JP2022066961A - アダプタ、アダプタのロボットアームからの取り外し方法およびロボット手術システム - Google Patents

Abstract

【課題】ロボットアームから手術器具を取り外す際の作業が煩雑になるのを抑制すること。【解決手段】このアダプタ６０は、基体６１と、係合位置においてロボットアーム２１ａと係合する係合部６６１ａ～６６１ｃとリリースツール８０を当接させるための当接部６６５とを含むアーム係合部６６と、を備える。アーム係合部６６は、基体６１のツール挿入孔６１１ｂから挿入されたリリースツール８０が当接部６６５に当接し、当接部６６５がリリースツール８０の挿入方向と直交する方向に移動することによりアーム係合部６６の一部が基体６１の逃げ空間６１２に移動し、リリースツール８０がさらに挿入されることにより、係合部６６１ａ～６６１ｃが係合位置から係合解除位置に移動して係合部６６１ａ～６６１ｃとロボットアーム２１ａとの係合が解除されるように構成されている。【選択図】図１７

Description

この発明は、アダプタ、アダプタのロボットアームからの取り外し方法およびロボット手術システムに関する。

従来、アダプタを介してロボットアームに取り付けられる手術器具が知られている（たとえば、特許文献１参照）。

上記特許文献１には、アダプタを介してロボットアームに取り付けられる手術器具が開示されている。この特許文献１の手術器具は、アダプタに取り付けられた状態において、基体に設けられた開口にリリースツールを挿入して、アダプタと手術器具との係合を解除するためのリリースレバーを、リリースツールの挿入方向と交差する方向にリリースツールを移動させることにより操作して、手術器具をアダプタから取り外すように構成されている。

米国特許第９８３９４８７号明細書

しかしながら、上記特許文献１の手術器具は、アダプタに取り付けられた状態において、基体に設けられた開口にリリースツールを挿入して、アダプタと手術器具との係合を解除するためのリリースレバーを、リリースツールの挿入方向と交差する方向にリリースツールを移動させることにより操作して、手術器具をアダプタから取り外すように構成されている。このため、手術器具をロボットアームから取り外す場合に、リリースツールを挿入し、その後、挿入方向と異なる方向にリリースツールを移動させる必要があるため、ロボットアームから手術器具を取り外す際の作業が煩雑になるという問題点がある。

この発明は、ロボットアームから手術器具を取り外す際の作業が煩雑になるのを抑制することを目的としたものである。

この発明の第１の局面によるアダプタは、ロボットアームに着脱自在に設けられ、ロボットアームから手術器具に駆動力を伝達するアダプタであって、開口部を有しロボットアームに取り付けられる第１面と手術器具が取り付けられる第２面とを含む基体と、第１面の開口部に対応する係合位置と係合位置から退避した係合解除位置との間を移動可能に構成され、係合位置においてロボットアームと係合する係合部と、リリースツールを当接させるための当接部と、を含むアーム係合部と、を備え、基体は、リリースツールを挿入するためのツール挿入孔と、ツール挿入孔から挿入されたリリースツールが当接したアーム係合部の一部が移動する逃げ空間とを含み、アーム係合部は、ツール挿入孔から挿入されたリリースツールが当接部に当接し、当接部がリリースツールの挿入方向と直交する方向に移動することによりアーム係合部の一部が逃げ空間に移動し、リリースツールがさらに挿入されることにより係合部が係合位置から係合解除位置に移動して係合部とロボットアームとの係合が解除されるように構成されている。

この発明の第１の局面によるアダプタでは、上記のように、アーム係合部を、ツール挿入孔から挿入されたリリースツールが当接部に当接し、当接部がリリースツールの挿入方向と直交する方向に移動することによりアーム係合部の一部が逃げ空間に移動し、リリースツールがさらに挿入されることにより係合部が係合位置から係合解除位置に移動して係合部とロボットアームとの係合が解除されるように構成する。これにより、リリースツールを一定方向（挿入方向）に移動させることにより、アーム係合部の一部を逃げ空間に移動させるとともに、係合部を係合位置から係合解除位置に移動させることができる。これにより、ロボットアームから手術器具を取り外す際の作業が煩雑になるのを抑制することができる。

この発明の第２の局面によるアダプタのロボットアームからの取り外し方法は、ロボットアームに取り付けられる第１面と手術器具が取り付けられる第２面とを含む基体と、ロボットアームと係合する係合部とを含むアーム係合部とを備え、ロボットアームに着脱自在に設けられロボットアームから手術器具に駆動力を伝達するアダプタの取り外し方法であって、係合部とロボットアームとの係合を解除するためのリリースツールを挿入するためのツール挿入孔からリリースツールを挿入し、ツール挿入孔から挿入したリリースツールをアーム係合部の当接部に当接させ、当接部をリリースツールの挿入方向と直交する方向に移動させることによりアーム係合部の一部を基体の逃げ空間に移動させ、リリースツールをさらに挿入することにより係合部を係合位置から係合解除位置に移動させることにより係合部とロボットアームとの係合を解除する。

この発明の第２の局面によるアダプタのロボットアームからの取り外し方法では、上記のように構成することによって、リリースツールを一定方向（挿入方向）に移動させることにより、アーム係合部の一部を逃げ空間に移動させるとともに、係合部を係合位置から係合解除位置に移動させることができる。これにより、ロボットアームから手術器具を取り外す際の作業が煩雑になるのを抑制することが可能なアダプタのロボットアームからの取り外し方法を提供することができる。

この発明の第３の局面によるロボット手術システムは、手術器具と、ロボットアームに着脱自在に設けられ、ロボットアームから手術器具に駆動力を伝達するアダプタと、を備え、アダプタは、開口部を有しロボットアームに取り付けられる第１面と手術器具が取り付けられる第２面とを有する基体と、第１面の開口部に対応する係合位置と係合位置から退避した係合解除位置との間を移動可能に構成され、係合位置においてロボットアームと係合する係合部とリリースツールを当接させるための当接部とを有するアーム係合部と、を含み、基体は、リリースツールを挿入するためのツール挿入孔と、ツール挿入孔から挿入されたリリースツールが当接したアーム係合部の一部が移動する逃げ空間とを有し、アーム係合部は、ツール挿入孔から挿入されたリリースツールが当接部に当接し、当接部がリリースツールの挿入方向と直交する方向に移動することによりアーム係合部の一部が逃げ空間に移動し、リリースツールがさらに挿入されることにより係合部が係合位置から係合解除位置に移動して係合部とロボットアームとの係合が解除されるように構成されている。

この発明の第３の局面によるロボット手術システムでは、上記のように構成することによって、リリースツールを一定方向（挿入方向）に移動させることにより、アーム係合部の一部を逃げ空間に移動させるとともに、係合部を係合位置から係合解除位置に移動させることができる。これにより、ロボットアームから手術器具を取り外す際の作業が煩雑になるのを抑制することが可能なロボット手術システムを提供することができる。

本発明によれば、ロボットアームから手術器具を取り外す際の作業が煩雑になるのを抑制することができる。

一実施形態によるロボット手術システムの概略を示した図である。 一実施形態によるロボット手術システムの制御的な構成を示したブロック図である。 一実施形態によるロボットアームにアダプタを介して手術器具が取り付けられた状態を示した斜視図である。 一実施形態によるアダプタおよび手術器具を下方から見た斜視図である。 一実施形態によるアダプタを上方から見た斜視図である。 一実施形態によるアダプタの駆動伝達部材の分解斜視図である。 一実施形態によるロボットアームの取付部からアダプタを取り外した状態を示した斜視図である。 一実施形態によるアダプタのアーム係合部を示した斜視図である。 一実施形態によるロボットアームへのアダプタの取り付けを説明するための斜視図である。 一実施形態によるロボットアームに取り付けられたアダプタへの手術器具の取り付けを説明するための斜視図である。 一実施形態によるアダプタの係合部が係合解除位置に移動した状態を示した図である。 一実施形態によるアダプタのストッパによる操作部の移動が解除された状態を示した図である。 一実施形態によるアダプタの係合部が係合位置に移動した状態を示した図である。 一実施形態によるアダプタを介してロボットアームに手術器具が取り付けられた状態を示した図である。 一実施形態によるアダプタのツール挿入孔にリリースツールが挿入された状態を示した斜視図である。 一実施形態によるアダプタのツール挿入孔にリリースツールが挿入された状態を示した図である。 一実施形態によるアダプタのアーム係合部の一部が逃げ空間に移動した状態を示した図である。 一実施形態によるアダプタのツール挿入孔に挿入されたリリースツールにより係合部が係合解除位置に移動した状態を示した図である。

以下、実施形態を図面に基づいて説明する。

（ロボット手術システムの構成）
図１および図２を参照して、一実施形態によるロボット手術システム１００の構成について説明する。

図１に示すように、ロボット手術システム１００は、遠隔操作装置１０と、患者側装置２０と、を備えている。遠隔操作装置１０は、患者側装置２０に設けられた医療器具（ｍｅｄｉｃａｌ ｅｑｕｉｐｍｅｎｔ）を遠隔操作するために設けられている。患者側装置２０によって実行されるべき動作態様指令が術者（ｓｕｒｇｅｏｎ）である操作者Ｏにより遠隔操作装置１０に入力されると、遠隔操作装置１０は、動作態様指令をコントローラ２６を介して患者側装置２０に送信する。そして、患者側装置２０は、遠隔操作装置１０から送信された動作態様指令に応答して、ロボットアーム２１ａに取り付けられた手術器具（ｓｕｒｇｉｃａｌ ｉｎｓｔｒｕｍｅｎｔ）４０、内視鏡５０等の医療器具を操作する。これにより、低侵襲手術が行われる。

患者側装置２０は、患者Ｐに対して手術を行うインターフェースを構成する。患者側装置２０は、患者Ｐが横たわる手術台３０の傍らに配置される。患者側装置２０は、複数のロボットアーム２１ａ、２１ｂを有し、このうち１つのロボットアーム２１ｂに内視鏡５０が取り付けられ、その他のロボットアーム２１ａに手術器具４０が取り付けられる。各ロボットアーム２１ａ、２１ｂは、プラットホーム２３に共通に支持されている。複数のロボットアーム２１ａ、２１ｂは複数の関節を有し、それぞれの関節には、サーボモータを含む駆動部と、エンコーダ等の位置検出器とが設けられている。ロボットアーム２１ａ、２１ｂは、コントローラ２６を介して与えられた駆動信号によりロボットアーム２１ａ、２１ｂに取り付けられた医療器具が所望の動作を行うように制御されるように構成されている。

プラットホーム２３は、手術室の床の上に載置されたポジショナ２２に支持されている。ポジショナ２２は、鉛直方向に調整可能な昇降軸を有する柱部２４が、車輪を備え床面を移動可能なベース２５に連結されている。

ロボットアーム２１ａには、先端部に医療器具としての手術器具４０が着脱可能に取り付けられる。手術器具４０は、ロボットアーム２１ａに取り付けられるハウジング４３（図４参照）と、細長形状のシャフト４２（図４参照）と、シャフト４２の先端部に設けられたエンドエフェクタ４１（図３参照）とを備えている。エンドエフェクタ４１として、例えば、把持鉗子、シザーズ、フック、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーが挙げられるがこれに限られるものではなく、各種の処置具を適用することができる。患者側装置２０を用いた手術において、ロボットアーム２１ａは、患者Ｐの体表に留置したカニューラ（トロッカ）を介して患者Ｐの体内に手術器具４０を導入する。そして、手術器具４０のエンドエフェクタ４１は、手術部位の近傍に配置される。

ロボットアーム２１ｂには、先端部に医療器具としての内視鏡５０が着脱可能に取り付けられる。内視鏡５０は、患者Ｐの体腔内を撮影するものであり、撮影した画像は、遠隔操作装置１０に対して出力される。内視鏡５０として、３次元画像を撮影することができる３Ｄ内視鏡若しくは２Ｄ内視鏡が用いられる。患者側装置２０を用いた手術において、ロボットアーム２１ｂは、患者Ｐに体表に留置したトロッカを介して患者Ｐの体内に内視鏡５０を導入する。そして、内視鏡５０が手術部位の近傍に配置される。

遠隔操作装置１０は、操作者Ｏとのインターフェースを構成する。遠隔操作装置１０は、ロボットアーム２１ａに取り付けられた医療器具を操作者Ｏが操作するための装置である。すなわち、遠隔操作装置１０は、操作者Ｏによって入力された手術器具４０および内視鏡５０によって実行されるべき動作態様指令をコントローラ２６を介して患者側装置２０へ送信可能に構成されている。遠隔操作装置１０は、たとえば、マスタの操作をしながらも患者Ｐの様子がよく見えるように手術台３０の傍らに設置される。なお、遠隔操作装置１０は、例えば動作態様指令を無線で送信するようにし、手術台３０が設置された手術室とは別室に設置することも可能である。

手術器具４０によって実行されるべき動作態様とは、手術器具４０の動作（一連の位置及び姿勢）及び手術器具４０個別の機能によって実現される動作の態様である。たとえば、手術器具４０が把持鉗子である場合には、手術器具４０によって実行されるべき動作態様とは、エンドエフェクタ４１の手首のロール回転位置及びピッチ回転位置と、ジョーの開閉を行う動作である。また、手術器具４０が高周波ナイフである場合には、手術器具４０によって実行されるべき動作態様とは、高周波ナイフの振動動作、具体的には高周波ナイフに対する電流の供給であり得る。また、手術器具４０がスネアワイヤである場合には、手術器具４０によって実行されるべき動作態様とは、束縛動作および束縛状態の解放動作であり得る。また、バイポーラやモノポーラに電流を供給することによって手術対象部位を焼き切る動作であり得る。

内視鏡５０によって実行されるべき動作態様とは、たとえば、内視鏡５０先端の位置及び姿勢、又はズーム倍率の設定である。

遠隔操作装置１０は、図１および図２に示すように、操作ハンドル１１と、操作ペダル部１２と、表示部１３と、制御装置１４と、を備えている。

操作ハンドル１１は、ロボットアーム２１ａに取り付けられた医療器具を遠隔で操作するために設けられている。具体的には、操作ハンドル１１は、医療器具（手術器具４０、内視鏡５０）を操作するための操作者Ｏによる操作を受け付ける。操作ハンドル１１は、水平方向に沿って２つ設けられている。つまり、２つの操作ハンドル１１のうち一方の操作ハンドル１１は、操作者Ｏの右手により操作され、２つの操作ハンドル１１のうち他方の操作ハンドル１１は、操作者Ｏの左手により操作される。

また、操作ハンドル１１は、遠隔操作装置１０の後方側から、前方側に向かって延びるように配置されている。操作ハンドル１１は、所定の３次元の操作領域内で動かすことができるように構成されている。すなわち、操作ハンドル１１は、上下方向、左右方向、および前後方向に動かすことができるように構成されている。

遠隔操作装置１０と患者側装置２０とは、ロボットアーム２１ａおよびロボットアーム２１ｂの動作の制御においては、マスタスレーブ型のシステムを構成する。すなわち、操作ハンドル１１は、マスタスレーブ型のシステムにおけるマスタ側の操作部を構成し、医療器具が取り付けられたロボットアーム２１ａおよびロボットアーム２１ｂはスレーブ側の動作部を構成する。そして、操作ハンドル１１を操作者Ｏが操作すると、操作ハンドル１１の動きをロボットアーム２１ａの先端部（手術器具４０のエンドエフェクタ４１）またはロボットアーム２１ｂの先端部（内視鏡５０）がトレースして移動するようにロボットアーム２１ａまたはロボットアーム２１ｂの動作が制御される。

また、患者側装置２０は、設定された動作倍率に応じてロボットアーム２１ａの動作を制御するよう構成されている。たとえば、動作倍率が１／２倍に設定されている場合、手術器具４０のエンドエフェクタ４１は、操作ハンドル１１の移動距離の１／２の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。

操作ペダル部１２は、医療器具に関する機能を実行するための複数のペダルを含んでいる。複数のペダルは、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルと、を含んでいる。また、複数のペダルは、操作者Ｏの足により操作される。

凝固ペダルは、手術器具４０を用いて手術部位を凝固させる操作を行うことができる。具体的には、凝固ペダルは、操作されることにより、手術器具４０に凝固用の電圧が印加されて、手術部位の凝固が行われる。切断ペダルは、手術器具４０を用いて手術部位を切断させる操作を行うことができる。具体的には、切断ペダルは、操作されることにより、手術器具４０に切断用の電圧が印加されて、手術部位の切断が行われる。

カメラペダルは、体腔内を撮像する内視鏡５０の位置及び姿勢を操作するために用いられる。具体的には、カメラペダルは、内視鏡５０の操作ハンドル１１による操作を有効にする。つまり、カメラペダルが押されている間は、操作ハンドル１１により内視鏡５０の位置および姿勢を操作することが可能である。たとえば、内視鏡５０は、左右の操作ハンドル１１の両方を用いることにより操作される。具体的には、左右の操作ハンドル１１の中間点を中心に左右の操作ハンドル１１を回動させることにより、内視鏡５０が回動される。また、左右の操作ハンドル１１を共に押し込むことにより、内視鏡５０が奥に進む。また、左右の操作ハンドル１１を共に引っ張ることにより、内視鏡５０が手前に戻る。また、左右の操作ハンドル１１を共に上下左右に移動させることにより、内視鏡５０が上下左右に移動する。

クラッチペダルは、ロボットアーム２１ａと、操作ハンドル１１との操作接続を一時切断し手術器具４０の動作を停止させる場合に用いられる。具体的には、クラッチペダルが操作されている間は、操作ハンドル１１を操作しても、患者側装置２０のロボットアーム２１ａが動作しない。たとえば、操作により操作ハンドル１１が移動可能な範囲の端部近傍に来た場合に、クラッチペダルが操作されることにより、操作接続を一時切断して、操作ハンドル１１を中央位置付近に戻すことができる。そして、クラッチペダルの操作を中止するとロボットアーム２１ａと操作ハンドル１１とが再び接続され、中央付近で操作ハンドル１１の操作を再開することができる。

表示部１３は、内視鏡５０が撮像した画像を表示することができるものである。表示部１３は、スコープ型表示部または非スコープ型表示部からなる。スコープ型表示部とは、たとえば、覗き込むタイプの表示部である。また、非スコープ型表示部とは、通常のパーソナルコンピュータのディスプレイのような覗き込むタイプではない平坦な画面を有する開放型の表示部を含む概念である。

スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置２０のロボットアーム２１ｂに取り付けられた内視鏡５０により撮像された３Ｄ画像が表示される。非スコープ型表示部が取り付けられた場合にも、患者側装置２０に設けられた内視鏡５０により撮像された３Ｄ画像が表示される。なお、非スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置２０に設けられた内視鏡５０により撮像された２Ｄ画像が表示されてもよい。

図２に示すように、制御装置１４は、例えば、ＣＰＵ等の演算器を有する制御部１４１と、ＲＯＭおよびＲＡＭ等のメモリを有する記憶部１４２と、画像制御部１４３とを含んでいる。制御装置１４は、集中制御する単独の制御装置により構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。制御部１４１は、操作ハンドル１１により入力された動作態様指令を、操作ペダル部１２の切替状態に応じて、ロボットアーム２１ａによって実行されるべき動作態様指令であるか、または、内視鏡５０によって実行されるべき動作態様指令であるかを判定する。そして、制御部１４１は、操作ハンドル１１に入力された動作態様指令が手術器具４０によって実行されるべき動作態様指令であると判断すると、動作態様指令をロボットアーム２１ａに対して送信する。これによって、ロボットアーム２１ａが駆動され、この駆動によってロボットアーム２１ａに取り付けられた手術器具４０の動作が制御される。

また、制御部１４１は、操作ハンドル１１に入力された動作態様指令が内視鏡５０によって実行されるべき動作態様指令であると判定すると、当該動作態様指令をロボットアーム２１ｂに対して送信する。これによって、ロボットアーム２１ｂが駆動され、この駆動によってロボットアーム２１ｂに取り付けられた内視鏡５０の動作が制御される。

記憶部１４２には例えば手術器具４０の種類に応じた制御プログラムが記憶されていて、取り付けられた手術器具４０の種類に応じて制御部１４１がこれらの制御プログラムを読み出すことにより、遠隔操作装置１０の操作ハンドル１１及び／又は操作ペダル部１２の動作指令が個別の手術器具４０に適合した動作をさせることができる。

画像制御部１４３は、内視鏡５０が取得した画像を表示部１３に伝送する。画像制御部１４３は、必要に応じて画像の加工修正処理を行う。

（アダプタおよび手術器具の構成）
図３～図１８を参照して、一実施形態によるアダプタ６０および手術器具４０の構成について説明する。

図３に示すように、ロボットアーム２１ａ（２１ｂ）は、清潔区域において使用されるため、ドレープ７０により覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者Ｏを含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させるときは、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者Ｏを含む手術チームのメンバーがその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ７０により覆われる。

ドレープ７０は、ロボットアーム２１ａと、手術器具４０との間に配置される。具体的には、ドレープ７０は、アダプタ６０と、ロボットアーム２１ａとの間に配置される。アダプタ６０は、ロボットアーム２１ａの取付部２１１にドレープ７０を介して取り付けられる。つまり、アダプタ６０は、ロボットアーム２１ａとの間にドレープ７０を挟み込むためのドレープアダプタである。また、アダプタ６０には、手術器具４０が取り付けられる。ロボットアーム２１ａは、手術器具４０のエンドエフェクタ４１を駆動させるために、アダプタ６０を介して手術器具４０に動力を伝達する。

図４および図５に示すように、アダプタ６０は、基体６１と、複数の駆動伝達部材６２と、ガイドレール６３と、先行ガイドレール６４と、電極アレイ６５と、アーム係合部６６と、を備えている。また、図４に示すように、アダプタ６０は、複数の開口部６７と、複数の位置決孔６８とを備えている。また、アダプタ６０は、先行ガイド部６９を備えている。また、アダプタ６０は、Ｚ２方向側に配置された第１面６０ａがロボットアーム２１ａに取り付けられる。また、アダプタ６０は、Ｚ１方向側に配置された第２面６０ｂに手術器具４０が取り付けられる。

図４に示すように、手術器具４０のハウジング４３のＺ２方向側に配置された取付面４０ａがアダプタ６０に取り付けられる。また、手術器具４０は、複数の被駆動部４４と、２つの案内溝４５と、２つの可動部材４６と、先行案内溝４７と、電極アレイ４８とを備えている。

図７に示すように、ロボットアーム２１ａの取付部２１１には、アダプタ６０が取り付けられる。また、ロボットアーム２１ａは、複数の駆動部材２１２と、係合凸部２１３ａ、２１３ｂ、２１３ｃと、ボス２１４とを備えている。係合凸部２１３ｂおよび２１３ｃは、それぞれ、２つずつ設けられている。

複数の係合凸部２１３ａ、２１３ｂ、２１３ｃの各々には、溝２１３１が設けられている。係合凸部２１３ａ、２１３ｂ、２１３ｃは、アダプタ６０に係合するために設けられている。つまり、ロボットアーム２１ａの係合凸部２１３ａ、２１３ｂ、２１３ｃの溝２１３１に、アダプタ６０の係合部６６１ａ、６６１ｂ、６６１ｃがそれぞれ係合する。複数の溝２１３１は、各々Ｙ２方向に開口するように形成されている。

図４に示すように、手術器具４０の複数の被駆動部４４は、回転駆動されることにより、エンドエフェクタ４１を駆動させる。具体的には、被駆動部４４とエンドエフェクタ４１とは、シャフト４２内に通されたワイヤにより接続されている。そして、被駆動部４４が回転されることにより、ワイヤが引っ張られてエンドエフェクタ４１が駆動される。また、被駆動部４４は、ハウジング４３内において、シャフト４２とギアにより接続されている。そして、被駆動部４４が回転されることにより、シャフト４２が回転される。

たとえば、被駆動部４４は、４つ設けられている。１つの被駆動部４４の回転により、シャフト４２が回転される。また、他の３つの被駆動部４４の回転により、エンドエフェクタ４１が駆動される。４つの被駆動部４４は、Ｘ方向に２つ配列され、Ｙ方向に２つ配列されている。

案内溝４５は、Ｙ方向に沿って延びるように設けられている。また、案内溝４５は、Ｘ方向に対向するように２つ設けられている。２つの案内溝４５は、略平行に設けられている。案内溝４５は、それぞれ、アダプタ６０のガイドレール６３が挿入されてアダプタ６０への取り付けを案内する。案内溝４５は、可動部材４６がＸ方向に移動することにより、幅が変化する。つまり、可動部材４６が内側に移動することにより、案内溝４５の幅が拡張される。また、可動部材４６が外側に移動することにより、案内溝４５の幅が縮小される。可動部材４６は、案内溝４５の幅を狭める方向（外側方向）に向けて付勢されている。具体的には、可動部材４６は、バネにより付勢されている。可動部材４６は、ボタン４６１を作業者が押すことにより、案内溝４５の幅を広げる方向（内側方向）に移動する。

先行案内溝４７は、Ｙ方向に沿って延びるように設けられている。また、先行案内溝４７は、２つの案内溝４５の間に設けられている。また、先行案内溝４７は、２つの案内溝４５と略平行に延びるように形成されている。また、先行案内溝４７は、Ｘ方向における取付面４０ａの略中央に設けられている。

電極アレイ４８は、アダプタ６０の電極アレイ６５を介してロボットアーム２１ａに接続される。また、電極アレイ４８は、ハウジング４３内に設けられた基板に接続されている。つまり、手術器具４０をアダプタ６０を介してロボットアーム２１ａに取り付けることにより、手術器具４０の基板と、ロボットアーム２１ａとが接続される。ハウジング４３内の基板は、手術器具４０の種類や手術器具４０の使用回数を管理するためなどに用いられる。

図４および図５に示すように、アダプタ６０は、ロボット手術システム１００のロボットアーム２１ａに手術器具４０を取り外し可能に接続するために設けられている。基体６１は、ロボットアーム２１ａに取り付けるための第１面６０ａと、手術器具４０の取付面４０ａが装着される第２面６０ｂと、を含んでいる。また、アダプタ６０は、ロボットアーム２１ａに着脱自在に設けられている。また、アダプタ６０は、ロボットアーム２１ａから手術器具４０に駆動力を伝達する。

基体６１には、手術器具４０が当接する当接部６１１が設けられている。当接部６１１は、基体６１の第２面６０ｂのＹ１方向の端部近傍に設けられている。また、当接部６１１は、手術器具４０側（Ｚ１方向側）に突出するように形成されている。当接部６１１は、手術器具４０がアダプタ６０に取り付けられた際に、手術器具４０のハウジング４３のＹ１方向側の端部に当接するように構成されている。

当接部６１１のＸ方向における中央部分には、開口６１１ａと、ツール挿入孔６１１ｂと、が設けられている。開口６１１ａは、アーム係合部６６の係合部６６１ａ～６６１ｃが係合位置に位置している場合に、アーム係合部６６の規制部６６２が入り込むように構成されている。開口６１１ａは、Ｘ方向に沿って一対設けられている。一対の開口６１１ａは、ツール挿入孔６１１ｂを挟み込むように配置されている。

ツール挿入孔６１１ｂは、リリースツール８０（図１５参照）を挿入するために設けられている。具体的には、ツール挿入孔６１１ｂは、アダプタ６０をロボットアーム２１ａから取り外す場合に、手術器具４０をアダプタ６０から取り外すことができず、かつ、アーム係合部６６の操作部６６３を操作できない場合、リリースツール８０（図１５参照）を挿入して、アーム係合部６６を移動させるために設けられている。手術器具４０をアダプタ６０から取り外すことができない場合は、たとえば、手術器具４０のボタン４６１を押しても可動部材４６が移動しない場合、ロボットアーム２１ａなどが干渉して手術器具４０のボタン４６１を押せない場合などを含む。アーム係合部６６の操作部６６３を操作できない場合は、たとえば、手術器具４０のＹ２方向側に電極端子があり、操作部６６３を把持できない場合、ロボットアーム２１ａが干渉して、操作部６６３を把持できない場合などを含む。

図５に示すように、ツール挿入孔６１１ｂは、第１面６０ａおよび第２面６０ｂが並ぶ方向（Ｚ方向）に延びるスリット状に形成されている。これにより、ツール挿入孔６１１ｂから指などが入るのを抑制することができるので、指により意図せずにアーム係合部６６の当接部６６５が押圧されるのを抑制することができる。

また、基体６１には、図１６～図１８に示すように、ツール挿入孔６１１ｂから挿入されたリリースツール８０が当接したアーム係合部６６の一部が移動する逃げ空間６１２が設けられている。具体的には、逃げ空間６１２には、アーム係合部６６のＹ１方向側の先端で、かつ、Ｚ２側の部分が移動可能（逃げることが可能）に構成されている。つまり、逃げ空間６１２には、アーム係合部６６の一対の規制部６６２の付け根部分（Ｚ２側の部分）、当接部６６５の付け根部分（Ｚ２側の部分）および変形部６６６が移動可能に構成されている。

逃げ空間６１２は、第１面６０ａ側（Ｚ２方向側）に凹むように形成されている。これにより、手術器具４０が取り付けられた第２面６０ｂ側（Ｚ１方向側）とは反対側の第１面６０ａ側（Ｚ２方向側）にアーム係合部６６の一部を容易に逃がすことができる。

図４および図５に示すように、駆動伝達部材６２は、基体６１に回転可能に設けられている。具体的には、駆動伝達部材６２は、Ｚ方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に設けられている。つまり、駆動伝達部材６２は、第１面６０ａおよび第２面６０ｂに垂直な回転軸線回りに回転可能に設けられている。駆動伝達部材６２は、ロボットアーム２１ａの取付部２１１に設けられた複数の駆動部材２１２の回転を、手術器具４０に設けられた複数の被駆動部４４に伝達する。駆動伝達部材６２は、ロボットアーム２１ａの駆動部材２１２および手術器具４０の被駆動部４４に対応するように複数設けられている。また、複数の駆動伝達部材６２は、ロボットアーム２１ａの駆動部材２１２および手術器具４０の被駆動部４４に対応する位置に各々配置されている。

図６に示すように、駆動伝達部材６２は、第１部材６２１と、付勢部材６２３を介して第１部材６２１に対して移動可能に設けられた第２部材６２２と、を含む。第１部材６２１は、第２部材６２２が嵌り込む凹部６２１ａと、第２部材６２２に係合する係合部６２１ｂとを有している。第２部材６２２は、付勢部材６２３が収容される凹部６２２ａと、第１部材６２１に係合する係合部６２２ｂとを有している。

第１部材６２１と、第２部材６２２とは、付勢部材６２３を間に挟んだ状態でＺ方向に篏合している。第１部材６２１は、第２面６０ｂ側（Ｚ１方向側）に配置されている。第２部材６２２は、第１面６０ａ側（Ｚ２方向側）に配置されている。付勢部材６２３は、第１部材６２１を第２部材６２２に対してＺ１方向側に付勢している。付勢部材６２３は、たとえば、バネにより構成されている。

図５に示すように、ガイドレール６３は、第２面６０ｂに設けられている。また、ガイドレール６３は、Ｙ方向に沿って延びるように設けられている。また、ガイドレール６３は、Ｘ方向に対向するように２つ設けられている。２つのガイドレール６３は、略平行に設けられている。また、２つのガイドレール６３は、手術器具４０の取付面４０ａに略平行に設けられた２つの案内溝４５に対応するように設けられている。第２面６０ｂのガイドレール６３は、それぞれ、取付面４０ａの案内溝４５を対応させてスライドさせることにより、複数の駆動伝達部材６２の各々と、取付面４０ａに設けられた複数の被駆動部４４の各々とが対応するように案内するように構成されている。

先行ガイドレール６４は、第２面６０ｂに設けられている。また、先行ガイドレール６４は、Ｙ方向に沿って延びるように設けられている。また、先行ガイドレール６４は、２つのガイドレール６３の間に設けられている。また、先行ガイドレール６４は、２つのガイドレール６３と略平行に延びるように形成されている。また、先行ガイドレール６４は、Ｘ方向における第２面６０ｂの略中央に設けられている。また、先行ガイドレール６４は、取付面４０ａに設けられた先行案内溝４７に対応して設けられている。つまり、先行ガイドレール６４は、２つのガイドレール６３よりも先行して手術器具４０を案内する。

電極アレイ６５は、手術器具４０の電極アレイ４８とロボットアーム２１ａとに接続される。

図７および図８に示すように、アーム係合部６６は、ロボットアーム２１ａの係合凸部２１３ａ～２１３ｃに係合する。具体的には、アーム係合部６６は、第１面６０ａに設けられた開口部６７にＺ方向に挿入された係合凸部２１３ａ～２１３ｃと係合する。また、アーム係合部６６は、係合部６６１ａ、６６１ｂ、６６１ｃと、規制部６６２と、操作部６６３と、ストッパ６６４と、当接部６６５と、変形部６６６と、電極配置部６６７と、付勢部材配置部６６８と、を含んでいる。また、アーム係合部６６は、付勢部材配置部６６８に配置された付勢部材６６８ａによりＹ１方向に付勢されている。係合部６６１ｂは、２つ設けられている。係合部６６１ｃは、２つ設けられている。規制部６６２は、２つ設けられている。

アーム係合部６６の係合部６６１ａ～６６１ｃは、基体６１に対して所定の方向に沿って移動可能に構成されている。具体的には、係合部６６１ａ～６６１ｃは、基体６１に対してＹ方向に移動可能である。係合部６６１ａ～６６１ｃは、Ｙ１方向に移動されることにより、それぞれ、係合凸部２１３ａ～２１３ｃと係合する。一方、アーム係合部６６は、Ｙ２方向に移動されることにより、係合凸部２１３ａ～２１３ｃとの係合が解除される。係合部６６１ａ～６６１ｃは、第１面６０ａとロボットアーム２１ａの取付部２１１とが対向する方向（Ｚ方向）と交差する方向（Ｙ方向）から進入した係合位置（図１３参照）と複数の開口部６７から退避した係合解除位置（図１１および図１２参照）との間を移動可能である。また、係合部６６１ａ～６６１ｃは、係合位置において、ロボットアーム２１ａと係合する。

図８に示すように、規制部６６２は、係合部６６１ａ～６６１ｃ、操作部６６３および当接部６６５に接続されている。また、規制部６６２は、第２面６０ｂに手術器具４０が取り付けられた場合、手術器具４０に当接して係合部６６１ａ～６６１ｃの移動を規制する。これにより、アダプタ６０に手術器具４０が取り付けられている場合に、アーム係合部６６の係合部６６１ａ～６６１ｃが係合解除位置に移動するのを抑制することができるので、手術器具４０が取り付けられたアダプタ６０がロボットアーム２１ａから意図せずに外れるのを効果的に抑制することができる。

具体的には、規制部６６２は、手術器具４０側に突出するように設けられている。また、規制部６６２は、第２面６０ｂに手術器具４０が取り付けられた場合、手術器具４０に当接して移動が規制されるように構成されている。つまり、手術器具４０をＹ方向にスライド移動させてアダプタ６０に対して取り付けると、手術器具４０のハウジング４３のＹ１方向側の端部が規制部６６２に当接する。手術器具４０は、アダプタ６０に固定されると、Ｙ方向に移動できなくなるので、規制部６６２もＹ方向への移動が規制される。

また、規制部６６２は、当接部６６５を挟み込むように一対設けられている。これにより、規制部６６２を当接部６６５の一方側に設ける場合に比べて、一対の規制部６６２により係合部６６１ａ～６６１ｃの移動をバランスよく規制することができる。

図７に示すように、ロボットアーム２１ａの取付部２１１のＹ方向におけるＹ１方向側端部近傍に設けられた係合凸部２１３ａは、アーム係合部６６のＹ方向におけるＹ１方向側端部近傍に設けられた係合部６６１ａと係合する。ロボットアーム２１ａの取付部２１１のＹ方向における中央近傍に設けられた２つの係合凸部２１３ｂは、アーム係合部６６のＹ方向における中央近傍に設けられた２つの係合部６６１ｂと各々係合する。ロボットアーム２１ａの取付部２１１のＹ方向におけるＹ２方向側端部近傍に設けられた２つの係合凸部２１３ｃは、アーム係合部６６のＹ方向におけるＹ２方向側端部近傍に設けられた２つの係合部６６１ｃと各々係合する。

また、係合部６６１ａ～６６１ｃ、規制部６６２、操作部６６３、ストッパ６６４、当接部６６５および変形部６６６は、一体的に形成されている。アーム係合部６６は、たとえば、樹脂材料により形成されている。係合部６６１ａ～６６１ｃが係合位置から係合解除位置に向かう方向に撓むように形成されていてもよい。この場合、係合部６６１ａ～６６１ｃの寸法精度を撓みにより吸収することが可能である。

操作部６６３は、係合部６６１ａ～６６１ｃに接続されている。また、操作部６６３は、付勢部材６６８ａの付勢力に抗して係合部６６１ａ～６６１ｃを係合解除位置に移動させるために設けられている。操作部６６３は、作業者によりＹ２方向に引っ張られて操作される。操作部６６３は、アーム係合部６６のＹ２方向側の端部に設けられている。操作部６６３は、作業者がＹ２方向に引くことにより、係合部６６１ａ～６６１ｃをＹ２方向に移動させて、係合状態を解除するために設けられている。また、操作部６６３は、複数の係合部６６１ａ～６６１ｃを一体的に移動させる。

ストッパ６６４は、係合部６６１ａ～６６１ｃが係合解除位置から係合位置に移動しないように操作部６６３を停止させる。これにより、アダプタ６０の係合部６６１ａ～６６１ｃを予め係合解除位置に位置するように操作部６６３を移動させた状態で、操作部６６３の位置をストッパ６６４により維持することができるので、アダプタ６０を容易にロボットアーム２１ａに取り付けることができる。

当接部６６５は、リリースツール８０を当接させるために設けられている。具体的には、当接部６６５は、図１６～図１８に示すように、ツール挿入孔６１１ｂから挿入されたリリースツール８０が当接するように構成されている。

ここで、本実施形態では、アーム係合部６６は、ツール挿入孔６１１ｂから挿入されたリリースツール８０が当接部６６５に当接し、当接部６６５がリリースツール８０の挿入方向（Ｙ２方向）と直交する方向（Ｚ２方向）に移動することによりアーム係合部６６の一部が逃げ空間６１２に移動し、リリースツール８０がさらに挿入されることにより係合部６６１ａ～６６１ｃが係合位置から係合解除位置に移動して係合部６６１ａ～６６１ｃとロボットアーム２１ａとの係合が解除されるように構成されている。

これにより、リリースツール８０を一定方向（挿入方向）に移動させることにより、アーム係合部６６の一部を逃げ空間に移動させるとともに、係合部６６１ａ～６６１ｃを係合位置から係合解除位置に移動させることができる。これにより、ロボットアーム２１ａから手術器具４０を取り外す際の作業が煩雑になるのを抑制することができる。また、ロボットアーム２１ａや、手術器具４０の付属品が干渉して、アーム係合部６６の操作部６６３を直接操作することができない場合でも、ツール挿入孔６１１ｂを介してリリースツール８０によりアーム係合部６６を操作して、ロボットアーム２１ａとアダプタ６０との係合を解除することができるので、アダプタ６０とともに手術器具４０をロボットアーム２１ａから取り外すことができる。

つまり、当接部６６５がリリースツール８０の挿入方向（Ｙ２方向）と直交する方向（Ｚ２方向）に移動してアーム係合部６６の一部が逃げ空間６１２に移動することにより、規制部６６２による係合部６６１ａ～６６１ｃの係合解除位置への移動の規制が解除されるように構成されている。これにより、手術器具４０が取り付けられたアダプタ６０をロボットアーム２１ａから意図して取り外す場合は、リリースツール８０を挿入することにより、規制部６６２による係合部６６１ａ～６６１ｃの移動の規制を解除することができるので、アダプタ６０とともに手術器具４０をロボットアーム２１ａから取り外すことができる。

図１６～図１８に示すように、当接部６６５は、当接部６６５およびリリースツール８０の当接部分に、リリースツール８０の挿入方向（Ｙ２方向）と直交する方向（Ｚ方向）に対して傾斜する傾斜面６６５ａを有している。具体的には、傾斜面６６５ａは、Ｚ１方向に沿って、Ｙ２方向に傾くように形成されている。すなわち、傾斜面６６５ａは、逃げ空間６１２とは反対方向に、リリースツール８０の挿入方向（Ｙ２方向）に傾くように形成されている。これにより、リリースツール８０の挿入方向（Ｙ２方向）への押圧力を、傾斜面６６５ａによりリリースツール８０の挿入方向（Ｙ２方向）と交差する方向（Ｚ２方向）の押圧力に変換させることができるので、リリースツール８０の挿入方向（Ｙ２方向）と直交する方向（Ｚ２方向）に当接部６６５を容易に移動させて、アーム係合部６６の一部を容易に逃げ空間６１２に移動させることができる。

図８に示すように、変形部６６６は、規制部６６２および当接部６６５に接続されている。また、変形部６６６は、撓み変形可能に構成されている。具体的には、変形部６６６は、図１７に示すように、リリースツール８０により当接部６６５が押圧された場合に撓み変形するように構成されている。

つまり、アーム係合部６６は、変形部６６６が撓み変形することにより、当接部６６５がリリースツール８０の挿入方向（Ｙ２方向）と直交する方向（Ｚ２方向）に移動してアーム係合部６６の一部が逃げ空間６１２に移動するように構成されている。これにより、リリースツール８０を挿入して当接部６６５を押圧していない場合には、変形部６６６が撓み変形されることがないので、アーム係合部６６の一部が意図せずに逃げ空間６１２に移動するのを抑制することができる。

図７に示すように、電極配置部６６７には、電極アレイ６５が配置されている。図８に示すように、電極配置部６６７は、Ｚ方向に貫通する貫通孔により構成されている。電極配置部６６７は、アーム係合部６６が電極アレイ６５を避けるために設けられている。つまり、電極配置部６６７は、アーム係合部６６がＹ方向に移動する際に、アーム係合部６６に電極アレイ６５が干渉しないように設けられている。

図７および図８に示すように、付勢部材配置部６６８は、Ｚ方向に見て、アダプタ６０の略中央に配置されている。付勢部材配置部６６８には、付勢部材６６８ａが配置されている。付勢部材６６８ａは、係合部６６１ａ～６６１ｃをＹ１方向に付勢する。つまり、付勢部材６６８ａは、係合部６６１ａ～６６１ｃを係合解除位置から係合位置に向かう方向（Ｙ１方向）に付勢する。付勢部材６６８ａは、たとえば、バネにより構成されている。

図４に示すように、開口部６７は、基体６１の第１面６０ａに複数設けられている。つまり、アダプタ６０は、複数個所の係合により、ロボットアーム２１ａに固定される。たとえば、開口部６７は、５つ設けられている。また、複数の開口部６７は、第１面６０ａの外周側に略等間隔に配置されている。

位置決孔６８は、第１面６０ａに設けられている。位置決孔６８は、ロボットアーム２１ａのボス２１４が嵌り込む。位置決孔６８は、複数設けられている。位置決孔６８は、第１面６０ａのＹ１方向側の端部近傍に設けられている。

先行ガイド部６９は、手術器具４０を取り付ける際に、ガイドレール６３に先行して、手術器具４０を案内するように構成されている。先行ガイド部６９は、第１面６０ａおよび第２面６０ｂに略平行で、かつ、手術器具４０を案内する方向に直交する方向（Ｘ方向）において所定の間隔を隔てて略平行に一対設けられている。一対の先行ガイド部６９は、スライド挿入方向上流側（Ｙ２方向側）の端部が接続部６９１により互いに接続されている。

（ロボットアームへのアダプタの取り付け）
図９および図１１～図１３を参照して、一実施形態によるロボットアーム２１ａへのアダプタ６０の取り付けについて説明する。

図１１に示すように、係合部６６１ａ～６６１ｃに接続された操作部６６３を操作することにより、係合部６６１ａ～６６１ｃを係合解除位置から係合位置に向かう方向に付勢する付勢力に抗して係合部６６１ａ～６６１ｃを係合解除位置に移動させる。これにより、複数の開口部６７の第２面６０ｂ側方向（Ｚ１方向）の空間が開放される。

また、ストッパ６６４により係合部６６１ａ～６６１ｃが係合解除位置から係合位置に移動しないように操作部６６３を停止させる。具体的には、ストッパ６６４を係止部６６４ａに係合させる。

次に、図９に示すように、ストッパ６６４により係合部６６１ａ～６６１ｃが係合解除位置から係合位置に移動しないように操作部６６３を停止させた状態で、アダプタ６０をロボットアーム２１ａに当接させる。

その後、図１２に示すように、ストッパ６６４による操作部６６３の停止を解除する。そして、図１３に示すように、アダプタ６０（係合部６６１ａ、６６１ｂ、６６１ｃ）とロボットアーム２１ａ（係合凸部２１３ａ、２１３ｂ、２１３ｃ）とを係合させる。

（ロボットアームへの手術器具の取り付け）
図１０および図１４を参照して、一実施形態によるロボットアーム２１ａへの手術器具４０の取り付けについて説明する。

ロボットアーム２１ａをドレープ７０で覆った状態で、ロボットアーム２１ａにアダプタ６０を取り付ける。アダプタ６０は、ロボットアーム２１ａに対してＺ方向に移動させて、ロボットアーム２１ａに取り付けられる。つまり、アダプタ６０は、ロボットアーム２１ａの取付部２１１に、第１面６０ａおよび第２面６０ｂに垂直な方向（Ｚ方向）に移動して取り付けられる。

図１０に示すように、ロボットアーム２１ａに取り付けられたアダプタ６０に対して手術器具４０を取り付ける。手術器具４０は、アダプタ６０の先行ガイド部６９および２つのガイドレール６３に沿ってＹ方向に移動させて、アダプタ６０に取り付けられる。これにより、手術器具４０がアダプタ６０を介してロボットアーム２１ａに取り付けられる。

図１４に示すように、ロボットアーム２１ａに取り付けられたアダプタ６０に、手術器具４０が取り付けられると、規制部６６２に手術器具４０が当接して係合部６６１ａ～６６１ｃの移動が規制される。

手術器具４０をロボットアーム２１ａから取り外す場合は、手術器具４０の可動部材４６のボタン４６１を押しながら、手術器具４０をＹ２方向にスライド移動させることにより、手術器具４０がアダプタ６０から外される。

また、アダプタ６０をロボットアーム２１ａから取り外す場合は、手術器具４０がアダプタ６０から取り外された状態において、操作部６６３をＹ２方向に引っ張ることにより、アダプタ６０とロボットアーム２１ａとの係合が解除される。この状態で、アダプタ６０をＺ１方向に移動させることにより、ロボットアーム２１ａからアダプタ６０が取り外される。

（リリースツールを用いたロボットアームからの手術器具の取り外し）
図１４～図１８を参照して、一実施形態によるリリースツール８０を用いたロボットアーム２１ａからの手術器具４０の取り外しについて説明する。

図１５および図１６に示すように、リリースツール８０をツール挿入孔６１１ｂから挿入する。そして、ツール挿入孔６１１ｂから挿入したリリースツール８０をアーム係合部６６の当接部６６５に当接させる。

図１７に示すように、リリースツール８０により当接部６６５を挿入方向（Ｙ２方向）に押圧する。これにより、当接部６６５の傾斜面６６５ａがＹ２方向に押圧されて、当接部６６５がＺ２方向に移動される。つまり、当接部６６５が、リリースツール８０の挿入方向（Ｙ２方向）と直交する方向（Ｚ２方向）に移動して、アーム係合部６６の一部が基体６１の逃げ空間６１２に移動する。これにより、当接部６６５に接続された規制部６６２もＺ２方向に移動して、規制部６６２と手術器具４０とがオフセットされる。つまり、手術器具４０による規制部６６２の移動の規制が解除される。

図１８に示すように、リリースツール８０をさらに挿入する。これにより、係合部６６１ａ～６６１ｃが係合位置から係合解除位置に移動される。そして、係合部６６１ａ～６６１ｃとロボットアーム２１ａとの係合が解除される。その後、アダプタ６０とともに手術器具４０が、Ｚ１方向に移動されて、ロボットアーム２１ａから取り外される。

（変形例）
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更（変形例）が含まれる。

たとえば、上記実施形態では、アダプタとロボットアームの取付部とを係合部により５箇所で係合させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アダプタとロボットアームの取付部とを係合部により５箇所以外の複数個所で係合させてもよい。

また、上記実施形態では、当接部が傾斜部を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、リリースツールが、当接部およびリリースツールの当接部分に、リリースツールの挿入方向と直交する方向に対して傾斜する傾斜面を有していてもよい。また、当接部およびリリースツールのうち少なくとも一方が、傾斜部を有していてもよい。

また、上記実施形態では、平面視においてアダプタが略円形状を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アダプタの平面視における形状は略円形状でなくてもよい。たとえば、アダプタは、平面視において矩形形状を有していてもよい。

また、上記実施形態では、アダプタに手術器具が取り付けられている場合に、アーム係合部の移動を手術器具の当接により規制する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アダプタに手術器具が取り付けられている場合に、アーム係合部の移動を手術器具以外により規制してもよい。

また、上記実施形態では、アダプタに４つの駆動伝達部材が設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アダプタに４つ以外の複数の駆動伝達部材が設けられていてもよい。

また、上記実施形態では、アダプタの第２面に沿って手術器具をスライド移動させることにより、着脱する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アダプタの第２面に沿った方向以外の方向に手術器具を移動させることにより、着脱させてもよい。たとえば、アダプタに対して手術器具を第２面と垂直な方向に移動させることにより、着脱させてもよい。

また、上記実施形態では、アダプタとドレープとが別体に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アダプタとドレープとが一体的に設けられている構成でもよい。

２１ａ：ロボットアーム、４０：手術器具、４４：被駆動部、６０：アダプタ、６０ａ：第１面、６０ｂ：第２面、６１：基体、６２：駆動伝達部材、６６：アーム係合部、６７：開口部、７０：ドレープ、８０：リリースツール、２１２：駆動部材、６１１ｂ：ツール挿入孔、６１２：逃げ空間、６６１ａ、６６１ｂ、６６１ｃ：係合部、６６２：規制部、６６３：操作部、６６４：ストッパ、６６５：当接部、６６５ａ：傾斜面、６６６：変形部、６６８ａ：付勢部材

Claims (12)

1. ロボットアームに着脱自在に設けられ、前記ロボットアームから手術器具に駆動力を伝達するアダプタであって、
   開口部を有し前記ロボットアームに取り付けられる第１面と前記手術器具が取り付けられる第２面とを含む基体と、
   前記第１面の前記開口部に対応する係合位置と前記係合位置から退避した係合解除位置との間を移動可能に構成され、前記係合位置において前記ロボットアームと係合する係合部と、リリースツールを当接させるための当接部と、を含むアーム係合部と、を備え、
   前記基体は、前記リリースツールを挿入するためのツール挿入孔と、前記ツール挿入孔から挿入された前記リリースツールが当接した前記アーム係合部の一部が移動する逃げ空間とを含み、
   前記アーム係合部は、前記ツール挿入孔から挿入された前記リリースツールが前記当接部に当接し、前記当接部が前記リリースツールの挿入方向と直交する方向に移動することにより前記アーム係合部の一部が前記逃げ空間に移動し、前記リリースツールがさらに挿入されることにより前記係合部が前記係合位置から前記係合解除位置に移動して前記係合部と前記ロボットアームとの係合が解除されるように構成されている、アダプタ。
2. 前記当接部および前記リリースツールのうち少なくとも一方は、前記当接部および前記リリースツールの当接部分に、前記リリースツールの挿入方向と直交する方向に対して傾斜する傾斜面を有している、請求項１に記載のアダプタ。
3. 前記アーム係合部は、前記第２面に前記手術器具が取り付けられた場合、前記手術器具に当接して前記係合部の前記係合解除位置への移動を規制する規制部をさらに含み、前記当接部が前記リリースツールの挿入方向と直交する方向に移動して前記アーム係合部の一部が前記逃げ空間に移動することにより、前記規制部による前記係合部の前記係合解除位置への移動の規制が解除されるように構成されている、請求項１または２に記載のアダプタ。
4. 前記規制部は、前記当接部を挟み込むように一対設けられている、請求項３に記載のアダプタ。
5. 前記ツール挿入孔は、前記第１面および前記第２面が並ぶ方向に延びるスリット状に形成されている、請求項１～４のいずれか１項に記載のアダプタ。
6. 前記逃げ空間は、前記第１面側に凹むように形成されている、請求項１～５のいずれか１項に記載のアダプタ。
7. 前記アーム係合部は、前記係合部を前記係合解除位置から前記係合位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、前記係合部に接続され、前記付勢部材の付勢力に抗して前記係合部を前記係合解除位置に移動させるための操作部と、前記係合部が前記係合解除位置から前記係合位置に移動しないように前記操作部を停止させるストッパとをさらに含む、請求項１～６のいずれか１項に記載のアダプタ。
8. 前記アーム係合部は、前記当接部に接続され撓み変形可能な変形部をさらに含み、前記変形部が撓み変形することにより、前記当接部が前記リリースツールの挿入方向と直交する方向に移動して前記アーム係合部の一部が前記逃げ空間に移動するように構成されている、請求項１～７のいずれか１項に記載のアダプタ。
9. 前記ロボットアームに設けられた複数の駆動部材の回転を前記手術器具に設けられた複数の被駆動部に伝達するために、前記基体に回転可能に設けられた複数の駆動伝達部材をさらに備える、請求項１～８のいずれか１項に記載のアダプタ。
10. 前記ロボットアームにドレープを介して取り付けられる、請求項１～９のいずれか１項に記載のアダプタ。
11. ロボットアームに取り付けられる第１面と手術器具が取り付けられる第２面とを含む基体と、前記ロボットアームと係合する係合部とを含むアーム係合部とを備え、前記ロボットアームに着脱自在に設けられ前記ロボットアームから前記手術器具に駆動力を伝達するアダプタの取り外し方法であって、
    前記係合部と前記ロボットアームとの係合を解除するためのリリースツールを挿入するためのツール挿入孔から前記リリースツールを挿入し、
    前記ツール挿入孔から挿入した前記リリースツールを前記アーム係合部の当接部に当接させ、
    前記当接部を前記リリースツールの挿入方向と直交する方向に移動させることにより前記アーム係合部の一部を前記基体の逃げ空間に移動させ、
    前記リリースツールをさらに挿入することにより前記係合部を係合位置から係合解除位置に移動させることにより前記係合部と前記ロボットアームとの係合を解除する、アダプタのロボットアームからの取り外し方法。
12. 手術器具と、
    ロボットアームに着脱自在に設けられ、前記ロボットアームから前記手術器具に駆動力を伝達するアダプタと、を備え、
    前記アダプタは、開口部を有し前記ロボットアームに取り付けられる第１面と前記手術器具が取り付けられる第２面とを有する基体と、前記第１面の前記開口部に対応する係合位置と前記係合位置から退避した係合解除位置との間を移動可能に構成され、前記係合位置において前記ロボットアームと係合する係合部とリリースツールを当接させるための当接部とを有するアーム係合部と、を含み、
    前記基体は、前記リリースツールを挿入するためのツール挿入孔と、前記ツール挿入孔から挿入された前記リリースツールが当接した前記アーム係合部の一部が移動する逃げ空間とを有し、
    前記アーム係合部は、前記ツール挿入孔から挿入された前記リリースツールが前記当接部に当接し、前記当接部が前記リリースツールの挿入方向と直交する方向に移動することにより前記アーム係合部の一部が前記逃げ空間に移動し、前記リリースツールがさらに挿入されることにより前記係合部が前記係合位置から前記係合解除位置に移動して前記係合部と前記ロボットアームとの係合が解除されるように構成されている、ロボット手術システム。

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