JP2022076709A - 蓄電装置 - Google Patents

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Yusuke Sugiyama
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Abstract

【課題】集電体に対するスペーサの溶着不良を抑制する。【解決手段】一対の集電体35は、積層方向Zに並んでいる。一対の活物質層36は、積層方向Zにおける一対の集電体35の間に配置されている。一対の活物質層36は、積層方向Zにおいてセパレータ40を介して互いに対向するように配置されている。スペーサ50は、積層方向Zにおける一対の集電体35の間に配置されている。スペーサ50は、第1方向X及び第2方向Yにおいて一対の活物質層36を取り囲むように、一対の集電体35の縁部に沿って配置されている。スペーサ50は、金属部材60と、金属部材60を覆う樹脂部材70と、を備える。金属部材60の第3金属面63は、セル20の外部に向けて樹脂部材70から露出している。樹脂部材70は、積層方向Zにおける一対の集電体35と金属部材60との間において一対の集電体35に溶着している。【選択図】図1

Description

本発明は、蓄電装置に関する。
特許文献1に記載の蓄電装置は、複数のセルが積層方向に積層されている。セルは、積層方向に並ぶ一対の電極板と、一対の活物質層と、第一樹脂部と、を備えている。一対の活物質層は、積層方向における一対の電極板の間に配置されている。積層方向から見て、第1樹脂部は、電極板の縁部全周にわたって設けられている。
また、特許文献1に記載の蓄電装置は、複数のセルのうち、積層方向における一端に位置するセルの第一樹脂部に、積層方向における一方から治具を接触させている。これにより、治具から複数のセルの第一樹脂部に熱を伝達させて、第一樹脂部を電極板に溶着している。
特開2019-91596号公報
ところで、特許文献1に記載される第一樹脂部の溶着方法では、治具から離れた位置にある第一樹脂部には、治具に近い位置にある第一樹脂部と比較して、治具から熱が伝達されにくい。そのため、治具から離れた位置にある第一樹脂部と、治具に近い位置にある第一樹脂部で、溶融のばらつきが生じるおそれがある。第一樹脂部の溶融のばらつきが生じると、電極板に対する第一樹脂部の溶着不良が生じるおそれがある。溶着不良が発生すると、第一樹脂部による蓄電装置の封止性能が低下するため好ましくない。
上記課題を解決する蓄電装置は、複数のセルが積層方向に積層されている蓄電装置であって、前記セルは、前記積層方向に並ぶ一対の集電体と、前記積層方向における一対の前記集電体の間に配置されたセパレータと、前記積層方向における一対の前記集電体の間に配置され、且つ前記積層方向において前記セパレータを介して互いに対向するように配置された一対の活物質層と、前記積層方向における一対の前記集電体の間に配置され、且つ前記積層方向に対して直交する直交方向において一対の前記活物質層を取り囲むように、一対の前記集電体の縁部に沿って配置されたスペーサと、を備え、前記スペーサは、金属部材と、前記金属部材を覆う樹脂部材と、を備え、前記金属部材は、前記セルの外部に向けて前記樹脂部材から露出する露出部を備え、前記樹脂部材は、前記積層方向における一対の前記集電体と前記金属部材との間において一対の前記集電体に溶着していることを特徴とする。
上記構成では、スペーサを集電体に溶着する際、積層方向に直交する直交方向における複数のセルの外側からスペーサを加熱すると、金属部材及び樹脂部材が昇温する。このとき、金属部材及び樹脂部材の各々の内部では、直交方向におけるセルの外部寄りの部分からセルの内部寄りの部分へと熱が伝わっていく。
ここで、金属は樹脂よりも熱伝導率が高い性質を有する。そのため、金属部材は、樹脂部材よりも早期に全体が昇温する。そして、樹脂部材は、直交方向における複数のセルの外側からの熱に加えて、金属部材からも熱が伝達されるようになる。樹脂部材が金属部材から熱を受けることにより、樹脂部材のうち、積層方向における一対の集電体と金属部材との間に位置する部分が、昇温に伴って溶融することで一対の集電体に溶着する。したがって、スペーサの全体が樹脂製である場合と比較して、スペーサにおける樹脂の溶融のばらつきが生じにくくなるため、集電体に対するスペーサの溶着不良を抑制できる。
蓄電装置において、前記露出部を含む前記金属部材の一部と、前記樹脂部材の一部とは、前記積層方向における一対の前記集電体の間に位置する領域から前記直交方向における前記セルの外側に突出し、前記積層方向に隣り合う前記セル同士の前記樹脂部材が溶着していてもよい。
上記構成によれば、金属部材の一部が、積層方向における一対の集電体の間に位置する領域から直交方向におけるセルの外側に突出している。そのため、直交方向における複数のセルの外側から複数のセルのスペーサが加熱される際、一対の集電体よりも、金属部材に熱が伝わりやすい。したがって、一対の集電体が金属部材よりも直交方向におけるセルの外側に突出する場合と比較して、金属部材を効率よく加熱できるため、金属部材から樹脂部材への熱の伝達に伴う一対の集電体への樹脂部材の溶着も効率よく行える。
また、上記構成によれば、樹脂部材の一部が、積層方向における一対の集電体の間に位置する領域から直交方向におけるセルの外側に突出している。積層方向に隣り合うセル同士の樹脂部材が溶着している。そのため、積層方向に隣り合うセルのスペーサの間で樹脂部材の境界がなくなるため、スペーサによる蓄電装置の内部の空間の封止性を向上できる。
蓄電装置において、前記樹脂部材は、前記金属部材のうち、前記積層方向における一対の前記集電体の間に位置する領域の全てを覆っていてもよい。
上記構成によれば、金属部材のうち、直交方向においてセルの内部寄りに位置する部分は、樹脂部材によって覆われることで蓄電装置の内部の空間に露出しない。そのため、空間に収容された電解液が金属部材に接触することを抑制できる。したがって、金属部材の材料の採用に際して電解液に対する耐性を考慮する必要がなくなるため、金属部材の材料の選択の自由度が向上する。
また、蓄電装置の使用に伴うガスの発生によってセルの内圧上昇が生じると、セルを構成する一対の集電体には互いに離れようとする力が作用する。こうして作用する力は、一対の集電体のうち、直交方向におけるセルの内部寄りの部分に作用しやすい。そのため、スペーサが接合する一対の集電体の部分のうち、直交方向において最もセルの内部寄りに位置する部分は、そのほかの部分よりも上記のセルの内圧上昇に伴う力が作用しやすい。こうした力が作用しやすい一対の集電体の部分では、一対の集電体がスペーサから離れることを抑制するために、一対の集電体に対するスペーサの接合強度を向上させることが好ましい。
上記構成によれば、金属部材のうち、直交方向において最もセルの内部寄りに位置する部分が樹脂部材によって覆われる。そのため、スペーサが接合する一対の集電体の部分のうち、直交方向において最もセルの内部寄りに位置する部分には、積層方向において金属部材が介在しない樹脂部材が接合される。したがって、一対の集電体のうち、セルの内圧上昇に伴う力が作用しやすい部分において、スペーサの接合強度を向上できる。
蓄電装置において、前記スペーサとは別体であるとともに、前記直交方向における前記セルの外側から複数の前記セルを覆う樹脂製の被覆部材をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、被覆部材によって、樹脂部材から露出する金属部材の露出部が覆われるため、露出部に水分が付着することによる金属部材の腐食を抑制できる。
蓄電装置において、前記金属部材の熱伝導率は一対の前記集電体の少なくとも一方の熱伝導率以上であることが好ましい。
この発明によれば、集電体に対するスペーサの溶着不良を抑制できる。
蓄電装置を示す断面図。 正極及びスペーサを示す上面図。 スペーサを示す斜視図。 セルスタックを形成する様子を説明するための断面図。 スペーサが集電体に溶着する前のセルスタックを拡大して示す断面図。 スペーサが集電体に溶着した後のセルスタックを拡大して示す断面図。
以下、蓄電装置を具体化した実施形態について、図1~図6を用いて説明する。なお、蓄電装置は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、及び電気自動車等の各種車両のバッテリに用いられる。本実施形態の蓄電装置はリチウムイオン二次電池である。
図1に示すように、蓄電装置10は、セルスタック11と、正極通電板12aと、負極通電板12bと、を備える。正極通電板12a及び負極通電板12bは、セルスタック11を挟んで互いに対向している。正極通電板12a及び負極通電板12bは、金属製の良導電性材料で構成されている。セルスタック11、正極通電板12a、及び負極通電板12bは、積層方向Zに積層している。積層方向Zは、正極通電板12a及び負極通電板12bにおける外面のうち、セルスタック11と隣接する外面に垂直な方向である。セルスタック11は、複数のセル20が積層方向Zに積層された積層体である。
正極通電板12a及び負極通電板12bは、それぞれセルスタック11と電気的に接続している。図示は省略しているが、正極通電板12a及び負極通電板12bの各々には端子が接続されている。この端子を通じて蓄電装置10の充放電が行われる。
正極通電板12aのセルスタック11と反対側、及び負極通電板12bのセルスタック11と反対側には、それぞれ、不図示の拘束板が設けられており、この一対の拘束板を複数の拘束ボルトや拘束バンドなどで接続することで、正極通電板12a、セルスタック11、及び負極通電板12bを積層方向Zに拘束している。これにより、積層方向Zの拘束荷重が、セルスタック11、正極通電板12a、及び負極通電板12bに付与されている。
各セル20は、正極21と、負極31と、セパレータ40と、スペーサ50と、を備える。正極21は、正極集電体22及び正極活物質層23を備える。正極活物質層23は、正極集電体22の一方面である正極表面22aに配置されている。正極集電体22は、正極表面22aの裏面である正極裏面22bに正極活物質層23を有さない。負極31は、負極集電体32及び負極活物質層33を備える。負極活物質層33は、負極集電体32の一方面である負極表面32aに配置されている。負極集電体32は、負極表面32aの裏面である負極裏面32bに負極活物質層33を有さない。
以下では、正極集電体22及び負極集電体32を、集電体35ともいう。各セル20において、正極集電体22と負極集電体32とは積層方向Zに並んでいる。言い換えると、各セル20は、積層方向Zに並ぶ一対の集電体35を備えている。正極表面22aと負極表面32aとは、積層方向Zにおいて対向している。
以下では、正極活物質層23及び負極活物質層33を、活物質層36ともいう。各セル20において、正極活物質層23と負極活物質層33とは積層方向Zにおいて対をなすように並んでいる。言い換えると、各セル20は、一対の活物質層36を備えている。
各セル20において、正極活物質層23及び負極活物質層33は、積層方向Zにおける正極集電体22と負極集電体32との間に配置されている。言い換えると、一対の活物質層36は、積層方向Zにおける一対の集電体35の間に配置されている。
図2に示すように、本実施形態における正極集電体22は、積層方向Zから見た平面視で長方形状をなす。正極活物質層23は、積層方向Zから見た平面視で、正極集電体22よりも小さい長方形状をなす。図示は省略しているが、本実施形態における負極集電体32は、積層方向Zから見た平面視で長方形状をなす。負極活物質層33は、積層方向Zから見た平面視で、負極集電体32よりも小さく、且つ正極活物質層23よりも大きい長方形状をなす。
正極集電体22及び負極集電体32の短辺同士が同方向に延びており、長辺同士が同方向に延びている。正極集電体22及び負極集電体32の短辺が延びる方向を第1方向Xといい、正極集電体22及び負極集電体32の長辺が延びる方向を第2方向Yという。第1方向Xは積層方向Zと直交する方向である。第2方向Yは積層方向Z及び第1方向Xの両方向と直交する方向である。以下では、第1方向X及び第2方向Yを直交方向ともいう。
図1に示すように、セパレータ40は、積層方向Zにおける正極活物質層23と負極活物質層33との間に位置する。言い換えると、セパレータ40は、積層方向Zにおける一対の集電体35の間に配置されている。一対の活物質層36は、積層方向Zにおいてセパレータ40を介して互いに対向するように配置されている。
セパレータ40は、基材層41と、基材層41の積層方向Zにおける両面に設けられた接着層42と、を有してもよい。基材層41の一方面に設けられた接着層42は、積層方向Zにおいて正極活物質層23と対向している。基材層41の他方面に設けられた接着層42は、積層方向Zにおいて負極活物質層33と対向している。
セパレータ40は、積層方向Zにおける正極活物質層23と負極活物質層33との間に位置することにより、正極21と負極31とを隔離する。セパレータ40は、正極21及び負極31の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオン等の電荷担体を通過させる部材である。
積層方向Zから見た平面視で、正極活物質層23の全体が負極活物質層33と重なっている。積層方向Zから見た平面視で、セパレータ40は、正極活物質層23及び負極活物質層33よりも大きい長方形状をなす。積層方向Zから見た平面視で、正極活物質層23及び負極活物質層33の各々の全体がセパレータ40と重なっている。セパレータ40の短辺は第1方向Xに沿って延びているとともに、セパレータ40の長辺は第2方向Yに沿って延びている。
スペーサ50は、積層方向Zにおいて隣り合う正極集電体22と負極集電体32との間に配置されている。言い換えると、スペーサ50は、積層方向Zにおける一対の集電体35の間に配置されている。
図2に示すように、スペーサ50を積層方向Zから見た平面視において、スペーサ50は四角枠状をなしている。スペーサ50は、正極集電体22の縁部及び負極集電体32の縁部に沿って配置されている。スペーサ50は、積層方向Zにおいて隣り合う正極集電体22及び負極集電体32のうち、正極集電体22の正極表面22aと、負極集電体32の負極表面32aと、に溶着している。
正極活物質層23及び負極活物質層33は、積層方向Zから見た平面視において、スペーサ50の内周に位置する4辺によって取り囲まれている。言い換えると、スペーサ50は、直交方向において一対の活物質層36を取り囲むように、一対の集電体35の縁部に沿って配置されている。
図1に示すように、矩形状のセパレータ40は、その縁部の全周がスペーサ50の内周面よりもセル20の内部寄りに位置してもよい。この場合、矩形枠状のスペーサ50は、第1方向X及び第2方向Yにおいてセパレータ40を取り囲むように配置されている。矩形状のセパレータ40は、その縁部の一部又は全てがスペーサ50と集電体35との間に挟みこまれるようにして保持されていてもよい。
セル20の内部には、積層方向Zにおいて隣り合う正極集電体22及び負極集電体32と、スペーサ50と、によって空間Sが区画形成されている。空間Sには、正極活物質層23、負極活物質層33、セパレータ40、及び電解液が収容されている。
なお、正極集電体22及び負極集電体32は、化学的に不活性な電気伝導体である。正極集電体22及び負極集電体32を構成する材料としては、例えば、金属材料、導電性樹脂材料、及び導電性無機材料等を用いることができる。導電性樹脂材料としては、例えば、導電性高分子材料又は非導電性高分子材料に必要に応じて導電性フィラーが添加された樹脂等が挙げられる。正極集電体22及び負極集電体32は、前述した金属材料又は導電性樹脂材料を含む1以上の層を含む複数層を備えてもよい。
正極集電体22の表面及び負極集電体32の表面に、メッキ処理又はスプレーコート等の公知の方法により被覆層を形成してもよい。正極集電体22及び負極集電体32は、例えば、板状、箔状、シート状、フィルム状、及びメッシュ状等の形態に形成されていてもよい。
正極集電体22及び負極集電体32を金属箔とする場合、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、チタン箔又はステンレス鋼箔等を用いることができる。正極集電体22及び負極集電体32として、アルミニウム箔、銅箔、又はステンレス鋼箔を用いた場合、正極集電体22及び負極集電体32の機械的強度を確保することができる。正極集電体22及び負極集電体32は、上記金属箔の合金からなる箔又は異種金属を接合したクラッド材からなる箔であってもよい。箔状の正極集電体22及び負極集電体32を用いる場合、その厚みは、例えば、1~100μmとしてもよい。
正極通電板12aを構成する材料には、正極集電体22を構成する材料と同じ材料を用いることができる。負極通電板12bを構成する材料には、負極集電体32を構成する材料と同じ材料を用いることができる。正極通電板12a及び負極通電板12bは、正極集電体22及び負極集電体32よりも厚い金属板で構成してもよい。
正極活物質層23は、リチウムイオン等の電荷担体を吸蔵及び放出し得る正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物、及びポリアニオン系化合物等、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なものを採用すればよい。また、2種以上の正極活物質を併用してもよい。
負極活物質層33は、リチウムイオンなどの電荷担体を吸蔵及び放出可能である単体、合金、又は化合物であれば、特に限定はなく使用可能である。負極活物質としては、例えば、リチウム、炭素、金属化合物、及びリチウムと合金化可能な元素もしくはその化合物等が挙げられる。炭素としては、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン(難黒鉛化性炭素)、及びソフトカーボン(易黒鉛化性炭素)等を挙げることができる。人造黒鉛としては、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ等が挙げられる。リチウムと合金化可能な元素の例としては、例えば、シリコン(ケイ素)やスズなどが挙げられる。
活物質層36は、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、結着剤、電解質(ポリマーマトリクス、イオン伝導性ポリマー、電解液等)、及びイオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)等をさらに含み得る。活物質層36に含まれる成分、当該成分の配合比、及び活物質層36の厚さは特に限定されず、リチウムイオン二次電池についての従来公知の知見が適宜参照され得る。活物質層36の厚みは、例えば2~150μmである。集電体35の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法等の従来から公知の方法を用いてもよい。正極21及び負極31の熱安定性を向上させるために、集電体35の少なくとも片面、又は活物質層36の表面に、耐熱層を設けてもよい。耐熱層は、例えば、無機粒子と結着剤とを含み、その他に増粘剤等の添加剤を含んでもよい。
導電助剤は、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、及びグラファイト等である。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩、水溶性セルロースエステル架橋体、デンプン-アクリル酸グラフト重合体を例示することができる。これらの結着剤は、単独で又は複数で用いられ得る。溶媒には、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等が用いられる。
セパレータ40の基材層41は、例えば、電解質を吸収保持するポリマーを含む多孔性シート又は不織布であってもよい。基材層41を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、及びポリエステルなどが挙げられる。基材層41は、単層構造又は多層構造を有してもよい。多層構造は、例えば、耐熱層としてのセラミック層等を有してもよい。基材層41には、電解質が含浸されてもよく、基材層41自体を高分子電解質又は無機型電解質等の電解質で構成してもよい。
基材層41に含浸される電解質としては、例えば、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む液体電解質である電解液、又はポリマーマトリックス中に保持された電解質を含む高分子ゲル電解質等が挙げられる。
基材層41に電解液が含浸される場合、その電解質塩として、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO等の公知のリチウム塩を使用できる。また、非水溶媒として、環状カーボネート類、環状エステル類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、及びエーテル類等の公知の溶媒を使用できる。なお、これら公知の溶媒材料を二種以上組合せて用いてもよい。
本実施形態における正極集電体22はアルミニウム箔である。本実施形態における負極集電体32は銅箔である。本実施形態における正極活物質層23は、複合酸化物としてのオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)を含む。本実施形態における負極活物質層33は、炭素系材料としての黒鉛を含む。本実施形態において、基材層41には電解液が含浸されている。
次に、積層されてセルスタック11を構成する前のセル20について、スペーサ50の構成を中心にさらに詳しく説明する。
図3に示すように、スペーサ50は、金属部材60と、金属部材60を覆う樹脂部材70と、を備える。金属部材60の材料としては、アルミニウム及び銅のほか、ステンレス鋼(例えばJISG4305:2015にて規定されるSUS304、SUS316、SUS301等)が挙げられる。本実施形態の金属部材60は、アルミニウムからなる。なお、本実施形態において、正極集電体22はアルミニウムからなる。そのため、金属部材60の熱伝導率は、正極集電体22と同等であると言える。金属部材60の熱伝導率は一対の集電体35の少なくとも一方の熱伝導率以上であると言える。金属部材60は、積層方向Zから見た平面視において、四角枠状をなす。
図4に示すように、金属部材60は、積層方向Zに沿った断面形状が矩形状をなす。金属部材60の表面は、一対の第1金属面61と、第2金属面62と、第3金属面63と、から構成される。一対の第1金属面61は、積層方向Zにおける金属部材60の両端面である。第2金属面62は、一対の第1金属面61を繋ぐ金属部材60の内周面である。第3金属面63は、一対の第1金属面61を繋ぐ金属部材60の外周面である。
一方の第1金属面61は、積層方向Zにおいて正極集電体22の正極表面22aと対向している。他方の第1金属面61は、積層方向Zにおいて負極集電体32の負極表面32aと対向している。
樹脂部材70は、絶縁材料を含む。樹脂部材70は、正極集電体22と負極集電体32との間を絶縁することによって、それら両集電体間の短絡を防止する。なお、樹脂部材70を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリプロピレン(変性PP)、ABS樹脂、及びAS樹脂等の種々の樹脂材料が挙げられる。
樹脂部材70は、一対の第1金属面61を覆う一対の第1樹脂部71と、第2金属面62を覆う第2樹脂部72と、を備える。一方の第1樹脂部71は、積層方向Zにおいて正極表面22aと第1金属面61との間に位置している。他方の第1樹脂部71は、積層方向Zにおいて負極表面32aと第1金属面61との間に位置している。金属部材60は、積層方向Zにおいて一対の第1樹脂部71によって挟まれている。一対の第1樹脂部71の各々は、積層方向Zから見た平面視で四角枠状をなしている。第2樹脂部72は、一対の第1樹脂部71の内周端同士を繋いでいる。
一対の第1樹脂部71は、スペーサ50に位置する一対の第1金属面61の全体を覆っている。第2樹脂部72は、スペーサ50に位置する第2金属面62の全体を覆っている。その一方で、第3金属面63は、樹脂部材70から露出している部分を有している。つまり、金属部材60はセル20の外部に向けて樹脂部材70から露出する部分を有している。本実施形態において、第3金属面63は、セル20の外部に向けて樹脂部材70から露出する露出部に相当する。
スペーサ50は、積層方向Zにおいて、正極集電体22と負極集電体32とに重なる部分(領域R)を有している。図面では、二点鎖線で領域Rを図示している。領域Rは、金属部材60及び樹脂部材70のうち、積層方向Zにおける一対の集電体35の間に位置する部分である。
第3金属面63を含む金属部材60の一部と、樹脂部材70の一部とは、正極集電体22及び負極集電体32と積層方向Zに重なっておらず、セル20の外側に突出する部分を構成している。金属部材60のうち、スペーサ50の領域Rを構成する部分を金属本体部65といい、その領域Rを構成する部分(金属本体部65)から積層方向Zに直交する方向に延びて、セル20の外側に突出する部分を金属端部66という。樹脂部材70のうち、スペーサ50の領域Rを構成する部分を樹脂本体部75といい、その領域Rを構成する部分(樹脂本体部75)から積層方向Zに直交する方向に延びて、セル20の外側に突出する部分を樹脂端部76という。
樹脂本体部75は、一対の第1樹脂部71のうち、金属本体部65に位置する第1金属面61を覆う部分と、第2樹脂部72と、で構成される。スペーサ50の積層方向Zにおける一対の集電体35の間に位置する部分である領域Rでは、樹脂部材70は、金属部材60の全ての部分を覆っている。すなわち、樹脂部材70のうちの樹脂本体部75は、金属部材60のうちの金属本体部65の全てを覆っている。樹脂端部76は、一対の第1樹脂部71のうち、金属端部66に位置する第1金属面61を覆う部分を含んでいる。
次に、複数のセル20が積層されてセルスタック11を構成した状態で、さらに詳しくセル20の構成について説明する。
図1に示すように、積層方向Zに隣り合う2つのセル20のうち、一方のセル20の正極裏面22bと、他方のセル20の負極裏面32bと、が互いに接する。これにより、積層方向Zに隣り合う2つのセル20において、一方のセル20の正極21と他方のセル20の負極31とが接している。
互いに接する正極21及び負極31によって疑似的なバイポーラ電極が形成されている。互いに接する正極集電体22及び負極集電体32が、バイポーラ電極の集電体として機能する。疑似的なバイポーラ電極の各々は、積層方向Zにおいて互いに接する正極集電体22及び負極集電体32と、正極活物質層23及び負極活物質層33と、を含む。疑似的なバイポーラ電極は、積層方向Zにおいてセパレータ40と交互に積層されている。
蓄電装置10は、積層方向Zにおける一端に正極21を備えるとともに、積層方向Zにおける他端に負極31を備える。正極通電板12aは、積層方向Zにおける一端に位置する正極21の正極集電体22に電気的に接続される。負極通電板12bは、積層方向Zにおける他端に位置する負極31の負極集電体32に電気的に接続される。
積層方向Zに隣り合うセル20において、樹脂端部76同士が溶着されて一体化している。言い換えると、積層方向Zに隣り合うセル20同士の樹脂部材70が溶着している。こうして一体化された樹脂端部76を封止体76aという。積層方向Zに隣り合うセル20のスペーサ50が封止体76aによって一体化されることにより、セルスタック11を構成するセル20の全てのスペーサ50が一体化されている。封止体76aは、積層方向Zに隣り合うセル20において、積層方向Zにおける金属端部66同士の間に位置している。封止体76aは、正極集電体22及び負極集電体32の周縁部を覆っている。
スペーサ50は、正極21と負極31との間の空間Sを封止する封止部としても機能する。スペーサ50は、空間Sに収容された電解液が蓄電装置10の外部に漏れることを防止し得る。スペーサ50は、蓄電装置10の外部から空間Sへと水分が侵入することを防止し得る。さらに、スペーサ50は、例えば充放電反応等により正極21又は負極31で発生したガスが空間Sの外部に漏れることを防止し得る。
セルスタック11として積層されたセル20の各々において、一対の第1樹脂部71は正極集電体22及び負極集電体32に溶着している。より詳細には、一方の第1樹脂部71のうち、樹脂本体部75に位置する部分が、正極表面22aに溶着している。他方の第1樹脂部71のうち、樹脂本体部75に位置する部分が、負極表面32aに溶着している。こうして溶着する第1樹脂部71の部分は、積層方向Zにおいて、正極表面22a及び負極表面32aと、一対の第1金属面61との間に位置している。要するに、樹脂部材70は、積層方向Zにおける一対の集電体35と金属部材60との間において一対の集電体35に溶着していると言える。
蓄電装置10は、樹脂製の被覆部材80をさらに備えていてもよい。被覆部材80を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリプロピレン(変性PP)、ABS樹脂、及びAS樹脂等の種々の樹脂材料が挙げられる。
被覆部材80は、直交方向におけるセル20の外側から複数のセル20を覆っている。具体的には、被覆部材80は、第1方向X及び第2方向Yにおけるセル20の外側から複数のセル20を覆っている。被覆部材80は、スペーサ50とは別体である。被覆部材80は、各セル20のスペーサ50の表面に沿って設けられている。なお、スペーサ50の表面への被覆部材80の形成は、例えば、樹脂材の熱溶着、溶融した樹脂材の塗布、及びコーキング等の既知の手法を用いて行う。被覆部材80は、積層方向Zにおいてセルスタック11の一端の正極集電体22に溶着するスペーサ50から、積層方向Zにおいてセルスタック11の他端の負極集電体32に溶着するスペーサ50まで延びている。
被覆部材80は、スペーサ50における封止体76aと第3金属面63とに接している。セルスタック11を構成する全てのセル20での第3金属面63が、被覆部材80によって覆われている。
次に、セル20の製造手順について説明する。
図4に示すように、正極21、セパレータ40、スペーサ50、及び負極31を順次積層していく。積層された正極21、セパレータ40、スペーサ50、及び負極31によってセル20が構成される。なお、この時点では、スペーサ50の樹脂部材70は、正極集電体22及び負極集電体32に溶着していない。この時点では、スペーサ50に封止体76aが形成されておらず、複数のセル20のスペーサ50同士は別体である。さらに、正極21、セパレータ40、スペーサ50、及び負極31の積層を繰り返すことで、複数のセル20が積層方向Zに積層されてセルスタック11が形成される。
続いて、図5に示すように、セルスタック11において、樹脂部材70を正極集電体22及び負極集電体32に溶着する。正極集電体22及び負極集電体32への樹脂部材70の溶着は、例えばセルスタック11を加熱炉の内部に収容することにより、セルスタック11を加熱することで行ってもよい。この場合、図5に白抜き矢印で示すように、第2方向Yにおける複数のセル20の外側と、第1方向Xにおける複数のセル20の外側と、から複数のセル20のスペーサ50が加熱される。スペーサ50の加熱によって、樹脂部材70が溶融する。その後、セルスタック11を加熱炉から取り出す等して、スペーサ50の加熱が停止されると、溶融した樹脂部材70が硬化していく。
図6に示すように、溶融した樹脂部材70が硬化すると、セル20の各々において、一対の第1樹脂部71が正極集電体22及び負極集電体32に溶着する。積層方向Zにおいて隣り合うセル20の樹脂端部76同士が溶着して封止体76aが形成される。その後、セル20の空間Sへの電解液の注入を行う。空間Sへの電解液の注入は、樹脂部材70に設けた不図示の開口部を介して行ってもよい。そして、セルスタック11に被覆部材80を形成する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図5に示すように、スペーサ50を集電体35に溶着すべくスペーサ50を加熱すると、金属部材60及び樹脂部材70が昇温する。このとき、第1方向X及び第2方向Yにおける複数のセル20の外側から金属部材60及び樹脂部材70が加熱される。そのため、金属部材60及び樹脂部材70の内部では、直交方向におけるセル20の外部寄りの部分からセル20の内部寄りの部分へと熱が伝わっていく。詳細には、第2方向Yにおけるセル20の両端部に位置する金属部材60及び樹脂部材70の内部では、第2方向Yに熱が伝わっていく。図示は省略しているが、第1方向Xにおけるセル20の両端部に位置する金属部材60及び樹脂部材70の内部では、第1方向Xに熱が伝わっていく。
ここで、金属は樹脂よりも熱伝導率が高い性質を有する。そのため、金属部材60は樹脂部材70よりも早期に全体まで熱が伝わる。金属部材60は、樹脂部材70よりも早期に全体が昇温する。そして、樹脂部材70は、加熱炉から受ける複数のセル20の外側からの熱に加えて、金属部材60からも熱が伝達されるようになる。一対の第1金属面61から一対の第1樹脂部71へと熱が伝達される。そして、一対の第1樹脂部71が昇温する。
昇温に伴って一対の第1樹脂部71が溶融すると、一方の第1樹脂部71が正極集電体22の正極表面22aに溶着するとともに、他方の第1樹脂部71が負極集電体32の負極表面32aに溶着する。これにより、集電体35へのスペーサ50の溶着が完了する。
上記実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)スペーサ50は、金属部材60と、金属部材60を覆う樹脂部材70と、を備える。そのため、スペーサ50を集電体35に溶着すべく直交方向における複数のセル20の外側から複数のセル20のスペーサ50を加熱すると、樹脂部材70には、直交方向における複数のセル20の外側から受ける熱に加えて、金属部材60からも熱が伝達されるようになる。樹脂部材70が金属部材60から熱を受けることにより、積層方向Zにおける一対の集電体35と金属部材60との間にある一対の第1樹脂部71の全体に熱が伝わりやすくなる。これにより、一対の第1樹脂部71の全体が、昇温に伴って溶融することで、一対の集電体35に溶着する。したがって、スペーサ50の全体が樹脂製である場合と比較して、スペーサ50における樹脂の溶融のばらつきが生じにくくなるため、集電体35に対するスペーサ50の溶着不良を抑制できる。
(2)金属部材60の一部が領域Rから直交方向におけるセル20の外側に突出している。そのため、直交方向における複数のセル20の外側から複数のセル20のスペーサ50が加熱される際、一対の集電体35よりも、金属部材60に熱が伝わりやすい。したがって、一対の集電体35が金属部材60よりも直交方向におけるセル20の外側に突出する場合と比較して、金属部材60を効率よく加熱できるため、金属部材60から樹脂部材70への熱の伝達に伴う一対の集電体35への樹脂部材70の溶着も効率よく行える。
また、樹脂部材70の一部が領域Rから直交方向におけるセル20の外側に突出している。積層方向Zに隣り合うセル20同士の樹脂部材70が溶着している。そのため、積層方向Zに隣り合うセル20のスペーサ50の間で樹脂部材70の境界がなくなるため、スペーサ50による空間Sの封止性を向上できる。
(3)樹脂部材70は、金属部材60のうち、スペーサ50の領域Rに含まれる金属本体部65の全てを覆っている。すなわち、金属部材60のうち、直交方向においてセル20の内部寄りに位置する第2金属面62は、第2樹脂部72によって覆われることで空間Sに露出しない。そのため、空間Sに収容された電解液に金属部材60が接触することを抑制できる。したがって、金属部材60の材料の採用に際して電解液に対する耐性を考慮する必要がなくなるため、金属部材60の材料の選択の自由度が向上する。
また、蓄電装置10の使用に伴うガスの発生によってセル20の内圧上昇が生じると、セル20を構成する一対の集電体35には互いに離れようとする力が作用する。こうして作用する力は、一対の集電体35のうち、直交方向におけるセル20の内部寄りの部分に作用しやすい。そのため、スペーサ50が接合する一対の集電体35の部分のうち、直交方向において最もセル20の内部寄りに位置する部分は、そのほかの部分よりも上記のセル20の内圧上昇に伴う力が作用しやすい。こうした力が作用しやすい一対の集電体35の部分では、一対の集電体35がスペーサ50から離れることを抑制するために、一対の集電体35に対するスペーサ50の接合強度を向上させることが好ましい。
本実施形態によれば、金属部材60のうち、直交方向において最もセル20の内部寄りに位置する第2金属面62が第2樹脂部72によって覆われる。そのため、スペーサ50が接合する一対の集電体35の部分のうち、直交方向において最もセル20の内部寄りに位置する部分には、積層方向Zにおいて金属部材60が介在しない樹脂部材70が接合される。したがって、一対の集電体35のうち、セル20の内圧上昇に伴う力が作用しやすい部分において、スペーサ50の接合強度を向上できる。
(4)被覆部材80は、直交方向におけるセル20の外側から複数のセル20を覆っている。そのため、被覆部材80によって、樹脂部材70から露出する第3金属面63が覆われるため、第3金属面63に水分が付着することによる金属部材60の腐食を抑制できる。
(5)金属部材60の第3金属面63は、セル20の外部に向けて樹脂部材70から露出している。そのため、直交方向における複数のセル20の外側から複数のセル20のスペーサ50が加熱される際、第3金属面63が樹脂部材70によって覆われる場合よりも、金属部材60に熱が伝わりやすい。したがって、金属部材60を効率よく加熱できるため、金属部材60から樹脂部材70への熱の伝達に伴う一対の集電体35への樹脂部材70の溶着も効率よく行える。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記の各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 金属部材60は、正極集電体22及び負極集電体32と積層方向Zに重なる部分のみで構成されてもよい。この場合の金属部材60は、積層方向Zにから見た平面視において、正極集電体22の縁部及び負極集電体32の縁部から積層方向Zと直交する方向に突出する部分を有さない。
○ 樹脂部材70は、正極集電体22及び負極集電体32と積層方向Zに重なる部分のみで構成されてもよい。この場合、樹脂部材70は、積層方向Zにから見た平面視において、正極集電体22の縁部及び負極集電体32の縁部から積層方向Zと直交する方向に突出する部分を有さない。この場合、積層方向Zに隣り合うセル20の樹脂部材70同士は溶着されにくくなるが、蓄電装置10に被覆部材80を配置すれば、正極集電体22と負極集電体32との間の隙間を被覆部材80によって塞ぐことができる。このように、被覆部材80を配置することで、上記隙間に水分が侵入して正極集電体22や負極集電体32にダメージを与えることを抑制することができる。
○ 蓄電装置10から被覆部材80を省略してもよい。
○ スペーサ50の領域Rにおいて、金属部材60は、金属本体部65の一部が樹脂部材70から露出してもよい。例えば、金属部材60は、第2金属面62の一部が樹脂部材70で覆われずに露出するとしてもよい。
○ 積層方向Zから見た平面視において、正極集電体22及び負極集電体32の形状は長方形状に限らない。例えば、積層方向Zから見た平面視で、正極集電体22及び負極集電体32は正方形状であってもよい。
○ 樹脂部材70の一部が別体であってもよい。この場合においても、樹脂部材70を、正極活物質層23及び負極活物質層33を囲むように配置することで、積層方向Zから見た平面視においてスペーサ50が四角枠状をなすものにできる。
○ 金属部材60の積層方向Zに沿った断面形状は、矩形状以外であってもよい。
○ 金属部材60は、樹脂部材70の内部で不連続に配置されてもよい。この場合も、実施形態と同様に、金属部材60は、セル20の外部に向けて樹脂部材70から露出する露出部を備える。樹脂部材70は、積層方向Zにおける一対の集電体35と金属部材60との間において一対の集電体35に溶着している。
○ 金属部材60は、アルミニウムに限らない。この場合も、金属部材60の材料として、一対の集電体35の少なくとも一方の熱伝導率以上である材料を採用することが好ましい。
○ 正極集電体22の材料はアルミニウムに限らない。負極集電体32の材料は銅に限らない。この場合も、金属部材60の材料としては、熱伝導率が、一対の集電体35の少なくとも一方の熱伝導率以上である材料を採用することが好ましい。
○ 集電体35は、正極集電体22及び負極集電体32からなるものに限らない。例えば、蓄電装置10は、正極集電体22及び負極集電体32の区別がない同一の集電体35を備えてもよい。この場合の集電体35は、積層方向Zにおいて、一方面に正極活物質層23を備えるとともに、他方面に負極活物質層33を備える。複数の集電体35が積層方向Zに並んでいる。積層方向Zに並ぶ一対の集電体35のうち、一方の集電体35に位置する正極活物質層23と、他方の集電体35に位置する負極活物質層33と、が積層方向Zにおいてセパレータ40を介して互いに対向する。スペーサ50は、積層方向Zにおける一対の集電体35の間に配置される。
なお、この場合の集電体35の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、及びステンレス鋼等を挙げられる。この場合の金属部材60の材料としては、熱伝導率が集電体35の熱伝導率以上である材料を採用することが好ましい。例えば、集電体35の材料にアルミニウムを採用した場合には、金属部材60の材料としては、アルミニウムのほか、熱伝導率がアルミニウムの熱伝導率以上の材料を採用することが好ましい。
○ 金属部材60の材料として、熱伝導率が一対の集電体35の両方の熱伝導率未満である金属を採用してもよい。
○ 誘導加熱コイルや赤外線ヒータ等によってスペーサ50を加熱することで、集電体35へのスペーサ50の溶着を行ってもよい。誘導加熱コイルによってスペーサ50を加熱する場合は、例えば以下のように集電体35へのスペーサ50の溶着を行うことができる。
具体的には、蓄電装置10の外部に設置されたコイルに電流を流すことで、磁力線が発生する。磁力線の影響を受けて、電磁誘導により金属部材60に誘導電流が流れ、ジュール熱が発生して金属部材60が昇温される。樹脂部材70が金属部材60から熱を受けることにより、樹脂部材70のうち、積層方向Zにおける一対の集電体35と金属部材60との間に位置する部分が、昇温に伴って溶融することで一対の集電体35に溶着する。この場合、金属部材60の材料としては、抵抗が大きいものほどジュール熱は大きくなるため、抵抗の大きい材料を採用することが好ましい。具体的には、金属部材60の材料としては、例えば、アルミニウムやステンレス鋼が挙げられる。誘導加熱コイルによってスペーサ50を加熱する場合、加熱炉と比較して金属部材60を選択的に昇温させることができる。すなわち、セル20内部に配置されたセパレータ40は熱の影響を受けにくいため、シャットダウン機能の損失を抑制できる。また、金属部材60だけでなく、集電体35も選択的に昇温させることができる。
○ 蓄電装置10は、例えばニッケル水素二次電池等のリチウムイオン二次電池以外の二次電池であってもよい。蓄電装置10は、電気二重層キャパシタであってもよいし、全固体電池であってもよい。
R…領域、X…第1方向、Y…第2方向、Z…積層方向、10…蓄電装置、20…セル、35…集電体、36…活物質層、40…セパレータ、50…スペーサ、60…金属部材、63…第3金属面、70…樹脂部材、80…被覆部材。

Claims (5)

  1. 複数のセルが積層方向に積層されている蓄電装置であって、
    前記セルは、
    前記積層方向に並ぶ一対の集電体と、
    前記積層方向における一対の前記集電体の間に配置されたセパレータと、
    前記積層方向における一対の前記集電体の間に配置され、且つ前記積層方向において前記セパレータを介して互いに対向するように配置された一対の活物質層と、
    前記積層方向における一対の前記集電体の間に配置され、且つ前記積層方向に対して直交する直交方向において一対の前記活物質層を取り囲むように、一対の前記集電体の縁部に沿って配置されたスペーサと、を備え、
    前記スペーサは、
    金属部材と、前記金属部材を覆う樹脂部材と、を備え、
    前記金属部材は、前記セルの外部に向けて前記樹脂部材から露出する露出部を備え、
    前記樹脂部材は、前記積層方向における一対の前記集電体と前記金属部材との間において一対の前記集電体に溶着していることを特徴とする蓄電装置。
  2. 前記露出部を含む前記金属部材の一部と、前記樹脂部材の一部とは、前記積層方向における一対の前記集電体の間に位置する領域から前記直交方向における前記セルの外側に突出し、
    前記積層方向に隣り合う前記セル同士の前記樹脂部材が溶着している請求項1に記載の蓄電装置。
  3. 前記樹脂部材は、前記金属部材のうち、前記積層方向における一対の前記集電体の間に位置する領域の全てを覆っている請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
  4. 前記スペーサとは別体であるとともに、前記直交方向における前記セルの外側から複数の前記セルを覆う樹脂製の被覆部材をさらに備える請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
  5. 前記金属部材の熱伝導率は一対の前記集電体の少なくとも一方の熱伝導率以上である請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
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