以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、及びZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。また、各図においてGは、鉛直方向に沿った空間軸を表しており、矢印が向かう方向である+G方向が鉛直下向き(別称、重力方向)であり、矢印の反対方向である-G方向が鉛直上向きである。
図1は、本発明の一実施形態に係る液体噴射装置であるインクジェット式記録装置1の概略構成を示す図である。以下において、X、Y、Zの3つの空間軸のうち、後述するインクジェット式記録ヘッド2から噴射されるインク滴の噴射方向を+Z方向としている。
図1に示すように液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置1は、液体の一種であるインクをインク滴として印刷用紙等の媒体Sに吐出・着弾させて、当該媒体Sに形成されるドットの配列により画像等の印刷を行う印刷装置である。なお、媒体Sとしては、記録用紙の他、樹脂フィルムや布等の任意の材質を用いることができる。
インクジェット式記録装置1は、液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド2(以下、単に記録ヘッド2とも言う)と、液体供給部3と、媒体Sを送り出す搬送機構4と、支持台5と、保持部材6と、を具備し、これら記録ヘッド2、液体供給部3、搬送機構4、支持台5及び保持部材6が筐体7内に収容されている。
記録ヘッド2は、保持部材6によって筐体7内に保持されている。保持部材6によって保持された記録ヘッド2は、インク滴の噴射方向である+Z方向が鉛直下向き(別称、重力方向)である+G方向に対して、傾斜した方向となるように保持されている。つまり、記録ヘッド2のノズル101が形成されたX軸及びY軸で規定されるXY平面に沿って設けられた噴射面100aは、噴射面100aを水平面に揃えた姿勢から、X軸に沿った仮想的な回転軸を中心に回転した姿勢とされている。すなわち、噴射面100aの+Y方向の端部100bが、噴射面100aの+Y方向とは反対方向である-Y方向の端部100cよりも鉛直方向の上方、つまり-G方向側に位置するように傾斜した状態で記録ヘッド2は保持されている。そして、このように噴射面100aを傾斜させることにより、ノズル101から噴射されるインク滴の噴射方向である+Z方向を、+G方向に対して+Y方向に傾斜させた方向とすることができる。なお、記録ヘッド2の+G方向に対する傾斜角度θ、すなわち、インク滴の噴射方向である+Z方向の+G方向に対する傾斜角度θは、例えば、0≦θ≦90°の範囲内に設定される。もちろん、傾斜角度θは、90°<θ≦180°であってもよい。
また、記録ヘッド2は、媒体Sの搬送方向に直交する方向であるX軸に沿った方向の印刷範囲が、媒体SのX軸に沿った方向の印刷範囲以上となるように配置された多数のノズル101を備えた+X方向に長尺なラインヘッドである。つまり、本実施形態の記録ヘッド2は、筐体7に対してX軸及びY軸に沿って移動しないように固定された状態で、ノズル101が媒体SのX軸に沿った方向の印刷範囲の以上となるように配置された構成を有し、このような構成をラインヘッドと称する。
本実施形態の媒体Sは、例えば、連続紙などの記録用紙、布、樹脂フィルム等からなる媒体の一種であり、操出軸8にロール状に巻き付けられた状態で保持されている。この媒体Sは、搬送機構4によって記録ヘッド2のノズル101形成された噴射面100aに対して間隔を空けて配置されたプラテン等の支持台5上に搬送され、支持台5上で記録ヘッド2によって印刷が行われる。支持台5上で記録ヘッド2によって印刷された媒体Sは、搬送機構4によって巻取軸9に巻き取られるように構成されている。
支持台5の媒体Sが載置される載置面は、記録ヘッド2の噴射面100aの傾斜角度に合わせて傾斜して配置されている。すなわち、支持台5の載置面は、噴射面100aと同様にXY平面に沿って配置されている。つまり、印刷動作の際に噴射面100aの各ノズル101と媒体Sとの間隔が一定となる用に、噴射面100aと支持台5との傾斜角度θが設定されている。このように媒体Sと噴射面100aの各ノズル101との間隔を揃えることで、各ノズル101から噴射されたインク滴の媒体S上での着弾位置ズレを低減することができる。したがって、媒体Sに印刷された画像等の画質の劣化を抑制することができる。なお、媒体Sは、連続紙のようなものに限定されず、記録ヘッド2のノズル101から噴射されたインク滴が着弾可能な種々の被噴射媒体を採用することができる。例えば、立体的な形状を有する被噴射媒体に対してインク滴を噴射させる用途にも本発明を適用することができる。また、支持台5は、媒体Sを載置する載置面が平坦なプラテンに限定されず、媒体Sを載置する載置面が曲面となるドラム等の所謂ドラムプラテンであってもよい。また、無端ベルト等の搬送ベルトによって媒体Sの裏面側を支持するようにしてもよい。
搬送機構4は、給紙ローラー10と搬送ローラー11とを備えている。給紙ローラー10は、媒体Sを挟持した状態で互いに反対方向に同期回転可能な上下一対のローラーにより構成されている。給紙ローラー10は、図示しないモーターの動力によって駆動され、媒体Sを操出軸8側から支持台5側に供給する。搬送ローラー11は、給紙ローラー10とは支持台5を挟んで反対側に配置され、印刷後の媒体Sを巻取軸9側に案内する。なお、媒体Sは、必ずしも巻取軸9に巻き取られなくてもよい。また、本実施形態では、搬送機構4は、給紙ローラー10と搬送ローラー11とを備えたものを例示したが、特にこれに限定されず、ベルトやドラムによって媒体Sを搬送するものであってもよい。
液体供給部3は、インクが収容された液体容器12と、液体容器12からのインクを記録ヘッド2へ供給する導入路13と、記録ヘッド2から排出されたインクを液体容器12に戻す排出路14と、を備える。
液体容器12は、記録ヘッド2から噴射されるインクを貯留するものである。液体容器12は、色や種類の異なる複数種類のインクを個別に収容する。本実施形態では、4つの液体容器12が筐体7内に設けられている。このような液体容器12としては、着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクを補充可能なインクタンクなどが挙げられる。なお、液体容器12の数は特に限定されず、1つであってもよく、また、2以上の複数であってもよい。
導入路13は、液体容器12からのインクを記録ヘッド2に供給するものであり、チューブ等の導入管の内部に設けられたものである。導入路13は、インクの種類毎に独立して設けられている。すなわち、本実施形態の導入路13は、4つの液体容器12に対応して4つ設けられている。なお、図1では、複数の導入路13は、纏めて一つに図示している。
このような各導入路13の途中には、液体容器12からのインクを記録ヘッド2に向かって圧送する圧送手段15が設けられている。圧送手段15としては、例えば、液体容器12を外部から押圧する押圧手段や、加圧ポンプ等が上げられる。本実施形態では、圧送手段15として加圧ポンプが設けられている。なお、圧送手段15としては、例えば、記録ヘッド2と液体容器12との鉛直方向の相対位置を調整して発生する水頭圧差を用いるようにしてもよい。
排出路14は、記録ヘッド2から排出されたインクを液体容器12に戻すものであり、チューブ等の排出管の内部に設けられたものである。排出路14は、インクの種類毎に独立して設けられている。すなわち、排出路14は、4つの液体容器12に対応して4つ設けられている。なお、図1では、複数の排出路14は、纏めて一つに図示している。なお、各排出路14には、記録ヘッド2からインクを吸引する吸引ポンプ等の吸引手段が設けられていてもよい。また、排出路14は、記録ヘッド2から排出されたインクを液体容器12に戻すものに限定されず、例えば、排出路14を介して排出されたインクを、液体容器12とは別の排出用のタンク等に排出するようにしてもよい。
ここで、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド2について図2~図5を参照して説明する。なお、なお、図2は、記録ヘッド2の分解斜視図である。図3は、記録ヘッド2の噴射面100a側の平面図である。図4は、フィルターユニット110を+Z方向に見た平面図である。図5は、図4のA-A′線断面図である。
図2に示すように、本実施形態の記録ヘッド2は、複数のヘッドユニット20と、複数のヘッドユニット20を保持するユニットベース30と、複数のヘッドユニット20に液体を供給する流路部材40と、を具備する。
ヘッドユニット20は、ユニットベース30の+Z方向側、すなわち、媒体Sに相対向する面側に保持されている。また、複数のヘッドユニット20は、+X方向に3以上並べて配置されている。本実施形態では、1つのユニットベース30には、5個のヘッドユニット20が+X方向に並べて配置されている。もちろん、1つのユニットベース30に固定されるヘッドユニット20の数は、特にこれに限定されず、1個であってもよく、2個以上の複数個であってもよい。
各ヘッドユニット20は、複数のヘッドチップ100と、ヘッドチップ100に供給されるインクの流路を有するフィルターユニット110と、複数のヘッドチップ100を保持するホルダー120と、複数のヘッドチップ100の噴射面100a側に設けられた固定板130と、を具備する。
ヘッドチップ100には、+Z方向側にインク滴を噴射するノズル101が並設されたノズル列102が設けられている。本実施形態では、1つのヘッドチップ100には、2個のノズル列102が設けられている。このヘッドチップ100のノズル101が設けられた面を噴射面100aと称する。
また、ヘッドチップ100の図示しない内部には、ノズル101に連通する流路と、流路内のインクに圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、が設けられている。圧力発生手段としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を有する圧電アクチュエーターの変形によって流路の容積を変化させて流路内のインクに圧力変化を生じさてノズル101からインク滴を噴射させるものを使用することができる。また、その他の圧力発生手段としては、流路内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル101からインク滴を噴射させるものや、振動板と電極との間に静電気力を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル101からインク滴を噴射させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
フィルターユニット110は、図4及び図5に示すように、ヘッドチップ100に供給されるインクの流路の一部となるフィルター室111と、フィルター室111に配置されたフィルターFとを具備する。
具体的には、フィルターユニット110は、第1フィルター部材113、第2フィルター部材114がこの順番で+Z方向に積層されて構成されている。
フィルターユニット110の内部には、フィルターFを収容するフィルター室111が設けられている。フィルター室111は、ヘッドユニット20に供給されるインクの種類、本実施形態では、インクの色毎に独立して設けられている。すなわち、フィルターユニット110には、フィルター室111が4個設けられている。各フィルター室111は、第1フィルター部材113と第2フィルター部材114とが互いに固定された界面に設けられている。このフィルター室111は、第1フィルター部材113に設けられた凹部と、第2フィルター部材114に設けられた凹部との開口同士を合わせることで形成されている。また、フィルター室111内には、フィルターFが設けられている。フィルターFは、第1フィルター部材113と第2フィルター部材114とが互いに固定された界面に設けられており、フィルター室111を上流フィルター室111aと下流フィルター室111bとに区切っている。つまり、第1フィルター部材113に設けられた凹部が上流フィルター室111aとなり、第2フィルター部材114に設けられた凹部が下流フィルター室111bとなっている。なお、上流フィルター室111aとは、ヘッドユニット20においてインクを噴射するノズル101から相対的に遠い方を言い、下流フィルター室111bとは、ノズル101に相対的に近い方を言う。
このようなフィルター室111に設けられたフィルターFは、インクに含まれる気泡やゴミなどの異物を捕捉してインクを濾過するものであり、例えば、金属や樹脂等の繊維を細かく織る又は編むことで複数の微細孔が形成されたシート状のものや、金属や樹脂等の板状部材に複数の微細孔を貫通させたものなどを用いることができる。また、フィルターFは、例えば、金属や樹脂等の不織布を用いてもよい。
フィルターユニット110には、上流フィルター室111aに連通するフィルター室流入路115及びフィルター室排出路116と、下流フィルター室111bに連通するフィルター室流出路117と、がフィルター室111毎に設けられている。本実施形態のフィルターユニット110は、フィルター室111を4つ有しており、4種類のインクに対応可能である。もちろん、フィルター室111は、同じ種類のインク(一例として同じインクの色)が流れる構成であってもよい。
フィルターユニット110は、4つのフィルター室111の夫々に対応してフィルター室流入路115A、115B、115C、115Dを有する。なお、フィルター室流入路115は、フィルター室流入路115A、115B、115C、115Dを特に区別していない場合に使用している。フィルター室流入路115A、115B、115C、115Dは、Y軸に対して異なる位置に配置されている。具体的には、フィルター室流入路115のうち、フィルター室流入路115Aは最も+Y方向に配置され、フィルター室流入路115Bはフィルター室流入路115Aを除いて最も+Y方向に配置され、フィルター室流入路115Cはフィルター室流入路115Dを除いて最も-Y方向に配置され、フィルター室流入路115Dは最も-Y方向に配置されている。また、複数のヘッドユニット20の夫々に対応する複数のフィルター室流入路115Aは、Y軸に対して同じ位置にあり、複数のヘッドユニット20の夫々に対応する複数のフィルター室流入路115Bは、Y軸に対して同じ位置にあり、複数のヘッドユニット20の夫々に対応する複数のフィルター室流入路115Cは、Y軸に対して同じ位置にあり、複数のヘッドユニット20の夫々に対応する複数のフィルター室流入路115Dは、Y軸に対して同じ位置にある。
また、フィルターユニット110は、4つのフィルター室111の夫々に対応してフィルター室排出路116A、116B、116C、116Dを有する。なお、フィルター室排出路116は、フィルター室排出路116A、116B、116C、116Dを特に区別していない場合に使用している。フィルター室排出路116のうち、フィルター室排出路116A及びフィルター室排出路116Bは、Y軸に対して略同じ位置に配置され、フィルター室排出路116C及びフィルター室排出路116Dよりも+Y方向に配置されている。フィルター室排出路116C及びフィルター室排出路116Dは、Y軸に対して略同じ位置に配置されている。また、複数のヘッドユニット20の夫々に対応する複数のフィルター室排出路116Aは、Y軸に対して同じ位置にあり、複数のヘッドユニット20の夫々に対応する複数のフィルター室排出路116Bは、Y軸に対して同じ位置にあり、複数のヘッドユニット20の夫々に対応する複数のフィルター室排出路116Cは、Y軸に対して同じ位置にあり、複数のヘッドユニット20の夫々に対応する複数のフィルター室排出路116Dは、Y軸に対して同じ位置にある。
フィルター室流入路115は、フィルター室111内にインクを供給するための流路であり、一端が上流フィルター室111aを形成する凹部の底面、すなわち、凹部内の+Z方向側の面に開口し、他端が第1フィルター部材113の+Z方向側の面から突出して設けられたフィルター室流入路用突起部115aの+Z方向の先端に開口するようにZ軸に沿って設けられている。
フィルター室排出路116は、フィルター室111内のインクを外部に排出するための流路であり、一端が上流フィルター室111aを形成する凹部の底面に開口し、他端が第1フィルター部材113の+Z方向側の面から突出して設けられたフィルター室排出路用突起部116aの+Z方向の先端に開口するようにZ軸に沿って設けられている。
フィルター室流出路117は、フィルター室111内のインクを、ホルダー120を介してヘッドチップ100に向かって流出させるための流路であり、一端が下流フィルター室111bを形成する凹部の底面、すなわち、凹部の-Z方向側の面に開口して設けられている。
フィルター室流入路115から上流フィルター室111aに供給されたインクは、フィルターFによって濾過されて下流フィルター室111bからフィルター室流出路117を通ってホルダー120を介して複数のヘッドチップ100に供給される。また、フィルター室流入路115から上流フィルター室111aに供給されたインクや、フィルター室111内の気泡は、フィルター室排出路116を介してヘッドユニット20の外部に排出される。
なお、フィルターFは、ノズル101が形成された噴射面100aと平行となるように配置されている。このため、フィルターFの傾斜角度、すなわち、鉛直下向きの+G方向に対するフィルターFの垂線方向の傾斜角度は、噴射面100aの傾斜角度と同じである。
また、フィルター室111は、フィルターFに垂直な方向である+Z方向に見た平面視で、略菱形形状を有する。そして、フィルター室排出路116のフィルター室111への開口は、ヘッドユニット20が、+Y方向の端部を-Y方向の端部よりも鉛直上側に位置する姿勢となった場合に、フィルター室流入路115のフィルター室111への開口よりも鉛直上側となる位置に配置されている。つまり、ヘッドユニット20は、インクジェット式記録装置1内で+Y方向の端部が鉛直上側となり、-Y方向の端部が鉛直下側となる姿勢で使用される。このため、フィルター室排出路116は、フィルター室流入路115よりも+Y方向に配置されている。これにより、ヘッドユニット20を噴射面100aの+Y方向側の端部100bが-Y方向の端部100cよりも鉛直方向において上方、つまり、-G方向側となるように傾斜させた際に、フィルター室排出路116が、フィルター室流入路115よりも鉛直方向の上方に配置されるようになっている。そして、このようにフィルター室排出路116をフィルター室流入路115よりも重力方向の上方に配置することで、フィルター室流入路115からインクが供給された際に、フィルター室111内の気泡を浮力によって鉛直方向の上方に移動させて、フィルター室排出路116から外部に容易に排出させることができる。したがって、フィルター室111内の気泡排出性を向上してフィルター室111内に気泡が残留することによって、フィルターFの有効面積が減少することや、フィルター室111内の気泡が予期せぬタイミングでヘッドチップ100側に移動し、ヘッドチップ100においてインク滴の吐出不良が生じるのを抑制することができる。もちろん、フィルター室流入路115及びフィルター室排出路116の位置は、特にこれに限定されるものではない。
ホルダー120は、+Z方向側に溝状の空間を形成する保持部121を有する。保持部121は、ホルダー120の+Z側の面に、Y軸に沿った方向に亘って連続して設けられることで、+Y方向及び-Y方向の両側面に開口して設けられている。ホルダー120の保持部121内に、複数のヘッドチップ100が+X方向に並設されており、接着剤などによって固定されている。本実施形態では1つのホルダー120に6個のヘッドチップ100が固定されている。もちろん、1つのホルダー120に固定するヘッドチップ100の数は特にこれに限定されず、1つのホルダー120に対してヘッドチップ100が1個であってもよく、また、2個以上の複数個であってもよい。
また、ホルダー120の図示しない内部には、フィルターユニット110のフィルター室流出路117に一端が連通する流路が設けられている。つまり、ホルダー120には、各フィルター室流出路117に対応する流路が設けられている。本実施形態では、フィルター室流出路117は、4個設けられているため、ホルダー120の内部には、4個の流路が独立して設けられている。また、ホルダー120の内部に設けられた各流路は、途中でヘッドチップ100の個数に対応した数、本実施形態では、6個に分岐されている。そしてホルダー120の内部に設けられた各流路の6個に分岐された他端は、ホルダー120の保持部121の底面、すなわち、-Z方向側の面に開口して設けられており、ヘッドチップ100の流路と連通する。
本実施形態の複数のヘッドチップ100は、噴射面100aの面内方向において、+Y方向に対してノズル列102が傾斜するように固定されている。すなわち、+Y方向に対して、ノズル列102を構成するノズル101の並設方向である+Ya方向が傾斜する方向となっている。つまり、複数のノズル101は、+Ya方向と、+Ya方向に交差する+X方向とで規定されるXYa平面上に+Ya方向に沿って配置されている。また、本実施形態における1つのノズル列102は、+Ya方向において2分割されているため、1つのヘッドチップ100から4種類のインクを噴射することができる。
固定板130は、図2及び図3に示すように、金属等の板状部材を折り曲げることで形成されたものであり、固定板130には、各ヘッドチップ100のノズル101を露出するための貫通孔である露出開口部131が設けられている。本実施形態では、露出開口部131は、ヘッドチップ100毎に独立して開口するように設けられている。すなわち、本実施形態のヘッドユニット20は、6個のヘッドチップ100を有するため、固定板130には6個の独立した露出開口部131が設けられている。
固定板130は、ホルダー120及び複数のヘッドチップ100に接着剤を介して接合されている。そして、固定板130がホルダー120に接合された状態では、噴射面100a側から平面視した際に、露出開口部131から各ヘッドチップ100の噴射面100a及びノズル101が露出している。
なお、本実施形態のヘッドユニット20は、噴射面100a側からみた平面視において、略平行四辺形となる形状を有するが、略平行四辺形に限定されず、矩形状や台形状、多角形状等であってもよい。
ここで本実施形態の記録ヘッド2の流路部材40について、さらに図6~図22を参照して説明する。なお、図6は、流路部材40を+Z方向に見た分解斜視図である。図7は、流路部材40を-Z方向に見た分解斜視図である。図8は、流路部材40を+Z方向に見た平面図である。図9は、第1流路部材41、第2流路部材42及び第3流路部材43を+Z方向に見た平面図である。図10は、流路部材40を-Z方向に見た平面図である。図11は、第1流路部材41、第2流路部材42及び第3流路部材43を-Z方向に見た平面図である。図12は、供給流路200及び回収流路300を+Z方向に見た平面図である。図13は、供給流路200及び回収流路300を-Z方向に見た平面図である。図14は、供給流路200及び回収流路300を+Z方向に見た斜視図である。図15は、供給流路200を+Z方向に見た斜視図である。図16は、供給流路200を-Z方向に見た斜視図である。図17は、第1供給流路200Aを示す流路部材40の要部断面図である。図18は、回収流路300を+Z方向に見た斜視図である。図19は、回収流路300を-Z方向に見た斜視図である。図20は、第1回収流路300Aを示す流路部材40の要部断面図である。図21及び図22は、導入部及び回収部の位置を説明する平面図である。
図示するように、流路部材40は、第1流路部材41と第2流路部材42と第3流路部材43とを具備する。これら第3流路部材43、第2流路部材42及び第1流路部材41は、ヘッドユニット20側から-Z方向に向かってこの順に積層されて、互いに接着剤等によって固定されている。なお、流路部材40を構成する第1流路部材41と第2流路部材42と第3流路部材43との固定方法は、接着剤による接合に限定されず、溶着によって接合してもよく、ねじやボルト等によって締結するようにしてもよい。また、例えば、第2流路部材42を光吸収部材で構成し、第1流路部材41及び第3流路部材43を透光性部材で構成して、第1流路部材41、第2流路部材42及び第3流路部材43をレーザー溶着によって接合するようにしてもよい。
また、流路部材40を構成する第1流路部材41と第2流路部材42と第3流路部材43とのそれぞれの間には、流路からインクの漏出を抑制するためのシール材等を設けるようにしてもよい。さらに流路部材40は、樹脂材料から形成することができるが、材料は樹脂材料に限定されない。
また、第1流路部材41、第2流路部材42及び第3流路部材43のそれぞれは、X軸に沿った方向に長尺となり、Y軸に沿った方向に短尺となる長方形状を基本とした板状部材からなる。第2流路部材42は、+X方向の中央部に+Y方向に向かって突出した突出部44Aを有する。また、第3流路部材43は、+X方向の中央部に+Y方向に向かって突出した突出部44Bを有する。この突出部44Aは、その一部又は全てが第1流路部材41によって覆われておらず、突出部44Aの-Z方向側の面の一部又は全てが露出されている。本実施形態では、突出部44Aの一部は、第1流路部材41によって覆われるようにした。この露出した第2流路部材42の突出部44Aに詳しくは後述する供給流路200の導入部201と回収流路300の導出部301とが設けられている。なお、突出部44Aは、+Z方向に見て、突出部44Bとほぼ重なる。
このような流路部材40には、ヘッドユニット20にインクを供給するための供給流路200と、ヘッドユニット20からのインクを回収するための回収流路300と、外部から供給流路200へインクを供給する導入部201と、回収流路300から外部へインクを導出する導出部301と、が設けられている。供給流路200と回収流路300のX軸とY軸とで規定されるXY平面に沿って設けられた部分は、図17及び図20に示すように、第1流路部材41と第2流路部材42とが互いに固定されたXY平面に平行な界面と、第2流路部材42と第3流路部材43とが互いに固定されたXY平面に平行な界面とに設けられている。本実施形態では、第1流路部材41と第2流路部材42とが互いに固定された界面を第1界面45と称し、第2流路部材42と第3流路部材43とが互いに固定された界面を第2界面46と称する。
供給流路200は、ヘッドユニット20に導入するインクの種類(一例としてインクの色)毎に独立して複数設けられている。本実施形態では、流路部材40には、4つの供給流路200が設けられている。もちろん、供給流路200は、同じ種類(一例として同じインクの色)を供給するものであってもよい。本実施形態では、4つの供給流路200を第1供給流路200A、第2供給流路200B、第3供給流路200C及び第4供給流路200Dと称する。以下、供給流路200とは、第1供給流路200A、第2供給流路200B、第3供給流路200C、第4供給流路200Dの総称である。また、流路部材40には、外部から供給流路200にインクを導入する導入部201が設けられている。本実施形態では、第1供給流路200A、第2供給流路200B、第3供給流路200C及び第4供給流路200Dのそれぞれにインクを供給する導入部201として、第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dが設けられている。以下、導入部201とは、第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C、第4導入部201Dの総称である。このような供給流路200からヘッドユニット20にインクを供給して、ヘッドユニット20からのインクを回収流路300で回収する、所謂、循環は、記録ヘッド2の初期充填や気泡を排出するなどのメンテナンス時に主に行われる。もちろん、記録ヘッド2からインク滴を吐出する印刷時においても循環を行うようにしてもよい。
第1導入部201Aは、第2流路部材42の-Z方向側の面に-Z方向に向かって突出して設けられた第1突起部47A内にZ軸に沿って設けられている。本実施形態の第1突起部47Aは、Z軸方向に亘って略同じ外径の円筒形状を有する。なお、第1突起部47Aは、円筒形状に限定されず、先端が尖った針形状を有するものであってもよい。また、第1導入部201Aは、第2流路部材42を+Z方向に亘って貫通して設けられている。第1導入部201Aが設けられた第1突起部47Aは、突出部44Aに設けられている。そして、この第1突起部47Aに導入路13が設けられた導入管を接続することで、導入路13と第1導入部201Aとが接続される。
第1供給流路200Aは、第1接続部202Aと、第1分配部203Aと、第1供給部204Aと、を具備する。
第1接続部202Aは、一端が第1導入部201Aに接続されて、Y軸に沿って第2界面46に設けられている。つまり、第1接続部202Aは、+Y方向に延在する。
第1分配部203Aは、「第2の方向」の一例である+X方向に延在して設けられており、複数、本実施形態では、5個の第1供給部204Aにインクを分配する。第1分配部203Aは、第2界面46に設けられた2個の第1分配流路部205Aと、2個の第1分配流路部205Aを連通する第1連通部206Aと、を具備する。
第1分配流路部205Aは、X軸に沿って第2界面46に設けられている。本実施形態では、第1分配流路部205Aは、第2界面46に2個設けられており、2個の第1分配流路部205Aは、後述する第2供給流路200Bの第2接続部202B、第3供給流路200Cの第3接続部202C、第4供給流路200Dの第4接続部202DをX軸に沿った方向で挟んだ両側に配置されている。
2個の第1分配流路部205Aのうち、+X方向側に設けられた一方の第1分配流路部205Aは、第1連通部206Aの+X方向の端部に接続されて、第1連通部206Aから+X方向に向かって延設されている。また、2個の第1分配流路部205Aのうち、-X方向側に設けられた他方の第1分配流路部205Aは、第1接続部202Aの他端から-X方向に向かって延設されている。
第1連通部206Aは、X軸に沿って第1界面45に設けられている。第1連通部206Aの+X方向の端部及び-X方向の端部のそれぞれは、第2流路部材42を+Z方向に貫通する2個の貫通孔207Aによって、2個の第1分配流路部205Aと接続されている。このように第1界面45に設けられた第1連通部206Aによって第2界面46に設けられた2個の第1分配流路部205Aを互いに接続することで、2個の第1分配流路部205Aを第2界面46に設けられた他の流路、具体的には、第2供給流路200Bの第2接続部202B、第3供給流路200Cの第3接続部202C、第4供給流路200Dの第4接続部202Dに干渉するのを抑制することができる。
このような第1分配部203Aによって、第1接続部202Aから供給されたインクは、X軸に沿って+X方向及び-X方向に向かって分配される。
なお、第1分配部203Aは、+X方向に延在する第1分配流路部205A及び第1連通部206Aと、+Z方向に延在する貫通孔207Aと、を具備するものであるが、第1分配部203Aが+X方向に延在しているとは、少なくとも第1供給部204Aに連通する流路、すなわち、第1分配流路部205Aが+X方向に延在していることを言う。また、第1分配部203Aが+X方向に延在するとは、第1分配部203Aのうち流路長の50%以上の部分が、+X方向に延在していれば、その他の部分が+X方向と交差する方向に延在するものも含む。
このような第1供給流路200Aのうち、第2界面46に設けられた流路、すなわち、第1接続部202A及び第1分配流路部205Aは、第2流路部材42に+Z方向側の面に開口する溝を設け、この溝の開口を第3流路部材43によって蓋をすることで形成されている。もちろん、第2界面46に設けられた流路は、例えば、第3流路部材43に-Z方向側の面に開口する溝を設け、この溝の開口を第2流路部材によって蓋をすることで形成してもよく、第2流路部材42と第3流路部材43との両方に溝を設け、溝の開口同士を重ね合わせることで形成してもよい。
また、第1供給流路200Aのうち、第1界面45に設けられた流路、すなわち、第1連通部206Aは、第1流路部材41に+Z方向側の面に開口する溝を設け、この溝の開口を第2流路部材42によって蓋をすることで形成されている。もちろん、第1界面45に設けられた流路は、これに限定されず、例えば、第2流路部材42に-Z方向側の面に開口する溝を設け、この溝の開口を第1流路部材41によって蓋をすることで形成してもよく、第1流路部材41と第2流路部材42との両方に溝を設け、溝の開口同士を重ね合わせることで形成してもよい。
このように、流路部材40の第1界面45に設けられた流路は、第1流路部材41に溝を設けることで形成され、第2界面46に設けられた流路は、第2流路部材42に溝を設けることで形成される。したがって、第1界面45に設けられた流路と第2界面46に設けられた流路とが互いに干渉することなく、第2流路部材42の+Z方向の厚さを抑えることができる。つまり、第2流路部材42のZ軸の両面、すなわち、+Z方向の面と-Z方向の面との両方に溝を設けて流路を形成する場合、両面に設けた溝同士を干渉させないようにするためには第2流路部材42の+Z方向の厚みを比較的厚くする必要がある。本実施形態では、第1流路部材41と第2流路部材42とのそれぞれにおいて片方の面のみに溝を設けて第1界面45と第2界面46とに流路を設けることで、第2流路部材42の+Z方向の厚みを比較的抑えることができ、流路部材40が+Z方向に大型化するのを抑制することができる。
第1供給部204Aは、一端が第1分配部203Aに接続されて+Z方向に延設されたものである。また、第1供給部204Aは、複数、本実施形態では、5個設けられている。具体的には、第1供給部204Aは、一端が第1分配部203Aのうち第1分配流路部205Aに接続されて第3流路部材43を+Z方向に貫通して設けられている。また、第1供給部204Aは、他端が、第3流路部材43の+Z方向側の面から+Z方向に向かって突出して設けられた第1供給突起部48Aの先端に開口して設けられている。この第1供給部204Aの他端が、ヘッドユニット20に接続されている。本実施形態では、5個の第1供給部204Aは、5個のヘッドユニット20のそれぞれにインクを供給する。具体的には、第1供給部204Aは、フィルター室流入路115Aと接続される。また、複数の第1供給部204Aは、Y軸に対する位置が同じ位置となるように配置されている。すなわち、複数の第1供給部204Aは、+X方向から見て互いに重なる位置に配置されている。このように複数の第1供給部204AのY軸に対する位置を揃えることで、ヘッドユニット20の接続位置であるフィルター室流入路115Aの位置を揃えることができ、同じ構成の5個のヘッドユニット20を用いることができる。したがって、同じ構成のヘッドユニット20を用いることで、部品点数を減少させてコストを低減することができると共に、記録ヘッド2の組み立て工程を簡略化することができる。
このような第1供給流路200Aは、第1導入部201Aから導入されたインクは、第1接続部202AからX軸に沿って2個の第1分配部203Aに分配され、第1分配部203Aから5個の第1供給部204Aに分配される。そして、5個の第1供給部204Aから5個のヘッドユニット20に供給される。
第2導入部201Bは、第1導入部201Aと同様に、突出部44Aに-Z方向に向かって突出して設けられた第2突起部47B内に+Z方向に沿って設けられている。
第2導入部201Bは、+X方向に見て第1導入部201Aと少なくとも一部が重なるように配置されている。本実施形態では、第2導入部201Bは、第1導入部201Aよりも+X方向側に位置し、第1導入部201Aと+X方向に一列に並んで配置されている。
第2供給流路200Bは、第1供給流路200Aと同様に、第2接続部202Bと、第2分配部203Bと、5個の第2供給部204Bと、を具備する。第2分配部203Bは、2個の第2分配流路部205Bと、2個の第2分配流路部205Bを連通する第2連通部206B及び2個の貫通孔207Bを有する。また、第2供給部204Bは、第2供給突起部48Bの+Z方向の端部に開口して設けられている。第2供給部204Bは、フィルター室流入路115Bと接続される。なお、このような第2供給流路200Bについては、第1供給流路200Aと略同様の構成であるため重複する説明は省略する。
第3導入部201Cは、第1導入部201Aと同様に、突出部44Aに-Z方向に向かって突出して設けられた第3突起部47C内に+Z方向に沿って設けられている。
第3導入部201Cは、+X方向に見て第1導入部201Aと少なくとも一部が重なるように配置されている。本実施形態では、第3導入部201Cは、第2導入部201Bよりも+X方向側に位置し、第2導入部201Bと+X方向に一列に並んで配置されている。
第3供給流路200Cは、第1供給流路200Aと同様に、第3接続部202Cと、第3分配部203Cと、5個の第3供給部204Cと、を具備する。第3分配部203Cは、2個の第3分配流路部205Cと、2個の第3分配流路部205Cを連通する第3連通部206C及び2個の貫通孔207Cを有する。また、第3供給部204Cは、第3供給突起部48Cの+Z方向の端部に開口して設けられている。第3供給部204Cは、フィルター室流入路115Cと接続される。なお、このような第3供給流路200Cについては、第1供給流路200Aと略同様の構成であるため重複する説明は省略する。
第4導入部201Dは、第1導入部201Aと同様に、突出部44Aに-Z方向に向かって突出して設けられた第4突起部47D内に+Z方向に沿って設けられている。
第4導入部201Dは、+X方向に見て第1導入部201Aと少なくとも一部が重なるように配置されている。本実施形態では、第4導入部201Dは、第3導入部201Cよりも+X方向側に位置し、第3導入部201Cと+X方向に一列に並んで配置されている。
第4供給流路200Dは、第4接続部202Dと、第4分配部203Dと、5個の第4供給部204Dと、を具備する。ここで、第4分配部203Dは、X軸に沿って連続して第2界面46に設けられた第4分配流路部205Dのみで構成されており、第4分配部203Dには、第1供給流路200Aのように分断された第1分配流路部205A同士を接続する第1界面45に設けられた第1連通部206Aや貫通孔207Aが設けられていない。つまり、第4分配部203Dの第4分配流路部205Dは、第2界面46において第4接続部202Dから+X方向及び-X方向に連続して延在する。これは、第4分配部203Dが、第1分配部203A、第2分配部203B及び第3分配部203Cよりも-Y方向側に配置され、第2界面46に設けられた第4分配部203Dが第1接続部202A、第2接続部202B及び第3接続部202Cと干渉しないからである。
また、第4供給部204Dは、第4供給突起部48Dの+Z方向の端部に開口して設けられている。以下、第1供給部204A、第2供給部204B、第3供給部204C及び第4供給部204Dを区別しないとき、単に供給部204と呼称する。第4供給部204Dは、フィルター室流入路115Dと接続される。なお、供給部204とフィルター室流入路115とは、接着剤などによって直接接続されてもよいし、エラストマーなどの可撓性のシール部品又はチューブを介して接続されていてもよい。なお、第4供給流路200Dの第4分配部203D以外の構成は、第1供給流路200Aと略同様の構成であるため、重複する説明は省略する。
ここで、上述したように第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dは、+X方向に向かってこの順に並設されている。すなわち、第1導入部201Aが最も-X方向の位置し、第4導入部201Dが最も+X方向に位置するように配置されている。また、第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dは、+X方向に見て互いの少なくとも一部が重なるように配置されている。本実施形態では、第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dは、+X方向に見て完全に重なる位置となるように+X方向に一列に配置されている。このように、第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dを+X方向に見て少なくとも一部が重なるように配置することで、流路部材40の+Y方向の大型化を抑制することができる。また、第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dは、+X方向に見て完全に重なる位置となるように+X方向に一列に配置されることで、流路部材40の+Y方向の大型化を更に抑制することができる。
第1接続部202A、第2接続部202B、第3接続部202C及び第4接続部202Dも同様に、この順に+X方向に並設されている。つまり、第1接続部202Aが最も-X方向に位置し、第4接続部202Dが最も+X方向に位置する。
第1分配部203A、第2分配部203B、第3分配部203C及び第4分配部203Dは、この順に-Y方向に向かって並設されている。つまり、第1分配部203Aが最も+Y方向に位置し、第4分配部203Dが最も-Y方向に位置する。このため、第1接続部202A、第2接続部202B、第3接続部202C及び第4接続部202DのY軸に沿った長さは、第1分配部203A、第2分配部203B、第3分配部203C及び第4分配部203Dの位置に合わせて、異なる長さで設けられている。つまり、第1接続部202Aが最も短く、第2接続部202Bが第1接続部202Aよりも長く、第3接続部202Cが第2接続部202Bよりも長く、第4接続部202Dが最も長くなるように設けられている。
第1連通部206A、第2連通部206B、第3連通部206Cは、この順に-Y方向に向かって並設されている。つまり、第1連通部206Aが、最も+Y方向に位置し、第3連通部206Cが最も-Y方向に位置する。
第1連通部206Aは、第2界面46に設けられた第2接続部202B、第3接続部202C及び第4接続部202Dに干渉しないように第1界面45に設けられている。つまり、第1連通部206Aは、+Z方向に見て第2接続部202B、第3接続部202C及び第4接続部202Dに重なるように配置されている。
第2連通部206Bは、第2界面46に設けられた第3接続部202C及び第4接続部202Dに干渉しないように第1界面45に設けられている。つまり、第2連通部206Bは、+Z方向に見て第3接続部202C及び第4接続部202Dに重なるように配置されている。
第3連通部206Cは、第2界面46に設けられた第4接続部202Dに干渉しないように第1界面45に設けられている。つまり、第3連通部206Cは、+Z方向に見て第4接続部202Dに重なるように配置されている。
第1供給部204A、第2供給部204B、第3供給部204C及び第4供給部204Dのそれぞれは、各ヘッドユニット20の流路の位置、本実施形態ではフィルターユニット110のフィルター室流入路115の位置に合わせて設けられている。本実施形態では、複数、すなわち5個の第1供給部204AのY軸に対する位置は、互いに同じ位置となるように配置され、且つ、複数のフィルター室流入路115AのY軸に対する位置とも同じとなるように配置されている。第2供給部204B、第3供給部204C、第4供給部204Dのそれぞれについても同様である。
第1導入部201Aは、流路部材40の+X方向の中央側に配置されている。ここで、第1導入部201Aが、流路部材40の+X方向の中央側に配置されているとは、第1導入部201Aは、+X方向において、流路部材40を+X方向に均等に4分割したときの中央側の2個の領域に位置することを含む。つまり、図21に示すように、流路部材40を+X方向に均等に4分割した領域を+X方向に向かって順番にW1、W2、W3、W4としたとき、第1導入部201Aは、W2又はW3に位置することを含む。また、第1導入部201Aは、+X方向において、流路部材40を+X方向に均等に3分割したときの中央の領域に位置することが好ましい。つまり、流路部材40をX軸に沿って均等に3分割した領域を+X方向に順番にWa1、Wa2、Wa3としたとき、第1導入部201Aは、Wa2に位置することが好ましい。
なお、上記の第1導入部201Aの+X方向の位置は、第1供給流路200Aを基準に規定することもできる。すなわち、第1導入部201Aが、流路部材40の+X方向の中央側に配置されているとは、第1導入部201Aは、第1供給流路200Aを+X方向に均等に4分割したときの中央側の2個の部分に+Y方向に見て重なる位置に配置されていることを含む。つまり、図21に示すように、第1供給流路200Aを+X方向に均等に4分割した領域を+X方向に向かって順番にWb1、Wb2、Wb3、Wb4としたとき、第1導入部201Aは、Wb2又はWb3に+Y方向に見て重なる位置に配置されていることを含む。また、第1導入部201Aは、第1供給流路200Aを+X方向に均等に3分割したときの中央の部分に+Y方向に見て重なる位置に配置されていることが好ましい。つまり、第1供給流路200Aを+X方向に均等に3分割した領域を+X方向に順番にWc1、Wc2、Wc3としたとき、第1導入部201Aは、Wc2に+Y方向に見て重なる位置に配置されていることが好ましい。
また、第1導入部201Aは、+X方向に並設された3以上のヘッドユニット20のうち+X方向の両端に配置されたヘッドユニット20よりも+X方向において内側に配置されている。つまり、図21に示すように、+X方向に並設された5個のヘッドユニット20を、+X方向に順番にヘッドユニット20A、ヘッドユニット20B、ヘッドユニット20C、ヘッドユニット20D、ヘッドユニット20Eとしたとき、第1導入部201Aは、最も+X方向の端部に配置されたヘッドユニット20Aよりも-X方向に位置し、最も-X方向の端部に配置されたヘッドユニット20Eよりも+X方向に位置する。ここで、第1導入部201Aが、+X方向の両端に配置されたヘッドユニット20A及びヘッドユニット20Eよりも内側に配置されているとは、第1導入部201AのX軸に対する位置が、ヘッドユニット20AのX軸に対する位置とヘッドユニット20EのX軸に対する位置との間に配置されていればよく、第1導入部201Aが、Y軸に対してヘッドユニット20B~20Dからずれた位置に配置されていてもよい。つまり、+Z方向に見て、第1導入部201Aは、ヘッドユニット20B~20Dに重ならない位置に配置されていてもよい。なお、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dについても、第1導入部201Aと同様である。
このように、第1導入部201Aを流路部材40の+X方向の中央側に配置することで、第1導入部201Aから各第1供給部204Aまでの流路長のばらつきを比較的低減することができる。つまり、例えば、第1導入部201Aを+X方向の端部に配置すると、第1導入部201Aから+X方向の端部に近い第1供給部204Aまでの流路長は短くなり、第1導入部201Aから-X方向の端部に近い第1供給部204Aまでの流路長が長くなり、流路長の差が大きくなってしまう。したがって、第1導入部201Aを流路部材40の+X方向の中央側に配置することで、第1導入部201Aから各第1供給部までの流路長の差を低減することができ、流路長の差による圧力損失のばらつきを低減して、気泡排出やインクの充填などのメンテナンスに必要な時間を短縮することやヘッドユニット20毎の噴射特性のばらつきを低減することができる。
なお、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dについても第1導入部201Aと同様に、流路部材40の+X方向の中央側に配置されている。このため、第2導入部201B、第3導入部201C、第4導入部201Dから導入されてヘッドユニット20に供給される各インクについても、流路長のばらつきを低減して、圧力損失を低減し、メンテナンスを行う時間を短縮することや噴射特性のばらつきを低減することができる。また、第2供給流路200B、第3供給流路200C及び第4供給流路200Dの気泡排出性を向上して、気泡を排出するためのメンテナンスに必要な時間を減少させることができ、インクの無駄な消費を抑制することができる。また、第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dを流路部材40の+X方向の中央側に配置することで、第1供給流路200A、第2供給流路200B、第3供給流路200C及び第4供給流路200Dの流路長のばらつきを低減することができる。
回収流路300は、供給流路200と同様に、ヘッドユニット20のフィルター室排出路116から導出されたインクの種類(一例としてインクの色)毎に独立して複数設けられている。本実施形態では、流路部材40には、4つの回収流路300が設けられている。もちろん、回収流路300は、同じ種類(一例として同じインクの色)を回収するものであってもよい。本実施形態では、4つの回収流路300を第1回収流路300A、第2回収流路300B、第3回収流路300C及び第4回収流路300Dと称する。以下、回収流路300とは、第1回収流路300A、第2回収流路300B、第3回収流路300C、第4回収流路300Dの総称である。また、各回収流路300には、当該回収流路300から流路部材40の外部にインクを導出する導出部301が設けられている。すなわち、第1回収流路300A、第2回収流路300B、第3回収流路300C及び第4回収流路300Dには、それぞれ第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dが設けられている。以下、導出部301とは、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C、第4導出部301Dの総称である。
第1導出部301Aは、第2流路部材42の-Z方向側の面に-Z方向に向かって突出して設けられた第1導出突起部49A内にZ軸に沿って設けられている。この第1導出突起部49Aは、軸方向に亘って略同じ外径の円筒形状を有する。なお、第1導出突起部49Aは、円筒形状に限定されず、先端が尖った針形状を有するものであってもよい。また、第1導出部301Aは、第2流路部材42をZ軸に沿って貫通して設けられている。第1導出部301Aが設けられた第1導出突起部49Aは、突出部44Aに設けられている。そして、この第1導出突起部49Aに排出路14が設けられた導入管を接続することで、排出路14と第1導出部301Aとが接続される。
第1回収流路300Aは、第1供給流路200Aからヘッドユニット20に供給したインクを回収するものである。本実施形態の第1回収流路300Aは、第1導出接続部302Aと、第1合流部303Aと、第1回収部304Aと、を具備する。
第1導出接続部302Aは、一端が第1導出部301Aに接続されてY軸に沿って第2界面46に設けられている。つまり、第1導出接続部302Aは、+Y方向に延在する。
第1合流部303Aは、+X方向に延在しており、複数、本実施形態では、5個の第1回収部304Aからのインクが合流する。第1合流部303Aは、第2界面46に設けられた2個の第1合流流路部305Aと、第1導出接続部302Aと一方の第1合流流路部305Aとを接続する第1合流連通部306Aと、第1導出接続部302Aと他方の第1合流流路部305Aとを接続する第1合流連通接続部307Aと、を具備する。
第1合流流路部305Aは、X軸に沿って第1界面45に設けられている。すなわち、本実施形態では、第1合流流路部305Aは、第1界面45に2個設けられており、2個の第1合流流路部305Aは、第2導出接続部302B、第3導出接続部302C及び第4導出接続部302DをX軸に沿った方向で挟んだ両側に配置されている。換言すれば、第1界面45に設けられた2個の第1合流流路部305Aは、同じく第1界面45に設けられた第2合流連通接続部307B、第3合流連通接続部307C及び第4合流連通接続部307Dを挟んだ両側に配置されている。
第1合流連通部306Aは、第1導出接続部302Aの他端に接続されて、第1導出接続部302Aから+X方向に沿って延設されている。この第1合流連通部306Aは、第1導出接続部302Aと同じ第2界面46に設けられている。第1合流連通部306Aは、第1界面45に設けられた2個の第1合流流路部305Aのうち、+X方向側に設けられた一方の第1合流流路部305Aと、第2流路部材42をZ軸に沿った方向に貫通する貫通孔308Aを介して接続されている。
第1合流連通接続部307Aは、Y軸に沿って第2界面46に設けられている。この第1合流連通接続部307Aは、第1導出接続部302Aの第1合流連通部306Aの接続された他端から+Y方向に離れた位置で第2流路部材42をZ軸に沿った方向に貫通する貫通孔308Aを介して接続されている。第1合流連通接続部307Aは、第1界面45に設けられた2個の第1合流流路部305Aのうち、-X方向側に設けられた他方の第1合流流路部305Aと接続されている。
なお、第1合流部303Aは、+X方向に延在する第1合流流路部305A及び第1合流連通部306Aと、+Y方向に延在する第1合流連通接続部307Aと、+Z方向に延在する貫通孔308Aと、を具備するものであるが、第1合流部303Aが+X方向に延在するとは、少なくとも第1回収部304Aに連通する第1合流流路部305Aが+X方向に延在していることを言う。また、第1合流部303Aが+X方向に延在するとは、第1合流部303Aのうち流路長の50%以上の部分が、+X方向に延在していれば、その他の部分が+X方向と交差する方向に延在するものを含んでもよい。
第1回収部304Aは、+Z方向に延設されたものである。また、第1回収部304Aは、複数、本実施形態では、5個設けられている。具体的には、第1回収部304Aは、一端が第1合流部303Aに接続され、第2流路部材42及び第3流路部材43を+Z方向に貫通して設けられている。また、第1回収部304Aは、他端が第3流路部材43の-Z方向側の面に-Z方向に向かって突出して設けられた第1回収突起部50Aの先端に開口して設けられている。この第1回収部304Aの他端が、ヘッドユニット20に接続されている。本実施形態では、5個の第1回収部304Aは、5個のヘッドユニット20のそれぞれからインクを回収する。具体的には、第1回収部304Aは、ヘッドユニット20のフィルター室排出路116Aと接続される。
なお、5個の第1回収部304Aのうち、第1合流流路部305Aの+X方向の端部及び-X方向の端部のそれぞれに設けられた2個の第1回収部304Aは、第1合流流路部305Aに直接接続されている。
これに対して、5個の第1回収部304Aのうち、残りの3個の第1回収部304Aは、第1界面45に設けられて第1合流流路部305Aに接続された第1支流部309Aを介して接続されている。この第1合流流路部305Aと第1支流部309Aを介して接続された3個の第1回収部304Aと、第1合流流路部305Aに直接接続された2個の第1回収部304Aとは、Y軸に対する位置が同じ位置となるように、第1合流流路部305Aの両端部の夫々は、-Y方向に向かって若干曲がって設けられている。
このような第1回収流路300Aでは、複数のヘッドユニット20から第1回収部304Aから回収されたインクは、第1合流部303Aによって合流され、合流されたインクは第1導出接続部302Aを経由して第1導出部301Aから外部に排出される。
なお、第1回収流路300Aのうち、第1界面45に設けられた流路、すなわち、第1合流流路部305A、第1合流連通接続部307A、第1支流部309Aは、第1流路部材41に+Z方向側の面に開口する溝を設け、この溝の開口を第2流路部材42によって蓋をすることで形成されている。もちろん、第1界面45に設けられた流路は、これに限定されず、例えば、第2流路部材42に-Z方向側の面に開口する溝を設け、この溝の開口を第1流路部材41によって蓋をすることで形成してもよく、第1流路部材41と第2流路部材42との両方に溝を設け、溝の開口同士を重ね合わせることで形成してもよい。
また、第1回収流路300Aのうち、第2界面46に設けられた流路、すなわち、第1導出接続部302A、第1合流連通部306Aは、第2流路部材42に+Z方向側の面に開口する溝を設け、この溝の開口を第3流路部材43によって蓋をすることで形成されている。もちろん、第2界面46に設けられた流路は、例えば、第3流路部材43に-Z方向側の面に開口する溝を設け、この溝の開口を第2流路部材によって蓋をすることで形成してもよく、第2流路部材42と第3流路部材43との両方に溝を設け、溝の開口同士を重ね合わせることで形成してもよい。
このように、流路部材40の第1界面45に設けられた流路は、第1流路部材41に溝を設けることで形成され、第2界面46に設けられた流路は、第2流路部材42に溝を設けることで形成される。したがって、第1界面45に設けられた流路と第2界面46に設けられた流路とが互いに干渉することなく、第2流路部材42の+Z方向の厚さを抑えることができる。つまり、第2流路部材42のZ軸の両面、すなわち、+Z方向の面と-Z方向の面との両方に溝を設けて流路を形成する場合、両面に設けた溝同士を干渉させないようにするためには第2流路部材42の+Z方向の厚みを比較的厚くする必要がある。本実施形態では、第1流路部材41と第2流路部材42とのそれぞれにおいて片方の面のみに溝を設けて第1界面45と第2界面46とに流路を設けることで、第2流路部材42の+Z方向の厚みを比較的抑えることができ、流路部材40が+Z方向に大型化するのを抑制することができる。
第2導出部301Bは、第1導出部301Aと同様に、突出部44Aに-Z方向に向かって突出して設けられた第2導出突起部49B内に+Z方向に沿って設けられている。
第2導出部301Bは、+X方向に見て第1導出部301Aと少なくとも一部が重なるように配置されている。本実施形態では、第2導出部301Bは、第1導出部301Aよりも+X方向側に位置し、第1導出部301Aと+X方向に一列に並んで配置されている。
第2回収流路300Bは、第2供給流路200Bからヘッドユニット20に供給したインクを回収するものである。本実施形態の第2回収流路300Bは、第2導出接続部302Bと、第2合流部303Bと、5個の第2回収部304Bと、を具備する。第2合流部303Bは、2個の第2合流流路部305Bと、第2合流連通部306Bと、第2合流連通接続部307Bと、を具備する。
第2合流流路部305Bは、第1界面45に2個設けられており、主にX軸に沿って延設されている。
第2合流連通部306Bは、X軸に沿って第2界面46に設けられている。第2合流連通部306Bは、第2流路部材42を+Z方向に貫通する2個の貫通孔308Bによって2個の第2合流流路部305Bのそれぞれと連通している。すなわち、2個の第2合流流路部305Bは、第2合流連通部306Bによって互いに連通している。
第2合流連通接続部307Bは、Y軸に沿って第1界面45に設けられている。第2合流連通接続部307Bは、第2流路部材42を+Z方向に貫通する貫通孔308Bによって第2導出接続部302Bと接続されている。
また、第2回収部304Bは、第2回収突起部50Bの+Z方向の端部に開口して設けられている。また、一部の第2回収部304Bは、第2合流流路部305Bから分岐した第2支流部309Bに連通して設けられている。第2回収部304Bは、フィルター室排出路116Bと接続される。なお、第2回収流路300Bの第2合流部303B以外の構成は、第1回収流路300Aと略同様の構成であるため、重複する説明は省略する。
第3導出部301Cは、第1導出部301Aと同様に、突出部44Aに-Z方向に向かって突出して設けられた第3導出突起部49C内に+Z方向に沿って設けられている。
第3導出部301Cは、+X方向に見て第1導出部301Aと少なくとも一部が重なるように配置されている。本実施形態では、第3導出部301Cは、第2導出部301Bよりも+X方向側に位置し、第2導出部301Bと+X方向に一列に並んで配置されている。
第3回収流路300Cは、第3供給流路200Cからヘッドユニット20に供給したインクを回収するものである。本実施形態の第3回収流路300Cは、第3導出接続部302Cと、第3合流部303Cと、第3回収部304Cと、を具備する。第3合流部303Cは、2個の第3合流流路部305Cと、第3合流連通部306Cと、第3合流連通接続部307Cと、を具備する。
第3合流流路部305Cは、第1界面45に2個設けられており、主にX軸に沿って延設されている。
第3合流連通部306Cは、第2界面46にX軸に沿って延設されている。第3合流連通部306Cは、第2流路部材42を+Z方向に貫通する貫通孔308Cによって一方の第3合流流路部305C、すなわち、+X方向側の第3合流流路部305Cと連通している。
第3合流連通接続部307Cは、Y軸に沿って第1界面45に設けられている。第3合流連通接続部307Cは、第2流路部材42を+Z方向に貫通する2個の貫通孔308Cによって、+Y方向の端部で第3導出接続部302Cと接続され、-Y方向の端部で第3合流連通部306Cと接続されている。
2個の第3合流流路部305Cのうち、-X方向側に配置された他方の第3合流流路部305Cは、第3合流連通接続部307Cの途中で第3合流連通接続部307Cと直接接続されている。
また、第3回収部304Cは、第3回収突起部50Cの+Z方向の端部に開口して設けられている。また、一部の第3回収部304Cは、第3合流流路部305Cから分岐した第3支流部309Cに連通して設けられている。第3回収部304Cは、フィルター室排出路116Cと接続される。なお、第3回収流路300Cの第3合流部303C以外の構成は、第1回収流路300Aと略同様の構成であるため、重複する説明は省略する。
第4導出部301Dは、第1導出部301Aと同様に、突出部44Aに-Z方向に向かって突出して設けられた第4導出突起部49D内に+Z方向に沿って設けられている。
第4導出部301Dは、+X方向に見て第1導出部301Aと少なくとも一部が重なるように配置されている。本実施形態では、第4導出部301Dは、第3導出部301Cよりも+X方向側に位置し、第3導出部301Cと+X方向に一列に並んで配置されている。
第4回収流路300Dは、第4供給流路200Dからヘッドユニット20に供給したインクを回収するものである。本実施形態の第4回収流路300Dは、第4導出接続部302Dと、第4合流部303Dと、第4回収部304Dと、を具備する。
第4合流部303Dは、第1界面45にX軸に沿って連続して設けられた第4合流流路部305Dと、第1界面45にY軸に沿って設けられた第4合流連通接続部307Dと、を具備する。すなわち、第4合流部303Dには、第1回収流路300Aのように分断された第1合流流路部305A同士を接続する第2界面46に設けられた第1合流連通部306A等が設けられていない。つまり、第4合流部303Dの第4合流流路部305Dは、第1界面45において第4合流連通接続部307Dの-Y方向の端部から+X方向及び-XY方向に連続して延在する。これは、第4合流部303Dが、第1合流部303A、第2合流部303B及び第3合流部303Cよりも-Y方向側に配置され、第1界面45に設けられた第4合流部303Dが、同じく第1界面45に設けられた第1合流連通部接続部307A、第2合流連通接続部307B及び第3合流連通接続部307Cと干渉しないからである。なお、第4導出接続部302Dと第4合流連通接続部307Dとは、第2流路部材42を+Z方向に貫通する貫通孔308Dによって連通している。
また、第4回収部304Dは、第4回収突起部50Dの+Z方向の端部に開口して設けられている。以下、第1回収部304A、第2回収部304B、第3回収部304C及び第4回収部304Dを区別しないとき、単に回収部304と呼称する。また、一部の第4回収部304Dは、第4合流流路部305Dから分岐した第4支流部309Dに連通して設けられている。第4回収部304Dは、フィルター室排出路116Dと接続される。なお、回収部304とフィルター室排出路116とは、接着剤などによって直接接続されてもよいし、エラストマーなどの可撓性のシール部品又はチューブを介して接続されていてもよい。なお、第4回収流路300Dの第4合流部303D以外の構成は、第1回収流路300Aと略同様の構成であるため、重複する説明は省略する。
ここで、上述したように、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dは、+X方向に向かってこの順に並設されている。すなわち、第1導出部301Aが最も-X方向の位置し、第4導出部301Dが最も+X方向に位置するように配置されている。また、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dは、+X方向に見て互いの少なくとも一部が重なるように配置されている。本実施形態では、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dは、+X方向に見て完全に重なる位置となるように+X方向に一列に配置されている。このように、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dを+X方向に見て少なくとも一部が重なるように配置することで、流路部材40の+Y方向の大型化を抑制することができる。
また、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dは、第4導入部201Dよりも+X方向に位置する。つまり、第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C、第4導入部201D、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C、第4導出部301Dは、この順で+X方向に配置されている。また、本実施形態では、第1導入部201Aと第1導出部301Aとは、+X方向に見て少なくとも一部が重なるように配置されている。つまり、本実施形態では、第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dと、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dとは、+X方向に見て互いの少なくとも一部が重なるように配置されている。また、本実施形態では、第1導入部201A、第2導入部201B、第3導入部201C及び第4導入部201Dと、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dとは、+X方向に見て完全に重なる位置となるように+X方向に一列に配置されている。このように、第1導入部201Aと第1導出部301Aとを+X方向に見て少なくとも一部が重なるように配置することで、流路部材40の+Y方向の大型化を抑制することができる。
第1導出接続部302A、第2導出接続部302B、第3導出接続部302C及び第4導出接続部302Dは、この順に+X方向に並設されている。つまり、第1導出接続部302Aが最も-X方向に位置し、第4導出接続部302Dが最も+X方向に位置する。
第1合流部303Aの第1合流流路部305A、第2合流部303Bの第2合流流路部305B、第3合流部303Cの第3合流流路部305C及び第4合流部303Dの第4合流流路部305Dは、この順に-Y方向に向かって並設されている。つまり、第1合流流路部305Aが最も+Y方向に位置し、第4合流流路部305Dが最も-Y方向に位置する。このため、第1合流連通接続部307A、第2合流連通接続部307B、第3合流連通接続部307C及び第4合流連通接続部307Dの+Y方向の各長さは、第1合流流路部305A、第2合流流路部305B、第3合流流路部305C及び第4合流流路部305Dの位置に合わせて異なる長さで設けられている。つまり、第1合流連通接続部307A部が最も短く、第2合流連通接続部307Bが第1合流連通接続部307Aよりも長く、第3合流連通接続部307Cが第2合流連通接続部307Bよりも長く、第4合流連通接続部307Dが最も長くなるように設けられている。
また、第1合流流路部305Aと第2合流流路部305Bとは、第1分配流路部205Aよりも-Y方向に位置する。また、第3合流流路部305Cと第4合流流路部305Dとは、+Y方向において第2分配流路部205Bと第3分配流路部205Cとの間に設けられている。
つまり、第1合流流路部305A、第2合流流路部305B、第1分配流路部205A、第2分配流路部205B、第3合流流路部305C、第4合流流路部305D、第3分配流路部205C、第4分配流路部205Dは、この順番で-Y方向に向かって並設されている。このように、第1合流流路部305Aを第1分配流路部205Aよりも+Y方向に配置することで、上述したようにヘッドユニット20のインク滴の吐出方向+Z方向を重力方向である+G方向に対して傾斜させた際に、第1合流流路部305Aを第1分配流路部205Aに対して鉛直方向において上方である-G方向側に配置することができる。この第1合流流路部305Aを第1分配流路部205Aよりも鉛直方向において上方である-G方向側に配置することで、ヘッドユニット20のフィルター室排出路116Aをフィルター室流入路115Aよりも鉛直方向において上方である-G方向側に配置させることができ、フィルター室排出路116Aからのフィルター室111内の気泡の排出性を向上することができる。なお、その他の供給流路200及び回収流路300についても同様である。
また、第1合流連通部306A、第2合流連通部306B、第3合流連通部306Cは、この順に-Y方向に向かって並設されている。つまり、第1合流連通部306Aが最も+Y方向に位置し、第3合流連通部306Cが最も-Y方向に位置する。
第1合流連通部306Aは、第1界面45に設けられた第2合流連通接続部307B、第3合流連通接続部307C及び第4合流連通接続部307Dに干渉しないように第2界面46に設けられている。すなわち、第1合流連通部306Aは、+Z方向に見て第2合流連通接続部307B、第3合流連通接続部307C及び第4合流連通接続部307Dに重なるように配置されている。
第2合流連通部306Bは、第1界面45に設けられた第3合流連通接続部307C及び第4合流連通接続部307Dに干渉しないように第2界面46に設けられている。すなわち、第2合流連通部306Bは、+Z方向に見て第3合流連通接続部307C及び第4合流連通接続部307Dに重なるように配置されている。
第3合流連通部306Cは、第1界面45に設けられた第4合流連通接続部307Dに干渉しないように第2界面46に設けられている。すなわち、第2合流連通部306Bは、+Z方向に見て第4合流連通接続部307Dに重なるように配置されている。
第1回収部304A、第2回収部304B、第3回収部304C及び第4回収部304Dのそれぞれは、各ヘッドユニット20の流路、具体的にはフィルター室排出路116の位置に合わせて設けられている。複数、本実施形態では5個の第1回収部304Aは、Y軸に対する位置が同じ位置となるように配置されている。すなわち、5個の第1回収部304Aは、+X方向に見て互いに重なるように配置されている。第2回収部304B、第3回収部304C、第4回収部304Dのそれぞれについても同様である。
第1導出部301Aは、流路部材40の+X方向の中央側に配置されている。ここで、第1導出部301Aが、流路部材40の+X方向の中央側に配置されているとは、第1導出部301Aは、+X方向において、流路部材40を+X方向に均等に4分割したときの中央側の2個の領域に位置することを含む。つまり、図22に示すように、流路部材40を+X方向に均等に4分割した領域W1、W2、W3、W4のうち、第1導出部301Aは、W2又はW3に位置することを含む。また、第1導出部301Aは、+X方向において、流路部材40を+X方向に均等に3分割したときの中央の領域に位置することが好ましい。つまり、流路部材40を+X方向に均等に3分割した領域Wa1、Wa2、Wa3のうち、第1導出部301Aは、Wa2に位置することが好ましい。
なお、上記の第1導出部301AのX軸に対する位置は、第1回収流路300Aを基準に規定することもできる。すなわち、第1導出部301Aが、流路部材40の+X方向の中央側に配置されているとは、第1導出部301Aは、第1回収流路300Aを+X方向に均等に4分割したときの中央側の2個の部分に+Y方向に見て重なる位置に配置されていることを含む。つまり、図22に示すように、第1回収流路300Aを+X方向に均等に4分割した領域を+X方向に向かって順番にWd1、Wd2、Wd3、Wd4としたとき、第1導出部301Aは、Wd2又はWd3に+Y方向に見て重なる位置に配置されていることを含む。また、第1導出部301Aは、第1回収流路300Aを+X方向に均等に3分割したときの中央の部分に+Y方向に見て重なる位置に配置されていることが好ましい。つまり、第1回収流路300Aを+X方向に均等に3分割した領域を+X方向に順番にWe1、We2、We3としたとき、第1導出部301Aは、We2に+Y方向に見て重なる位置に配置されていることが好ましい。
また、第1導出部301Aは、+X方向に並設された3以上のヘッドユニット20のうち+X方向の両端に配置されたヘッドユニット20よりも+X方向において内側に配置されている。つまり、図22に示すように、+X方向に並設された5個のヘッドユニット20を、+X方向に順番にヘッドユニット20A、ヘッドユニット20B、ヘッドユニット20C、ヘッドユニット20D、ヘッドユニット20Eとしたとき、第1導出部301Aは、最も-X方向の端部に配置されたヘッドユニット20Aよりも+X方向に位置し、最も+X方向の端部に配置されたヘッドユニット20Eよりも-X方向に位置する。ここで、第1導出部301Aが、+X方向の両端に配置されたヘッドユニット20A及びヘッドユニット20Eよりも内側に配置されているとは、第1導出部301AのX軸に対する位置が、ヘッドユニット20AのX軸に対する位置とヘッドユニット20EのX軸に対する位置との間に配置されていればよく、第1導出部301Aが、Y軸に対してヘッドユニット20B~20Dからずれた位置に配置されていてもよい。つまり、+Z方向に見て、第1導出部301Aは、ヘッドユニット20B~20Dに重ならない位置に配置されていてもよい。なお、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dについても、第1導出部301Aと同様である。
このように、第1導出部301Aを流路部材40の+X方向の中央側に配置することで、第1導出部301Aを+X方向の端部又は-X方向の端部に配置した場合よりも、第1導出部301Aから各第1回収部304Aまでの流路長のばらつきを比較的低減することができる。したがって、第1回収流路300A内のインクに含まれる気泡を第1導出部301Aから排出する際に、気泡排出性を向上し、気泡排出性のばらつきを低減できる。つまり、第1導出部301Aから第1回収部304Aまでの流路長が長くなると、気泡を排出するために長い時間が必要になると共に、高い圧力でクリーニングをする必要がある。第1導出部301Aから第1回収部304Aまでの流路長を短くすることで、気泡を排出するための時間を短縮して、比較的低い圧力の吸引でクリーニングを行うことができる。
なお、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dについても第1導出部301Aと同様に、流路部材40の+X方向の中央側に配置されている。このため、第2回収流路300B、第3回収流路300C及び第4回収流路300Dにおいても、各導出部301から各回収部304A~304Dまでの流路長を短くすることができると共に流路長のばらつきを低減することができ、気泡排出性を向上し、気泡排出性のばらつきを低減することができる。
第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C及び第4導出部301Dは、上述のように流路部材40の+Y方向に突出した突出部44Aに設けられている。このため、第1導出部301Aは、第1合流部303A及び第1分配部203Aに対して+Y方向に配置されている。そして、上述のように記録ヘッド2は、噴射面100aの+Y方向の端部が、反対方向である-Y方向の端部よりも重力方向の上方、すなわち、-G方向に位置するように傾斜して配置されている。したがって、記録ヘッド2内の気泡を浮力によって第1導出部301Aに向かって移動させることができ、第1導出部301Aから気泡を排出し易く、つまり、気泡排出性を向上することができる。
また、本実施形態では、第2導出部301Bは、第2合流部303B及び第2分配部203Bに対して+Y方向に配置されている。また、第3導出部301Cは、第3合流部303C及び第3分配部203Cに対して+Y方向に配置されている。さらに、第4導出部301Dは、第4合流部303D及び第4分配部203Dに対して+Y方向に配置されている。したがって、第2導出部301B、第3導出部301C、第4導出部301Dの各々においても第1導出部301Aと同様に気泡排出性を向上することができる。
また、上述のように、第1合流流路部305Aは、第1分配流路部205Aよりも+Y方向に位置する。したがって、図12及び図13に示すように、第1回収流路300Aの第1導出部301Aから第1合流部303Aまでの+Y方向の第1の距離L1は、第1供給流路200Aの第1導入部201Aから第1分配部203Aまでの+Y方向の第2の距離L2よりも短い(L1<L2)。
ここで、第1回収流路300Aの第1導出部301Aから第1合流部303Aまでの+Y方向の第1の距離L1とは、第1回収流路300Aにおける+Y方向に沿った部分の流路長であって、第1導出部301Aに接続された部分から第1合流部303Aの最後の合流点までの部分の流路長のことである。すなわち、第1の距離L1は、第1導出接続部302Aの第1導出部301Aと接続された部分から第1合流連通接続部307Aと連通する貫通孔308Aと接続された部分までの流路長である。
また、第1供給流路200Aの第1導入部201Aから第1分配部203Aまでの+Y方向の第2の距離L2とは、第1供給流路200Aにおける+Y方向に沿った部分の流路長であって、第1導入部201Aに接続された部分から第1分配部203Aの最初の分岐点までの部分の流路長のことである。すなわち、第2の距離L2は、第1接続部202Aの流路長である。
このように、第1回収流路300Aの+Y方向に延びる部分の第1の距離L1を、第1供給流路200Aの+Y方向に延びる部分の第2の距離L2よりも小さくすることで、第1回収流路300Aの流路長を第1供給流路200Aの流路長よりも短くすることができ、第1回収流路300Aの気泡排出性を向上することができる。なお、第2回収流路300Bと第2供給流路200Bとの組み合わせ、第3回収流路300Cと第3供給流路200Cとの組み合わせ、第4回収流路300Dと第4供給流路200Dとの組み合わせの各々においても、第1回収流路300Aと第1供給流路200Aと同じ構成とすることができる。
また、上述のように、第1導入部201A及び第1導出部301Aは、第2合流部303B及び第2分配部203Bに対して+Y方向に配置されている。また、第2導入部201B及び第2導出部301Bは、第1合流部303A及び第1分配部203Aに対して+Y方向に配置されている。
そして、第2回収流路300Bの第2導出部301Bから第2合流部303Bまでの+Y方向の第3の距離L3は、第2供給流路200Bの第2導入部201Bから第2分配部203Bまでの+Y方向の第4の距離L4よりも短い(L3<L4)。また、第1の距離L1は、第3の距離L3よりも短く(L1<L3)、且つ第2の距離L2は、第4の距離L4よりも短い(L2<L4)。
ここで、第2回収流路300Bの第2導出部301Bから第2合流部303Bまでの+Y方向の第3の距離L3とは、第2回収流路300Bにおける+Y方向に沿った部分の流路長であって、第2導出部301Bに接続された部分から第2合流部303Bの最後の合流点までの部分の流路長のことである。すなわち、第3の距離L3は、第2導出接続部302Bと第2合流連通接続部307Bとの流路長の合計である。
また、第2供給流路200Bの第2導入部201Bから第2分配部203Bまでの+Y方向の第4の距離L4とは、第2供給流路200Bにおける+Y方向に沿った部分の流路長であって、第2導入部201Bに接続された部分から第2分配部203Bの最初の分岐点までの部分の流路長のことである。すなわち、第4の距離L4は、第2接続部202Bの流路長である。
このように、第1の距離L1、第2の距離L2、第3の距離L3及び第4の距離L4を上述の関係を満たすようにすることで、各インクの系統において供給流路200と回収流路300との流路抵抗の差のばらつきを低減することができ、インクを供給流路200から回収流路300に循環させた際に、循環流量のばらつきを低減することができる。したがって、各インクの系統において、気泡排出性を揃えることができ、気泡を排出するためのメンテナンスによるインクの無駄な消費を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド2は、第1方向である+Z方向へ液体であるインクを噴射する。また、記録ヘッド2は、+Z方向に直交する第2方向である+X方向に並設された複数のヘッドユニット20と、複数のヘッドユニット20へインクを供給する第1供給流路200Aと、複数のヘッドユニット20からインクを回収する第1回収流路300Aと、を具備する。また、記録ヘッド2は、外部から第1供給流路200Aへ液体を導入する第1導入部201Aと、第1回収流路300Aから外部へ液体を導出する第1導出部301Aと、を有する流路部材40と、を備える。そして、第1導入部201A及び第1導出部301Aは、流路部材40の+X方向の中央側に配置されている。
このように、第1導入部201A及び第1導出部301Aを流路部材40の+X方向の中央側に配置することで、第1導入部201Aから各第1供給部204Aまでの流路長を短くすることができると共に、第1導出部301Aから各第1回収部304Aまでの流路長を短くすることができる。したがって、第1供給流路200Aの第1導入部201Aから各第1供給部204Aまでの流路長を短くすることができると共に各流路の流路長のばらつきを低減することができる。
また、本実施形態の記録ヘッド2では、複数のヘッドユニット20は、第2方向である+X方向に3以上並べて配置され、第1導入部201Aおよび第1導出部301Aは、3以上のヘッドユニット20のうち+X方向の両端に配置されたヘッドユニット20よりも、+X方向において内側に配置されていることが好ましい。このように、第1導入部201A及び第1導出部301Aを+X方向の両端に配置されたヘッドユニット20よりも+X方向の内側に配置することで、第1導入部201Aから各ヘッドユニット20までの流路長を比較的短くすることができると共に、流路長のばらつきを低減することができる。
また、本実施形態の記録ヘッド2では、液体であるインクを噴射する噴射面100aの第1方向である+Z方向及び第2方向である+X方向に直交する第3方向である+Y方向の端部100bが、噴射面100aの+Y方向とは反対方向である-Y方向の端部100cよりも重力方向である+G方向の上方、つまり、-G方向に位置するように、記録ヘッド2が傾斜する状態で使用される。そして、第1供給流路200Aは、+X方向に延在する第1分配部203Aを有し、第1回収流路300Aは、+X方向に延在する第1合流部303Aを有し、第1導出部301Aは、第1合流部303A及び第1分配部203Aに対して、+Y方向に配置されていることが好ましい。このように、第1導出部301Aは、第1合流部303A及び第1分配部203Aに対して、+Y方向に配置されることで、第1導出部301Aが鉛直方向の上方、すなわち、-G方向側となるように記録ヘッド2が傾斜された場合に、第1回収流路300A内のインクに含まれる気泡は、浮力によって第1導出部301Aに向かって移動する。したがって、第1回収流路300A内の気泡を第1導出部301Aから排出し易くすることができる。
また、本実施形態の記録ヘッド2では、流路部材40は、複数のヘッドユニット20へ液体であるインクを供給する第2供給流路200Bと、複数のヘッドユニット20からインクを回収する第2回収流路300Bと、外部から第2供給流路200Bへインクを導入する第2導入部201Bと、第2回収流路300Bから外部へインクを導出する第2導出部301Bと、を有する。また、第2導入部201B及び第2導出部301Bは、流路部材40の第2方向である+X方向の中央側に配置され、第2供給流路200Bは、+X方向に延在する第2分配部203Bを有する。また、第2回収流路300Bは、+X方向に延在する第2合流部303Bを有する。また、第1導入部201A及び第1導出部301Aは、第2合流部303B及び第2分配部203Bに対して、第3方向である+Y方向に配置され、第2導入部201B及び第2導出部301Bは、第1合流部303A、第2合流部303B、第1分配部203A及び第2分配部203Bに対して、+Y方向に配置されている。そして、第2導出部301Bから第2合流部303Bまでの+Y方向の第3の距離L3は、第2導入部201Bから第2分配部203Bまでの+Y方向の第4の距離L4よりも短く、第1の距離L1は第3の距離L3よりも短く、且つ、第2の距離L2は第4の距離L4よりも短いことが好ましい。
このように、第1の距離L1、第2の距離L2、第3の距離L3及び第4の距離L4を上述の関係を満たすようにすることで、各インクの系統において供給流路200と回収流路300との流路抵抗の差のばらつきを低減することができ、インクを供給流路200から回収流路300に循環させた際に、循環流量のばらつきを低減することができる。
また、本実施形態の記録ヘッド2では、第1導入部201A、第2導入部201B、第1導出部301A及び第2導出部301Bは、この順で第2方向である+X方向に一列で配置されることが好ましい。このように、第1導入部201A、第2導入部201B、第1導出部301A及び第2導出部301Bを+X方向に一列に配置することで、各供給流路200の流路長のばらつきを低減することができる。
また、本実施形態の液体噴射装置であるインクジェット式記録装置1では、上記の液体噴射ヘッドである記録ヘッド2と、記録ヘッド2を保持する保持部材6と、を備える。
そして、保持部材6は、記録ヘッド2のインクを噴射する噴射面100aの第3方向である+Y方向の端部100bが、噴射面100aの+Y方向の反対側の端部100cよりも重力方向+G方向において上方となるように、記録ヘッド2を水平面に対して傾斜させて保持する。
このように記録ヘッド2を傾斜させることで、第1導出部301A、第2導出部301B等のそれぞれを第1回収流路300A、第2回収流路300Bに対して重力方向である+G方向の上方に配置することができる。したがって、第1回収流路300A、第2回収流路300B内の気泡を浮力によって第1導出部301A、第2導出部301Bに移動させることができ、第1導出部301A、第2導出部301Bからの気泡排出性を向上することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、液体噴射ヘッドである記録ヘッド2は、第2方向である+X方向に長尺なラインヘッドであることが好ましい。これによれば、記録ヘッド2が、+X方向に長尺なラインヘッドであっても、第1供給流路200A、第2供給流路200B、第1回収流路300A、第2回収流路300B等の流路のばらつきを抑制することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した一実施形態では、記録ヘッド2が筐体7に固定されたラインヘッドの構成を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド2を媒体の搬送方向と交差する方向に移動する、所謂、シリアル型の記録ヘッド2であってもよい。
また、上述した一実施形態では、記録ヘッド2は、インク滴の吐出方向である+Z方向が、重力下向きである+G方向に対して傾斜した方向としたが、特にこれに限定されず、印刷時又はメンテナンス時のみに+Z方向が+G方向に対して傾斜するものであってもよい。つまり、印刷時及びメンテナンス時の一方では、記録ヘッド2はインク滴の吐出方向である+Z方向が+G方向と一致する姿勢とし、印刷時及びメンテナンス時の他方において、記録ヘッド2はインク滴の吐出方向である+Z方向が+G方向に対して傾斜する姿勢であってもよい。
なお、上述した実施形態では、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C、第4導出部301Dは、+X方向に一列に配置するようにしたが、特にこれに限定されず、第1導出部301A、第2導出部301B、第3導出部301C、第4導出部301Dは、+X方向に一列に配置されていなくてもよい。
また、上述した実施形態では、第1導入部201A、第1導出部301Aのそれぞれは、+Z方向に見て、第1分配部203A、第1合流部303Aに重ならない位置に配置するようにしたが、特にこれに限定されず、第1導入部201A、第1導出部301Aの何れか一方又は両方は、+Z方向に見て第1分配部203A、第1合流部303Aに重なる位置に配置されていてもよい。なお、第2導入部201B、第2導出部301B、第3導入部201C,第3導出部301C、第4導入部201D、第4導出部301Dについても同様である。
また、上述した一実施形態では、回収流路300は、ヘッドユニット20からインクを回収するための流路として使用したが、メンテナンス時には回収流路として利用し、印刷時、特にベタ印字などの印刷デューティーが高い印刷時には供給流路として使用してもよい。このように回収流路300を供給流路として使用することで、ヘッドユニット20に対して供給流路200及び回収流路300の双方からインクを供給することができ、安定的にインクを供給することができる。また、第1の距離L1、第2の距離L2、第3の距離L3及び第4の距離L4を前述の関係を満たすようにすることで、各系統の供給流路200と回収流路300との流路抵抗の差のばらつきが低減されるため、インクの吐出重量を均一にすることができる。