JP2022076736A - 融合細胞、融合細胞の製造方法、細胞塊、植物体及び植物体の製造方法 - Google Patents

融合細胞、融合細胞の製造方法、細胞塊、植物体及び植物体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】育成して植物体を得ることのできる、融合細胞、融合細胞の製造方法、細胞塊、植物体及び植物体の製造方法を提供する。【解決手段】植物の融合細胞を製造する方法を提供する。前記方法は、植物の卵細胞又はそれに由来する細胞と、植物の精細胞又はそれに由来する細胞と、を融合させて、融合細胞を得る工程を含む方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、融合細胞、融合細胞の製造方法、細胞塊、植物体及び植物体の製造方法に関する。
農業や園芸の市場では、種子又は果実の収穫量が多い植物体や、大きな花が咲く植物体、環境ストレス耐性が向上した植物体等が求められている。このような形質を有する植物体は、例えば、異種交配により得られることが知られている。
しかしながら、異種間での受精は困難であることが多く、効率の良い種間交雑技術が望まれている。これに対し、発明者らは、異なる植物種の卵細胞及び精細胞を、電気融合により融合させる技術を開発してきた(例えば、特許文献1)。
特許第6436701号公報
しかしながら、異なる植物種の卵細胞及び精細胞から得られた受精卵は、胚性致死等の表現型を示し、育成して植物体を得ることができない場合がある。
そこで、本発明は、育成して植物体を得ることのできる、融合細胞、融合細胞の製造方法、細胞塊、植物体及び植物体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]植物の卵細胞又はそれに由来する細胞と、植物の精細胞又はそれに由来する細胞と、を融合させて、融合細胞を得る工程を含む、融合細胞の製造方法。
[2]前記卵細胞は、互いに異なる2種類以上の植物種の卵細胞を含む、[1]に記載の製造方法。
[3]前記卵細胞の由来する植物種が属する分類群と、前記精細胞の由来する植物種が属する分類群とは、同一の科以下の分類群に属する、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]前記卵細胞は、イネ科に属する植物種の卵細胞である、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記卵細胞は、イネ科イチゴツナギ亜科、イネ科エールハルタ亜科又はイネ科キビ亜科に属する植物種の卵細胞である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の製造方法で得られた融合細胞を培養して、細胞塊を得る工程を含む、細胞塊の製造方法。
[7][1]~[5]のいずれかに記載の製造方法で得られた融合細胞から、植物体を生産する工程を含む、植物体の製造方法。
[8][1]~[5]のいずれかに記載の製造方法で得られた融合細胞。
[9][1]~[5]のいずれかに記載の製造方法で得られた融合細胞から育成された植物体。
[10]植物の卵細胞又はそれに由来する細胞と、植物の精細胞又はそれに由来する細胞と、を融合させた融合細胞の核ゲノムDNAが、第1の植物種の核ゲノムDNAの全部又は一部を有し、前記融合細胞の核ゲノムDNAが、第2の植物種の核ゲノムDNAの30%以下を有し、前記第1の植物種と前記第2の植物種が異なる、融合細胞。
[11]前記融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAが、第1の植物種のミトコンドリアゲノムDNAの一部又は全部、及び、第2の植物種のミトコンドリアゲノムDNAの一部又は全部を有する、[10]に記載の融合細胞。
[12]前記融合細胞のプラスチドゲノムDNAが、前記第1の植物種のプラスチドゲノムDNAの一部又は全部、及び、前記第2の植物種のプラスチドゲノムDNAの一部又は全部を有する、[10]又は[11]に記載の融合細胞。
[13]前記融合細胞は、植物の卵細胞又はそれに由来する細胞と、植物の精細胞又はそれに由来する細胞との融合細胞である、[10]~[12]のいずれかに記載の融合細胞。
[14]前記第1の植物種及び/又は前記第2の植物種は、イネ科に属する植物種である、[10]~[13]のいずれかに記載の融合細胞。
[15]前記第1の植物種及び/又は前記第2の植物種は、イネ科イチゴツナギ亜科、イネ科エールハルタ亜科又はイネ科キビ亜科に属する植物種である、[10]~[14]のいずれかに記載の融合細胞。
[16]前記第1の植物種は、イネ科イチゴツナギ亜科に属する植物種であり、
前記第2の植物種は、イネ科エールハルタ亜科に属する植物種である、[10]~[15]のいずれかに記載の融合細胞。
[17][10]~[16]のいずれかに記載の融合細胞から育成された植物体。
本発明によれば、育成して植物体を得ることのできる、融合細胞、融合細胞の製造方法、細胞塊、植物体及び植物体の製造方法を提供できる。
本発明の一実施形態に係る融合細胞の製造方法を説明する模式図である。 本発明の一実施形態に係る融合細胞の製造方法を説明する模式図である。 本発明の一実施形態に係る融合細胞の製造方法を説明する模式図である。 本発明の一実施形態に係る融合細胞の製造方法を説明する模式図である。 本発明の一実施形態に係る融合細胞の製造方法を説明する模式図である。 本発明の一実施形態に係る融合細胞の製造方法を説明する模式図である。 イネ卵細胞、コムギ卵細胞及びコムギ精細胞を融合して得られた融合細胞を育成した植物体の写真である。 イネ卵細胞、イネ精細胞、コムギ卵細胞及びコムギ精細胞を融合して得られた融合細胞を育成した植物体の写真である。 4倍体イネから単離したイネ精細胞及びコムギ卵細胞を融合して得られた融合細胞から育成された植物体の写真である。 トウモロコシ精細胞及びコムギ卵細胞を融合して得られた融合細胞から育成された胚様体、細胞塊、および植物体の写真である。 イネ卵細胞、コムギ卵細胞及びコムギ精細胞を融合して得られた融合細胞から育成された植物体の、核ゲノムDNA、ミトコンドリアゲノムDNA、プラスチドゲノムDNAのマッピングの結果を示す図である。 イネ卵細胞、コムギ卵細胞及びコムギ精細胞を融合して得られた融合細胞から育成された植物体の、核ゲノムDNA、ミトコンドリアゲノムDNA、プラスチドゲノムDNAのマッピングの結果を示す図である。 イネ卵細胞、コムギ卵細胞及びコムギ精細胞を融合して得られた融合細胞から育成された植物体の、核ゲノムDNA、ミトコンドリアゲノムDNA、プラスチドゲノムDNAのマッピングの結果を示す図である。 イネ卵細胞、コムギ卵細胞及びコムギ精細胞を融合して得られた融合細胞、およびコムギ卵細胞、イネ卵細胞、コムギ精細胞およびイネ精細胞を融合して得られた融合細胞から育成された植物体の、ミトコンドリアゲノムDNA、プラスチドゲノムDNAの組成を示す図である。
≪融合細胞の製造方法≫
1実施形態において、本発明は、植物の卵細胞又はそれに由来する細胞と、植物の精細胞又はそれに由来する細胞と、を融合させて、融合細胞を得る工程を含む、融合細胞の製造方法を提供する。
本明細書において「卵細胞」とは、雌ずいの中において、胚嚢母細胞の減数分裂により形成される雌性配偶子を意味する。卵細胞の単離方法は限定されないが、例えば、適切な浸透圧の溶液中において子房を切断し、その切断面から出てきた卵細胞を顕微鏡下においてガラスキャピラリーを用いて単離することができる。
本明細書において「精細胞」とは、雄ずいの葯の中において、花粉母細胞の減数分裂により形成される雄性配偶子を意味する。精細胞の単離方法は限定されないが、例えば、適切な浸透圧の溶液に葯から採取した花粉を浸すと、数分後には、花粉から精細胞を含む花粉内容物が溶液中に放出されるので、顕微鏡下においてガラスキャピラリーを用いて精細胞を単離することができる。
本実施形態において、「植物の卵細胞に由来する細胞」とは、植物の卵細胞と任意の細胞とが融合された細胞を意味し、例えば、複数の卵細胞が融合された細胞であってもよいし、卵細胞と精細胞とが融合された細胞であってもよい。細胞の由来は、細胞の有するゲノム情報を解析することにより判別できる。
複数の卵細胞が融合された細胞の倍数性は特に限定されず、例えば、2倍体、3倍体、4倍体、5倍体、6倍体、7倍体、8倍体等であってもよい。これらの中でも、複数の卵細胞が融合された細胞は、2倍体、3倍体又は4倍体であることが好ましく、2倍体であることがより好ましい。
本実施形態において、卵細胞の植物種は特に限定されず、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。卵細胞は、互いに異なる2種類以上の植物種の卵細胞を含むことが好ましい。
卵細胞の植物種が互いに異なる2種類以上の植物種の卵細胞を含む場合、例えば異なる細胞質の遺伝情報に由来する、新たな、優良な形質を有する融合細胞を製造することができる。
互いに異なる2種類以上の植物種とは、植物種が、互いに異なる種以上の分類群に属していてもよいし、互いに異なる属以上の分類群に属していてもよいし、互いに異なる亜科以上の分類群に属していてもよいし、互いに異なる科以上の分類群に属していてもよい。
本実施形態において、「植物の精細胞に由来する細胞」とは、植物の精細胞と任意の細胞とが融合された細胞を意味し、例えば、複数の精細胞が融合された細胞であってもよいし、精細胞と卵細胞とが融合された細胞であってもよい。細胞の由来は、細胞の有するゲノム情報を解析することにより判別できる。
本実施形態において、融合細胞の材料となる1倍体の卵細胞の個数をm個とし、融合細胞の材料となる1倍体の精細胞をn個とすると、nはm以下であることが好ましい。
例えば、融合細胞の製造において、2個の1倍体の卵細胞を融合させる場合は、2個の1倍体の卵細胞と、1個又は2個の1倍体の精細胞とを融合することが好ましい。
卵細胞及び/又は精細胞の属する植物種の科としては、例えば、アオイ科、アオギリ科、アカザ科、アカネ科、アサ科、アブラナ科、アマ科、イネ科、ウリ科、ウルシ科、カキノキ科、カバノキ科、キク科、クサスギカズラ科、クワ科、クルミ科、ゴマ科、コショウ科、サトイモ科、シソ科、ショウガ科、セリ科、タデ科、ツツジ科、ツバキ科、ナス科、パイナップル科、バショウ科、ハス科、パパイア科、バラ科、ヒルガオ科、ブナ科、マタタビ科、マメ科、ミカン科、モクセイ科、ヤマノイモ科、ユリ科等が挙げられる。
また、卵細胞及び/又は精細胞の属する植物種の属としては、例えば、以下に示すような属が挙げられる。
イネ科の属としては、例えば、マダケ属、オオムギ属、コムギ属、イネ属、コヌカグサ属、シバ属、サトウキビ属、キビ属、ヒエ属、モロコシ属、トウモロコシ属等が挙げられる。
アブラナ科の属としては、例えば、アブラナ属、シロイヌナズナ属、ワサビ属、セイヨウワサビ属、ナズナ属、キバナスズシロ属、ダイコン属、グンバイナズナ属等が挙げられる。
アカザ科の属としては、例えば、ホウレンソウ属、フダンソウ属等が挙げられる。
マメ科の属としては、例えば、インゲン属、エンドウ属、ソラマメ属、ナタマメ属、ダイズ属、クズ属、ササゲ属、デイゴ属、フジマメ属、キマメ属、ラッカセイ属、ヒヨコマメ属、シタン属、ハギ属、ゲンゲ属、カンゾウ属、エニシダ属、クアスタマメ属、ミヤコグサ属、ルピナス属、フジ属等が挙げられる。
ナス科の属としては、例えば、ナス属、トウガラシ属、タバコ属、チョウセンアサガオ属、ホオズキ属、ペチュニア属等が挙げられる。
本実施形態において、卵細胞が属する植物種の分類群は、イネ科又はマメ科であることが好ましい。
イネ科に属する植物種の卵細胞は、他の植物種の卵細胞と比較して大きく、卵細胞の取り扱い、融合細胞の製造等が容易であるため、より容易に融合細胞を製造することができ、得られた融合細胞を育成してより容易に植物体を製造することができる。
マメ科に属する植物種は、窒素固定細菌と共生して窒素固定が可能であるため、得られた融合細胞から、園芸及び農業分野において有用な植物体を製造できる。
卵細胞は、イネ科イチゴツナギ亜科、イネ科エールハルタ亜科又はイネ科キビ亜科に属する植物種の卵細胞であることが好ましい。この場合、得られた融合細胞、及び、融合植物を育成して得られる植物体は、食料として栽培可能であり、農業において有用である。
卵細胞が属する植物種の分類群は、イネ科イチゴツナギ亜科の、オオムギ属、コムギ属又はライムギ属が好ましい。
あるいは、卵細胞が属する植物種の分類群は、イネ科エールハルタ亜科のイネ属が好ましい。
あるいは、卵細胞が属する植物種の分類群は、イネ科キビ亜科の、サトウキビ属、モロコシ属、トウモロコシ属、キビ属又はヒエ属が好ましい。
より具体的には、卵細胞が属する植物種としては、アジアイネ(O.sativa L.)、オリザ・ルフィポゴン(O.rufipogon sensu lato)、アフリカイネ(O.glaberrima Steud.)、野生イネ(O.rufipogon,O. barthii,O.longistaminata,O.meridionalis等)、パンコムギ(Triticum aestivum)、デュラムコムギ(Triticum durum)、トウモロコシ(Zea mays)等が挙げられる。
本実施形態に係る製造方法において、少なくとも一組の卵細胞及び精細胞の、前記卵細胞が属する植物種の分類群と、前記精細胞が属する植物種の分類群とは、同一の科以下に属する分類群であることが好ましく、同一の属以下に属する分類群であることがより好ましく、同一の種以下に属する分類群であることが更に好ましい。種以下の分類群としては、品種、系統、亜種、変種等を例示できる。
本実施形態に係る製造方法において、卵細胞が属する植物種の分類群と、精細胞が属する植物種の分類群とは、同一の科であることが好ましく、同一の属であることがより好ましく、同一の種であることが更に好ましい。
卵細胞が属する植物種の分類群と、精細胞が属する植物種の分類群とが、同一の亜科以下の分類群に属することにより、発生が良好となり、得られた融合細胞を育成してより容易に植物体を製造することができる。
本実施形態において、卵細胞が属する植物は、例えば、C植物であってもよいし、C植物であってもよい。
前記C植物の分類群としては、例えば、イネ属、コムギ属等が挙げられる。
前記C植物の分類群としては、例えば、サトウキビ属、モロコシ属、トウモロコシ属、キビ属、ヒエ属、エノコログサ属等が挙げられる。
植物は、主要穀物であるため、得られた融合細胞を育成して園芸、農業において有用な植物体を製造することができる。
有用な農業作物を製造する観点から、卵細胞が属する植物は、C植物であることが好ましい。C植物は、高温、乾燥等の環境においても二酸化炭素を固定することができ、得られた融合細胞を育成して、園芸、農業において、ストレス耐性の高い有用な植物体を製造することができる。
上記に例示したなかでも、卵細胞が属する植物種の分類群は、イネ科イチゴツナギ亜科が好ましく、コムギ属がより好ましい。
また、少なくとも一組の卵細胞及び精細胞が属する植物種の分類群は、イネ科イチゴツナギ亜科が好ましく、コムギ属がより好ましい。
卵細胞が互いに異なる2種類以上の植物種の卵細胞を含む場合、当該卵細胞が属する植物種の分類群は、イネ科に属し且つイチゴツナギ亜科に属さないことが好ましく、イネ科エールハルタ亜科又はイネ科キビ亜科であることがより好ましく、イネ科エールハルタ亜科であることがより好ましい。
卵細胞及び精細胞は、遺伝子組み換え植物から得られたものであってもよい。ここで、遺伝子組み換え植物とは、例えば、ゲノムDNAが改変された植物であってもよいし、ベクターを保持する植物であってもよい。
卵細胞、精細胞、融合細胞は、核酸、タンパク質、ペプチド等が導入されたものであってもよい。導入する方法としては、例えば、特開2019-129705、特開2020-72645に記載された方法が挙げられる。
本実施形態において、精細胞が属する植物種としては、卵細胞が属する植物種と同一の種を例示することができる。
より具体的には、例えば、次に例示するような、第1~第4実施形態が挙げられる。各実施形態において、卵細胞の植物種及び精細胞の植物種としては、上述の植物種を例示することができる。
第1~第4実施形態について、図1~6に例示される図を用いて説明する。
<第1実施形態>
本実施形態にかかる製造方法は、図1に例示するように、第1の卵細胞と、第1の精細胞とを融合させて融合細胞を製造する方法である。
卵細胞の植物種は、精細胞の植物種とは異なる。
卵細胞、精細胞の属する植物種の分類群としては、上述した分類群を挙げることができる。
卵細胞の植物種及び精細胞の植物種の分類群は、イネ科であることが好ましく、イネ科イチゴツナギ亜科、イネ科エールハルタ亜科又はイネ科キビ亜科であることがより好ましい。
精細胞は、例えば、2倍体の精細胞であってもよく、より具体的には、イネ科エールハルタ亜科に属する植物種の4倍体の植物体から得られる2倍体の精細胞であってもよい。
あるいは、精細胞の植物種は、イネ科キビ亜科に属する植物種であってもよい。
<第2実施形態>
本実施形態にかかる融合細胞の製造方法は、第1の卵細胞と、第2の卵細胞と、第1の精細胞と、を融合させて融合細胞を製造する方法である。
図2は、本発明の一実施形態に係る融合細胞の製造方法を説明する模式図である。
図2中、より系統関係の近いゲノム情報を有する細胞の核同士を意図して、これらを同じハッチングを用いて示しており、以下の図3~6においても同様である。
本実施形態にかかる製造方法は、図2に例示するように、第1の卵細胞と、第1の精細胞とを融合させて第1の融合細胞を得る工程と、第1の融合細胞と、第2の卵細胞とを融合させる工程とを含むものであってもよい。
また、本実施形態にかかる製造方法は、第2の卵細胞と、第1の精細胞とを融合させて第1の融合細胞を得る工程と、第1の融合細胞と、第1の卵細胞とを融合させる工程とを含むものであってもよい。
また、本実施形態にかかる製造方法は、図3に例示するように、第1の卵細胞と、第2の卵細胞とを融合させて第1の融合細胞を得る工程と、第1の融合細胞と、第1の精細胞とを融合させる工程とを含むものであってもよい。
本実施形態における製造方法において、第1の卵細胞及び第2の卵細胞のうちの少なくとも1個の卵細胞は、精細胞とは異なる植物種のものであることが好ましい。
第1の精細胞が属する植物種の科以下の分類群は、第1の卵細胞が属する植物種の亜科以下の分類群、又は、第2の卵細胞が属する植物種の亜科以下の分類群と同一であることが好ましい。この場合、融合細胞の初期発生が安定して進み、より確実に、融合細胞を育成して植物体を得ることができる。
第1の卵細胞が属する植物種の分類群は、第2の卵細胞が属する植物種の分類群とは異なることが好ましい。この場合、得られる融合細胞の遺伝情報は、第1の卵細胞の遺伝情報及び第2の卵細胞の遺伝情報を併せ持つものであり、多様な形質を有する融合細胞を得ることができる。
卵細胞、精細胞の属する植物種の分類群としては、上述した分類群を挙げることができる。
第1の精細胞の属する植物種の分類群は、イネ科であることが好ましく、イネ科イチゴツナギ亜科であることがより好ましい。
第1の精細胞が属する植物種及び第1の卵細胞が属する植物種の分類群が、イネ科イチゴツナギ亜科である場合、第2の卵細胞が属する植物種の分類群は特に限定されないが、イネ科であることが好ましく、イネ科エールハルタ亜科又はイネ科キビ亜科であることがより好ましく、イネ科エールハルタ亜科であることがより好ましい。
<第3実施形態>
本実施形態にかかる製造方法は、第1の卵細胞と、第2の卵細胞と、第1の精細胞と、第2の精細胞と、を融合させて融合細胞を製造する方法である。
本実施形態における製造方法において、2個の卵細胞のうちの少なくとも1個の卵細胞は、2個の精細胞のうちの少なくとも1個の精細胞とは異なる植物種のものである。
本実施形態にかかる製造方法は、図4に例示するように、第1の卵細胞と、第1の精細胞とを融合させて第1の融合細胞を得る工程と、第1の融合細胞と、第2の精細胞を融合させて第2の融合細胞を得る工程と、第2の融合細胞と、第2の卵細胞とを融合させる工程とを含むものであってもよい。
また、本実施形態にかかる製造方法は、図5に例示するように、第1の卵細胞と、第1の精細胞とを融合させて第1の融合細胞を得る工程と、第2の卵細胞と、第2の精細胞とを融合させて第2の融合細胞を得る工程と、第1の融合細胞と、第2の融合細胞とを融合させる工程とを含むものであってもよい。
また、本実施形態にかかる製造方法は、図6に例示するように、第1の卵細胞と、第2の卵細胞とを融合させて第1の融合細胞を得る工程と、第1の融合細胞と、第1の精細胞とを融合させて第2の融合細胞を得る工程と、第2の融合細胞と、第2の精細胞とを融合させる工程とを含むものであってもよい。
2個の卵細胞のうちの少なくとも1個の卵細胞が属する植物種の亜科以下の分類群は、2個の精細胞のうちの少なくとも1個の精細胞が属する植物種の亜科以下の分類群と同一であることが好ましい。この場合、融合細胞の初期発生が安定して進み、より確実に、融合細胞を育成して植物体を得ることができる。
第1の卵細胞が属する植物種の分類群は、第2の卵細胞が属する植物種の分類群とは異なることが好ましい。この場合、得られる融合細胞の遺伝情報は、第1の卵細胞の遺伝情報及び第2の卵細胞の遺伝情報を併せ持つものであり、多様な形質を有する融合細胞を得ることができる。
卵細胞、精細胞の属する植物種の分類群としては、上述した分類群を挙げることができる。
卵細胞のうちの少なくとも1個の卵細胞が属する植物種の分類群は、イネ科イチゴツナギ亜科であることがより好ましい。
精細胞のうちの少なくとも1個の精細胞が属する植物種は、イネ科イチゴツナギ亜科であることがより好ましい。
卵細胞及び精細胞が属する植物種の分類群は、イネ科イチゴツナギ亜科、イネ科エールハルタ亜科又はイネ科キビ亜科であることが更に好ましい。
<第4実施形態>
本実施形態にかかる製造方法は、2種類以上の植物種の卵細胞又はそれに由来する細胞と、1種類又は2種類以上の植物種の精細胞とを融合させる方法である。本実施形態において、材料となる1倍体の卵細胞の個数及び1倍体の精細胞の個数の総数は、5個以上であり、1倍体の卵細胞の個数は3個以上である。
卵細胞、精細胞の属する植物種の分類群としては、上述した分類群を挙げることができる。
卵細胞のうちの少なくとも1個の卵細胞が属する植物種は、イネ科であることが好ましい。
卵細胞のうちの少なくとも1個の卵細胞が属する植物種の分類群は、イネ科イチゴツナギ亜科であることがより好ましい。
精細胞のうちの少なくとも1個の精細胞が属する植物種の分類群は、イネ科イチゴツナギ亜科であることが好ましい。
<融合>
本明細書において、「細胞を融合させる」とは、同種あるいは異種の2個以上の細胞の細胞質を融合させることをいい、人為的に融合させることが好ましい。人為的に融合させることとして、in vitroで融合させることを例示できる。本明細書において「融合細胞」とは、同種又は異種の2個以上の細胞を融合させることによって形成された細胞を意味し、同種又は異種の2個以上の、細胞質を有する細胞を融合させることによって形成された細胞を意味することが好ましい。細胞を融合する方法は特に限定されないが、電気融合により行うことが好ましい。
電気融合により細胞融合を行う場合、電圧、溶液の浸透圧等の条件は、当業者が適宜設定することができる。
電気融合の条件としては特に限定されないが、例えば、以下のような条件が挙げられる(例えば、特許第6436701号を参照)。
植物細胞を電気融合させる際の直流電圧は、5~30kv/cmであることが好ましく、8~20kv/cmであることがより好ましく、12~15kv/cmであることが更に好ましい。
植物細胞を電気融合させる際の溶液の浸透圧は、下限を380mosmol/kg HO以上とすることが好ましく、390mosmol/kg HO以上とすることがより好ましく、400mosmol/kg HO以上とすることがさらに好ましい。また、上限を470mosmol/kg HO以下とすることが好ましく、460mosmol/kg HO以下とすることがより好ましく、450mosmol/kg HO以下とすることがさらに好ましい。上限と下限は、当業者がそれぞれ適宜選択することができる。
≪細胞塊の製造方法≫
1実施形態において、本発明は、上述の製造方法で得られた融合細胞を培養して、細胞塊を得る工程を含む、細胞塊の製造方法を提供する。本実施形態において、細胞塊とは、例えば、球状様胚、胚様体、カルス等が挙げられる。
上述の融合細胞を培養して細胞塊を得る方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法であってもよい。細胞塊を得る方法としては、例えば、次に挙げるような融合細胞をカルス化して、細胞塊を得る方法が挙げられる。
まず、融合細胞を、培地に入れて振とう培養する。培地としては、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタレン酢酸等のオーキシンを添加した、液体のMS培地(T. Murashige et al., Physiol. Plant., 15, 473 (1962))、B5培地(O.L.Gamborg et al, Experimental Cell Research, 50, 151-158 (1968))、N6培地(Chu et al., Sci. Sinica, 18, 659-668(1975))等が挙げられる。振とう速度は30~50rpmであってもよく、培養の温度は24~28℃であってもよい。培養は暗下で行うことが好ましい。培地へのオーキシンの添加濃度は、0.1~0.3mg/Lであってもよい。培地にはフィーダー細胞を加えるのが好ましい。培養期間は、4~7日であってもよい。
振とう培養して得られた直径50~200μm程度の球状様胚を、フィーダー細胞を加えていない上記の培地に移し、さらに10~20日程度培養し、細胞コロニーを得る。
その後、オーキシン及び/又はカイネチンを含む任意の培地、例えばN6培地に入れて培養しカルスを形成させる。この際、培養は光を照射して行うことが好ましく、光は、例えば、50~400μmol photons m-2 sec-1がより好ましい。カルス形成用の培地には支持体が含まれることが好ましく、支持体としては、例えば寒天やゲランガム、ゲルライト等を使用することができる。
≪植物体の製造方法≫
1実施形態において、本発明は、上述の製造方法で得られた融合細胞から、植物体を生産する工程を含む、植物体の製造方法を提供する。
本実施形態により得られる植物体は、稔性を有し、種子を生産可能である。そのため、種子を栽培することにより、容易に植物体の後代を大量に育成することが可能である。
本明細書において、植物体とは、融合細胞から育成された第1世代の植物株、その後代の植物株を意味する。また、本明細書において、「植物体」とは、植物個体のほか、その一部である葉、茎、根等の植物器官および植物組織、並びに種子を包含する。
融合細胞から育成された第1世代の植物株の後代の植物株は、例えば、第1世代の植物体から種子を得ることで取得でき、得られた種子を発芽させて、育成することができる。育成の方法は、当業者が適宜選択することができる。
あるいは、第1世代の植物株の後代の植物株は、第1世代の植物株を脱分化させた後、脱分化させた細胞を再分化させ、再分化した細胞を育成して後代の植物株を得てもよい。脱分化及び再分化の方法は、当業者が適宜選択することができる。
≪融合細胞≫
1実施形態において、本発明は、上述の実施形態の融合細胞の製造方法で得られた融合細胞を提供する。
本実施形態において、融合細胞は、上述の実施形態の融合細胞の製造方法で得られた融合細胞から培養された細胞、及び、上述の実施形態の融合細胞の製造方法で得られた融合細胞から育成された植物体を構成する細胞も包含する。
融合細胞を培養する方法、融合細胞を育成する方法としては、例えば上述の方法を挙げることができる。
また、1実施形態において、本発明は、融合細胞であって、前記融合細胞の核ゲノムDNAが、第1の植物種の核ゲノムDNAの全部又は一部、及び、第2の植物種の核ゲノムDNAの30%以下を有し、前記第1の植物種と前記第2の植物種は異なるものである、融合細胞を提供する。
当該融合細胞としては、上記の≪融合細胞の製造方法≫で例示したものが挙げられる。
前記卵細胞が属する植物種の分類群と、前記精細胞が属する植物種の分類群が、同一の亜科以下(好ましくは同一の属以下、より好ましくは同一の種以下)に属する分類群である場合には、当該卵細胞及び/又は精細胞の植物種を第1の植物種として例示できる。
前記卵細胞は、互いに異なる2種類以上の植物種の卵細胞を含む場合、上記の第1の植物種と異なるものを第2の植物種とすればよい。
第2の植物種は、第1の植物種と互いに異なる種以上の分類群に属していてもよいし、互いに異なる属以上の分類群に属していてもよいし、互いに異なる亜科以上の分類群に属していてもよいし、互いに異なる科以上の分類群に属していてもよい。
より具体的には、後述の実施例でも示すように、例えば、第1の植物種の精細胞及び卵細胞がコムギ、第2の植物種の卵細胞がイネである場合を例示できる。
後述の実施例でも示されるように、互いに系統関係が同一又は近い組み合わせで用いられた卵細胞及び/又は精細胞に由来する核ゲノムDNAのほうが、融合細胞の核ゲノムに多く含まれる傾向にあると推定される。
本明細書において、「融合細胞の核ゲノムDNAが、第1の植物種の核ゲノムDNAのX%を有する」とは、「融合細胞の核ゲノムDNAに含まれる第1の植物種の核ゲノムDNA由来の配列の総数は、第1の植物種の核ゲノムDNAの全核ゲノムDNAの配列の総数に対してX%である」ことを意味する。第2の植物種についても同様である。
ここで、基準となる“第1の植物種の核ゲノムDNA由来の配列”とは、融合細胞の作出の原料として融合に用いられる第1の植物種の有する配列である。基準の配列は、植物種の野生型や、登録品種の有するゲノムDNAの配列を参照すればよい。融合細胞において、基準の配列の重複が認められる場合には、重複分の配列は割合に含めないものとする。
なお、後述のミトコンドリアゲノム及びプラスチドゲノムに係る割合についても、上記核ゲノムを、それぞれミトコンドリアゲノム又はプラスチドゲノムと読みかえることができる。
本実施形態の融合細胞は、第1の植物種の核ゲノムDNAの70%以上100%以下を含むことが好ましく、80%以上100%以下を含むことがより好ましく、90%以上100%以下を含むことが更に好ましい。
本実施形態の融合細胞は、第2の植物種の核ゲノムDNAの半分超を喪失する。本実施形態の融合細胞の核ゲノムDNAは、第2の植物種の核ゲノムDNAの0%超20%以下を含んでもよく、0%超15%以下を含んでもよく、0%超10%以下を含んでもよい。
融合細胞の形質を多様なものにする観点から、融合細胞の核ゲノムDNAは、第2の植物種の核ゲノムDNAの1%以上を含むことが好ましく、3%以上を含むことがより好ましく、5%以上を含むことがさらに好ましく、10%以上を含むことが特に好ましい。
本実施形態に係る融合細胞は、植物の卵細胞又はそれに由来する細胞と、植物の精細胞又はそれに由来する細胞との融合細胞であってもよい。
本実施形態に係る融合細胞は、上述の植物の融合細胞を製造する方法により得られるものであってもよい。
本実施形態に係る融合細胞は、卵細胞の植物種は特に限定されず、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。また、精細胞の植物種は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。卵細胞及び精細胞の植物種としては、融合細胞の製造方法において上述した植物種を例示することができる。
本実施形態に係る融合細胞の核ゲノムDNAにおいて、第1の植物種に由来する核ゲノムDNAの一部、第2の植物種に由来する核ゲノムDNAの一部は欠失していてもよい。
本実施形態に係る融合細胞の核ゲノムDNAにおいて、第1の植物種に由来する核ゲノムDNAの一部、第2の植物種に由来する核ゲノムDNAの一部は重複していてもよい。
本実施形態に係る融合細胞の核ゲノムDNAの配列は、融合細胞のゲノムDNAを分離し、得られたゲノムDNAを次世代シーケンシング等により解析することにより、決定することができる。
更に、公知の塩基配列解析ソフトウェアを用いることにより、本実施形態に係る融合細胞の核ゲノムDNAの配列に対して、第1の植物種の核ゲノムDNAの配列、第2の植物種の核ゲノムDNAの配列をマッピングすることができる。
本実施形態に係る融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAは、第1の植物種のミトコンドリアゲノムDNAの全部又は一部、及び、第2の植物種のミトコンドリアゲノムDNAの全部又は一部を有するものであってもよい。
本実施形態に係る融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAにおいて、第1の植物種に由来するミトコンドリアゲノムDNAの一部、第2の植物種に由来するミトコンドリアゲノムDNAの一部は欠失していてもよい。
本実施形態に係る融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAにおいて、第1の植物種に由来するミトコンドリアゲノムDNAの一部、第2の植物種に由来するミトコンドリアゲノムDNAの一部は重複していてもよい。
融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAは、第1の植物種のミトコンドリアゲノムDNAの80%以上100%以下を含むことが好ましく、90%以上100%以下を含むことがより好ましく、95%以上100%以下を含むことが更に好ましい。
融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAは、第2の植物種のミトコンドリアゲノムDNAの5%以上100%以下を含むことが好ましく、20%以上100%以下を含むことがより好ましく、40%以上100%以下を含むことが更に好ましい。
また、次のように言い換えることもできる。
融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAの配列(100%)のうち、第1の植物種のミトコンドリアゲノムDNA由来の配列は、50%以上95%以下であることが好ましく、50%以上80%以下であることがより好ましい。
融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAの配列(100%)のうち、第2の植物種のミトコンドリアゲノムDNA由来の配列は、5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上50%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAの配列は、融合細胞のゲノムDNAを分離し、得られたゲノムDNAを次世代シーケンシング等により解析することにより、決定することができる。
更に、公知の塩基配列解析ソフトウェアを用いることにより、本実施形態に係る融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAの配列に対して、第1の植物種のミトコンドリアゲノムDNAの配列、第1の植物種のミトコンドリアゲノムDNAの配列をマッピングすることができる。
本実施形態に係る融合細胞のプラスチドゲノムDNAは、第1の植物種のプラスチドゲノムDNAの全部又は一部、及び、第2の植物種のプラスチドゲノムDNAの一部又は全部を有するものであってもよい。
本実施形態に係る融合細胞のプラスチドゲノムDNAにおいて、第1の植物種に由来するプラスチドゲノムDNAの一部、第2の植物種に由来するプラスチドゲノムDNAの一部は欠失していてもよい。
本実施形態に係る融合細胞のプラスチドゲノムDNAにおいて、第1の植物種に由来するプラスチドゲノムDNAの一部、第2の植物種に由来するプラスチドゲノムDNAの一部は重複していてもよい。
融合細胞のプラスチドゲノムDNAは、第1の植物種のプラスチドゲノムDNAの80%以上100%以下を含むことが好ましく、90%以上100%以下を含むことがより好ましく、95%以上100%以下を含むことが更に好ましい。
融合細胞のプラスチドゲノムDNAは、第2の植物種のプラスチドゲノムDNAの3%以上100%以下を含むことが好ましく、5%以上100%以下を含むことが好ましく、10%以上100%以下を含むことがより好ましく、20%以上100%以下を含むことが更に好ましい。
また、次のように言い換えることもできる。
融合細胞のプラスチドゲノムDNAの配列(100%)のうち、第1の植物種のプラスチドゲノムDNA由来の配列は、50%以上98%以下であることが好ましく、50%以上95%以下であることがより好ましい。
融合細胞のプラスチドゲノムDNAの配列(100%)のうち、第2の植物種のプラスチドゲノムDNA由来の配列は、2%以上50%以下であることが好ましく、5%以上50%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る融合細胞のプラスチドゲノムDNAの配列は、融合細胞のゲノムDNAを分離し、得られたゲノムDNAを次世代シーケンシング等により解析することにより、決定することができる。
更に、公知の塩基配列解析ソフトウェアを用いることにより、本実施形態に係る融合細胞のプラスチドゲノムDNAの配列に対して、第1の植物種のプラスチドゲノムDNAの配列、第1の植物種のプラスチドゲノムDNAの配列をマッピングすることができる。
本実施形態において、融合細胞は、植物の卵細胞又はそれに由来する細胞と、植物の精細胞又はそれに由来する細胞との融合細胞であってもよい。
第1の植物種及び/又は第2の植物種の分類群としては、融合細胞の製造方法において上述した分類群を挙げることができる。
第1の植物種及び/又は第2の植物種は、イネ科に属する植物種であることが好ましい。
第1の植物種及び/又は第2の植物種は、イネ科イチゴツナギ亜科、イネ科エールハルタ亜科又はイネ科キビ亜科に属する植物種であることがより好ましい。
より具体的には、第1の植物種は、イネ科イチゴツナギ亜科に属する植物種であり、第2の植物種は、イネ科エールハルタ亜科に属する植物種であってもよい。
この場合、融合細胞は、イネ科イチゴツナギ亜科に属する植物種の卵細胞、イネ科エールハルタ亜科に属する植物種の卵細胞、及び、イネ科イチゴツナギ亜科に属する植物種の精細胞の融合細胞であることが好ましい。
この場合、融合細胞の核ゲノムDNAは、第1の植物種の核ゲノムDNAの70%以上を含むことが好ましく、80%以上を含むことがより好ましく、90%以上を含むことが更に好ましい。融合細胞を育成した植物体の核ゲノムDNAは、第2の植物種の核ゲノムDNAの3%以上を含むことが好ましく、5%以上を含むことがより好ましく、10%以上を含むことが更に好ましい。
本明細書において、各ゲノムDNAの含有量(%)は、融合細胞の元の細胞の各ゲノムDNA(各ゲノム、ミトコンドリアゲノム、プラスチドゲノム)の配列情報を100%として次世代シーケンシング等によりDNAの塩基配列をマッピングすることで、取得できる。なお、融合細胞において融合の結果により配列情報に重複が生じた場合には、重複分は除くものとする。
≪植物体≫
1実施形態において、本発明は、上述の実施形態の融合細胞の製造方法で得られた融合細胞から育成された植物体を提供する。
融合細胞から植物体を育成する方法としては、特に限定されず、上述の植物体の育成方法であってもよい。
一実施形態の融合細胞の製造方法によれば、異なる植物種の雑種細胞を安定的に得ることができる。この雑種細胞を培養、育成することにより、第1世代及びその後代の植物体を得ることができる。
上述の一実施形態の融合細胞の製造方法によれば、互いに異なる2種類以上の植物種の卵細胞に含まれるミトコンドリアゲノムDNA、プラスチドゲノムDNA等の細胞質のゲノム情報を含むことにより、環境ストレス耐性の向上、収穫量の向上等の優良な形質を有する雑種植物を容易に得ることができる。
上述の一実施形態の融合細胞の製造方法により、遺伝子組み換えでない、既存の植物種の細胞を融合して製造された融合細胞及び植物体は、遺伝子組み換え植物には該当しないため、安全性評価試験等を受けることなく、容易に栽培可能である。
従来の、異なる植物種のプロトプラストを融合する雑種細胞作製方法では、アブラナ科、ナス科等の限られた植物種にのみ適用可能であった。これに対し、本発明の一実施に係る植物の融合細胞の製造方法は、多くの植物種に適用可能である。
電気融合による細胞融合の技術を用いることにより、異なる植物種の卵細胞、精細胞を容易に受精させて、雑種細胞を得ることができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[材料及び方法]
(イネ卵細胞及びイネ精細胞の単離)
イネ卵細胞及びイネ精細胞の単離は、文献(Toda E et al. (2016) Electro-fusion of Gametes and Subsequent Culture of Zygotes in Rice. Bio-protocol. Vol 6, Iss 24, December 20, 2016.)に従って行った。
実験において用いたイネの種類は、Oryza sativa L.cv Nipponbareであった。
シリコン処理したカバーガラス上に0.3mLのミネラルオイルを滴下し、そのミネラルオイル中で、マイクロガラスキャピラリーを用いて数個の1~2μLのマンニトール水溶液(370mosmol/kg HO)の液滴を作製した。
マンニトール水溶液(370mosmol/kg HO)中で、開花前の花から子房を取り出し、マンニトール水溶液(370mosmol/kg HO)中で、剃刀を用いて子房を切断した。続いて、ガラスニードルを用いて、イネ卵細胞を子房から放出させた。
得られたイネ卵細胞を、マイクロガラスキャピラリーを用いて、上述のカバーグラス上の液滴中へ移動させた。この卵細胞は、単離後6時間以内に各実験に使用した。また、当日に卵細胞を使わない場合は、4℃で一晩保存して、翌日、実験に使用した。
開花前の花から花粉を取り出し、花粉をマンニトール水溶液(370mosmol/kg HO)中で破裂させて、精細胞を得た。
(コムギ卵細胞及びコムギ精細胞の単離)
実験において用いたコムギの種類は、Triticum aestivum L.cv.Fieldersであった。
上述のイネ卵細胞及びイネ精細胞の単離方法と同様にして、コムギ卵細胞及びコムギ精細胞を単離した。
(トウモロコシ精細胞の単離)
実験において用いたトウモロコシの種類は、トウモロコシ(B73又はA188)であった。
上述のイネ卵細胞及びイネ精細胞の単離方法と同様にして、トウモロコシ精細胞を単離した。
(細胞の電気融合)
卵細胞及び精細胞を、上述のカバーグラス上の液滴に入れて、AC電流場(1MHz,5Vrms)において、電極に卵細胞を接着させた後、その卵細胞に精細胞を接着させた。
0.5~1μLのマンニトール水溶液(520mosmol/kg HO)を液滴に加えた後、直流パルス(50μs、12~15kV/cm)をかけて細胞融合し、得られた融合細胞を回収した。
(融合細胞の培養)
電気融合により得られた融合細胞を、マンニトール水溶液(450mosmol/kg HO)で洗浄した。
続いて、Millicell-CMインサートに、0.2mLの受精卵培養用改変N6Z培地、融合細胞を入れ、融合細胞が入ったミリセルを、40~60μLのコムギ培養細胞(フィーダー細胞)を含む培地中で、26℃、一晩、暗所で培養した。
続いて、30rpmで振盪させながら、更に7日間培養した。
フィーダー細胞を除去した後、培養した融合細胞が入ったミリセルを、2mLの受精卵培養用培地に入れて、20日間、培養を続けた。
ここで、受精卵培養用改変N6Z培地の組成は、2g/L CHU(N6) basal salt mixture (シグマアルドリッチ社製)、0.025mg/L Na2MoO4・2H2O、0.025mg/L CoCl2・6H2O、0.025mg/L CuSO4・5H2O、0.01mg/L レチノール、0.01mg/L カルシフェロール、0.01mg/Lビオチン、1mg/L チアミン・H2O、1mg/L ニコチン酸、1mg/L ピリドキシン・HCl、1mg/L 塩化コリン、1mg/L Ca-パントテン酸、0.2mg/L リボフラビン、0.2mg/L 2,4-D、0.02mg/L コバラミン、0.02mg/L p-アミノ安息香酸、0.4mg/L 葉酸、2mg/Lアスコルビン酸、40mg/L リンゴ酸、40mg/L クエン酸、40mg/L フマル酸、20mg/L Na-ピルビン酸、1,000mg/L グルタミン、及び250mg/L カゼイン加水分解物、100mg/L ミオイノシトールである。更に、浸透圧をグルコースで450mosmol/kg H2Oに調整し、pH5.7であり、フィルター滅菌を行ったものである。
続いて、ミリセル中の細胞コロニーを、カルス誘導培地(改変したN6Z培地の固体培地。上記の受精卵培養用改変N6Z培地中のグルコースをマルトース(2.7%)に変更し、0.4%ゲルライトで固化した培地)に移し、30℃で12~30日間持続的に光で照らして培養し、カルスを形成させた。
得られたカルスを、再分化および発根培地(Ishida, Y., Tsunashima, M., Hiei, Y., Komari, T. (2015) Wheat (Triticum aestivum L.) transformation using immature embryos. Methods Mol. Biol. 1223: 189-98.)で13時間/11時間の明/暗サイクルで、28℃でそれぞれ11~20日培養し、植物体を得た。
(ゲノムDNAの解析)
融合細胞のカルスを再分化させて得られた植物体の葉から、ゲノムDNAを分離した。得られたゲノムDNAを、Nextera DNA Flex Library Prep Kit(イルミナ)を用いてシークエンスライブラリーを作製した。得られたライブラリーについて、イルミナHiSeqX_Ten;Paired End 150bpでシークエンシングを行った。
シークエンシングにより得られたリードを、HomeoRoq(Akama et al., Genome-wide quantification of homeolog expression ratio revealed nonstochastic gene regulation in synthetic allopolyploid Arabidopsis. Nucleic Acids Research 42: e46 (2014))を用いてマッピングを行った。
[実験例1]
単離したコムギ精細胞とイネ卵細胞とを、電気融合させて、第1の融合細胞を作出した。
続いて、得られた第1の融合細胞と、コムギ卵細胞とを、電気融合させて、第2の融合細胞を作出した。
得られた第2の融合細胞を培養してカルスを得た。得られたカルスを培養および栽培した結果、植物体が得られた。5個の第2の融合細胞のうち、3個が植物体を形成した。図7に得られた植物体の一例を示す。図7は、第2の融合細胞を作出時点から、119日後の植物体である。
この植物体からは、種子が得られた。この種子を発芽させて、栽培した結果、種子が得られた。
[実験例2]
単離したイネ精細胞とイネ卵細胞とを、電気融合させて、第1の融合細胞を作出した。
単離したコムギ精細胞とコムギ卵細胞を、電気融合させて、第2の融合細胞を作出した。
続いて、得られた第1の融合細胞と、得られた第2の融合細胞とを、電気融合させて、第3の融合細胞を作出した。
得られた第3の融合細胞を培養してカルスを得た。得られたカルスを培養および栽培した結果、植物体が得られた。7個の第3の融合細胞のうち、5個が植物体を形成した。図8に得られた植物体の一例を示す。図8は、第3の融合細胞を作出時点から、121日後の植物体(図8の左)、120日後の植物体(図8の中央)、117日後の植物体(図8の右)である。
これらの植物体からは、種子が得られた。この種子を発芽させて、栽培した結果、種子が得られた。
[実験例3]
4倍体のイネから単離したイネ精細胞と、コムギ卵細胞とを、電気融合させて、融合細胞を作出した。
得られた融合細胞を培養してカルスを得た。得られたカルスを培養および栽培した結果、植物体が得られた。10個の融合細胞のうち、3個が植物体を形成した。図9に得られた植物体の一例を示す。
この植物体からは、種子が得られた。
[実験例4]
トウモロコシから単離した精細胞と、コムギ卵細胞とを、電気融合させて、融合細胞を作出した。
得られた融合細胞を培養してカルスを得た。得られたカルスを培養および栽培した結果、植物体が得られた。7個の融合細胞のうち、5個が植物体を形成した。図10に得られた植物体の成長過程を示す。図10中、DAFは、融合細胞の作出時点から経過した日数を示す。
[実験例5]
コムギ卵細胞と、イネ卵細胞と、コムギ精細胞とを融合させて得られた受精細胞を培養し、植物体を得た。得られた植物体の葉から、ゲノムDNAを分離し、ゲノムDNAの配列を解析し、マッピングを行った。
マッピングの結果を図11に示す。
上述の葉の核ゲノムDNAは、6倍体のコムギの核ゲノムDNAの95%以上と、2倍体のイネの核ゲノムDNAの3~10%を有していることが明らかになった。
上述の葉のミトコンドリアゲノムDNAは、コムギミトコンドリアゲノムDNAのほぼ全てと、イネミトコンドリアゲノムDNAの半分程度を有していた。
上述の葉のプラスチドゲノムDNAは、コムギプラスチドゲノムDNAのほぼ全てと、イネプラスチドゲノムDNAの10%程度を有していた。
次のように言い換えることもできる。
6倍体のコムギの核ゲノムDNAのサイズは、2倍体のイネの核ゲノムDNAのサイズの約40倍である。
コムギのミトコンドリアゲノムDNAのサイズは、イネのミトコンドリアゲノムDNAのサイズとほぼ同じである。
コムギのプラスチドゲノムDNAのサイズは、イネのプラスチドゲノムDNAのサイズとほぼ同じである。
上述の葉の核ゲノムDNAの約99.8%がコムギの核ゲノムDNA由来であり、葉の核ゲノムDNAの約0.2%がイネの核ゲノムDNA由来であった。
上述の葉のミトコンドリアゲノムDNAの約65%がコムギのミトコンドリアゲノムDNA由来であり、葉のミトコンドリアゲノムDNAの約35%がイネのミトコンドリアゲノムDNA由来であった。
上述の葉のプラスチドゲノムDNAの約95%がコムギのプラスチドゲノムDNA由来であり、葉のプラスチドゲノムDNAの約5%がイネのプラスチドゲノムDNA由来であった。
同様に、コムギ卵細胞と、イネ卵細胞と、コムギ精細胞とを融合させて得られた受精細胞を培養し、植物体(Cybrid-1)を得た。更に、コムギ卵細胞と、イネ卵細胞と、コムギ精細胞と、イネ精細胞とを融合させて得られた受精細胞を培養し、植物体(Cybrid-2および3)を得た。これらについて、ミトコンドリアゲノムとプラスチドゲノムを解析した。
結果を図12に示す。
図12中、ミトコンドリアゲノムDNAのグラフは、葉のミトコンドリアゲノムDNAの全体の配列数に対する、イネ由来のミトコンドリアゲノムDNAの配列数の割合、コムギ由来のミトコンドリアゲノムDNAの配列数の割合を示す。また、プラスチドゲノムDNAのグラフは、葉のプラスチドゲノムDNAの全体の配列数に対する、イネ由来のプラスチドゲノムDNAの配列数の割合、及び、コムギ由来のプラスチドゲノムDNAの配列数の割合を示す。
図12に示すように、上述の葉のミトコンドリアゲノムDNAの60~90%がコムギのミトコンドリアゲノムDNA由来であり、葉のミトコンドリアゲノムDNAの約10~40%がイネのミトコンドリアゲノムDNA由来であった。
図12に示すように、上述の葉のプラスチドゲノムDNAの約75~95%がコムギのプラスチドゲノムDNA由来であり、葉のプラスチドゲノムDNAの約5~25%がイネのプラスチドゲノムDNA由来であった。
また、次のように言い換えることもできる。
Cybrid植物(Cybrid-1~Cybrid-3)において、ミトコンドリアゲノムDNAは、コムギミトコンドリアゲノムDNAのほぼ全てと、イネミトコンドリアゲノムDNAの12~65%を有していた。
なお、コムギのミトコンドリアゲノムDNAのサイズは、イネのミトコンドリアゲノムDNAのサイズとほぼ同じである。
Cybrid植物(Cybrid-1~Cybrid-3)において、プラスチドゲノムDNAは、コムギプラスチドゲノムDNAのほぼ全てと、イネプラスチドゲノムDNAの5.5~35%を有していた。
なお、コムギのプラスチドゲノムDNAのサイズは、イネのプラスチドゲノムDNAのサイズとほぼ同じである。
本発明によれば、育成して植物体を得ることのできる、融合細胞、融合細胞の製造方法、細胞塊、植物体及び植物体の製造方法を提供することができる。
この融合細胞、融合細胞の製造方法、細胞塊、植物体及び植物体の製造方法は、農業、園芸において有用である。

Claims (17)

  1. 植物の卵細胞又はそれに由来する細胞と、植物の精細胞又はそれに由来する細胞と、を融合させて、融合細胞を得る工程を含む、融合細胞の製造方法。
  2. 前記卵細胞は、互いに異なる2種類以上の植物種の卵細胞を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記卵細胞の由来する植物種が属する分類群と、前記精細胞の由来する植物種が属する分類群とは、同一の亜科以下の分類群に属する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記卵細胞は、イネ科に属する植物種の卵細胞である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記卵細胞は、イネ科イチゴツナギ亜科、イネ科エールハルタ亜科又はイネ科キビ亜科に属する植物種の卵細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた融合細胞を培養して、細胞塊を得る工程を含む、細胞塊の製造方法。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた融合細胞から、植物体を生産する工程を含む、植物体の製造方法。
  8. 請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた融合細胞。
  9. 請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた融合細胞から育成された植物体。
  10. 植物の卵細胞又はそれに由来する細胞と、植物の精細胞又はそれに由来する細胞と、を融合させた細胞の核ゲノムDNAが、第1の植物種の核ゲノムDNAの全部又は一部を有し、
    前記融合細胞の核ゲノムDNAが、第2の植物種の核ゲノムDNAの30%以下を有し、
    前記第1の植物種と前記第2の植物種が異なる、融合細胞。
  11. 前記融合細胞のミトコンドリアゲノムDNAが、第1の植物種のミトコンドリアゲノムDNAの一部又は全部、及び、第2の植物種のミトコンドリアゲノムDNAの一部又は全部を有する、請求項10に記載の融合細胞。
  12. 前記融合細胞のプラスチドゲノムDNAが、前記第1の植物種のプラスチドゲノムDNAの一部又は全部、及び、前記第2の植物種のプラスチドゲノムDNAの一部又は全部を有する、請求項10又は11に記載の融合細胞。
  13. 前記融合細胞は、植物の卵細胞又はそれに由来する細胞と、植物の精細胞又はそれに由来する細胞との融合細胞である、請求項10~12のいずれか一項に記載の融合細胞。
  14. 前記第1の植物種及び/又は前記第2の植物種は、イネ科に属する植物種である、請求項10~13のいずれか一項に記載の融合細胞。
  15. 前記第1の植物種及び/又は前記第2の植物種は、イネ科イチゴツナギ亜科、イネ科エールハルタ亜科又はイネ科キビ亜科に属する植物種である、請求項10~14のいずれか一項に記載の融合細胞。
  16. 前記第1の植物種は、イネ科イチゴツナギ亜科に属する植物種であり、
    前記第2の植物種は、イネ科エールハルタ亜科に属する植物種である、請求項10~15のいずれか一項に記載の融合細胞。
  17. 請求項10~16のいずれか一項に記載の融合細胞から育成された植物体。
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