JP2022061317A - 膜ろ過装置および膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法 - Google Patents

膜ろ過装置および膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022061317000001
【課題】ろ過膜への蓄積物の過剰蓄積の有無を判定できる膜ろ過装置の提供。
【解決手段】ろ過膜を含むろ過膜モジュールと、ろ過膜モジュールの外部に配置された振動検出部と、記憶部と、演算部とを有し、記憶部は、初期のろ過膜モジュールが被処理水をろ過した場合に振動検出部が検出および周波数解析して得られる初期ピークを記憶し、演算部は、ろ過開始から所定時間後のろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に振動検出部が検出した信号を周波数解析して得られるろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定する、膜ろ過装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜ろ過装置および膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法に関する。
精密ろ過膜または限外ろ過膜などのろ過膜を用いた水処理では、ろ過膜の上流側と下流側に圧力差(差圧)を生じさせて、工場排水などの原水からさまざまな粒子やイオンなどを分離して、処理水を得ることができる。これらのろ過膜を用いて水処理を行う場合、経時的にろ過膜に固形物などの蓄積物が付着するなどして(ろ過膜の膜重量が増加し)、ろ過膜が閉塞し、透過流束やろ過流量が低下し、差圧が上昇する。膜閉塞が顕著になるとろ過膜のろ過性能を回復できなくなるため、ろ過膜への蓄積物の蓄積状態を高感度で検知できる技術が重要である。
通常、膜の閉塞状況は膜間差圧(被処理水側と処理水側の圧力差)と通水差圧(被処理水側と濃縮水側の圧力差)の2通りの指標で推定される。膜間差圧は膜閉塞を検出でき、通水差圧は流路閉塞(膜面堆積)を検出できる。通水差圧は膜間差圧の予兆として発生することが多い。しかしながら、これらの膜間差圧と通水差圧の異常が検知された場合は、すでに膜閉塞が進んでいることが多い。そのため、差圧の異常が発生する予兆段階で、ろ過膜への蓄積物の蓄積状態を、高感度で検知できる技術が求められていた。
一方、流体の移動の異常を検知する方法として、差圧以外のパラメータに注目する方法が知られている(特許文献1~4参照)。
特許文献1には、音情報の音響解析によって流体の漏れを検出する、液体貯蔵タンクの漏洩検出装置が記載されている。
特許文献2には、音情報の音響解析によって水道の使用状況を検出する、水道音検出装置が記載されている。
特許文献3には、流体に発生させたカルマン渦を計測することによって流体の流量を得る、カルマン渦流量計が記載されている。
特許文献4には、流体のカルマン渦発生周波数を検出することによって流体の動粘度を把握し、脱水剤添加量を制御する、汚泥脱水装置が記載されている。
実用新案登録第3100913号 特開2018-146284号公報 特開2017-067726号公報 特開平9-308900号公報
しかしながら、特許文献1~4には、ろ過膜を用いた水処理において、ろ過膜への蓄積物の蓄積状態を検知することは記載されていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、ろ過膜への蓄積物の過剰蓄積の有無を判定できる膜ろ過装置を提供することである。
本発明では、初期のろ過膜モジュールが被処理水をろ過した場合に振動検出部が検出および周波数解析して得られる初期ピークを記憶し、ろ過開始から所定時間後のろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に振動検出部が検出した信号を周波数解析して得られるろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定することにより、上記課題を解決した。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明の構成と、本発明の好ましい構成を以下に記載する。
[1] ろ過膜を含むろ過膜モジュールと、
ろ過膜モジュールの外部に配置された振動検出部と、
記憶部と、
演算部とを有し、
記憶部は、初期のろ過膜モジュールが被処理水をろ過した場合に振動検出部が検出および周波数解析して得られる初期ピークを記憶し、
演算部は、ろ過開始から所定時間後のろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に振動検出部が検出した信号を周波数解析して得られるろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定する、
膜ろ過装置。
[2] 演算部は、ろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定する[1]に記載の膜ろ過装置。
[3] 記憶部は、初期ピークのうち最も高い波長帯域のピークよりも高い周波数を、閾値周波数として記憶し、
演算部は、ろ過時ピークが、閾値周波数よりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定する[2]に記載の膜ろ過装置。
[4] さらに制御部および洗浄手段を備え、
演算部がろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定した場合に、制御部が洗浄手段によるろ過膜モジュールの洗浄頻度を高める[2]または[3]に記載の膜ろ過装置。
[5] ろ過膜モジュールが、ろ過膜が収容される内部空間が形成されたハウジングを備え、
ハウジングの側面に振動検出部が固定された[1]~[4]のいずれか一項に記載の膜ろ過装置。
[6] ろ過時ピークが、900~3000Hzの帯域のピークを含む[1]~[5]のいずれか一項に記載の膜ろ過装置。
[7] 初期のろ過膜モジュールが、膜処理を開始する前のろ過膜モジュールまたは薬品洗浄直後のろ過膜モジュールである[1]~[6]のいずれか一項に記載の膜ろ過装置。
[8] ろ過膜が、デッドエンドろ過方式である[1]~[7]のいずれか一項に記載の膜ろ過装置。
[9] ろ過開始から所定時間後のろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に、ろ過膜モジュールの外部に配置された振動検出部が検出した信号を周波数解析してろ過時ピークを得る工程と、
ろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜モジュールに含まれるろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定する工程を含み、
初期ピークは、初期のろ過膜モジュールが被処理水をろ過した場合に、振動検出部が検出および周波数解析して得られるピークである、膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法。
本発明によれば、ろ過膜への蓄積物の過剰蓄積の有無を判定できる膜ろ過装置を提供できる。
図1は、本発明の膜ろ過装置の一例の概略図である。 図2は、本発明の膜ろ過装置に用いられるろ過膜モジュールの一例の断面の概略図である。 図3は、本発明の膜ろ過装置を用いて膜処理を行った場合のロジスティック回帰分析による判定から得られた、ろ過膜の膜重量と、ろ過膜の膜重量の過剰増加の発生率の関係を示したグラフである。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[膜ろ過装置]
本発明の膜ろ過装置は、ろ過膜を含むろ過膜モジュールと、ろ過膜モジュールの外部に配置された振動検出部と、記憶部と、演算部とを有し、記憶部は、初期のろ過膜モジュールが被処理水をろ過した場合に振動検出部が検出および周波数解析して得られる初期ピークを記憶し、演算部は、ろ過開始から所定時間後のろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に振動検出部が検出した信号を周波数解析して得られるろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定する。
本発明の膜ろ過装置によれば、ろ過膜への蓄積物の過剰蓄積の有無を判定できる。初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定することにより、ろ過膜の膜面への蓄積物の蓄積状態(汚泥の堆積状態など)を高感度で検知できる。本発明者らの検討によれば、ろ過膜モジュールの外側から振動検出部を用いて周波数解析した場合、蓄積物の蓄積量の多いろ過膜が含まれるろ過膜モジュール(膜重量の大きいろ過膜)は固有の高周波が検出され、高感度で識別可能であった。
本発明の膜ろ過装置の好ましい態様によれば、予兆段階で適切な洗浄を実施することが可能なため、ろ過膜への過剰な蓄積物の蓄積を予防できることから、膜ろ過装置の安定操業およびろ過膜の長寿命化ができる。
以下、本発明の膜ろ過装置の好ましい態様について説明する。
<膜ろ過装置の全体的な構成>
本発明の膜ろ過装置の全体的な構成の好ましい態様を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の膜ろ過装置の一例の概略図である。
図1に示した膜ろ過装置は、ろ過膜を含むろ過膜モジュール10と、ろ過膜モジュール10の外部に配置された振動検出部20と、記憶部21と、演算部22とを有する。
記憶部21は、初期のろ過膜モジュール10が被処理水1をろ過した場合に振動検出部20が検出および周波数解析して得られる初期ピークを記憶する。
演算部22は、ろ過開始から所定時間後のろ過膜モジュール10が被処理水1をろ過する場合に振動検出部20が検出した信号を周波数解析して得られるろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定する。
図1に示した膜ろ過装置は、さらに制御部23を備える。
図1に示した膜ろ過装置は、さらにポンプ40および洗浄手段41を備える。図1に示した膜ろ過装置では、制御部23からの信号により、ポンプ40および/または洗浄手段41が制御される。
洗浄手段41は、制御部23によって、逆洗用の水3をろ過膜モジュール10に供給するタイミングを制御され、ろ過膜を逆洗できる。
被処理水1は、ろ過膜モジュール10で処理されて、処理水2が得られる。
以下、本発明の膜ろ過装置を構成する各部分の好ましい態様を説明する。
<ろ過膜モジュール>
本発明の膜ろ過装置は、ろ過膜を含むろ過膜モジュールを有する。
本発明では、初期のろ過膜モジュールが、膜処理を開始する前のろ過膜モジュールまたは薬品洗浄直後のろ過膜モジュールであることが好ましい。
ろ過膜モジュールの好ましい態様を、図面を用いて説明する。図2は、本発明の膜ろ過装置に用いられるろ過膜モジュールの一例の断面の概略図である。
図2に記載のろ過膜モジュール10は、ろ過膜11がろ過膜束12を含むことが好ましい。ろ過膜束12は、複数の膜エレメント(不図示)から構成されることが好ましい。
図2に記載のろ過膜モジュール10は、ろ過膜11が収容される内部空間が形成されたハウジング13を備える。
ハウジング13の側面13Sへの振動検出部(図2には不図示)の固定位置は、任意の位置とすることができる。例えば、ハウジング13の最上部13A、上部13B、中部13C、下部13D、最下部13Eのいずれの位置でもよい。
ここで、ハウジング13の側面13Sのうち、ろ過膜の存在領域13Fのうち、上から1/3未満の長さの部分を上部13B、上から1/3~2/3の長さの部分を中部13C、上から2/3を超える長さの部分を下部13Dとする。なお、ハウジング13の側面13Sのうち、上からろ過膜の存在領域13Fの上端までの部を最上部13A、ろ過膜の存在領域13Fの下端からハウジング13の下面13Lまでの部分を最下部13Eとする。
図2に記載のろ過膜モジュール10では、ハウジング13の下面13Lから被処理水1がろ過膜モジュール10の内部に導入され、上面13Uから処理水2を得る。
ろ過膜束12は、それぞれ固定部材14に固定されることが好ましい。固定部材14は、ハウジング13の側面13Sの最上部13Aおよび/または上面13Uに固定されることが好ましい。
(ろ過膜)
ろ過膜によるろ過方式にはクロスフローろ過方式とデッドエンドろ過方式がある。通常、クロスフローろ過方式は膜間差圧と通水差圧の両方を、デッドエンドろ過方式は膜間差圧をモニタリングされる。
デッドエンドろ過方式は水回収率が高く、動力コストも抑えられるメリットがある反面、膜面に堆積した汚泥を適切に排出できない場合、膜閉塞に至る問題もあった。閉塞が顕著になると膜のろ過性能を回復できなくなるためろ過膜の膜面への蓄積物の蓄積状態(汚泥の堆積状態など)を高感度で検知できる技術が重要である。デッドエンドろ過方式で通常のモニタリングに用いられる膜間差圧は感度が低く、膜が完全に閉塞し、回復不能となることがあり問題である。
本発明の膜ろ過装置によれば、デッドエンドろ過方式の問題を解決できるため、本発明の膜ろ過装置は、ろ過膜が、デッドエンドろ過方式である場合に好ましく用いられる。
ろ過膜が精密ろ過膜または限外ろ過膜であることが好ましい。
精密ろ過膜の開口径は特に制限はなく、0.1~0.5μmであることが好ましく、0.1~0.2μmであることがより好ましい。限外ろ過膜の開口径は特に制限はなく、0.01~0.05μmであることが好ましく、0.01~0.02μmであることがより好ましい。
ろ過膜は、ハウジングに収容されることが好ましい。ろ過膜がハウジングに収容される態様については特に制限はなく、ハウジング内に配置された固定部材により、ろ過膜の端部が固定されてもよい。本発明では、長手方向が鉛直方向となるようにろ過膜がハウジングに収容されたことが好ましい。
ろ過膜が複数のろ過膜束を含むことが好ましい。ろ過膜束の数は例えば4~8束とすることができ、4~6束であることが好ましい。ろ過膜束の形状は円筒形状であることが好ましいが、その他の形状であってもよい。
ろ過膜は、周方向に分割され、束状のろ過膜を有する複数のろ過膜束からなっていることが好ましい。すなわち、複数のろ過膜束は周方向に並ぶことが好ましく、周方向に間隔をおいて(隙間を空けて)並ぶことがより好ましい。また、ろ過膜束の中心が、ハウジングの側周面の断面の円と同心円を形成するように周方向に並ぶことが、好ましい。
(ハウジング)
本発明では、ろ過膜モジュールが、ろ過膜が収容される内部空間が形成されたハウジングを備えることが好ましい。本発明の好ましい態様では、ろ過膜をハウジングから取り出さず、かつ、膜処理時に膜処理を中断することなく、ハウジングの外側からハウジング内部のろ過膜の蓄積物の蓄積状況を高感度で判定できる。
ろ過膜モジュールがハウジングを備える場合、ハウジングおよびその内部に存在する部分の全体を、ろ過膜モジュールと呼ぶ。
ハウジングの形状は特に制限はないが、上面、下面、およびこれらを接続する側面を備えることが好ましく、円筒形状であることがより好ましい。ハウジングの上面には、膜処理工程を行う場合に処理水を通過させる配管が接続されることが好ましい。ハウジングの下面には、膜処理工程を行う場合に被処理水を通過させる配管が接続されることが好ましい。
ハウジングは、任意の気体入口および気体出口を備えていてもよい。
本発明では、ハウジングの側面に振動検出部が固定されたことが好ましい。ハウジングの側面への振動検出部の固定位置は、ろ過膜への蓄積物の過剰蓄積の有無の判定の感度の観点からは、ハウジングの最上部、上部、中部、下部、最下部のいずれの位置でもよい。ただし、ハウジングの側面のうちろ過膜の存在領域(上部、中部または下部)に振動検出部が固定されたことがノイズ除去およびハウジングハンドリングの観点からより好ましい。
<振動検出部>
本発明の膜ろ過装置は、ろ過膜モジュールの外部に配置された振動検出部を有する。
振動検出部の検出感度は例えば2Hz~100kHzとすることができ、50Hz~20kHzとすることが好ましく、100Hz~10KHzとすることがより好ましい。
ろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、流路閉塞に起因する振動の発生が生じ、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定することができる。
本発明では、ろ過時ピークが、900~3000Hzの帯域のピークを含むことが好ましい。ろ過時ピークが、1000Hz以上の帯域のピークを含むことがより好ましい。ろ過時ピークが、2000Hz以下の帯域のピークを含むことがより好ましい。ここで、900~3000Hzの帯域のピークは、カルマン渦に該当する固有周波数に相当する。流路閉塞が進行して被処理水の流速が特に速くなるとカルマン渦が発生し出し、振動検出部で検出されるカルマン渦の発生する周波数は、相対的に周波数は高くなる。ろ過時ピークが、カルマン渦の発生する周波数に該当する波長帯域にピークを含む場合に、流路閉塞に起因するカルマン渦の発生が検知し、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定することが、ろ過膜への蓄積物の過剰蓄積の有無の検出感度を高める観点からより好ましい。ろ過膜の膜面に汚泥などの蓄積物が蓄積して、被処理水の流路が狭くなることで、カルマン渦が発生すると考えられる。ただし、カルマン渦の発生する周波数は水温、水の粘度、ろ過流量などのファクターで変化する。カルマン渦の発生する周波数は下記式(2)で表され、流速と渦の発生する周波数が比例する。
式(2):
f = St × U/D
f: 渦の発生する周波数(単位は1/s)
St: ストローハル数(水温、水の粘度、慣性などで変化する値;無次元量)
U: 代表速度(単位はm/s)
D: 代表長さ(単位はm)
振動検出部は、ろ過膜モジュールが被処理水をろ過した場合に少なくとも振動を検出できればよい。
振動検出部は、さらに検出された振動の信号を、周波数解析できることが好ましい。ただし、後述の演算部または任意のPCなど、振動検出部以外の部位が、検出された振動の信号を周波数解析してもよい。
振動検出部で検出された振動の信号は、任意の手段で周波数解析することができる。周波数解析の手段としては、例えば、フーリエ変換、ハートレー変換などを挙げることができる。振動の信号は、フーリエ変換で周波数解析されることが好ましく、離散フーリエ変換で周波数解析されることがより好ましく、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;以下、FFTとも言う)で周波数解析されることが特に好ましい。
振動の信号は、パワースペクトルに変換されて周波数解析されることが好ましい。パワースペクトルでは、横軸が周波数であり、縦軸がパワーである。パワースペクトルは時間変動していなくてもよいが、時間変動していることが、ろ過時に連続的に振動検出できる観点から好ましい。パワースペクトルが時間変動する場合、パワーのピーク(パワースペクトルの極大値)のうち、定常的に検出されるピークに対応する周波数を固有周波数とすることが好ましい。ピークが複数存在する場合、周波数解析されて得られた周波数(初期ピークおよびろ過時ピークの周波数など)は、複数のピークにそれぞれ対応する複数の周波数を含む。
<記憶部>
本発明の膜ろ過装置は、記憶部を有する。記憶部は、初期のろ過膜モジュールが被処理水をろ過した場合に振動検出部が検出および周波数解析して得られる初期ピークを記憶する。初期ピークは、1つのピークでもよく、複数のピークを含んでいてもよい。記憶部は、初期ピークのうち最も高い波長帯域のピークを記憶することが好ましい。ただし、初期ピークのうちすべてのピークを記憶してもよい。
本発明では、記憶部は、初期ピークのうち最も高い波長帯域のピークよりも高い周波数を、閾値周波数として記憶することが好ましい。閾値周波数は、演算部などが自動で決定してもよく、人為的に決定してもよい。閾値周波数は初期ピークのうち最も高い波長帯域のピークよりも高ければ特に制限はないが、例えば900~3000Hzの任意の値を選択することができる。
記憶部には、あらかじめ初期ピークを記憶させておいてもよく、あらかじめ閾値周波数を記憶させておいてもよい。特に、被処理水の水温、水の粘度、ろ過流量などの条件を変更せずに、2回目以降の膜処理を行う場合は、あらかじめ初期ピークおよび/またはめ閾値周波数を記憶部に記憶させておくことが好ましい。被処理水の水温、水の粘度、ろ過流量などの条件を変更せずに、膜処理を開始する前の別のろ過膜に変更する場合や、薬品洗浄直後のろ過膜モジュールに変更する場合も同様である。
<演算部>
本発明の膜ろ過装置は、演算部を有する。演算部は、ろ過開始から所定時間後のろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に振動検出部が検出した信号を周波数解析して得られるろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定する。
振動検出部によるモニタリングを複数回にわたって行う場合は、初期ピークよりも高い波長帯域のピークが連続的に複数回検出される場合に、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定することがより好ましい。
本発明では、演算部は、ろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定することが好ましい。演算部は、ろ過時ピークが、閾値周波数よりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定することがより好ましい。
<制御部>
本発明の膜ろ過装置は、制御部を備えることが好ましい。
制御部は、記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、所定の機能を発揮することができる。ろ過膜モジュールの洗浄が必要であると演算部が判定した場合に、制御部は、水処理方法の各工程(膜処理工程、逆洗、バブリング洗浄、薬品洗浄など)を適切なタイミングで実行するように制御を行うことが好ましい。
本発明では、演算部がろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定した場合に、制御部が洗浄手段によるろ過膜モジュールの洗浄頻度を高めることが好ましい。例えば、制御部が洗浄手段によるろ過膜モジュールの洗浄頻度を高めるように、ポンプおよび逆洗手段(逆洗ポンプ)を制御することが好ましい。
<洗浄手段>
本発明の膜ろ過装置は、洗浄手段を備えることが好ましい。
演算部がろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定した場合、自動的に蓄積物の排出のための洗浄頻度を高めることが好ましく、逆洗頻度を高めることがより好ましい。
<その他の装置>
膜ろ過装置は、その他の機能を有する部分を備えていてもよい。例えば、膜処理工程に用いるための、凝集剤添加手段、殺菌剤添加手段、pH調整手段などを備えていてもよい。
また、ろ過膜モジュールの後段に、処理水槽や逆浸透装置などを備えていてもよい。
[膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法]
本発明の膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法は、ろ過開始から所定時間後のろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に、ろ過膜モジュールの外部に配置された振動検出部が検出した信号を周波数解析してろ過時ピークを得る工程と、ろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜モジュールに含まれるろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定する工程を含み、初期ピークは、初期のろ過膜モジュールが被処理水をろ過した場合に、振動検出部が検出および周波数解析して得られるピークである。
本発明の膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法は、初期ピークを得る工程を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。例えば、以前に初期ピークを得たことがある膜ろ過装置を用いて、類似の被処理水を用いて水処理する場合は、以前に記憶部が記憶した初期ピークを用いてもよい。または、以前に記憶部に記憶させた閾値周波数を、初期ピークとして用いてもよい。
<被処理水>
本発明に用いられる被処理水は、特に制限はなく、例えば下水や工場の排水等の様々な種類の排水を、被処理水として用いることができる。排水に対して、必要に応じて適当な前処理をした水を被処理水として用いることが好ましい。前処理としては、曝気槽による生物処理、凝集剤添加処理、殺菌剤添加処理、沈殿槽による沈殿処理、その他の一般的な中和処理や混和処理を挙げることができる。被処理水のCODMn(過マンガン酸カリウムによる化学的酸素要求量)は特に制限はなく、例えば1~50mg/Lとすることができる。
<水処理方法>
本発明の膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法を含む、水処理方法を行うことができる。水処理方法では、本発明の膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法にしたがって、蓄積物の過剰蓄積が生じた場合に、膜処理の途中に適切な頻度でろ過膜を逆洗する工程を行うことが好ましい。すなわち、本発明の膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法では、ろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定することが好ましい。
逆洗を行った後、再び膜処理工程を行うことを繰り返し、水処理を続けることができる。
ろ過膜に蓄積物(多量の固形物など)が付着して、逆洗の差圧回復効果が著しく低下してしまった後に、薬品洗浄による洗浄を行うことが好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
図1に記載の膜ろ過装置を準備し、実施例1で用いた。具体的には、ろ過膜を含むろ過膜モジュールと、ろ過膜モジュールの側面の中部に固定された振動検出部と、記憶部と、演算部と、制御部を有し、さらに制御部がポンプと洗浄手段を制御できる膜ろ過装置を用いた。
実施例1で用いた膜ろ過装置は、図2に記載のろ過膜モジュールを備える。図2に記載のろ過膜モジュールでは、ハウジングが円筒形であり、上面、下面および側面(側周面)を備える。長手方向が鉛直上下方向となるように、ろ過膜束(中空糸膜束)が、ハウジングの上面に配置された固定部材に固定される。ろ過膜束の中心がハウジングの側周面の断面の円と同心円を形成するように周方向に並ぶ。ろ過膜束は、孔径0.02μmの限外ろ過膜の束である。
<初期ピークの記憶>
被処理水として、CODMnが20mg/L程度の池水を用いた。被処理水に対して、凝集剤として硫酸バンドおよび次亜塩素酸を所定の量ずつ添加して、凝集反応を行った。
凝集反応を行った後の被処理水を、新品のろ過膜を備えるろ過膜モジュールに供給し、30分間の膜処理を行った。
ろ過膜モジュールのハウジングの外側の中部に、振動検出部を当てて測定した。振動検出部として、単一指向性マイクロフォンおよびスマートフォン用解析ソフトAdvanced Spectrum Analyzer Pro(Vuche Labs製)を備える、FFT分析器を用いた。
ろ過時の振動を振動検出部が信号として検出し、高速フーリエ変換により周波数解析してスペクトルを得て、複数のピークを含む初期ピークを得た。初期ピークは50~750Hzの間でのみ検出された。
初期ピークには1kHz(1000Hz)以上のピークは検出されなかったことから、閾値周波数を1kHzとした。
一方、30分間の膜処理を行う前に、清水ですすいだ過膜の膜重量(湿重量)を測定したところ16.0kgであった。これを初期のろ過膜の膜重量とした。
<ろ過時ピークの検出>
被処理水を、ろ過膜モジュールに供給し、逆洗手段を用いて逆洗浄しながら、連続的に膜処理を行った。逆洗頻度は2回/時とした。
所定時間が経過した後から振動検出部によるモニタリングを開始し、モニタリング時に得られたろ過時ピークと、その時のろ過膜の膜重量を測定した。
ろ過膜の膜重量が25kgを超えた場合、ろ過残渣が過剰蓄積したと判断し、ろ過膜を通常の逆洗よりも強力な物理洗浄および薬品洗浄した。
薬品洗浄後のろ過膜を用いて、同様の手順で2回目のろ過時ピークの検出を行った。
<膜重量の過剰増加の判定>
膜ろ過装置の演算部は、ろ過開始から所定時間後のろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に振動検出部が検出した信号を周波数解析して得られたろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定した。
<ロジスティック回帰分析による判定結果の評価>
各モニタリング時のろ過時ピークのうち、閾値周波数(1kHz)よりも高いピークが検出されるか不検出かを目的変数とし、各モニタリング時の膜重量を説明変数として、ロジスティック回帰分析を行った。
1:ろ過時ピークのうち、閾値周波数(1kHz)よりも高いピークが検出された。
0:ろ過時ピークのうち、閾値周波数(1kHz)よりも高いピークが不検出。
得られたロジスティック回帰分析結果を下記表1~3および図3に示した。また、下記式(1)のロジスティック回帰式を得られた。
式(1):
P(x)=1/(1+EXP(-(-19.7618+0.978266*x)))
なお、式(1)中、xはモニタリング時の膜重量を表す。
以上より、閾値周波数(1kHz)よりも高い周波数帯域にピークが検出されたハウジング内部には、膜重量が過剰増加した汚泥蓄積量の多いろ過膜束が、高頻度で入っていると言えた。この実施例では、式(1)におけるx(モニタリング時の膜重量)が約20.2kg以上の場合、ろ過膜の膜重量の過剰増加の発生率P(x)が約0.5となる。
したがって、本発明の膜ろ過装置によれば、ろ過膜の膜重量の過剰増加の有無、すなわち、ろ過膜への蓄積物の過剰蓄積の有無を判定できることがわかった。
Figure 2022061317000002
Figure 2022061317000003
Figure 2022061317000004
[実施例2]
実施例2では、実施例1で用いた膜ろ過装置を用いて、ろ過膜モジュールの洗浄の必要性の判定を行った。
<ろ過時ピークの検出>
被処理水を、ろ過膜モジュールに供給し、逆洗手段を用いて逆洗浄しながら、連続的に膜処理を行った。逆洗頻度は2回/時とした。
所定時間が経過した後から振動検出部によるモニタリングを開始し、モニタリング開始時に振動検出部が検出した信号を周波数解析して、ろ過時ピークを得た。
<ろ過膜モジュールの洗浄の要否の判定>
得られたろ過時ピークは閾値周波数1kHzよりも高い波長帯域にピークが「なし」であったことから、演算部がろ過膜モジュールの洗浄が不要であると判定した。
モニタリング開始時のろ過膜の膜重量(湿重量)を測定したところ、19.4Kgであった。
<20日後の評価>
ろ過膜モジュールの洗浄が不要であるとの演算部の判定にしたがって、ろ過膜モジュールの洗浄頻度を2回/時に維持したまま、さらに20日後に、振動検出部によるモニタリングを行い、モニタリング時に振動検出部が検出した信号を周波数解析して、ろ過時ピークを得た。
モニタリング開始時から20日後のろ過膜の膜重量(湿重量)を測定したところ、21.8Kg程度であり、膜閉塞には至っていなかった。
したがって、本発明の膜ろ過装置によれば、ろ過膜の膜重量の過剰増加、すなわち、ろ過膜への蓄積物の過剰蓄積が無いとの判定、および、ろ過膜モジュールの洗浄が不要との判定を適切に行えることがわかった。
[参考例1]
参考例1では、実施例1で用いた膜ろ過装置を用いて、ろ過膜モジュールの洗浄の必要性の判定を行った。
<ろ過時ピークの検出>
被処理水を、ろ過膜モジュールに供給し、逆洗手段を用いて逆洗浄しながら、連続的に膜処理を行った。逆洗頻度は2回/時とした。
所定時間が経過した後から振動検出部によるモニタリングを開始し、モニタリング開始時に振動検出部が検出した信号を周波数解析して、ろ過時ピークを得た。
<ろ過膜モジュールの洗浄の要否の判定>
得られたろ過時ピークは閾値周波数1kHzよりも高い波長帯域にピークが「あり」であったことから、演算部がろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定した。
モニタリング開始時のろ過膜の膜重量(湿重量)を測定したところ、21.45Kgであった。
<20日後の評価>
ろ過膜モジュールの洗浄が必要であるとの演算部の判定に反して、ろ過膜モジュールの洗浄頻度を2回/時に維持したまま、さらに20日後に、振動検出部によるモニタリングを行い、モニタリング時に振動検出部が検出した信号を周波数解析して、ろ過時ピークを得た。
モニタリング開始時から20日後のろ過膜の膜重量(湿重量)を測定したところ、24.2Kg程度であり、膜重量が過剰増加しており、膜閉塞に近いことがわかった。
したがって、参考例1の反対解釈によれば、本発明の膜ろ過装置によれば、ろ過膜の膜重量の過剰増加、すなわち、ろ過膜への蓄積物の過剰蓄積が無いとの判定、および、ろ過膜モジュールの洗浄が不要との判定を適切に行えることがわかった。
[実施例3]
実施例3では、実施例1で用いた膜ろ過装置を用いて、ろ過膜モジュールの洗浄の必要性の判定および洗浄頻度の制御を行った。
<ろ過時ピークの検出>
被処理水を、ろ過膜モジュールに供給し、逆洗手段を用いて逆洗浄しながら、連続的に膜処理を行った。逆洗頻度は2回/時とした。
所定時間が経過した後から振動検出部によるモニタリングを開始し、モニタリング開始時に振動検出部が検出した信号を周波数解析して、ろ過時ピークを得た。
<ろ過膜モジュールの洗浄の要否の判定および洗浄頻度の制御>
得られたろ過時ピークは閾値周波数1kHzよりも高い波長帯域にピークが「あり」であったことから、演算部がろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定した。
そして、ろ過膜モジュールの洗浄が必要であるとの演算部の判定にしたがって、制御部が洗浄手段によるろ過膜モジュールの洗浄頻度を4回/時に高めるようにポンプおよび逆洗手段(逆洗ポンプ)を制御した。
モニタリング開始時のろ過膜の膜重量(湿重量)を測定したところ、22.5Kgであった。
<20日後の評価>
ろ過膜モジュールの洗浄頻度を4回/時に高めた後、さらに20日後に、振動検出部によるモニタリングをし、モニタリング時に振動検出部が検出した信号を周波数解析して、ろ過時ピークを得た。モニタリング開始時から20日後のろ過時ピークは閾値周波数1kHzよりも高い波長帯域にピークが「なし」であり、モニタリング開始時から20日後のろ過膜の膜重量(湿重量)を測定したところ、19.4Kg程度であった。逆洗頻度を高めたことにより閾値周波数1kHzよりも高い波長帯域のピークが不検出となり、実際に膜重量も低下していることがわかった。
したがって、実施例3によれば、本発明の膜ろ過装置によれば、ろ過膜の膜重量の過剰増加、すなわち、ろ過膜へのろ過残渣の過剰蓄積がありとの判定、および、ろ過膜モジュールの洗浄が必要との判定を適切に行えることがわかった。
[参考例2]
実施例3では、実施例1で用いた膜ろ過装置を用いて、ろ過膜モジュールの洗浄の必要性の判定および洗浄頻度の制御を行った。
<ろ過時ピークの検出>
被処理水を、ろ過膜モジュールに供給し、逆洗手段を用いて逆洗浄しながら、連続的に膜処理を行った。逆洗頻度は2回/時とした。
所定時間が経過した後から振動検出部によるモニタリングを開始し、モニタリング開始時に振動検出部が検出した信号を周波数解析して、ろ過時ピークを得た。
<ろ過膜モジュールの洗浄の要否の判定および洗浄頻度の制御>
得られたろ過時ピークは閾値周波数1kHzよりも高い波長帯域にピークが「なし」であったことから、演算部がろ過膜モジュールの洗浄が不要であると判定した。
モニタリング開始時のろ過膜の膜重量(湿重量)を測定したところ、18.2Kgであった。
<20日後の評価>
ろ過膜モジュールの洗浄が不要であるとの演算部の判定に反して、ろ過膜モジュールの洗浄頻度を4回/時に高めた後、さらに20日後に、振動検出部によるモニタリングをし、モニタリング時に振動検出部が検出した信号を周波数解析して、ろ過時ピークを得た。モニタリング開始時から20日後のろ過時ピークは閾値周波数1kHzよりも高い波長帯域にピークが「なし」であり、モニタリング開始時から20日後のろ過膜の膜重量(湿重量)を測定したところ、18.8Kg程度であった。膜重量がほとんど増加しなかったものの、逆洗浄のコストとろ過量のバランスも考慮すると、演算部の判定に反して逆洗頻度を高める必要はなかったと言える。
したがって、参考例2の反対解釈によれば、本発明の膜ろ過装置によれば、ろ過膜の膜重量の過剰増加、すなわち、ろ過膜へのろ過残渣の過剰蓄積がなしとの判定、および、ろ過膜モジュールの洗浄が不要との判定を適切に行えることがわかった。
以上の実施例2、3、参考例1および2の結果を下記表4にまとめた。
Figure 2022061317000005
上記表4より、本発明の好ましい態様の膜ろ過装置によれば、ろ過膜の膜重量の過剰増加、すなわち、ろ過膜へのろ過残渣の過剰蓄積の有無の判定に加えて、さらにろ過膜モジュールの洗浄の要否の判定を適切に行えることがわかった。
[実施例4~8]
実施例1の膜ろ過装置において、振動検出部の固定位置をろ過膜モジュールのハウジングの外側の中部から、それぞれ最上部、上部、下部、または最下部に変更して、実施例4、5、7および8の膜ろ過装置とした。なお、実施例6では、実施例1と同じ膜ろ過装置を用いる。
実施例1と同様にしてろ過時ピークの検出を所定時間が経過した後に行ったところ、膜重量20.7kgの場合、いずれも閾値周波数(1kHz)よりも高いピークが検出された。得られた結果を下記表5に示した。
Figure 2022061317000006
上記表5より、本発明の膜ろ過装置によれば、ハウジング側面への振動検出部の固定位置によらず、ろ過膜の膜重量の過剰増加、すなわち、ろ過膜への蓄積物の過剰蓄積の有無の判定をできることがわかった。
[比較例1]
実施例1の膜ろ過装置から、振動検出部、記憶部、演算部および制御部を取り除き、比較例1の膜ろ過装置とした。
比較例1の膜ろ過装置を用いて、実施例1と同様にして膜処理(ろ過)を行った。
ろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に、ろ過膜モジュールのハウジングの側面に対して、JIS Z2300(0301)に記載の方法で、任意のタイミングで打音検査を行った。その結果、打音検査では、打音とろ過膜の膜重量との間に相関関係は見られず、ろ過膜の膜重量の過剰増加の有無を判定できなかった。
また、膜間差圧および通水差圧を測定して差圧に異常が認められた場合に打音検査を行った時も、同様に打音検査ではろ過膜の膜重量の過剰増加の有無を判定できなかった。
1 被処理水
2 処理水
3 逆洗用の水
10 ろ過膜モジュール
11 ろ過膜
12 ろ過膜束
13 ハウジング
13A 最上部
13B 上部
13C 中部
13D 下部
13E 最下部
13F ろ過膜の存在領域
13L 下面
13S 側面
13U 上面
14 固定部材
20 振動検出部
21 記憶部
22 演算部
23 制御部
40 ポンプ
41 洗浄手段

Claims (9)

  1. ろ過膜を含むろ過膜モジュールと、
    前記ろ過膜モジュールの外部に配置された振動検出部と、
    記憶部と、
    演算部とを有し、
    前記記憶部は、初期の前記ろ過膜モジュールが被処理水をろ過した場合に前記振動検出部が検出および周波数解析して得られる初期ピークを記憶し、
    前記演算部は、ろ過開始から所定時間後の前記ろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に前記振動検出部が検出した信号を周波数解析して得られるろ過時ピークが、前記初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、前記ろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定する、
    膜ろ過装置。
  2. 前記演算部は、前記ろ過時ピークが、前記初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、前記ろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定する、請求項1に記載の膜ろ過装置。
  3. 前記記憶部は、前記初期ピークのうち最も高い波長帯域のピークよりも高い周波数を、閾値周波数として記憶し、
    前記演算部は、前記ろ過時ピークが、前記閾値周波数よりも高い波長帯域にピークを含む場合に、前記ろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定する、請求項2に記載の膜ろ過装置。
  4. さらに制御部および洗浄手段を備え、
    前記演算部が前記ろ過膜モジュールの洗浄が必要であると判定した場合に、前記制御部が前記洗浄手段による前記ろ過膜モジュールの洗浄頻度を高める、請求項2または3に記載の膜ろ過装置。
  5. 前記ろ過膜モジュールが、前記ろ過膜が収容される内部空間が形成されたハウジングを備え、
    前記ハウジングの側面に前記振動検出部が固定された、請求項1~4のいずれか一項に記載の膜ろ過装置。
  6. 前記ろ過時ピークが、900~3000Hzの帯域のピークを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の膜ろ過装置。
  7. 初期の前記ろ過膜モジュールが、膜処理を開始する前の前記ろ過膜モジュールまたは薬品洗浄直後の前記ろ過膜モジュールである、請求項1~6のいずれか一項に記載の膜ろ過装置。
  8. 前記ろ過膜が、デッドエンドろ過方式である、請求項1~7のいずれか一項に記載の膜ろ過装置。
  9. ろ過開始から所定時間後のろ過膜モジュールが被処理水をろ過する場合に、前記ろ過膜モジュールの外部に配置された振動検出部が検出した信号を周波数解析してろ過時ピークを得る工程と、
    前記ろ過時ピークが、初期ピークよりも高い波長帯域にピークを含む場合に、前記ろ過膜モジュールに含まれるろ過膜の膜重量が過剰増加したと判定する工程を含み、
    前記初期ピークは、初期の前記ろ過膜モジュールが被処理水をろ過した場合に、前記振動検出部が検出および周波数解析して得られるピークである、膜ろ過装置の蓄積物の過剰蓄積を推定する方法。
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