JP2022075646A - IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを組み合わせてなる医薬 - Google Patents

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Abstract

【課題】IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを組み合わせてなる医薬を提供する。【解決手段】本発明は、IKur阻害剤とLateINa阻害剤とを組み合わせてなることを特徴とする、上室性不整脈の予防及び/又は治療、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防において有用な、医薬に関する。また、IKur阻害剤とLateINa阻害剤とを組み合わせてなることを特徴とする、上室性不整脈の治療方法及び/又は予防方法、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを組み合わせてなる医薬に関する。また、IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを組み合わせて疾患を予防及び/又は治療する方法に関する。
上室性不整脈は、心房に係る不整脈の総称である。上室性不整脈の1つである心房細動は、心房が高頻度で不規則に興奮する疾患であり、臨床上、最も頻度が高く発生することが知られている。(非特許文献1)
心房細動患者では有効な心房収縮がみられなくなることから、心室充満に対する心房寄与が消失し心拍出量が低下する。そのため、高齢者や既に心疾患を有する患者では、心不全の増悪因子となる。また、心房収縮の消失は心房内の血流低下を招き、脳塞栓症や肺塞栓症を引き起こす血栓形成の原因をつくる。そのため、心房細動は、生命予後及びQOLに大きな影響を与える不整脈として認識されている。その他の上室性不整脈の多くも、上記同様、生命予後及びQOLに影響を与える不整脈と考えられている。
心房細動は、異常興奮と、心房におけるリエントリー(電気的興奮の高速旋回)により、発生し維持されると考えられている。発作性心房細動患者に認められる異常興奮の約90%は、肺静脈を起源とすることが示されている(非特許文献2)。また、前記リエントリーは、心房筋の電気生理学的又は構造的変化による心房不応期の短縮により成立する。つまり、肺静脈を起源とする異常興奮の抑制が、心房細動を予防及び/又は停止することが知られており、心房不応期の延長も同様である。
心房細動の薬物療法では、既存の抗不整脈薬(I群(ナトリウムチャネル阻害薬等)及びIII群(カリウムチャネル阻害薬等))が一般的に使用されているが、これらの薬剤の抗不整脈効果は不十分である。また、これらの薬剤は、心房筋と心室筋の両方に作用することから、心室筋への作用に基づく、催不整脈作用や心機能抑制などの重篤な副作用を有する(非特許文献3)。
ナトリウムチャネル電流の定常成分(Late INa)は、心房及び心室に存在するナトリウムチャネル(Nav1.5チャネル)が形成する電流の内、一過性の活性化電流成分(Peak INaという)に続いてみられる持続的な電流成分である。Late INaの増大は、細胞内ナトリウムイオン濃度を持続的に上昇させ、ナトリウム-カルシウム交換系の活性化により異常興奮の原因となる細胞内カルシウム過負荷を引き起こす。Late INaを増大するATX-IIをイヌの肺静脈に処置することで、異常興奮が誘発されることが知られている(非特許文献4)。したがって、Late INaを阻害する化合物は、肺静脈を起源とする異常興奮を抑制し、心房細動の発生を抑制しうると考えられており、Late INa阻害剤は、抗心房細動薬の候補として研究されている(例えば、特許文献1乃至8)。
遅延性整流カリウム電流の超急速成分(IKur)は、ヒトの心臓において心房筋でのみ特異的に発現が認められているカリウムチャネル(Kv1.5チャネル)が形成する電流で、心房筋の活動電位持続時間の形成に関与する。その阻害剤は、心房細動患者の心房筋において不応期を延長することが知られており(非特許文献4)、抗心房細動薬の候補として研究されている(例えば特許文献9乃至17)。
特許文献18には、後期ナトリウム電流(即ち、Late INa)を阻害する化合物と、カリウムチャネルの1つであるIKAChカリウムチャネルを阻害する化合物との併用が、正常ウサギにおける心房不応期延長作用を示すこと、該Late INaを阻害する化合物とIKAChカリウムチャネルを阻害する化合物とを組み合わせて心房細動を予防及び/又は治療する方法が記載されている。しかし、肺静脈を起源とする異常興奮に対する作用や心房細動モデル動物での試験は特許文献18に記載されていない。また、特許文献18には、IKur阻害剤とLate INa阻害剤の実際の併用効果は、記載されていない。
国際公開第2009/006580号 国際公開第2011/014462号 国際公開第2011/056985号 国際公開第2012/154760号 国際公開第2013/006485号 国際公開第2015/017351号 国際公開第2015/094670号 国際公開第2015/095370号 国際公開第2002/046162号 国際公開第2004/111057号 国際公開第2006/014877号 国際公開第2006/057972号 国際公開第2007/149874号 国際公開第2007/069986号 国際公開第2011/028741号 国際公開第2012/131379号 国際公開第2013/188254号 国際公開第2013/112932号
2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン、28-43頁 ザ ニュー イングランド ジャーナル オブ メディシン、1998年、339巻:659-666頁 ハート リズム、2004年、1巻:244-246頁 ハート リズム、2013年、10巻:1036-1043頁 ハート リズム、2016年、13巻:555-564頁 ジャーナル オブ ファーマコロジー アンド エクスペリメンタル セラピューティクス、2013年、344巻:23-32頁
本発明の目的は、上室性不整脈の予防及び/又は治療、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防において、非常に有用な医薬を提供することである。
抗不整脈作用の増強と副作用の軽減を目指した更なる抗不整脈薬が望まれている。本発明者らは鋭意研究した結果、IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを組み合わせた医薬が、肺静脈を起源とする異常興奮の抑制作用、心房の不応期延長作用及び上室性不整脈の抑制作用において、各剤を単独で用いた場合と比較して、高い効果を示すことを見出し、本発明を完成させた。本発明によれば、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤のいずれか一方のみでは達成できない優れた上室性不整脈の予防及び/又は治療効果、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防効果を達成することが可能である。すなわち本発明は以下を特徴とするものである。
(1) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを組み合わせてなる医薬。
(2) 前記IKur阻害剤は、IKurを50%抑制する濃度(IC50)が10μM未満である化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグもしくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、(1)に記載の医薬。
(3) 前記Late INa阻害剤は、Late INaを50%抑制する濃度(IC50)が10μM未満である化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグもしくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、(1)又は(2)に記載の医薬。
(4) IKur阻害剤が、(S)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミド、(R)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミド及び5-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]キナゾリン-2-イル}ピリジン-3-スルホンアミドからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグもしくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の医薬。
(5) Late INa阻害剤が、4-(ピリミジン-2-イルメチル)-7-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オン及び6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグもしくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の医薬。
(6) IKur阻害剤が、(S)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミドである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の医薬。
(7) IKur阻害剤が、(R)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミドである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の医薬。
(8) IKur阻害剤が、5-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]キナゾリン-2-イル}ピリジン-3-スルホンアミドである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の医薬。
(9) Late INa阻害剤が、4-(ピリミジン-2-イルメチル)-7-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オンである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の医薬。
(10) Late INa阻害剤が、6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジンである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の医薬。
(11) 上室性不整脈の治療及び/又は予防、上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防に対して使用される、(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の医薬。
(12) 心房細動の治療及び/又は予防に対して使用される、(1)乃至(10)のいずれか1つに記載の医薬。
(13) 配合剤である、(1)乃至(12)のいずれか1つに記載の医薬。
(14) 同時に、分離して又は続けて投与される、(1)乃至(12)のいずれか1つに記載の医薬。
(15) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを含む医薬組成物。
(16) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、上室性不整脈を治療及び/又は予防、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症を予防する方法。
(17) IKur阻害剤を含む第1の医薬組成物及びLate INa阻害剤を含む第2の医薬組成物を、パッケージ内に含有する、上室性不整脈の治療及び/又は予防、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防のためのキット。
(18) IKur阻害剤を含む医薬組成物及び、該医薬組成物をLate INa阻害剤と組み合わせて、上室性不整脈の治療及び/又は予防、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防に使用することができる又は使用すべきであることを記載した該医薬組成物に関する記載物を含む、商業パッケージ。
(19) Late INa阻害剤を含む医薬組成物及び、該医薬組成物をIKur阻害剤と組み合わせて、上室性不整脈の治療及び/又は予防、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防に使用することができる又は使用すべきであることを記載した該医薬組成物に関する記載物を含む、商業パッケージ。
本発明により、上室性不整脈を予防及び/又は治療するための優れた薬剤、上室性不整脈により引き起こされる血栓症を予防するための優れた薬剤を提供することができる。
本発明の効果から考察される一つの可能性としては、Late INa抑制作用による肺静脈由来の異常興奮抑制作用を、IKur阻害剤によるIKur抑制が相乗的に増強していることが考えれられ、このような効果はこれまで全く知られていない。さらに、本発明の医薬による心房細動惹起の顕著な抑制作用は、驚くべき効果だと言える。
以下、更に詳細に本発明を説明する。
「Late INa」は、心房及び心室に存在するナトリウムチャネル(Nav1.5チャネル)が形成する電流の内、一過性の活性化電流成分(Peak INaという)に続いてみられる持続的な電流成分を意味する。
「Late INa阻害剤」は、前記「Late INa」を阻害する活性を有する化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの溶媒和物を意味する。本発明において、例えば、本願評価例1の方法により、Late INa阻害活性を測定し、いずれかの濃度(例えば、10μM)でLate INaを阻害する割合が30%以上である化合物を、Late INa阻害活性を有する化合物として用いることができる。好ましくは、評価例1の方法により、IC50値(Late INaを50%抑制する濃度)を測定し、その値が例えば、10μM未満、好ましくは、5μM未満、3μM未満、1μM未満、0.5μM未満である化合物を、Late INa阻害剤として用いることができる。例えば、以下の文献には、Late INa阻害剤として使用することのできる化合物及びそれらの調製方法が、集合的に記載されている。
国際公開第2011/014462
国際公開第2013/006485
国際公開第2015/094670
国際公開第2015/095370
「Late INa阻害剤」は、「IKur」と比較して「Late INa」を選択的に阻害する活性を有することが好ましい。
「Late INa阻害剤」がIKurを50%抑制する濃度は、10μMより大きいことが好ましい。
さらに「Late INa阻害剤」がIKurを30%抑制する濃度は、10μMより大きいことがより好ましい。
「Late INa阻害剤」は、好ましくは、下記式(I)
Figure 2022075646000001

[式中、nは0、1、2又は3を意味し、
11はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、-O-R14、-S-R14、-N(R14)(R15)、-C(=O)-N(R14)(R15)、-N(R14)-C(=O)-R15、-N(R14)-S(=O)-R、-S(=O)-R、-S(=O)-N(R14)(R15)、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基は、無置換であるか又は、ハロゲン原子、フェニル基、4-7員ヘテロシクリル基、5-6員芳香族複素環基、C3-6シクロアルキル基、-N(R)(R)、-C(=O)-R、-C(=O)-OR、-C(=O)-N(R)(R)、シアノ基及び-O-Rからなる群より単独に若しくは異なって選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されている。)、C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基又は4-7員ヘテロシクリル基(該C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基及び4-7員ヘテロシクリル基は、無置換であるか又は、ハロゲン原子、フェニル基、4-7員ヘテロシクリル基、5-6員芳香族複素環基、C1-6アルキル基、C1-3ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、-N(R)(R)、-C(=O)-R、-C(=O)-OR、-C(=O)-N(R)(R)、シアノ基及び-O-Rからなる群より単独に若しくは異なって選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されている。)を意味し、
12は、-C1-6アルキレン基-R13を意味し、
13は、C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基、イミダゾピリジン基又はヘテロシクリル基(該C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基、イミダゾピリジル基及び4-7員ヘテロシクリル基は、無置換であるか又は、C1-6アルキル基、C1-3ハロアルキル基、ハロゲン原子、-N(R)(R)、-N(R)-S(=O)-R、-C(=O)-N(R)(R)、シアノ基、オキソ基及び-O-Rからなる群より単独に若しくは異なって選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されている。)を意味し、
14、R15、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、C1-6アルキル基、C1-3ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基又は5-6員芳香族複素環基を意味し、
及びRはそれぞれ独立して、C1-6アルキル基、C1-3ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基又は5-6員芳香族複素環基を意味する。]で表される化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である。
その他の態様として、「Late INa阻害剤」は、好ましくは、6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジンである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である。
「Late INa阻害剤」は、より好ましくは、4-(ピリミジン-2-イルメチル)-7-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オン、4-(ピリミジン-2-イルメチル)-7-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オン、4-(ピリミジン-2-イルメチル)-7-(4-クロロフェニル)-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オン、7-(4-tert-ブチルフェニル)-4-(ピリミジン-2-イルメチル)-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オン、4-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルメチル)-7-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オン及び6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグもしくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である。
「Late INa阻害剤」は、特に好ましくは、4-(ピリミジン-2-イルメチル)-7-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オン及び6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である。
4-(ピリミジン-2-イルメチル)-7-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オンは、下記式(2)で表される化合物(化合物2)であり、エレクラジンとも呼ばれる。
6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジンは、下記式(3)で表される化合物(化合物3)である。
Figure 2022075646000002
「IKur」は、ヒトの心臓において心房筋でのみ特異的に発現が認められているカリウムチャネル(Kv1.5チャネル)が形成する遅延性整流カリウム電流の超急速成分電流を意味する。
ヒト心房筋に発現しているカリウムチャネルとしてはIKAChチャネルも知られている。IKAChは、IKAChチャネルが形成する電流である。IKAChチャネルはリガンド作用性のカリウムチャネルであり、電位依存性カリウムチャネルであるKv1.5チャネルとは作用原理や機能が大きく異なる。たとえば、心房不応期は、IKur抑制によっても、IKACh抑制によっても延長するが、抑制される電流の違いにより、その心房細動に対する治療効果は異なることが知られている。また、肺静脈を起源とする異常興奮に対するカリウムチャネルの関与は詳しく知られていない。肺静脈を起源とする異常興奮に対するLateINa阻害剤の効果について、どのようなカリウムチャネル阻害剤が、どのような影響を与えるかについては、さらに知られていない。
「IKur阻害剤」は、前記「IKur」を阻害する活性を有する化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその製薬上許容される塩又はそれらの溶媒和物を意味する。本発明において、例えば、本願評価例2の方法により、IKur阻害活性を測定し、いずれかの濃度(例えば、10μM)でIKurを阻害する割合が30%以上である化合物を、IKur阻害活性を有する化合物として用いることができる。好ましくは、評価例2の方法により、IC50値(IKurを50%抑制する濃度)を測定し、その値が例えば、10μM未満、好ましくは、5μM未満、3μM未満、1μM未満、0.5μM未満、0.1μM未満である化合物を、IKur阻害活性を有する化合物として用いることができる。例えば、以下の文献には、IKur阻害活性を有する化合物を含有し、医薬組成物として使用することのできる化合物及びそれらの調製方法が、集合的に記載されている。
国際公開第2004/111057
国際公開第2012/131379
国際公開第2011/028741
国際公開第2013/188254
「IKur阻害剤」は、「Late INa」と比較して「IKur」を選択的に阻害する活性を有することが好ましい。
「IKur阻害剤」がLate INaを50%抑制する濃度は、10μMより大きいことが好ましい。
さらに 「IKur阻害剤」がLate INaを30%抑制する濃度は、10μMより大きいことがより好ましい。
「IKur阻害剤」は、好ましくは、下記式(II)
Figure 2022075646000003

[式中、Xは-S-又は-CH=CH-を意味し、
21はC3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基又は4-7員ヘテロシクリル基を意味し、
22は-N(R25)(R26)、-C(=O)-N(R25)(R26)、C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基又は4-7員ヘテロシクリル基(該C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基及び4-7員ヘテロシクリル基は、無置換であるか、1個以上のハロゲン原子で置換されているか又は、シアノ基、-O-R、-S-R、-N(R)(R)、-C(=O)-N(R)(R)、-N(R)-C(=O)-R、-N(R)-S(=O)-R、-S(=O)-R、-S(=O)-N(R)(R)、C1-6アルキル基、C1-3ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基及び4-7員ヘテロシクリル基からなる群から選ばれる1個の置換基で置換されている。)を意味し、
Lは、単結合又はC1-6アルキレン基を意味し、
23はC3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基又は4-7員ヘテロシクリル基を意味し、
24は水素原子又はC1-6アルキル基を意味し、
25、R26、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基又は5-6員芳香族複素環基(該C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基及び5-6員芳香族複素環基は、無置換であるか、1個以上のハロゲン原子で置換されているか又は、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基からなる群から選ばれる1個の置換基で置換されている。)を意味し、
はC1-6アルキル基、C1-3ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基又は5-6員芳香族複素環基を意味する。]で表される化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である。
「IKur阻害剤」は、より好ましくは、下記式(III)
Figure 2022075646000004

[式中、R22は4-7員ヘテロシクリル基(該4-7員ヘテロシクリル基は、無置換であるか、1個以上のハロゲン原子で置換されているか又は、シアノ基、-O-R、-S-R、-N(R)(R)、-C(=O)-N(R)(R)、-N(R)-C(=O)-R、-N(R)-S(=O)-R、-S(=O)-R、-S(=O)-N(R)(R)、C1-6アルキル基、C1-3ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基及び4-7員ヘテロシクリル基からなる群から選ばれる1個の置換基で置換されている。)を意味し、
及びRはそれぞれ独立して、水素原子、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基又は5-6員芳香族複素環基(該C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基及び5-6員芳香族複素環基は、無置換であるか、1個以上のハロゲン原子で置換されているか又は、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基からなる群から選ばれる1個の置換基で置換されている。)を意味し、
はC1-6アルキル基、C1-3ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基又は5-6員芳香族複素環基を意味する。]で表される化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物であるか又は、
より好ましくは、下記式(IV)
Figure 2022075646000005

[式中、R22は5-6員芳香族複素環基(該5-6員芳香族複素環基は、無置換であるか、1個以上のハロゲン原子で置換されているか又は、シアノ基、-O-R、-S-R、-N(R)(R)、-C(=O)-N(R)(R)、-N(R)-C(=O)-R、-N(R)-S(=O)-R、-S(=O)-R、-S(=O)-N(R)(R)、C1-6アルキル基、C1-3ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、フェニル基、5-6員芳香族複素環基及び4-7員ヘテロシクリル基からなる群から選ばれる1個の置換基で置換されている。)を意味し、
及びRはそれぞれ独立して、水素原子、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基又は5-6員芳香族複素環基(該C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基及び5-6員芳香族複素環基は、無置換であるか、1個以上のハロゲン原子で置換されているか又は、ヒドロキシ基、アミノ基及びシアノ基からなる群から選ばれる1個の置換基で置換されている。)を意味し、
はC1-6アルキル基、C1-3ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、4-7員ヘテロシクリル基、フェニル基又は5-6員芳香族複素環基を意味する。]で表される化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である。
IKur阻害剤は、特に好ましくは、(S)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミド、(R)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミド及び5-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]キナゾリン-2-イル}ピリジン-3-スルホンアミドからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、該化合物の互変異性体もしくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である。
(S)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミドは、下記式(4)で表される化合物(化合物4)である。(R)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミドは、下記式(5)で表される化合物(化合物5)である。5-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]キナゾリン-2-イル}ピリジン-3-スルホンアミドは、下記式(6)で表される化合物(化合物6)である。
Figure 2022075646000006
IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを「組み合わせてなる医薬」は、各阻害剤を配合した剤を投与する態様、分離した剤を同時に投与する態様、分離した剤を続けて投与する態様、分離した剤を分離して投与する態様を包含する。
本発明の医薬を、ヒトを含む哺乳動物に投与又は摂取する場合、その投与量又は摂取量は、対象の年齢、体重、症状、健康状態、その医薬の組成物の種類(医薬品、飲食品など)等に応じて、適宜選択されるが、その投与量又は摂取量は、Late INa阻害剤とIKur阻害剤との和に換算して0.001mg/kg/日~100mg/kg/日であることが好ましい。
本発明のIKur阻害剤とLate INa阻害剤とを組み合わせてなる医薬におけるLate INa阻害剤に対するIKur阻害剤の比は、その阻害活性、製剤等に応じて設定され、特に限定されないが、例えば、重量比(Late INa阻害剤から生じるLate INa阻害活性を有する化合物:IKur阻害剤から生じるIKur阻害活性を有する化合物)で100:1~1:100であり、好ましくは40:1~1:40である。より好ましくは、40:1~5:1であり、さらに好ましくは30:1~8:1である。その他の態様として、より好ましくは、1:40~1:5であり、さらにより好ましくは1:35~1:10である。また、血漿中濃度に換算して上記重量比となることが好ましい。
本発明のLate INa阻害剤とIKur阻害剤とを含むキットとしては、例えば、同一パッケージ内に、Late INa阻害剤を含む医薬組成物及びIKur阻害剤を含む医薬組成物を含むキット、Late INa阻害剤とIKur阻害剤とを含む医薬組成物を含むキット等が挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
上記キットの1パッケージ内に含有される各医薬組成物の数は限定されない。例えば、各薬剤はそれぞれ1~20個である。
本発明のLate INa阻害剤とIKur阻害剤とを含む商業パッケージとは、例えば、以下の商業パッケージが挙げられるが、これらは本発明を限定するものではない。
b)同一パッケージ内に、Late INa阻害剤を含む第1医薬組成物及びIKur阻害剤を含む第2医薬組成物を含むキット、及び前記第1医薬組成物及び前記第二医薬組成物を併用して使用する方法を記載した記載物を含む商業パッケージ。
c)同一パッケージ内に、Late INa阻害剤を含む第1医薬組成物、並びに、IKur阻害剤を含む第2医薬組成物を併用できる又は併用すべきことを記載した記載物を含む商業パッケージ。
d)同一パッケージ内に、IKur阻害剤を含む第1医薬組成物、並びに、Late INa阻害剤を含む第2医薬組成物を併用できる又は併用すべきことを記載した記載物を含む商業パッケージ。
e)同一パッケージ内に、Late INa阻害剤を含む第1医薬組成物、並びに、IKur阻害剤を含む第2医薬組成物と前記第1医薬組成物を併用して使用する方法を記載した記載物を含む商業パッケージ。
f)同一パッケージ内に、IKur阻害剤を含む第1医薬組成物、並びに、Late INa阻害剤を含む第2医薬組成物と前記第1医薬組成物を併用して使用する方法を記載した記載物を含む商業パッケージ。
「上室性不整脈」は、心房に係る不整脈である。上室性不整脈としては、心房細動、心房粗動、心房頻拍、房室回帰性頻拍(WPW症候群)又は房室結節回帰性頻拍等が挙げられ、心電図の波形によっていずれかに分類される。各疾患については、医学における一般的な理解に基づき解釈されうる。また臨床現場での判断も考慮されるべきである。
「心房粗動」とは、心房が一分間に高頻度で規則正しく興奮する疾患を意味する。心房粗動の興奮の頻度の目安は、一般的に、一分間に240~440回とされる。(不整脈薬物治療ガイドライン(2020年改訂版)、81頁)
「心房細動」とは、心房が一分間に高頻度で不規則に興奮する疾患を意味する。心房細動の興奮の頻度の目安は、一般的に、一分間に250~350回又はそれ以上とされる。(心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)、9頁)
本発明の医薬、医薬組成物、キット、商業パッケージ等は、前記上室性不整脈の治療及び/又は予防に使用することができ、好ましくは、心房細動及び心房粗動の治療及び/又は予防に、さらに好ましくは、心房細動の治療及び/又は予防に使用できる。特に、Late INa阻害剤及びIKur阻害剤の一方の使用では十分に治療及び/又は予防されなかった心房細動の治療に使用できる。
また、本発明の医薬、医薬組成物、キット、商業パッケージ等は「上室性不整脈」に合併する脳卒中、心筋梗塞、抹消血管疾患などの血栓症の予防にも使用できる。
本発明の医薬、医薬組成物、キット、商業パッケージ等は、上室性不整脈を有する哺乳動物を任意に対象とすることができる。また、上室性不整脈のリスクを有する哺乳動物も対象とすることができる。上室性不整脈のリスクを有する哺乳動物としては、例えば、上室性不整脈の既往歴を持つ哺乳動物等が挙げられる。
前記哺乳動物は、好ましくは、ヒト(患者)である。
また、本発明の医薬、医薬組成物、キット、商業パッケージ等は、以下の剤に使用することもできる。
1)心房における異常興奮の発生を抑制する剤
2)肺静脈を起源とする異常興奮の発生を抑制する剤
3)1)又は2)に記載の異常興奮の発生抑制を増強させる剤
4)心房有効不応期を延長させる剤
5)心房有効不応期の延長を増強させる剤
6)心房細動の治療効果を増強させる剤
上室性不整脈の予防とは、上室性不整脈のリスクを有する哺乳動物、中でも上室性不整脈の既往歴を有する哺乳動物の洞調律を維持するための一又は複数の医薬組成物の投与を示す。
上室性不整脈の治療とは、不整脈の症状を連続的又は間欠的に示している哺乳動物の状態を緩和し、又は不整脈を停止するための一又は複数の医薬組成物の投与を示す。
上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防とは、上室性不整脈を有する哺乳動物又は上室性不整脈のリスクを有する哺乳動物の、血栓形成の原因である心房内血流低下を抑制するための一又は複数の医薬組成物の投与を示す。
「心房有効不応期」とは、心房において電気的刺激等に反応しない期間のことである。
「異常興奮」とは、自発的な活動電位である。活動電位とは、細胞又は細胞の集合体の機能発現に伴い発生する細胞膜の電位変化又はそれらの集合体電位の変化である。心房における異常興奮とは、心房において自発的に発生する細胞膜の電位変化又はそれらの集合体電位の変化である。肺静脈を起源とする異常興奮とは、肺静脈において自発的に発生する細胞膜の電位変化又はそれらの集合体電位の変化である。心房における異常興奮は、肺静脈を起源とする異常興奮を包含する。
投与形態は、特に限定されず、例えば、Late INa阻害剤とIKur阻害剤とを含有する1つの医薬組成物を投与してもよく、Late INa阻害剤を含む医薬組成物及びIKur阻害剤を含む医薬組成物の2種の医薬組成物を投与してもよい。2種の医薬組成物を投与する場合、それらを同時に投与してもよく、続けて投与してもよく、分離して(即ち時間差を置いて)投与してもよい。続けて又は分離して投与するとき、Late INa阻害剤及びIKur阻害剤の順序で投与してもよく、逆の順序で投与してもよい。また、2種の医薬組成物を同時に、続けて若しくは時間差を置いて投与するとき、2種の医薬組成物の投与経路は、同じでも異なっていてもよい。
本発明の医薬の作用機構の詳細は明らかではないが、IKur阻害活性を有する化合物及びLate INa阻害活性を有する化合物は、体内で共存していることが好ましい。よって、時間差をおいての投与の場合、その時間差は、臨床現場の医師により判断され、またその製剤にもよるため一概には言えないが、一方の阻害剤の投与終了後から、例えば、直後~5時間後、直後~1時間後、好ましくは、1分~30分後に、もう一方の阻害剤が投与される。
また、一方又は両方の阻害剤を持続的に投与してもよく、その持続的投与の時間は、臨床現場の医師により判断され、またその製剤にもよるため一概には言えないが、例えば、5分間~240時間、5分間~24時間、好ましくは、10分間~10時間である。一方の阻害剤を持続的に投与する場合、その持続的投与中にもう一方の阻害剤を投与してもよい。
本発明の医薬等に含まれる医薬組成物は、医薬製剤の形態、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、シロップ剤、ペレット剤、トローチ剤などの経口投与剤、又は坐剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤、注射剤などの非経口投与(直腸投与、経皮投与、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与等)剤として投与できる。前記製剤は、薬理的、製剤学的に許容しうる添加物を加え、常法により製造することができる。すなわち、経口剤には通常の賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、可塑剤、コーティング剤などの添加物を使用することができる。経口用の液剤は、水性若しくは油性懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、エリキシルなどの形態であってもよく、又は使用前に水若しくは他の適当な溶媒で調製するドライシロップの形態で使用されてもよい。前記の液剤は、懸濁化剤、香料、希釈剤或いは乳化剤のような通常の添加剤を含むことができる。直腸内投与する場合は坐剤として投与することができる。坐剤はカカオ脂、ラウリン脂、マクロゴール、グリセロゼラチン、ウィテップゾール、ステアリン酸ナトリウム又はそれらの混合物など、適当な物質を基剤として、必要に応じて乳化剤、懸濁化剤、保存剤などを加えることができる。注射剤は、水性若しくは用時溶解型剤形を構成しうる注射用蒸留水、生理食塩水、5%ブドウ糖溶液、プロピレングリコールなどの溶解剤又は溶解補助剤、pH調節剤、等張化剤、安定化剤などの製剤成分が使用される。
本剤はLate INa阻害剤及び/又はIKur阻害剤を含む剤として、又はさらに他の治療剤及び/又は予防剤を含む混合物として投与することもできる。
本発明の医薬組成物は、哺乳動物に上記慣用の医薬製剤の形で、特に限定なく投与することができる。その中でも、静脈内又は経口投与が好ましく、経口投与がより好ましい。
本発明における投与量は、Late INa阻害剤又はIKur阻害剤を単独で投与した場合より低用量に設定することができる。そのため、本発明の医薬等は、既存の抗不整脈薬で報告が多い不整脈の誘発や心機能抑制などの副作用を低減することができる。
次に本明細書における化学構造の記載に用いる用語を説明する。
尚、本発明中「n-」はノルマル、「i-」はイソ、「s-」及び「sec-」はセカンダリー、「t-」及び「tert-」はターシャリー、「m-」はメタを意味する。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
「C1-3アルキル基」とは、メチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基を意味する。
「C1-3ハロアルキル基」とは、前記定義「C1-3アルキル基」の任意の位置の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子からなる置換基群より単独に若しくは異なって選ばれる1個以上のハロゲン原子で置換された置換基を意味する。
「C1-6アルキル基」とは、炭素数が1乃至6個である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を意味し、具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基などが挙げられる。
「C3-6シクロアルキル基」とは、環を構成する炭素原子数が3乃至6個である、単環系、縮合環系、橋架け環系又はスピロ環系の脂肪族炭化水素環から任意の位置の水素原子を1個取り除いた1価の置換基を意味し、具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
「5-6員芳香族複素環」とは、環を構成する原子の数が5乃至6個であり、環を構成する原子中に1乃至5個のヘテロ原子(該へテロ原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を意味し、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。)を含有する単環系の芳香族複素環基を意味し、具体例としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールなどが挙げられる。
「5-6員芳香族複素環基」とは、前記定義「5-6員芳香族複素環」から任意の位置の水素原子を1個取り除いた1価の置換基を意味する。
「4-7員ヘテロシクリル環」とは、
1)環を構成する原子数が4乃至7個であり、
2)環を構成する原子中に1乃至3個のヘテロ原子(該へテロ原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を意味し、2個以上の場合は、同一でも異なっていてもよい。)を含有し、
3)環中にカルボニル基、二重結合または三重結合を含んでいてもよく、
4)環を構成する原子中に硫黄原子が含まれる場合、その硫黄原子はスルフィニル基又はスルホニル基を形成してもよい、単環系の非芳香族性の複素環を意味し、
具体例としては、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、オキサゾリジン、イソキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、アゼピン、ジアゼピン、オキセタン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、オキセパン、ホモモルホリン、1,2,5-チアジアゼパンなどが挙げられる。
「4-7員ヘテロシクリル基」とは、前記定義「4-7員ヘテロシクリル環」から任意の位置の水素原子を1個取り除いた1価の置換基を意味する。
「C1-6アルキレン基」とは、前記定義「C1-6アルキル基」から任意の位置の水素原子を1個取り除いた2価の置換基を意味し、具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、2,2-ジメチル-プロパン-1,3-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、3-メチルブタン-1,2-ジイル基等が挙げられる。
「オキソ基」とは、酸素原子が二重結合を介して置換する置換基(=O)を示す。従って、オキソ基が炭素原子に置換した場合は当該炭素原子と一緒となってカルボニル基を形成し、一つのオキソ基が硫黄原子に置換した場合は当該硫黄原子と一緒となってスルフィニル基を形成し、2つのオキソ基が硫黄原子に置換した場合は当該硫黄原子と一緒になってスルホニル基を形成する。
本発明のIKur阻害剤及びLate INa阻害剤に用いられる化合物は、例えば環内、環外を問わずそれらの互変異性、幾何異性を経由して存在することに加えて、その混合物或いはそれぞれの異性体の混合物として存在することも含む。又、不斉中心が存在する場合、或いは異性化の結果、不斉中心が生じる場合は、それぞれの光学異性体及び任意の比率の混合物として存在することも含む。また、不斉中心を2個以上持つ化合物の場合には、さらにそれぞれの光学異性によるジアステレオマーとして存在することも含む。本発明の化合物は、これらすべての型を、任意の割合で含んだものも含む。例えば、ジアステレオマーは当業者によく知られた方法、例えば分別結晶法等によって分離することができ、また、光学活性体はこの目的のためによく知られた有機化学的手法によって得ることができる。
本発明のIKur阻害剤及び/又はLate INa阻害剤に用いられる化合物が不斉中心を有する場合、当該化合物は、好ましくは、光学活性体として用いられる。その光学純度は、好ましくは、50~100%eeである。光学純度の下限は、より好ましくは、60%ee、70%ee、80%ee、90%ee、95%ee、96%ee、97%ee、98%ee、99%eeである。
ここで、eeは、エナンチオマー過剰率を意味する。eeは、多い方のエナンチオマーの比率から少ない方のエナンチオマーの比率を引いた値で表される。例えば、95:5の割合で一方のエナンチオマーが多い場合、エナンチオマー過剰率は、90%eeである。
本発明のIKur阻害剤及びLate INa阻害剤に用いられる化合物は、製造条件により任意の結晶形として存在することができ、任意の水和物として存在することができる。また、IKur阻害剤に用いられる化合物とLate INa阻害剤に用いられる化合物とが組み合わさって、一又は複数の結晶形として存在することもでき、任意の水和物として存在することができる。これら結晶形や水和物及びそれらの混合物も本発明の範囲に含有される。またアセトン、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールなどの有機溶媒を含む溶媒和物として存在することもあるが、これらの形態はいずれも本発明の範囲に含有される。
本発明のIKur阻害剤及びLate INa阻害剤に用いられる化合物は、必要に応じて医薬的に許容され得る塩に変換することも、又は生成した塩から遊離させることもできる。本発明の医薬的に許容され得る塩としては、例えば、
アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、
アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)、
アンモニウム、
有機塩基、
アミノ酸、
無機酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸など)又は
有機酸(酢酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸など)との塩が挙げられる。
本発明の医薬組成物に用いられるIKur阻害活性を有する化合物及び/又はLate INa阻害活性を有する化合物のプロドラッグとは、化学的又は代謝的に分解できる基を有する前記化合物の誘導体であり、加溶媒分解により又は生理的条件下のインビボ(in vivo)において分解され薬理学的に活性な医薬品化合物へと誘導される化合物である。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法及び製造する方法は、例えば デザイン オブ プロドラッグス(エルゼビア、アムステルダム 1985)(Design of Prodrugs (Elsevier, Amsterdam 1985))に記載されている。本発明の場合、該化合物がヒドロキシ基を有する場合は、その化合物と適当なアシルハライド、適当な酸無水物又は適当なハロアルコキシカルボニル化合物とを反応させることによって製造されるアシルオキシ誘導体等がプロドラッグとして例示される。前記プロドラッグとして好ましい部分構造としては-O-COC、-O-CO(t-Bu)、-O-COC1531、-O-CO(m-COH-Ph)、-O-COCHCHCOH、-OCOCH(NH)CH、-O-COCHN(CH及び-O-CHOC(=O)CHなどが挙げられる。前記化合物が-NH-基を有する場合は、該-NH-基を有する化合物と適当な酸ハロゲン化物、適当な混合酸無水物又は適当なハロアルコキシカルボニル化合物とを反応させることにより製造される誘導体がプロドラッグとして例示される。前記プロドラッグとして好ましい部分構造としては、-N-CO(CH)20OCH、-N-COCH(NH)CH及び-N-CHO(C=O)CH等が挙げられる。また、-NH-基を有する化合物とオキシ塩化リンを反応させて、次いで水と反応させることにより製造される誘導体もプロドラッグとして例示することができ、このプロドラッグの部分構造は、-N-P(=O)(OH)である。前記-NH-基が-NH基である場合、プロドラッグとして好ましい部分構造は、-NH-CO(CH)20OCH、-NH-COCH(NH)CH、-NH-CHO(C=O)CH又は-NH-P(=O)(OH)等である。この場合、特に好ましい部分構造は、-NH-P(=O)(OH)である。さらにこれらの部分構造を有するプロドラッグは、ナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩等の塩に変換されて本発明に用いられてもよい。
本発明の医薬を使用する好ましい方法としては以下に示すものが挙げられる。
1) IKur阻害剤及びLate INa阻害剤を、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、上室性不整脈を治療及び/又は予防する方法。
2) IKur阻害剤及びLate INa阻害剤を、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の一方では十分に治療及び/又は予防されなかった心房細動を治療する方法。
3) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、上室性不整脈により引き起こされる血栓症を予防する方法。
4) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、心房における異常興奮の発生を抑制する方法。
5) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、心房における異常興奮の発生抑制を増強する方法。
6) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、肺静脈を起源とする異常興奮の発生を抑制する方法。
7) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、肺静脈を起源とする異常興奮の発生抑制を増強する方法。
8) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、心房有効不応期を延長させる方法。
9) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、心房有効不応期の延長を増強させる方法。
10) IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、心房細動の治療効果を増強させる方法。
11) 哺乳動物において、上室性不整脈を治療及び/又は予防するための、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の使用。
12) 哺乳動物において、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の一方では、十分に治療及び/又は予防されなかった心房細動を治療するための、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の使用。
13) 哺乳動物において、上室性不整脈により引き起こされる血栓症を予防するための、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の使用。
14) 哺乳動物において、心房における異常興奮の発生を抑制するための、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の使用。
15) 哺乳動物において、心房における異常興奮の発生抑制を増強するための、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の使用。
16) 哺乳動物において、肺静脈を起源とする異常興奮の発生を抑制するための、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の使用。
17) 哺乳動物において、肺静脈を起源とする異常興奮の発生抑制を増強するための、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の使用。
18) 哺乳動物において、心房有効不応期を延長させるための、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の使用。
19) 哺乳動物において、心房有効不応期の延長を増強させるための、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の使用。
20) 哺乳動物において、心房細動の治療効果を増強させるための、IKur阻害剤及びLate INa阻害剤の使用。
上記方法において、哺乳動物は好ましくはヒト(患者)である。投与は好ましくは、経口投与又は静脈内投与であり、より好ましくは経口投与である。IKur阻害剤とLate INa阻害剤とは、同時に投与されることが特に好ましい。
以下に合成例、評価例及び製剤例を示し本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、「NMR」は核磁気共鳴を、「LC/MS」は高速液体クロマトグラフィー/質量分析を意味する。
H-NMRデータが記載してある場合には、300MHz(JNM-ECP300;日本電子(JEOL)社製、又はJNM-ECX300;日本電子(JEOL)社製)で測定し、テトラメチルシランを内部標準としたシグナルの化学シフトδ(単位:ppm)(分裂パターン、積分値)を表す。「s」はシングレット、「d」はダブレット、「t」はトリプレット、「dd」はダブレット オブ ダブレット、「J」はカップリング定数、「DMSO-d」は重ジメチルスルホキシドを意味する。
LC/MSは以下の条件で、ESI(エレクトロスプレーイオン化)法を用いて測定し、「ESI」はESI正イオンモード、「ESI」はESI負イオンモードを意味する。
LC/MS測定条件
装置:Waters ACQUITY UPLC/Thermo LTQ XL
カラム:Waters AQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1×50mm)
カラム温度:40℃
溶媒
A液:0.1%ギ酸水溶液
B液:0.1%ギ酸-アセトニトリル溶液
グラジエント条件:
流速0.6mL/min、A液とB液の混合比を90/10(体積比)に固定して測定開始し、0.5分後に2.5分間でA液とB液の混合比を10/90(体積比)に直線的に変えた。その後0.7分間A液とB液の混合比を10/90(体積比)に固定し、その後0.1分間でA液とB液の混合比を90/10(体積比)、流速0.8mL/minに直線的に変え、その後1分間固定した。
検出波長:PDA(Photodiode Array Detector) 190-399nm
合成例1
5-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]キナゾリン-2-イル}ピリジン-3-スルホンアミド 塩酸塩(化合物7:化合物6の塩酸塩)
Figure 2022075646000007

国際公開第2011/028741号の合成例7に記載の方法と同様に合成した5-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]キナゾリン-2-イル}ピリジン-3-スルホンアミド(100mg, 0.213mmol)のイソプロピルアルコール(1mL)溶液に、室温で4M-塩化水素/1,4-ジオキサン(53.4μL, 0.213mmol)を加えた。反応溶液を3時間撹拌した後、ろ過した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄し、減圧下乾燥して固体を得た(101mg,粗物A)。
国際公開第2011/028741号の合成例7に記載の方法で同様に合成した5-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]キナゾリン-2-イル}ピリジン-3-スルホンアミド(100mg, 0.213mmol)のクロロホルム(0.5mL)及びメタノール(0.5mL)の混合溶液に、室温で4M-塩化水素/1,4-ジオキサン(53.4μL, 0.213mmol)を加えた。反応溶液を3時間撹拌した後、減圧下濃縮し、イソプロピルアルコール(1mL)及び酢酸エチル(1mL)を加え、1時間撹拌した。懸濁液をろ過し、得られた固体を酢酸エチルで洗浄し、減圧下乾燥して固体を得た(102mg,粗物B)。
国際公開第2011/028741号の合成例7に記載の方法と同様に合成した5-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]キナゾリン-2-イル}ピリジン-3-スルホンアミド(3.65g, 7.79mmol)にクロロホルム(15mL)及びメタノール(15mL)の混合溶液に、室温で4M-塩化水素/1,4-ジオキサン(1.94mL, 7.79mmol)を加えた。反応溶液を1時間撹拌した後、減圧下濃縮し、エタノール(18mL)及び酢酸エチル(18mL)を加え、30分間撹拌した。懸濁液をろ過し、得られた固体を酢酸エチル及びエタノールで洗浄し、減圧下乾燥し、固体を得た。得られた固体に、上記で得られた粗物A及び粗物Bを加え、次いで酢酸エチル及びエタノールの混合溶媒を加えて1日間撹拌した。懸濁液をろ過し、得られた固体に酢酸エチル及びヘキサンの混合溶媒を加え、30分間撹拌した。懸濁液をろ過し、減圧下乾燥することで表題化合物を白色固体として得た(3.87g)。
H-NMR(DMSO-d)δ:4.92(d,J=4.4Hz,2H),7.13(s,1H),7.44(dd,J=7.0,1.1Hz,1H),7.47-7.54(m,1H),7.58(s,5H),7.84(s,2H),7.95(t,J=7.7Hz,1H),8.03(d,J=7.4Hz,2H),8.44(d,J=3.7Hz,1H),9.08(t,J=2.0Hz,1H),9.12(d,J=1.8Hz,1H),9.70(d,J=1.8Hz,1H).
LC/MS:保持時間 = 2.14分
LC/MS(ESI) m/z; 469 [M+H]
LC/MS(ESI) m/z; 467 [M-H]
薬理学的解析
以下に、本発明化合物の評価例について記載する。
評価例中、「cDNA」は、相補的デオキシリボ核酸、「RNA」はリボ核酸、「NCBI」はNational Center for Biotechnology Information、「FBS」はウシ胎児血清、「DMEM」はダルベッコ改変イーグル培地、「RT-PCR」は逆転写ポリメラーゼ連鎖反応、「HEPES」は4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸、「EGTA」はグリコールエーテルジアミン四酢酸、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味する。
なお、以下の評価例において、被験物質として下記の化合物を使用した。
エレクラジン(化合物2):国際公開第2013/006485号の合成例40に記載の方法で同様に合成した。
化合物3:国際公開第2011/014462号の合成例1に記載の方法で同様に合成した。
化合物4:国際公開第2012/131379号に記載の方法で同様に合成した。
化合物7(化合物6の塩酸塩):合成例1に記載の方法で合成した。
評価例1 Nav1.5チャネル電流の定常成分(Late INa)阻害活性
ヒトNav1.5チャネルを安定に発現するT-Rex-293細胞株は、以下のように作製した。全長ヒトNav1.5 cDNAは、ヒト心臓total RNA(Clontech社)を鋳型にし、SuperScriptIII First-strand systhesis System for RT-PCRキット(Invitrogen社)を用いて逆転写することにより得られたcDNAよりクローニングした。得られたヒトNav1.5の配列は、NCBIデータベース(NM_000335.4)に記載されている配列と一致した。
得られたヒトNav1.5のcDNAを、pcDNA4/TO(Invitrogen社)の制限酵素サイトHindIII-NotIにクローニングしてヒトNav1.5発現ベクターを構築した。リポフェクタミンLTX試薬(Lipofectamine LTX reagent:Invitrogen社)を用いて、該試薬に添付されたプロトコールに従い、ヒトNav1.5発現ベクターをテトラサイクリンリプレッサータンパク(Tetracycline repressor protein)を安定発現しているT-Rex-293細胞(Invitrogen社)へ導入した。1~2日間10%FBS(Hyclone社)を添加したDMEM培地(和光純薬工業社)中で培養後、ゼオシン(Zeocin:Invitrogen社)を300μg/mL及びブラストサイジン(Blasticidin:Invitrogen社)を5μg/mL含む10%FBS添加DMEM培地に交換し、シングルコロニーを分離した。シングルコロニーは、1μg/mLのテトラサイクリン(Tetracycline:Invitrogen社)及び100μMの酪酸ナトリウム(Sodium butyrate:和光純薬工業社)を含む10%FBS添加DMEM培地で約18時間発現誘導した後、RT-PCRでmRNAレベルでのNav1.5チャネルの発現量を確認し、パッチクランプ法で発現電流を解析した。
電流測定のために、ヒトNav1.5発現細胞をデタチン(Genlantis社)で剥離した後、25mMのHEPES(Sigma Aldrich社)を含む無血清培地(Serum-free Medium:Sigma Aldrich社)に懸濁し、0.8×10~1.5×10cells/mLの細胞濃度に調製した。細胞懸濁液は、調製後3時間以内に電流測定試験に使用した。
Late INaの記録は、自動パッチクランプ装置QPatch 16X(Sophion Bioscience社)を用いて、電位固定下でホールセルパッチクランプ法により、室温で実施した。Late INaの測定は、50nMのATX-II(Sigma Aldrich社)存在下で、膜電位を-120mVに保持した状態で、20mVで0.25秒間の脱分極パルスを0.1Hzの刺激頻度で与えることで行った。1細胞あたり、0.1%DMSO溶液を17分間、被験物質の溶液3濃度を低い濃度の溶液から各2~3分間、リファレンス溶液(0Na細胞外溶液)を1分間の順に、連続的に適用した。被験物質の溶液3濃度は、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、1μM、3μM、10μMから、後述するIC50を挟むと予想される3濃度を選択した。上記試験において、以下の溶液を用いた。
細胞外溶液:NaCl[塩化ナトリウム](140mM)、KCl[塩化カリウム](4mM)、CaCl[塩化カルシウム](1.8mM)、MgCl[塩化マグネシウム](0.75mM)及びHEPES(5mM)の水溶液(pH7.4)
細胞内溶液:CsF[フッ化セシウム](120mM)、CsCl[塩化セシウム](20mM)、EGTA(5mM)及びHEPES(5mM)の水溶液(pH7.4)
0Na細胞外溶液:N-メチル-D-グルカミン(140mM)、KCl(4mM)、CaCl(1.8mM)、MgCl(0.75mM)及びHEPES(5mM)の水溶液(pH7.4)
データ解析には、脱分極パルス刺激開始後、0.225~0.25秒間の平均電流値を用いた。0.1%DMSO存在下の電流と被験物質存在下の電流から、以下の式に従って被験物質の各濃度における相対電流を求めた。
相対電流 =(被験物質存在下の電流-リファレンス溶液存在下の電流)/(0.1%DMSO存在下の電流-リファレンス溶液存在下の電流)
Late INaを50%抑制する濃度(Late INa IC50)は、50%を挟む2点の濃度とその時の阻害率から、その濃度をx、その時の阻害率(%)をYとして、直線式Y=m×log(x)+bを作成し、Y=50になる時のxの値を算出することで求めた。結果を表1に示した。なお、直線式中のmは直線の傾きを、bはY切片を表す。また、化合物4は、83%eeのものを用いた。
(表1)
被験物質 Late INa IC50(μM)
――――――――――――――――――――――――――
化合物2 0.47
化合物3 0.069
化合物4 4%阻害(10μM)
化合物6 26%阻害(10μM)
――――――――――――――――――――――――――
評価例2 Kv1.5チャネル電流(IKur)阻害活性
ヒトKv1.5チャネルを安定に発現するCHO-K1細胞株は、Cytomyx社から入手した(カタログ番号:CYL3018)。
自動パッチクランプ装置Qpatch 16XおよびQpatchII 48Xでの電流測定のために、ヒトKv1.5発現細胞をアクターゼ(Innovative cell technologies社)で剥離した後、25 mMのHEPES(Sigma Aldrich社)を含む無血清培地(Serum-free Medium:Sigma Aldrich社)で懸濁し、1.0×10~2×10 cells/mLの細胞濃度に調製した。細胞懸濁液は調製後30分間以上安定させたのちに電流評価に使用した。IKur成分の記録は、自動パッチクランプ装置Qpatch 16XおよびQpatchII 48X(Sophion Bioscience社)を用いて、電位固定下でホールセルパッチクランプ法により、室温で実施した。IKurの測定は、膜電位を-80 mVに保持した状態から0 mVで900ミリ秒脱分極させた後に、-40 mVで100ミリ秒維持させる脱分極パルスを0.2ヘルツの刺激頻度で与えて行った。1細胞あたり、0.1% DMSO溶液を約8分間、被験物質の溶液4濃度を低い濃度の溶液から各1-1.5分間の順に連続的に適用した。被験物質の溶液4濃度は、0.01μM、0.03μM、0.1μM、0.3μM、1μM、3μM、10μMから、後述するIC50を挟むと予想される4濃度を選択した。上記試験において、以下の溶液を用いた。
細胞外溶液:NaCl(140 mM)、KCl(4 mM)、CaCl(2 mM)、MgCl(1 mM)、D-グルコース(5 mM)及びHEPES(10 mM)の水溶液(pH7.4)
細胞内溶液:KF[フッ化カリウム](120 mM)、KCl(20 mM)、NaCl(10 mM)、EGTA(5 mM)及びHEPES(10 mM)の水溶液(pH7.2)
データ解析には、0 mVの脱分極パルス刺激開始後、880~900ミリ秒間の平均電流値を用いて、以下の式に従って算出される阻害率を求めた。
阻害率(%)=(1-(被験物質添加後の電流値/溶媒(0.1%DMSO)添加後の電流値))×100
IKurを50%抑制する濃度(IKur IC50)は、50%を挟む2点の濃度とその時の阻害率からその濃度をx、その時の阻害率(%)をYとして、直線式Y=m×log(x)+bを作成し、Y=50になる時のxの値を算出することで求めた。結果を表2に示した。なお、直線式中のmは直線の傾きを、bはY切片を表す。また、化合物4は、83%eeのものを用いた。
(表2)
被験物質 IKur IC50(μM)
――――――――――――――――――――――――――
化合物2 9%阻害(10μM)
化合物3 8%阻害(10μM)
化合物4 0.13
化合物7 0.21
――――――――――――――――――――――――――
評価例3 肺静脈を起源とする異常興奮に対する作用
実験には、4~10週齢の雄性ハートレー系モルモットを使用した。左心房を摘出後、上下左右肺溝、計4本の肺静脈標本を単離し、95%酸素、5%炭酸ガスで緩衝したKrebs-Henseleit液を満たした実験槽内に標本を固定した。Krebs-Henseleit液の組成は、NaClが118.4mM、NaHCO[炭酸水素ナトリウム]が24.9mM、D-グルコースが11mM、KClが4.7mM、MgSO・7HO[硫酸マグネシウム7水和物]が1.2mM、KHPO[リン酸二水素カリウム]が1.2mM及びCaCl・2HO[塩化カルシウム2水和物]が2.5mMであった。高インプットインピーダンス増幅システム(MEZ-8300 日本光電)に接続した、3M KCl水溶液を充填したガラス微小電極を細胞内に刺入することで膜貫通電位記録(サンプリンググレード)を取得し、静止膜電位が-80~-60mVになる標本を試験に用いた。最終濃度が0.3μMになるように0.3mMのテルティアピンの水溶液を添加し、異常興奮(自発的な活動電位)を誘発した。安定した活動電位が得られることを確認した後、DMSOに溶解した被験物質を実験槽内に添加(DMSOの最終濃度が0.1%になるように調整)し、30分以内に異常興奮の発生が停止するかを調べた。
被験物質としては、Late INa阻害剤(化合物2及び化合物3)及びIKur阻害剤(化合物4及び化合物7)を単独で、若しくは組み合わせて使用した。被験物質を単独で用いた結果を表3に、組み合わせて被験物質を用いた結果を表4に示した。なお、表3及び表4中、停止率は、前記異常興奮の停止率であり、その被験物質を投与して自発的な活動電位の発生が停止したモルモット肺静脈標本数を、その被験物質を投与したモルモット肺静脈標本数で除した数を意味する。また、化合物4は、83%eeのものを用いた。
Figure 2022075646000008

Figure 2022075646000009
表3に示す通り、Late INa阻害剤である化合物2及び化合物3、及びIKur阻害剤である化合物4及び化合物7をそれぞれ単独で使用した場合の異常興奮の停止率は2/6以下であった。一方、Late INa阻害剤とIKur阻害剤を組み合わせて使用した場合の停止率は5/6以上であり、表4に示されるLate INa阻害剤とIKur阻害剤との組み合わせは、それぞれの単独の場合の停止率の和に比し、より顕著な停止率を示した。
評価例4 イヌ心房細動モデルにおける心房有効不応期延長作用及び心房細動惹起抑制作用
(イヌ高頻度ペーシングモデルの作成)
ビーグルイヌ(生後約1年、体重8~13kg、雄、北山ラベス株式会社)にチオペンタール(田辺三菱製薬株式会社)15~25mg/kgを静脈注射で投与による導入麻酔を施した後、ヒーター機能付き手術台に保定した。気管に気管チューブを挿管し、気管チューブを人工呼吸器(SN-480-4/株式会社シナノ製作所、PRO-45Va/アコマ医科工業株式会社)と接続した。容量200mL、呼吸回数20回/分で空気を供給して前記イヌを人工呼吸させた。維持麻酔としてイソフルラン(マイラン製薬株式会社)麻酔、約1.5%(キャリアーガスは空気)を用いた。左側臥位に寝かせ、バリカンで右胸部周辺の剃毛を行い、0.1%オスバン液(日本製薬株式会社)に浸したガーゼで消毒した。第5肋間から電気メス(アコマ医科工業株式会社)を用いて開胸し、心臓を露出させ、右心房心耳に刺激用電極(株式会社フィジオテック)、右心房自由壁に電気記録用電極(株式会社フィジオテック)を縫い付けて固定し、閉胸した。術部にイソジンゲル(明治製菓ファルマ株式会社)を塗布し、ストレプトマイシン硫酸塩注射用0.5g/body(明治製菓ファルマ株式会社)及びビクシリン注射用0.5g/body(明治製菓ファルマ株式会社)を筋注投与した。麻酔からの回復を確認した後にケージに戻した。5日間以上の回復期間の後、右心房心耳に取り付けた刺激用電極を体外式ペースメーカー(SEP-101/スターメディカル株式会社、EV4543/大正医科器械株式会社)に接続し、出力約12V、パルスレート約400bpmにて右房高頻度ペーシングを3週間以上実施した。右房高頻度ペーシング開始3週目以降に心房有効不応期測定及び心房細動の誘発を行った。
(心房有効不応期の測定と心房細動の誘発)
心房電位は電位記録用電極から生体電気用アンプ(AB621G/日本光電工業株式会社)を介して心電記録を測定した。心房の有効不応期はカーディアックスティムレータ(SEC-3102/日本光電工業株式会社)を用いて測定した。心房の閾値電圧を測定し、閾値電圧の2倍の電圧を刺激電圧に設定した。なお、閾値電圧が5V以上であった場合には、刺激電圧は9.9Vとした。心房有効不応期は基本周期長300ミリ秒の条件で測定した。前記基本刺激(S1)を10回行った後、同じ刺激電圧で早期期外刺激(S2)を加え、S2に対する興奮電位を確認した。基本刺激と早期期外刺激の連結期(S1-S2)を2ミリ秒間隔で短縮していき、興奮電位が2回連続で消失した時の連結期を心房有効不応期とした。
心房細動の誘発操作は、電気刺激装置(SEN-3301/日本光電工業株式会社)を用いて、前記閾値電圧の4倍の電圧設定で、刺激間隔50ミリ秒、約5秒間の刺激を、右心房心耳に取り付けた刺激用電極を介して加えることで行った。前記心房細動の誘発操作を10回実施し、心房細動及び心房粗動の惹起回数を測定した。データ解析では、心房細動と心房粗動を区別せず、心房細動と心房粗動の惹起回数を合計した値(心房細動及び心房粗動の合計惹起回数)を用いた。心房細動及び心房粗動の惹起の定義は以下の通りとした。
心房細動の惹起の定義:不規則的な心房電位の小波が、前記心房細動の誘発操作の後、1秒を超えて出現した状態
心房粗動の惹起の定義:規則的な心房電位の小波が、前記心房細動の誘発操作の後、1秒を超えて出現した状態
右房高頻度ペーシング開始3週目以降に心房有効不応期の測定及び心房細動の誘発操作を行った。10回の心房細動誘発操作の内、心房細動及び心房粗動の合計惹起回数が8回以上であった個体を試験に用いた。シリンジポンプ(TE-331/テルモ株式会社製)を用いて、溶媒(PEG400[ポリエチレングリコール400]:エタノール:生理食塩水=1:2:1で混合した投与液)を大腿静脈から15分間持続投与(2.4 mL/kg/hr)し、溶媒投与による心房有効不応期及び心房細動の誘発に対する影響を検討した。溶媒投与により、心房細動及び心房粗動の合計惹起回数が10回中7回以下に減少した個体は、被験物質の評価に使用しなかった。心房細動及び心房粗動の合計惹起回数が10回中8回以上の個体に対して、溶媒投与終了約30分後より被験物質を大腿静脈から15分間持続投与(2.4 mL/kg/hr)した。投与終了後、大腿動脈より血漿中化合物濃度測定用に採血を実施した。その後、心房有効不応期及び、心房細動及び心房粗動の惹起回数を測定した。漸増投与する場合は、被験物質の投与終了約30分後より、同様の操作(被験物質の持続投与~心房有効不応期及び、心房細動及び心房粗動の惹起回数の測定)を最大3回繰り返した。同じ投与量で該被験物質を再び投与する場合、2種の被験物質を併用で用いた評価においてその一方の濃度を変更して投与する場合も同様である。
測定終了後、再度右房高頻度ペーシングを行い、3日以上の休薬期間後に異なる被験物質を評価した。なお、被験物質の評価は1個体あたり最大4種類までとした。
被験物質による心房有効不応期延長作用及び心房細動の惹起抑制作用は、以下の式により算出した。
心房有効不応期延長作用(%)=(被験物質投与後の心房有効不応期の測定値/溶媒投与後の心房有効不応期の測定値)×100-100
心房細動の惹起抑制作用(%)=100-(被験物質投与後の心房細動及び心房粗動の合計惹起回数/溶媒投与後の心房細動及び心房粗動の合計惹起回数)×100
化合物2(0.3mg/kg、1mg/kg及び3mg/kg)を個体1及び個体3に対して、化合物2(1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg)を個体2に対して漸増投与し、心房有効不応期、心房細動誘発への影響を検討した。結果を表5に示した。心房有効不応期延長作用(平均値)は、1mg/kg投与で、10%であり、心房細動の惹起抑制作用(平均値)は、1mg/kg投与で23%であった。
Figure 2022075646000010
化合物3(0.3mg/kg)を個体1及び2に対して2回投与し、心房有効不応期、心房細動誘発への影響を検討した。結果を表6に示した。0.3mg/kg(2回目)では、心房有効不応期延長作用(平均値)は、21%であり、心房細動の惹起抑制作用(平均値)は、0.3mg/kg(2回目)で21%であった。
Figure 2022075646000011
化合物4(3mg/kg、10mg/kg及び30mg/kg)を個体1及び2に対して漸増投与し、心房有効不応期、心房細動誘発への影響を検討した。結果を表7に示した。心房有効不応期延長作用(平均値)は、10mg/kg投与で29%であり、30mg/kg投与で、33%であった。心房細動の惹起抑制作用(平均値)は、10mg/kg投与で5%であり、30mg/kg投与で10%であった。なお、化合物4は、61%eeのものを用いた。
Figure 2022075646000012
化合物7(3mg/kg、10mg/kg及び30mg/kg)を個体1及び2に対して漸増投与し、心房有効不応期及び心房細動誘発への影響を検討した。結果を表8に示した。心房有効不応期延長作用(平均値)は、10mg/kg投与で27%であり、心房細動の惹起抑制作用(平均値)は、10mg/kg投与で10%であった。
Figure 2022075646000013
化合物2(1mg/kg)と化合物4(10mg/kg)との併用を投与終了後約30分後に化合物2(1mg/kg)と化合物4(30mg/kg)との併用を投与し、心房有効不応期、心房細動誘発への影響を検討した。結果を表9に示した。なお、化合物4は、61%eeのものを用いた。
化合物2(1mg/kg)と化合物4(30mg/kg)との併用投与において、心房有効不応期延長作用は42%であった。化合物2(1mg/kg)及び化合物4(30mg/kg)をそれぞれ単独で投与した場合の心房有効不応期延長作用は、それぞれ10%、33%であり、化合物2と化合物4との併用は、それぞれの単独投与の和と同等の心房有効不応期延長作用を示した。
化合物2(1mg/kg)と化合物4(30mg/kg)との併用投与において、心房細動の惹起抑制作用は90%であった。化合物2(1mg/kg)及び化合物4(30mg/kg)を単独で投与した場合の心房細動等の惹起抑制作用は、それぞれ23%、10%であり、化合物2と化合物4との併用は、それぞれの単独投与の和に比し、より顕著な心房細動の惹起抑制作用を示した。
Figure 2022075646000014
化合物2(1mg/kg)と化合物7(3mg/kg)との併用を投与終了後約30分後に化合物2(1mg/kg)と化合物7(10mg/kg)との併用を投与し、心房有効不応期、心房細動誘発への影響を検討した。結果を表10に示した。化合物2(1mg/kg)と化合物7(10mg/kg)との併用投与においての心房有効不応期延長作用は46%であった。化合物2(1mg/kg)及び化合物7(10mg/kg)をそれぞれ単独で投与した場合の心房有効不応期延長作用は、それぞれ10%、27%であり、化合物2と化合物4との併用は、それぞれの単独での投与の和と同等以上の心房有効不応期延長作用を示した。
化合物2(1mg/kg)と化合物7(10mg/kg)との併用投与において、心房細動の惹起抑制作用は100%であった。化合物2(1mg/kg)及び化合物7(10mg/kg)をそれぞれ単独で投与した場合の心房細動の惹起抑制作用は、それぞれ23%、10%であり、化合物2と化合物7との併用は、それぞれの単独投与に比し、より顕著な心房細動の惹起抑制作用を示した。
Figure 2022075646000015
化合物3(0.3mg/kg)と化合物4(3mg/kg)との併用を投与終了後約30分後に化合物3(0.3mg/kg)と化合物4(10mg/kg)との併用を投与し、心房有効不応期、心房細動誘発への影響を検討した。結果を表11に示した。なお、化合物4は、61%eeのものを用いた。化合物3(0.3mg/kg)と化合物4(10mg/kg)との併用投与において、心房有効不応期延長作用は、49%であった。化合物3(0.3mg/kg)及び化合物4(10mg/kg)をそれぞれ単独で投与した場合の心房有効不応期延長作用は、それぞれ21%、29%であり、化合物3と化合物4の併用は、それぞれの単独投与の和と同等の心房有効不応期延長作用を示した。
化合物3(0.3mg/kg)と化合物4(10mg/kg)との併用投与において、心房細動惹起抑制作用は47%であった。化合物3(0.3mg/kg)及び化合物4(10mg/kg)による心房細動の惹起抑制作用は、それぞれ21%、5%であり、化合物3と化合物4との併用は、それぞれの単独投与の和に比し、より顕著な心房細動の惹起抑制作用を示した。
Figure 2022075646000016
化合物3(0.3mg/kg)と化合物7(3mg/kg)との併用を投与終了後約30分後に化合物3(0.3mg/kg)と化合物7(10mg/kg)との併用を投与し、心房有効不応期、心房細動誘発への影響を検討した。結果を表12に示した。化合物3(0.3mg/kg)と化合物7(10mg/kg)の併用投与において、心房有効不応期延長作用は、58%であった。化合物3(0.3mg/kg)及び化合物7(10mg/kg)をそれぞれ単独で投与した場合の心房有効不応期延長作用は、それぞれ21%、27%であり、化合物3と化合物7との併用は、それぞれの単独投与の和と同等以上の心房有効不応期延長作用を示した。
化合物3(0.3mg/kg)と化合物7(10mg/kg)との併用投与において、心房細動惹起抑制作用は、38%であった。化合物3(0.3mg/kg)及び化合物7(10mg/kg)をそれぞれ単独で投与した場合の心房細動の惹起抑制作用は、それぞれ21%、10%であり、化合物3と化合物7との併用は、それぞれの単独投与の和に比し、より顕著な心房細動の惹起抑制作用を示した。
Figure 2022075646000017
いずれの組み合わせも、単独で投与した場合よりも優れた、心房有効不応期延長作用及び心房細動惹起抑制作用を示した。前記心房有効不応期延長作用及び心房細動惹起抑制作用は、単独で投与した場合の和と同等以上であった。いずれの組み合わせも、特に心房細動の惹起抑制作用において、単独で投与した場合の和よりも顕著に優れた効果を示した。
製剤例1
以下の成分を含有する顆粒剤を製造する。
成分 IKur阻害剤及び/又はLate INa阻害剤 10mg
乳糖 700mg
コーンスターチ 274mg
HPC-L 16mg
―――――――――――――――――――――――――――――――
計 1000mg
IKur阻害剤及び/又はLate INa阻害剤と乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらをV型混合機にて混合する。混合末に低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)水溶液を添加し、練合、造粒(押し出し造粒 孔径0.5~1mm)した後、乾燥する。得られた乾燥顆粒を振動ふるい(12/60メッシュ)で篩過し顆粒剤を得る。
製剤例2
以下の成分を含有するカプセル充填用散剤を製造する。
成分 IKur阻害剤及び/又はLate INa阻害剤 10mg
乳糖 79mg
コーンスターチ 10mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
―――――――――――――――――――――――――――――――
計 100mg
IKur阻害剤及び/又はLate INa阻害剤と乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらとステアリン酸マグネシウムをV型混合機にて混合する。10倍散100mgを5号硬ゼラチンカプセルに充填する。
製剤例3
以下の成分を含有するカプセル充填用顆粒剤を製造する。
成分 IKur阻害剤及び/又はLate INa阻害剤 15mg
乳糖 90mg
コーンスターチ 42mg
HPC-L 3mg
―――――――――――――――――――――――――――――――
計 150mg
IKur阻害剤及び/又はLate INa阻害剤と乳糖を60メッシュのふるいに通す。コーンスターチを120メッシュのふるいに通す。これらをV型混合機にて混合する。混合末に低粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L)水溶液を添加し、練合、造粒した後、乾燥する。得られた乾燥顆粒を振動ふるい(12/60メッシュ)で篩過し整粒し、その150mgを4号硬ゼラチンカプセルに充填する。
製剤例4
以下の成分を含有する錠剤を製造する。
成分 IKur阻害剤及び/又はLate INa阻害剤 10mg
乳糖 90mg
微結晶セルロース 30mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
CMC-Na 15mg
―――――――――――――――――――――――――――――――
計 150mg
IKur阻害剤及び/又はLate INa阻害剤と乳糖と微結晶セルロース、CMC-Na(カルボキシメチルセルロース ナトリウム塩)を60メッシュのふるいに通し、混合する。混合末にステアリン酸マグネシウムを添加し、製剤用混合末を得る。本混合末を直打し150mgの錠剤を得る。
製剤例5
静脈用製剤は次のように製造する。
IKur阻害剤及び/又はLate INa阻害剤 100mg
飽和脂肪酸グリセリド 1000mL
上記成分の溶液は通常、1分間に1mLの速度で患者に静脈内投与される。
日本国特許出願2016-221761号(出願日:2016年11月14日)の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。
本発明の医薬は、心房細動などの上室性不整脈の予防及び/又は治療に非常に有用である。IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを組み合わせてなる本発明の医薬は、IKur阻害剤とLate INa阻害剤をそれぞれ単独で使用する場合と同等以上の心房有効不応期延長作用を示し、また、IKur阻害剤とLate INa阻害剤をそれぞれ単独で使用する場合の和に比べ、肺静脈を起源とする異常興奮をより顕著に停止させ、より顕著な心房細動等の惹起抑制作用を示す。本発明の医薬は、より低用量で、肺静脈を起源とする異常興奮を停止させる効果及び心房細動等の惹起抑制作用を示すことから心内あるいは心外の副作用を低減することができる。

Claims (19)

  1. IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを組み合わせてなる医薬。
  2. 前記IKur阻害剤は、IKurを50%抑制する濃度(IC50)が10μM未満である化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグもしくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1に記載の医薬。
  3. 前記Late INa阻害剤は、Late INaを50%抑制する濃度(IC50)が10μM未満である化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグもしくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1又は請求項2に記載の医薬。
  4. IKur阻害剤が、(S)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミド、(R)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミド及び5-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]キナゾリン-2-イル}ピリジン-3-スルホンアミドからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグもしくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の医薬。
  5. Late INa阻害剤が、4-(ピリミジン-2-イルメチル)-7-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オン及び6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグもしくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の医薬。
  6. IKur阻害剤が、(S)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミドである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の医薬。
  7. IKur阻害剤が、(R)-N-(2-ヒドロキシエチル)-1-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]チエノ[2,3-d]ピリミジン-2-イル}ピペリジン-3-カルボキサミドである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の医薬。
  8. IKur阻害剤が、5-{5-フェニル-4-[(ピリジン-2-イルメチル)アミノ]キナゾリン-2-イル}ピリジン-3-スルホンアミドである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の医薬。
  9. Late INa阻害剤が、4-(ピリミジン-2-イルメチル)-7-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3,4-ジヒドロベンゾ[f][1,4]オキサゼピン-5(2H)-オンである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の医薬。
  10. Late INa阻害剤が、6-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-3-(トリフルオロメチル)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジンである化合物、該化合物の互変異性体、プロドラッグ若しくはその医薬的に許容され得る塩又はそれらの溶媒和物である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の医薬。
  11. 上室性不整脈の治療及び/又は予防、上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防に対して使用される、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の医薬。
  12. 心房細動の治療及び/又は予防に対して使用される、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の医薬。
  13. 配合剤である、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の医薬。
  14. 同時に、分離して又は続けて投与される、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の医薬。
  15. IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを含む医薬組成物。
  16. IKur阻害剤とLate INa阻害剤とを、同時に、続けて又は分離して哺乳動物に投与することを含む、上室性不整脈を治療及び/又は予防し、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症を予防する方法。
  17. IKur阻害剤を含む第1の医薬組成物及びLate INa阻害剤を含む第2の医薬組成物を、パッケージ内に含有する、上室性不整脈の治療及び/又は予防、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防のためのキット。
  18. IKur阻害剤を含む医薬組成物及び、該医薬組成物をLate INa阻害剤と組み合わせて、上室性不整脈の治療及び/又は予防、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防に使用することができる又は使用すべきであることを記載した該医薬組成物に関する記載物を含む、商業パッケージ。
  19. Late INa阻害剤を含む医薬組成物及び、該医薬組成物をIKur阻害剤と組み合わせて、上室性不整脈の治療及び/又は予防、又は上室性不整脈により引き起こされる血栓症の予防に使用することができる又は使用すべきであることを記載した該医薬組成物に関する記載物を含む、商業パッケージ。
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