JP2022069807A - ポリエステル系繊維構造物、その製造方法およびコンプレッションインナー衣料 - Google Patents

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直希 浅井
Naoki Asai
敬一 主森
Keiichi Tonomori
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Abstract

【課題】不快臭の原因である、皮脂やタンパク質の蓄積、常在菌による皮脂、タンパク質の分解、常在菌由来以外の皮脂の経時的な酸化分解に対して網羅的に対応することで今までにない新たな臭気抑制効果を発現し得るポリエステル系繊維構造物、その製造方法および臭気抑制効果に優れたコンプレッションインナー衣料の提供。【解決手段】ポリエステル系繊維を含む繊維基材を有し、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、トコフェロールおよび、それらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の抗酸化物質を繊維基材に対して0.3~0.85質量%有し、ポリエーテル成分を含有する親水性樹脂を繊維基材に対して0.1~0.3質量%有し、抗菌剤を有し、皮脂の酸化分解試験で発生するアルデヒド系臭気が1ppm以下である、ポリエステル系繊維構造物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系繊維構造物、その製造方法およびコンプレッションインナー衣料に関する。
従来より繊維製品に消臭性、防臭性を付与する技術が検討されている。消臭性や防臭性を付与する方法としては、金属フタロシアニンなどの金属錯体を用いる方法(特許文献1)、植物などからの消臭性抽出物を繊維に付着させる方法(特許文献2)、ポリカルボン酸樹脂と光触媒を用いる方法(特許文献3)や、ポリエステル系繊維構造物に、ヒドロキシ酸誘導体からなる物質が加熱によって、ヒドロキシ酸をポリエステル系繊維の末端に存在するヒドロキシ基およびカルボキシル基と反応することにより、固着させる方法(特許文献4)等が提案されている。
特開昭64-20852号公報 特開平9-271484号公報 特開2004-052208号公報 特許6168093号公報
近年、酷暑環境下における労働時の熱中症対策として、ファンが衣服に取り付けられた作業着が多く用いられるようになっている。ファン付作業服は、衣服内の外気を送風し、熱のこもった衣服内の空気を排出することで身体が冷却され、着用快適性を飛躍的に向上できる一方で、衣服内にこもった汗臭や体臭等の臭気成分も積極的に排出するため、作業者本人のみならず、周囲の作業者を不快にさせてしまうことがあった。また、作業時の身体的負担軽減のためにこれらと組合せて着用されることが多いコンプレッションインナーも、肌に密着して吸汗することで生地表面に汗とともに皮脂等が移行し、かつファンの送風により、生地に皮脂が徐々に蓄積してしまうため、さらに臭気を増幅する原因となっていた。これらの臭気を分析すると、皮脂やタンパク質を常在菌が分解することで発生するアンモニア、酢酸、あるいはイソ吉草酸、ヘキセン酸等の中鎖脂肪酸以外に、ノネナールやヘプタナールといったアルデヒド系の臭気が多く発生していることが分かった。これらは、常在菌の代謝により発生しているのではなく、皮脂成分に含まれるトリグリセリドやパルミトレイン酸といった遊離脂肪酸が光や熱の影響によって経時的に酸化分解することで発生していると考えられ、これらの臭気を抑制するのは、従来の消臭加工や防臭加工では対応が難しい。
特許文献1~3に示す方法では、いずれも洗濯耐久性が低く、洗濯後の消臭性を高めるために消臭剤やバインダーの使用量を増やすと風合いなどの品位を損ねるという問題があった。また、これら文献記載の技術をそのまま適用しても、アンモニア等の特定の臭気には対応可能であるものの、着用時に発生するアルデヒド等の臭気には対応できておらず、防汚性も低いため、臭気を抑制しきれないことが問題であった。また、特許文献4では、クエン酸等のヒドロキシ酸誘導体を固着することで、アンモニア消臭性を発現し、かつアルデヒドの酸化分解を抑制することでアルデヒドの防臭性を発現できるものの、繊維表面にクエン酸が高濃度で付着することで防汚性が低下するため、皮脂由来の臭気を抑制しきれない。
したがって、本発明は、不快臭の原因である、皮脂やタンパク質の蓄積、常在菌による皮脂、タンパク質の分解、常在菌由来以外の皮脂の経時的な酸化分解に対して網羅的に対応することで今までにない新たな臭気抑制効果を発現し得るポリエステル系繊維構造物、その製造方法および臭気抑制効果に優れたコンプレッションインナー衣料の提供を課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は下記の構成を採用する。
(1)ポリエステル系繊維を含む繊維基材を有し、
クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、トコフェロールおよび、それらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の抗酸化物質を前記繊維基材に対して0.3~0.85質量%、有し、
ポリエーテル成分を含有する親水性樹脂を前記繊維基材に対して0.1~0.3質量%、有し、
抗菌剤を有する、ポリエステル系繊維構造物。
(2)下記式(1)で表される再汚染防止評価試験を行う前後のATPふき取り評価試験から得られる発光量の差ΔLuが1000RLu以下である、(1)に記載のポリエステル系繊維構造物。
ΔLu=Lu(b)-Lu(a) (1)
ΔLu:再汚染防止評価試験を行う前後のLu値の差(単位:RLu)
Lu(a):再汚染防止評価試験を行う前のポリエステル系繊維構造物のLu値(単位:RLu)
Lu(b):再汚染防止評価試験を行う後のポリエステル系繊維構造物のLu値(単位:RLu)
(3)前記抗酸化物質がクエン酸およびその誘導体である、(1)または(2)に記載のポリエステル系繊維構造物。
(4)前記親水性樹脂がポリエステル系樹脂であり、前記ポリエステル系樹脂の親水性セグメントであるポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が1500~6000g/molの範囲であり、
かつ、分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35の範囲である、(1)~(3)のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
(5)前記抗菌剤がピリジン系抗菌剤である、(1)~(4)のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
(6)ポリウレタン系弾性糸を繊維基材中1~30質量%含む、(1)~(5)のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
(7)(1)~(6)のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物を用いてなる、コンプレッションインナー衣料。
(8)ポリエステル系繊維を含む繊維基材に、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、トコフェノールおよび、それらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の抗酸化物質、親水性セグメントとしてポリエーテル成分を含有する親水性樹脂、および、抗菌剤を担持させる工程を含む、(1)~(6)のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物の製造方法。
本発明により、不快臭の原因である、皮脂やタンパク質の蓄積、常在菌による皮脂、タンパク質の分解、常在菌由来以外の皮脂の経時的な酸化分解に対して網羅的に対応することで今までにない新たな臭気抑制効果を発現することができるポリエステル系繊維構造物が得られる。さらにポリエステル系繊維構造物にポリウレタン系弾性糸を含有させる場合には、身体に追従する良好なストレッチ性を発現させるとともに、ポリウレタン系弾性糸への臭気成分の吸着を利用し、体表面から発生するアンモニア等のさらに多くの種類の臭気に対応できる。また、本発明のコンプレッションインナー衣料は、臭気抑制効果に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[抗酸化物質]
本発明において抗酸化物質は、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、トコフェノールおよび、それらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いる。なかでも加工時に生地の黄変が少なく、かつ安価であり、ポリエステル繊維に耐久固着するクエン酸およびその誘導体が最も好ましい。
上記抗酸化物質において、それらの誘導体としては、クエン酸等の抗酸化物質が繊維基材を構成するポリマー等との反応や、自己縮合等の反応によって、その化学構造が一部変化し、例えば、重合体、無水物、エステル等となる場合を含む。
防汚性、消臭、抗酸化性の観点から、繊維基材に対する抗酸化物質の付着量は0.3~0.85質量%であり、0.3~0.75質量%が好ましい。また、付着量が0.3質量%より少ないと十分な消臭性、抗酸化性が得られない場合があり、一方で、0.85質量%よりも多い場合、抗酸化物質によって親水性樹脂が埋没してしまうことで防汚性が低下し、かつ生地のpHが低くなり、皮膚への刺激性が懸念されるため、好ましくない。
[親水性樹脂]
本発明で用いる親水性樹脂としては、ポリエーテル成分を含有する。その構造は本発明で規定するポリエステル系繊維構造物が得られる限り特に制限はないが、ポリマー主鎖中または側鎖にポリエーテル成分を含有する樹脂が好ましい。本発明で用いる親水性樹脂の具体例としては、ポリエステルとポリアルキレングリコール等のポリエーテル成分からなる共重合ポリエステル樹脂、ポリエーテル変性シリコーン樹脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられる。なかでもポリエステルとポリアルキレングリコール等のポリエーテル成分からなる共重合ポリエステル樹脂は、ポリエステル系繊維に固着し、良好な洗濯耐久性が得られるため、好適である。
親水性樹脂は、単繊維表面に存在することで吸水性、皮脂の蓄積防止性を向上させることで速乾性を向上できる。吸水性、不快臭の原因となる皮脂成分の蓄積防止性、そしてそれの性能の洗濯耐久性の観点から、添加量として、繊維基材に対して0.1~0.3質量%の範囲で付着するよう添加する。さらに好ましくは0.1~0.25質量%の範囲である。
さらに良好な吸水性、皮脂蓄積防止性を得るためには、用いられる共重合ポリエステル樹脂のポリエーテル成分のポリエチレングリコール換算重量平均分子量を制御することが好適である。ポリエチレングリコール換算重量平均分子量は、1500~6000g/molの比較的高分子量のポリエーテル成分を用いることが好ましい。より好ましくは2000~4000g/molである。
ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))から求められる。さらに、分子量分布のばらつきを小さくすることで、皮脂蓄積防止性も向上することができる。
分子量分布は、分子量のバラつきを示す数値であって、ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))から求められる。分子量分布のばらつきを小さくすることで防汚性、防臭性に特に優れる。なかでも1.00~1.35、なかでも1.00~1.25といった比較的分子量の揃ったポリエーテルを用いることが、より優れた再汚染防止性を付与する観点から好ましい。さらに好ましくは1.00~1.20である。
さらに用いられるポリエーテル成分のポリエチレングリコール換算重量平均分子量は、防汚性、防臭性の観点から大きいのがよく、なかでも1500~6000g/molといった比較的高分子量ポリエーテルを用いることが、より優れた皮脂蓄積防止性を付与する観点から好ましい。より好ましくは2000~4000g/molである。
本発明においてポリエーテル成分は、ポリエーテル、あるいはポリエーテル基を含む化合物におけるポリエーテル基部分を意味する。ポリエーテル成分は、1分子あたりに2つ以上のエーテル結合を有する化合物、分子中に存在するポリエーテル基を指す。本発明のポリエステル系繊維構造物にポリエーテル成分を担持するために用いることができる化合物としては、例えばポリアルキレングリコール、セルロース、ポリアルキレングリコールとポリエステルからなるブロック共重合体などが挙げられるが、本発明の規定を満たす限りこれに限定されない。なかでもポリエステル系繊維との親和性が高く、耐洗濯性等の耐久性の観点から、ポリアルキレングリコール単位からなるセグメントAとポリエステルなどの前記ポリアルキレングリコールと共重合可能なポリマー単位からなるセグメントBを共重合したポリエーテルエステルブロック共重合体が好ましい。
上記セグメントAを構成するポリアルキレングリコール単位としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールから生成する単位などが好ましく挙げられ、なかでもポリエチレングリコールから生成する単位がより好ましく挙げられる。
上記のセグメントBを構成する好ましい例であるポリエステル単位としては、テレフタル酸/またはイソフタル酸とアルキレングリコールからなる重合体単位などが好ましくあげられる。
なお、これらのブロック共重合体のポリエステルとポリエーテルの共重合比は任意であるが、より優れた皮脂蓄積防止性を付与する観点から、ポリエステル単位:ポリエーテル単位(質量比)=1:1~1:30であることが好ましい。より好ましくは、ポリエステル単位:ポリエーテル単位(質量比)=1:1~1:10である。さらに好ましくは、ポリエステル単位:ポリエーテル単位(質量比)=1:1~1:3である。
[抗菌剤]
また、本発明において抗菌剤は、上記剤と併用することにより、ポリエステル系繊維構造物に皮脂等の汚染物が付着したとしても、これら汚染物を分解する菌が繁殖しにくくなる性能が、洗濯によっても低下しにくくなり、長期間に渡り菌の繁殖が抑制されることで、分解物の生成が抑制され、この分解物に起因する不快臭の発生を抑制することが可能となる点で好ましい。抗菌剤の種類は限定されないが、ピリジン系抗菌剤、銀系抗菌剤などがあげられ、なかでもピリジン系抗菌剤が好ましい。
ピリジン系抗菌剤としては特に限定されるものではなく、例えば、2-クロロ-6-トリクロロメチルピリジン、2-クロロ-4-トリクロロメチル-6-メトキシピリジン、2-クロロ-4-トリクロロメチル-6-(2-フリルメトキシ)ピリジン、ジ(4-クロロフェニル)ピリジルメタノール、2,3,5-トリクロロ-4-(n-プロピルスルフォニル)ピリジン、2-ピリジルチオール-1-オキシド亜鉛、ジ(2-ピリジルチオール-1-オキシド)等のピリジン系化合物、N-トリクロロメチルチオフタルイミド、N-1,1,2,2-テトラクロロエチルチオテトラヒドロフタルイミド、N-トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、N-トリクロロメチルチオ-N-(フェニル)メチルスルファミド、N-トリクロロメチルチオ-N-(4-クロロフェニル)メチルスルファミド、N-(1-フロロ-1,1,2,2-テトラクロロエチルチオ)-N-(フェニル)メチルスルファミド、N-(1,1-ジフロロ-1,2,2-トリクロロエチルチオ)-N-(フェニル)メチルスルファミド、N,N-ジクロロフロロメチルチオ-N’-フェニルスルファミド、N,N-ジメチル-N’-(p-トリル)-N’-(フロロジクロロメチルチオ)スルファミド等のハロアルキルチオ系化合物、1-ジヨードメチルスルフォニル-4-クロロベンゼン、3-ヨード-2-プロパルギルブチルカルバミン酸、4-クロロフェニル-3-ヨードプロパルギルホルマール、3-エトキシカルボニルオキシ-1-ブロム-1,2-ジヨード-1-プロペン、2,3,3-トリヨードアリルアルコール等の有機ヨード系化合物、4,5-ジクロロ-2-シクロヘキシル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-(4-チオシアノメチルチオ)ベンズチアゾール、2-メルカプトベンズチアゾール亜鉛等のチアゾール系化合物および1H-2-チオシアノメチルチオベンズイミダゾール、2-(2-クロロフェニル)-1H-ベンズイミダゾール等のベンズイミダゾール系化合物等を使用することができる。
抗菌性、および抗菌性の洗濯耐久性の観点から、添加量として、好ましくは繊維基剤に対して0.01~5質量%の範囲で付着するよう添加することが好ましい。さらに好ましくは0.01~3質量%の範囲である。
また、ポリエステル系繊維構造物内にポリウレタン系弾性糸、特にポリウレタン系繊維を含む場合、抗菌剤がポリウレタン系弾性糸に効率的に吸尽されることから、0.01~0.5質量%といった比較的低濃度でも高い抗菌性を発揮する。
[ポリエステル系繊維構造物の繊維基材]
本発明のポリエステル系繊維構造物における繊維基材は、ポリエステル系繊維構造物のうち加工剤を除く繊維基材に対し10質量%以上ポリエステル系繊維を含むものであり、好ましくは繊維基剤中40質量%以上、より好ましくは60質量%以上のポリエステル系繊維を含むものであり、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上のポリエステル系繊維を含むものである。上限については特に制限はなく、100質量%であってもよい。
ポリエステル系繊維を構成する素材としては、エステル結合を有するポリマーであればよく、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、その共重合体などの芳香族ポリエステル、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルなどを基本骨格とするポリエステル類が挙げられ、なかでものポリエステル系繊維構造物の強度の観点から芳香族ポリエステルが好ましく、さらにはポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらポリエステル系繊維にはヒンダートフェノール系、アミン系、ホスファイト系、チオエステル系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系などの紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、シアニン系、スチルベン系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ベリノン系、キナクリドン系などの有機顔料、無機顔料、蛍光増白剤、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタンなどの粒子、静電剤などの添加剤が含有されていてもよい。また、カチオン染料に染色できるように繊維を構成するポリマーの側鎖にスルホ基等を導入したカチオン可染ポリエステルでもよい。
本発明のポリエステル系繊維構造体はポリエステル系繊維以外の繊維を含んだ混用品であってもよい。上記ポリエステル系繊維以外の繊維としては、例えば綿やウール、レーヨン、キュプラ、ナイロン、ポリウレタン系弾性糸等が挙げられ、綿である場合に特に本発明の効果が顕著である。これらは紡績糸、混繊糸、交織、交編、混綿等いずれの形態で含まれていても構わない。皮脂蓄積防止性の効果が顕著である観点から、ポリエステル系繊維以外の繊維としては綿繊維やレーヨン等のセルロース系繊維を含むことが好ましく、繊維基剤中、1質量%~60質量%程度含んでいてもよい。
またポリウレタン系弾性糸を含むポリエステル系繊維構造物は、特に本発明効果が顕著に発揮される点で好ましい。すなわち、本発明において、更にポリウレタン系弾性糸を含む場合、不快臭の原因である酢酸やイソ吉草酸等の酸性臭気の消臭効果が極めて顕著である不快臭の消臭性の観点から、繊維基材中の含有率として1~30質量%、より好ましくは2~20質量%、さらに好ましくは5~20質量%程度である。
また、ポリウレタン系弾性糸をポリエステル系繊維構造物に含有させることで、衣服のストレッチ性が向上し、身体に追従するようになり、肌と衣服の接触面積が増加するため、より効果的に不快臭を抑制することができる。この観点からも前記範囲とするのが好ましい。
[ポリウレタン系弾性糸]
上記ポリウレタン系弾性糸は、主構成成分がジイソシアネートおよびジオールおよびであるポリウレタンであれば任意のものであってよく、特に限定されるものではない。また、その合成法も特に限定されるものではない。なお、主構成成分とは、ポリウレタンを形成する成分の内、50質量%以上を構成する成分をいう。すなわち、例えば、ポリマージオールとジイソシアネートと鎖伸長剤としてジアミノ化合物(低分子量ジアミン)からなるポリウレタンウレアであってもよく、また、ポリマージオールとジイソシアネートと鎖伸長剤として低分子量ジオールからなるポリウレタンであってもよい。また、鎖伸長剤として水酸基とアミノ基を分子内に有する化合物を使用したポリウレタンウレアであってもよい。ここで、本発明で使用されるポリウレタン系弾性糸を構成する代表的な構造単位について 述べる。
次に、本発明で用いるポリウレタン系弾性糸を構成する構造単位のジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートなどが好ましい。芳香族ジイソシアネートとしては、例えばジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す)、トリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6-ナフタレンジイソシアネートなどが、特に 耐熱性や強度の高いポリウレタンを合成するのに好適である。また、脂環族ジイソシアネートとして、例えば、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(以下、PICM と略す)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ-1,5-ナフタレンジイソシアネートなどが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは、特にポリウレタンの黄変を抑制する際に有効に使用できる。中でも好ましくは、4,4’-MDIである。そして、これらのジイソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリウレタン系弾性糸を構成する構造単位のポリマージオールとしては、ポリエーテル系グリコール、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネートジオール等が好ましい。そし て、特に消臭性、柔軟性、繊維とした際に高い伸度を付与する観点からポリエーテル系グリコールが使用されることが好ましい。
次に、ポリウレタン系弾性糸を構成する構造単位の鎖伸長剤としては、低分子量ジアミンおよび低分子量ジオールのうち少なくとも1種または2種以上を使用するのも好ましい。これらの鎖伸長剤に、架橋構造を形成することのできるトリアミン化合物、例えば、ジエチレントリアミン等を、効果を失わない程度に加えてもよい。また、好ましい低分子量ジオールとしては、エチレングリコール(以下、EGと略す) 、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート、1-メチル-1,2-エタンジオールなどは代表的なものである。特に好ましくはEG、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールである。これらを用いると、ジオール伸長のポリウレタンとしては耐熱性が高いため、好ましい。
ポリウレタン系弾性糸を含有させる好ましい態様としては、特に限定はないが、親油性の高いポリウレタン系弾性糸を他の繊維でカバリングしたカバリング弾性糸とするなど、繊維表面への露出を抑制することが好ましい。これにより、不快臭抑制効果がいっそう発揮される。
また、本発明のポリエステル系繊維構造物を構成する繊維基材としては、織物、編物および不織布などの布帛状物の形態のものを好ましく使用することができ、また、ポリエステル系繊維構造物を構成する繊維の形態としては短繊維、長繊維のいずれであってもよく、これらに限定されるものではない。
本発明ポリエステル系繊維構造物の製造方法は、ポリエステル系繊維を含む繊維基材に上記抗酸化物質、上記親水性樹脂、および、抗菌剤を担持する工程を含む。
上記親水性樹脂、抗酸化物質、抗菌剤をポリエステル系繊維構造物に担持させる工程の具体的な方法としては、浴中処理、パッド法等により、加工剤で後加工する方法のほかに、繊維それ自体を構成する素材としての加工剤を共重合させたベースポリマーの使用や繊維への練り込みといった原糸改質等が考えられるが、原糸改質の場合、糸強度等の物性が大きく変化したり、汚れが繊維内部に浸透しやすくなる可能性があるため、物性を損なわない浴中処理、パッド法等の後加工での処理が好ましい。
ここでいう浴中処理とは、染色と同様に生地を加工剤が投入された浴に浸漬させた状態で加熱処理することで繊維構造物に加工剤を付着させる方法で、親水性樹脂や抗菌剤のポリエステル繊維への付着に好適な加工方法である。
パッド法とは加工剤が投入された浴に生地を浸漬させ、マングルローラー等で一定量の加工剤が付着するように圧搾した後、乾燥機内での乾熱処理、または100℃の飽和水蒸気下での湿熱処理により、加工剤を付着させる方法で、抗酸化物質のポリエステル繊維への付着に好適な加工方法である。
また、その他要求される性能に応じて、形態安定剤やスリップ防止剤、帯電防止剤、フィックス剤、柔軟剤等を併用してもよい。
本発明のポリエステル系繊維構造物は、防汚性、防臭性に優れるため、下記式(1)で表される再汚染防止評価試験を行う前後のATPふき取り評価試験から得られる発光量の差ΔLuで評価したときに1000RLu以下を達成することが可能であり、好ましい態様においては、500以下、さらに好ましい態様においては300以下を達成することも可能である。下限については、限定はなくΔLuが0に近いほど、極めて優れた皮脂汚れの防汚効果、防臭効果を発揮するが、現実的には通常150程度である。
ΔLu=Lu(b)-Lu(a) (1)
ΔLu:再汚染防止評価試験を行う前後のLu値の差(単位:RLu)
Lu(a):再汚染防止評価試験を行う前のポリエステル系繊維構造物のLu値(単位:RLu)
Lu(b):再汚染防止評価試験を行う後のポリエステル系繊維構造物のLu値(単位:RLu)
上記ΔLu値は再汚染防止評価試験を行う前後のATPふき取り試験(A3法)で得られる繊維表面に残存したATP(アデノシン-3リン酸)、ADP(アデノシン-2リン酸)、AMP(アデノシン-モノリン酸)由来の蛍光反応由来の発光量である。ATP、ADP、AMPは、皮脂に含まれる成分の一つであるため、皮脂の残留量の指標となる。また、再汚染防止評価試験とATPふき取り試験(A3法)は、後述する評価試験である。本発明のポリエステル系繊維構造物は、上記範囲を満たすことにより、皮脂汚れが低減でき、皮脂汚れ由来の不快臭や汚れを防止できる。
また、本発明のポリエステル系繊維構造物は、耐久性にも優れるためJIS L0217(1995年度版)103法で10回洗濯後もその性能を維持することが可能である。
すなわち、上記103法の10回洗濯後の、式(1)で表される再汚染防止評価試験を行う前後のATPふき取り評価試験から得られる発光量の差ΔLuが1000RLu以下であることが好ましく、より好ましくは800以下、特に好ましくは500以下である。下限については、限定はなくΔLuが0に近いことが望ましい。
本発明のポリエステル系繊維構造物は、耐久性のある消臭性と防臭性を有することから、衣服や寝装具、具体的には、スポーツシャツ、学生服、介護衣料、白衣、ブラウス、ドレスシャツ、スカート、スラックス、コート、ブルゾン、ウインドブレーカー、コンプレッションインナー衣料、ファン付作業服においてファンを取り付ける基材、手袋、帽子、布団側地、布団干しカバー、カーテンまたはテント類など、衣料用途品、非衣料用途品などの用途に好適に使用されるものである。
なかでも、衣服内にこもった汗臭や体臭等の臭気成分も積極的に排出し、作業者本人のみならず、周囲の作業者を不快にさせてしまうことがあったコンプレッションインナー衣料、ファン付作業服の双方に対してより好適に使用されるものである。ここでいうコンプレッションインナー衣料とはストレッチ性の高い生地によって着用者の体に着圧を掛け、着用者の運動機能を支援することを目的とするインナー衣料のことを指す。着圧をかけ、肌に密着させることで、汗の蒸発による気化熱で身体の冷却効果がより高くなる。
ここでいうファン付作業服とは、近年、酷暑対策として注目を集めている、電動ファンが内蔵されている作業服のことを指し、衣服外から空気を取り込み、身体とユニフォームの間に流して汗が蒸発する時の気化熱で身体を冷やすことを目的とする作業服のことを指す。
これらはいずれも汗の蒸発による身体の冷却効果を図るものであるので、汗に起因する問題が発生しやすいし、また肌に密着する部分では皮脂に起因する問題が生じやすい。
さらに、作業時の着用実態として、コンプレッションインナーを着用して、重量物運搬等の作業を支援しつつ、ファン付作業服で、熱中症予防等を行うというように、これらは組み合わせて着用を行うことが多く、結果として、汗、皮脂等の汚染物の菌による分解および、経時分解による不快臭の発生の改善が特に強く望まれる用途であり、本発明効果が特に顕著に奏功する用途でもある。
本発明における皮脂の酸化分解とは、皮脂成分に多く含まれるトリグリセリドやオレイン酸、リノール酸、リノレン酸といった遊離不飽和脂肪酸およびその誘導体が、熱やUV光等によって酸化されることを指し、アルキル鎖が分解され、ノネナールといった比較的低分子量のアルデヒド系臭気が発生する。これらの不飽和脂肪酸は、主に不飽和脂肪酸の二重結合部およびそれに隣接するアルキル基から分解する。アルデヒド系臭気としては、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ヘキサナール、オクタナール、へプタナール、デカナール、2-ノネナール等が挙げられる。
この酸化分解以外にも、皮脂に含まれるトリグリセリドや遊離脂肪酸が、モラクセラ菌やマイクロコッカス菌、コリネバクテリウム菌等の皮膚常在菌の代謝によって分解され、酢酸などの短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸が発生し、独特の不快臭を発生する。
本発明のポリエステル系繊維構造物は、皮脂の酸化分解試験で発生するアルデヒド系臭気が1ppm以下を達成することが可能である。好ましい態様においては、0.5ppm以下を達成することも可能である。下限としては低い方が好ましく、発生量0ppmを達成することが好ましいが、現実的には後述する測定における検出限界以下(0ppm)を達成することが特に好ましい。
ここで皮脂の酸化分解試験の方法およびアルデヒド系臭気の測定方法は後述する方法で行うものである。
[評価方法]
(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量測定方法)
以下の条件でポリエチレングリコール換算重量平均分子量を測定した。
装置:ゲル浸透クロマトグラフ GPC(島津製作所製 LC-20AD)
検出器:示差屈折率検出器 RI (Waters 製RI-8020 型,感度32x)
カラム :TSKgel G3000PWXL(東ソー製)
溶媒 :0.1M塩化ナトリウム水溶液
流速 :0.8 mL/min
カラム温度 :23℃
注入量:0.1 mL
標準試料:ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド
データ処理:島津製作所製 Prominence GPCシステム
試料の調製方法を以下に示す。
1.ポリエステル系繊維構造物中のポリエステル系繊維5gを採取し、これとアンモニア水30mL試験管に加え、密栓する。
2.120℃で5時間加熱し、放冷する。
3.開栓し、精製水30mLを加えた後、6M塩酸をテレフタル酸由来の沈殿物が生じるまで加え、遠心分離する。
4.上澄み液を採取し、塩酸濃度が0.1Mになるよう調製する。
5.0.45μmフィルターでろ過し、分子量測定に用いた。
なお、ポリエチレンテレフタレート繊維を使用し、かつポリエーテル成分がポリエチレングリコール成分である場合、上記測定には、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール成分が検出される場合があるが、この場合は測定の趣旨を鑑み、ポリエチレングリコール成分を評価の対象とする。
(NMR測定)
上記ポリエチレングリコール換算重量平均分子量の測定で試料の調整方法1~3と同じ操作を行い、得られる上澄み液5mLを乾固させたのち、50%重水素化クロロホルム/重水素化ヘキサフルオロ2-プロパノール1mLに溶解させたものをNMRチューブに入れ、以下の測定方法でH-NMR測定を行った。
NMRのスペクトルチャートで内部基準テトラメチルシラン由来のピークを0ppmとしたとき、3.7~3.8ppmに強いピークが検出されることにより、ポリエチレングリコール成分が存在することが分かる。
H-NMR測定方法)
[条件]
装置名 :ECA400 (日本電子製)
測定核 :1H
観測周波数 :399.78 MHz
溶媒 :重水素化クロロホルム+重水素化ヘキサフルオロ2-プロパノール(1/1 v/v)
内部標準 :テトラメチルシラン(TMS)
[詳細]
測定法:Single pulse
スペクトル幅: 8000 Hz
パルス幅:6.45 μs(45°パルス)
パルス待ち時間:15.0 s
データポイント:32768
(再汚染防止評価試験方法)
下記成分の汚染液150mlと直径6.4mmのステンレス鋼球10個をラウンダーメータ型洗濯試験機付属の450ml試験瓶に入れ、40±2℃に予熱する。試験片を5cm×10cmに切ったものを3枚、試験瓶に入れて蓋をし、40±2℃に調整した試験機に取り付けて20分間回転する。終了後試験片を取り出し、流水で洗った後風乾する。これを20回繰り返すことで再汚染防止評価とした。
(汚染液の作成)
HEAL’S ECE FORMULATION NON PHOSPHATE REFERENCE DETERGENT (A)17.5 g、油性汚染剤2.8g、乾性汚染剤0.95gを秤量し、洗剤を乳鉢ですりつぶして汚染剤を練り合わせた後、水を少量ずつ加えて練り合わせて全体を1Lにする。
上記で使用した油性汚染剤、乾性汚染剤の成分を表1、2に示す。
Figure 2022069807000001
Figure 2022069807000002
(ATPふき取り評価試験方法)
キッコーマンバイオケミファ(株)製“ルシパック(登録商標)”A3 Surfaceを綿棒ホルダーから抜き、純水で綿棒部分を湿らせる。再汚染防止評価試験前後の試験片の汚染剤付着部分に、純水で綿棒部分を湿らせた“ルシパック(登録商標)”A3 Surfaceの綿棒部分を押し当て、織布、編布のタテ方向、およびヨコ方向に5cmそれぞれ10回ふき取る。“ルシパック(登録商標)”A3 Surfaceを綿棒ホルダーに戻し、綿棒部分とホルダー先端に内蔵された試薬と反応するまでに押し込み、10回上下に振り下ろす。ATPふき取り検査装置(キッコーマンバイオケミファ(株)製ルミテスターPD-30)に“ルシパック(登録商標)”A3 Surfaceをセットし、汚染剤に含まれる牛脂に起因したATP、ADP、AMP由来の発光量で測定する。再汚染防止評価試験前のLuをLu(a)、再汚染防止評価試験後のLu値をLu(b)とし、下記式でLu値の差ΔLuを評価した。
ΔLu=Lu(b)-Lu(a) (1)
ΔLu:再汚染防止評価試験を行う前後のLu値の差(単位:RLu)
Lu(a):再汚染防止評価試験を行う前のポリエステル系繊維構造物のLu値(単位:RLu)
Lu(b):再汚染防止評価試験を行う後のポリエステル系繊維構造物のLu値(単位:RLu)
ΔLuが小さいほど皮脂等の蓄積が抑制されていることを示す。
(洗濯方法)
JIS L0217(2012年度版)103法)を用いた。具体的には、JIS C9606(2007年度版)に規定される遠心式脱水装置付きの家庭用電気洗濯機(Panasonic製NA-F50B9)を用い、標準水量を示す水位線まで液温40℃の水を入れ、これに標準使用量となる割合で洗濯用合成洗剤(花王製アタック高活性バイオEX)を20g添加して溶解し、洗濯液とした。この洗濯液に浴比が、1:30になるように試料、負荷布を投入して運転を開始した。
5分間処理した後、運転を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱水し、次に洗濯液を30℃以下の新しい水に代えて、同一の浴比で2分間すすぎ洗いを行った。2分間のすすぎ洗いを行った後、運転を止め、試料と負荷布を脱水し、再び2分間すすぎ洗いを行い、脱水し、直接日光の影響を受けない状態で、つり干しをした。
(アンモニア消臭性)
10cm×5cmに裁断した試料を入れた500mlの容器に初期濃度が300ppmになるようにアンモニアガスをいれて密閉し、30分間放置後、ガス検知管で残留アンモニア濃度を測定した。このとき、試料を入れずに同様の操作を行い、残留アンモニア濃度を測定したものを空試験濃度とし、下記の式に従い消臭率(%)として算出した。
アンモニア消臭率(%)=(1-(ガス検知管測定濃度)/(空試験濃度))×100
数値が大きいほど、消臭性が良好なことを示す。
(イソ吉草酸消臭性)
アンモニアと同様に10cm×5cmに裁断した試料を入れた500mlの容器に初期濃度が300ppmになるようにイソ吉草酸ガスをいれて密閉し、30分間放置後、ガス検知管で残留イソ吉相酸濃度を測定した。このとき、試料を入れずに同様の操作を行い、残留イソ吉草酸濃度を測定したものを空試験濃度とし、下記の式に従い消臭率(%)として算出した。
イソ吉草酸消臭率(%)=(1-(ガス検知管測定濃度)/(空試験濃度))×100
数値が大きいほど、消臭性が良好なことを示す。
(制菌性評価方法)
JIS L1902(2015年度版)菌液吸収法に従って測定を行った。以下に詳細を示す。
1.試験片0.4gをバイアル瓶に入れ、試験菌液0.2mlを滴下後、バイアル瓶のふたをする。
2.バイアル瓶を37℃で24時間培養する。
3.洗い出し液20mlを加えて試験片から試験菌を洗い出し、洗い出し液中の生菌数を混釈平板培養法より測定する。
4.下記の式に従い抗菌活性値を算出する。
抗菌活性値={log(対照試料・培養後生菌数)-log(対照試料・接種直後生菌
数)}-{log(試験試料・培養後生菌数)-log(試験試料・接種直後生菌数)}
対照試料には、標準布(綿)を使用した。
抗菌活性値>増殖値(対象試料の抗菌活性値)である場合、菌が増殖せず、むしろ減少していることを意味するため、好ましい。対応菌種としては、腋臭等の原因菌であるコリネバクテリウム菌を選択した。
(ΔLの評価方法)
着用、家庭洗濯を繰り返し10回行った後で、特に黒ずみやすい首元の生地を5cm×10cmにカットしたものを、明度(L値)をコニカミノルタ(株)製多光源分光測色計(cm-3700d)を用い、全反射法で3つ折りにした生地で測定し、再汚染防止評価試験前のL値をL(a)、再汚染防止評価試験後のL値をL(b)とし、下記式でL値の差ΔLを評価した。
ΔL=L(a)-L(b) (1)
ΔL:繰り返し着用を行う前後のL値の差
(a):繰り返し着用を行う前のポリエステル系繊維構造物のL
(b):繰り返し着用を行う後のポリエステル系繊維構造物のL
(b)値が大きい程、洗浄性が高く、防汚性が良好であることを示す。特にΔLが小さいほど皮脂蓄積に起因した黒ずみ汚れが抑制されていることを示す。
(皮脂の酸化分解試験/アルデヒド系臭気測定)
2.5cm×2.5cmに裁断した試験布に対して、スクアレン(和光純薬(株)製試薬)とリノレン酸(和光純薬(株)製試薬)の質量比(スクアレン:リノレン酸)2:8で混合したモデル皮脂成分を0.1g滴下し、ポリスチレン製のスクリューキャップ付きの容器(アズワン製PS Screw Bottle SS-50)内に入れ、パラフィルムM(Bemis Flexible Packaging製)で開口部を塞いだうえで、スクリューキャップで密栓し、温度40℃、湿度60%RHに調整した恒温恒湿槽内で4日間静置、そのあとで温度20℃、湿度65%RHに調整した室内で容器を密栓した状態で20分間静置した。その後で、スクリューキャップを開栓し、気体採取器(ガステック社製 GV-100)に付属しているチップブレーカでアセトアルデヒド臭気検知用の検知管(ガステック製N-92L)の両端部を取り除いたうえで、気体採取器のインレットゴムに挿入し、パラフィルムに穴をあけて100mL吸引し、2分静置した後に、容器内のアルデヒド系臭気の濃度を測定した。
(着用試験後の臭気官能評価)
実施例および比較例の繊維構造物を、ファン付作業服の中に着用するコンプレッションインナーの基材、またはファン付作業服基材として用い、着用試験を実施、着用、家庭洗濯を繰り返し10回行った後の生地の臭いの官能評価を行った。アルデヒド系臭気が発生している場合、独特の刺激臭がする。官能評価の結果を基に臭気の抑制具合をA、B、C、Dの4段評価を行った。
A;着用時の不快臭がほぼ感じられず、かつ繰り返し使用で不快臭が感じられなかった。
B;着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減された。
C;着用時の不快臭が軽減されたものの、繰り返し使用で不快臭が徐々に増した。
D;着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増した。
E;着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が顕著に増した。
(ピックアップ率)
ピックアップ率とは、加工液浸漬前の加工生地質量に対し、加工液に浸漬、絞った後の生地との質量差の比であり、下記式(2)で表される。
ピックアップ率(%)=(浸漬、絞った後の加工生地質量-浸漬前の加工生地質量)/浸漬前の加工生地質量×100…(2)。
(各加工剤の付着量)
浴中処理
浴中処理では、以下の方法で繊維に付着した加工剤量を測定した。
未処理生地およそ300gを100℃で60分間絶乾したのち、乾燥剤としてシリカゲルを入れたデシケーター内に生地を20分程度静置し、放熱した後で、直ちに精密天秤で生地質量を測定した。実施例に記載の方法で浴中処理後の生地に対しても同様の方法で生地質量を測定し、付着量を測定した。
浴中処理における付着量(%)=(浴中処理後の生地質量-未処理生地の質量)
/浴中処理後の生地質量×100…(3)
2種類以上の加工剤を併用したときは、各々の加工剤を単独で用いた以外は同条件で加工した時の付着量を測定し、それぞれの付着量とみなした。なお、2種類以上の加工剤を併用した時の合計の付着量の測定結果から矛盾しない値であることを確認した。
パッド法
上記のピックアップ率の測定をもとに、パッド法での加工後の生地への付着量を下記式(4)で算出した。
パッド法における付着量(%)=ピックアップ率(%)/100×加工剤の濃度(g/L)/10…(4)
なお、浴中処理、パッド法において、各処理の処理前の生地に抗酸化剤、親水性樹脂、抗菌剤のいずれかが既に付着している場合は、これらの付着量を差し引き、繊維基剤に対する量となるよう補正をして計算した。
(ポリエーテル成分を含むポリエステル系樹脂の製造)
ポリエステルからなるハードセグメントとしてテレフタル酸およびエチレングリコールのポリエステル成分を、ポリエーテル成分からなるソフトセグメントとしてポリエチレングリコール成分を任意の割合で混合し、同時に縮合反応させることで、ポリエステル系樹脂を得た。
[実施例1]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%のカバリング糸(芯糸:ポリウレタン系弾性糸、カバリング糸ポリエチレンテレフタレート)で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例1で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表3に示す。実施例1で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭がほぼ感じられず、かつ繰り返し使用で不快臭が感じられなかったため、着用時の防臭性はAとする。
[実施例2]
溶媒を水とし、シルバーデュア(ダウ社製銀系抗菌剤);1.5%owfとTM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%)5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例2で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表3に示す。実施例2で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[実施例3]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと上記のポリエーテル成分を含むポリエステル系樹脂の製造方法に基づき重量平均分子量1700g/molのポリエチレングリコールを使用し、ポリエステル成分とポリエチレングリコール成分の質量比1:3で製造したポリエステル系樹脂P-1;0.5%owfと、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例3で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表3に示す。実施例3で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[実施例4]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと上記のポリエーテル成分を含むポリエステル系樹脂の製造方法に基づき、重量平均分子量5800g/molのポリエチレングリコールを使用し、ポリエステル成分とポリエチレングリコール成分の質量比1:3で製造したポリエステル系樹脂P-2;0.5%owfと、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例4で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表3に示す。実施例4で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[実施例5]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TO-SR-1(高松油脂(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);3%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例5で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表3に示す。実施例5で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減されたものの、繰り返し使用で不快臭が徐々に増したため、着用時の防臭性はCとする。
[実施例6]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、DL-リンゴ酸(ナカライテスナカライ規格一級);7.5 g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例6で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表3に示す。実施例6で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[実施例7]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、L(+)-アスコルビン酸(ナカライテスク(株)製 JIS試薬特級);7.5 g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例7で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表3に示す。実施例7で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[実施例8]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、DL-α-トコフェロール(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格特級);7.5 g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例8で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表4に示す。実施例8で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[実施例9]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと酢酸0.5g/LとTM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owfを含む加工液に、繊度84T-72Fのポリエチレンテレフタレート繊維で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lとを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例9で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表4に示す。実施例9で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、繰り返し着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[実施例10]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度84T-72Fのポリエチレンテレフタレート繊維で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、DL-リンゴ酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級);7.5 g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例10で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表4に示す。実施例10で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[実施例11]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度84T-72Fのポリエチレンテレフタレート繊維で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、L(+)-アスコルビン酸(ナカライテスク(株)製 JIS試薬特級);7.5 g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例11で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表4に示す。実施例11で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[実施例12]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度84T-72Fのポリエチレンテレフタレート繊維で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、DL-α-トコフェロール(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格特級);7.5 g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例12で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表4に示す。実施例12で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[実施例13]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度84T-72Fのポリエチレンテレフタレート繊維を経糸、緯糸に使用して織布したポリエステル織布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lとを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。実施例13で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表4に示す。実施例13で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服を作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減され、かつ繰り返し使用でも臭気が軽減されたため、着用時の防臭性はBとする。
[比較例1]
実施例1に記載の編布に加工を行わず、ポリエステル系繊維構造物を得た。比較例1で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表5に示す。比較例1で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服のインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が顕著に増したため、着用時の防臭性はEとする。
[比較例2]
実施例9に記載の編布に加工を行わず、ポリエステル系繊維構造物を得た。比較例2で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表5に示す。比較例2で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服のインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が顕著に増したため、着用時の防臭性はEとする。
[比較例3]
実施例13に記載の織布に加工を行わず、ポリエステル系繊維構造物を得た。比較例3で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表5に示す。比較例3で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服を作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が顕著に増したため、着用時の防臭性はEとする。
[比較例4]
溶媒を水とし、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例4で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表5に示す。比較例4で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増したため、着用時の防臭性はDとする。
[比較例5]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例5で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表5に示す。比較例5で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増したため、着用時の防臭性はDとする。
[比較例6]
溶媒を水とし、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例6で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表5に示す。比較例6で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増したため、着用時の防臭性はDとする。
[比較例7]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);2.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例7で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表5に示す。比較例7で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増したため、着用時の防臭性はDとする。
[比較例8]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);15g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例8で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表6に示す。比較例8で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増したため、着用時の防臭性はDとする。
[比較例9]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);0.8%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例9で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表6に示す。比較例9で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増したため、着用時の防臭性はDとする。
[比較例10]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);30%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度66T-96Fのポリエチレンテレフタレート繊維90質量%/22T-2Fポリウレタン系弾性糸10質量%混繊糸で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例10で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表6に示す。比較例10で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増したため、着用時の防臭性はDとする。
[比較例11]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度84T-72Fのポリエチレンテレフタレート繊維で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);2.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例11で得た繊維構造物の測定結果を表6に示す。比較例11で得た繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増したため、着用時の防臭性はDとする。
[比較例12]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);5%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度84T-72Fのポリエチレンテレフタレート繊維で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);15g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例12で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表6に示す。比較例12で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増したため、着用時の防臭性はDとする。
[比較例13]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);0.8%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊度84T-72Fのポリエチレンテレフタレート繊維で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させて浴中処理を完結させたのち、パッド法による処理を行った。すなわち溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例13で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表6に示す。比較例13で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が感じられ、かつ繰り返し使用で不快臭が増したため、着用時の防臭性はDとする。
[比較例14]
溶媒を水とし、MR-T100(大阪化成(株)製、ピリジン系抗菌剤、固形分19%);1%owfと、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);30%owf、酢酸0.5g/Lとを含む加工液に、繊繊度84T-72Fのポリエチレンテレフタレート繊維で編成したポリエステル編布で編成したポリエステル編布を浸漬し、密栓した後、130℃で60分間浴中での加熱処理を行った後、1分間流水すすぎし、乾燥させたのち、溶媒を水とし、クエン酸(ナカライテスク(株)製 ナカライ規格一級、“くえん酸(無水)”);7.5g/Lを含む加工液に、上記の加工生地を浸漬させ、ピックアップ率が80%に絞ったのち、130℃で2分間加熱処理したのち、170℃で1分間加熱処理することでポリエステル系繊維構造物を得た。比較例14で得たポリエステル系繊維構造物の測定結果を表7に示す。比較例14で得たポリエステル系繊維構造物を使用して縫製し、ファン付作業服内に着用するコンプレッションインナーを作製して着用試験を行った結果、着用時の不快臭が軽減されたものの、繰り返し使用で不快臭が徐々に増したため、着用時の防臭性はCとする。
Figure 2022069807000003
Figure 2022069807000004
Figure 2022069807000005
Figure 2022069807000006

Claims (8)

  1. ポリエステル系繊維を含む繊維基材を有し、
    クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、トコフェロールおよび、それらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の抗酸化物質を前記繊維基材に対して0.3~0.85質量%、有し、
    ポリエーテル成分を含有する親水性樹脂を前記繊維基材に対して0.1~0.3質量%、有し、
    抗菌剤を有する、ポリエステル系繊維構造物。
  2. 下記式(1)で表される再汚染防止評価試験を行う前後のATPふき取り評価試験から得られる発光量の差ΔLuが1000RLu以下である、請求項1に記載のポリエステル系繊維構造物。
    ΔLu=Lu(b)-Lu(a) (1)
    ΔLu:再汚染防止評価試験を行う前後のLu値の差(単位:RLu)
    Lu(a):再汚染防止評価試験を行う前のポリエステル系繊維構造物のLu値(単位:RLu)
    Lu(b):再汚染防止評価試験を行う後のポリエステル系繊維構造物のLu値(単位:RLu)
  3. 前記抗酸化物質がクエン酸およびその誘導体である、請求項1または2に記載のポリエステル系繊維構造物。
  4. 前記親水性樹脂がポリエステル系樹脂であり、
    前記ポリエステル系樹脂の親水性セグメントであるポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が1500~6000g/molの範囲であり、
    かつ、分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35の範囲である、請求項1~3のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
  5. 前記抗菌剤がピリジン系抗菌剤である、1~4のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
  6. ポリウレタン系弾性糸を繊維基材中1~30質量%含む、請求項1~5のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物を用いてなる、コンプレッションインナー衣料。
  8. ポリエステル系繊維を含む繊維基材に、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、トコフェノールおよび、それらの誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の抗酸化物質、親水性セグメントとしてポリエーテル成分を含有する親水性樹脂、および、抗菌剤を担持させる工程を含む、請求項1~6のいずれかに記載のポリエステル系繊維構造物の製造方法。
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