以下、低コストで効率よく購買者による商品登録を支援できる商品登録支援装置の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施形態は、購買者が商品棚に陳列されている商品の中から買い上げる商品を手に取ってカート又は買物カゴ等の収容体に収容する。そして買物を終えると、購買者は、POS端末が設置されている会計場に行って買上商品の代金を支払う、という会計方式の店舗に適用した場合である。
[第1の実施形態]
始めに、第1の実施形態を、図1乃至図11を用いて説明する。
図1は、第1の実施形態における商品登録支援装置10の要部回路構成を示すブロック図である。商品登録支援装置10は、購買者が身に付けて持ち歩くことができるウェアラブルコンピュータである。具体的には商品登録支援装置10は、腕時計型をなしており、購買者の手首に付けられる。
商品登録支援装置10は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、無線ユニット14、ディスプレイ15、LED(Light Emitting Diode)回路16、無線タグリーダ17及びシステム伝送路18を備える。システム伝送路18は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。商品登録支援装置10では、システム伝送路18に、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、無線ユニット14、ディスプレイ15、LED回路16及び無線タグリーダ17を接続する。商品登録支援装置10では、プロセッサ11、メインメモリ12及び補助記憶デバイス13と、これらを接続するシステム伝送路18とによってコンピュータを構成する。
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、商品登録支援装置10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス13となり得る。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス13は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
無線ユニット14は、ワイファイ(登録商標)等の標準規格を採用した無線LAN(Local Area Network)によりPOS端末20とデータ通信を行う。POS端末20は、通常、店舗の会計場に設置されている。会計担当の店員いわゆるキャッシャは、POS端末20を操作して、客が買い上げる商品の売上登録を行い、さらに会計処理を行うことで、その客との商取引を決済する。無線ユニット14は、POS端末20と直接、データ通信を行ってもよい。無線ユニット14は、基地局を介してPOS端末20とデータ通信を行ってもよい。無線ユニット14は、基地局に接続されたサーバを介してPOS端末20とデータ通信を行ってもよい。無線ユニット14は、POS端末20以外の電子機器と無線通信を行ってもよい。
ディスプレイ15は、商品登録支援装置10の表示デバイスである。ディスプレイ15は、商品名、価格等を表示可能なものである。ディスプレイ15としては、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。ディスプレイ15は、タッチパネルの機能を有していてもよい。
LED回路16は、第1LED161と第2LED162との点灯及び消灯を制御する。第1LED161と第2LED162とは、発光色が異なる。発光色は、特に限定されない。例えば第1LEDを赤色LEDとし、第2LEDを黄緑LEDとしてもよい。他の色のLEDを第1LED161又は第2LED162として使用してもよい。LED回路16が制御するLEDは、2つに限定されない。LED回路16は、1つだけ、あるいは3つ以上のLEDの点灯及び消灯を制御してもよい。
無線タグリーダ17は、無線タグ30との間の非接触無線通信により無線タグ30が有するIC(Integrated Circuit)メモリのデータを読み取るものである。無線タグリーダ17はアンテナを備えており、このアンテナが無線タグ30のアンテナに20cm程度まで近接すると、この無線タグ30のデータを電磁誘導方式により読み取る。
無線タグ30は、電磁波を発信する発信機の一種であり、ID(Radio Frequency Identification)、電子タグ、ICタグ等とも称される。本実施形態では、用途に応じて無線タグ30に固有の名称を付す。すなわち本実施形態では、入店タグ31、POSタグ32、棚札タグ33、購入タグ34及び返品タグ35を使用する。
入店タグ31は、店舗の入口付近に設けられる。入店タグ31は、購買者が入店したことを表すデータを含む電磁波を発信する。データの内容は特に限定されるものではない。要は、無線タグリーダ17を介して入店タグ31のデータを読み取った商品登録支援装置10のプロセッサ11が、入店タグ31のデータであることを特定できればよい。入店タグ31の取付け場所は、好ましくは商品登録支援装置10を身に付けた購買者が、店舗入口付近に置かれたカート又は買物カゴを取り出すという行為により、無線タグリーダ17が入店タグ31のデータを読み取れる場所が良い。入店タグ31の取付け場所は、購買者がカート又は買物カゴを取り出すという行為の際に、身に付けた商品登録支援装置10を入店タグ31に近づけることで、無線タグリーダ17がその入店タグ31のデータを読み取れる場所であってもよい。
POSタグ32は、POS端末20毎に設けられる。POSタグ32は、POS端末20を識別するための識別情報を含む電磁波を発信する。以下、この種の識別情報をPOSIDと称する。POSIDは、POS端末20毎に異なる。POSIDのデータ構造は特に限定されるものではない。要は、無線タグリーダ17を介してPOSタグ32のデータを読み取った商品登録支援装置10のプロセッサ11が、POS端末20を識別できればよい。POSタグ32の取付け場所は、好ましくは商品登録支援装置10を身に付けた購買者が決済のために会計場に着いたことで、無線タグリーダ17がPOSタグ32のデータを読み取れる場所が良い。POSタグ32の取付け場所は、購買者が会計場に着いた際に身に付けた商品登録支援装置10をPOSタグ32に近づけることで、無線タグリーダ17がPOSタグ32のデータを読み取れる場所であってもよい。
棚札タグ33は、図2に示すように、商品を陳列する商品棚40の各区画41にそれぞれ設けられた棚札42毎に設けられる。商品棚40は、仕切り板43によって複数の区画41に区分けされている。各区画41には、それぞれ1品目の商品が陳列される。すなわち区画41は、商品の陳列場所である。棚札42は、その棚札42が設けられた区画41に陳列されている商品の商品名、価格等を表示する。棚札42は、好ましくは電子棚札である。棚札42は、紙ラベルタイプのものであってもよい。なお、隣り合う区画に陳列されている商品どうしが混ざることが無ければ、仕切り板43は無くてもよい。
棚札タグ33は、対応する区画41に陳列されている商品に係るデータを含む電磁波を発信する。データは、商品の識別情報、商品名及び価格を含む。以下、商品の識別情報を商品IDと称する。商品IDは、商品の品目毎に異なる。商品IDのデータ構造は特に限定されるものではない。要は、無線タグリーダ17を介して棚札タグ33のデータを読み取った商品登録支援装置10のプロセッサ11が、商品を識別できればよい。棚札タグ33の取付け場所は、好ましくは購買者が区画41から商品を取り出すために商品棚40に手を伸ばすという行為により、無線タグリーダ17が棚札タグ33のデータを読み取れる場所が良い。棚札タグ33の取付け場所は、購買者が区画41から商品を取り出す際に身に付けている商品登録支援装置10を近づけることで、無線タグリーダ17が棚札タグ33のデータを読み取れる場所であってもよい。
購入タグ34及び返品タグ35は、図3に示すように買物カゴ50に設けられる。買物カゴ50は、購買者が購入する商品を収容して運搬するための収容体として機能する。購入タグ34は、買物カゴ50に収容される商品が購入品であることを表すデータを含む電磁波を発信する。データの内容は特に限定されるものではない。要は、無線タグリーダ17を介して購入タグ34のデータを読み取った商品登録支援装置10のプロセッサ11が、購入タグ34のデータであることを特定できればよい。返品タグ35は、買物カゴ50から取り出された商品が返品であることを表すデータを含む電波を発信する。データの内容は特に限定されるものではない。要は、無線タグリーダ17を介して返品タグ35のデータを読み取った商品登録支援装置10のプロセッサ11が、返品タグ35のデータであることを特定できればよい。
購入タグ34は、図3では、買物カゴ50を形成する4つの側面51,52,53,54のうち1つの側面51の外側に設けられている。返品タグ35は、上記側面51と対向する側面53の外側に設けられている。購入タグ34及び返品タグ35の取付け場所は、図3に例示する場所に限定されるものではない。購入タグ34の取付け場所は、好ましくは商品登録支援装置10を身に付けた購買者が、商品棚40から取り出した商品を買物カゴ50に入れるという行為により、無線タグリーダ17が購入タグ34のデータを読み取れる場所が良い。購入タグ34の取付け場所は、購買者が商品を買物カゴ50に入れる際に、身に付けた商品登録支援装置10を近づけることで、無線タグリーダ17が購入タグ34のデータを読み取れる場所であってもよい。返品タグ35の取付け場所は、好ましくは商品登録支援装置10を身に付けた購買者が、買物カゴ50から商品を取り出すという行為により、無線タグリーダ17が返品タグ35のデータを読み取れる場所が良い。返品タグ35の取付け場所は、購買者が商品を買物カゴ50から取り出す際に、身に付けた商品登録支援装置10を近づけることで、無線タグリーダ17が返品タグ35のデータを読み取れる場所であってもよい。
ここに、棚札タグ33は、第1発信機として機能する。購入タグ34は、第2発信機として機能する。返品タグ35は、第3発信機として機能する。無線タグリーダ17は、受信機として機能する。
図4は、購買者が腕時計型の商品登録支援装置10を身に付けた例を示す模式図である。商品登録支援装置10は、薄型で長方形状の筐体100と、この筐体100の一対の短辺にそれぞれ取り付けられたベルト101とで形成される。購買者は、手首60の近くにベルト101を巻き付けることで商品登録支援装置10を身に付けることができる。
筐体100には、前述したプロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、無線ユニット14、ディスプレイ15、LED回路16、無線タグリーダ17等が実装されている。そして筐体100の表面に、ディスプレイ15の画面151と第1LED161と第2LED162とが配置されている。ディスプレイ15の画面151と第1LED161と第2LED162との位置関係は、図4に例示する場所に限定されるものではない。要は、商品登録支援装置10を身に付けた購買者が表示内容を容易に確認できる場所であればよい。
さて、商品登録支援装置10は、低コストで効率よく購買者による商品登録を支援できるようにするために、図5に示すように、バッファメモリ71、ステータスメモリ72及び購入品メモリ73を、メインメモリ12の揮発性領域に形成している。バッファメモリ71は、無線タグリーダ17を介して無線タグ30から読み取ったデータを一時的に記憶するための領域である。ステータスメモリ72は、購買者の状態を表すステータスデータSTを記憶するための領域である。ステータスデータSTには、入店前を表す“0”、買物中を表す“1”、購入を表す“2”、返品を表す“3”がある。購入品メモリ73は、商品ID、商品名、価格等の購入品データを複数記憶することができる。すなわち購入品メモリ73は、購入品データのリストを記憶する領域である。
プロセッサ11は、商品登録支援プログラムに従って情報処理を実行する際に、バッファメモリ71、ステータスメモリ72及び購入品メモリ73を使用する。商品登録支援プログラムは、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されたアプリケーションプログラムの一種である。
図6乃至図11は、プロセッサ11が商品登録支援プログラムに従って実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。以下、図6乃至図11の流れ図を用いて、商品登録支援装置10の主要な動作について説明する。なお、以下に説明する動作は一例である。同様な結果を得ることが可能であればその動作の手順及び内容は特に限定されるものではない。
プロセッサ11は、Act1として無線タグ30のデータが読み取られたか否かを確認する。無線タグ30のデータが読み取られていない場合、プロセッサ11は、Act1においてNOと判定し、Act1へと戻る。すなわちプロセッサ11は、無線タグ30のデータが読み取られるのを待ち続ける。
無線タグリーダ17を介して無線タグ30のデータが読み取られると、プロセッサ11は、Act1においてYESと判定し、Act2へと進む。プロセッサ11は、Act2として無線タグ30のデータを解析する。そしてプロセッサ11は、Act3として解析したデータが入店タグ31のデータであるか否かを確認する。入店タグ31のデータでない場合、プロセッサ11は、Act3においてNOと判定し、Act4へと進む。プロセッサ11は、Act4として解析したデータが棚札タグ33のデータであるか否かを確認する。棚札タグ33のデータでない場合、プロセッサ11は、Act4においてNOと判定し、Act5へと進む。プロセッサ11は、Act5として解析したデータが購入タグ34のデータであるか否かを確認する。購入タグ34のデータでない場合、プロセッサ11は、Act5においてNOと判定し、Act6へと進む。プロセッサ11は、Act6として解析したデータが返品タグ35のデータであるか否かを確認する。返品タグ35のデータでない場合、プロセッサ11は、Act6においてNOと判定し、Act7へと進む。プロセッサ11は、Act7として解析したデータがPOSタグ32のデータであるか否かを確認する。POSタグ32のデータでない場合、プロセッサ11は、Act7においてNOと判定し、Act1へと戻る。すなわちプロセッサ11は、入店タグ31、棚札タグ33、購入タグ34、返品タグ35、POSタグ32以外の無線タグ30のデータを読み取った場合には、解析したデータを破棄して、再び無線タグのデータが読み取られるのを待ち続ける。
来店した購買者は、図4に示すように手首付近に商品登録支援装置10を付ける。商品登録支援装置10は、店舗が購買者に貸し出してもよいし、販売してもよい。商品登録支援装置10を身に付けた購買者は、店舗入口付近に積まれた買物カゴ50の山から買物カゴ50を取り出す。このような購買者の行為において、商品登録支援装置10は、無線タグリーダ17で入店タグ31のデータを読み取る。
入店タグ31のデータが読み取られると、プロセッサ11は、Act3においてYESと判定し、図7のAct11へと進む。プロセッサ11は、Act11としてステータスメモリ72に記述されているステータスSTが入店前を表す“0”であるか否かを確認する。ステータスSTが“0”の場合、プロセッサ11は、Act12として初期化を行う。この初期化により、バッファメモリ71と購入品メモリ73の領域がクリアされる。
プロセッサ11は、Act13として買物開始の表示を制御する。例えばプロセッサ11は、第1LED161と第2LED162とが交互に複数回点滅動作するようにLED回路16を制御する。例えばプロセッサ11は、画面151に購買者に対して買物開始を指示するガイダンスが表示されるようにディスプレイ15を制御する。プロセッサ11は、Act14としてステータスSTを、買物中を表す“1”に変更する。その後、プロセッサ11は、Act1へと戻り、無線タグ30が読み取られるのを待ち続ける。
プロセッサ11は、Act11においてステータスSTが入店前を表す“0”でなかった場合にはNOと判定し、Act12乃至Act14の処理をスキップする。プロセッサ11は、Act1へと戻り、無線タグ30が読み取られるのを待ち続ける。
このように、無線タグリーダ17で入店タグ31のデータが読み取られると、商品登録支援装置10では購買者に買物開始を指示する表示がなされる。したがって、表示を確認した購買者は、買物カゴ50を持って買物を開始する。このとき購買者は、買物カゴ50を手に持って買物を開始してもよいし、カートに買物カゴ50を載せて買物を開始してもよい。
買物を開始した購買者は、購入する商品を1点ずつ商品棚40から取り出して買物カゴ50に入れていく。このとき購買者は、商品登録支援装置10を付けた手を伸ばして、商品の陳列場所である区画41から商品を取り出す。このような購買者の行為において、商品登録支援装置10は、無線タグリーダ17でその区画41に設けられた棚札42から棚札タグ33のデータを読み取る。
棚札タグ33のデータが読み取られると、プロセッサ11は、Act4においてYESと判定し、図8のAct21へと進む。プロセッサ11は、Act21としてステータスメモリ72に記述されているステータスSTが買物中を表す“1”であるか否かを確認する。ステータスSTが“1”の場合、プロセッサ11は、Act22として無線タグリーダ17で読み取られた棚札タグ33のデータをバッファメモリ71に格納する。棚札タグ33のデータは、その棚札タグ33が取り付けられた棚札42に表示されている商品の商品ID、商品名及び価格を含む。
プロセッサ11は、Act23として購入モードの表示を制御する。例えばプロセッサ11は、第1LED161が点灯するようにLED回路16を制御する。プロセッサ11は、Act24としてステータスSTを、購入を表す“2”に変更する。その後、プロセッサ11は、Act1へと戻り、無線タグ30が読み取られるのを待ち続ける。
なお、プロセッサ11は、Act21においてステータスSTが買物中を表す“1”でなかった場合にはNOと判定し、Act31へと進む。Act31以降の処理ついては、後述する。
区画41から商品を取り出した購買者は、第1LED161が点灯したことを確認する。第1LED161が点灯していない場合、購買者は、商品登録支援装置10を棚札42に近づけて、無線タグリーダ17で棚札タグ33のデータを読み取らせる。
第1LED161が点灯したことを確認した購買者は、手にした商品を買物カゴ50に入れる。その際、購買者は、商品登録支援装置10を購入タグ34に近づけてから、商品を買物カゴ50に入れる。このような購買者の行為において、商品登録支援装置10は、無線タグリーダ17で買物カゴ50から購入タグ34のデータを読み取る。
購入タグ34のデータが読み取られると、プロセッサ11は、Act5においてYESと判定し、図9のAct41へと進む。プロセッサ11は、Act41としてステータスメモリ72に記述されているステータスSTが購入を表す“2”であるか否かを確認する。ステータスSTが購入を表す“2”である場合、プロセッサ11は、Act41においてYESと判定し、Act42へと進む。プロセッサ11は、Act42としてバッファメモリ71に記述されている棚札タグ33のデータを購入品メモリ73に記述する。すなわちプロセッサ11は、商品ID、商品名及び価格からなる購入品データを購入品メモリ73に追加する。プロセッサ11は、Act43としてバッファメモリ71をクリアする。
プロセッサ11は、Act44として購入品メモリ73に追加した購入品データの商品名と価格とが画面151に表示されるようにディスプレイ15を制御する。この制御により、画面151には、買物カゴ50に入れた商品の商品名と価格とが表示される。プロセッサ11は、Act45として購入モードの表示が消去されるように制御する。この制御により、第1LED161が消灯する。
プロセッサ11は、Act46としてステータスSTを、買物中を表す“1”に変更する。その後、プロセッサ11は、Act1へと戻り、無線タグ30が読み取られるのを待ち続ける。
プロセッサ11は、Act41においてステータスSTが購入を表す“2”でなかった場合にはNOと判定し、Act42乃至Act45の処理をスキップする。プロセッサ11は、Act1へと戻り、無線タグ30が読み取られるのを待ち続ける。
このようにプロセッサ11は、Act1、Act2、Act4、Act21及びAct22の処理を実行することにより、無線タグリーダ17で受信した電磁波から、当該電磁波を発信した棚札タグ33が設けられた商品棚40の区画41に陳列されている商品の商品IDを取得する。ここにプロセッサ11を主体とするコンピュータは、取得手段として機能する。
またプロセッサ11は、Act24、Act1、Act2、Act5及びAct41の処理を実行することにより、購買者が区画41から商品を取り出し、その商品を買物カゴ50に収容するという第1の行為を検出する。具体的にはプロセッサ11は、無線タグリーダ17が棚札タグ33から発信される電磁波を受信した後で購入タグ34から発信される電磁波を受信したことに応じて第1の行為を検出する。ここにプロセッサ11を主体とするコンピュータは、第1検出手段として機能する。
またプロセッサ11は、Act42の処理を実行することにより、上記第1検出手段により第1の行為が検出された場合に、上記取得手段で取得した商品IDで識別される商品の商品ID、商品名及び価格を含む購入品データを購入品メモリ73に追加する。ここにプロセッサ11を主体とするコンピュータは、追加手段として機能する。
購買者は、購入する商品を見つける毎に、第1の行為を繰り返す。ところで、一旦は買物カゴ50に入れた商品を買物の途中で購買者が商品棚40に戻すことがある。このような場合、購買者は、商品登録支援装置10を付けた手で返品する商品を買物カゴ50から取出す。そして購買者は、商品登録支援装置10を買物カゴ50の返品タグ35に近づける。このような購買者の行為において、商品登録支援装置10は、無線タグリーダ17で返品タグ35のデータを読み取る。
返品タグ35のデータが読み取られると、プロセッサ11は、Act6においてYESと判定し、図10のAct51へと進む。プロセッサ11は、Act51としてステータスメモリ72に記述されているステータスSTが買物を表す“1”であるか否かを確認する。ステータスSTが買物を表す“1”である場合、プロセッサ11は、Act51においてYESと判定し、Act52へと進む。プロセッサ11は、Act52として購入品メモリ73に購入品データが記憶されているか否かを確認する。
購入品メモリ73に購入品データが記憶されている場合、プロセッサ11は、Act52においてYESと判定し、Act53へと進む。プロセッサ11は、Act53として返品モードの表示を制御する。例えばプロセッサ11は、第2LED162が点灯するようにLED回路16を制御する。プロセッサ11は、Act54としてステータスSTを、返品を表す“3”に変更する。その後、プロセッサ11は、Act1へと戻り、無線タグ30が読み取られるのを待ち続ける。
なお、プロセッサ11は、Act51においてステータスSTが買物中を表す“1”でなかった場合にはNOと判定し、Act52乃至Act53の処理をスキップして、Act1へと戻る。またプロセッサ11は、Act52において購入品メモリ73に購入品データが記憶されていない場合には、Act53及びAct53の処理をスキップして、Act1へと戻る。
返品する商品を買物カゴ50から取り出した購買者は、第2LED162が点灯したことを確認する。第2LED162が点灯していない場合、購買者は、商品登録支援装置10を返品タグ35に近づけて、無線タグリーダ17で返品タグ35のデータを読み取らせる。
第2LED162が点灯したことを確認した購買者は、商品棚40へと手を伸ばして、該当する区画41に商品を戻す。このような購買者の行為において、商品登録支援装置10の無線タグリーダ17は、その区画41に設けられた棚札42の棚札タグ33のデータを読み取る。
棚札タグ33のデータが読み取られると、プロセッサ11は、Act4においてYESと判定し、図8のAct21へと進む。プロセッサ11は、Act21としてステータスメモリ72に記述されているステータスSTが買物中を表す“1”であるか否かを確認する。このときステータスSTは、返品を表す“3”となっている。したがってプロセッサ11は、Act21においてNOと判定し、Act31へと進む。プロセッサ11は、Act31としてステータスメモリ72に記述されているステータスSTが返品を表す“3”であるか否かを確認する。
ステータスSTが“3”である場合、プロセッサ11は、Act31においてYESと判定し、Act32へと進む。プロセッサ11は、Act32として無線タグリーダ17によって読み取られた棚札タグ33のデータをバッファメモリ71に格納する。棚札タグ33のデータは、その棚札タグ33が取り付けられた棚札42に商品名及び価格が表示されている商品の商品IDと商品名と価格とを含むものである。
プロセッサ11は、Act33としてバッファメモリ71に格納されたデータで購入品メモリ73を検索する。プロセッサ11は、Act34として購入品メモリ73の中に、バッファメモリ71に格納されたデータと商品ID、商品名及び価格が一致する購入品データが存在するか否かを確認する。
一致する購入品データが存在する場合、プロセッサ11は、Act34においてYESと判定し、Act35へと進む。プロセッサ11は、Act35として購入品メモリ73から商品ID、商品名及び価格が一致する購入品データを削除する。プロセッサ11は、Act36として返品商品の商品名が画面151に表示されるようにディスプレイ15を制御する。この制御により、画面151には、買物カゴ50から商品棚40に戻された商品の商品名が表示される。プロセッサ11は、Act37として返品モードの表示が消去されるように制御する。この制御により、第2LED162が消灯する。
プロセッサ11は、Act38としてステータスSTを、買物中を表す“1”に変更する。またプロセッサ11は、Act39としてバッファメモリ71をクリアする。その後、プロセッサ11は、Act1へと戻り、無線タグ30が読み取られるのを待ち続ける。
なお、プロセッサ11は、Act34において一致する購入品データが存在しない場合には、Act34においてNOと判定し、Act35乃至Act38の処理をスキップして、Act39へと進む。プロセッサ11は、Act39としてバッファメモリ71をクリアして、Act1へと戻る。またAct31においてステータスSTが返品を表す“3”でなかった場合にはNOと判定し、Act1へと戻る。
このようにプロセッサ11は、Act1、Act2、Act6、Act51、Act52、Act54の処理と、Act1、Act2、Act4、Act31の処理とを実行することにより、購買者が買物カゴ50に収容された商品を元の区画41に戻すという第2の行為を検出する。具体的にはプロセッサ11は、無線タグリーダ17が返品タグ35から発信される電磁波を受信した後で棚札タグ33から発信される電磁波を受信したことに応じて第2の行為を検出する。ここにプロセッサ11を主体とするコンピュータは、第2検出手段として機能する。
またプロセッサ11は、Act33乃至Act35の処理を実行することにより、上記第2検出手段により第2の行為が検出された場合に、前記取得手段で取得した棚札IDで識別される商品を購入品メモリ73から削除する。ここにプロセッサ11を主体とするコンピュータは、削除手段として機能する。
買物を終えた購買者は、決済のために会計場へ行く。そして購買者は、その会計場に設置されているPOS端末20に対応したPOSタグ32に商品登録支援装置10を近づける。購買者のこのような行為により、商品登録支援装置10は、無線タグリーダ17でPOSタグ32のデータを読み取る。
POSタグ32のデータが読み取られると、プロセッサ11は、Act7においてYESと判定し、図11のAct61へと進む。プロセッサ11は、Act61としてステータスメモリ72に記述されているステータスSTが買物を表す“1”であるか否かを確認する。ステータスSTが“1”の場合、プロセッサ11は、Act62として購入品メモリ73に購入品データが記憶されているか否かを確認する。
購入品メモリ73に購入品データが記憶されている場合、プロセッサ11は、Act63として無線ユニット14に対してPOS端末20への接続要求を行う。この接続要求により、無線ユニット14は、POSタグ32のデータであるPOSIDで識別されるPOS端末20との無線回線を接続する。
プロセッサ11は、Act64としてPOS端末20との無線回線が接続されたか否かを確認する。無線回線が接続された場合、プロセッサ11は、Act64においてYESと判定し、Act65へと進む。プロセッサ11は、Act65として購入品メモリ73に記憶されている購入品データをPOS端末20へと送信するように無線ユニット14を制御する。この制御により、無線ユニット14は、購入品データをPOS端末20に宛てて無線送信する。
プロセッサ11は、Act66として購入品データを正常に送信し終えたか否かを確認する。正常に送信し終えた場合、プロセッサ11は、Act66としてYESと判定し、Act67へと進む。プロセッサ11は、Act67においてステータスSTを、入店前を表す“0”に変更する。その後、プロセッサ11は、Act1へと戻り、無線タグ30が読み取られるのを待ち続ける。
なお、購入品データを正常に送信し終えなかった場合には、プロセッサ11は、Act66においてNOと判定し、Act67の処理をスキップして、Act1へと戻る。POS端末20との回線接続に失敗した場合には、プロセッサ11は、Act64においてNOと判定し、Act65乃至Act67の処理をスキップして、Act1へと戻る。購入品メモリ73に購入品データが記憶されていない場合には、プロセッサ11は、Act62においてNOと判定し、Act63乃至Act67の処理をスキップして、Act1へと戻る。ステータスSTが“1”でなかった場合には、プロセッサ11は、Act61においてNOと判定し、Act62乃至Act67の処理をスキップして、Act1へと戻る。
このようにプロセッサ11は、Act1、Act2、Act7、Act61乃至Act65の処理を実行することにより、購入品メモリ73に記憶された購入品データをPOS端末20へと出力する。ここにプロセッサ11を主体とするコンピュータは、出力手段として機能する。
POS端末20においては、商品登録支援装置10から受信した購入品データが取引メモリに記憶される。また、購入品データに含まれる商品名、価格等のリストが、キャッシャ用のディスプレイに表示される。キャッシャは、リストと買物カゴ50に収容されている商品とを照合する。そして、リストと買物カゴ50内の商品とが一致する場合には、キャッシャが会計キーを操作する。会計キーが操作されると、POS端末20においては、取引メモリに記憶された購入品データに基づいて売上登録処理が実行される。
このように購買者は、手首付近に商品登録支援装置10を付けた手で商品棚40に陳列されている商品を取出し、買物カゴ50に収容するという必然の行為を行うだけで、その商品に係る購入品データが商品登録支援装置10の購入品メモリ73に記憶される。購入品メモリ73に記憶された購入品データは、POS端末20で行われる売上登録処理に用いられる。その上、商品棚40に陳列される商品の一つ一つに無線タグ30を取り付ける必要が無い。また、生鮮食品等のようにバーコードが付されていない商品であっても、商品リストの中から購入する商品を選択するというような煩雑な操作が不要である。したがって、低コストで効率よく購買者による商品登録を支援できる商品登録支援装置10を提供することができる。
また購買者は、商品棚40から商品を取り出す際にその商品に対応した棚札42の棚札タグ33に商品登録支援装置10を近づける。続いて、その商品を買物カゴ50に収容する際に、買物カゴ50に設けられた購入タグ34に商品登録支援装置10を近づける。このような行為を行うだけで、当該商品に係る購入品データが購入品メモリ73に記憶される。したがって、商品登録支援装置10以外は棚札タグ33、購入タグ34等の無線タグ30が有ればよいので、スーパーマーケット又はコンビニエンスストア等の店舗で容易に導入することができる。
また購買者は、手首付近に商品登録支援装置10を付けた手で買物カゴ50から商品を取出し、商品棚40の元の区画41に戻すという行為を行うだけで、その商品に係る購入品データが商品登録支援装置10の購入品メモリ73から削除される。したがって、一旦は購入しようとした商品の購入を決済前に取り止める場合も、その商品を元の区画41に戻すという行為を行うだけでよいので、購買者の負担になることはない。
また購買者は、買物カゴ50から商品棚40に商品を戻す前に、その買物カゴ50に設けられた返品タグ35に商品登録支援装置10に近づける。続いて、その商品を商品棚40に戻す際に、棚札42の棚札タグ33に商品登録支援装置10を近づける。このような行為を行うだけで、当該商品に係る購入品データが購入品メモリ73から削除される。したがって、棚札タグ33及び購入タグ34に加えて返品タグ35を備えるだけで、決済前の返品にもセルフで対応できるようになる。
また購買者は、商品登録支援装置10を手首付近に付けるだけでよく、商品登録支援装置10に対する格別な操作も不要である。したがって、カート端末を利用して商品登録支援システムを構築する場合と比較して、購買者の負担は大幅に小さくなる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を、図12乃至図17を用いて説明する。なお、第1の実施形態と共通する部分には同一符号を付し、その詳しい説明は省略する。
図12は、第2の実施形態における商品登録支援装置10の要部回路構成を示すブロック図である。図1と対比すれば明らかなように、第1の実施形態と第2の実施形態とでは、商品登録支援装置10のハードウェア構成は共通である。第1の実施形態では無線ユニット14と無線回線が接続される無線通信機器をPOS端末20としたが、第2の実施形態ではカート端末80とする。また第1の実施形態では、無線タグリーダ17が読み取る無線タグ30としてPOSタグ32があったが、第2の実施形態では、POSタグ32の代わりにカートタグ36を使用する。
カート端末80は、ショッピングカートと称される台車に取り付けられる無線通信機器である。カート端末80は、商品登録支援装置10から無線送信される購入品データを受信し記憶部に記憶する機能と、記憶部に記憶した購入品データをPOS端末20に転送する機能とを有する。POS端末20へのデータ転送は、有線を利用してもよいし無線を利用してもよい。また、POS端末20に対して直接転送してもよいし、サーバを介して転送してもよい。例えばスマートフォン、タブレット端末等の周知の無線通信機器がカート端末80として用いられる。
カートタグ36は、カート端末80に設けられる。カートタグ36は、カート端末80を識別する識別情報を含む電磁波を発信する。以下、この種の識別情報をカートIDと称する。カートIDは、カート端末80毎に異なる。カートIDのデータ構造は特に限定されるものではない。要は、無線タグリーダ17を介してカートタグ36のデータを読み取った商品登録支援装置10のプロセッサ11が、カート端末80を識別できればよい。カートタグ36の取付け場所は、好ましくは商品登録支援装置10を身に付けた購買者がその商品登録支援装置10をカート端末80に近づけることで、無線タグリーダ17がカートタグ36のデータを読み取れる場所が良い。
図13は、カート端末80に設けられたカートタグ36の一例である。図示するように、カートタグ36は、カート端末80が有する表示デバイス81の画面と同じ面の一部に取り付けられている。
図14は、第2の実施形態において、購入品メモリ73に記憶されるデータの構造を示す模式図である。図示するように、第2の実施形態では、商品ID、商品名、価格等からなる購入品データに送信済フラグFが付加されている。送信済フラグFは、対応する購入品データがカート端末80に送信済であるか否かを識別する1ビットデータである。本実施形態では、未送信を表す送信済フラグFを“0”、送信済を表す送信済フラグFを“1”とする。送信済フラグFは、“0”と“1”とが逆であってもよい。
図15乃至図17は、第2の実施形態において、プロセッサ11が商品登録支援プログラムに従って実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。因みに、図15は第1の実施形態の図6と対応し、図16は第1の実施形態の図9に対応し、図17は第1の実施形態の図11に対応している。以下、図15乃至図17の流れ図を用いて、第2の実施形態における商品登録支援装置10の主要な動作について説明する。なお、以下に説明する動作は一例である。同様な結果を得ることが可能であればその動作の手順及び内容は特に限定されるものではない。
プロセッサ11は、Act1として無線タグ30のデータが読み取られるのを待ち続ける。無線タグリーダ17を介して無線タグ30のデータが読み取られると、プロセッサ11は、Act2として無線タグ30のデータを解析する。そして、Act3として解析したデータが入店タグ31のデータであった場合、プロセッサ11は、第1の実施形態と同様に図7に示す手順の処理を実行する。また、Act4として解析したデータが棚札タグ33のデータであった場合には、プロセッサ11は、第1の実施形態と同様に図8に示す手順の処理を実行する。また、Act6として解析したデータが返品タグ35のデータであった場合には、プロセッサ11は、第1の実施形態と同様に図10に示す手順の処理を実行する。
一方、Act5として解析したデータが購入タグ34のデータであった場合には、プロセッサ11は、Act5においてYESと判定し、図16のAct41へと進む。プロセッサ11は、Act41としてステータスメモリ72に記述されているステータスSTが購入を表す“2”であるか否かを確認する。ステータスSTが購入を表す“2”である場合、プロセッサ11は、Act42としてバッファメモリ71に記述されている棚札タグ33のデータ、すなわち商品ID、商品名及び価格からなる購入品データを購入品メモリ73に記述する。さらにプロセッサ11は、Act71としてその購入品データに、未送信“0”を示す送信済フラグFを付加する。その後、プロセッサ11は、Act43乃至Act46として第1の実施形態と同様の処理を実行する。
プロセッサ11は、Act6として解析したデータが返品タグ35のデータでなかった場合、Act6においてNOと判定し、Act8へと進む。プロセッサ11は、Act8として解析したデータがカートタグ36のデータであるか否かを確認する。解析したデータがカートタグ36のデータでない場合、プロセッサ11は、Act8においてNOと判定し、Act1へと戻る。
解析したデータがカートタグ36のデータであった場合には、プロセッサ11は、Act8においてYESと判定し、図17のAct61へと進む。プロセッサ11は、Act61としてステータスメモリ72に記述されているステータスSTが買物を表す“1”であるか否かを確認する。ステータスSTが“1”の場合、プロセッサ11は、Act62として購入品メモリ73に購入品データが記憶されているか否かを確認する。
購入品メモリ73に購入品データが記憶されている場合、プロセッサ11は、Act81として無線ユニット14に対してカート端末80への接続要求を行う。この接続要求により、無線ユニット14は、カートタグ36のデータであるカートIDで識別されるカート端末80との無線回線を接続する。
プロセッサ11は、Act82としてカート端末80との無線回線が接続されたか否かを確認する。無線回線が接続された場合、プロセッサ11は、Act82においてYESと判定し、Act83へと進む。プロセッサ11は、Act83として購入品メモリ73に記憶されている購入品データの中から、送信済フラグFが未送信“0”に設定されている購入品データを取得する。
プロセッサ11は、Act84として送信済フラグFが未送信“0”に設定されている購入品データの有無を確認する。該当する購入品データが有る場合、プロセッサ11は、Act84においてYESと判定し、Act85へと進む。プロセッサ11は、Act85として該当する購入品データをカート端末80へと送信するように無線ユニット14を制御する。この制御により、無線ユニット14は、送信済フラグFが未送信“0”に設定されている購入品データをカート端末80に宛てて無線送信する。
プロセッサ11は、Act86として購入品データを正常に送信し終えたか否かを確認する。正常に送信し終えた場合、プロセッサ11は、Act86としてYESと判定し、Act87へと進む。プロセッサ11は、Act87として購入品メモリ73に記憶されている購入品データに付加されている送信済フラグFを全て送信済“1”に変更する。またプロセッサ11は、Act67としてステータスSTを、入店前を表す“0”に変更する。その後、プロセッサ11は、Act1へと戻り、無線タグ30が読み取られるのを待ち続ける。
なお、購入品データを正常に送信し終えなかった場合には、プロセッサ11は、Act86においてNOと判定し、Act87及びAct67の処理をスキップして、Act1へと戻る。送信済フラグFが未送信“0”に設定されている購入品データが無い場合には、プロセッサ11は、Act84においてNOと判定し、Act85乃至Act87及びAct67の処理をスキップして、Act1へと戻る。カート端末80との回線接続に失敗した場合には、プロセッサ11は、Act82においてNOと判定し、Act83乃至Act87及びAct67の処理をスキップして、Act1へと戻る。購入品メモリ73に購入品データが記憶されていない場合には、プロセッサ11は、Act62においてNOと判定し、Act81乃至Act87及びAct67の処理をスキップして、Act1へと戻る。ステータスSTが“1”でなかった場合には、プロセッサ11は、Act61においてNOと判定し、Act62、Act81乃至Act87及びAct67の処理をスキップして、Act1へと戻る。
第2の実施形態においても、来店した購買者は、図4に示すように手首付近に商品登録支援装置10を付ける。商品登録支援装置10を身に付けた購買者は、店舗入口付近に積まれた買物カゴ50の山から買物カゴ50を取り出す。このような購買者の行為において、商品登録支援装置10は、無線タグリーダ17で入店タグ31のデータを読み取る。
無線タグリーダ17で入店タグ31のデータが読み取られると、商品登録支援装置10では購買者に買物開始を指示する表示がなされる。したがって、表示を確認した購買者は、買物カゴ50を持って買物を開始する。このとき購買者は、カート端末80が取り付けられたカートに買物カゴ50を載せて買物を開始する。
買物を開始した購買者は、第1の実施形態と同様にして、購入する商品を1点ずつ商品棚40から取り出して買物カゴ50に入れていく。また購買者は、第1の実施形態と同様にして、決済前に返品する商品を買物カゴ50から取り出して、元の商品棚40へと戻す。このような購買者の行為により、購入品メモリ73には、買物カゴ50に入っている商品の購入品データが記憶される。
ここで、例えば買物の途中で合計金額を確認したい場合、購買者は、商品登録支援装置10をカート端末80に取り付けられたカートタグ36に近づける。そうすると、無線タグリーダ17によってカートタグ36のデータが読み取られる。そして、購入品メモリ73内の購入品データが、カートタグ36のデータで識別されるカート端末80に無線送信される。その結果、例えば図13に示すように、カート端末80の表示デバイス81に、現時点までの購入品の商品名、点数及び価格のリスト画像と、合計点数及び合計金額とが表示される。したがって購買者は、買物の途中で商品登録支援装置10をカートタグ36に近づけるだけで、現時点の合計金額を容易に確認することができる。
さて、買物を終えた購買者は、上記と同様に商品登録支援装置10をカート端末80に取り付けられたカートタグ36に近づける。そうすると、カート端末80にまだ送信されていない購入品データがカート端末80に無線送信される。したがって、カート端末80には、最終的に購入品メモリ73に記憶されている購入品データが保存される。
カート端末80に保存された購入品データは、POS端末20に転送される。POS端末20においては、第1の実施形態と同様に、購入品データを基に商品の売上登録処理が実行される。
このような構成の第2の実施形態においても、低コストで効率よく購買者による商品登録を支援できる商品登録支援装置10を提供することができる。
[変形例]
以下、各実施形態の変形例について説明する。
各実施形態では、商品登録支援装置10を腕時計型とし、購買者の手首付近に付ける場合を例示した。商品登録支援装置10は、購買者の肩から指先までの上肢に取り付けられ、購買者による第1の行為及び第2の行為を検出できればよい。例えば商品登録支援装置10を指輪型とし、購買者の手指に付けることも可能である。
各実施形態では、買物カゴ50に購入タグ34及び返品タグ35を設け、商品登録支援装置10の無線タグリーダ17で、購入タグ34又は返品タグ35のデータを読み取ることにより、購買者による第1の行為及び第2の行為を検出するようにした。第1の行為及び第2の行為を検出する手段はこれに限定されるものではない。例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、筋電位センサ等のモーションセンサを内蔵したリストバンド型の商品登録支援装置10を開発し、モーションセンサの情報から、購買者による第1の行為及び第2の行為を検出してもよい。
各実施形態では、購買者が一人の場合を例示した。たとえば家族連れの場合には、家族全員が商品登録支援装置10を身に付ける。そして、会計の際には、全員の商品登録支援装置10の購入品メモリ73に記憶された購入品データをPOS端末20に順次送信する。POS端末20は、各商品登録支援装置10から受信した購入品データを基に売上登録処理を実行する。こうすることにより、たとえば家族連れにも対処できるようになる。なお、商品登録支援装置10とPOS端末20との間にサーバを設け、サーバで購入品データをまとめてからPOS端末20に送信するようにしてもよい。
各実施形態では、無線タグ30によって発信機を構成した。発信機は、無線タグに限定されるものではない。陳列されている商品の識別情報を近距離無線通信によって発信できる発信機であればよい。
第2の実施形態では、購入品データに送信済フラグFを付加し、当該フラグFが未送信の購入品データをカート端末80に送信する場合を例示した。この点に関しては、カート端末80が商品登録支援装置10から送られてくる購入品データを上書き保存することによって、Act85では購入品メモリ73の購入品データを全てカート端末80に送信するようにしてもよい。この場合、送信済フラグFは不要となる。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]商品が陳列されている陳列場所に設けられた第1発信機から発信される電磁波を受信する受信機と、前記受信機で受信した電磁波から、当該電磁波を発信した前記第1発信機が設けられた前記陳列場所に陳列されている商品の識別情報を取得する取得手段と、購買者が前記陳列場所から商品を取り出し、その商品を収容体に収容するという第1の行為を検出する第1検出手段と、前記第1検出手段により前記第1の行為が検出された場合に、前記取得手段で取得した前記識別情報で識別される商品をリストに追加する追加手段と、前記リストを出力する出力手段と、を具備する商品登録支援装置。
[2]前記受信機は、前記収容体に設けられた第2発信機から発信される電磁波を受信可能であり、前記第1検出手段は、前記受信機が前記第1発信機から発信される電磁波を受信した後で前記第2発信機から発信される電磁波を受信したことに応じて前記第1の行為を検出する付記[1]記載の商品登録支援装置。
[3]前記購買者が前記収容体に収容された商品を前記陳列場所に戻すという第2の行為を検出する第2検出手段と、前記第2検出手段により前記第2の行為が検出された場合に、前記取得手段で取得した前記識別情報で識別される商品を前記リストから削除する削除手段、をさらに具備する付記[1]又は[2]記載の商品登録支援装置。
[4]前記受信機は、前記収容体に設けられた第3発信機から発信される電波を受信可能であり、前記第2検出手段は、前記受信機が前記第3発信機から発信される電磁波を受信した後で前記第1発信機から発信される電磁波を受信したことに応じて前記第2の行為を検出する付記[3]記載の商品登録支援装置。
[5]購買者の上肢に装着される、付記[1]乃至[4]のうちいずれか1項記載の商品登録支援装置。
[6]商品が陳列されている陳列場所に設けられた第1発信機から発信される電磁波を受信する受信機を備えたコンピュータを、前記受信機で受信した電磁波から、当該電磁波を発信した前記第1発信機が設けられた前記陳列場所に陳列されている商品の識別情報を取得する取得手段、購買者が前記陳列場所から商品を取り出し、その商品を収容体に収容するという第1の行為を検出する第1検出手段、前記第1検出手段により前記第1の行為が検出された場合に、前記取得手段で取得した前記識別情報で識別される商品をリストに追加する追加手段、前記リストを出力する出力手段として機能させるためのプログラム。