JP2022062813A - 箱形断面部材およびその設計方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】箱形断面部材を構成する各鋼板が有する耐力を有効に活用して、合理的な構造とすることのできる、箱形断面部材およびその設計方法を提供する。【解決手段】複数の鋼板を、矩形状断面となるように組み合わせた状態で溶接して形成される箱形断面部材において、前記複数の鋼板のうち、向かい合う一対の面に配置される第一の鋼板の板厚t1、板幅D1および降伏強度σy1、ならびに、向かい合う他の一対の面に配置される第二の鋼板の板厚t2、板幅D2および降伏強度σy2が、t1>t2およびσy1<σy2の関係を満たすとともに、前記第一の鋼板がウェブとなる方向に曲げを受けるときの最大曲げ耐力Myh1、前記第二の鋼板がウェブとなる方向に曲げを受けるときの最大曲げ耐力Myh2が、所定の式の関係を満たすようにする。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の鋼板を矩形に組み合わせて溶接して製作される箱形断面部材およびその設計方法に関する。
建築物等の構造物の柱部材には、冷間ロール成形角形鋼管柱、冷間プレス成形角形鋼管柱、溶接組立箱形断面柱等の角形鋼管が用いられることが多い。これらのうち、冷間ロール成形角形鋼管や冷間プレス成形角形鋼管は比較的安価であり、中低層建築物や高層建築物の柱部材に多く用いられている。一方、超高層建築物では、柱部材に要求される剛性および耐力が非常に大きいため、大断面化・厚肉化・高強度化が可能な溶接組立箱形断面部材からなる柱が多く用いられている。
溶接組立箱形断面部材を構成する4枚の鋼板(スキンプレート)には、設計の簡便さ等から、強度および板厚が同じものが用いられることが一般的である。これに対し、特許文献1および特許文献2に開示されるように、箱形断面部材を構成する4枚の鋼板のうち、向かい合う一対の鋼板の強度および板厚を、他の一対の鋼板の強度および板厚とは変えることによって、溶接組立箱形断面部材の設計の自由度を増やすとともに、鋼板同士を接合する角溶接の溶接量を減らす技術が開示されている。
特開平4-366257号公報 特開2017-179723号公報
ここで、特許文献1および特許文献2に開示されるような箱形断面部材は、この箱形断面部材に軸方向力および曲げモーメントが作用するときに、低強度鋼板に発生する軸方向応力が降伏強度に到達して塑性化するタイミングで、箱形断面部材全体が降伏耐力に到達するものと評価して、箱形断面部材の設計を行う。これについて、具体的に説明する。
図7(a)に示すように、4枚の鋼板を、矩形状断面となるように組み合わせた状態で溶接して形成される箱形断面部材8において、向かい合う一対の鋼板81の板厚がt、降伏強度がσy1であり、向かい合う他の一対の鋼板82の板厚がt、降伏強度がσy2(ただし、σy1<σy2)であり、鋼板82の板厚中心間距離がdc1、鋼板81の板厚中心間距離がdc2である場合を考える。
この箱形断面部材8に軸方向力および曲げモーメントが作用するときの、箱形断面部材8の耐力について考える。ここでは、箱形断面部材8の断面が平面保持されるものと仮定する。また、図7(b)に示すように、箱形断面部材8の断面は、板幅に対して板厚が十分に小さく、鋼板81および鋼板82が板厚の中心に集中しているものと仮定する。
軸方向力および曲げモーメントを受ける箱形断面部材8の断面に発生する軸方向応力の分布は、鋼板81および鋼板82の両方とも弾性範囲内にある場合には、図8(a)および図8(b)のようになる。図8(a)には、箱形断面部材8が鋼板81と平行な面内で曲げモーメントを受ける場合を、図8(b)には、箱形断面部材8が鋼板82と平行な面内で曲げモーメントを受ける場合を示している。
箱形断面部材8の降伏曲げモーメントMは、箱形断面部材8の断面に発生する軸方向応力の最大値(図8(a)および図8(b)におけるσmax)が、降伏強度が低い方の鋼板81の降伏強度σy1に到達するときに、箱形断面部材8にかかる曲げモーメントである。したがって、箱形断面部材8の降伏曲げモーメントMは、下記(3)式および下記(4)式のとおり計算される。
(a) 鋼板81と平行な面内で曲げモーメントが作用する場合
Figure 2022062813000002
(b) 鋼板82と平行な面内で曲げモーメントが作用する場合
Figure 2022062813000003
ただし、Nは箱形断面部材8に作用する軸方向力であり、N=2dc1σy1+2dc2σy2である。
ここで、箱形断面部材8を構成する鋼板81および鋼板82のうち、降伏強度が高い方の鋼板82は、降伏強度が低い方の鋼板81よりも、一様伸びや破断伸びが小さく、降伏比が大きい場合が多い。つまり、降伏強度が高い方の鋼板82は、降伏強度が低い方の鋼板81よりも、塑性化が進むと早期に破断が発生するリスクが大きい。よって、箱形断面部材8の塑性変形能力を高めるためには、降伏強度が高い方の鋼板82の塑性化をなるべく小さくとどめるべきと考えられる。
しかし、上記式(3)および上記式(4)のように、降伏強度が低い方の鋼板81の軸方向応力が降伏強度σy1に到達して塑性化するタイミングの箱形断面部材8の降伏曲げモーメントMを用いて、箱形断面部材8の降伏耐力を評価すると、このタイミングでは、降伏強度が高い方の鋼板82がまだ降伏強度σy2に到達しておらず余力が残っていることになる。したがって、降伏強度が高い方の鋼板82の耐力が十分に活かされず、箱形断面部材8は必ずしも合理的な設計となっていない問題がある。
本発明は、当該問題に鑑みて完成されたものであり、箱形断面部材を構成する各鋼板が有する耐力を有効に活用して、合理的な構造とすることのできる、箱形断面部材およびその設計方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 複数の鋼板を、矩形状断面となるように組み合わせた状態で溶接して形成される箱形断面部材であって、前記複数の鋼板のうち、向かい合う一対の面に配置される第一の鋼板の降伏強度σy1、および、向かい合う他の一対の面に配置される第二の鋼板の降伏強度σy2が、σy1<σy2の関係を満たすとともに、前記第一の鋼板および前記第二の鋼板の各々は、前記箱形断面部材の使用時に該箱形断面部材の断面の各位置に発生することを設計上想定する垂直応力の最大値σmaxが、σy1<σmax<σy2の関係を満たすことを特徴とする箱形断面部材。
[2] 前記箱形断面部材に軸方向力Nおよび前記第一の鋼板と平行な面内で曲げモーメントが作用するときの最大曲げモーメントMy1と、前記箱形断面部材に軸方向力Nおよび前記第二の鋼板と平行な面内で曲げモーメントが作用するときの最大曲げモーメントMy2とが、前記軸方向力Nに対して、下記式(1)および下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする[1]に記載の箱形断面部材。
Figure 2022062813000004
Figure 2022062813000005
ただし、tは前記第一の鋼板の板厚、tは前記第二の鋼板の板厚、dc1は前記第二の鋼板の板厚中心間距離、dc2は前記第一の鋼板の板厚中心間距離、N=2dc1σy1+2dc2σy2である。
[3] 前記第一の鋼板の板厚tと、前記第二の鋼板の板厚tとが、t>tの関係を満たすことを特徴とする[1]または[2]に記載の箱形断面部材。
[4] 前記第二の鋼板の引張強度が780N/mm以上であることを特徴とする[1]~[3]のいずれかに記載の箱形断面部材。
[5] 複数の鋼板を、矩形状断面となるように組み合わせた状態で溶接して形成される箱形断面部材の設計方法であって、前記複数の鋼板のうち、向かい合う一対の面に配置される第一の鋼板の降伏強度σy1、および、向かい合う他の一対の面に配置される第二の鋼板の降伏強度σy2が、σy1<σy2の関係を満たすようにするとともに、前記箱形断面部材の使用時に該箱形断面部材の断面の各位置に発生することを設計上想定する垂直応力の最大値σmaxが、σy1<σmax<σy2の関係を満たすように、前記第一の鋼板の板厚t、板幅および降伏強度σy1、ならびに、前記第二の鋼板の板厚t、板幅および降伏強度σy2の大きさを設定することを特徴とする箱形断面部材の設計方法。
[6] 前記第一の鋼板の板厚tと、前記第二の鋼板の板厚tとが、t>tの関係を満たすようにすることを特徴とする[5]に記載の箱形断面部材の設計方法。
[7] 前記第二の鋼板として、引張強度が780N/mm以上の鋼板を用いることを特徴とする[5]または[6]に記載の箱形断面部材の設計方法。
本発明の箱形断面部材およびその設計方法によれば、箱形断面部材を構成する4枚の鋼板のうち、向かい合う一対の鋼板の強度と、他の一対の鋼板の強度とが異なる場合に、箱形断面部材を構成する各鋼板が有する耐力を有効に活用でき、箱形断面部材を合理的な構造とすることができる。
特に、一対の鋼板の強度と、他の一対の鋼板の強度とが異なる箱形断面部材において、高強度側の鋼板が有する耐力が有効に活用され、高強度側の鋼板の塑性化を防ぎつつ、箱形断面部材の塑性変形能力を有効に発揮させることができる。
図1は、本発明の箱形断面部材の一例を示す断面図である。 図2(a)および図2(b)は、本発明の箱形断面部材に軸方向力および曲げモーメントが作用するときに発生する軸方向応力の分布を説明する模式図である。 図3(a)および図3(b)は、本発明の箱形断面部材に軸方向力または曲げモーメントが作用するときに発生する軸方向応力の分布を説明する模式図である。 図4(a)および図4(b)は、本発明の箱形断面部材に軸方向力または曲げモーメントが作用するときに発生する軸方向応力の分布を説明する模式図である。 図5は、本発明の箱形断面部材の高強度鋼板降伏耐力を説明するグラフである。 図6は、本発明の箱形断面部材の高強度鋼板降伏耐力の例を説明するグラフである 図7は、従来の箱形断面部材の一例を示す断面図である。 図8は、従来の箱形断面部材に軸方向力および曲げモーメントが作用するときに発生する軸方向応力の分布を説明する模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の箱形断面部材およびその設計方法の一実施形態について、具体的に説明する。
本実施形態の箱形断面部材の設計方法は、図1に示すように、4枚の鋼板11、12を、矩形状断面となるように組み合わせた状態で溶接して形成される箱形断面部材1の設計方法である。
これら4枚の鋼板11、12のうち、互いに対向する一対の面に配置される第一の鋼板11の板厚tは、互いに対向する他の一対の面に配置される第二の鋼板12の板厚tよりも、大きく設定されている。また、第一の鋼板11の降伏強度σy1は、第二の鋼板12の降伏強度σy2よりも、小さく設定されている。これにより、第一の鋼板11の降伏強度σy1と第二の鋼板12の降伏強度降伏強度σy2が異なっていても、第一の鋼板11の断面全体の強度と第二の鋼板12の断面全体の強度が、比較的近い大きさに設定される。
そして、本実施形態の箱形断面部材の設計方法では、箱形断面部材1の使用時にこの箱形断面部材1に入力することを設計上想定する軸方向力および曲げモーメントにより、箱形断面部材1の断面の各位置に発生しうる垂直応力の最大値σmaxが、σy1<σmax<σy2の関係を満たすようにする。
具体的には、第一の鋼板11の板厚t、板幅および降伏強度σy1、ならびに、第二の鋼板12の板厚t、板幅および降伏強度σy2の大きさを適宜設定することによって、上記のような設計を実現する。
本実施形態の箱形断面部材1は、上記の設計方法により設計された箱形断面部材の一例である。箱形断面部材1は、この箱形断面部材1に軸方向力Nおよび第一の鋼板11と平行な面内で曲げモーメントが作用するときの最大曲げモーメントMy1と、箱形断面部材1に軸方向力Nおよび第二の鋼板12と平行な面内で曲げモーメントが作用するときの最大曲げモーメントMy2とが、軸方向力Nに対して、下記式(1)および下記式(2)の関係を満たすように、構成されている。
Figure 2022062813000006
Figure 2022062813000007
ただし、dc1は前記第二の鋼板の板厚中心間距離、dc2は前記第一の鋼板の板厚中心間距離、N=2dc1σy1+2dc2σy2である。
本発明の箱形断面部材およびその設計方法では、上記式(3)および上記式(4)の降伏曲げモーメントMに代えて、第一の鋼板11が降伏強度に到達して塑性化した後に第二の鋼板12が降伏強度に到達するときの曲げモーメントを用いて、箱形断面部材1の耐力を評価している。以下では、第一の鋼板11が降伏強度に到達して塑性化した後に第二の鋼板12が降伏強度に到達するときの箱形断面部材1の耐力を「高強度鋼板降伏耐力」と呼ぶこととする。つまり、高強度鋼板降伏耐力とは、地震力等により箱形断面部材1に大きな軸方向力および曲げモーメントが作用するとき、伸びが大きい低強度側の鋼板からなる第一の鋼板11の塑性化は許容するものの、伸びが小さい高強度側の鋼板からなる第二の鋼板12の塑性化を防ぐことのできる耐力である。
本実施形態の箱形断面部材1に軸方向力および曲げモーメントが作用して高強度鋼板降伏耐力に到達するときの曲げモーメントMyh1、Myh2について考える。ここでは、箱形断面部材1の断面が平面保持されるものと仮定する。また、箱形断面部材1の断面は、板幅に対して板厚が十分に小さく、第一の鋼板11および第二の鋼板12が板厚の中心に集中しているものと仮定する。第一の鋼板11および第二の鋼板12の応力-歪関係は、完全弾塑性型とする。
本実施形態の箱形断面部材1に軸方向力および曲げモーメントが作用して高強度鋼板降伏耐力に到達するとき、箱形断面部材1の断面に発生する軸方向応力の分布は、図2(a)に示すようになる。そして、図2(a)に示す第一の鋼板11および第二の鋼板12に発生する軸方向応力は、図2(b)に示すように、箱形断面部材1に作用する軸方向力に起因する成分と、箱形断面部材1に作用する曲げモーメントに起因する成分とに分けることができる。
図2(a)および図2(b)では、第一の鋼板11に発生する軸方向応力の分布を灰色の矢印で示し、第二の鋼板12に発生する軸方向応力の分布を黒色の矢印で示している。
図2(b)に示すように、第一の鋼板11および第二の鋼板12に発生する軸方向応力のうち、箱形断面部材1に作用する軸方向力に起因する成分は、箱形断面部材1の断面の中央から部材端に対象に分布する。一方、第一の鋼板11および第二の鋼板12に発生する軸方向応力のうち、箱形断面部材1に作用する曲げモーメントに起因する成分は、複雑に分布する。よって、箱形断面部材1に軸方向力および曲げモーメントが作用して高強度鋼板降伏耐力に到達するときの曲げモーメントMyh1、Myh2を正確に計算しようとすると、計算量が膨大となり現実的でない。
そこで、本実施形態では、後述のようにして、箱形断面部材1が高強度鋼板降伏耐力に到達する時の曲げモーメントMyh1、Myh2を略算する。
図3(a)および図4(a)には、箱形断面部材1に軸方向力のみが作用して高強度鋼板降伏耐力に到達するときの、軸方向応力の分布を示す。また、図3(b)および図4(b)には、箱形断面部材1に曲げモーメントのみが作用して高強度鋼板降伏耐力に到達するときの、軸方向応力の分布を示す。図3(b)には、第一の鋼板11と平行な面内で曲げモーメントが作用する場合を示し、図4(b)には、第二の鋼板12と平行な面内で曲げモーメントが作用する場合を示している。
図3(a)および図4(a)のように、箱形断面部材1に軸方向力のみが作用して高強度鋼板降伏耐力に到達するときに、箱形断面部材1に作用する軸方向力Nyh0は、下記(5)式のように計算される。
(a)軸方向力のみが作用する場合
Figure 2022062813000008
また、図3(b)および図4(b)のように、箱形断面部材1に曲げモーメントのみが作用して高強度鋼板降伏耐力に到達するときに、箱形断面部材1に作用する曲げモーメントMyh01、Myh02は、下記(6)式および下記(7)式のように計算される。
(b)曲げモーメントのみが作用する場合(図3(b)に示すように、第一の鋼板11と平行な面内で曲げモーメントが作用する場合)
Figure 2022062813000009
(c)曲げモーメントのみが作用する場合(図4(b)に示すように、第二の鋼板12と平行な面内で曲げモーメントが作用する場合)
Figure 2022062813000010
そして、軸方向力と曲げモーメントが同時に作用する箱形断面部材1が高強度鋼板降伏耐力に到達するときの、軸方向力Nおよび曲げモーメントMyh1またはMyh2は、図5に示すように、上記式(5)~式(7)により算出されるNyh0とMyh01の二点を結ぶ直線またはNyh0とMyh02の二点を結ぶ直線上に分布するものとする。
このとき、箱形断面部材1が高強度鋼板降伏耐力に到達するときの曲げモーメントMyh1またはMyh2は、箱形断面部材1の軸力比をnとすると、下記式(8)、式(9)のように計算される。
(a)第一の鋼板11と平行な面内で曲げモーメントが作用する場合
Figure 2022062813000011
(b)第二の鋼板12と平行な面内で曲げモーメントが作用する場合
Figure 2022062813000012
ここで、箱形断面部材1に作用する軸方向力をNとすると、軸力比nは、下記式(10)で表される。
n=N/Nyh0 ……(10)
したがって、上記式(8)および上記式(9)は、下記式(11)および下記式(12)のように書き換えられる。
Figure 2022062813000013
Figure 2022062813000014
軸方向力と曲げモーメントが同時に作用する箱形断面部材1が高強度鋼板降伏耐力到達に到達する時の曲げモーメントの実際の値は、降伏曲線の非凹性を満たすため、図5に破線で示すように、Nyh0とMyh01の二点を結ぶ直線またはNyh0とMyh02の二点を結ぶ直線よりも上側に凸に膨らむ曲線になると考えられる。よって、上記式(11)および上記式(12)で計算される箱形断面部材1の高強度降伏耐力の概算値を、箱形断面部材1の設計に用いることにより、実際の高強度降伏耐力の値を用いるよりも安全側の設計となる。
そこで、箱形断面部材1では、この箱形断面部材1に軸方向力および第一の鋼板11と平行な面内で曲げモーメントが作用するときの最大曲げモーメントMy1と、箱形断面部材1に軸方向力および第二の鋼板12と平行な面内で曲げモーメントが作用するときの最大曲げモーメントMy2とが、それぞれ上記式(11)および上記式(12)により計算される曲げモーメントMyh1、Myh2以下となるようにするとともに、従来の方法に従って上記式(3)および上記(4)により計算される降伏曲げモーメントMよりも大きくなるようにする、すなわち、上記式(1)および上記式(2)を満たすようにしている。
また、第一の鋼板11の降伏強度σy1と第二の鋼板12の降伏強度σy2の差が大きいほど、上記式(11)および上記式(12)により計算される箱形断面部材1の高強度降伏耐力到達時の曲げモーメントMyh1と、上記式(3)および上記式(4)により計算される降伏曲げモーメントMとの差が大きくなる。したがって、箱形断面部材1の第二の鋼板12として、引張強度が780N/mm以上の高強度鋼板を用いると、このような高強度鋼板は弾性範囲内で使用することが想定されているので、第二の鋼板12が有する耐力を有効に活用でき、箱形断面部材1をさらに合理的な構造とすることができる。
なお、上記の実施形態では、第一の鋼板11の板厚tが、第二の鋼板12の板厚tよりも大きく設定されている例について説明したが、本発明の箱形断面部材およびその設計方法は、第一の鋼板11の板厚tが、第二の鋼板12の板厚t以下である場合にも適用可能である。
図1に示すように、箱形断面部材1を構成する4枚の鋼板のうち、向かい合う一対の鋼板の強度と、他の一対の鋼板の強度とが異なるものについて、従来の方法に従って上記式(3)および上記(4)により計算される降伏曲げモーメントMを用いて耐力を評価した場合と、本発明に従って上記式(11)および上記式(12)により計算される高強度鋼板降伏耐力を用いて耐力を評価した場合との比較を行った。
本比較では、第一の鋼板11側の部材幅Dは800mm、第一の鋼板11の降伏強度σy1は385N/mm、板厚tは80mmとし、第二の鋼板12側の部材幅Dは800mm、第二の鋼板12の降伏強度σy2は630N/mm、板厚tは50mmとした。また、第一の鋼板11と平行な面内で曲げモーメントが作用する載荷方向を載荷方向Aとし、第二の鋼板12と平行な面内で曲げモーメントが作用する載荷方向を載荷方向Bとした。
図6に、従来の方法に従って計算された降伏曲げモーメントと、本発明に従って計算された高強度鋼板降伏耐力とを、比較して示す。
図6に示されるとおり、載荷方向が同じもの同士を比較すると、高強度鋼板降伏耐力による耐力の評価値は、降伏曲げモーメントによる耐力の評価値よりも高くなっている。
曲げモーメントが作用せず軸方向力のみ作用する場合は、高強度鋼板降伏耐力による耐力の評価値は、降伏曲げモーメントによる耐力の評価値よりも約20%高くなっている。また、軸方向力が作用せず曲げモーメントのみが作用する場合は、載荷方向Aでは約50%、載荷方向Bでは約12%程度、耐力の評価値が高くなっている。このように、本発明の箱形断面部材およびその設計方法によれば、高強度鋼板降伏耐力を用いて耐力を評価することにより、箱形断面部材を構成する各鋼板が有する耐力、特に第二の鋼板の耐力を有効に活用でき、箱形断面部材を合理的な構造とすることができることが確認された。
1 箱形断面部材
11 第一の鋼板
12 第二の鋼板
13 角溶接
第一の鋼板の板厚
第二の鋼板の板厚
σy1 第一の鋼板の降伏強度
σy2 第二の鋼板の降伏強度
c1 第一の鋼板の板厚中心間距離
c2 第二の鋼板の板厚中心間距離

Claims (7)

  1. 複数の鋼板を、矩形状断面となるように組み合わせた状態で溶接して形成される箱形断面部材であって、
    前記複数の鋼板のうち、向かい合う一対の面に配置される第一の鋼板の降伏強度σy1、および、向かい合う他の一対の面に配置される第二の鋼板の降伏強度σy2が、σy1<σy2の関係を満たすとともに、
    前記第一の鋼板および前記第二の鋼板の各々は、前記箱形断面部材の使用時に該箱形断面部材の断面の各位置に発生することを設計上想定する垂直応力の最大値σmaxが、σy1<σmax<σy2の関係を満たすこと
    を特徴とする箱形断面部材。
  2. 前記箱形断面部材に軸方向力Nおよび前記第一の鋼板と平行な面内で曲げモーメントが作用するときの最大曲げモーメントMy1と、前記箱形断面部材に軸方向力Nおよび前記第二の鋼板と平行な面内で曲げモーメントが作用するときの最大曲げモーメントMy2とが、前記軸方向力Nに対して、下記式(1)および下記式(2)の関係を満たすこと
    を特徴とする請求項1に記載の箱形断面部材。
    Figure 2022062813000015
    Figure 2022062813000016
    ただし、tは前記第一の鋼板の板厚、tは前記第二の鋼板の板厚、dc1は前記第二の鋼板の板厚中心間距離、dc2は前記第一の鋼板の板厚中心間距離、N=2dc1σy1+2dc2σy2である。
  3. 前記第一の鋼板の板厚tと、前記第二の鋼板の板厚tとが、t>tの関係を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の箱形断面部材。
  4. 前記第二の鋼板の引張強度が780N/mm以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の箱形断面部材。
  5. 複数の鋼板を、矩形状断面となるように組み合わせた状態で溶接して形成される箱形断面部材の設計方法であって、
    前記複数の鋼板のうち、向かい合う一対の面に配置される第一の鋼板の降伏強度σy1、および、向かい合う他の一対の面に配置される第二の鋼板の降伏強度σy2が、σy1<σy2の関係を満たすようにするとともに、
    前記箱形断面部材の使用時に該箱形断面部材の断面の各位置に発生することを設計上想定する垂直応力の最大値σmaxが、σy1<σmax<σy2の関係を満たすように、前記第一の鋼板の板厚t、板幅および降伏強度σy1、ならびに、前記第二の鋼板の板厚t、板幅および降伏強度σy2の大きさを設定すること
    を特徴とする箱形断面部材の設計方法。
  6. 前記第一の鋼板の板厚tと、前記第二の鋼板の板厚tとが、t>tの関係を満たすようにすることを特徴とする請求項5に記載の箱形断面部材の設計方法。
  7. 前記第二の鋼板として、引張強度が780N/mm以上の鋼板を用いることを特徴とする請求項5または6に記載の箱形断面部材の設計方法。
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