JP2022075128A - マンホールポンプの診断方法及び診断装置 - Google Patents

マンホールポンプの診断方法及び診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない物理量であっても様々な原因による異常診断が的確に行なえ、時間経過に起因する影響を適切に排除することが可能なマンホールポンプの診断方法を提供する。【解決手段】マンホールポンプの診断方法であって、マンホールポンプの特性を示す計測データを時系列的にサンプリングして診断用の特性データを得るサンプリングステップと、サンプリングステップで得られた特性データを所定の統計データに基づいて正規化処理する正規化ステップと、正規化ステップで正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する診断ステップと、を備え、所定の更新条件が成立したときに、直前の所定期間に診断ステップで正常と診断された正規化処理前の特性データに基づいて所定の統計データを更新処理する統計データ更新ステップを備えている。【選択図】図3

Description

本発明は、マンホール内に設置され、起動と停止を繰り返すマンホールポンプの診断方法及び診断装置に関する。
マンホールポンプ設備は、流入管から流入した汚水を貯留する貯水部と、貯水部に貯留された汚水を流出管に排水する複数台のポンプと、貯水部に貯留された汚水の水位を計測する水位計と、水位計で計測された水位がポンプ起動水位に達すると何れかのポンプを起動して汚水を流出管に排水し、水位がポンプ停止水位に達すると当該ポンプを停止する汚水搬送制御を実行する制御装置を備えた制御盤を備えている。
このようなマンホールポンプ設備には、通常2台のポンプが設置され、汚水を搬送する度にそれらのポンプを交互に運転するように制御装置が構成されている。
特許文献1には、ポンプ場における複数のポンプにより排出すべき所定時間毎の積算流入量を各ポンプの所定時間内の運転時間で除した値を各ポンプの平均的排水能力として時系列データで管理する手段と、その時系列データとして管理される各ポンプの平均的排水能力が予め設定されている排水能力範囲を越えたか否かを判定する手段と、複数のポンプ各々の平均的排水能力が設定排水能力範囲を越えたときに警報を発する手段とを備えているポンプ場の監視システムが提案されている。
特許文献2には、水位センサにより検知された貯留水位がポンプ起動水位に達すると電磁開閉器を作動させて水中ポンプを駆動する圧送制御部と、電動機を駆動する電磁開閉器の作動状態と、電磁開閉器を介して電機子巻線に接続される給電線の電流を検知する電流センサの検知状態と、貯留水位に基づいて異常の有無を判定する異常判定部を備え、異常判定部は、電磁開閉器の作動中に電流センサにより電流が検知されず、水位センサにより貯留水位の低下が検知されないと、オートカットが作動している電動機の過熱異常と判定する水中ポンプの制御装置が開示されている。
このようなマンホールポンプ設備に備えた制御装置は、ポンプの駆動電流値、起動水位から停止水位に到るまでのポンプの運転時間、ポンプの温度などの物理量が所定の閾値を超えたか否かにより各ポンプが異常であるか否かを判定していた。そして、想定される異常の種類に適した物理量を計測するために様々なセンサを用いて計測処理を行なう必要があり、非常に煩雑になるという問題があった。
また、異常判断するための閾値もポンプが設置されたマンホールの環境に左右されるため一律に設定することが困難であった。例えば単位時間当たりの入水量が多い地域と少ない地域ではポンプに起動頻度や運転時間に長短の偏りが生じるため、一定の閾値で判断すると正確な判定が困難になるという問題があった。
そこで、特許文献3には、少ない物理量であっても様々な原因による異常診断が的確に行なえる機械設備の診断方法が提案されている。
当該機械設備の診断方法は、機械設備の特性を示すn種類(n≧2の整数)の計測データ群を時系列的にサンプリングするサンプリングステップと、サンプリングされた計測データ群を正規化する正規化ステップと、正規化された計測データ群をそれぞれn次元座標系にプロットし、プロットされた計測データ群が前記n次元座標系に予め設定された境界閾値の何れの側に存在するかに基づいて前記機械設備の正常または異常を一次診断する診断ステップと、を備えている。
また、特許文献4には、同様の目的を持ったマンホールポンプの診断方法が提案されている。
当該マンホールポンプの診断方法は、所定期間内の各マンホールポンプの1起動当りの運転時間をサンプリングしてそれぞれの平均運転時間を一対の特性値として算出するサンプリングステップと、前記サンプリングステップで算出された一対の特性値を正規化する正規化ステップと、一対の特性値の一方をx軸、他方をy軸とする2次元座標系に、正規化された一対の特性値をプロットし、プロットした特性値点が2次元座標系に予め設定された境界閾値の何れの側に存在するかに基づいて各マンホールポンプの正常または異常を一次診断する診断ステップと、を備えている。
特開2001-34338号公報 特開2010-236191号公報 特開2020-107072号公報 特開2020-107073号公報
特許文献3,4に記載された診断方法によれば、ポンプが設置されたマンホールの環境に左右されることなく適切な閾値で異常判断することができる。
そして、正規化ステップで用いられる正規化処理に必要な統計データが、正規化処理実行時の直近の所定期間の複数の計測データまたは各特性値に基づいて算出されるので、例えば季節変動などの時間経過に起因する影響が排除され、信頼性の高い診断が可能になる。
しかし、統計データの算出に用いられる直近の所定期間の計測データまたは各特性値には診断ステップで異常と診断されたものも含まれており、そのようなものも含めた全ての計測データまたは各特性値を用いると、時間経過に起因する影響を適切に排除することが困難になる虞がある。
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、少ない物理量であっても様々な原因による異常診断が的確に行なえ、時間経過に起因する影響を適切に排除することが可能なマンホールポンプの診断方法及び診断装置を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明によるマンホールポンプの診断方法の第一の特徴構成は、マンホール内に設置され、起動と停止を繰り返すマンホールポンプの診断方法であって、マンホールポンプの特性を示す計測データを時系列的にサンプリングして診断用の特性データを得るサンプリングステップと、前記サンプリングステップで得られた前記特性データを所定の統計データに基づいて正規化処理する正規化ステップと、前記正規化ステップで正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する診断ステップと、を備え、所定の更新条件が成立したときに、直前の所定期間に前記診断ステップで正常と診断された正規化処理前の特性データに基づいて前記所定の統計データを更新処理する統計データ更新ステップを備えている点にある。
サンプリングステップで時系列的にサンプリングされた計測データから得られる診断用の特性データを正規化ステップで正規化することにより、例えばマンホールポンプの固有の機差による影響や設置環境の影響などを排除した特性データを特徴量として抽出することができ、診断ステップにより特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプが正常であるか異常であるかが適切に診断される。そして、所定の更新条件が成立したときに、正規化するための所定の統計データが、直前の所定期間にサンプリングされて診断ステップで正常と診断された正規化処理前の特性データに基づいて更新されるので、時間経過に起因する影響が適切に排除される。
同第二の特徴構成は、マンホール内に設置され、起動と停止を繰り返すマンホールポンプの診断方法であって、マンホールポンプの特性を示す計測データを時系列的にサンプリングして診断用の特性データを得るサンプリングステップと、前記サンプリングステップで得られた前記特性データを所定の統計データに基づいて正規化処理する正規化ステップと、前記正規化ステップで正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する診断ステップと、を備え、所定の更新条件が成立したときに、直前の期間に前記診断ステップで正常と診断された所定数以上の正規化処理前の特性データに基づいて前記所定の統計データを更新処理する統計データ更新ステップを備えている点にある。
所定の更新条件が成立したときに、正規化するための所定の統計データが、直前の期間にサンプリングされて診断ステップで正常と診断された所定数以上の正規化処理前の特性データに基づいて更新されるので、時間経過に起因する影響が適切に排除される。
同第三の特徴構成は、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記計測データに前記マンホールポンプの運転時間と運転回数が含まれる点にある。
計測データにマンホールポンプの運転時間と運転回数を含め、それらから得られるシンプルな特性データを用いることで様々な原因による異常診断が的確に行なえるようになる。
同第四の特徴構成は、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記計測データに前記マンホールポンプの運転時間と、電流値と、マンホールの水位が含まれる点にある。
計測データにマンホールポンプの運転時間と、電流値と、マンホールの水位を含め、それらから得られる特性データを用いることで様々な原因による異常診断が的確に行なえるようになる。
同第五の特徴構成は、上述の第一から第四の何れかの特徴構成に加えて、前記所定の更新条件が所定の時間経過または外部トリガーの発生である点にある。
所定の時間経過とは、時間経過に起因する影響を排除するのに必要な期間であり、例えば統計データ更新ステップ実行後の経過時間などが該当する。また、時間経過に起因する影響以外の影響を排除するために外部トリガーの発生を契機にすることができる。対象となるマンホールを含む汚水搬送系統に流入する汚水量が大きく変動するような場合、例えば住宅、マンション、工場などの建設や解体、長期的な天候不順などにより、新たな汚水発生源が生じる場合や既存の汚水発生源が無くなる場合などである。
同第六の特徴構成は、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、統計データ更新ステップの実行の有無にかかわらず前記境界閾値は初期に設定された値に維持される点にある。
個々のマンホールに設置されたマンホールポンプの異常を判定するために必要な境界閾値は個々のマンホールで個別に設定されるものではなく、全てのマンホールポンプで共通の値とすることで、個別対応することなく的確な異常診断が行なえるようになる。
本発明によるマンホールポンプの診断装置の第一の特徴構成は、マンホール内に設置され、起動と停止を繰り返すマンホールポンプの診断装置であって、所定期間内にサンプリングされたマンホールポンプの特性を示す計測データから得られる診断用の特性データを所定の統計データに基づいて正規化処理する正規化処理部と、前記正規化処理部で正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する診断処理部と、を備え、所定の更新条件が成立したときに、直前の所定期間に前記診断処理部で正常と診断された正規化処理前の特性データに基づいて前記所定の統計データを更新処理する統計データ更新処理部を備えている点にある。
同第二の特徴構成は、マンホール内に設置され、起動と停止を繰り返すマンホールポンプの診断装置であって、所定期間内にサンプリングされたマンホールポンプの特性を示す計測データから得られる診断用の特性データを所定の統計データに基づいて正規化処理する正規化処理部と、前記正規化処理部で正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する診断処理部と、を備え、所定の更新条件が成立したときに、直前の期間に前記診断処理部で正常と診断された所定数以上の正規化処理前の特性データに基づいて前記所定の統計データを更新処理する統計データ更新ステップを備えている点にある。
以上説明した通り、本発明によれば、少ない物理量であっても様々な原因による異常診断が的確に行なえ、時間経過に起因する影響を適切に排除することが可能なマンホールポンプの診断方法及び診断装置を提供することができるようになった。
マンホールポンプの説明図 マンホールポンプの異常診断装置の説明図 マンホールポンプの異常診断方法の手順を示す説明図 (a)は計測データの説明図、(b)は計測データの要部拡大説明図 正規化処理の説明図 一次診断の説明図 累積評価値及び最終診断の説明図 診断マップの説明図 別実施形態を示し、マンホールポンプの異常診断方法の手順を示す説明図 別実施形態を示し、一次診断の説明図 別実施形態を示し、診断マップの説明図
以下に、本発明によるマンホールポンプの診断方法及び診断装置を説明する。
[マンホールポンプ装置の構成]
図1にはマンホールポンプ装置10が示されている。マンホールポンプ装置10は、上流側の汚水流入管11から流入した汚水を貯留する貯水部としてのマンホール12と、マンホール12に貯留された汚水を下流側の汚水流出管13に圧送する2台のポンプPA,PBと、マンホール12に貯留された汚水の水位を計測する水位計18,19を備えている。
第1ポンプPAの吐出し曲管15aには第1揚水管15b、第1曲管15c、第1水平管15dがそれぞれフランジ接続され、第1水平管15dがヘッダー管13aを介して汚水流出管13にフランジ接続されている。第1揚水管15bと第1曲管15cの間に逆止弁15eが設けられている。
第2ポンプPBの吐出し曲管17aには第2揚水管17b、第2曲管17cがそれぞれフランジ接続され、第2曲管17cがヘッダー管13aを介して汚水流出管13にフランジ接続されている。第2揚水管17bと第2曲管17cとの間に逆止弁17eが設けられている。
投込圧力式または気泡式の水位計18がマンホール12の底部に設置されている。当該水位計18によってマンホール12に貯留される汚水の水位が連続的に検出される。さらにフロート式の水位計19が、異常高水位HHWLを検出するバックアップ用の水位計として設置されている。
マンホール12の近傍には、ポンプPA,PBを制御してマンホール12に溜まった汚水を汚水流出管13に圧送する汚水搬送制御を実行する制御部21を含む制御盤20が収容された制御盤装置200が設置されている。
制御盤20には、制御部21、記憶部22、通信部24が設けられている。記憶部22には制御部21からの制御情報、水位計18,19からの水位情報などが記憶される。通信部24は、記憶部22に記憶された各種情報を遠隔の監視装置40に送信する送信部と、監視装置40からの制御指令を受信する受信部を備えている。
通信部24と監視装置40との間をつなぐ通信媒体として例えば携帯電話網のような無線通信媒体が好適に用いられ、このような通信媒体を介して監視装置40と通信部24がインターネット接続され、さらにマンホールポンプ装置10の管理者が所有する携帯通信端末30と監視装置40とが無線通信媒体を介してインターネット接続可能に構成されている。
制御盤20と各ポンプPA,PBは交流の給電線L1,L2で接続され、制御盤20と水位計18,19は信号線Sで接続されている。
制御部21は、水位計18で計測された水位が所定のポンプ起動水位HWLに達したことを検知するとポンプPA,PBのうち一方のポンプPAを起動するために給電線L1から給電制御し、水位がポンプ起動水位HWLより低位のポンプ停止水位LWLに達したことを検知すると給電を停止して当該一方のポンプPAを停止する。
制御部21は、その後再び水位がポンプ起動水位HWLに達したことを検知すると他方のポンプPBを起動するために給電線L2から給電制御し、ポンプ停止水位LWLに達したことを検知すると給電を停止して当該ポンプPBを停止する。つまり、制御部21はポンプPA,PBを交互に運転制御する。
さらに、制御部21は、水位計18の故障などによりポンプ起動水位HWLが検知できない場合や、集中豪雨によりポンプ1台の排水能力を上回るような大量の雨水がマンホール12に流入し、異常高水位HHWLに達したことが水位計19で計測されたことを検知すると、2台のポンプPA,PBを同時に運転する。
制御部21は、例えば1分間隔で水位計18,19により検知された水位情報を時系列的にサンプリングして記憶部22に記憶するとともに、各ポンプPA,PBの起動時期及び停止時期と、起動から停止までの運転時間などの時系列的な稼動情報を記憶部22に記憶する。
図2に示すように、各マンホールポンプ装置10の制御盤20に備えた通信部24は、記憶部22に記憶された水位情報及び運転情報を所定インタバルで監視装置40に送信するように構成されている。
[マンホールポンプの診断装置の構成]
監視装置40は、マンホールポンプ装置10の診断装置として機能し、各マンホールポンプ装置10の通信部24や管理者の携帯通信端末30と通信する通信部41、各マンホールポンプ装置10の通信部24から送信された水位情報及び運転情報を格納するデータベースDB、データベースDBとの間でデータをやり取りするデータ処理部42、データベースDBに格納された水位情報及び運転情報に基づいて各マンホールポンプ装置10が正常に稼働しているか否かを診断する診断部44を備えている。
診断部44は、正規化処理部46と、統計データ更新処理部47と、診断処理部48を備えている。
正規化処理部46は、所定期間内、例えば直近の24時間にサンプリングされたマンホールポンプの特性を示す計測データから得られる診断用の特性データを統計データ更新処理部47で生成された所定の統計データに基づいて正規化処理するように構成されている。
診断処理部48は、正規化処理部46で正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する。
詳述すると、診断処理部48は、学習データとして入力される過去の複数の特性データに基づいて正常であるか異常であるかを診断する境界閾値を自動生成する機械学習装置を備えて構成され、当該機械学習装置は、正規化処理された特性データが境界閾値に収まる正常状態か、当該特性データが境界閾値から逸脱する異常状態かを診断する。
当該機械学習装置はワンクラスサポートベクタ-マシンアルゴリズムを実行する計算機で構成され、例えば100カ所に及ぶ複数のマンホールポンプ装置で得られた特性データの1年分を学習データとして学習した結果に基づいて境界閾値が設定される。当該境界閾値は全てのマンホールポンプ装置の診断に共用され、初期に設定されるとその後も維持される固定値である。
統計データ更新処理部47は、所定の更新条件が成立したときに、直前の所定期間にサンプリングされて診断処理部で正常と診断された所定数以上の正規化処理前の特性データに基づいて所定の統計データを更新処理するように構成されている。
所定の更新条件とは、所定の時間経過または外部トリガーの発生などである。所定の時間は季節変動に対応するように数十日から数カ月単位で設定され、例えば雨季の始まる時期や乾期の始まる時期など、汚水の発生量の増減に対応して設定される。監視装置40に備えたタイマ機能に基づいて経過時間がカウントされ、予め設定された時間が経過すると統計データの更新処理が開始される。またマンホールポンプの運転回数をカウントしておいて、予め設定された時間内におけるマンホールポンプの運転回数が所定の回数に達していない場合には、所定の回数に達するまで所定の時間を延長するように構成してもよい。
また、時間経過に起因する影響以外の影響を排除するために外部トリガーの発生を契機にすることができる。外部トリガーとしてマンホールポンプ装置10の管理者が所有する携帯通信端末30からの更新指令などが含まれ、例えば住宅、マンション、工場などの建設や解体、長期的な天候不順などにより、新たな汚水発生源が生じる場合や既存の汚水発生源が無くなる場合など、対象となるマンホールを含む汚水搬送系統に流入する汚水量が大きく変動するような場合に統計データの更新処理が開始される。
直前の所定期間、及び、診断処理部で正常と診断された所定数の具体的数値は特に限定されるものではないが、本実施形態では所定期間が10~100日、所定数が20~200に設定されている。所定期間と更新条件である所定の経過時間は同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
統計データ更新処理部47は、統計データが設定されていない初期には、予め設定された所定期間にサンプリングされた特性データに基づいて統計データを生成する。例えば、直近の過去3か月の間にデータベースDBに蓄積された特徴量を母集団としてデータの正規化のための平均値μ及び分散σを算出し、特徴量xに対して数式(x-μ)/σにより特徴量であるそれぞれの特性データを正規化処理する。
なお、上述した例では、統計データ更新処理部47が、所定の更新条件が成立したときに、直前の所定期間に診断処理部で正常と診断された所定数以上の正規化処理前の特性データに基づいて所定の統計データを更新処理するように構成される例を説明したが、正常と診断された正規化処理前の特性データの数に制限を設けることなく、所定期間に診断処理部で正常と診断された正規化処理前の特性データに基づいて所定の統計データを更新処理するように構成してもよく、所定期間という期間の制限を設けることなく、直前の期間に診断処理部で正常と診断された所定数以上の正規化処理前の特性データに基づいて所定の統計データを更新処理するように構成してもよい。
[マンホールポンプの診断方法の具体例1]
以下、第1の具体例を説明する。
正規化処理部46は、時系列的にサンプリングされた各ポンプPA,PBの特性を示す所定期間の運転時間から得られる一対の特性データの其々を正規化するように構成されている。それぞれのポンプの平均運転時間を一対の特性データとして算出することができるとともに、一方のポンプの平均運転時間と、一方のポンプの平均運転時間と他方のポンプの平均運転時間の比とを一対の特性データとすることもできる。
診断処理部48に備えた機械学習装置は、正規化された一対の特性データの一方をx軸、他方をy軸とする2次元座標系にプロットし、プロットした特性データ点が2次元座標系に予め設定された境界閾値の何れの側に存在するかに基づいて各マンホールポンプの正常または異常を一次診断するように構成されている。
さらに診断処理部48は、特性データ点が異常であると一次診断される度に、所定の異常基準値に特性データ点と境界閾値との距離に基づく重み係数を乗じて加算するとともに、特性データ点が一次診断で正常と診断される度に、所定の正常復帰評価値を減算して得られる累積評価値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を最終診断するように構成されている。
2次元座標系に設定された境界閾値の外側が複数の領域に区分され、各区分が異常原因の何れかと関連付けられた診断マップを備え、診断処理部48は、各特性値点がプロットされた領域に基づいて異常原因を診断するように構成されている。
図3には、監視装置40で実行される一連の診断処理のフローが示されている。各マンホールポンプ装置10から1日分の計測データを受信しデータベースDBに格納し終えると(SA1)、各マンホールポンプ装置10のポンプ毎に異常判定に用いる特性データとしてポンプPA,PBの其々の運転時間を抽出するとともに、1日のポンプの運転時間の合計を運転回数で除した平均運転時間の其々をポンプPA,PBについて算出する(SA2)。
特徴量として、それぞれのポンプの平均運転時間を一対の特性データとして選択してもよいし、一方のポンプの平均運転時間と、一方のポンプの平均運転時間と他方のポンプの平均運転時間の比とを一対の特性データとして選択してもよい。さらには、双方のポンプの運転時間の比の自然対数と、運転回数の比の自然対数とを一対の特性データとして選択してもよい。
所定の更新条件が成立しているか否かを判断し、成立している場合には(SA3,Y)、統計データ更新処理部47により統計量の更新処理が実行され(SA4)、更新処理された統計量、つまり平均値と分散値に基づいて判定対象となる1日の特徴量を正規化処理する(SA5)。更新条件が成立していない場合には(SA3,N)、以前の統計量を用いて判定対象となる1日の特徴量を正規化処理する(SA5)。
正規化した特徴量を機械学習装置に入力して設定された境界閾値に基づいて一次判定を行ない(SA7)、異常と判定されると異常の程度を加味して累積評価値を加算処理し(SA8)、正常と判定されると累積評価値を減算処理する(SA9)。
このような処理を日々繰り返して算出された累積評価値が予め設定された累積異常閾値を超えるか否かの最終的な異常判定を行ない(SA10)、累積異常閾値を超えていると、予め異常原因との相関を示す診断マップに基づいて異常原因を特定し(SA11)、異常原因とともに異常状態である旨の警報を管理者の所有する携帯端末などに送信する(SA12)。警報通知は、通信部41に備えたメーラーを介して電子メールとして送信される。
図4(a)には、午前0時0分から翌0時0分までの24時間のマンホールポンプ装置の運転データが示されている。上段から順に水位の変動状況、ポンプPA、PBの運転タイミングと運転時間、ポンプPAの電流値、ポンプPBの電流値がそれぞれ示されている。
図4(b)は、図4(a)に示した水位の変動状況、ポンプPA、PBの運転タイミングと運転時間の関係を理解容易にするための拡大表示である。マンホールの貯水水位がHWLに達するとポンプPAが起動されて水位がLWLに低下すると停止される。次に貯水水位がHWLに達するとポンプPBが起動されて水位がLWLに低下すると停止される。水位がHWLからLWLに低下するまでの間は何れかのポンプが起動されている。ポンプの搬送量が低下している場合や、マンホールへの汚水の流入量が多い場合などには、ポンプの運転時間が長くなる。
各マンホールポンプ装置10の記憶部22に記憶されたこのような水位情報及び運転情報が通信部24を介して監視装置40に送信され、データ処理部42を介してデータベースDBに格納される。
データ処理部42は、このようなデータから各ポンプPA,PBが起動されたときのそれぞれの「ポンプ運転時間の合計値」とそれぞれの「運転回数」を抽出し、「ポンプ運転時間の合計値」を「運転回数」で除して得られる1日の平均運転時間に基づいて、それぞれのポンプの平均運転時間を一対の特性データとし、或いは、一方のポンプの平均運転時間と、一方のポンプの平均運転時間と他方のポンプの平均運転時間の比とを一対の特性データとして算出して正規化処理部46に引き渡す。
図5に示すように、統計データ更新処理部47により生成された正規化のための統計量である平均値μ及び分散σに基づいて、正規化処理部46は、特徴量xに対して数式(x-μ)/σにより特徴量であるそれぞれの平均運転時間を正規化処理する。
正規化処理部46で正規化処理された特徴量「各ポンプの平均運転時間」で構成される一対の特性データまたは「一方のポンプの平均運転時間と、一方のポンプの平均運転時間と他方のポンプの平均運転時間の比」で構成される一対の特性データ、あるいは双方のポンプの運転時間の比の自然対数と、運転回数の比の自然対数とで構成される一対の特性データが診断処理部48に入力されると、一対の特性データの一方をx軸、他方をy軸とする2次元座標系に、正規化された一対の特性データをプロットし、プロットされた特性データ点が2次元座標系に予め設定された境界閾値の何れの側に存在するかに基づいて各マンホールポンプの正常または異常を一次診断する。
時系列的にサンプリングされた計測データに基づいて算出された特性データを正規化することにより、例えばマンホールポンプの機差による影響や設置環境による影響などを排除した特性値を特徴量として抽出することができ、診断によりそれら特徴量つまり2種類の計測データ群を表す点が、2次元座標系に時系列的な複数の点としてプロットされ、予め設定された境界閾値を指標にしてマンホールポンプ装置が正常であるか異常であるかが適切に一次診断される。
図6には、縦軸(y軸)を各ポンプの平均運転時間の比(T(PA)/T(PB))、横軸(x軸)をポンプPBの平均運転時間(T(PB))とする2次元座標系の原点(各値の平均値)を有する略円形の閉曲線(太線で示されている。)を境界閾値として、プロットされた特性データ点が境界閾値の内側に位置すると正常であり、プロットされた特性データ点が境界閾値の外側に位置すると異常であると判定される様子が示されている。なお、縦軸(y軸)を一方のポンプPAの平均運転時間、横軸(x軸)を他方のポンプPBの平均運転時間とする2次元座標系に特性データ点をプロットしてもよい。
診断処理部48に備えた機械学習装置としては、ワンクラスサポートベクタ-マシン以外に、LOF(local outlier factor)法、IF(Isolation Forest)法、RC(Robust Covariance)法などのアルゴリズムを実行する計算機などを用いることができる。
機械学習を行なうことにより、図6に示す写像空間(特徴空間)において、正常な測定データ(トレーニングデータ)を写像した正常データ空間、つまり境界閾値の内部空間が生成される。図6の例では、ポンプが2台設置された複数か所のマンホールポンプ装置で得られた一対の特性値の過去のデータを学習データとして学習して得た境界閾値が示されている。
診断処理部48は、特性データ点が異常であると一次診断する度に、以下の数式に基づいて、所定の異常基準値Vnbに各特性データ点の位置と境界閾値との距離に基づく重み係数Wを乗じて加算するとともに、各特性データ点が一次診断で正常と診断される度に、所定の正常復帰評価値Vpbを減算することにより累積評価値Vを算出し、累積評価値に基づいてマンホールポンプ装置の正常または異常を最終診断する。特性データ点の位置と境界閾値との距離とは、特性データ点を通る境界閾値からの法線の長さをいう。
V=Vnb×W-Vpb
本実施形態では、Vnb=1、Vnb<Vpb<Wmax×Vnbに設定されている。
一次診断で異常と診断された場合でもその後に正常と診断されるような軽度な異常もあれば、継続して異常と診断されてやがて重大な故障に到るような異常もある。そのような場合でも、一次診断で異常と診断される度に所定の異常基準値に特性データ点と境界閾値との距離に基づく重み係数を乗じた値を加算し、正常と診断される度に所定の正常復帰評価値を減算することにより得られる累積評価値を算出して、当該累積評価値に基づいて機械設備の正常または異常を最終診断することにより、例えば近い将来にメンテナンスが必要な異常など異常の程度を加味した診断が可能になる。
図7には、累積評価値の変遷が示されている。累積評価値は特性データ点がプロットされる所定期間ごとに一次評価が行なわれ、異常判定されると初期値0からVnb×Wの値が加算され、正常判定されるとVpbの値が減算される。累積評価値が所定の閾値、この例では「10」を超えると最終的な異常判定がなされ、管理者の所有する携帯端末などにその旨が送信される。なお、異常判定された後も一次判定及び最終判定は継続的に行なわれる。
図8には、診断マップが例示されている。図6に示す特徴空間に示された境界閾値の外側が8領域に区分され、各区分が異常原因の何れかと関連付けられている。診断処理部48は、各特徴データがプロットされた領域に基づいて異常原因を診断する。
例えば、図8の例では、領域2に特性データ点がプロットされると、長時間運転となるポンプPAのみ異常、領域4では水位計の異常など外部環境の異常、領域5では双方が長時間運転となる双方のポンプの異常、汚水の流入量の増加、吐出しパイプの合流部閉塞などの外部環境の異常、領域8では長時間運転によるポンプPBのみ異常と診断される。
上述した例では、各ポンプの平均運転時間、または一方のポンプの平均運転時間と他方のポンプの平均運転時間の比を一対の特性値とする例を説明したが、一対の特性値はこれらのデータに限るものではなく、各ポンプの一回の運転当たりの運転時間、一方のポンプの一回の運転当たりの運転時間と他方のポンプの一回の運転当たりの運転時間の比、双方のポンプの運転時間の比の自然対数と運転回数の比の自然対数、図4(a)に示す各ポンプの運転時の電流値、平均電流値、双方のポンプの平均電流値の比など、適宜設定できることはいうまでもない。
[マンホールポンプの診断方法の具体例2]
以下、第2の具体例を説明する。
正規化処理部46は、時系列的にサンプリングされたマンホールポンプ装置10の特性を示すn種類(n≧2の整数)の計測データ群を正規化するように構成されている。
診断処理部48に備えた機械学習装置は、正規化された計測データ群をそれぞれn次元座標系にプロットし、プロットされた計測データ群がn次元座標系に予め設定された境界閾値の何れの側に存在するかに基づいてマンホールポンプ装置10の正常または異常を一次診断するように構成されている。
診断処理部48は、一次診断する度に所定の異常基準値に各計測データ群と境界閾値との距離に基づく重み係数を乗じて加算するとともに、各計測データ群が一次診断で正常と診断される度に、所定の異常基準値を減算して得られる累積評価値に基づいてマンホールポンプ装置10の正常または異常を最終診断するように構成されている。
n次元座標系に設定された境界閾値の外側が複数の領域に区分され、各区分が異常原因の何れかと関連付けられた診断マップを備え、診断処理部48は、各計測データ群がプロットされた領域に基づいて異常原因を診断するように構成されている。
図9には、監視装置40で実行される一連の診断処理のフローが示されている。各マンホールポンプ装置10から1日分の計測データを受信しデータベースDBに格納し終えると(SB1)、各マンホールポンプ装置10のポンプ毎に異常判定に用いる計測データ群である特徴量を抽出する。
所定の更新条件が成立しているか否かを判断し、成立している場合には(SB3,Y)、統計データ更新処理部47により統計量の更新処理が実行され(SB4)、更新処理された統計量、つまり平均値と分散値に基づいて判定対象となる1日の特徴量を正規化処理する(SB5)。更新条件が成立していない場合には(SB3,N)、以前の統計量を用いて判定対象となる1日の特徴量を正規化処理する(SA5)。
正規化した各特徴量を順に機械学習装置に入力して設定された境界閾値に基づいて一次判定を行ない(SB6,SB7)、異常と判定されると異常の程度を加味して累積評価値を加算処理し(SB8)、正常と判定されると累積評価値を減算処理する(SB9)。
このようにして算出された累積評価値が予め設定された累積異常閾値を超えるか否かの最終的な異常判定を行ない(SB10)、累積異常閾値を超えていると、予め異常原因との相関を示す診断マップに基づいて異常原因を特定し(SB11)、異常原因とともに異常状態である旨の警報を管理者の所有する携帯端末などに送信する(SB12)。警報通知は、通信部41に備えたメーラーを介して電子メールとして送信される。
図4(b)に示したように、ポンプの搬送量が低下していたり、マンホールへの汚水の流入量が多い場合などには、ポンプの運転時間が長くなり、ポンプ運転中の水位の低下速度が小さくなる。以下では、簡易化のため、ポンプ運転中の水位の低下速度のことを単に「水位の傾き」と記載する。
各マンホールポンプ装置10の記憶部22に記憶されたこのような水位情報及び運転情報が通信部24を介して監視装置40に送信され、データ処理部42を介してデータベースDBに格納される。
データ処理部42は、このようなデータから各ポンプPA,PBが起動されたときのそれぞれの「水位の傾き」(=(HWL-LWL)/運転時間)とそれぞれの「電流値」を、時系列的にサンプリングされたマンホールポンプ装置10の特性を示すn種類(n≧2の整数であるが、本実施形態ではn=2となる。)の計測データ群(特性データ群ともいう)つまり特徴量として1日単位で抽出して正規化処理部46に引き渡す。計測データ群であるポンプの電流値とマンホールの水位の傾きは、ポンプが正常時に互いに相関を有し、所定範囲に収束する計測データである。
統計データ更新処理部47により生成された正規化のための統計量である平均値μ及び分散σに基づいて、正規化処理部46は、特徴量xに対して数式(x-μ)/σにより特徴量である「水位の傾き」及び「電流値」を正規化処理する。
正規化処理部46で正規化処理された各特徴量「水位の傾き」及び「電流値」が診断処理部48に入力されると、正規化された特徴量をそれぞれ電流、水位の傾きを示す2次元座標系にプロットし、プロットされた計測データ群が2次元座標系に予め設定された境界閾値の何れの側に存在するかに基づいて正常または異常を一次診断する。
時系列的にサンプリングされたn種類の計測データ群を正規化ステップで正規化することにより、マンホールポンプの固有の偏りによる影響や設置環境の影響などを排除した計測データ群を特徴量として抽出することができ、診断によりそれら特徴量つまり2種類の計測データ群を表す点が、2次元座標系に時系列的な複数の点としてプロットされ、予め設定された境界閾値を指標にしてマンホールポンプ装置が正常であるか異常であるかが適切に一次診断される。
図10には、縦軸を電流、横軸を水位の傾きとする2次元座標状の原点(電流の平均値と水位の傾きの平均値)を中心とする所定半径の円(太線で示されている。)を境界閾値として、プロットされた特徴量が境界閾値の内側に位置すると正常であり、プロットされた特徴量が境界閾値の外側に位置すると異常であると判定される様子が示されている。
上述と同様に、診断処理部48に備えた機械学習装置により、図10に示す写像空間(特徴空間)において、正常な測定データ(トレーニングデータ)を写像した正常データ空間、つまり境界閾値の内部空間が生成される。図10の例では、ポンプが2台設置された100か所のマンホールポンプ装置の1年分の特徴データを学習データとして学習して得た境界閾値が示されている。
診断処理部48は、計測データ群が異常であると一次診断する度に、以下の数式に基づいて、所定の異常基準値Vnbに各計測データ群の位置と境界閾値との距離に基づく重み係数Wを乗じて加算するとともに、各計測データ群が一次診断で正常と診断される度に、所定の正常復帰評価値Vpbを減算することにより累積評価値Vを算出し、累積評価値に基づいてマンホールポンプ装置の正常または異常を最終診断する。
V=Vnb×W-Vpb
本実施形態では、Vnb=1、Vnb<Vpb<Wmax×Vnbに設定されている。
一次診断で異常と診断された場合でもその後に正常と診断されるような軽度な異常もあれば、継続して異常と診断されてやがて重大な故障に到るような異常もある。そのような場合でも、一次診断で異常と診断される度に所定の異常基準値に計測データ群と境界閾値との距離に基づく重み係数を乗じた値を加算し、正常と診断される度に所定の正常復帰評価値を減算することにより得られる累積評価値を算出して、当該累積評価値に基づいて機械設備の正常または異常を最終診断することにより、例えば近い将来にメンテナンスが必要な異常など異常の程度を加味した診断が可能になる。
図7で説明したと同様に、累積評価値は運転回数ごとに一次評価が行なわれ、異常判定されると初期値0からVnb×Wの値が加算され、正常判定されるとVpbの値が減算される。累積評価値が所定の閾値を超えると最終的な異常判定がなされ、管理者の所有する携帯端末などにその旨が送信される。なお、異常判定された後も一次判定及び最終判定は継続的に行なわれる。
図11には、診断マップが例示されている。図10に示す特徴空間に示された境界閾値の外側が8領域に区分され、各区分が異常原因の何れかと関連付けられている。診断処理部48は、各特徴データがプロットされた領域に基づいて異常原因を診断する。例えば、図11の例では、領域3に特徴データがプロットされると異物噛み込み異常と診断され、領域5に特徴データがプロットされると水圧漏れ異常と診断され、領域8に特徴データがプロットされると空気溜り異常と診断される。
上述した例では、ポンプの駆動電流値とマンホールの水位の傾きの2つの組合わせを計測データ群とする例を説明したが、計測データ群はこれらのデータに限るものではなく、適宜設定できることはいうまでもない。例えば、水位の傾きに代えて水位の傾きと相関のある一回の起動当たりのポンプの運転時間を計測データとしてもよい。
以上説明したように、本発明によるマンホールポンプの診断方法は、マンホール内に設置され、起動と停止を繰り返すマンホールポンプの診断方法であって、マンホールポンプの特性を示す計測データを時系列的にサンプリングして診断用の特性データを得るサンプリングステップと、サンプリングステップで得られた特性データを所定の統計データに基づいて正規化処理する正規化ステップと、正規化ステップで正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する診断ステップと、を備えている。
そして、所定の更新条件が成立したときに、直前の所定期間にサンプリングされ診断ステップで正常と診断された正規化処理前の特性データに基づいて所定の統計データを更新処理する統計データ更新ステップを備えている。
また、統計データ更新ステップは、所定の更新条件が成立したときに、直前の期間にサンプリングされ診断ステップで正常と診断された所定数以上の正規化処理前の特性データに基づいて所定の統計データを更新処理するように構成することも可能である。
計測データにマンホールポンプの運転時間と運転回数が含まれることが好ましい。
計測データにマンホールポンプの運転時間と、電流値と、マンホールの水位が含まれることが好ましい。
所定の更新条件が所定の時間経過または外部トリガーの発生であることが好ましく、統計データ更新ステップの実行の有無にかかわらず境界閾値は初期に設定された値に維持されることが好ましい。
上述した実施形態は何れも本発明の一例であり、該記載により本発明の技術的範囲が限定されるものではなく、ポンプや水位計などを始めとする各部の具体的構成、異常判定のために設定する閾値などは本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
10:マンホールポンプ設備
PA,PB:ポンプ
18,19:水位計
21:制御部
22:記憶部
24:通信部
30:携帯端末
40:監視装置
41:通信部
42:データ処理部
44:診断部
46:正規化処理部
47:統計データ更新処理部
48:診断処理部

Claims (8)

  1. マンホール内に設置され、起動と停止を繰り返すマンホールポンプの診断方法であって、
    マンホールポンプの特性を示す計測データを時系列的にサンプリングして診断用の特性データを得るサンプリングステップと、
    前記サンプリングステップで得られた前記特性データを所定の統計データに基づいて正規化処理する正規化ステップと、
    前記正規化ステップで正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する診断ステップと、
    を備え、
    所定の更新条件が成立したときに、直前の所定期間に前記診断ステップで正常と診断された正規化処理前の特性データに基づいて前記所定の統計データを更新処理する統計データ更新ステップを備えているマンホールポンプの診断方法。
  2. マンホール内に設置され、起動と停止を繰り返すマンホールポンプの診断方法であって、
    マンホールポンプの特性を示す計測データを時系列的にサンプリングして診断用の特性データを得るサンプリングステップと、
    前記サンプリングステップで得られた前記特性データを所定の統計データに基づいて正規化処理する正規化ステップと、
    前記正規化ステップで正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する診断ステップと、
    を備え、
    所定の更新条件が成立したときに、直前の期間に前記診断ステップで正常と診断された所定数以上の正規化処理前の特性データに基づいて前記所定の統計データを更新処理する統計データ更新ステップを備えているマンホールポンプの診断方法。
  3. 前記計測データに前記マンホールポンプの運転時間と運転回数が含まれる請求項1または2記載のマンホールポンプの診断方法。
  4. 前記計測データに前記マンホールポンプの運転時間と、電流値と、マンホールの水位が含まれる請求項1または2記載のマンホールポンプの診断方法。
  5. 前記所定の更新条件が所定の時間経過または外部トリガーの発生である請求項1から4の何れかに記載のマンホールポンプの診断方法。
  6. 統計データ更新ステップの実行の有無にかかわらず前記境界閾値は初期に設定された値に維持される請求項1から5の何れかに記載のマンホールポンプの診断方法。
  7. マンホール内に設置され、起動と停止を繰り返すマンホールポンプの診断装置であって、
    所定期間内にサンプリングされたマンホールポンプの特性を示す計測データから得られる診断用の特性データを所定の統計データに基づいて正規化処理する正規化処理部と、
    前記正規化処理部で正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する診断処理部と、
    を備え、
    所定の更新条件が成立したときに、直前の所定期間に前記診断処理部で正常と診断された正規化処理前の特性データに基づいて前記所定の統計データを更新処理する統計データ更新処理部を備えているマンホールポンプの診断装置。
  8. マンホール内に設置され、起動と停止を繰り返すマンホールポンプの診断装置であって、
    所定期間内にサンプリングされたマンホールポンプの特性を示す計測データから得られる診断用の特性データを所定の統計データに基づいて正規化処理する正規化処理部と、
    前記正規化処理部で正規化処理された特性データと予め設定された境界閾値に基づいてマンホールポンプの正常または異常を診断する診断処理部と、
    を備え、
    所定の更新条件が成立したときに、直前の期間に前記診断処理部で正常と診断された所定数以上の正規化処理前の特性データに基づいて前記所定の統計データを更新処理する統計データ更新ステップを備えているマンホールポンプの診断装置。
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