JP2022060062A - エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体ウエハ上で硬化物を形成した際の反りの発生が抑制されるエポキシ樹脂組成物を提供すること。【解決手段】エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤とフィラーと溶剤とを含み、前記エポキシ樹脂が、分子内に芳香環構造とポリエーテル構造とを有するエポキシ樹脂を含み、前記エポキシ樹脂に占める前記分子内に芳香環構造とポリエーテル構造とを有するエポキシ樹脂の割合が、10質量%以上である。【選択図】なし

Description

本開示は、エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置に関する。
近年、電子部品装置の低コスト化、小型化、薄型化、軽量化、高性能化及び高機能化を図るために、素子の配線の微細化、多層化及び多ピン化並びにパッケージの小型薄型化による高密度実装化が進んでいる。これに伴い、IC(Integrated Circuit)の素子とほぼ同じサイズの電子部品装置、すなわち、CSP(Chip Size Package)が広く用いられるようになってきている。
その中で、半導体ウエハ段階で樹脂封止を行うウエハレベルチップサイズパッケージが究極のパッケージとして注目されている。このウエハレベルチップサイズパッケージは、半導体素子として微細配線が施され、かつ、その表面に外部接続端子引出し用の再配線及び電極が形成され、該電極上にバンプが形成又はリードが接続された半導体ウエハの表面をエポキシ樹脂組成物で封止し、バンプ又はリードにはんだ付けを行った後、該半導体ウエハを個々の素子に切断し、製品とするものである。この方式は、半導体ウエハ段階で、固形のエポキシ樹脂組成物を用いたトランスファーモールド成形、液状のエポキシ樹脂組成物を用いた印刷成形等により多数の素子を一度に封止し個片化するため、素子を個片化してから封止する方法に比べ大幅な生産合理化が可能となる。
しかしながら、ウエハレベルチップサイズパッケージにおいては、封止した半導体ウエハが反りやすく、この反りが封止後の搬送、研削、検査、個片化等の各工程で問題となっており、デバイスによっては素子特性に変動が生じる問題がある。ウエハ径は、さらなるコストダウンを図るため益々大きくなる傾向にあり、ウエハ径が大きくなればなるほど反りが大きくなるため、半導体ウエハの反りを小さくすることがウエハレベルチップサイズパッケージを普及させる上で重要な課題となっている。
従来から、トランジスタ、IC等の電子部品装置の素子封止の分野では、生産性、コスト等の面から樹脂封止が主流となり、エポキシ樹脂成形材料が広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性にバランスがとれているためである。
半導体ウエハの反りは、このエポキシ樹脂組成物の硬化収縮、半導体ウエハとエポキシ樹脂組成物の熱膨張係数のミスマッチ等によって発生する応力が影響するものであり、パッケージの信頼性も低下させる恐れがある。そのため、このような用途に用いるエポキシ樹脂組成物には低応力化が必要となり、一般には、エポキシ樹脂組成物の硬化収縮を低減したり、無機フィラーを高充填し熱膨張係数を小さくしたり、可撓化剤、可撓性樹脂等を用い弾性率を小さくすることが有効とされている。
例えば、特許文献1には、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂又はビフェニル骨格型エポキシ樹脂を含有し、シリコーンパウダーとシリコーンオイルを添加した液状エポキシ樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2及び特許文献3には、シリコーン変性エポキシ樹脂を主成分とし、常温での硬化物の弾性率が5GPa以下の液状樹脂組成物が開示されている。
特許第3397176号公報 特開2003-238651号公報 特開2003-238652号公報
しかしながら、特許文献1~特許文献3に開示されている液状樹脂組成物をもってしても、未だ充分に半導体ウエハの反りの発生を抑制できない場合がある。
本開示は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、半導体ウエハ上で硬化物を形成した際の反りの発生が抑制されるエポキシ樹脂組成物、及び、このエポキシ樹脂組成物を用いた電子部品装置を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> エポキシ樹脂と硬化剤とフィラーと溶剤とを含み、
前記エポキシ樹脂が、分子内に芳香環構造とポリエーテル構造とを有するエポキシ樹脂を含み、
前記エポキシ樹脂に占める前記分子内に芳香環構造とポリエーテル構造とを有するエポキシ樹脂の割合が、10質量%以上であるエポキシ樹脂組成物。
<2> 前記溶剤の含有率が、1質量%~10質量%である<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<3> 固形分に占める前記フィラーの割合が、40質量%~95質量%である<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<4> 前記フィラーが無機フィラーを含有し、前記フィラーに占める前記無機フィラーの割合が、50質量%~99.9質量%である<1>~<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<5> 前記硬化剤が、アミン系硬化剤を含む<1>~<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<6> ウエハレベルチップサイズパッケージの封止に用いられる<1>~<5>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<7> <1>~<6>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備えた電子部品装置。
本開示によれば、半導体ウエハ上で硬化物を形成した際の反りの発生が抑制されるエポキシ樹脂組成物、及び、このエポキシ樹脂組成物を用いた電子部品装置が提供される。
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において、各成分に該当する粒子には、該当する粒子が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において、エポキシ樹脂組成物の「固形分」とは、エポキシ樹脂組成物の全組成から溶剤を除いた成分をいう。
<エポキシ樹脂組成物>
本開示のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤とフィラーと溶剤とを含み、前記エポキシ樹脂が、分子内に芳香環構造とポリエーテル構造とを有するエポキシ樹脂(以下、特定エポキシ樹脂と称することがある。)を含み、前記エポキシ樹脂に占める特定エポキシ樹脂の割合が、10質量%以上とされたものである。
本開示のエポキシ樹脂組成物を用いることで、半導体ウエハ上で硬化物を形成した際の反りの発生が抑制される。エポキシ樹脂の少なくとも1種として用いられる特定エポキシ樹脂は分子内に剛直な芳香環構造と柔軟なポリエーテル構造とを共に有することから、バックグラインド工程の際に要求される、硬化物の高いガラス転移温度を維持しながら反りの発生が抑制されると推察される。
本開示のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤とフィラーと溶剤とを含み、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
以下、本開示のエポキシ樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
-エポキシ樹脂-
エポキシ樹脂組成物は、特定エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂組成物は、特定エポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂を含有してもよい。
(特定エポキシ樹脂)
特定エポキシ樹脂は、分子内に芳香環構造とポリエーテル構造(後述の一般式(I)における(O-R)又は(O-R)で表される構造)とを有するものであれば特に限定されるものではない。特定エポキシ樹脂は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
特定エポキシ樹脂としては、25℃において30mPa・s~5000mPa・sの粘度を示すものが好ましく、30mPa・s~2000mPa・sの粘度を示すものがより好ましい。特定エポキシ樹脂の粘度がこの範囲であると、フィラーをエポキシ樹脂組成物に多量に配合した場合であっても、エポキシ樹脂組成物が液状の状態を保ちやすくなる。
本開示において、25℃における粘度は、コーンプレート(直径48mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、5回転/分のせん断速度で測定される値をいう。
特定エポキシ樹脂の分子内に含まれるポリエーテル構造は、アルキレンオキシ基(後述の一般式(I)におけるO-Rで表される基)を構造単位として含むものである。特定エポキシ樹脂の分子内に含まれるポリエーテル構造の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。ポリエーテル構造中に含まれる、アルキレンオキシ基の種類は1種類であっても2種類以上であってもよい。また、ポリエーテル構造中に含まれるアルキレンオキシ基の数は、2以上であることが好ましく、2~20であることがより好ましく、2~10であることがさらに好ましい。
アルキレンオキシ基としては、Rの炭素数が1~10のアルキレンオキシ基であることが好ましく、炭素数が2~5のアルキレンオキシ基であることがより好ましく、炭素数が2又は3のアルキレンオキシ基であることがさらに好ましい。アルキレンオキシ基の具体例としては、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましくプロピレンオキシ基がより好ましい。
特定エポキシ樹脂は、分子内に芳香環構造を有する。特定エポキシ樹脂の分子内に含まれる芳香環構造としては、フェニル環構造、ナフタレン環構造等が挙げられる。特定エポキシ樹脂の分子内に含まれる芳香環構造の数は特に限定されるものではなく、1つであっても2つ以上であってもよい。特定エポキシ樹脂の分子内に芳香環構造が2つ以上含まれる場合、各芳香環構造は単結合又は2価の有機基で連結されていてもよい。
特定エポキシ樹脂は、下記一般式(I)で表される化合物であってもよい。一般式(I)で表される化合物には、ポリエーテル構造(式中、(O-R)又は(O-R)で表される構造)が少なくとも2つ含まれている。
Figure 2022060062000001
一般式(I)において、Rは各々独立にアルキレン基を示し、Xは単結合又はアルキレン基を示す。
hは0~20の整数であり、好ましくは0~5の整数である。i及びjは、それぞれ独立に、1~20の整数である。複数のi及びjのうちの少なくとも1つは2以上の整数である。i及びjは、それぞれ独立に、好ましくは1~5の整数であり、より好ましくは、i+j=3~10の整数である。
一般式(I)におけるRで示されるアルキレン基は、各々同じであっても異なっていてもよい。Rの具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基(-CHCHCH-)、プロピレン基(-CH(CH)CH-)、テトラメチレン基等が挙げられる。これらの中でも、エチレン基又はプロピレン基が好ましくプロピレン基がより好ましい。また、i又はjが2以上の整数である場合、(O-R)又は(O-R)に含まれる複数のアルキレン基は、1種類であっても2種類以上であってもよい。
一般式(I)において、Xはアルキレン基が好ましい。Xで表されるアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピリデン基(>CHCHCH)、プロピレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基(>C(CH)等が挙げられ、メチレン基及びイソプロピリデン基が好ましく、イソプロピリデン基がより好ましい。
特定エポキシ樹脂は、市販品を用いてもよい。市販品として入手可能な特定エポキシ樹脂としては、プロピレンオキサイド付加型ビスフェノールA型(BPA-PO型)エポキシ樹脂(株式会社ADEKA、EP-4003S、EP-4000S、EP-4000L、EP-4010S、EP-4010L等)などが挙げられる。
(その他のエポキシ樹脂)
エポキシ樹脂組成物は、特定エポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂を含有してもよい。
その他のエポキシ樹脂としては、アルキルアルコールグリシジルエーテル[ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル等]、アルケニルアルコールグリシジルエーテル[ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等]などの分子内にエポキシ基を1つ有する単官能脂肪族エポキシ化合物;アルキレングリコールジグリシジルエーテル、アルケニレングリコールジグリシジルエーテル等の分子内にエポキシ基を2つ有する二官能脂肪族エポキシ化合物;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の三官能以上のアルコールのポリグリシジルエーテル[トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール(トリ又はテトラ)グリシジルエーテル、ジペンタエリスリトール(トリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ)グリシジルエーテル等]などの分子内にエポキシ基を3つ以上有する多官能脂肪族エポキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、カテコール、レゾルシノール等の二官能フェノール類のグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸のグリシジルエーテルエステル、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸のモノグリシジルエステル又はポリグリシジルエステル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン等のグリシジルアミン型エポキシ化合物、ナフトールのグリシジルエステル、β-ヒドロキシナフトエ酸等のグリシジルエーテルエステルなどのナフタレン骨格を有するエポキシ化合物などが挙げられる。
これらの中でも、ガラス転移温度の高い硬化物を得る観点から、二官能フェノール類のグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が好ましい。また、粘度の低いエポキシ樹脂組成物を得る観点から、二官能フェノール類のグリシジルエーテル、二官能脂肪族エポキシ化合物又は多官能脂肪族エポキシ化合物であることが好ましい。
エポキシ樹脂に占める特定エポキシ樹脂の割合は、10質量%以上とされ、10質量%~70質量%であることが好ましく、10質量%~50質量%であることがより好ましく、15質量%~40質量%であることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物の固形分に占めるエポキシ樹脂の含有率は、1.5質量%~20質量%であることが好ましく、2.0質量%~15質量%であることがより好ましく、3.0質量%~10質量%であることがさらに好ましい。
フィラーを除くエポキシ樹脂組成物の固形分に占めるエポキシ樹脂の含有率は、30質量%~85質量%であることが好ましく、35質量%~80質量%であることがより好ましく、40質量%~80質量%であることがさらに好ましい。
-硬化剤-
エポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤は、エポキシ樹脂とともに重合反応するものであればよく、25℃で液状のものでも固体のものでも使用可能である。
硬化剤としては、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。これらの中でも、硬化剤としては、アミン系硬化剤が好ましい。
アミン系硬化剤としては、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、脂肪芳香族アミン、芳香族アミン等が挙げられ、耐熱性と電気特性の面から芳香族アミンであることが好ましく、芳香環に直接アミノ基が結合しており、前記芳香環が1分子中に1個又は2個含まれる芳香族アミンであることがより好ましい。
アミン系硬化剤としては、具体的には、m-フェニレンジアミン、1,3-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノアニソール等の芳香環が1個の芳香族アミン硬化剤;4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-メチレンビス(2-エチルアニリン)、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン等の芳香環が2個の芳香族アミン硬化剤;芳香族アミン硬化剤の加水分解縮合物;ポリテトラメチレンオキシドジ-p-アミノ安息香酸エステル、ポリテトラメチレンオキシドジパラアミノベンゾエート等のポリエーテル構造を有する芳香族アミン硬化剤;芳香族ジアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物;芳香族ジアミンとスチレンとの反応生成物などが挙げられる。
アミン系硬化剤としては、市販品を用いてもよい。アミン系硬化剤の市販品の具体例としては、日本化薬株式会社製アミン硬化剤(品名:カヤハード-AA)、三菱ケミカル株式会社製アミン硬化剤(品名:jERキュア(登録商標)113、品名:jERキュア(登録商標)W等)などが挙げられるが、アミン系硬化剤は、これら具体例に限定されるものではない。アミン系硬化剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、メチルハイミック酸無水物、ハイミック酸無水物、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、クロレンド酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸マレイン酸付加物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、水素化メチルナジック酸無水物、無水マレイン酸とジエン化合物からディールス・アルダー反応で得られ、複数のアルキル基を有するトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸等の各種環状酸無水物が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、フェノール化合物(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA及びビスフェノールF)並びにナフトール化合物(例えば、α-ナフトール、β-ナフトール及びジヒドロキシナフタレン)からなる群より選択される少なくとも1種と、アルデヒド化合物(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びサリチルアルデヒド)とを、酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂;フェノール・アラルキル樹脂;ビフェニル・アラルキル樹脂;ナフトール・アラルキル樹脂;などが挙げられる。
硬化剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
硬化剤の官能基(例えば、アミン系硬化剤の場合にはアミノ基の活性水素、フェノール系硬化剤の場合にはフェノール性水酸基、酸無水物系硬化剤の場合には酸無水物基)の当量数とエポキシ樹脂のエポキシ基の当量数との比(硬化剤の当量数/エポキシ樹脂の当量数)は、0.6~1.4の範囲に設定することができ、0.7~1.3の範囲であってもよく、0.8~1.2の範囲であってもよい。
-フィラー-
エポキシ樹脂組成物は、フィラーを含有する。フィラーは、無機フィラーであっても有機フィラーであってもよい。
エポキシ樹脂組成物の固形分に占めるフィラーの割合は、40質量%~95質量%であることが好ましく、50質量%~95質量%であることがより好ましく、60質量%~95質量%であることがさらに好ましい。
無機フィラーとしては、球状シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、クレー、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、これらを球状化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機フィラーとしては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等が挙げられる。これらの無機フィラーは、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。中でも線膨張係数の低減の観点からは球状シリカが、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。無機フィラーの形状は、無機フィラーの高充填化並びにエポキシ樹脂組成物の微細間隙への流動性及び浸透性の観点から球状が好ましい。
無機フィラーは、未処理のフィラーを用いてもよいし、予め後述のカップリング剤で処理されたものを用いてもよい。
無機フィラーの粒子径は、1μm~20μmであることが好ましく、1.5μm~15μmであることがより好ましく、2μm~10μmであることがさらに好ましい。無機フィラーの平均粒子径が1μm以上であれば、無機フィラーをエポキシ樹脂組成物へ高濃度に分散することが容易になる傾向がある。無機フィラーの平均粒子径が20μm以下であれば、無機フィラーの粗粒成分が少なくなり、エポキシ樹脂組成物の微細間隙への充填不足又は印刷時のスジ状の不良が抑えられ、表面平滑性が向上する傾向がある。
本開示において、平均粒子径とは、レーザー回折法を用いて測定される体積累積粒度分布が50%となる粒子径をいう。
フィラーが無機フィラーを含有する場合、フィラーに占める無機フィラーの割合は、機械強度の観点から、50質量%~99.9質量%であることが好ましく、80質量%~99.5質量%であることがより好ましく、90質量%~99.5質量%であることがさらに好ましい。
本開示において有機フィラーとは、粒子状又は繊維状の形状を有する有機化合物をいう。
有機フィラーを構成する有機化合物としては、尿素ホルマリン樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース、ホルムアルデヒド樹脂、クマロンインデン樹脂、リグニン、石油樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ブタジエン樹脂、これらの共重合体等の樹脂成分が挙げられる。これらの樹脂成分は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
また、有機フィラーとしては、ゴム粒子を用いてもよい。ゴム粒子を例示すれば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム(UR)、アクリルゴム(AR)等のゴム粒子が挙げられる。なかでも耐熱性、耐湿性の観点からアクリルゴムからなるゴム粒子が好ましく、コアシェル型アクリル系重合体、すなわちコアシェル型アクリルゴム粒子がより好ましい。
上記以外のゴム粒子として、シリコーンゴム粒子も好適に用いることができる。シリコーンゴム粒子を例示すれば、直鎖状のポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等のポリオルガノシロキサンを架橋したシリコーンゴム粒子、シリコーンゴム粒子の表面をシリコーンレジンで被覆したもの、乳化重合等で得られる固形シリコーン粒子のコアとアクリル樹脂等の有機重合体のシェルからなるコア-シェル重合体粒子などが挙げられる。これらのシリコーン重合体粒子の形状は無定形であっても球形であっても使用することができるが、エポキシ樹脂組成物の成形性に関わる粘度を低く抑えるためには球形のものを用いることが好ましい。これらのシリコーン重合体粒子は東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、信越化学工業株式会社等から市販品が入手可能である。
有機フィラーは球状であることが好ましく、平均粒子径は0.05μm~4μmであることが好ましく、より好ましくは0.08μm~3μmである。
フィラーが有機フィラーを含有する場合、フィラーに占める有機フィラーの割合は、柔軟性の観点から、0.1質量%~50質量%であることが好ましく、0.5質量%~20質量%であることがより好ましく、0.5質量%~10質量%であることがさらに好ましい。
フィラーがシリコーンゴム粒子を含有する場合、フィラーに占めるシリコーンゴム粒子の割合は、反り低減の観点から、0.1質量%~50質量%であることが好ましく、0.5質量%~20量%であることがより好ましく、0.5質量%~10質量%であることがさらに好ましい。シリコーンゴム粒子の割合が0.1質量%以上であれば、十分な低応力化が図れるために反りの抑制効果がより大きくなる傾向があり、50質量%以下であれば、硬化物の強度及び耐湿性の低下が生じにくい傾向がある。
フィラーとして有機フィラーが用いられる場合、シリコーンゴム粒子のみが用いられてもよいし樹脂成分で構成された有機フィラーのみが用いられてもよいし、両者が併用されてもよい。
-溶剤-
エポキシ樹脂組成物は、溶剤を含有する。
溶剤は、エポキシ樹脂組成物の印刷成形性に最適な粘度及び揺変指数を付与させるための成分である。溶剤としては、エポキシ樹脂組成物の加熱硬化時における溶剤の揮発によるボイド形成を避けたり、溶剤の揮発による印刷作業中でのエポキシ樹脂組成物の粘度の変化を抑えたりする点からは、沸点が170℃以上の溶剤が好ましく、沸点が200℃以上の溶剤がより好ましい。また、真空印刷により塗膜を形成する場合には、エポキシ樹脂組成物が常時真空下で扱われるため溶剤が徐々に揮発し粘度変化が生じる懸念がある。この場合には、溶剤の沸点は240℃~300℃の範囲のものが好ましい。
溶剤として具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート、γ-ブチロラクトン等が挙げられ、これらのうちの1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物中における溶剤の含有率は、1質量%~10質量%であることが好ましく、2質量%~8質量%であることがより好ましく、3質量%~6質量%であることがさらに好ましい。溶剤の含有率が1質量%以上であればエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなりすぎることがなく、塗布作業性及び印刷性が低下しにくい傾向にある。溶剤の含有率が10質量%以下であればエポキシ樹脂組成物の粘度が下がりすぎないため、印刷後、エポキシ樹脂組成物がウエハ裏面へ流れる現象及び硬化中のボイドの発生が生じにくい傾向にある。
-その他の成分-
エポキシ樹脂組成物は必要に応じて、エポキシ樹脂、硬化剤、フィラー及び溶剤以外のその他の成分を含んでもよい。
(硬化促進剤)
エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤をさらに含有してもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、公知の硬化促進剤を使用することができる。
具体的には、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のシクロアミジン化合物、シクロアミジン化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物、3級アミン化合物の誘導体、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、イミダゾール化合物の誘導体、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物、有機ホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、N-メチルモルホリニウムテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボレート塩、テトラフェニルボレート塩の誘導体、トリフェニルホスフィン-トリフェニルボラン錯体、モルホリン-トリフェニルボラン錯体等のトリフェニルボラン錯体などが挙げられる。硬化促進剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
(イオントラップ剤)
エポキシ樹脂組成物は、イオントラップ剤をさらに含有してもよい。
本開示において使用可能なイオントラップ剤は、半導体装置の製造用途に用いられる封止材において、一般的に使用されているイオントラップ剤であれば特に制限されるものではない。イオントラップ剤としては、例えば、下記一般式(VI-1)又は下記一般式(VI-2)で表される化合物が挙げられる。
Mg1-aAl(OH)(COa/2・uHO (VI-1)
(一般式(VI-1)中、aは0<a≦0.5であり、uは正数である。)
BiO(OH)(NO (VI-2)
(一般式(VI-2)中、bは0.9≦b≦1.1、cは0.6≦c≦0.8、dは0.2≦d≦0.4である。)
イオントラップ剤は、市販品として入手可能である。一般式(VI-1)で表される化合物としては、例えば、「DHT-4A」(協和化学工業株式会社、商品名)が市販品として入手可能である。また、一般式(VI-2)で表される化合物としては、例えば、「IXE500」(東亞合成株式会社、商品名)が市販品として入手可能である。
また、上記以外のイオントラップ剤として、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等から選ばれる元素の含水酸化物などが挙げられる。
イオントラップ剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物がイオントラップ剤を含有する場合、イオントラップ剤の含有量は、充分な耐湿信頼性を実現する観点からは、エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上であることが好ましい。他の成分の効果を充分に発揮する観点からは、イオントラップ剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して15質量部以下であることが好ましい。
また、イオントラップ剤の平均粒子径は0.1μm~3.0μmであることが好ましく、最大粒子径は10μm以下であることが好ましい。
(カップリング剤)
エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤をさらに含有してもよい。カップリング剤の種類は、特に制限されず、公知のカップリング剤を使用することができる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤及びチタンカップリング剤が挙げられる。カップリング剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-(β-(N-ビニルベンジルアミノ)エチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート及びテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートが挙げられる。
エポキシ樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有率は、エポキシ樹脂組成物の固形分全体に対して10質量%以下であることが好ましく、その効果を充分に発揮させる観点からは、0.1質量%以上であることが好ましい。
(離型剤)
エポキシ樹脂組成物は、離型剤をさらに含有してもよい。離型剤の種類は特に制限されず、公知の離型剤を使用することができる。具体的には、例えば、高級脂肪酸、カルナバワックス及びポリエチレン系ワックスが挙げられる。離型剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂組成物が離型剤を含有する場合、離型剤の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して、10質量%以下であることが好ましく、その効果を発揮させる観点からは、0.5質量%以上であることが好ましい。
(着色剤)
エポキシ樹脂組成物は、着色剤(例えば、カーボンブラック)を含有してもよい。着色剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
着色剤としてカーボンブラック等の導電性粒子を用いる場合、導電性粒子は、粒子径10μm以上の粒子の含有率が1質量%以下であることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物が導電性粒子を含有する場合、導電性粒子の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して3質量%以下であることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、その他の成分として、シリコーンオイル;界面活性剤;酸化防止剤;リン酸エステル、メラミン、メラミン誘導体、トリアジン環を有する化合物、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体等の窒素含有化合物、シクロホスファゼン等の燐窒素含有化合物、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化モリブデン、フェロセン等の金属化合物、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、ブロム化エポキシ樹脂等の従来公知の難燃剤;分散剤などを必要に応じて含んでもよい。
エポキシ樹脂組成物は、上記各種成分を均一に分散し混合できるのであれば、いかなる手法を用いて調製してもよい。エポキシ樹脂組成物を調製するための一般的な手法としては、所定の配合量の成分を秤量し、三本ロール、らいかい機、プラネタリーミキサー、ハードミキサー、ホモミキサー等によって分散し混練を行う方法を挙げることができる。また、各配合成分を予備分散及び予備加熱させたマスターバッチを用いる手法が、均一分散性及び流動性の点から好ましい。
エポキシ樹脂組成物の硬化条件は特に限定されない。熱処理の温度としては、120℃~250℃であることが好ましく、130℃~220℃であることがより好ましく、130℃~210℃であることがさらに好ましい。熱処理時間としては、15分~4時間であることが好ましく、30分~4時間であることがより好ましい。また、熱処理温度は段階的に上昇させてもよい。
エポキシ樹脂組成物の硬化物についてのDMA法により測定されるガラス転移温度(Tg)は、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましい。
エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度は、1000Pa・s未満であることが好ましく、800Pa・s以下であることがより好ましく、500Pa・s以下であることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂組成物は、回転式のせん断粘度計を用いて、25℃で測定される回転数が1回転/分における粘度と回転数が5回転/分における粘度との比である揺変指数[(1回転/分における粘度)/(5回転/分における粘度)]が、0.3~1.5であることが好ましく、0.5~1.2であることがより好ましい。揺変指数が上記範囲であると、充填性がより向上する傾向にある。
なお、エポキシ樹脂組成物の粘度及び揺変指数は、エポキシ樹脂の組成、フィラーの含有率等を適宜選択することで所望の範囲とすることができる。
本開示のエポキシ樹脂組成物は、後述のウエハレベルチップサイズパッケージの封止に好適に使用される。本開示のエポキシ樹脂組成物によれば、半導体ウエハの表面に印刷法等によってエポキシ樹脂組成物を付与した際のはじきの発生が抑制される傾向にある。また、エポキシ樹脂組成物の硬化物中のボイドの発生が抑制される傾向にある。
<電子部品装置>
本開示の電子部品装置は、本開示のエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備えたものである。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などの電子部品を搭載し、必要な部分を本開示のエポキシ樹脂組成物で封止して得られる電子部品装置が挙げられる。
中でも、本開示のエポキシ樹脂組成物は低反り性及び高信頼性を要求される電子部品装置に有効であり、特にウエハレベルチップサイズパッケージの封止に好適である。本開示のエポキシ樹脂組成物により封止された半導体ウエハは、反りの発生が抑制されるため、
半導体ウエハの封止後の搬送、研削、検査、個片化等の各工程で反りによる問題が生じにくい傾向にある。また、エポキシ樹脂組成物の硬化物のTgが90℃以上であると、ダイシング等の加工の際にチッピングが生じにくい傾向にある。
本開示のエポキシ樹脂組成物を用いて素子を封止する方法としては、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等が挙げられ、特に印刷方式が好適である。
以下、実施例に基づいて本開示をさらに詳細に説明するが、本開示は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部及び%は特に断りのない限り、質量部及び質量%を示す。
[実施例1~11並びに比較例1及び2]
表1に示す各材料を、三本ロール及びらいかい機にて混練分散した後、真空脱泡して実施例及び比較例に記載のエポキシ樹脂組成物を調製した。
表1に記載の各成分の組成の単位は、溶剤を除き、質量部である。
表1において、「A/E比」の欄は、各実施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物に含まれる、全てのエポキシ樹脂についてのエポキシ基の数の合計(E)と、全ての硬化剤についての活性水素の数の合計(A)との比(A/E)を意味する。
表1において、「無機フィラー(質量%)」は、固形分に占める無機フィラーの質量基準の割合を意味し、「無機フィラー(質量部)」は、エポキシ樹脂組成物の調製に用いられた無機フィラーの質量部基準の量を示す。
表1において、「溶剤(質量%)」は、エポキシ樹脂組成物に占める溶剤の質量基準の割合を意味する。
調製したエポキシ樹脂組成物を、次の各試験により評価した。得られた結果を表1にまとめて示す。
(初期粘度及び揺変指数)
上述の方法により、製造したエポキシ樹脂組成物について25℃、5回転/分の条件で粘度を測定した。また、エポキシ樹脂組成物について25℃で1回転/分の条件で測定した粘度の測定値を、25℃で5回転/分の条件で測定した粘度の測定値で除した値を揺変指数とした。
(ポットライフ(PL))
上述の方法により製造したエポキシ樹脂組成物について、25℃で24時間放置した後、回転式のせん断粘度計を用いて、5回転/分の条件で粘度を測定し、初期粘度からの増加率をポットライフと定めた。
PL=(24時間放置後の粘度-初期粘度)/初期粘度×100
(ガラス転移温度(Tg))
エポキシ樹脂組成物を130℃で60分間、次いで200℃で180分間加熱硬化させた硬化物について、TAインスツルメント DMA Q800を用いてDMA(Dynamic Mechanical Analysis、動的粘弾性測定)法によりガラス転移温度を測定した。
(反り)
直径200mm、厚み500μmのシリコンウエハに、金型を用いて、直径198mm、厚み300μmのエポキシ樹脂組成物層を形成し、130℃で60分間、次いで200℃で120分間加熱硬化させて試料とした。硬化後、株式会社キーエンスの3次元測定機を用いて、シリコンウエハ中心部とエポキシ樹脂組成物の塗工末端部の高低差を反りとして測定した。
(印刷後の外観)
反り評価用の試験片を作製する際の、加熱硬化前のエポキシ樹脂組成物層の表面状態を、下記基準に基づいて、目視にて観察した。
A:シリコンウエハ上に均一にエポキシ樹脂組成物が塗布されている状態
B:シリコンウエハ上にエポキシ樹脂組成物が塗布されていない部分又はボイドを有する状態
Figure 2022060062000002
表1において、各材料の詳細は、以下の通りである。また、表1において「-」は、該当する材料を使用しなかったことを意味する。
・エポキシ樹脂1:ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量315g/eq
・エポキシ樹脂2:水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ当量200g/eq
・エポキシ樹脂3:BPA-PO型エポキシ樹脂(特定エポキシ樹脂)、エポキシ当量470g/eq
・エポキシ樹脂4:ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、エポキシ当量124g/eq
・エポキシ樹脂5:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量161g/eq
・有機フィラー:コア部が架橋されたポリジメチルシロキサンを含み、シェル部がポリメチルメタクリレートを含む平均1次粒径が0.1μmの球状のシリコーン粒子
・硬化剤1:ジエチルトルエンジアミン、活性水素当量45g/eq
・硬化剤2:3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、活性水素当量63g/eq
・着色剤:カーボンブラック
・分散剤1:カチオン系分散剤
・分散剤2:アニオン系分散剤
・カップリング剤1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・カップリング剤2:デシルトリメトキシシラン
・カップリング剤3:ヘキシルトリメトキシシラン
・酸化防止剤:ヒンダードフェノール系酸化防止剤
・イオントラップ剤:ビスマス系イオントラップ剤
・無機フィラー(平均粒径0.5μmの球状シリカと平均粒子径4.2μmの球状シリカとの1:4(質量基準)混合物)
・溶剤:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
表1の結果から明らかなように、エポキシ樹脂に占める分子内に芳香環構造とポリエーテル構造とを有するエポキシ樹脂の割合が10質量%以上であるエポキシ樹脂組成物を用いた実施例1~実施例11では、比較例1~比較例2に比較してシリコンウエハの反りの発生が抑制されていることがわかる。

Claims (7)

  1. エポキシ樹脂と硬化剤とフィラーと溶剤とを含み、
    前記エポキシ樹脂が、分子内に芳香環構造とポリエーテル構造とを有するエポキシ樹脂を含み、
    前記エポキシ樹脂に占める前記分子内に芳香環構造とポリエーテル構造とを有するエポキシ樹脂の割合が、10質量%以上であるエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記溶剤の含有率が、1質量%~10質量%である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 固形分に占める前記フィラーの割合が、40質量%~95質量%である請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記フィラーが無機フィラーを含有し、前記フィラーに占める前記無機フィラーの割合が、50質量%~99.9質量%である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記硬化剤が、アミン系硬化剤を含む請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. ウエハレベルチップサイズパッケージの封止に用いられる請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物により封止された素子を備えた電子部品装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN117487489A (zh) * 2023-11-03 2024-02-02 武汉市三选科技有限公司 一种高拉伸率的底部填充胶,其制备方法及芯片封装结构

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