JP2022059371A - 突入電流防止回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】ピークホールド回路によって動作を安定させつつ、システムの立ち上がりの遅延を低減することが可能な突入電流防止回路を提供する。【解決手段】本発明にかかる突入電流防止回路100の代表的な構成は、交流電源110と、交流電源を整流する整流回路112と、整流回路の出力電圧を平滑するコンデンサ114と、整流回路とコンデンサの間に接続された電流制限抵抗130と、電流制限抵抗のバイパス回路に配置されたスイッチング素子134と、電流制限抵抗の負荷側電圧と所定の基準電圧とを比較してスイッチング素子をONにする比較器140とを備え、電流制限抵抗の負荷側と比較器との間にピークホールド回路150を挿入し、さらに、ピークホールド回路のコンデンサ154と並列に、基準電圧より高い所定の降伏電圧を有するツェナーダイオード160を配置したことを特徴とする。【選択図】図3
Description
本発明は、コンデンサで平滑する交流電源の突入電流防止回路に関するものである。
交流電源を整流して直流にする電源回路では、リップル電流を平滑するためにコンデンサが用いられる。この構成において、電源投入時の充電過渡期には極めて低い抵抗になるため突入電流が発生する。
突入電流を防止ないし抑制するための回路として、充電過渡期には電流制限抵抗を介してコンデンサに充電し、コンデンサの充電が進んでから電流制限抵抗をバイパスする構成が知られている。例えば特許文献1には電流制限抵抗(限流抵抗)の両端電圧を比較し、電流制限抵抗の負荷側の電圧が上昇したらスイッチング素子(リレー)を閉じる(ONにする)構成が記載されている。
また特許文献2には、整流回路(整流ダイオードブリッジ)の前後の電圧を比較して、突入電流制限用の抵抗をスイッチング素子(リレー)でバイパスする構成が記載されている。なお特許文献2には、整流回路の交流側から比較器(電圧差監視回路)への信号を、ピークホールド回路を介して入力する構成が記載されている(文献2の段落0015、図3参照)。
特許文献2に記載されているように、比較器にピークホールド回路を介して入力することにより、比較器への入力電圧を安定させて、誤動作を低減させることができる。しかしながら、ピークホールド回路によって電圧が下がりにくくなるため(ピークを保持している時間があるため)、システムの立ち上がりに遅延が生じ、操作開始までの待ち時間が長くなってしまうという問題がある。
なおピークホールド回路においては、コンデンサと並列に放電用の抵抗を配置して、コンデンサの電荷を徐々に放電する構成が取られる場合もある。しかしピークをホールドするという目的から抵抗値の高いものを選定する必要があり、放電用の抵抗の抵抗値を下げて迅速に放電させることは本末転倒である。
そこで本発明は、ピークホールド回路によって動作を安定させつつ、システムの立ち上がりの遅延を低減することが可能な突入電流防止回路を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる突入電流防止回路の代表的な構成は、交流電源と、交流電源を整流する整流回路と、整流回路の出力電圧を平滑するコンデンサと、整流回路とコンデンサの間に接続された電流制限抵抗と、電流制限抵抗のバイパス回路に配置されたスイッチング素子と、電流制限抵抗の負荷側電圧と所定の基準電圧とを比較してスイッチング素子をONにする比較器とを備え、電流制限抵抗の負荷側と比較器との間にピークホールド回路を挿入し、さらに、ピークホールド回路のコンデンサと並列に、基準電圧より高い所定の降伏電圧を有するツェナーダイオードを配置したことを特徴とする。
上記構成によれば、コンデンサに印加される電圧はツェナーダイオードの降伏電圧にクランプされる。したがってコンデンサの電圧が下がり始める電圧値が、ツェナーダイオードがない場合に比べて低くなるので、ツェナーダイオードを追加したほうが短い時間で基準電圧を下回り、システムの立ち上がりの遅延を低減することが可能となる。
ピークホールド回路と比較器との間に、ピークホールド回路の出力電圧と電流制限抵抗の整流回路側電圧との差分を増幅する差分増幅器を備えていてもよい。
差分を増幅することにより、基準電圧の電圧値を高くすることができる。これによりS/N(シグナル/ノイズ比)を高くすることができるため、ノイズの影響を低減させることができる。
さらに、電流制限抵抗の整流回路側と差分増幅器との間に第2のピークホールド回路を挿入してもよい。
ピークホールド回路は時定数があるため遅延を生じる。電流制限抵抗の負荷側のみにピークホールド回路を挿入すると、電流制限抵抗の負荷側電圧と整流回路側電圧との間にずれを生じてしまい、正確な差分が取れないおそれがある。またピークホールド回路には何らかのゲイン(減衰)があるため、タイミングによっては負荷側電圧と整流回路側電圧の高低が逆転してしまうおそれもある。そこで整流回路側にもピークホールド回路を挿入し、遅延とゲインを一致させることで、正しく差分を取ることが可能となる。
本発明によれば、ピークホールド回路によって動作を安定させつつ、システムの立ち上がりの遅延を低減することが可能な突入電流防止回路を提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示または説明を省略する。
図1は比較例1を説明する図、図2は比較例2を説明する図、図3は本発明の第1実施形態にかかる突入電流防止回路の構成を説明する図である。比較例と実施形態において説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図1(a)に示す突入電流防止回路10において、交流電源110を整流する整流回路112からは脈動電流(脈流)が出力されるため、これを平滑するコンデンサ114が備えられている。コンデンサ114の両端は任意の負荷120に対する電源になっていて、それぞれ電源正側P、電源負側N(パワーグランド)とする。
比較例1では電源負側NとGND(シグナルグランド)との間に電流制限抵抗130と、電流制限抵抗130をバイパスするバイパス回路132、およびバイパス回路132を開閉するスイッチング素子134が配置されている。なお電源正側Pと整流回路112との間に電流制限抵抗を配置した場合であっても、以下に述べる説明はそのまま適用することができる。
ここで、電源投入時の充電過渡期には、まだコンデンサ114に電荷が溜まっていないため、突入電流が発生する。そこで突入電流を防止ないし抑制するための回路として、充電過渡期には電流制限抵抗130を介して電流を流し、コンデンサ114の充電が進んでから電流制限抵抗130をバイパスする。
図1(a)に示す比較例1では、比較器140の一方には所定の基準電圧Vrefを入力し、他方には電流制限抵抗130の負荷側電圧(以下、A点電圧)を直接入力する。A点電圧は電流制限抵抗130に電流が多く流れると高くなり、電流が少なくなると低くなる。コンデンサ114に電荷が溜まると流れる電流が少なくなるので、徐々に電圧も低くなっていく。そこで比較器140においてA点電圧が基準電圧Vrefを下回ったら、比較器140はスイッチング素子134をONにする信号を出力する。これにより電流は電流制限抵抗130を通るのをやめてバイパス回路132を通るようになる。スイッチング素子134がONになった状態をシステムが立ち上がるタイミングとする。
ところが整流回路112の出力が脈動しているから、A点電圧は図1(b)に示すように脈動しながら減衰する。するとA点電圧は、完全に基準電圧Vrefを下回る前に、極めて短時間ながら何度も基準電圧Vrefを下回る。これに応じて図1(c)に示すように、比較器140が短時間に何度もスイッチング素子134をONにするチャタリングを生じる。一般的に突入電流はコンデンサ充電完了直前の一度のみを想定していて、基準電圧Vrefはスイッチング素子134やコンデンサ114がこの一度の突入電流の電流に耐えられる範囲に算出しており、複数回流れることを想定していないので、短時間に複数回流れることでスイッチング素子やコンデンサに負荷がかかりすぎて故障を招く可能性がある。
さらに、スイッチング素子が外部からスイッチング素子のON状態、OFF状態を切り替えられる自己消弧能力を持たないサイリスタなどの場合、一度ON状態になるとその後ON状態が続いてしまうため、前記脈動による誤動作が起こると負荷120にも突入電流が発生してしまう。
図2(a)に示す比較例2の突入電流防止回路20においては、図1(a)の突入電流防止回路10に加えて、電流制限抵抗130の負荷側(A点)と比較器140との間にピークホールド回路150を挿入している。ピークホールド回路150の比較器140側をB点とする。ピークホールド回路150はダイオード152とコンデンサ154との組み合わせからなり、A点電圧がB点電圧より高くなればダイオード152に電流が流れてコンデンサ154に電荷が溜まるが、A点電圧が低くなっても逆流しない。ただしこれだけではコンデンサ154の電荷の逃げ場がないので、コンデンサ154と並列に放電用の抵抗156を配置して、コンデンサ154の電荷を徐々に放電する。
図2(a)の比較例2においても、図2(b)に示すように、A点電圧は脈動しながら減衰する。しかしながらピークホールド回路150があることにより、比較器140に入力されるB点電圧は平滑化されて、B点電圧が基準電圧Vrefを下回るのは一度のみである。したがって図2(c)に示すように、比較器140がスイッチング素子134をONにするのも一度のみであり、各素子に過負荷をかけることを避けることができる。
ただしB点電圧が降下するのは、A点電圧がB点電圧より低いときに、放電用の抵抗156からコンデンサ154の電荷を放電することによる。すると図2(c)からわかるように、B点電圧はA点電圧よりも電圧が下がりにくくなる。比較例1ではT1のタイミングでシステムの立ち上がっていたところ、比較例2ではT1より大幅に遅いT2のタイミングになってからシステムが立ち上がることになってしまう。
そこで図3(a)に示す実施形態1の突入電流防止回路100では、ピークホールド回路150のコンデンサ154と並列に、ツェナーダイオード160を配置している。図3ではコンデンサ154の後段にツェナーダイオード160を配置して図示しているが、ダイオード152の後段であればよく、コンデンサ154とツェナーダイオード160の順序は問わない。ツェナーダイオード160の降伏電圧(ツェナー電圧)は、基準電圧Vrefより高い所定の電圧に設定している。降伏電圧が基準電圧Vrefより低いと、最初からB点の電圧が基準電圧よりも低くなってしまい、スイッチング素子134がONになってしまうためである。
上記構成によれば、図3(b)に示すように、コンデンサ154に印加される電圧はツェナーダイオード160の降伏電圧にクランプされる。したがってコンデンサ154の電圧が下がり始める電圧値が、比較例2(ツェナーダイオードがない場合)に比べて低くなる。これにより、実施形態1のB点電圧は比較例2のT2より早いタイミングT3で基準電圧Vrefを下回る。このように、本発明によれば、ピークホールド回路によって動作を安定させつつ、システムの立ち上がりの遅延を低減することが可能な突入電流防止回路を提供することができる。
図4は第2実施形態にかかる突入電流防止回路200の構成を説明する図である。上述の比較例または実施形態と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
電流制限抵抗130の負荷側電圧(A点電圧)は小さいものであるため、ノイズの影響を受けやすい。例えば図3の突入電流防止回路100において外乱ノイズによってB点電圧が振動すれば、基準電圧Vref付近でチャタリングが生じる可能性も十分にある。
そこで図4に示す突入電流防止回路200においては、ピークホールド回路150と比較器140との間に、ピークホールド回路150の出力電圧と、電流制限抵抗130の整流回路側電圧(以下、C点電圧)との差分を増幅する差分増幅器170を備えている。
電流制限抵抗130の端子間電圧を取ることにより(A点電圧とC点電圧の差分を取るとにより)、基準電圧Vrefと差分電圧のGNDが共通になるため、正確に比較できる。また回路の他の素子から流れる電流の影響を受けることなく、電流制限抵抗130にかかる電圧のみを取り出すことができる。差分増幅器170の出力の電圧(以下、D点電圧)の増幅率は1より大きい任意の倍率(例えば数倍~数十倍)とすることができる。なお倍率が1のときは差分器であって、差分増幅器とは呼ばない。
差分増幅器170によって、D点電圧はA点電圧よりも任意に大きくすることができる。すると、これと比較する基準電圧Vrefの電圧値も高くすることができる。これによりS/N(シグナル/ノイズ比)を高くすることができるため、ノイズの影響を低減させることができる。
ただし、図2(b)からもわかるように、ピークホールド回路150は整流回路112の脈動から遅延を生じる。差分増幅器170においてA点電圧とC点電圧の差分を取るにあたり、A点電圧側にのみピークホールド回路を挿入すると、A点電圧とC点電圧との間にタイミングのずれを生じてしまい、正確な差分が取れないおそれがある。またピークホールド回路には何らかのゲイン(減衰)があるため、タイミングによってはA点電圧とC点電圧の高低が逆転してしまうおそれもある。
図5は第3実施形態にかかる突入電流防止回路300の構成を説明する図である。図4の突入電流防止回路200と比較すると、電流制限抵抗130の整流回路側(C点)と差分増幅器170との間に第2のピークホールド回路180とツェナーダイオード160を挿入している。A点から差分増幅器170の間と、C点から差分増幅器170の間の時定数とゲインは同じにする。
これにより、差分増幅器170に対してA点電圧もC点電圧も同じだけ遅延と減衰を生じるため、正しく差分を取ることが可能となる。これによりスイッチングの誤動作を廃し、突入電流防止回路の動作を安定させることが可能となる。
なお、C点電圧は、回路図上GNDであり0電位となるため、C点側の第2のピークホールド回路180が不要に思える。しかし実際には、C点とGND(基準電圧Vrefの負極)の間には、銅箔パターンに起因する抵抗が存在し、突入電流のような大電流が流れると電位差(脈流)が生じてしまう。このとき、C点側の第2のピークホールド回路180を用いず、A点に接続されたピークホールド回路150の出力と基準電圧Vrefを差分増幅器で増幅しようとすると、上記電位差が原因で精度よく差分をとることができない。これに対して、第2のピークホールド回路180を持ちいると、A点電圧もC点電圧も同じだけ遅延と減衰を生じるため、電流制限抵抗の両端の電圧と基準電圧を比較でき、上記電位差の影響をなくすことができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、コンデンサで平滑する交流電源の突入電流防止回路として利用することができる。
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Claims (3)
- 交流電源と、
前記交流電源を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力電圧を平滑するコンデンサと、
前記整流回路とコンデンサの間に接続された電流制限抵抗と、
前記電流制限抵抗のバイパス回路に配置されたスイッチング素子と、
前記電流制限抵抗の負荷側電圧と所定の基準電圧とを比較して前記スイッチング素子をONにする比較器とを備え、
前記電流制限抵抗の負荷側と前記比較器との間にピークホールド回路を挿入し、
さらに、前記ピークホールド回路のコンデンサと並列に、前記基準電圧より高い所定の降伏電圧を有するツェナーダイオードを配置したことを特徴とする突入電流防止回路。 - 前記ピークホールド回路と前記比較器との間に、
前記ピークホールド回路の出力電圧と前記電流制限抵抗の整流回路側電圧との差分を増幅する差分増幅器を備えていることを特徴とする請求項1に記載の突入電流防止回路。 - 前記電流制限抵抗の整流回路側と前記差分増幅器との間に第2のピークホールド回路を挿入したことを特徴とする請求項2に記載の突入電流防止回路。
Priority Applications (1)
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JP2020167067A JP2022059371A (ja) | 2020-10-01 | 2020-10-01 | 突入電流防止回路 |
Applications Claiming Priority (1)
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- 2020-10-01 JP JP2020167067A patent/JP2022059371A/ja active Pending
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