JP2022067284A - 複合プラスチック材料 - Google Patents

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治男 西田
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Abstract

【課題】自動車用部品に由来するプラスチック材料を用いた新たな複合プラスチック材料を提供すること。【解決手段】(a)自動車用部品由来のプラスチック材料と、(b)炭素繊維、及び炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方とを含み、炭素繊維の体積平均繊維長が105μm以上20mm以下である複合プラスチック材料である。【選択図】図5

Description

本発明は、自動車の廃棄に伴い大量に発生する自動車破砕残渣(シュレッダーダストレジデュー:ASR)の中のプラスチック成分等の自動車用部品由来のプラスチック材料を再利用して製造可能な複合プラスチック材料に関する。
従来、使用済み自動車は、バッテリー、エンジン、タイヤ等の有価部品が取り外された後にプレス及びシュレッダー処理され、鉄屑として再利用されている。このシュレッダー処理時にプラスチック、ゴム、鉄、アルミニウム、銅等々が混在したシュレッダーダストが発生する。約1トンの使用済み自動車1台のシュレッダー処理で約200kgのシュレッダーダストが発生し、日本で年間およそ100万トンのシュレッダーダストが使用済み自動車から発生している。このシュレッダーダストは、自動車リサイクル法に従って分別され、金属類やガラス類は再利用が進んでいる。しかしながらプラスチックやゴム類は再利用が難しく、埋め立て処分されるか、廃棄物焼却炉にて燃焼・溶融処理されている。
ASR中のプラスチック成分は、成分組成が複雑でかつ黒色であるため、比重分離や光学分離が難しく、そのほとんどが焼却処分されていた。しかし、近年、ASRの分離技術が向上し、ゴムや木屑等の異物を分離するだけでなく、タルク等の無機フィラー成分の量に応じたグレード分割技術も開示されている(非特許文献1参照)。しかしながら、分離されたASRは、バージン樹脂に比べて、機械的物性に劣るため、その再利用はほとんど広がっていないのが現状である。従って、回収され分離、グレード分割されたASRについても、バージン樹脂と同様に付加価値を持った性能及び/又は機能が要求されている。また、自動車用部品に使用されるプラスチック部品の多くにはカーボンブラックが充填材として含まれているが、プラスチック材料として再利用する場合に、そのままでは必要な導電性や帯電防止性を殆ど示さない。そのため、様々な用途で要求される電磁波シールド性能、帯電防止性等の機能を付与するためには、何らかの処理が必要である。
一方、炭素繊維で強化された樹脂材料は、現在、航空機の機体などに利用されているが、今後、様々な構造材料分野での利用が期待されている。自動車の軽量化のために、炭素繊維強化樹脂は、車の外板材料として広く利用されることが予測されている(非特許文献2参照)。
しかしながら、使用済みの炭素繊維強化樹脂は、強度の保持が必ずしも保証できないことから、構造材料としての再利用が難しいこと、リサイクルのための破砕が困難であること等の理由から、炭素繊維強化樹脂材料のマテリアルリサイクルはあまり進んでいないのが現状である。
平成27年度低炭素型3R技術・システム実証事業(ASRから材料リサイクルを図る仕組みづくり)報告書(平成28年2月29日、豊田通商株式会社、https://www.env.go.jp/recycle/car/pdfs/h27_report01_mat05.pdf) 精密工学会誌、81巻、6号。489-493頁、2015年
本発明の課題は、自動車用部品に由来するプラスチック材料を用いた新たな複合プラスチック材料を提供することにある。
本発明者らは、自動車用部品に由来するプラスチック材料を用いた高強度、電磁波シールド性能及び帯電防止性を有する複合プラスチック材料の製造方法を提案している(特願2020-072374号)。
本発明者らは、この自動車用部品に由来するプラスチック材料を用いた複合プラスチック材料についてさらに鋭意研究する中で、原料から実際の最終製品に至るまでの加工処理において炭素繊維長が変化し、この炭素繊維長の変化が電磁波シールド性に大きく影響することを知見した。本発明者らは、さらに鋭意研究した結果、この炭素繊維長を所定範囲とすることにより、優れた電磁波シールド性を確実に得ることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1](a)自動車用部品由来のプラスチック材料と、(b)炭素繊維、及び炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方と、を含む複合プラスチック材料であって、
前記炭素繊維の体積平均繊維長が、105μm以上20mm以下であることを特徴とする複合プラスチック材料。
[2]前記炭素繊維の数平均繊維長が、80μm以上15mm以下であることを特徴とする上記[1]記載の複合プラスチック材料。
[3]前記複合プラスチック材料の樹脂成分と前記炭素繊維の質量比が、99:1~60:40であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の複合プラスチック材料。
[4]前記(a)の自動車用部品由来のプラスチック材料が、自動車破砕残渣由来のプラスチック材料であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料。
[5]前記(b)の炭素繊維含有樹脂材料が、炭素繊維を含む廃樹脂材料に由来するものであることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料。
[6]更に、相溶化剤を含むことを特徴とする上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料。
[7]カーボンブラックを含むことを特徴とする上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料。
[8]タルクを含むことを特徴とする上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料。
[9]上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料を含んでなることを特徴とする電磁波シールド成形体。
本発明複合プラスチック材料は、優れた電磁波シールド性を有する。
複合プラスチック材料に含まれる炭素繊維(混錬1回)の電子顕微鏡写真である。 複合プラスチック材料に含まれる炭素繊維(混錬2回)の電子顕微鏡写真である。 複合プラスチック材料に含まれる炭素繊維(混錬3回)の電子顕微鏡写真である。 複合プラスチック材料に含まれる炭素繊維(混錬4回)の電子顕微鏡写真である。 複合プラスチック材料(混錬1回)の電磁波シールド性能を示すグラフである。 複合プラスチック材料(混錬2回)の電磁波シールド性能を示すグラフである。 複合プラスチック材料(混錬3回)の電磁波シールド性能を示すグラフである。 複合プラスチック材料(混錬4回)の電磁波シールド性能を示すグラフである。 炭素繊維を含まない自動車用部品由来のプラスチック材料のみ(混錬1回)の電磁波シールド性能を示すグラフである。 複合プラスチック材料(混錬1~4回)の体積抵抗と表面抵抗を示すグラフである。
本発明の複合プラスチック材料は、(a)自動車用部品由来のプラスチック材料と、(b)炭素繊維、及び炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方とを含み、炭素繊維の体積平均繊維長が、105μm以上20mm以下であることを特徴とする。
すなわち、本発明のプラスチック材料は、(a)自動車用部品由来のプラスチック材料と(b)炭素繊維を含む態様や、(a)自動車用部品由来のプラスチック材料と(b)炭素繊維及び樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料を含む態様や、(a)自動車用部品由来のプラスチック材料と(b)炭素繊維、並びに炭素繊維及び樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料を含む態様を挙げることができる。
ここで、「プラスチック材料」とは、熱可塑性樹脂を主成分とし、加熱することによって融解又は軟化し、応力を印加することによって容易に流動又は塑性変形しうるものを意味する。また、「複合」とは、熱溶融可能なプラスチック材料と自動車用部品由来のプラスチック中に含まれるタルク等の無機フィラー成分、カーボンブラックのような有機フィラー成分、また、炭素繊維含有樹脂材料中の炭素繊維成分や熱硬化性樹脂成分等の不融不溶の成分とが混合した状態を意味する。また、「樹脂」は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を包含する。
本発明の複合プラスチック材料は、優れた電磁波シールド性を有する。すなわち、炭素繊維長が考慮されずに加工が行われると、十分な電磁波シールド性を得ることができない場合が生じるが、本発明の所定範囲の繊維長の炭素繊維を含む複合プラスチック材料は、優れた電磁波シールド性を確実に示す。また、本発明の複合プラスチック材料は、帯電防止性にも優れている。その他、導電性及び機械的強度にも優れている。したがって、本発明の複合プラスチック材料は、電磁波シールド成形体の材料として有用である。
ここで、「電磁波シールド性能」とは、隔壁によって仕切られた二つの場所の間を電磁場が流れるのを制限する隔壁の機能である。無線周波数の電磁波を遮断するための電磁波シールド性能は、RF遮蔽としても知られている。
また、「帯電防止性」とは、静電気の帯電を防止することをいう。一般的にプラスチックは、静電気を帯びやすく(帯電性)、プラスチックフィルムに帯電した静電気は、製造工程、二次加工工程や最終製品など、それぞれの段階において不具合を発生させる原因となりやすい。例えば、袋の状態で帯電した場合は、周囲のほこりや異物を引き付け、袋が汚染され易くなることが知られている。
また、「成形体」としては、例えば、溶融物をダイスより押出し、冷却して得られるストランド状のものを短く切断して得られるペレット状のもの、溶融物をあらかじめ設計された金型に注入し、冷却して得られる三次元形状のもの、溶融物をTダイから押出し、またはペレットを再加熱溶融しプレスして得られるシート状やフィルム状のもの、更には、過熱溶融したロール状で溶融させながらシート状にし、これを延伸して得られるロール状、もしくは短冊状のものを挙げることができる。
また、本発明における「自動車用部品由来のプラスチック材料」とは、自動車用部品製造時の規格外品、修理等の際に発生する廃棄品、2005年に施行された自動車リサイクル法に基づき、自動車メーカーが引取り・再資源化を義務づけられた廃自動車由来のプラスチック成分である。具体的には、使用済み自動車からエアバッグ類やフロン類、ドア、エンジン等の部品を取り外し、破砕(シュレッディング)して得られるASRから、有用金属やガラスを回収した後に残る残渣を、ゴム、布帛等と分別して得られるプラスチック成分が、自動車用部品由来のプラスチック材料である。自動車用部品に用いられるプラスチック材料の大半は、熱可塑性樹脂であり、具体的には、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類;ポリスチレンやアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル-スチレン(AS)樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン(MBS)樹脂等のスチレン系樹脂類;ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等の芳香族ポリエステル類;ビスフェノールA型ポリカーボネート等の芳香族ポリカーボネート類;ポリ乳酸やポリカプロラクトン、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸)、ポリテトラメチルグリコリド、ポリグリコール酸等の脂肪族ポリエステル類等を挙げることができる。現在、解体・破砕の段階で約8割(質量比)の資源が回収されているが、資源回収後に残った2割弱の残渣を適正処理することで、車両全体の9割以上が再資源化されることになる。
この自動車用部品由来のプラスチックには、充填材としてカーボンブラックが含まれていることが多い。このカーボンブラックは、プラスチックの剛性や対候性の向上に重要な成分であり、自動車用部品由来のプラスチック中に、10質量%以下、多くの場合、0.1~2.0質量%程度含まれている。
また、自動車用部品由来のプラスチックには、充填材としてタルクが含まれていることが多い。このタルクは、カーボンブラック同様、プラスチックの剛性の向上に重要な成分であるが、ASR中のタルクの含有量に依存して、本発明の複合プラスチックの性能および機能が変化する場合がある。そのため、タルクの含有量を一定範囲内に限定したASRを用いて本発明の複合プラスチックを製造することでより安定した性能および機能付与が可能となる。タルクの含有量を一定範囲内に収める方法としては、ラマン分光分析法による分別技術が開示されており、例えば、タルク含量として、5%以下、5%~15%、15%~28%、および28%以上の範囲で分別が可能である。それぞれのタルク含有ASRに本発明の複合プラスチックの製造方法を適用することは、安定的に剛性を制御した複合プラスチックを製造することができるため好ましい態様である。
また、「炭素繊維含有樹脂材料」としては、炭素繊維を含有する樹脂材料(熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の両者が含まれる)であればよいが、現在、航空機や自動車の素材として鉄よりも軽量かつ高強度の複合材料として急速に利用が広がっている炭素繊維強化樹脂(CFRP)使用後の破砕物、又は熱可塑性樹脂に炭素繊維を含有させた炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFTRP)が好ましい。従来のCFRPは、高強度を最優先にしているため、樹脂成分として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いていた。しかしながら、CFRPが自動車用部品に利用されるに至って、成形加工性の重要性が高まり、熱可塑性樹脂がマトリックス樹脂として用いられるようになってきている。本発明の複合プラスチック材料の製造方法において使用される炭素繊維含有樹脂材料としては、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いたCFTRPの方が溶融加工性に優れ、より好適に用いられる。実際の製造現場では、CFRPのシートから必要な部分をカットし、残りの4~5割が廃棄されるため,大量のCFRPの廃棄物が生じてきている。ここで、CFRPは、燃えにくいのが大きな利点であるが、その反面、その焼却処理には膨大な燃料費を要する。そのため、その殆どが埋め立て処理されているのが実情である。
本発明の複合プラスチック材料においては、上記のように、含まれる炭素繊維の体積平均繊維長が、105μm以上20mm以下であることが重要である。体積平均繊維長が105μm未満であると、一般的に求められる性能である-30dB/mm-1以下といった電磁波シールド性を得ることができない。また、体積平均繊維長が20mmを超えると、成形性が悪化する。
本発明の複合プラスチック材料に含まれる炭素繊維の体積平均繊維長(Lv)としては、120μm以上が好ましく、140μm以上がより好ましく、200μm以上がさらに好ましく、250μm以上が特に好ましい。上限は、15mmが好ましく、10mmがより好ましく、5mmがさらに好ましい。
ここで、体積平均繊維長Lvは、電子顕微鏡で無作為に観察した繊維100本以上についての、繊維の体積を基準とした以下の式で定義される平均繊維長である。
Lv=Σ(L×v)/Σv
Σは集合を意味し、Lは各繊維1本の長さ、vは各繊維1本の体積を意味する。
なお、各炭素繊維は、その1本の各点において、同じ直径を有する円筒状の形状であるとみなして、体積を求めるものである。上記の式のように体積平均繊維長とは、各繊維の体積の重みづけをした指標であり、一般に、複合体の性能や機能を数平均繊維長より正確に反映する指標である。また、直径の異なる炭素繊維が混在する場合にも有効な指標である。
なお、炭素繊維の直径は特に制限されないが、例えば5μm~20μmである。
さらに、本発明の複合プラスチック材料においては、含まれる炭素繊維の数平均繊維長(Ln)が、80μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましい。上限は、15mmであることが好ましく、10mmがより好ましく、5mmがさらに好ましい。これにより、十分な電磁シールド性をより確実に得ることができる。
ここで、数平均繊維長Lnは、電子顕微鏡で無作為に観察した繊維100本以上についての、繊維の本数(数)を基準とした以下の式で定義される平均繊維長である。
Ln=ΣL/Σn
Σは、集合を意味し、Lは各繊維1本の長さ、nは繊維の本数を意味する。数平均繊維長(Ln)を指標として用いる方法は、より簡便な方法として用いることができる。
さらに、体積平均繊維長を数平均繊維長で除した値Dは、炭素繊維の長さおよび太さのばらつきを表す指標として利用される。
D=Lv/Ln
D値が大きいほど、炭素繊維の長さおよび太さのばらつきが大きく、複合体の性能と機能に影響を及ぼしやすい。電磁波シールド性、帯電防止性能、機械的強度の向上には、D値が1.4以上であることが好ましい。
本発明のプラスチック材料中の炭素繊維量としては、所望の効果が発揮される範囲で適宜決定することができるが、複合プラスチック材料の樹脂成分と前記炭素繊維の質量比が、99:1~60:40であることが好ましく、95:5~65:35であることがより好ましく、90:10~70:30であることがさらに好ましい。炭素繊維の量が多い方が、機械的物性や電気的物性発現に有効であるが、量が少ない方が、成形性の面では有効である。なお、複合プラスチック材料の樹脂成分とは、(a)成分の自動車用部品由来のプラスチック材料に含まれる樹脂成分、及び(b)成分の炭素繊維含有樹脂材料に含まれる樹脂成分をいう。
また、本発明の複合プラスチック材料には、通常、自動車用部品由来のプラスチック材料に由来するカーボンブラックが含まれるが、含まれていない場合や少ない場合には、別途、カーボンブラックを配合することが好ましい。カーボンブラックと炭素繊維の質量比としては、4.5:1~1:500が好ましく、1:1~1:100がより好ましく、1:5~1:50がさらに好ましい。
成分(a)の自動車用部品由来のプラスチック材料と、成分(b)の炭素繊維含有樹脂材料を用いる場合、加熱溶融して混合するが、この場合、双方の原料の樹脂成分が同一種類であることが好ましい。ただし、双方の原料の樹脂成分が異なる場合であっても、双方の樹脂が相溶であれば、なんら問題なく分子レベルで混合することができる。双方の樹脂が非相溶であった場合、適切な相溶化剤を添加することによって、均一に混合することが可能である。このような相溶化剤として、例えば、ポリエチレンとポリプロピレンの場合、ポリエチレン連鎖ブロックとポリプロピレン連鎖ブロックを有するブロック共重合体又はグラフト共重合体が好適に用いられる。
また、炭素繊維はマトリックス樹脂との接着性を高めるために表面酸化処理などによって極性を持たせることがよく行われる。その場合に用いる相溶化剤としては、一般的に入手可能な相溶化剤を何ら制限なく用いることも可能であるが、その分子内に極性基を有することが望ましい。好適に用いられる相溶化剤としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレンや無水マレイン酸変性ポリエチレンなどがある。さらに、炭素繊維は樹脂との接着性を高めるために、その表面がサイジング剤によって塗布されている。サイジング剤は樹脂の化学特性や組成に合わせて調製されることが多いが、炭素繊維本体よりも樹脂との親和性は改善されており、本発明においては、サイジング剤塗布の炭素繊維およびそれを含有した樹脂組成物をそのまま利用することも好適な態様である。
複合プラスチック材料の樹脂成分と相溶化剤の質量比としては、例えば、99.8:0.2~95:5が好ましい。
本発明において、成分(a)の自動車用部品由来のプラスチック材料と成分(b)の炭素繊維含有プラスチック材料を溶融混合することによって、後述する実施例で示すように、驚くべきことに単独の場合よりもはるかに優れた電磁波シールド性能、及び帯電防止性を発現することが見いだされた。これは、ASR中の成分と炭素繊維とが溶融混合により接触することによってはじめて発現した性能及び機能である。なお、機械的強度、導電性についても、単独の場合よりも優れていた。
本発明に係る複合プラスチック材料を溶融成形する方法は、炭素繊維を樹脂成分中に均一に分散させることのできる方法であれば、公知の方法を何ら制限なく利用することができる。好適な溶融混練法としては、射出成形機を用いた射出成形法、押出成形機を用いた押出成形法、ブロー成形機を用いたブロー成形法等があり、さらに押出成形法によって作製したペレット状若しくはシート状の成形体を原料に、真空成形機を用いた真空成形法や圧縮成形機を用いた圧縮成形法による深絞り成形が好適に用いられる。これらの成形法の中でも、汎用性と拡張性等の点から、射出成形法と押出成形法がより好適に用いられる。
射出成形法とは、射出成形機の加熱されたシリンダー内でスクリュー回転により溶融混合させた材料を金型キャビティー内に射出注入し、冷却・固化させる事によって、成形品を得る方法であり、スプルー及びランナーと呼ばれる部分を通って、成形体の金型キャビティー内に溶融した複合プラスチックが充填される。ここで、炭素繊維及び炭素繊維含有熱硬化性樹脂は溶融しないので、溶融流動性を必要とする射出成形を実施する際には、流動性に優れた熱可塑性樹脂が選択される。
押出成形法とは、押出成形機の加熱されたシリンダーの中でスクリューの回転に伴うせん断応力により溶融・混合した材料をダイスの押出口から一定速度で押し出しながらストランド状に冷却固化させ、さらにペレタイザ等によりペレット状にする成形法である。射出成形のような高い流動性は必要としないので、押出口から押し出された後、垂れ落ちしないような溶融粘度の高い高分子量の熱可塑性樹脂が選択される。さらに、押出成形法においては、スクリューによる混練に際して、スクリューの形状及び回転方向は様々にあり、用途目的に応じて選択可能である。本発明の複合プラスチック材料の製造においては、より混練度を高めるために、二軸同方向回転スクリューによる混練がより好適な方法である。
溶融成形機を用いて複合プラスチック材料を成形する場合、成形機の先端付近に設置したスクリーンを通してサイズの大きい不融物を濾取するため、炭素繊維の長軸径が比較的小さい方に多く分布している方が成形性には有効である。特に、射出成形の場合、金型内に充填するために、高い溶融流動性を必要とするため、炭素繊維の平均連鎖長が小さいほうが成形性には有利である。一方、押出成形機の場合、長い繊維状の成分を含む炭素繊維は、溶融した熱可塑性樹脂の中で比較的ゆっくりと流動方向に配向して流動する。そのため、結果として配向した炭素繊維を含むコンポジットが得られるため、繊維強化による機械的物性の向上が発現しやすく好適な製造方法の態様である。
以上説明した本発明の複合プラスチック材料は、電磁波シールド性能及び帯電防止性等を活用して、車載用各種電子デバイス、各種IT機器、IoT住宅機器、さらには各種医療用機器等の筐体、部品、部材等の多様な用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を制限するものではない。
(1)複合プラスチック材料の作製
自動車用部品由来のプラスチック材料は、九州メタル産業株式会社より提供されたASRを比重分別及びラマン分光分析によりグレード分割したタルク含量が5質量%未満でカーボンブラック含量が1.0質量%のポリプロピレン主体のASRペレットを用いた。また、炭素繊維は、吉野株式会社より提供された約1mm繊維長の裁断された炭素繊維を用いた。さらに、相溶化剤として無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いた。これらの自動車用部品由来のプラスチック材料と炭素繊維と無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる複合プラスチック材料は二軸押出機を用いて溶融混練法により作製した。溶融混練条件は、ホッパー温度:120℃、スクリュー上流部温度:200℃、スクリュー下流部温度:200℃、ダイス(出口)温度:200℃とした。そこに、自動車用部品由来のプラスチック材料のペレットと炭素繊維と無水マレイン酸変性ポリプロピレン(70:30:1(質量比))をドライブレンドしたものをホッパーから投入し、スクリュー回転速度30rpmで約3分間溶融混練し、最終的にダイスから複合プラスチックをストランド状に押し出した。
この他、同条件で溶融混錬及び押し出しを2~4回行ったものも作製した。
二軸押出機で溶融混練した各複合プラスチック材料を、熱プレス装置を用いて圧縮成形した。押出機より得られたストランド状のコンポジットをペレット状に細断した後、スペーサーを兼ねた鉄製型枠中に入れ、上下方向からポリエチレンテレフタレート(PET)製のシート、さらにその外側から鉄板で挟み込み、ASONE製熱プレス装置モデル:HC300-15を用いて圧縮成形した。成形条件は、成形温度180℃、溶融時間1分30秒、プレス時間1分30秒、プレス圧力20MPaとした。これを測定用のサンプルとした。
熱重量示差熱分析(TG-DTA)により、得られた各サンプル中に含まれる炭素繊維量を測定した。その結果を表1に示す。なお、サンプル名は、溶融混錬回数で示す。
Figure 2022067284000002
なお、ここで示す炭素繊維量には、厳密にはカーボンブラック量も含むが、カーボンブラック量は1.0質量%と非常に少ないので、実質的に炭素繊維量と考えることができる。
また、炭素繊維を電子顕微鏡(150倍)で観察し(図1~図4)、無作為に選ばれ観察された100本の炭素繊維から、平均炭素繊維長を求めた。なお、電子顕微鏡写真から、繊維径を8.2μmとして計算した。その結果を表2に示す。1回~3回溶融混錬したものは、本発明の複合プラスチック材料であり、4回溶融混錬したものは、本発明の範囲外の複合プラスチック材料である。
Figure 2022067284000003
また、九州メタル産業株式会社より提供されたタルク含量が5質量%未満でカーボンブラック含量が1.0質量%のポリプロピレン主体のASRペレットのみを、上記「(1)複合プラスチック材料の作製」で示した方法と同様に、ストランド状に押し出し、これを熱プレス装置を用いて圧縮成形して比較サンプルとした。
上記4つのサンプルおよび1つの比較サンプルについて、電磁波シールド性能及び帯電防止性能を測定した。具体的な測定方法は、以下の通りである。
(2)複合プラスチック材料の電磁波シールド性能の測定
電磁波シールド性能の測定は、ネットワークアナライザーモデルMS202C(アンリツ株式会社、神奈川県、日本)を用いて、同軸法(株式会社キーコム製)により、0.45~15GHzの範囲を23±2℃で測定した。その結果を図5~8に示す。
図5に示すように、体積平均繊維長が289.41μm(数平均繊維長195.18μm)の溶融混錬1回の本発明のサンプルは、0~14GHzまでのすべての周波数の電磁波に対して極めて優れたシールド性を示すことが確認された。また、図6に示すように、体積平均繊維長が140.69μm(数平均繊維長109.36μm)の溶融混錬2回の本発明のサンプルについても、0~14GHzまでのすべての周波数の電磁波に対して、通常要求される-30dB以下を示しており、優れたシールド性を示すことが確認された。さらに、図7に示すように、体積平均繊維長が106.10μm(数平均繊維長83.18μm)の溶融混錬3回の本発明のサンプルについては、8GHz程度以上の周波数の電磁波に対して、通常要求される-30dB以下を示しており、優れたシールド性を示すことが確認された。
一方、図8と図9に示すように、体積平均繊維長が103.13μm(数平均繊維長75.45μm)の溶融混錬4回の比較例のサンプル、及び炭素繊維を含まない比較例のサンプルについては、0~14GHzのいずれの周波数の電磁波に対しても、通常要求される-30dB以下を満足できず、電磁波シールド材として十分な機能を果たさないことが確認された。
(3)複合プラスチック材料の帯電防止性能の測定
帯電防止性能試験は、体積及び表面電気抵抗値の評価で実施した。複合体ペレット及び比較例のペレットを鉄板に挟み、ミニテストプレス MP‐SCH(東洋精機製作所)を用いて、160℃、5MPaでプレスした。得られた円盤状フィルムを測定試料とした。体積及び表面電気抵抗値は、表面抵抗率計ロレスタAP(三菱油化)を用いて、円盤状フィルムの中央に端子(端子間距離1.5mm)をあて体積抵抗値と表面抵抗値を計測した。その結果を図10に示す。
溶融混錬1~2回の本発明のサンプルは、体積抵抗と表面抵抗のいずれもが極めて低い抵抗値を示し、非常に高い帯電防止性が認められた。また、溶融混錬3回の本発明のサンプル及び溶融混錬4回の比較例のサンプルは、溶融混錬1~2回のサンプルと比べて抵抗値が高いものの、一般的に高いとされる帯電防止性が認められた。一方、炭素繊維を含まない比較例のサンプルは、溶融混錬4回の比較例サンプルとほぼ同等の体積抵抗値及び表面抵抗値を示した。

Claims (9)

  1. (a)自動車用部品由来のプラスチック材料と、
    (b)炭素繊維、及び炭素繊維と樹脂成分を含む炭素繊維含有樹脂材料の一方又は双方と、
    を含む複合プラスチック材料であって、
    前記炭素繊維の体積平均繊維長が、105μm以上20mm以下であることを特徴とする複合プラスチック材料。
  2. 前記炭素繊維の数平均繊維長が、80μm以上15mm以下であることを特徴とする請求項1記載の複合プラスチック材料。
  3. 前記複合プラスチック材料の樹脂成分と前記炭素繊維の質量比が、99:1~60:40であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合プラスチック材料。
  4. 前記(a)の自動車用部品由来のプラスチック材料が、自動車破砕残渣由来のプラスチック材料であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料。
  5. 前記(b)の炭素繊維含有樹脂材料が、炭素繊維を含む廃樹脂材料に由来するものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料。
  6. 更に、相溶化剤を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料。
  7. カーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料。
  8. タルクを含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の複合プラスチック材料を含んでなることを特徴とする電磁波シールド成形体。

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