以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳しく説明する。
図1Aは、本開示の一実施形態に係る電子装置の全体斜視図である。図1Bは、本開示の一実施形態に係る、エアロゾル生成基材を保持した状態の電子装置の全体斜視図である。本実施形態において、電子装置10は、例えば、エアロゾル源及び香味源を含む充填物などの香味発生基材を有する、喫煙物品などのエアロゾル生成基材を加熱することによって、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。以下、図1Aから図3に関連する実施形態においては、喫煙物品110がエアロゾル生成基材として用いられる。
当業者に理解されるように、喫煙物品110はエアロゾル生成基材の一例にすぎない。エアロゾル生成基材に含まれるエアロゾル源は固体であってもよいし、液体であってもよい。エアロゾル源は、例えば、グリセリン、プロピレングリコールといった多価アルコールや、水などの液体であってもよい。エアロゾル源は、加熱することによって香喫味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含んでいてもよい。電子装置10がネブライザーなどの医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、患者が吸入するための薬剤を含んでもよい。用途によっては、エアロゾル生成基材は香味源を含まなくてもよい。
図1A及び図1Bに示すように、電子装置10は、トップハウジング11Aと、ボトムハウジング11Bと、カバー12と、スイッチ13と、蓋部14とを有する。トップハウジング11A及びボトムハウジング11Bは、互いに接続されることで、電子装置10の最外のハウジング11を構成する。ハウジング11は、使用者の手に収まるようなサイズであってもよい。この場合、使用者が電子装置10を使用するときに、使用者は電子装置10を手で保持して、エアロゾルを吸引することができる。
トップハウジング11Aは、開口(図示せず)を有し、カバー12は当該開口を閉じるようにトップハウジング11Aに結合される。図1Bに示すように、カバー12は、喫煙物品110を挿入可能な開口12aを有する。蓋部14は、カバー12の開口12aを開閉するように構成される。具体的には、蓋部14は、カバー12に取り付けられ、開口12aを閉じる第1位置と開口12aを開放する第2位置との間を、カバー12の表面に沿って移動可能に構成される。
スイッチ13は、電子装置10の作動のオンとオフを切り替えるために使用される。例えば、使用者は、図1Bに示すように喫煙物品110を開口12aに挿入した状態でスイッチ13を操作することにより、バッテリ(図示せず)から加熱部(図示せず)に電力を供給し、喫煙物品110を燃焼させずに加熱することができる。喫煙物品110が加熱されると、喫煙物品110に含まれるエアロゾル源からエアロゾルが発生し、香味源の香味が当該エアロゾルに取り込まれる。使用者は、電子装置10から突出した喫煙物品110の部分(図1Bにおいて図示された部分)を吸引することにより、香味を含むエアロゾルを吸引することができる。なお、本明細書において、喫煙物品110などのエアロゾル生成基材が開口12aに挿入される方向を、電子装置10の長手方向と呼ぶ。
図1A及び図1Bに示される電子装置10の構成は、本開示に係る電子装置の構成の一例にすぎない。本開示に係る電子装置は、エアロゾル源を含むエアロゾル生成基材を加熱することによってエアロゾルを生成することができ、生成されたエアロゾル源を使用者が吸引することができるような、様々な形態で構成することができる。
次に、本実施形態に係る電子装置10に使用されるエアロゾル生成基材の一例として、喫煙物品110の構成について説明する。図2は、喫煙物品110の断面図である。図2に示す実施形態において、喫煙物品110は、充填物111(香味発生基材の一例に相当する)と、充填物111を巻装する第1の巻紙112とを含む基材部110Aと、基材部110Aとは反対側の端部を形成する吸口部110Bとを有する。基材部110Aと吸口部110Bは、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって連結されている。ただし、第2の巻紙113を省略し、第1の巻紙112を用いて基材部110Aと吸口部110Bを連結することもできる。
図2中の吸口部110Bは、紙管部114と、フィルタ部115と、紙管部114とフィルタ部115との間に配置された中空セグメント部116とを有する。中空セグメント部116は、例えば、1つ又は複数の中空チャネルを有する充填層と、充填層を覆うプラグラッパーとを含む。充填層における繊維の充填密度が高いので、吸引時、空気やエアロゾルは中空チャネルのみを流れることになり、充填層内をほとんど流れない。喫煙物品110において、フィルタ部115でのエアロゾル成分の濾過によるエアロゾルのデリバリ量の減少を少なくしたいときに、フィルタ部115の長さを短くして中空セグメント部116で置き換えることは、エアロゾルのデリバリ量を増大させるために有効である。
図2の実施形態において、吸口部110Bは3つのセグメントから構成されている。しかし、別の実施形態において、吸口部110Bは1つ又は2つのセグメントから構成されてもよいし、4つ又はそれ以上のセグメントから構成されてもよい。例えば、中空セグメント部116を省略し、紙管部114とフィルタ部115を互いに隣接するように配置して吸口部110Bを形成することもできる。
図2に示す実施形態において、喫煙物品110の長手方向の長さは、40mm~90mmであることが好ましく、50mm~75mmであることがより好ましく、50mm~60mmであることがさらに好ましい。喫煙物品110の円周は15mm~25mmであることが好ましく、17mm~24mm以下であることがより好ましく、20mm~22mmであることがさらに好ましい。また、喫煙物品110における基材部110Aの長さは20mm、第1の巻紙112の長さは20mm、中空セグメント部116の長さは8mm、フィルタ部115の長さは7mmであってもよい。これら個々のセグメントの長さは、製造適性、要求品質等に応じて、適宜変更できる。
本実施形態において、喫煙物品110の充填物111は、所定温度で加熱されてエアロゾルを発生するエアロゾル源を含有し得る。エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源として、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。充填物111中のエアロゾル源の含有量は、特に限定されず、十分にエアロゾルを発生するとともに、良好な香喫味の付与の観点から、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
本実施形態における喫煙物品110の充填物111は、香味源としてたばこ刻みを含有し得る。たばこ刻みの材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知の材料を用いることができる。喫煙物品110における充填物111の含有量の範囲は、円周22mm、長さ20mmの場合、例えば、200mg~400mgであり、250mg~320mgであることが好ましい。充填物111の水分含有量は、例えば、8~18重量%であり、10~16重量%であることが好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制し、基材部110Aの製造時の巻上適性を良好にする。充填物111として用いるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを充填物111として用いてもよい。また、充填物111は、1種又は2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。
本実施形態において、喫煙物品110の第1の巻紙112及び第2の巻紙113は、坪量が例えば20gsm~65gsmであり、好ましくは25gsm~45gsmである原紙から作られることができる。第1の巻紙112及び第2の巻紙113の厚みは、特に限定されないが、剛性、通気性、及び製紙時の調整の容易性の観点から、10μm~100μmであり、好ましくは20μm~75μmであり、より好ましくは30μm~50μmである。
本実施形態において、喫煙物品110の第1の巻紙112及び第2の巻紙113には填料が含まれ得る。填料の含有量は、第1の巻紙112及び第2の巻紙113の全重量に対して10重量%以上60重量%未満を挙げることができ、15重量%~45重量%であることが好ましい。本実施形態において、好ましい坪量の範囲(25gsm~45gsm)に対して、填料が15重量%~45重量%であることが好ましい。填料としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができる。このような填料を含む紙は、喫煙物品110の巻紙として利用する外観上の観点から好ましい白色系の明るい色を呈し、恒久的に白さを保つことができる。そのような填料を多く含有させることで、例えば、巻紙のISO白色度を83%以上にすることができる。また、喫煙物品110の巻紙として利用する実用上の観点から、第1の巻紙112及び第2の巻紙113は8N/15mm以上の引張強度を有することが好ましい。この引張強度は、填料の含有量を少なくすることで高めることができる。具体的には、上記で例示した各坪量の範囲において示した填料の含有量の上限よりも填料の含有量を少なくすることで、高めることができる。
次に、図1A及び図1Bに示した電子装置10の内部構造について説明する。図3は、図1Aに示した矢視3-3における断面図である。図3に示すように、電子装置10は、ハウジング11の内部空間に、電源部20と、回路部30と、加熱部40とを有する。回路部30は、第1回路基板31と、第1回路基板31と電気的に接続された第2回路基板32とを有してもよい。第1回路基板31は、例えば、図示のように長手方向に延びて配置されてもよい。これにより、電源部20と加熱部40は、第1回路基板31によって区画される。その結果、加熱部40において発生する熱が電源部20に伝達することが抑制される。
第2回路基板32は、トップハウジング11Aと電源部20との間に配置されてもよく、第1回路基板31の延在方向と直交する方向に延びてもよい。スイッチ13は、第2回路基板32と隣接して配置されてもよい。使用者がスイッチ13を押下したとき、スイッチ13の一部が、第2回路基板32と接触し得る。
第1回路基板31及び第2回路基板32は、例えばマイクロプロセッサ等を含み、電源部20から加熱部40への電力の供給を制御することができる。これにより、第1回路基板31及び第2回路基板32は、加熱部40による喫煙物品110の加熱を制御することができる。
電源部20は、第1回路基板31及び第2回路基板32に電気的に接続される電源21を有する。電源21は、例えば、充電式バッテリ又は非充電式のバッテリであり得る。電源21は、第1回路基板31及び第2回路基板32の少なくとも一方を介して、加熱部40と電気的に接続される。これにより、電源21は、喫煙物品110を適切に加熱するように、加熱部40に電力を供給することができる。また、図示のように、電源21は、加熱部40の長手方向に直交する方向に隣接して配置されてもよい。これにより、電源21の大きさを大きくしても、電子装置10の長手方向の長さが長くなることを抑制することができる。
また、電子装置10は、外部電源と接続可能な端子22を有してもよい。端子22は、例えばマイクロUSB等のケーブルと接続することができる。電源21が充電式バッテリである場合、端子22に外部電源を接続することにより、外部電源から電源21に電流を流し、電源21を充電することができる。また、端子22にマイクロUSB等のデータ送信ケーブルを接続することにより、電子装置10の作動に関連するデータを外部装置に送信できるようにしてもよい。
加熱部40は、図示のように、長手方向に延びる加熱アセンブリ41を有する。加熱アセンブリ41は、複数の筒状の部材から構成され、全体として筒状体をなしている。加熱アセンブリ41は、その内部に喫煙物品110の一部を収納可能に構成され、喫煙物品110へ供給する空気の流路を画定する機能、及び喫煙物品110を外周から加熱する機能を有する。
ボトムハウジング11Bには、加熱アセンブリ41の内部に空気を流入するための通気口15が形成される。具体的には、通気口15は、加熱アセンブリ41の一端部(図2における左側の端部)と流体連通する。また、電子装置10は、通気口15に着脱自在のキャップ16を有する。キャップ16は、通気口15に取り付けられた状態でも通気口15から加熱アセンブリ41の内部に空気が流入できるように構成され、例えば図示しない貫通孔又は切欠き等を有し得る。キャップ16を通気口15に取り付けることで、加熱アセンブリ41内に挿入された喫煙物品11から発生する物質が、通気口15からハウジング11の外部に落下することを抑制することができる。また、キャップ16を取り外すことで、加熱アセンブリ41の内部又はキャップ16の内側をクリーニングすることもできる。
加熱アセンブリ41の他の一端部(図2における右側の端部)は、図1Bに示した開口12aと流体連通する。開口12aを有する蓋部14と加熱アセンブリ41の他の一端部との間には、略筒状のアウターフィン17が設けられる。喫煙物品110は、図1Bに示すように蓋部14の開口12aから電子装置10の内部に挿入されると、アウターフィン17を通過し、喫煙物品110の一部が加熱アセンブリ41の内部に配置される。このため、アウターフィン17は、加熱アセンブリ41の他の一端部側の開口の大きさより、蓋部14側の開口の方が大きくなるように形成されることが好ましい。これにより、喫煙物品110を開口12aからアウターフィン17の内部に挿入し易くなる。
図1Bに示すように喫煙物品110が開口12aから電子装置10内に挿入された状態で、使用者が、喫煙物品110の電子装置10から突出した部分、即ち図2に示したフィルタ部115から吸引すると、通気口15から加熱アセンブリ41の内部に空気が流入する。流入した空気は、加熱アセンブリ41の内部を通過して、喫煙物品110から生じるエアロゾルと共に、使用者の口内に到達する。したがって、加熱アセンブリ41の通気口15に近い側は上流側であり、加熱アセンブリ41の開口12aに近い側(アウターフィン17に近い側)は下流側である。
図4は、本開示の一実施形態に係る電子装置の構成を概略的に示すブロック図である。この例における電子装置10は、制御部402と、加熱アセンブリ41などの要素を含む加熱部40と、電圧変換回路404と、電圧変換回路404と並列に設けられた第1スイッチング素子406を含むバイパス回路408とを備える。電子装置10は、電源21をさらに備えてもよい。あるいは、電子装置10は電源21を備えず、電源21を含む別の装置と接続されるように構成されてもよい。電子装置10は、さらに、温度検出部410、パルス幅変調部412、第2スイッチング素子416、記憶部418、通知部420などの他の構成要素を備えてもよい。第2スイッチング素子416は省略されてもよい。図4において点線矢印で示されるように、制御部402は、電源21、第1スイッチング素子406、第2スイッチング素子416、電圧変換回路404、パルス幅変調部412、通知部420などを制御するように構成される。制御部402はまた、温度検出部410、記憶部418などを制御したり、これらの構成要素との間で情報をやり取りしたりするように構成される。
電子装置10はまた、喫煙物品などのエアロゾル生成基材110を受け入れ可能な凹部414を備え得る。加熱部40は、エアロゾル生成基材110を周囲から加熱する形状を有してもよい。加熱部40は、電源21からの給電により、凹部414に受け入れられたエアロゾル生成基材110の部分を加熱する。
電圧変換回路404は、電源21と加熱部40との間に設けられ、電源21の電圧を変換するように構成される。変換された電圧は加熱部40への給電に用いられる。電圧変換回路404は、昇圧DC/DCコンバータであってもよい。
温度検出部410は、加熱部40(又は、加熱部40に含まれる負荷)の温度を検出するように構成される。例えば、温度検出部410は、加熱部40の負荷の抵抗値を求めるのに要する値(加熱部40の負荷を流れる電流値、加熱部40の負荷に印加される電圧値など)を検出するように構成されてもよい。加熱部40の負荷の抵抗値が温度依存性を有する場合、検出された加熱部40の負荷の抵抗値に基づいて、加熱部40の温度を推定することができる。別の例において、温度検出部410は、加熱部40の温度を検出する温度センサを含んでもよい。
パルス幅変調部412は、電圧変換回路404の出力電圧をパルス幅変調し、パルス幅変調された電圧を加熱部40に印加する。制御部402は、温度検出部410から得られる加熱部40の温度が所望の温度になるよう、パルス幅変調部412におけるパルス幅変調のデューティ比を制御してもよい。
制御部402は、第1スイッチング素子406をオン/オフするように構成される。第1スイッチング素子406がオン状態のとき、電源21の電力は、電圧変換回路404を経由せずに、バイパス回路408及び第1スイッチング素子406を経由して加熱部40へ供給される。
制御部402は、第1スイッチング素子406をオン状態に切り替えるときに電圧変換回路404にオフ指令を送るように構成されてもよい。
電子装置10が第2スイッチング素子416を備える場合、制御部402は、第2スイッチング素子416をオン/オフすることにより、電源21から電圧変換回路404への給電のオン/オフを切り替えるように構成されてもよい。一例において、制御部402は、第1スイッチング素子406をオン状態に切り替えるときに第2スイッチング素子416をオフ状態に切り替えるように構成されてもよい。
第2スイッチング素子416は、電圧変換回路404と別個に設けられるのではなく、電圧変換回路404に含まれてもよい。
制御部402は、温度検出部410により検出される加熱部40の温度の変化に基づいて、使用者による吸引の回数を計測するように構成されてもよい。例えば、制御部402は、所定の時間内に加熱部40の温度が所定の値以上低下した場合に、1回の吸引が行われたと判断してもよい。計測された吸引の回数は、記憶部418に記憶されてもよい。
通知部420は、使用者に対して通知を行うように動作する。一例において、通知部420は、1つ又は複数のLEDを含んでもよく、1つ又は複数の色で発光するように構成されてもよい。通知部420はまた、スピーカを含んでもよく、音による通知を行うように構成されてもよい。通知部420はまた、ディスプレイを含んでもよく、ディスプレイ上の表示を用いて通知を行ってもよい。
記憶部418は、電子装置10の動作に関連する様々なデータを記憶することができる。例えば、記憶部418は、加熱部40について予め規定された加熱プロファイルのデータを記憶していてもよい。
一例において、制御部402、電圧変換回路404、第1スイッチング素子406、バイパス回路408、温度検出部410、パルス幅変調部412、第2スイッチング素子416及び記憶部418の各々は、図3に示す第1回路基板31及び第2回路基板32のうちのいずれかに含まれてもよい。
本開示の実施形態に係る電子装置10の動作の詳細については後述する。
図5は、本開示の実施形態に係る電子装置10の加熱部40について予め規定される加熱プロファイルの例を示す。加熱プロファイル500の横軸及び縦軸は、それぞれ、加熱を開始してからの経過時間及び加熱部40の温度を示す。加熱プロファイル500は、電子装置10において理想的なエアロゾル生成を行うために要求されるエアロゾル生成基材110の加熱手順として定義されてもよい。一例として、エアロゾル生成基材110が喫煙物品である場合、加熱プロファイル500は、喫煙物品の香味などを最も楽しむことができるエアロゾル生成プロセスを使用者に提供することができるように規定される。
別の例において、加熱プロファイル500は、縦軸が加熱部40の負荷の抵抗値を示すように規定されてもよい。
加熱プロファイル500は記憶部418に記憶されていてもよい。制御部402は、加熱プロファイル500を記憶部418から読み出し、加熱部40の温度が加熱プロファイルに従って変化するように電子装置10の構成要素を制御してもよい。例えば、制御部402は、温度検出部410により検出される加熱部40の温度が加熱プロファイルにおいて定められた所定の温度になるよう、パルス幅変調部412によるパルス幅変調のデューティ比を調整してもよい。縦軸が加熱部40の負荷の抵抗値を示す上述の別の例の加熱プロファイル500の場合、制御部402は、加熱部40の負荷の抵抗値が加熱プロファイルにおいて定められた所定の抵抗値になるよう、パルス幅変調部412を制御してもよい。
図5の例において、理想的なエアロゾル生成に適した加熱部40の温度が200℃である場合、加熱プロファイル500は、加熱の開始から昇温時間aの間に、加熱部40の温度を常温から200℃よりも高い所定の温度(この例では、230℃)まで昇温するように規定される。昇温時間aは、加熱部40の負荷の抵抗値が所定の値に達するまでの時間であってもよい。
次いで、加熱プロファイル500は、第1所定時間(この例では、23秒)の間、加熱部40の温度を230℃に維持するように規定される。昇温時間aと第1所定時間の合計時間は最大で50秒であってもよい。当該合計時間は、エアロゾル生成基材110の予備加熱時間として定義されてもよい。当該合計時間は、エアロゾル生成基材110の内側部分を含む全体を十分に加熱するのに要する時間であってもよい。制御部402は、予備加熱時間の間に使用者が吸引を行わないよう、通知部420を用いて使用者に通知を行ってもよい。例えば、通知部420がLEDを含む場合、制御部402は、第1の所定の色(例えば、赤色)で発光するように通知部420を制御してもよい。制御部402はまた、予備加熱時間が経過した後、加熱が完了した旨の通知を使用者に対して行うよう、通知部420を制御してもよい。例えば、制御部402は、第2の所定の色(例えば、黄色)で発光するように通知部420を制御してもよい。
加熱プロファイル500は、次いで、第2所定時間(この例では、10秒)の間、加熱部40の温度を230℃に維持するように規定されてもよい。何らかの理由により予備加熱時間経過後にエアロゾル生成基材110が十分に加熱されていない場合でも、第2所定時間を設定することにより、エアロゾル生成基材110の加熱をより確実にすることができる。予備加熱時間の経過後に使用者が最初の吸引を行うと、吸引によって生じる空気流により加熱部40の温度が低下する。第2所定時間の間、加熱部40の温度を230℃に維持することにより、最初の吸引による温度低下の影響を小さくすることができる。
加熱プロファイル500は、次いで、加熱部40の温度を所定の温度(この例では、200℃)に低下させ、第3所定時間(この例では、130秒)の間、加熱部40の温度を当該所定の温度に維持するように規定されてもよい。一例において、当該所定の温度は、理想的なエアロゾル生成のために適した加熱部40の温度である。エアロゾル生成基材110が喫煙物品である場合、第3所定時間の間、使用者は、喫煙物品を吸引することにより、最適な状態で生成される香味を十分に楽しむことができる。
加熱プロファイル500は、次いで、加熱部40の温度を所定の温度(この例では、185℃)に低下させ、第4所定時間(この例では、60秒)の間、加熱部40の温度を当該所定の温度に維持するように規定されてもよい。エアロゾル生成基材110は既に十分に加熱された状態にあるので、この段階で加熱部40の温度を200℃より低くしても、使用者へのエアロゾル提供にとって影響はない。また、加熱部40への供給電力を低下させることができるので、省エネにつながる。
加熱プロファイル500は、次いで、加熱部40による加熱を止めて第5所定時間(この例では、10秒)が経過するのを待つように規定されてもよい。加熱部40への電力供給が停止するので、図5において点線で示されるように、加熱部40の温度は185℃から低下していく。第5所定時間の経過後、制御部402は、吸引可能時間が終了した旨を通知するよう通知部420を制御してもよい。当該通知は、所定の色での発光、所定の音の出力などであってもよい。
一例において、制御部402は、加熱プロファイル500の終了時点まで所定の時間(例えば、終了時点の30秒前)を切ったことを使用者に通知するよう、通知部420を制御してもよい。当該通知は、所定の色での発光、所定の音の出力などであってもよい。
図5に示される加熱プロファイル500は一例にすぎない。エアロゾル生成のための電子装置10の用途、エアロゾル生成基材110の種類などに応じて、適切な加熱プロファイルを任意に設定できることが当業者に理解されよう。
以下、図6A、6B、7A、7B、8A及び8Bに関連して、本開示の実施形態に係る電子装置10の動作の詳細を説明する。
図6Aは、本開示の一実施形態に係る、電子装置10の動作方法のフローチャートである。ここでは、電子装置10の制御部402がすべてのステップを実行するものとして説明を行う。しかし、少なくとも一部のステップが電子装置10の別の構成要素によって実行されてもよいことに留意されたい。また、本実施形態が、制御部402などのプロセッサにより実行されると当該プロセッサに方法を実行させるプログラム、又は当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として実施され得ることが理解されよう。後述の図6B、7A、7B、8A及び8Bに関して説明される例についても同様のことがいえる。
処理はステップ602において開始する。制御部402は、エアロゾル生成要求を検知したか否かを判断する。一例において、制御部402は、スイッチ13が押されたときに、エアロゾル生成要求が検知されたと判断してもよい。別の例において、電子装置10は、使用者による吸引を検知したことに基づいて、エアロゾル生成要求が検知されたと判断するように構成されてもよい。例えば、電子装置10は圧力センサを有してもよく、制御部402は、圧力センサにより検出される圧力の変化等に基づいて、使用者による吸引を検知してもよい。
エアロゾル生成要求が検知されない場合(ステップ602の「N」)、処理はステップ602の前に戻る。エアロゾル生成要求が検知された場合(ステップ602の「Y」)、処理はステップ604に進む。
ステップ604において、制御部402は、電源21の電圧を電圧変換回路404によって変換し、加熱部40への給電を行う。
処理はステップ606に進み、制御部402は、加熱部40の温度が所定温度に到達したことを示す第1条件が満たされるか否かを判断する。当該所定温度は、加熱部40について規定された加熱プロファイル500における最高温度(図5の例では、230℃)であってもよい。一例において、第1条件は、温度検出部410によって検出される加熱部40の温度が加熱プロファイル500における最高温度に到達したことであってもよい。別の例において、第1条件は、パルス幅変調部412によるパルス幅変調のデューティ比が第1閾値以下になることであってもよい。図5の加熱プロファイル500に従う場合、加熱部40の温度が最高温度に到達すると、加熱部40の温度を当該最高温度に維持するように加熱部40への給電が制御される。これはパルス幅変調のデューティ比を小さくすることによって実現することができるので、第1条件は上述のように設定され得る。この構成によれば、温度を直接監視することなく、加熱部40の温度が最高温度に到達したか否かを判断することができる。
第1条件が満たされない場合(ステップ606の「N」)、処理はステップ606の前に戻る。第1条件が満たされる場合(ステップ606の「Y」)、処理はステップ608に進む。
ステップ608において、制御部402は、第1スイッチング素子406をオン状態に切り替える。これにより、バイパス回路408が導通する。電子装置10が第1スイッチング素子406に加えて第2スイッチング素子416を備える場合、ステップ608において、制御部402は、第2スイッチング素子416をオフ状態に切り替えてもよい。
ステップ610において、制御部402は、電圧変換回路404を経由せずに、第1スイッチング素子406を経由して、加熱部40への給電を行う。電圧変換回路404が使用されないので、電圧変換回路404を動作させるための電力供給が不要となる。したがって、電圧変換回路404を使用し続ける場合と比較して、省エネを実現することができる。
図6Bは、本開示の一実施形態に係る、電子装置10の動作方法のフローチャートである。ステップ602から610の処理の内容は、図6Aに関して既に述べたとおりである。
ステップ612において、制御部402は、電源21の電圧が第1閾値電圧以下であるか否かを判断する。ここで、第1閾値電圧は、未使用の第1所定数(例えば、1)のみのエアロゾル生成基材110を使い切るために必要な容量が電源21に残っていることを示す電圧(以下、「第2閾値電圧」と呼ぶ)よりも所定の値だけ大きい電圧であってもよい。第1閾値電圧は、未使用の第2所定数(第1所定数より大きい。例えば、2)のエアロゾル生成基材110を使い切るために必要な容量が電源21に残っていることを示す電圧よりも小さくてもよい。
一例において、第2閾値電圧は、記憶部418に記憶されている固定値であってもよい。周囲温度が低温(例えば、0℃)から高温(例えば、40℃)の値をとる様々な環境下で、電子装置10によるエアロゾル生成基材110の加熱及びユーザによる吸引の試験が予め行われてもよい。当該試験の結果、あらゆる環境の下で、未使用の第1所定数のみのエアロゾル生成基材110を使い切るのに必要な容量が電源21に残っているときの電源21の電圧が、上記固定値として設定されてもよい。
第2閾値電圧は、電源21の残容量に応じて異なる値となるように設定されてもよい。電源21の残容量は、任意の構成の残容量センサを用いて測定されてもよい。電源21の残容量が所定の値以上である場合、第2閾値電圧は第1の値であってもよい。電源21の残容量が当該所定の値未満である場合、第2閾値電圧は第1の値より大きい第2の値であってもよい。
一例において、制御部402は、電源21の残容量が25%以上である場合、第2閾値電圧を第1の値(例えば、2282mV)に設定してもよい。電子装置10が電圧変換回路404を備えており、電圧変換回路404が昇圧DC/DCコンバータである場合、上記第1の値は、当該昇圧DC/DCコンバータの安定動作電圧であってもよい。これにより、電源21の残容量が未使用の第1所定数のみのエアロゾル生成基材110を使い切るのに必要な容量であるときに、昇圧DC/DCコンバータを備える電子装置10の動作が不安定になるのを防ぐことができる。
制御部402はまた、電源21の残容量が25%未満である場合、第2閾値電圧を第2の値(例えば、2408mV)に設定してもよい。当該第2の値は、高温の環境下でも未使用の第1所定数のみのエアロゾル生成基材110を使い切るのに必要な値であってもよい。
電源21の電圧が第1閾値電圧より大きい場合(ステップ612の「N」)、処理はステップ612の前に戻る。電源21の電圧が第1閾値電圧以下である場合(ステップ612の「Y」)、処理はステップ614に進む。
ステップ614において、制御部402は、電源21の電圧が第2閾値電圧以上であるか否かを判断する。電源21の電圧が第2閾値電圧未満である場合(ステップ614の「N」)、処理は終了する。例えば、制御部402は、加熱部40への給電を停止する。
電源21の電圧が第2閾値電圧以上である場合(ステップ614の「Y」)、処理はステップ616に進む。ステップ616において、制御部402は、第1スイッチング素子406をオフ状態に切り替える。電子装置10が第1スイッチング素子406に加えて第2スイッチング素子416を備える場合、ステップ616において、制御部402は、第2スイッチング素子416をオン状態に切り替える。
処理はステップ618に進み、制御部402は、電源21の電圧を電圧変換回路404によって変換し、加熱部40への給電を行う。ステップ618の後、処理は終了する。例えば、制御部402は、加熱部40への給電を停止する。
図6Bの実施形態によれば、電源21の残容量が未使用の第1所定数(例えば、1)のみのエアロゾル生成基材110を使い切るのに必要な容量に近づいた場合であっても、電圧変換回路404を用いた給電によって電源21の電圧の低下を補うことができ、当該第1所定数のエアロゾル生成基材110を最後まで使い切ることを確実にすることができる。
図7Aは、本開示の一実施形態に係る、電子装置10の動作方法のフローチャートである。ステップ702から706の処理は図6Aのステップ602から606の処理と同様であるので説明を省略する。
ステップ708において、制御部402は、加熱部40の温度が閾値以下になったことを示す第2条件が満たされるか否かを判断する。当該閾値は、加熱プロファイル500の態様によって異なり得る。例えば、図5に示す例のように加熱プロファイル500における最高温度が230℃である場合、当該閾値は200℃から230℃の間の値であってもよい。別の例として、加熱プロファイル500における最高温度が240℃である場合、当該閾値は200℃から240℃の間の値であってもよい。第2条件が満たされない場合(ステップ708の「N」)、処理はステップ708の前に戻る。第2条件が満たされるまで、加熱部40の給電は、電圧変換回路404を介して行われる。
第2条件が満たされる場合(ステップ708の「Y」)、処理はステップ710に進み、制御部402は、第1スイッチング素子406をオン状態に切り替える。ステップ710及び712の処理は図6Aのステップ608及び610の処理と同様である。
図7Bは、本開示の一実施形態に係る、電子装置10の動作方法のフローチャートである。ステップ702から712の処理の内容は、図7Aに関して既に述べたとおりである。
ステップ712の後に実行されるステップ714から720の処理は、図6Bにおけるステップ612から618の処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
図7Bの実施形態によれば、電源21の残容量が未使用の第1所定数(例えば、1)のみのエアロゾル生成基材110を使い切るのに必要な容量に近づいた場合であっても、電圧変換回路404を用いた給電によって電源21の電圧の低下を補うことができ、当該第1所定数のエアロゾル生成基材110を最後まで使い切ることを確実にすることができる。
図8Aは、本開示の一実施形態に係る、電子装置10の動作方法のフローチャートである。ステップ802から810の処理は図6Aのステップ602から606の処理と同様であるので説明を省略する。
図8Aの処理によれば、ステップ806において第1条件が満たされると、電圧変換回路404を用いずにバイパス回路408及び第1スイッチング素子406を介して加熱部40への給電が行われる。したがって、ステップ706の処理が実行された後、ステップ708の処理が終了するまで電圧変換回路404が用いられる図7Aの例と比較して、一層の省エネを実現することができる。
ステップ810の後、処理はステップ812に進み、制御部402は、所定の時間が経過したか否かを判断する。所定の時間が経過するまでの間(ステップ812の「N」)、ステップ814において、制御部402は、加熱部40の温度が所定温度を維持するように制御を行う。上記所定の時間は、例えば、図5の加熱プロファイル500における予備加熱時間経過後の10秒間であってもよい。上記所定温度は、例えば、加熱プロファイル500における最高温度であってもよい。制御部402は、この所定の時間の間、温度検出部410により検出される加熱部40の温度が維持されるよう、パルス幅変調部412によるパルス幅変調のデューティ比を制御してもよい。
所定の時間が経過した場合(ステップ812の「Y」)、図8Aの処理は終了する。
図8Bは、本開示の一実施形態に係る、電子装置10の動作方法のフローチャートである。ステップ802から814の処理の内容は、図8Aに関して既に述べたとおりである。
ステップ812の後に実行されるステップ816から822の処理は、図6Bにおけるステップ612から618の処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
図8Bの実施形態によれば、電源21の残容量が未使用の第1所定数(例えば、1)のみのエアロゾル生成基材110を使い切るのに必要な容量に近づいた場合であっても、電圧変換回路404を用いた給電によって電源21の電圧の低下を補うことができ、当該第1所定数のエアロゾル生成基材110を最後まで使い切ることを確実にすることができる。
以上、本開示の実施形態が説明されたが、これらが例示にすぎず、本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、実施形態の変更、追加、改良などを適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。