JP2022072834A - 制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の制動時における車体姿勢を制御できる制動制御装置を提供する。【解決手段】制動制御装置100は、車軸11F,11Rに摩擦制動力を付与する液圧制動装置30と、車輪FR,FL,RR,RLに回生制動力を付与する回生制動装置40と、を備える車両10に適用される。制動制御装置100は、車体姿勢の目標である目標車体姿勢に基づいて、車両10に付与する制動力を車輪制動力と車軸制動力とに配分するための配分比率を調整することにより車体姿勢を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の制動制御装置に関する。
特許文献1には、ABS制御の実施中に、スリップの発生した車輪に回生制動力を付与することにより、回生制動装置の発電機会を多くした制動制御装置が記載されている。
特開2015-93571号公報
上記のような制動制御装置は、ABS制御の実施中の車体姿勢を調整することが望まれている。こうした実情は、ABS制御の実施中に限らず、車両の制動時においても概ね共通している。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する制動制御装置は、車両の車輪に車輪制動力を付与する車輪制動装置と、前記車輪の車軸に車軸制動力を付与する車軸制動装置と、を備える車両に適用される制動制御装置であって、前記車両の車体姿勢の目標である目標車体姿勢に基づいて、前記車両に付与する制動力を前記車輪制動力と前記車軸制動力とに配分するための配分比率を調整することにより、前記車体姿勢を制御する制御部を備える。
車両に制動力が付与される場合には、車両のピッチング挙動を抑制するピッチング抑制力が車両に発生する。前輪に制動力が付与される場合には、アンチダイブ力がピッチング抑制力として車両に発生し、後輪に制動力が付与される場合には、アンチリフト力がピッチング抑制力として車両に発生する。また、車軸制動力及び車輪制動力は作用する位置が異なるため、車軸制動力が車軸に付与される場合に発生するピッチング抑制力は、車輪制動力が車輪に付与される場合に発生するピッチング抑制力よりも小さくなる。そこで、上記構成の制動制御装置は、目標車体姿勢に基づいて、車両に付与する制動力を車輪制動力及び車軸制動力の配分比率を調整する。こうして、制動制御装置は、車両の制動時における車体姿勢を制御できる。
第1実施形態に係る制動制御装置を備える車両の模式図。 制動時に上記車両に作用する力を説明する模式図。 ABS制御の実施中に、上記制動制御装置が実施する処理の流れを説明するフローチャート。 (a),(b)は上記制動制御装置がABS制御を実施する場合のタイミングチャート。 第2実施形態に係る制動制御装置を備える車両の模式図。 車両の制動時に、変更例に係る制動制御装置が実施する処理の流れを説明するフローチャート。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る制動制御装置について説明する。
図1は、制動制御装置100を搭載する車両10を示している。
車両10は、車輪FR,FL,RR,RLと、前輪FR,FLと一体回転する車軸11F及び後輪RR,RLと一体回転する車軸11Rと、車輪FR,FL,RR,RLに制動力を付与する制動機構20と、を備えている。
制動機構20は、ホイールシリンダ21内のブレーキ液の圧力(以下、「液圧」ともいう。)が高いほど、車輪FL,FR,RL,RRと一体回転する回転体22に摩擦材23を押し付ける力が大きくなるように構成されている。そのため、車輪FL,FR,RL,RRに付与される制動力は、ホイールシリンダ21内の液圧が高いほど大きくなる。以降の記載において、制動機構20の作動によって車輪FR,FL,RR,RLに付与される制動力を「摩擦制動力BFP」という。
車両10は、ホイールシリンダ21内の液圧を制御することによって摩擦制動力BFPを調整する液圧制動装置30を備えている。液圧制動装置30は、液圧発生装置31と、制動アクチュエータ32と、を有している。
液圧発生装置31は、ブレーキペダルなどの制動操作部材33が運転者によって操作されているときに、制動操作部材33の操作量に応じた液圧を発生させる。運転者が制動操作部材33を操作する場合、液圧発生装置31で発生した液圧に応じた量のブレーキ液が制動アクチュエータ32を介してホイールシリンダ21内に供給される。制動アクチュエータ32は、ホイールシリンダ21内の液圧を個別に制御することによって、車輪FR,FL,RR,RLの摩擦制動力BFPを個別に調整する。例えば、制動アクチュエータ32は、右前輪FRに付与される摩擦制動力BFPのみを増減できる。第1実施形態において、摩擦制動力BFPは「車輪制動力」の一例に相当し、液圧制動装置30は「車輪制動装置」の一例に相当する。
車両10は、前輪FR,FL用のモータジェネレータ41Fと、後輪RR,RL用のモータジェネレータ41Rと、を備えている。
モータジェネレータ41Fは、電動機として機能する場合には、駆動力を車軸11Fに付与し、発電機として機能する場合には、モータジェネレータ41Fの発電量に応じた制動力を車軸11Fに付与する。同様に、モータジェネレータ41Rは、電動機として機能する場合には、駆動力を車軸11Rに付与し、発電機として機能する場合には、モータジェネレータ41Rの発電量に応じた制動力を車軸11Rに付与する。
以降の記載において、モータジェネレータ41F,41Rの発電によって車軸11F,11Rに付与される制動力を「回生制動力BFR」という。そして、モータジェネレータ41F,41Rは、車軸11F,11Rに回生制動力BFRを付与する回生制動装置40を構成している。こうした点で、第1実施形態において、回生制動力BFRは「車軸制動力」の一例に相当し、回生制動装置40は「車軸制動装置」の一例に相当する。
なお、モータジェネレータ41Fが車軸11Fに駆動力又は制動力を付与する場合には、車軸11Fを共有する両前輪FR,FLに駆動力又は制動力が付与される。このため、以降の記載では、モータジェネレータ41Fが車軸11Fに駆動力又は制動力を付与することを、「モータジェネレータ41Fが前輪FR,FLに駆動力又は制動力を付与する」ともいう。同様に、モータジェネレータ41Rが車軸11Rに駆動力又は制動力を付与する場合には、車軸11Rを共有する両後輪RR,RLに駆動力又は制動力が付与される。このため、以降の記載では、モータジェネレータ41Rが車軸11Rに駆動力又は制動力を付与することを、「モータジェネレータ41Rが後輪RR,RLに駆動力又は制動力を付与する」ともいう。
車両10は、車両10の状態を検出するための各種センサを備えている。詳しくは、車両10は、車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWを検出する車輪速センサ51と、制動操作部材33の操作量を検出するストロークセンサ52と、を備えている。図1に示すように、各種センサの検出信号は、制動制御装置100に入力される。
車両10は、車両10が走行する路面の情報を取得する路面情報取得装置61を備えている。車両10が走行する路面の情報は、車両10の外部の情報の一例である。路面情報取得装置61は、例えば、車両10の前方の路面の凹凸情報を取得できるカメラ及び路面の凹凸情報を含む地図データを記憶するカーナビゲーション装置である。路面情報取得装置61は、これから車両10が走行する路面の凹凸情報を制動制御装置100に出力する。
以下、制動制御装置100について説明する。
図1に示すように、制動制御装置100は、機能部として、制御量導出部101と、配分比率導出部102と、制動制御部103と、目標状態値導出部104と、を備えている。第1実施形態では、配分比率導出部102、制動制御部103及び目標状態値導出部104によって「制御部」の一例が構成されている。
制御量導出部101は、液圧制動装置30及び回生制動装置40の制御に関する検出値及び目標値等を導出する。詳しくは、制御量導出部101は、車輪速センサ51からの検出信号に基づいて、車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWと、車体速度VSと、車輪FR,FL,RR,RLのスリップ量Slpと、を導出する。例えば、右前輪FRのスリップ量Slpは、右前輪FRの車輪速度VWと車体速度VSとの差である。また、制御量導出部101は、ストロークセンサ52からの検出信号などに基づいて、車両10に付与される制動力の目標値である目標車両制動力BFTを導出する。また、制御量導出部101は、目標車両制動力BFTを車輪FR,FL,RR,RLに配分することにより、車輪FR,FL,RR,RLに付与される制動力の目標値である目標車輪制動力BFTWを導出する。目標車両制動力BFTは車両単位で導出され、目標車輪制動力BFTWは車輪FR,FL,RR,RLごとに導出される。
配分比率導出部102は、車輪FR,FL,RR,RLに付与される制動力を回生制動力BFR及び摩擦制動力BFPに配分するための比率である配分比率αを、車輪FR,FL,RR,RLごとに導出する。配分比率αは、「0」以上「1」以下の値である。配分比率αが「0」の場合、車輪FR,FL,RR,RLに付与される制動力は摩擦制動力BFPのみとなり、配分比率αが「1」の場合、車輪FR,FL,RR,RLに付与される制動力は回生制動力BFRのみとなる。配分比率αが、「0」よりも大きく「1」よりも小さい場合、車輪FR,FL,RR,RLに摩擦制動力BFP及び回生制動力BFRの双方が付与される。
続いて、図2を参照して、制動力の配分比率αと車体姿勢との関係について説明する。
図2に示すように、車両10の制動時には、慣性力Fiと、前輪FR,FLに作用する制動力である前輪制動力F1と、後輪RR,RLに作用する制動力である後輪制動力F2と、が作用する。前輪制動力F1は、前輪FR,FLに付与される摩擦制動力BFPである前輪摩擦制動力BFPfと前輪FR,FLに付与される回生制動力BFRである前輪回生制動力BFRfとを合計した制動力である。後輪制動力F2は、後輪RR,RLに付与される摩擦制動力BFPである後輪摩擦制動力BFPrと後輪RR,RLに付与される回生制動力BFRである後輪回生制動力BFRrとを合計した制動力である。
車両10に制動力が作用している場合、言い換えれば、車両10に前輪制動力F1及び後輪制動力F2が作用している場合には、車両前方に荷重移動が起こる。この場合には、車体前部が沈み込むノーズダイブと車体後部が浮き上がるリアリフトが起こる。
このため、前輪制動力F1が車両10に作用している場合には、車体前部が沈み込むことを抑制するアンチダイブ力FADが、前輪FR,FL用のサスペンションによって車体12に作用する。アンチダイブ力FADは、車体前部を路面から遠ざける方向に作用する力である。一方、後輪制動力F2が車両10に作用している場合には、車体後部が浮き上がることを抑制するアンチリフト力FALが、後輪RR,RL用のサスペンションによって車体12に作用する。アンチリフト力FALは、車体後部を路面に近付ける方向に作用する力である。アンチダイブ力FAD及びアンチリフト力FALは、車両10のピッチングモーメントMに反するピッチング抑制力である。
図2に示すように、前輪摩擦制動力BFPf及び後輪摩擦制動力BFPrは、前輪FR,FL及び後輪RR,RLにおける路面との接地点にそれぞれ作用し、前輪回生制動力BFRf及び後輪回生制動力BFRrは、車軸11F及び車軸11Rにそれぞれ作用する。
前輪回生制動力BFRfが作用する点を第1作用点PA1とし、前輪摩擦制動力BFPfが作用する点を第2作用点PA2とし、後輪回生制動力BFRrが作用する点を第3作用点PA3とし、後輪摩擦制動力BFPrが作用する点を第4作用点PA4とする。さらに、前輪FR,FLの瞬間回転中心を前輪回転中心Cfとすると、第1作用点PA1と前輪回転中心Cfとを繋ぐ直線と路面とのなす角度である第1角度θfrは、第2作用点PA2と前輪回転中心Cfとを繋ぐ直線と路面とのなす角度である第2角度θfpよりも小さくなっている。同様に、後輪RR,RLの瞬間回転中心を後輪回転中心Crとすると、第3作用点PA3と後輪回転中心Crとを繋ぐ直線と路面とのなす角度である第3角度θrrは、第4作用点PA4と後輪回転中心Crとを繋ぐ直線と路面とのなす角度である第4角度θrpよりも小さくなっている。
そして、アンチダイブ力FAD及びアンチリフト力FALは、第1角度θfr、第2角度θfp、第3角度θrr及び第4角度θrpを用いて、下記(式1)及び(式2)として表すことができる。
FAD=BFRf・tan(θfr)+BFPf・tan(θfp)…(式1)
FAL=BFRr・tan(θrr)+BFPr・tan(θrp)…(式2)
図2に示すように、第2角度θfpが第1角度θfrよりも大きいため、前輪摩擦制動力BFPfの方が前輪回生制動力BFRfよりもアンチダイブ力FADに対する寄与が大きい。つまり、(式1)において、前輪回生制動力BFRfよりも前輪摩擦制動力BFPfを大きくする場合、言い換えれば、前輪FL,FRに付与される制動力の配分比率αを小さくする場合には、アンチダイブ力FADが大きくなる。一方、前輪摩擦制動力BFPfよりも前輪回生制動力BFRfを大きくする場合、言い換えれば、前輪FL,FRに付与される制動力の配分比率αを大きくする場合には、アンチダイブ力FADが小さくなる。
同様に、第4角度θrpが第3角度θrrよりも大きいため、後輪摩擦制動力BFPrの方が後輪回生制動力BFRrよりもアンチリフト力FALに対する寄与が大きい。つまり、(式2)において、後輪回生制動力BFRrよりも後輪摩擦制動力BFPrを大きくする場合、言い換えれば、後輪RL,RRに付与される制動力の配分比率αを小さくする場合には、アンチリフト力FALが大きくなる。一方、後輪摩擦制動力BFPrよりも後輪回生制動力BFRrを大きくする場合、言い換えれば、後輪RL,RRに付与される制動力の配分比率αを大きくする場合には、アンチリフト力FALが小さくなる。
以上説明したように、車輪FR,FL,RR,RLの制動力の配分比率αを変化させると、車両10に発生するピッチング抑制力が変化する。そして、ピッチング抑制力の大きさは、車体姿勢に影響を与える。こうして、配分比率導出部102は、車両10の制動時に、所望の車体姿勢が得られるように制動力の配分比率αを車輪FR,FL,RR,RLごとに導出する。
制動制御部103は、車輪FR,FL,RR,RLごとに導出された目標車輪制動力BFTWと車輪FR,FL,RR,RLごとに導出された配分比率αとに基づいて、液圧制動装置30及び回生制動装置40を制御する。こうして、制動制御部103は、車輪FR,FL,RR,RLに付与される制動力の大きさ及び種類を調整する。
目標状態値導出部104は、目標の車体姿勢を示す状態値としての目標状態値VATを導出する。
以下、第1実施形態において、制動力の配分比率αを調整することにより、車体姿勢を制御する態様について説明する。
車両10の制動中には、何れかの車輪FR,FL,RR,RLにスリップが発生する場合がある。この場合、制動制御装置100は、スリップが発生した車輪(以下、「スリップ輪」ともいう。)に付与される制動力を調整することにより、スリップ輪のスリップを抑制するアンチロックブレーキ制御(以下、「ABS制御」ともいう。)を実施する。以下、ABS制御の実施中の制御量導出部101及び配分比率導出部102の処理内容について説明する。
制御量導出部101は、目標車両制動力BFTとスリップ量Slpとに基づいて、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWを導出する。詳しくは、制御量導出部101は、目標車両制動力BFTを車輪FR,FL,RR,RLに分配することで導出した目標車輪制動力BFTWを、スリップ量Slpに応じて小さくする。
制御量導出部101は、減少条件が成立する場合、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWを減少させる。減少条件は、例えば、スリップ輪のスリップ量Slpがスリップ判定値SlpThよりも大きく、スリップ輪のスリップ量Slpが増大傾向を示す場合に成立する。また、制御量導出部101は、維持条件が成立する場合、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWを維持する。維持条件は、例えば、スリップ輪のスリップ量Slpがスリップ判定値SlpThよりも大きいものの、スリップ輪のスリップ量Slpが減少傾向を示す場合に成立する。また、制御量導出部101は、増大条件が成立する場合、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWを増大させる。増大条件は、例えば、スリップ輪のスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh未満の場合に成立する。なお、増大条件が成立する場合であっても、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWは、目標車両制動力BFTを車輪FR,FL,RR,RLに分配することで導出される目標車輪制動力BFTWよりも大きくなることはない。
また、ABS制御の実施時におけるスリップ輪の目標車輪制動力BFTWの増減態様は、上記のような態様に限らない。例えば、目標車輪制動力BFTWを減少させてスリップ輪のスリップ量Slpが減少傾向を示すようになった場合には、目標車輪制動力BFTWを増大させるようにしてもよい。すなわち、目標車輪制動力BFTWを保持する期間を省略してもよい。
以上より、ABS制御の実施中には、スリップ輪に付与される制動力が繰り返し増減される。このため、例えば、右前輪FRにスリップが生じる場合には、車体右前部に作用するアンチダイブ力FADが繰り返し増減され、左後輪RLにスリップが生じる場合には、車体左後部に作用するアンチリフト力FALが繰り返し増減される。したがって、ABS制御の実施中には、ピッチング抑制力の増減の繰り返しによって車体姿勢が変化することが懸念される。
そこで、配分比率導出部102は、ABS制御の実施中において、車体姿勢が当該車体姿勢の目標である目標車体姿勢となるように、スリップ輪の制動力の配分比率αを調整する。詳しくは、配分比率導出部102は、目標車体姿勢とABS制御の実施に伴って予測される今後の車体姿勢の変化とに基づいて、スリップ輪の制動力の配分比率αを調整する。第1実施形態において、目標車体姿勢は、ABS制御の開始直前の車体姿勢、例えば、ABS制御の開始直前の車両10のピッチ角又は車両10のピッチ角の変化速度である。一方、今後の車体姿勢の変化は、ABS制御の実施に伴って予測される車体姿勢の変化であり、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWに基づいて予測される。こうして、配分比率導出部102は、ABS制御の実施前後において、車体姿勢が大きく変化しないように、スリップ輪の制動力の配分比率αを調整する。他の実施形態において、目標車体姿勢は、制動操作部材33の操作量に基づいて算出することもできるし、ABS制御の減少条件又は増大条件の成立時点における車体姿勢とすることもできる。
より具体的には、配分比率導出部102は、スリップ輪に付与される回生制動力BFRがスリップ輪に付与される摩擦制動力BFPよりも大きく変化するように、スリップ輪の制動力の配分比率αを調整する。つまり、配分比率導出部102は、目標車輪制動力BFTWの変化の多くを回生制動力BFRの変化で賄うことで、ピッチング抑制力の変化幅を小さくする。
ただし、配分比率導出部102は、摩擦制動力BFPが所定値BFP0を下回らない範囲で、スリップ輪の制動力の配分比率αを調整する。所定値BFP0は、制動機構20のホイールシリンダ21内の液圧の応答性能から決まる固定値である。摩擦制動力BFPが所定値BFP0以上である場合には、摩擦制動力BFPを可変させる際の応答速度が高くなり、摩擦制動力BFPが所定値BFP0未満である場合には、摩擦制動力BFPを可変させる際の応答速度が低くなる。このように、所定値BFP0は、摩擦制動力BFPの応答性が良いか悪いかの判断基準として設定されている。
また、車両10の制動時において、制動力の配分比率αを小さくし過ぎる場合、言い換えれば、車輪FR,FL,RR,RLに付与する摩擦制動力BFPを小さくし過ぎる場合には、車両10に作用するアンチリフト力FAL及びアンチダイブ力FADも小さくなる。この場合、車両10の荷重移動に伴う車体姿勢の変化が大きくなりやすい。この点で、所定値BFP0は、荷重移動に伴って車体姿勢が大きく変化することを抑制できるような大きさに決定してもよい。
さらに、配分比率導出部102は、摩擦制動力BFPが所定値BFP0よりも大きな既定値BFP1となるように、スリップ輪の配分比率αを調整することが好ましい。既定値BFP1は、ABS制御中の減少条件が成立したときのスリップ輪の目標車輪制動力BFTWに応じた値である。例えば、既定値BFP1は、ABS制御中の減少条件が成立したときのスリップ輪の目標車輪制動力BFTWの所定割合の大きさとすればよい。
また、配分比率導出部102は、ABS制御の実施中において、スリップ輪とは別の車輪、言い換えれば、スリップが発生していない車輪の制動力の配分比率αも調整してもよい。例えば、右前輪FRがスリップ輪となる場合には、右後輪RRの制動力の配分比率αを変えたり、左後輪RLの制動力の配分比率αを変えたりしてもよい。スリップ輪とは別の車輪の制動力の配分比率αは、車体姿勢をどのように制御したいかによって決定すればよい。一例として、ABS制御の実施中において、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWが減少されることで発生する車体姿勢の変化を相殺するように、スリップ輪でない車輪の制動力の配分比率αを調整することが挙げられる。
また、制動制御装置100は、セレクトロー方式のABS制御を実施する。このため、前輪FR,FLに対してABS制御を実施する場合、配分比率導出部102は、前輪FR,FLのうちのロックしやすい前輪に合わせて、前輪FR,FLの制動力の配分比率αを導出する。また、後輪RR,RLに対してABS制御を実施する場合、配分比率導出部102は、後輪RR,RLのうちのロックしやすい後輪に合わせて、後輪RR,RLの制動力の配分比率αを導出する。
以下、図3を参照して、制動制御装置100が実施する処理の流れについて説明する。本処理は、所定の制御サイクルで繰り返し実行される。
図3に示すように、制動制御装置100は、ABS制御の開始条件が成立したか否かを判定する(S11)。例えば、制動制御装置100は、全ての車輪FR,FL,RR,RLのうち、何れかの車輪のスリップ量Slpがスリップ判定値SlpThを超える場合は、開始条件が成立したと判定できる。ABS制御の開始条件が成立していない場合(S11:NO)、制動制御装置100は、本処理を一旦終了する。一方、ABS制御の開始条件が成立している場合(S11:YES)、制動制御装置100は、制動操作部材33の操作量に応じた目標車両制動力BFTに基づき、車輪FR,FL,RR,RLごとに目標車輪制動力BFTWを導出する(S12)。詳しくは、制動制御装置100は、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWを目標車両制動力BFTとスリップ量Slpとに基づき導出し、スリップ輪ではない車輪の目標車輪制動力BFTWを目標車両制動力BFTに基づき導出する。
続いて、制動制御装置100は、目標の車体姿勢を示す状態値としての目標状態値VATを導出する(S13)。その後、制動制御装置100は、目標状態値VATを基に車輪FR,FL,RR,RLごとに制動力の配分比率αを導出する(S14)。この配分比率αは、目標状態値VATとABS制御の実施に伴って予測される今後の状態値の変化とに基づいて決定される。そして、制動制御装置100は、車輪FR,FL,RR,RLに付与される回生制動力BFR及び摩擦制動力BFPを配分比率αに基づいて更新する(S15)。例えば、右前輪FRに付与される回生制動力BFRは、右前輪FRの目標車輪制動力BFTWと配分比率αとの積で求まり、右前輪FRに付与される摩擦制動力BFPは、右前輪FRの目標車輪制動力BFTWと、「1」から配分比率αを減じた値「1-α」と、の積で求まる。
その後、制動制御装置100は、ABS制御の終了条件が成立しているか否かを判定する(S16)。終了条件は、例えば、制動操作部材33の操作量が「0」になった場合及び車両10が停止した場合などに成立する条件である。ABS制御の終了条件が成立していない場合(S16:NO)、制動制御装置100は、ステップS12に処理を移行する。ABS制御の終了条件が成立している場合(S16:YES)、制動制御装置100は、本処理を終了する。
第1実施形態の作用及び効果について説明する。
詳しくは、図4(a),(b)を参照して、車輪の目標車輪制動力BFTWが一定であるときに、当該車輪にスリップが発生する場合について説明する。なお、図4(a)には、スリップが発生する車輪の車輪速度VWSを実線で図示している。
図4(a),(b)に示すように、第1のタイミングt11において、ある車輪のスリップ量Slpが増大し始める。続いて、スリップが発生した車輪(以下、「スリップ輪」ともいう。)のスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh以上となる第2のタイミングt12で、スリップ輪を対象とするABS制御が開始される。
第2のタイミングt12から第3のタイミングt13までの期間では、スリップ輪のスリップ量Slpが増大する。このため、第2のタイミングt12から第3のタイミングt13までの期間は、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWが減少される減少期間T1となる。つまり、スリップ輪に付与される制動力が減少される。
減少期間T1では、目標車輪制動力BFTWの減少幅の全てが回生制動力BFRの減少で賄われる。言い換えれば、減少期間T1では、回生制動力BFRが減少する一方で、摩擦制動力BFPの大きさが一定に維持される。このため、減少期間T1では、配分比率αが減少する。その結果、スリップ輪に付与される制動力の減少に伴うピッチング抑制力の変化が抑制される。なお、第2のタイミングt12以降におけるスリップ輪に付与される摩擦制動力BFPの大きさは、減少期間T1の開始タイミングにおける目標車輪制動力BFTWの大きさに基づいて決定される。
続いて、第3のタイミングt13から第4のタイミングt14までの期間では、スリップ輪のスリップ量Slpが減少する。このため、第3のタイミングt13から第4のタイミングt14までの期間は、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWが維持される維持期間T2となる。つまり、スリップ輪に付与される制動力は一定に保たれる。維持期間T2では、配分比率αが保持される。
続いて、第4のタイミングt14から第5のタイミングt15までの期間では、スリップ輪のスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh未満となる。このため、第4のタイミングt14から第5のタイミングt15までの期間は、スリップ輪の目標車輪制動力BFTWが増大される増大期間T3となる。つまり、スリップ輪に付与される制動力が増大される。
増大期間T3では、目標車輪制動力BFTWの増大幅の全てが回生制動力BFRの増大で賄われる。言い換えれば、増大期間T3では、回生制動力BFRが増大する一方で、摩擦制動力BFPの大きさが一定に維持される。このため、増大期間T3では、配分比率αが増大する。その結果、スリップ輪に付与される制動力の増大に伴うピッチング抑制力の変化が抑制される。
第5のタイミングt15になると、再び、スリップ輪のスリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh以上となる。このため、第5のタイミングt15から減少期間T1が開始される。第5のタイミングt15以降におけるスリップ輪に付与される摩擦制動力BFPの大きさは、減少期間T1の開始タイミングにおける目標車輪制動力BFTWの大きさに基づいて決定される。第5のタイミングt15における目標車輪制動力BFTWは、第2のタイミングt12における目標車輪制動力BFTWよりも小さくなっている。このため、第5のタイミングt15における摩擦制動力BFPは、第2のタイミングt12における摩擦制動力BFPよりも小さくなっている。
第5のタイミングt15よりも後にスリップ量Slpの増大傾向が解消されると、減少期間T1が終了し、維持期間T2が開始する。その後、スリップ量Slpがスリップ判定値SlpTh未満となると、維持期間T2が終了し、増大期間T3が開始する。こうして、ABS制御の実施中には、減少期間T1、維持期間T2及び増大期間T3が繰り返される。つまり、ABS制御の実施中には、スリップ輪に付与される制動力の増減に伴い、スリップ輪を支持する車体部位に作用するピッチング抑制力が増減することになる。この点、第1実施形態は、スリップ輪に付与される制動力の増減をスリップ輪に付与される回生制動力BFRの増減で実現するため、スリップ輪を支持する車体部位に作用するピッチング抑制力の増減が抑制される。その結果、ABS制御の実施中における車体姿勢が、目標車体姿勢となるABS制御の直前の車体姿勢から大きく変化することが抑制される。
図4に示すように、ABS制御の実施中において、スリップ輪には、所定値BFP0よりも大きな摩擦制動力BFPが付与される。すなわち、スリップ輪に対して設けられているホイールシリンダ21内にはある程度の量のブレーキ液が貯留されている。このため、ABS制御の実施中に摩擦制動力BFPを変化させる必要が生じた状況下において、摩擦制動力BFPが所定値BFP0未満の場合と異なり、摩擦制動力BFPの応答速度の低下を抑制できる。
また、ABS制御の実施中において、スリップ輪には、減少期間T1の開始タイミングにおける目標車輪制動力BFTWに応じた摩擦制動力BFPが付与される。このため、例えば、ABS制御の終了後、スリップ輪の制動力の配分比率αを小さくしたい場合、言い換えれば、目標車輪制動力BFTWに占める摩擦制動力BFPの割合を増大させたい場合に、速やかな対応が可能となる。
なお、ABS制御の実施中には、スリップ輪ではない車輪の制動力の配分比率αを調整することで、ABS制御の実施に伴う車体姿勢の変化を制御することが好ましい。例えば、スリップ輪に付与される制動力が減少されることに起因してピッチング抑制力が減少している場合、ABS制御によって制動力が変動していない車輪に付与する制動力の配分比率αを減少させるとよい。これにより、スリップ輪の制動力が減少されることに起因するピッチング抑制力の減少を抑制することが可能となる。これによれば、スリップ輪に付与される制動力の大きさの変化に伴い車体姿勢が変化する場合であっても、スリップ輪でない車輪の制動力の配分比率αを調整することにより、車体姿勢の変化が制御される。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る制動制御装置100Aについて説明する。以降の説明において、第1実施形態と共通又は対応する部材構成については同一符号を付して重複する説明を省略する。
図5に示すように、車両10は、車両統合制御装置200を備えている。車両統合制御装置200は、自動運転によって車両10を走行させる際における各種の指令を、車載アクチュエータの制御を司る他の制御装置に送信する。車載アクチュエータは、例えば、液圧制動装置30と、モータジェネレータ41F,41Rと、前輪FR,FLの転舵角を調整する転舵装置と、を含む。また、制御装置は、例えば、電動機として機能するモータジェネレータ41F,41Rを制御する駆動制御装置と、発電機として機能するモータジェネレータ41F,41Rと液圧制動装置30とを制御する制動制御装置100Aと、転舵装置を制御する転舵制御装置と、を含む。制動制御装置100Aは、車両統合制御装置200から制動指示及び停車指示を受信したときに、液圧制動装置30を駆動させることによって車両10に付与する制動力を制御する。
制御量導出部101は、車両10が自動運転中でない場合には、ストロークセンサ52からの検出信号などに基づいて目標車両制動力BFTを導出し、車両10が自動運転中である場合には、車両統合制御装置200から入力される信号に基づいて目標車両制動力BFTを導出する。
配分比率導出部102は、車両10に付与される制動力を回生制動力BFR及び摩擦制動力BFPに配分するための比率(以下、「配分比率β」ともいう。)を導出する。第2実施形態において、制動力の配分比率βは、車輪FR,FL,RR,RLごとに導出されるものではなく、車両10に対して導出される。つまり、配分比率βが「0」の場合、車両10には、回生制動力BFR及び摩擦制動力BFPのうち、摩擦制動力BFPのみが付与される。一方、配分比率βが「1」の場合、車両10には、回生制動力BFR及び摩擦制動力BFPのうち、回生制動力BFRのみが付与される。
なお、第2実施形態でいう「自動運転」とは、車両10の加減速を車両10側で自動調整することを含んでいる。すなわち、運転者によるアクセル操作及び制動操作によらず車両10を走行させるのであれば、舵角の制御を車両10側で自動的に調整する場合であっても、運転者によるステアリング操作によって舵角を調整する場合であっても、自動運転に該当するものとする。
以下、第2実施形態において、制動力の配分比率βを調整することにより、車体姿勢を制御する態様について説明する。以降の記載では、運転者が手動で車両10を運転することを「手動運転」という。
手動運転中の車両10が減速する場合には、車両10が減速していることを運転者に知らせるために車両10に減速度に応じたピッチング挙動が発生することが好ましい場合がある。一方、自動運転中の車両10が減速する場合には、運転者を含む乗員の乗り心地の向上のために車両10に減速度に応じたピッチング挙動が発生しないことが好ましい場合がある。つまり、車両10の運転者の運転操作の有無に応じて、車両10の減速時における目標車体姿勢が異なる場合がある。
第1実施形態で説明したように、前輪FR,FLに付与される制動力が一定である場合には、前輪FR,FLに付与される回生制動力BFRが大きいほど車両10に発生するアンチダイブ力FADが小さくなる。また、後輪RR,RLに付与される制動力が一定である場合には、後輪RR,RLに付与される回生制動力BFRが大きいほど車両10に発生するアンチリフト力FALが小さくなる。
つまり、制動力の配分比率βを変えることにより、車両10に発生するピッチング抑制力を変更できる。例えば、車両10に発生するピッチング抑制力が小さくなるように制動力の配分比率βを変えることにより、車両10の減速時におけるピッチング挙動を大きくすることができる。一方、車両10に発生するピッチング抑制力が大きくなるように制動力の配分比率βを変えることにより、車両10の減速時におけるピッチング挙動を小さくすることができる。なお、ここでいう「ピッチング挙動が大きい」とは、車両10のピッチ角が大きくなったり、車両10のピッチ角の変化速度が大きくなったりすることである。
そこで、配分比率導出部102は、車両10の運転者の運転操作の有無に応じて、目標車体姿勢を設定する。以下、詳しく説明する。
手動運転中の車両10が減速する場合には、車両10の減速度に応じて車体姿勢が変化することが好ましい。このため、配分比率導出部102は、手動運転中の車両10が減速する場合には、車両10の減速度に応じたピッチング挙動が発生するように目標車体姿勢を設定し、制動力の配分比率βを導出する。なお、手動運転中において、配分比率導出部102は、減速度に応じたピッチング挙動よりも大きなピッチング挙動を車両10に発生させる配分比率βを導出してもよい。
一方、自動運転中の車両10が減速する場合には、車両10の減速度に応じて車体姿勢が変化しないことが好ましい。このため、配分比率導出部102は、自動運転中の車両10が減速する場合には、車両10に減速度に応じたピッチング挙動が発生しないように目標車体姿勢を設定し、制動力の配分比率βを導出する。なお、自動運転中であっても、乗員に車両10が減速していることを知らせる必要が生じた場合には、車両10に減速度に応じたピッチング挙動が発生するように、制動力の配分比率βを導出してもよい。
一例として、配分比率導出部102は、車両10のピッチング挙動を大きくしたいという要求がある場合と車両10のピッチング挙動を小さくしたいという要求がある場合とで、大きさの異なる2つの配分比率βを使い分ければよい。
第2実施形態の作用及び効果について説明する。
手動運転中の車両10が減速する状況下では、車両10の全体としてピッチング抑制力を小さくする方向に制動力の配分比率βが変化する。このように配分比率βを変えることにより、車両10のピッチング挙動が比較的大きくなる。つまり、運転者の制動要求に応じて、車両10の車体姿勢が変化する点で、運転者の車両10の乗り心地が向上する。
一方、自動運転中の車両10が減速する状況下では、車両10の全体としてピッチング抑止力を大きくする方向に制動力の配分比率βが変化する。このように配分比率βを変えることにより、車両10のピッチング挙動が比較的小さくなる。つまり、車両10の車体姿勢の変化が抑制される点で、運転者を含む乗員の車両10の乗り心地が向上する。
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・制動制御装置100は、ABS制御の実施中に関わらず、車両10の制動時における車体姿勢と任意の目標車体姿勢との比較結果に基づいて、車輪FR,FL,RR,RLの制動力の配分比率αを調整してもよい。以下、図6を参照して、制動制御装置100が実施する処理の流れについて説明する。
図6に示すように、制動制御装置100は、目標車両制動力BFTが「0」よりも大きいか否か、言い換えれば、制動要求の有無を判定する(S21)。目標車両制動力BFTが「0」の場合(S21:NO)、制動制御装置100は、本処理を終了する。一方、目標車両制動力BFTが「0」よりも大きい場合(S21:YES)、制動制御装置100は、現在の車体姿勢を示す状態値としての実状態値VAと、目標の車体姿勢を示す状態値としての目標状態値VATと、を導出する(S22,S23)。
例えば、実状態値VAをピッチ角とする場合には、目標状態値VATは目標ピッチ角となる。実状態値VA及び目標状態値VATは、ピッチ角の変化速度であってもよいし、車体のローリング挙動の大きさを示す値であってもよいし、車体のヨーイング挙動の大きさを示す値であってもよいし、他の値であってもよい。また、目標状態値VATは、目標車両制動力BFTに応じた値としてもよいし、走行速度に応じた値としてもよいし、運転者の好みに応じた値としてもよいし、他の値であってもよい。目標状態値VATを固定値とする場合には、ステップS23の処理を省略することもできる。
続いて、制動制御装置100は、実状態値VAと目標状態値VATとの差が小さくなるように、車輪FR,FL,RR,RLの制動力の配分比率αを導出する(S24)。例えば、目標状態値VATに応じたピッチ角が実状態値VAに応じたピッチ角よりも小さい場合、ピッチ角が小さくなるように配分比率αが導出される。そして、制動制御装置100は、車輪FR,FL,RR,RLに付与される回生制動力BFR及び摩擦制動力BFPを更新する(S25)。
この変更例は、車両10の制動時における車体姿勢を目標車体姿勢に近付けることができる。このため、この変更例は、運転者を含む乗員の乗り心地を向上できる。
なお、図6を用いて説明した変更例にあっては、実状態値VAと目標状態値VATとを基に、各車輪FR,FL,RR,RLにおける配分比率αを設定している。しかし、実状態値VAと目標状態値VATとを基に、配分比率βを設定するようにしてもよい。
・車両10が走行する路面に凹凸が存在する場合には、車輪FR,FL,RR,RLが路面の凹凸を乗り越える際に車体姿勢が変化するおそれがある。そこで、制動制御装置100は、車両10が凹凸の存在する路面を走行する状況下において、車両10に制動力を付与する場合には、上述した車体姿勢の変化が小さくなるように、制動力の配分比率αを調整することが好ましい。
制動制御装置100は、路面情報取得装置61から出力される情報に基づいて、今後の車体姿勢の変化を予測する。例えば、両前輪FR,FLが上り勾配の斜面に差し掛かる場合には、車両10にノーズリフトが起こることが予測され、両前輪FR,FLが下り勾配の斜面に差し掛かる場合には、車両10にノーズダイブが起こることが予測される。
続いて、制動制御装置100は、今後予測される車体姿勢の変化と目標車体姿勢とに基づいて、制動力の配分比率αを導出する。詳しくは、制動制御装置100は、路面からの入力に起因する車体姿勢の変化を打ち消すように、制動力の配分比率αを導出する。例えば、車両10にノーズリフトが起こることが予測される場合には、前輪摩擦制動力BFPfが大きくなるように、配分比率αが導出される。そして、制動制御装置100は、車輪FR,FL,RR,RLに付与される回生制動力BFR及び摩擦制動力BFPを更新する。
この変更例は、路面の凹凸によって、車両10にノーズリフトが起こる場合には、車体前部に作用するアンチリフト力を増大させ、車両10にノーズダイブが起こる場合には、車体前部に作用するアンチダイブ力を増大させることができる。このため、この変更例は、路面の凹凸による車体姿勢の変化を抑制できる。
・第1実施形態において、配分比率導出部102は、スリップ輪の制動力の配分比率αを「1」としてもよい。つまり、ABS制御の実施に伴うスリップ輪の目標車輪制動力BFTWをスリップ輪に付与される回生制動力BFRのみで賄ってもよい。
・第1実施形態において、ABS制御の実施に伴う車体姿勢の変化を運転者に知らせる要求がある場合には、配分比率導出部102は、スリップ輪の制動力の配分比率αを「0」としてもよい。つまり、ABS制御の実施に伴うスリップ輪の目標車輪制動力BFTWの変化をスリップ輪に付与される摩擦制動力BFPのみで賄ってもよい。
・第1実施形態において、配分比率導出部102は、ABS制御の実施中に摩擦制動力BFPを変化させないように、スリップ輪の制動力の配分比率αを導出してもよい。この場合、摩擦制動力BFPは、所定値BFP0から変化させないようにしてもよいし、ABS制御の開始条件が成立した時点での摩擦制動力BFPから変化させないようにしてもよい。
・制動制御装置100,100Aは、車両10に要求される駆動力が変化する場合、車両10の操舵量が変化する場合及びアクティブサスペンションの制御量が変化する場合などに、配分比率α,βを調整してもよい。
車両10に要求される駆動力が大きくなる場合、言い換えれば、車両10が加速する場合には、車両後方に荷重移動が起こることにより、車両10にピッチング挙動が発生する。詳しくは、車両10が減速する場合とは異なり、車体前部が浮き上がるノーズリフトと車体後部が沈み込むリアダイブとが起こる。この場合、制動制御装置100,100Aは、車両10の加速に影響を与えない程度の制動力を車両10に付与してもよい。さらに、制動制御装置100,100Aは、車両10の加速に伴う車体姿勢の変化を抑制すべく、制動力の配分比率α,βを調整してもよい。これによれば、車両10の加速に伴う車体姿勢の変化を抑制できる。
車両10の制動時において、車両10の操舵量が大きくなる場合、言い換えれば、車両10が旋回する場合には、幅方向に荷重移動が起こることにより、車両10にローリング挙動が発生する。そこで、制動制御装置100,100Aは、車両10の旋回に伴う車体姿勢の変化を抑制すべく、制動力の配分比率α,βを調整してもよい。これによれば、車両10の旋回に伴う車体姿勢の変化を抑制できる。
アクティブサスペンションを搭載する車両において、アクティブサスペンションの制御量が変化する場合、言い換えれば、サスペンションのばね定数及び減衰係数が変化する場合には、車体姿勢が変化する。そこで、制動制御装置100,100Aは、アクティブサスペンションの制御に伴う車体姿勢の変化を抑制すべく、制動力の配分比率α,βを調整してもよい。これによれば、アクティブサスペンションの制御量の変化に伴う車体姿勢の変化を抑制できる。
・制動制御装置100,100Aは、運転者を含む乗員の好みに基づいて、目標車体姿勢を設定してもよい。例えば、制動制御装置100,100Aは、運転者の過去の運転履歴に基づいて目標車体姿勢を設定してもよいし、運転者の運転内容が車体姿勢にどの程度反映されるかを示すパラメータを運転者自身に選択させてもよい。この変更例は、制動時などの車体姿勢の変化態様を、運転者を含む乗員の好みに応じた車体姿勢の変化態様にできる。運転者の過去の運転履歴としては、例えば、運転者の制動操作部材33の操作速度を挙げることができる。操作速度が大きくなりやすい運転者の場合には、ピッチ角が大きくなるように目標車体姿勢を設定してもよい。
・ABS制御は、運転者が制動操作部材33を操作する場合だけでなく、自動運転中の車両10の車輪FR,FL,RR,RLに制動力が付与される場合にも実施され得る。したがって、第1実施形態に係る制動制御装置100は、自動運転車両の制動制御装置に適用することもできる。
・車両10は、車輪FR,FL,RR,RLに摩擦制動力BFPを付与できるのであれば、液圧制動装置30を備えなくてもよい。例えば、車両10は、液圧制動装置30に代えて、モータの駆動により摩擦材23を回転体22に対して移動させる電動制動装置を備えてもよい。この場合、電動制動装置が「車輪制動装置」の一例に相当する。
・エンジンブレーキによる制動力は、車輪FR,FL,RR,RLの車軸に作用する「車軸制動力」の一例といえる。つまり、車両10が自動変速機を備える場合、変速比の切り替えにより車軸制動力を変化できる。この場合、車両10の自動変速機が「車軸制動装置」の一例に相当する。
・車両10は、前輪FR,FL用のモータジェネレータ41F及び後輪RR,RL用のモータジェネレータ41Rの一方のみを備えてもよい。つまり、車両10は、前輪FR,FL及び後輪RR,RLの一方だけに回生制動力BFRを付与できる車両であってもよい。また、車両10は、右前輪FR用のモータジェネレータ及び左前輪FL用のモータジェネレータを備えてもよいし、右後輪RR用のモータジェネレータ及び左後輪RL用のモータジェネレータを備えてもよいし、車輪FR,FL,RR,RLごとにモータジェネレータを備えてもよい。
・車両10が車輪FR,FL,RR,RLごとにモータジェネレータを備える場合、配分比率導出部102は、車輪FR,FL,RR,RLのうち任意の車輪の制動力の配分比率αだけを調整できる。例えば、左前輪FLの制動力の配分比率αを変化させずに、右前輪FRの制動力の配分比率αを変化させる場合、車体左前部のアンチダイブ力FADが変化することなく、車体右前部のアンチダイブ力FADが変化する。同様に、右後輪RRの制動力の配分比率αを変化させずに、左後輪RLの制動力の配分比率αを変化させる場合、車体右後部のアンチリフト力FALが変化することなく、車体左後部のアンチリフト力FALが変化する。したがって、制動制御装置100は、旋回中の車両10に制動力が付与される状況下において、右側の車輪FR,RRの制動力の配分比率α及び左側の車輪RR,RLの制動力の配分比率αを異ならせることで、車両10のロール角及び当該ロール角の変化速度を調整できる。
・制動制御装置100,100Aは、以下(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する一つ以上のプロセッサを備える。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。(b)各種処理を実行する一つ以上の専用のハードウェア回路を備える。専用のハードウェア回路は、たとえば、特定用途向け集積回路すなわちASIC(Application Specific Integrated Circuit)、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等である。(c)各種処理の一部をコンピュータプログラムに従って実行するプロセッサと、各種処理のうち残りの処理を実行する専用のハードウェア回路と、を備える。
10…車両
11F,11R…車軸
20…制動機構
21…ホイールシリンダ
30…液圧制動装置(車輪制動装置の一例)
40…回生制動装置(車軸制動装置の一例)
61…路面情報取得装置
100,100A…制動制御装置
101…制御量導出部
102…配分比率導出部
103…制動制御部
FR,FL,RR,RL…車輪
BFT…目標車両制動力
BFTW…目標車輪制動力
BFR…回生制動力(車軸制動力の一例)
BFP…摩擦制動力(車輪制動力の一例)
BFP0…所定値
α,β…配分比率

Claims (6)

  1. 車両の車輪に車輪制動力を付与する車輪制動装置と、前記車輪の車軸に車軸制動力を付与する車軸制動装置と、を備える車両に適用される制動制御装置であって、
    前記車両の車体姿勢の目標である目標車体姿勢に基づいて、前記車両に付与する制動力を前記車輪制動力と前記車軸制動力とに配分するための配分比率を調整することにより、前記車体姿勢を制御する制御部を備える
    ことを特徴とする制動制御装置。
  2. 前記制御部は、現在の前記車体姿勢と前記目標車体姿勢との比較結果に基づいて、前記配分比率を調整する
    請求項1に記載の制動制御装置。
  3. 前記制御部は、今後予測される前記車体姿勢の変化と前記目標車体姿勢とに基づいて、前記配分比率を調整する
    請求項1又は請求項2に記載の制動制御装置。
  4. 前記制御部は、前記車両に付与する制動力の変化、前記車両に付与する駆動力の変化及び操舵の変化のうち少なくとも1つに基づいて、今後の前記車体姿勢の変化を予測する
    請求項3に記載の制動制御装置。
  5. 前記制御部は、前記車両の外部の情報に基づいて、今後の前記車体姿勢の変化を予測する
    請求項3又は請求項4に記載の制動制御装置。
  6. 前記制御部は、前記車両の運転者による運転操作の有無に応じて、前記目標車体姿勢を設定する
    請求項1~請求項5の何れか一項に記載の制動制御装置。
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