JP2022060793A - 歯車の製造方法、ワークホルダ、加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯車の加工精度の低下を抑制しつつ歯車の製造効率の向上を図ることを目的とする。【解決手段】切削加工装置のセット治具60は、上側治具61及び下側治具62を有している。下側治具62は、本体部80から上方に突出する位置決めピン83を複数有し、それら位置決めピン83がセット治具60の周方向に複数配設されてなる。上側治具61の本体部70には、位置決めピン83が挿入される貫通孔73が各々設けられている。各位置決めピン83には、所定数のワーク90が重ね合わせられてなるワーク群100が各々セットされる。上側治具61において、各挿入部73の周辺となる部分には、本体部70よりも弾性変形しやすい押圧部材77が当該本体部70の下面72から下側に突出した状態となるようにして取り付けられている。【選択図】 図2
Description
本発明は、歯車の製造方法、ワークホルダ、加工装置に関する。
歯車を製造する製造工程は、鋳造や切り出しによってワーク(所謂ブランク)を作成する準備工程と、ワークの歯切り加工を行う歯切り工程と、焼き入れや研削等の仕上げ工程とに大別される。歯切り工程においては、製造効率の向上等を図るべくホブ盤等の加工装置が用いられることが多い。この種の加工装置には、ワークが固定される回転式のテーブルを備え、ホブ等の工具の動きに合わせてワークの向きを変えることにより、ワークの所定部分に複数の歯部を所定のピッチで形成するように構成されているものがある(例えば特許文献1参照)。
ここで、本願の発明者は、複数のワークを重ね合わせたワーク群をテーブルの回転方向に複数並べてセット可能な加工装置を考案した。具体的には、ワークホルダによってそれらワーク群を重ね合わせ方向における両側からまとめて挟み込み、当該ワークホルダをテーブルに着脱する加工装置を考案した。この加工装置によれば、ワークの着脱等の作業を減らして、歯車の製造効率を飛躍的に向上させることができる。このような効果は、重ね合わせるワークの数を多くすることにより顕著となる。
但し、ワークの厚さには個体差(誤差)が生じ得る。このため、重ね合わせるワークの数が多くなることで重ね合わせ方向における各ワーク群の寸法差が大きくなり得る。この場合、複数のワーク群のうち積層方向の厚さ寸法が小さいワーク群について、ワークホルダによるワーク群の挟み込みが不十分となり得る。これは、歯切りを行う際にワークのがたつきを招き、歯車の加工精度を低下させる要因になるため好ましくない。このように、歯車の加工精度の低下を抑制しつつ歯車の製造効率を向上させる上で歯車の製造方法や加工装置に係る構成には未だ改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、歯車の加工精度の低下を抑制しつつ歯車の製造効率の向上を図ることを目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
上記目的を達成すべく、第1の発明は、ワーク(ワーク90)をワークホルダ(セット治具60)にセットする第1工程(セット工程S1)と、前記第1工程において前記ワークがセットされた前記ワークホルダを、加工装置(切削加工装置10)のホルダ固定部(保持部21)に固定する第2工程(固定工程S2)と、前記第2工程において前記ワークホルダを固定した後に、前記ワークに歯部(歯部T)が形成されるようにして当該ワークを加工する第3工程(加工工程S3)とを備えている歯車の製造方法であって、前記ワークホルダは、互いに対向する状態で組み合わされる第1治具(下側治具62)と第2治具(上側治具61)とを有してなり、前記第1治具には、当該第1治具から前記第2治具側へ突出する位置決めピン(例えば位置決めピン83)が所定方向(例えばワークホルダ90の周方向)に並べて複数設けられており、前記第1治具及び前記第2治具の一方には、前記第1治具及び前記第2治具の他方側へ突出するようにして複数の弾性部材(押圧部材77)が取り付けられており、前記第1工程は、所定数(例えば3つ)の前記ワークが重ね合わされたワーク群(ワーク群100)が各前記位置決めピンに各々挿通された状態となるようにして複数の前記ワーク群を前記所定方向に並べて配置する工程であり、
前記第2工程は、複数の前記ワーク群がセットされた前記ワークホルダを前記第1治具及び前記第2治具の組み合わせ方向(例えば上下方向)において挟み込む工程であり、
前記第1工程及び前記第2工程の何れかにおいて、複数の前記ワーク群に前記弾性部材を各々当接させた状態で前記第1治具と前記第2治具とを近づけることにより、圧縮状態となった前記弾性部材によって前記ワークが押圧された状態とすることを特徴とする。
前記第2工程は、複数の前記ワーク群がセットされた前記ワークホルダを前記第1治具及び前記第2治具の組み合わせ方向(例えば上下方向)において挟み込む工程であり、
前記第1工程及び前記第2工程の何れかにおいて、複数の前記ワーク群に前記弾性部材を各々当接させた状態で前記第1治具と前記第2治具とを近づけることにより、圧縮状態となった前記弾性部材によって前記ワークが押圧された状態とすることを特徴とする。
第2の発明は、ワーク(ワーク90)に歯部(歯部T)が形成されるようにして当該ワークを加工する歯車の加工装置(切削加工装置10)に適用され、前記ワークがセットされた状態で前記加工装置のホルダ固定部(保持部21)に固定されるワークホルダ(セット治具60)であって、互いに対向する状態で組み合わされる第1治具(下側治具62)及び第2治具(上側治具61)を備え、前記第1治具には、前記第1治具及び前記第2治具の間に前記ワークがセットされる場合に前記ワークの一部である被加工部を前記第1治具及び前記第2治具の外周部よりも外側に突出した状態となるようにして当該ワークの位置を規定する位置決めピン(位置決めピン83)が設けられており、前記位置決めピンは、所定数の前記ワークが重ね合わせられてなるワーク群(ワーク群100)を挿通可能となるように構成されており、前記位置決めピンを複数備え、それら位置決めピンにより前記第1治具及び前記第2治具の組み合わせ方向(上下方向)とは異なる所定方向(セット治具60の周方向)に並べて複数の前記ワーク群をセット可能となっており、前記第1治具及び前記第2治具の一方には、前記第1治具及び前記第2治具の他方側へ突出した状態となるようにして弾性部材(押圧部材77)が取り付けられており、前記弾性部材は、それらワーク群に当接する位置に各々配設されていることを特徴とする。
第1の発明及び第2の発明によれば、多数のワークをまとめて加工することにより歯車の製造効率を向上させることができる。ワークを重ね合わせてワーク群を構成する場合には、個体差の累積によってワーク群毎の厚さの違いが顕著になり得る。この点、本発明によれば、個体差の影響を弾性部材によって吸収し、加工に際してワークががたつくことを抑制できる。これにより、歯車の加工精度が低下することを抑制できる。以上の理由から、歯車の製造効率の向上を図りつつ、それに起因して歯車の加工精度が低下することを好適に抑制できる。
以下、本発明を具体化した一の実施の形態を図1に基づいて説明する。本実施の形態では、歯車の製造工程及び当該製造工程にて使用される歯切り用の切削加工装置について具体化されている。
切削加工装置10は、歯切り前のブランクであるワーク90がセットされるセット治具60(「ワークホルダ」に相当)と、セット治具60を保持する保持部21(「ホルダ固定部」に相当)と、ワーク90の歯切りを行う切削部22(「加工部」に相当)と、それら保持部21及び切削部22が搭載された台座23とを備えている。
保持部21は、セット治具60が載置される円形の載置面43が形成されたテーブル41(「載置部」に相当)と、載置面43の中心軸線CL1を中心としてテーブル41を回転させる回転機構45とを有している。回転機構45の駆動部は切削加工装置10の制御部に接続されており、当該制御部によってテーブル41の回転位置、すなわちテーブル41上に載置されたセット治具60の向きが制御される。
テーブル41の上方には、テーブル41に載置されたセット治具60を上方から押える押え部31が配設されている。押え部31は、上記台座23から起立するアーム32によって昇降可能に保持されており、アーム32には、押え部31を昇降させる昇降機構37が配設されている。昇降機構37の駆動部は、上記制御部に接続されており、当該制御部によって軸体34の高さ位置が制御される。
押え部31は、上下に延びる円筒状をなしており、その中心軸線が上記中心軸線CL1と一致するように配置されている。テーブル41の中央にセット治具60が載置された状態にて押え部31が待機位置(上限位置)から降下することにより押え部31の下端面33がセット治具60に当接する。そして、押え部31によって上方から押圧されることにより、テーブル41からセット治具60の浮き上がり規制される。
押え部31には当該押え部31の下側の開口から突出するようにして円柱状の軸体34が固定されており、押え部31を昇降させる場合には当該押え部31に追従して軸体34も昇降する。軸体34についてもその中心軸線が上記中心軸線CL1と一致するように配置されている。
セット治具60には軸体34が挿通される軸受け孔63が形成されている。押え部31によってセット治具60が押圧された状態となる場合に、押え部31とともに降下した軸体34が軸受け孔63と係合する。これにより、水平方向におけるセット治具60の変位が規制される構成となっている。なお、テーブル41には、軸体34の先端部が挿入される軸受け部44が形成されている。軸体34と軸受け部44とを係合させることにより、加工時の負荷をテーブル41側に分散させて軸体34の変形等を抑制している。
押え部31及び軸体34は、中心軸線CL1を中心とした回転が許容されており、テーブル41が当該中心軸線CL1を中心に回転する場合には当該回転に追従してそれら押え部31及び軸体34が回転する。すなわち、セット治具60やテーブル41と一体となって回転する。
セット治具60は、一対の治具61,62が組み合わされてなり、それら治具61と治具62との間にワーク90がセットされる構成となっている。ワーク90は平板状をなしており、その外周部(縁部)の一部に円弧部91が形成されている。このように略扇型のワーク90がセット治具60にセットされた状態では、円弧部91がセット治具60から突出している。この円弧部91が切削部22による歯切り加工の対象部分、すなわち「被加工部」となっている。
切削部22は、切削用の工具であるホブ26を保持するホブホルダ25と、ホブホルダ25を保持部21に近づく側及び遠ざかる側にスライド移動させるスライド機構とを有している。ホブ26は保持部21の中心軸線CL1と交差する方向(水平方向)に延びる中心軸線CL2を中心に回転可能となっており、回転方向に並ぶ複数の刃部が設けられている。後述する加工位置をホブ26の刃部が上側から下側に変位するようにして当該ホブ26を回転させた状態で、当該ホブ26をワーク90の円弧部91に接触させることにより、当該円弧部91に所定のピッチで複数の歯部Tが形成される。
以下、図1及び図2を参照して、セット治具60について説明する。なお、図2(a)においては便宜上、歯部Tを形成する前のワーク90と、歯部Tを形成した後のワーク90である歯車Gとを併記している。
図1に示すように、セット治具60は、治具61が上側且つ治具62が下側となるようにしてテーブル41に載置されるように向きが規定されている。以下の説明においては、治具61を「上側治具61」、治具62を「下側治具62」と称する。
図2に示すように、上側治具61及び下側治具62の本体部70,80は何れも円柱状をなしており、それら本体部70,80の中心部には両本体部70,80に跨るようにして貫通孔が各々形成されている。これら貫通孔によって上記軸受け孔63が構成されている。テーブル41にセット治具60が載置された状態で押え部31が待機位置から降下することにより、軸受け孔63の中心軸線CL3と中心軸線CL1とが重なる位置にセット治具60の位置が修正される。
下側治具62の本体部80には、ワーク90を位置決めするための第1位置決めピン83及び第2位置決めピン84が固定されている。位置決めピン83,84は、何れも中心軸線CL3と同じ方向に延びており、本体部80の上面81から上方に突出した状態となるように配設されている。上側治具61の本体部70には、第1位置決めピン83が挿入される第1貫通孔73と、第2位置決めピン84が挿入される第2貫通孔74とが形成されている。これら位置決めピン83,84及び貫通孔73,74によって上側治具61と下側治具62との組み合わせ方向が規定されている。
本実施の形態では、所定数(3つ)のワーク90を重ね合わせてワーク群100を構成し、このワーク群100をまとめて歯切りすることにより、歯車Gの製造効率の向上が図られていることを特徴の1つとしている。上面81からの第1位置決めピン83の突出量及び第2位置決めピン84の突出量については何れも、ワーク90の厚さ寸法×所定数よりも大きくなっており、ワーク群100が位置決めピン83,84に挿通された状態で上側治具61と下側治具62とを組み合わせた場合であっても位置決めピン83,84と貫通孔73,74との掛かり代が十分に確保される構成となっている(図2(b)参照)。なお、本実施の形態に示すセット治具60については、位置決めピン83,84が挿入される「挿入部」を貫通孔とすることにより、セット治具60の汎用性(例えば各ワークの厚さや積層数の許容範囲)を拡張している。
第1位置決めピン83、第2位置決めピン84、第1貫通孔73、第2貫通孔74の組み合わせ(位置決め手段)は、軸受け孔63を囲むようにして、すなわちセット治具60の周方向に並べて複数(3組)配設されている。それらの組み合わせは、周方向において等間隔となるように配置されており、組み合わせ毎に上記ワーク群100がセットされる構成となっている。つまり、本実施の形態では、上下方向3個×周方向3個=合計9個のワーク90がセット治具60にセットされる構成となっている。歯切り加工を行う際には、テーブル41を回転させて切削部22に対峙する位置(加工位置)に配置されるワーク群100を入れ替えることにより、セット治具60を着脱することなく歯切り加工を連続して行うことができる。なお、本実施の形態では、セット治具60に3個×3個=計9個のワーク90をセットする場合について例示したが、これに限定されるものではない。上下に重ねるワーク90の数を2個としてもよいし4個以上としてもよい。また、周方向に並べるワーク群100の数を2個としてもよいし4個以上としてもよい。
ここで、上述したワーク90については、板厚にある程度の個体差(誤差)が生じ得る。このような個体差については、ロットの切り替わり前後で顕著となることが多い。上述の如くワーク90を重ね合わせてワーク群100を構成した場合には、以下の不都合が生じる。すなわち、同時にセットされる複数のワーク群100において各ワーク群100の厚さ寸法の差が顕著になると、当該厚さ寸法が相対的に小さいワーク群100と上側治具61の下面72との隙間が大きくなって、加工時に当該ワーク群100(ワーク90)ががたつきやすくなる。ワーク群100のがたつきは、歯車Gの加工精度を低下させる要因になると懸念される。本実施の形態においては、このような事情に配慮した工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図2及び図3を参照して、当該工夫について説明する。なお、図3(a),(b)の左側部分は例えば図2(a)のA-A断面に相当し、図3(a),(b)の右側部分は例えば図2(a)のB-B断面に相当する。
図2に示すように、上側治具61(本体部70)の下面72において貫通孔73,74の周辺となる部分、詳しくはワーク90と対峙する部分には円形の凹部75が形成されている。凹部75には弾性変形可能な硬質ウレタン製の弾性部材77(ゴム部材)が配されている。弾性部材77は円柱状をなし、その一端部が凹部75の底部に当接し且つ他端(以下、先端部78という)が下面72よりも下側に突出した状態となるようにして当該凹部75に圧入されている(図3(a)参照)。
弾性部材77の先端部78は先細りとなっており、当該先端部78と凹部75の周面との間に若干の隙間が設けられている。弾性部材77は金属製の本体部70,80と比べて変形しやすくなっており、上記隙間には、弾性部材77が当該弾性部材77の長手方向において圧縮された(弾性変形した)場合に当該弾性部材77の肉部が入り込む。これにより、弾性部材77全体を凹部75に収容可能としている。
本実施の形態における弾性部材77については、本体部70,80と比べて変形しやすいものの、弾性部材77によってワーク群100を押圧している場合の安定性を向上させるべくある程度の硬さを有している。このような事情から、上側治具61と下側治具62とを手作業で組み合わせた際に、ワーク群100を両本体部70,80に当接させること、すなわち弾性部材77を所定の圧縮状態とすることは困難となっている。なお、「所定の圧縮状態」は、弾性領域における圧縮状態であって切削時のワーク群100のがたつきを抑制することにより歯車Gの精度(要求精度)を確保できる圧縮状態を示す。
これに対して、上述した昇降機構37は作業者のボタン操作等に応じて作動するアクチュエータを具備しており、当該昇降機構37の押圧力は弾性部材77を上記所定の圧縮状態となるように変形させることができる大きさとなっている。つまり、弾性部材77は、セット治具60がテーブル41と押え部31とで挟み込まれた際の押圧力によって所定の圧縮状態となる。なお、弾性部材77を、コイルバネや板バネ等のバネ部材とすることも可能である。
次に、図3を参照して、ワーク群100の厚さと弾性部材77の圧縮状態との関係について説明する。図3には、厚さ寸法の異なる複数のワーク群100が配置された場合、具体的には左側のワーク群100Aの厚さ寸法X1が右側のワーク群100Bの厚さ寸法X2よりも小さくなっている場合について例示している。なお、ワーク群100A用の弾性部材77Aとワーク群100B用の弾性部材77Bとは上側治具61の下面72からの突出量(突出量H3)が同一となっており、当該突出量H3は厚さ寸法X1と厚さ寸法X2との差よりも大きくなっている。
ワーク群100A,100Bがセットされたセット治具60を保持部21に固定する際には、図3(a)→図3(b)に示すように、上側治具61と下側治具62とが近づくことで弾性部材77A及び弾性部材77Bが各々圧縮される。その後は、上側治具61の下面72がワーク群100Bに当接することにより、それ以上の押え部31の降下が回避される。つまり、それ以上の押え部31の降下が回避され、セット治具60の固定が完了した状態では、右側のワーク群100Bは、弾性部材77B及び上側治具61の下面72によって押圧された状態となっている。これに対して、左側のワーク群100Aと上側治具61の下面72との間には隙間が生じており、左側のワーク群100Aは、弾性部材77Aによって押圧された状態となっている。
なお、弾性部材77A,77Bの突出量H3については、下側治具62の上面81からの第1位置決めピン83の突出量H1や第2位置決めピン84の突出量H2よりも小さくなっている。このような構成とすれば、上側治具61と下側治具62との相対変位の方向(上記組み合わせ方向)が規定されている状況下にて弾性部材77を変形させることができ、弾性部材77を変形させる際の撓み等を抑制できる。これは、弾性部材77を保護し、セット治具60の耐久性を向上させる上で好ましい構成である。
ここで、図2(a)を参照して、弾性部材77の配置について補足説明する。弾性部材77は、ワーク90の円弧部91に沿って複数並べて配置されている。より詳しくは、セット治具60の周方向において、位置決めピン83,84の配設箇所の両側と、両位置決めピン83,84の間とに各々配設されている。このような配置とすることにより、セット治具60の周方向においてホブ26とワーク群100との接触位置が変化してもワーク群100のがたつきを好適に抑制できる。また、弾性部材77は、セット治具60の径方向において位置決めピン83,84よりも内側及び外側に各々配設されている。詳しくは、円弧部91に沿うように配置された3つの弾性部材77のうち中央の弾性部材77に対して径方向に並ぶように弾性部材77が配置されている。このような配置とすることにより、ワーク群100Aのがたつきを一層好適に抑制できる。
以下、図2(b)、図4及び図5を参照して、歯車Gの製造工程について説明する。歯車Gの製造工程は、例えば鋳造によってワーク90を作成する準備工程と、ワーク90をセット治具60にセットするセット工程S1(「第1工程」に相当)と、ワーク90がセットされたセット治具60を切削加工装置10の装置本体に固定する固定工程S2(「第2工程」に相当)と、ワーク90を加工する加工工程S3(「第3工程」に相当)と、焼き入れや研削等の仕上げを行う仕上げ工程とを有している。
準備工程にてワーク90を作成した後はセット工程S1に移る。セット工程S1においては、図4(a)→図4(b)に示すように、所定数(3つ)のワーク90を下側治具62の位置決めピン83,84に挿通させる。図4(b)→図4(c)に示すように、この手順を位置決めピン83,84毎に繰り返すことで、ワーク群100をセット治具60の周方向に3つ並べる。その後は、図4(c)→図(d)に示すように、上側治具61と下側治具62とを組み合わせることでセット工程S1が完了となる。なお、上側治具61と下側治具62とは相互に非固定となっており、上記組み合わせ方向における両治具61,62の相対変位が許容されている。
続く固定工程S2では、図5(d)に示すように、セット治具60をテーブル41の中央に載置する。その後は、上述したボタン操作により昇降機構37を駆動させて、押え部31を待機位置から降下させる。これにより、図5(d)→図5(e)に示すように、セット治具60が押え部31によってテーブル41に押し付けられた状態となり、セット治具60の固定が完了する。この際、弾性部材77が圧縮され、各ワーク群100は弾性部材77によって下側治具62の上面81に押し付けられた状態となる(図2(b)参照)。その後は、加工工程S3に進む。
加工工程S3では、各ワーク群100について歯切りを行う(図5(f)参照)。具体的には、1のワーク群100について歯切りが完了した後は、テーブル41を回転させて加工位置に配置されているワーク群100を他のワーク群100に入れ替える。つまり、本実施の形態に示す加工工程S3においては、セット治具60を保持部21から取り外すことなく全てのワーク群100の歯切りが実行される。以上の各工程を経て歯車Gが完成することとなる。
以上詳述した実施の形態によれば、以下の優れた効果が期待できる。
多数のワーク90をまとめて加工することにより歯車Gの製造効率を向上させることができる。ワーク90を重ね合わせてワーク群100を構成する場合には、個体差の累積によってワーク群100毎の厚さの違いが顕著になり得る。この点、本実施の形態に示した構成によれば、個体差の影響を弾性部材77によって吸収し、加工に際してワーク群100ががたつくことを抑制できる。これにより、歯車Gの精度が低下することを抑制できる。以上の理由から、歯車Gの製造効率の向上を図りつつ、それに起因して歯車Gの精度が低下することを好適に抑制できる。
歯車Gの精度を考慮した場合には、弾性部材77を硬くして加工時の弾性部材77の変形を抑えることが好ましい。しかしながら、弾性部材77を単に硬くした場合には、作業負荷が増大し得る。この点、本実施の形態では、弾性部材77の圧縮が保持部21へのセット治具60の固定に伴って実行される構成となっている。このような構成とすることで、歯車Gの精度低下を抑制する上で、作業負荷が増大することを好適に回避できる。
加工位置をホブ26の刃部が上側から下側に変位するようにして当該ホブ26を回転させる構成においては、加工に際して刃部によりワーク群100が上側から押されることとなる。本実施の形態では、ワーク群100を下側治具62の本体部80によって支え且つ当該ワーク群100を弾性部材77によって上側から押える構成とすることにより、刃部からの力が下側治具62に伝わりやすくなっている。このような構成とすれば、弾性部材77の負荷を軽減し、セット治具60の耐久性の向上に寄与できる。
<変形例>
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態に対して個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態に対して個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)弾性部材77の配設対象(取付対象)を、貫通孔73,74(「挿入部」に相当)が形成された上側治具61(「第2治具」に相当)から、位置決めピン83,84を具備する下側治具62(「第1治具」に相当)に変更してもよい。
(2)上記実施の形態では、上側治具61が貫通孔73,74を有し且つ下側治具62が位置決めピン83,84を有する構成としたが、下側治具62が貫通孔を有し且つ上側治具61が位置決めピンを有する構成としてもよい。この場合、弾性部材77の配設対象については、上側治具61のままとしてもよいし、下側治具62に変更してもよい。
(3)切削部22(「加工部」に相当)のホブ26の回転方向を逆にしてもよい。この場合、押圧部材の配設対象を上側治具61から下側治具62に変更することが望ましい。
(4)上記実施の形態では、上側治具61と下側治具62とを非固定としたが、上側治具61と下側治具62とをボルト及びナット等の固定具を用いて相互に固定する構成としてもよい。このような構成とする場合には、上側治具61と下側治具62と相互に固定する際に、弾性部材77を所定の圧縮状態とする、すなわち上側治具61(本体部70)の下面72をワーク90に当接させる構成とするとよい。言い換えれば、弾性部材77を所定の圧縮状態とするタイミングについては、セット工程S1(「第1工程」に相当)であってもよいし、固定工程S2(「第2工程」に相当)であってもよい。
(5)上記実施の形態に示した切削加工装置10においては、保持部21を回転させることにより加工位置に配置されたワーク群100、すなわち加工対象となるワーク群100を他のワーク群100に変更する構成としたが、加工対象となるワーク群100を他のワーク群100に変更するための具体的構成については任意である。例えば、保持部21を中心に切削部22を変位(回動)させることにより、加工対象となるワーク群100を変更する構成を否定するものではない。
(6)上記実施の形態では、保持部21にセット治具60を固定する際に、ワーク群100の何れかに当接する位置まで上側治具61を押し込む構成としたが、弾性部材77によって各ワーク群100を押圧した状態となるように構成されているのであれば足り、必ずしも上側治具61をワーク群100に当接させる必要はない。
(7)弾性部材77の配置については任意であり、ワークの形状等に応じて変更するとよい。
(8)上記実施の形態では、保持部21によるセット治具60の挟み込み方向を鉛直方向(縦方向)としたが、これに限定されるものではない。保持部21によるセット治具60の挟み込み方向を水平方向(横方向)とすることも可能である。
(9)上記実施の形態では、ホブ26によって歯車Gの歯部Tを形成する構成としたが、歯部Tの加工方法については任意である。例えば、フライスによって歯部Tを形成したり、レーザによって歯部Tを形成したりしてもよい。
10…加工装置としての切削加工装置、21…ホルダ固定部としての保持部、22…加工部としての切削部、31…押え部、34…軸体、41…載置部としてのテーブル、44…軸受け部、60…ワークホルダとしてのセット治具、61…第2治具としての上側治具、62…第1治具としての下側治具、63…軸受け孔、70…治具本体としての本体部、73,74…挿入部としての貫通孔、75…凹部、77…弾性部材、80…本体部、83…位置決めピン、90…ワーク、91…被加工部としての円弧部、100…ワーク群、CL1~CL3…中心軸線、T…歯部、G…歯車。
Claims (12)
- ワークをワークホルダにセットする第1工程と、
前記第1工程において前記ワークがセットされた前記ワークホルダを、加工装置のホルダ固定部に固定する第2工程と、
前記第2工程において前記ワークホルダを固定した後に、前記ワークに歯部が形成されるようにして当該ワークを加工する第3工程と
を備えている歯車の製造方法であって、
前記ワークホルダは、互いに対向する状態で組み合わされる第1治具と第2治具とを有してなり、
前記第1治具には、当該第1治具から前記第2治具側へ突出する位置決めピンが所定方向に並べて複数設けられており、
前記第1治具及び前記第2治具の一方には、前記第1治具及び前記第2治具の他方側へ突出するようにして複数の弾性部材が取り付けられており、
前記第1工程は、所定数の前記ワークが重ね合わされたワーク群が各前記位置決めピンに各々挿通された状態となるようにして複数の前記ワーク群を前記所定方向に並べて配置する工程であり、
前記第2工程は、複数の前記ワーク群がセットされた前記ワークホルダを前記第1治具及び前記第2治具の組み合わせ方向において挟み込む工程であり、
前記第1工程及び前記第2工程の何れかにおいて、複数の前記ワーク群に前記弾性部材を各々当接させた状態で前記第1治具と前記第2治具とを近づけることにより、圧縮状態となった前記弾性部材によって前記ワークが押圧された状態とすることを特徴とする歯車の製造方法。 - 前記第1治具及び前記第2治具のうち前記弾性部材の取付対象となっている治具の対向面には、複数の凹部が形成されており、
前記弾性部材は、前記凹部から突出するようにしてそれら凹部に各々配設されており、
前記弾性部材が前記圧縮状態となっている場合には、複数の弾性部材の何れかが前記凹部に没入し、当該没入した弾性部材が当接しているワーク群が前記第1治具の対向面及び前記第2治具の対向面に当接するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯車の製造方法。 - 前記第1治具及び前記第2治具は、平面視で円形状をなしており、その周方向である前記所定方向に並べて複数の前記ワーク群が配置される構成となっており、
前記第1工程では、各前記ワーク群における各ワークの一部である被加工部を前記第1治具及び前記第2治具の外周部よりも外側に突出させた状態で、それら前記ワーク群を前記ワークホルダにセットすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歯車の製造方法。 - 前記加工装置は、前記ワークホルダを装置本体に取り付けた状態で当該ワークホルダを同ワークホルダの中心部を軸心として回転させる回転機構を備えており、
前記第3工程では、前記回転機構により前記ワークホルダを回転させることで、各前記ワーク群の周方向位置を変えてそれらワーク群に対する前記加工を行うことを特徴とする請求項3に記載の歯車の製造方法。 - 前記第2工程は、複数の前記ワーク群がセットされた前記ワークホルダを前記第1治具及び前記第2治具の組み合わせ方向において挟み込むことにより当該ワークホルダを前記ホルダ固定部に固定し且つ前記弾性部材を前記圧縮状態とする工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の歯車の製造方法。
- 前記加工装置は、外周部に歯切り用の刃部が形成された加工部を備え、
前記第3工程は、前記ワーク群を加工する加工位置を前記刃部が前記第1治具及び前記第2治具の一方側から他方側へ変位するようにして当該加工部を回転させることにより前記ワークを切削する工程であり、当該一方の治具に前記弾性部材が配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の歯車の製造方法。 - ワークに歯部が形成されるようにして当該ワークを加工する歯車の加工装置に適用され、前記ワークがセットされた状態で前記加工装置のホルダ固定部に固定されるワークホルダであって、
互いに対向する状態で組み合わされる第1治具及び第2治具を備え、
前記第1治具には、前記第1治具及び前記第2治具の間に前記ワークがセットされる場合に前記ワークの一部である被加工部を前記第1治具及び前記第2治具の外周部よりも外側に突出した状態となるようにして当該ワークの位置を規定する位置決めピンが設けられており、
前記位置決めピンは、所定数の前記ワークが重ね合わせられてなるワーク群を挿通可能となるように構成されており、
前記位置決めピンを複数備え、それら位置決めピンにより前記第1治具及び前記第2治具の組み合わせ方向とは異なる所定方向に並べて複数の前記ワーク群をセット可能となっており、
前記第1治具及び前記第2治具の一方には、前記第1治具及び前記第2治具の他方側へ突出した状態となるようにして弾性部材が取り付けられており、
前記弾性部材は、それらワーク群に当接する位置に各々配設されていることを特徴とするワークホルダ。 - 前記第2治具には、前記位置決めピンが各々挿入される挿入部が設けられており、
前記挿入部は、前記組み合わせ方向に貫通していることを特徴とする請求項7に記載のワークホルダ。 - 前記第1治具及び前記第2治具は、平面視で円形状をなしており、その周方向である前記所定方向に並べて複数の前記ワーク群が配置される構成となっており、
前記弾性部材は、前記ワークホルダの径方向において前記位置決めピンよりも内側となる位置及び外側となる位置に各々配設されていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のワークホルダ。 - 前記第1治具及び前記第2治具は、平面視で円形状をなしており、その周方向である前記所定方向に並べて複数の前記ワーク群が配置される構成となっており、
前記弾性部材は、前記ワークホルダの周方向においては前記位置決めピンの両側に各々配設されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1つに記載のワークホルダ。 - 前記第2治具の対向面には、凹部が形成されており、
前記弾性部材は、前記弾性部材において前記ワークと当接する部分が前記凹部から突出した状態となるようにして前記凹部に取り付けられていることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1つに記載のワークホルダ。 - 請求項7乃至請求項11のいずれか1つに記載されたワークホルダと、
前記ワークホルダが載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記ワークホルダを当該載置部に押し付ける押圧部と、
前記載置部及び前記押圧部により前記ワークホルダが挟まれている状況下にて当該ワークホルダにセットされた前記ワークの前記被加工部に歯部が形成されるようにして当該ワークを加工する加工部と
を備えていることを特徴とする加工装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020168477A JP2022060793A (ja) | 2020-10-05 | 2020-10-05 | 歯車の製造方法、ワークホルダ、加工装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022060793A true JP2022060793A (ja) | 2022-04-15 |
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ID=81125116
Family Applications (1)
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JP2020168477A Pending JP2022060793A (ja) | 2020-10-05 | 2020-10-05 | 歯車の製造方法、ワークホルダ、加工装置 |
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2020
- 2020-10-05 JP JP2020168477A patent/JP2022060793A/ja active Pending
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