられている。開閉器22が閉状態にある場合、バッテリ11からインバータ30及びモータ12に電力が供給される。開閉器22が開状態にある場合、バッテリ11からインバータ30及びモータ12への電力供給が遮断される。
インバータ30は、バッテリ11からモータ12に供給される電力を直流から交流に変換する電力変換を行う。インバータ30は、3相インバータであり、3相のそれぞれについて電力変換を行う。インバータ30は電力変換部に相当する。インバータ30は、制御装置40によるスイッチング制御に応じて直流電圧を交流電圧に変換し、モータ12に出力する。モータ12は、インバータ30からの交流電圧に応じて所定の回転トルクを発生するように動作する。インバータ30は、車両の回生制動時に、駆動輪からの回転力を受けてモータ12が発生した交流電圧を、制御装置40によるスイッチング制御に応じて直流電圧に変換し、バッテリ11に対して出力する。インバータ30は、バッテリ11とモータ12との間で双方向の電力変換を行う。
インバータ30は、DC-AC変換回路である。インバータ30は、3相分のアーム回路31を備えて構成されている。アーム回路31は、レグと称されることがある。アーム回路31は、上アーム31aと、下アーム31bをそれぞれ有している。上アーム31aと下アーム31bは、上アーム31aをPライン25側として、Pライン25とNライン26との間で直列接続されている。上アーム31aと下アーム31bとの接続点は、モータ12における対応する相の巻線に出力ライン27を介して接続されている。アーム回路31及び出力ライン27は、モータ12のU相、V相、W相のそれぞれに対して設けられている。インバータ30は、上アーム31a及び下アーム31bを3つずつ有している。
アーム31a,31bは、アームスイッチ32a,32b及びダイオード33a,33bを有している。上アーム31aは、上アームスイッチ32aと上ダイオード33aとを1つずつ有している。下アーム31bは、下アームスイッチ32bと下ダイオード33bとを1つずつ有している。
アームスイッチ32a,32bは、半導体素子等のスイッチング素子により形成されている。このスイッチング素子は、ゲートを有するトランジスタであり、例えばIGBTやMOSFETにより形成されている。本実施形態では、例えばアームスイッチ32a,32bがnチャネル型のIGBTにより形成されている。ダイオード33a,33bは、還流用のダイオードであり、アームスイッチ32a,32bに逆並列に接続されている。
上アーム31aにおいては、上アームスイッチ32aのコレクタがPライン25に接続されている。下アーム31bにおいては、下アームスイッチ32bのエミッタがNライン26に接続されている。そして、上アームスイッチ32aのエミッタと、下アームスイッチ32bのコレクタとが相互に接続されている。ダイオード33a,33bのアノードは対応するアームスイッチ32a,32bのエミッタに接続され、カソードはコレクタに接続されている。
制御装置40は、例えばECUであり、インバータ30の駆動を制御する。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。制御装置40は、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータ(以下、マイコン)を主体として構成される。制御装置40は、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで、インバータ30の駆動に関する各種の処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。
制御装置40は、車両に搭載された統合ECUなどの上位ECUから入力される信号や、回転センサ29などの各種センサから入力される信号を用いて駆動指令を生成する。そして、制御装置40は、この駆動指令に応じてアームスイッチ32a,32bにオン駆動やオフ駆動を行わせる。アームスイッチ32a,32bは、オン状態とオフ状態とに移行可能になっており、オン駆動に伴ってオン状態に移行し、オフ駆動に伴ってオフ状態に移行する。アームスイッチ32a,32bについては、オン状態が閉状態に相当し、オフ状態が開状態に相当する。
制御装置40には、各種センサとして、電流センサ28、回転センサ29が電気的に接続されている。これらセンサ28,29は駆動システム10に含まれている。これらセンサ28,29のうち電流センサ28は電力変換装置13に含まれている。
電流センサ28は、モータ12に流れる電流を検出する電流検出部である。電流センサ28は、3相の巻線12aのそれぞれに流れる電流に応じた検出信号を制御装置40に対して出力する。電流センサ28は、例えば出力ライン27の少なくとも一方に対して設けられている。電流センサ28は、出力ライン27を流れる電流を検出することで巻線12aを流れる電流を検出する。電流センサ28は、巻線12aに流れる電流を所定のサンプリング周期で離散的にサンプリングし、離散信号を検出信号として出力する。なお、巻線12aに流れる電流は電機子電流と称されることがある。
回転センサ29は、モータ12に設けられており、モータ12の回転数を検出する回転検出部である。回転センサ29は、モータ12の回転数に応じた検出信号を制御装置40に対して出力する。回転センサ29は、例えばエンコーダやレゾルバなどを含んで構成されている。
図2に示す制御装置40は、インバータ30を介してモータ12のベクトル制御を行う。ベクトル制御では、U相、V相、W相により示される3相交流座標を、d軸及びq軸により示されるdq座標に変換する。dq座標は、例えば回転子のS極からN極に向かう方向をd軸とし、このd軸に直交する方向をq軸として、これらd軸及びq軸によって定義される回転座標である。
制御装置40は、機能ブロックとして、電流指令部41、3相2相変換部42、d軸減算部43、q軸減算部44、電流制御部45、2相3相変換部46を有している。これら機能ブロックは、少なくとも1つのIC等によりハードウェア的に構成されていてもよく、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェアとの組み合わせにより実行されていてもよい。
3相2相変換部42には、電流センサ28により検出されたU相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iwが入力される。これら相電流Iu,Iv,Iwは、モータ12において各相の巻線12aを実際に流れる電流の検出値である。なお、制御装置40は、電流センサ28の検出信号を用いて各相電流Iu,Iv,Iwを取得する電流取得部を有している。この電流取得部は3相2相変換部42に含まれていてもよい。
3相2相変換部42には、回転センサ29により検出されたモータ回転数Nmが入力される。このモータ回転数Nmは、モータ12の実際の回転数を示す検出値である。モータ回転数Nmは、例えば単位時間当たりのモータ12の回転数であり、回転速度を示す値である。
3相2相変換部42は、3相交流座標系のU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwをdq座標に座標変換して、dq座標系のd軸電流Id及びq軸電流Iqを算出する。d軸電流Idはdq座標においてd軸方向の成分であり、q軸電流Iqはdq座標においてq軸方向の成分である。3相2相変換部42は、各相電流Iu,Iv,Iwに加えてモータ回転数Nmを用いてd軸電流Id及びq軸電流Iqを算出する。例えば、3相2相変換部42は、モータ回転数Nmを基準として、各相電流Iu,Iv,Iwをdq座標に変換してd軸電流Id及びq軸電流Iqを算出する。d軸電流Id及びq軸電流Iqはd軸減算部43に入力される。
なお、3相2相変換部42が座標変換部に相当する。また、d軸電流Id及びq軸電流Iqは、検出値である各相電流Iu,Iv,Iwを座標変換した実電流であるとして、実d軸電流や実q軸電流と称されることがある。さらに、d軸電流Idが界磁電流と称され、q軸電流が駆動電流と称されることがある。3相2相変換部42は、uvw/dq変換部と称されることがある。
電流指令部41は、d軸電流Id及びq軸電流Iqのそれぞれについて目標にするべき値をd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*として設定する。電流指令部41により設定された指令値Id*,Iq*は、d軸電流指令値Id*がd軸減算部43に入力され、q軸電流指令値Iq*がq軸減算部44に入力される。電流指令部41には、モータ12が発生するべき回転トルクとしてトルク指令値が上位ECUからの信号として入力される。電流指令部41は、バッテリ11からモータ12への電力供給が行われている場合などに、トルク指令値に応じて指令値Id*,Iq*を設定する。
d軸減算部43は、d軸電流指令値Id*とd軸電流Idとの偏差をd軸電流偏差として算出する。q軸減算部44は、q軸電流指令値Iq*とq軸電流Iqとの偏差をq軸電流偏差として算出する。これらd軸電流偏差及びq軸電流偏差は電流制御部45に入力される。
電流制御部45は、dq座標系について、d軸電流偏差及びq軸電流偏差がゼロになるようにd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を算出する。電流制御部45は、d軸電流Idがd軸電流指令値Id*に一致するように且つq軸電流Iqがq軸電流指令値Iq*に一致するようにフィードバック制御を行ってd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を算出する。電流制御部45は、フィードバック制御として例えばPI制御を行う。d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*は2相3相変換部46に入力される。
2相3相変換部46は、dq座標系のd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を3相交流座標に座標変換して、3相座標系のU相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*及びW相電圧指令値Vw*を算出する。これら電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*は、3相の巻線12aのそれぞれに出力するべき電圧値であり、駆動指令に含まれる情報である。これら電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を含む駆動指令がインバータ30に入力される。なお、2相3相変換部46はdq/uvw変換部と称されることがある。
制御装置40は、機能ブロックとして、図示しない駆動指令部を有している。駆動指令部は、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に応じた駆動指令を生成し、この駆動指令を含む指令信号をインバータ30に対して出力する。例えば、駆動指令部は、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*とキャリアとを比較し、U相、V相、W相のそれぞれについてパルス状の駆動指令を生成する。キャリアは、三角波や鋸波、矩形波などの搬送波である。これにより、U相、V相、W相のそれぞれにおいてアーム回路31のアームスイッチ32a,32bが個別にオンオフされる。
駆動システム10では、車両走行時などにバッテリ11からの電力供給によりモータ12が駆動回転している状態で、インバータ30の異常であるインバータ異常が発生した場合、インバータ異常に伴って2次的な異常が発生することが懸念される。例えば、インバータ異常としては、スイッチング素子としてのアームスイッチ32a,32bがショートした短絡異常がある。ここでは、アームスイッチ32a,32bが意図せずにオン状態に移行した状況や、アームスイッチ32a,32bがオン状態のまま意図せずに保持されている状況のことを短絡異常と称する。アームスイッチ32a,32bの短絡異常が発生した場合、制御装置40がオフ駆動を指令したアームスイッチ32a,32bがオフ駆動していないなど、電力変換装置13が制御装置40の指令通りに動作しないという制御破綻が起きることが懸念される。制御破綻が生じた場合、モータ12の逆起電力により電圧センサ等の補機類や平滑コンデンサ21の過電圧が生じることや、インバータ30の過電圧や過電流生じることなど、2次的な異常が駆動システム10において発生しやすくなると考えられる。
これに対して、制御装置40は、インバータ異常が発生した場合に、インバータ30に対してアクティブショートサーキットを行う。以下、アクティブショートサーキットをASCと称する。制御装置40が、上アームスイッチ32a及び下アームスイッチ32bのうち一方を3相全てについてオン駆動し、他方を3相全てについてオフ駆動することで、ASCが実現される。制御装置40がASCを行った場合のインバータ30の状態をASC状態と称すると、このASC状態が片オン状態に相当する。
インバータ30がASC状態に移行した後に、そのASC状態が継続して保持された場合、モータ12の逆起電力による電流が平滑コンデンサ21に流れにくい。このため、平滑コンデンサ21の過電圧が生じにくく、平滑コンデンサ21の放電が行われやすい。その一方で、インバータ30がASC状態に継続して保持されていると、巻線12aを流れる電流により、モータ12の回転を制動する制動トルクTが大きくなりやすい。制動トルクTが大きくなるほどモータ12の回転に対する制動が強くなる。このため、制動トルクTの急な増加により車両のドライバビリティが低下しやすいと考えられる。
図3に示すように、インバータ30がASC状態に保持されている場合、モータ12においては、モータ回転数Nmが小さいほど保持トルクT1が大きくなりやすい。保持トルクT1は、インバータ30がASC状態に保持されている場合の制動トルクTであり、図3では2点鎖線で図示されている。保持トルクT1の変化態様はモータ回転数Nmに応じて異なる。例えば、モータ回転数Nmが回転基準値N0よりも大きい状況では、保持トルクT1はモータ回転数Nmに関係なくほぼゼロになっている。モータ回転数Nmが回転基準値N0よりも小さい状況では、保持トルクT1は、モータ回転数Nmが小さくなるほど大きくなっている。回転基準値N0は、モータ回転数Nmについて保持トルクT1が生じる状況と生じない状況との境界値である。モータ回転数Nmが回転基準値N0よりも小さい領域は低回転域と称されることがある。
なお、制動トルクTは、モータ12の回転を駆動する駆動トルクとは逆向きのトルクである。図3では、逆向きを正として制動トルクTが図示されている。駆動トルクを正トルクとすると、制動トルクTにマイナスを付した値が負トルクになる。すなわち、負トルクの絶対値が制動トルクTである。
インバータ30がASC状態に保持されている場合、d軸電流Idは負の値になりやすい。d軸電流Idは、モータ回転数Nmが小さいほどゼロに近い値になりやすい。d軸電流Idの変化態様はモータ回転数Nmに応じて異なる。例えば、モータ回転数Nmが回転基準値N0よりも大きい状況では、d軸電流Idはほぼ一定の値になっている。モータ回転数Nmが回転基準値N0よりも小さい状況では、d軸電流Idは、モータ回転数Nmが小さいほどゼロに近い値になっている。
d軸電流Idにおいては、インバータ30がASC状態に保持されている場合に、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqの両方がゼロであることを条件として、図3に示す式1の関係が成立する。式1は、モータ12についての電圧方程式である。式1においては、Rがモータ12の相抵抗値であり、Ldはd軸インダクタンス値であり、Lqはq軸インダクタンス値であり、φは磁束密度であり、ωは電気角速度である。式1は、d軸電流Idが図3に2点鎖線で示すように変化することを示している。具体的には、式1は、モータ回転数Nmが小さいほどd軸電流Idの絶対値が小さくなることを示している。また、式1は、モータ回転数Nmが大きいほどd軸電流Idの絶対値が大きくなること、及びd軸電流Idがφ/Ldに漸近すること、を示している。
インバータ30がASC状態に保持されている場合、q軸電流Iqは、モータ回転数Nmが小さいほど負側に大きい値になりやすい。q軸電流Iqの変化態様はモータ回転数Nmに応じて異なる。例えば、モータ回転数Nmが回転基準値N0よりも大きい状況では、q軸電流Iqはほぼゼロになっている。モータ回転数Nmが回転基準値N0よりも小さい状況では、q軸電流Iqは、モータ回転数Nmが小さいほど負側に大きい値になっている。すなわち、モータ回転数Nmが小さいほどq軸電流Iqの絶対値が大きい値になっている。
q軸電流Iqにおいては、インバータ30がASC状態に保持されている場合に、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqの両方がゼロであることを条件として、図3に示す式2の関係が成立する。式2は、式1と同様に、モータ12についての電圧方程式である。式2は、q軸電流Iqが図3に2点鎖線で示すように変化することを示している。具体的には、モータ回転数Nmが小さいほどq軸電流Iqの絶対値が大きくなることを示している。また、式2は、モータ回転数Nmが大きいほどq軸電流Iqがゼロに近い値になること、q軸電流Iqがゼロに漸近すること、を示している。
インバータ30がASC状態に保持されている場合、上述したように、モータ回転数Nmが回転基準値N0よりも小さい状況では、モータ回転数Nmが小さいほど保持トルクT1が大きい値になる。保持トルクT1においては、インバータ30がASC状態に保持されている場合に、図3に示す式3の関係が成立する。式3においては、Pがモータ12の極対数である。式3は、保持トルクT1がq軸電流Iqに比例することを示している。すなわち、q軸電流Iqがマイナス側に大きいほど保持トルクT1も大きくなることを示している。
これに対して、ASCが断続的に繰り返し行われた場合、ASCが継続して行われた場合に比べて制動トルクTが小さくなりやすい、という知見が試験等により得られた。この知見によれば、断続的なASCにより、特にモータ12の低回転域について制動トルクTの増加が抑制される。
また、ASCが断続的に繰り返し行われる場合、ASCのデューティ比Dに応じて制動トルクTが変化する、という知見が試験等により得られた。この知見によれば、デューティ比Dが小さいほど制動トルクTが小さくなりやすい。デューティ比Dは、単位時間当たりにASCを行った時間の割合である。
そこで、制御装置40は、ASCとして、保持ASCと断続ASCとを選択的に行う。保持ASCは、一時的な停止を行わずにASCを連続的に行うことである。保持ASCが行われた場合、インバータ30はASC状態に継続して保持される。断続ASCは、ASCの一時的な解除を繰り返しながらASCを断続的に繰り返し行うことである。断続ASCが行われた場合、インバータ30は、ASC状態に断続的に繰り返し移行する。この場合、インバータ30は、ASC状態と解除状態とに交互に繰り返し移行する。解除状態は、インバータ30においてASC状態が解除された状態である。
本実施形態では、解除状態として全オフ状態が用いられる。インバータ30の全てのアームスイッチ32a,32bがオフ駆動することを全オフと称し、制御装置40が全オフを行った場合のインバータ30の状態を全オフ状態と称する。インバータ30が全オフ状態にある場合、巻線12aに流れる電流が遮断されやすい。このため、モータ12では制動トルクTが減少し、モータ12は惰性で回転する状態になりやすい。断続ASCでは、制御装置40がASCと全オフとを交互に繰り返し行い、インバータ30がASC状態と全オフ状態とに交互に繰り返し移行する。モータ12では巻線12aを流れる電流の一時的な遮断が繰り返し行われる。
保持ASC、断続ASC及び全オフをASCとデューティ比Dとの関係で示すと、デューティ比Dが1に設定された場合のASCが保持ASCである。デューティ比Dがゼロに設定された場合のASCが全オフである。デューティ比Dがゼロより大きく且つ1より小さい値に設定された場合のASCが断続ASCである。
制御装置40は、インバータ30の制御を行うためのインバータ制御処理を行う。保持ASC及び断続ASCはインバータ制御処理により行われる。インバータ制御処理ついて、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。制御装置40は、インバータ制御処理を所定周期で繰り返し実行する。制御装置40は、インバータ制御処理の各ステップを実行する機能を有している。
図4において、ステップS101では、インバータ異常が発生したか否かを判定する。ここでは、制御装置40からの駆動指令に従ってインバータ30の駆動に異常があるか否かを判定する。例えば、電流センサ28などの各種センサの検出信号とインバータ30への駆動指令とを比較し、この比較結果を用いてインバータ30の駆動状態を判定する。なお、制御装置40におけるステップS101の処理を実行する機能が異常判定部に相当する。
インバータ異常が発生した場合、ステップS102に進む。ステップS102では、回転センサ29の検出信号を用いてモータ回転数Nmを取得する。
ステップS103では、モータ回転数Nmがあらかじめ定められた回転閾値N1以下であるか否かを判定する。回転閾値N1は回転基準値N0よりも小さい値である。ここでは、保持ASCを行った場合にモータ12にて生じる制動トルクTについてトルク閾値Taとして設定しておく。トルク閾値Taは、モータ12の回転に対する制動が強くなりすぎず、車両のドライバビリティが低下しすぎない程度の制動トルクTである。モータ回転数Nmが小さいほど制動トルクTが大きくなるという相関情報を用いて、モータ回転数Nmについてトルク閾値Taに応じた値を回転閾値N1として算出する。回転閾値N1は、試験やシミュレーション等により取得された情報であり、制御装置40においてメモリ等の記憶部に記憶されている。なお、回転閾値N1が断続閾値に相当する。トルク閾値Taは許容トルクと称されることがある。
モータ回転数Nmが回転閾値N1以下である場合、ステップS104に進み、デューティ比Dを設定する。ここでは、モータ回転数Nmに応じてデューティ比Dを可変設定する。具体的には、モータ回転数Nmが小さいほどデューティ比Dを小さい値に設定する。例えば、モータ回転数Nmとデューティ比Dとの相関を示す相関情報を用いて、モータ回転数Nmからデューティ比Dを算出する。この相関情報は、例えば図3に示すようなマップや関数であり、制御装置40の記憶部に記憶されている。図3に示すマップでは、モータ回転数NmがゼロからN1の領域において、モータ回転数Nmが大きくなるほどデューティ比Dが大きくなっている。なお、制御装置40におけるステップS104の処理を実行する機能がデューティ設定部に相当する。
ステップS105では、断続ASCを行う。ここでは、デューティ比Dに応じて駆動指令を生成する。断続ASCが断続処理に相当する。制御装置40におけるステップS105の処理を実行する機能が片オン断続部に相当する。
駆動指令の生成には、例えばキャリアを用いる。図5に示すように、キャリアとデューティ比Dとを比較し、パルス状の駆動指令を生成する。この駆動指令はU相、V相、W相で共通である。駆動指令の周期は、キャリアの周期であるキャリア周期Pと同じになる。断続ASCにおいては、キャリアの1周期でASCと解除とが1回ずつ行われる。断続ASCではASCを繰り返し行う周期がキャリア周期Pと同じになる。ASCの繰り返し周期はキャリア周波数に応じて決まる。
例えばデューティ比Daに応じて生成された駆動指令Caの周期と、デューティ比Dbに応じて生成された駆動指令Cbの周期が同じになっている。デューティ比Da,Dbは互いに異なる値になっている。例えば、断続ASCにおいて1回のASCが継続される時間は、駆動指令Cbの方が駆動指令Caよりも長い。また、断続ASCにおいて1回の全オフが継続される時間は、駆動指令Caの方が駆動指令Cbよりも長い。
インバータ30のU相、V相、W相の全てについて、アームスイッチ32a,32bのうち一方に対しては、デューティ比Dに応じて生成した駆動指令を出力する。他方に対しては、オフ駆動させ且つオフ状態に保持するための駆動指令を出力する。このようにして、ASCと全オフとを交互に繰り返す断続ASCをインバータ30に実行させる。この断続ASCでは、ASCと全オフとが繰り返される周期がキャリア周期Pと同じになっている。
なお、本ステップS105では、インバータ異常の態様に応じて駆動指令を生成する。例えば、インバータ30においてU相、V相、W相のいずれのアームスイッチ32a,32bに、短絡異常及び開放異常のいずれが発生しているのかを判定する。例えば、上アームスイッチ32aに開放異常が発生した場合には、その開放異常が発生した上アームスイッチ32aを含む全ての上アームスイッチ32aをオフ状態に保持するように駆動指令を生成する。この駆動指令では、3相全ての下アームスイッチ32bをデューティ比Dに応じてオンオフさせる。
ステップS103について、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下でない場合、ステップS106に進む。ステップS106では、保持ASCを行う。ここでは、U相、V相、W相の全てについて、アームスイッチ32a,32bのうち一方をオフ駆動させ且つオフ状態に保持し、他方をオン駆動させ且つオン状態に保持する、という駆動指令を生成する。そして、この駆動指令をインバータ30に対して出力する。このようにして、保持ASCをインバータ30に実行させる。本ステップS106では、ステップS105と同様に、インバータ異常の態様に応じて駆動指令を生成する。なお、ASCのデューティ比Dを1に設定することで保持ASCを行うことが可能である。また、制御装置40におけるステップS106の処理を実行する機能が片オン保持部に相当する。
ステップS107では、車両が停止したか否かを判定する。ここでは、イグニッションスイッチ等の車両スイッチがオン状態であるか否かを判定する。そして、車両スイッチがオン状態である場合は、車両が停止していないとしてステップS102に戻る。この場合、車両が停止するまでステップS102~S107の処理を繰り返し行う。車両が停止した場合、ステップS108に進み、終了処理を行う。この終了処理では、U相、V相、W相の全てについてアームスイッチ32a,32bの両方をオフ状態に移行する。
次に、インバータ異常が発生した場合の制動トルクTの変化態様について、図3を参照しつつ説明する。
図3において、モータ回転数Nmが回転閾値N1より大きい領域では、保持ASCが行われる。この領域では、断続ASCが行われなくても、制動トルクTが小さくなっている。制動トルクTは、保持ASCが行われていることに起因して保持トルクT1と同じになっている。モータ回転数Nmが回転閾値N1より大きい領域のうち、モータ回転数Nmが回転基準値N0より大きい領域では、制動トルクTがほぼゼロになっている。一方、モータ回転数Nmが回転閾値N1より大きく且つ回転基準値N0以下である領域では、制動トルクTはゼロとトルク閾値Taとの間の値になっている。保持ASCが行われている場合はASCのデューティ比Dが1に設定されている。
モータ回転数Nmが回転閾値N1以下の領域では、断続ASCが行われる。この領域では、モータ回転数Nmがゼロに近いほどASCのデューティ比Dが小さい値に設定されている。断続ASCが行われている場合の制動トルクTを断続トルクT2と称すると、モータ回転数NmがN1以下の領域では、断続トルクT2が保持トルクT1よりも小さくなっている。例えば、モータ回転数Nmがゼロに近いほど保持トルクT1が大きくなっていくのに対して、断続トルクT2はモータ回転数Nmがゼロに近づいてもトルク閾値Taとほぼ同じ値に保たれている。
ここまで説明した本実施形態によれば、インバータ異常が発生した場合に、断続ASCが行われる。この場合、断続ASCによりモータ12の制動トルクTが低減されるという知見を利用して、モータ12の回転に対する制動が強くなりすぎるということを抑制できる。したがって、インバータ異常が発生した場合に、モータ12の回転に対する制動の強さを適正に管理することができる。この場合、制動トルクTの急増により車両のドライバビリティが低下するということを抑制できる。換言すれば、制動トルクTの急増が断続ASCにより抑制されるため、車両のドライバビリティを高めることができる。
また、例えばモータ12の高出力化が図られた場合、モータ12にて発生する界磁磁束である鎖交磁束が増加する。このため、ASCに伴ってアームスイッチ32a,32bを流れる電流が鎖交磁束に比例して増加する。この場合、アームスイッチ32a,32bを流れる電流によりインバータ30にて発生する熱が過剰に大きくなることが懸念される。この結果、インバータ30の冷却が発熱に追い付かなくなるという「熱成立しない状態」になってしまう。
これに対して、本実施形態によれば、インバータ異常が発生した場合に、断続ASCが行われると、モータ12では、制動トルクTと共に逆起電力が低減しやすくなる。逆起電力が低減すると、アームスイッチ32a,32bを流れる電流が小さくなるため、インバータ30にて発生する熱が大きくなりにくい。したがって、インバータ30が「熱成立しない状態」になることを抑制できる。
以上のように、断続ASCは、インバータ異常の発生に対して、モータ12の回転に対する制動の強さを適正に管理すること、及びインバータ30での発熱を抑制すること、の両方を実現できる。ただし、断続ASCは、保持ASCに比べて、インバータ30を電流が流れることに対する抑止力が小さい。すなわち、断続ASCが行われた場合、保持ASCが行われた場合に比べてインバータ30を流れる電流が小さくなりにくい。このため、断続ASCは、インバータ30での発熱を抑制することよりも、モータ12の回転に対する制動の強さを管理することを優先して行うことになる。
モータ12の逆起電力による電圧を逆起電圧と称すると、モータ回転数Nmが小さいほど逆起電圧が小さくなる。また、逆起電圧が小さいと、インバータ30の過電圧や過電流、平滑コンデンサ21の過電圧などが生じにくくなる。したがって、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下である場合などモータ12の逆起電力が大きくなりにくい場合は、断続ASCを行っても、平滑コンデンサ21の過電圧が生じにくく、インバータ30の過電圧や過電流が生じにくい。このため、モータ12の回転に対する制動の強さを管理すること、及びインバータ30の発熱を抑制することの両方を断続ASCにより好適に実現できる。
本実施形態によれば、断続ASCに際してデューティ比Dが可変設定される。この構成では、デューティ比Dに応じて制動トルクTが変化するという知見を利用して、デューティ比Dの可変設定によって制動トルクTを適正に管理できる。これにより、制動トルクTが大きくなりすぎるということを抑制できる。
モータ12においては、モータ回転数Nmが小さいほど制動トルクTが大きくなりやすい。すなわち、モータ回転数Nmが小さいほど車両のドライバビリティが低下しやすい。これに対して、本実施形態によれば、断続ASCにおいて、モータ回転数Nmが小さいほどデューティ比Dが小さい値に設定される。この構成では、デューティ比Dが小さいほど制動トルクTが小さくなるという知見を利用して、例えばモータ回転数Nmが低回転域にある場合に制動トルクTが大きくなりすぎるということが生じにくい。したがって、モータ回転数Nmが小さいことに伴って車両のドライバビリティが低下するということをデューティ比Dの低減により抑制できる。
本実施形態によれば、断続ASCにおいて、キャリア周期Pに応じた周期でASCが断続的に繰り返される。このように、キャリアを利用してASCの周期が設定されているため、ASCの周期を設定するための処理負担が増加するということを抑制できる。
断続ASCにおいては、ASCの繰り返し周期が長すぎる場合、単位時間当たりのASCの回数が少なくなりすぎて、モータ12や車体において機械的な共振が生じやすくなる。この場合、駆動システム10に異常が生じることが懸念される。これに対して、本実施形態によれば、断続ASCでのASC周期がキャリア周波数に応じて設定されているため、単位時間当たりのASCの繰り返し回数を適正化できる。このため、ASCの繰り返し回数によって駆動システム10に異常が生じるということを抑制できる。
本実施形態によれば、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下である場合に断続ASCが行われる。このため、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下である場合に制動トルクTが大きくなりすぎるということを断続ASCにより抑制できる。しかも、モータ回転数Nmに関係なく保持ASCが行われた場合を想定して、モータ回転数Nmについて制動トルクTがトルク閾値Taになる値が回転閾値N1とされているため、制動トルクTがトルク閾値Taよりも大きくなることが抑制される。このため、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下である場合に断続ASCが行われることで、車両のドライバビリティが過剰に悪くなるほどに制動トルクTが大きくなるということを抑制できる。
本実施形態によれば、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下でない場合に保持ASCが行われる。このため、モータ回転数Nmが回転閾値N1より大きいという制動トルクTが大きくなりすぎない状況では、モータ12の回転に対する制動の強さを管理することよりも、インバータ30での発熱を抑制することを優先して行うことができる。これにより、インバータ異常が発生した場合に、駆動システム10において2次的な異常が発生することを保持ASCにより抑制できる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、制御装置40がモータ回転数Nmに応じて断続ASCと保持ASCとを使い分けていた。これに対して、第2実施形態では、制御装置40がモータ回転数Nmに応じて断続ASCと保持ASCと全オフとを使い分ける。本実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
上記第1実施形態では、制御装置40がモータ回転数Nmに応じて断続ASCと保持ASCとを使い分けていた。これに対して、第2実施形態では、制御装置40がモータ回転数Nmに応じて断続ASCと保持ASCと全オフとを使い分ける。本実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
制御装置40は、断続ASC及び保持ASCに加えて、全オフを行うことが可能になっている。全オフは、上記第1実施形態の断続ASCにおいてASCの一時的な解除に用いられた処理である。本実施形態では、制御装置40が、断続ASCの一部として全オフを行うのではなく、全オフを連続的に行う。制御装置40が全オフを行った場合、インバータ30は、全オフ状態に継続して保持される。インバータ30が全オフ状態にある場合、全てのアームスイッチ32a,32bがオフ状態になっている。
制御装置40は、断続ASC及び保持ASCに加えて全オフを含むインバータ制御処理を行う。このインバータ制御処理について図6のフローチャートを参照しつつ説明する。
図6において、ステップS101~S103では、上記第1実施形態と同様の処理を行う。ステップS103について、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下である場合、ステップS201に進む。
ステップS201では、モータ回転数Nmがあらかじめ定められた小側閾値N2以上であるか否かを判定する。小側閾値N2は、回転閾値N1よりも小さい値である。モータ回転数Nmについて、インバータ30が全オフ状態にある場合にインバータ30の過電圧や過電流が生じにくい値が小側閾値N2として設定されている。小側閾値N2は、モータ回転数Nmについて、インバータ30の過電圧や過電流が生じない範囲のうち最も大きい値である。小側閾値N2は、例えば回転閾値N1の1/2程度の値になっている。小側閾値N2は、試験やシミュレーション等により取得された情報であり、制御装置40の記憶部に記憶されている。
モータ回転数Nmが小側閾値N2以上でない場合、モータ回転数Nmは回転閾値N1よりも小さいとして、ステップS202に進む。ステップS202では、全オフを行う。ここでは、U相、V相、W相の全てについて、アームスイッチ32a,32bの両方をオフ駆動させ且つオフ状態に保持する、という駆動指令を生成する。そして、この駆動指令をインバータ30に対して出力し、インバータ30に全オフを実行させる。なお、本ステップS202では、上記第1実施形態のステップS105,S106と同様に、インバータ異常の態様に応じて駆動指令を生成する。なお、ASCのデューティ比Dをゼロに設定することで全オフを行うことが可能である。また、制御装置40におけるステップS202の処理を実行する機能が全オフ部及び小側オフ部に相当する。
一方、ステップS201について、モータ回転数Nmが小側閾値N2以上である場合、ステップS104,S105に進む。ステップS104ではデューティ比Dを設定し、ステップS105では断続ASCを行う。ステップS105やステップS202などの後、ステップS107に進み、車両が停止するまでステップS102~S107,S201,S202の処理を繰り返し行う。
次に、インバータ異常が発生した場合の制動トルクTの変化態様について、図7を参照しつつ説明する。
図7に示すように、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下であり且つ小側閾値N2より大きい領域では、断続ASCが行われる。この領域では、モータ回転数Nmが小側閾値N2に向けて小さくなっても、断続トルクT2はトルク閾値Taとほぼ同じ値に保たれている。
一方、モータ回転数Nmが小側閾値N2以下である領域では、断続ASCではなく全オフが行われる。全オフが行われている場合の制動トルクTを全オフトルクT3と称すると、この全オフトルクT3は、モータ回転数Nmに関係なくほぼゼロになっている。これは、全てのアームスイッチ32a,32bが巻線12aへの通電を遮断しているためである。全オフが行われている場合はASCのデューティ比Dがゼロに設定されている。
駆動システム10においては、モータ回転数Nmが小さいほどインバータ30の過電圧や過電流、平滑コンデンサ21の過電圧などが生じにくくなっている。これに対して、本実施形態によれば、モータ回転数Nmが小側閾値N2以下である場合に全オフが行われる。小側閾値N2が十分に小さい値に設定されていることで、モータ回転数Nmが小側閾値N2以下である場合に断続ASCや保持ASCが行われなくても、インバータ30の過電圧や過電流、平滑コンデンサ21の過電圧などが生じにくい。したがって、モータ回転数Nmが小側閾値N2以下である場合には、インバータ30の発熱が生じにくい状況で、モータ12の回転が断続ASCや保持ASCにより強制的に制動されるということを回避できる。これにより、インバータ異常が発生した場合に、モータ回転数Nmが小側閾値N2以下など十分に小さい状況について、車両のドライバビリティを高めることができる。
<第3実施形態>
上記第2実施形態では、制御装置40がモータ回転数Nmに応じて断続ASCと保持ASCと全オフとを使い分けていた。これに対して、第3実施形態では、制御装置40がモータ回転数Nmに応じて保持ASCと全オフとを使い分ける。本実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1、第2実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
上記第2実施形態では、制御装置40がモータ回転数Nmに応じて断続ASCと保持ASCと全オフとを使い分けていた。これに対して、第3実施形態では、制御装置40がモータ回転数Nmに応じて保持ASCと全オフとを使い分ける。本実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1、第2実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
制御装置40は、保持ASC及び全オフを含むインバータ制御処理を行う。このインバータ制御処理について図8のフローチャートを参照しつつ説明する。
図8において、ステップS101,S102では、上記第1実施形態と同様の処理を行う。ステップS102にてモータ回転数Nmを取得した後、ステップS301に進み、モータ回転数Nmが大側閾値N3以上であるか否かを判定する。大側閾値N3は、回転閾値N1及び回転基準値N0のいずれよりも大きい値である。モータ回転数Nmについて、インバータ30がASC状態に保持されている場合に保持トルクT1がゼロになる値が大側閾値N3として設定されている。大側閾値N3は、例えば大側閾値N3と回転基準値N0との差異が回転基準値N0と回転閾値N1との差異よりも小さくなる値に設定されている。
モータ回転数Nmが大側閾値N3以上である場合、ステップS302に進み、上記第1実施形態のステップS106と同様に、保持ASCを行う。一方、モータ回転数Nmが大側閾値N3以上でない場合、ステップS303に進み、上記第2実施形態のステップS202と同様に、全オフを行う。ステップS302やステップS303の後、ステップS107に進み、車両が停止するまでステップS102,S107,S301~S303の処理を繰り返し行う。なお、制御装置40におけるステップS303の処理を行う機能が全オフ部及び大側オフ部に相当する。
次に、インバータ異常が発生した場合の制動トルクTの変化態様について、図9を参照しつつ説明する。
図9に示すように、モータ回転数Nmが大側閾値N3以下である領域では、全オフが行われる。この領域では、全オフトルクT3がモータ回転数Nmに関係なくほぼゼロになっている。全オフが行われている場合はASCのデューティ比Dがゼロに設定されている。一方、モータ回転数Nmが大側閾値N3より大きい領域では、保持ASCが行われる。この領域では、制動トルクTがほぼゼロになっている。保持ASCが行われている場合はデューティ比Dが1に設定されている。
保持ASCが行われた場合を想定すると、モータ回転数Nmが回転閾値N1より大きい領域では、制動トルクTが大きくなりにくい。また、回転閾値N1より大きい大側閾値N3よりも更にモータ回転数Nmが大きい領域では、制動トルクTが更に大きくなりにくい。換言すれば、保持ASCや断続ASCが行われた場合、モータ回転数Nmが大側閾値N3以下である領域では、制動トルクTが生じる可能性がある。
これに対して、本実施形態によれば、モータ回転数Nmが大側閾値N3以下である場合に全オフが行われる。すなわち、モータ回転数Nmについて、保持ASCや断続ASCが行われた場合に制動トルクTが生じる可能性がある領域では、全オフが行われる。これにより、インバータ異常が発生した場合に、制動トルクTが生じることをより確実に抑制できる。したがって、インバータ異常が発生した場合に車両のドライバビリティが低下することを回避できる。
<第4実施形態>
上記第3実施形態では、モータ回転数Nmが大側閾値N3より小さい場合に全オフが行われていた。これに対して、第4実施形態では、モータ回転数Nmが小側閾値N2より小さい場合に全オフが行われる。本実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1~第3実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1~第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
上記第3実施形態では、モータ回転数Nmが大側閾値N3より小さい場合に全オフが行われていた。これに対して、第4実施形態では、モータ回転数Nmが小側閾値N2より小さい場合に全オフが行われる。本実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1~第3実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1~第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
制御装置40は、モータ回転数Nmが大側閾値N3より小さい場合に加えて、モータ回転数Nmが小側閾値N2より小さい場合に、全オフを行う。ただし、モータ回転数Nmが大側閾値N3より小さい場合に全オフが行われるのは、モータ回転数Nmが回転閾値N1より大きいという条件が成立している場合である。また、モータ回転数Nmが小側閾値N2より小さい場合に全オフが行われるのは、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下であるという条件が成立している場合である。
制御装置40は、インバータ制御処理を行う。このインバータ制御処理について図10のフローチャートを参照しつつ説明する。
図10において、ステップS101~S103では、上記第1実施形態と同様の処理を行う。ステップS103について、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下である場合、ステップS401に進む。ステップS401では、上記第2実施形態のステップS201と同様に、モータ回転数Nmが小側閾値N2以上であるか否かを判定する。モータ回転数Nmが小側閾値N2以上でない場合、ステップS402に進み、上記第2実施形態のステップS202と同様に、全オフを行う。一方、モータ回転数Nmが小側閾値N2以上である場合、ステップS104にてデューティ比Dを設定し、ステップS105にて断続ASCを行う。
上記ステップS103について、モータ回転数Nmが回転閾値N1以下でない場合、ステップS403に進む。ステップS403では、上記第3実施形態のステップS301と同様に、モータ回転数Nmが大側閾値N3以上であるか否かを判定する。モータ回転数Nmが大側閾値N3以上でない場合、ステップS404に進み、ステップS402と同様に全オフを行う。一方、モータ回転数Nmが大側閾値N3以上である場合、ステップS106に進み、保持ASCを行う。
ステップS402やステップS404などの後、ステップS107に進み、車両が停止するまでステップS101~S107,S401~S404の処理を繰り返し行う。なお、制御装置40におけるステップS402の処理を実行する機能が全オフ部及び小側オフ部に相当する。ステップS404の処理を実行する機能が全オフ部及び大側オフ部に相当する。
<第5実施形態>
上記第1実施形態では、駆動システム10がモータ12及び電力変換装置13を1つずつ有していた。これに対して、第5実施形態では、駆動システム10がモータ12及び電力変換装置13を複数ずつ有している。本実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
上記第1実施形態では、駆動システム10がモータ12及び電力変換装置13を1つずつ有していた。これに対して、第5実施形態では、駆動システム10がモータ12及び電力変換装置13を複数ずつ有している。本実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。本実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図11において、駆動システム10は、モータ12及び電力変換装置13をx個ずつ有している。1つのモータ12とこのモータ12に接続された1つの電力変換装置13とを1組とすると、モータ12と電力変換装置13とがx組だけ駆動システム10に含まれている。x個の電力変換装置13のそれぞれがインバータ30を有している。このため、駆動システム10はx個のインバータ30を有している。
図11での図示は省略するが、x個のインバータ30はいずれも、上記第1実施形態と同様に、3相分のアーム回路31を有している。これらアーム回路31はいずれもアーム31a,31bを有しており、これらアーム31a,31bはいずれもアームスイッチ32a,32bを有している。
駆動システム10においては、制御装置40がx個の電力変換装置13のそれぞれを個別に制御可能になっている。x個の電力変換装置13のそれぞれが制御装置40に電気的に接続されている。駆動システム10は電力変換システム50を有している。電力変換システム50は、x個の電力変換装置13と制御装置40とを有している。
車両においては、1組のモータ12と電力変換装置13とが1つの駆動輪に対して設けられている。例えば、車両が4つの駆動輪を有しており、この車両には4組のモータ12と電力変換装置13とが設けられている。制御装置40は、4つの電力変換装置13を個別に制御することで、4つの駆動輪を個別に駆動させる。駆動輪は、モータ12の駆動に伴って回転する駆動対象である。
制御装置40は、x個のインバータ30を制御対象としてインバータ制御処理を行う。このインバータ制御処理について図12のフローチャートを参照しつつ説明する。
図12において、ステップS501では、x個のインバータ30のそれぞれについてインバータ異常が発生したか否かを判定する。例えば、上記第1実施形態のステップS101と同様の判定処理をx個のインバータ30のそれぞれについて行う。x個のインバータ30の少なくとも1つでインバータ異常が発生した場合、ステップS502に進む。なお、制御装置40におけるステップS501の処理を実行する機能が異常判定部に相当する。
ステップS502では、x個のモータ12のそれぞれについてモータ回転数Nmを取得する。例えば、上記第1実施形態のステップS102と同様の取得処理をx個のモータ12のそれぞれについて行う。
ステップS503では、x個のインバータ30の少なくとも2つを対象インバータとして設定する。対象インバータは、断続ASCや保持ASCといったASCの対象にするインバータ30のことである。少なくとも2つの対象インバータには、異常が発生したインバータ30が含まれている。例えば、偶数個のインバータ30を対象インバータとして設定する。インバータ異常が発生したインバータ30が偶数個ある場合には、これらインバータ30の全てを対象インバータにする。インバータ異常が発生したインバータ30が奇数個ある場合には、これらインバータ30の全てに加えて、インバータ異常が発生していない1つのインバータ30を対象インバータにする。したがって、本ステップS503では、少なくとも2つの対象インバータを設定することになる。
ステップS504では、対象モータのモータ回転数Nmが回転閾値N1以下であるか否かを判定する。対象モータは、対象インバータに接続され、対象インバータから電力が供給されるモータ12のことである。例えば、上記第1実施形態のステップS103と同様の判定処理を、少なくとも2つの対象モータのそれぞれについて行う。対象モータの少なくとも1つでモータ回転数Nmが回転閾値N1以下である場合、対象モータのモータ回転数Nmが回転閾値N1以下であるとして、ステップS505に進む。なお、対象モータには対象インバータから電力が供給される。
ステップS505では、対象インバータについてデューティ比Dを設定する。ここでは、対象モータのモータ回転数Nmに応じてデューティ比Dを設定する。例えば、少なくとも2つの対象インバータについて共通のデューティ比Dを設定する。まず、少なくとも2つの対象インバータのそれぞれについてモータ回転数Nmに応じてデューティ比Dを算出し、これらデューティ比Dの平均値を算出する。そして、この平均値を少なくとも2つの対象インバータにとっての共通のデューティ比Dとして設定する。少なくとも2つの対象インバータにおいては、それぞれに設定されたデューティ比Dが同じ値になる。
デューティ比Dの設定範囲は、対象インバータの数に応じて制限される。例えば、対象インバータが2つの場合、デューティ比Dの設定範囲は、ゼロより大きく且つ0.5以下の範囲に制限される。後述するように、少なくとも2つの対象インバータについては、それぞれのASC状態が重複しないように制御される。このため、少なくとも2つの対象インバータについて互いのASC状態が重複しないようにするには、デューティ比Dの設定範囲を制限する必要がある。
ステップS506では、対象インバータに対して断続ASCを行う順番をASC順として設定する。例えば、対象インバータが2つの場合、一方を1番目に設定し、他方を2番目に設定する。なお、制御装置40におけるステップS506の処理を実行する機能が順番設定部に相当する。
ステップS507では、対象インバータに対して断続ASCを行う。ここでは、少なくとも2つの対象インバータに対するASCが互いに重複しないように断続ASCを行う。例えば、少なくとも2つの対象インバータが順番にASC状態に移行するように、且つこれら対象インバータがASC状態に移行している期間が互いに重複しないように、断続ASCを行う。
本ステップS507では、少なくとも2つの対象インバータについて、デューティ比D及びASC順に応じた駆動指令を個別に生成する。個別の対象インバータについては、例えば上記第1実施形態のステップS105と同様に、キャリアを用いて断続ASCの駆動指令を生成する。個別に生成した駆動指令では、少なくとも2つの対象インバータについての断続ASCの周期が同じであり、互いの位相差がゼロになっている。これら駆動指令については、1つの対象インバータに対する駆動指令を基準にして、他の対象インバータに対する駆動指令の位相を対象インバータの数に応じて変更する。例えば、対象インバータが2つある場合には、互いの断続ASCの位相差が180度になるように、これら対象インバータに対する駆動指令を変更する。対象インバータが3つある場合には、互いの断続ASCの位相差が120度になるように、これら対象インバータに対する駆動指令を変更する。
例えば、図11、図13において、z個のインバータ30のうちインバータ301,302が対象インバータとして設定された場合を想定する。インバータ301,302に接続されたモータ121,122が対象モータである。対象モータには対象インバータから電力が供給される。本ステップS507では、インバータ301,302のそれぞれのASC状態が互いに重複しないように、インバータ301,302に断続ASCを互いに並行して行わせる。なお、対象インバータであるインバータ301,302が対象変換部に相当する。また、制御装置40におけるステップS507の処理を実行する機能が対象断続部に相当する。
図13に示すように、断続ASCについて、第1インバータ301がASC状態にある期間を第1期間ASC1と称し、第2インバータ302がASC状態にある期間を第2期間ASC2と称する。この場合、第1インバータ301に対する断続ASCと第2インバータ302に対する断続ASCとが互いに並行して行われている一方で、第1期間ASC1と第2期間ASC2とは互いに重複せずにずれるように順番に並んでいる。制御装置40は、第1インバータ301に対するASCと第2インバータ302に対するASCとを、互いに重複しないタイミングで順番に実行する。第1インバータ301に対する断続ASCと第2インバータ302に対する断続ASCとでASCを繰り返す周期は同じになっている。
ステップS504について、対象モータのモータ回転数Nmが回転閾値N1以下になっていない場合、保持ASCを実行するとして、ステップS508に進む。ステップS508では、対象インバータに対して保持ASCを行う。ここでは、少なくとも2つの対象インバータの全てに保持ASCを行わせる。個別の対象インバータについては、例えば上記第1実施形態のステップS106と同様に、保持ASCの駆動指令を生成して出力する。
ステップS509では、上記第1実施形態のステップS107と同様に、車両が停止したか否かを判定する。そして、車両が停止するまでステップS502~S509の処理を繰り返し行う。車両が停止した場合、ステップS510に進み、上記第1実施形態のステップS108と同様に終了処理を行う。
次に、図11、図13において、複数のインバータ30のうちインバータ301,302が対象インバータに設定された場合を例として、本実施形態について説明する。
本実施形態によれば、インバータ異常の発生に伴ってインバータ301,302が対象インバータに設定された場合、これらインバータ301,302について断続ASCが行われる。このため、対象モータであるモータ121,122のそれぞれについて、上記第1実施形態と同様に、回転に対する制動の強さを適正に管理することができる。
本実施形態とは異なり、例えば、インバータ301,302に対して断続ASCが並行せずに別々に行われる構成を想定する。この構成では、モータ121,122のうち一方が、その回転に対する制動の強さが断続ASCにより管理された状態になり、他方が、その回転に対する制動の強さが断続ASCでは管理されていない状態になる。このため、モータ121とモータ122とで回転のバランスが悪くなることが懸念される。例えば、車両において2つの駆動輪のうち一方をモータ121が駆動し、他方をモータ122が駆動する構成を想定する。この構成では、一方の駆動輪の回転に対する制動が断続ASCにより管理され、他方の駆動輪の回転に対する制動が断続ASCでは管理されない状況になる。この場合、車両のドライバビリティや操作性が低下しやすくなる。
これに対して、本実施形態によれば、インバータ301,302のそれぞれに対する断続ASCが並行して行われる。このため、モータ121,122のそれぞれについて、回転に対する制動の強さを断続ASCにより並行して管理できる。したがって、モータ121,122について回転のバランスを良くすることができる。
また、インバータ301,302のそれぞれに対して断続ASCが行われた場合、これらインバータ301,302がASC状態に断続的に繰り返し移行することに起因して、モータ121,122の制動トルクTがASC状態の繰り返しに合わせて増減しやすい。すなわち、モータ121,122ではトルクリプルが生じやすい。本実施形態とは異なり、例えばインバータ301,302がASC状態に同時に移行する構成では、モータ121,122のそれぞれで生じるトルクリプルが同期して増幅することが懸念される。
これに対して、本実施形態によれば、インバータ301,302に対する断続ASCが並行して行われる場合に、これらインバータ301,302がASC状態に順番に移行する。この構成では、仮にモータ121,122のそれぞれでトルクリプルが生じたとしても、これらトルクリプルが同期しにくくなっている。このため、モータ121,122について回転のバランスを良くした上で、これらモータ121,122のそれぞれで発生するトルクリプルを総合的に管理できる。すなわち、インバータ異常が発生した場合に、駆動システム10の全体としてモータ121,122のトルクリプルを適正に管理できる。
本実施形態によれば、第1インバータ301がASC状態になっている第1期間ASC1と、第2インバータ302がASC状態になっている第2期間ASC2とは、互いにずれている。すなわち、第1期間ASC1と第2期間ASC2とは、互いに重複しないように順番に並ぶ状態になる。この状態では、モータ121,122のうち一方の回転が制動された状態と、他方の回転が制動された状態とが順番に繰り返される。このため、駆動システム10全体としてはモータ121,122のいずれか1つの回転がほぼ継続して制動された状態になる。したがって、駆動システム10全体についてトルクリプルを低減できる。
車両においては、2つの駆動輪について総合的にトルクリプルが低減することで、ドライバビリティが向上しやすくなる。また、2つの駆動輪について回転バランスが良くなることで、2つの駆動輪の回転バランスが悪化することで発生する振動や騒音を低減できる。
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
上記各実施形態では、断続ASCにおいてASCを解除する処理は全オフではなくてもよい。すなわち、制御装置40が断続ASCを行っている場合に、インバータ30のASC状態を解除した解除状態は全オフ状態でなくてもよい。例えば、断続ASCにおいてASCを解除する処理は、インバータ30に対するスイッチング処理でもよい。すなわち、断続ASCについて、インバータ30のASC状態を解除した状態は、ベクトル制御によりインバータ30のスイッチング制御が行われている制御状態でもよい。
上記各実施形態において、デューティ比Dは、モータ回転数Nmとは異なるパラメータに応じて可変設定されてもよい。例えば、デューティ比Dがモータ12の温度に応じて可変設定されてもよい。また、デューティ比Dを可変設定するために用いるパラメータは1つでなくてもよい。例えば、デューティ比Dが、モータ回転数Nm及びモータ温度の両方に応じて可変設定されてもよい。さらに、デューティ比Dは、可変値ではなく固定値でもよい。すなわち、デューティ比Dは、モータ回転数Nmに関係なく所定の固定値に設定されてもよい。
上記各実施形態において、断続ASCを行うか否かの判定パラメータとして、モータ回転数Nmとは異なるパラメータが用いられてもよい。例えば、断続ASCを行うか否かの判定がモータ温度に応じて行われてもよい。また、断続ASCを行うか否かの判定パラメータは1つでなくてもよい。例えば、モータ回転数Nm及びモータ温度の両方に応じて、断続ASCを行うか否かの判定が行われてもよい。さらに、インバータ異常が発生した場合に、制御装置40が断続ASC、保持ASC及び全オフのうち1つだけを行ってもよい。例えば、インバータ異常が発生した場合には、モータ回転数Nmなどに関係なく制御装置40が断続ASCだけを行ってもよい。
上記第5実施形態において、断続ASCにおいて、少なくとも2つの対象インバータがASC状態に順番に移行するのであれば、これら対象インバータがASC状態になっている期間は互いに重複していてもよい。例えば、デューティ比Dの設定範囲が対象インバータの数では制限されない構成とする。この構成では、対象インバータが2つである場合に、デューティ比Dが0.5より大きい値に設定されてもよい。
上記各実施形態では、断続ASCを行う場合において駆動指令の周期がキャリア周期Pに同じになっていなくてもよい。例えば、1回のASCを行う時間と、1回の解除を行う時間とをあらかじめ決めておく。そして、ASCを連続して行う回数と解除を連続して行う回数とをデューティ比Dに応じてそれぞれ設定する。この構成では、デューティ比Dに応じてASCの回数や解除の回数が変わり、その結果、駆動指令の周期が変わる。なお、ASCや解除を連続して複数回行っても、断続ASCとしては、ASCと解除とを交互に行うことになる。また、断続ASCにおいてASCの継続時間と解除の継続時間とのうち一方を固定時間にしておき、他方をデューティ比Dに応じて変更してもよい。
上記各実施形態において、回転閾値N1は回転基準値N0より小さい値でなくてもよい。また、回転閾値N1は、保持ASCを行った場合の制動トルクTに関係なくあらかじめ定められた値になっていてもよい。上記第3、第4実施形態において、大側閾値N3は、回転閾値N1より大きい値であれば、回転基準値N0より小さい値でもよい。
上記各実施形態において、電流センサ28は、巻線12aを流れる電流を3相の全てについて検出していなくてもよい。例えば、電流センサ28が3相のうち2相について検出信号を出力し、制御装置40の電流算出部が検出信号に対応した2相について各相電流を算出し、残り1相の各相電流については2相の各相電流から推定してもよい。
上記各実施形態において、制御装置40は、少なくとも1つのコンピュータを含む制御システムによって提供される。制御システムは、ハードウェアである少なくとも1つのプロセッサ(ハードウェアプロセッサ)を含む。ハードウェアプロセッサは、下記(i)、(ii)、又は(iii)により提供することができる。
(i)ハードウェアプロセッサは、ハードウェア論理回路である場合がある。この場合、コンピュータは、プログラムされた多数の論理ユニット(ゲート回路)を含むデジタル回路によって提供される。デジタル回路は、プログラム及びデータの少なくとも一方を格納したメモリを備える場合がある。コンピュータは、アナログ回路によって提供される場合がある。コンピュータは、デジタル回路とアナログ回路との組み合わせによって提供される場合がある。
(ii)ハードウェアプロセッサは、少なくとも1つのメモリに格納されたプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサコアである場合がある。この場合、コンピュータは、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサコアとによって提供される。プロセッサコアは、例えばCPUと称される。メモリは、記憶媒体とも称される。メモリは、プロセッサによって読み取り可能な「プログラム及びデータの少なくとも一方」を非一時的に格納する非遷移的かつ実体的な記憶媒体である。
(iii)ハードウェアプロセッサは、上記(i)と上記(ii)との組み合わせである場合がある。(i)と(ii)とは、異なるチップの上、又は共通のチップの上に配置される。
すなわち、制御装置40が提供する手段及び機能の少なくとも一方は、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又はそれらの組み合わせにより提供することができる。
上記各実施形態では、モータ12において、界磁を形成する永久磁石を含んで固定子が構成されていてもよく、電機子を形成する巻線12aを含んで回転子が構成されていてもよい。
上記各実施形態において、電力変換装置13が搭載された車両としては、乗用車やバス、建設作業車、農業機械車両などがある。また、車両は移動体の1つであり、電力変換装置13が搭載される移動体としては、車両の他に電車や飛行機、船舶などある。電力変換装置13としては、インバータ装置やコンバータ装置などがある。このコンバータ装置としては、交流入力直流出力の電源装置、直流入力直流出力の電源装置、交流入力交流出力の電源装置などがある。
例えば、上記第5実施形態において、複数の駆動対象を有する移動体に電力変換システム50が搭載されていてもよい。例えば、複数の回転翼を有する飛行機に電力変換システム50が搭載された構成とする。この構成では、駆動対象である1つの回転翼に対して1組のモータ12及びインバータ30が設けられている。制御装置40は、複数のインバータ30を制御することで複数の回転翼を駆動させる。
11…電源部としてのバッテリ、12…モータ、13…電力変換装置、30…電力変換部としてのインバータ、301…電力変換部及び対象変換部としての第1インバータ、302…電力変換部及び対象変換部としての第2インバータ、31…アーム回路、32a…上アームスイッチ、32b…下アームスイッチ、50…電力変換システム、D…デューティ比、Nm…回転数としてのモータ回転数、N1…断続閾値としての回転閾値、N2…小側閾値、N3…大側閾値、P…キャリア周期、S101…異常判定部、S104…デューティ設定部、S105…片オン断続部、S106…片オン保持部、S202…全オフ部及び小側オフ部、S303…全オフ部及び大側オフ部、S402…全オフ部及び小側オフ部、S404…全オフ部及び大側オフ部、S501…異常判定部、S506…順番設定部、S507…対象断続部。
Claims (12)
- 電源部(11)からモータ(12)に供給される電力を電力変換部(30)により直流から交流に変換する電力変換装置(13)であって、
前記電力変換部について、互いに並列に接続された複数のアーム回路(31)の全てについて高電位側の上アームスイッチ(32a)及び低電位側の下アームスイッチ(32b)のうち一方をオン状態にして他方をオフ状態にした片オン状態と称すると、
前記電力変換部に異常が発生したか否かを判定する異常判定部(S101)と、
前記異常判定部により異常発生と判断された場合に、前記電力変換部を前記片オン状態に断続的に繰り返し移行させる断続処理を行う片オン断続部(S105)と、
を備えている電力変換装置。 - 単位時間当たりで前記電力変換部が前記片オン状態になっている時間の割合をデューティ比(D)として可変設定するデューティ設定部(S104)、を備え、
前記片オン断続部は、前記デューティ比に応じて前記断続処理を行う、請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記デューティ設定部は、前記モータの回転数(Nm)が小さいほど前記デューティ比を小さい値に設定する、請求項2に記載の電力変換装置。
- 前記片オン断続部は、前記断続処理として、搬送波のキャリア周期(P)に応じた周期で前記片オン状態を断続的に繰り返す、請求項1~3のいずれか1つに記載の電力変換装置。
- 前記片オン断続部は、前記モータの回転数(Nm)があらかじめ定められた断続閾値(N1)以下である場合に前記断続処理を行う、請求項1~4のいずれか1つに記載の電力変換装置。
- 前記異常判定部により異常発生と判断され、且つ前記回転数が前記断続閾値以下でない場合に、前記電力変換部を前記片オン状態に移行させて保持する片オン保持部(S106)、を備えている請求項5に記載の電力変換装置。
- 前記異常判定部により異常発生と判断された場合に、複数の前記アーム回路の全てについて前記上アームスイッチ及び前記下アームスイッチの両方をオフ状態にした全オフ状態に前記電力変換部を移行させる全オフを前記回転数に応じて行う、全オフ部(S202,S303,S402,S404)を備えている請求項5又は6に記載の電力変換装置。
- 前記全オフ部は、
前記回転数が前記断続閾値より小さい小側閾値(N2)以下である場合に前記全オフを行う小側オフ部(S202,S402)、を備えている請求項7に記載の電力変換装置。 - 前記全オフ部は、
前記回転数が前記断続閾値より大きい大側閾値(N3)以下である場合に前記全オフを行う大側オフ部(S303,S404)、を備えている請求項7又は8に記載の電力変換装置。 - 前記片オン断続部は、前記断続処理として、前記電力変換部を前記片オン状態と前記片オン状態を解除した解除状態とに交互に繰り返し移行させる処理を行う、請求項1~9のいずれか1つに記載の電力変換装置。
- 電源部(11)から複数のモータ(12)に供給される電力を複数の電力変換部(30,301,302)により前記モータごとに直流から交流に変換する電力変換システム(50)であって、
前記電力変換部について、互いに並列に接続された複数のアーム回路(31)の全てについて高電位側の上アームスイッチ(32a)及び低電位側の下アームスイッチ(32b)のうち一方をオン状態にして他方をオフ状態にした片オン状態と称すると、
複数の前記電力変換部のそれぞれについて、異常が発生したか否かを判定する異常判定部(S501)と、
少なくとも1つの前記電力変換部について前記異常判定部により異常発生と判断された場合に、異常発生と判断された前記電力変換部を含む少なくとも2つの電力変換部を少なくとも2つの対象変換部(301,302)として、少なくとも2つの前記対象変換部を前記片オン状態に移行させる順番を設定する順番設定部(S506)と、
前記順番設定部により設定された前記順番で少なくとも2つの前記対象変換部を前記片オン状態に移行させることを繰り返すことにより、前記電力変換部を前記片オン状態に断続的に繰り返し移行させる断続処理を少なくとも2つの前記対象変換部について並行して行う対象断続部(S507)と、
を備えている電力変換システム。 - 前記対象断続部は、前記少なくとも2つの電力変換部が前記片オン状態に移行している期間が互いにずれるように、前記断続処理を前記少なくとも2つの電力変換部について並行して行う、請求項11に記載の電力変換システム。
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