JP2022075306A - ソフトカプセルの製造方法及びソフトカプセル - Google Patents

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利恭 山中
Toshitaka Yamanaka
康博 柳瀬
Yasuhiro Yanase
渉 須原
Wataru Suhara
かおる 井辰
Kaoru Itatsu
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Abstract

Figure 2022075306000001
【課題】水溶性のゼラチン製ソフトカプセル皮膜に、水溶性の内容物が液体状態で充填されているにも関わらず、内容物の漏出が抑制されているソフトカプセルの製造方法を提供する。
【解決手段】ゼラチンを皮膜基剤とするソフトカプセル皮膜に充填する内容物において、摂取目的成分を保持する媒体として、還元水飴の水溶液を液体状態のまま使用する。還元水飴として、糖アルコール組成における四糖以上の糖アルコールの割合が2%以上43%以下で、且つ、単糖アルコールの割合が1%以上50%以下のものを使用する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ソフトカプセルの製造方法、及び、該製造方法によって製造されるソフトカプセルに関するものである。
ゼラチンは、優れたフィルム形成能と、常温に近い温度変化により可逆的にゾル・ゲル変化する性質(ゲル化能)とを兼ね備えた特異な物質である。そのため、ロータリーダイ式成形装置で製造される過程で、フィルムをヒートシールさせることが必要なソフトカプセルの皮膜基剤として、ゼラチンが多用されている。
ゼラチンは水溶性であるため、カプセル皮膜がゼラチン製であるソフトカプセルには、非水溶性の内容物が充填されている。非水溶性の内容物は、油溶性の目的物質が溶媒としての油脂に溶解されている場合、難油溶性の目的物質が分散媒としての油脂に懸濁されている場合、及び、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)等のように、カプセルに充填しようとする目的物質自体が油状である場合に大別される。何れの場合も、従来のソフトカプセルの内容物は“油状の液体”であると言うことができる。
一方、ソフトカプセルでは、ソフトカプセル皮膜から内容物が漏出することがあり、問題視されていた。この問題を解決することを目的として、本発明者らは過去に、糖または糖アルコールを含有する水溶液を内容物としてソフトカプセル皮膜に充填し、その後に糖または糖アルコールを過飽和とするソフトカプセルの製造方法を提案している(特許文献1参照)。
この製造方法では、ソフトカプセル皮膜に充填する時点では内容物は液体であるが、その後に糖または糖アルコールを過飽和とすることにより、糖または糖アルコールを析出させる。糖または糖アルコールが析出する際、他の成分が取り込まれることにより、ソフトカプセルの内容物全体を固体状態とすることができる。換言すれば、糖または糖アルコールを含有する内容物が、固体状態でソフトカプセル皮膜に充填されているソフトカプセルを得ることができる。このように内容物が固体状態であるソフトカプセルは、仮にソフトカプセル皮膜が損傷したとしても、内容物が漏出しにくい。
加えて、従前は、水溶性であるゼラチン製のソフトカプセル皮膜に、内容物として水溶液を充填することが困難であったところ、糖または糖アルコールを析出させる特許文献1の技術では水溶液を内容物とすることができるため、水溶液やこれに可溶な水溶性成分を、ソフトカプセルの摂取目的成分とすることができる。
このように、水溶性であるゼラチン製のカプセル皮膜に、水溶液を内容物として充填できることは、ソフトカプセルの内容物を多様化できる点で、非常に大きな利点である。そこで、本発明者らは更に、特許文献1の技術とは異なる手段で同様の作用効果を得ることを目的として、水溶液である内容物をソフトカプセル皮膜に充填した後、内容物をゲル化させるソフトカプセルの製造方法を提案している(特許文献2参照)。
この製造方法は、多価金属イオンの水溶性塩、及びゼラチンを含有する水溶性のソフトカプセル皮膜に、低メトキシルペクチンを含有する水溶液を内容物として充填し、ソフトカプセル皮膜から内容物中に溶出した多価金属イオンとの反応により低メトキシルペクチンをゲル化させることにより、内容物を固化するものであり、多価金属イオンの水溶性塩として乳酸カルシウムまたは酢酸カルシウムを使用している。
特許文献1及び特許文献2の製造方法により得られるソフトカプセルでは、ソフトカプセル皮膜に充填する時点では液体であった内容物が、充填後に固化することにより、内容物の漏出が防止されている。また、内容物がもとは水溶液であるにも関わらず、内容物を充填後に固化することにより、水溶性であるソフトカプセル皮膜に充填されているソフトカプセルを製造することができる。
しかしながら、内容物が固化しているソフトカプセルは、内容物が液体である従来のソフトカプセルと風合いや感触が異なる。つまり、従来のソフトカプセルは、押すと少し変形するが力を除くと戻るような柔軟性・弾力性を有しており、このような“ソフトカプセルらしい”風合いや感触を好むユーザも存在する。また、ソフトカプセル皮膜が有する柔軟性・弾力性は、ソフトカプセルに応力が作用したときや、ソフトカプセルが置かれた環境の温度変化に伴い内容物の体積変化が生じたときに、ソフトカプセル皮膜の破れや割れを防ぐためにも重要であるが、内容物が固化した状態であると、このようなソフトカプセル皮膜の柔軟性・弾力性が十分には発揮されないという事情がある。
そのため、内容物の漏出が抑制されていると共に、水溶性のゼラチン製ソフトカプセル皮膜に水溶性の内容物が液体状態で充填されているソフトカプセルについての要請はあったが、従来の当業者は常識的に不可能であると考えていた。
特許第5901998号公報 特許第6328009号公報
本発明は、上記のように、当業者の常識に反して、水溶性のゼラチン製ソフトカプセル皮膜に、水溶性の内容物が液体状態で充填されているにも関わらず、内容物の漏出が抑制されているソフトカプセルの製造方法、及び、該製造方法によって製造されるソフトカプセルの提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかるソフトカプセルの製造方法(以下、単に「製造方法」と称することがある)は、
「ゼラチンを皮膜基剤とするソフトカプセル皮膜に、内容物を充填するソフトカプセルの製造方法であって、
前記内容物において、摂取目的成分を保持する媒体として還元水飴の水溶液を液体状態のまま使用しており、
前記還元水飴の糖アルコール組成において、
四糖以上の糖アルコールの割合は2%以上43%以下であると共に、
単糖アルコールの割合は1%以上50%以下である」ものである。
本製造方法により、詳細は後述するように、ソフトカプセル皮膜に充填性良く内容物を充填してソフトカプセルを成形できると共に、水溶性のゼラチン製ソフトカプセル皮膜に水溶液である内容物が液体状態のまま充填されているにも関わらず、内容物の漏出が抑制されているという、従来の当業者の常識に反したソフトカプセルを製造することができる。
ここで、「水飴」は、デンプンを酸または酵素で加水分解したものであり、「還元水飴」は、水飴に水素添加することにより製造されるものであって、糖化度の異なる糖アルコールの混合物である。なお、糖または糖アルコールを含有する内容物をソフトカプセル皮膜に充填した後で固化させている特許文献1の製造方法とは異なり、本製造方法で製造されるソフトカプセルにおいては、内容物は液体状態のままである。
次に、本発明にかかるソフトカプセルは、
「ゼラチン製ソフトカプセル皮膜に内容物が充填されたソフトカプセルであって、
前記内容物において、摂取目的成分を保持している媒体は還元水飴の水溶液であり、
前記還元水飴の糖アルコール組成において、
四糖以上の糖アルコールの割合は2%以上43%以下であると共に、
単糖アルコールの割合は1%以上50%以下である」ものである。
これは、上記の製造方法により製造されるソフトカプセルの構成である。「ゼラチン製ソフトカプセル皮膜」は、ゼラチンを皮膜基剤として成形されたゼラチンを主要成分とするソフトカプセル皮膜を指し、可塑剤の添加量を考慮するとゼラチン製ソフトカプセル皮膜におけるゼラチンの割合は55質量%~80質量%である。本構成のソフトカプセルは、水溶性のゼラチン製ソフトカプセル皮膜に、水溶液である内容物が液体状態のまま充填されているにも関わらず、内容物の漏出(ソフトカプセル皮膜からの液漏れ)が抑制されている。
本発明にかかるソフトカプセルは、上記構成において、
「前記還元水飴の糖アルコール組成において、単糖アルコールの割合は25%以下である」ものとすることができる。
本構成とすることにより、内容物の漏出が抑制されていると共に、ソフトカプセル皮膜における凹みの発生が抑制されている外観のよいソフトカプセルを、得ることができる。
以上のように、本発明によれば、当業者の常識に反して、水溶性のゼラチン製ソフトカプセル皮膜に、水溶性の内容物が液体状態で充填されているにも関わらず、内容物の漏出が抑制されているソフトカプセルの製造方法、及び、該製造方法によって製造されるソフトカプセルを、提供することができる。
充填性の良好な試料と充填性の不良な試料について、粘度を対比したグラフである。 充填性の良好な試料と充填性の不良な試料について、糖アルコール組成を対比したグラフである。 液漏れが発生しなかった試料と液漏れが発生した試料について、糖アルコール組成を対比したグラフである。 凹みが発生しなかった試料と凹みが発生した試料について、糖アルコール組成を対比したグラフである。 各試料について、内容物の粘度と糖アルコール組成、及び、充填性・液漏れの発生の有無・凹みの発生の有無の評価結果をまとめた表である。 充填性の良好な試料と充填性の不良な試料とを分けて糖アルコール組成をまとめた表である。 充填性の良好な試料について、液漏れが発生しなかった試料と液漏れが発生した試料とを分けて糖アルコール組成をまとめた表である。 充填性が良好で、且つ、液漏れが発生しなかった試料について、凹みが発生しなかった試料と凹みが発生した試料とを分けて糖アルコール組成をまとめた表である。
以下、本発明の一実施形態であるソフトカプセルの製造方法、及び、この製造方法によって製造されるソフトカプセルについて説明する。
ソフトカプセルの製造方法は、ゼラチンを皮膜基剤とするソフトカプセル皮膜に、内容物を充填するソフトカプセルの製造方法であって、内容物において、摂取目的成分を保持する媒体として還元水飴の水溶液を液体状態のまま使用するものである。
還元水飴は、その糖アルコール組成において、四糖以上の糖アルコールの割合が2%以上43%以下であり、且つ、単糖アルコールの割合が1%以上50%以下のものである。また、還元水飴の糖アルコール組成における単糖アルコールの割合は、1%以上25%以下であれば、より望ましい。
ソフトカプセルの製造方法は、ソフトカプセル皮膜の皮膜原液を調製する皮膜原液調製工程と、ソフトカプセル皮膜の成形と同時にソフトカプセル皮膜内に内容物を充填し封
入する成形・充填工程と、成形・充填工程後のソフトカプセルを乾燥させる乾燥工程と、を備えている。
皮膜原液調製工程では、皮膜基剤であるゼラチンを加熱しながら水に溶解し、可塑剤を添加し、撹拌・混合して皮膜原液を調製する。
成形・充填工程は、ロータリーダイ式成形装置を使用して行われる。ロータリーダイ式成形装置は、一般的に、皮膜原液をフィルム状に成形するキャスティングドラムと、外表面に成形鋳型が形成された一対のダイロールと、ダイロール間に配された内容物充填用のくさび状セグメントと、セグメント内に内容物を圧入すると共にセグメントの先端から内容物を押し出すポンプとを主に具備している。
そして、成形・充填工程では、まず、皮膜原液が、キャスティングドラム表面に流延され、ゲル化することによりシート化される。次に、形成されたシートの二枚が、セグメントに沿って一対のダイロール間に送入される。そして、一対のダイロールの相反する方向への回転に伴い、二枚のシートがヒートシールされて上方に開放した容器状のカプセルが形成されると、この中にセグメントから押し出された内容物が充填される。これと同時に、二枚のシートが上部でヒートシールされ、閉じた内部空間に内容物が充填されたソフトカプセルが形成される。つまり、皮膜原液がフィルム化されヒートシールされることにより、内部に閉じた空間を有するソフトカプセル皮膜が製造されるのと同時に、ソフトカプセル皮膜に内容物が充填されたソフトカプセルが製造される。
ここで、内容物は、上記条件を満たす還元水飴を、摂取目的成分を溶解または分散させる媒体として使用したものである。摂取目的成分としては、医薬成分、生薬成分、健康食品成分、栄養補助成分を、特に限定なく使用することができるが、本製造方法の利点を生かすためには、水溶性または親水性の成分が好適である。
乾燥工程では、ソフトカプセル皮膜が所定の水分含有率となるまで、調湿乾燥機内で乾燥させる。
次に、本実施形態のソフトカプセルの内容物とする還元水飴を、上記条件を満たす糖アルコール組成とした根拠について、説明する。実際に、複数種類の糖アルコールを内容物として、上述した工程により、ゼラチン製ソフトカプセル皮膜に内容物が充填されたソフトカプセルの試料S1~S20を作製した。ソフトカプセル皮膜はオーバル型5番で成形し、それぞれ300mgの内容物を充填した。
試料S1~S20の内容物には、それぞれ次の糖アルコールを使用した。いずれの糖アルコールも、常温で液体であり、固形分の濃度が70質量%である水溶液である。また、試料S1の内容物は単糖アルコールであり、試料S2~S20の内容物は還元水飴である。各試料の内容物における糖アルコール組成を表にまとめ、図5に示す。糖アルコール組成は固形分における割合であり、「四糖以上」は四糖アルコールの割合と五糖アルコールの割合の和である。
<内容物>
S1:ソルビトール100%
S2:物産フードサイエンス株式会社製、製品名:エスイー600
S3:物産フードサイエンス株式会社製、製品名:エスイー500
S4:物産フードサイエンス株式会社製、製品名:エスイー20
S5:物産フードサイエンス株式会社製、製品名:エスイー57
S6:物産フードサイエンス株式会社製、製品名:エスイー30
S7:物産フードサイエンス株式会社製、製品名:エスイー100
S8:物産フードサイエンス株式会社製、製品名:スイートOL
S9:物産フードサイエンス株式会社製、製品名:スイートNT
S10:物産フードサイエンス株式会社製、製品名:スイートG2
S11:三菱ケミカルフーズ株式会社製、製品名:オリゴトースH-70
S12:松谷化学株式会社製、製品名:HL-PDX
S13:三菱商事フードテック株式会社製、製品名:PO20
S14:三菱商事フードテック株式会社製、製品名:PO30
S15:三菱商事フードテック株式会社製、製品名:PO40
S16:三菱商事フードテック株式会社製、製品名:PO60
S17:三菱商事フードテック株式会社製、製品名:PO500
S18:三菱商事フードテック株式会社製、製品名:PO300
S19:三菱商事フードテック株式会社製、製品名:アマミール
S20:三菱商事フードテック株式会社製、製品名:アマルティシロップ
試料S1~S2それぞれについて、次の方法で、粘度を測定すると共に、充填性、液漏れ(液体の内容物の漏出)の発生の有無、凹みの発生の有無を評価した。
<粘度>
B型粘度計を使用し(No.4ローター,回転速度60rpm)、常温(25℃)にて、皮膜原液の粘度を測定した。測定結果を、図5の表に合わせて示す。
<充填性>
ロータリー式成形装置を使用した成形・充填工程において、二枚のシートがヒートシールされて成形された、上方に開放した容器状のソフトカプセル皮膜の内部に、くさび状セグメントから内容物を押し出して問題なく充填できた場合を、充填性が良好であると評価し、充填に不具合があった場合(くさび状セグメントから押し出せない、上方に開放した容器状のソフトカプセル皮膜の内部にスムーズに充填できない等)を、充填性が不良であると評価した。評価結果を、図5の表に合わせて示す。表中、充填性が良好である場合を「○」で、充填性が不良である場合を「×」で示している。
<液漏れの発生の有無>
充填性が良好であった試料について、成形・充填工程を経たソフトカプセルを所定期間保存したのち、ソフトカプセル皮膜への液状の内容物の経時的な透過の有無を、目視により確認した。成形・充填工程を経たソフトカプセルの保存は、ガラス瓶に密閉した状態で、温度40℃、相対湿度75%の環境下での2カ月の保存とした(加速試験)。加速試験における2カ月の保存は、常温における1年の保存に相当する。100個のソフトカプセルの全数に液漏れが観察されなかった場合を、液漏れ無し(良品)と評価し、100個のソフトカプセルのうち1個でも液漏れが観察された場合は、液漏れ有り(不良)と評価した。評価結果を、図5の表に合わせて示す。表中、液漏れ無し(良品)の場合を「○」で、液漏れ有り(不良)の場合を「×」で示している。
<凹みの発生の有無>
成形・充填工程を経たソフトカプセルを、上記と同様の条件で保管したのち、ソフトカプセル皮膜の表面に凹みが生じているか否かを、目視により確認した。100個のソフトカプセルの全数に凹みが観察されなかった場合を、凹み無しと評価し、100個のソフトカプセルのうち1個でも凹みが観察された場合は、凹み有りと評価した。評価結果を、図5の表に合わせて示す。表中、凹み無しの場合を「○」で、凹み有りの場合を「×」で示している。
試料S1~S20を使用して行った評価結果について、まず、充填性を検討する。各試料について粘度をプロットしたグラフを、図1に示す。図1では、充填性が良好であった試料に関するデータを左側に、充填性が不良であった試料に関するデータを右側に示している。この図から明らかに、粘度が充填性に影響しており、粘度が高いと充填性が不良となること分かる。充填性が良好であった試料のうち、最も粘度が高かったのは試料S11であり、粘度は540mPa・Sであった。このことから、少なくとも粘度が540mPa・S以下であれば、充填性が良好であると言うことができる。
充填性が良好であった試料の糖アルコール組成のグラフを図2(a)に、充填性が不良であった試料の糖アルコール組成のグラフを図2(b)に示す。糖アルコール組成のグラフでは、組成値に数値範囲がある場合は平均値を使用している。
図2(a)と図2(b)とを対比すると、糖アルコール組成における四糖以上の糖アルコールの割合が、充填性に影響を及ぼしていると考えられる。そこで、充填性が良好であった試料と充填性が不良であった試料とを分けて糖アルコール組成を示した表を、図6に示す。図6の表から、単糖アルコール及び三糖アルコールの割合は、充填性が良好であった試料の一部と充填性が不良であった試料の一部で数値範囲が重複しており、二糖アルコールの割合は、充填性が良好であった試料の下限値と充填性が不良であった試料の上限値との差が小さい。これに対し、四糖以上の糖アルコールの割合は、充填性が良好であった試料と充填性が不良であった試料との間の差が大きく、充填性が良好であった試料のうち四糖以上の糖アルコールの割合が最も大きい数値を含む試料S5では43%であり、充填性が不良であった試料のうち四糖以上の糖アルコールの割合が最も小さい数値を含む試料S9では55%であった。
これは、還元水飴において糖アルコールの糖化度が低いほど粘性が高くなる傾向があるため、四糖以上の糖アルコールの割合が高い還元水飴を内容物とする場合は、充填性が悪化するためと考えられた。なお、糖化度が次に低い三糖アルコールの割合を四糖以上の糖アルコールの割合と足し合わせた割合について検討したところ、充填性が良好であった試料のうち最も割合が大きかった試料S5で68%であり、充填性が不良であった試料のうち最も割合が小さい試料S9で68%であり、差異がなかった。このことから、糖アルコール組成のうち、充填性に影響を及ぼしているのは上述したように四糖以上の糖アルコールの割合であると考えられる。充填性が良好であった試料S1~S5,S8,S10,S11,S15~S20を総合すると、四糖以上の糖アルコールを含まないか、含むとしても糖アルコール組成におけるその割合が少なくとも43%以下であれば、良好な充填性を示すと考えられた。
次に、充填性が良好であった試料について、液漏れの発生の有無を検討する。図3に、液漏れが発生しなかった試料と液漏れが発生した試料とに分けて、糖アルコール組成のグラフを示す。充填性が良好であったものの液漏れが発生した試料は、単糖アルコール100%である試料S1のみであった。このことから、液漏れの発生の有無には、単糖アルコールの割合が影響を及ぼしていると考えられる。
これは、単糖アルコールは分子量が小さく、また粘性が低いため、ゼラチン製ソフトカプセル皮膜に浸入し透過しやすいためと考えられた。図5の表に示したように、全試料のうち試料S1が最も粘度が低い値であった。液漏れが発生しなかった試料を液漏れが発生した試料S1と分けて糖アルコール組成を示した表を、図7に示す。液漏れが発生しなかった試料S2~S5,S8,S10,S11,S15~S20を総合すると、糖アルコール組成のうち単糖アルコールの割合が少なくとも1%以上50%以下であれば、液漏れの発生を抑制できると考えられた。
以上をまとめると、試料S2~S5,S8,S10,S11,及びS15~S20は、成形・充填工程において充填性良く内容物をソフトカプセル皮膜に充填することができ、且つ、製造されたソフトカプセルにおいて液漏れが発生しなかった。これらの試料の内容物は、何れも還元水飴である。そして、内容物の充填性が良好で、且つ、液漏れが生じないためには、還元水飴の糖アルコール組成が、少なくとも次の二つの条件(イ)、(ロ)の双方を満たせばよいと考えられた。すなわち、
(イ)還元水飴の糖アルコール組成における四糖以上の糖アルコールの割合は、少なくとも2%以上43%以下である。
(ロ)還元水飴の糖アルコール組成における単糖アルコールの割合は、少なくとも1%以上50%以下である。
ここで、図5の表に示したように、所定の保存期間の経過後、ソフトカプセル皮膜に凹みが生じている試料が存在した。ソフトカプセル皮膜における凹みは、ソフトカプセルの品質には影響を及ぼさないため、凹みが存在したとしても不良品であるとまでは言えないが、ソフトカプセルの外観を重視する場合は、凹みは無い方が望ましい。
そこで、次に、充填性が良好で、且つ、液漏れが発生しなかった試料(何れも内容物は還元水飴)について、凹みの発生の有無を検討する。図4に、凹みが発生した試料と凹みが発生した試料とに分けて、糖アルコール組成のグラフを示す。この図から、糖アルコール組成における単糖アルコールの割合が、凹みの発生に影響を及ぼしていると考えられる。そこで、凹みが発生しなかった試料と凹みが発生し試料とを分けて糖アルコール組成を示した表を、図8に示す。この表から分かるように、二糖アルコール、三糖アルコール、及び四糖以上の糖アルコールいずれの割合も、凹みが発生しなかった試料の一部と凹みが発生した試料の一部で数値範囲が重複している。これに対し、単糖アルコールの割合は、凹みが発生しなかった試料と凹みが発生した試料との間の差が大きく、凹みが発生しなかった試料のうち単糖アルコールの割合が最も大きい数値を含む試料S18では25%であり、凹みが発生した試料のうち単糖アルコールの割合が最も小さい数値を含む試料S3,S9では37%であった。
凹みの発生に、還元水飴の糖アルコール組成における単糖アルコールの割合が影響するのは、単糖アルコールの割合が高いことによりソフトカプセル皮膜への浸透性が増加し、液漏れは発生しない程度にゼラチン製ソフトカプセル皮膜に還元水飴が浸入することにより、ソフトカプセル皮膜の可塑性が増して変形しやすくなること、及び、ソフトカプセル皮膜に浸入した分だけ内容物の体積が減少することが、理由であると考察している。
以上をまとめると、試料S4,S5,S8,S10,S11,S15,S16,S18,及びS20は、成形・充填工程において充填性良く内容物をソフトカプセル皮膜に充填することができ、且つ、製造されたソフトカプセルにおいて液漏れが発生しなかったと共に、凹みの発生もみられなかった。そして、内容物の充填性が良好で、且つ、液漏れが生じない良品のソフトカプセルが製造できることに加え、凹みが発生しない外観のよいソフトカプセルを製造できるためには、還元水飴の糖アルコール組成が、少なくとも次の二つの条件(イ)、(ハ)の双方を満たせばよいと考えられた。すなわち、
(イ)還元水飴の糖アルコール組成における四糖以上の糖アルコールの割合は、少なくとも2%以上43%以下である。
(ハ)還元水飴の糖アルコール組成における単糖アルコールの割合は、少なくとも1%以上25%以下である。
以上のように、条件(イ)及び(ロ)の双方を満たす還元水飴を内容物とすることにより、ソフトカプセル皮膜に充填性良く充填することができると共に、ゼラチン製で水溶性であるソフトカプセル皮膜に、水溶性の内容物が液体状態で充填されているにも関わらず、液漏れが有効に抑制されているソフトカプセルを製造することができる。
更に、条件(イ)及び(ハ)の双方を満たす還元水飴を内容物とすることにより、ソフトカプセル皮膜に充填性良く充填することができると共に、ゼラチン製で水溶性であるソフトカプセル皮膜に、水溶性の内容物が液体状態で充填されているにも関わらず、液漏れが有効に抑制されていることに加え、ソフトカプセル皮膜に凹みが発生しない外観の良いソフトカプセルを製造することができる。
そして、条件(イ)及び(ロ)、または、条件(イ)及び(ハ)を満たす還元水飴は、食品添加物ではなく「食品」として扱われるため、「食品添加物」という表記に抵抗を感じるユーザにも受け容れられやすい、ソフトカプセルを提供することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、ソフトカプセル皮膜には、上記の成分に加えて、着色料や香料など他の添加剤を添加することができる。

Claims (3)

  1. ゼラチンを皮膜基剤とするソフトカプセル皮膜に、内容物を充填するソフトカプセルの製造方法であって、
    前記内容物において、摂取目的成分を保持する媒体として還元水飴の水溶液を液体状態のまま使用しており、
    前記還元水飴の糖アルコール組成において、
    四糖以上の糖アルコールの割合は2%以上43%以下であると共に、
    単糖アルコールの割合は1%以上50%以下である
    ことを特徴とするソフトカプセルの製造方法。
  2. ゼラチン製ソフトカプセル皮膜に内容物が充填されたソフトカプセルであって、
    前記内容物において、摂取目的成分を保持している媒体は還元水飴の水溶液であり、
    前記還元水飴の糖アルコール組成において、
    四糖以上の糖アルコールの割合は2%以上43%以下であると共に、
    単糖アルコールの割合は1%以上50%以下である
    ことを特徴とするソフトカプセル。
  3. 前記還元水飴の糖アルコール組成において、単糖アルコールの割合は25%以下である
    ことを特徴とする請求項2に記載のソフトカプセル。
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