JP2022064869A - 多価ワクチン抗原及びポリクローナル抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】SARS-CoV-2ウイルスを含む複数の微生物に対する多価ワクチン抗原を提供する。【解決手段】SARS-CoV-2の受容体結合モチーフと、SARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の抗原とを含み、少なくとも前記SARS-CoV-2及び前記微生物に対する免疫を誘導する、多価ワクチン抗原。【選択図】なし

Description

本発明は、少なくともSARS-CoV-2及びその他の微生物に対する免疫を誘導する多価ワクチン抗原及びポリクローナル抗体に関する。
2019年に中国武漢で発生した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を病原体とする感染症(COVID-19)は、世界中にてパンデミックを引き起こし、大きな社会問題となっている。COVID-19は、患者の多くが軽症又は無症状である一方、一部の患者で重症化することが事態を深刻化させており、重症化リスクに対して適切に対処することが極めて重要であると考えられている。
SARS-CoV-2に対するワクチン開発は世界中で急速に進められている。2020年10月現在で承認されているワクチンは、ロシアで承認されたスプートニクVのみである(非特許文献1)。
一方で、ワクチン及び治療薬の開発と並行して、COVID-19に関する症状に関する臨床データも蓄積されてきている。例えば、COVID-19発症患者では、細菌を中心とした混合感染が極めて高い確率(94.2%)で確認されていること、更に、重症のCOVID-19症例で、ウイルスの重感染、真菌の重感染、および細菌と真菌との重感染の割合が、最も高かったことが報告されている(非特許文献2)。
THE LANCET, VOLUME 396, ISSUE 10255, P887-897, SEPTEMBER 26, 2020 Virus Research, Volume 285, August 2020, 198005
スプートニクVはまだ臨床試験を実施している段階であり、安全性や有効性には疑問の声も上がっている。また、仮にワクチンの接種が始まったとしても、効果が小さかったり、重い副作用が見つかったりするリスクは依然として存在し、感染症流行抑止の決定打になるかどうかは不明である。したがって、SARS-CoV-2ウイルスに対するワクチンにはさらなる選択肢が望まれる。また、COVID-19症例における重感染の高さに鑑みると、SARS-CoV-2だけでなく、他の微生物に対しても免疫を誘導できるワクチンが望まれる。
そこで本発明は、SARS-CoV-2ウイルスを含む複数の微生物に対する多価ワクチン抗原を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、SARS-CoV-2の構成タンパク質のうちスパイクタンパク質を構成する受容体結合モチーフと、SARS-CoV-2以外の微生物由来の抗原との組み合わせが、多価ワクチン抗原として有効であることを見出した。本発明は、この知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は以下に掲げる態様の発明を提供する。
項1. SARS-CoV-2の受容体結合モチーフと、SARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の他の抗原とを含み、少なくとも前記SARS-CoV-2及び前記微生物に対する免疫を誘導する、多価ワクチン抗原。
項2. 前記受容体結合モチーフと前記他の抗原とが融合体を形成している、項1に記載の抗原。
項3. 前記受容体結合モチーフがT細胞エピトープを有さず、前記他の抗原がT細胞エピトープを有する、項1又は2に記載の抗原。
項4. 前記他の抗原が肺炎球菌表面タンパク質Aである、項1~3のいずれかに記載の抗原。
項5. 項1~4のいずれかに記載の抗原を含むワクチン。
項6. SARS-CoV-2の受容体結合モチーフをコードするDNAとSARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の他の抗原をコードするDNAとを宿主細胞に導入し、形質転換体を得る工程1と、
前記形質転換体を培養し、培養物を得る工程2と、
前記培養物から、前記受容体結合モチーフと前記他の抗原とを含む産生物を回収する工程3と、を含む、多価ワクチン抗原の製造方法。
項7. 工程1において、前記宿主細胞に、前記受容体結合モチーフをコードするDNAと前記他の抗原をコードするDNAとを含む組み換えベクターを導入する、項6に記載の製造方法。
項8. 前記宿主細胞が大腸菌又は動物細胞である、項6又は7に記載の製造方法。
項9. 前記他の抗原が肺炎球菌表面タンパク質Aである、項6~8のいずれかに記載の製造方法。
項10. SARS-CoV-2の受容体結合モチーフと、SARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の他の抗原とに特異的なポリクローナル抗体。
項11. 項1~4のいずれかに記載の多価ワクチン抗原を動物に免疫し得られる、ポリクローナル抗体。
本発明によれば、SARS-CoV-2ウイルスを含む複数の微生物に対する多価ワクチン抗原が提供される。
SARS-CoV-2 RBM-PspAの模式図を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspAの精製手順を示す。 PspAの精製手順を示す。 SARS-CoV-2 RBMの精製手順を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspA、PspA及びSARS-CoV2-RBMの作製を確認した結果を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspAによるSARS-CoV2 RBMに対するIgG免疫誘導手順を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspAによるSARS-CoV2 RBMに対するIgM免疫誘導手順を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspAによるSARS-CoV2 RBMに対するIgG免疫誘導結果を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspAによるSARS-CoV2 RBMに対するIgM免疫誘導結果を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清によるSARS-CoV-2-ACE2結合中和assay手順を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清によるSARS-CoV-2中和assay手順を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫によるSARS-CoV-2感染防御手順を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫によるSARS-CoV-2感染防御結果を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫による肺炎球菌に対する感染防御手順を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫による肺炎球菌に対する感染防御手順を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫による肺炎球菌に対する抗体誘導結果を示す。 SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫による肺炎球菌に対する感染防御結果を示す。
1.多価ワクチン抗原
本発明の多価ワクチン抗原は、SARS-CoV-2の受容体結合モチーフと、SARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の他の抗原とを含み、少なくとも前記SARS-CoV-2及び前記微生物に対する免疫を誘導することを特徴とする。
SARS-CoV-2の受容体結合モチーフ(Receptor Binding Motif、以下RBMともいう)は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の最小単位である。SARS-CoV-2に対するワクチン開発においては、感染において重要な役割を担うSARS-CoV-2のスパイクタンパク質、又はスパイクタンパク質のうち感染において特に重要な役割を担う受容体結合領域(RBD)をターゲットにすることが有効と考えられるが、その一方で、スパイクタンパク質に対する不完全な免疫が誘導されれば、抗体依存性感染増強(ADE)が起りうる。このため、本発明の多価ワクチンでは、ADEリスク低減のため、SARS-CoV-2の抗原として、RBD中のRBMを用いる。
本発明の多価ワクチン抗原に用いられるSARS-CoV-2のRBMとしては、以下の(1)~(3)が挙げられる。
(1)配列番号1の438~506位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(2)配列番号1の438~506位のアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が置換、付加、挿入及び/又は欠失されてなり、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と複合体を形成するポリペプチド、及び
(3)配列番号1の438~506位のアミノ酸配列において、配列番号1との配列同一性が80%以上であり、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と複合体を形成するポリペプチド。
前記(1)のポリペプチドにおいて、配列番号1は、NCBIにNC_045512として収載されているSARS-CoV-2(以下において、「特定のSARS-CoV-2」とも記載する。)のスパイクタンパク質(YP_009724390.1)のアミノ酸配列であり、その438~506位のアミノ酸配列がRBMに相当する。
前記(1)~(3)のポリペプチドには、人為的に置換等して得られるポリペプチドのみならず、そのようなアミノ酸配列を元々有するポリペプチドも含まれる。
前記(2)及び(3)のポリペプチドは、前記(1)のポリペプチドと同様のACE2との複合体形成能を有する限り、(1)のポリペプチドと比較してアミノ酸配列に相違があることを許容するものであり、前記(1)のポリペプチドの相違体ともいう。前記(2)及び(3)のポリペプチドは、それ自体が変異体であってもよいし、野生型であってもよい。つまり、前記(2)及び(3)のポリペプチドは、特定のSARS-CoV-2の野生型RBMの変異体であってもよいし、特定のSARS-CoV-2以外のSARS-CoV-2における野生型RBM又はその変異体であってもよい。
前記(2)のポリペプチドにおけるアミノ酸の相違は、置換、付加、挿入、及び欠失の中から1種類の相違(例えば置換)のみを含んでいてもよいし、2種以上の相違(例えば、置換と挿入)を含んでいてもよい。前記(2)のポリペプチドにおいて、アミノ酸の相違の数は、1個又は数個であればよく、例えば1~15個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~7個又は1~6個、一層好ましくは1~5個又は1~4個、より一層好ましくは1~3個、特に好ましくは1又は2個、最も好ましくは1個が挙げられる。
また、前記(3)のポリペプチドのアミノ酸配列と、配列番号1の438~506位のアミノ酸配列との配列同一性は、80%以上であればよい。好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、一層好ましくは96%以上、より一層好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上が挙げられる。
ここで、前記(3)のポリペプチドにおいて、「配列同一性」とは、BLASTPACKAGE[sgi32 bit edition,Version 2.0.12;available from National Center for Biotechnology Information(NCBI)]のbl2seq program(Tatiana A.Tatsusova,Thomas L.Madden,FEMS Microbiol.Lett.,Vol.174,p247-250,1999)により得られるアミノ酸配列の同一性の値を示す。パラメーターは、Gap insertion Cost value:11、Gap extension Cost value:1に設定すればよい。
また、前記(2)及び(3)のポリペプチドにおいて、配列番号1に示すアミノ酸配列における第487位(アスパラギン)、第493位(グルタミン)、第498位(グルタミン)、及び第505位(チロシン)は、ACE2受容体の主なホットスポットアミノ酸残基との相互作用に寄与していると考えられることから、これらの部位には置換又は欠失を導入しないことが望ましい場合もある。
前記(2)及び(3)のポリペプチドにアミノ酸置換が導入される場合、アミノ酸置換の態様として、保存的置換が挙げられる。即ち、(2)及び(3)のポリペプチドにおいて、配列番号1に示すアミノ酸配列に対して導入されるアミノ酸置換としては、例えば、置換前のアミノ酸が非極性アミノ酸であれば他の非極性アミノ酸への置換、置換前のアミノ酸が非荷電性アミノ酸であれば他の非荷電性アミノ酸への置換、置換前のアミノ酸が酸性アミノ酸であれば他の酸性アミノ酸への置換、及び置換前のアミノ酸が塩基性アミノ酸であれば他の塩基性アミノ酸への置換が挙げられる。
本発明の多価ワクチン抗原に用いられる、SARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の他の抗原(以下において、単に「他の抗原」とも記載する。)としては特に限定されない。当該他の抗原としては、細菌由来の抗原及びウイルス由来の抗原が挙げられ、より具体的には、弱毒化又は不活化したウイルス、毒素、トキソイド、莢膜多糖、タンパク質等が挙げられる。これらの他の抗原は、1種が単独で選択されてもよいし、複数種が選択されてもよい。
他の抗原の好ましい例としては、COVID-19患者においてSARS-CoV-2と重感染する細菌及び/又はウイルスが挙げられ、より具体的には、S.pneumoniae(肺炎球菌)、Klebsiella pneumoniae (肺炎桿菌)、Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌)、Aspergillus(コウジカビ)、EBV(エプスタインバールウイルス)、E. coli(大腸菌)、S. aureus (黄色ブドウ球菌)、HRV(ヒトライノウイルス)、P.aeruginosa(緑膿菌)、Moraxella Catarrhalis(モラクセラ・カタラーリス)、HAdV(ヒトアデノウイルス)、HSV(単純ヘルペスウイルス)、A. baumannii(多剤耐性アシネトバクター)、Chlamydia pneumoniae(肺炎クラミジア)、Mucor(ケカビ)、Mycoplasma Pneumonia(肺炎マイコプラズマ)、Bordetella pertussis(百日咳菌)、Candida(カンジダ)、CMV(サイトメガロウイルス)、HBoV(ヒトボカウイルス)、HMPV(ヒトメタニューモウイルス)、Cryptococcus(クリプトコッカス菌)、Vibrio cholerae(コレラ菌)が挙げられる。
本発明の多価ワクチン抗原は、SARS-CoV-2及び他の微生物に対する免疫を誘導するものである。SARS-CoV-2に対する免疫を誘導するとは、SARS-CoV-2のRBMに対する特異的抗体(特に、SARS-CoV-2のRBM特異的血清中IgG)を誘導することを含み、好ましくは、SARS-CoV-2のACE2への結合阻害活性及び/又は細胞死抑制活性を誘導すること、SARS-CoV-2中和活性を有する抗体を誘導すること、並びに/若しくは、SARS-CoV-2により引き起こされる症状に対する生体防御反応を誘導すること等を含む。他の微生物に対する免疫を誘導するとは、他の微生物由来の抗原に対する特異的抗体(例えば、当該抗原特異的血清中IgG抗体)、好ましくは中和抗体を誘導することを含み、より好ましくは、当該抗原による細胞死に対する中和活性、並びに/もしくは、他の微生物により引き起こされる症状に対する生体防御反応を誘導すること等を含む。
本発明の多価ワクチン抗原のさらに好ましい態様においては、RBMがT細胞エピトープを有さず、他の抗原がT細胞エピトープを有するものである。これによって、単独では免疫を誘導できないRBMであっても、他の抗原が抗原性だけでなくアジュバント能を有することで、本発明の多価ワクチン抗原が、SARS-CoV-2と他の微生物とに対する免疫を誘導することが可能となる。
なお、T細胞エピトープとは、T細胞によって認識される抗原の一部であり、T細胞受容体に結合する抗原部分である。MHCクラスI分子が提示するT細胞エピトープは、典型的には8~11アミノ酸長のペプチドであるが、MHCクラスII分子は13~17アミノ酸長のより長いペプチドを提示し、また非古典的MHC分子は糖脂質などの非ペプチド性エピトープも提示する。T細胞エピトープは、当業者に周知の方法で予測することができる。例えば、TepiToolなどのアルゴリズムを用いることで、T細胞エピトープを予測することができる。他の抗原がT細胞エピトープを有するか否かは、上述のアルゴリズムを用いることで調べることができる。また、抗原性とは、免疫を誘導する能力をいう。さらに、アジュバント能とは、免疫賦活剤としての能力をいい、抗原の免疫誘導を増強する能力をいう。他の抗原がT細胞エピトープを有することで、T細胞による免疫を誘導することが可能となるため、他の抗原はアジュバント能を有する。
つまり、上記の他の抗原の好ましい例としては、抗原性だけでなくアジュバント能も有するものが挙げられ、具体的には、T細胞エピトープを有する抗原が挙げられる。抗原がT細胞エピトープを有するか否かは、上述のアルゴリズムを用いることで調べることができる。このようにT細胞エピトープを有する他の抗原の限定されない例として、肺炎球菌(好ましくは肺炎球菌表面タンパク質A(PspA))、コレラ菌、志賀毒素産生性大腸菌などが挙げられる。
本発明の多価ワクチン抗原においては、抗原性だけでなくアジュバント能を備えさせる点から、RBMと前記他の抗原とは典型的には、融合体を形成している。
上記の融合体は、RBMと他の抗原とを含んで一体化されているものであればよく、その形態は限定されない。また、融合体にはRBMと他の抗原以外の構造が含まれていてもよい。融合体としては、例えば、RBMと他の抗原との融合タンパク質、他の抗原を封入したリポソームとRBMとの結合体、他の抗原を担持したナノマテリアルとRBMとの結合体などが挙げられ、好ましくはRBMと他の抗原との融合タンパク質が挙げられる。なお、融合タンパク質とは、2つ以上のタンパク質をコードする遺伝子が一体となり形成された、1つのタンパク質をいう。融合タンパク質は、当業者に周知な方法で作られる。例えば、1つのベクター内で、タンパク質をコードする遺伝子内の開始コドンや終止コドンの部分に、グルタチオン・S-トランスフェラーゼ(GST)やポリヒスチジン(Hisタグ)等の遺伝子をタグとして挿入し、開始コドンと終止コドンの間に2つ以上のタンパク質をコードする遺伝子を挿入することで、融合タンパク質が作られる。
RBMと他の抗原との融合体において、RBMと他の抗原以外の構造としては、例えばRBMと他の抗原とを結合するリンカーが挙げられる。リンカーは、他の抗原を2種以上用いる場合においては他の抗原同士を結合するためにも用いることができる。リンカーの例としては、特に限定されないが、例えば以下のアミノ酸配列からなるリンカーが挙げられ、好ましくはリンカー例1及びリンカー例2のようなGSリンカーが挙げられる。
リンカー例1:(GGGGS)n n=1~5
リンカー例2:(GGGGS)nGG n=1~5
リンカー例3:(G)n n=5~10
リンカー例4:(EAAAK)n n=1~4
リンカー例5:(PA)n n=2~34
2.多価ワクチン抗原の製造方法
本発明は、上記の多価ワクチン抗原の製造方法も提供する。本発明の多価ワクチン抗原の製造方法は、SARS-CoV-2の受容体結合モチーフをコードするDNAとSARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の他の抗原をコードするDNAとを宿主細胞に導入し、形質転換体を得る工程1と;前記形質転換体を培養し、培養物を得る工程2と;前記培養物から、前記受容体結合モチーフと前記他の抗原とを含む産生物を回収する工程3と、を含む。なお、形質転換体とは、外部からDNAを取り込むことにより、形質が(発現している状態が)変化した個体や細胞をいう。形質とは生物のもつ性質や特徴をいい、元の情報は遺伝子である。形質が発現している状態とは、遺伝子情報に基づいてタンパク質が発現している状態をいう。本発明においては、組み換えベクターを宿主細胞へ導入することで形質転換体を得ることができる。
工程1においては、SARS-CoV-2の受容体結合モチーフ(RBM)をコードするDNAと、SARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の他の抗原をコードするDNAとは、適当な形態で発現ベクターに挿入し、得られた組み換えベクターを宿主細胞に組み込むことで導入し、形質転換体を得ることができる。RBMと他の抗原とが融合体(好ましくは融合タンパク質)を形成した多価ワクチン抗原を製造する場合は、RBMをコードするDNAと他の抗原をコードするDNAとを含む(好ましくは融合タンパク質をコードするDNAを含む)組み換えベクターを作製し、宿主細胞に導入することができる。
上記DNAの設計及び合成の方法においては、目的のポリペプチド、具体的にはRBM及び他の抗原をコードするそれぞれの遺伝子の塩基配列情報を公知のデータベース(GenBank等)から取得し、又は公知の方法を用いて目的遺伝子をクローニングし、塩基配列解析を行うことで塩基配列情報を取得し、得られた塩基配列情報に基づいて、目的のRBM及び他の抗原を有するそれぞれの微生物から核酸を抽出し、PCR等の公知の手段を用いて遺伝子を取得し、それぞれの遺伝子を人工的に連結した融合遺伝子(ハイブリッド遺伝子)を作製することができる。
また、目的のポリペプチドが変異を有する場合は、ポリペプチドをコードする遺伝子に変異を導入する。塩基配列の特定の部位に特定の変異を導入する方法は公知であり、例えばDNAの部位特異的変異導入法及び部位特異的突然変異誘発法等(具体的には、Kunkel法、Gapped duplex法、メガプライマーPCR法等)が利用できる。
上記DNAは、コドン利用頻度を宿主細胞に最適化したものが好ましい。宿主細胞はタンパク質を発現させるものであれば特に限定されないが、例えば、コドン利用頻度を動物細胞や大腸菌に最適化させたDNAが好ましい。コドン利用頻度を表す指標としては、各コドンの宿主最適コドン利用頻度の総計を採択すればよい。最適コドンとは、同じアミノ酸に対応するコドンのうち利用頻度が最も高いコドンと定義される。
組み換えベクターは、上記のDNAを、制限酵素切断及びライゲーションなどにより、適当な発現ベクターに挿入することによって得られる。発現ベクターとしては特に限定されないが、宿主細胞内で自律的に増殖し得るファージ、プラスミド、又はウイルスから遺伝子組換え用として構築されたものが好適である。
組み換えベクターには、本発明のDNAに作動可能に連結されたプロモーター等の制御因子が含まれる。制御因子としては、代表的にはプロモーターが挙げられるが、更に必要に応じてエンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位等の転写要素が含まれていてもよい。また、作動可能に連結とは、上記のDNAを調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の制御因子と上記のDNAとが、宿主細胞中で作動し得る状態で連結されることをいう。
宿主細胞としては、組換えベクターが安定であり、且つ自律増殖可能で外来性遺伝子のタンパク質を発現できるのであれば特に制限されないが、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属等に属する細菌、酵母、293細胞、293T細胞、Expi293F細胞、CHO細胞などの動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等が挙げられる。これらの中でも動物細胞や大腸菌が特に好ましい。
形質転換体を得るために宿主細胞に組換えベクターを導入する条件は、宿主細胞の種類等に応じて適宜設定すればよい。宿主細胞が細菌の場合であれば、例えば、カルシウムイオン処理によるコンピテントセルを用いる方法及び電気穿孔法(エレクトロポレーション法)等が挙げられる。宿主細胞が酵母の場合であれば、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法及び酢酸リチウム法等が挙げられる。宿主細胞が動物細胞の場合であれば、例えば、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法及びリポフェクション法等が挙げられる。宿主細胞が昆虫細胞の場合であれば、例えば、リン酸カルシウム法、リポフェクション法及びエレクトロポレーション法等が挙げられる。宿主細胞が植物細胞の場合であれば、例えば、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、及びPEG法等が挙げられる。
本発明の組換えベクターが宿主細胞に組み込まれたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、及びノーザンハイブリダイゼーション法等の公知の方法により行うことができる。
工程2においては、形質転換体を培養することによって、RBM及び他の抗原を含有する多価ワクチン抗原(産生物)を産生することができる。
形質転換体の培養条件は、宿主細胞の栄養生理的性質を考慮して適宜設定すればよいが、好ましくは液体培養が挙げられる。また、工業的製造を行う場合であれば、通気攪拌培養が好ましい。培地の栄養源としては、形質転換体の生育に必要とされるものが使用され得る。培養温度は、形質転換体が生育可能であり、且つ形質転換体が多価ワクチン抗原を産生する範囲で適宜設定し得る。
工程3においては、培養物から、RBM及び他の抗原を含有する多価ワクチン抗原(産生物)を回収する。培養物としては、培養上清であってもよいし、培養細胞又は培養菌体若しくはそれらの破砕物であってもよい。目的の多価ワクチン抗原(産生物)が宿主細胞内に生産される場合には、宿主細胞を破砕することにより産生物を抽出することができる。また、目的の多価ワクチン抗原(産生物)が宿主細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により宿主細胞を除去することができる。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を単独で、又は適宜組み合わせて用いて単離及び/又は精製することにより、多価ワクチン抗原(産生物)を回収することができる。
3.ワクチン
上記の多価ワクチン抗原は、SARS-CoV-2ウイルスと、SARS-CoV-2以外の1又は複数の微生物に対する免疫を誘導することから、本発明は、上記の多価ワクチン抗原を含むワクチンも提供する。
本発明のワクチンには、上記の多価ワクチン抗原の他に、目的及び用途等に応じて、緩衝剤、等張化剤、無痛化剤、防腐剤、抗酸化剤、アジュバント等の他の成分を含むことができる。
緩衝剤の例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。等張化剤の例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール等が挙げられる。無痛化剤の例としては、ベンジルアルコール等が挙げられる。防腐剤の例としては、チメロサール、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、抗生物質、合成抗菌剤等が挙げられる。抗酸化剤の例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸等が挙げられる。
アジュバントの例としては、動物油(スクアレン等)又はそれらの硬化油;植物油(パーム油、ヒマシ油等)又はそれらの硬化油;無水マンニトール・オレイン酸エステル、流動パラフィン、ポリブテン、カプリル酸、オレイン酸、高級脂肪酸エステル等を含む油性アジュバント;PCPP、サポニン、グルコン酸マンガン、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸マンガン、可溶性酢酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、アクリル酸コポリマー、メタクリル酸コポリマー、無水マレイン酸コポリマー、アルケニル誘導体ポリマー、水中油型エマルジョン、第四級アンモニウム塩を含有するカチオン脂質等の水溶性アジュバント;水酸化アルミニウム(ミョウバン)、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等のアルミニウム塩またはその組み合わせ、水酸化ナトリウム等の沈降性アジュバント;コレラ毒素、大腸菌易熱性毒素などの微生物由来毒素成分;その他の成分(ベントナイト、ムラミルジペプチド誘導体、インターロイキン等)等が挙げられる。
上記の成分の他にも、本発明のワクチンには、光吸収色素(リボフラビン、アデニン、アデノシン等)、安定化剤(キレート剤、還元剤等)、炭水化物(ソルビトール、ラクトース、マンニトール、デンプン、シュークロース、グルコース、デキストラン等)、カゼイン消化物、各種ビタミン、矯臭剤等を含むこともできる。
さらに、本発明のワクチンは、有効成分がSARS-CoV-2及び他の微生物に対する多価ワクチン抗原であるが、多価ワクチン抗原に加えて、更に別の疾患を発症する微生物に対する1又は複数のワクチン抗原も配合したワクチン(混合ワクチン)であってもよい。
本発明のワクチンの剤型については特に限定されず、投与方法及び保存条件等に基づいて適宜決定することができる。剤型の具体例としては、液体製剤及び固体製剤等が挙げられ、より具体的には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤、噴霧剤等の非経口投与剤が挙げられる。
本発明のワクチンの投与方法としては特に限定されず、筋肉、腹腔内、皮内及び皮下等の注射投与、鼻腔及び口腔からの吸入投与、並びに経口投与等が挙げられる。
本発明のワクチンの適用対象としては、SARS-CoV-2ウイルス感染によりCOVID-19症状を引き起こしうる対象であれば特に限定されず、例えば哺乳類が挙げられ、より具体的には、ヒト;イヌ及びネコ等の愛玩動物;ネズミ、マウス、ハムスター等の実験動物等が挙げられる。特に、多価ワクチン抗原が、他の抗原として、COVID-19患者においてSARS-CoV-2と重感染する細菌及び/又はウイルスの抗原を含む場合は、本発明のワクチンの適用対象としては、好ましくはCOVID-19の重症リスクがある対象(例えば、高齢及び/又は基礎疾患を有する等)が挙げられる。
本発明のワクチンの用量としては特に限定されず、有効成分(つまり多価ワクチン抗原)の種類、投与方法、投与対象(年齢、体重、性別、基礎疾患の有無等の条件)に応じて適宜決定することができる。
本発明のワクチンは、COVID-19及び他の微生物による感染症の発症の予防、及びそれら感染症に伴う症状・病態の予防及び最小化、並びに、症状・病態の治療及び軽減等を目的として用いることができ、好ましくは、上記予防及び最小化を目的として用いることができる。
4.抗体
上記の多価ワクチン抗原は、SARS-CoV-2の受容体結合モチーフ(RBM)と、SARS-CoV-2以外の1又は複数の微生物由来の他の抗原とに対する特異的抗体を誘導することから、本発明は、SARS-CoV-2のRBMの特異的抗体及び他の抗原の特異的抗体も提供する。SARS-CoV-2のRBMの特異的抗体は、SARS-CoV-2のRBMへ特異的に結合する。SARS-CoV-2のRBMの特異的抗体には、SARS-CoV-2のRBMの異なる部位に結合する複数の抗体が含まれるため、当該抗体はポリクローナル抗体である。他の抗原に対する特異的抗体は、他の抗原へ特異的に結合する。他の抗原に対する特異的抗体には、他の抗原の異なる部位に結合する複数の抗体が含まれるため、当該抗体はポリクローナル抗体である。
本発明の抗体は、上記の多価ワクチン抗原を免疫原として動物に免疫することで得ることができる。動物としてはヒト、ウサギ、ヤギ、ブタ、ハムスター、マウス等特に限定されない。
また、本発明の抗体は、多価ワクチン抗原を動物に免疫することで得られる抗血清から、さらに、抗体を精製し得たものであってもよい。精製には、SARS-CoV-2のRBMと他の抗原に特徴的なアミノ酸配列を含むポリペプチド担持されたアフィニティカラムを用いることができる。
本発明の抗体の適用対象としては、上記の多価ワクチン抗原の適用対象と同様である。
本発明の抗体は、COVID-19及び他の微生物による感染症の発症の予防、及びそれら感染症に伴う症状・病態の予防及び最小化、並びに、症状・病態の治療及び軽減等を目的として用いることができる。
以下、試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の試験例において、SARS-CoV-2 RBM-PspAは、SARS-CoV-2 RBMとPspAの融合タンパク質を指し、図中で「CoV-2 RBM-PspA」と記載する場合があり、SARS-CoV-2 RBMは、図中で「CoV-2 RBM」と記載する場合がある。また、以下の試験例において用いたSARS-CoV-2のRBMの配列は、配列番号1の438~506位のアミノ酸配列である。以下の試験例においてPspAは、clade4の血清型3を用いた。
試験例1
本試験例では、SARS-CoV-2 RBM-PspA(多価ワクチン抗原)の作製を行った。
(1-1)SARS-CoV-2 RBM-PspA(多価ワクチン抗原)の精製
図1に示すSARS-CoV-2 RBM-PspA(多価ワクチン抗原)を、図2の手順に従って以下の通り作製した。pTf16-BL21 10 μl(形質転換した大腸菌BL21株のコンピテントセル、タカラバイオ社)に、目的遺伝子を組み込んだpColdベクター(タカラバイオ社)を挿入し、氷上で30分間インキュベーションした。目的遺伝子としては、SARS-CoV-2のRBM遺伝子(配列番号2;NC_045512に掲載される配列から、大腸菌コドン最適化した配列)及びPspA遺伝子を、GSリンカーで結合したものを利用した。用いたGSリンカーの配列は、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号3)である。
42℃で45秒間ヒートショックを与えた後、氷上で3分間インキュベーションした。SOC Mediumを100 μl加え、37℃で45分間培養し、アンピシリン100 μg/ml, クロラムフェニコール20 μg/mlを含んだLB plateに播種した。翌日、コロニーをアンピシリン100 μg/ml, クロラムフェニコール20 μg/ml, アラビノース4 mg/mlを含んだLB培地に植菌し、37℃でOD600=0.4~0.7まで振とう培養した。その後、15℃で30分間コールドショックを与えた後、IPTG 1.0 mMを加えて15℃で24時間振とう培養した。10000 rpm, 2分で集菌したものにbuffer A(10 mM Tris-HCl (pH 8.0), 400 mM NaCl, 5 mM MgCl2, 0.1 mM phenylmethylsulfonyl fluoride, 1 mM 2-mercaptoethanol and 10% glycerol、以下buffer Aと記載する)を培養液の1/100量加え、超音波で破砕した。14000 rpm, 15分遠心した上澄みを回収し、0.45 μmフィルターで夾雑物を除去した。あらかじめbuffer Aで平衡化したHisTrapにサンプルを添加し、buffer A, 20 mMイミダゾール含有buffer A, 500 mMイミダゾール含有buffer Aの順にカラムに流し、目的タンパク質(SARS-CoV-2のRBMとPspAの融合タンパク質)を抽出した。あらかじめPBSで平衡化したPD-10に抽出タンパク質を添加し、PBSで目的タンパク質を抽出した。BCA assayで目的タンパク質濃度を測定し、SDS-PAGE, CBB染色で純度を確認した。
(1-2)PspAの精製
比較用のPspAを、図3の手順に従って以下の通り作製した。pGTf2-BL21 10 μl(形質転換した大腸菌BL21株のコンピテントセル、タカラバイオ社)に、目的遺伝子を組み込んだpColdベクター(タカラバイオ社)を挿入し、氷上で30分間インキュベーションした。目的遺伝子としては、上記のPspAを利用した。
42℃で45秒間ヒートショックを与えた後、氷上で3分間インキュベーションした。SOC Mediumを100 μl加え、37℃で45分間培養し、アンピシリン100 μg/ml, クロラムフェニコール20 μg/mlを含んだLB plateに播種した。翌日、コロニーをアンピシリン100 μg/ml, クロラムフェニコール2 μg/ml, テトラサイクリン 5 ng/mlを含んだLB培地に植菌し、37℃でOD600=0.4~0.7まで振とう培養した。その後、15℃で30分間コールドショックを与えた後、IPTG 1.0 mMを加えて15℃で24時間振とう培養した。10000 rpm, 2分で集菌したものにbuffer Aを培養液の1/100量加え、超音波で破砕した。14000 rpm, 15分遠心した上澄みを回収し、0.45 μmフィルターで夾雑物を除去した。あらかじめbuffer Aで平衡化したHisTrapにサンプルを添加し、buffer A, 20 mMイミダゾール含有buffer A, 500 mMイミダゾール含有buffer Aの順にカラムに流し、目的タンパク質(PspA)を抽出した。あらかじめPBSで平衡化したPD-10に抽出タンパク質を添加し、PBSで目的タンパク質を抽出した。BCA assayで目的タンパク質濃度を測定し、SDS-PAGE, CBB染色で純度を確認した。
(1-3)SARS-CoV-2 RBMの精製
比較用のSARS-CoV-2 RBMを、図4の手順に従って以下の通り作製した。pTf16-BL21 10 μl(形質転換した大腸菌BL21株のコンピテントセル、タカラバイオ社)に、目的遺伝子を組み込んだpColdベクター(タカラバイオ社)を挿入し、氷上で30分間インキュベーションした。目的遺伝子としては、SARS-CoV-2のRBMを利用した。
42℃で45秒間ヒートショックを与えた後、氷上で3分間インキュベーションした。SOC Mediumを100 μl加え、37℃で45分間培養し、アンピシリン100 μg/ml, クロラムフェニコール20 μg/mlを含んだLB plateに播種した。翌日、コロニーをアンピシリン100 μg/ml, クロラムフェニコール20 μg/ml, アラビノース4 mg/mlを含んだLB培地に植菌し、37℃でOD600=0.4~0.7まで振とう培養した。その後、15℃で30分間コールドショックを与えた後、IPTG 1.0 mMを加えて15℃で24時間振とう培養した。10000 rpm, 2分で集菌したものにbuffer Aを培養液の1/100量加え、超音波で破砕した。14000 rpm, 15分遠心した上澄みを回収し、0.45 μmフィルターで夾雑物を除去した。あらかじめbuffer Aで平衡化したHisTrapにサンプルを添加し、buffer A, 20 mMイミダゾール含有buffer A, 500 mMイミダゾール含有buffer Aの順にカラムに流し、目的タンパク質(SARS-CoV-2のRBM)を抽出した。あらかじめPBSで平衡化したPD-10に抽出タンパク質を添加し、PBSで目的タンパク質を抽出した。BCA assayで目的タンパク質濃度を測定し、SDS-PAGE, CBB染色で純度を確認した。
(1-4)結果
SARS-CoV-2 RBM-PspA、PspA及びSARS-CoV-2 RBMの作製を確認した結果を図5に示し、それぞれの大腸菌発現系における収量を表1に示す。
Figure 2022064869000001
SARS-CoV-2 RBMは大腸菌発現系では可溶性が悪いが、SARS-CoV-2 RBMに可溶性の良いPspAを融合することで収量が向上した。
試験例2
本試験例では、SARS-CoV-2 RBM-PspA(多価ワクチン抗原)による免疫誘導を行った。
(2-1)IgG免疫誘導
図6の手順に従って、下記の通り、SARS-CoV-2 RBM-PspAによるSARS-CoV-2 RBMに対するIgG免疫誘導を行った。
7週齢のBALB/cマウス(雌)に、SARS-CoV-2 RBM 1μg、PspA 5.7 μg又はSARS-CoV-2 RBM-PspA 6.7μg(うち、SARS-CoV-2 RBMパートは1 μg相当, PspAパートは5.7 μg相当)と、水酸化アルミニウムゲル (10 μg)との混合液を、2週に1回、計3回筋肉注射した。最終免疫の2週間後に血清を回収した。
96 well plateにSARS-CoV-2 RBMを0.1 μgとなるように播種し、4℃で一晩固相化した。0.05% Tween20含有PBS 200 μl×3回洗浄した後に、1% BSA含有PBS 200 μlを加えて、室温で2時間ブロッキングした。0.05% Tween20含有PBS 200 μl×3回洗浄した後に、1% BSA, 0.05 % Tween20含有PBSで希釈した血清100 μlを加え、室温で2時間反応させた。0.05% Tween20含有PBS 200 μl×3回洗浄した後に、1% BSA, 0.05 % Tween20含有PBSで4000倍希釈したGoat anti-mouse IgG-HRP 100 μl(Sigma-Aldrich社)を加え、室温で1時間反応させた。0.05% Tween20含有PBS 200 μl×3回洗浄した後に、TMB 100 μlを加え、室温で2分間反応させた。0.5 N HCl 50 μlを加えて反応停止後に、吸光度450 nmを測定した。
(2-2)IgM免疫誘導
図7の手順に従って、下記の通り、SARS-CoV-2 RBM及びPspAによるSARS-CoV-2 RBMに対するIgM免疫誘導を行った。
7週齢のBALB/cマウス(雌)に、SARS-CoV-2 RBM 1μg、PspA 5.7 μg又はSARS-CoV-2 RBM-PspA 6.7μg(うち、SARS-CoV-2 RBMパートは1 μg相当,PspAパートは5.7 μg相当)と、水酸化アルミニウムゲル(10 μg)との混合液を、2週に1回、計3回筋肉注射した。最終免疫の2週間後に血清を回収した。
96 well plateにSARS-CoV-2 RBMを0.1 μgとなるように播種し、4℃で一晩固相化した。0.05% Tween20含有PBS 200 μl×3回洗浄した後に、1% BSA(又は5%スキムミルク)含有PBS 200 μlを加えて、室温で2時間ブロッキングした。0.05% Tween20含有PBS 200 μl×6回洗浄した後に、1% BSA(又は5%スキムミルク)及び 0.05 % Tween20含有PBSで希釈した血清100 μlを加え、室温で2時間反応させた。0.1% Tween20含有PBS 200 μl×3回洗浄した後に、1% BSA(又は5%スキムミルク)及び 0.05 % Tween20含有PBSで4000倍希釈したGoat anti-mouse IgM-HRP 100 μl(SouthernBiotech社)を加え、室温で1時間反応させた。0.1% Tween20含有PBS 200 μl×6回洗浄した後に、TMB 100 μlを加え、室温で30分間反応させた。0.5 N HCl 50 μlを加えて反応停止後に、吸光度450 nmを測定した。
(2-3)結果
(2-1)のIgG免疫誘導結果を図8に示す。図8に示す通り、SARS-CoV-2 RBM単独ではSARS-CoV-2 RBM特異的血清IgGは誘導されず、SARS-CoV-2 RBM-PspAではIgGを誘導した。(2-2)のIgM免疫誘導結果を図9に示す。図9に示す通り、SARS-CoV-2 RBMおよびSARS-CoV-2 RBM-PspAによりSARS-CoV-2 RBM特異的血清IgMが誘導された。IgGを誘導するためにはT細胞エピトープが必要であるため、T細胞エピトープを有さないSARS-CoV-2 RBMはIgGを誘導しないことが確認された。PspAはT細胞エピトープを有しているため、SARS-CoV-2 RBM-PspAがIgGを誘導したものと思われる。
試験例3
本試験例では、SARS-CoV-2 RBM-PspAにより免疫誘導される血清によるSARS-CoV-2中和活性を評価した。
(3-1)SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清によるSARS-CoV-2-ACE2結合中和assay
図10の手順に従って、以下の通り、SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清を用い、SARS-CoV-2のhuman ACE2への結合阻害を評価した。SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清は、試験例2の手順にて取得した。Human ACE2発現293T細胞 (2.0×104 cells)を96 well plateに播種し、37℃, 5% CO2で一晩培養した。翌日、あらかじめ37℃で1時間反応させた上記の免疫血清とSARS-CoV-2シュードウイルス(自社作製)の混合液を細胞に播種し、37℃, 5% CO2で24時間培養した。培地を除去し、Cell Culture Lysisを25 μl添加し、5分間シェーカーで反応させた。96 well white plateにLuciferase Assay System 20 μl(プロメガ社)と細胞可溶液5 μlを添加し、ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清はSARS-CoV-2のhuman ACE2への結合阻害を示したことを確認した。
(3-2)SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清によるSARS-CoV-2中和assay
図11の手順に従って、以下の通り、SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清を用い、野生型およびD614G (SARS-CoV-2 の流行変異体)に対する中和活性を評価した。SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清は、試験例2の手順にて取得した。Vero E6細胞 (2.0×104 cells)を96 well plateに播種し、37℃, 5% CO2で一晩培養した。翌日、あらかじめ37℃で1時間反応させた上記免疫血清とSARS-CoV-2(野生型又はD614Gの変異体)の混合液を細胞に播種し、37℃, 5% CO2で24時間培養した。培地を除去し、Cell Culture Lysisを25 μl添加し、5分間シェーカーで反応させた。96 well white plateにLuciferase Assay System 20 μl(プロメガ社)と細胞可溶液5 μlを添加し、ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、当該中和活性を確認した。
試験例4
本試験例では、SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫によるSARS-CoV-2感染防御効果を評価した。
図12の手順に従って、以下の通り、SARS-CoV-2感受性のあるシリアンハムスターにSARS-CoV-2 RBM-PspAを免疫し、抗体誘導を評価し、免疫シリアンハムスターにSARS-CoV-2を呼吸器感染させ、体重変化・肺の病理解析により感染防御効果を評価した。4週齢のシリアンハムスター(雄)に、SARS-CoV-2 RBM-PspA 6.7μg(うち、SARS-CoV-2 RBMパートが1 μg相当,PspAパートが5.7 μg相当)と、水酸化アルミニウムゲル(10 μg)との混合液を、2週に1回、計3回筋肉注射した。最終免疫の2週間後にSARS-CoV-2を呼吸器感染させ、体重を測定した。結果を図13に示す。図13が示す通り、SARS-CoV-2 RBM-PspAの免疫によりSARS-CoV-2感染防御効果が確認された。
試験例5
本試験例では、SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫による肺炎球菌に対する感染防御効果を評価した。
図14及び図15の手順に従って、以下の通り、SARS-CoV-2 RBM-PspAをマウスに免疫し、PspA特異的抗体誘導を評価し、免疫マウスに肺炎球菌 (clade5)を呼吸器感染させ、生存率から防御効果を評価した。
試験例2の手順にて、マウスにSARS-CoV-2 RBM-PspAを免疫し、免疫血清を取得した。96 well plateにPspAを0.05 μgとなるように播種し、4℃で一晩固相化した。0.05% Tween20含有PBS 200 μl×3回洗浄した後に、1% BSA含有PBS 200 μlを加えて、室温で2時間ブロッキングした。0.05% Tween20含有PBS 200 μl×3回洗浄した後に、1% BSA, 0.05 % Tween20含有PBSで希釈した血清100 μlを加え、室温で2時間反応させた。0.05% Tween20含有PBS 200 μl×3回洗浄した後に、1% BSA, 0.05 % Tween20含有PBSで4000倍希釈したGoat anti-mouse IgG-HRP 100 μlを加え、室温で1時間反応させた。0.05% Tween20含有PBS 200 μl×3回洗浄した後に、TMB 100 μlを加え、室温で2分間反応させた。0.5 N HCl 50 μlを加えて反応停止後に、吸光度450 nmを測定した。結果を図16に示す。図16に示す通り、SARS-CoV-2 RBM-PspA及びPspA免疫群において、PspA特異的抗体の誘導が確認された。
また、最終免疫の2週間後に肺炎球菌 (ATCC6303) 2.5×105 CFUを呼吸器感染させ、14日間の生存を観察した。また、感染前の体重に比べて20%以上体重減少が認められた個体は麻酔下で安楽死させた。結果を図17に示す。図17に示す通り、SARS-CoV-2 RBM-PspA及びPspAによる肺炎球菌感染防御効果が確認された。
まとめ
以上の試験例から、(A)大腸菌発現系で収量の低いSARS-CoV-2 RBMにPspAを融合することで生産性が上がること、(B)T細胞エピトープを有していないSARS-CoV-2 RBMではSARS-CoV-2 RBMに対するIgG抗体が誘導されないが、PspAを融合することによりSARS-CoV-2 RBMに対するIgG抗体が産生されること、(C)SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清はSARS-CoV-2を中和すること(in vitro)、(D)SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清はSARS-CoV-2を感染防御すること、及び(E)SARS-CoV-2 RBM-PspA免疫血清は肺炎球菌を感染防御することが示された。
配列番号2は、SARS-CoV-2のRBMをコードする塩基配列のコドン最適化配列である。
配列番号3は、合成GSリンカー配列である。

Claims (11)

  1. SARS-CoV-2の受容体結合モチーフと、SARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の他の抗原とを含み、少なくとも前記SARS-CoV-2及び前記微生物に対する免疫を誘導する、多価ワクチン抗原。
  2. 前記受容体結合モチーフと前記他の抗原とが融合体を形成している、請求項1に記載の抗原。
  3. 前記受容体結合モチーフがT細胞エピトープを有さず、前記他の抗原がT細胞エピトープを有する、請求項1又は2に記載の抗原。
  4. 前記他の抗原が肺炎球菌表面タンパク質Aである、請求項1~3のいずれかに記載の抗原。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の抗原を含む多価ワクチン。
  6. SARS-CoV-2の受容体結合モチーフをコードするDNAとSARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の他の抗原をコードするDNAとを宿主細胞に導入し、形質転換体を得る工程1と、
    前記形質転換体を培養し、培養物を得る工程2と、
    前記培養物から、前記受容体結合モチーフと前記他の抗原とを含む産生物を回収する工程3と、を含む、多価ワクチン抗原の製造方法。
  7. 工程1において、前記宿主細胞に、前記受容体結合モチーフをコードするDNAと前記他の抗原をコードするDNAとを含む組み換えベクターを導入する、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記宿主細胞が大腸菌又は動物細胞である、請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 前記他の抗原が肺炎球菌表面タンパク質Aである、請求項6~8のいずれかに記載の製造方法。
  10. SARS-CoV-2の受容体結合モチーフと、SARS-CoV-2以外の少なくとも1つの微生物由来の他の抗原とに特異的なポリクローナル抗体。
  11. 請求項1~4のいずれかに記載の多価ワクチン抗原を動物に免疫し得られる、ポリクローナル抗体。
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