JP2022057915A - 歯科用水溶性ガラス、及び歯科用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】外来刺激による不快感や疼痛などの症状を緩和することができる歯科用水溶性ガラスを提供すること。【解決手段】K2O 10質量%以上50質量%以下、P2O510質量%以上80質量%以下、CaO 1質量%以上40質量%以下、ZnO 4質量%以上30質量%以下、及びF 4質量%以上40質量%以下、を含有する、歯科用水溶性ガラス。【選択図】なし
Description
本発明は、歯科用水溶性ガラスに関する。
歯科治療では、次回診療までの間の経過観察、窩洞形成から歯冠製作物作製までの間の窩洞内への食片の混入や細菌感染の防止、窩洞や根管に填入した薬物の漏洩を防ぐこと等を目的として、一定期間窩洞を封鎖する仮封材が用いられる。例えば、特許文献1には、イオン徐放性ガラスを配合する歯科用仮封材組成物が開示されている。
従来の歯科用ガラスは、歯質の強化や二次齲蝕の防止等の予防的機能を付与するものであり、外来刺激による不快感や疼痛などの症状を緩和するものではない。
本発明の課題は、外来刺激による不快感や疼痛などの症状を緩和することができる歯科用水溶性ガラスを提供することである。
本発明の一態様に係る歯科用水溶性ガラスは、K2O 10質量%以上50質量%以下、P2O5 10質量%以上80質量%以下、CaO 1質量%以上40質量%以下、ZnO 4質量%以上30質量%以下、及びF 4質量%以上30質量%以下、を含有する。
本発明の一態様によれば、外来刺激による不快感や疼痛などの症状を緩和することができる。
<歯科用水溶性ガラス>
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本実施形態に係る歯科用水溶性ガラスは、歯科材料に用いられるガラスである。本明細書において、ガラスは、無定形又はアモルファスの状態で固化したものを示す。また、歯科用水溶性ガラスは、水に溶解してガラスに含まれる成分がイオンの状態で徐々に放出する(以下、徐放する、又は徐放性を有するという)ガラスを示す。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本実施形態に係る歯科用水溶性ガラスは、歯科材料に用いられるガラスである。本明細書において、ガラスは、無定形又はアモルファスの状態で固化したものを示す。また、歯科用水溶性ガラスは、水に溶解してガラスに含まれる成分がイオンの状態で徐々に放出する(以下、徐放する、又は徐放性を有するという)ガラスを示す。
歯科用水溶性ガラスは、カリウム(K)を含有する。歯科用水溶性ガラスに含まれるカリウム(K)は、酸化物(酸化カリウム(K2O))の状態で含まれている。歯科用水溶性ガラスに含まれるカリウムの含有量は、酸化物換算でK2Oの含有量が10質量%以上50質量%以下であり、好ましくは10質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは15質量%以上45質量%以下である。
カリウムは、イオン化傾向が最も高い元素である。そのため、歯科用水溶性ガラスに含まれるカリウムは、歯科用水溶性ガラスに含まれる成分の中で最もイオンとして放出されやすい。なお、歯科用水溶性ガラスは、カリウムの徐放性を考慮して、結晶質(不可避不純物を除く)を含まないことが好ましい。
また、カリウムには、歯髄神経周囲にイオンバリアを形成する働きがある。この働きにより、歯髄内の知覚神経末端に直接影響を及ぼす形で歯髄の神経伝達がブロックされ、歯髄に分布する神経線維を刺激することで生じる誘発通(例えば、知覚過敏による不快感や疼痛等の症状)を除去又は低減することができる。そのため、カリウムは、外部刺激による誘発痛を緩和する機能を有する。
なお、歯周病の進行に伴う根面露出を有する患者は、歯肉が退縮すると露出セメント質が摩耗して、開口した象牙細管により歯髄に外来刺激(温熱、低温、圧力など)を受容させやすくなり、一過性で持続しない痛みを訴える象牙質知覚過敏症を生じることがある。そこで、歯科用水溶性ガラスがカリウムを含有することで、口腔内で細胞外カリウムイオン濃度を増加させることができ、感覚神経の活性が低下し、知覚過敏による痛みが緩和されたり、象牙細管が封鎖されるため、象牙質知覚過敏症が緩和される効果が期待できる。
歯科用水溶性ガラスは、リン(P)を含有する。歯科用水溶性ガラスに含まれるリン(P)は、酸化物(五酸化リン(P2O5))の状態で含まれている。歯科用水溶性ガラスに含まれるリン(P)の含有量は、酸化物換算でP2O5の含有量が10質量%以上80質量%であり、好ましくは15質量%以上75質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上70質量%以下である。このようなリン(P)を含む歯科用水溶性ガラスとしては、例えば、リン酸塩ガラスを用いることができる。
歯科用水溶性ガラスは、カルシウム(Ca)を含有する。歯科用水溶性ガラスに含まれるカルシウム(Ca)は、酸化物(酸化カルシウム(CaO))の状態で含まれている。歯科用水溶性ガラスに含まれるカルシウムの含有量は、酸化物換算でCaOの含有量が1質量%以上40質量%以下であり、好ましくは2質量%以上35質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上25質量%以下である。
歯科用水溶性ガラスは、亜鉛(Zn)を含有する。歯科用水溶性ガラスに含まれる亜鉛(Zn)は、酸化物(酸化亜鉛(ZnO))の状態で含まれている。歯科用水溶性ガラスに含まれる亜鉛の含有量は、酸化物換算でZnOの含有量が4質量%以上30質量%以下であり、好ましくは4質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは4質量%以上20質量%以下である。
歯科用水溶性ガラスは、フッ素(F)を含有する。歯科用水溶性ガラスに含まれるフッ素(F)の含有量は、4質量%以上30質量%以下であり、好ましくは4質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは4質量%以上20質量%以下である。
本実施形態に係る歯科用水溶性ガラスは、カリウム(K)を含有することで、水と反応してカリウムイオンを徐放することができる。そのため、本実施形態に係る歯科用水溶性ガラスを用いることにより、外来刺激による不快感や疼痛などの症状を緩和することできる。
また、歯科用水溶性ガラスとしてK2Oの含有量を10質量%以上とすることで、歯科用水溶性ガラスの水に対する溶解性(以下、水溶解性という)を高めることができ、歯科用水溶性ガラスにおけるカリウムイオンの徐放性を高めることができる。また、歯科用水溶性ガラスとしてK2Oの含有量を50質量%以下とすることで、歯科用水溶性ガラスの粘性が低くなり、歯科用水溶性ガラスが配合された歯科材料の操作性を向上させることができる。
本実施形態の歯科用水溶性ガラスは、リン(P)を含有することにより、歯科用水溶性ガラスの水溶解性を高めることができ、歯科用水溶性ガラス中のカリウムを含む各成分のイオン徐放性を高めることができる。また、歯科用水溶性ガラスがP2O5を含有することで、歯科用水溶性ガラスから放出されるリン酸イオンにより、歯質の再石灰化や齲蝕を予防する効果を付与することができる。
また、歯科用水溶性ガラスとしてP2O5の含有量を10質量%以上とすることで、歯科用水溶性ガラスの水溶解性を高めることができ、歯科用水溶性ガラス中のカリウムを含む各成分のイオン徐放性を高めることができる。また、歯科用水溶性ガラスとしてK2Oの含有量を80質量%以下とすることで、歯科用水溶性ガラスの粘性が低くなり、歯科用水溶性ガラスが配合された歯科材料の操作性を向上させることができる。
また、歯科用水溶性ガラスとしてリン酸塩ガラスを用いることにより、歯科用水溶性ガラスにおいてP2O5の含有量を10質量%以上80質量%に調整することが容易である。
本実施形態の歯科用水溶性ガラスは、カルシウム(Ca)を含有することにより、歯科用水溶性ガラスの水溶解性を高めることができ、歯科用水溶性ガラスにおけるカルシウムイオンの徐放性を高めることができる。また、歯科用水溶性ガラスがカルシウムを含有することで、歯科用水溶性ガラスから放出されるカルシウムイオンによって、歯質の再石灰化や麟蝕を予防することができる。
また、歯科用水溶性ガラス中のCaOの含有量を1質量%以上とすることで、歯科用水溶性ガラスの水溶解性を高めることができ、歯科用水溶性ガラスにおけるカルシウムイオンの徐放性を高めることができる。また、歯科用水溶性ガラスとしてCaOの含有量を40質量%以下とすることで、歯科用水溶性ガラスの粘性が低くなり、歯科用水溶性ガラスが配合された歯科材料の操作性を向上させることができる。
本実施形態の歯科用水溶性ガラスは、亜鉛を含有することにより、歯科用水溶性ガラスの水溶解性を高めることができ、歯科用水溶性ガラスにおける亜鉛イオンの徐放性を高めることができる。また、歯科用水溶性ガラスが亜鉛を含有することにより、歯科用水溶性ガラスに抗菌性を付与することができる。
また、歯科用水溶性ガラス中のZnOの含有量を4質量%以上とすることで、歯科用水溶性ガラスの水溶解性を高めることができ、歯科用水溶性ガラスにおける亜鉛イオンの徐放性を高めることができる。また、歯科用水溶性ガラスとしてZnOの含有量を30質量%以下とすることで、歯科用水溶性ガラスの粘性が低くなり、歯科用水溶性ガラスが配合された歯科材料の操作性を向上させることができる。
また、本実施形態の歯科用水溶性ガラスは、フッ素を含有することにより、歯科用水溶性ガラスの水溶解性を高めることができ、歯科用水溶性ガラス中のカリウムを含む各成分のイオン徐放性を高めることができる。また、歯科用水溶性ガラスがフッ素を含有することにより、歯科用水溶性ガラスが配合された歯科材料に麟蝕予防効果を付与することができる。
歯科用水溶性ガラスとしてFの含有量を4質量%以上とすることで、歯科用水溶性ガラスの水溶解性を高めることができ、歯科用水溶性ガラスにおけるフッ化物イオンの徐放性を高めることができる。また、歯科用水溶性ガラスとしてFの含有量を30質量%以下とすることで、歯科用水溶性ガラスの粘性の調整が容易になる。
歯科用水溶性ガラスの水溶解性は、特に限定されない。歯科用水溶性ガラスの水に対する溶解度は、例えば、0.1%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上である。ここで、水に対する溶解度は、室温(約25℃)で水に溶解する前の歯科用水溶性ガラスの量に対する水に溶解した歯科用水溶性ガラスの量の百分率を示す。
歯科用水溶性ガラスの水に対する溶解度を0.1%以上とすることで、歯科用水溶性ガラスにおけるカリウムイオンの徐放性を高めることができる。そのため、本実施形態に係る歯科用水溶性ガラスを用いることにより、外来刺激による不快感や疼痛などの症状を高い精度で緩和することできる。
また、歯科用水溶性ガラス中のK2OとP2O5の含有量の合計は、好ましくは82質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上80質量%である。歯科用水溶性ガラス中のK2OとP2O5の含有量の合計を82質量%以下にすることで、歯科用水溶性ガラスの水溶解性の調整が容易になり、カリウムイオンの徐放が制御し易くなる。
なお、本実施形態の歯科用水溶性ガラスは、本発明の目的を損なわない限り、その他の成分として、アルミニウム(Al)が含まれていてもよい。歯科用水溶性ガラスとしてAlを含有することにより、歯科用水溶性ガラスの粘性の調整が可能になり、また、歯科用水溶性ガラスの化学的耐久性が改善され、歯科用水溶性ガラスの安定性を高めることができる。
歯科用水溶性ガラスに含まれるアルミニウム(Al)の含有量は、特に限定されない。歯科用水溶性ガラス中のアルミニウムは、酸化物換算で酸化アルミニウム(Al2O3)の含有量が好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上25質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上20質量%以下である。
また、歯科用水溶性ガラスは、その他の成分として、ケイ素(Si)が含まれていてもよい。歯科用水溶性ガラスとしてSiを含有することにより、歯科用水溶性ガラスの粘性の調整が可能になり、また、歯科用水溶性ガラスの強度を高めることができる。
歯科用水溶性ガラスに含まれるケイ素(Si)の含有量は、特に限定されない。歯科用水溶性ガラス中のケイ素は、酸化物換算で酸化ケイ素(SiO2)の含有量が好ましくは1質量%以上35質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上25質量%以下である。
なお、歯科用水溶性ガラスは、不可避不純物を除き、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)を実質的に含まないことが好ましい。リチウム及びナトリウム等のアルカリ金属は、同じアルカリ金属であるカリウムと同様に水溶解性が高い。そのため、リチウム及び/又はナトリウムを含有する歯科用水溶性ガラスが水に溶出しすぎて、カリウムイオンの徐放を阻害する可能性がある。
また、歯科用水溶性ガラスは、不可避不純物を除き、セラミック(結晶質)を実質的に含まないことが好ましい。歯科用水溶性ガラスにセラミック(結晶質)が含まれないことにより、歯科用水溶性ガラスの水溶解性の低下が抑制され、歯科用水溶性ガラス中のカリウムを含む各成分のイオン徐放性の低下が抑制される。
<歯科用水溶性ガラスの製造方法>
次に、本実施形態の歯科用水溶性ガラスの製造方法の一例について説明する。
次に、本実施形態の歯科用水溶性ガラスの製造方法の一例について説明する。
本実施形態の歯科用水溶性ガラスは、既述のように、カリウムと、リンと、カルシウムと、亜鉛と、フッ素とを含有することができる。このため、原料組成物は、カリウムと、リンと、カルシウムと、亜鉛と、フッ素とに対応する原料を含有することができる。
カリウムに対応する原料は、特に限定されない。カリウムに対応する原料としては、例えば、リン酸カリウム、フッ化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられる。これらのカリウムに対応する原料は、1種を用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
リンに対応する原料は、特に限定されない。リンに対応する原料としては、例えば、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸ストロンチウム、リン酸二水素ナトリウム等が挙げられる。これらのリンに対応する原料は、1種を用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
カルシウムに対応する原料は、特に限定されない。カルシウムに対応する原料としては、例えば、フッ化カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。これらのカルシウムに対応する原料は、1種を用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
亜鉛に対応する原料は、特に限定されな。亜鉛に対応する原料としては、例えば、酸化亜鉛、フッ化亜鉛等が挙げられる。これらの亜鉛に対応する原料は、1種を用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
フッ素に対応する原料は、特に限定されない。フッ素に対応する原料としては、例えば、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化ナトリウム等が挙げられる。これらのフッ素に対応する原料は、1種を用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
また、既述のように本実施形態の歯科用水溶性ガラスは、上述の成分以外に任意の成分を含有することもできる。例えば、アルミニウム、ケイ素等から選択された1種以上を含有することができる。本実施形態の歯科用水溶性ガラスがこのような任意の成分を含有する場合、原料組成物は、任意の成分に対応する原料を含有することができる。
アルミニウムに対応する原料は、特に限定されないが、アルミニウムに対応する原料としては、例えば、フッ化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム等が挙げられる。これらのアルミニウムに対応する原料は、1種を用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ケイ素に対応する原料は、特に限定されない。ケイ素に対応する原料としては、例えば、無水ケイ酸等が挙げられる。これらのケイ素に対応する原料は、1種を用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
原料組成物における各原料は、歯科用水溶性ガラスの組成に対応するように配合すればよい。例えば、各原料を歯科用水溶性ガラスの組成に応じて秤量、混合し、原料組成物を調製できる(原料組成物調製工程)。
そして、得られた原料組成物を、例えば坩堝の中に入れ、含有する原料の融点等に応じた温度、例えば700℃以上1500℃以下で加熱、溶解させた後、冷却することができる(加熱、冷却工程)。
冷却する際の冷却速度は、特に限定されない。例えば、既述の双ロール法や、溶融物を金属板上に流し出し、プレスする方法等の各種急冷手段により急冷することが好ましい。
冷却し、固化した後、所望の粒径となるように粉砕することで(粉砕工程)、粉末状の歯科用水溶性ガラスを製造することができる。
本実施形態の歯科用水溶性ガラスの製造方法は、上述の工程に加えて、さらに任意の工程を有することもできる。例えば、得られた歯科用水溶性ガラスの粒度分布が所望の分布となるように分級等を実施することもできる。
本実施形態の歯科用水溶性ガラスを歯科用組成物に配合する場合、歯科用水溶性ガラスの形態は粉末であることが好ましい。歯科用水溶性ガラスの粉末の数平均粒子径は、好ましくは0.02μm以上30μm以下であり、より好ましくは0.02μm以上20μm以下である。ここで、数平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される体積基準の累積分布が50%となる粒子径である。
歯科用水溶性ガラスの粉末の数平均粒子径が0.02μm以上であることにより、歯科用水溶性ガラスの粉末を歯科用組成物用のガラス粉末として使用した際に、歯科用組成物の操作性が改善される。また、歯科用水溶性ガラスの粉末の数平均粒子径が30μm以下であることにより、歯科用組成物の硬化体の耐摩耗性が向上する。
<歯科用組成物>
本実施形態に係る歯科用組成物は、上述の歯科用水溶性ガラスを含有する。本明細書において、歯科用組成物とは、歯科材料に用いられる組成物を示す。本実施形態の歯科用組成物の配合は、特に限定されない。本実施形態の歯科用組成物は、例えば、上述の歯科用水溶性ガラスに加え、水硬性粉体を含有する。
本実施形態に係る歯科用組成物は、上述の歯科用水溶性ガラスを含有する。本明細書において、歯科用組成物とは、歯科材料に用いられる組成物を示す。本実施形態の歯科用組成物の配合は、特に限定されない。本実施形態の歯科用組成物は、例えば、上述の歯科用水溶性ガラスに加え、水硬性粉体を含有する。
水硬性粉体は、水と反応して硬化する粉末である。水硬性粉体は、特に限定されない。水硬性粉体としては、例えば、水の存在下で硬化する無機粉体を用いることができる。
このような無機粉体としては、例えば、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、水硬性アルミナ、ポルトランドセメントなどが挙げられる。また、水硬性粉体が硫酸カルシウムの場合は、α半水石膏、β半水石膏を用いることができる。なお、これらの水硬性粉体は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
水硬性粉体の配合量は、特に限定されない。水硬性粉体の配合量は、例えば、歯科用組成物中、10質量%以上90質量%以下であり、好ましくは15質量%以上85質量%以下、より好ましくは30質量%以上80質量%以下である。水硬性粉体の配合量が10質量%以上であると、十分な使用性が得られる。また、水硬性粉体の配合量が90質量%以下であると、歯科用組成物の粘度が高くなりすぎず、歯科用組成物の操作性を向上させることができる。
水硬性粉体の数平均粒子径は、任意である。水硬性粉体の数平均粒子径は、例えば、0.05μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm以上80μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上50μm以下である。
上述の歯科用水溶性ガラスの配合量は、特に限定されない。歯科用水溶性ガラスの配合量は、例えば、歯科用組成物中、0.1質量%以上30質量%以下であり、好ましくは0.2質量%以上28質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上25質量%以下である。カリウムを含む歯科用水溶性ガラスの配合量が0.1質量%以上であると、歯科用組成物としてカリウムイオンの徐放性が十分に得られる。また、カリウムを含む歯科用水溶性ガラスの配合量が30質量%以下であると、水硬性粉体の配合比率が低くなりすぎず、歯科用組成物の操作性を向上させることができる。
本実施形態の歯科用組成物は、有機溶媒を含有していてもよい。有機溶媒は、歯科用組成物をペースト化するために配合される液状の有機化合物である。
有機溶媒は、特に限定されない。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、分子量が20000以下のポリエチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒の配合量は、特に限定されない。有機溶媒の配合量は、例えば、歯科用組成物中、1質量%以上20質量%以下であり、好ましくは2質量%以上18質量%以下、より好ましくは3質量%以上15質量%以下である。
有機溶媒の配合量を歯科用組成物中に1質量%以上とすることで、歯科用組成物の粘度が高くなりすぎず、歯科用組成物の操作性を向上させることができる。また、有機溶媒の配合量を歯科用組成物中に20質量%以下とすることで、歯科用組成物の粘性が低くなりすぎず、歯科用組成物の操作性が向上し、初期硬化性も向上させることができる。
本実施形態の歯科用組成物は、樹脂を含有していてもよい。樹脂は、歯科用組成物に可塑性を付与する成分である。このような樹脂を歯科用組成物に配合することにより、歯科用組成物の操作性を調整することができる。
樹脂は、特に限定されない。樹脂としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸などの単独重合体、及び共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
樹脂の配合量は、特に限定されない。樹脂の配合量は、例えば、歯科用組成物中、5質量%以上30質量%以下であり、好ましくは5質量%以上28質量%以下、より好ましくは6質量%以上25質量%以下である。
樹脂の配合量を歯科用組成物中に5質量%以上とすることで、歯科用組成物に十分な可塑性が付与され、歯科用組成物の操作性を向上させることができる。また、樹脂の配合量を歯科用組成物中に30質量%以下とすることで、歯科用組成物の粘度が高くなりすぎず、歯科用組成物の操作性が向上し、初期硬化性も向上させることができる。
本実施形態に係る歯科用組成物は、水硬性粉体と上述の歯科用水溶性ガラスとを含有することで、水と反応して硬化することができ、同時に、硬化した状態でカリウムイオンを徐放することができる。そのため、本実施形態に係る歯科用組成物を用いることにより、外来刺激による不快感や疼痛などの症状を緩和することできる。
また、本実施形態の歯科用組成物は、水硬性粉体と上述の歯科用水溶性ガラスとを含有することで、口腔内に適用した直後の硬化性(以下、初期硬化性)、窩洞に歯科用組成物を充填した際の操作性及び封鎖性、根管に歯科用組成物を充填した際の充填後の密着性がいずれも良好である。そのため、本実施形態の歯科用組成物は、歯科材料に適している。
さらに、本実施形態の歯科用組成物は、上述の歯科用水溶性ガラスを含有することにより、上述の歯科用水溶性ガラスを用いることにより得られる効果と同等の効果が得られる。
なお、本実施形態の歯科用組成物は、本発明の目的を損なわない限り、その他の任意の成分として、必要に応じて塩酸塩、硫酸塩等の硬化促進剤、炭化水素類、高級脂肪酸類、エステル類等の油性成分、各種の無機あるいは有機の着色剤、抗菌材、香料等を含有してもよい。
本実施形態の歯科用組成物は、各種歯科材料に用いることができる。本実施形態の歯科用組成物の用途は、特に限定されない。歯科用組成物の用途としては、例えば、歯科用セメント、歯科用接着剤、歯科用仮封材、歯科用プライマー、歯科用コート材、歯科用コンポジットレジン、歯科用硬質レジン、歯科切削加工用レジン材料、歯科用暫間修復材、歯科用充填剤、歯磨剤などが挙げられる。これらの中でも、歯科用仮封材に好適に用いられる。
以下、本発明について、さらに実施例を用いて説明する。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、質量基準である。また、各種の試験及び評価は、下記の方法に従う。
<水溶性ガラス及びガラス>
酸化亜鉛(ZnO)、フッ化カルシウム(CaF2)、五酸化リン(P2O5)、及び炭酸水素カリウム(KHCO3)、その他対応する原料を所定の比率で配合した後、乳鉢を用いて、充分に混合撹拌した。得られた混合物を白金るつぼに入れ、電気炉内に設置した。電気炉を1300℃まで昇温し、溶融させて十分均質化した後、金属板又は金属製ローラーに流し出し、室温(約25℃)まで急冷することで、板状又はフリット状のガラスとした。得られたガラスを、アルミナ製のボールミルを用いて、20時間粉砕した後、120メッシュの篩を通過させ、粉末状の水溶性ガラス(実施例1~16)を調製した。同様に、対応する原料を所定の比率で配合することにより、ガラス粉末(比較例1~3)を調製した。
酸化亜鉛(ZnO)、フッ化カルシウム(CaF2)、五酸化リン(P2O5)、及び炭酸水素カリウム(KHCO3)、その他対応する原料を所定の比率で配合した後、乳鉢を用いて、充分に混合撹拌した。得られた混合物を白金るつぼに入れ、電気炉内に設置した。電気炉を1300℃まで昇温し、溶融させて十分均質化した後、金属板又は金属製ローラーに流し出し、室温(約25℃)まで急冷することで、板状又はフリット状のガラスとした。得られたガラスを、アルミナ製のボールミルを用いて、20時間粉砕した後、120メッシュの篩を通過させ、粉末状の水溶性ガラス(実施例1~16)を調製した。同様に、対応する原料を所定の比率で配合することにより、ガラス粉末(比較例1~3)を調製した。
<ガラス粉末の粒径>
レーザー回折散乱式粒度分布計(LA-950、堀場製作所社製)を用いて、ガラス粉末(水溶性ガラスの粉末)の粒度分布を測定したところ、実施例及び比較例の何れのガラス粉末も数平均粒子径が約10μmであった。
レーザー回折散乱式粒度分布計(LA-950、堀場製作所社製)を用いて、ガラス粉末(水溶性ガラスの粉末)の粒度分布を測定したところ、実施例及び比較例の何れのガラス粉末も数平均粒子径が約10μmであった。
<ガラス粉末の組成>
蛍光X線分析装置(ZSX Primus II、リガク社製)を用いて、ガラス粉末(水溶性ガラスの粉末)を分析し、ガラス粉末の組成を求めた。表1及び表2に、ガラス粉末の組成(単位:質量%)の評価結果を示す。
蛍光X線分析装置(ZSX Primus II、リガク社製)を用いて、ガラス粉末(水溶性ガラスの粉末)を分析し、ガラス粉末の組成を求めた。表1及び表2に、ガラス粉末の組成(単位:質量%)の評価結果を示す。
<歯科用組成物>
表2に示された配合に従い、各成分を秤量、混合し、歯科用組成物(実施例17~39、比較例1~4)を調製した。なお、表2に示される歯科用組成物の実施例は、表1の水溶性ガラス(実施例1~16)のいずれかを配合したものである。
表2に示された配合に従い、各成分を秤量、混合し、歯科用組成物(実施例17~39、比較例1~4)を調製した。なお、表2に示される歯科用組成物の実施例は、表1の水溶性ガラス(実施例1~16)のいずれかを配合したものである。
<水溶性ガラスの水溶解性>
作製した水溶性ガラスを粉砕し、数平均粒子径10μmのガラス粉末とした。次いで、該ガラス粉末を蒸留水中に1質量%の濃度となるように分散させ(投入した水溶性ガラスの質量)、室温(約25℃)で1時間撹拌した。そして、未溶解のガラス粉末をろ紙で回収し、乾燥させた後、乾燥後の未溶解のガラス粉末の質量(未溶解の水溶性ガラスの質量)を測定し、以下の式(1)により水溶性ガラスの水への溶解性(水溶解性)を算出した。
(水溶性ガラスの水溶解性(質量%))=[(投入した水溶性ガラスの質量)-(未溶解の水溶性ガラスの質量)]/(投入した水溶性ガラスの質量)×100 ・・・式(1)
水溶性ガラスの水溶解性は、0.1%以上で水に溶けやすい(良好)と評価した。
作製した水溶性ガラスを粉砕し、数平均粒子径10μmのガラス粉末とした。次いで、該ガラス粉末を蒸留水中に1質量%の濃度となるように分散させ(投入した水溶性ガラスの質量)、室温(約25℃)で1時間撹拌した。そして、未溶解のガラス粉末をろ紙で回収し、乾燥させた後、乾燥後の未溶解のガラス粉末の質量(未溶解の水溶性ガラスの質量)を測定し、以下の式(1)により水溶性ガラスの水への溶解性(水溶解性)を算出した。
(水溶性ガラスの水溶解性(質量%))=[(投入した水溶性ガラスの質量)-(未溶解の水溶性ガラスの質量)]/(投入した水溶性ガラスの質量)×100 ・・・式(1)
水溶性ガラスの水溶解性は、0.1%以上で水に溶けやすい(良好)と評価した。
<水溶性ガラスの徐放性>
作製した水溶性ガラスを粉砕したガラス粉末1gを秤量し、蒸留水100ml中で1時間撹拌した後、ろ過し、ろ液を回収し、水溶性ガラス中のカリウム、亜鉛、及びフッ素の徐放性を測定した。なお、カリウム、亜鉛については、回収したろ液を希釈し、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)(Thermo Fisher社製)を用い、検量線法により各成分の濃度を算出した。また、フッ素については、回収したろ液から、フッ化物電極を用い、検量線法によりフッ化物イオンの濃度を算出した。水溶性ガラスの徐放性は、カリウムの場合は100ppm以上で良好と評価し、亜鉛の場合は10ppm以上で良好と評価し、フッ素の場合は5ppm以上で良好と評価した。
作製した水溶性ガラスを粉砕したガラス粉末1gを秤量し、蒸留水100ml中で1時間撹拌した後、ろ過し、ろ液を回収し、水溶性ガラス中のカリウム、亜鉛、及びフッ素の徐放性を測定した。なお、カリウム、亜鉛については、回収したろ液を希釈し、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)(Thermo Fisher社製)を用い、検量線法により各成分の濃度を算出した。また、フッ素については、回収したろ液から、フッ化物電極を用い、検量線法によりフッ化物イオンの濃度を算出した。水溶性ガラスの徐放性は、カリウムの場合は100ppm以上で良好と評価し、亜鉛の場合は10ppm以上で良好と評価し、フッ素の場合は5ppm以上で良好と評価した。
<歯科用組成物の徐放性>
作製した歯科用組成物をφ10mm、厚さ約2mmに成形し、蒸留水30mlに24時間浸漬させ、抽出液を回収し、歯科用組成物におけるカリウム、亜鉛、及びフッ素の徐放性を測定した。なお、カリウム、亜鉛については、回収した抽出液を希釈し、ICP-OESを用い、検量線法によりカリウムイオン、及び亜鉛イオンの各濃度を算出した。また、フッ素については、回収した抽出液から、フッ化物電極を用い、検量線法によりフッ化物イオンの濃度を算出した。
作製した歯科用組成物をφ10mm、厚さ約2mmに成形し、蒸留水30mlに24時間浸漬させ、抽出液を回収し、歯科用組成物におけるカリウム、亜鉛、及びフッ素の徐放性を測定した。なお、カリウム、亜鉛については、回収した抽出液を希釈し、ICP-OESを用い、検量線法によりカリウムイオン、及び亜鉛イオンの各濃度を算出した。また、フッ素については、回収した抽出液から、フッ化物電極を用い、検量線法によりフッ化物イオンの濃度を算出した。
<歯科用組成物の初期硬化強度>
歯科用組成物をφ10mm、高さ5mmの金属製リングに充填し、37℃の蒸留水中に30分間浸漬させた後、試験片を万能試験機(商品名:オートグラフAG-IS、島津製作所社製)に断面積1mm2の針(ビカー針)を装着し、クロスヘッドスピード1mm/minにて針入させたときの最大試験力(N)を初期硬化強度として測定した。初期硬化強度は、1N以上で良好と評価した。
歯科用組成物をφ10mm、高さ5mmの金属製リングに充填し、37℃の蒸留水中に30分間浸漬させた後、試験片を万能試験機(商品名:オートグラフAG-IS、島津製作所社製)に断面積1mm2の針(ビカー針)を装着し、クロスヘッドスピード1mm/minにて針入させたときの最大試験力(N)を初期硬化強度として測定した。初期硬化強度は、1N以上で良好と評価した。
<歯科用組成物の封鎖性>
牛歯にφ約3.3mm、深さ2mm程度の窩洞を形成し、作製した歯科用組成物を歯科用インスツルメントを用いて該牛歯の窩洞に充填した。これを37℃恒温槽中で蒸留水中に2時間浸漬した後、2%メチレンブルー水溶液に7日間浸漬し、回収し、アイソメットで切断し、メチレンブルーの浸透の有無を確認して、歯科用組成物の封鎖性を下記の基準で評価した。
優:窩洞の髄室床に浸透なし
良:窩洞の髄室床(中間)に浸透あり
不良:窩洞の髄室床(底)に浸透あり
牛歯にφ約3.3mm、深さ2mm程度の窩洞を形成し、作製した歯科用組成物を歯科用インスツルメントを用いて該牛歯の窩洞に充填した。これを37℃恒温槽中で蒸留水中に2時間浸漬した後、2%メチレンブルー水溶液に7日間浸漬し、回収し、アイソメットで切断し、メチレンブルーの浸透の有無を確認して、歯科用組成物の封鎖性を下記の基準で評価した。
優:窩洞の髄室床に浸透なし
良:窩洞の髄室床(中間)に浸透あり
不良:窩洞の髄室床(底)に浸透あり
<歯科用組成物の操作性>
牛歯にφ約3.3mm、深さ2mm程度の窩洞を形成し、該窩洞に作製した歯科用組成物を歯科用インスツルメントを用いて充填した。その際の歯科用組成物の操作性を下記の基準で評価した。
優:歯科用組成物が歯科用インスツルメントに付着せずに充填できた。
良:歯科用組成物が歯科用インスツルメントに付着するが充填できた。
不良:歯科用組成物が歯科用インスツルメントに付着し歯質に充填できなかった。
牛歯にφ約3.3mm、深さ2mm程度の窩洞を形成し、該窩洞に作製した歯科用組成物を歯科用インスツルメントを用いて充填した。その際の歯科用組成物の操作性を下記の基準で評価した。
優:歯科用組成物が歯科用インスツルメントに付着せずに充填できた。
良:歯科用組成物が歯科用インスツルメントに付着するが充填できた。
不良:歯科用組成物が歯科用インスツルメントに付着し歯質に充填できなかった。
<歯科用組成物の密着性>
歯根模型(商品名:歯根管模型、株式会社ニッシン社製)の根管を拡大した根管に、作製した歯科用組成物を歯科用インスツルメントを用いて充填したときの充填後の密着性を下記の基準で評価した。
優:歯科用組成物が根管壁に隙間なく密着した。
不良:歯科用組成物と根管壁の間に隙間ができた。
歯根模型(商品名:歯根管模型、株式会社ニッシン社製)の根管を拡大した根管に、作製した歯科用組成物を歯科用インスツルメントを用いて充填したときの充填後の密着性を下記の基準で評価した。
優:歯科用組成物が根管壁に隙間なく密着した。
不良:歯科用組成物と根管壁の間に隙間ができた。
以下、実施例及び比較例について、説明する。
[実施例1]
酸化カリウム(K2O)18.1部、五酸化リン(P2O5)63.3部、酸化カルシウム(CaO)7.4部、酸化亜鉛(ZnO)4.5部、フッ素(F)6.7部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
酸化カリウム(K2O)18.1部、五酸化リン(P2O5)63.3部、酸化カルシウム(CaO)7.4部、酸化亜鉛(ZnO)4.5部、フッ素(F)6.7部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
[実施例2]
酸化カリウム(K2O)30.3部、五酸化リン(P2O5)44.6部、酸化カルシウム(CaO)9.5部、酸化亜鉛(ZnO)9.1部、フッ素(F)6.5部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
酸化カリウム(K2O)30.3部、五酸化リン(P2O5)44.6部、酸化カルシウム(CaO)9.5部、酸化亜鉛(ZnO)9.1部、フッ素(F)6.5部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
[実施例3]
酸化カリウム(K2O)37.9部、五酸化リン(P2O5)21.4部、酸化カルシウム(CaO)12.3部、酸化亜鉛(ZnO)5部、フッ素(F)18部、二酸化ケイ素(SiO2)5.4部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
酸化カリウム(K2O)37.9部、五酸化リン(P2O5)21.4部、酸化カルシウム(CaO)12.3部、酸化亜鉛(ZnO)5部、フッ素(F)18部、二酸化ケイ素(SiO2)5.4部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
[実施例4]
酸化カリウム(K2O)14部、五酸化リン(P2O5)40.3部、酸化カルシウム(CaO)32.5部、酸化亜鉛(ZnO)6部、フッ素(F)7.2部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
酸化カリウム(K2O)14部、五酸化リン(P2O5)40.3部、酸化カルシウム(CaO)32.5部、酸化亜鉛(ZnO)6部、フッ素(F)7.2部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
[実施例5]
酸化カリウム(K2O)10.7部、五酸化リン(P2O5)20部、酸化カルシウム(CaO)15.1部、酸化亜鉛(ZnO)28.1部、フッ素(F)25.1部、二酸化ケイ素(SiO2)1部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
酸化カリウム(K2O)10.7部、五酸化リン(P2O5)20部、酸化カルシウム(CaO)15.1部、酸化亜鉛(ZnO)28.1部、フッ素(F)25.1部、二酸化ケイ素(SiO2)1部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
[実施例6]
酸化カリウム(K2O)11部、五酸化リン(P2O5)70.1部、酸化カルシウム(CaO)8部、酸化亜鉛(ZnO)5.1部、酸化アルミニウム(Al2O3)0.5部、フッ素(F)5.3部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
酸化カリウム(K2O)11部、五酸化リン(P2O5)70.1部、酸化カルシウム(CaO)8部、酸化亜鉛(ZnO)5.1部、酸化アルミニウム(Al2O3)0.5部、フッ素(F)5.3部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
[実施例7]
酸化カリウム(K2O)33.4部、五酸化リン(P2O5)43部、酸化カルシウム(CaO)5.5部、酸化亜鉛(ZnO)8部、酸化アルミニウム(Al2O3)1.1部、フッ素(F)7部、二酸化ケイ素(SiO2)2部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
酸化カリウム(K2O)33.4部、五酸化リン(P2O5)43部、酸化カルシウム(CaO)5.5部、酸化亜鉛(ZnO)8部、酸化アルミニウム(Al2O3)1.1部、フッ素(F)7部、二酸化ケイ素(SiO2)2部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
[実施例8]
酸化カリウム(K2O)34.5部、五酸化リン(P2O5)10部、酸化カルシウム(CaO)19.5部、酸化亜鉛(ZnO)4部、酸化アルミニウム(Al2O3)3.5部、フッ素(F)28.5部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
酸化カリウム(K2O)34.5部、五酸化リン(P2O5)10部、酸化カルシウム(CaO)19.5部、酸化亜鉛(ZnO)4部、酸化アルミニウム(Al2O3)3.5部、フッ素(F)28.5部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
[実施例9]
酸化カリウム(K2O)29.6部、五酸化リン(P2O5)41.7部、酸化カルシウム(CaO)9部、酸化亜鉛(ZnO)8.6部、酸化アルミニウム(Al2O3)5.3部、フッ素(F)5.8部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
酸化カリウム(K2O)29.6部、五酸化リン(P2O5)41.7部、酸化カルシウム(CaO)9部、酸化亜鉛(ZnO)8.6部、酸化アルミニウム(Al2O3)5.3部、フッ素(F)5.8部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
[実施例10]
酸化カリウム(K2O)12.7部、五酸化リン(P2O5)45部、酸化カルシウム(CaO)8.3部、酸化亜鉛(ZnO)17部、酸化アルミニウム(Al2O3)7部、フッ素(F)10部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
酸化カリウム(K2O)12.7部、五酸化リン(P2O5)45部、酸化カルシウム(CaO)8.3部、酸化亜鉛(ZnO)17部、酸化アルミニウム(Al2O3)7部、フッ素(F)10部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表1に示す。
[実施例11]
酸化カリウム(K2O)10.1部、五酸化リン(P2O5)60.7部、酸化カルシウム(CaO)10部、酸化亜鉛(ZnO)7.2部、酸化アルミニウム(Al2O3)7.5部、フッ素(F)4.5部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
酸化カリウム(K2O)10.1部、五酸化リン(P2O5)60.7部、酸化カルシウム(CaO)10部、酸化亜鉛(ZnO)7.2部、酸化アルミニウム(Al2O3)7.5部、フッ素(F)4.5部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
[実施例12]
酸化カリウム(K2O)31.5部、五酸化リン(P2O5)29.5部、酸化カルシウム(CaO)6部、酸化亜鉛(ZnO)13.5部、酸化アルミニウム(Al2O3)12.2部、フッ素(F)7.3部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
酸化カリウム(K2O)31.5部、五酸化リン(P2O5)29.5部、酸化カルシウム(CaO)6部、酸化亜鉛(ZnO)13.5部、酸化アルミニウム(Al2O3)12.2部、フッ素(F)7.3部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
[実施例13]
酸化カリウム(K2O)22部、五酸化リン(P2O5)21部、酸化カルシウム(CaO)5.3部、酸化亜鉛(ZnO)4部、酸化アルミニウム(Al2O3)15.4部、フッ素(F)4.1部、二酸化ケイ素(SiO2)28.2部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
酸化カリウム(K2O)22部、五酸化リン(P2O5)21部、酸化カルシウム(CaO)5.3部、酸化亜鉛(ZnO)4部、酸化アルミニウム(Al2O3)15.4部、フッ素(F)4.1部、二酸化ケイ素(SiO2)28.2部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
[実施例14]
酸化カリウム(K2O)12.3部、五酸化リン(P2O5)32.3部、酸化カルシウム(CaO)1部、酸化亜鉛(ZnO)11部、酸化アルミニウム(Al2O3)16.7部、フッ素(F)15.8部、二酸化ケイ素(SiO2)10.9部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
酸化カリウム(K2O)12.3部、五酸化リン(P2O5)32.3部、酸化カルシウム(CaO)1部、酸化亜鉛(ZnO)11部、酸化アルミニウム(Al2O3)16.7部、フッ素(F)15.8部、二酸化ケイ素(SiO2)10.9部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
[実施例15]
酸化カリウム(K2O)21部、五酸化リン(P2O5)20部、酸化カルシウム(CaO)17.5部、酸化亜鉛(ZnO)18.8部、酸化アルミニウム(Al2O3)17.3部、フッ素(F)4.4部、二酸化ケイ素(SiO2)1部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
酸化カリウム(K2O)21部、五酸化リン(P2O5)20部、酸化カルシウム(CaO)17.5部、酸化亜鉛(ZnO)18.8部、酸化アルミニウム(Al2O3)17.3部、フッ素(F)4.4部、二酸化ケイ素(SiO2)1部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
[実施例16]
酸化カリウム(K2O)36部、五酸化リン(P2O5)10部、酸化カルシウム(CaO)7.3部、酸化亜鉛(ZnO)5.9部、酸化アルミニウム(Al2O3)23.4部、フッ素(F)4部、二酸化ケイ素(SiO2)13.4部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
酸化カリウム(K2O)36部、五酸化リン(P2O5)10部、酸化カルシウム(CaO)7.3部、酸化亜鉛(ZnO)5.9部、酸化アルミニウム(Al2O3)23.4部、フッ素(F)4部、二酸化ケイ素(SiO2)13.4部、を含有する水溶性ガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
[比較例1]
五酸化リン(P2O5)22.3部、酸化亜鉛(ZnO)3部、酸化アルミニウム(Al2O3)19.8部、二酸化ケイ素(SiO2)54.9部、を含有するガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
五酸化リン(P2O5)22.3部、酸化亜鉛(ZnO)3部、酸化アルミニウム(Al2O3)19.8部、二酸化ケイ素(SiO2)54.9部、を含有するガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
[比較例2]
酸化カリウム(K2O)41.2部、五酸化リン(P2O5)44.9部、酸化カルシウム(CaO)3.8部、酸化アルミニウム(Al2O3)10.1部、を含有するガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
酸化カリウム(K2O)41.2部、五酸化リン(P2O5)44.9部、酸化カルシウム(CaO)3.8部、酸化アルミニウム(Al2O3)10.1部、を含有するガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
[比較例3]
酸化カリウム(K2O)15.3部、五酸化リン(P2O5)7.6部、酸化カルシウム(CaO)3.4部、酸化アルミニウム(Al2O3)2.8部、フッ素(F)5.7部、二酸化ケイ素(SiO2)65.2部、を含有するガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
酸化カリウム(K2O)15.3部、五酸化リン(P2O5)7.6部、酸化カルシウム(CaO)3.4部、酸化アルミニウム(Al2O3)2.8部、フッ素(F)5.7部、二酸化ケイ素(SiO2)65.2部、を含有するガラスを作製し、評価した。組成、及び評価結果を表2に示す。
[実施例17]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)65.3部、水溶性ガラスとして実施例1の水溶性ガラス0.4部、有機溶媒としてエチレングリコール14.8部、樹脂として酢酸ビニル19.5部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)65.3部、水溶性ガラスとして実施例1の水溶性ガラス0.4部、有機溶媒としてエチレングリコール14.8部、樹脂として酢酸ビニル19.5部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例18]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)65部、水溶性ガラスとして実施例2の水溶性ガラス1部、有機溶媒としてエチレングリコール10部、樹脂として酢酸ビニル24部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)65部、水溶性ガラスとして実施例2の水溶性ガラス1部、有機溶媒としてエチレングリコール10部、樹脂として酢酸ビニル24部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例19]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)71.3部、水溶性ガラスとして実施例9の水溶性ガラス1.3部、有機溶媒としてエチレングリコール9.1部、樹脂として酢酸ビニル18.3部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)71.3部、水溶性ガラスとして実施例9の水溶性ガラス1.3部、有機溶媒としてエチレングリコール9.1部、樹脂として酢酸ビニル18.3部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例20]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)70.5部、水溶性ガラスとして実施例9の水溶性ガラス4.7部、有機溶媒としてエチレングリコール8.3部、樹脂として酢酸ビニル16.5部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)70.5部、水溶性ガラスとして実施例9の水溶性ガラス4.7部、有機溶媒としてエチレングリコール8.3部、樹脂として酢酸ビニル16.5部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例21]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)79.9部、水溶性ガラスとして実施例2の水溶性ガラス6.5部、有機溶媒としてエチレングリコール5.1部、樹脂として酢酸ビニル8.5部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)79.9部、水溶性ガラスとして実施例2の水溶性ガラス6.5部、有機溶媒としてエチレングリコール5.1部、樹脂として酢酸ビニル8.5部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例22]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)66.1部、水溶性ガラスとして実施例9の水溶性ガラス11.1部、有機溶媒としてエチレングリコール6.8部、樹脂として酢酸ビニル16部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)66.1部、水溶性ガラスとして実施例9の水溶性ガラス11.1部、有機溶媒としてエチレングリコール6.8部、樹脂として酢酸ビニル16部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例23]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)49.6部、水溶性ガラスとして実施例1の水溶性ガラス15.7部、有機溶媒としてエチレングリコール14.5部、樹脂として酢酸ビニル20.2部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)49.6部、水溶性ガラスとして実施例1の水溶性ガラス15.7部、有機溶媒としてエチレングリコール14.5部、樹脂として酢酸ビニル20.2部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例24]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)60.2部、水溶性ガラスとして実施例12の水溶性ガラス16.8部、有機溶媒としてエチレングリコール7.7部、樹脂として酢酸ビニル15.3部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)60.2部、水溶性ガラスとして実施例12の水溶性ガラス16.8部、有機溶媒としてエチレングリコール7.7部、樹脂として酢酸ビニル15.3部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例25]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)48.1部、水溶性ガラスとして実施例7の水溶性ガラス17部、有機溶媒としてエチレングリコール13.9部、樹脂として酢酸ビニル21部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)48.1部、水溶性ガラスとして実施例7の水溶性ガラス17部、有機溶媒としてエチレングリコール13.9部、樹脂として酢酸ビニル21部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例26]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)41.7部、水溶性ガラスとして実施例2の水溶性ガラス19.7部、有機溶媒としてエチレングリコール13.9部、樹脂として酢酸ビニル24.7部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)41.7部、水溶性ガラスとして実施例2の水溶性ガラス19.7部、有機溶媒としてエチレングリコール13.9部、樹脂として酢酸ビニル24.7部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例27]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)53.1部、水溶性ガラスとして実施例3の水溶性ガラス20部、有機溶媒としてエチレングリコール5.9部、樹脂として酢酸ビニル21部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)53.1部、水溶性ガラスとして実施例3の水溶性ガラス20部、有機溶媒としてエチレングリコール5.9部、樹脂として酢酸ビニル21部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例28]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)35部、水溶性ガラスとして実施例3の水溶性ガラス22.6部、有機溶媒としてエチレングリコール13.8部、樹脂として酢酸ビニル28.6部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)35部、水溶性ガラスとして実施例3の水溶性ガラス22.6部、有機溶媒としてエチレングリコール13.8部、樹脂として酢酸ビニル28.6部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例29]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)41.8部、水溶性ガラスとして実施例3の水溶性ガラス24.9部、有機溶媒としてエチレングリコール19.1部、樹脂として酢酸ビニル14.2部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)41.8部、水溶性ガラスとして実施例3の水溶性ガラス24.9部、有機溶媒としてエチレングリコール19.1部、樹脂として酢酸ビニル14.2部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表3に示す。
[実施例30]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)69部、水溶性ガラスとして実施例4の水溶性ガラス5.1部、有機溶媒としてエチレングリコール10.9部、樹脂として酢酸ビニル15部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)69部、水溶性ガラスとして実施例4の水溶性ガラス5.1部、有機溶媒としてエチレングリコール10.9部、樹脂として酢酸ビニル15部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[実施例31]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)70.3部、水溶性ガラスとして実施例5の水溶性ガラス7.8部、有機溶媒としてエチレングリコール12部、樹脂として酢酸ビニル9.9部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)70.3部、水溶性ガラスとして実施例5の水溶性ガラス7.8部、有機溶媒としてエチレングリコール12部、樹脂として酢酸ビニル9.9部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[実施例32]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)65.2部、水溶性ガラスとして実施例6の水溶性ガラス12.5部、有機溶媒としてエチレングリコール5部、樹脂として酢酸ビニル17.3部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)65.2部、水溶性ガラスとして実施例6の水溶性ガラス12.5部、有機溶媒としてエチレングリコール5部、樹脂として酢酸ビニル17.3部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[実施例33]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)65部、水溶性ガラスとして実施例8の水溶性ガラス20部、有機溶媒としてエチレングリコール9部、樹脂として酢酸ビニル6部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)65部、水溶性ガラスとして実施例8の水溶性ガラス20部、有機溶媒としてエチレングリコール9部、樹脂として酢酸ビニル6部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[実施例34]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)71.8部、水溶性ガラスとして実施例10の水溶性ガラス4.9部、有機溶媒としてエチレングリコール8.8部、樹脂として酢酸ビニル14.5部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)71.8部、水溶性ガラスとして実施例10の水溶性ガラス4.9部、有機溶媒としてエチレングリコール8.8部、樹脂として酢酸ビニル14.5部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[実施例35]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)75部、水溶性ガラスとして実施例10の水溶性ガラス10部、有機溶媒としてエチレングリコール3部、樹脂として酢酸ビニル12部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)75部、水溶性ガラスとして実施例10の水溶性ガラス10部、有機溶媒としてエチレングリコール3部、樹脂として酢酸ビニル12部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[実施例36]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)53.7部、水溶性ガラスとして実施例13の水溶性ガラス13.7部、有機溶媒としてエチレングリコール13.2部、樹脂として酢酸ビニル19.4部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)53.7部、水溶性ガラスとして実施例13の水溶性ガラス13.7部、有機溶媒としてエチレングリコール13.2部、樹脂として酢酸ビニル19.4部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[実施例37]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)55.2部、水溶性ガラスとして実施例14の水溶性ガラス14.9部、有機溶媒としてエチレングリコール2.8部、樹脂として酢酸ビニル27.1部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)55.2部、水溶性ガラスとして実施例14の水溶性ガラス14.9部、有機溶媒としてエチレングリコール2.8部、樹脂として酢酸ビニル27.1部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[実施例38]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)53部、水溶性ガラスとして実施例15の水溶性ガラス11.4部、有機溶媒としてエチレングリコール14部、樹脂として酢酸ビニル21.6部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)53部、水溶性ガラスとして実施例15の水溶性ガラス11.4部、有機溶媒としてエチレングリコール14部、樹脂として酢酸ビニル21.6部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[実施例39]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)50部、水溶性ガラスとして実施例16の水溶性ガラス24.4部、有機溶媒としてエチレングリコール17.2部、樹脂として酢酸ビニル8.4部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)50部、水溶性ガラスとして実施例16の水溶性ガラス24.4部、有機溶媒としてエチレングリコール17.2部、樹脂として酢酸ビニル8.4部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[比較例4]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)60部、有機溶媒としてエチレングリコール15部、樹脂として酢酸ビニル25部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)60部、有機溶媒としてエチレングリコール15部、樹脂として酢酸ビニル25部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[比較例5]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)80部、有機溶媒としてエチレングリコール10部、樹脂として酢酸ビニル10部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)80部、有機溶媒としてエチレングリコール10部、樹脂として酢酸ビニル10部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
[比較例6]
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)54部、ガラスとして比較例1のガラス6部、有機溶媒としてエチレングリコール7部、樹脂として酢酸ビニル33部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
水硬性粉体として硫酸カルシウム(α型半水石膏)54部、ガラスとして比較例1のガラス6部、有機溶媒としてエチレングリコール7部、樹脂として酢酸ビニル33部、を配合した歯科用組成物を作製し、評価した。配合、及び評価結果を表4に示す。
表1、表2より、10質量%以上50質量%以下のK2O、10質量%以上80質量%以下のP2O5、1質量%以上40質量%以下のCaO、4質量%以上30質量%以下のZnO、及び4質量%以上30質量%以下のFを含有する水溶性ガラスは、水溶解性、徐放性がいずれも良好であった(実施例1~16)。
これに対して、K2Oを含有しないガラス(比較例1)、ZnOとFを含有しないガラス(比較例2)、P2O5の含有量が10質量%未満のガラス(比較例3)は、水溶解性、徐放性(カリウム、亜鉛、フッ素)はいずれも不良であった。
また、表3、表4より、水溶解性、徐放性がいずれも良好な水溶性ガラス(実施例1~16)を水硬性粉体と配合した歯科用組成物は、徐放性(カリウム、亜鉛、フッ素)、初期硬化強度、封鎖性、操作性、密着性のいずれも良好であった(実施例17~39)。
一方、水溶性ガラスを配合しない歯科用組成物(比較例4、5)は、初期硬化強度、封鎖性、操作性がいずれも不良であり、カリウムを含有しないガラスを水硬性粉体と配合した歯科用組成物(比較例6)は、初期硬化強度、封鎖性、密着性がいずれも不良であった。
これらの結果から、K2O 10質量%以上50質量%以下、P2O5 10質量%以上80質量%以下、CaO 1質量%以上40質量%以下、ZnO 4質量%以上30質量%以下、及びF 4質量%以上30質量%以下、を含有する、歯科用水溶性ガラスは、外来刺激による不快感や疼痛などの症状を緩和することができることが判った。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
Claims (5)
- K2O 10質量%以上50質量%以下、
P2O5 10質量%以上80質量%以下、
CaO 1質量%以上40質量%以下、
ZnO 4質量%以上30質量%以下、及び
F 4質量%以上30質量%以下、
を含有する、歯科用水溶性ガラス。 - 水に対する溶解度が0.1%以上である、請求項1に記載の歯科用水溶性ガラス。
- リン酸塩ガラスである、請求項1又は2に記載の歯科用水溶性ガラス。
- K2OとP2O5の含有量の合計が82質量%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の歯科用水溶性ガラス。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の歯科用水溶性ガラスを含有する、歯科用組成物。
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JP2020166422A JP2022057915A (ja) | 2020-09-30 | 2020-09-30 | 歯科用水溶性ガラス、及び歯科用組成物 |
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