JP2022067923A - 潤滑油組成物、その製造方法及び機械装置 - Google Patents

潤滑油組成物、その製造方法及び機械装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基油劣化による蒸気圧上昇が抑制された低蒸気圧を有する潤滑油組成物、その製造方法及び前記潤滑油組成物を使用した機械装置を提供する。【解決手段】基油とフラーレン誘導体とを含み、前記基油は多重アルキルシクロペンタン油又はイオン液体であり、前記フラーレン誘導体は下記一般式(1)TIFF2022067923000004.tif63165で表される化合物である潤滑油組成物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物、その製造方法及び機械装置に関する。
高真空(10-1Pa~10-5Pa)下で使用できる潤滑油組成物は、低い蒸気圧を有し、揮発成分を実質的に含まないことなど、通常の潤滑油組成物と異なる特性が求められる。
特許文献1には、蒸気圧の低いPFAE(パーフルオロアルキルエーテル)、トリス(2-オクチルドデシル)シクロペンタン等を基油とした潤滑油組成物が提案されている。
特許文献2には、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム等のリチウム化合物、及び窒素オニウムカチオンと、弱配位性含フッ素有機アニオンまたは弱配位性含フッ素無機アニオンとからなるイオン性液体から選択された制電性物質と、を含む制電性潤滑油組成物が提案されている。
特許文献3には、蒸気圧が低く、かつ静電防止程度の導電性を有するイオン性液体からなる半固体状潤滑油組成物が提案されている。
特許文献4には、耐熱性及び酸化防止性を有する潤滑油組成物として、(a)25℃での蒸気圧が1×10-4Torr以下のフッ素を含有しない合成油、及びイオン性液体からなる群から選ばれる少なくとも1種の基油、及び(b)フラーレン化合物及びフラーレン製造時の副生炭素粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する潤滑油組成物が提案されている。
特許文献5には、フラーレン誘導体としてマロン酸ジ-tert-ブチル多付加体等のメタノフラーレンの製造方法が開示されている。
特許文献6には、フラーレン誘導体としてマロン酸ジエチル多付加体及びマロン酸-ジ-tert-ブチル多付加体が開示され、用途としてレジスト下層膜形成組成物が提案されている。
特開平10-140169号公報 特開2005-89667号公報 特開2005-154755号公報 特開2005-336309号公報 特許第4916117号公報 特許第5757286号公報
特許文献1~4には真空下で使用できる潤滑油組成物が提案されている。しかしこれらは、例えば、宇宙線などの高エネルギー線に暴露される過酷な環境の宇宙空間では、潤滑油組成物の物性が変化することが予想される。よってこれらの提案は、長期に亘って安定に潤滑性能を維持するためには十分でない。
より詳細には、潤滑油組成物の物性変化は、潤滑油組成物を構成する基油の分子が徐々に開裂し、基油の分子鎖が短くなるために生じる。特に高真空下で使用される潤滑油組成物においては、分子量が小さい成分が生成されることに起因する潤滑油組成物の蒸気圧上昇が生じる。この蒸気圧の上昇は、後述するような様々な問題を引き起こす。この一連の基油の変化を“基油劣化”と呼ぶ。基油劣化は、高エネルギー線以外に、摺動部へ極度の力が加わった場合の摩擦摩耗による発熱などによっても引き起こされることがある。
基油劣化による蒸気圧上昇により、使用中に基油の一部が蒸発して失われ、摺動部から潤滑油が減少する可能性がある。その結果、摺動部の摩耗が発生し、焼き付きを起こす要因にもなり得る。また、基油の一部が蒸発する際に、潤滑油も飛散し、機械装置の摺動部以外の部位にも付着し、機械装置を汚染することもある。
本発明の目的は、基油劣化による蒸気圧上昇が抑制された低蒸気圧を有する潤滑油組成物、その製造方法及び前記潤滑油組成物を使用した機械装置を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
[1] 基油とフラーレン誘導体とを含み、
前記基油は多重アルキルシクロペンタン油又はイオン液体であり、
前記フラーレン誘導体は下記一般式(1)
Figure 2022067923000001
(上記一般式(1)中、R及びRは炭素原子数2~24のアルキコキシ基を表わし、FLNはフラーレン骨格を表し、nは1以上の整数を表わす。)
で表される化合物である、
潤滑油組成物。
[2] 前記nは、1~5である前項[1]に記載の潤滑油組成物。
[3] 前記R及びRは、tert-ブトキシ基である前項[1]または[2]に記載の潤滑油組成物。
[4] 前記基油を構成する分子構造の一部を有する付加基が前記フラーレン誘導体に付加した付加体を更に含む前項[1]~[3]のいずれかに記載の潤滑油組成物。
[5] 基油にフラーレン誘導体を溶解する溶解工程を有し、
前記基油は多重アルキルシクロペンタン油又はイオン液体であり、
前記フラーレン誘導体は前記式(1)で表される化合物である、
潤滑油組成物の製造方法。
[6] 非酸化性雰囲気下、溶解工程で得られたフラーレン誘導体の溶液中で、前記基油を構成する分子構造の一部を有する付加基を、前記フラーレン誘導体に付加する付加反応工程を更に含む前項[5]に記載の潤滑油組成物の製造方法。
[7] 前記非酸化性雰囲気中の酸素ガス分圧が、10パスカル以下である前項[6]に記載の潤滑油組成物の製造方法。
[8] 付加反応工程は、前記溶液中のフラーレン誘導体の濃度が、付加反応工程前のフラーレン誘導体の濃度に対して0.1~0.7倍となるまで行なわれる前項[6]または[7]に記載の潤滑油組成物の製造方法。
[9] 付加反応工程の処理時間が、5分以上24時間以下である前項[6]~[8]のいずれかに記載の潤滑油組成物の製造方法。
[10] 付加反応工程が、溶解工程で得られたフラーレン誘導体の溶液を熱処理する工程である前項[6]~[9]のいずれかに記載の潤滑油組成物の製造方法。
[11] 熱処理の温度が、前記基油の使用上限温度を超え、且つ前記使用上限温度+200℃以下の範囲である前項[10]に記載の潤滑油組成物の製造方法。
[12] 付加反応工程が、溶解工程で得られたフラーレン誘導体の溶液に放射線照射を行う工程であり、前記放射線が紫外線又は電離放射線である前項[6]~[9]のいずれかに記載の潤滑油組成物の製造方法。
[13] 前記放射線が、波長190nm~365nmの紫外線である前項[12]に記載の潤滑油組成物の製造方法。
[14] 付加反応工程で照射される放射線のエネルギーが、前記フラーレン誘導体の溶液1mLあたり1J~100Jである前項[12]または[13]に記載の潤滑油組成物の製造方法。
[15] フラーレン誘導体を含む溶液から不溶成分を除去する不溶成分除去工程を更に有する前項[6]~[14]のいずれかに記載の潤滑油組成物の製造方法。
[16] 前項[1]~[4]のいずれかに記載の潤滑油組成物を真空下で摺動する摺動部に使用した機械装置。
本発明によれば、基油劣化による蒸気圧上昇が抑制された低蒸気圧を有する潤滑油組成物、その製造方法及び真空装置が提供される。
以下、本発明の実施形態に係る潤滑油組成物、その製造方法及び機械装置について説明する。なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更、付加、省略、置換等が可能である。
(潤滑油組成物)
本実施形態に係る潤滑油組成物は、基油とフラーレン誘導体とを含み、前記基油は多重アルキルシクロペンタン油又はイオン液体であり、前記フラーレン誘導体は前記式(1)で表される化合物である。
(基油)
本実施形態の潤滑油組成物に含まれる基油は、多重アルキルシクロペンタン油またはDialkylpiperidin bis(trifluoromethanesulfonyl)imideなどのイオン液体であり、蒸気圧が低いことが好ましい。基油には、揮発成分が含まれていないことが好ましい。基油の蒸気圧は、具体的には、25℃の蒸気圧が1パスカル以下であることが好ましく、0.1パスカル以下であることがさらに好ましく、0.01パスカル以下であることが特に好ましい。
多重アルキルシクロペンタン油(Multiply Alkylated Cyclopentane Oil,以下「MAC油」と言うことがある)の分子は、シクロペンタン環に複数のアルキル基が結合した構造を有する。これらアルキル基の総炭素数は48以上112以下が好ましい。総炭素数は、例えば、48以上60以下や、48以上80以下や、70以上112以下などであってもよい。各アルキル基の炭素数は同じであっても、異なってもよい。シクロペンタン環に結合するアルキル基の数も任意に選択でき、例えば、1~5であってもよく、2~4や、3~4であっても良い。より具体的な例としては、炭素数20のアルキル基が3つ結合ししたトリス(2-オクチルドデシル)シクロペンタン、炭素数12のアルキル基が4つ結合したテトラ(ドデシル)シクロペンタンなどが挙げられ、さらに、これらの混合物も挙げられる。
イオン液体は、アニオン部とカチオン部とからなるイオン性化合物であり、特に室温~80℃で液体であるものが使用しやすく好ましい。
前記アニオン部としては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホニル)イミド、ジエチルホスフェート、ジシアナミド、ヘキサフロロフォスフェート、テトラフロロボレート、ハライドなどが挙げられる。
前記カチオン部としては、リチウム、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、エチルジメチルフェニルエチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、1-アリール-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、 1-ブチル-2、3-ジエチルイミダゾリウム、3,3‘-(ブタン-1,4-ジル)ビス(1ビニル-3-イミダゾリウム)、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルピリジウム、4-エチル-4-メチルモロホリニウム、テトラブチルホスホニウム、トリブチル(2-メトキシエチル)ホスホニウム、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム、ブチル-1-メチルピペリジウム、1-ブチルピリジウム、1-ブチル-メチルピロリジンニウム、トリブチルスルホニウムなどが挙げられる。
具体的なイオン液体としては、これらカチオン部の化合物とアニオン部の化合物とを適宜組み合わせた化合物が挙げられる。なお、組合わせるカチオン部の化合物及びアニオン部の化合物はそれぞれ一種でなくても構わない。すなわち、それぞれの化合物を1種以上互いに組み合わせても良い。
(フラーレン誘導体)
本実施形態の潤滑油組成物に含まれるフラーレン誘導体は、前述の式(1)で表される化合物である。
フラーレン誘導体中のフラーレン骨格の種類としては、例えば、C60やC70、さらに高次のフラーレンでもよい。原料となるフラーレンの入手性の観点から、フラーレン骨格部分が、C60やC70の誘導体が好ましく、C60の誘導体がより好ましい。また、フラーレン誘導体はこれらフラーレン骨格部分が異なる混合物であってもよい。この場合、フラーレン骨格部分がC60の誘導体が主成分であることが好ましい。このフラーレン誘導体としては、市販品を用いてもよいが、特許文献5または6の方法あるいは後述する実施例の方法で得てもよい。
前記式(1)中のnは、1以上の整数であり、フラーレン誘導体の基油への溶解性の観点から2以上が好ましい。また、nは、フラーレン骨格の大きさが大きいほど大きくできるが、フラーレン骨格の安定性の観点から5以下とすることが好ましい。
前記式(1)中のアルコキシ基は、フラーレン誘導体の基油へ溶解性の観点から炭素数2~24であり、炭素数3~8がより好ましい。なお、前記式(1)中のR及びRは、それぞれ異なるアルコキシ基であってもよく同じであってもよいが、製造のしやすさの観点から同じであることが好ましい。
潤滑油組成物中のフラーレン誘導体濃度は、基油への飽和溶解度未満であれば任意に選択できる。前記濃度は、基油に対して潤滑特性を改善する観点から0.001μmol/g以上が好ましく、宇宙線や真空中でも残存する酸素分子などでフラーレン誘導体が消費される過酷な環境下で長期間使用する観点から0.01μmol/g以上がより好ましく、0.1μmol/g以上がさらに好ましい。また、前記濃度は、フラーレン誘導体の析出を防ぐ観点から、使用環境下で飽和溶解度未満であることが好ましく、経済的観点から1μmol/g以下がより好ましく、0.1μmol/g以下がさらに好ましい。これら上限及び下限は目的に応じて任意に組み合わせることができる。なお、前記各濃度は、後述する付加体が存在する場合は、フラーレン誘導体と付加体との合計濃度を表す。
(付加体)
本実施形態の潤滑油組成物は、前記基油を構成する分子構造の一部が前記フラーレン誘導体に付加した付加体(本実施形態では、単に「付加体」と言うことがある。)を含んでもよい。付加体は、フラーレン誘導体の溶液に、後述の熱処理または放射線照射を行うことにより、基油を構成する分子構造の一部が開裂し、その結果、反応性の高い分子(以下、「開裂分子」という。)が生成し、これがフラーレン誘導体に付加したものである。付加体は、付加体となっていないフラーレン誘導体(本実施形態では、単に「フラーレン誘導体」ということがある。)に比べ、後述する実施例で示す通り潤滑特性が改善され、また、基油に対する溶解度が高くなるのでより様々な環境下で析出の心配なく使用できるようになる。そのため、前記式(1)のnを大きくしなくても付加体とすれば、溶解性も改善できる。
(添加剤)
本実施形態の潤滑油組成物は、潤滑油組成物としての効果を損なわない範囲で、実質的に揮発成分を含まない添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、市販の酸化防止剤、粘度指数向上剤、極圧添加剤、清浄分散剤、流動点降下剤、腐食防止剤、固体潤滑剤、油性向上剤、防錆剤、抗乳化剤、消泡剤、加水分解抑制剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ジアルキルジフェニルアミン等が挙げられる。
前記粘度指数向上剤としては、例えば、ポリアルキルスチレン、スチレン-ジエンコポリマーの水素化物添加剤等が挙げられる。
前記極圧添加剤としては、例えば、ジベンジルジサルファイド、アリルリン酸エステル、アリル亜リン酸エステル、アリルリン酸エステルのアミン塩、アリルチオリン酸エステル、アリルチオリン酸エステルのアミン塩等が挙げられる。
前記清浄分散剤としては、例えば、ベンジルアミンコハク酸誘導体、アルキルフェノールアミン類等が挙げられる。
前記流動点降下剤としては、塩素化パラフィン-ナフタレン縮合物、塩素化パラフィン-フェノール縮合物、ポリアルキルスチレン系等が挙げられる。
前記抗乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
前記腐食防止剤としては、例えば、ジアルキルナフタレンスルホン酸塩等が挙げられる。
(潤滑油組成物の製造方法)
本実施形態の潤滑油組成物の製造方法は、基油にフラーレン誘導体を溶解し、フラーレン誘導体の溶液を得る溶解工程を有する。前記基油は前述の多重アルキルシクロペンタン油又はイオン液体であり、前記フラーレン誘導体は前記式(1)で表される化合物である。さらに、溶解工程の前に、例えば、フラーレン誘導体を100℃で10パスカル以下の環境に放置しておくなどして、フラーレン誘導体から揮発成分を除去する工程を設けることが好ましい。
前記溶解工程における溶解は任意に選択する方法で行うことができ、例えば、機械攪拌や超音波照射などで行うことが好ましい。基油が室温で低粘性の液体である場合は、室温で攪拌してよい。一方、基油が室温で高粘性の液体あるいは固体の場合は、加温し、低粘度な液体状態にして攪拌して溶解することが好ましい。
フラーレン誘導体の濃度は、溶解工程でのフラーレン誘導体の溶解量で調整することができる。あるいは、溶解工程では所望するより濃い濃度(ただし、飽和溶解度未満)に調整し、後の工程のいずれかで、基油で希釈して所望する濃度に調整することが、扱う溶液量を減らせる観点から好ましい。後述する除去工程を行う場合は、前記希釈を除去工程の後に行うことが、より正確な濃度に調整しやすく好ましい。なお、フラーレン誘導体の濃度は、実施例に記載の紫外線吸収スペクトルや高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた手法により測定することができる。
(除去工程)
溶解工程で得られたフラーレン誘導体の溶液には、不溶成分が含まれることがある。その場合、これら不溶成分を除去することが好ましい。すなわち、前記潤滑油組成物の製造方法は、前記溶解工程またはその後の工程のいずれかで得られたフラーレン誘導体の溶液から不溶成分を除去する除去工程を更に有していてもよい。不溶成分を除去する方法としては任意に選択できるが、例えば、メンブランフィルターを用いて濾過する方法、遠心分離器を用いて沈降除去する方法、及びそれら方法の両方を組み合わせて用いる方法等が挙げられる。
溶解工程で得られたフラーレン誘導体の溶液をそのまま潤滑油組成物としてもよいが、後述する付加反応工程を行い、このフラーレン誘導体の溶液をさらに加工したものを潤滑油組成物とすることが好ましい。
(付加反応工程)
付加体は、前記フラーレン誘導体の溶液を、酸素分圧を下げるなどした非酸化性雰囲気下で熱処理または放射線照射を行うことにより得られる。すなわち、前記潤滑油組成物の製造方法は、前記溶解工程の後に、前記フラーレン誘導体の溶液を非酸化性雰囲気下で熱処理し、前記付加体を生成させる付加反応工程を更に有していてもよい。また、前記溶解工程の後に、前記フラーレン誘導体の溶液を非酸化性雰囲気下で、放射線の照射を行って前記付加体を生成する付加反応工程を更に有していてもよい。
なお、熱処理及び放射線照射の一方または両方を行って付加体を得てもよく、あるいは、両方を同時に行って付加体を得てもよい。
本工程によって得られる付加体は、前記基油を構成する分子構造の一部を有する付加基が上記フラーレン誘導体に付加した構造を有する。
フラーレン誘導体が付加体に変化したことは、処理前後のフラーレン誘導体の溶液について質量スペクトル測定を行うことで確認することができる。例えば、フラーレン骨格がC60の誘導体を用いた場合、熱処理または放射線処理を行う前のフラーレン誘導体の溶液では、前記nが2、3、4、5のフラーレン誘導体に相当するm/z=1148、1362,1576,1790のピークが確認される。これに対して、処理後の潤滑油組成物では、1148、1362,1576,1790のピークが減少し、付加体のピークが複数出現する。主なピークとしては、フラーレン誘導体に鎖長が異なる複数のアルキル基が付加したものに相当するピーク1148+N、1148+2N、1362+N、1362+2N,1576+N,1576+2N,1790+N,1790+2Nなどが確認できる。Nは基油を構成する分子の分子量以下の自然数である。これは、基油の開裂で生じたアルキルラジカルの分子2個がフラーレン誘導体に付加したものと考えられる。
なお、上記基油の分子は必ずしも特定の箇所で開裂しないため、通常、付加体は、単一種の分子にならず、その分析は難しくなる。そのため、付加体が生成する反応の進行状況は、残存するフラーレン誘導体の濃度を測定し、下記式で表される残存率を目安にするとよい。
(残存率)=[処理後のフラーレン誘導体濃度]/[処理前のフラーレン誘導体濃度]
上記式中、処理とは、熱処理及び放射線照射の一方又は双方を示す。なお、処理中の残存率を求める場合は、上記「処理後のフラーレン誘導体濃度」を「処理中のフラーレン誘導体濃度」に読み変えればよい。
なお、生成される付加体の濃度は下記式で推定してもよい。
[付加体濃度]=[処理前のフラーレン誘導体濃度]-[処理後のフラーレン誘導体濃度]
前述の式で求めた残存率は、0.1~0.7であることが好ましく、0.2~0.5であることがより好ましい。前記残存率が、0.1~0.7であると、潤滑油組成物の潤滑性が使用初期からより安定に発現し、機械装置の摺動部の摩擦摩耗が抑制し、基油劣化に伴う揮発成分の発生を抑制しやすい。
よって本実施形態では、付加反応工程中、フラーレン誘導体の溶液のフラーレン誘導体濃度をモニタリングし、フラーレン誘導体の濃度が、上記熱処理前又は前記放射線照射処理前のフラーレン誘導体の濃度に対して0.1以上0.7以下となるまで行うことが好ましい。また、前記熱処理又は放射線照射処理の処理時間は5分以上24時間以下となるようにするのが好ましく、これにより熱処理あるいは放射線処理の操作が行いやすくなる。処理時間の調整として、例えば、熱処理温度を上げるか、放射線照射強度を上げると、処理時間を短くでき、逆に、熱処理温度を下げるか、放射線照射強度を下げると、処理時間を長くすることができる。また、放射線照射では、例えば、放射線をある程度高い放射線強度で短時間(0.1秒以上3分以下程度)照射することを2~10回程度繰り返すなど、照射回数を調整することにより、前記フラーレン誘導体濃度の範囲とする方法も操作しやすく好ましい。
通常、フラーレン誘導体の溶液は大気中で扱われる。このため、同溶液中の酸素ガス濃度は大気中の酸素ガスと平衡状態になっている。また、酸素分子は、開裂分子と反応してしまい、付加体の生成を抑制する。そのため、可能な限りフラーレン誘導体の溶液中の酸素分子を除去し、非酸化性雰囲気下で、熱処理または放射線処理を行うことが好ましい。熱処理工程または放射線照射における前記非酸化性雰囲気としては、フラーレン誘導体の溶液と平衡にある気相で、前記非酸化性雰囲気中の酸素分圧が10パスカル以下であることが好ましく、5パスカル以下であることがより好ましく、2パスカル以下であることがさらに好ましい。1パスカル以下や、0.1パスカル以下であっても良い。また非酸化性雰囲気の例としては、下記に述べるような不活性ガス雰囲気が好ましく挙げられる。熱処理の具体例として、下記の2つの方法、放射線照射の具体例として、下記の1つの方法が挙げられる。
・熱処理
前記熱処理の温度は、基油の使用温度の上限を超える温度で行うことが好ましい。基油の使用上限温度を超えることにより、開裂分子が発生しやすくなる。さらに、温度が高くなると、開裂分子がより多く発生し、その結果、熱処理時間は短くて済む。操作のしやすい熱処理時間の観点から、本熱処理における熱処理の温度は、基油の使用上限温度を超え、且つ基油の使用上限温度+200℃以下の範囲であることが好ましい。なお基油の使用上限温度とは、基油の製造会社のカタログなどから知ることができる。基油の使用上限温度が不明な場合は、目安として、熱処理温度は150℃以上300℃以下が好ましく、200℃以上250℃以下がより好ましい。熱処理の時間は、操作性の観点から5分~24時間であることが好ましく、扱える設備等の事情によっては前記観点から、5分から30分や、30分から1時間や、1時間から5時間や、5時間から24時間などであってよい。
非酸化性雰囲気とする方法としては、任意に選択できるが、例えば、気密可能なステンレス等の金属製容器内に、フラーレン誘導体の溶液を収容した後、容器を密閉する。次いで、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスで容器内を置換するか、さらに容器内のフラーレン誘導体の溶液を不活性ガスでバブリングする。このようにして、フラーレン誘導体の溶液を不活性ガスと平衡状態にし、前記酸素分圧を10パスカル以下とする。
あるいは、非酸化性雰囲気とする方法として、気密可能な容器内を減圧する方法も挙げられる。例えば、容器内を10パスカル以下に減圧すれば、気相の酸素分圧を10パスカル以下、通常2パスカル以下とすることができる。このように容器内を減圧によって非酸化性雰囲気とし、その状態を保ったまま容器を加熱することにより、フラーレン誘導体の溶液を熱処理することができる。
フラーレン誘導体の溶液の加熱は、任意に選択される方法で行うことができる。例えば、外部から油浴などで加温するか、赤外線を照射するか、あるいはマイクロウェーブを照射する方法、などで行うことができる。
・放射線照射処理
前記放射線照射処理に用いる放射線は、開裂分子を生成させるエネルギーを有する放射線である。具体的には紫外線又は電離放射線であり、好ましくは紫外線である。より好ましくは波長190nm以上365nm以下の紫外線であり、さらに好ましくは波長250mn以上360nm以下の紫外線であり、特に好ましくは波長330mn以上350nm以下の紫外線である。例えば、C-C単結合は、波長341nm以下の紫外線で開裂する。また、常温で放射線照射処理を行う場合、熱振動が重畳されるため、C-C単結合は、341nmよりも多少長い波長を有する紫外線でも開裂する。よって、波長190nm以上365nm以下の紫外線を照射することで、開裂分子を十分に生成させることができる。また、開裂分子を生成させられる限り、低エネルギーの放射線の方が、基油分子中で開裂する結合個所が限られる。そのため、比較的元の基油の分子の部分形状を保った大きな開裂分子となりやすく、得られる付加体の基油との親和性が向上すると考えられる。
放射線照射処理は、前記熱処理と同様に、非酸化性雰囲気下で処理を行うことが好ましい。ただし、放射線照射する時には、容器内に紫外線ランプ等の放射線源を挿入するか、又は、容器の外部から照射する為に、容器の少なくとも一部が、使用する放射線が透過する材料で構成されているものを用いる。例えば、紫外線照射をする場合、前記ステンレス容器の全体あるいは一部を、石英ガラス等の紫外線が透過する材料のものに置き換える。
放射線照射処理で照射される放射線のエネルギー量は、フラーレン誘導体の溶液1mLあたり、1J以上100J以下が好ましく、1.5J以上60J以下がより好ましく、2J以上20J以下がさらに好ましい。この範囲であれば、前述の式から得られる処理後のフラーレン誘導体の濃度の範囲を、すなわち残存率を、0.1以上0.7以下に調整しやすい。上述したように、照射は例えば、1回の照射のみを行っても良いし、照射を2回以上に分けて複数回行っても良い。照射を複数回に分ける場合、各回の照射条件は同じであっても異なってもよいが、照射した放射線の総エネルギー量が上記範囲内にあることが好ましい。照射回数は、例えば、1~10回の範囲や、2~5回の範囲であってもよい。また、照射を行う毎に残存率を確認し、目的の残存率が得られるまで、照射を1回以上繰り返すことも好ましい。
紫外線照射の場合は、通常の低圧水銀ランプ、UVオゾンランプ、紫外LED、エキシマランプ、キセノンランプなど用いることができる。紫外線の照射量としては、あらかじめ紫外線光度計を用いて、紫外線の照射光のエネルギー密度(mW/cm)を測定しておき、次に照射時間(秒)と照射範囲(cm)を規定する。これらのことにより、照射する紫外線のエネルギー量(J)を決定することができる。照射時間は、取扱いがしやすい範囲で選択すればよく、例えば、5分以上24時間以下が好ましい。あるいは、LEDのようの明滅が容易なランプやシャッター設備を用いることができる場合などでは、0.1秒~1時間や、0.2秒~30分や、0.3秒~3分や、0.5秒から60秒や、1秒から30秒であってもよい。
本実施形態の潤滑油組成物によれば、耐摩耗性に優れるだけでなく、低蒸気圧を有することができ、更には、基油劣化に伴う揮発成分の発生が抑制されて、潤滑油組成物の蒸気圧上昇を抑制することができる。本実施形態の潤滑油組成物は、各種用途に使用することができるが、特に、潤滑油組成物を真空下で摺動する摺動部に使用した機械装置に好ましく適用できる。このような機械装置は真空容器内や宇宙空間での使用に適している。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例]
反応容器に窒素気流下マロン酸-ジ-t-ブチル(東京化成工業社製)9.80gを入れ、さらに1,2,4-トリメチルベンゼン150mlとジアザビシクロ-7-ウンデセン6.50gを加えて攪拌しながら温度を4℃で、保持した。さらに、この溶液に、ヨウ素(東京化成工業社製)10.9gを130mlの1,2,4-トリメチルベンゼンに溶解した溶液を滴下して、11℃に保持するように滴下した。滴下後、室温に戻した。その後、フラーレン(フロンティアカーボン社製、nanom(登録商標) mix ST。C60を主成分とするフラーレン混合物である。)5.00gを1,2,4-トリメチルベンゼン350mlに溶解した溶液を攪拌しながら加えた。その後、反応液にジアザビシクロ-7-ウンデセン6.90gを5mlの1,2,4-トリメチルベンゼンで希釈した溶液を攪拌しながらゆっくり滴下し、滴下後、室温で7時間攪拌反応した。得られた反応液に、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液で、4回洗浄する。有機層を希硫酸(1N)100mlで2回洗浄し、純水200mlで3回洗浄し、有機層を減圧下で留去して、9.4gの赤褐色の固体が得られた。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフでヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒で、分離精製して、高真空下100℃で乾燥することで、フラーレン誘導体(マロン酸-ジ-t-ブチルエステルがフラーレンに1~5個付加した化合物の混合物)を得た。
[実施例1]
(潤滑油組成物の調製)
合成例で得られたフラーレン誘導体約0.001gと、基油としてMAC油であるトリス(2-オクチルドデシル)シクロペンタン(Nye Lubricants製、合成油2001A、表1中では「MAC油A」と記す。)10gを混合した。得られた混合物を、室温でスターラーを用いて36時間撹拌した。次に、これを孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過して、フラーレン誘導体の溶液を得た。得られたフラーレン誘導体の溶液のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.1μmol/gであった。得られたフラーレン誘導体の溶液を潤滑油組成物とした。
なお、上記フラーレン誘導体の濃度の測定は、紫外線吸収スペクトルグラフ(島津製作所製 UV2400PCシリーズ)を用いた。具体的には、この装置において、石製セルで、吸光度(波長295nm)で測定することにより、潤滑油組成物等の試料中のフラーレン誘導体の量を定量した。また、検量線は、上記のフラーレン誘導体により作成した。
(耐摩耗性の評価)
得られた潤滑油組成物について、摩擦摩耗試験機(Anton Paar社製、ボールオンディスクトライボメーター)を用いて、耐摩耗性を評価した。
先ず、基板およびボールを用意し、これらの材質は、高炭素クロム軸受鋼鋼材SUJ2とした。ボールの直径は6mmとした。基板の一主面に潤滑油組成物を塗布し、基板を25℃に一定とした。次に、潤滑油組成物を介して、基板の一主面上にて、ボールが基板上で円状の軌道を描くように、基板を回転させて、固定されたボールを摺動させた。基板の一主面上におけるボールの速度を0.55cm/秒、ボールによる基板の一主面に対する荷重を5Nとした。基板の前記一主面上におけるボールの摺動時間が30分の時のボール面の擦り面(円形)を光学顕微鏡で観察した。ボールに形成された擦り面の直径を測定し、この数値を耐摩耗性とした。擦り面の直径が小さいほど、耐摩耗性が優れるといえる。結果を表1に示す。
(耐焼き付き性の評価)
得られた潤滑油組成物について、摩擦摩耗試験機(Anton Paar社製、ボールオンディスクトライボメーター)を用いて、耐焼き付き性を評価した。
先ず、基板およびボールを用意し、これらの材質は、高炭素クロム軸受鋼鋼材SUJ2とした。ボールの直径は6mmとした。基板の一主面に潤滑油組成物を塗布し、基板を30℃に一定とした。次に、潤滑油組成物を介して、基板の一主面上にて、ボールが基板上で円状の軌道を描くように、基板を回転させて、固定されたボールを摺動させた。基板の一主面上におけるボールの速度を0.55cm/秒、ボールによる基板の一主面に対し表1に記載の荷重をかけて、ボールの摺動時間が30分まで稼働したときは耐焼き付き性が良好と判断し、そうでないときは不良と判断した。結果を表1に示す。
(安定性の評価)
昇温脱離ガス分析装置(リガク社製、TPDtype V)を用いて、高真空下での潤滑油組成物から揮発する成分の有無を測定した。潤滑油組成物0.01gについて、気圧10-5パスカルでの脱離ガス度を測定した。脱離ガス度は、炭酸ガス(分子量44)よりも分子量の小さい分子の影響を排除するため、分子量46以上200以下のピークの積算値とした。比較品として、MAC油に揮発成分としてトリメチルベンゼン(TMB)(東京化成社製)を1質量ppm添加したものを用いて、同様の測定をした。TMBを添加したMAC油では、TMBに起因するピークが検出された。このピークの積算値を1(基準値)とした。この基準値に対する、計測された潤滑油組成物の脱離ガスに起因するピークの積算値の割合を脱離ガス度とした。脱離ガス度が小さいほど、高真空下での安定性が優れるといえる。
脱離ガス度は、耐摩耗性試験前と耐摩耗性試験後との2点を測定した。前記耐摩耗性の試験では、金属が直接接触し、また発熱し、これにより基油の分子鎖が切断され、劣化する。劣化の結果、切断された分子の一部は揮発成分として先の方法で検出される。つまり、耐摩耗性に劣る潤滑油では、基油の劣化が進行するために、脱離ガス成分の量が大きくなり、好ましくない。結果を表1に示す。
[比較例1]
フラーレン誘導体に代えて、フラーレン(フロンティアカーボン社製、nanom(登録商標) mix ST)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性と脱離ガス度の結果を、表1に示す。
[比較例2]
MAC油にフラーレン誘導体を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性と脱離ガス度の結果を、表1に示す。
表1より、実施例1の潤滑油組成物は、比較例1や比較例2のものと比べると、耐焼き付き性は同程度であったが、擦り面の直径が小さく耐摩耗性に優れ、また、耐摩耗性試験前における潤滑油組成物の脱離ガス度が低く高真空下での安定性に優れることが分かった。
実施例1と比較例1とを比較すると、耐摩耗性と耐焼き付き性は同等であったが、実施例1では、耐摩耗試験前後の脱離ガス度が比較例1よりも優れていた。
実施例1と比較例2とを比較すると、脱離ガス度は同程度に優れていたが、比較例2では、耐摩耗性と耐焼き付き性が低下し、また、耐摩耗試験後の脱離ガス度は大きく劣った。このことから、MAC油にフラーレン誘導体を添加することにより、耐摩耗性と耐焼き付き性が向上し、その結果脱離ガス量が抑制されることがわかった。
[実施例2]
実施例1で得られたフラーレン誘導体の溶液(実施例1の潤滑油組成物)に、紫外線照射を行い、潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物について、実施例1と同様に耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度を測定した。結果を表1に示す。
実施例2での紫外線照射は、次の手順で行った。先ず、セプタムキャップ付き石英セル(東京硝子器械社製、S15-UV-10)に上記フラーレン誘導体の溶液3mlを入れた。
次に、石英セルのセプタムキャップに注射針を2本差し込み、一方から純度99.99体積%以上の窒素ガス(常圧での窒素以外のガス分圧は10パスカル以下)を毎分60mLで10分間流した。次に、石英セルに入れたフラーレン誘導体の溶液に間欠に紫外照射を行った。
紫外線照射には、紫外照射装置(サンエイテック社製、オムニキュアS2000)を用いた。具体的には、フィルターを近紫外線域の250nm-450nmとし、照射範囲2cmとし、紫外線照度計(波長230nm-390nm)を用いて計測しながら、出力を1W/cmに調整し、照射タイマーを1秒に設定し、一回の照射で2J(フラーレン誘導体の溶液1mLあたり0.7J)のエネルギーを照射することができるように設定した。
次に、紫外線照射後ごとに、注射器を用いて、石英セル内部からフラーレン誘導体の溶液約0.1mlを抜き取り、UVスペクトルを用いてフラーレン誘導体濃度を測定し、残存率を決定した。8回の紫外線照射(フラーレン誘導体の溶液1mLあたり5.3J)で残存率が0.25となった。このために、紫外線照射を中止し、石英セルから内容物を取り出し、潤滑油組成物を得た。この潤滑油組成物のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.025μmol/gであり、残存率は0.25であった。結果を表1に記した。
表1に示すように、実施例2の潤滑油組成物は、実施例1のものよりさらに良好な耐摩耗性及び脱離ガス度を示し、さらに、耐摩耗性試験前後での脱離ガス度の上昇も少なく高真空下での安定性がより優れることが分かった。
また、紫外線照射前のフラーレン誘導体の溶液、及び紫外線照射後に得られた潤滑油組成物について、質量分析装置(アジレント・テクノロジー社製、LC/MS、6120)を用いて、分子量720以上5000以下の成分分析を行った。紫外線照射前のフラーレン誘導体の溶液では、主にフラーレン誘導体のピーク934、1054、1148、1268、1362、1484,1576,1696,1790,1910などと、それ以外に基油に起因すると考えられる複数のピークが見られた。前記潤滑油組成物では、前述のピークに加え、主なピークとして、m/z=1843,1963,2057,2177,2271,2393,2485,2605,2752,2872、2966,3086,3180,3302,3394,3514などのピークを新たに確認した。これらのことから、紫外線照射後のフラーレン誘導体の溶液(潤滑油組成物)には、フラーレン誘導体と生成した付加体とが存在することを確認した。なお、他の実施例・比較例でも同様に熱処理又は放射線処理前後のフラーレン誘導体の溶液を分析した。その結果、熱処理又は放射線処理前のフラーレン誘導体の溶液には付加体が確認されなかったが、これら処理後には付加体が確認された。
[実施例3]
紫外線照射の代わりに、石英セルに入れたフラーレン誘導体の溶液を200℃のオイルバスに浸漬して加熱した以外は、実施例2と同様にして、潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度の結果を、表1に示す。
実施例3の加熱では、注射器を用いて、5分ごとに、石英セル内部からフラーレン誘導体の溶液約0.1mlを抜き取り、UVスペクトルを用いてフラーレン誘導体濃度を測定し、残存率を決定した。測定開始から15分で残存率が0.2となった。このために、石英セルを油浴から取り合出し、室温にまで冷却し、潤滑油組成物を得た。潤滑油組成物のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.015μmol/gであり、残存率は0.15であった。
表1に示すように、付加反応工程として熱処理を行った実施例3の潤滑油組成物においても、紫外線照射を行った実施例2のものと同様に優れた耐摩耗性及び脱離ガス度を示した。また、これらは耐摩耗性が優れているので、基油の分解が生じにくく、揮発成分の生成量が抑えられたと推察される。
[実施例4]
放射線の線源として、低圧水銀UVランプ(セン特殊光源社製、型式UVL20PH-6、光波長成分として遠紫外線域の185nmと近紫外線域の254nmの紫外線を含む)を用いて、20秒間照射を用いたこと以外は実施例2と同様にして、潤滑油組成物を得た。ここで、照射範囲は5cm、出力は0.2W/cmであった。すなわち、20秒間の照射により、潤滑油組成物に20J(フラーレン誘導体の溶液1mLあたり7J)の紫外線を照射した。潤滑油組成物のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.022μmol/gであり残存率は0.22であった。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性と耐焼き付き性、脱離ガス度の結果を表1に示す。
[実施例5]
放射線の線源として、X線照射装置(トーレック社製、RIX-250C-2)を用いて、480秒間X線照射を行ったこと以外は、実施例2と同様にして、潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.020μmol/gであり残存率は0.20であった。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性と耐焼き付き性、脱離ガス度を表1に示す。
実施例5と実施例4とを比較すると、共に放射線を照射し、その結果、残存率が同程度に低下している。しかしながら、実施例4では、耐摩耗性及び耐摩耗性試験後の脱離ガス度が、実施例5よりも優れていた。また、実施例4と実施例2とを比較すると、共に紫外線を照射し、その結果、残存率が同程度に低下している。しかしながら、実施例2では、耐摩耗性及び耐摩耗性試験後の脱離ガス度が、実施例4よりも優れていた。
これらのことから、放射線処理では、付加体が生成する程度に低エネルギーの放射線、すなわち近紫外線で処理することが好ましいことが分かった。
[実施例6]
イオン液体である1-デシル-3-メチル-イミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成社製、表1中では「イオン液体A」と記す。)を基油としたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度の結果を、表1に示す。
[比較例3]
フラーレン誘導体に代えて、フラーレン(フロンティアカーボン社製、nanom(登録商標) mix ST)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度の結果を、表1に示す。
[比較例4]
実施例6のイオン液体にフラーレン誘導体を添加しなかったこと以外は、実施例6と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度の結果を、表1に示す。
[実施例7]
イオン液体である1-デシル-3-メチル-イミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成製)を基油としたこと以外は、実施例3と同様にして潤滑油組成物を得た。潤滑油組成物のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.012μmol/gであり残存率は0.12であった。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性と、脱離ガス度を表1に示す。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度を表1に示す。
[実施例8]
イオン液体である1-デシル-3-メチル-イミダゾリウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成製)を基油としたこと以外は、実施例2と同様にして潤滑油組成物を得た。潤滑油組成物のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.035μmol/gであり残存率は0.35であった。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性と、脱離ガス度を表1に示す。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度を表1に示す。
[実施例9]
イオン液体である1-ブチル-1-メチルピぺリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(表1中では「イオン液体B」と記す。)を基油としたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度を表1に示す。
[比較例5]
フラーレン誘導体に代えて、フラーレン(フロンティアカーボン社製、nanom(登録商標) mix ST)を用いたこと以外は、実施例9と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度の結果を、表1に示す。
実施例9と比較例5とを比較すると、フラーレン誘導体を用いた実施例9では、耐摩耗性試験前後での脱離ガス度が、比較例5よりも優れていた。
[比較例6]
実施例9のイオン液体にフラーレン誘導体を添加しなかったこと以外は、実施例9と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度の結果を、表1に示す。
[実施例10]
イオン液体である1-ブチル-1-メチルピぺリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを基油としたこと以外は、実施例3と同様にして潤滑油組成物を得た。潤滑油組成物のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.018μmol/gであり残存率は0.18であった。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度を表1に示す。
[実施例11]
イオン液体である1-ブチル-1-メチルピぺリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを基油としたこと以外は、実施例2と同様にして潤滑油組成物を得た。潤滑油組成物のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.040μmol/gであり残存率は0.40であった。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度を表1に示す。
実施例10及び11と実施例9との比較結果は、前述の実施例7及び8と実施例6との比較結果と同様の傾向を示した。すなわち、異なるイオン液体においても、紫外線照射処理及び加熱処理は、耐摩耗性効果と脱離ガス低減の観点から有効であることが分かった。
[実施例12]
イオン液体である1-ブチル-4-メチル-ピリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(表1中では「イオン液体C」と記す。)を基油としたこと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度を表1に示す。
[比較例7]
フラーレン誘導体に代えて、フラーレン(フロンティアカーボン社製、nanom(登録商標) mix ST)を用いたこと以外は、実施例12と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度を、表1に示す。
実施例12と比較例7とを比較すると、フラーレン誘導体を用いた実施例12の方が、耐摩耗性試験前後での脱離ガス度が優れていた。これは、前述の実施例1と比較例1の比較結果及び実施例6と比較例3の比較結果と同様であった。すなわち、基油が異なっても、脱離ガス度を低下させる観点からフラーレン誘導体を用いることは有効であることが分かった。
[比較例8]
実施例12のイオン液体にフラーレン誘導体を添加しなかったこと以外は、実施例13と同様にして潤滑油組成物を得た。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度の結果を、表1に示す。
[実施例13]
イオン液体である1-ブチル-4-メチル-ピリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを基油としたこと以外は、実施例3と同様にして潤滑油組成物を得た。潤滑油組成物のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.018μmol/gであり残存率は0.18であった。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度を表1に示す。
[実施例14]
イオン液体である1-ブチル-4-メチル-ピリジニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを基油としたこと以外は、実施例2と同様にして潤滑油組成物を得た。潤滑油組成物のフラーレン誘導体濃度を測定した結果、0.040μmol/gであり残存率は0.40であった。得られた潤滑油組成物の耐摩耗性、耐焼き付き性および脱離ガス度を表1に示す。
基油がイオン液体である、実施例6と比較例3及び4との比較結果、実施例9と比較例5及び6との比較結果、並びに、実施例12と比較例7及び8との比較結果は、基油がMAC油である前述の実施例1と比較例1及び2との比較結果と同様の傾向を示した。さらに、基油がイオン液体である、実施例7及び8と実施例6との比較結果、実施例10及び11と実施例9との比較結果、並びに、実施例13及び14と実施例12との比較結果は、基油がMAC油である前述の実施例2及び3と実施例1との比較結果と同様の傾向を示した。すなわち、異なる基油においても、本実施形態は有効に適用できることが分かった。
Figure 2022067923000002
本発明の潤滑油組成物は、各種用途に使用することができるが、特に、潤滑油組成物を真空下で摺動する摺動部に使用した機械装置に好ましく適用できる。このような機械装置は、例えば、真空容器内、高高度領域または宇宙空間で使用される装置、機器類が挙げられ、より具体的には、鍛造や接合などを行う真空冶金装置、化学反応などを行う真空化学装置、蒸着やスパッタリングなどを行う真空薄膜形成・加工装置、電子顕微鏡などの分析装置、曲げ・引張り・圧縮試験などを行う真空試験装置、航空機、ロケット、人工衛星、等が挙げられる。

Claims (16)

  1. 基油とフラーレン誘導体とを含み、
    前記基油は多重アルキルシクロペンタン油又はイオン液体であり、
    前記フラーレン誘導体は下記一般式(1)
    Figure 2022067923000003
    (上記一般式(1)中、R及びRは炭素原子数2~24のアルキコキシ基を表わし、FLNはフラーレン骨格を表し、nは1以上の整数を表わす。)
    で表される化合物である、
    潤滑油組成物。
  2. 前記nは、1~5である請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記R及びRは、tert-ブトキシ基である請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記基油を構成する分子構造の一部を有する付加基が前記フラーレン誘導体に付加した付加体を更に含む請求項1~3のいずれかに記載の潤滑油組成物。
  5. 基油にフラーレン誘導体を溶解する溶解工程を有し、
    前記基油は多重アルキルシクロペンタン油又はイオン液体であり、
    前記フラーレン誘導体は前記式(1)で表される化合物である、
    潤滑油組成物の製造方法。
  6. 非酸化性雰囲気下、溶解工程で得られたフラーレン誘導体の溶液中で、前記基油を構成する分子構造の一部を有する付加基を、前記フラーレン誘導体に付加する付加反応工程を更に含む請求項5に記載の潤滑油組成物の製造方法。
  7. 前記非酸化性雰囲気中の酸素ガス分圧が、10パスカル以下である請求項6に記載の潤滑油組成物の製造方法。
  8. 付加反応工程は、前記溶液中のフラーレン誘導体の濃度が、付加反応工程前のフラーレン誘導体の濃度に対して0.1~0.7倍となるまで行なわれる請求項6または7に記載の潤滑油組成物の製造方法。
  9. 付加反応工程の処理時間が、5分以上24時間以下である請求項6~8のいずれかに記載の潤滑油組成物の製造方法。
  10. 付加反応工程が、溶解工程で得られたフラーレン誘導体の溶液を熱処理する工程である請求項6~9のいずれかに記載の潤滑油組成物の製造方法。
  11. 熱処理の温度が、前記基油の使用上限温度を超え、且つ前記使用上限温度+200℃以下の範囲である請求項10に記載の潤滑油組成物の製造方法。
  12. 付加反応工程が、溶解工程で得られたフラーレン誘導体の溶液に放射線照射を行う工程であり、前記放射線が紫外線又は電離放射線である請求項6~9のいずれかに記載の潤滑油組成物の製造方法。
  13. 前記放射線が、波長190nm~365nmの紫外線である請求項12に記載の潤滑油組成物の製造方法。
  14. 付加反応工程で照射される放射線のエネルギーが、前記フラーレン誘導体の溶液1mLあたり1J~100Jである請求項12または13に記載の潤滑油組成物の製造方法。
  15. フラーレン誘導体を含む溶液から不溶成分を除去する不溶成分除去工程を更に有する請求項6~14のいずれかに記載の潤滑油組成物の製造方法。
  16. 請求項1~4のいずれかに記載の潤滑油組成物を真空下で摺動する摺動部に使用した機械装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114958460A (zh) * 2022-06-16 2022-08-30 中国石油化工股份有限公司 一种润滑脂组合物

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