JP2022061205A - 携帯用情報機器及びカバー装置 - Google Patents

Abstract

【課題】スタンドを回動可能に支持するヒンジ装置でのがたつきやノイズの発生を抑制する。
【解決手段】携帯用情報機器は、筐体と、前記筐体の背面を覆うように設けられるカバー装置と、を備える。カバー装置は、スタンドカバー部を前記収納位置と前記起立位置との間で回動可能に支持するヒンジ装置を有する。ヒンジ装置は、第１シャフトと、第２シャフトと、第１端部が前記第１シャフトの一端部と連結され、第２端部が前記第２シャフトの一端部と連結される中間シャフトと、第１ベースブラケットと、第１スタンドブラケットと、第２ベースブラケットと、第２スタンドブラケットと、を有する。中間シャフトは、前記第１端部が前記第１シャフトの一端部と互いに固定され、前記第２端部が前記第２シャフトの一端部と互いに相対回転可能に連結されている。
【選択図】図５

Description

本発明は、カバー装置を備える携帯用情報機器及びカバー装置に関する。

ノート型ＰＣやタブレット型ＰＣ等の携帯用情報機器は、持ち運び時の損傷や破損を避ける必要がある。また、携帯用情報機器は、外観意匠や触感が高品質であることが望まれる。そこで、携帯用情報機器の保護用或いは装飾用として、筐体の外面にカバー装置が装着されることがある。本出願人は特許文献１において、折り畳み型のタブレット型ＰＣに対応したカバー装置を提案している。

特開２０１８－１０５９６１号公報

上記特許文献１に記載されているように、カバー装置は、単に筐体の外面を覆うだけでなく、必要に応じて回動させることで機器のスタンドとして機能することも求められている。この種のカバー装置は、筐体の外面に相対的に固定されるベースカバー部と、このベースカバー部に対してヒンジ装置を用いて相対的に回動するスタンドカバー部と、を有する。

この種のヒンジ装置は、薄板状のカバー装置の板厚の範囲内に収まるように小型に構成しつつ、がたつきなく安定して動作できる必要がある。このため、ヒンジ装置の各構成要素は小型化が要求され、さらにヒンジ軸は細径でありながらも高い真直度が要求される。

他方、スタンドカバー部は、回動動作時には、ユーザがその一部を指先で把持して回動させるため、多少の歪みや湾曲等の変形を生じることがある。そうすると、ヒンジ装置はその長手方向で回転速度差を生じ、例えば筐体等に固定されるブラケットとヒンジ軸との間で擦れ等によるノイズを生じる可能性がある。

本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、スタンドを回動可能に支持するヒンジ装置でのがたつきやノイズの発生を抑制することができるカバー装置を備える携帯用情報機器及びカバー装置を提供することを目的とする。

本発明の第１態様に係る携帯用情報機器は、筐体と、前記筐体の背面を覆うように設けられるカバー装置と、を備え、前記カバー装置は、前記筐体の背面に沿って設けられるベースカバー部と、前記ベースカバー部と相対的に回動可能に設けられることで、前記筐体の背面に沿って設けられる収納位置と、前記筐体の背面から突出した起立位置とに移動可能なスタンドカバー部と、前記スタンドカバー部を前記収納位置と前記起立位置との間で回動可能に支持するヒンジ装置と、を有し、前記ヒンジ装置は、第１シャフトと、前記第１シャフトの軸線の延長線上に配置される第２シャフトと、前記第１シャフトと前記第２シャフトとの間で前記軸線の延長線上に配置され、第１端部が前記第１シャフトの一端部と連結され、第２端部が前記第２シャフトの一端部と連結される中間シャフトと、前記第１シャフトと連結され、前記ベースカバー部と相対的に固定される第１ベースブラケットと、前記第１ベースブラケットと隣接して前記第１シャフトと連結され、前記スタンドカバー部と固定される第１スタンドブラケットと、前記第２シャフトと連結され、前記ベースカバー部と相対的に固定される第２ベースブラケットと、前記第２ベースブラケットと隣接して前記第２シャフトと連結され、前記スタンドカバー部と固定される第２スタンドブラケットと、を有し、前記第１ベースブラケット及び前記第１スタンドブラケットは、一方が前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、他方が前記第１シャフトに対して固定され、前記第１ベースブラケットが前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結されている場合は前記第２ベースブラケットも前記第２シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、一方、前記第１ベースブラケットが前記第１シャフトに対して固定されている場合は前記第２ベースブラケットも前記第２シャフトに対して固定され、前記第１スタンドブラケットが前記第１シャフトに対して固定されている場合は前記第２スタンドブラケットも前記第２シャフトに対して固定され、一方、前記第１スタンドブラケットが前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結されている場合は前記第２スタンドブラケットも前記第２シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、前記中間シャフトは、前記第１端部が前記第１シャフトの一端部と互いに固定され、前記第２端部が前記第２シャフトの一端部と互いに相対回転可能に連結されている。

本発明の第２態様に係る携帯用情報機器は、筐体と、前記筐体の背面を覆うように設けられるカバー装置と、を備え、前記カバー装置は、前記筐体の背面に沿って設けられるベースカバー部と、前記ベースカバー部と相対的に回動可能に設けられることで、前記筐体の背面に沿って設けられる収納位置と、前記筐体の背面から突出した起立位置とに移動可能なスタンドカバー部と、前記スタンドカバー部を前記収納位置と前記起立位置との間で回動可能に支持するヒンジ装置と、を有し、前記ヒンジ装置は、ヒンジ軸と、前記ヒンジ軸と連結され、前記ベースカバー部と固定される第１ベースブラケットと、前記第１ベースブラケットと隣接して前記ヒンジ軸と連結され、前記スタンドカバー部と固定される第１スタンドブラケットと、前記ヒンジ軸と連結され、前記筐体と相対的に固定される第２ベースブラケットと、前記第２ベースブラケットと隣接して前記ヒンジ軸と連結され、前記スタンドカバー部と固定される第２スタンドブラケットと、を有し、前記第１ベースブラケット及び前記第２ベースブラケットと、前記第１スタンドブラケット及び前記第２スタンドブラケットとは、一方が前記ヒンジ軸に対して軸周りに回動可能に連結され、他方が前記ヒンジ軸に対して固定され、前記スタンドカバー部は、芯材と、前記芯材の表面に積層され、該スタンドカバー部の表面を形成する表面材と、前記ヒンジ装置が接続された縁部の端面に設けられ、液状の塗布剤を硬化させた端面処理剤と、を有し、前記芯材は、前記表面材が積層された表面とは反対側の裏面に設けられ、前記縁部に対して開口し、前記第１スタンドブラケットが配置される第１凹部と、前記裏面に設けられ、前記縁部に対して開口し、前記第２スタンドブラケットが配置される第２凹部と、を有し、前記第１凹部及び前記第２凹部は、前記縁部に対する開口部の角部に面取り形状部を有する。

本発明の第３態様に係るカバー装置は、携帯用情報機器の筐体の背面を覆うカバー装置であって、ベースカバー部と、前記ベースカバー部に対して相対的に回動可能に設けられるスタンドカバー部と、前記スタンドカバー部を前記ベースカバー部に対して回動可能に支持するヒンジ装置と、を備え、前記ヒンジ装置は、第１シャフトと、前記第１シャフトの軸線の延長線上に配置される第２シャフトと、前記第１シャフトと前記第２シャフトとの間で前記軸線の延長線上に配置され、第１端部が前記第１シャフトの一端部と連結され、第２端部が前記第２シャフトの一端部と連結される中間シャフトと、前記第１シャフトと連結され、前記ベースカバー部と相対的に固定される第１ベースブラケットと、前記第１ベースブラケットと隣接して前記第１シャフトと連結され、前記スタンドカバー部と固定される第１スタンドブラケットと、前記第２シャフトと連結され、前記ベースカバー部と相対的に固定される第２ベースブラケットと、前記第２ベースブラケットと隣接して前記第２シャフトと連結され、前記スタンドカバー部と固定される第２スタンドブラケットと、を有し、前記第１ベースブラケット及び前記第１スタンドブラケットは、一方が前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、他方が前記第１シャフトに対して固定され、前記第１ベースブラケットが前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結されている場合は前記第２ベースブラケットも前記第２シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、一方、前記第１ベースブラケットが前記第１シャフトに対して固定されている場合は前記第２ベースブラケットも前記第２シャフトに対して固定され、前記第１スタンドブラケットが前記第１シャフトに対して固定されている場合は前記第２スタンドブラケットも前記第２シャフトに対して固定され、一方、前記第１スタンドブラケットが前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結されている場合は前記第２スタンドブラケットも前記第２シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、前記中間シャフトは、前記第１端部が前記第１シャフトの一端部と互いに固定され、前記第２端部が前記第２シャフトの一端部と互いに相対回転可能に連結されている。

本発明の上記態様によれば、スタンドを回動可能に支持するヒンジ装置でのがたつきやノイズの発生を抑制することができる。

図１は、一実施形態に係る携帯用情報機器を閉じて積層形態とした状態を示す斜視図である。 図２Ａは、図１に示す携帯用情報機器を開いて平板形態とした状態を模式的に示す側面図である。 図２Ｂは、図２Ａに示す携帯用情報機器をノート形態とした状態での側面図である。 図２Ｃは、図２Ｂに示す携帯用情報機器を閉じて積層形態として状態での側面図である。 図３は、携帯用情報機器をカバー装置側から見た平面図である。 図４は、スタンドカバー部を起立位置として携帯用情報機器を立てた状態での模式的な斜視図である。 図５は、ヒンジ装置の模式的な平面図である。 図６Ａは、ヒンジ軸のＡ１側部分を拡大した断面図である。 図６Ｂは、ヒンジ軸のＡ２側部分を拡大した断面図である。 図７は、スタンドカバー部の模式的な分解斜視図である。 図８は、スタンドカバー部の凹部及びその周辺部を拡大した斜視図である。 図９Ａは、スタンドカバー部のスタンドブラケット及びその周辺部を拡大した模式的な断面図である。 図９Ｂは、比較例に係るスタンドカバー部のスタンドブラケット及びその周辺部を拡大した模式的な断面図である。

以下、本発明に係る携帯用情報機器及びカバー装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。

図１は、一実施形態に係る携帯用情報機器１０を閉じて積層形態とした状態を示す斜視図である。図２Ａは、図１に示す携帯用情報機器１０を開いて平板形態とした状態を模式的に示す側面図である。図２Ｂは、図２Ａに示す携帯用情報機器１０をノート形態とした状態での側面図である。図２Ｃは、図２Ｂに示す携帯用情報機器１０を閉じて積層形態として状態での側面図である。

図１～図２Ｃに示すように、携帯用情報機器１０は、第１筐体１２Ａと、第２筐体１２Ｂと、カバー装置１４と、を備える。本実施形態の携帯用情報機器１０は、折り畳み可能なタブレット型ＰＣ或いはノート型ＰＣである。カバー装置１４は、筐体１２Ａ，１２Ｂの外面を覆うことでこれを保護する保護機能と、外面を装飾して外観意匠を高める装飾機能とを有する。カバー装置１４の装着対象となる携帯用情報機器は、当該携帯用情報機器１０の他、一般的なクラムシェル型のノート型ＰＣ、一枚板状のタブレット型ＰＣ、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。

先ず、携帯用情報機器１０の構成を説明する。携帯用情報機器１０は、筐体１２Ａ，１２Ｂと、ディスプレイ１６と、を備える。

筐体１２Ａ，１２Ｂは、互いに隣接して配置されている。筐体１２Ａ，１２Ｂの隣接端部１２Ａａ，１２Ｂａは、背表紙部材１８で内側から覆われている。筐体１２Ａ，１２Ｂは、それぞれ隣接端部１２Ａａ，１２Ｂａ以外の３辺に側壁が起立した矩形の板状部材で形成されている。筐体１２Ａ，１２Ｂは、例えばステンレス、マグネシウム、若しくはアルミニウム等の金属板、又は、炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。

以下、図１及び図２に示すように、携帯用情報機器１０について、筐体１２Ａ，１２Ｂの並び方向をＸ方向、これと直交する隣接端部１２Ａａ，１２Ｂａに沿った方向をＹ方向、と呼んで説明する。

筐体１２Ａ，１２Ｂは、互いの隣接端部１２Ａａ，１２Ｂａが一対のヒンジ１９，１９を介して連結されている。筐体１２Ａ，１２Ｂ間は、ヒンジ１９により、図２Ａに示す平板形態と図２Ｃに示す積層形態との間で相対的に回動可能に連結されている。ヒンジ１９は、所定の回転トルクを発生可能である。このため、筐体１２Ａ，１２Ｂ間は、互いの角度を９０度～１４０度程度としたノート形態（図２Ｂ参照）でも安定する。ヒンジ１９は、例えば筐体１２Ａ，１２Ｂの隣接端部１２Ａａ，１２ＢａのＹ方向両端部にそれぞれ配置され、ディスプレイ１６の外周縁部の外側に位置している。本実施形態の携帯用情報機器１０は、ヒンジ１９による筐体１２Ａ，１２Ｂ間の回動中心がディスプレイ１６の表面と一致するように設定されている。

各筐体１２Ａ，１２Ｂの内部には、マザーボード及びこれに実装されたＣＰＵ等の各種半導体チップ、通信モジュール、バッテリ装置、冷却装置等の各種電子部品等が搭載されている。図２Ａ～図２Ｃ中の参照符号１７は、第１筐体１２Ａの表面でディスプレイ１６を囲むベゼルに形成された開口から臨む撮像用等のカメラである。

ディスプレイ１６は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイである。ディスプレイ１６は、隣接端部１２Ａａ，１２Ｂａを跨いでＹ方向に延在する帯状の範囲が折曲領域となる。これによりディスプレイ１６は、筐体１２Ａ，１２Ｂを折り畳んだ際に一緒に折り畳み可能であり、筐体１２Ａ，１２Ｂの開閉動作に伴って開閉する。ディスプレイ１６は、例えば柔軟性の高いペーパー構造を持った有機ＥＬ（Electro Luminescence）等のフレキシブルディスプレイである。

次に、カバー装置１４の全体構成を説明する。図３は、携帯用情報機器１０をカバー装置１４側から見た平面図である。

図１～図３に示すように、カバー装置１４は、筐体１２Ａ，１２Ｂの背面１２Ａｂ，１２Ｂｂを覆うように設けられている。カバー装置１４は、使用形態（図２Ａ参照）では背面１２Ａｂ，１２Ｂｂの全面を覆う。カバー装置１４は、ノート形態及び収納形態（図２Ｂ及び図２Ｂ参照）では背面１２Ａｂの大部分と背面１２Ｂｂの全面とを覆う。

カバー装置１４は、ベースカバー部２０と、スタンドカバー部２２と、ヒンジ装置２４と、を備える。カバー部２０，２２は、ヒンジ装置２４を挟んでＸ方向に延在している。カバー部２０，２２は、矩形を成した筐体１２Ａ，１２Ｂの外形のうち、Ｘ方向に沿って互いに平行する第１辺２５ａ及び第２辺２５ｂに沿って延在する。カバー部２０，２２は、使用形態時には、全体として背面１２Ａｂ，１２Ｂｂの全面、つまり第２筐体１２Ｂの開放端（第３辺２５ｃ）から第１筐体１２Ａの開放端（第４辺２５ｄ）までを覆う。第１辺２５ａ及び第２辺２５ｂは、隣接端部１２Ａａ，１２Ｂａと直交する外縁である。第３辺２５ｃは、隣接端部１２Ｂａと平行する外縁である。第４辺２５ｄは、隣接端部１２Ａａと平行する外縁である。

ベースカバー部２０は、第１筐体１２Ａ側から第２筐体１２Ｂ側に向かって順に、スライドカバー部２６と、折曲カバー部２７と、固定カバー部２８と、を有する。

スライドカバー部２６は、第１筐体１２Ａの背面１２Ａｂに対してＸ方向に相対移動可能に設けられた薄いプレート状部材である。図２Ａ及び図３に示す平板形態時、スライドカバー部２６は、先端部２６ａが第１筐体１２Ａの第４辺２５ｄと一致する。先端部２６ａは、Ｘ方向で折曲カバー部２７との境界線Ｂ１とは逆側に位置し、Ｙ方向に延びた端部である。図２Ｂ及び図２Ｃに示すノート形態時及び平板形態時、スライドカバー部２６は、それぞれ先端部２６ａが第４辺２５ｄから隣接端部１２Ａａ側に後退した位置までスライドする。スライドカバー部２６の第１筐体１２Ａに対するスライド構造は特に限定されないが、例えばスライドカバー部に固定されたレールに対し、第１筐体１２Ａに固定されたスライド部品をＸ方向に摺動可能に連結したスライド機構で構成される。

折曲カバー部２７は、筐体１２Ａ，１２Ｂ間の隣接端部１２Ａａ，１２Ｂａを跨ぐ位置に設けられ、Ｘ方向に幅狭でＹ方向に延びた帯状領域である。折曲カバー部２７は、第１筐体１２Ａ側でＹ方向に沿った境界線Ｂ１でスライドカバー部２６と折曲可能に接続されている。折曲カバー部２７は、第２筐体１２Ｂ側でＹ方向に沿った境界線Ｂ２で固定カバー部２８と折曲可能に接続されている。折曲カバー部２７は、全体として可撓性を有し、スライドカバー部２６と固定カバー部２８との間を相対的に回動可能に接続している。折曲カバー部２７は、筐体１２Ａ，１２Ｂ間の回動動作にカバー装置１４を追従して回動させるためのフレキシブルヒンジである。折曲カバー部２７は、少なくとも図２Ｃに示す積層形態時に筐体１２Ａ，１２Ｂの隣接端部１２Ａａ，１２Ｂａ間を覆うことができるＸ方向の幅寸法を持った折曲領域である。

固定カバー部２８は、折曲カバー部２７の一部とスタンドカバー部２２と共に第２筐体１２Ｂの背面１２Ａｂを覆う薄いプレート状部材である。固定カバー部２８は、スタンドカバー部２２と略線対称形状を成しており、本実施形態では平面視略台形状である。固定カバー部２８は、第２筐体１２Ｂの背面１２Ａｂと相対的に固定されている。本実施形態の固定カバー部２８は、背面１２Ａｂに直接固定されている。固定カバー部２８は、Ｘ方向で境界線Ｂ２側とは逆側の縁部２８ａが、ヒンジ装置２４を介してスタンドカバー部２２と隣接している。縁部２８ａは、Ｙ方向に向かって次第にＸ方向に傾斜している。

図４は、スタンドカバー部２２を起立位置として携帯用情報機器１０を立てた状態での模式的な斜視図である。図４に示すように、スタンドカバー部２２は、ベースカバー部２０の固定カバー部２８及び第２筐体１２の背面１２Ｂｂに対して相対的に回動可能に設けられている。本実施形態のスタンドカバー部２２は、ヒンジ装置２４を介して第２筐体１２Ｂの背面１２Ａｂに連結されている。

図２Ａ～図４に示すように、スタンドカバー部２２は、固定カバー部２８と略線対称形状を成しており、本実施形態では平面視略台形状である。スタンドカバー部２２は、Ｘ方向に沿って設けられ、台形の上底及び下底となる第１縁部２２ａ及び第２縁部２２ｂが第２筐体１２Ｂの第１辺２５ａ及び第２辺２５ｂに一致する。Ｙ方向に沿って設けられ、縁部２２ａ，２２ｂの第３辺２５ｃ側の端部間を繋ぐ第３縁部２２ｃは、第３辺２５ｃに一致する。縁部２２ａ，２２ｂの第１辺２５ａ側の端部間を繋ぐ第４縁部２２ｄは、ＸＹ方向に対して傾斜する。第４縁部２２ｄは、固定カバー部２８の縁部２８ａとヒンジ装置２４を挟んで隣接する。ヒンジ装置２４は、この第４縁部２２ｄに接続される。

スタンドカバー部２２は、ヒンジ装置２４の回転動作により、第３縁部２２ｃが背面１２Ｂｂに当接した収納位置（０度）から、背面１２Ｂｂから次第に離間する方向に移動可能である。第３縁部２２ｃは、最大でベースカバー部２０の表面２０ａに当接してそれ以上の移動が規制される位置（１８０度）まで移動可能である。これによりスタンドカバー部２２は、背面１２Ｂｂに沿って設けられる収納位置（図２Ａ及び図３参照）と、背面１２Ａｂから突出した起立位置（例えば図４参照）との間で移動可能である。

図４に示すように、スタンドカバー部２２は、固定カバー部２８に対して適度な角度（起立位置）に設定することで、平板形態とした携帯用情報機器１０を起立姿勢に維持するスタンドとして機能する。起立位置において、スタンドカバー部２２は、第４縁部２２ｄが机面上等に当接し、携帯用情報機器１０を背面１２Ａｂ，１２Ｂｂ側に少し倒れた所定の起立姿勢に維持することができる。

図５は、ヒンジ装置２４の模式的な平面図である。ヒンジ装置２４は、スタンドカバー部２２をベースカバー部２０及び第２筐体１２Ｂに対して相対的に回動可能に連結する。図３及び図５に示すように、ヒンジ装置２４は、ヒンジ軸３０と、ベースブラケット３１Ａ，３１Ｂと、スタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂと、を備える。本実施形態のヒンジ装置２４は、互いに近接したブラケット３１Ａ，３２Ａの組と、ブラケット３１Ｂ，３２Ｂの組とがそれぞれ対であり、それぞれ１つのヒンジを構成する。ベースブラケット及びスタンドブラケットの組は３個以上でもよい。

ヒンジ軸３０は、スタンドカバー部２２の第４縁部２２ｄと固定カバー部２８の縁部２８ａとの間に介在し、これら縁部２２ｄ，２８ａに沿って延在した金属製の棒状部材である。ヒンジ軸３０は、縁部２２ｄ，２８ａに沿ってＸＹ方向に傾斜している。

以下、図３に示すように、ヒンジ装置２４を含めたカバー装置１４の各要素について、ヒンジ軸３０の延在方向をＡ方向と呼び、さらにＨ方向で第１辺２５ａに近づく方向をＡ１方向、第２辺２５ｂに近づく方向をＡ２方向、と呼んで説明する。つまり縁部２２ｄ，２８ａは、Ａ方向に沿って延在している。

図３及び図５に示すように、ベースブラケット３１Ａ，３１Ｂは、第２筐体１２Ｂに対する取付金具である。ベースブラケット３１Ａ，３１Ｂはそれぞれ、取付板３１ａと、支持筒体３１ｂと、を有する。

取付板３１ａは、略矩形状の金属板である。取付板３１ａは、例えば４か所設けられた孔部や切欠部を通したねじによって第２筐体１２Ｂに締結される。取付板３１ａは、支持筒体３１ｂを介してヒンジ軸３０と連結されている。ベースブラケット３１Ａ，３１Ｂは、ベースカバー部２０に直接固定され、第２筐体１２Ｂとは間接的に固定されてもよい。図５中の参照符号３１ｃは、ベースカバー部２０（固定カバー部２８）に対するヒンジ装置２４の位置決め用の板片である。

支持筒体３１ｂは、取付板３１ａのヒンジ軸３０に対する取付部である。支持筒体３１ｂは、ヒンジ軸３０を構成するシャフト３４Ａ，３４Ｂが相対回転可能な状態で挿通される。取付板３１ａは、支持筒体３１ｂの外周面から突出するように設けられている。

図３及び図５に示すように、スタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂは、スタンドカバー部２２に対する取付金具である。スタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂはそれぞれ、取付板３２ａと、支持筒体３２ｂと、を有する。

取付板３２ａは、略矩形状の金属板である。取付板３２ａは、例えば接着剤によってスタンドカバー部２２と固定される。取付板３２ａに設けられた孔部や切欠部は、取付板３２ａの軽量化のための切抜き穴であり、省略されてもよい。図５中の参照符号３２ｃは、スタンドカバー部２２に対するヒンジ装置２４の位置決め用の板片である。

支持筒体３２ｂは、取付板３２ａのヒンジ軸３０に対する取付部である。支持筒体３２ｂは、ヒンジ軸３０を構成するシャフト３４Ａ，３４Ｂが相対回転不能な固定状態で挿通される。取付板３２ａは、支持筒体３２ｂの外周面から突出するように設けられている。

図６Ａは、ヒンジ軸３０のＡ１側部分を拡大した断面図である。図６Ｂは、ヒンジ軸３０のＡ２側部分を拡大した断面図である。図６Ａ及び図６Ｂは、軸心を通過する平面でヒンジ軸３０を切断した模式的な断面図である。

図３、図５～図６Ｂに示すように、ヒンジ軸３０は、第１シャフト３４Ａと、第２シャフト３４Ｂと、中間シャフト３５と、第１端部シャフト３６Ａと、第２端部シャフト３６Ｂと、を有する。ヒンジ軸３０は、全体として細径の丸棒形状を成している。ヒンジ軸３０は、Ａ１側端部からＡ２側端部に向かって順に、第１端部シャフト３６Ａ、第１シャフト３４Ａ、中間シャフト３５、第２シャフト３４Ｂ、及び第２端部シャフト３６Ｂを並べた構成である。

先ず、ヒンジ軸３０の各構成要素の構成を説明する。

図５～図６Ｂに示すように、シャフト３４Ａ，３４Ｂは、中間シャフト３５や端部シャフト３６Ａ，３６Ｂよりも小径の金属丸棒である。第１シャフト３４Ａは、Ａ方向に延在し、第１端部シャフト３６ＡのＡ２側端部と中間シャフト３５のＡ１側端部（第１端部３５ａ）との間を連結している。第１シャフト３４Ａは、その中央部分がブラケット３２Ａ，３１Ａの支持筒体３２ｂ，３１ｂを挿通し、これらを支持している。

第２シャフト３４Ｂは、第１シャフト３４Ａの軸線の延長線上に配置される。第２シャフト３４Ｂは、Ａ方向に延在し、中間シャフト３５のＡ２側端部と第２端部シャフト３６ＡのＡ１側端部（第２端部３５ｂ）との間を連結している。第２シャフト３４Ｂは、その中央部分がブラケット３１Ｂ，３２Ｂの支持筒体３１ｂ，３２ｂを挿通し、これらを支持している。

中間シャフト３５は、シャフト３４Ａ，３４Ｂよりも大径の金属丸棒である。中間シャフト３５の外径は、ブラケット３１Ａ，３１Ｂ，３２Ａ，３２Ｂの支持筒体３１ｂ，３２ｂの外径と同一又は略同一である。中間シャフト３５は、第１シャフト３４Ａの軸線の延長線上に配置される。中間シャフト３５は、Ａ方向に延在し、第１シャフト３４ＡのＡ２側端部３４Ａａと第２シャフト３４ＢのＡ１側端部３４Ｂａとの間を連結している。図３に示すように、中間シャフト３５は、ヒンジ軸３０の構成要素のうちで軸線方向（Ａ方向）長さが最も長い部品である。これによりブラケット３１Ａ，３２Ａの組とブラケット３１Ｂ，３２Ｂの組とは、中間シャフト３５によって十分な間隔が確保され、スタンドカバー部２２の回動時のがたつき等が抑制されている。

端部シャフト３６Ａ，３６Ｂは、中間シャフト３５と同一又は略同一の外径の丸棒である。端部シャフト３６Ａ，３６Ｂは、シャフト３４Ａ，３４Ｂの軸線の延長線上に配置される。本実施形態の端部シャフト３６Ａ，３６Ｂは、電波を透過可能な材料、例えば樹脂で形成されている。

ヒンジ装置２４は、ヒンジ軸３０がＸＹ方向に対して傾いた姿勢で設置されている（図３参照）。このため、例えばＡ１側及びＡ２側で最も外側にあるスタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂは、縁部２２ａ，２２ｂと面一に配置することができない。そこで、縁部２２ｄ，２８ａ間のＡ方向両端部に隙間が形成され、カバー装置１４の外観を低下させることを抑制するため、この隙間を端部シャフト３６Ａ，３６Ｂが埋めている。例えばヒンジ軸３０がＸ方向或いはＹ方向に沿って配置される構成等では、端部シャフト３６Ａ，３６Ｂは省略してもよい。

次に、ヒンジ軸３０の各構成要素の連結構造を説明する。

図５～図６Ｂに示すように、ヒンジ軸３０は、中央の中間シャフト３５のＡ１側端部（第１端部３５ａ）に第１シャフト３４ＡのＡ２側端部３４Ａａが連結され、中間シャフト３５のＡ２側端部（第２端部３５ｂ）に第２シャフト３４ＢのＡ１側端部３４Ｂａが連結されている。

中間シャフト３５は、第１端部３５ａの端面に開口する軸穴３５ｃと、第２端部３５ｂの端面に開口する軸穴３５ｄと、を有する。軸穴３５ｃ，３５ｄは、中間シャフト３５及びシャフト３４Ａ，３４Ｂの軸心と同軸に形成されている。軸穴３５ｃ，３５ｄは、シャフト３４Ａ，３４Ｂの端部３４Ａａ，３４Ｂａの外径よりも多少大きな内径を持った穴である。

第１シャフト３４Ａは、軸ピンとなるＡ２側端部３４Ａａが軸穴３５ｃに挿入され、両者間の隙間が接着剤３８で固定される。この際、軸穴３５ｃとＡ２側端部３４Ａａとは、所定の治具で真直度管理を行いつつ接着剤３８を硬化させる。これにより第１シャフト３４Ａと中間シャフト３５とは、互いの真直度が所定の高精度に設定された状態で相対回転不能に固定され、１本の軸となる。

第２シャフト３４Ｂは、軸ピンとなるＡ１側端部３４Ｂａが軸穴３５ｄに挿入され、両者間の隙間に潤滑剤（グリース）３９が充填される。これにより第２シャフト３４Ｂと中間シャフト３５とは、互いの真直度が第１シャフト３４Ａの場合よりは劣るものの、十分な真直度に設定された状態で相対回転可能な状態で連結されて１本の軸状になる。なお、図６Ａ及び図６Ｂは、軸穴３５ｃ，３５ｄの内周面と端部３４Ａａ，３４Ｂａの外周面との間に形成され、接着剤３８や潤滑剤３９が設けられる隙間を誇張して大きく図示しているが、実際の製品では管理された寸法公差による僅かな寸法の隙間となる。

第１シャフト３４Ａは、中間シャフト３５の第１端部３５ａからＡ１側へと延在している。第１シャフト３４Ａは、Ａ２側端部３４ＡａからＡ１側端部３４Ａｂに向かって順に、ベースブラケット３１Ａとスタンドブラケット３２Ａとを支持している。ベースブラケット３１Ａは、支持筒体３１ｂに第１シャフト３４Ａが所定の回転トルクを持って相対回転可能な状態で挿通される。スタンドブラケット３２Ａは、支持筒体３２ｂに第１シャフト３４Ａが相対回転不能な状態で挿通される。

第２シャフト３４Ｂは、中間シャフト３５の第２端部３５ｂからＡ２側へと延在している。第２シャフト３４Ｂは、Ａ１側端部３４ＢａからＡ２側端部３４Ｂｂに向かって順に、ベースブラケット３１Ｂとスタンドブラケット３２Ｂとを支持している。ベースブラケット３１Ｂは、支持筒体３１ｂに第２シャフト３４Ｂが所定の回転トルクを持って相対回転可能な状態で挿通される。スタンドブラケット３２Ｂは、支持筒体３２ｂに第２シャフト３４Ｂが相対回転不能な状態で挿通される。なお、図６Ａ及び図６Ｂは、支持筒体３１ｂの内周面とシャフト３４Ａ，３４Ｂの外周面との間に誇張した隙間を図示しているが、実際の製品では両者間に十分な回転トルクを発生するようシャフト３４Ａ，３４Ｂが支持筒体３１ｂに圧入され、隙間は形成されない。

このように、ベースブラケット３１Ａ，３１Ｂは、ヒンジ軸３０に対して所定の回転トルクで相対的に回動可能に連結される。スタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂは、ヒンジ軸３０に固定され、ヒンジ軸３０や中間シャフト３５と一体的に回転する。これによりヒンジ装置２４は、ベースブラケット３１Ａ，３１Ｂが固定される第２筐体１２Ｂ（固定カバー部２８）に対して、スタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂが固定されるスタンドカバー部２２を所定の回転トルクで回動可能に支持している。その結果、スタンドカバー部２２は、所望の角度の起立位置に保持することができ、携帯用情報機器１０のキックスタンドとして機能する（図４参照）。

第１シャフト３４ＡのＡ１側端部３４Ａｂには、第１端部シャフト３６Ａが連結される。Ａ１側端部３４Ａｂは、第１端部シャフト３６ＡのＡ２側端面に開口した連結穴３６Ａａに圧入され、固定される。上記した通り、第１端部シャフト３６Ａは電波透過性材料で形成されている。図５に示すように、第１端部シャフト３６Ａは、そのＡ２側端部の連結穴３６Ａａには金属製の第１シャフト３４Ａが配置されるが、ここよりもＡ１側の大部分は電波を透過可能な状態に維持されている。

同様に、第２シャフト３４ＢのＡ２側端部３４Ｂｂは、第２端部シャフト３６ＢのＡ１側端面に開口した連結穴３６Ｂａに圧入され、固定される。このため、第２端部シャフト３６Ｂについても、連結穴３６ＢａよりもＡ２側の大部分は電波を透過可能な状態に維持されている。

次に、ヒンジ装置２４の作用を説明する。

ヒンジ軸３０は、上記の通り、全体としてＡ方向に長尺且つ細径な棒状に形成されている。ヒンジ軸３０は、中央の中間シャフト３５を挟んでＡ方向両端側でブラケット３１Ａ，３２Ａとブラケット３１Ｂ，３２Ｂとを支持している。図３及び図４に示すように、スタンドカバー部２２は、下底となる第２縁部２２ｂが上底となる第１縁部２２ａよりも長い台形状に形成されている。

このため、ユーザは、スタンドカバー部２２を収納位置から起立位置に移動させる際、スタンドカバー部２２の第３縁部２２ｃと第２縁部２２ｂとの間の角部及びその近傍（図３及び図４中に１点鎖線で示す領域Ｒを参照）を把持して操作することが想定される。つまり、収納位置から起立位置への回動時、スタンドカバー部２２は、領域Ｒが先に持ち上げられ、全体として捻られて変形しながら回動する。スタンドカバー部２２は、薄板である以上、十分な剛性を担保していたとしても、捻られた際に歪みや湾曲等の変形を生じることは阻止できないからである。

従って、スタンドカバー部２２の回動動作時、ヒンジ装置２４は、先ず、領域Ｒに近いブラケット３１Ｂ，３２Ｂ間が相対回転する。一方、ブラケット３１Ｂ，３２ＢからＡ１方向に大きく離間した位置にあるブラケット３１Ａ，３２Ｂ間は、ブラケット３１Ｂ，３２Ｂの回転開始から少し遅れて相対回転し始める。つまりブラケット３１Ｂ，３２Ｂ間とブラケット３１Ａ，３２Ａ間とでは、その回転速度に速度差を生じ、その間で延在する中間シャフト３５は第２端部３５ｂと第１端部３５ａとの間で捻り力を受ける。

ここで、仮に、中間シャフト３５の両端部３５ａ，３５ｂがいずれも接着剤３８でシャフト３４Ａ，３４Ｂと完全に固定された構成を考えてみる。この構成では、先ずスタンドブラケット３２Ｂが第２シャフト３４Ｂ及び中間シャフト３５と一体的に回転を始め、同時にベースブラケット３１Ｂに対して相対回転する。そして、この動作に遅れてスタンドブラケット３２Ａがベースブラケット３１Ａに対して相対回転する。この際、ブラケット３１Ａ，３２Ａ間が相対回転するよりも先に中間シャフト３５はスタンドブラケット３２Ｂからの回転力を受けて回転を開始している。このため、中間シャフト３５の第１端部３５ａと第１シャフト３４ＡのＡ２側端部３４Ａａとの間に回転速度差を生じる。その結果、第１端部３５ａとＡ２側端部３４Ａａとを固定する接着剤３８が破壊され、ベースブラケット３１Ａ及び第１シャフト３４Ａと中間シャフト３５との間で摩擦による擦れ音（ノイズ）を生じ、製品品質を低下させる。

この点、本実施形態のヒンジ装置２４は、第１シャフト３４Ａと中間シャフト３５との間は接着剤３８で固定し、中間シャフト３５と第２シャフト３４Ｂとの間は潤滑剤３９を介して相対回転可能に連結している。このため、本実施形態では、スタンドカバー部２２が回動を始めると、先ず、スタンドブラケット３２Ｂが第２シャフト３４Ｂと一体的に回転を始め、同時にベースブラケット３１Ｂに対して相対回転する。この際、スタンドカバー部２２の変形によりブラケット３１Ａ，３２Ａ側の回転動作が遅れているときは、第２シャフト３４Ｂが中間シャフト３５に対して相対回転する。その結果、ヒンジ装置２４は、Ａ１側のブラケット３１Ａ，３１ＢがＡ２側のブラケット３１Ｂ，３２Ｂよりも回転速度が遅いときでも、その速度差が第２シャフト３４Ｂと中間シャフト３５との間の相対回転によって吸収される。このため、ヒンジ装置２４は、上記したノイズの発生が抑制される。中間シャフト３５と第２シャフト３４Ｂとの連結部は、潤滑剤３９を設けなくてもよい。但し、この連結部は、より一層のノイズ低減効果等を考慮すると潤滑剤３９を設けた方が好ましい。

上記構成例とは逆に、第１シャフト３４Ａと中間シャフト３５との間を潤滑剤３９で相対回転可能に連結し、中間シャフト３５と第２シャフト３４Ｂとの間を接着剤３８で固定してもノイズの抑制効果は得られる。但し、この構成では、領域Ｒに近く先に回転を始める第２シャフト３４Ｂと共に中間シャフト３５が一体回転する。このため、この構成では、後に回転する第１シャフト３４Ａ及びベースブラケット３１Ａと中間シャフト３５との間で多少の擦れを生じる可能性があるため、上記構成例の方が好ましい。つまりスタンドカバー部２２が上記のような台形形状の場合、ユーザは、台形の上底（第１縁部２２ａ）よりも長尺な下底（第２縁部２２ｂ）を把持して操作することが想定される。このため、この第２縁部２２ｂ（領域Ｒ）により近い位置にある第２シャフト３４Ｂと中間シャフト３５の第２端部３５ｂとの間を相対回転可能に連結しておくことが好ましい。

次に、端部シャフト３６Ａ，３６Ｂを電波透過性材料で構成した構成の作用を説明する。

図３に示すように、第２筐体１２Ｂの内部には、無線通信用のアンテナ装置４０Ａ，４０Ｂが搭載されている。アンテナ装置４０Ａ，４０Ｂは、第２筐体１２Ｂの辺２５ａ，２５ｂに沿ってそれぞれＸ方向に延在している。アンテナ装置４０Ａ，４０Ｂは、筐体内の設置スペースと良好な通信品質の確保のため、辺２５ａ，２５ｂに面した位置でＸ方向に延在している。

ところで、本実施形態の携帯用情報機器１０は、各辺２５ａ，２５ｂの中央部（隣接端部１２Ａａ，１２Ｂａを跨ぐ位置）に金属製のヒンジ１９が配設されている。また、筐体１２Ａ，１２Ｂ全体での四隅には、金属製のマグネット４２，４３がそれぞれ一対ずつ配設されている。マグネット４２，４２（４３，４３）は、筐体１２Ａ，１２Ｂ間を積層形態とした際に互いに吸着し、筐体１２Ａ，１２Ｂ間のがたつきを抑制するためのものである。

従って、アンテナ装置４０Ａ，４０Ｂは、Ｘ方向両端にある金属部品（ヒンジ１９、マグネット４２，４３）を避けて、第２筐体１２ＢのＸ方向中央付近に設置されている。その結果、ヒンジ軸３０は、第２筐体１２Ｂの板厚方向で端部シャフト３６Ａ，３６Ｂがアンテナ装置４０Ａ，４０Ｂと重なる位置に配置されることを避けることが難しい。

そこで、本実施形態のヒンジ装置２４は、端部シャフト３６Ａ，３６Ｂをそれぞれ樹脂製とすることで、これらがアンテナ装置４０Ａ，４０Ｂの通信品質に影響を及ぼすことを抑制している。図５に示すように、本実施形態では、金属製のシャフト３４Ａ，３４Ｂは、アンテナ装置４０Ａ，４０Ｂと重ならない位置にあり、重なる位置には樹脂製の端部シャフト３６Ａ，３６Ｂのみが配置されている。アンテナ装置４０Ａ，４０Ｂの配置等により、ヒンジ軸３０がアンテナ装置４０Ａ，４０Ｂとラップしない構成では、端部シャフト３６Ａ，３６Ｂは金属製でもよい。

次に、スタンドカバー部２２の具体的な構成を説明する。

図７は、スタンドカバー部２２の模式的な分解斜視図である。図７に示すように、スタンドカバー部２２は、第２筐体１２Ｂの背面１２Ａｂ側から順に、裏面材４６と、補助シート４７と、芯材４８と、表面材４９とを積層した構造である。図７中の参照符号５０は、粘着剤又は両面テープ等で形成された粘着部材である。

裏面材４６は、起立位置で外観上に現れるスタンドカバー部２２の裏面の外観意匠や触感を高めるための表皮材である。裏面材４６は、芯材４８の裏面に固定部材５０で固定され、積層されている。補助シート４７は、芯材４８と裏面材４６の間に積層されたシート状部材である。芯材４８は、スタンドカバー部２２のベースとなる硬質の部材であり、例えば樹脂製のプレートである。芯材４８の各所には軽量化のための切抜きが形成されている。表面材４９は、スタンドカバー部２２の外観意匠や触感を高めるための表皮材である。裏面材４６及び表面材４９は、人工皮革、天然皮革、布地、又は樹脂等で形成された柔軟なシート状部材である。

スタンドカバー部２２は、ヒンジ装置２４が接続される第４縁部２２ｄ以外の縁部２２ａ～２２ｃは、表面材４９の縁部を芯材４８の端面を覆うように折り曲げて覆うことで意匠性を高めている。一方、第４縁部２２ｄは、ヒンジ装置２４が接続される構成上、表面材４９を設けることができず、芯材４８や表面材４９の端面４８ａ，４９ａに端面処理剤５２（図９Ａ参照）を設けて意匠性を確保している。なお、図７では、便宜上、芯材４８の四周端面に縁部２２ａ～２２ｄの参照符号を付している。

図７に示すように、芯材４８には、スタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂを位置決めするための一対の凹部４８ｂ，４８ｂが形成されている。各凹部４８ｂは、芯材４８の表面材４９側の表面とは反対側の裏面を凹ませるか又は切抜いた凹状の穴部であり、スタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂを位置決め可能な形状を有する。各凹部４８ｂは、開口部４８ｃによって第４縁部２２ｄに開口している。ヒンジ軸３０から突出したスタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂは、ヒンジ軸３０側の幅狭な根本部分が開口部４８ｃを通過した状態で凹部４８ｂ内に配置される。

図８は、スタンドカバー部２２の凹部４８ｂ及びその周辺部を拡大した斜視図である。図８は、スタンドブラケット３２Ａ（３２Ｂ）、裏面材４６、及び保護シート４７等の図示を省略している。図９Ａは、スタンドカバー部２２のスタンドブラケット３２Ａ（３２Ｂ）及びその周辺部を拡大した模式的な断面図である。図９Ｂは、比較例に係るスタンドカバー部５４のスタンドブラケット３２Ａ（３２Ｂ）及びその周辺部を拡大した模式的な断面図である。図９Ａ及び図９Ｂは、裏面材４６、補助シート４７、及び粘着部材５０等の図示を省略している。

図８及び図９Ａに示すように、本実施形態のスタンドカバー部２２は、芯材４８に形成した各凹部４８ｂの開口部４８ｃの開口端に面取り形状部４８ｄを有する。面取り形状部４８ｄは、水路状に形成された開口部４８ｃの開口端の角部を面取りしたテーパ部である。面取り形状部４８ｄは、Ｒ形状等に形成されてもよい。

図９Ａに示すように、第４縁部２２ｄに設けられる端面処理剤５２は、一般的な皮革製品等の端面処理（コバ処理）に用いられ、オイルエッジ、エッジオイル、皮エッジオイル、或いは皮エッジペイントオイル等と呼ばれる塗布剤である。端面処理剤５２は、表面材４９の端面４９ａ（及び芯材４８の端面４８ａ）に液状で塗布し、乾燥させて硬化させることで皮状の被膜を形成する。

ところで、図９Ｂに示す比較例のスタンドカバー部５４のように、仮に凹部４８ｂの開口部４８ｃに面取り形状部４８ｄを設けない構成では、端面処理剤５２が端面４４８ａから凹部４８ｂ（開口部４８ｃ）の底面まで溢れた状態（部分５２ａ参照）で硬化する懸念がある。数ｍｍと極めて薄いスタンドカバー部２２の端面４８ａ，４９ａに正確に液状の端面処理剤５２を塗布することは製造工程上難しいからである。その結果、このスタンドカバー部５４では、凹部４８ｂ内で端面処理剤５２の部分５２ａが硬化して邪魔になりスタンドブラケット３２Ａ（３２Ｂ）を完全に凹部４８ｂ内に収容することができず、傾いたままの取付状態となる懸念がある。そうすると、ヒンジ装置２４ががたつきやノイズを発生する。

この点、本実施形態のスタンドカバー部２２は、凹部４８ｂの開口部４８ｃに面取り形状部４８ｄを設けている。このため、製造工程時、端面処理剤５２は、表面材４９の端面４９ａに塗布するようにすれば、多少溢れた部分５２ａがあってもこの部分５２ａは面取り形状部４８ｄを越えて凹部４８ｂまで浸入することはない。つまりスタンドカバー部２２は、端面処理剤５２の塗布工程が容易であり、また塗布不良を生じることを抑制できる。その結果、スタンドカバー部２２は、ヒンジ装置２４にがたつきやノイズを生じさせることを抑制できる。

なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。

上記では、折り畳み型の携帯用情報機器１０を例示した。しかしながら、携帯用情報機器が折り畳み型ではない平板型のタブレット型ＰＣ等の場合、カバー装置１４のベースカバー部２０は、スライドカバー部２６及び折曲カバー部２７を省略し、固定カバー部２８のみで構成すればよい。

上記では、スタンドカバー部２２は、その第２縁部２２ｂが第２筐体１２ＢのＸ方向に延びた下端面と一致する構成であるため、ヒンジ軸３０をＸＹ方向に対して傾斜した姿勢で配置し、図４に示す起立位置で携帯用情報機器１０が多少後倒しの起立姿勢となるようにしていた。しかしながら、スタンドカバー部２２の設置位置等によっては、ヒンジ軸３０は、Ｘ方向又はＹ方向に平行に設置されてもよい。

上記では、カバー装置１４は、筐体１２Ａ，１２Ｂに一体的に固定される構成を例示した。しかしながら、カバー装置１４は、携帯用情報機器１０とは完全に別体の単独部品でもよく、この場合、カバー装置１４は、例えば磁石やフックを用いて筐体１２Ａ，１２Ｂに着脱可能に装着される構成でもよい。なお、このようなカバー装置１４では、ベースブラケット３１Ａ，３１Ｂは、固定カバー部２８の芯材３４に固定されればよい。

上記では、ベースカバー部２０側のベースブラケット３１Ａ，３１Ｂがヒンジ軸３０に対して相対回転し、スタンドカバー部２２側のスタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂがヒンジ軸３０に固定された構成を例示したが、この取付関係は逆でもよい。つまりベースブラケット３１Ａ，３１Ｂがヒンジ軸３０に対して固定され、スタンドブラケット３２Ａ，３２Ｂがヒンジ軸３０に相対回転する構成としてもよい。

上記では、シャフト３４Ａ，３４Ｂの端部を軸ピンとして中間シャフト３５の軸穴３５ｃ，３５ｄに挿入した構成を例示したが、この関係は変更してもよい。つまりシャフト３４Ａ，３４Ｂの一方又は両方に軸穴を形成し、中間シャフト３５の端部３５ａ，３５ｂの一方又は両方に軸ピンを形成した構成としてもよい。

上記では、本のように二つ折りに折り畳み可能な携帯用情報機器１０を例示したが、折り畳み型の携帯用情報機器としては、同形の筐体同士を二つ折りに折り畳む構成以外、例えば大形の筐体の左右縁部にそれぞれ小形の筐体を折り畳み可能に連結した観音開きの構成、１つの筐体の左右縁部にそれぞれ折り畳み方向の異なる筐体を連結したＳ型の折り畳み構成、大形の筐体の左右一方の縁部に小形の筐体を折り畳み可能に連結したＪ型の折り畳み構成等、各種構成を例示でき、筐体の連結数は４以上としてもよい。この場合、カバー装置１４は、各筐体の全部又は一部の背面を覆う構成とすればよく、２以上が同時に利用されてもよい。

１０ 携帯用情報機器
１２Ａ 第１筐体
１２Ｂ 第２筐体
１４ カバー装置
１６ ディスプレイ
２０ ベースカバー部
２２ スタンドカバー部
２４ ヒンジ装置
２６ スライドカバー部
２７ 折曲カバー部
２８ 固定カバー部
３０ ヒンジ軸
３１Ａ，３１Ｂ ベースブラケット
３２Ａ，３２Ｂ スタンドブラケット
３４Ａ 第１シャフト
３４Ｂ 第２シャフト
３５ 中間シャフト
３６Ａ 第１端部シャフト
３６Ｂ 第２端部シャフト
３８ 接着剤
３９ 潤滑剤
４０Ａ，４０Ｂ アンテナ装置
４８ 芯材
４８ｄ 面取り形状部
５２ 端面処理剤

Claims (9)

1. 携帯用情報機器であって、
   筐体と、
   前記筐体の背面を覆うように設けられるカバー装置と、
   を備え、
   前記カバー装置は、
   前記筐体の背面に沿って設けられるベースカバー部と、
   前記ベースカバー部と相対的に回動可能に設けられることで、前記筐体の背面に沿って設けられる収納位置と、前記筐体の背面から突出した起立位置とに移動可能なスタンドカバー部と、
   前記スタンドカバー部を前記収納位置と前記起立位置との間で回動可能に支持するヒンジ装置と、
   を有し、
   前記ヒンジ装置は、
   第１シャフトと、
   前記第１シャフトの軸線の延長線上に配置される第２シャフトと、
   前記第１シャフトと前記第２シャフトとの間で前記軸線の延長線上に配置され、第１端部が前記第１シャフトの一端部と連結され、第２端部が前記第２シャフトの一端部と連結される中間シャフトと、
   前記第１シャフトと連結され、前記ベースカバー部と相対的に固定される第１ベースブラケットと、
   前記第１ベースブラケットと隣接して前記第１シャフトと連結され、前記スタンドカバー部と固定される第１スタンドブラケットと、
   前記第２シャフトと連結され、前記ベースカバー部と相対的に固定される第２ベースブラケットと、
   前記第２ベースブラケットと隣接して前記第２シャフトと連結され、前記スタンドカバー部と固定される第２スタンドブラケットと、
   を有し、
   前記第１ベースブラケット及び前記第１スタンドブラケットは、一方が前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、他方が前記第１シャフトに対して固定され、
   前記第１ベースブラケットが前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結されている場合は前記第２ベースブラケットも前記第２シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、一方、前記第１ベースブラケットが前記第１シャフトに対して固定されている場合は前記第２ベースブラケットも前記第２シャフトに対して固定され、
   前記第１スタンドブラケットが前記第１シャフトに対して固定されている場合は前記第２スタンドブラケットも前記第２シャフトに対して固定され、一方、前記第１スタンドブラケットが前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結されている場合は前記第２スタンドブラケットも前記第２シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、
   前記中間シャフトは、
   前記第１端部が前記第１シャフトの一端部と互いに固定され、
   前記第２端部が前記第２シャフトの一端部と互いに相対回転可能に連結されている
   ことを特徴とする携帯用情報機器。
2. 請求項１に記載の携帯用情報機器であって、
   前記中間シャフトの第１端部と前記第１シャフトの一端部とは、一方に設けられた第１軸穴に対して他方に設けられた第１軸ピンが挿入された状態で、互いに接着剤で固定され、
   前記中間シャフトの第２端部及び前記第２シャフトの一端部とは、一方に設けられた第２軸穴に対して他方に設けられた第２軸ピンが挿入された状態で、互いに潤滑剤を介して相対回転可能に連結されている
   ことを特徴とする携帯用情報機器。
3. 請求項１又は２に記載の携帯用情報機器であって、
   前記筐体は、矩形状の外形を有し、
   前記スタンドカバー部は、
   前記筐体の互いに平行する第１辺及び第２辺に沿って延在する第１縁部及び第２縁部と、
   前記第１縁部の一端部と前記第２縁部の一端部との間で延在し、且つ前記筐体の前記第１辺及び前記第２辺と直交する第３辺に沿って延在する第３縁部と、
   前記第１縁部の他端部と前記第２縁部の他端部との間で延在し、前記ヒンジ装置が接続される第４縁部と、
   を有する
   ことを特徴とする携帯用情報機器。
4. 請求項３に記載の携帯用情報機器であって、
   前記スタンドカバー部は、前記第２縁部の長さが前記第１縁部の長さよりも大きく形成されることで、前記第４縁部が前記第３縁部に対して傾いた姿勢で延在し、
   前記ヒンジ装置は、前記第１シャフト、前記第２シャフト、及び前記中間シャフトの軸線方向が前記筐体の四辺に対してそれぞれ交差した姿勢で配置され、
   前記中間シャフトは、
   前記第１端部が前記第２縁部よりも前記第１縁部に近い位置に配置され、
   前記第２端部が前記第１縁部よりも前記第２縁部に近い位置に配置されている
   ことを特徴とする携帯用情報機器。
5. 請求項３又は４に記載の携帯用情報機器であって、
   前記スタンドカバー部は、
   芯材と、
   前記芯材の表面に積層され、該スタンドカバー部の表面を形成する表面材と、
   前記第４縁部の端面に設けられ、液状の塗布剤を硬化させた端面処理剤と、
   を有し、
   前記芯材は、
   前記表面材が積層された表面とは反対側の裏面に設けられ、前記第４縁部に対して開口し、前記第１スタンドブラケットが配置される第１凹部と、
   前記裏面に設けられ、前記第４縁部に対して開口し、前記第２スタンドブラケットが配置される第２凹部と、
   を有し、
   前記第１凹部及び前記第２凹部は、前記第４縁部に対する開口部の角部に面取り形状部を有する
   ことを特徴とする携帯用情報機器。
6. 請求項３～５のいずれか１項に記載の携帯用情報機器であって、
   前記筐体の内部には、前記第１辺に沿って搭載された第１アンテナ装置と、前記第２辺に沿って搭載された第２アンテナ装置と、が設けられ、
   前記ヒンジ装置は、さらに、
   前記第１シャフトの他端部と連結され、前記筐体の板厚方向で前記第１アンテナ装置と重なる位置に配置される第１端部シャフトと、
   前記第２シャフトの他端部と連結され、前記筐体の板厚方向で前記第２アンテナ装置と重なる位置に配置される第２端部シャフトと、
   を有し、
   前記第１端部シャフト及び前記第２端部シャフトは、電波を透過可能な電波透過材料で形成されている
   ことを特徴とする携帯用情報機器。
7. 携帯用情報機器であって、
   筐体と、
   前記筐体の背面を覆うように設けられるカバー装置と、
   を備え、
   前記カバー装置は、
   前記筐体の背面に沿って設けられるベースカバー部と、
   前記ベースカバー部と相対的に回動可能に設けられることで、前記筐体の背面に沿って設けられる収納位置と、前記筐体の背面から突出した起立位置とに移動可能なスタンドカバー部と、
   前記スタンドカバー部を前記収納位置と前記起立位置との間で回動可能に支持するヒンジ装置と、
   を有し、
   前記ヒンジ装置は、
   ヒンジ軸と、
   前記ヒンジ軸と連結され、前記ベースカバー部と固定される第１ベースブラケットと、
   前記第１ベースブラケットと隣接して前記ヒンジ軸と連結され、前記スタンドカバー部と固定される第１スタンドブラケットと、
   前記ヒンジ軸と連結され、前記筐体と相対的に固定される第２ベースブラケットと、
   前記第２ベースブラケットと隣接して前記ヒンジ軸と連結され、前記スタンドカバー部と固定される第２スタンドブラケットと、
   を有し、
   前記第１ベースブラケット及び前記第２ベースブラケットと、前記第１スタンドブラケット及び前記第２スタンドブラケットとは、一方が前記ヒンジ軸に対して軸周りに回動可能に連結され、他方が前記ヒンジ軸に対して固定され、
   前記スタンドカバー部は、
   芯材と、
   前記芯材の表面に積層され、該スタンドカバー部の表面を形成する表面材と、
   前記ヒンジ装置が接続された縁部の端面に設けられ、液状の塗布剤を硬化させた端面処理剤と、
   を有し、
   前記芯材は、
   前記表面材が積層された表面とは反対側の裏面に設けられ、前記縁部に対して開口し、前記第１スタンドブラケットが配置される第１凹部と、
   前記裏面に設けられ、前記縁部に対して開口し、前記第２スタンドブラケットが配置される第２凹部と、
   を有し、
   前記第１凹部及び前記第２凹部は、前記縁部に対する開口部の角部に面取り形状部を有する
   ことを特徴とする携帯用情報機器。
8. 携帯用情報機器の筐体の背面を覆うカバー装置であって、
   ベースカバー部と、
   前記ベースカバー部に対して相対的に回動可能に設けられるスタンドカバー部と、
   前記スタンドカバー部を前記ベースカバー部に対して回動可能に支持するヒンジ装置と、
   を備え、
   前記ヒンジ装置は、
   第１シャフトと、
   前記第１シャフトの軸線の延長線上に配置される第２シャフトと、
   前記第１シャフトと前記第２シャフトとの間で前記軸線の延長線上に配置され、第１端部が前記第１シャフトの一端部と連結され、第２端部が前記第２シャフトの一端部と連結される中間シャフトと、
   前記第１シャフトと連結され、前記ベースカバー部と相対的に固定される第１ベースブラケットと、
   前記第１ベースブラケットと隣接して前記第１シャフトと連結され、前記スタンドカバー部と固定される第１スタンドブラケットと、
   前記第２シャフトと連結され、前記ベースカバー部と相対的に固定される第２ベースブラケットと、
   前記第２ベースブラケットと隣接して前記第２シャフトと連結され、前記スタンドカバー部と固定される第２スタンドブラケットと、
   を有し、
   前記第１ベースブラケット及び前記第１スタンドブラケットは、一方が前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、他方が前記第１シャフトに対して固定され、
   前記第１ベースブラケットが前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結されている場合は前記第２ベースブラケットも前記第２シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、一方、前記第１ベースブラケットが前記第１シャフトに対して固定されている場合は前記第２ベースブラケットも前記第２シャフトに対して固定され、
   前記第１スタンドブラケットが前記第１シャフトに対して固定されている場合は前記第２スタンドブラケットも前記第２シャフトに対して固定され、一方、前記第１スタンドブラケットが前記第１シャフトに対して軸周りに回動可能に連結されている場合は前記第２スタンドブラケットも前記第２シャフトに対して軸周りに回動可能に連結され、
   前記中間シャフトは、
   前記第１端部が前記第１シャフトの一端部と互いに固定され、
   前記第２端部が前記第２シャフトの一端部と互いに相対回転可能に連結されている
   ことを特徴とするカバー装置。
9. 請求項８に記載のカバー装置であって、
   前記中間シャフトの第１端部と前記第１シャフトの一端部とは、一方に設けられた第１軸穴に対して他方に設けられた第１軸ピンが挿入された状態で、互いに接着剤で固定され、
   前記中間シャフトの第２端部及び前記第２シャフトの一端部とは、一方に設けられた第２軸穴に対して他方に設けられた第２軸ピンが挿入された状態で、互いに潤滑剤を介して相対回転可能に連結されている
   ことを特徴とするカバー装置。

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