JP2022067905A - ころ軸受用保持器およびころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】大形化した場合でも製作および輸送を容易に行うことができ、また生産性を高め且つ製造コストの低減を図ることができるころ軸受用保持器およびころ軸受を提供する。【解決手段】この保持器4は、軸方向に間隔を隔てて配置される二つの環状体7,8と、これら環状体7,8の間を円周方向一定間隔おきに区切る複数の柱部9とを有し、円周方向に隣り合う柱部9,9間にころ3が収容される。各環状体7,8は、複数の分割プレート11が円周方向に並び分割可能に連結されたものである。各分割プレート11の両端部に、円周方向に延びる相欠き部が設けられ、円周方向に隣り合う前記分割プレート11は前記相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレート11,11が相欠き部の円周方向位置で柱部9により連結されている。【選択図】図2
Description
この発明は、ころ軸受用保持器およびころ軸受に関し、例えば、各種産業機械、鉄道車両車軸、自動車のトランスミッション等に用いられるころ軸受に適用される技術に関する。
一般的に円すいころ軸受に使用される保持器は、鉄板を金型でプレス加工した所謂鉄板保持器が主流であった。従来の鉄板保持器は大径化される程、一体での製作が困難となってくる。さらには、大径化された従来の鉄板保持器を組み立てる場合、弾性変形および塑性変形等を利用した組立方法となるため、比較的小径の鉄板保持器よりも品質・工数大が懸念される。また輸送の問題もあり、鉄板保持器の大径化にも限界がある。
そこで、一対のリング部を複数の柱部により繋いだ形状を成し、周壁部にころを保持する複数のポケット孔が形成された組立形の保持器が提案されている(特許文献1)。
またころ軸受の大径化に伴って、ころを収容する複数のポケットを形成するように軸受の回転軸線に沿う方向に延びる複数の柱部と、これら柱部を連結するように円周方向に延びる連結部とを有するセグメント保持器も提案されている(特許文献2)。
またころ軸受の大径化に伴って、ころを収容する複数のポケットを形成するように軸受の回転軸線に沿う方向に延びる複数の柱部と、これら柱部を連結するように円周方向に延びる連結部とを有するセグメント保持器も提案されている(特許文献2)。
特許文献1の組立形の保持器では、主要構成部品である基体を加工する際、切断工程、ねじ部形成工程、折曲げ工程等の加工を行う必要がある。さらに主要構成部品である連結体を加工する際、成形工程、締結工程、内径除去工程等の加工を行う必要がある。したがって加工時間が長く、歩留まりも悪いため、現実的な仕様とは言えない。
特許文献2のセグメント保持器は、円周方向に分割されているため、内輪組立品において軸方向の向きを逆向きに反転させるとき各セグメントが離脱する。このようなセグメント保持器では、内輪組立品での反転作業が困難となるため、仕様用途が限られてしまう。
これらを解決するために、軸方向に間隔を隔てた第1,第2のケージ側ディスクと、これらディスク間で複数の転動体を収容するポケットを形成する複数の柱部と、を有する保持器が提案されている(特許文献3)。しかし、保持器リブとなる各ディスクはそれぞれ一体物であるため、この保持器を大形化した場合は製作および輸送が困難となる。
複数の円弧状の鉄板保持器分割体をリブ部で連結して円環状とする保持器(特許文献4)も提案されているが、鉄板保持器分割体およびリブ部の生産性が悪く大きな設備が必要となってしまう。
また、セグメント保持器の組立治具が提案されているが(特許文献5)、軸受の組込み後に組立治具を取り外せない場合がある。
また、セグメント保持器の組立治具が提案されているが(特許文献5)、軸受の組込み後に組立治具を取り外せない場合がある。
図10および図11に示すように、転がり軸受の組立性を確保できる保持器として、ピン30の長さ方向の一端部に連結された第1連結リンク31と、ピン30の長さ方向の他端部に連結された第2連結リンク32との双方が円周方向に連続して設けられたものが提案されている(特許文献6)。第1,第2連結リンク31,32は、それぞれ軸方向内側の内連結リンク31a,32aと、軸方向外側の外連結リンク31b,32bとからなる。各ピン30の軸部33は、それぞれ内連結リンク31a,32aと外連結リンク31b,32bに対してブッシュ34を介して回転自在に挿入されている。この保持器では、部品点数が多く構造が複雑となるため、製造コストが高くなる。
この発明の目的は、大形化した場合でも製作および輸送を容易に行うことができ、また生産性を高め且つ製造コストの低減を図ることができるころ軸受用保持器およびころ軸受を提供することである。
この発明のころ軸受用保持器は、軸方向に間隔を隔てて配置される二つの環状体と、これら環状体の間を円周方向一定間隔おきに区切る複数の柱部とを有し、円周方向に隣り合う柱部間にころが収容されるころ軸受用保持器であって、
前記各環状体は、複数の分割プレートが円周方向に並び分割可能に連結されたものであり、前記各分割プレートの両端部に、円周方向に延びる相欠き部が設けられ、円周方向に隣り合う前記分割プレートは前記相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレートが前記相欠き部の円周方向位置で前記柱部により連結されている。
前記各環状体は、複数の分割プレートが円周方向に並び分割可能に連結されたものであり、前記各分割プレートの両端部に、円周方向に延びる相欠き部が設けられ、円周方向に隣り合う前記分割プレートは前記相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレートが前記相欠き部の円周方向位置で前記柱部により連結されている。
この構成によると、ころ軸受用保持器は大形化した場合に、製作された複数の分割プレートおよび複数の柱部を分割した状態のまま所望の場所まで輸送することができる。各保持器構成部品を輸送した後、円周方向に隣り合う分割プレートが相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレートが前記相欠き部の円周方向位置で前記柱部により連結される。このように分割プレートの相欠き部および柱部を用いて、二つの環状体および複数の柱部が連結されたころ軸受用保持器を簡単に組立てることができる。
したがって、ころ軸受用保持器を大形化した場合、分割プレート、柱部を部品単位で製作し輸送することができる。このため、複数の加工工程を順次行う従来技術等に比べて製作を容易に行うことができる。また保持器リブとなる各ディスクがそれぞれ一体物となる保持器よりも輸送を容易に行うことができる。各分割プレートおよび各柱部およびそれらの組立品は、大きな設備を必要とすることなく生産することができる。さらに従来の前記組立性を確保できる保持器に比べて、部品点数を抑え構造を簡単化することができるため、製造コストの低減を図ることができる。
また円周方向に隣り合う分割プレートが相欠き部で軸方向に重なり合って連結されるため、連結リンクの端部が厚み方向に互いに重なって連結される従来構造に比べて、環状体の軸方向の肉厚を抑制できるうえ、両相欠き部が嵌まり合うことで組立後の環状体を高剛性のリング形状とすることができる。
また円周方向に隣り合う分割プレートが相欠き部で軸方向に重なり合って連結されるため、連結リンクの端部が厚み方向に互いに重なって連結される従来構造に比べて、環状体の軸方向の肉厚を抑制できるうえ、両相欠き部が嵌まり合うことで組立後の環状体を高剛性のリング形状とすることができる。
前記柱部は、前記ころと接触する部分が円柱面または円すい面形状に形成されていてもよい。この場合、柱部は、ころと接触する部分の面圧を均一化することができる。これにより、柱部の摩耗を抑制することができる。
前記柱部は、前記ころと接触する部分がクラウニングまたは平坦形状に形成されていてもよい。柱部が前記クラウニングに形成された場合、ころの転動面における滑り速度が大きい両端部の面圧が下がり、PV値(面圧×滑り速度)の絶対値が抑えられ、摩擦を低減することができる。柱部が平坦形状に形成された場合、クラウニング等よりも加工工数を低減し製造コストの低減を図れる。
前記柱部の両端に雄ねじ部が設けられ、一端部の雄ねじ部がいずれか一方の環状体のねじ孔に螺合され、前記柱部の他端部は他方の環状体を貫通させて前記他端部の前記雄ねじ部に緩み止めナットが螺合していてもよい。この場合、このころ軸受用保持器が振動下で使用される場合でも、緩み止めナットにより各保持器構成部品が緩むことがなくころ軸受用保持器を使用することができる。
前記「緩み止めナット」とは、くさび、偏芯、軸との摩擦等のねじ以外の何らかの緩み止め手段を利用し雄ねじ部との緩みを防ぐねじである。
前記「緩み止めナット」とは、くさび、偏芯、軸との摩擦等のねじ以外の何らかの緩み止め手段を利用し雄ねじ部との緩みを防ぐねじである。
この発明のころ軸受は、内外輪と、この内外輪間に介在する複数のころと、これらのころを保持する保持器とを備え、前記保持器が、軸方向に間隔を隔てて配置される二つの環状体と、これら環状体の間を円周方向一定間隔おきに区切る複数の柱部とを有し、円周方向に隣り合う柱部間にころが収容されるころ軸受であって、
前記各環状体は、複数の分割プレートが円周方向に並び分割可能に連結されたものであり、前記各分割プレートの両端部に、円周方向に延びる相欠き部が設けられ、円周方向に隣り合う前記分割プレートは前記相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレートが前記相欠き部の円周方向位置で前記柱部により連結されている。
前記各環状体は、複数の分割プレートが円周方向に並び分割可能に連結されたものであり、前記各分割プレートの両端部に、円周方向に延びる相欠き部が設けられ、円周方向に隣り合う前記分割プレートは前記相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレートが前記相欠き部の円周方向位置で前記柱部により連結されている。
この構成によると、ころ軸受を大形化した場合、保持器は製作された複数の分割プレートおよび複数の柱部を分割した状態のまま所望の場所まで輸送することができる。各保持器構成部品を輸送した後、円周方向に隣り合う分割プレートが相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレートが前記相欠き部の円周方向位置で前記柱部により連結される。このように分割プレートの相欠き部および柱部を用いて、二つの環状体および複数の柱部が連結されたころ軸受用保持器を簡単に組立てることができる。したがって、ころ軸受を大形化した場合でも製作および輸送を容易に行うことができ、また生産性を高め且つ製造コストの低減を図ることができる。
また円周方向に隣り合う分割プレートが相欠き部で軸方向に重なり合って連結されるため、連結リンクの端部が厚み方向に互いに重なって連結される従来構造に比べて、環状体の軸方向の肉厚を抑制できるうえ、組立後の環状体を高剛性のリング形状とすることができる
また円周方向に隣り合う分割プレートが相欠き部で軸方向に重なり合って連結されるため、連結リンクの端部が厚み方向に互いに重なって連結される従来構造に比べて、環状体の軸方向の肉厚を抑制できるうえ、組立後の環状体を高剛性のリング形状とすることができる
この発明のころ軸受用保持器は、軸方向に間隔を隔てて配置される二つの環状体と、これら環状体の間を円周方向一定間隔おきに区切る複数の柱部とを有し、円周方向に隣り合う柱部間にころが収容されるころ軸受用保持器であって、前記各環状体は、複数の分割プレートが円周方向に並び分割可能に連結されたものであり、前記各分割プレートの両端部に、円周方向に延びる相欠き部が設けられ、円周方向に隣り合う前記分割プレートは前記相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレートが前記相欠き部の円周方向位置で前記柱部により連結されている。このため、大形化した場合でも製作および輸送を容易に行うことができ、また生産性を高め且つ製造コストの低減を図ることができる。
この発明のころ軸受は、内外輪と、この内外輪間に介在する複数のころと、これらのころを保持する保持器とを備え、前記保持器が、軸方向に間隔を隔てて配置される二つの環状体と、これら環状体の間を円周方向一定間隔おきに区切る複数の柱部とを有し、円周方向に隣り合う柱部間にころが収容されるころ軸受であって、前記各環状体は、複数の分割プレートが円周方向に並び分割可能に連結されたものであり、前記各分割プレートの両端部に、円周方向に延びる相欠き部が設けられ、円周方向に隣り合う前記分割プレートは前記相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレートが前記相欠き部の円周方向位置で前記柱部により連結されている。このため、大形化した場合でも製作および輸送を容易に行うことができ、また生産性を高め且つ製造コストの低減を図ることができる。
[第1の実施形態]
この発明の実施形態に係るころ軸受用保持器およびころ軸受を図1ないし図5と共に説明する。この実施形態では、ころ軸受として円すいころ軸受が適用される。
<円すいころ軸受>
図1に示すように、この円すいころ軸受は、内外輪1,2と、この内外輪1,2間に介在する複数の円すいころからなるころ3と、これらのころ3を保持する保持器4とを備える。内輪1の外周面に円すい面状の軌道面1aが形成され、外輪2の内周面に円すい面状の軌道面2aが形成されている。内外輪1,2の軌道面1a,2a間に、複数のころ3が、保持器4に保持された状態で介在している。内輪1は、小径端に小鍔5が設けられ、大径端に大鍔6が設けられている。ころ3は、内輪1の軌道面1aおよび外輪2の軌道面2aに沿う円すい面状の外周面を有する。
この発明の実施形態に係るころ軸受用保持器およびころ軸受を図1ないし図5と共に説明する。この実施形態では、ころ軸受として円すいころ軸受が適用される。
<円すいころ軸受>
図1に示すように、この円すいころ軸受は、内外輪1,2と、この内外輪1,2間に介在する複数の円すいころからなるころ3と、これらのころ3を保持する保持器4とを備える。内輪1の外周面に円すい面状の軌道面1aが形成され、外輪2の内周面に円すい面状の軌道面2aが形成されている。内外輪1,2の軌道面1a,2a間に、複数のころ3が、保持器4に保持された状態で介在している。内輪1は、小径端に小鍔5が設けられ、大径端に大鍔6が設けられている。ころ3は、内輪1の軌道面1aおよび外輪2の軌道面2aに沿う円すい面状の外周面を有する。
<保持器4について>
図1および図2に示すように、ころ軸受用保持器である保持器4は、二つの環状体7,8と、複数の柱部9と、複数の緩み止めナット10とを有する。二つの環状体7,8は、軸方向に間隔を隔てて平行に配置される。複数の柱部9は、二つの環状体7,8の間を円周方向一定間隔おきに区切る。円周方向に隣り合う柱部9,9間にころ3が収容つまり保持される。二つの環状体7,8のうち、一方(図1右側)の環状体7は大鍔6に対し半径方向外方に位置し、他方の環状体8は小鍔5に対し半径方向外方に位置する。また前記一方の環状体7は他方の環状体8よりも大径に形成されている。
図1および図2に示すように、ころ軸受用保持器である保持器4は、二つの環状体7,8と、複数の柱部9と、複数の緩み止めナット10とを有する。二つの環状体7,8は、軸方向に間隔を隔てて平行に配置される。複数の柱部9は、二つの環状体7,8の間を円周方向一定間隔おきに区切る。円周方向に隣り合う柱部9,9間にころ3が収容つまり保持される。二つの環状体7,8のうち、一方(図1右側)の環状体7は大鍔6に対し半径方向外方に位置し、他方の環状体8は小鍔5に対し半径方向外方に位置する。また前記一方の環状体7は他方の環状体8よりも大径に形成されている。
<分割構造について>
図2、図3Aおよび図3Bに示すように、各環状体7,8は、複数の分割プレート11が円周方向L1に並び分割可能に連結されたものである。各分割プレート11の両端部に、円周方向L1に延びる相欠き部11aが設けられ、円周方向L1に隣り合う分割プレート11は相欠き部11aで軸方向L2に重なり合う相欠きが採用されている。各分割プレート11の一方の相欠き部11aは、この分割プレート11の円周方向一端側で且つ厚み方向一方側の側縁部から円周方向L1に延び、他方の相欠き部11aは、この分割プレート11の円周方向他端側で且つ厚み方向他方側の側縁部から円周方向L1に延びる。円周方向に隣り合う分割プレート11は前記相欠き部11aの円周方向位置で前記柱部9により連結されている。前記軸方向L2とは各柱部9の軸方向と平行な方向である。前記相欠きは、分割プレート同士を小口面で接合する手法の一つであり、接合する分割プレート11の端部を、それぞれ板厚の半分欠き取ってかみ合わせるように接合する。前記相欠きは、「相じゃくり」とも言う。
図2、図3Aおよび図3Bに示すように、各環状体7,8は、複数の分割プレート11が円周方向L1に並び分割可能に連結されたものである。各分割プレート11の両端部に、円周方向L1に延びる相欠き部11aが設けられ、円周方向L1に隣り合う分割プレート11は相欠き部11aで軸方向L2に重なり合う相欠きが採用されている。各分割プレート11の一方の相欠き部11aは、この分割プレート11の円周方向一端側で且つ厚み方向一方側の側縁部から円周方向L1に延び、他方の相欠き部11aは、この分割プレート11の円周方向他端側で且つ厚み方向他方側の側縁部から円周方向L1に延びる。円周方向に隣り合う分割プレート11は前記相欠き部11aの円周方向位置で前記柱部9により連結されている。前記軸方向L2とは各柱部9の軸方向と平行な方向である。前記相欠きは、分割プレート同士を小口面で接合する手法の一つであり、接合する分割プレート11の端部を、それぞれ板厚の半分欠き取ってかみ合わせるように接合する。前記相欠きは、「相じゃくり」とも言う。
図1および図4に示すように、柱部9は、ころ3と接触する部分である長手方向中間部9aが円柱形状に形成されている。柱部9の両端に雄ねじ部9b,9cが設けられている。柱部9の一端部に第1の雄ねじ部9bが設けられ、柱部9の他端部に第2の雄ねじ部9cが設けられている。これら第1,第2の雄ねじ部9b,9cは、それぞれ長手方向中間部9aと同心状で軸方向に突出する。柱部9の前記他端部は、環状体8を貫通させて第2の雄ねじ部9cに緩み止めナット10が螺合しているため、柱部9の前記一端部よりも長く設けられている。またこの例では、柱部9の前記他端部の全長に渡って第2の雄ねじ部9cが形成されているが、緩み止めナット10が螺合可能な柱部9の先端部分のみに第2の雄ねじ部9cが形成されていてもよい。
柱部9の第1の雄ねじ部9bは、一方(図1右側)の環状体7の分割プレート11,11に螺合されている。柱部の第2の雄ねじ部9cは、他方(図1左側)の環状体8の分割プレート11,11を貫通させて後述する緩み止めナット10により螺合されている。具体的には、大径側の環状体7における、円周方向に隣り合う分割プレート11,11に、柱部9の第1の雄ねじ部9bが螺合するねじ孔h1が形成されている。前記ねじ孔h1は、前記円周方向に隣り合う分割プレート11,11の相欠き部11a,11a(図3A)のある円周方向位置で且つ前記柱部9の軸心と同心位置に形成される。
小径側の環状体8における、円周方向に隣り合う分割プレート11,11に、柱部9の第2の雄ねじ部9cが貫通する貫通孔h2が形成されている。前記貫通孔h2は、前記円周方向L1(図3A)に隣り合う分割プレート11,11の相欠き部11a,11a(図3A)のある円周方向位置で且つ前記柱部9の軸心と同心位置に形成される。
<緩み止めナット10>
図1および図5に示すように、緩み止めナット10としては、例えば、下ナット12の凸形状部からなる被嵌合部12aと、上ナット13の凹形状部からなる嵌合部13aとを偏心嵌合させる、緩み止めダブルナットが採用される。この緩み止めダブルナットは、ねじ孔が貫通状に形成された下ナット12と上ナット13とからなる。
図1および図5に示すように、緩み止めナット10としては、例えば、下ナット12の凸形状部からなる被嵌合部12aと、上ナット13の凹形状部からなる嵌合部13aとを偏心嵌合させる、緩み止めダブルナットが採用される。この緩み止めダブルナットは、ねじ孔が貫通状に形成された下ナット12と上ナット13とからなる。
下ナット12には、ねじ孔の周りに軸方向先端側に向かうに従って縮径するテーパ状の外周面を有する被嵌合部12aが形成され、この被嵌合部12aの前記外周面はねじ孔に対して微小量偏心されている。上ナット13には、前記被嵌合部12aが嵌合する嵌合部13aが形成され、この嵌合部13aの内周面はねじ孔と同心状に形成されている。被嵌合部12aの外周面と嵌合部13aの内周面とが偏心されているため、上下ナット12,13を締め付けたとき、ナットがそれぞれねじ孔軸心に対して径方向にずれ込み、ねじ軸に大きな径方向の応力が作用する。これにより緩み止め効果を発揮する。
<作用効果>
以上説明した保持器4は、大形化した場合に、製作された複数の分割プレート11および複数の柱部9を分割した状態のまま所望の場所まで輸送することができる。各保持器構成部品を輸送した後、円周方向に隣り合う分割プレート11,11が相欠き部11a,11aで軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレート11,11が前記相欠き部11a,11aの円周方向位置で前記柱部9により連結される。このように分割プレート11の相欠き部11aおよび柱部9を用いて、二つの環状体7,8および複数の柱部9が連結された保持器4を簡単に組立てることができる。
以上説明した保持器4は、大形化した場合に、製作された複数の分割プレート11および複数の柱部9を分割した状態のまま所望の場所まで輸送することができる。各保持器構成部品を輸送した後、円周方向に隣り合う分割プレート11,11が相欠き部11a,11aで軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレート11,11が前記相欠き部11a,11aの円周方向位置で前記柱部9により連結される。このように分割プレート11の相欠き部11aおよび柱部9を用いて、二つの環状体7,8および複数の柱部9が連結された保持器4を簡単に組立てることができる。
したがって、保持器4を大形化した場合、分割プレート11、柱部9を部品単位で製作し輸送することができる。このため、複数の加工工程を順次行う従来技術等に比べて製作を容易に行うことができる。また保持器リブとなる各ディスクがそれぞれ一体物となる保持器よりも輸送を容易に行うことができる。各分割プレート11および各柱部9およびそれらの組立品は、大きな設備を必要とすることなく生産することができる。さらに従来の前記組立性を確保できる保持器に比べて、部品点数を抑え構造を簡単化することができるため、製造コストの低減を図ることができる。
柱部9は、ころ3と接触する部分が円柱面形状に形成されているため、ころ3と接触する部分の面圧を均一化することができる。これにより、柱部9の摩耗を抑制することができる。
柱部9の第2の雄ねじ部9cは、分割プレート11,11を貫通させて緩み止めナット10により螺合されている。このため、この保持器4が振動下で使用される場合でも、緩み止めナット10により各保持器構成部品が緩むことがなく保持器4を使用することができる。なお大形化しない円すいころ軸受、円筒ころ軸受においても、この保持器構造を採用し得る。
柱部9の第2の雄ねじ部9cは、分割プレート11,11を貫通させて緩み止めナット10により螺合されている。このため、この保持器4が振動下で使用される場合でも、緩み止めナット10により各保持器構成部品が緩むことがなく保持器4を使用することができる。なお大形化しない円すいころ軸受、円筒ころ軸受においても、この保持器構造を採用し得る。
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図6Aに示すように、柱部9Aは、円すいころと接触する部分である長手方向中間部9aがクラウニング形状に形成されてよい。柱部9Aの外周面の軸方向中央部よりも両端部の曲率径を小さくすることで、柱部9Aにクラウニングが設けられる。クラウニングの形状は、例えば対数曲線とする。対数曲線以外に、直線、単一の円弧または複数の円弧を組み合わせた形状であってもよい。このように柱部9Aにクラウニングを設けた場合、円すいころの転動面における滑り速度が大きい両端部の面圧が下がり、PV値(面圧×滑り速度)の絶対値が抑えられ、摩擦を低減することができる。
図6Bに示すように、柱部9Bは、円すいころと接触する部分である長手方向中間部9aが円すい面形状に形成されてもよい。この柱部9Bは、円すいころの外周面に沿った円すい面形状であり、円すいころの大端面側から小端面側に向かうに従って大径となる円すい面形状に形成されている。この場合、柱部9Bは、円すいころと接触する部分の面圧を均一化することができる。これにより、柱部9Bの摩耗を抑制することができる。
図7Aおよび図7Bに示すように、柱部9Cは、円すいころと接触する部分である長手方向中間部9aが平坦形状に形成されてもよい。この例の柱部9Cは、柱部9Cをこの軸心に垂直な平面で切断して見た断面が四角形に形成され、この四角形の両側の各側面に円すいころが接触して転動する。この場合、柱部にクラウニング等を設けるよりも加工工数を低減し製造コストの低減を図れる。なお柱部9Cの断面は、四角形に限定されるものではなく、三角形、五角形以上の多角形であってもよい。
<分割プレートの変形例>
図8に示すように、各分割プレート11の一方の相欠き部11aは、この分割プレート11の円周方向一端側で且つ厚み方向一方側の側縁部から円周方向L1に延び、他方の相欠き部11aは、この分割プレート11の円周方向他端側で且つ厚み方向一方側の側縁部から円周方向L1に延びるように、分割プレート11を形成してもよい。この場合、前述の実施形態の分割プレート11(図3A)と同様の作用効果を奏する。
図8に示すように、各分割プレート11の一方の相欠き部11aは、この分割プレート11の円周方向一端側で且つ厚み方向一方側の側縁部から円周方向L1に延び、他方の相欠き部11aは、この分割プレート11の円周方向他端側で且つ厚み方向一方側の側縁部から円周方向L1に延びるように、分割プレート11を形成してもよい。この場合、前述の実施形態の分割プレート11(図3A)と同様の作用効果を奏する。
<円筒ころ軸受>
図9に示すように、いずれかの実施形態に係る保持器4を円筒ころ軸受に適用してもよい。この円筒ころ軸受を大形化した場合でも製作および輸送を容易に行うことができ、また生産性を高め且つ製造コストの低減を図ることができる。
図9に示すように、いずれかの実施形態に係る保持器4を円筒ころ軸受に適用してもよい。この円筒ころ軸受を大形化した場合でも製作および輸送を容易に行うことができ、また生産性を高め且つ製造コストの低減を図ることができる。
前述の実施形態では、分割プレート11の相欠き部11aの円周方向L1の先端縁部と、前記分割プレート11に対して円周方向に隣り合う分割プレート11の凹み部との間δ(図3A)は、隙間なしの状態で当接しているが、円周方向の隙間を設けてもよい。隙間を設ける場合、分割プレート11の円周方向L1の長さに対して、5%以下とする。上記のように適切な隙間関係とする事で、柱部9を軸とした分割プレート11の振動や動きを抑制し、摩耗や緩みを抑制できる。
緩み止めナットを、例えば、JISに規定された一般的なナットに変え、このナットおよび前記第2の雄ねじ部に強力瞬間接着剤等を塗布してもよい。
前記一般的なナットを第2の雄ねじ部に複数(例えば2個)螺合させた緩み止め構造にしてもよい。
緩み止めナットを、例えば、JISに規定された一般的なナットに変え、このナットおよび前記第2の雄ねじ部に強力瞬間接着剤等を塗布してもよい。
前記一般的なナットを第2の雄ねじ部に複数(例えば2個)螺合させた緩み止め構造にしてもよい。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…内輪、2…外輪、3…円すいころ(ころ)、4…保持器(ころ軸受用保持器)、7,8…環状体、9…柱部、9b,9c…第1,第2の雄ねじ部、10…緩み止めナット、11…分割プレート、11a…相欠き部、h1…ねじ孔
Claims (5)
- 軸方向に間隔を隔てて配置される二つの環状体と、これら環状体の間を円周方向一定間隔おきに区切る複数の柱部とを有し、円周方向に隣り合う柱部間にころが収容されるころ軸受用保持器であって、
前記各環状体は、複数の分割プレートが円周方向に並び分割可能に連結されたものであり、前記各分割プレートの両端部に、円周方向に延びる相欠き部が設けられ、円周方向に隣り合う前記分割プレートは前記相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレートが前記相欠き部の円周方向位置で前記柱部により連結されている、ころ軸受用保持器。 - 請求項1に記載のころ軸受用保持器において、前記柱部は、前記ころと接触する部分が円柱面または円すい面形状に形成されているころ軸受用保持器。
- 請求項1に記載のころ軸受用保持器において、前記柱部は、前記ころと接触する部分がクラウニングまたは平坦形状に形成されているころ軸受用保持器。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のころ軸受用保持器において、前記柱部の両端に雄ねじ部が設けられ、一端部の雄ねじ部がいずれか一方の環状体のねじ孔に螺合され、前記柱部の他端部は他方の環状体を貫通させて前記他端部の前記雄ねじ部に緩み止めナットが螺合しているころ軸受用保持器。
- 内外輪と、この内外輪間に介在する複数のころと、これらのころを保持する保持器とを備え、前記保持器が、軸方向に間隔を隔てて配置される二つの環状体と、これら環状体の間を円周方向一定間隔おきに区切る複数の柱部とを有し、円周方向に隣り合う柱部間にころが収容されるころ軸受であって、
前記各環状体は、複数の分割プレートが円周方向に並び分割可能に連結されたものであり、前記各分割プレートの両端部に、円周方向に延びる相欠き部が設けられ、円周方向に隣り合う前記分割プレートは前記相欠き部で軸方向に重なり合い、前記円周方向に隣り合う分割プレートが前記相欠き部の円周方向位置で前記柱部により連結されている、ころ軸受。
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JP2020176767A JP2022067905A (ja) | 2020-10-21 | 2020-10-21 | ころ軸受用保持器およびころ軸受 |
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- 2020-10-21 JP JP2020176767A patent/JP2022067905A/ja active Pending
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