JP2022076171A - コイル、ステータおよびモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 放熱性および/または耐圧を高めることが可能なコイルと、それを用いたステータおよびモータを提供する。【解決手段】 コイル10は、帯状の平導体Cを螺旋形状に連続させた螺旋構造体50からなり、螺旋構造体50の螺旋の第一の周と、該第一の周に連続する第二の周とが予定された間隔Pで離間されている。【選択図】図11

Description

本発明は、平板を加圧・変形させることにより螺旋構造を構成したコイル、及びそのコイルを用いたステータ及びモータに関する。
モータの構成要素である固定子(ステータ)は、コア(ステータコア)の周囲にコイルが配設されるが、モータの低損失化および小型化を図る上で、コア内のコイルの占積率を向上させることが重要となっている。
コア内の占積率の向上が可能なコイルとして、例えばU字(コの字)状に打ち抜いた平導体の端面同士を冷間圧接により接合してコイルの1周分領域を形成し、これを螺旋状に連続させて形成したコイルおよびその製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の技術によれば、コア内の占積率の向上および放熱性の向上が可能で、平導体の接合(継ぎ合わせ)による螺旋構造でありながら接合部における特性劣化が生じない、良質なコイルを提供することができる。
特許5592554号公報
しかしながら、例えば電気自動車等の動力となるモータに利用されるコイルの場合は特に、高放熱性および/または高耐圧の要求があり、これらの点において更なる改良の余地があった。
本発明は、放熱性および/または耐圧を高めることが可能なコイルと、それを用いたステータおよびモータを提供することを目的とする。
本発明は、以下の手段によって、上記課題を解決したものである。
本発明は、帯状の平導体を螺旋形状に連続させた螺旋構造体からなるコイルであって、完成した前記螺旋構造体の螺旋の第一の周と、該第一の周に連続する第二の周とが所定の機能を果たすために予定された間隔で離間されている、ことを特徴とするコイルに係るものである。
また、導体の螺旋構造体からなるコイルであって、前記螺旋構造体の各周が射出成形樹脂にて覆われている、ことを特徴とするコイルに係るものである。
また、上記のコイルと、環状に配置される複数のティースを有するステータ部材と、を有するステータであって、前記複数のティースのそれぞれに前記コイルを直接的に取り付けた、ことを特徴とするステータに係るものである。
また、上記のステータを有するモータに係るものである。
本発明によれば、放熱性および/または耐圧を高めることが可能なコイルと、それを用いたステータおよびモータを提供することができる。
本発明の実施形態に係るコイル製造方法によって製造されるコイルの外観を示す図であり、(A)平面図、(B)側面図、(C)側面図である。 本実施形態に係るコイル片について説明する図であり、(A)平面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)~(G)平面図である。 本実施形態に係るコイル製造方法の処理の流れを示すフロー図である。 本実施形態に係るコイル片について説明する平面図である。 本実施形態に係る接合工程の処理の流れを示すフロー図である。 本実施形態に係るコイル製造方法を説明するためのコイル片の側面概要図である。 本実施形態に係るコイル製造方法を説明するための螺旋構造体の側面概要図図である。 本実施形態に係るコイル製造方法を説明するための螺旋構造体の断面概要図図である。 本実施形態に係るコイル製造方法を説明するためのコイルの概要図であり、(A)平面図、(B)断面図、(C)側面図である。 本実施形態に係るコイル製造方法の変形例を説明するフロー図である。 本実施形態に係るコイルを説明する断面概要図である。 本実施形態に係るコイルを説明する図であり(A)側面概要図、(B)外観斜視図、(C)側面図、(D)側面図、(E)側面概要図、(F)側面概要図、(G)側面概要図、(H)側面概要図である。 本実施形態に係るコイルを説明する図であり(A)側面概要図、(B)外観斜視図、(C)側面概要図、(D)側面概要図である。 本実施形態に係る(A)コイルを示す外観斜視図、(B)コイルおよびスペーサを示す外観斜視図、(C)スペーサの側面図である。 本実施形態に係るコイルを説明する図であり(A)断面概要図、(B)外観斜視図、(C)断面概要図、(D)側面概要図、(E)断面概要図、(F)断面概要図、(G)側面概要図である。 本実施形態に係るステータを説明する図であり、ステータの一部を抜き出して示す(A)平面図、(B)~(E)平面概要図である。 本実施形態に係るモータを説明する図であり、(A)~(C)外観斜視図、(B)側面透視図である。 本実施形態に係るモータの他の例を説明する図であり、(A)断面概要図、(B)斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<コイル、およびその製造方法>
まず、本発明に係るコイル10について説明する。
図1は、本実施形態のコイル10の概要を説明する外観図であり、同図(A)が螺旋構造のコイル10を螺旋の軸方向から見た平面図であり、同図(B)が螺旋構造の短辺SS(同図(A)の例えば左)方向から見た側面図であり、同図(C)が螺旋構造の長辺LS(同図(A)の例えば下)方向から見た側面図である。
なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。
そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。
図1に示すように、本実施形態のコイル10は、平導体(コイル片C)により螺旋構造を形成したものであり、一例としてモータを構成するステータ(固定子)に取り付けられる。より具体的には、周回する螺旋構造の軸中心SCが略一致するように(周回部分がコイル10の螺旋軸方向に略重畳するように)巻回された、所謂、集中巻きのコイルである。
また、コイル10は、それぞれ直線部分(直線部STR)を有する帯状の複数の平導体(コイル片)Cを連続して接続し、螺旋構造体50を形成した(完成した状態では平導体Cが巻回された構成となる)エッジワイズコイルである。
図1(A)に示すように螺旋構造体50の1周分の領域(同図(A)に大破線矢印で示す領域、以下、1周分領域CRという。)は、巻回の角部TNが略直角であり、螺旋構造体50の軸方向から見た平面視において少なくとも内周側(図1(A)では内周側および外周側のいずれも)が(略)矩形状となる。またこのコイル10を構成する平導体Cを、以下の説明ではコイル片Cとも称する。
コイル10は、詳細な図示は省略するが、螺旋構造の平導体Cの周囲に絶縁樹脂60を付着させている。絶縁樹脂60は螺旋の進行方向に沿って、コイル10の一端ST側から他端ET側まで連続して設けられており、螺旋構造体50の1周分領域CRがそれぞれ絶縁樹脂60によって絶縁されている。なお、コイル10の端部(一端STと他端ET)は、他の部材との接続部(端子)であり、絶縁樹脂60は設けられていなくてもよい。
図2を参照して、コイル10を構成する平導体Cについて説明する。図2は、本実施形態のコイル10を構成する平導体Cの一例を示す図であり、同図(A)が平導体Cの平面(上面)図であり、同図(B)および同図(C)は同図(A)のY-Y線断面を拡大した図である。また、同図(D)~同図(G)は平導体Cの形状の一例を示す平面(上面)図である。
コイル10は、帯状の複数の平導体Cをそれらの直線部STRにおいて帯長手方向BL(破線矢印で示す螺旋進行方向)に沿ってつなぎ合わせたものである。より具体的には、図2に示す平導体Cの帯長手方向BL(螺旋進行方向)の端面TS同士を突き合わせて押圧(圧接、例えば、冷間圧接)し、所望の巻き数となるように連続させて螺旋構造体50としたものである。
図2(A)~同図(C)に示すように本実施形態の平導体(コイル片)Cは、所定方向に長い帯状(テープ状)の導体であり、対向する2つの幅広面WSと、対向する2つの幅狭面WTを有する。また、帯長手方向BLに直交する断面(同図(A)のY-Y線断面)が同図(B)に示すように矩形状または、同図(C)に示すように角丸矩形状の導体である。以下の説明では平導体Cの一例として帯長手方向BLに直交する断面が、同図(B)に示すように(略)矩形状の平導体Cを例に説明する。
具体的に本実施形態の平導体(コイル片)Cは、複数を連続させることで螺旋構造体50を構成可能である。また、本実施形態の螺旋構造体50の1周分領域CRは1以上のコイル片Cによって構成される。
すなわち、コイル片Cは、直線部STRのみからなる形状(同図(A))、または少なくとも一つの直線部STRと少なくとも1つの角部TNを有する形状(同図(D)~同図(G))を有している。ここで、角部TNは、帯長手方向BLの延在方向を変化させるように曲折した部位(方向変換部)である。
同図(D)~同図(G)に示すように角部TNを有する平導体(コイル片)Cの場合、連続させた場合に螺旋形状となるように、帯長手方向BLに沿って同一方向(常に右方向、または左方向)に曲折しているものとする。また角部TNを有するコイル片Cの場合、少なくとも1つ(好適には全て)角部TNは、非湾曲(例えば、略直角)形状であることが望ましい。
また、以下の説明において、複数のコイル片(平導体)Cを連続(接続)させた螺旋構造体50であって、所定巻き数のコイル10として完成する以前の螺旋構造体50(コイル片Cを引き続き接続する予定の螺旋構造体50)もコイル片Cに含まれるものとする。つまり、以下の説明において、コイル片Cには、図2に示すような直線状、または帯長手方向において同一方向に角部TNを有する最小単位のコイル片(接続前のコイル片)と、該最小単位のコイル片Cを複数接続し且つ、コイル10(螺旋構造体50)の1周分領域CRに満たないコイル片、あるいはコイル10(螺旋構造体50)の1周分領域CRより長い螺旋構造が形成されたコイル片とが含まれる。また、説明の便宜上、これらの区別が必要な場合には、最小単位のコイル片を単位コイル片C0(C01、C02、C03・・・C0N)といい、単位コイル片C0を複数接続したものであってコイル10(完成予定の螺旋構造体50)となる以前のコイル片Cの接合体を接合コイル片CC(CC1,CC2…、CCN)といい、所定の巻き数となった完成予定(完成状態)の螺旋構造体50をコイル10という。
コイル片C(単位コイル片C0)は一例として、銅板(例えば、厚さ0.1mm~5mmなどの板状の無酸素銅(酸化物を含まない99.95%以上の高純度銅))の打ち抜き加工などによって、直線状あるいは、略直角の(非湾曲の)方向変換部(角部)TNを有する形状に構成される。つまり単位コイル片C0は、平面視(上面視)において、角部TNがない直線上(I字状)(同図(A))、1つの角部TNを有するL字状(同図(D))、2つの角部TNを有するU字状(コ字状)(同図(E))、3つの角部TNを有する略C字状(同図(F))、4つの角部TNを有するC字状(同図(G))または略O字状のものがある。なお、以下の説明においてU字状、(略)C字状、略O字状と称するが、いずれも全ての角部TN(角部)は略直角の形状であるとする。コイル10を製造する複数のコイル片Cは、図2のいずれかの形状(複数のコイル片Cが全て同一形状)であってもよいし、図2に示す複数の形状の組み合わせのいずれであってもよい。
<コイルの製造方法>
図3は、本実施形態のコイルの製造方法に係る処理(コイル製造処理)の流れの一例を示すフロー図である。
コイルの製造方法は、例えば、接合工程と、中間成形工程と、焼鈍工程と、絶縁工程と、成形工程とを有する。本実施形態のコイル製造方法による処理(コイル製造処理)の流れは、一例として同図に示すように、接合工程(ステップS1)、中間成形工程(ステップS3)、焼鈍工程(ステップS5)、絶縁工程(ステップS7)、および成形工程(ステップS9)をこの順で行う。以下順次説明する。
<コイルの製造方法/接合工程>
まず、図3のステップS1に示す接合工程について説明する。接合工程では、連続させると螺旋構造体50となり得る帯状の複数の平導体(コイル片)Cを準備し、一の平導体Cの帯長手方向BLの一の端面TSと、他の平導体Cの帯長手方向BLの一の端面TSとを突き合わせて押圧し、螺旋構造体50を形成する。
まず、図4を参照して準備するコイル片Cについて説明する。ここでは一例として、複数のコイル片Cは図2(E)に示すU字状(コの字状)のコイル片Cであるとする。図4(A)および同図(B)は、2つのコイル片C(C1,C2)の平面(上面)図であり、同図(C)は本接合工程においてそれぞれのコイル片Cの一方の端面TS同士を圧接して接合部CPを形成した状態を示す平面図である。ここで便宜上、コイル片C1,C2と表記するが両者は(略)同一形状のコイル片Cを端面TS1、TS2を中心として表裏反転させたものである。
同図(A)に示すように2つのコイル片C(C1,C2)は、いずれも破線矢印で示す帯長手方向BLの端面TS(TS0、TS1,TS1´、TS2)を有し、同図(B)に示すように帯長手方向BLに端面TS同士(端面TS1と端面TS2、端面TS0と端面TS1´)を当接させて仮想状態の螺旋構造体(以下、「仮想螺旋構造体50´」という。)を形成可能である。この仮想螺旋構造体50´は、同図(B)に大破線矢印で示す螺旋進行方向の仮想的な1周分の領域(以下、「仮想1周分領域CR´」という。)の長さが、同図(C)に示す2つのコイル片Cを接合した接合コイル片CC(コイル10、螺旋構造体50も同様)の1周分領域CR(大破線矢印で示す)の長さよりも圧接の押圧量だけ長くなるように設定されている。
具体的に、同図(A)を参照して、コイル片C1の端面TS1とコイル片C2の端面TS2を当接させた仮想1周分領域CR´(同図(B))の長さが、端面TS1、TS2同士を圧接した接合コイル片CCの1周分領域CR(同図(C))の長さよりも圧接の押圧量だけ長くなるように設定されている。つまり、それぞれのコイル片Cは、各コイル片Cの帯長手方向BLの距離を合計した総距離となる準備長さが、コイル10の螺旋長手方向の完成長さと比較して余裕分だけ長くなるように設定されており、余裕分は、複数のコイル片Cの全てを冷間圧接した場合に、押圧によって短縮する短縮総距離に設定されている。
図5は、図3のステップS1に示す接合工程の処理の流れの一例を示すフロー図である。接合工程はより詳細には例えば、曲げ工程(ステップS12)と、圧接工程(ステップS13)と、バリ取り工程(ステップS14)を有する。
接合処理は、まず、所定の巻き数T(完成形のコイル10としての巻き数T)であるか否かを判定し(ステップS11)、所定の巻き数Tに達している場合は処理を終了し、そうでない場合は曲げ工程を行う(ステップS12)。曲げ工程の後に圧接工程を行い(ステップS13)、引き続きバリ取り工程を行う(ステップS14)。バリ取り工程の後は1周分領域CRが完成したか否かを判定し(ステップS15)、完成していない場合には次のコイル片Cの曲げ工程を行う(ステップS12)。1周分領域CRが完成している場合には、巻き数Tを加算し(ステップS16)、巻き数Tの判定(ステップS11)に戻る。
ここで、1周分領域CRが完成しているか否かの判定(ステップS15)は、例えば、処理するコイル片Cの数で判定する。例えば、図4に示すように同一形状のコイル片Cを複数接合して螺旋構造体50とする場合、1周分領域CRを構成するコイル片Cの数は特定される(この例では2個のコイル片Cで1周分領域CRが完成する)。したがって、処理するコイル片Cの数を監視することで1周分領域CRを判定できる。なお、これに限らず、例えば画像取得などにより圧接工程後のコイル片C(接合コイル片CC)の外観(あるいは重量など)に基づき1周分領域CRを判定してもよい。
以下、図6も参照して主要な工程について更に説明する。図6は、コイル片C(接合コイル片CC)の側面図(図2(E)の左方または右方から見た側面図)である。
<コイルの製造方法/曲げ工程>
曲げ工程(図5のステップS12)では、各コイル片Cについて、螺旋進行方向に沿う一部分が他の部分に対して傾斜するように折り曲げて折れ部B0を形成する。この曲げ工程は、コイル片Cの圧接の前に行う。図6(A)は、変形前のコイル片Cの側面図であり、同図(B)が折れ部B0を形成した後のコイル片Cである。
同図(A)に示すように変形前のコイル片Cは、平板から打ち抜かれたままの平板状のコイル片Cであって、コイル片Cの全体の領域が意図的に変形されることなく、略同一平面内に存在している。ここで、螺旋構造体50の第1周目の1周分領域CRを構成するコイル片C(C1、C2)はいずれも単位コイル片C0(C01,C02)である。
そして曲げ工程では、コイル片C(C1、C2)のそれぞれについて、接合(圧接)前に、螺旋構造体50の1周分領域CRを構成する予定の対向する2辺(例えば、長辺LSを構成する長辺領域LS1、LS2、図4(A)、図4(C)参照)のうち一方(例えば、長辺領域LS2)を他方(例えば、長辺領域LS1)に対して傾斜するように折り曲げて(曲げ加工を行い)、図6(B)に示すように折れ部B0を形成する。なお、この例ではコイル片C1,C2は同一形状であるので、折れ部B0の形成態様(位置や曲げの角度αなど)も同様である。
より詳細には、例えば、コイル片Cの一方の長辺領域LS1と短辺SSとが略同一平面(以下、基準面SF0と称する)内に位置し、当該基準面SF0を水平に保持した場合に、折れ部B0を境界として他方の長辺領域LS2が基準面SF0に対して傾斜するように折り曲げられる。他方の長辺領域LS2は、その短辺SS側の端部T1よりも他方(短辺SSから離れる方)の端部T2が、基準面SF0よりも下方(または上方)に位置するように、換言すると基準面SF0(一方の長辺領域LS1)と他方の長辺領域LS2の成す角が角度αとなるように、折れ部B0の位置からコイル片Cを折り曲げる。
このように、本実施形態の曲げ工程では、コイル10の1周分領域CRを構成する予定の、コイル片C1、C2のそれぞれについて、長辺側の対向する2辺(長辺領域LS1,LS2)の一方が他方に対して傾斜するように折り曲げる。
なお、上記の例における一方の長辺領域LS1と他方の長辺領域LS2は、説明の便宜上称呼を異ならせているに過ぎない。すなわち、長辺領域LS1、LS2を入れ替えても同様であり、折れ部B0は、一方の長辺領域LS1と他方の長辺領域LS2の成す角が概ね所定の角度αとなるように変形されればよい。
<コイルの製造方法/圧接工程>
圧接工程(図5のステップS13)では、図6(C)に示すように、折り曲げられたコイル片C1(単位コイル片C01)の一方の端面TS1と、折り曲げられたコイル片C2(単位コイル片C02)の一方の端面TS2同士を帯長手方向BLに沿って押圧し、接続(冷間圧接)して接合コイル片CC1を形成する(図6(D))。このようにして接合した1周分領域CRの接合コイル片CC1の平面(上面)図が図4(C)である。なお、コイル10は、この1周分領域CRを所定数連続させて形成するため、図4(C)において他方の端面TS0、TS1´同士は接合されておらず、この状態での1周分領域CRは例えば接合部CPの対向位置において非連続となっている。
この圧接工程では、単位コイル片C01と単位コイル片C02のそれぞれの直線部分において端面TS1,TS2同士を帯長手方向BLの距離を短縮させながら継ぎ合わせ押圧する(図4(B),同図(C)参照)。既に述べているように、複数のコイル片C(単位コイル片C0)により形成される仮想螺旋構造体50´は、仮想1周分領域CR´の長さが、1周分領域CRの長さよりも圧接の押圧量だけ長くなるように設定されており、圧接工程ではコイル片C同士を押圧して、仮想1周分領域CR´の長さを螺旋構造体50の1周分領域CRの長さに一致させる。
この例では、単位コイル片C01(コイル片C1)の長辺領域LS2と単位コイル片C02(コイル片C2)の長辺領域LS2において、両者の端面TS1,TS2同士を押圧する場合を例示しているが、コイル片Cの形状によっては、短辺SSにおいて端面TS同士を押圧してもよい。
ここで、1箇所の接合部CPの形成においては、コイル片C同士を1度の押圧で冷間圧接してもよいし、複数回の押圧を繰り返して冷間圧接してもよい。複数回の押圧を繰り返すことすることで接合面を安定させることができる。例えば、1箇所の接合部CPの冷間圧接において、1回の押圧時間を短く(例えば、5秒以内など)、押圧回数を多く(例えば、3回~10回程度)し、さらに押圧の間隔(N回目とN+1回目の押圧の間隔)を接合箇所が酸化しない程度に短くして押圧を行う。
より具体的には、圧接工程における1回の押し込み量(圧縮量)はコイル片C1、コイル片C2ともに例えば、約0.5mm程度である。そして、1箇所の接合部CPについて、例えば1回につき5秒以内の押圧を、3回から10回程度繰り返し行い、約1mm以上(好ましくは1.5mm以上、具体的には約2mm程度)圧縮させる。これにより、安定した接合面が得られる。
<コイルの製造方法/バリ取り工程>
図6(D)に示すように、2つのコイル片C1,C2を冷間圧接した(接合コイル片CC1を形成した)後は、接合部CPに押し出しによるバリ55が生じる。このバリ55が残存したままでは、次の圧接の際に圧接の装置などと干渉する恐れが生じる。バリ取り工程(図5のステップS14)ではこのバリ55を除去する。
バリ55は、接合部CPにおいて接合コイル片CC1の幅広面WSに対して略直交するように垂直方向上下に生成される。バリ55の除去は、例えば鋏などの切り取り手段による切り取りや、鋸刃やブラストなどによる削り取り(研削、研磨)などで行う。また、バリ55を除去した後に、例えば磨きなどの表面仕上げ処理を行ってもよい。さらに、バリ55は、部分的な溶解などによって除去してもよい。また、接合コイル片CC1の幅広面WSに対して略直交するように垂直方向上下に生成されるバリ55を、1回のバリ取り工程で同時に除去してもよいし、例えば、上方と下方を複数回に分けて除去してもよい。このようにして、バリ55が除去された接合コイル片CC1が得られる(図6(E))。
本実施形態では1箇所の接合部CPを形成する毎にバリ55を除去し、バリ55を除去した後の接合コイル片CC1(同図(E))に、新たなコイル片C(新たに継ぎ足す単位コイル片C03)を圧接する。すなわち、新たな単位コイル片C03について曲げ工程(図5のステップS12)により折れ部B0を形成し(図6(F))、図6(G)に示すように新たな単位コイル片C03とバリ55を除去した接合コイル片CC1とを圧接し、新たな接合コイル片CC2を形成する。この例では、単位コイル片C03の長辺領域LS1の端面TSと、接合コイル片CC1の、例えば単位コイル片C02であった側の長辺領域LS1の端面TSとを圧接する。そして、新たな接合部CPに生成されたバリ55を除去する(図6(H))。
さらに新たなコイル片C(新たに継ぎ足す単位コイル片C04)について曲げ加工を行い(図6(I))、単位コイル片C04と接合コイル片CC2を圧接する(図6(J))。この例では、単位コイル片C04の長辺領域LS2の端面TSと、接合コイル片CC2の、例えば単位コイル片C03であった側の長辺領域LS2の端面TSとを圧接する。その後、バリ55を除去して接合コイル片CC3とする(図6(K))。
以降同様に、新たなコイル片C(新たに継ぎ足す単位コイル片C0N)について曲げ加工を行い、単位コイル片C0Nと接合コイル片CCN-1を圧接し、バリ55を除去して接合コイル片CCNを形成する工程を繰り返し、所定巻き数の螺旋構造体50を得る。
なお、折れ部B0の構成(形成位置や、折れ部B0の角度αなど)は、コイル片Cの形状、圧接装置の構成、コイル片Cの圧接量(押圧量)などに応じて適宜選択される。
<コイルの製造方法/中間成形工程>
次に、図3のステップS3に示す中間成形工程について説明する。図7は、所定の巻き数分、コイル片Cを圧接した螺旋構造体50を示す側面概要図である。同図(A)、同図(B)は、全ての圧接工程を終了した直後の螺旋構造体50を示し、同図(C)、同図(D)は中間成形後の螺旋構造体50を示す。
圧接工程の終了直後の螺旋構造体50は同図(A)に示すような形状、例えば、対向する長辺LSのうち一方の長辺LSが螺旋の軸(破線で示す)に対して略垂直となる形状になっている。なお、同図(A)に示す形状に限らず、例えば、同図(B)に示すように対向する長辺LSのいずれもが螺旋の軸に対して傾斜する形状であってもよい。
同図(A)、同図(B)に示すように、各コイル片Cには、圧接装置との干渉を回避するため折れ部B0が形成されており、圧接工程の終了直後は1周分領域CR同士の間に大きな(概ねの距離g1)の隙間Gが生じている。ここでのそれぞれの隙間Gの距離g1は、意図的に(目的をもって)確保されるものではなく、圧接工程の終了直後に任意に或る距離の隙間Gが生じていることを意味するものである。つまり、1周分領域CR同士の間の複数の距離g1は等しい値とは限らず、加工時の歪や螺旋構造体50の自重により伸縮し、ばらつきが生じている。
中間成形工程では、この隙間Gの距離g1を圧接工程の終了直後の状態よりも縮小するよう、螺旋構造体50を螺旋の軸方向に変形(弾性変形および/または塑性変形)させて全体的に圧縮する。中間成形により各1周分領域CRの隙間Gは概ね距離g2(<g1)に縮小される(同図(C)、同図(D))。なおこの中間成形工程では、同図(C)に示すように、折れ部B0を残したまま距離g2に縮小してもよいし、同図(D)に示すように折れ部B0が(略)平面に戻るように(折り曲げがなくなるように)変形しつつ距離g2に縮小してもよい。距離g2は、距離g1の隙間Gを圧縮することで或る距離の隙間Gが生じていることを意味するものであり、また、後に最終的な成形工程を行うため、この1周分領域CR同士の間の複数の距離g2も等しい値でなくてもよい。なお、距離g2はそれぞれの1周分領域CRが密着することなく、適度に離間する距離である。この適度に離間とは、後の絶縁工程において、各1周分領域CRが十分に絶縁可能となる距離である。
この中間成形により、螺旋構造体50の全体の長さ(螺旋の軸方向の長さLT´)が短縮され、長さLTになる。つまり、中間成形工程は、距離g2の隙間Gを確保しつつ螺旋構造体50の全体の長さを縮小する成形を行う。
<コイルの製造方法/焼鈍工程>
次に、図3のステップS5に示す焼鈍工程について説明する。金属材料(例えば銅板)からなる螺旋構造体50は、コイル片Cの曲げ工程や、圧接工程などの加工硬化により内部の歪や残留応力が生じている。そこでこれらの歪や残留応力を取り除き、組織を軟化し加工性を向上させるために焼鈍(焼きなまし、アニーリング)を行う。一例として、熱処理炉(連続焼鈍炉)に複数の螺旋構造体50を投入し、無酸素雰囲気で(必要に応じて不活性ガスを導入して)適切な温度(例えば、再結晶温度以上)に加熱、所定時間保持し、炉中で徐冷する。焼鈍により螺旋構造体50を構成する金属材料は内部応力のない組織となり、軟化する。また焼鈍によって螺旋構造体50は塑性変形し易い状態になる。あるいは、焼鈍によって螺旋構造体50の塑性係数を制御する(螺旋構造体50の弾性限界を低くする)ともいえる。焼鈍後は、螺旋構造体50(の金属材料)は軟化するが、螺旋構造体50に対して外力を加えていない場合、その形状は維持される。
既に述べているように圧接工程では圧接を良好に行うために螺旋構造体50の1周分領域CRの隙間Gを十分(距離g1)に保しているが、中間成形工程によって隙間Gを距離g2に低減し、螺旋構造体50の全体の長さを縮小(長さLT)している。これにより、本焼鈍工程における炉内での個々の螺旋構造体50の占有面積を低減でき、炉に収容可能な螺旋構造体50の数を増加させることができる。
<コイルの製造方法/絶縁工程>
次に、図3に示すステップS7の絶縁工程について説明する。絶縁工程では、螺旋構造体50において重畳した状態にある複数の1周分領域CRの間を絶縁する。図8は、絶縁工程終了後の螺旋構造体50を示す概要図であり、図1(A)のX-X線に対応する断面図である。
絶縁工程は一例として、各1周分領域CRを絶縁樹脂60で被膜することにより行う。具体的には、螺旋構造体50を、例えば絶縁性の樹脂を含有した溶液に浸漬し、例えば電着などによって絶縁樹脂60で被覆する。螺旋構造体50は、隙間G(距離g2)が形成されているため、絶縁樹脂60は各1周分領域CR間の隙間Gにも入り込み、螺旋進行方向に沿って一端側から他端側まで、コイル片Cを連続させた平導体の周囲が連続して絶縁樹脂60で覆われる。これにより、同図(A)に示すように、螺旋構造体50において重畳する複数の1周分領域CRは互いに絶縁される。
つまり、ステップS3の中間成形工程では隙間Gの距離g1を距離g2に縮小するが、本絶縁工程において、それぞれの1周分領域CRの周囲が確実に絶縁され、且つ巻き数分の全ての1周分領域CR(螺旋構造体50)が連続して絶縁されるように、隙間Gの距離g2は確保される。
なお、絶縁樹脂による被膜は浸漬に限らず、液状の絶縁樹脂60を螺旋構造体50に吹き付けるなどして被膜するものであってもよい。
また、焼鈍工程の後に(軟化した状態で)、絶縁樹脂60の被膜に必要な形状に螺旋構造体50を変形(例えば隙間Gの距離g2の拡張/縮小など)させてもよい。
従来では、コイルの完成長さ分の長尺の丸導線(または平導体)を絶縁樹脂で被覆した後、これを巻回して螺旋構造を形成していた。しかしこの場合、巻回の湾曲部分の外周付近では絶縁樹脂が伸張されて被覆厚が薄くなり、耐圧劣化の要因となっていた。これに対し本実施形態では、螺旋構造体50を形成後、各1周分領域CR間に隙間Gがある状態で全体的に絶縁処理を行う。つまり螺旋構造体50を構成する平導体Cは、螺旋構造の一端ST側から他端ET側まで螺旋進行方向に沿って連続してその周囲を略均一に絶縁樹脂60で被覆することができ、絶縁樹脂60の膜厚の均一性を高めることができる。
<コイルの製造方法/成形工程>
次に、図3に示すステップS9の成形工程について説明する。図9(A)は絶縁工程が終了した直後の螺旋構造体50の外観を示す平面図(図1(A)に対応する平面図)であり、同図(B)は図8に対応する断面図(図1(A)のX-X線断面図)である。また、同図(C)は、図1(B)に対応する側面図である。
成形工程は、螺旋構造体50を所望の形状に成形しコイル10として完成させる工程(最終成形工程)である。上述の製造工程中において、図9(A)に破線で示すようにそれぞれの1周分領域CRは、その周回の中心が螺旋構造体50の螺旋の軸中心SCからずれている場合がある。成形工程では、各1周分領域CRの周回の中心が螺旋構造体50の螺旋の軸中心SCに一致するよう矢印のごとく変形(弾性変形および/または塑性変形)してアライメント調整を行う。
さらに、螺旋の軸方向に変形(弾性変形および/または塑性変形)し、折れ部B0を平坦化(折り曲げがなくなるように平坦化)する(図7(D)参照)。なお、中間成形工程で折れ部B0を平坦化している場合には、成形工程での折れ部B0の平坦化を省略してもよいが、最終形状として重ねて平坦化を行ってもよい。
また、図9(B)に示すように、1周分領域CR間の隙間Gを、コイル10として所望される距離g3に変形する。図9(B)に示す例では、1周分領域CR間の隙間Gがほぼ0(g3≒0)になる(各1周分領域CR(絶縁樹脂60)同士が密着する)構成を示しているが、最終成形として各1周分領域CR間に所定の距離g3(>0)の隙間Gが生じるように成型してもよい。
さらに、例えばステータコアに取り付けるコイル10の場合には、装着するステータコアの形状に合わせて、必要に応じて、螺旋構造体50の全体形状を成形してもよい。例えば、同図(C)に示すように、螺旋構造体50の軸中心SC方向(ステータコアの径方向)に凹状または凸状となるように、螺旋構造体50の内周端部が外周端部と非同一面となる湾曲状に成形してもよい。以上のようにして本発明のコイル10(図1参照)が製造される。
<コイルの製造方法/変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。図10は、本実施形態の変形例によるコイル製造方法の処理の流れを示すフロー図である。
まず、図3のステップS3に示した中間成形工程は、焼鈍工程(ステップS5)の後に行ってもよい。すなわち、コイルの製造方法は、図10(A)に示すように、接合工程、焼鈍工程、中間成形工程、絶縁工程、成形工程をこの順に行うものであってもよい。例えば、コイル10と巻き数や、サイズ、折れ部B0の構成などによって、焼鈍工程の前に(炉内スペースの有効活用を目的として)螺旋構造体50を圧縮させなくてもよい場合などがある。その場合は、焼鈍工程の後に中間成形工程を行ってもよく、その場合の中間成形工程では、絶縁工程に適した形状に成形(変形)を行う。
また、中間成形工程は、焼鈍工程の前および後に行ってもよい。すなわち、コイルの製造方法は、図10(B)に示すように、接合工程、第1中間成形工程、焼鈍工程、第2中間成形工程、絶縁工程、成形工程をこの順に行うものであってもよい。この場合第1中間成形工程は、焼鈍工程に適した形状に変形(例えば、螺旋構造体50の圧縮など)を行い、焼鈍工程の後に、絶縁工程に適した形状に成形(変形)を行う。
また、中間成形工程は行わなくてもよい。すなわち、コイルの製造方法は、図10(C)に示すように、接合工程、焼鈍工程、絶縁工程、成形工程をこの順に行うものであってもよい。例えば、コイル10と巻き数や、サイズ、折れ部B0の構成などによって、焼鈍工程の前に(炉内スペースの有効活用を目的として)螺旋構造体50を圧縮させなくてもよい場合などがある。また、焼鈍工程によって軟化させ、最終的には成形工程によってコイル10として所望の形状に成形(変形)を行うので、中間成形工程を行わなくてもよい。
また、絶縁工程と成形工程を同時に、あるいは成形工程の後に絶縁工程を行うものであってもよい。すなわち、すなわち、コイルの製造方法は、図10(D)に示すように、接合工程、焼鈍工程、絶縁・成形工程(絶縁と成形の工程は順不同)をこの順に行うものであってもよい。絶縁樹脂の付着、形成方法によっては、絶縁工程と成形工程を同時に、あるいは成形工程の後に絶縁工程を行うと好適な場合がある。
絶縁工程は、複数の1周分領域CRを互いに絶縁する処理を行えばよく、絶縁樹脂による被膜に限らず、例えば、射出成形(インジェクションモールドまたはトランスファーモールド)などの樹脂の加工方法により各1周分領域CRの周囲に絶縁樹脂層(射出成形樹脂層)を形成することにより絶縁するものであってもよい。この場合、射出成形により螺旋構造体50の形状は固定されるため、絶縁工程は成形工程の後、または成形工程と同時に行う。
<コイル>
次に、本発明に係るコイル10の構造について更に説明する。図11は、本実施形態に係るコイル10を示す概要図であり、図1のY-Y線の断面概要図である。
なお、同図は、例えば図9(B)に示すような、絶縁樹脂60を被着して最終成形を行った完成状態のコイル10の断面図であり、主要部のみを示し、例えば他の部材との接続部(端子)などの記載を省略している。以下の図においてもコイル10は主要部のみを示し、例えば他の部材との接続部(端子)などの記載を省略する場合がある。
図9(B)では一例として、1周分領域CR間の隙間Gがほぼ0(g3≒0)になる(構成を示したが、これに限らず、図11に示すように最終形状における各1周分領域CRの間は、意図的に離間してもよい。
本実施形態では上述のとおり、コイル10の製造工程において、1周分領域CR間の隙間Gは随時任意に変動するものであるが、絶縁樹脂60が被覆された最終形状では図11に示すように、意図的に設定された或る値の間隔Pを確保して成形される。すなわち、本実施形態のコイル10は、同図に示すように完成した状態(絶縁樹脂60が被覆された状態)で、螺旋構造体の螺旋の第一の周と該第一の周に連続する第二の周(すなわち連続する1周分領域CR間)がそれぞれ、間隔Pで離間され、中空の隙間Gを残すように成形されている。
本実施形態におけるこの「間隔P」とは、所定の機能を果たすために予め意図的に設定・確保された距離であり、コイル10としての最終構造および出荷後以降(製品としての動作中)にも変形(コイルの動作・機能としての変形)がされることなく維持される距離をいう。同様に、最終形状における間隔Pの隙間Gは所定の機能を果たすために意図的に確保されたものであり、以下このように最終形状として意図的に確保された隙間Gを「隙間G´」と称する。
より具体的に、本実施形態における「間隔P」とは、ここでは一例として放熱性の向上および/または耐圧の向上を図るために予め意図的に設定される距離であり、螺旋の軸方向に連なる複数の1周分領域CR(コイル片C)の、樹脂層(例えば、絶縁樹脂60)を除いた金属部材(金属材料、コイル片C)同士の間の距離(最上段の間隔P参照)、又ははコイル片Cの周囲に設けられた樹脂層(例えば、絶縁樹脂60など)同士の間の距離(2段目以降の間隔P参照)をいう。ここでは一例として、「間隔P」は、コイル片Cの周囲に設けられた樹脂層(絶縁樹脂60など)同士の間の距離として説明する。
すなわち本実施形態のコイル10は、各1周分領域CRの間、詳細には、コイル片Cの周囲に設けられた絶縁樹脂60同士の間に中空の隙間G´が生じるように各1周分領域CRの絶縁樹脂60同士が所望の間隔Pで離間される。つまり、コイル10は完成品の外観において、意図的に確保された隙間G´が視認可能となっている。この例では間隔P(隙間G´の距離g4)は、(略)等しい。「間隔Pが(略)等しい」とは、意図的に(予め設定される距離として)差異を生じさせていないことをいう(以下同様)。距離g4は具体的には、例えば、0.1mm~1mm、好適には例えば、0.3mm~0.8mm、より好適には0.5mm~0.7mmなど、である。コイル10の製造工程では、図3に示す成形工程(ステップS9)、あるいは図10(A)~同図(C)に示す成形工程や、図10(D)に示す絶縁・成形工程において、絶縁樹脂60が被覆された各1周分領域CR間が距離g4の間隔Pを確保するように成形される。また、コイル10を構成するコイル片Cについてみると各1周分領域CRは、成形後の最終形状において、所定の(略等しい)距離g4´(g4´>g4)の間隔Pを確保するように成形される。
本実施形態のコイル10は、例えばモータの部品としてステータ(固定子)に取り付けられるものであり、スプリング(弾性部材)として使用されるものではない。つまり、本実施形態の間隔P(隙間G´の距離(ここでは距離g4))は恒常性を有しており、コイル10の通常の使用状態(使用態様)においては距離g4が変位(拡張縮小)することは想定されておらず、距離g4が維持される。
特に、本実施形態のコイル10は例えば電気自動車の動力となるモータなどに採用して好適なものである。そしてモータの主な冷却構造としては、コイルの周囲に設けられた樹脂(被膜)を介して外部に放熱(自然冷却)を行う密閉型冷却構造、コイルに油や水などの冷媒となる流体を封入または該流体を循環させ、当該流体を冷却する媒体封入型/循環型冷却構造、さらにはコイルに強制的に送風を行い、直接放熱を促す強制空冷型冷却構造などが知られており、それぞれ、モータの構造や使用用途等により適宜の冷却構造が採用される。
このうち、媒体封入型/循環型冷却構造や強制空冷型冷却構造の場合は、冷媒となる液体(水や油など)や空気などの流体がコイル(螺旋構造の導体)の間に全体に効率よく流れ、接触することが望ましい。
本実施形態では、同図に示すように、絶縁樹脂60を被覆した完成形においてそれぞれの1周分領域CR間(絶縁樹脂60同士)が間隔Pで離間され、隙間G´が生じているため、1周分領域CR間(絶縁樹脂60同士)が密着している構造と比較して、コイル10内に発生する熱を効率よく外部に放出することができる。また、特に、媒体封入型/循環型冷却構造や強制空冷型冷却構造などのモータに採用された場合、すなわちコイル10を例えば空気や水などの流体によって冷却する場合においても、1周分領域CR間に流体の流路を十分に確保できるので、流体をスムーズに移動させることができ、放熱性を高め、コイル10の特性を向上させることができる。すなわち、隙間G´の距離g4(1周分領域CRの間隔P)は、冷却のための流体が容易に通過可能な程度の距離ということもできる。隙間G´の距離g4は、例えば、距離g1、g2の少なくともいずれよりも小さく、距離g3より大きい距離とする。すなわち、コイル10の製造工程において、隙間Gが距離g1、g2と段階的に小さくなり、最終形状として所定の間隔P(距離g4)の意図された隙間G´を有する形状に固定される。しかしこれに限らず、隙間G´の距離g4は、距離g1、g2の少なくともいずれかと同一でもよいし異なってもよい。
従来の丸線または角線(いずれも周囲は絶縁樹脂で被膜されている)の導電部材(導線)を巻回するなどして構成したコイルの場合、導線の径を大きくすることで導線間の隙間が大きくなり流体の流路は確保できる一方、占積率としては低下する問題がある。また、隙間の距離の正確なコントロールは大変困難である。
また、従来既知の細線を束ねたリッツ線(周囲は絶縁樹脂で被膜されている)を巻回するなどして構成したコイルの場合、細線を束ねることで占積率の向上は可能となるが、リッツ線の内部(細線間)で熱がこもりやすい。また、リッツ線同士の隙間とリッツ線内部の隙間が生じることから、流体の流路(サイズや位置)がランダムとなり、効率の良い冷却が行えない問題もある。さらには丸線や角線を巻回したコイルの場合と同様に細線やリッツ線間の隙間の正確なコントロールは大変困難である。
これに対し、本実施形態のコイル10(同図)は、任意の形状に打ち抜いて形成されたコイル片Cを接続して螺旋構造とするため、例えば、1周分領域CRの内周側および外周側の形状をいずれも例えばステータコア(のティース)の外形に沿う矩形状にすることができる。このため、占積率を向上させることができる。さらに、螺旋構造の周回に沿って(各1周分領域CR毎に)隙間G´を形成できるので、従来と比較して放熱面積を向上させることがき、放熱効率を高めることができる。また、隙間G´の距離g4は、例えば最終の成形工程における仕上がりの形状として適宜設定できるので、隙間G´のコントロールが容易である。つまり、隙間G´の形成位置や形状を略均等(均一)に揃えることも可能となり(等間隔のスリット状とすることもでき)、放熱性(効率的な放熱)と占積率のバランスポイントを設計可能である。
なお、同図に示す例では、1つのコイル10における複数の間隔P(隙間G´の距離g4)が略等しい場合を示しているが、複数の隙間G´の距離g4は冷媒が流通可能な距離であれば厳密に等しい(同じ)距離でなくてもよい。例えば、1つのコイル10内における間隔P(隙間G´の距離)は、コイル10の最終構造として意図的に確保されて完成後も維持されるものであれば、螺旋軸方向に沿って次第に広く/狭くなるように1周分領域CR間で異なる距離であってもよい。
図12~図15は、各1周分領域CRに間隔Pが確保されるコイル10の他の例であって、間隔Pの恒常性を維持(確保)するため、スペーサ11を設けたコイル10の一例を示す。
図12は、スペーサ11の第一の例を示す図であり、同図(A)~同図(D)は完成状態のコイル10を示している。同図での詳細な記載を省略しているが、コイル片C(螺旋構造体50)の周囲は絶縁樹脂60で被覆されているとする。
図12(A)は、コイル10を長辺LS側から見た側面概要図である。スペーサ11(11A)は例えば、コイル10の製造工程中においてコイル片Cの一部を利用して形成する。具体的には、例えば、図5に示す接合工程中のバリ取り工程(ステップS14)において、除去するバリ55の一部を平坦になるまで除去するのではなく、コイル片Cの表面(幅広面WS)から突出するように(凸状となるように)残存させてスペーサ11Aとする。バリ取り工程(ステップS14)では例えば、ブローチ加工などによりバリ55を除去するが、除去量は任意に選択可能である。したがって、バリ取り工程におけるバリ55の除去量をコントロールすることで所望の形状(突出量)のスペーサ11Aを形成できる。すなわちこの場合、上述の実施形態のコイルの製造方法におけるバリ取り工程に、スペーサ形成工程が含まれる。このスペーサ11Aによって、各1周分領域CRは所定の間隔Pが確保され、1周分領域CRの一部(スペーサ11A以外の部分)にある距離(例えば、距離g4)の隙間G´が形成できる。なお、スペーサ11A部分においてはそれぞれ上下の1周分領域CR(絶縁樹脂60)と互いに密着していてもよいし離間していてもよい。スペーサ11A部分も離間しているとより流体がスムーズに移動可能となるが、スペーサ11A部分が当接していてもそれ以外の領域で隙間G´が確保されているので従来と比較して大幅に、流体のスムーズな移動が可能となる。また、同図(A)に示すようにスペーサ11Aを設ける構成の場合、隙間G´の距離は流体が通過可能であれば任意である。つまり隙間G´の距離は、例えば図11で示した範囲の距離g4でもよいし、距離g4より大きくてもよいし小さくてもよい。
この構成によれば、スペーサ11Aにより確実に隙間G´(間隔P)を維持することができ、また1周分領域CRの少なくとも一部に隙間G´が形成されるため、冷媒となる流体の流路を確保することで放熱性を向上させることができる。また例えばスペーサ11A部分についても互いに離間するように構成することでより放熱性を高めることができる。また、スペーサ11Aはコイル10の製造工程中に(バリ55の適宜の除去量で)形成できるので、容易且つ低コストで放熱構造を実現できる。
同図(B)~同図(D)は、特に、ステータに取り付ける場合に好適なコイル10の構成を示す図であり、同図(B)が斜視図、同図(C)が長辺LS方向から見た側面図、同図(D)が短辺SS方向から見た側面図である。
コイル10は、各1周分領域CRを構成するコイル片Cの形状を打ち抜きにより任意(適宜)に選択可能である。したがって、取り付けるステータコア(のティース)の形状に沿うように、最終構造として、螺旋構造の内周側は直方体形状で外周側は略四角錐台形状になるように構成すると望ましい(同図(B),同図(D))。
そしてこのような構成において、各1周分領域CRの間隔P(隙間G´の距離g4)は、1または複数のターン毎に変位させてもよい。具体的には例えば、当該コイル10がインナーロータタイプのモータ(のステータ)に用いられる場合、発熱しやすいロータ(マグネット、図16参照)付近(同図(B)、同図(D)では短辺SSの長さが短く(幅狭と)なる図示下側付近)の1周分領域CRの間隔Pを他の間隔Pと異ならせてもよい。一例として、ロータに直近(内周側)のスペーサ11A以外の領域における隙間G´の距離g5を小さく(例えば、0.3mmなど)とし、最も遠い(外周方向の)隙間G´間の距離g6を距離g5より大きく(例えば、1mmなど)としてもよい。この場合、これらの間の隙間G´の距離は、ターン毎に外周方向に向かって漸次(均等に)増加させるようにしてもよいし、複数ターン毎に段階的に増加させるようにしてもよいし、距離g5と距離g6の間の値(例えば、0.5mm等)の等しい値としてもよい。
また、同図ではスペーサ11は、長辺LSに設ける場合を例示しているが、短辺SSに設けてもよいし、長辺LSと短辺SSの両方に設けてもよい。
本実施形態では、1つのコイル10内において、バリ55の除去量を調節することで、スペーサ11Aの突出量を任意に(適宜)コントロールできる(必要な個所に必要な突出量のスペーサ11Aを形成できる、各1周分領域CRにおいて突出量が異なってもよい)ので、各1周分領域CRの間隔P(隙間G´)のコントロールが容易となる。つまり、発熱の状態に応じて、容易且つ低コストで放熱特性を制御することができる。
なお、上記の例ではバリ55を利用してスペーサ11Aを形成する場合を例示した。つまり、(目視はできないが)スペーサ11Aには、螺旋進行方向の略中心部分(同図(A)参照)に押圧の接合部CPが形成されている。しかし、スペーサ11Aの形成方法はこれに限らない。
同図(E)~同図(H)は、スペーサ11Aの形成方法の他の例を示す図であり、スペーサ11A付近を抜き出して示す側面概要図である。例えば、同図(E)に示すように端面TSを含む端部のみ板厚が厚い(端部の板厚D1、それ以外の部分の板厚D2)のコイル片C1と、板厚(板厚D3)が均一なコイル片C2とを接合する(板厚の異なるコイル片C同士を接続する)ことにより、同図(F)に示すようなスペーサ11Aを形成してもよい。この場合、接合部CPはスペーサ11Aの螺旋進行方向におけるほぼ中心部分に位置しない場合がある。なお、板厚D2と板厚D3は同じであってもよいし異なってもよい。
また、同図(G)に示すように、スペーサ11A形成時(バリ取り工程)において突出したスペーサ11Aの角部を、面取りして湾曲部Rとしてもよい。このようにすることで、スペーサ11Aの角部における絶縁樹脂60の被覆性を向上させることができる。
さらに、スペーサ11Aは、コイル片Cの一方の表面(幅広面WS)側に突出する構成に限らず、同図(H)に示すようにコイル片Cの両面(両表面)側に突出する構成であってもよい。バリ55はコイル片Cの両面側に生成されるため(図6(D)等参照)、両面側に突出するように(一部が残存するように)バリ55を除去すればよい。
また、同図に示すスペーサ11Aの構成は適宜組合せが可能である。例えば、同図(H)において同図(G)に示すように湾曲部Rを設けてもよいし、同図(G)のスペーサ11Aは同図(E),同図(F)のように接合して形成されたものであってもよい。
図13は、スペーサ11の他の例を示す図であり、コイル片Cの曲げによってスペーサ11(11B、11C)を形成する場合の一例である。同図(A)は、完成状態(絶縁樹脂60被覆後)のコイル10を長辺LS方向から見た側面図であり、同図(B)~同図(D)はスペーサ11の他の例を示す概要図である。なお、同図はいずれも完成状態のコイル10を示しており、詳細な記載を省略しているが、コイル片C(螺旋構造体50)の周囲は絶縁樹脂60で被覆されている。
同図(A)に示すように、コイル10の製造工程における中間成形工程(例えば、図3に示すステップS3)や成形工程(ステップS9)において、折れ部B0(図6(B)、図7(A)~図7(C)参照)を完全に平坦化せず、残存させる(折れ部B0をそのまま使用する、あるいは折れ部B0を変形(成形)する)ことにより1周分領域CR間に所望の間隔P(隙間G´)を確保するためのスペーサ11Bとしてもよい。この場合、隙間G´の距離は流体が通過可能であれば任意である(例えば距離g4と同等の距離であってもよい)。
また、1つのコイル10内において間隔P(隙間G´の距離)は、変位する(螺旋軸方向に沿って次第に広く/狭くなる)ものであってもよい。すなわち、この場合、上記実施形態のコイルの製造方法における接合工程の曲げ工程(図5に示すステップS12)、中間成形工程(例えば、図3に示すステップS3)や成形工程(ステップS9)/または成形工程(図3に示すステップS9)の少なくともいずれかに、スペーサ11B形成工程が含まれる。なお、本実施形態は、図3や図10に示すように複数の製造工程が適用可能であるが、いずれの場合においてもスペーサ11Bは焼鈍工程以降に形成され、すなわち間隔P(隙間G´)が確保されることが好ましい。
同図(B)~同図(D)は、圧接装置との干渉を回避するための折れ部B0とは別に、コイル片Cの曲げ加工によるスペーサ11(11C)を形成する場合の一例である。この場合、折れ部B0は形成されて(残存して)いてもよいし、折れ部B0は形成されなく(残存していなく)てもよい。例えば、中間成形工程(例えば、図3に示すステップS3)や成形工程(ステップS9)において、各1周分領域CRの同じ(対応、対向、重畳する)位置(同図(B)では短辺SSの一部)に、同じ形状(例えば一方側に凸となる)曲げ加工を施し、スペーサ11Cを形成する。このスペーサ11Cによって、各1周分領域CRの絶縁樹脂60同士は所定の間隔Pで離間され、スペーサ11C以外の部分にある距離の隙間G´が形成できる。この例において、スペーサ11C部分においてはそれぞれ上下の1周分領域CR(絶縁樹脂60)と互いに密着していてもよいし離間していてもよい。またこの場合、隙間G´の距離は任意であり、例えば図11(A)で示した範囲の距離g4でもよいし、距離g4より大きくてもよいし小さくてもよい。この場合のスペーサ11C形成工程は、中間成形工程(例えば、図3に示すステップS3)や成形工程(ステップS9)に含まれるが、これらと別の工程でスペーサ11Cが形成されてもよい。また、本実施形態は、図3や図10に示すように複数の製造工程が適用可能であるが、いずれの場合においてもスペーサ11Cは焼鈍工程以降に形成されることがより好ましい。
曲げ加工によるスペーサ11Cは、同図(B)、同図(C)に示すように湾曲形状であってもよいし、同図(D)に示すように段差(階段)形状であってもよい。また、同図の例では、スペーサ11Cを短辺SSに設けているが、長辺LSに設けてもよい。
また、同図の例では長辺LSにスペーサ11Aを設けているが、スペーサ11Aは設けなくてもよい。また、複数種類のスペーサ11(11A、11B、11C)を1つのコイル10に混在させてもよい。この場合、複数種類のスペーサ11(11A、11B、11C)の少なくともいずれかを1周分領域CRに設けてもよいし、周毎に異なる形状のスペーサ11を設けてもよい。
また、図12に示す凸状のスペーサ11(11A)および/または図12、図13に示す曲げ加工によるスペーサ11(11B,11C)は螺旋構造体50の1周分領域CR毎に設けられることが望ましいが、1ターン目または最終ターン目には設けられなくてもよい。また、スペーサ11は1周分領域CR毎に設けられなくてもよく、螺旋構造体50の(途中であっても)1周以上にスペーサ11が設けられない1周分領域CRがあってもよい。
また、スペーサ11(11A~11C)は、例えば、外形が略四角錐台形状のコイル10において、短辺SSの長さが短く(幅狭と)なる側(図12(D)、図13(B)の図示下側)に凸となるスペーサ11を例示しているが、突出する向きどちらでもよく、同図図12(D)、図13(B)の図示上側に凸となるスペーサ11としてもよい。また、スペーサ11の形成位置は、1周分領域CR毎に同じ位置でなくてもよく、例えば、長辺LSに設ける周と短辺SSに設ける周が混在していてもよい。
また、1つのコイル10においてスペーサ11の突出(曲げ)方向は、同一方向に限らず、異なる方向(連続する1周分領域CRにおいて対向するように)のスペーサ11突出(曲げ)が存在してもよい。
図14は、スペーサ11についての他の実施形態を示す図であり、同図(A),同図(B)は完成状態のコイル10を示しており、詳細な記載を省略しているが、コイル片C(螺旋構造体50)の周囲は絶縁樹脂60で被覆されている。同図(A)、同図(B)が外観斜視図であり、同図(C)がスペーサ11一例を示す側面図である。図12および図13では、コイル10の一部をスペーサ11として機能させる例を示した。しかしこれに限らず、図14に示すように、スペーサ11(11D)は、コイル10(コイル片C)以外の(コイル10(コイル片C)とは別体の)他の部品であってもよい。例えば、スペーサ11Dは、同図(B)、同図(C)に示すような複数の櫛歯110を有し、コイル10に着脱可能な別途の部品である。スペーサ11Dは例えば、成形工程(図3のステップS9)に際し、それぞれの櫛歯110の間に各1周分領域CRが支持(保持)されるように、絶縁樹脂60(ここでは不図示)を被膜した状態の螺旋構造体50に挿入され、例えば各1周分領域CR間の距離を圧縮するように成形が行われる。この場合、スペーサ11Dの各櫛歯110の厚み110Dが間隔Pに対応する。つまり、スペーサ11Dをコイル10に取り付け、それ以上の圧縮を規制するように成形することで、1周分領域CR間(絶縁樹脂60同士)は所定の間隔Pで離間され、1周分領域CR間にある距離の隙間G´が形成される。
なお、この例のスペーサ11Dは、略四角錐台形状のコイル10に合わせて同図(C)に示すように櫛歯110の長さがコイル10の軸方向に沿って異なる(漸次短く(長く))なるように構成されているが、櫛歯110の長さや形状はこの例に限らず、コイル10の形状に合わせて適宜設定される。櫛歯110の長さはすべて同じ長さあってもよい。
また、このスペーサ11Dはコイル10の一部に含まれてもよい。すなわち、スペーサ11Dを取り付けた状態で、コイル10として出荷されてもよい。そして当該コイル10が他の部材(例えば、ステータなど)に取り付けられる場合に、スペーサ11Dが離脱されてもよいし、スペーサ11Dが離脱されることなく、他の部材に取り付けられてもよい。
この場合の隙間G´の距離は任意であり、例えば図11(A)で示した範囲の距離g4でもよいし、距離g4より大きくてもよいし小さくてもよい。また、櫛歯110の厚み110D(間隔P)は異なる同じ大きさ(長さ)であってもよし、異なる大きさであってもよい(螺旋軸方向に沿って変位するものであってもよい)。
また、スペーサ11Dは、1周分領域CRの少なくとも一箇所に取り付けられる構成であればよいが、同図(A)、同図(B)に示すように、例えば、1周分領域CRの4つの角部TN付近にそれぞれ設けられると、周方向における隙間G´の意図しないばらつきが押さえられるためより望ましい。
本実施形態のスペーサ11は、上述の少なくとも一つ以上が組み合わされていてもよい。すなわち、図12に示す凸状のスペーサ11Aと図13に示す曲げ加工によるスペーサ11B(11C)とが組み合わされてもよいし、図13に示す曲げ加工によるスペーサ11B(11C)と図14に示すコイル10とは別体のスペーサ11Dとが組み合わされてもよい。
図15は、本実施形態のコイル10の他の形態を示す図である。同図はいずれも完成状態のコイル10の概要図であり、同図(A)が図1のX-X線断面に対応する断面図である。また同図(B)が同図(A)と同様のコイル10であって外観が略四角錐台形状に形成されたコイル10の外観斜視図であり、同図(C)が同図(B)の、β-β線断面図である。また同図(D)は1周分領域CRの一部を抜き出して示す側面図である。
コイル10は、図15に示すように、螺旋構造体50の各周が射出成形樹脂にて覆われているものであってもよい。
既に述べたように、本実施形態のコイル10は、絶縁工程において、射出(モールド)成形(例えばインジェクションモールドまたはトランスファーモールド)などの樹脂の加工方法により各1周分領域CR(コイル片C)の周囲に絶縁樹脂層(射出成形樹脂層)61を形成してもよい。射出成形樹脂は例えば、熱伝導率の高いおよび/または静電破壊耐圧の高いエンジニアリングプラスチックなどである。すなわち、図15に示す実施形態では、射出成形樹脂層61によって、各1周分領域CRのコイル片C(金属部材)が所定の間隔Pで離間される。間隔Pは、コイル片Cの周囲に設けられた射出成形樹脂層61の厚みであり、この場合射出成形樹脂層61はスペーサ11(11E)ともいえる。射出成形樹脂層61は各1周分領域CRのコイル片C(金属部材)同士を意図された間隔Pで維持する構成であればよく、間隔Pの値(距離)は任意(適宜選択可能)である。
既に述べたモータの冷却構造において、樹脂を介して外部に放熱する密閉型の冷却構造を採用する場合には、射出成形樹脂層61として熱電度率の高い射出成形樹脂を用いる。コイル10を構成するコイル片Cはその周囲が射出成形樹脂層61で覆われることになるため、コイル10の放熱性を向上させることができる。また、静電破壊耐圧の高い射出成形樹脂材料を用いることで、耐圧性を向上させることができる。
射出成形樹脂層61は例えば、成形工程により、コイル10として所望の最終形状に成形したのち、射出成形により各1周分領域CRの周囲に形成する。あるいは、成形工程により、コイル10として所望の最終形状に成形しながら、射出成形により各1周分領域CRの周囲に形成する。
図15(B),同図(C)を参照して具体的に説明する。例えば図9(A)、同図(B)に示したように成形工程において螺旋構造体50のアライメント調整と、螺旋の軸方向の変形を行う。この螺旋の軸方向の変形では、各1周分領域CRのコイル片C同士が密着しないよう所定の間隔P(隙間G´の距離)を確保する(図15(C)参照)。その状態で螺旋構造体50を、樹脂成形金型(不図示)にセットする。樹脂成形金型は、螺旋構造体50の端部(一端STおよび他端ET)を除き、その全体を覆う形状を有する。そして、樹脂成形金型に射出成形樹脂材料を封入し、硬化(インジェクションモールドまたはトランスファーモールド)する。
これにより図15(B)、同図(C)に示すように、螺旋構造体50の端部(一端STおよび他端ET)を除く全体が射出成形樹脂層61によって、一体的に覆われる。また、各1周分領域CRの周囲は螺旋進行方向に連続して射出成形樹脂層61が設けられ、各1周分領域CRを構成するコイル片C同士は所定の間隔Pで離間される。間隔P(>0)の値は任意である。射出成形樹脂層61は各1周分領域CR(コイル片C)の間隔Pを維持するスペーサ11Eとなり、完成状態における間隔Pが確実に確保・維持される。
このように、射出成形樹脂層61を設ける場合には、成形工程後に絶縁工程を行う(図10(D)参照)。なお、射出成形樹脂層61に注入孔が生じる場合は、二重成形によって完全密封してもよい。
また、図15(B)に示すように樹脂成形金型によって射出成形樹脂層61に任意の部品61Aを一体的に形成してもよい。部品61Aは例えば他の部材(例えばステータなど)と係合するための係合部などである。
また、例えばスペーサ部材(例えば、図14(B)に示すような櫛歯110を有するスペーサ11Dと同様の部材)により、各1周分領域CRを所定の間隔Pで離間した状態で、各1周分領域CR毎に樹脂成形金型にセットし、射出成形樹脂層61を形成してもよい。
または、例えばスペーサ部材(例えば、図14(B)に示すような櫛歯110を有するスペーサ11Dと同様の部材)を内部に備える樹脂成形金型を用いてもよい。この場合、成形工程においてアライメント調整/螺旋の軸方向の変形を行う金型と樹脂成形金型を共用してもよい。すなわち、スペーサ部材を備える樹脂成形金型(不図示)に螺旋構造体50をセットし、アライメント調整/螺旋の軸方向の変形を行った後、当該樹脂成形金型に射出成形樹脂材料を封入し、全ての1周分領域CRを一体的に硬化(インジェクションモールドまたはトランスファーモールド)する。この場合も成形工程後に絶縁工程を行うことになる(図10(D)参照)が、成形工程と絶縁工程を連続して同一金型で行うことができる。
また、同図(D)に示すように、1周分領域CRを周方向において部分的に覆い、且つ複数の1周分領域CRを間隔Pを維持した状態で一体的に固定する射出成形樹脂層61を設けてもよい。ここでは2周分のみ抽出して示しているが、射出成形樹脂層61は全ての1周分領域CRを一体的に固定する。
また、同図(E)に示すように、射出成形樹脂層61は、1周分領域CRを各周毎に独立して覆う構成であってもよい。射出成形樹脂層61により、間隔Pが確保される。また、同図(F)に示すように、射出成形樹脂層61は、間隔Pを維持した状態で複数(例えば2周)の1周分領域CRを一体的に固定し、螺旋群62を構成するものであってもよい。この場合1つのコイル10は、互いに別の射出成形樹脂層61で一体化された複数の螺旋群62を備える。これらの場合、射出成形樹脂層61同士の間は隙間G´が形成されてもよいし、密着(密接)していてもよい。
また、同図(G)に示すように、1周分領域CRを周方向において部分的に覆う射出成形樹脂層61を各周毎に設けてもよい。各1周分領域CRは射出成形樹脂層61により間隔Pが維持され隙間G´が確保される。射出成形樹脂層61同士の間は離間していてもよいし、密着(密接)していてもよい。
さらに図示は省略するが、射出成形樹脂層61によって、図12に示したような凸状のスペーサ11(11F)を形成してもよい。すなわち、図15(D)に示すように例えば全ての1周分領域CRは周方向において部分的に且つ、全ての周が一体的に射出成形樹脂層61で覆われるようにしてもよい。また、射出成形樹脂層61による凸状のスペーサ11(11F)を1周分領域CRは周方向において部分的に且つ、各周毎に設けてもよい(図15(G)参照)。
また、図15(D)、同図(G)に示すように周方向に部分的に設ける射出成形樹脂層61(スペーサ11F)の場合、長辺LSおよび短辺SSのいずれに設けてもよいし、長辺LSと短辺SSの両方に設けてもよい。また、射出成形樹脂層61の形成位置は、1周分領域CR毎に同じ位置でなくてもよく、例えば、長辺LSに設ける周と短辺SSに設ける周が混在していてもよい。
このように、図15に示す例ではいずれの場合も、射出成形樹脂層61(スペーサ11E,11F)によって1周分領域CR(金属部材)間が所定の間隔Pで維持される。
射出成形樹脂層61の表面、あるいは、対向する(重なる)射出成形樹脂層61の間に放熱を促す熱伝導手段(冷却手段、放熱手段)が設けられてもよい。
螺旋構造体50の周囲に絶縁樹脂を被膜する場合、膜厚の均一性の制御や薄い被膜の状態維持(傷の発生の防止)など、絶縁工程における被膜作業や製品としての出荷時などにおいて取り扱いには注意が必要である。しかしながら、射出成形樹脂層61を設ける(モールドする)ことで、膜厚の制御が不要となるうえ、コイル10の取り扱い(絶縁工程での作業、その後の出荷時などの作業)も容易となり、梱包も簡素化できる。また樹脂被膜の場合における被膜作業、及びその後の製品取り扱いに係るコストも削減できる。
なお、図15に示すように、螺旋構造体50の1周分領域CRの周囲に射出成形樹脂層61を設ける構成の場合、螺旋構造体50は、従来既知の丸線(各線)、リッツ線あるいは平導体を巻回してなるものであってもよい。
以上説明したように、本実施形態のコイル10は、完成品の状態において意図的に、各1周分領域CRが所定の間隔Pで離間された構造を有するものであり、図15に示す射出成形樹脂層61で(少なくとも一部が)覆われた螺旋構造体50からなるコイル10(以下、これをモールド型コイル10Mという。)と、それ以外のコイル(以下これを説明の便宜上、「非モールド型コイル10NM」と称する場合もある。)を含む。
非モールド型コイル10NMは、具体的には図11~図14等を参照して説明したコイル10である。非モールド型コイル10NMは、コイル片Cを接続した螺旋構造体50を(射出成形を用いず)絶縁樹脂60が被膜したものであり、完成形状の外観において各1周分領域CRはそれぞれ所定の間隔Pが確保され、各1周分領域CRの絶縁樹脂60同士の間に中空の隙間G´が視認可能に設けられているコイル10である。また、各1周分領域CRの絶縁樹脂60同士の間に間隔P、およびそれによる中空の隙間G´を確保するためのスペーサ11を有すしていてもよい。
モールド型コイル10Mは、コイル片Cを接続した螺旋構造体50の少なくとも一部が射出成形樹脂層61で覆われ、各1周分領域CR(コイル片C,金属部材)はそれぞれ所定の間隔Pが確保されているコイル10である。螺旋構造体50の全体を一体的に射出成形樹脂層61で覆い、固定したモールド型コイル10M(図15(A)~同図(C))においては、各1周分領域CR(コイル片C,金属部材)はそれぞれ所定の間隔Pが確保されているが隙間G´は有さない。この場合各1周分領域CR(コイル片C)の間隔Pは射出成形樹脂層61により維持・固定される。すなわち、この場合、射出成形樹脂層61が間隔Pを維持するためのスペーサ11といえる。
しかしこれに限らず、図15(D)~同図(G)に示すように、螺旋構造体50の少なくとも一部が射出成形樹脂層61で覆われて1周分領域CR間に間隔Pが確保されるとともに、各1周分領域CRのコイル片C同士、あるいは射出成形樹脂層61同士の間に隙間G´が形成される構成であってもよい。
また例えば、間隔Pおよび/または隙間G´の距離は例えば、0.05mm~10mmの範囲であってもよい。
<ステータ>
次に、図16を参照して本実施形態のステータ70について説明する。図16は本実施形態のステータ70を示す図であり、モータの回転軸方向から見た一部を抜き出して示す平面図である。同図(A)では説明の便宜上、コイル10の一部の図示を省略している。ここでは、インナーロータタイプのモータの部品であるステータ70例示するが、アウターロータタイプのモータ部品であるステータであっても同様に実施でき、同様の効果が得られる。
同図(A)に示すように、本実施形態のステータ70は、コイル10と、環状に配置される複数のティース71を有する環状のステータ部材72とを有する。コイル10はここでは、図15(B)、図15(C)に示す、螺旋構造体50を一体的に射出成形樹脂層61で覆ったモールド型コイル10Mを例示しているが、図15に示す他のモールド型コイル10Mであってもよいし、他のコイル10(非モールド型コイル10NM)であってもよい。複数のティース71のそれぞれには、モールド型コイル10Mが直接的に取り付けられる。
モールド型コイル10Mの取り付け方法の一例は以下の通りである。図16(B)、同図(C)に示すようにティース71は、例えば不図示の係合(嵌合)手段等によりステータ部材72の内周面に着脱可能に構成される。そしてモールド型コイル10Mの内部(軸心部分)にティース71を差し込み(同図(B))、ステータ部材72に固定する(同図(C))。ティース71は、例えばモールド型コイル10Mの軸心方向の片側にボビンのような鍔部71Aを有しており、これによりモールド型コイル10Mがティース71から離脱することが防止される。なお、ティース71は、同図(B)に示す形状に限らず、例えば、モールド型コイル10Mの螺旋軸方向に沿って分離・係合可能なカセット状に構成され、モールド型コイル10Mの螺旋軸方向の両側(同図(B)の上下方向)からモールド型コイル10Mの内側に挿通され、これを挟みながら2つのカセットを係合することで、同図(C)に示すようなティース71にモールド型コイル10Mを取り付ける構成であってもよい。
いずれにしてもモールド型コイル10Mは、別途の部品(固定手段)等によらず、直接的にティース71に係合される。また、従来、コイルとティースの間に設けられていた絶縁部材(インシュレーター)を不要にできる。
このように本実施形態によれば、絶縁部材や固定部材などの部品点数の削減により、ステータ70の低コスト化が図れるとともに、モールド型コイル10Mの組付け作業も非常に簡素化され、製造工程の簡素化および生産効率の向上が図れる。
あるいは同図(D)および同図(E)に示すようにモールド型コイル10Mは例えば、射出成形樹脂層61に、ティース71および/またはステータ部材72に固定するための係合部61A(図15(C)参照)が形成され、ティース71および/またはステータ部材72にはこれに対応して係合(受け)部71Bが設けられていてもよい。この場合、ティース71に鍔部71Aは不要となり、またステータ部材72に(離脱不可に)固定することができる。つまり、ティース71とステータ部材72の取り付け手段も不要となる。
ステータ部材72に固定されたティース71にモールド型コイル10Mを差し込むことで係合部61Aと係合(受け)部71Bが係合(嵌合)し、モールド型コイル10Mが取り付けられる(同図(E)。これにより同図(B)の構成よりもさらに部品点数を削減でき、また取り付けもさらに容易となる。
また、環状に隣り合うモールド型コイル10Mは射出成形樹脂層61同士が近接または密着する。また各コイル10は射出成形樹脂層61がその外周を囲むステータ部材72と近接又は密着する。これにより、ステータ70内においてモールド型コイル10Mを無駄なく配置することができ、余分なスペースを排除して破線で示すロータ(マグネット)73とコイル10を近接させることができ、モータとしての性能を向上させることができる。また、同程度の特性の従来構成のステータと比較して小型化・軽量化が図れる。また同程度のサイズの従来構成のステータと比較してコイル数の増加によるハイパワー化を実現できる。
また、同図(A)に示すように環状に隣り合うモールド型コイル10Mの射出成形樹脂層61間に、薄型の熱伝導手段(冷却手段、放熱手段)88などを取り付けてもよい。熱伝導手段88は例えば、平板型のヒートパイプ、または、べイパーチャンバーが望ましい。
<モータ>
次に、図17を参照して本実施形態のモータ80について説明する。図17は本実施形態のモータ80を示す図であり、同図(A)が外観斜視図であり、同図(B)、同図(C)が一部を省略して示す斜視図である。また、同図(D)が内部の一部を透視して示す側面透視図である。ここでは、ステータ70の内側(内周側)にロータ73が配置されるインナーロータタイプのモータ80を例示するが、ステータ70の外側(外周側)にロータ73が配置されるアウターロータタイプのモータであっても同様に実施でき、同様の効果が得られる。
同図に示すように、モータ(単相モータ、三相モータなど)80は、例えば、シャフト81、ロータ73、ステータ70(図16参照)、ケース(ハウジング)83等を有し、ステータ70に対してロータ73が回転可能となるように組み付けられる。シャフト81は柱状部材であり、例えばベアリング(不図示)に支持されながら、その中心軸を中心として回転する。シャフト81の一端には、ギア等の動力伝達機構を介して、駆動対象となる装置(不図示)が連結される。
ロータ73はその周方向にマグネットが配置され、シャフト81とともに回転する。ステータ70は例えば、ロータ73の径方向外側に配置され、周方向に配置されたコイル10Mによってロータ73を回転させるための力を発生させる。ステータ70の外部端子は、例えばリード線などを介してモータへ電力を供給する駆動回路あるいは電源(いずれも不図示)に接続される。同図(A)に示すようにケース(ハウジング)83は、ステータ70およびロータ73を一体的に覆う略円筒形状であり、その一方の面(天面)83Uの外側(外表面)にフィン85が設けられている。フィン85は、シャフト81を中心として放射状に、すなわちケース83の側面83Sの周方向に沿って等間隔に複数設けられた羽状部材である。なおこの例ではフィン85はケース83と一体的に設けられている場合を示しているが、ケース83と別体でもよい。ケース83は、シャフト81に固定されてこれとともに回転する台座82に固定される。
モータ80は、電源あるいは駆動回路から、バスバー(不図示)を介してコイル10((ここではモールド型コイル10M,以下同様)に駆動電流を与える。これにより、ステータ70(のティース71)に磁束が生じる。そして、ティース71とマグネットの間の磁束の作用により、周方向のトルクが発生する。その結果、ステータ70に対してロータ73、およびケース83がシャフト81の軸を中心として回転する。
この例のステータ70は、同図(B)~同図(D)に示すように複数のモールド型コイル10Mが取り付けられる。そして環状に並ぶモールド型コイル10Mの間に熱伝導手段(冷却手段、放熱手段)88として例えば、平板型のヒートパイプ(またはべイパーチャンバー)が設けられる。熱伝導手段88は、例えば本体部88Aと導出部88Bを有する。本体部88Aはモールド型コイル10Mの射出成形樹脂層61同士の間に貼り付けられるなどして挿入され、導出部88Bがケース83の天面83U(の部材内)に埋め込まれるようにしてこれと当接・接触(接続)する(同図(D))。
このような構成により、同図(D)に黒矢印で示すようにモールド型コイル10Mに発生した熱が熱伝導手段88を介してケース83に伝達され、外部に放熱される。また、ケース83の回転によりフィン85も回転し、これにより同図(D)に白抜き矢印で示すような空気の流れが生じ、ケース83内部を冷却することができる。
このように本実施形態によれば、コイル10(モールド型コイル10M)の放熱性を向上させることがでできる。また、モールド型コイル10Mの場合、射出成形樹脂の材料の選択により放熱性の向上および/または耐圧性の向上を実現することができる。これにより、モータ80としての放熱性および/または耐圧性を高め、特性を向上させることができる。
また、ステータ70において絶縁部材や固定部材などの部品点数の削減が図れ、モータ80の低コスト化が図れるとともに、例えば、モールド型コイル10Mの採用により組付け作業も非常に簡素化され、製造工程の簡素化および生産効率の向上が図れる。また、同程度の特性の従来構成のモータと比較して小型化・軽量化が図れる。また同程度のサイズの従来構成のモータと比較してコイル数の増加によるハイパワー化を実現できる。
なお、ステータ部材72に取り付けるコイルは、モールド型コイル10Mに限らず、それ以外の本実施形態のコイル10であってもよい。
例えば、図11等に示すような非モールド型コイル10NMの場合、従来のコイルと比較して媒体封入/循環型冷却構造や強制空冷型冷却構造において流体の流路を十分に確保できる。本実施形態によれば、小型・軽量であってかつ強制空冷型冷却などにおいて従来よりも放熱性に優れたモータ80を提供できる。また部品点数の削減により部品コスト、および製造コストを低減でき、さらに部品の離脱等の懸念も最小限に留めることができる。したがって例えば、現在開発が進んでいるドローンなどに用いて好適なモータ80を提供できる。
<モータの他の実施形態>
図18を参照して、本実施形態のモータ80の他の実施形態について説明する。同図は他の実施形態のモータ80を示す概要図であり、同図(A)がシャフト81の軸方向に沿う断面概要図であり、同図(B)がケース(ハウジング)83を下方から見た斜視図である。図18に示すモータ80は一例として、媒体封入型/循環型冷却構造または強制空冷型冷却構造のモータであり、また、アウターロータタイプのモータである。すなわち、同図(A)に示すように、シャフト81の周囲にステータ70が配置され、その径方向外側にロータ73が配置される。ロータ73はその周方向にマグネットが配置され、シャフト81とともに回転する。
ステータ70は、図16等を参照して説明した本実施形態のステータ70をアウターロータタイプに対応する構成にしたものであり、本実施形態のコイル10が取り付けられている。コイル10は、同図の例では図11等に示す非モールド型コイル10NMである。具体的には、非モールド型コイル10NMの内部(軸心部分)にティース71を差し込み、ステータ部材72に固定され、また、鍔部71Aにより非モールド型コイル10NMがティース71から離脱することが防止されている。なお、非モールド型コイル10NMのステータ部材72への取り付け方法は、上述(図16)の場合と同様である。
同図(B)に示すように、この例のケース83は、ステータ70およびロータ73を一体的に覆う略円筒形状である点は、図17に示すモータ80の構成と同様であるが、フィン85は、天面83Uの内側(裏側)に設けられる。また、ケース83の天面83U付近の側面(側壁)83Sには、複数の開口部90が設けられる。開口部90は例えば、側面83Sの周方向に沿って設けられるスリットである。この場合、天面83Uが開放されていないので、台座82にケース83を被せた場合、ケース83において外部と連通する部分は略開口部90のみとなる(同図(A)参照)。これ以外の構成は、図17に示すモータ80と同様であるので説明は省略する。
図18(A)に示すように非モールド型コイル10NMは、スペーサ11等によって隙間G´が維持され、当該コイル10(非モールド型コイル10NM)の1周分領域CR間に、流体(例えば空気)の流路を十分に確保できる。
特に、媒体封入型/循環型冷却構造や強制空冷型冷却構造の場合には、モータ80の回転、すなわち、ロータ73およびケース83の回転により、同図(B)に白抜き矢印で示すように、図示下方からケース83内に空気が吸い上げ(巻き上げ)られる。そして本実施形態の構成では、吸い上げられた空気は同図(B)の破線矢印で示すようにコイル10の1周分領域CR間(隙間G´)を通過して上昇し、遠心力により、ケース83上方の開口部90からケース83の外部に排出される。このとき、天面83Uの内側に放射状に設けられたフィン85により外部への空気の排出をより促進することができる。
つまりこの構成によれば、モータ80(ケース83)の下方(台座82)方方向からコイル10の1周分領域CR間を通過し、ケース83上方の開口部90から排出する空気の流れ(流路)を形成できる。そしてこの空気の流れは、コイル10の全ての1周分領域CRを接触させるとともに、スムーズに移動させることができるので、コイル10内に発生する熱を効率よく外部に放出することができる。したがって、コイル10ひいてはモータ80の放熱性を高め、特性を向上させることができる。
本実施形態によれば、小型・軽量であって従来よりも放熱性に優れたモータ80を提供できる。また別途の冷却構造等が不要であり、部品点数の削減により部品コスト、および製造コストを低減でき、さらに部品の離脱等の懸念も最小限に留めることができる。したがって例えば、現在開発が進んでいるドローンなどに用いて好適なモータ80を提供できる。
また、コイル10は、モールド型コイル10Mであってもよく、この場合、射出成形樹脂の材料として放熱性の高い材料を選択することが望ましい。また、図17に示すモータ80と同様に熱伝導手段88を設けてもよい。
また、同図(B)に破線で示すように、天面83Uの一部(この例では、フィン85の間)に開口部を設けてもよい。
また、フィン85は、図17に示すように天面83Uの外側に設けてもよい。また、側面83Sの開口部90のスリットは、シャフト81の軸方向に沿う向きに設けられてもよいし、開口部90は、ドット(丸孔)状やメッシュ状に設けられてもよい。また、開口部90が設けられなくてもよい。なお、図17に示すモータ80のケース83に開口部90を設けてもよい。
また、同図ではアウターロータタイプの場合を例示したが、インナーロータタイプであっても同様に実施でき、同様の効果が得られる。
これまで説明した本実施形態において、コイル10(モールド型コイル10Mおよび非モールド型コイルNM、以下同様)の1周分領域CRの間隔Pは、意図的に予定された値であれば、全て(略)等距離であってもよいし、(例えば螺旋軸方向に徐々に広く/狭くなど)変位してもよい。
本実施形態によれば、打ち抜き等により略直角の角部TNを有するコイル片Cを形成し、それらを連続して圧接してコイル10を形成する。つまりコイル片Cの略直角の角部TNは、コイル10の角部となる。つまり、本実施形態によれば、1周分領域CRの内周側および外周側の角部が略直角のコイル10を製造することができる。従来では、長尺の平導体を巻回して平導体によるコイルを製造していたが、巻回では少なくともコイルの内周側の角部は湾曲した形状となることは不可避であり、ステータ70に取り付けた場合の占積率の向上や放熱性の向上などに限界があった。
しかし本実施形態によれば、ステータ70に取り付けた場合の占積率を向上させることができ、また余分な空間を廃することで放熱性を向上させることができる。
特に、コイル片C同士の接合部CPは、角部TN(角部)を避けて直線部分に設けられる。すなわち、コイル片の直線部分を利用して、圧接を行っている。この結果、角部TNの形状精度を向上させることができ、例えば、打ち抜き加工において直角(略直角)に形成したままの角部を維持できる。
また、圧接工程ではコイル片Cの端面TS同士の圧接には大きな荷重がかかるが、焼鈍工程とその後の成形工程により、不要な歪みや残留応力を排除したコイル10を得ることができる。
また、完成品のコイル10として必要な巻き数の螺旋構造体50を形成したのち、各1周分領域CR間の隙間G´を必要十分に維持した状態で絶縁工程を行う(絶縁処理を行う)ため、各1周分領域CRをそれぞれ確実に、且つ、角部においても均一に絶縁する(絶縁樹脂60の被膜の形成、あるいは射出成形樹脂層61の付着を行う)ことができ、高耐圧化を図ることができる。
以上、本発明は、上述した実施形態に限定せず、様々な実施形態で構成することができる。
例えば、上述の実施形態では、コイル片CがU字状の場合を例に説明したが、コイル片Cは、図2に示す他の形状であってもよい。
また、上述の実施形態では、コイル片Cを1片ずつ、接合の前に曲げ工程において変形(折れ部B0を形成)し、圧接工程で圧接する構成を説明した。しかしこれに限らず、曲げ工程では、予め必要な巻き数分のコイル片Cを全数変形(折れ部B0を形成)した後、変形後の複数のコイル片Cを用いて、圧接工程にて圧接するように構成してもよい。
また、上記の実施形態では圧接工程において1箇所の接合部CPを形成する毎にバリ取り工程にてバリ55を除去し、次のコイル片Cとの圧接を行う例を示した。しかしこれに限らず、完成予定の螺旋構造体50のうち、複数個所(または全て)の接合部CPを形成したのち、各接合部CPに生じた複数のバリ55を除去するようにしてもよい。その際、N回の圧接工程の後に1回のバリ取り工程で複数(N箇所)のバリ55を纏めて(一括して)除去するようにしてもよいし、N回の圧接工程の後に複数回(例えば2回~N回以上)のバリ取り工程を行い、複数(N箇所)のバリ55を除去するようにしてもよい。
また、1つのコイル片Cは、一枚の銅板を打ち抜き加工により構成したものに限らず、複数の細平導体(例えば帯長手方向BLに直交する断面形状(図2(B)、同図(C)に対応する断面形状)が正方形の平導体)を、螺旋構造体50の帯短手方向BS(螺旋進行方向に直交する方向)に並列配置してなるものであってもよい。
また、コイル片Cは、打ち抜き加工により構成したものに限らず、例えば丸線(丸導線)をプレスにより平導体に変形したものであってもよい。
また、複数のコイル片Cは、螺旋進行方向に沿って、コイル片Cの帯短手方向BSの幅が異なる(順次大きく(または小さく)なる)ものであってもよい。この場合、螺旋進行方向における任意の位置の、螺旋進行方向に直交する断面積(例えば、図2(B)に対応する断面積)が互いに等しくなるように、コイル片Cの厚み(螺旋の軸方向の厚み)は、コイル片Cの帯短手方向BSの幅に応じて異ならせるとよい。このようにして形成したコイル10は、図1(B)に示す外観形状が、四角錐台形状となる。
また、コイル10の1周分領域CRは、1または複数のターン毎に、板厚Dおよび/または幅(幅広面WSの長さ)が変位するようにしてもよい。つまり、幅が狭くなるに従い板厚Dが厚くなるコイル片Cを複数接続して螺旋進行方向において幅が狭くなるに従い板厚Dが厚くなる螺旋構造体50を構成するようにしてもよい。
また、隙間G´が形成されるコイル10の場合、隙間G´の距離(例えば距離g)は、螺旋進行方向に沿って変位(拡大、縮小)するものであってもよい。螺旋進行方向に沿って板厚Dが変化するコイル10の場合、板厚Dに応じて隙間G´の距離が増減するものであってもよい。板厚Dが変化しないコイル10であっても、隙間G´の距離が増減するものであってもよい。
さらにまた、圧接する2つのコイル片Cは、その端面TSの形状が異なるものであってもよい。例えば端面TSの形状として幅(帯短手方向BSの長さ)が異なるコイル片C同士を圧接する構成であってもよいし、厚み(幅広面WS間の長さ)が異なるコイル片C同士を圧接する構成であってもよいし、幅と厚みが異なるコイル片C同士を圧接する構成であってもよい。
また、複数のコイル片Cは平導体と丸線により構成されてもよい。つまり、平導体により構成されたコイル片Cと丸線により構成されたコイル片Cを圧接する構成であってもよい。
また、コイル片Cの一部または全部の角部TNは、内周側が略直角であり、外周側が湾曲部を有する形状であってもよい。また、コイル片Cの一部または全部の角部TNは、内周側において少なくとも一部に湾曲部を有する形状であってもよい。
本発明は、平導体を用いたコイル(平角コイル、エッジワイズコイル)を製造する場合などに用いることができる。
10 コイル
10M モールド型コイル
10NM 非モールド型コイル
11,11A,11B,11C,11D,11E,11F スペーサ
50 螺旋構造体
50´ 仮想螺旋構造体
55 バリ
60 絶縁樹脂
61 絶縁樹脂層(射出成形樹脂層)
70 ステータ
71 ティース
72 ステータ部材
73 ロータ
80 モータ
81 シャフト
82 台座
83 ケース(ハウジング)
83S 側面
83U 天面
85 フィン
88 熱伝導手段(放熱手段)
88A 本体部
88B 導出部
90 開口部
110 櫛歯
C 平導体(コイル片)
CC 接合コイル片
CR 1周分領域
CR´ 仮想1周分領域
G´ 隙間
P 間隔
LS 長辺
SS 短辺
g 距離

Claims (16)

  1. 帯状の平導体を螺旋形状に連続させた螺旋構造体からなるコイルであって、
    完成した前記螺旋構造体の螺旋の第一の周と、該第一の周に連続する第二の周とが所定の機能を果たすために予定された間隔で離間されている、
    ことを特徴とするコイル。
  2. 前記間隔を維持するスペーサを有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のコイル。
  3. 前記スペーサは、前記平導体の一部により構成される、
    ことを特徴とする請求項2に記載のコイル。
  4. 前記スペーサは、前記平導体とは別体の部材である、
    ことを特徴とする請求項2に記載のコイル。
  5. 前記スペーサは、樹脂層である、
    ことを特徴とする請求項4に記載のコイル。
  6. 前記樹脂層は、前記第一の周の表面の少なくとも一部と、前記第二の周の表面の少なくとも一部に設けられる、
    ことを特徴とする請求項5に記載のコイル。
  7. 前記第一の周と前記第二の周の間に中空の隙間が確保され、
    前記隙間の距離は、前記平導体の板厚の1/2倍~2倍の厚みである、
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコイル。
  8. 前記第一の周と前記第二の周の間に中空の隙間が確保され、
    前記隙間の距離は、0.1mm~1mm程度である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコイル。
  9. 前記第一の周と前記第二の周の間に流体が通過可能に構成される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のコイル。
  10. 少なくとも前記螺旋構造体の内周の角部が非湾曲形状である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のコイル。
  11. 導体の螺旋構造体からなるコイルであって、
    前記螺旋構造体の各周が射出成形樹脂にて覆われている、
    ことを特徴とするコイル。
  12. 前記各周が前記射出成形樹脂にて一体的に覆われている、
    ことを特徴とする請求項11に記載のコイル。
  13. 請求項11または請求項12に記載のコイルと、
    環状に配置される複数のティースを有するステータ部材と、
    を有するステータであって、
    前記複数のティースのそれぞれに前記コイルを直接的に取り付けた、
    ことを特徴とするステータ。
  14. 環状に隣り合う前記コイルの間に熱伝導手段を配置した、
    ことを特徴とする請求項13に記載のステータ。
  15. 請求項13または請求項14に記載のステータを有するモータ。
  16. 天面と側面を有する略円筒形状であり、
    前記天面に羽状部材が設けられ、前記側面の一部に開口部が設けられたケースを有する、
    ことを特徴とする請求項15に記載のモータ。
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