以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(ロボット手術システムの構成)
図1および図2を参照して、第1実施形態によるロボット手術システム100の構成について説明する。
図1に示すように、ロボット手術システム100は、遠隔操作装置10と、患者側装置20と、を備えている。遠隔操作装置10は、患者側装置20に設けられた医療器具(medical equipment)を遠隔操作するために設けられている。患者側装置20によって実行されるべき動作態様指令が術者(surgeon)である操作者Oにより遠隔操作装置10に入力されると、遠隔操作装置10は、動作態様指令をコントローラ26を介して患者側装置20に送信する。そして、患者側装置20は、遠隔操作装置10から送信された動作態様指令に応答して、ロボットアーム21aおよび21bに取り付けられた手術器具(surgical instrument)40、内視鏡50等の医療器具を操作する。これにより、低侵襲手術が行われる。
患者側装置20は、患者Pに対して手術を行うインターフェースを構成する。患者側装置20は、患者Pが横たわる手術台30の傍らに配置される。患者側装置20は、複数のロボットアーム21aおよび21bを有し、このうち1つのロボットアーム21bに内視鏡50が取り付けられ、その他のロボットアーム21aに手術器具40が取り付けられる。各ロボットアーム21aおよび21bは、プラットホーム23に共通に支持されている。複数のロボットアーム21aおよび21bは複数の関節を有し、それぞれの関節には、サーボモータを含む駆動部と、エンコーダ等の位置検出器とが設けられている。ロボットアーム21aおよび21bは、コントローラ26を介して与えられた駆動信号によりロボットアーム21aおよび21bに取り付けられた医療器具が所望の動作を行うように制御されるように構成されている。
プラットホーム23は、手術室の床の上に載置されたポジショナ22に支持されている。ポジショナ22は、鉛直方向に調整可能な昇降軸を有する柱部24が、車輪を備え床面を移動可能なベース25に連結されている。
ロボットアーム21aには、先端部に医療器具としての手術器具40が着脱可能に取り付けられる。手術器具40は、ロボットアーム21aに取り付けられる接続部43と、細長形状のシャフト42と、シャフト42の先端部に設けられたエンドエフェクタ41とを備えている。エンドエフェクタ41として、例えば、把持鉗子、シザーズ、フック、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーが挙げられるがこれに限られるものではなく、各種の処置具を適用することができる。患者側装置20を用いた手術において、ロボットアーム21aは、患者Pの体表に留置したカニューラ(トロッカ)を介して患者Pの体内に手術器具40を導入する。そして、手術器具40のエンドエフェクタ41は、手術部位の近傍に配置される。
ロボットアーム21bには、先端部に医療器具としての内視鏡50が着脱可能に取り付けられる。内視鏡50は、患者Pの体腔内を撮影するものであり、撮影した画像は、遠隔操作装置10に対して出力される。内視鏡50として、3次元画像を撮影することができる3D内視鏡若しくは2D内視鏡が用いられる。患者側装置20を用いた手術において、ロボットアーム21bは、患者Pに体表に留置したトロッカを介して患者Pの体内に内視鏡50を導入する。そして、内視鏡50が手術部位の近傍に配置される。
遠隔操作装置10は、操作者Oとのインターフェースを構成する。遠隔操作装置10は、ロボットアーム21aおよび21bに取り付けられた医療器具を操作者Oが操作するための装置である。すなわち、遠隔操作装置10は、操作者Oによって入力された手術器具40および内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令をコントローラ26を介して患者側装置20へ送信可能に構成されている。遠隔操作装置10は、たとえば、マスタの操作をしながらも患者Pの様子がよく見えるように手術台30の傍らに設置される。なお、遠隔操作装置10は、例えば動作態様指令を無線で送信するようにし、手術台30が設置された手術室とは別室に設置することも可能である。
手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、手術器具40の動作(一連の位置及び姿勢)及び手術器具40個別の機能によって実現される動作の態様である。たとえば、手術器具40が把持鉗子である場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、エンドエフェクタ41の手首のロール回転位置及びピッチ回転位置と、ジョーの開閉を行う動作である。また、手術器具40が高周波ナイフである場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、高周波ナイフの振動動作、具体的には高周波ナイフに対する電流の供給であり得る。また、手術器具40がスネアワイヤである場合には、手術器具40によって実行されるべき動作態様とは、束縛動作および束縛状態の解放動作であり得る。また、バイポーラやモノポーラに電流を供給することによって手術対象部位を焼き切る動作であり得る。
内視鏡50によって実行されるべき動作態様とは、たとえば、内視鏡50先端の位置及び姿勢、又はズーム倍率の設定である。
遠隔操作装置10は、図1および図2に示すように、操作ハンドル11と、操作ペダル部12と、表示部13と、制御装置14と、を備えている。
操作ハンドル11は、ロボットアーム21aおよび21bに取り付けられた医療器具を遠隔で操作するために設けられている。具体的には、操作ハンドル11は、医療器具(手術器具40、内視鏡50)を操作するための操作者Oによる操作を受け付ける。操作ハンドル11は、水平方向に沿って2つ設けられている。つまり、2つの操作ハンドル11のうち一方の操作ハンドル11は、操作者Oの右手により操作され、2つの操作ハンドル11のうち他方の操作ハンドル11は、操作者Oの左手により操作される。
また、操作ハンドル11は、遠隔操作装置10の後方側から、前方側に向かって延びるように配置されている。操作ハンドル11は、所定の3次元の操作領域内で動かすことができるように構成されている。すなわち、操作ハンドル11は、上下方向、左右方向、および前後方向に動かすことができるように構成されている。
遠隔操作装置10と患者側装置20とは、ロボットアーム21aおよびロボットアーム21bの動作の制御においては、マスタスレーブ型のシステムを構成する。すなわち、操作ハンドル11は、マスタスレーブ型のシステムにおけるマスタ側の操作部を構成し、医療器具が取り付けられたロボットアーム21aおよびロボットアーム21bはスレーブ側の動作部を構成する。そして、操作ハンドル11を操作者Oが操作すると、操作ハンドル11の動きをロボットアーム21aの先端部(手術器具40のエンドエフェクタ41)またはロボットアーム21bの先端部(内視鏡50)がトレースして移動するようにロボットアーム21aまたはロボットアーム21bの動作が制御される。
また、患者側装置20は、設定された動作倍率に応じてロボットアーム21aの動作を制御するよう構成されている。たとえば、動作倍率が1/2倍に設定されている場合、手術器具40のエンドエフェクタ41は、操作ハンドル11の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
操作ペダル部12は、医療器具に関する機能を実行するための複数のペダルを含んでいる。複数のペダルは、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルと、を含んでいる。また、複数のペダルは、操作者Oの足により操作される。
凝固ペダルは、手術器具40を用いて手術部位を凝固させる操作を行うことができる。具体的には、凝固ペダルは、操作されることにより、手術器具40に凝固用の電圧が印加されて、手術部位の凝固が行われる。切断ペダルは、手術器具40を用いて手術部位を切断させる操作を行うことができる。具体的には、切断ペダルは、操作されることにより、手術器具40に切断用の電圧が印加されて、手術部位の切断が行われる。
カメラペダルは、体腔内を撮像する内視鏡50の位置及び姿勢を操作するために用いられる。具体的には、カメラペダルは、内視鏡50の操作ハンドル11による操作を有効にする。つまり、カメラペダルが押されている間は、操作ハンドル11により内視鏡50の位置および姿勢を操作することが可能である。たとえば、内視鏡50は、左右の操作ハンドル11の両方を用いることにより操作される。具体的には、左右の操作ハンドル11の中間点を中心に左右の操作ハンドル11を回動させることにより、内視鏡50が回動される。また、左右の操作ハンドル11を共に押し込むことにより、内視鏡50が奥に進む。また、左右の操作ハンドル11を共に引っ張ることにより、内視鏡50が手前に戻る。また、左右の操作ハンドル11を共に上下左右に移動させることにより、内視鏡50が上下左右に移動する。
クラッチペダルは、ロボットアーム21aと、操作ハンドル11との操作接続を一時切断し手術器具40の動作を停止させる場合に用いられる。具体的には、クラッチペダルが操作されている間は、操作ハンドル11を操作しても、患者側装置20のロボットアーム21aが動作しない。たとえば、操作により操作ハンドル11が移動可能な範囲の端部近傍に来た場合に、クラッチペダルが操作されることにより、操作接続を一時切断して、操作ハンドル11を中央位置付近に戻すことができる。そして、クラッチペダルの操作を中止するとロボットアーム21aと操作ハンドル11とが再び接続され、中央付近で操作ハンドル11の操作を再開することができる。
表示部13は、内視鏡50が撮像した画像を表示することができるものである。表示部13は、スコープ型表示部または非スコープ型表示部からなる。スコープ型表示部とは、たとえば、覗き込むタイプの表示部である。また、非スコープ型表示部とは、通常のパーソナルコンピュータのディスプレイのような覗き込むタイプではない平坦な画面を有する開放型の表示部を含む。
スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置20のロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。非スコープ型表示部が取り付けられた場合にも、患者側装置20に設けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。なお、非スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置20に設けられた内視鏡50により撮像された2D画像が表示されてもよい。
図2に示すように、制御装置14は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部141と、ROMおよびRAM等のメモリを有する記憶部142と、画像制御部143とを含んでいる。制御装置14は、集中制御する単独の制御装置により構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。制御部141は、操作ハンドル11により入力された動作態様指令を、操作ペダル部12の切替状態に応じて、ロボットアーム21aによって実行されるべき動作態様指令であるか、または、内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であるかを判定する。そして、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が手術器具40によって実行されるべき動作態様指令であると判断すると、動作態様指令をロボットアーム21aに対して送信する。これによって、ロボットアーム21aが駆動され、この駆動によってロボットアーム21aに取り付けられた手術器具40の動作が制御される。
また、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であると判定すると、当該動作態様指令をロボットアーム21bに対して送信する。これによって、ロボットアーム21bが駆動され、この駆動によってロボットアーム21bに取り付けられた内視鏡50の動作が制御される。
記憶部142には例えば手術器具40の種類に応じた制御プログラムが記憶されていて、取り付けられた手術器具40の種類に応じて制御部141がこれらの制御プログラムを読み出すことにより、遠隔操作装置10の操作ハンドル11及び/又は操作ペダル部12の動作指令が個別の手術器具40に適合した動作をさせることができる。
画像制御部143は、内視鏡50が取得した画像を表示部13に伝送する。画像制御部143は、必要に応じて画像の加工修正処理を行う。
(手術器具の構成)
図3~図11を参照して、本実施形態による手術器具40の構成について説明する。
図3に示すように、手術器具40は、ロボット手術システム100のロボットアーム21aに取り付けられる手術器具である。ロボットアーム21aは、清潔区域において使用されるため、ドレープ70により覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者Oを含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させるときは、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者Oを含む手術チームのメンバーがその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ70により覆われる。ロボットアーム21aには、先端部に医療器具としての手術器具40が着脱可能に取り付けられる。手術器具40は、ロボット手術システム100のロボットアーム21aにアダプタ60を介して取り外し可能に接続される。
(手術器具)
手術器具40は、ロボットアーム21aの駆動によりエンドエフェクタ41を動作させる。具体的には、図4に示すように、手術器具40は、ロボットアーム21a(図1参照)内の駆動機構(図示せず)によるワイヤ46a、46b、46cの駆動によって、先端部のエンドエフェクタ41を動作させるように構成されている。
手術器具40は、図3に示すように、エンドエフェクタ41と、シャフト42と、接続部43と、を備えている。また、手術器具40は、図4に示すように、第1支持体44と、第2支持体45と、ワイヤ46a、46bおよび46c(図8参照)と、を備えている。また、手術器具40は、図5に示すように、プーリ444、445、446および447と、プーリ453、454、455および456と、を備えている。エンドエフェクタ41は、プーリ部442および443を含んでいる。また、第1支持体44は、プーリ部452を含んでいる。なお、ワイヤ46aは、「第1細長要素」および「第2細長要素」の一例であり、ワイヤ46bは、「第1細長要素」および「第2細長要素」の一例である。また、プーリ部442および443は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1エンドエフェクタプーリ部」および「第2エンドエフェクタプーリ部」の一例である。また、プーリ444および446は、特許請求の範囲の「第3プーリ」の一例であり、プーリ445および447は、特許請求の範囲の「第4プーリ」の一例である。また、プーリ453および455は、特許請求の範囲の「第1プーリ」の一例であり、プーリ454および456は、特許請求の範囲の「第2プーリ」の一例である。
第1支持体44は、エンドエフェクタ41を第1回転軸441周りに回転可能に支持している。つまり、第1支持体44には、第1回転軸441の回転軸線A1周りに回転するようにエンドエフェクタ41が取り付けられている。また、第2支持体45は、第1支持体44を第2回転軸451周りに回転可能に支持している。つまり、第2支持体45には、第2回転軸451の回転軸線A2周りに回転するように第1支持体44が取り付けられている。
なお、第1回転軸441の回転軸線A1が延びる方向をX方向とし、X方向のうちの一方側をX1方向とし、他方側をX2方向とする。また、第2回転軸451の回転軸線A2が延びる方向をY方向とし、Y方向のうちの一方側をY1方向とし、他方側をY2方向とする。ここで、X方向とY方向とは、直交する関係である。また、X方向およびY方向に直交する方向をZ方向とし、Z方向のうちの一方側をZ1方向とし、Z方向のうち他方側をZ2方向とする。
図5に示すように、第1回転軸441には、プーリ部442および443が設けられている。つまり、プーリ部442および443は、第1回転軸441の回転軸線A1周りに回動可能に設けられている。プーリ部442は、エンドエフェクタ41の第1部材41aに接続されている。また、プーリ部443は、エンドエフェクタ41の第2部材41bに接続されている。
第2回転軸451には、プーリ部452が設けられている。また、第2回転軸451には、プーリ453および454が設けられている。また、第2回転軸451には、プーリ455および456が設けられている。つまり、プーリ部452、プーリ453、454、455および456は、第2回転軸451の回転軸線A2周りに回動可能に設けられている。
図4に示すように、プーリ444および445は、プーリ部442および443とプーリ453および454との間の第1支持体44に設けられている。また、プーリ446および447(図5参照)は、プーリ部442および443とプーリ455および456との間の第1支持体44に設けられている。
プーリ444は、第1軸部444a周りに回転可能に設けられている。プーリ444は、回転軸線B1周りに回転する。プーリ445は、第2軸部445a周りに回転可能に設けられている。プーリ445は、回転軸線B2周りに回転する。プーリ446は、第3軸部446a周りに回転可能に設けられている。プーリ446は、回転軸線B3周りに回転する。プーリ447は、第4軸部447a周りに回転可能に設けられている。プーリ447は、回転軸線B4周りに回転する。
図5に示すように、ワイヤ46aは、プーリ444を経由してプーリ部442およびプーリ453に掛けられる。また、ワイヤ46aは、プーリ447を経由してプーリ部442およびプーリ456に掛けられる。また、ワイヤ46bは、プーリ445を経由してプーリ部443およびプーリ454に掛けられる。また、ワイヤ46bは、プーリ446を経由してプーリ部443およびプーリ455に掛けられる。
ここで、本実施形態では、図4、図5および図10に示すように、プーリ444の回転軸線B1の方向と、プーリ445の回転軸線B2との方向は互いに異なる。これにより、プーリ444および445の回転軸線の方向を同じにする場合に比べて、プーリ部442にワイヤ46aを導くプーリ444と、プーリ部443にワイヤ46bを導くプーリ445とを、より適切な位置に配置することができる。これにより、第2支持体45に対して第1支持体44が回動して姿勢が変化した場合に、プーリ444に掛けられたワイヤ46aとプーリ445に掛けられたワイヤ46bとが互いに干渉したり、いずれか一方のワイヤがプーリ部442または443に対して大きく傾斜して掛かるのを抑制することができるので、ワイヤにかかる負荷が増大するのを抑制することができる。その結果、手術器具40の耐久性を向上させることができる。また、プーリ444および445の位置を調整することにより、ワイヤ46aおよび46bを、それぞれ、プーリ部442および443と、プーリ453および454と、に導くことができるので、プーリ部442、443、プーリ453および454を配置する設計レイアウトの自由度を高めることができる。
プーリ446の回転軸線B3の方向と、プーリ447の回転軸線B4との方向は互いに異なる。
プーリ部442および443の回転軸線A1の方向と、プーリ453および454の回転軸線A2の方向とは、シャフト42の延びる方向(Z方向)に見て交差している。具体的には、回転軸線A1の方向(X方向)と回転軸線A2の方向(Y方向)とは、Z方向から見て直交している。また、プーリ444および445のうち少なくとも1つの回転軸線の方向は、プーリ453および454の回転軸線A2の方向と非平行である。これにより、回転軸線方向が互いに異なるプーリ部442および443と、プーリ453および454のと間のワイヤ46aおよび46bを、プーリ444および445により支持して導くことができるので、ワイヤ46aおよび46bにたるみが生じたり、負荷が増大するのを効果的に抑制することができる。
また、プーリ446および447のうち少なくとも1つの回転軸線の方向は、プーリ455および456の回転軸線A2の方向と非平行である。
図4に示すように、プーリ444および445は、プーリ部442および443とプーリ453および454との間の第1支持体44の設置面44aに設けられている。また、プーリ444および445は、設置面44aに直交する方向(Y方向)に沿って並んで配置されている。これにより、プーリ444および445を、第1支持体44の設置面44aにZ方向に並べて配置する場合に比べて、Z方向のプーリ444および445の設置スペースを小さくすることができる。その結果、プーリ部442および443とプーリ453および454との間のZ方向の距離が大きくなるのを抑制することができる。
また、プーリ446および447は、プーリ部442および443とプーリ455および456との間の第1支持体44の設置面44aに設けられている。また、プーリ446および447は、設置面44aに直交する方向に沿って並んで配置されている。
図4および図5に示すように、プーリ444は、回転軸線B1が設置面44aに直交する方向に延びるように配置されている。また、プーリ445は、回転軸線B2が設置面44aに直交する方向に対して傾斜する方向に延びるように配置されている。これにより、プーリ444を設置面と平行に配置することができるので、プーリ444をコンパクトに配置することができる。
プーリ446は、回転軸線B3が設置面44aに直交する方向に延びるように配置されている。また、プーリ447は、回転軸線B4が設置面44aに直交する方向に対して傾斜する方向に延びるように配置されている。
つまり、プーリ444の回転軸線B1の方向は、プーリ453および454の回転軸線A2の方向と平行である。また、プーリ445の回転軸線B2の方向は、プーリ453および454の回転軸線A2の方向と非平行である。これにより、プーリ453および454の回転軸線A2の方向と平行なプーリ444により、ワイヤ46aをプーリ部442に導き、プーリ453および454の回転軸線A2の方向と平行ではないプーリ445により、ワイヤ46aに干渉しないようにワイヤ46bをプーリ部443に導くことができる。
また、プーリ446の回転軸線B3の方向は、プーリ455および456の回転軸線A2の方向と平行である。また、プーリ447の回転軸線B4の方向は、プーリ455および456の回転軸線A2の方向と非平行である。
図4に示すように、第1軸部444aおよび第2軸部445aは、回転軸線の方向が互いに異なるように接続されて、一体的に形成されている。これにより、第1軸部444aおよび第2軸部445aを別個に設ける場合に比べて、部品点数を減少させることができる。
また、第3軸部446aおよび第4軸部447aは、回転軸線の方向が互いに異なるように接続されて、一体的に形成されている。
エンドエフェクタ41は、種類に応じた機能に基づいて、患者Pの施術部位に対して処置を行うように構成されている。具体的には、エンドエフェクタ41は、ワイヤ46aにより駆動される第1部材41aと、ワイヤ46bにより駆動される第2部材41bとを含んでいる。これにより、エンドエフェクタ41の第1部材41aおよび第2部材41bを独立して駆動させることができる。また、エンドエフェクタ41は、第1部材41aおよび第2部材41bとして、一対のジョーを含んでいる。一対のジョー(第1部材41aおよび第2部材41b)は、第1支持体44に開閉可能に取り付けられている。
第1部材41aは、図6および図7に示すように、ワイヤ46aの留め具461に係合する凹部442aが形成されたプーリ部442の回転により動作する。ワイヤ46aは、留め具461を引っ張るように駆動されることにより、第1部材41aを回転軸線A1周りに回動させるように動作させる。なお、第2部材41bについても、第1部材41aと同様に、ワイヤ46bの駆動により、回転軸線A1周りに回動されるように動作する。
第1支持体44は、図8に示すように、ワイヤ46cの留め具461に係合する凹部452aが形成されたプーリ部452の回転により動作する。ワイヤ46cは、留め具461を引っ張るように駆動されることにより、第1支持体44を回転軸線A2周りに回動させるように動作させる。
第2支持体45は、図9に示すように、シャフト42に接続されている。第2支持体45の内部空間には、シリコンシール47が挿入されている。シリコンシール47は、第2支持体45の内部空間のZ1方向側の端部に配置されている。第2支持体45は、端面457を有している。端面457には、2つの貫通孔457aと、2つの貫通孔457bとが設けられている。2つの貫通孔457bには、シリコンシール47が嵌り込んでいる。シリコンシール47には、ワイヤ46a~46cを通すための穴47a、47b、47c、47d、47e、47fが設けられている。穴47aおよび47dには、ワイヤ46cが通される。穴47bおよび47fには、ワイヤ46aが通される。穴47cおよび47eには、ワイヤ46bが通される。貫通孔457aには、例えば、エンドエフェクタ41に電圧を印加するための電線が通される。
図11に示すように、プーリ444の回転軸線B1と、プーリ445の回転軸線B2とは、第1軸部444aと第2軸部445aとが接続する部分において交差するように配置されている。また、プーリ444の回転軸線B1と、プーリ445の回転軸線B2とは、設置面44aに直交する方向(Y方向)に見て交差するように配置されている。これにより、プーリ444の回転軸線B1とプーリ445の回転軸線B2とを接続することができるので、プーリ444および445をコンパクトに配置することができる。
また、図11に示すように、第1軸部444aの軸径d1と第2軸部445aの軸径d2とは互いに異なる。具体的には、第1軸部444aの軸径d1は、第2軸部445aの軸径d2よりも大きい。なお、第1軸部444aの軸径d1と第2軸部445aの軸径d2とは同じであってもよい。
また、プーリ446の回転軸線B3と、プーリ447の回転軸線B4とは、第3軸部446aと第4軸部447aとが接続する部分において交差するように配置されている。また、プーリ446の回転軸線B3と、プーリ447の回転軸線B4とは、設置面44aに直交する方向(Y方向)に見て交差するように配置されている。また、第3軸部446aの軸径と第4軸部447aの軸径とは互いに異なる。具体的には、第3軸部446aの軸径は、第4軸部447aの軸径よりも大きい。なお、第3軸部446aの軸径と第4軸部447aの軸径d2とは同じであってもよい。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、手術器具40は、エンドエフェクタ41は、一対のジョーを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、手術器具は、エンドエフェクタとして、フック、把持鉗子、シザーズ、高周波ナイフ、スネアワイヤ、クランプ、ステイプラーなどを含んでいてもよい。
また、上記実施形態では、プーリ445(第4プーリ)の回転軸線B2の方向がプーリ453および454(第1プーリおよび第2プーリ)の回転軸線A2の方向と非平行である構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第3プーリおよび第4プーリの両方の回転軸線の方向が第1プーリおよび第2プーリの回転軸線の方向と非平行であってもよい。
また、上記実施形態では、プーリ444(第3プーリ)の回転軸線B1と、プーリ445(第4プーリ)の回転軸線B2とが、互いに交差する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図12に示すように、プーリ444(第3プーリ)の回転軸線B5と、プーリ445(第4プーリ)の回転軸線B6とは、第1軸部444aと第2軸部445aとが接続する部分においてオフセットするように配置されていてもよい。つまり、プーリ444(第3プーリ)の回転軸線B5と、プーリ445(第4プーリ)の回転軸線B6とが、設置面44aに直交する方向(Y方向)から見てオフセットするように配置されていてもよい。これにより、プーリ444の回転軸線B5の位置とプーリ445の回転軸線B6との位置を離すことができるので、プーリ444により支持するワイヤ46aと、プーリ445により支持するワイヤ46bとが干渉するのを効果的に抑制することができる。なお、第1軸部444aの軸径d1と第2軸部445aの軸径d2とは互いに異なる。具体的には、第1軸部444aの軸径d1は、第2軸部445aの軸径d2よりも大きい。
また、上記実施形態では、細長要素がワイヤを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、細長要素はワイヤ以外を含んでいてもよい。たとえば、細長要素は、ケーブルや糸やひもなどを含んでいてもよい。