JP2022060771A - インダクタ - Google Patents

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Yuki Kitajima
芳春 佐藤
Yoshiharu Sato
紀行 大川
Noriyuki Okawa
博 丸澤
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Abstract

【課題】素体を保護する素体保護膜の品質低下を防止したインダクタを得ること。【解決手段】大粒子及び小粒子の軟磁性粒子から成る軟磁性粉と樹脂を含んで成る素体10と、前記素体10に埋設されたコイル30と、前記素体10に設けられた外部電極20とを有し、前記素体10の表面に素体保護膜60を有するインダクタ1であって、前記素体10の表面には、前記大粒子の平均粒径の0.4倍以上の厚みの前記素体保護膜60が形成されていることを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、インダクタに関する。
特許文献1には、金属粒子および樹脂材料を含んで成るコアと、コアに埋設されたコイル導体と、コイル導体に電気的に接続された外部電極とを有して成るコイル部品であって、磁性体部上に保護層が形成されたコイル部品が開示されている。
特開2018-182210号公報
インダクタの小型化において、所定サイズの成型体内でコイルを大きくすると、成型体の側面とコイルとの間のギャップ(以下、「サイドギャップ」と言う)が小さくなり、成型体を成型する時の加工精度が悪いとコイルが成型体の側面から露出してしまう。
そこで、成型体を予め大きく成型し、成型後に成型体の表面を研削してダウンサイジングし、所定サイズの素体を得る手法が考えられる。
しかしながら、表面の粒子が研削によって脱粒することで表面に凹みが生じ、凹みによって、素体を保護する素体保護膜の品質が低下する場合がある。
本発明は、素体を保護する素体保護膜の品質低下を防止したインダクタを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、大粒子及び小粒子の軟磁性粒子から成る軟磁性粉と樹脂を含んで成る素体と、前記素体に埋設されたコイルと、前記素体に設けられた外部電極とを有し、前記素体の表面に素体保護膜を有するインダクタであって、前記素体の表面には、前記大粒子の平均粒径の0.4倍以上の厚みの前記素体保護膜が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、素体を保護する素体保護膜の品質低下を防止したインダクタが得られる。
本発明の実施形態に係るインダクタの構成を模式的に示す図であり、インダクタの天面の側を視た斜視図である。 同インダクタの構成を模式的に示す図であり、インダクタの実装面の側を視た斜視図である。 同インダクタの内部構成を透視して示す透視斜視図である。 インダクタの製造工程の概要を示す図である。 混合粉で形成されたタブレットを用いた素体成型の態様を示す図である。 成型後の素体のコアの状態を示す模式図である。 インダクタの参照面を説明する図である。 素体の側面の樹脂の充填態様を示す図である。 素体の表面粗さの測定結果を示す図である。 素体の側面とコイルとの間隔を説明する図である。 素体研削に用いられる研削装置の一例を模式的に示す図である。 サイドギャップの説明図である。 素体保護膜形成に用いる保護膜形成装置の一例を模式的に示す図である。 ナノシリカの含有量と乾燥速度の実験結果を示す図である。 ナノシリカのシリカ粒子の平均粒径と、くっつき発生率の実験結果を示す図である。 素体保護膜に生じたクラックを示す画像である。 素体保護膜の厚みを変えて「めっき飛び」の数を計測した結果を示す図である。
[インダクタ全体構成]
図1及び図2は本実施形態に係るインダクタ1の構成を模式的に示す図であり、図1はインダクタ1の天面14の側を視た斜視図、図2はインダクタ1の実装面12の側を視た斜視図である。
本実施形態のインダクタ1は、表面実装型の電子部品として構成されており、略直方体形状の素体10と、当該素体10の表面に設けられた一対の外部電極20とを備え、素体10の一面が図示しない回路基板の表面に実装される実装面12(図2)として構成され、また素体10は外部電極20を除き素体保護膜50で覆われている。
以下、素体10において、実装面12の対向面を天面14(図1)と言い、実装面12及び天面14以外の4面の側面のうち、コイル30の後述する引出部34が位置する一対の面を第1側面16と言い、残りの一対の面を第2側面18と言う。これら第1側面16、及び第2側面18は、後述するコイル30が備える巻回部32の径方向に位置する素体10の面でもある。以下では、対向する実装面12と天面14を、一対の主面とも称する。
また、図1に示すように、実装面12から天面14までの長さを素体10の高さHと定義し、天面14の短辺の長さを素体10の幅Wと定義し、長辺の長さを素体10の長さLと定義する。
図3は本実施形態に係るインダクタ1の内部構成を示す透視斜視図である。
素体10は、コイル30と、当該コイル30が埋設されたコア40と、を備え、コイル30をコア40に封入したコイル封入型磁性部品として構成されている。
コイル30は導線を巻回した空芯コイル部品である。
コア40は、軟磁性粉と樹脂を混合した混合粉を、コイル30を内包した状態で圧粉することで略直方体形状に圧縮成型された成型体である。
コイル30は、導線が巻回された巻回部32と、当該巻回部32から引き出された一対の引出部34とを備える。巻回部32は、導線の両端が外周に位置し、かつ内周で互いに繋がるように導線を渦巻き状に巻回して形成される。素体10の内部において、コイル30は、巻回部32の中心軸Kが素体10の高さHの方向に沿う姿勢でコア40に埋設されており、また引出部34は、巻回部32から一対の第1側面16のそれぞれまで引き出されている。
コイル30の形成に用いられる導線は、電気的絶縁性を有した絶縁被覆層と、当該絶縁被覆層の上に形成された融着被覆層とを有する絶縁被覆材60によって予め被覆されている。コイル形成工程では、加熱しながら導線を巻回することで融着被覆層が溶融することで巻回部32の導線同士が固着し、コイル形成後の巻回部32の型崩れが抑えられる。また絶縁被覆層によってコイル30とコア40とが確実に絶縁される。
一対の外部電極20は、素体10の第1側面16のそれぞれから実装面12に亘って延びるL字状部材である。外部電極20はそれぞれ、第1側面16においてコイル30の引出部34と接続され、また実装面12に延出した部分20A(図2)が半田などの適宜の実装手段によって回路基板の配線に電気的に接続される。
かかる構成のインダクタ1は、例えば、高周波回路のインピーダンス整合用コイル(マッチングコイル)として用いられ、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、スマートフォン、カーエレクトロニクス、医療用・産業用機械などの電子機器に用いられる。ただし、インダクタ1の用途はこれに限られず、例えば、同調回路、フィルタ回路や整流平滑回路などにも用いることもできる。
[インダクタ製造工程概要]
図4は、インダクタ1の製造工程の概要を示す図である。
同図に示すように、インダクタ1の製造工程は、造粒工程と、コイル形成工程と、素体成型・硬化工程と、素体研削工程と、素体保護膜形成工程と、素体保護膜除去工程と、外部電極形成工程と、を含む。
造粒工程は、コア40が含有する軟磁性粉と樹脂を混合した混合粉を造粒する工程である。軟磁性粉は、表面が絶縁膜で覆われた粒子から成っている。
コイル形成工程は、絶縁被覆材60によって被覆された導線からコイル30を形成する工程である。当該工程において、コイル30は、「アルファ巻」と称される巻き方で導線を巻回することにより、上述した巻回部32、及び一対の引出部34を有した形状に形成される。アルファ巻とは、導体として機能する導線の巻始めと巻終わりの引出部34が外周に位置するように渦巻き状に2段に巻回された状態を言う。コイル30のターン数は、特に限定されるものではないが、例えば6.5ターンである。
素体成型・硬化工程は、素体10の元と成る成型体を成型する工程である。
成型体の成型材料には、造粒工程で得られた混合粉が用いられる。
当該工程では、混合粉を予備成型してタブレット(所定形状の固形物)を作成し、当該タブレットとコイル30を成型金型のキャビティ内に配置する。次いで、キャビティを加熱しながらパンチを用いて加圧することでコイル30を内包した成型体を圧縮成型し、その後、硬化した成型体をキャビティから取り出し、この成型体に対して研磨を行う。この研磨にはバレル研磨を用いることで、成型体の角部へのR付けを行うことができる。
予備成型したタブレットには、図5に示すように、コイル30が入り込む溝71を有した適宜形状(例えばE型など)の第1タブレット70と、当該第1タブレット70の溝71を覆う適宜形状(例えばI型や板状など)の第2タブレット72との2種類のタブレットが用いられる。圧縮成型時は、コイル30を溝71に嵌めた第1タブレット70と、第2タブレット72とを成型金型74のキャビティ75内に重ねて配置する。そして、第1タブレット70及び第2タブレット72に熱を加えながら、この重なり方向に、第1タブレット70又は/及び第2タブレット72の側(図5の例では第2タブレット72の側)からパンチ76を用いて加圧することで、第1タブレット70、コイル30、及び第2タブレット72を一体化する。
なお、予備成型したタブレットではなく、造粒工程で得られた混合粉をそのままキャビティに投入して圧縮成型してもよい。
圧縮成型時の加圧力Pは、図6に示すように、素体10の成型後において軟磁性粉を構成する個々の粒子80が潰れることなく成型前の形状を維持するような従前よりも低い圧力であることが好ましい。かかる加圧力Pにより、軟磁性粉を構成する個々の粒子80において、表面の絶縁膜の損傷が抑えられるため、絶縁性能低下(すなわち耐圧性能低下)が抑えられる。
また図6に示すように、軟磁性粉を構成する粒子80の粒度は2種以上(図6の例では、平均粒径が比較的大きな大粒子である第1軟磁性粒子81と、平均粒径が比較的小さな小粒子である第2軟磁性粒子82)であることが好ましい。かかる軟磁性粉によれば、圧縮成型時において、図6に示すように、大粒子である第1軟磁性粒子81の間に樹脂90と共に小粒子である第2軟磁性粒子82が入り込むため、粒子80の充填率が高い成型体(素体10)が得られる。コア40を構成する第1軟磁性粒子81及び第2軟磁性粒子82の実施形態については後述する。
素体研削工程は、素体成型・硬化工程で得た成型体の第2側面18に砥粒を作用させることで、幅Wが所定幅になるまで第2側面18を削り落とす(すなわち研削する)工程である。
当該工程によって、成型体の幅Wを所定幅までダウンサイジングした素体10が得られる。かかるダウンサイジングにより、素体10内のコイル30と第2側面18との距離(サイドギャップとも言う)が縮まるため、コイル30の巻回部32の径方向におけるコイル30の占有率が高められる。また、圧縮成型で得た成型体を所定サイズに研削加工して素体10を得るため、圧縮成型だけで素体10を所定サイズに制御する場合に比べ、素体10の寸法ばらつきを低減することができる。
なお、素体研削工程において、第2側面18の研削によって生じた角を面取りするための研磨(例えばバレル研磨)を行ってもよい。
素体保護膜形成工程は、素体研削工程で所定サイズに研削された素体10の全表面に素体保護膜50を形成する工程である。
素体保護膜50の材料には、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、又は、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられる。なお、これらの樹脂は酸化ケイ素、酸化チタン等を含むフィラーを更に含んでいても良い。
当該工程では、素体10の全表面に素体保護膜50の材料を、塗布やディップ等の適宜の手段により付与し、これを硬化することにより素体保護膜50を形成する。
素体保護膜除去工程は、全表面が素体保護膜50で覆われた素体10にレーザを照射することで、外部電極20が形成される電極形成箇所(本実施形態では第1側面16内の所定箇所)の素体保護膜50と、当該電極形成箇所に露出しているコイル30の引出部34の絶縁被覆材60と、を除去する工程である。
なお、素体保護膜除去工程において、レーザによる絶縁被覆材60の除去の後、電極形成箇所の表面を清浄するためにエッチング処理を行っても良い。
外部電極形成工程は、素体保護膜除去工程において素体保護膜50が除去された電極形成箇所に、めっきによって外部電極20を形成する工程である。
当該工程において、外部電極20は、素体10の表面に露出した軟磁性粉とコイル30の引出部34に、めっき処理を行うことで形成される。このめっき処理では、銅(Cu)から形成される層をめっき成長によって形成することで外部電極20を形成する。
なお、銅(Cu)の層の上に、ニッケル(Ni)から形成される層と、スズ(Sn)から形成される層とを、この順にめっき成長によって積層形成してもよい。また銅(Cu)の層に代えて、アルミニウム(Al)や、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)の層を用いてもよい。
また、外部電極は、スパッタリングや導電性樹脂、銅板などを用いて形成してもよい。また、外部電極20は、図示例のL字形状に限らず、いわゆる5面電極構造であってもよく、また底面電極であってもよい。
上記のように製造されたインダクタ1によれば、コア40としての機械強度を維持しつつコア40の比抵抗と軟磁性金属部分の比率等を高めて、信頼性が高く且つ良好な耐電圧性、透磁率、飽和磁束密度、及び直流重畳特性を実現している。
次いでインダクタ1の実施例を以下に説明する。
なお、各実施例において、特に断りがない限り、インダクタ1の寸法は、高さHが0.7±0.1mm、幅Wが1.2±0.2mm、長さLが2.0±0.2mmであり、耐電圧は約20Vである。
また、インダクタ1は、後述する[A.混合粉]、[B.コイル]、[C.素体研削]、及び[D.素体保護膜]のそれぞれに示す任意の実施例を用いて、これら実施例の任意の組み合わせにより構成され得る。
[A.混合粉]
コア40の形成に用いられる混合粉は、軟磁性粉と樹脂とを含む。
[A-1.軟磁性粉]
混合粉に含まれる軟磁性粉は、軟磁性金属の粒子で構成される軟磁性材料である。この軟磁性粉は、例えば、第1軟磁性粒子81(大粒)と、第1軟磁性粒子81より平均粒径が小さい第2軟磁性粒子82(小粒)とを含む。なお、本明細書において「平均粒径」は体積基準のメジアン径を意味する。
第1軟磁性粒子81及び第2軟磁性粒子82のそれぞれの平均粒径は、これらを互いに混合する前において、それぞれ粒度分布計を用いて測定することができる。また、混合粉を加圧成型した成型体としてのコア40の状態において測定する場合には、コア40を研磨して得られる軟磁性粒子の断面の電子顕微鏡画像を解析することにより測定することができる。例えば、上記電子顕微鏡写真から各軟磁性粒子断面の円相当径を求め、各軟磁性粒子が上記円相当径を有する球であるものと仮定して、各球の体積を求め、その体積値分布の中央値から平均粒径を算出することができる。
第1軟磁性粒子81の平均粒径は、20μm以上28μm以下であり、好ましくは21.4μm以上27.4μm以下である。第2軟磁性粒子82の平均粒径は、1μm以上6μm以下であり、好ましくは1.5μm以上1.8μm以下である。このように、混合粉を平均粒径の異なる第1軟磁性粒子81と第2軟磁性粒子82とにより構成することで、平均粒径の大きい第1軟磁性粒子81によりコア40としての飽和磁束密度を高めて直流重畳特性を向上しつつ、平均粒径の小さい第2軟磁性粒子82を第1軟磁性粒子81同士の間隙に入り込ませ、コア40における軟磁性粒子の充填率を高めて比透磁率を向上させることができる。
また、混合粉に含まれる第2軟磁性粒子82の量は、その混合粉に含まれる軟磁性粒子の総重量を基準として15重量%以上30重量%以下であり、好ましくは20重量%以上30重量%以下である。軟磁性材料における第2軟磁性粒子82の含有量が上記範囲内であると、混合粉の成型体であるコア40における軟磁性粒子の充填率をより高くすることができる。
第2軟磁性粒子82を構成する軟磁性金属の組成は第1軟磁性粒子81を構成する軟磁性金属の組成と同じであってもよいが、互いに異なる組成を有し、互いにほぼ同等の硬度を有していることが好ましい。第1軟磁性粒子81及び第2軟磁性粒子82の硬度は、ナノインデンテーション法を用いて計測することができる。例えば、第1軟磁性粒子81の硬度は、600HV(kgf/mm)以上1200HV以下であり、望ましくは800HV以上1000HV以下である。また、第2軟磁性粒子82の硬度は、900HV(kgf/mm)以上1400HV以下であり、望ましくは900HV以上1100HV以下である。
また、第1軟磁性粒子81の硬度に対する第2軟磁性粒子82の硬度の比は、0.7以上1.2以下であることが望ましい。これにより、これらの軟磁性粒子を含む混合粉を加圧成型してコア40を形成する際に、第1軟磁性粒子81又は第2軟磁性粒子82の硬度の低い一方の軟磁性粒子が変形してしまうのを防止して、コア40としての絶縁抵抗が低下してしまうのを防止することができる。
[A-2.樹脂]
樹脂の割合は、軟磁性粉と樹脂の総重量を基準として、2.0重量%以上3.5重量%以下である。また、樹脂は、少なくともビスフェノールA型エポキシ樹脂とゴム変性エポキシ樹脂とを含み、更に、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を含んでもよい。
本発明者らは、後述する評価実験により、混合粉にフェノールノボラック型エポキシ樹脂を配合しない場合のビスフェノールA型エポキシ樹脂とゴム変性エポキシ樹脂の好適な配合率である第1樹脂配合率を見出した。第1樹脂配合率は、混合粉に含まれる樹脂の総重量を基準として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量%以上90重量%以下、ゴム変性エポキシ樹脂10重量%以上50重量%以下である。
ここで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、混合粉に含まれる樹脂の主成分であるが、混合粉に含まれる樹脂をビスフェノールAエポキシ樹脂のみにすると、形成される素体10が硬脆くなり易い。そこで、混合粉に含まれる樹脂にゴム変性エポキシ樹脂を配合することにより、形成される素体10に靭性を持たせて、素体10の硬脆さを改善することができる。そして、第1樹脂配合率により、混合粉に含まれる樹脂中のビスフェノールA型樹脂とゴム変性エポキシ樹脂の割合を設定し、上述した素体成型・硬化工程によってコイル30を封止した素体10を成型することにより、強度と靭性を両立させたインダクタ1を製造することができる。
また、本発明者らは、後述する評価実験により、混合粉にフェノールノボラック型エポキシ樹脂を配合する場合の、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とゴム変性エポキシ樹脂とフェノールノボラック型エポキシ樹脂の好適な配合率である第2配合率を見出した。第2配合率は、混合粉に含まれる樹脂の総重量を基準として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量%以上80重量%以下、ゴム変性エポキシ樹脂10重量%以上50重量%以下、フェノールノボラック型エポキシ樹脂1重量%以上30重量%以下である。
ここで、フェノールノボラック型エポキシ樹脂は、上述した素体成型・硬化工程において、素体を形成する際の混合粉を流動させるときの粘度調整と、素体のガラス転移温度の調整を行って、素体が高温になったときの強度を向上させる機能を果たす。そこで、第2配合率によって、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を適切に配合することにより、素体成型時の加熱に対する素体の強度を向上させた上で、強度と靭性を両立させたインダクタ1を製造することができる。
ここで、図7は、インダクタ1の参照面であるLT面とWT面の説明図であり、図8は、図7に示したインダクタ1のLT面とWT面の断面の画像である。上述したように、素体10に素体保護膜が形成される前に、素体研削工程により第2側面18が研削されるが、第1側面16については研削が行われない。そのため、LT面の断面での主面(ここでは実装面)12と第2側面18とが接する稜線部分s22,s23は、第2側面と面一に金属磁性粉が研削され、稜線部分s22,s23における金属磁性粉の露出する面積が増加し、稜線部分s22,s23における樹脂量は、WT面の断面での主面12と第2側面18が接する稜線部分s20,s21における樹脂量よりも少なくなる。これにより、上記特定構成2を有するインダクタ1を得ることができる。特定構成2によれば、主面12と第2側面18が接する稜線部分付近が研削されることで、素体保護膜から突出する軟磁性粒子が低減され、インダクタの絶縁性が低下することを防止することができる。
また、図9は、上述した素体成型・硬化工程による加工後、及び素体研削工程後のLT面、及びWT面の表面の顕微鏡写真と最大高さの対比表である。最大高さSzは、表面粗さの指標値として用いられる。最大高さSzが大きいほど、表面粗さが大きいことを示している。
LT面は素体研削工程によって研削され、その際に第1の軟磁性粒子又は第2の軟磁性体粒子の脱粒が生じるために、表面粗さが大きくなる。そのため、LT面の最大高さSz(50μm)は、研削が行われないMT面の最大高さSz(43μm)よりも大きくなる。LT面の表面粗さを大きくすることにより、LT面における素体保護膜とコアとの接合性を高めることができる。この表面粗さは、形状解析レーザ顕微鏡(キーエンス社製 VK-X250)を用いて、LT面、及びWT面の表面の中央を長手方向に沿って走査し、最大高さ(Sz)を測定することにより求めた。
また、図10に示したように、第2側面18とコイル30との間隔SG1,SG2のうち、狭い方の間隔を第1の軟磁性粒子の1倍よりも大きく4倍よりも小さい範囲とすることにより、素体の耐湿性を確保した上で、外形サイズを小さくした、上記特定構成3を有するインダクタ1を得ることができる。
[A-2-1.サイドギャップに関する実施形態]
図10に示した第2側面18とコイル30との間隔(サイドギャップ)SG1,SG2と、インダクタ1の耐湿性の良否を評価するために、以下の表1、表2に示した試料を作成して、耐湿性の評価を行った。
(耐湿性の評価)
各試料について、温度を85℃、湿度を85%に設定した耐湿槽を用いた耐湿試験を行い、吸水による素子の重量増加が2重量%以下である場合をG(合格)とし、2を超えている場合をNG(不合格)とした。
(混合粉の仕様)
混合粉における樹脂の割合を2.0重量%以上3.5%以下、樹脂の配合は上記第1樹脂配合率とした。混合粉における大粒の軟磁性粒子(第1の軟磁性粒子)の平均粒径は21μm(表1の試料)又は28μm(表2の試料)であり、小粒の軟磁性粒子(第2の軟磁性粒子)の平均粒径は2μmである。
以下、表1に示した試料b51~b60の評価について説明する。試料b54~b60は本発明の実施例であり、試料b51~b53は比較例である。
Figure 2022060771000002
(実施例)
<実施例(試料番号b54)
サイドギャップ小側25μm、サイドギャップ大側85μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例(試料番号b55)>
サイドギャップ小側29μm、サイドギャップ大側81μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例(試料番号b56)>
サイドギャップ小側33μm、サイドギャップ大側77μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例(試料番号b57)>
サイドギャップ小側40μm、サイドギャップ大側70μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例(試料番号b58)>
サイドギャップ小側45μm、サイドギャップ大側65μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例(試料番号b59)>
サイドギャップ小側50μm、サイドギャップ大側60μmである素体を形成した。評価結果…G。
<実施例(試料番号b60)>
サイドギャップ小側55μm、サイドギャップ大側55μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
(比較例A-2-1-1)
<比較例(試料番号b51)>
サイドギャップ小側0μm、サイドギャップ大側110μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
<比較例(試料番号b52)>
サイドギャップ小側10μm、サイドギャップ大側100μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
<比較例(試料番号b53)>
サイドギャップ小側18μm、サイドギャップ大側92μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
表1による評価結果から、平均粒径21μmの第1の軟磁性粒子について、サイドギャップ小側が、第1の軟磁性粒子の粒径の1倍よりも大きく4倍よりも小さい範囲である素体について、良好な耐湿性が得られることが見出された。
以下、表2に示した試料b61~b70の評価について説明する。試料b54~b60は本発明の実施例であり、試料b51~b53は比較例である。
Figure 2022060771000003
(実施例A-2-1-2)
<実施例(試料番号b65)
サイドギャップ小側29μm、サイドギャップ大側81μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例(試料番号b66)>
サイドギャップ小側33μm、サイドギャップ大側77μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例(試料番号b67)>
サイドギャップ小側40μm、サイドギャップ大側70μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例(試料番号b68)>
サイドギャップ小側45μm、サイドギャップ大側65μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例(試料番号b69)>
サイドギャップ小側50μm、サイドギャップ大側60μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性G。
<実施例(試料番号b70)>
サイドギャップ小側55μm、サイドギャップ大側55μmである素体を形成した。評価結果…G。
(比較例A-2-1-3)
<比較例(試料番号b61)>
サイドギャップ小側0μm、サイドギャップ大側110μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
<比較例(試料番号b62)>
サイドギャップ小側10μm、サイドギャップ大側100μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
<比較例(試料番号b63)>
サイドギャップ小側18μm、サイドギャップ大側92μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
<比較例(試料番号b64)>
サイドギャップ小側25μm、サイドギャップ大側85μmである素体を形成した。評価結果…耐湿性NG。
表2による評価結果から、平均粒径28μmの第1の軟磁性粒子について、サイドギャップ小側が、第1の軟磁性粒子の粒径の1倍よりも大きく4倍よりも小さい範囲である素体について、良好な耐湿性が得られることが見出された。
[A-2-2.他の検討事項]
上記実施形態では、混合粉に含有させる樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂を採用した。ビスフェノールAエポキシ樹脂の上位概念はエポキシ樹脂であり、ゴム変性エポキシ樹脂の上位概念は可撓性を有するゴム又は樹脂である。
そこで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂との代替を検討する余地がある樹脂として、ビスフェノールA,F,S型のフェノキシ樹脂が挙げられる。また、ゴム変性エポキシ樹脂との代替を検討する余地がある樹脂又はゴムとして、ウレタン変性、NBR(Acrylonitrile Butadiene Rubber)ゴム変性、CTBN(Carboxyl Terminated Butadiene Acrylonitrile)ゴム変性、CTBNゴムが挙げられる。また、フェノールノボラック型エポキシ樹脂との代替を検討する余地がある樹脂としては、ノボラック型に限定すると、クレゾール、ジシクロペンタジエン、フェノールアラルキル、ビフェニル、ナフトール、キシリレン、トリフェニルメタン、テトラキスフェノールエタンが挙げられ、ノボラック型に限定しなければナフタレン、ビフェニル、トリアジンも挙げられる。
[B.コイル]
(導線)
インダクタ1において、コイル30に用いられる導線は、丸線及び平角線のどちらを用いても良いが(図3は平角線)、導線に平角線を用いることにより、巻回部32の形成時に導線同士の間に隙間を生じさせずに巻回すことが容易になる。
この巻回部32の巻数は、インダクタ1が実現する特性に応じて適宜に決定される。
また導線としては、好ましくは銅からなる銅線が用いられる。
例えばインダクタ1において、コイル30の巻回部32の寸法は、幅W方向の外形が1.17mm、内径が0.55mm、高さが0.4mmであることが好ましい。
また、厚みTのみが0.55±0.1mmに変更された寸法のインダクタ1においては、外形が1.17±0.05mm、内径が0.48±0.05mm、高さが0.30±0.05mmであることが好ましい。
ここで、コイル30の導線を平角線とした場合、平角線の厚みは、好ましくは0.118mm以下、より好ましくは0.113mm以下である。平角線の厚みを小さくすることにより、同じ巻数であってもコイル30が小さくなり、コイル部品全体の小型化に有利となる。また同じ大きさのコイル30であっても巻数を多くすることができる。
さらに、平角線の厚みは、好ましくは0.052mm以上、より好ましくは0.77mm以上であり得る。平角線の厚みを0.052mm以上とすることにより、導線の抵抗を小さくすることができる。
また平角線の幅は、好ましくは0.203mm以下、より好ましくは0.183mm以下であり得る。
平角線の幅を小さくすることにより、コイル30を小さくすることができ、コイル部品全体の小型化に有利となる。
さらに平角線の幅は、好ましくは0.141mm以上、より好ましくは0.162mm以上であり得る。平角線の幅を0.141mm以上とすることにより、導線の抵抗を小さくすることができる。
また平角線のアスペクト比(幅/厚み)は、1:1.3から1:3.4の間、好ましくは1:1.3であり得る。
なお、幅Wのみが0.55±0.1mmに変更され寸法のインダクタ1においては、厚みが0.113mm、幅が0.141mm、アスペクト比(幅/厚み)が1:1.3の導線がコイル30に用いられる。
アスペクト比を従前のものより小さくするほど、インダクタ1の高さHの方向に対する幅Wの方向のコイル30(導線)占有率が向上し、Rdc(直流抵抗)を低下させつつ飽和磁束密度Bsを向上させることができる。
(絶縁被覆材)
絶縁被覆材60の絶縁被覆層を形成する材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミドアミド樹脂が挙げられ、好ましくはポリイミドアミド樹脂である。
また絶縁被覆層の厚みは4μmが好ましい。
絶縁被覆材60の融着被覆層を形成する材質としては、ポリアミド樹脂が挙げられる。
また、融着被覆層の厚みは、好ましくは1μm以上25μm以下、より好ましくは2μm以上25μm以下、さらに好ましくは2μm以上4μm以下である。
融着被覆層の厚みを上記の値とすることで、コイル30の巻回部32の大型化を抑えつつ、当該巻回部32の最外周において導線のスプリングバックによる剥離を十分に抑える融着力が得られ、コイル30の形状不良を防止することができる。
[C.素体研削]
本実施例において、インダクタ1の素体10には、平均粒径が大きな大粒子及び当該大粒子よりも平均粒径が小さな小粒子から成る軟磁性粉と樹脂との混合粉を圧縮成型して成型体が用いられている。
図4に示した素体研削工程では、先述の通り、圧縮成型後の素体10の第2側面18(図1)に砥粒を作用させて幅Wが所定幅になるまで研削する工程である。この研削によって素体10が所定サイズまでダウンサイジングされ、素体10におけるコイル30の占有率が高められる。また素体10を研削加工によってダウンサイジングし所定サイズに加工する手法を採用することで、成型金型のキャビティの寸法調整によって素体10のサイズを所定サイズに制御する場合に比べ、素体10の寸法ばらつきを低減できる。この研削の後、第2側面18に研削によって生じた角を面取りするために例えばバレル研磨を行ってもよい。
(研削装置)
図11は、素体研削に用いられる研削装置101の一例を模式的に示す図である。
研削装置101は、研削対象である素体10(ワーク)を保持する保持具102と、当該保持具102で保持された素体10を間に挟む上砥石103、及び下砥石104と、を備え、保持具102には、素体10が研削面である第2側面18を上下に向けた姿勢で保持される。
素体研削時には、研削装置101が上砥石103及び下砥石104を所定の荷重で上下の第2側面18のそれぞれに押し当てつつ、これら上砥石103及び下砥石104を上下の第2側面18に対して相対移動させることで、上砥石103及び下砥石104の砥粒105によって上下の第2側面18を同時に研削する(いわゆる両面研削)。
(砥粒の大きさ)
砥粒105の大きさは、研削レートと比例関係にあり、また砥粒105が大きくなるほど、研削面において軟磁性粉の粒子の脱粒が多く発生し表面粗さが大きくなることが発明者の実験によって確かめられている。
詳述すると、軟磁性粉の成型体を研削すると、砥粒105によって軟磁性粉の粒子が少なからず脱粒し、粒子の欠損による凹みが研削面に生じる。大粒子及び小粒子から成る軟磁性粉において、小粒子よりも大粒子の方が脱粒し易く、砥粒105を大きくするほど多くの大粒子が脱粒することで、研削面に比較的大きな凹みが多く発生し、これにより研削面の表面粗さが大きくなる。
表面粗さに関しては、表面粗さと荷重に相関関係が無いことが発明者の実験によって確かめられている。
なお、本実施例において、表面粗さの評価には算術平均高さを用いた。具体的には、測定対象の面において、所定大きさ(本実施例では約200μm×290μm)の複数(例えば3から4点)の測定エリアを設定し、各測定エリアにおける最大高さをレーザ顕微鏡で測定し、これら最大高さの平均から算出平均高さを求めた。レーザ顕微鏡には株式会社キーエンス社製の型式VK-X250を用いた。
(研削速度)
研削速度(上砥石103及び下砥石104の移動速度)が大きくなるほど軟磁性粉の粒子の切削が生じ研削面の表面粗さは低くなること、及び、研削速度が上記研削レートと比例関係にあることが、発明者の実験によって確かめられている。
(研削レート)
研削レートについては、目標値が適宜に設定され、この目標値の実現に必要な砥粒105の大きさ及び研削速度が決定される。これら砥粒105の大きさ及び研削速度はそれぞれ、上述の通り、研削面の表面粗さと関係する。本実施例では、研削後の表面粗さを研削前よりも大きくし、さらには研削後の第2側面18の粗さを研削対象外の面である天面14及び実装面12よりも大きくするように、砥粒105の大きさ及び研削速度が設定されている。
研削によって表面粗さSaが大きくなることで、素体10の第2側面18を覆う素体保護膜50の固着強度が高められる。また素体10は、外部電極20を除き素体保護膜50によって表面が覆われており、かかる素体保護膜50によって素体10の耐湿性や防さび性、電気的絶縁性が高められている。
(研削時間)
研削時間は、研削開始タイミングTsから研削終了タイミングTeまでの時間で定義され、素体研削前の素体10の幅Wと当該幅Wの目標値である所定幅との差、及び研削レートに基づいて決定される。
そして素体研削時には、制御装置(図示せず)が上記荷重プロファイル106及び研削時間に基づいて研削装置101の研削動作を制御することで、圧縮成型後の素体10の幅Wが所定幅になるまで研削が行われる。
(サイドギャップ)
サイドギャップSgは、図12に示すように、インダクタ1において、素体10の内部のコイル30から直近の第2側面18までの厚みで定義される。なお、素体10が素体保護膜50によって覆われている場合、サイドギャップSgは素体保護膜50を除いた厚みである。
そして、本実施例では、幅Wが所定幅まで研削された素体10において、サイドギャップSgが1個分の軟磁性粉の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも大きく、かつ、4個分の軟磁性粉の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも小さくなっている。換言すれば、本実施例において、所定幅に研削された素体10のサイドギャップSgが、かかる厚みとなるように、この所定幅及びコイル30の巻回部32の幅WLa(図12)の両方又は一方が予め調整されている。
研削後の素体10において、サイドギャップSgの厚みを、少なくとも軟磁性粉の1個分の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも大きくすることで、研削によって第2側面18に脱粒が生じていたとしても、少なくとも1粒以上の大粒子が第2側面18とコイル30の間に残存するため、コイル30の露出が防止された状態となる。
また研削後の素体10において、サイドギャップSgの厚みを、軟磁性粉の4個分の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも小さい範囲に制限することで、素体10の大型化を防止しつつコイル30の占有率を十分に高い値に維持し、インダクタンスの低下を防止できる。
表3及び表4は、インダクタ1におけるサイドギャップSgの最大値及び最小値、当該インダクタ1のインダクタンス値、及び耐湿性の測定結果を示す。
表3は、軟磁性粉の大粒子、及び小粒子の平均粒径がそれぞれ21μm、及び2μmのインダクタ1を測定したものであり、表4は、軟磁性粉の大粒子、及び小粒子の平均粒径がそれぞれ28μm、及び2μmのインダクタ1を測定したものである。
インダクタンス値についてはLCRメータで測定し、耐湿性については温度が85℃、湿度が85%の環境下にインダクタ1を曝して試験し、試験結果に基づいて、所定の製品品質基準に耐湿性が満たないものを「NG」としている。
Figure 2022060771000004
Figure 2022060771000005
表3、及び表4に示される通り、サイドギャップSgの最小値が1個分の大粒子の平均粒径よりも大きければ、十分な耐湿性が得られることが分かる。またサイドギャップSgの最大値が大きくなるほどインダクタンス値が低下することが分かる。
またサイドギャップSgの最小値が1個分の大粒子の平均粒径よりも大きく、かつサイドギャップSgの最大値が4個分の大粒子の平均粒径よりも小さい範囲において、サイドギャップSgの最小値と最大値の比が1対1である場合に、耐湿性能、及びインダクタンス値が共に良好なインダクタ1が得られることが分かる。
以上説明したように、本実施例のインダクタ1は、コイル30が埋設された板状の成型体から成る素体10に一対の外部電極20を設けたインダクタ1であって、素体10は、平均粒径が異なる大粒子と小粒子からなる軟磁性粉及び樹脂の混合粉から成型されており、コイル30の径方向に位置する第2側面18から当該コイル30までの厚みであるサイドギャップSgが、1個分の大粒子に相当する厚みよりも大きく、かつ、4個分の大粒子に相当する厚みよりも小さい。
素体10のサイドギャップSgの厚みが、少なくとも軟磁性粉の1個分の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも大きいことで、少なくとも1粒以上の大粒子が第2側面18とコイル30の間に存在し、コイル30の露出が防止された状態となる。
また素体10のサイドギャップSgの厚みが、軟磁性粉の4個分の大粒子の平均粒径に相当する厚みよりも小さい範囲に制限されることで、素体10の大型化を防止しつつコイル30の占有率を十分に高い値に維持し、インダクタンスの低下を防止できる。これにより、小型でありながらも、実用的な直流抵抗及び飽和磁束密度が得られるインダクタ1が実現できる。
本実施例のインダクタ1において、素体10の第2側面18は、素体保護膜50で覆われており、少なくとも他の1以上の面(実装面12及び天面14)よりも表面粗さが大きい。
これにより、第2側面18と素体保護膜50の固着強度を高めることができる。
本実施例のインダクタ1において、素体10は、外部電極20を除き素体保護膜50によって表面が覆われている。
これにより、素体10の耐湿性や防さび性、電気的絶縁性が高められ、高品質なインダクタ1が得られる。
[D.素体保護膜]
本実施例において、インダクタ1の素体10には、平均粒径が大きな大粒子及び当該大粒子よりも平均粒径が小さな小粒子から成る軟磁性粉と樹脂との混合粉を圧縮成型して成型体が用いられている。
素体保護膜50は、外部電極20の箇所を除く素体10の全表面を覆い、素体10の電気的絶縁性、及び防さび性を高める層である。先述の素体研削工程において研削面(第2側面18)に軟磁性粉の大粒子の脱粒が生じたとしても、当該研削面を素体保護膜50が覆うことで電気的絶縁性及び防さび性の低下を防止できる。
(素体保護膜形成工程・保護膜形成装置)
素体保護膜50は、図4を参照して説明した通り、素体保護膜形成工程において素体10の全表面に熱硬化性樹脂を含有する保護膜材料をスプレー(噴霧)やディップ(浸漬)などの適宜の手法で塗布することで形成される。
図13は素体保護膜形成に用いる保護膜形成装置201の一例を模式的に示す図である。
保護膜形成装置201は、ワーク208である多数の素体10の表面に保護膜材料をスプレーすることで塗膜する装置である。同図に示すように、保護膜形成装置201は、装置本体202に回転可能に設けられ、多数の素体10(ワーク208)が投入されるドラム203と、熱を供給するヒータ204と、ドラム203の排気経路となるダクト205と、ドラム203の中に配置されたスプレーノズル206と、を備える。
素体保護膜形成の際、保護膜形成装置201は、多数の素体10が投入されたドラム203をヒータ204によって熱硬化しない温度(例えば、30~70℃)に予熱する(予熱工程)。
次いで、保護膜形成装置201は、ドラム203を回転(いわゆるバレル回転)させて素体10を撹拌しながら、スプレーノズル206から保護膜材料を素体10に噴霧しつつ、不図示のエアーノズルからホットエアー207を素体10に吹き付けて素体10の表面に素体保護膜50を塗膜する(塗布工程)。この塗布工程における終盤では、保護膜形成装置201は、保護膜材料の噴霧を停止する一方で、素体10の撹拌、及びホットエアー207を素体10に吹き付けることで、素体10の素体保護膜50を適度に乾燥させる(乾燥工程)。そして素体保護膜50が乾燥した後に、素体10がドラム203から取り出される(ワーク取り出し工程)。
乾燥工程において、乾燥が不十分な場合、素体保護膜50にポア(細孔)や膨潤が発生し、また素体10への素体保護膜50の密着性も悪くなる。乾燥が過度な場合、素体保護膜50がいわゆる不連続膜となり、また素体10への素体保護膜50の密着性も悪くなる。そこで乾燥は、素体保護膜50がいわゆる連続膜となり、かつ素体10への素体保護膜50の密着性が良好に維持される適度な程度で行われることが好ましい。
(保護膜材料)
保護膜材料には、素体保護膜50の基材である樹脂種と、この樹脂種を希釈する溶剤種と、添加物であるフィラー種を混合液が用いられる。
(樹脂種)
樹脂種には、エポキシ樹脂を主剤とし、フェノキシ樹脂及びノボラック樹脂の一方又は両方を添加した樹脂が好適に用いられる。フェノキシ樹脂を添加することで素体保護膜50の靱性が高められる。ノボラック樹脂を添加することで素体保護膜50の耐熱性が高められる。
樹脂種の樹脂には顔料が含まれていることが好ましい。
顔料を含む樹脂を用いることで、図4に示した素体保護膜形成工程、及び外部電極形成工程において、素体10の表面にレーザ光を照射して素体保護膜50を除去し外部電極20を形成する際の加工性を良くできる。顔料には、例えばカーボンブラックが好適に用いられる。
(溶剤種)
溶剤種には、上記塗布工程において樹脂種をミスト状にして噴霧でき、また乾燥工程において適度な乾燥性が得られる溶剤が用いられ、例えばペースト状の樹脂の希釈剤に用いられるメチルエチルケトン(MEK)等を含有する溶剤が好適に用いられる。
(フィラー種)
フィラー種には、素体保護膜50に光沢を低減し、かつ素体保護膜50の膜質を良好とするフィラーであって、溶剤に分散するものが用いられる。
素体保護膜50の光沢が低減することで、カメラを用いたインダクタ1の外観検査時において色飛びによる誤判定を防止できる。かかるフィラーには、シリカ(SiO)粉が好適に用いられる。
また、フィラー種は、保護膜材料を噴霧するスプレーノズル206の目詰まり防止、及び、ドラム203のバレル回転による素体10の表面へのダメージ低減を図るために、フィラーの粒子のサイズは小さいほど好ましく、シリカ粉をフィラーとする場合はナノシリカを用いることが好ましい。
(ナノシリカ)
発明者は、ナノシリカをフィラーとした場合に、塗布工程の終盤に行われる乾燥工程おける乾燥速度と、ナノシリカの含有量との間に相関があることを実験によって見出した。
図14は、ナノシリカの含有量と乾燥速度の実験結果を示す図である。
この実験では、樹脂種にエポキシ樹脂、溶剤種にMEK、フィラー種にナノシリカを用いて保護膜材料のサンプルを作成し、このサンプルを用いて素体10に素体保護膜50を形成し、更に外部電極20を形成してインダクタ1を構成した。そして、素体保護膜50の乾燥工程において、放置する乾燥放置時間と、素体保護膜50の固形分との関係を調べた。
保護膜材料のサンプルは、ナノシリカの含有量が0(含有なし)、50phr、100prh、200phrの4つを作成した。いずれのサンプルにも、平均粒径が45nmのシリカ粒子から成るナノシリカをフィラーに用いている。
シリカ粒子の平均粒径は、インダクタ1において、天面14の4隅の角をそれぞれ対角に結んだ交点部分と交差し、第2側面18と平行に素体10を切断し、素体10の上下の第2側面18において、素体10の長さLを4等分した点のそれぞれにおいて素体保護膜50の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、30万倍に拡大して撮影し、シリカ粒子を観察した。透過型電子顕微鏡には、電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM)を用いて測定した。この電界放射型透過電子顕微鏡には、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)のシステム(サーモフィシャーサイエンティフィック株式会社製の型番:NORAN System 7)が付設された、日本電子株式会社製の多機能電子顕微鏡(型番:JEM-F200)を用いた。
図14に示されるように、ナノシリカの含有量が大きくなるほど短い乾燥放置時間でも固形分が高くなることが分かる。すなわち、保護膜材料におけるナノシリカの含有量を増やすことで乾燥速度を速め、乾燥工程の工程時間を短縮することができる。
なお、この実験において乾燥後の素体保護膜50を観察結果、乾燥後の固定分が80%以下である場合、後述する「くっつき」が発生し、また固形分が90%程度であると、良好な膜質の素体保護膜50が得られるものの素体保護膜50の表面にクラックが発生することが分かった。
したがって、乾燥工程においては、固定分が80%から90%の範囲となるように乾燥することが好ましい。
(くっつき)
「くっつき」は、塗布工程において、ドラム203に複数の素体を投入してスプレー塗布した際に、素体10の素体保護膜50同士が接着する現象であり、素体保護膜50の品質低下の要因になる。発明者は、ナノシリカをフィラーとした場合に、当該ナノシリカのシリカ粒子の粒子径を変えることで、塗布工程中の「くっつき」が抑えられることを実験によって見出した。
図15は、ナノシリカのシリカ粒子の平均粒径と、くっつき発生率の実験結果を示す図である。
この実験では、保護膜材料として2つのサンプル1、2を作成した。
サンプル1は、樹脂種にエポキシ樹脂、溶剤種にPGM、フィラー種にナノシリカを用いた保護膜材料であり、サンプル2は、樹脂種にエポキシ樹脂、溶剤種にMEK、フィラー種にナノシリカを用いた保護膜材料である。サンプル1、2のいずれも、ナノシリカの含有量は200phrとした。
そして、上記塗布工程により、それぞれのサンプル1、2を用いて素体10に素体保護膜50を塗膜した後、上記ワーク取り出し工程において、ドラム203から素体10を取り出したときに互いに接着状態の素体10の個数を計数することで、くっつき発生率を求めた。
図15に示されるように、シリカ粒子の平均粒径が小さくなるほど、くっつき発生率が低下することがわ分かる。
溶媒種にMEKを用いたサンプル2と、溶剤種にPGMを用いたサンプル1とを比較すると、シリカ粒子の平均粒径が同じ場合、くっつき発生率はサンプル2の方が低いことが分かる。
またサンプル2については、シリカ粒子の平均粒径が45nm以下になると、くっつき発生率が顕著に低下することが分かる。
サンプル1、2のいずれにおいても、シリカ粒子の平均粒径が12nm程度まで小さくなると、くっつき発生率が概ねゼロまで抑えられる。
しかしながら、シリカ粒子の平均粒径が12nmである場合、サンプル1、2のいずれにおいても、形成後の素体保護膜50の表面に、図16に示すクラックの発生が観察された。したがって、シリカ粒子の平均粒径は、12nmよりも大きいことが好ましく、クラックの発生がより確実に抑えられる15nm以上であることがより好ましい。
また、シリカ粒子の平均粒径が75nmを超えて大きくなると保護膜材料にフィラーの沈殿が顕著に生じることが観察された。この保護膜材料が塗膜に用いられると、仮にくっつきが生じなかったとしても、均一な素体保護膜50が得られない。したがって、シリカ粒子の平均粒径は、保護膜材料に沈殿が生じない粒子径である75nm以下であることが好ましい。
なお、平均粒径が15nmから75nmのシリカ粒子(シリカ粉)を、十分な乾燥速度が得られる含有量(150phrから250phr)だけ含む保護膜材料を用いて素体保護膜50を形成した場合、形成後の素体保護膜50においては、樹脂に対するシリカ粒子の重量比が概ね150%から250%となる。
換言すれば、かかる重量比の素体保護膜50が形成されている場合には、速い乾燥速度で、かつ「くっつき」も発生することなく素体保護膜50が形成されたことを示し、高品質な素体保護膜50が得られていると言える。
(めっき飛び)
図17は、素体保護膜50の厚みを変えて「めっき飛び」の数を計測した結果を示す図である。
「めっき飛び」とは、素体10の表面において素体保護膜50が塗布されていない箇所が発生し、意図しない箇所にめっきが形成されることである。例えば素体研削によって軟磁性粉の大粒子が脱粒することで、素体10の表面に比較的大きな凹みが生じていた場合には、当該凹みに保護膜材料が十分に入り込めずに「めっき飛び」が発生する要因となる。
本計測では、素体10における天面14及び実装面12と、第1側面16及び第2側面18とが交差する稜線部分の全辺について、所定計測間隔ごとに「めっき飛び」の有無を確認し、「めっき飛び」が生じている箇所の数を計数した。
同図から分かるように、素体保護膜50の厚みが小さくなると、多くの「めっき飛び」が発生するものの、厚みが5μm以上であれば「めっき飛び」の数は顕著に減少し、10μ以上であれば「めっき飛び」は生じていないことが分かる。
したがって、素体保護膜50の厚みは10μm以上であることが好ましく、このような厚みとすることで、「めっき飛び」の発生を抑え素体10の全表面を素体保護膜50によって確実に保護することができる。
ただし、インダクタ1の素体10のサイズが規定の場合には、素体保護膜50の厚みが大きくなると、その分、素体保護膜50を除いた部分の素体10のサイズが縮小しコイル30も小さくなることからインダクタ1の性能が低下する。
また、インダクタ1は、素体保護膜50を除去した箇所に外部電極20が形成されるため、外部電極20よりも素体保護膜50が厚いと、外部電極20が素体保護膜50の表面から突出せず、外部電極20と基板との接触性が悪くなる。
そこで、素体保護膜50の厚みは、少なくとも外部電極20の厚み以下であることが好ましい。本実施例では、高さHが0.7±0.1mm、幅Wが1.2±0.2mm、長さLが2.0±0.2mmのサイズのインダクタ1の場合、外部電極20の厚みは、0.58mmから0.75mmの範囲であり、高さHが0.55±0.1mm、幅Wが1.2±0.2mm、長さLが2.0±0.2mmのサイズのインダクタ1の場合、外部電極20の厚みは、0.58mm~0.75mmであり、0.43から0.60mmの範囲である。素体保護膜50は、かかる外部電極20の厚み以下の範囲の中でも、高性能のインダクタ1を得るために30μm以下であることがより好ましい。
なお、外部電極20の厚みは次のように測定した。すなわち、インダクタ1において、天面14の4隅の角をそれぞれ対角に結んだ交点部分と交差し、第2側面18と平行に素体10を切断し、素体10の実装面12に形成された外部電極20の長さ方向を4等分した点の膜厚をマイクロスコープを用いて1000倍に拡大して測定し、それぞれの平均を第1測定値として求めた。そして当該第1測定値を10個のインダクタ1について求め、それぞれの第1測定値の平均を、外部電極20の厚みとした。マイクロスコープには株式会社キーエンス社製の型番VHX-7000を用いている。
(脱粒対策)
成型体である素体10の表面が研削加工されている場合、上述の通り、研削時に軟磁性粉の粒子が少なからず脱粒する。本実施例では、平均粒径が大きな大粒子と平均粒径が小さな小粒子とから成る軟磁性粉が用いられているため、大粒子の脱粒によって比較的深い凹みが研削面(本実施例では第2側面18)に生じる。
表5は、素体保護膜50の厚みと、脱粒によって生じた凹みの深さと、防さび性能との実験結果を示す図である。
この実験の保護膜材料には図15に示す実験と同じサンプルを用いた。素体10の成型に用いる軟磁性粉には、大粒子の平均粒径が21μmから28μmのものを用いている。
素体保護膜50の厚みは次のように測定した。すなわち、インダクタ1において、天面14の4隅の角をそれぞれ対角に結んだ交点部分と交差し、第2側面18と平行に素体10を切断し、素体10の上下の第2側面18において、素体10の長さLを4等分した点のそれぞれにおいて素体保護膜50の膜厚をマイクロスコープを用いて1000倍に拡大して測定し、それぞれの平均を第2測定値として求めた。そして当該第2測定値を10個のインダクタ1について求め、それぞれの第2測定値の平均を厚みの測定値としている(平均厚み)。マイクロスコープには株式会社キーエンス社製の型番VHX-7000を用いている。
防さび性は、所定の製品品質基準に防さび性が満たないものを「NG」、満足するものを「G」としている。
Figure 2022060771000006
表5に示されるように、脱粒による凹みの深さに対して素体保護膜50の厚みが小さいと防さび性が悪く、素体保護膜50の品質が十分でないことが分かり、凹みの深さに対する素体保護膜50の厚みの比が0.4以上であると十分な防さび性が得られることが分かる。凹みの深さは、概ね大粒子の平均粒径に相当することから、素体保護膜50の厚みが大粒子の平均粒径の0.4倍以上であれば、表面に脱粒が生じていても十分な品質の素体保護膜50が得られる。
以上説明したように、本実施例のインダクタ1は、軟磁性粉および樹脂を含んで成る素体10と、素体10に埋設されたコイル30と、素体10に設けられた外部電極20とを有し、素体10の表面に素体保護膜50を有するインダクタ1であって、素体保護膜50は、厚みが10μm以上であり、シリカ粒子と樹脂とを含み、シリカ粒子の平均粒径は15~75nmであり、樹脂に対するシリカ粒子の重量比は150~250%である。
素体保護膜50の厚みが10μm以上であることで、「めっき飛び」の発生を抑え素体10の全表面を素体保護膜50によって確実に保護することができる。
素体保護膜50がシリカ粒子を含有することで、光沢が低減され、光学的手法を用いた外観検査時の誤判定を防止できる。
また素体保護膜50において、シリカ粒子の平均粒径が15~75nmであり、樹脂に対するシリカ粒子の重量比は150~250%であることで、素体保護膜形成において「くっつき」による劣化を受けていない高品位な素体保護膜50が得られる。
本実施例において、素体保護膜50の厚みは外部電極20の厚み以下である。
これにより、外部電極20が素体保護膜50の厚みに阻害されることなく、基板の回路と良好に接触できる。
本実施例において、素体保護膜50は、カーボンブラックを含有する。
これにより、外部電極20を形成するために素体保護膜50をレーザによって除去する際の加工性が高められる。
本実施例において、素体保護膜50は、フェノキシ樹脂を含有する。
これにより、素体10の靱性を高めることができる。
本実施例において、素体保護膜50は、ノボラック樹脂を含有する。
これにより、素体10の耐熱性を高めることができる。
本実施例において、素体保護膜50の厚みは大粒子の平均粒径の0.4倍以上である。
これにより、表面に脱粒が生じていても十分な品質の素体保護膜50が得られる。
なお、本実施例において、酸化チタンや酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムをフィラー種に用いてもよい。
1 インダクタ
10 素体
12 実装面
14 天面
16 第1側面
18 第2側面
20 外部電極
30 コイル
32 巻回部
34 引出部
40 コア
50 素体保護膜
60 絶縁被覆材
81 第1軟磁性粒子
82 第2軟磁性粒子
H 高さ
W 幅
L 長さ

Claims (3)

  1. 大粒子及び小粒子の軟磁性粒子から成る軟磁性粉と樹脂を含んで成る素体と、前記素体に埋設されたコイルと、前記素体に設けられた外部電極とを有し、前記素体の表面に素体保護膜を有するインダクタであって、
    前記素体の表面には、前記大粒子の平均粒径の0.4倍以上の厚みの前記素体保護膜が形成されている
    ことを特徴とするインダクタ。
  2. 前記素体保護膜の厚みが10μm以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
  3. 前記素体保護膜の厚みが、前記外部電極の厚み以下である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のインダクタ。
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