JP2022077073A - 軌道系交通システムの軌道 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガイドを軌道本体に強固に取り付け、メンテナンスに要する手間を軽減する。【解決手段】軌道系交通システムの軌道は、延伸方向に延びる走行面を形成する路盤、及び前記走行面に対して前記延伸方向に交差する幅方向の外側で前記路盤から鉛直方向に延びるように形成されて前記延伸方向に延びる壁部を有し、コンクリート材に鉄筋が埋設されることで形成された軌道本体と、前記幅方向において前記壁部の前記走行面を向く壁側面に配置されて前記延伸方向に延び、前記鉄筋に接続された状態で前記壁部に対して一体に固定されたガイドと、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、軌道系交通システムの軌道に関する。
バスや鉄道以外の新たな交通手段として、ゴムタイヤを装着した走行輪によって軌道を走行する軌道系交通システムが知られている。
例えば、特許文献1及び2には、新交通システムの軌道に関し、路盤(床版)と、路盤の幅方向両側に立設された壁部(ガイド壁)と、壁部に備えられたガイド(耐摩耗性に富んだ部材、耐摩耗部材)と、を備える構成が開示されている。特許文献1に開示された構成において、ガイドは、壁部に形成された凹溝に嵌め合わされている。また、特許文献2に開示された構成では、ガイドは、強力接着剤によって壁部に装着されている。
特開昭55-129503号公報 特公昭61-22682号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の構造では、長期間に亘る使用によって、ガイドが壁部から脱落してしまう可能性がある。このため、ガイドの装着状態を定期的に点検する必要がある。また、ガイドが壁部から脱落した場合には、脱落した部分を含む長い領域に渡ってガイドを壁部に取り付けなければならず、その作業に手間が係るという課題がある。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、ガイドの脱落を抑制し、メンテナンスに要する手間を軽減することができる軌道系交通システムの軌道を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示に係る軌道系交通システムの軌道は、延伸方向に延びる走行面を形成する路盤、及び前記走行面に対して前記延伸方向に交差する幅方向の外側で前記路盤から鉛直方向に延びるように形成されて前記延伸方向に延びる壁部を有し、コンクリート材に鉄筋が埋設されることで形成された軌道本体と、前記幅方向において前記壁部の前記走行面を向く壁側面に配置されて前記延伸方向に延び、前記鉄筋に接続された状態で前記壁部に対して一体に固定されたガイドと、を備える。
本開示の軌道系交通システムの軌道によれば、ガイドを軌道本体に強固に取り付け、メンテナンスに要する手間を軽減することができる。
本開示の実施形態に係る軌道系交通システムの軌道の構成を示す断面図である。 上記軌道を鉛直方向から見た模式図である。 上記軌道を構成する軌道ユニットを示す図であり、図1のI-I矢視に相当する方向から軌道ユニットを見た模式図である。 延伸方向で隣り合う軌道ユニット同士のガイドの配置を示す図である。 本開示の実施形態の第一の変形例に係る軌道系交通システムの軌道を示す断面図である。 本開示の実施形態の第二の変形例に係る軌道系交通システムの軌道におけるピンの変形例を示す断面図である。 本開示の実施形態の第二の変形例に係る軌道系交通システムの軌道に備えられたピンの変形例を示す図であり、図6のII-II矢視断面図である。 本開示の実施形態の第三の変形例に係る軌道系交通システムの軌道に備えられた位置規制部の変形例を示す断面図である。 本開示の実施形態の第三の変形例に係る軌道系交通システムの軌道において、延伸方向で隣り合う軌道ユニット同士の軌道ガイド板の配置を示す図である。 本開示の実施形態の変形例であって、複数組の走行面を有する軌道を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して、本開示による軌道系交通システムの軌道を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこの実施形態のみに限定されるものではない。
(軌道の構成)
(軌道系交通システムの構成)
図1及び図2に示すように、軌道系交通システム1は、案内軌条式の車両2が走行する軌道3を備えている。軌道3は、所定の路線に沿った延伸方向Da(図1で紙面に直交する方向)に延びている。軌道3は、延伸方向Daに複数の軌道ユニット5を並べて配置することで構成されている。軌道ユニット5は、軌道3における直線区間に主として配置されている。軌道ユニット5は、延伸方向Daに所定の長さ(例えば15m~30m程度)を有している。軌道ユニット5は、予め工場で所定形状に製作されている。軌道ユニット5は、軌道本体10と、ガイド20と、位置規制部30とを備えている。軌道ユニット5では、軌道本体10とガイド20とが一体となるように固定されている。
(軌道本体の構成)
軌道本体10は、延伸方向Daに所定の長さで形成されている。軌道本体10は、延伸方向Daに隣接して複数配置されている。軌道本体10は、プレキャストコンクリート製で形成されている。軌道本体10は、路盤11と、壁部12と、を一体に有している。軌道本体10は、コンクリート材に鉄筋が埋設されることで形成されている。
路盤11は、鉛直方向Dvに交差する平面に沿うように形成されている。路盤11の上面には、車両2が走行する走行面11fが形成されている。走行面11fは、延伸方向Daに延びている。走行面11fは、車両2の走行輪2fの位置に対応するよう幅方向Dwに離れて二カ所形成されている。走行面11fは全面にわたって平坦面をなして走行輪2fが転動可能なように形成されている。なお、走行面11fは、幅方向Dwに離れて形成されることに限定されるものではない。走行面11fは、幅方向Dwに繋がって形成され、左右に渡って一体に形成されていてもよい。
また、走行面11fの表面には、平坦性を損なわない程度のグルービングや目粗し等が型枠により施されている。これにより、走行面11fの表面は、降雨時等におけるタイヤ踏面との摩擦係数を確保してスリップを防止する面となっている。
路盤11は、地盤上に形成された支持地盤(図示無し)に直接、又は地盤に支柱(図示無し)を介して支持されている。路盤11は、路盤コンクリート材14に路盤鉄筋15が埋設されることで形成されている。路盤鉄筋15は、延伸方向Daに延びる複数の主筋(図示無し)と、複数の主筋を取り囲み、延伸方向Daに直交する面に沿って配筋された路盤せん断補強筋1512と、を備えている。また、路盤鉄筋15は、走行面11fの下方に配置された走行路補強筋1513をさらに備えている。
壁部12は、走行面11fに対して延伸方向Daに交差する(本実施形態では直交する)幅方向Dwの両端部に形成されている。壁部12は、延伸方向Daにおいて路盤11の全長にわたって形成されている。壁部12は、路盤11から鉛直方向Dvの上方Dvuに向かって延びるように形成されている。壁部12は、壁部コンクリート材16に壁部鉄筋17が埋設されることで形成されている。
壁部12は、幅方向Dwの内側Dwiを向く壁側面12sと、幅方向Dwの外側を向く壁外面12oと、を有している。壁側面12sは、幅方向Dwにおいて走行面11fを向く壁部12の面である。壁外面12oは、幅方向Dwにおいて壁側面12sと反対側を向く面である。
本実施形態において、鉛直方向Dvにおける壁外面12oの中間部は、幅方向Dwの外側Dwoに向かって突出している。これにより、壁外面12oには、上部傾斜面1212と、下部傾斜面1213と、が形成されている。上部傾斜面1212は、壁外面12oの中間部から鉛直方向Dvの上方Dvuに向かって幅方向Dwの内側Dwiに傾斜している。下部傾斜面1213は、壁外面12oの中間部から鉛直方向Dvの下方Dvdに向かって幅方向Dwの内側に傾斜している。
壁部12は、壁本体121と、突出部122と、を有している。壁本体121は、幅方向Dwにおける路盤11の両端部から、鉛直方向Dvの上方Dvuに向かって形成されている。突出部122は、鉛直方向Dvにおける壁本体121の中間部に形成されている。つまり、突出部122は、路盤11に対して鉛直方向Dvの上方Dvuに離れた位置に形成されている。突出部122は、壁本体121から幅方向Dwの内側Dwiに突出するように、壁本体121と一体に形成されている。突出部122に対して鉛直方向Dvの上方Dvuに、壁本体121と突出部122とで囲まれた空間が形成されている。この空間には、電車線(不図示)が配置される。
壁部鉄筋17は、壁本体121の内部に配筋された本体鉄筋171と、突出部122の内部に配筋された突出部鉄筋172と、を有している。本体鉄筋171は、延伸方向Daに延びる複数の主筋(図示無し)と、複数の主筋を取り囲み、延伸方向Daに直交する面に沿って配筋されたせん断補強筋1712と、を備えている。突出部鉄筋172は、本体鉄筋171に接続されている。突出部鉄筋172は、本体鉄筋171から幅方向Dwの内側Dwiに突出するように延びている。
図3に示すように、延伸方向Daにおける軌道本体10の第一側Da1の第一端面11a及び延伸方向Daにおける軌道本体10の第二側Da2の第二端面11bは、それぞれ走行面11fに対して直交する面として形成されている。つまり、第一端面11a及び第二端面11bは、鉛直方向Dv及び幅方向Dwに広がる平面として形成されている。
(ガイドの構成)
ガイド20は、図2に示すように、軌道3の総延長にわたって軌道3の両側の壁部12に複数配置されている。図1に示すように、ガイド20は、幅方向Dwにおいて走行面11fを向く被接触面20fに車両2の案内輪2rに接触可能とされている。ガイド20に案内輪2rが接触することで、走行面11f上を走行する車両2が軌道3に沿って移動するように案内される。ガイド20は、走行面11fから同一の高さで延伸方向Daに延びている。ガイド20は、金属材料で形成されている。ガイド20は、壁部鉄筋17に接続された状態で壁部12に対して一体に固定されている。本実施形態のガイド20は、被接触面20fのみが露出するように突出部122に埋め込まれている。これにより、ガイド20は、被接触面20fのみが軌道本体10の外部に面している。ガイド20は、幅方向Dwにおいて被接触面20fと反対側を向く面が突出部鉄筋172の先端に溶接により接続されている。
本実施形態において、ガイド20は、延伸方向Daから見た断面形状が、逆L字状を成している。ガイド20は、第一板部201と、第二板部202と、を一体に備えている。第一板部201は、幅方向Dwに直交するように配置されている。第一板部201は、鉛直方向Dvに所定寸法の長さを有している。第一板部201には、被接触面20fが形成されている。第一板部201は、突出部鉄筋172に接合されている。第二板部202は、第一板部201の上端から幅方向Dwの外側Dwoに向かって延びている。第二板部202は、その全体が突出部122に埋設されている。このような、断面L字状のガイド20には、例えば、鋼製のアングル材を採用することができる。
図3に示すように、ガイド20は、一つの壁部12に対して、延伸方向Daに複数並んで配置されている。ガイド20は、延伸方向Daに所定長(例えば5~15m程度)を有している。複数枚のガイド20は、延伸方向Daに隙間sをあけて並んで複数配置されている。この延伸方向Daの幅は、例えば、3~10mm程度である。この隙間sの大きさは、ガイド20の長さや、年間を通じてのガイド表面温度の差により決定される。
各ガイド20は、延伸方向Daにおける第一側Da1の第一端部21と、延伸方向Daにおける第二側Da2の第二端部22とが、それぞれ、鉛直方向Dvの上方Dvuから下方Dvdに向かうにしたがって延伸方向Daの第二側Da2から第一側Da1に向かうように傾斜して形成されている。これにより、本実施形態のガイド20は、幅方向Dwから見た際に平行四辺形状に形成されている。つまり、第一端部21と第二端部22とは、互いに平行に傾斜している。なお、ガイド20は、この傾斜を付けずに端面が垂直に形成されても良い。この場合、ガイド20は幅方向Dwから見た際に長方形に形成されている。
第一端部21は、第一ガイド上端21tと、第一ガイド下端21bと、を有している。第一ガイド上端21tは、第一端部21の鉛直方向Dvの上方Dvuに位置する角部である。第一ガイド下端21bは、第一端部21の鉛直方向Dvの下方Dvdに位置する角部である。第一ガイド下端21bは、第一ガイド上端21tより延伸方向Daの第一側Da1に配置されている。幅方向Dwから見た際に、第一ガイド上端21tと第一ガイド下端21bとは、直線状に結ばれている。
第二端部22は、第二ガイド上端22tと、第二ガイド下端22bと、を有している。第二ガイド上端22tは、第二端部22の鉛直方向Dvの上方Dvuに位置する角部である。第二ガイド下端22bは、第二端部22の鉛直方向Dvの下方Dvdに位置する角部である。第二ガイド下端22bは、第二ガイド上端22tより延伸方向Daの第一側Da1に配置されている。幅方向Dwから見た際に、第二ガイド上端22tと第二ガイド下端22bとは、直線状に結ばれている。
幅方向Dwから見た際に、第一ガイド上端21tと第一ガイド下端21bとを結ぶ直線と、第二ガイド上端22tと第二ガイド下端22bと結ぶ直線は、走行面11fに対して、傾斜角度θで傾斜している。つまり、第一端部21及び第二端部22は、幅方向Dwから見た際に、走行面11fに対して傾斜角度θで傾斜している。傾斜角度θは、15°~60°程度であることが好ましい。
延伸方向Daに互いに隣り合うガイド20同士は、延伸方向Daにおいて第一側Da1に配置されたガイド20の第二端部22と、延伸方向Daにおいて第二側Da2に配置されたガイド20の第一端部21とが、鉛直方向Dvから見て重なるように配置されている。
一つの壁部12に対して、ガイド20の第一端部21及び第二端部22の少なくとも一方は、幅方向Dwから見た際に、軌道本体10から延伸方向Daに一部が突出するように形成されている。図3及び図4に示すように、本実施形態では、一つの壁部12に配置された複数枚(本実施形態では例えば3枚)のガイド20のうち、延伸方向Daにおいて最も第一側Da1に配置されたガイド20Aの第一ガイド下端21bが、第一端面11aに対して延伸方向Daの第一側Da1に突出している。一方で、このガイド20Aの第一ガイド上端21tは、軌道本体10から突出しておらず、第一端面11aに対して延伸方向Daの第二側Da2に配置されている。さらに、一つの壁部12に配置された複数枚のガイド20のうち、延伸方向Daにおいて最も第二側Da2に配置されたガイド20Bの第二ガイド上端22tは、第二端面11bに対して延伸方向Daの第二側Da2に突出して配置されている。一方で、このガイド20Bの第二ガイド下端22bは、軌道本体10から突出しておらず、第二端面11bに対して延伸方向Daの第一側Da1に配置されている。
これにより、図4に示すように、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10A及び軌道本体10Bのうち、延伸方向Daにおいて第二側Da2に配置される軌道本体10Bに固定されたガイド20Aの第一端部21は、延伸方向Daにおいて第一側Da1に配置された軌道本体10Aに固定されたガイド20Bの第二端部22に対し、鉛直方向Dvの下方にずれた位置に配置されている。
(位置規制部の構成)
位置規制部30は、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10の幅方向Dwの位置を規制する。位置規制部30は、軌道本体10に固定されている。本実施形態の位置規制部30は、ピン31Aと、挿入凹部32とを有している。
本実施形態では、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10A及び軌道本体10Bでは、ピン31Aが挿入凹部32に挿入されることで、幅方向Dw及び鉛直方向Dvに移動不能とされる。具体的には、軌道本体10Bに支持されたピン31Aが軌道本体10Aの挿入凹部32に挿入される。これにより、軌道本体10A及び軌道本体10Bが相互に幅方向Dw及び鉛直方向Dvに移動不能とされる。また、ピン31Aの先端には位置合わせ時に挿入し易いように面取りが設けられても良い。
図1に示すように、ピン31Aは、路盤11を幅方向Dwの両端部から挟みこむように、幅方向Dwに離れて配置された壁部12にそれぞれ配置されている。ピン31Aは、延伸方向Daから見た際に、壁部12と重なる位置に形成されている。図4に示すように、ピン31Aは、幅方向Dwから見た際に、軌道本体10から突出している。本実施形態では、ピン31Aは、幅方向Dwから見た際に、第一端面11aから延伸方向Daの第一側Da1に向かって突出している。ピン31Aは、ピン本体311と、フランジ312と、を一体に有している。ピン本体311は、延伸方向Daに延びる柱状をなしている。フランジ312は、延伸方向Daにおけるピン本体311の中間位置に形成されている。フランジ312は、ピン本体311からピン本体311の径方向の外側に突出している。ピン本体311の基端部3112は、軌道本体10に形成されたピン保持穴33に挿入されている。ピン保持穴33には、筒状の緩衝部材35が配置されている。基端部3112は、緩衝部材35の内側に挿入されている。緩衝部材35は、例えば、ゴム系材料等、弾性変形可能な材料によって形成されている。これにより、ピン本体311は、基端部3112に対して先端部3113が揺動可能な状態で軌道本体10に支持されている。フランジ312は、ピン本体311のピン保持穴33(緩衝部材35)への挿入を規制している。
挿入凹部32は、ピン31Aに対応するように、壁部12にそれぞれ配置されている。挿入凹部32は、延伸方向Daから見た際の位置が、ピン31Aと一致する位置に形成されている。本実施形態では、挿入凹部32は、幅方向Dwから見た際に、第二端面11bから延伸方向Daの第一側Da1に向かって窪んでいる。挿入凹部32の内側には、筒状の緩衝部材36が配置されている。先端部3113は、挿入凹部32内の緩衝部材36に挿入されている。挿入凹部32は、先端部3113が緩衝部材36に摺接するように挿入可能な形状に形成されている。
(作用効果)
上述したような軌道系交通システム1の軌道3によれば、ガイド20が、壁部12において壁部コンクリート材16に埋設された壁部鉄筋17に溶接されて固定されている。そのため、ガイド20は、壁部12に強固に固定される。その結果、ガイド20が軌道本体10から脱落しづらくなる。さらに、ガイド20は、壁部コンクリート材16に埋められるように配置されて、壁部12に一体となるように固定されている。そのため、ガイド20の振動が抑えられる。その結果、車両2の案内輪2rからの荷重をガイド20が受けても、ガイド20がたわみにくくなる。これにより、ガイド20の振動に伴う、ガイド20自体の損傷や壁部12の損傷が抑えられる。加えて、ガイド20の振動に伴って生じる案内輪2rがガイド20に衝突するときの騒音が低減される。これらにより、ガイド20の脱落を抑制し、メンテナンスに要する手間を軽減することができると共に、軌道周囲環境への騒音が低く抑えられる。
さらに、本実施形態では、ガイド20は、被接触面20fのみが軌道本体10の外部に曝されるように、突出部122に埋め込まれている。そのため、ガイド20は、壁部12に対して非常に強固に固定される。その結果、ガイド20が壁部12に対してほとんど振動しなくなる。したがって、案内輪2rからの荷重をガイド20が受けても、ガイド20がほとんどたわまなくなる。これにより、ガイド20の脱落を大幅に抑制し、メンテナンスに要する手間を大きく軽減することができる。また、ガイド20の振動とたわみが小さくなることから、ガイド20による振動騒音も抑えられ、軌道周囲環境への騒音を低く抑えることができる。
また、軌道本体10は、プレキャストコンクリート製である。これにより、軌道本体10を、現場打ちコンクリートではなく、予め工場で製作することができる。したがって、軌道本体10を高精度に形成することができる。また、ガイド20が軌道本体10に予め一体化されることで、ガイド20を支持するための金具等も不要となり、現場でコンクリート打設を行う必要もない。したがって、組立時における作業効率を高め、施工コストの低減、短工期化を図ることができる。
また、軌道本体10が延伸方向Daに隣接して隙間なく並んでいる一方で、ガイド20は延伸方向Daに隙間sを空けて配置されている。ガイド20は、金属材料で形成され表面に出ているため、コンクリート材で形成される軌道本体10に比べて、表面温度変化等に伴う伸縮が大きい。しかしながら、隙間sを空けて配置されていることで、ガイド20が伸縮しても、ガイド20同士の干渉が抑えられる。また、軌道本体10が延伸方向Daに隣接していることで、走行面11fにずれや隙間が生じてしまうことを抑えられる。また、ガイド20は金属材料で形成されていることから、表面は滑らかで長期的に変化しない。そのため、接触する弾性体の案内輪の摩耗も少なく抑えられ、交換寿命を長くすることが可能となる。これにより、案内輪交換に伴うメンテナンス費用も少なく抑えることが可能となる。
また、ガイド20同士が延伸方向Daに隙間sを空けて配置された部分では、鉛直方向Dvから見て、隣り合うガイド20の第一端部21と第二端部22とが互いに重なり合っている。これにより、走行面11f上を走行する車両2の案内輪2rは、延伸方向Daに隣り合うガイド20の少なくとも一方と常に接した状態に維持される。このため、車両2の走行中に、ガイド20は、途切れることなく連続的に案内輪2rを案内することができる。また、車両2の進行方向である延伸方向Daに対して隙間sが斜めに形成されることとなるため、案内輪2rが隙間sを通過する際に生じる振動や騒音も抑えることができる。
また、ガイド20の第一端部21及び第二端部22は、幅方向Dwから見た際に、壁部12から延伸方向Daに一部が突出している。具体的には、第二ガイド上端22tが第二端面11bから突出し、第一ガイド下端21bが第一端面11aから突出している。そのため、施工の際には、第一ガイド下端21bが突出している軌道本体10Bを先に設置した後、第二ガイド上端22tが突出している軌道本体10Aを鉛直方向Dvの上方Dvuからピン31Aの突出分に対応させて延伸方向Daの第一側Da1に離して下降させる。その後ピン31Aに挿入凹部32を合わせて、軌道本体10Aを延伸方向Daの第二側Da2へ移動し、ピン31Aに挿入凹部32を嵌めながら設置させる。これにより、二つの軌道本体10A及び軌道本体10Bの間でも鉛直方向Dvから見てガイド20同士が互いに重なり合うように、延伸方向Daで隣り合う二つの軌道本体10A及び軌道本体10Bを設置することが容易にできる。
また、軌道本体10の第一端面11a及び第二端面11bは、それぞれ走行面11fに対して直交するように、鉛直方向Dv及び幅方向Dwに広がる平面として形成されている。これにより、軌道本体10の第一端面11a及び第二端面11bを傾斜面として形成する場合と比較し、第一端面11a及び第二端面11bを容易に形成することができる。さらに、軌道本体10をクレーン等で吊り上げ、延伸方向Daに隣接するように設置する際に、鉛直方向Dvに下降させ、次に延伸方向Daに移動させるだけで軌道本体10を互いに接触させた状態で設置することが容易にできる。
また、ピン31A及び挿入凹部32を有する位置規制部30によって、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10の幅方向Dw及び鉛直方向Dvの位置が規制される。これにより、互いに隣り合う軌道本体10の位置がずれてしまうことが抑えられる。
また、一方の軌道本体10Bのピン31Aを、他方の軌道本体10Aの挿入凹部32に挿入することで、一方の軌道本体10Bと他方の軌道本体10Aとが、ピン31Aの軸線に交差する方向に相対的に移動することが抑えられる。これにより、位置規制部30を簡易な構造で形成できる。また、軌道本体10が温度変化によって延伸方向Daに伸縮しても、ピン31Aが挿入凹部32に挿入されている限り、ピン31Aの軸線に交差する方向に相対的に移動することが抑えられる。これにより、軌道本体10の温度変化による伸縮や、車両2の走行による軌道本体10の撓みによる影響が抑えられて、互いに隣り合う軌道本体10の位置がずれてしまうことが抑えられる。
また、ピン31Aは、軌道本体10に対して鉛直方向Dvに揺動可能に支持されている。これにより、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10同士の位置のずれをピン31Aで吸収することができる。また、軌道本体10同士が、熱変形等によって延伸方向Daに交差する方向に撓んだ場合でも、ピン31Aが緩衝部材35及び36の内側で揺動することで、軌道本体10の撓みが吸収される。これらにより、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10がピン31Aの軸線に交差する方向へ位置ずれすることが抑えられる。
また、ガイド20は、突出部122に配置されている。これにより、壁部鉄筋17に固定されたガイド20は、突出部122を形成するコンクリート材で支持される。そのため、ガイド20を支持するために壁部12全体の幅方向Dwの厚みを大きくする必要がない。したがって、壁部12の省スペース化を図ったうえで、ガイド20を低コストで設置することができる。
(実施形態の第一の変形例)
上記実施形態では、位置規制部30では、ピン31Aが、延伸方向Daから見た際に、路盤11に対して幅方向Dwの両端部で壁部12と重なるように配置されている。しかしながら、位置規制部30の配置はこのような構造に限定されるものではない。
例えば、図5に示すように、ピン31A及び挿入凹部32は、軌道本体10の外側突出部125に配置されてもよい。外側突出部125は、壁本体121に対して幅方向Dwの外側に配置されている。外側突出部125は、下部傾斜面1213に固定されている。これにより、外側突出部125は、軌道本体10において、壁部12に対して幅方向Dwの外側に突出するように配置されている。つまり、外側突出部125は、延伸方向Daから見た際に壁部12と重ならない位置に配置され、取り外し可能なボルト等の締結手段により軌道本体10に対し強固に固定された構造となっている。
このような構成によれば、ピン31Aは壁部12に対して幅方向Dwの外側に配置されることとなる。その結果、ピン31Aのメンテナンス等を行う際、延伸方向Daで互いに前後する軌道本体10自体をずらすことなく、外側突出部125を軌道本体10から外して、ピン31Aにアクセスすることができる。これにより、位置規制部30に対するメンテナンス性を向上させることができる。
(実施形態の第二の変形例)
なお、上記実施形態では、ピン31Aを、緩衝部材35及び36の内側に挿入することで、先端部3113を揺動可能としている。しかしながら、ピン31Aを揺動可能とする構造はこのような緩衝部材を有する構造に限定されるものではない。
例えば、図6及び図7に示すように、変形例の位置規制部301では、ピン31Bは、軸部37と、ピン本体38と、を有している。軸部37は、軌道本体10Bに固定されている。軸部37は、幅方向Dwに延びる回転軸37sを有している。ピン本体38は、回転軸37sに接続されている。ピン本体38は、回転軸37sと一体に回動することで、先端部38sが鉛直方向Dvのみに揺動可能に構成されている。軌道本体10Aには、ピン31Bが挿入可能な挿入凹部39が形成されている。
このような構成では、上記実施形態と同様に、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10同士の位置のずれをピン31Bで吸収することができる。また、軌道本体10同士が、熱変形等によって延伸方向Daに交差する方向に撓んだ場合でも、ピン31Bが回転軸37sとともに回転して先端部38sが揺動することで、軌道本体10の撓みが吸収される。これらにより、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10がピン31Bの軸線に交差する方向に位置ずれすることが抑えられる。
(実施形態の第三の変形例)
上記実施形態では、位置規制部30が、幅方向Dw及び鉛直方向Dvの位置を規制する構造として、ピン31Aを有していたが、位置規制部はこのような構造に限定されるものではない。つまり、位置規制部は、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10の少なくとも幅方向Dwの位置を規制することができれば、どのような構造であってもよい。
例えば、図8及び図9に示すように、位置規制部302は、軌道ガイド板41を有する。軌道ガイド板41は、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10の一方の壁部12にボルト等の締結手段により強固に固定されている。軌道ガイド板41は、延伸方向Daにおいて軌道本体10から突出するように形成されている。本実施形態では、軌道ガイド板41は、軌道本体10Bの第一端面11aから突出するように、壁部12に対して第一端面11aのみに配置されている。軌道ガイド板41は、下部傾斜面1213に固定されている。軌道ガイド板41は、平板状の部材である。軌道ガイド板41は、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10の他方の壁部12の壁外面12oに接触可能とされている。本実施形態では、軌道ガイド板41は、軌道本体10Aの第二端面11bにおいて、下部傾斜面1213に接触可能とされている。
このような構成では、一方の軌道本体10Bの軌道ガイド板41を、他方の軌道本体10Aの下部傾斜面1213に接触させることで、一方の軌道本体10Bと他方の軌道本体10Aとが、幅方向Dwに相対的に移動することが抑えられる。これにより、位置規制部301を簡易な構造で形成できる。また、軌道ガイド板41は壁部12に対して幅方向Dwの外側に配置されることとなる。その結果、軌道ガイド板41のメンテナンス等を行う際、延伸方向Daで互いに前後する軌道本体10自体をずらすことなく、幅方向Dwの外側Dwoから軌道ガイド板41にアクセスすることができる。これにより、位置規制部302に対するメンテナンス性を向上させることができる。また、軌道本体10Aの設置時には、軌道本体10Bに対し、軌道本体10Aを上から降下させるだけで位置決めが可能となるため、工程短縮及びコスト低減を図ることができる。
また、上記実施形態では、軌道3の軌道本体10が、幅方向Dwに一組の走行面11fのみを備えるようにしたが、これに限られない。軌道本体10は、幅方向Dwに複数組の走行面11fを備えるようにしてもよい。例えば、図10に示すように、二組の走行面11fを有する構造とした場合には、幅方向Dwにおける二組の走行面11fの間に、壁部として、中間壁部19が配置される。幅方向Dwにおける中間壁部19の両側面は、それぞれ、ガイド20が配置されることが好ましい。
また、上記実施形態において、ガイド20を、断面L字状としたが、これに限られない。例えば、ガイド20を、第一板部201のみを有する平板状としてもよい。このようなガイド20には、帯状の鋼板を用いることができる。また、ガイド20を、第一板部201及び第二板部202に加えて、第一板部201の下側に配置された第三板部をさらに有する断面C型状としてもよい。このようなガイド20には、鋼製のC型鋼を用いることができる。
<付記>
各実施形態に記載の軌道系交通システム1の軌道3は、例えば以下のように把握される。
(1)第1の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、軌道3の延伸方向Daに延びる走行面11fを形成する路盤11、及び前記走行面11fに対して前記延伸方向Daに交差する幅方向Dwの外側Dwoで前記路盤11から鉛直方向Dvに延びるように形成されて前記延伸方向Daに延びる壁部12を有し、コンクリート材に鉄筋が埋設されることで形成された軌道本体10と、前記幅方向Dwにおいて前記壁部12の前記走行面11fを向く壁側面12sに配置されて前記延伸方向Daに延び、前記鉄筋に接続された状態で前記壁部12に対して一体に固定されたガイド20と、を備える。
これにより、ガイド20が壁部12に強固に固定される。その結果、ガイド20が軌道本体10から脱落しづらくなる。さらに、ガイド20が壁部12に一体となるように固定されていることで、ガイド20の振動が抑えられる。その結果、車両2からの荷重をガイド20が受けても、ガイド20がたわみにくくなる。これにより、ガイド20の振動に伴う、ガイド20自体の損傷や壁部12の損傷が抑えられる。これらにより、ガイド20の脱落を抑制し、メンテナンスに要する手間を軽減することができる。また、ガイド20の振動が抑えられることで、振動に伴う騒音も低くなり、軌道周囲環境への騒音を低く抑えることができる。
(2)第2の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(1)の軌道系交通システム1の軌道3であって、前記ガイド20は、前記幅方向Dwにおいて前記走行面11fを向く被接触面20fのみが前記軌道本体10の外部に面していてもよい。
これにより、ガイド20は、壁部12に対して非常に強固に固定される。その結果、ガイド20が壁部12に対してほとんど振動しなくなる。したがって、ガイド20がほとんどたわまなくなる。これにより、ガイド20の脱落を大幅に抑制し、メンテナンスに要する手間を大きく軽減することができる。
(3)第3の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(1)又は(2)の軌道系交通システム1の軌道3であって、前記軌道本体10は、前記延伸方向Daに所定の長さで形成され、前記延伸方向Daに隣接して複数配置され、前記ガイド20は、前記延伸方向Daに隙間sをあけて並んで複数配置されていてもよい。
これにより、ガイド20が隙間sを空けて配置されていることで、ガイド20が伸縮しても、ガイド20同士の干渉が抑えられる。また、軌道本体10が延伸方向Daに隣接していることで、走行面11fにずれや隙間が生じてしまうことを抑えられる。
(4)第4の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(1)から(3)の何れか一つの軌道系交通システム1の軌道3であって、前記延伸方向Daにおける前記ガイド20の第一側Da1の第一端部21、及び前記延伸方向Daにおける前記ガイド20の第二側Da2の第二端部22は、前記鉛直方向Dvの上方Dvuから下方Dvdに向かうにしたがって前記延伸方向Daの第一側Da1に向かうように傾斜して形成され、前記延伸方向Daで互いに隣り合う前記ガイド20同士は、前記延伸方向Daの第一側Da1に配置された前記ガイド20Bの前記第二端部22と、前記延伸方向Daの第二側Da2に配置された前記ガイド20Aの前記第一端部21とが、前記鉛直方向Dvから見て重なるように配置されていてもよい。
これにより、走行面11f上を走行する車両2の案内輪2rは、延伸方向Daに隣り合うガイド20の少なくとも一方と常に接した状態に維持される。このため、車両2の走行中に、ガイド20は、途切れることなく連続的に案内輪2rを案内することができる。また、車両2の進行方向である延伸方向Daに対して隙間sが斜めに形成されることとなるため、案内輪2rが隙間sを通過する際に生じる振動や騒音も抑えることができる。
(5)第5の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(4)の軌道系交通システム1の軌道3であって、前記ガイド20の前記第一端部21及び前記第二端部22の少なくとも一方は、前記幅方向Dwから見た際に、前記軌道本体10から前記延伸方向Daに一部が突出するように形成されていてもよい。
これにより、二つの軌道本体10A及び軌道本体10Bの間でも鉛直方向Dvから見てガイド20同士が互いに重なり合うように、延伸方向Daで隣り合う二つの軌道本体10A及び軌道本体10Bを設置することが容易にできる。
(6)第6の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(1)から(5)の何れか一つの軌道系交通システム1の軌道3であって、前記延伸方向Daにおける前記軌道本体10の第一側Da1の第一端面11a、及び前記延伸方向Daにおける前記軌道本体10の第二側Da2の第二端面11bは、前記走行面11fに対して直交する面として形成されていてもよい。
これにより、軌道本体10の第一端面11a及び第二端面11bを傾斜させる場合と比較し、第一端面11a及び第二端面11bを容易に形成することができる。さらに、軌道本体10を延伸方向Daに隣接するように設置する際に、鉛直方向Dvに移動させるだけで軌道本体10を互いに接触させた状態で設置することが容易にできる。
(7)第7の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(1)から(6)の何れか一つの軌道系交通システム1の軌道3であって、前記軌道本体10に固定され、前記延伸方向Daで互いに隣り合う前記軌道本体10の前記幅方向Dwの位置を規制する位置規制部30をさらに備えていてもよい。
これにより、互いに隣り合う軌道本体10の位置がずれてしまうことが抑えられる。
(8)第8の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(7)の軌道系交通システム1の軌道3であって、前記位置規制部30は、前記延伸方向Daで互いに隣り合う前記軌道本体10の一方に支持され、前記幅方向Dwから見た際に前記軌道本体10から突出するピン31Aと、前記延伸方向Daで互いに隣り合う前記軌道本体10の他方に形成され、前記ピン31Aが挿入可能とされた挿入凹部32と、を有していてもよい。
これにより、一方の軌道本体10Bのピン31Aを、他方の軌道本体10Aの挿入凹部32に挿入することで、一方の軌道本体10Bと他方の軌道本体10Aとが、ピン31Aの軸線に交差する方向に相対的に移動することが抑えられる。これにより、位置規制部30を簡易な構造で形成できる。また、軌道本体10が温度変化によって延伸方向Daに伸縮しても、ピン31Aが挿入凹部32に挿入されている限り、ピン31Aの軸線に交差する方向に相対的に移動することが抑えられる。これにより、軌道本体10の温度変化による伸縮や、車両2の走行による軌道本体10の撓みによる影響が抑えて、互いに隣り合う軌道本体10の位置がずれてしまうことが抑えられる。
(9)第9の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(8)の軌道系交通システム1の軌道3であって、前記ピン31Aは、前記軌道本体10に対して、少なくとも前記鉛直方向Dvに揺動可能とされていてもよい。
これにより、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10同士の位置のずれをピン31Aで吸収することができる。また、軌道本体10同士が、熱変形等によって延伸方向Daに交差する方向に撓んだ場合でも、ピン31Aが揺動することで、軌道本体10の撓みが吸収される。これらにより、延伸方向Daで互いに隣り合う軌道本体10がピン31Aの軸線に交差する方向へ位置ずれすることが抑えられる。
(10)第10の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(8)又は(9)の軌道系交通システム1の軌道3であって、前記軌道本体10は、前記壁部12に対して前記幅方向Dwの外側Dwoに突出するように、前記幅方向Dwにおいて前記壁側面12sと反対側を向く壁外面12oに取り外し可能な締結手段で固定された外側突出部125をさらに有し、前記ピン31Aは、前記外側突出部125に配置されていてもよい。
これにより、ピン31Aは壁部12に対して幅方向Dwの外側に配置されることとなる。その結果。ピン31Aのメンテナンス等を行う際、延伸方向Daで互いに前後する軌道本体10自体をずらすことなく、幅方向Dwの外側Dwoから外側突出部125を外してピン31Aにアクセスすることができる。これにより、位置規制部30に対するメンテナンス性を向上させることができる。
(11)第11の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(7)の軌道系交通システム1の軌道3であって、前記位置規制部302は、前記延伸方向Daで互いに隣り合う前記軌道本体10の一方の前記壁部12に固定され、前記延伸方向Daにおいて前記軌道本体10から突出するように形成された軌道ガイド板41を有し、前記軌道ガイド板41は、前記軌道本体10の一方において、前記幅方向Dwにおいて前記壁側面12sと反対側を向く壁外面12oに固定されて、前記延伸方向Daで互いに隣り合う前記軌道本体10の他方の前記壁部12の前記壁外面12oに接触可能とされていてもよい。
これにより、一方の軌道本体10Bの軌道ガイド板41を、他方の軌道本体10Aを下降させることにより、下部傾斜面1213に接触させることで、一方の軌道本体10Bと他方の軌道本体10Aとが、幅方向Dwに相対的に移動することが抑えられる。これにより、位置規制部301を簡易な構造で形成できるので、設置時間も短くでき工程短縮を図ることができるとともに、コスト低減も可能となる。
(12)第12の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(1)から(11)の何れか一つの軌道系交通システム1の軌道3であって、前記壁部12は、前記路盤11に対して前記鉛直方向Dvに離れた位置で、前記幅方向Dwの内側Dwiに突出する突出部122をさらに備え、前記ガイド20は、前記突出部122に配置されていてもよい。
これにより、鉄筋に固定されたガイド20は、突出部122を形成するコンクリート材で支持される。そのため、ガイド20を支持するために壁部12全体の幅方向Dwの厚みを大きくする必要がない。したがって、壁部12の省スペース化を図ったうえで、ガイド20を低コストで設置することができる。
(13)第13の態様に係る軌道系交通システム1の軌道3は、(1)から(11)の何れか一つの軌道系交通システム1の軌道3であって、前記軌道本体は、プレキャストコンクリートによって形成されていてもよい。
これにより、軌道本体10を、現場打ちコンクリートではなく、予め工場で製作することができる。したがって、軌道本体10を高精度に形成することができる。また、ガイド20が軌道本体10に予め一体化されることで、ガイド20を支持するための金具等も不要となり、現場でコンクリート打設を行う必要もない。したがって、組立時における作業効率を高め、施工コストの低減、短工期化を図ることができる。
1…軌道系交通システム
2…車両
2f…走行輪
2r…案内輪
3…軌道
5…軌道ユニット
10、10A、10B…軌道本体
11…路盤
11a…第一端面
11b…第二端面
11f…走行面
12…壁部
12o…壁外面
12s…壁側面
121…壁本体
1212…上部傾斜面
1213…下部傾斜面
122…突出部
125…外側突出部
14…路盤コンクリート材
15…路盤鉄筋
1512…路盤せん断補強筋
1513…走行路補強筋
16…壁部コンクリート材
17…壁部鉄筋
171…本体鉄筋
172…突出部鉄筋
1712…せん断補強筋
20、20A、20B…ガイド
20f…被接触面
201…第一板部
202…第二板部
21…第一端部
21b…第一ガイド下端
21t…第一ガイド上端
22…第二端部
22b…第二ガイド下端
22t…第二ガイド上端
30、301、302…位置規制部
31A、31B…ピン
311、38…ピン本体
3112…基端部
3113、38s…先端部
312…フランジ
32、39…挿入凹部
33…ピン保持穴
35、36…緩衝部材
37…軸部
37s…回転軸
41…軌道ガイド板
Da…延伸方向
Da1…第一側
Da2…第二側
Dv…鉛直方向
Dvu…上方
Dvd…下方
Dw…幅方向
Dwi…内側
Dwo…外側
s…隙間
θ…傾斜角度

Claims (13)

  1. 延伸方向に延びる走行面を形成する路盤、及び前記走行面に対して前記延伸方向に交差する幅方向の外側で前記路盤から鉛直方向に延びるように形成されて前記延伸方向に延びる壁部を有し、コンクリート材に鉄筋が埋設されることで形成された軌道本体と、
    前記幅方向において前記壁部の前記走行面を向く壁側面に配置されて前記延伸方向に延び、前記鉄筋に接続された状態で前記壁部に対して一体に固定されたガイドと、を備える軌道系交通システムの軌道。
  2. 前記ガイドは、前記幅方向において前記走行面を向く被接触面のみが前記軌道本体の外部に面している請求項1に記載の軌道系交通システムの軌道。
  3. 前記軌道本体は、前記延伸方向に所定の長さで形成され、前記延伸方向に隣接して複数配置され、
    前記ガイドは、前記延伸方向に隙間をあけて並んで複数配置されている請求項1又は2に記載の軌道系交通システムの軌道。
  4. 前記延伸方向における前記ガイドの第一側の第一端部、及び前記延伸方向における前記ガイドの第二側の第二端部は、前記鉛直方向の上方から下方に向かうにしたがって前記延伸方向の第一側に向かうように傾斜して形成され、
    前記延伸方向で互いに隣り合う前記ガイド同士は、前記延伸方向の第一側に配置された前記ガイドの前記第二端部と、前記延伸方向の第二側に配置された前記ガイドの前記第一端部とが、前記鉛直方向から見て重なるように配置されている請求項1から3の何れか一項に記載の軌道系交通システムの軌道。
  5. 前記ガイドの前記第一端部及び前記第二端部の少なくとも一方は、前記幅方向から見た際に、前記軌道本体から前記延伸方向に一部が突出するように形成されている請求項4に記載の軌道系交通システムの軌道。
  6. 前記延伸方向における前記軌道本体の第一側の第一端面、及び前記延伸方向における前記軌道本体の第二側の第二端面は、前記走行面に対して直交する面として形成されている請求項1から5の何れか一項に記載の軌道系交通システムの軌道。
  7. 前記軌道本体に固定され、前記延伸方向で互いに隣り合う前記軌道本体の前記幅方向の位置を規制する位置規制部をさらに備える請求項1から6のいずれか一項に記載の軌道系交通システムの軌道。
  8. 前記位置規制部は、
    前記延伸方向で互いに隣り合う前記軌道本体の一方に支持され、前記幅方向から見た際に前記軌道本体から突出するピンと、
    前記延伸方向で互いに隣り合う前記軌道本体の他方に形成され、前記ピンが挿入可能とされた挿入凹部と、を有する請求項7に記載の軌道系交通システムの軌道。
  9. 前記ピンは、前記軌道本体に対して、少なくとも前記鉛直方向に揺動可能とされている請求項8に記載の軌道系交通システムの軌道。
  10. 前記軌道本体は、前記壁部に対して前記幅方向の外側に突出するように、前記幅方向において前記壁側面と反対側を向く壁外面に取り外し可能な締結手段で固定された外側突出部をさらに有し、
    前記ピンは、前記外側突出部に配置されている請求項8又は9に記載の軌道系交通システムの軌道。
  11. 前記位置規制部は、前記延伸方向で互いに隣り合う前記軌道本体の一方の前記壁部に固定され、前記延伸方向において前記軌道本体から突出するように形成された軌道ガイド板を有し、
    前記軌道ガイド板は、前記軌道本体の一方において、前記幅方向において前記壁側面と反対側を向く壁外面に固定されて、前記延伸方向で互いに隣り合う前記軌道本体の他方の前記壁部の前記壁外面に接触可能とされている請求項7に記載の軌道系交通システムの軌道。
  12. 前記壁部は、前記路盤に対して前記鉛直方向に離れた位置で、前記幅方向の内側に突出する突出部をさらに備え、
    前記ガイドは、前記突出部に配置されている請求項1から11の何れか一項に記載の軌道系交通システムの軌道。
  13. 前記軌道本体は、プレキャストコンクリートによって形成されている請求項1から12の何れか一項に記載の軌道系交通システムの軌道。
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