JP2022061319A - 車両用ブレーキシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 スムーズストップ制御を実行するブレーキシステムの実用性を向上させる。【解決手段】 車両の停止直前に、車両の停止に伴う車体の揺れ戻しを軽減するために、車両走行速度に基づいて、車両の停止直前にブレーキ力を弱めるスムーズストップ制御を実行するブレーキシステムを、車輪に付与すべきブレーキ力である目標ブレーキ力FFL*,FFR*,,FRL*,FRR*を決定し、車両に付与されている実際のブレーキ力である実ブレーキ力FFL,FFR,,FRL,FRRを目標ブレーキ力とするためのフィードバック制御を実行するように構成し、かつ、スムーズストップ制御によって車両が停止したときに、実ブレーキ力の振動的な変動を防止するために、(a) 目標ブレーキ力を変更することと、(b) フィードバック制御における不感帯の幅を変更することとの少なくとも一方を行うように構成する。車両停止後における異音の発生が防止・軽減される。【選択図】 図16

Description

本発明は、車両に搭載されるブレーキシステムに関する。
昨今、車両用ブレーキシステムにおいて、例えば、下記特許文献に記載されているように、車両の停止に伴う車体の揺れ戻しを軽減するための制御として、車両の停止直前にブレーキ力を弱める制御(以下、「スムーズストップ制御」という場合がある)を実行することが検討されている。
特開2006-298184号公報
スムーズストップ制御は、未だ開発途上にあり、改善の余地が多分に残されている。例えば、当該制御を実行する際に参照する車両走行速度の精度,スムーズストップ制御中にブレーキペダル(「ブレーキ操作部材」の一種である)を踏み増した際に運転者に与える違和感,車両停止後のブレーキ力の振動的変動による異音の発生等の問題への対処である。それらの問題の少なくとも1つに対処することで、車両用ブレーキシステムの実用性は向上する。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用ブレーキシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用ブレーキシステムは、
運転者に操作されるブレーキ操作部材と、
車輪にブレーキ力を付与するブレーキ装置と、
ブレーキ操作部材の操作に応じたブレーキ力を付与すべくブレーキ装置を制御するとともに、車両の停止直前に、車両の停止に伴う車体の揺れ戻しを軽減するために、車両走行速度に基づいて、車両の停止直前にブレーキ力を弱めるスムーズストップ制御を実行するコントローラと
を備えて車両に搭載される車両用ブレーキシステムであって、
第1のシステムは、当該車両用ブレーキシステムが、電動モータを駆動源として備えた車両に搭載されており、
車輪の回転速度に基づく車両走行速度を車輪速依拠車速と、電動モータの回転速度に基づく車両走行速度をモータ速依拠車速と、それぞれ定義した場合に、
コントローラが、車輪速依拠車速とモータ速依拠車速との差を推定するとともに、モータ速依拠車速にその差を加味した車両走行速度である参照速度に基づいてスムーズストップ制御を実行するように構成され、
第2のシステムは、
コントローラが、スムーズストップ制御において、
車輪に付与すべきブレーキ力である目標ブレーキ力を、ブレーキ操作部材の操作に基づく基本成分と車両走行速度に基づく車速依拠成分とを加算することによって決定するとともに、
ブレーキ操作部材の操作の程度に応じて基本成分と車速依拠成分との配分比率を変更するように構成され、
第3のシステムは、
コントローラが、
車輪に付与すべきブレーキ力である目標ブレーキ力を決定し、車輪に付与されている実際のブレーキ力である実ブレーキ力を目標ブレーキ力とするためのフィードバック制御を実行し、
スムーズストップ制御によって車両が停止したときに、実ブレーキ力の振動的な変動を防止するために、(a) 目標ブレーキ力を変更することと、(b) フィードバック制御における不感帯の幅を変更することとの少なくとも一方を行うように構成される。
第1のシステムによれば、比較的高い精度の車両走行速度に基づいてスムーズストップ制御が実行されるため、そのスムーズストップ制御は、精度の高いものとなる。第2のシステムによれば、スムーズストップ制御の最中であっても、ブレーキ操作部材をブレーキ力が増加する方向に操作したときに、適切にブレーキ力を増加させることができるため、運転者が感じる違和感を防止・軽減することが可能となる。第3のシステムによれば、スムーズストップ制御によって車両が停止したときであっても、ブレーキ力が振動的に変動することを抑制することが可能となるため、当該システムにおける異音の発生が防止・軽減されることになる。ここでの説明は簡単なものに留めるが、各システムについての詳しい説明は、後に行う。
実施例の車両用ブレーキシステムの全体構成、および、当該システムが搭載された車両の全体構成を示す模式図である。 実施例の車両用ブレーキシステムが備える液圧ブレーキ装置の液圧回路を示す図である。 図2の液圧ブレーキ装置の車輪制動器を模式的に示す断面図である。 実施例の車両用ブレーキシステムが備える電動ブレーキ装置を示す図である。 図4の電動ブレーキ装置を構成する電動アクチュエータを示す断面図である。 各車輪に配置されている車輪速センサ、および、車両駆動システムが駆動源として有する電動モータのモータ回転角センサの構造を説明するための図である。 スムーズストップ制御の実行中にブレーキペダルを踏み増したときのブレーキ力の変化を模式的に示すグラフである。 スムーズストップ制御の終了時におけるブレーキ力の変化を模式的に示すグラフである。 スムーズストップ制御において用いられる成分比率,車速係数を示す成分比率マップ,車速係数マップである。 スムーズストップ制御における目標ブレーキ力の再決定の手法を模式的に示すブロック図である。 ブレーキシステムにおいて実行されるブレーキ統括制御プログラムのフローチャートである。 ブレーキ統括制御プログラムを構成するブレーキ力決定サブルーチンおよび通常ブレーキ制御サブルーチンのフローチャートである。 ブレーキ統括制御プログラムを構成するスムーズストップ制御サブルーチン、および、そのサブルーチンを構成する終了処理サブルーチンのフローチャートである。 ブレーキシステムにおいて実行される前輪ブレーキ制御プログラムのフローチャートである。 ブレーキシステムにおいて実行される後輪ブレーキ制御プログラムのフローチャートである。 ブレーキシステムにおいて実行可能な別の終了処理サブルーチンのフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例である車両用ブレーキシステムを、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
[A]車両駆動システムの構成
実施例の車両用ブレーキシステム(以下、単に、「ブレーキシステム」という場合がある)2が搭載される車両は、図1に模式的に示すように、前輪10F,後輪10R(車輪10と総称する場合がある)が2つずつあるハイブリッド車両であり、2つの前輪10Fが駆動輪とされている。まず、車両駆動システム4について説明すれば、本車両に搭載されている車両駆動システム4は、駆動源としてのエンジン12と、主に発電機として機能するジェネレータ14と、それらエンジン12,ジェネレータ14が連結される動力分割機構16と、もう1つの駆動源として電動モータである駆動モータ18とを有している。
動力分割機構16は、エンジン12の回転を、ジェネレータ14の回転と出力軸の回転とに分割する機能を有している。駆動モータ18は、減速機として機能するリダクション機構20を介して出力軸に繋げられている。出力軸の回転は、差動機構22,ドライブシャフト24L,24Rを介して伝達され、左右の前輪10Fが回転駆動される。ジェネレータ14は、インバータ26Gを介してバッテリ28に繋がれており、ジェネレータ14の発電によって得られる電気エネルギは、バッテリ28に蓄えられる。また、駆動モータ18も、インバータ26Mを介してバッテリ28に繋がれており、駆動モータ18の作動,ジェネレータ14の作動は、インバータ26M,インバータ26Gを制御することによって制御される。
車両駆動システム4は、回生ブレーキ装置としても機能する。車両減速時には、前輪10Fの回転によって、駆動モータ18は、バッテリ28からの電力の供給を受けずして回転する。その回転によって生じる起電力を利用して、駆動モータ18は発電し、その発電した電力は、インバータ26Mを介して、バッテリ28に電気量として蓄積される。つまり、駆動モータ18を発電機として機能させてバッテリ28が充電されるのである。充電された電気量に相当するエネルギの分だけ、前輪10Fの回転が、つまり、車両が減速させられる。本車両では、そのような回生ブレーキ装置が構成されているのである。この駆動システム4によって前輪10Fに付与されるブレーキ力(以下、「回生ブレーキ力」という場合がある)は、発電量に依拠するものであり、生じる回生ブレーキ力は、インバータ26Mの制御によって制御される。回生ブレーキ装置としても機能する車両駆動システム4は、一般的な構成のものを採用することができるため、それらについての詳しい説明は、省略することとする。なお、本車両駆動システム4の制御は、コンピュータを主要構成要素とするハイブリッド駆動電子制御ユニット(以下、「HBD-ECU」という場合がある)30によって行われる。
[B]車両用ブレーキシステムの構成
実施例のブレーキシステム2は、図1に模式的に示すように、大まかには、車両駆動システム4による回生ブレーキ力とは別に、2つの前輪10Fの各々にブレーキ力を付与する液圧ブレーキ装置32と、2つの後輪10Rにそれぞれブレーキ力を付与する2つの電動ブレーキ装置34とを含んで構成されている。
(a)液圧ブレーキ装置の構成
i)全体構成
液圧ブレーキ装置32は、大まかには、 (a)運転者によって操作されるブレーキ操作部材であるブレーキペダル40が連結されたマスタシリンダ42と、 (b)マスタシリンダ42からの作動液を自身を通過させることによって供給し、若しくは、自身が有するポンプ(後述する)によって加圧された作動液を調圧して供給するアクチュエータユニット44と、 (c)左右の前輪10Fにそれぞれ設けられて、アクチュエータユニット44から供給される作動液の圧力により、左右の前輪10Fの各々の回転を減速するための2つの車輪制動器46とを含んで構成されている。ちなみに、液圧ブレーキ装置32は、左右の前輪10Fに対応する2系統の装置とされている。なお、アクチュエータユニット44は、複数の構成要素が一体化されたブレーキアクチュエータと考えることができ、作動液を調圧して供給する調圧装置として機能する。
ii)マスタシリンダの構成
マスタシリンダ42は、図2に示すように、ハウジング内部に、ブレーキペダル40に連結されるとともに互いに直列的に配置された2つのピストン42aと、それらピストン42aの移動によって自身に導入された作動液が加圧される2つの加圧室42bとを含むタンデム型のシリンダ装置であり、作動液を大気圧下において貯留するリザーバ48が付設されている。つまり、リザーバ48は、マスタシリンダ42の近傍に配置され、そのリザーバ48からの作動液が、2つの加圧室42bの各々において加圧されるようになっている。そして、マスタシリンダ42は、ブレーキペダル40に加えられた力(以下、「ブレーキ操作力」と言う場合がある)に応じた圧力の作動液を、2つの前輪10Fに対応した2つの系統の各々ごとに、アクチュエータユニット44に供給する。詳しく言えば、アクチュエータユニット44には、マスタシリンダ42から供給された作動液を自身を通過し車輪制動器46に向かわせる液通路が設けられており、本液圧ブレーキ装置32は、マスタシリンダ42から車輪制動器46へ作動液を供給するための液通路、すなわち、2つのマスタ液通路50を備える。つまり、本液圧ブレーキ装置32では、マスタシリンダ42から、それらマスタ液通路50を介して、車輪制動器46のそれぞれに、作動液が供給可能とされているのである。なお、車輪制動器46は、後に説明するホイールシリンダを有しており、詳しくは、作動液は、そのホイールシリンダに供給される。
また、マスタ液通路50の一方には、常閉型の電磁式開閉弁であるシミュレータ開通弁52を介して、ストロークシミュレータ54が繋げられている。通常作動時(電気的失陥が生じていない場合)には、シミュレータ開通弁52は励磁されて開弁状態とされ、ストロークシミュレータ54は機能する。後に説明するが、通常作動時には、2系統に対応してアクチュエータユニット44内に設けられた2つの電磁式開閉弁であるマスタカット弁56は閉弁状態とされるため、ストロークシミュレータ54は、ブレーキペダル40の踏込ストロークを担保するとともに、その踏込ストロークに応じた操作反力をブレーキペダル40に付与する。つまり、ストロークシミュレータ54は、通常作動時におけるブレーキ操作のフィーリングを向上させる手段として機能するのである。
iii)アクチュエータユニットの構成
アクチュエータユニット44は、先に説明した2つのマスタ液通路50をそれぞれ開通遮断する常開型の電磁式開閉弁である2つのマスタカット弁56と、2系統に対応した2つのポンプ60と、それらポンプ60を駆動させるモータ62と、2系統に対応した2つの電磁式リニア弁である制御保持弁64と、それら制御保持弁64と直列的に配置された2つの常閉型の電磁式開閉弁である遮断弁66とを含んで構成されている。本液圧ブレーキ装置32では、単一のリザーバしか設けられておらず、2つのポンプ60は、上述のリザーバ48から、作動液を汲み上げるようにされており、そのために、2つのポンプ60とリザーバ48とを繋ぐリザーバ液通路68が設けられており、そのリザーバ液通路68の一部が、アクチュエータユニット44内に形成されている。それぞれのポンプ60は、吐出側において、上述のマスタ液通路50に繋がっており、そのマスタ液通路50の一部分を介して、車輪制動器46に、加圧された作動液を供給するようにされている。なお、それぞれのポンプ60の吐出側には、それぞれ、ポンプ60への作動液の逆流を防止するための逆止弁70が設けられている。また、アクチュエータユニット44内には、それぞれのポンプ60と並列にマスタ液通路50とリザーバ液通路68とを繋ぐ2つの帰還路72が形成されており、それら帰還路72の各々に、上記制御保持弁64,遮断弁66が設けられている。
通常作動時には、マスタカット弁56,遮断弁66は、それぞれ閉弁状態,開弁状態とされる。モータ62によってポンプ60が駆動されることにより、リザーバ48の作動液が加圧されて、車輪制動器46に供給される。制御保持弁64は、車輪制動器46に供給される作動液の圧力を、自身に供給される電流に応じた圧力に調整する機能を有している。言い換えれば、その圧力を減圧する機能を有した減圧用電磁式リニア弁とされているのである。したがって、本液圧ブレーキ装置32では、マスタシリンダ42から供給される作動液の圧力に依存せずに、つまり、ブレーキペダル40に加えられるブレーキ操作力に依存せずに、制御保持弁64の制御によって、圧力の調整された作動液が車輪制動器46に供給される。なお、制御保持弁64が減圧用の弁であるため、作動液は、圧力の調整のために制御保持弁64を通過する。その通過した作動液は、帰還路72および開弁状態である遮断弁66を介して、リザーバ液通路68に、ひいては、リザーバ48に戻される。
ちなみに、当該液圧ブレーキ装置32が電気的に失陥しているような場合には、マスタカット弁56,遮断弁66がそれぞれ開弁状態,閉弁状態とされて、マスタシリンダ42からアクチュエータユニット44に供給される作動液が、車輪制動器46に供給されることになる。言い換えれば、開閉弁であるマスタカット弁56が開けられることでマスタシリンダ42から供給される作動液によって後述のホイールシリンダが作動させられる際に、遮断弁66は、リザーバ48若しくはリザーバ液通路68に流入する作動液の流れを遮断するのである。なお、車輪制動器46に供給される作動液の圧力(以下、「ホイールシリンダ圧」と言う場合がある)を検出するためのホイールシリンダ圧センサ74,マスタシリンダ42から供給される作動液の圧力(以下、「マスタ圧」と言う場合がある)を検出するためのマスタ圧センサ76が、2系統に対応して、それぞれ2つずつ設けられている。
iv)車輪制動器の構成
前輪10Fの各々の回転を止めるための車輪制動器46は、図3に模式的に示すようなディスクブレーキ装置である。この車輪制動器46は、前輪10Fと一体的に回転する回転体としてのディスクロータ80と、前輪10Fを回転可能に保持するキャリアに移動可能に支持されたブレーキキャリパ(以下、単に「キャリパ」と言う場合がある)82とを含んで構成されている。キャリパ82には、それの一部をハウジングとするホイールシリンダ84が内蔵されている。ホイールシリンダ84が有するピストン86の先端側、および、キャリパ82のホイールシリンダ84が内蔵されている部分の反対側には、それらにそれぞれ係止され、かつ、ディスクロータ80を挟んで対向する1対のブレーキパッド(摩擦部材の一種である)88が設けられている。
ホイールシリンダ84の作動液室90に、アクチュエータユニット44からの作動液が供給され、その作動液の圧力により、1対のブレーキパッド88は、ディスクロータ80を挟み付ける。つまり、ホイールシリンダ84の作動によって、摩擦部材であるブレーキパッド88がディスクロータ80に押し付けられるのである。このようにして、車輪制動器46は、摩擦力を利用して、前輪10Fの回転を止めるための制動力、すなわち、車両を制動するためのブレーキ力(以下、「液圧ブレーキ力」と言う場合がある)を発生させる。この液圧ブレーキ力は、アクチュエータユニット44から供給される作動液の圧力に応じた大きさとなる。車輪制動器46は、一般的な構造のものであるため、車輪制動器46についての詳しい説明は省略する。
(b)電動ブレーキ装置の構成
電動ブレーキ装置34の各々は、図1に示すように、後輪10Rの回転を止めるための車輪制動器100を含んで構成されている。本車輪制動器100は、液圧ブレーキ装置32の車輪制動器46が作動液の圧力によって動作するのに対し、駆動源である電動モータの力によって作動する。また、液圧ブレーキ装置32の車輪制動器46とは異なり電動モータが配備されて独立して作動するディスクブレーキ装置として機能する。したがって、車輪制動器100そのものを電動ブレーキ装置と呼ぶこともできる。
図4を参照しつつ詳しく説明すれば、車輪制動器100は、後輪10Rとともに回転する回転体であるディスクロータ102と、そのディスクロータ102を跨ぐようにして配設されたブレーキキャリパ104(以下、単に、「キャリパ104」という場合がある)とを含んで構成されている。キャリパ104は、摩擦部材としてのブレーキパッド106a,106b(以下、単に、「パッド106a,106b」と言う場合がある)、電動モータであるブレーキモータを有してそのブレーキモータの力でパッド106a,106bをディスクロータ102に押し付けることで後輪10Rの回転を止めるためのブレーキアクチュエータ108(以下、単に、「アクチュエータ108」という場合がある)とを有している。
便宜的に、図における左方を前方と、右方を後方として説明すれば、前方側のパッド106aは、キャリパ本体110の前端部である爪部112に支持されるようにされている。アクチュエータ108は、キャリパ本体110の後方側の部分に、当該アクチュエータ108のハウジング114が固定されるようにして、保持されている。アクチュエータ108は、ハウジング114に進退可能に保持されたピストン116を有し、そのピストン116は、前進することによって、先端部が、後方側のパッド106bと係合する。そして、ピストン116が、係合した状態でさらに前進することで、1対のパッド106a,106bは、ディスクロータ102に、それを挟み付けるようにして押し付けられる。この押付けによって、ディスクロータ102とパッド106a,106bとの間の摩擦力に依存する車輪の回転に対するブレーキ力である車輪摩擦ブレーキ力、つまり、車両を減速,停止させるためのブレーキ力(以下、「電動ブレーキ力」と言う場合がある)が発生させられるのである。
アクチュエータ108について、断面を示す図5を参照しつつ簡単に説明すれば、アクチュエータ108は、電動ブレーキアクチュエータであり、上述のハウジング114,ピストン116の他、駆動源としての電動モータであるブレーキモータ118,ブレーキモータ118の回転(詳しくは、中空のモータ軸120の回転)を減速させるための減速機構122,その減速機構122を介したブレーキモータ118の回転によって回転させられる回転シャフト124を有してその回転シャフト124の回転動作をピストン116の進退動作に変換する動作変換機構126等を含んで構成されている。
ブレーキモータ118への供給電流を制御することによってピストン116は進退し、パッド106a,106bのディスクロータ102への押付力、すなわち、電動ブレーキ力の大きさは、供給される電流の大きさに概して比例する。ちなみに、減速機構122は、直列的に配置された2つの内接式遊星歯車機構を含む差動減速機構であり、動作変換機構126は、ねじ機構である。なお、電動ブレーキ装置34は、比較的応答性に優れたものとされている。簡単に言えば、ブレーキ力要求に対する実際の電動ブレーキ力の発生の遅れが比較的小さくされているのである。なお、本電動ブレーキ装置34のブレーキモータ118へは、図1に示すように、上記バッテリ28、つまり、車両駆動システム4が有する上記バッテリ28とは別のバッテリである補機バッテリ128から電流が供給される。
(c)制御に関する構成
図1に示すように、液圧ブレーキ装置32は、コンピュータ,制御保持弁64のドライバ等によって構成される液圧ブレーキ電子制御ユニット(以下、「HYB-ECU」と言う場合がある)132によって制御される。また、各電動ブレーキ装置34は、コンピュータ,ブレーキモータ118のドライバであるインバータ等を含んで構成される電動ブレーキ電子制御ユニット(以下、「EMB-ECU」と言う場合がある)134によって制御される。そして、ブレーキシステム2は、液圧ブレーキ装置32,2つの電動ブレーキ装置34を統括して制御するために、コンピュータを主体とするブレーキ統括電子制御ユニット(以下、「CBR-ECU」と言う場合がある)136を有している。
HYB-ECU132,2つのEMB-ECU134,CBR-ECU136は、いずれもCAN(car area network or controllable area network)138に繋がっており、CAN138を介して互いに通信する。そのような構成により、HYB-ECU132,2つのEMB-ECU134,CBR-ECU136は、互いに協働し、当該ブレーキシステム2の1つのコントローラを構成するものとなっている。なお、車両駆動システム4のHBD-ECU30も、CAN138に繋げれられており、HYB-ECU132,2つのEMB-ECU134,CBR-ECU136は、HBD-ECU30とも通信可能となっている。
各車輪10に対して、当該各車輪10の回転速度である車輪速を検出するための車輪速センサ140が設けられており、CBR-ECU136は、車輪速センサ140を介して各車輪10の車輪速を検出するようにされている。後に詳しく説明するが、車両駆動システム4の駆動モータ18には、当該駆動モータ18の回転角(回転位相)であるモータ回転角を検出するためのモータ回転角センサ142が設けられており、HBD-ECU30は、モータ回転角センサ142を介して、モータ回転角を検出するようにされている。また、ブレーキペダル40には、当該ブレーキペダル40の操作量であるブレーキ操作量を検出するための操作量センサ144が設けられており、CBR-ECU136は、操作量センサ144を介して、ブレーキ操作量を検出するようにされている。
なお、HYB-ECU132は、液圧ブレーキ装置32における左右の前輪10Fのホイールシリンダ圧を、ホイールシリンダ圧センサ74を介して検出するようにされている。また、図5に示すように、電動ブレーキ装置34のブレーキアクチュエータ108には、回転シャフト124がブレーキパッド106bから受けるスラスト力(軸力)を検出するためのスラスト力センサ130が設けられており、EMB-ECU134は、そのスラスト力を、スラスト力センサ130を介して検出するようにされている。
[C]車両用ブレーキシステムの制御
(a)通常ブレーキ制御
i)ブレーキ力の統括制御
CBR-ECU136は、ブレーキ操作量δを検出し、そのブレーキ操作量δに基づいて、車両全体に必要とされる必要全体ブレーキ力FSUMを決定する。具体的には、例えば、ブレーキ操作量δに所定のゲインを乗ずることによって決定する。本車両では、車両走行速度(以下、「車速」という場合がある)vが、回生許容下限速度vRG(例えば、5km/h)以上である場合に、できる限り回生ブレーキ力FRGを優先して発生させるようにされている。
詳しく説明すれば、CBR-ECU136は、車輪速センサ140を利用して、各車輪10の車輪速dθWを検出し、それら車輪速dθWに基づいて、既に一般的な手法に従って、車速vを特定している(以下、この特定された車速vを「車輪速依拠車速vW」と言う場合がある)。CBR-ECU136は、車輪速依拠車速vWに関する情報を、HBD-ECU30に送信する。HBD-ECU30は、送信されてきた車輪速依拠車速vWに関する情報,バッテリ28の充電量等に基づいて、現時点で発生可能な回生ブレーキ力FRGである最大回生ブレーキ力FRGMAXを決定し、その最大回生ブレーキ力FRGMAXに関する情報を、CBR-ECU136に送信する。
CBR-ECU136は、受信した情報に基づいて最大回生ブレーキ力FRGMAXを特定し、必要全体ブレーキ力FSUMが最大回生ブレーキ力FRGMAXを上回っているときには、当該ブレーキシステム2において液圧ブレーキ装置32,2つの電動ブレーキ装置34が発生させるべき合計のブレーキ力Fである目標合計ブレーキ力F*を、必要全体ブレーキ力FSUMから最大回生ブレーキ力FRGMAXを減じたものに決定する。そして、車両駆動システム4が発生させるべきブレーキ力Fである目標回生ブレーキ力FRG *を、最大回生ブレーキ力FRGMAXに決定する。一方で、必要全体ブレーキ力FSUMが最大回生ブレーキ力FRGMAX以下であるときには、目標合計ブレーキ力F*を、0に、目標回生ブレーキ力FRG *を、必要全体ブレーキ力FSUMに、それぞれ決定する。
CBR-ECU136は、決定した目標回生ブレーキ力FRG *に関する情報をHBD-ECU30に送信し、HBD-ECU30は、その情報に基づいて、回生ブレーキ力FRGを発生させる。その一方で、CBR-ECU136は、決定した目標合計ブレーキ力F*を、設定された配分比に従って配分し、当該ブレーキシステム2において各車輪10に対して発生させるべきブレーキ力としての左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *,左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *を決定する。CBR-ECU136は、左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *に関する情報を、HYB-ECU132に送信し、左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *(以下、「後輪目標ブレーキ力FR *」と総称する場合がある)に関する情報を、2つのEMB-ECU134にそれぞれ送信する。
ii)前輪のブレーキ力の制御
液圧ブレーキ装置32の制御を司るHYB-ECU132は、送信されてくる左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *に関する情報に基づいて、それぞれ、左前輪ブレーキ力FFL,右前輪ブレーキ力FFRを制御する。詳しく説明すれば、HYB-ECU132は、ブレーキアクチュエータユニット44に設けられたホイールシリンダ圧センサ74を介して、左前輪ホイールシリンダ圧PWL,右前輪ホイールシリンダ圧PWRを検出し、それら左前輪ホイールシリンダ圧PWL,右前輪ホイールシリンダ圧PWRに基づいて、現時点で発生させられているブレーキ力として左前輪実ブレーキ力FFL,右前輪実ブレーキ力FFRをそれぞれ特定する。そして、左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *に対する左前輪実ブレーキ力FFL,右前輪実ブレーキ力FFRの偏差である左前輪ブレーキ力偏差ΔFFL,右前輪ブレーキ力偏差ΔFFRを、次式に従って、それぞれ特定する。
ΔFFL=FFL *-FFL
ΔFFR=FFR *-FFR
ブレーキ力Fの増力,減力に対して、不感帯が設けられており、左前輪ブレーキ力偏差ΔFFL,右前輪ブレーキ力偏差ΔFFRが、増力実行閾値ΔFITHよりも大きいときに、ブレーキ力Fを増加させ、減力実行閾値-ΔFDTHよりも小さいとき(絶対値がΔFDTHよりも大きいとき)に、ブレーキ力Fを減少させる。ブレーキ力Fを増加,減少させるときには、ブレーキアクチュエータユニット44の制御保持弁64に供給する励磁電流である左前輪ソレノイド励磁電流IFL,右前輪ソレノイド励磁電流IFRを、次式に従って、それぞれ決定する。
FL=GPF×ΔFFL+GIF×∫ΔFFLdt+GDF×dΔFFL/dt
FR=GPF×ΔFFR+GIF×∫ΔFFRdt+GDF×dΔFFR/dt
上記式は、左前輪ブレーキ力偏差ΔFFL,右前輪ブレーキ力偏差ΔFFRに基づくフィードバック制御を行うための左前輪ソレノイド励磁電流IFL,右前輪ソレノイド励磁電流IFRの決定式であり、それぞれにおける右辺の第1項は比例項であり、第2項は積分項であり、第3項は微分項である。GPF,GIF,GDFは、それぞれ、前輪比例項ゲイン,前輪積分項ゲイン,前輪微分項ゲインである。
左前輪ブレーキ力偏差ΔFFL,右前輪ブレーキ力偏差ΔFFRが、増力実行閾値ΔFITH以下であり、かつ、減力実行閾値-ΔFDTH以上であるとき(絶対値がΔFDTH以下のとき)には、ブレーキ力Fを維持すべく、左前輪ソレノイド励磁電流IFL,右前輪ソレノイド励磁電流IFRを、維持、つまり、それまでの値に決定する。
HYB-ECU132は、以上のように、決定した左前輪ソレノイド励磁電流IFL,右前輪ソレノイド励磁電流IFRを、ブレーキアクチュエータユニット44の制御保持弁64に、それぞれ供給する。ちなみに、ここでは、左右の前輪10Fに関してまとめて説明したが、実際には、HYB-ECU132は、左前輪ブレーキ力FFL,右前輪ブレーキ力FFRを、個別に制御する。
iii)後輪のブレーキ力制御
左右の後輪10Rのブレーキ力Fの制御について、左右の区別なく一元的に説明すれば、電動ブレーキ装置34の各々の制御を司るEMB-ECU134は、送信されてくる後輪目標ブレーキ力FRL *,FRR *に関する情報に基づいて、後輪ブレーキ力FRL,FRRを制御する。詳しく説明すれば、EMB-ECU134は、ブレーキアクチュエータ108に設けられたスラスト力センサ130を介して、回転シャフト124に作用するスラスト力Wを検出し、そのスラスト力Wに基づいて、現時点で発生させられているブレーキ力として後輪実ブレーキ力FRを特定する。そして、後輪目標ブレーキ力FRL *,FRR *に対する後輪実ブレーキ力FRL,FRRの偏差である後輪ブレーキ力偏差ΔFRL,ΔFRRを、次式に従って、特定する。
ΔFRL=FRL *-FRL
ΔFRR=FRR *-FRR
液圧ブレーキ装置32と同様、ブレーキ力Fの増力,減力に対して、不感帯が設けられており、後輪ブレーキ力偏差ΔFRL,ΔFRRが、増力実行閾値ΔFITHよりも大きいときに、ブレーキ力Fを増加させ、減力実行閾値-ΔFDTHよりも小さいとき(絶対値がΔFDTHよりも大きいとき)に、ブレーキ力Fを減少させる。ブレーキ力Fを増加,減少させるときには、ブレーキアクチュエータ108のブレーキモータ118に供給する電流である後輪モータ供給電流IRL,IRRを、次式に従って、それぞれ決定する。
RL=GPR×ΔFRL+GIR×∫ΔFRLdt+GDR×dΔFRL/dt
RR=GPR×ΔFRR+GIR×∫ΔFRRdt+GDR×dΔFRR/dt
上記式は、後輪ブレーキ力偏差ΔFRL,ΔFRRに基づくフィードバック制御を行うための後輪モータ供給電流IRL,IRRの決定式であり、右辺の第1項は比例項であり、第2項は積分項であり、第3項は微分項である。GPR,GIR,GDRは、それぞれ、後輪比例項ゲイン,後輪積分項ゲイン,後輪微分項ゲインである。
後輪ブレーキ力偏差ΔFRL,ΔFRRが、増力実行閾値ΔFITH以下であり、かつ、減力実行閾値-ΔFDTH以上であるとき(絶対値がΔFDTH以下とき)には、ブレーキ力Fを維持すべく、後輪モータ供給電流IRL,IRRを、維持、つまり、それまでの値に決定する。
EMB-ECU134は、以上のように、決定した後輪モータ供給電流IRを、ブレーキアクチュエータ108のブレーキモータ118に、それぞれ供給する。
iv)ABS制御等
本ブレーキシステム2においても、ABS制御(アンチロック or アンチスキッド制御),TRC制御(トラクションコントロール制御),VCS制御(ビークルスタビリティ制御)等、運転者のブレーキ操作に依らないブレーキ力の制御が実行可能とされている。それらの制御によるブレーキ力Fは、上記のように決定されて発生させられるブレーキ力とは異なる手法で決定されて発生させられる。ABS制御等については、既に公知の手法に従えばよく、ここでの説明は省略することとする。
(b)スムーズストップ制御(SS制御)
i)基本的な制御と従来の問題点
車両が停止する際、ブレーキ力が大きいままだと、車体の慣性によって停止時点で車体が揺れる現象(以下、「揺れ戻し現象」または「揺り戻し現象」という場合がある)が生じる。この揺れ戻し現象は、車両の乗員に不快感を与えることになる。従来、この揺れ戻し現象を軽減若しくは防止するために停止時揺れ軽減制御が検討されている。停止時揺れ軽減制御は、車両をスムーズに停止させるための制御と考えることができるため、停止時揺れ軽減制御は、スムーズストップ制御と呼ぶことができる。そこで、本明細書では、停止時揺れ軽減制御を、「スムーズストップ制御」と呼ぶこととする。
基本的なスムーズストップ制御(以下、「SS制御」と略する場合もある)は、ある程度低く設定されたSS制御開始速度vSS(例えば、2km/h)に車速vが至った時点から開始され、車両が停止する時点まで、車速vに応じてブレーキ力Fを漸減させるように実行される。なお、上述したABS制御,TRC制御,VCS制御等が実行されているとき、ブレーキペダル40の操作が開始された時点の車速vがSS制御許容下限車速vMIN未満であるとき若しくはSS制御許容上限速度vMAXより高いときには、SS制御の実行は禁止される。逆に言えば、ブレーキペダル40が操作されている状態でそれらのときでないときに、SS制御は許容される。ちなみに、SS制御許容下限車速vMINは、当該SS制御の必要性に鑑みて、ある程度に低い速度(例えば、5km/h程度)に設定され、SS制御許容上限速度vMAXは、急ブレーキ等においてSS制御の実行を禁止すべく、ある程度に高い速度(例えば、50km/h程度)に設定されている。
第1の問題点について考える。スムーズストップ制御(以下、「SS制御」と略する場合もある)は、車速vが比較的低い状態での制御であるため、当該制御において参照される車速v(以下、「参照車速vREF」という場合がある)の精度が重要となる。従来、車輪速センサ140を介して検出された車速v(以下、「車輪速依拠車速vW」)を参照車速vREFとして用いていた。
車輪速センサ140は、例えば、一般的には、図6(a)に模式的に示す構造を有するものである。詳しく言えば、周縁に歯150が形成されて車輪10とともに一体回転する歯車状のロータ152と、ホール素子,磁気ピックアップ等のいずれかを有してロータ152の周縁と対向するように配設された検出子154とを備え、ロータ152の回転によって生じる磁気変動を検出子154によって検出することで車輪速dθWを検出するように構成されている。
図6から解るように、ロータ152の歯150は、一円周上において等角度ピッチで数十個しか形成されておらず、車輪10の1回転あたり数十周期の磁気変動しか検出できない。車輪速センサ140は、1周期の磁気変動で1つのパルス信号を発信するように構成されていると考えれば、車輪10の1回転あたり、数十パルスの検出信号しか発信しない。つまり、車輪速センサ140の検出能(分解能)は比較的低いのである。したがって、車輪速センサ140によって検出された車輪速dθWに基づいて検知された車輪速依拠車速vWは、必ずしも精度が充分に高いとは言えない。端的に言えば、車速vの検知精度は比較的低いと言わざるを得ず、車速vが相当に低くなった時点から行うSS制御において車輪速依拠車速vWを参照車速vREFとして利用することは、SS制御の制御精度の観点からすれば、必ずしも適切であるとは言えない。
次に、第2の問題点について考える。車速vがSS制御開始速度vSSに至った時点(以下、「開始時点」という場合がある)でのブレーキ力Fを、単に、車速vに応じてブレーキ力Fを漸減させるような手法を採用する場合、例えば、SS制御の実行中に運転者がブレーキペダル40を踏み増すような操作をしても、ブレーキ操作量δに応じたブレーキ力Fの増加とはならない。具体的に説明すれば、図7(a)のグラフに模式的に示すように、一定のブレーキ操作量δCで、一定のブレーキ力FCを発生させている状態で、開始時点tSSからSS制御を開始すれば、開始時点tSSからブレーキ力Fは漸減する。このブレーキ力Fの漸減の途中の時点tINCにおいてブレーキペダル40を踏み増した場合(以下、tINCを「踏み増し時点」という場合がある)、つまり、ブレーキ操作量δを増大させたとしても、ブレーキ力Fは増加しない。このようなブレーキシステム2の作動は、運転者に対して違和感を与えることになりかねない。ちなみに、図における破線は、SS制御を実行しない場合のブレーキ力Fを示している。
一方で、SS制御の途中でブレーキペダル40を踏み増したときに、SS制御をキャンセルするような手法を採用する場合、図7(b)のグラフに模式的に示すように、踏み増し時点tINC直後に、いきなり、SS制御を実行しない場合のブレーキ力Fが発生させられることになり、ブレーキ力Fの急変に起因して、比較的大きな車体の揺り戻しが生じ、また、当該ブレーキシステム2において異音が発生することにもなりかねない。
さらに、第3の問題について考える。SS制御が実行されて車両が停止した場合であっても、ブレーキペダル40が操作されている限り、何某か大きさのブレーキ力Fを残すことが望ましい。このブレーキ力Fを停止時ブレーキ力FSTとすれば、上述したフィードバック制御を実行する限り、車両が停止した時点若しくはその時点の直後に、実際のブレーキ力Fが停止時ブレーキ力FSTを下回る現象、すなわち、ブレーキ力Fのアンダーシュート現象が生じ得る。具体的に説明すれば、図8(a)のグラフに模式的に示すように、一点鎖線で示す目標ブレーキ力F*を車両停止時点tST以降、停止時ブレーキ力FSTとしても、上述のフィードバック制御をそのまま実行する場合には、実線で示す実ブレーキ力Fは、振動的な変動を生じるのである。このブレーキ力Fの振動的変動は、異音を生じさせる一因となるため、その変動を防止若しくは抑制することが望ましいのである。
ii)駆動モータの回転速度に依拠した車速の採用
本ブレーキシステム2は、上記第1の問題点を解消するために、SS制御において、参照車速vREFとして、車両駆動システム4の駆動モータ18の回転速度であるモータ回転速度(以下、「モータ速」という場合がある)dθMに依拠した車速v(以下、「モータ速依拠車速vM」という場合がある)を採用する。
モータ回転角センサ142は、ホールICや、図6(b)に構造を示すレゾルバ等が一般的に用いられている。モータ回転角センサ142がレゾルバを有するとして説明すれば、そのモータ回転角センサ142は、駆動モータ18のハウジングに固定されたステータ156と、駆動モータ18の回転軸(出力軸)に嵌められて回転軸と一体回転するロータ158とを備える。ステータ156は、巻線を有する磁極160が内周部において一円周上に等角度ピッチで複数配設されている。それら磁極160に対向するロータ158の外周には、複数の山が一円周上に等角度ピッチで形成されている。駆動モータ18の回転軸の回転(以下、単に「駆動モータ18の回転」という場合がある)に伴って変化する磁極160の巻線を流れる電流に基づいて、駆動モータ18の回転軸の回転位相、すなわち、モータ回転角θMが検出される。駆動モータ18は、ブラシレスDCモータであり、HBD-ECU30は、モータ回転角センサ142を介してモータ回転角θMを検出し、その検出されたモータ回転角θMに基づいて、駆動モータ18の電流供給における通電相の切換えを行う。HBD-ECU30は、検出されたモータ回転角θMの変化に基づいて、駆動モータ18の回転の速度であるモータ速dθMをも検出する。
モータ回転角センサ142は、先の車輪速センサ140と同様に表現すれば、駆動モータ18の1回転あたり、数千パルスの検出信号を発信するように構成されており、モータ速dθMの検出能(分解能)は高くなっている。一方で、モータ速dθMと車輪速dθWとの比は、リダクション機構20等の減速比によって、一定の比として定まる。その減速比を考慮すれば、モータ回転角センサ142は、車輪10の1回転あたり、数万パルスの検出信号が発信されることになる。したがって、モータ回転角センサ142の検出信号に基づいて推定された車輪速dθWに依拠して検知された車速v(以下、「モータ速依拠車速vM」という場合がある)は、検知精度が高く、そのモータ速依拠車速vMを参照車速vREFとして実行されるSS制御は、制御精度において高いものとなる。
SS制御の制御処理は、主に、CBR-ECU136によって実行され、CBR-ECU136は、モータ速依拠車速vMを特定する。しかしながら、モータ速依拠車速vMは、HBD-ECU30からCAN138を介して送られてくるモータ速dθMに関する情報に基づいて特定されるため、車両の減速時には、実際の車速vに対して遅延した値となる。そのことを考慮して、本ブレーキシステム2では、CBR-ECU136は、車輪速依拠車速vWに対するモータ速依拠車速vMの遅延の程度、つまり、車速差Δvを推定し、その車速差Δvを加味したモータ速依拠車速vMを参照車速vREFとして、SS制御を実行する。
詳しく説明すれば、CBR-ECU136は、SS制御が許容されている状態において、車輪速依拠車速vWから車速差Δvを減じた車速v、すなわち、参照車速vREFが、SS制御開始速度vSSに至るまで、制御サイクルごとに、車速差Δvを更新する。具体的には、現時点から遡ったN回の制御サイクルにおける車速差Δvを平均して(Nは、サンプル数と考えることができる)、それを、現時点での車速差Δvと推定する。ちなみに、更新の初期において、車速差Δvは、初期値Δv0とされる。そして、参照車速vREFがSS制御開始速度vSS以下となったときから後、制御サイクルごとに、そのときに推定した車速差Δvをモータ速依拠車速vMから減じたものに所定のフィルタ処理(例えば、ローパスフィルタ処理等である)を施すことで、参照車速vREFを更新する。このように更新した参照車速vREFを用いて、SS制御を実行するのである。
iii)ブレーキ操作量に依拠した成分を採用したスムーズストップ制御
上記第2の問題点を解消するために、本ブレーキシステムでは、CBR-ECU136は、SS制御において、目標合計ブレーキ力F*を、下記式に従って、ブレーキ操作量δに依拠した基本成分FB *と、車速vに依拠した車速依拠成分FV *とを和するようにして決定する。言い換えれば、通常ブレーキ制御において決定される目標合計ブレーキ力F*を、下記式に従って再決定するのである。
*=FB *+FV *
B *=F*×γ ,FV *=F*×(1-γ)×β
上記式において、γは、成分比率であり、ブレーキ操作部材の操作の程度であるブレーキ操作量δに応じて設定されている。具体的には、成分比率γは、例えば、図9(a)のグラフ(成分比率マップ)に示すように、ブレーキ操作量δが、設定第1操作量δ1より大きいときに、“1”と、ブレーキ操作量δが、設定第1操作量δ1より小さく設定された設定第2操作量δ2未満であるときに、“1”より小さな設定値(例えば“0.5”)と、それぞれされ、ブレーキ操作量δが、設定第2操作量δ2以上設定第1操作量δ1以下の場合に、ブレーキ操作量δの増加に応じて、上記設定値から“1”まで増加するようにされているのである。
また、上記式におけるβは、車速係数であり、車速v(詳しくは、参照車速vREFである)に応じて設定されている。具体的には、車速係数βは、例えば、図9(b)のグラフ(車速係数マップ)に示すように、車速vが設定車速v1以上で、“1”より大きな第1特定値β1と、車速vが“0km/h”で“1”より小さい第2特定値β2(例えば“0.15”)と、それぞれされ、それらの間の車速vでは、車速vが高くなる程、上記第2特定値β2から第1特定値β1まで大きくなるようにされている。
上記式に従って、つまり、上述のように設定された成分比率γ,車速係数βに従って、目標合計ブレーキ力F*が決定されることで、ブレーキ操作量δが設定第1操作量δ1となり、かつ、車速vが設定車速v1以下となるときに、効果的に、ブレーキ力Fが減少させられて、車両停止時の車体の揺れ戻しを防止若しくは軽減されるとともに、SS制御中にブレーキペダル40が踏み増しされた際に、その踏み増しに応じたブレーキ力の増加を、運転者に体感させることができるのである。本SS制御が実行されている途中におけるブレーキペダル40の踏み増しによるブレーキ力Fの増加は、具体的には、例えば、図7(c)のグラフに模式的に示すように、つまり、図7(b)のグラフに示す場合とは異なり、踏み増し時点tINC後に、比較的緩やかなものとなる。
なお、上記車速係数マップにおいて、車速係数βの車速vに対する変化が、車速vが高くなる程小さくされているのは、車速vが高い程、SS制御におけるブレーキ力Fの減少を運転者に感じさせないようにするためである。また、上記車速係数マップでは、設定車速v1は固定されているが、例えば、ブレーキ操作量δに応じて変化させてもよい。ちなみに、上記成分比率マップに示す成分比率γに従えば、ブレーキ操作量δが小さい程、詳しくは、設定第2操作量δ2未満であるときに特に、SS制御におけるブレーキ力Fの減少の効果は顕著となる。
上述のようにして目標合計ブレーキ力F*が決定されることで、つまり、ブレーキ操作量δがどのような値でも、成分比率γは、“0”とはならず、また、車速vが“0km/h”であっても、車速係数βは、“0”とはならない。そのことにより、車両が停止した後も、ブレーペダル40を操作している限り、何某かのブレーキ力F、つまり、停止時ブレーキ力FSTは発生させられることになる。ちなみに、成分比率γと車速係数βとの少なくとも一方が“0”とならないようにすることで、停止時ブレーキ力FSTを確保することが可能である。
CBR-ECU136は、SS制御において決定した目標合計ブレーキ力F*を、通常ブレーキ制御と同様に、設定された配分比に従って左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *,左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *を決定する。そして、CBR-ECU136は、通常ブレーキ制御と同様に、左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *に関する情報を、HYB-ECU132に送信し、左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *(以下、「後輪目標ブレーキ力FR *」と総称する場合がある)に関する情報を、2つのEMB-ECU134にそれぞれ送信する。
SS制御における上述の目標合計ブレーキ力F*の決定のプロセスを、図10のブロック図のように示すことができる。このブロック図を参照しつつ簡単に説明すれば、一旦決定された目標合計ブレーキ力F*と、ブレーキ操作量δに基づいて成分比率マップを参照して特定された成分比率γとが、掛け合わされることで基本成分FB *が決定され、その一方で、一旦決定された目標合計ブレーキ力F*と、“1”から成分比率γを減じたもの(1-γ)と、車速vに基づいて車速係数マップを参照して特定された車速係数βとが掛け合わされることで車速依拠成分FV *が決定され、そして、それら基本成分FB *と車速依拠成分FV *とが足し合わされることで、目標合計ブレーキ力F*が再決定されるのである。
iv)スムーズストップ制御に対する終了処理
上記第3の問題点を解消するために、本ブレーキシステム2では、CBR-ECU136は、SS制御において車速v(詳しくは、参照車速vREFである)が“0km/h”となったとき、つまり、車両が停止したときに、SS制御に対する終了処理を行う。
先に説明したように、液圧ブレーキ装置32,電動ブレーキ装置34のいずれにおいても、ブレーキ力偏差ΔF(各車輪10のブレーキ力偏差の総称である)に基づくフィードバック制御を行い、ブレーキ力偏差ΔFが増力実行閾値ΔFITHよりも大きいときに、ブレーキ力Fの増力が行われ、減力実行閾値-ΔFDTHよりも小さいとき(絶対値がΔFDTHよりも大きいとき)に、ブレーキ力Fの減力が行われる。ちなみに、増力実行閾値ΔFITH,減力実行閾値-ΔFDTHは、CBR-ECU136によって決定され、HYB-ECU132,各EMB-ECU134に送信される。
本終了処理では、CBR-ECU136は、通常ブレーキ制御およびSS制御において、増力実行閾値ΔFITH,減力実行閾値-ΔFDTHを、それぞれ、通常時閾値ΔFDTHN,通常時閾値ΔFDTHNに決定するのに対して、終了処理において、終了処理時閾値ΔFITHE,終了処理時閾値-ΔFDTHEに決定する。終了処理時閾値ΔFITHEは、通常時閾値ΔFDTHNよりも大きな値とされ、終了処理時閾値-ΔFDTHEは、通常時閾値-ΔFDTHNより小さな値(絶対値が大きな値)に設定されている。簡単に言えば、CBR-ECU136は、終了処理において、フィードバック制御における上述の不感帯を拡げるのである。このような終了処理によって、車両が停止したときの上記ブレーキ力の振動的変動が抑制されることになる。
上記終了処理に代えて、別の終了処理を実行することも可能である。この別の終了処理を変形例の終了処理と呼ぶこととし、その変形例の終了処理を、以下に説明する。
上記終了処理では、フィードバック制御における不感帯の拡大を行っていたが、本変形例の終了処理では、目標ブレーキ力自体を変更する。ブレーキシステム2の構造上、前輪10F側のブレーキ力Fよりも後輪10R側のブレーキ力Fの方が応答性が高く、上述したアンダシュート現象は、後輪10R側にしか生じないと考えることができる。そこで、変形例の終了処理では、CBR-ECU136は、車両が停止した際に、左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *だけを小さくする。
左後輪実ブレーキ力FRLと右後輪実ブレーキ力FRRとの合計を後輪実ブレーキ力FRと、左後輪目標ブレーキ力FRL *と右後輪目標ブレーキ力FRR *との合計を後輪目標ブレーキ力FR *と、後輪目標ブレーキ力FR *に対する後輪実ブレーキ力FRの偏差を後輪ブレーキ力偏差ΔFRとして、詳しく説明すれば、CBR-ECU136は、後輪ブレーキ力偏差ΔFRがアンダシュート基準偏差ΔFUS以上に大きくなった時点以降、つまり、後輪実ブレーキ力FRが後輪目標ブレーキ力FR *よりもアンダシュート基準偏差ΔFUS以上小さくなった時点以降、左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪実ブレーキ力FRR *をそれぞれ、後輪目標ブレーキ力減少値ΔFDRだけ小さく変更する。
上記左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *により、左後輪実ブレーキ力FRL,右後輪実ブレーキ力FRRは減少し、車両全体において発生させられるブレーキ力Fは、予定したブレーキ力より小さくなってしまう。そこで、CBR-ECU136は、そのブレーキ力の不足を補うべく、終了処理が開始された時点、つまり、車速vが“0km/h”となった時点から、設定された時間が経過するまで、左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *を、それぞれ、漸増させる。具体的には、制御サイクルごとに、前輪目標ブレーキ力漸増値ΔFIFだけ増加するように変更する。
この変形例の終了処理によれば、例えば、後輪実ブレーキ力FRは、図8(b)のグラフに模式的に示すように、前輪実ブレーキ力FF(左前輪実ブレーキ力FFLと右前輪実ブレーキ力FFRとの合計)は、図8(c)のグラフに模式的に示すように変化する。それらのグラフにおいて、後輪実ブレーキ力FR,前輪実ブレーキ力FFは、それぞれ実線で、後輪目標ブレーキ力FR *,前輪目標ブレーキ力FF *(左前輪目標ブレーキ力FFL *と右前輪目標ブレーキ力FFR *との合計)は、それぞれ一点鎖線で、示されている。なお、破線は、終了処理を行わなかった場合の後輪目標ブレーキ力FR *,前輪目標ブレーキ力FF *である。
グラフから解るように、変形例の終了処理によって、後輪目標ブレーキ力FR *は、後輪ブレーキ力偏差ΔFRがアンダシュート基準偏差ΔFUSとなった時点(以下、「基準アンダシュート時点」という場合がある)tUSから、後輪目標ブレーキ力減少値ΔFDRだけ小さくされる。これにより、後輪実ブレーキ力FRは、振動的な変動なくして、後輪目標ブレーキ力FR *に収束することとなる。
一方、変形例の終了処理によって、前輪目標ブレーキ力FF *は、車両停止時点tSTから、後輪目標ブレーキ力減少値ΔFDRを補うように漸増させられ、応答性の低い前輪実ブレーキ力FFは、漸増させられた後の前輪目標ブレーキ力FF *に、振動的な変動なくして収束することとなる。
(c)ブレーキシステムにおけるブレーキ制御の処理の流れ
上述したSS制御を含むブレーキ力の制御は、CBR-ECU136がブレーキ統括制御プログラムを、HYB-ECU132が前輪ブレーキ制御プログラムを、2つのEMB-ECU134の各々が後輪ブレーキ制御プログラムを、それぞれ、所定の制御サイクル、すなわち、所定の短い時間ピッチ(例えば、数msec~数十msec)で繰り返し実行することによって行われる。以下に、それらのフローチャートに沿った処理の流れを、簡単に説明する。
CBR-ECU136によって実行されるブレーキ統括制御プログラムに従う処理では、図11のフローチャートに示すように、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す。他のステップも同様である。)において、操作量センサ144を介してブレーキペダル40の踏み込み量であるブレーキ操作量δが検出され、S2において、4つの車輪10の各々の車輪速dθWに基づいて車輪速依拠車速vWが特定されるとともに、その車輪速依拠車速vWに関する情報が、CAN138を介して、HBD-ECU30に送信される。次のS3において、HBD-ECU30からCAN138を介して送信されてくる情報に基づいて、モータ速依拠車速vMが特定される。続いて、S4において、図12にフローチャートを示すブレーキ力決定サブルーチンが実行される。
ブレーキ力決定サブルーチンに従う処理では、まず、S21において、検出されたブレーキ操作量δに基づいて、車両全体に必要とされるブレーキ力Fである必要全体ブレーキ力FSUMが決定される。続くS22において、車輪速依拠車速vWが回生許容下限速度vRG以上であるか否かが判定される。車輪速依拠車速vWが回生許容下限速度vRG以上である場合には、S23において、HBD-ECU30からCAN138を介して送信されてくる情報に基づいて、最大回生ブレーキ力FRGMAXが特定され、車輪速依拠車速vWが回生許容下限速度vRG未満である場合には、S24において、最大回生ブレーキ力FRGMAXが“0”とされる。
次のS25では、必要全体ブレーキ力FSUMが最大回生ブレーキ力FRGMAXより大きいか否かが判定される。必要全体ブレーキ力FSUMが最大回生ブレーキ力FRGMAXより大きい場合には、S26において、液圧ブレーキ装置32,2つの電動ブレーキ装置34が発生させるべき合計のブレーキ力Fである目標合計ブレーキ力F*が、必要全体ブレーキ力FSUMから最大回生ブレーキ力FRGMAXを減じたものに決定され、S27において、車両駆動システム4が発生させるべきブレーキ力Fである目標回生ブレーキ力FRG *が、最大回生ブレーキ力FRGMAXに決定される。一方で、必要全体ブレーキ力FSUMが最大回生ブレーキ力FRGMAX以下である場合には、S28において、目標合計ブレーキ力F*が、“0”に決定され、S29において、目標回生ブレーキ力FRG *が、必要全体ブレーキ力FSUMに決定される。なお、ここでの詳しい説明は省略するが、自動運転等によって、運転者によるブレーキペダル40の操作に依らずにブレーキ力Fの発生が求められている場合には、自動運転等を実行するシステムからの指令に基づいて、目標合計ブレーキ力F*,目標回生ブレーキ力FRG *が決定される。
ブレーキ力決定サブルーチンに続くS5~S7において、SS制御の実行を許容するための条件を充足しているか否かが判定される。詳しく言えば、S5において、運転者によるブレーキ操作がなされているか否かが、S6において、ABS制御,TRC制御,VSC制御等が実行されているか否かが、判定され、ブレーキ操作がなされておらず、かつ、ABS制御等が実行中ではない場合に、S7において、ブレーキ操作が今回の当該プログラムの実行において開始され、かつ、その開始時点の車輪速依拠車速vWがSS制御許容下限車速vMIN以上SS制御許容上限速度vMAX以下であるか否かが判定される。ブレーキ操作の開始時点の車輪速依拠車速vWがSS制御許容下限車速vMIN以上SS制御許容上限速度vMAX以下であるときに、S8において、SS制御の実行を許容すべく、SS制御許容フラグFLSSが“1”とされ、モータ速依拠車速vMと車輪速依拠車速vWとの差である車速差Δvが、初期値Δv0に設定、つまり、初期化される。SS制御許容フラグFLSSは、初期値が“0”であり、SS制御が許容されるときに“1”となるフラグである。
ブレーキ操作がなされていないときや、ABS制御等が実行されている場合には、S9において、SS制御許容フラグFLSS、および、後に詳しく説明するアンダシュート対処中フラグFLUDがリセットされる。今回の当該プログラムの実行においてブレーキ操作が開始されたとしても、ブレーキ操作の開始時点の車輪速依拠車速vWがSS制御許容下限車速vMIN以上SS制御許容上限速度vMAX以下ではない場合は、そのブレーキ操作が継続している間、S8のSS制御の許容,車速差Δvの初期化はスキップされる。また、前回以前の当該プログラムの実行においてSS制御が許容されて今回のプログラムの実行時においてブレーキ操作が継続している場合には、S8の処理はスキップされる。
ブレーキ操作がなされていてABS制御等が実行されていないときには、S10において、SS制御許容フラグFLSSが“1”であるか否か、つまり、SS制御が許容されているか否かが判定される。SS制御が許容されている場合、S11において、現時点でのモータ速依拠車速vMから、現時点で認定されている車速差Δvを減じたものが、SS制御開始速度vSS以下であるか否かが判定される。
モータ速依拠車速vMから車速差Δvを減じたものがSS制御開始速度vSSより大きい場合には、S12において、車速差Δvの更新処理が実行される。先に説明したように、CBR-ECU136は、当該プログラムの繰り返しの実行における直近N回で認定された車速差Δを記憶しており、それらの平均を算出することで、その平均を、現時点での車速差Δvとして認定する。
S12の車速差Δvの更新処理の後、ブレーキ操作が行われていない若しくはブレーキ操作が行われているもののABS制御等が実行されてS9の処理が行われた後、または、S10においてSS制御が許容されていないと判定された場合には、S13において、通常ブレーキ制御が実行される。ちなみに、当該ブレーキシステム2においてABS制御等が実行されている場合には、詳しい説明は省略するが、S13においてABS制御等が実行される。
S13の通常ブレーキ制御では、図12にフローチャートを示す通常ブレーキ制御サブルーチンが実行される。このサブルーチンに従う処理では、まず、S31において、決定されている目標回生ブレーキ力FRG *に関する指示が、CAN138を介して、HBD-ECU30に送信される。続くS32において、目標合計ブレーキ力F*が所定の配分比率に従って配分され、左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *,左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *が決定される。次のS33において、増力実行閾値ΔFITH,減力実行閾値-ΔFDTHが、それぞれ、通常時閾値ΔFITHN,通常時閾値-ΔFDTHNに決定され、S34において、左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *,左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *、および、増力実行閾値ΔFITH,減力実行閾値-ΔFDTHに関する指示が、液圧ブレーキ装置32のHYB-ECU132,2つの電動ブレーキ装置34の各々のEMB-ECU134に、CAN138を介して、送信される。
ブレーキ統括制御プログラムのS11においてモータ速依拠車速vMから車速差Δvを減じたものがSS制御開始速度vSS以下であると判定された場合には、S14において、車速差Δvを加味したモータ速依拠車速vMである参照車速vREFの更新処理が実行される。具体的には、現時点でのモータ速依拠車速vMから、S8において初期化された若しくはS12において認定された車速差Δvを減じたものを、現時点での参照車速vREFに決定する。ちなみに、この更新処理では、先に説明したフィルタ処理も行われる。
参照車速vREFの更新処理の後、S15のSS制御(スムーズストップ制御)が実行される。S15では、図13にフローチャートを示すスムーズストップ制御サブルーチンが実行される。このサブルーチンに従う処理では、まず、S41において、目標回生ブレーキ力FRG *についての指示が、CAN138を介してHBD-ECU30に発せられる。次いで、S42において、図9(a)に示す成分比率マップを参照して、ブレーキ操作量δに基づく成分比率γが特定され、S43において、目標合計ブレーキ力F*に成分比率γが乗じられることによって、基本成分FB *が決定される。続くS44において、図9(b)の車速係数マップを参照して、参照車速vREFに基づく車速係数βが特定され、S45において、目標合計ブレーキ力F*に、“1”から成分比率γを減じたものと車速係数βが乗じられることによって、車速依拠成分FV *が決定される。
そして、S46において、決定された基本成分FB *と車速依拠成分FV *とが加算されて、目標合計ブレーキ力F*が再決定され、S47において、その再決定された目標合計ブレーキ力F*が所定の配分比率に従って配分され、左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *,左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *が決定される。そしてさらに、S48において、増力実行閾値ΔFITH,減力実行閾値-ΔFDTHが、それぞれ、通常時閾値ΔFITHN,通常時閾値-ΔFDTHNに決定される。
次のS49では、参照車速vREFが“0km/h”以下であるか否か、つまり、当該車両が停止しているか否かが判定される。参照車速vREFが“0km/h”より高い場合、つまり、当該車両が未だ停止していないときには、S50において、後に詳しく説明するアンダシュート対処中フラグFLUDが“0”とされ、S51において、左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *,左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *、および、増力実行閾値ΔFITH,減力実行閾値-ΔFDTHに関する指示が、液圧ブレーキ装置32のHYB-ECU132,2つの電動ブレーキ装置34の各々のEMB-ECU134に、CAN138を介して、送信される。一方で、当該車両が停止していると判定されたときには、S52の終了処理が実行された後に、S51において、左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *,左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *、および、増力実行閾値ΔFITH,減力実行閾値-ΔFDTHに関する指示が、液圧ブレーキ装置32のHYB-ECU132,2つの電動ブレーキ装置34の各々のEMB-ECU134に、CAN138を介して、送信される。S52の終了処理では、図13にフローチャートを示す終了処理サブルーチンが実行される。そのサブルーチンに従う処理では、S61において、増力実行閾値ΔFITH,減力実行閾値-ΔFDTHが、それぞれ、終了処理時閾値ΔFITHE,終了処理時閾値-ΔFDTHEに変更される。
HYB-ECU132は、CBR-ECU136に統括されるようにして、図14にフローチャートを示す前輪ブレーキ制御プログラムに従った処理を実行する。このプログラムに従った処理では、まず、S71において、左前輪10FLの車輪制動器46に供給される作動液の圧力である左前輪ホイールシリンダ圧PWLが、ホイールシリンダ圧センサ74を介して検出され、S72において、そのホイールシリンダ圧PWLに基づいて、実際に左前輪10FLに付与されている左前輪実ブレーキ力FFLが特定される。続くS73において、左前輪10FLに関するブレーキ力偏差ΔFである左前輪ブレーキ力偏差ΔFFLが、左前輪目標ブレーキ力FFL *から左前輪実ブレーキ力FFLを減じることによって特定され、S74において、その左前輪ブレーキ力偏差ΔFFLが、増力実行閾値ΔFITH以下減力実行閾値-ΔFDTH以上であるか否かが判定される。
左前輪ブレーキ力偏差ΔFFLが、増力実行閾値ΔFITHより大きい、若しくは、減力実行閾値-ΔFDTHよりも小さい場合には、S75において、上述したブレーキ力偏差ΔFに基づくフィードバック制御則の式に従って、左前輪10FLに対応する制御保持弁64のソレノイドに供給される電流である左前輪ソレノイド励磁電流IFLが決定される。一方で、左前輪ブレーキ力偏差ΔFFLが、増力実行値ΔFITH以下減力実行値-ΔFDTH以上である場合には、S76において、前回の当該プログラムの実行において決定された左前輪ソレノイド励磁電流IFLが、維持される。
次に、S77において、右前輪10FRの車輪制動器46に供給される作動液の圧力である右前輪ホイールシリンダ圧PWRが、ホイールシリンダ圧センサ74を介して検出され、S78において、そのホイールシリンダ圧PWRに基づいて、実際に右前輪10FRに付与されている右前輪実ブレーキ力FFRが特定される。続くS79において、右前輪10FRに関するブレーキ力偏差ΔFである右前輪ブレーキ力偏差ΔFFRが、右前輪目標ブレーキ力FFR *から右前輪実ブレーキ力FFRを減じることによって特定され、S80において、その右前輪ブレーキ力偏差ΔFFRが、増力実行閾値ΔFITH以下減力実行閾値-ΔFDTH以上であるか否かが判定される。
右前輪ブレーキ力偏差ΔFFRが、増力実行閾値ΔFITHより大きい、若しくは、減力実行閾値-ΔFDTHよりも小さい場合には、S81において、上述したブレーキ力偏差ΔFに基づくフィードバック制御則の式に従って、右前輪10FRに対応する制御保持弁64のソレノイドに供給される電流である右前輪ソレノイド励磁電流IFRが決定される。一方で、右前輪ブレーキ力偏差ΔFFRが、増力実行閾値ΔFITH以下減力実行閾値-ΔFDTH以上である場合には、S82において、前回の当該プログラムの実行において決定された右前輪ソレノイド励磁電流IFRが、維持される。
続くS83において、決定された左前輪ソレノイド励磁電流IFL,右前輪ソレノイド励磁電流IFRが、各制御保持弁64のソレノイドに供給される。そして、S84において、特定されている左前輪実ブレーキ力FFL,右前輪実ブレーキ力FFRについての情報が、CAN138を介して、CBR-ECU136に送信される。
一方で、各EMB-ECU134は、CBR-ECU136に統括されるようにして、図15にフローチャートを示す後輪ブレーキ制御プログラムに従った処理を実行する。左後輪10RL,右後輪10RRについて一元的に説明すれば、このプログラムに従った処理では、まず、S91において、ブレーキアクチュエータ108の回転シャフト124に作用するスラスト力Wが、スラスト力センサ130を介して検出され、S92において、そのスラスト力Wに基づいて、実際に後輪10Rに付与されている後輪実ブレーキ力FRL(FRR)が特定される。続くS93において、後輪10Rに関するブレーキ力偏差ΔFである後輪ブレーキ力偏差ΔFRL(ΔFRR)が、後輪目標ブレーキ力FRL *(FRR *)から左後輪実ブレーキ力FRL(FRR)を減じることによって特定され、S94において、その左前輪ブレーキ力偏差ΔFRL(ΔFRR)が、増力実行閾値ΔFITH以下減力実行閾値-ΔFDTH以上であるか否かが判定される。
後輪ブレーキ力偏差ΔFRL(ΔFRR)が、増力実行閾値ΔFITHより大きい、若しくは、減力実行閾値-ΔFDTHよりも小さい場合には、S95において、上述したブレーキ力偏差ΔFに基づくフィードバック制御則の式に従って、車輪制動器100を構成するブレーキアクチュエータ108のブレーキモータ118に供給される電流IRL(IRR)が決定される。一方で、後輪ブレーキ力偏差ΔFRL(ΔFRR)が、増力実行閾値ΔFITH以下減力実行閾値-ΔFDTH以上である場合には、S96において、前回の当該プログラムの実行において決定された供給電流IRL(IRR)が、維持される。
続くS97において、決定された供給電流IRL(IRR)が、ブレーキモータ118に供給される。そして、S98において、特定されている後輪実ブレーキ力FRL(FRR)についての情報が、CAN138を介して、CBR-ECU136に送信される。
なお、上述した変形例の終了処理を行う場合には、図13にフローチャートを示す終了処理サブルーチンに代えて、スムーズストップ制御サブルーチンのS52において、図16にフローチャートを示す終了処理サブルーチンを実行すればよい。このサブルーチンに従う処理では、まず、S101において、今回の当該サブルーチンの実行が、車両が停止してから最初の実行であるか否かが判定される。最初の実行である場合には、S102において、終了処理が開始してからの時間、つまり、SS制御によって車両が停止してからの時間を示すタイムカウンタCTが“0”にリセットされ、最初の実行である場合には、タイムカウンタCTのリセットは行われない。
続くS103において、HYB-ECU132,EMB-ECU134から送信されてくる情報に基づいて、左前輪実ブレーキ力FFL,右前輪実ブレーキ力FFR,左後輪実ブレーキ力FRL,右後輪実ブレーキ力FRRが取得される。次のS104において、左後輪実ブレーキ力FRLと右後輪実ブレーキ力FRRとが足し合わされて、後輪実ブレーキ力FRが決定され、S105において、既に決定されている左後輪目標ブレーキ力FRL *と右後輪目標ブレーキ力FRR *とが足し合わされて、後輪目標ブレーキ力FR *が決定される。そして、S106において、後輪目標ブレーキ力FR *から後輪実ブレーキ力FRを減じることによって、後輪ブレーキ力偏差ΔFRが決定される。
次のS107において、アンダシュート対処中フラグFLUDが“1”であるか否かが判定される。アンダシュート対処中フラグFLUDは、初期値が“0”でありアンダシュートに対処中である場合に“1”とされるフラグである。アンダシュート対処中フラグFLUDが“0”であると判定された場合には、S108において、後輪ブレーキ力偏差ΔFRがアンダシュート基準偏差ΔFUS以上であるか否か、つまり、設定した程度以上に後輪実ブレーキ力FRが後輪目標ブレーキ力FR *に対してアンダシュートしているか否かが判定される。設定程度以上アンダシュートした場合には、S109において、アンダシュート対処中フラグFLUDが“1”とされる。
アンダシュート対処中フラグFLUDが“1”とされた場合、若しくは、S107においてアンダシュート対処中フラグFLUDが既に“1”とされていると判定された場合には、S110において、既に決定されている左後輪目標ブレーキ力FRL *,右後輪目標ブレーキ力FRR *が、それぞれ、後輪目標ブレーキ力減少値ΔFDRだけ小さく変更される。なお、S108において設定程度まではアンダシュートしていないと判定された場合には、アンダシュート対処中フラグFLUDが“1”とされることなく、S110の処理はスキップされる。
続くS111において、タイムカウンタCTが、上限値CTMAX以上であるか否かが判定され、上限値CTMAX以上の場合には、タイムカウンタCTは、現時点の値が維持され、上限値CTMAX未満の場合には、S112において、プログラム実行ピッチΔtだけカウントアップされる。そして、S113において、左前輪目標ブレーキ力FFL *,右前輪目標ブレーキ力FFR *が、それぞれ、前輪目標ブレーキ力漸増値ΔFIFにタイムカウンタCTの値を掛けた分だけ大きく変更される。
2:車両用ブレーキシステム 4:車両駆動システム 10,10F,10FL,10FR,10R,10RL,10RR:車輪 18:駆動モータ 30:ハイブリッド駆動電子制御ユニット(HBD-ECU) 32:液圧ブレーキ装置 34:電動ブレーキ装置 40:ブレーキペダル〔ブレーキ操作部材〕 44:アクチュエータユニット 46:車輪制動器 64:制御保持弁 74:ホイールシリンダ圧センサ 84:ホイールシリンダ 88:ブレーキパッド〔摩擦部材〕 100:車輪制動器 106a,106b:ブレーキパッド〔摩擦部材〕 108:ブレーキアクチュエータ 118:ブレーキモータ〔電動モータ〕 130:スラスト力センサ 132:液圧ブレーキ電子制御ユニット(HYB-ECU)〔コントローラ〕 134:電動ブレーキ電子制御ユニット(EMB-ECU)〔コントローラ〕 136:ブレーキ統括電子制御ユニット(CBR-ECU)〔コントローラ〕 138:CAN 140:車輪速センサ 142:モータ回転角センサ 144:操作量センサ

Claims (1)

  1. 運転者に操作されるブレーキ操作部材と、
    車輪にブレーキ力を付与するブレーキ装置と、
    前記ブレーキ操作部材の操作に応じたブレーキ力を付与すべく前記ブレーキ装置を制御するとともに、車両の停止直前に、車両の停止に伴う車体の揺れ戻しを軽減するために、車両走行速度に基づいて、車両の停止直前にブレーキ力を弱めるスムーズストップ制御を実行するコントローラと
    を備えて車両に搭載される車両用ブレーキシステムであって、
    前記コントローラが、
    車輪に付与すべきブレーキ力である目標ブレーキ力を決定し、車輪に付与されている実際のブレーキ力である実ブレーキ力を目標ブレーキ力とするためのフィードバック制御を実行するものとされ、
    スムーズストップ制御によって車両が停止したときに、実ブレーキ力の振動的な変動を防止するために、(a) 目標ブレーキ力を変更することと、(b) フィードバック制御における不感帯の幅を変更することとの少なくとも一方を行うようにされたことを特徴とする車両用ブレーキシステム。
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