JP2022066683A - ケーブルトレイ貫通部のシール構造 - Google Patents

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震也 飛田
Shinya Hida
和博 中川
Kazuhiro Nakagawa
弘貴 井上
Hirotaka Inoue
孝輔 林
Kosuke Hayashi
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【課題】ケーブルトレイの貫通部をシールするシール構造の防火機能を向上させる。【解決手段】ケーブルトレイの貫通部をシールするケーブルトレイの貫通部シール構造であって、既設のシール部を有する貫通口の防火区画側に耐火材を充填した耐火ボックスを設け、同耐火ボックスで既設のシール部を覆うことによって、防火機能を向上させた。【選択図】 図2

Description

本願発明は、防火性能を向上させたケーブルトレイ貫通部のシール構造に関するものである。
原子力発電所などのプラント施設では、電気ケーブルや通信ケーブル、計装用ケーブルをケーブルトレイ(ケーブル棚)内に収容して敷設している。そして、建屋の壁などの隔壁を貫通する部分では、所定の大きさの貫通口を形成してケーブルトレイを通し、その周囲に防水、防火用のシール材を充填することによって、要求される耐水性、耐火性を実現していた(例えば特許文献1を参照)。
そのような従来のシール構造の一例(特許文献1の構造とは若干異なる)を図11に示す。図11中、1は、原子力発電所等の建屋の隔壁、3は、電気ケーブル、通信ケーブル、計装ケーブル等の各種ケーブル2,2・・を収容したケーブルトレイ、4は、隔壁1に形成されたケーブルトレイ3嵌挿用の断面矩形の貫通口、5は同貫通口4内においてケーブルトレイ3の周囲をシールしているシール部である。
シール部5は、建屋の内端(防火区画)側から外端(防火区画外)にかけて並設された第1のシール材51、第2のシール材52、第3のシール材53、第4のシール材54、第5のシール材55の5つのシール材(シール層)よりなっている。第1のシール材51および第3のシール材53、第5のシール材55は、共にDFパテ等の高難燃性のダム材よりなり、第2のシール材52は鉛毛等の放射線シール材、第4のシール材54はDFシール等の水密シール材よりなっている。そして、シール部5を形成するに際しては、たとえば第4のシール材54の施工部両端に所定の堰板(ブリキ板等)を設置することによって、上記貫通口4の所定水密施工長間を堰き止め、同堰き止め状態において、それら堰板の間に第4のシール材(DFシール)54を流し込み、硬化させた後、それら堰板を取り外して第5のシール材55、第3のシール材53、第2のシール材52、第1のシール材51を順次充填する方法が採用されている。
このシール部5のシール構造では、上記第3、第5のシール材53、55間の第4のシール材54部分が水密シール部として構成されており、その耐水性能(耐水圧性能)は当該第4のシール材54の施工長によって決定される。また、上記第1、第3のシール材51、53間の第2のシール材52部分が放射線遮蔽部として構成されており、その放射線遮蔽性能は当該第2のシール材52の施工長によって決定される。また、第1、第3のシール材51、53は、いずれも高難燃性のダム材(DFパテ)であることから、一定のレベルの耐火性能(2000年改正建築基準法に対応した1時間耐火基準)も同時に実現している。
特開昭63-178712号公報
しかし、原子力発電所の場合、過去の災害を教訓に、最近では新たに3時間以上の耐火規制基準(平成25年実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に関する審査基準改正)が施行されており、これまでの建築基準法(1時間耐火性能)による防火シール構造では対応できなくなっている。
このような新たな耐火基準に対応しようとした場合、そのままでは上記貫通口4内に余長スペースがなく、新たな防火シール構造を追加することができない。そこで、上記貫通口4における既設のシール材(第1~第5のシール材51~55)を除去すると共に、要求される耐水圧(水頭圧)に応じて上記水密シール部の施工長を変化させ、上記既設のシール材(第1~第5のシール材51~55)の充填範囲を局所化(反火災側に集約)することによって、火災側(防火区画側)に余長スペースを実現し、そこに新たな高機能の防火シール構造を追加することが考えられる。
しかし、狭い貫通口4内に多数本のケーブル2,2・・を固定している複数層よりなる既設のシール部のシール材(第1~第5のシール材51~55)を除去するのは容易ではなく、ケーブル2,2・・を傷つける恐れがある。運転期間の長い施設では非難燃性の被覆材の表面に延焼防止剤が塗布されているケースがあり、その場合、延焼防止剤がケーブル2,2・・相互およびケーブル2,2・・とケーブルトレイ3とを結合してしまっており、容易には除去できない。
また、貫通口4内に複数段のケーブルトレイ3,3・・が設置されている場合もあり、そのような場合には、既設のシール部のシール材の除去が困難であるだけでなく、防火シール構造の追加施工自体が困難である。
また、第4のシール材(水密シール部)54の施工長を短くすると、どうしても耐水圧性能が低下し、要求される耐水圧(水頭圧)を実現するのは難しい。したがって、上記第1~第5のシール材51~55の充填範囲を局所化(反火災側に集約)するには限界がある。同時に、そのようにして形成した短い余長スペースにおいて十分な耐火機能のある防火シール構造を実現するのも難しい。
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、既設のシール部を有する貫通口の防火区画側に耐火材を充填した耐火ボックスを設け、同耐火ボックスで既設のシール部を覆うことによって、防火機能を向上させたケーブルトレイ貫通部のシール構造を提供することを目的とするものである。
本願発明は、上記従来の課題を解決するために、次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、ケーブルトレイの貫通部をシールするケーブルトレイの貫通部シール構造であって、既設のシール部を有する貫通口の防火区画側に耐火材を充填した耐火ボックスを設け、同耐火ボックスで既設のシール部を覆うことによって、防火機能を向上させたことを特徴としている。
このような構成によれば、既設のシール部を有する貫通口の防火区画側に耐火材を充填した耐火ボックスがあり、同耐火ボックスによって既設のシール部が覆われることになる。
その結果、上述した耐水性、耐放射線性等のある既設のシール部のシール材を除去することなく、ケーブルトレイ貫通部の防火機能を有効に向上させることができるようになる。
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段において、耐火ボックスにおける耐火材は、既設のシール部のシール材に連接する複数の耐火材と該複数の耐火材の外周にあって、該複数の耐火材の外周を覆う複数の耐火材よりなることを特徴としている。
防火機能を有効に向上させるためには、遮炎性能に加えて遮熱性能が必要である。そのためには、遮炎機能を有する耐火材、遮熱機能を有する耐火材など、機能を異にする複数の耐火材を組み合わせる必要がある。そして、これら複数の耐火材は、既設のシール部のシール材に連接するように配設されることが好ましい。そのようにすると、既設のシール部に連続する形で有効に防火シール部を形成することができる。
他方、それら複数の耐火材を相互に連接した場合、それら相互の間、およびそれらと既設シール部との間に隙間などがあると、有効な遮炎、遮熱のコンビネーション機能を果しえなくなる。また、既設シール部の保護機能が低下し、火炎、火熱の影響が生じる。
そこで、既設のシール部のシール材に連接する複数の耐火材の外周には、さらに同既設のシール部のシール材に連接する複数の耐火材の外周を覆う複数の耐火材を設ける。このようにすると、既設のシール部のシール材に連接する複数の耐火材相互の隙間や既設のシール部との隙間、端面への火炎、火熱の影響がなくなり、既設のシール部のシール材に連接する複数の耐火材の有効な遮炎、遮熱のコンビネーション機能が確保され、既設のシール部への火炎、火熱の影響もなくなる。
(3)請求項3の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段において、耐火ボックスの耐火材充填躯体は、貫通口の矩形形状に対応した矩形の筒体であり、同筒体は4組の容器体を組み合わせて構成されていることを特徴としている。
このような構成によると、4組の容器体を組み合わせた矩形の筒体よりなる耐火材充填躯体の内側に既設のシール部のシール材に連接する複数の耐火材を適切に配設することができ、また、同矩形の筒体を形成する4組の容器体の各容器部分に複数の耐火材の外周を覆う複数の耐火材を適切に充填することができる。その結果、ケーブルトレイ貫通部の防火性能を有効に向上させることが可能となる。
そして、同耐火ボックスを形成する耐火材充填躯体は、例えば隔壁側に設けられたアンカー部材を利用して貫通口部外周に容易に取り付けられる。また、矩形の筒体を形成する4組の容器体は、それぞれ相互にボルトおよびナットによって着脱可能に組付けられる。したがって、貫通口を有する隔壁への取付が容易であることはもちろん、同貫通口が壁際のコーナー部に設けられているような場合、対応する左右いずれかの容器体を組付けることなく、隣接する壁そのものを容器体に代わる既設のシール部のシール材に連接する複数の耐火材の外周を覆う複数の耐火材として利用する形で設置することができる。これは床面との間、また天井面との間においても同様である。
以上の結果、本願発明によると、既設シール部のシール材を除去することなく、十分な耐火機能のある新たな防火シール部を所望に設置することができる。したがって、既設シール部におけるケーブルを傷つけることなく、また貫通部に複数段のケーブルトレイがある場合にも自由に対応することができる。
その結果、原子力発電所における新たな耐火基準(3時間耐火)にも適切に対応できるようになる。
本願発明の実施の形態に係るケーブルトレイ貫通部のシール構造を示す斜視図である。 同シール構造を示す断面図(図1のA-A断面図)である。 同シール構造を示す拡大断面図(図2上端部の拡大図)である。 同シール構造を示す断面図(図1のB-B断面図)である。 同シール構造の耐火ボックスを構成する耐火材充填躯体の容器体分解状態の斜視図である。 同シール構造の耐火ボックスを構成する耐火材充填躯体の容器体(上部側容器体)部分の構造を示す拡大斜視図である。 同シール構造の耐火ボックスを構成する耐火材充填躯体の外装板分解状態の斜視図である。 同シール構造の耐火ボックスを構成する耐火材充填躯体(外装板取付前)を建屋隔壁の貫通口部外周に取り付けた取付状態を示す斜視図である。 隔壁のコーナー部にケーブルトレイ貫通口がある場合において、同シール構造を設置した設置構造を示す水平断面図である。 隔壁のコーナー部にケーブルトレイ貫通口がある場合において、同シール構造を設置した設置構造を示す垂直断面図である。 従来のケーブルトレイ貫通部のシール構造を示す断面図(図2対応)である。
以下、上記図面の簡単な説明に示した添付の図面(図1~図10)を参照して、本願発明の実施の形態に係るケーブルトレイ貫通部のシール構造について詳細に説明する。この実施の形態は、すでに述べた図11の既設シール部5の構造を変更することなく、同既設シール部5に新たな耐火基準(3時間耐火)を充足する防火シール構造を追加したことを特徴とするものである。
先ず図1~図3は、同既設シール部5に新たな耐火基準(3時間耐火)を充足する防火シール部を追加した本願発明の実施の形態に係るケーブルトレイ貫通部のシール構造を示している。
図1~図3中、符号1は、例えば原子力発電所等のプラント施設の建屋における垂直方向の隔壁であり、同隔壁1には、多数本の電気ケーブル、通信ケーブル、計装ケーブル(以下、単にケーブルという)2,2・・を収容したケーブルトレイ3を内外両方向に貫通させる断面矩形のケーブルトレイ貫通口(以下、単に貫通口という)4が形成されている。ケーブルトレイ3には、例えばラダー型のトレイが採用されており、底部に位置して長手方向に所定の間隔で設けられた子桁3a、3a・・と所定の高さの左右一対の親桁3b,3bを備え、底部の子桁3a、3a・・上にケーブル2,2・・を収容している。そして、同ケーブル2,2・・を収容したケーブルトレイ3が、上記隔壁1の断面矩形の貫通口4内に貫挿され、子桁3a、3a・・と貫通口4の底面部および親桁3b,3bと貫通口4の天面部との間にそれぞれ所定の間隔を置いた状態に支持され、同状態において、貫通口4の長さに応じて所定の施工長のシール部5が設けられている。
このシール部5は、建屋の内端(防火区画)側から外端(防火区画外)側にかけて並設された第1のシール材51、第2のシール材52、第3のシール材53、第4のシール材54、第5のシール材55の5つのシール材(シール層)よりなっている。第1のシール材51、第3のシール材53、第5のシール材55は、共にDFパテ等のダム材よりなり、第2のシール材52は鉛毛等の放射線シール材、第4のシール材54はDFシール等の水密シール材よりなっている。そして、同シール部5を形成するに際しては、たとえば一例として、第4のシール材54の施工部両端に所定の堰板(ブリキ板等)を設置することによって、上記貫通口4の所定水密施工長間を堰き止め、同堰き止め状態において、それら堰板の間に第4のシール材(DFシール)54を流し込み、硬化させた後、それら堰板を取り外して第5のシール材55、第3のシール材53、第2のシール材52、第1のシール材51を順次充填する方法が採用される。なお、第3のシール材53と第4のシール材54の間には、必要に応じてコーキング材が注入される(図示省略)。
このシール部5のシール構造では、上記第3、第5のシール材53、55間の第4のシール材(DFシール)54部分が水密シール部として構成されており、その耐水性能(耐水圧性能)は当該第4のシール材(DFシール)54の施工長によって決定される。また、第1、第3のシール材51、53間の第2のシール材(鉛毛)52部分が放射線遮蔽部として構成されており、その放射線遮蔽性能は当該第2のシール材(鉛毛)52の施工長によって決定される。また、第1、第3のシール材(DFパテ)51、53、第4のシール材(DFシール)54は、いずれも高難燃性のシール材料であることから、一定のレベルの耐火性能(2000年改正建築基準法に対応した1時間耐火基準)を同時に実現している。
ところで、先にも述べたように、原子力発電所の場合、最近では新たに3時間以上の耐火規制基準(平成25年実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に関する審査基準改正)が施行されており、上記これまでの建築基準法(1時間耐火性能)による防火シール構造(上記図11の構成のDFパテ/DFシールのみ)では対応できなくなっている。
このような新たな耐火基準に対応しようとした場合、そのままでは上記隔壁1の貫通口4内に余長スペースがなく、新たな防火シール構造を追加することができない。そこで、上記貫通口4における既設の第1~第5のシール材51~55を除去すると共に、要求される耐水圧(水頭圧)に応じて上記第4のシール材(水密シール部)54の施工長を変化させ、上記第1~第5のシール材51~55の充填範囲を局所化(反火災側に集約)することによって、内端(防火区画)側に余長スペースを実現し、そこに新たな高機能の防火シール構造を追加することが考えられる。
しかし、狭い貫通口4内に多数本のケーブル2,2・・を固定している複数層よりなる既設のシール部5のシール材(第1~第5のシール材51~55)を除去するのは容易ではなく、ケーブル2,2・・を傷つける恐れがある。運転期間の長い施設では非難燃性の被覆材の表面に延焼防止剤が塗布されているケースがあり、その場合、延焼防止剤がケーブル2,2・・相互およびケーブル2,2・・とケーブルトレイ3とを結合してしまっており、容易には除去できない。
また、貫通口4内に複数段のケーブルトレイ3,3・・が設置されている場合もあり、そのような場合には、既設のシール部5のシール材(第1~第5のシール材51~55)の除去が困難であるだけでなく、新たな防火シール構造の追加施工自体が困難である。
また、第4のシール材(水密シール部)54の施工長を短くすると、どうしても耐水圧性能が低下し、要求される耐水圧(水頭圧)を実現するのは難しい。したがって、上記第1~第5のシール材51~55の充填範囲を局所化(反火災側に集約)するには限界がある。同時に、そのようにして形成した短い余長スペースにおいて十分な耐火機能のある防火シール構造を実現するのも難しい。
この発明の実施の形態は、これらの問題を解決するために、上記既設のシール部5(第1~第5のシール材51~55)を有する貫通口4の防火区画側(火災側)に位置して複数の耐火材(詳細については後述する)を充填した耐火ボックス6を設け、同耐火ボックス6を新たな防火シール構造として上記既設のシール部5を覆うことによって、上記既設のシール部5(第1~第5のシール材51~55)の構造を変更することなく、有効に防火機能を向上させるようにしている。
すなわち、耐火ボックス6は、例えば図5の分解斜視図に示すように、上下左右4組の容器体61,62,63,64よりなり、上下2組の容器体61,62の左右両端部に対して左右2組の容器体63,64の上下両端部裏面を当接させ、同当接部をボルトおよびナット(符号省略)で連結一体化することにより、例えば図7に示すようなボックス型筒体構造の耐火材充填躯体60を形成し、同耐火材充填躯体60の筒体部内側に第1~第3の耐火材7~9、同耐火材充填躯体60の筒体部外周側の上下左右各容器体61,62,63,64の容器空間(耐火材充填部)61c,62c,63c,64c内に第4、第5の耐火材10,11を充填している(図1~図4参照)。
上下左右各4組の容器体61,62,63,64は、例えば図6に示すように、それぞれ断面L字型の等辺山形鋼を4本組み合わせ、それらの端部同士を付き合わせて溶着一体化した直方体形状の枠体61a,62a,63a,64aの内側(等辺山形鋼の下部片上)に容器空間(耐火材充填部)61c,62c,63c,64cの底部を形成する鉄板61b,62b,63b,64bを溶接一体化することによって、所定の長さ、所定の幅、所定の深さの容器空間(耐火材充填部)61c,62c,63c,64cを有する直方体形状の扁平な容器体に形成されている。なお、図6では、上部側の容器体61の構成しか示していないが、その他の容器体62、63、64も外形寸法の相違(左右の容器体63,64に関して)を別にして全く同一の構成となっている。
一方、隔壁1の貫通口4の建屋内側(防火区画側)開口部から所定寸法離れた同隔壁1の外周部4方には、上記耐火材充填躯体60の上下左右の容器体61,62,63,64の枠体61a,62a,63a,64aの取付面側に設けた上下5本、左右4本の取付穴12,12,12,12,12、12,12,12,12,12、12,12,12,12、12,12,12,12に対応した上下各5本、左右各4本の耐火材充填躯体60取付用のアンカーボルト13,13,13,13,13、13,13,13,13,13、13,13,13,13、13,13,13,13が設けられている。
そして、上記ボックス型筒体構造の耐火材充填躯体60が、それらアンカーボルト13,13,13,13,13、13,13,13,13,13、13,13,13,13、13,13,13,13を介して、例えば図8のように貫通口4及び貫通口4内の既設シール部5を覆う形で隔壁1に密着した状態で固定される。この場合、同固定は、上記枠体61a,62a,63a,64a内側部分に外装板取付用のL字型金具14,14,14,14,14、14,14,14,14,14、14,14,14,14、14,14,14,14を介装することによってなされ、それぞれ2組のナットを使用して上記枠体61a,62a,63a,64aと共に確実にアンカーに固定される。
そして、この固定状態において、先ず上記耐火材充填躯体60外周側の上下左右各4組の容器体61,62,63,64の容器空間(耐火材充填部)61c,62c,63c,64c部分に、その底面側(鉄板61b,62b,63b,64b上面側)から開口面側にかけて、第4の耐火材10、第5の耐火材11が充填される。第4の耐火材10は、例えばシリカエアロジェルをグラスファイバー不織布に含侵させたエアロジェルブランケットにより構成されている。シリカエアロジェルは、固体の中で最も熱伝導率が低く、優れた断熱性を有している。したがって、シリカエアロジェルをグラスファイバー不織布に含侵させると、非常に断熱性が高いグラスファイバー不織布を得ることができる。
第5の耐火材11は、例えばシリカ・マグネシア・ガルシア系のアルカリアースシリケートウール(AES)を積層した上でブランケット状に成形し、ニードルパンチ処理したものを採用して構成されている。アルカリアースシリケートウール(AES)は、耐熱性に優れ、熱伝導率、蓄熱量が低い。したがって、火炎に対する断熱性が高くなる。
次に、このようにして第4、第5の耐火材10、11の充填が終了すると、上記耐火材充填躯体60外周側の上下左右各4組の容器体61,62,63,64部分に蓋体である外装板61d,62d,63d,64dが先端側平板部から後端側コの字部までスライド状態で確実に係合され、先端側平板部では、上記アンカーボルト13,13・・により固定されている上記L字型の外装板取付金具14,14・・にピアスネジ15,15・・で固定される。また、後端側は断面コの字状に加工した係合部を上記容器体61,62,63,64の前端部分に係合させることにより固定される。これにより、上下左右容器体61,62,63,64の各容器空間(耐火材充填部)61c,62c,63c,64cの開口面がそれぞれ外装板61d,62d,63d,64dにより確実にカバーされ、各々に充填された第4、第5の耐火材10,11・・が安定した状態に保持される。
続いて、上記第4、第5の耐火材10,11の充填、外装板61d,62d,63d,64dの取付が終了した筒体構造の耐火材充填躯体60の筒体部内側には、防火区画側(火災側)から既設シール部5側(貫通口4側)にかけて第1~第3の耐火材7~9が充填される。
第1の耐火材7は例えば高難燃性のDFパテよりなるダム材、第2の耐火材8は極めて断熱性能の高い人造鉱物繊維であるロックウール、第3の耐火材は第1の耐火材7と同様のDFパテよりなるダム材であり、それらは略同様の厚さ寸法を有して構成されている。
ケーブルトレイ貫通部における防火機能を有効に向上させるためには、遮炎性能に加えて、遮熱性能が必要である。そのためには、遮炎機能を有する耐火材、遮熱機能を有する耐火材など、機能を異にする複数の耐火材を有効に組み合わせる必要がある。そして、これら複数の耐火材は、既設のシール部5のシール材に連接するように配設されることが好ましい。そのようにすると、既設のシール部5を保護する形で、有効に防火シール部を形成することができ、反火災側のケーブル表面温度およびシール材温度の上昇を耐火基準に合致するように適切に抑制することができる。
以上の実施の形態の構成の場合、そのような形で第1~第3の耐火材7~9が設けられており、建屋内の防火区画で火災が発生すると、先ず炎が耐火ボックス6部分を加熱する。その結果、上記耐火材充填躯体60内の高難燃剤であるDFパテよりなる第1の耐火材7が炭化発泡し、その膨張圧力によってケーブル2,2・・の焼け細り空隙を防ぐと共に、発泡層の断熱および酸素遮断効果により火災部以降のケーブル2,2・・部分の延焼を防止する。この結果、断熱性の高い人造鉱物繊維ロックウールよりなる第2の耐火材8は火炎の影響を受けることなく、十分に有効な断熱機能を発揮して、ケーブル2,2・・表面温度の上昇、DFパテよりなる第3の耐火材9の温度の上昇を抑制し、同高難燃剤であるDFパテよりなる第3の耐火材9が確実に貫通口4における既設のシール部5の耐火シール機能を果たす。しかも、この場合、上記耐火材充填躯体60の筒体部内径は、既設シール部5が設けられている貫通口4の内径よりも十分に大きく形成されており、第1~第3の耐火材7~9が貫通口4(既設のシール部5)の火災側開口面を十分に広く覆うようになっているので、上記効果は一層効果的となる(開口部外周壁の温度も上昇せず、シール部5の温度も上昇しない)。
さらに、同状態において、上記耐火材充填躯体60の外周には、上下左右各4組の金属製の容器体61,62,63,64が設けられており、それぞれその開口面が金属板である外装板61d,62d,63d,64dにより覆われ、その中には第4、第5の耐火材10,11が充填されている。
上記のように、第1~第3の耐火材7~9を既設のシール部5に連接する形で相互に連接した場合、それら相互の間、およびそれらと既設シール部5との間に隙間などがあると、有効な遮炎、遮熱のコンビネーション機能を果しえなくなる。また、既設シール部5に対する遮炎、遮熱機能が低下し、火炎、火熱の影響が生じる。
ところが、上記既設のシール部5に連接する第1~第3の耐火材7~9の外周に、容器体61,62,63,64の底部を形成する鉄板61b,62b,63b,64bを介して(耐火材充填躯体60の筒体部を介して)、上記第1~第3の耐火材7~9を覆う第4、第5の耐火材10,11を設け、さらに、それらの上部を金属製の外装板61d、62d、63d、64dでカバーすると、上記既設のシール部5に連接する第1~第3の耐火材7~9相互の隙間や既設のシール部5との隙間、端面への火炎、火熱の影響がなくなり、既設のシール部5に連接する第1~第3の耐火材7~9の有効な遮炎、遮熱のコンビネーション機能が確保され、また、既設のシール部5側への火炎、火熱の影響も確実に回避される。
これらの結果、この発明の実施の形態に係るケーブルトレイ貫通部のシール構造によると、十分に耐火機能の高いきわめて有効な防火シール構造を実現することができ、原子力発電所の新たな耐火基準(3時間耐火)にも十分に対応することができるようになる。特に、この発明の実施の形態のシール構造の場合、上述したように既設のシール部5にも一定レベルの耐火機能(2000年改正建築基準法に対応した1時間耐火基準)があるので、それとのコンビネーションによって、シール部全体としての耐火機能はさらに大きく向上する。しかも、同構成の場合、既設のシール部5のシール構造については、何らの変更を加える必要がないので、施工が容易であり、遥かに低コストに実現することができる。また、ケーブル貫通部に複数段(例えば3段)のケーブルトレイがある場合にも、全く自由に対応することができる。
さらに、耐火ボックス6の耐火材充填躯体60は、貫通口4の矩形形状に対応した矩形の筒体構造であり、同筒体は上下左右4組の容器体61~64を組み合わせて構成されている。このような構成によると、上下左右4組の容器体61~64を組み合わせた矩形の筒体よりなる耐火材充填躯体60の内側に既設のシール部5(第1~第5のシール材51~55)に連接する上記第1~第3の耐火材7~9を適切に配設することができ、また、同矩形の筒体を形成する上下左右4組の容器体61~64の各容器空間(耐火材充填部)61c~64c部分に上記第1~第3の耐火材7~9の外周を覆う第4、第5の耐火材10,11を適切に充填することができる。
そして、それによって、上記のようにケーブルトレイ貫通部の防火性能を有効に向上させることが可能となる。しかも、同耐火ボックス6を形成する耐火材充填躯体60は、それ単体として、例えば隔壁1側に設けられたアンカー部材13,13・・を利用して貫通口4部分外周に容易に取り付けることができるので、現場での設置作業も容易になる。
また、上記矩形の筒体を形成する4組の容器体61~64は、それぞれ相互にボルトおよびナットによって着脱可能に組付けられるようになっている。したがって、上記貫通口4を有する隔壁1への取付が容易であることはもちろん、同貫通口4が例えば図9および図10のように、壁際のコーナー部に設けられているような場合、対応する左右いずれかの容器体63又は64を組付けることなく、隣接する隔壁1Aそのものを容器体63又は64に代わる、既設のシール部5のシール材(第1~第5のシール材51~55)に連接する第1~第3の耐火材7~9の外周を覆う第4、第5の耐火材として利用する形で設置することができる。これは床面との間、また天井面との間においても同様である。
その結果、同構成によると、それぞれの容器体を省略することができ、容器コスト、施工コストを削減することができる。
また、上記矩形の筒体を形成する4組の容器体61~64は、それぞれ断面L字型の等辺山形鋼を4本組み合わせ、それらの端部同士を付き合わせて溶着一体化した直方体形状の枠体61a,62a,63a,64aの内側(等辺山形鋼の下部片上)に容器空間(耐火材充填部)61c,62c,63c,64cの底部を形成する鉄板61b,62b,63b,64bを溶接一体化することによって、所定の長さ、所定の幅、所定の深さの容器空間(耐火材充填部)61c,62c,63c,64cを有する直方体形状の偏平な容器体に形成されている。
したがって、剛性、強度は高く、変形しにくく、それらをボルト及びナットで強固に組付けて構成したボックス型筒体構造の耐火材充填躯体60は、十分な強度を有し、地震等発生時においても有効に耐火シール部の変形、損傷を防止する。そのため、防火機能が確実に維持される。
ところで、以上の実施の形態の構成では、一例として、既設シール部5における第1、第3のシール材(DFパテ)51,53、第4のシール材(DFシール)54のいずれもが高難燃性のシール材料よりなり、一定のレベルの耐火性能(2000年改正建築基準法の耐火基準)を有する場合で説明したが、上記3時間耐火の規制基準への対応が求められる既設シール部5のシール構造には種々の形態のものがあり、その耐火性能はさまざまである。
したがって、この発明の実施の形態における上記耐火ボックス6における第1~第3の耐火材7~9、第4、第5の耐火材10,11およびそのコンビネーションは、言うまでもなく、それら自体で(単独で)原子力発電所の新たな規制基準をクリアできる耐火性能のものとしている。
しかし、既設シール部5に一定レベル以上の有効な耐火性能がある場合には、それらを考慮した構成の耐火シール構造に調整することは可能である。
また、上記耐火ボックス6は、建屋内天井部の上下垂直方向の貫通口部にも設けられる。したがって、そのような場合には、上記充填された第1~第3の耐火材7~9の落下を防止するために、上記矩形の筒体よりなる耐火材充填躯体60の下面側開口部左右方向に所定の幅の耐火材落下防止板その他の有効な落下防止手段が設けられる。これにより、上記充填された第1~第3の耐火材7~9の安定した保持が可能となる。
1:隔壁
2:ケーブル
3:ケーブルトレイ
4:貫通口
5:既設のシール部
6:耐火ボックス
7:第1の耐火材
8:第2の耐火材
9:第3の耐火材
10:第4の耐火材
11:第5の耐火材
60:耐火材充填躯体
61~64:容器体

Claims (3)

  1. ケーブルトレイの貫通部をシールするケーブルトレイの貫通部シール構造であって、既設のシール部を有する貫通口の防火区画側に耐火材を充填した耐火ボックスを設け、同耐火ボックスで既設のシール部を覆うことによって、防火機能を向上させたことを特徴とするケーブルトレイ貫通部のシール構造。
  2. 耐火ボックスにおける耐火材は、既設のシール部のシール材に連接する複数の防火シール材と複数の防火シール材の外周にあって、複数の防火シール材の外周を覆う複数の防火シール材よりなることを特徴とする請求項1記載のケーブルトレイ貫通部のシール構造。
  3. 耐火ボックスの耐火材充填躯体は、貫通口の矩形形状に対応した矩形の筒体であり、同筒体は4組の容器体を組み合わせて構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のケーブルトレイ貫通部のシール構造。
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