JP2022057707A - ホエイ蛋白質含有酸性飲料及びその製造方法 - Google Patents

ホエイ蛋白質含有酸性飲料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ホエイ蛋白質を高濃度に含有し、長期的な乳化安定性に優れ、ホエイ蛋白質特有の不快味が低減され、清涼感のあるすっきりした風味を持つ、蛋白質含有飲料を提供することである。【解決手段】上記課題を解決するために、蛋白質、油脂、乳化剤を含むpH2.5~5.0の蛋白質含有飲料であって、前記蛋白質は、前記飲料中のホエイ蛋白質含量が5.0~15.0質量%であり、前記油脂の含量は、0.1~20.0質量%であり、前記乳化剤は、HLB11~16のショ糖脂肪酸エステルを、前記油脂100質量部に対して1.0~30.0質量部含有し、前記飲料中の油滴のメジアン径(D50)は、500nm以下である、蛋白質含有飲料を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ホエイ蛋白質を高濃度に含有するホエイ蛋白質含有酸性飲料に関する。
プロアスリートは競技パフォーマンスを向上させるために、日々のトレーニングによって筋肉を維持及び増強させるが、トレーニングの前後や最中に蛋白質を多く摂取することで、その効率を上げられることが知られている。この蛋白質摂取によるトレーニングの効率向上の考え方は一般のスポーツ愛好家にも浸透してきており、トレーニングの前後や最中に蛋白質を摂取することを目的とした食品が数多く販売されている。また、近年、加齢や運動不足、通常の食事からの栄養摂取量の不足によって、高齢者の筋肉量や筋力が減少している状態(サルコペニア)も問題視されており、その予防および解消には、蛋白質をより多く摂取することに加えて、運動することが必要とされている。このように、プロアスリートから一般のスポーツ愛好家や高齢者まで幅広い世代にとって、トレーニングや運動の前後や最中に高濃度の蛋白質を含有する食品の需要は以前よりもより高まっている。
さらに、一般のスポーツ愛好家や高齢者のサルコペニアの解消への訴求を鑑みた蛋白質含有食品を考えた場合、蛋白質のみを多く含有するだけでなく脂質などもバランスよく含有されていることが求められる。
上市されている蛋白質含有食品は、乳由来の蛋白質(乳蛋白質)を配合したものが多く、乳蛋白質を大別するとカゼイン蛋白質とホエイ蛋白質とに分けられる。これらは、生体への吸収スピードの違いがある。トレーニングの前後や最中での摂取を想定した場合、生体への吸収が早いことが知られているホエイ蛋白質を摂取した方が、より効率的にトレーニングの効果を得られると考えられており、乳蛋白質を配合した製品の中でもホエイ蛋白質を配合した食品のニーズは高い。
ホエイ蛋白質を高含有した食品には粉末状のホエイ蛋白質を水に溶いて飲むタイプや、ウエハースなどの固形食品にホエイ蛋白質を含有したバータイプなど様々な剤型の製品が上市されている。こうした食品の中でも、トレーニングの前後や最中における摂取を考慮すると、喫食の度に準備が必要ないことや摂取の際に咀嚼が必要でないことなど、摂取時の簡便さが重要であることから、ホエイ蛋白質含有飲料が適していると考えられる。また、ここで考えられる飲料はトレーニングの前後や最中の摂取が想定されることから、清涼感のあるすっきりした風味が求められるため、pH2.5~pH5.0程度の酸性の飲料が適していると考えられる。さらに、比較的賞味期限の長い飲料では、賞味期限内に蛋白質の沈殿や油脂の分離などの物性の変化が起こらないことが必要であり、長期的な乳化安定性を有することが求められる。
しかしながら、ホエイ蛋白質の三次元構造は球状であり、同じ乳蛋白質でありランダムコイル構造をとるカゼイン蛋白質と比べて乳化力が弱いため、油脂を配合した飲料において乳化安定性が劣るといった問題がある。また、ホエイ蛋白質を高含有した酸性飲料の場合、加熱によりホエイ蛋白質独自の苦みなどの不快味を発生し、清涼感のある飲料を製造できないという問題もある。飲料を製造する工程では調合時や殺菌時に加熱されることから、上記の乳化安定性の低さや不快味の発生は、ホエイ蛋白質を高配合にした飲料の開発において大きな課題となっている。
特許文献1には、有機酸モノグリセライドとポリグリセリン脂肪酸エステルとを配合し、油滴粒子径を0.4μm以下にすることで蛋白質飲料の乳化安定性を向上させる方法が示されている。しかし、風味の良くない有機酸モノグリセライドを使用しているため、酸性飲料にした場合乳化剤由来のエグ味を感じるため清涼感がなく、飲料として風味は悪い。
また、特許文献2には、蛋白質としてホエイ蛋白質とカゼイン蛋白質とを配合し、乳化剤としてレシチンを配合することで熱安定性や物性が良好な液状栄養組成物とその製造方法とが示されている。しかし、レシチンは酸性領域での乳化安定性が低いため、酸性飲料では長期的な乳化安定性を得ることは難しい。また、開示された実施例においては、組成物中のホエイ蛋白質含量が2.17質量%の飲料が開示されているにすぎない。
以上より、従来技術ではホエイ蛋白質を高濃度で含有し、長期的に乳化安定性に優れ、ホエイ蛋白質由来の不快味を感じることなく、清涼感のあるすっきりした風味を持つ、蛋白質含有飲料を製造することは困難であった。
特開2009-084204号公報 国際公開第2008/136420号
本発明の課題は、ホエイ蛋白質を高濃度に含有し、長期的な乳化安定性に優れ、ホエイ蛋白質特有の不快味が低減され、清涼感のあるすっきりした風味を持つ、ホエイ蛋白質含有飲料を提供することである。
本発明者は前記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、油脂と乳化剤とを特定の配合で添加することで、ホエイ蛋白質を高濃度に含有した際に生じる特有の不快味が低減され、長期的に乳化安定な清涼感のある酸性のホエイ蛋白質含有飲料が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1][2]である。
[1]
蛋白質、油脂、乳化剤を含むpH2.5~5.0の蛋白質含有飲料であって、
前記蛋白質は、前記飲料中のホエイ蛋白質含量が5.0~15.0質量%であり、
前記油脂の含量は、0.1~20.0質量%であり、
前記乳化剤は、HLB11~16のショ糖脂肪酸エステルを、前記油脂100質量部に対して1.0~30.0質量部含有し、
前記飲料中の油滴のメジアン径(D50)は、500nm以下である、ホエイ蛋白質含有飲料。
[2]
蛋白質、油脂、乳化剤を含むpH2.5~5.0の蛋白質含有飲料であって、HLB11~16のショ糖脂肪酸エステルを配合した水相部に前記油脂を配合し、油滴のメジアン径(D50)が500nm以下である水中油型乳化組成物を製造する工程と、前記蛋白質としてホエイ蛋白質を配合したpH2.5~5.0の溶液に前記水中油型乳化組成物を配合する工程とを備えるホエイ蛋白質含有飲料の製造方法。
本発明によれば、ホエイ蛋白質を高濃度に含有し、長期的に乳化安定性に優れ、ホエイ蛋白質特有な不快味が低減され、清涼感のあるすっきりした風味を持つ、ホエイ蛋白質含有飲料を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のホエイ蛋白質含有飲料はホエイ蛋白質、油脂、ショ糖脂肪酸エステルを必須成分として含有する。ここで、蛋白質を含有することが知られている飲料である牛乳や加工乳、豆乳、豆乳飲料などにおける蛋白質含量は2.0~4.0質量%ものが一般的であるため、本発明において「蛋白質を高濃度に含有した飲料」とは、「ホエイ蛋白質含量が5.0質量%以上の飲料」と定義する。
(1) ホエイ蛋白質
ホエイ蛋白質は一般的に、チーズやカゼイン製造の際の副産物であるホエイから、乳糖やミネラル、ビタミンを分離することで得られる。本発明ではホエイ蛋白質素材としてホエイ蛋白質含量が80質量%以上であるホエイ蛋白質濃縮物(Whey Protein Concentrate:WPC)や、ホエイ蛋白質含量が90質量%以上のホエイ蛋白質分離物(Whey Protein Isolate:WPI)を用いることが好ましい。
本発明に使用するホエイ蛋白質は、食用に用いることが出来るホエイ蛋白質であれば特に限定されず、WPC及びWPIどちらも使用することが出来る。具体的にはLacprodan SP-9224(アーラフーズイングレディエンツジャパン株式会社製)、Agri-Mark WPC80(メグレ・ジャパン株式会社製)、Wheyco W80 Instant(日本新薬株式会社製)、ミライ80(森永乳業株式会社製)、WPC550(フォンテラジャパン株式会社製)、Lacprodan SP-9213(アーラフーズイングレディエンツジャパン株式会社製)、Lacprodan ISO.Water(アーラフーズイングレディエンツジャパン株式会社製)、ラクトクリスタルPLUS(日本新薬株式会社製)、WPI895(フォンテラジャパン株式会社製)、Provon190(日成共益株式会社製)などが挙げられる。また、本発明における飲料中のホエイ蛋白質含量は風味や清涼感の観点から通常5.0~15.0質量%、好ましくは6.0~13.0質量%、より好ましくは7.0~10.0質量%の範囲内である。飲料中のホエイ蛋白質含量が5.0質量%未満である場合は「蛋白質を高濃度に含有した飲料」の範囲外と考えられ、15.0質量%より多いとホエイ蛋白質特有な不快味を強く感じるため清涼感を感じなくなり、飲料として不適となる。
(2)油脂
本発明の油脂とは、食用に用いることが出来る油脂であれば特に限定はされない。例えば、大豆油、菜種油、コーン油、紅花油、食用ひまわり油、ごま油、綿実油、中鎖脂肪酸油(MCT)、こめ油、オリーブ油、やし油、パーム油、えごま油、しそ油、牛脂、豚脂、魚油等が挙げられる。これらの油脂のうち、油脂結晶の成長によって乳化破壊が起こり、乳化安定性が低下することを防止する点から、0℃で液体である液状油であることが好ましい。特に、粘度が低く乳化安定性が良好となるMCTを使用することが望ましい。また、油脂の含量は風味や清涼感、飲料の乳化安定性の観点から0.1~20.0質量%、好ましくは0.2~16.0質量%、より好ましくは0.3~10.0質量%の範囲内である。油脂が0.1質量%未満である場合はホエイ蛋白質特有な不快味を低減することが困難となり、20.0質量%より多いと油脂感のある重たい風味となるため清涼感が失われ、かつ、油脂が多すぎるため乳化安定性も悪くなる。
(3)ショ糖脂肪酸エステル
HLBの高いショ糖脂肪酸エステルは酸性飲料に配合した場合でも乳化剤自体のエグ味を感じず、飲料本来の風味を邪魔することない。また、ホエイ蛋白質を高含有した酸性飲料においても乳化力に優れているため、油脂の分離を防ぐことができ、飲料中のホエイ蛋白質特有の不快味を低減することに効果的である。本発明のショ糖脂肪酸エステルとは、HLB値が11~16の範囲内である。HLB値が11より小さいショ糖脂肪酸エステルは水への分散性が低くなり、油滴を500nm以下といった小さい値にすることができず、油水分離を引き起こしてしまうため好ましくない。また、風味や飲料の乳化安定性からショ糖脂肪酸エステルの含量は、油脂100質量部に対して通常1.0~30.0質量部、好ましくは2.0~25.0質量部、より好ましくは3.0~20.0質量部の範囲内である。1.0質量部以下では乳化剤の効果が少なく、長期的な乳化安定性が不安定となる。30.0質量部以上では、油脂に対するショ糖脂肪酸エステルの量が過剰になり、適切な乳化剤としての効果が得られなくなり、長期的な乳化安定性が低下する。
(4)油滴のメジアン径(D50)
本発明におけるホエイ蛋白質含有飲料の油滴のメジアン径(D50)は風味や清涼感、長期乳化安定性の観点から500nm以下、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下の範囲である。これは、500nmより大きい粒子径の油滴を含む飲料は風味として油脂感や濃厚感を強く感じてしまいすっきりとした風味が失われ、また油滴の凝集が起こりやすくなることから飲料の長期乳化安定性を維持するのも困難となる。
(5)pH
本発明におけるホエイ蛋白質含有飲料のpHはpH2.5~5.0である。これは、本発明のホエイ蛋白質含有飲料を、爽やかな飲み口とするためであり、果汁含有の清涼飲料水に代表されるpHである。pHが2.5より小さいと酸味が強すぎて、本発明のホエイ蛋白質含有飲料において清涼感を感じられなくなり、pHが5.0より大きいと酸味を感じなくなり、清涼感のあるすっきりした風味を持つ飲料を提供するという課題を達成することができなくなる。
pH4.6以下であると殺菌条件を緩和することが可能であり、ホエイ蛋白質の熱変性や殺菌コストなどによる経済上のメリットが得られることから、pH3.0~4.6がより好ましい。本発明のホエイ蛋白質含有飲料におけるpHの調整方法は公知の方法で行うことができる。例えば、pHを低くするために酸味料などを配合することができる。酸味料としては、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸などが挙げられる。また、酸味料以外の成分として、食品添加物の塩酸や硫酸を配合することができる。
(6)その他の成分
また、本発明におけるホエイ蛋白質含有飲料には、本発明の効果が失われない範囲で、ショ糖脂肪酸エステル以外の乳化剤を併用することが出来る。乳化剤としては例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリド、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、レシチン、ポリソルベート、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウムなどが挙げられる。併用できる乳化剤は、一般に食用として用いることが出来る乳化剤であれば特に限定されない。
また、本発明におけるホエイ蛋白質含有飲料には必要に応じて増粘多糖類を配合することが出来る。例えば、ペクチン、寒天、キサンタンガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、カラギーナンなどの増粘多糖類が挙げられる。食用に用いることが出来る増粘多糖類なら特に限定されない。
また、本発明におけるホエイ蛋白質含有飲料には本発明の効果を損なわない範囲でペプチドやアミノ酸を配合することが出来る。例えば、ホエイペプチド、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、HMB、グルコサミン、グルタミン、グルタミン酸リシン、バリン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、セリン、シトルリンなどのアミノ酸が挙げられる。食用に用いることが出来るペプチド、アミノ酸なら特に限定されない。
また、本発明におけるホエイ蛋白質含有飲料には必要に応じてビタミンを配合することが出来る。例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸Ca、葉酸、ビタミンB12、ビタミンC、ビオチンなどのビタミンが挙げられる。食用に用いることが出来るビタミンなら特に限定されない。
また、本発明におけるホエイ蛋白質含有飲料には必要に応じてミネラルを配合することが出来る。例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、セレン、クロム、モリブデン、マンガン、ヨウ素などのミネラルが挙げられる。ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの提供源は、塩化物、水酸化物、リン酸塩、縮合リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、及び有機酸塩などが挙げられるが、本発明のpH範囲において水溶性であることが望ましい。食用に用いることが出来るミネラルなら特に限定されない。
また、本発明におけるホエイ蛋白質含有飲料には必要に応じ甘味料、香料、果汁、色素、炭酸ガスを配合することが出来る。
本発明におけるホエイ蛋白質含有飲料の製造は以下の調合工程、均質化工程、殺菌工程、充填工程を行うことにより製造することができる。また必要に応じて、調合工程の前に乳化組成物製造工程を行うことができる。
〔乳化組成物製造工程〕
この乳化組成物製造工程は、乳化剤と水とを混合した混合液に油脂を混合攪拌して分散させる工程である。乳化剤を溶解した水相部に油脂を分散させ、水中油型乳化組成物を製造する工程であり、乳化剤と水との混合液が入ったタンクの上部から油脂を徐々に投入しプロペラ攪拌機などで分散させる。このときの水温は25~90℃が好ましく、より好ましくは40~80℃である。水温を高めると原材料を効率的に溶解することができる。20分間分散処理により得た粗乳化組成物を高速ホモミキサーやゴーリン式ホモジナイザー(低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー)、マイクロフルイダイザーを用いて均質化し、水中油型乳化組成物を製造できる。この工程において、油滴のメジアン径(D50)は500nm以下とすることが好ましい。
〔調合工程〕
調合工程は水にそれぞれの原材料を溶解する工程であり、水の入ったタンクの上部から原材料を投入しプロペラ攪拌により溶解させるか、溶けにくい原材料の場合は高速攪拌機もしくはパウブレンダーのような溶解ポンプで溶解させる。このときの水温は25~80℃が好ましく、より好ましくは40~70℃である。水温を高めると原材料を効率的に溶解することができる。さらにそのあとの均質化工程を行う場合において、送液する際に加温すると、均質化機で乳化粒子を効率的に微細化することができる。一方、水温を低くすると、ビタミンや魚油などの熱分解しやすい成分の劣化を抑制し、栄養成分などの品質を向上することができる。油脂や乳化剤を配合する際に、上記の乳化組成物製造工程を経た水中油型乳化組成物を配合することもでき、調合工程で各々を別々に配合することもできる。
〔均質化工程〕
均質化工程は乳化粒子を微細化する工程であり、高速ホモミキサー、ゴーリン式ホモジナイザー(低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー)、マイクロフルイダイザーなどの均質化機が用いられるが、均質化能力や処理能力や製造コストから、高圧ホモジナイザーが好ましく用いられる。均質化圧力は0.5~150MPaが好ましく、より好ましくは10~80MPaである。
〔殺菌工程〕
殺菌工程は、ボイル殺菌、レトルト殺菌、UHT殺菌などの加熱殺菌が用いられるが、風味や栄養成分の劣化を考慮するとUHT殺菌が好ましい。UHT殺菌には直接方式と間接方式があり、間接方式にはプレート式とチューブラー式がある。UHT殺菌では、120℃で1~20秒の処理をすることが望ましい。
〔充填工程〕
充填工程は、殺菌工程がボイル殺菌やレトルト殺菌の場合は殺菌前に密封容器に充填し、殺菌工程がUHT殺菌の場合は殺菌後に無菌的に密封容器に充填する。密封容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、例えば、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器などが挙げられる。
本発明における飲料の形態は特に限定されるものではない。例えば、栄養補助飲料、濃厚流動食、炭酸飲料、プロテイン飲料、スティックゼリー、ゼリー飲料などが挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これにより何ら限定されるものではない。
<実施例1>
2000mL容ステンレスビーカーに水760gを投入し、75℃~85℃に調温した後に、乳化剤であるHLB16のショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステル S-1670、三菱ケミカルフーズ株式会社製)を20g加えて攪拌羽により300rpmの回転数で10分攪拌し、乳化剤を溶解した。次に、油脂として中鎖脂肪酸油(パナセート810、日油株式会社製)を200g加え、75~85℃に調温したまま回転数300rpmで15分間予備乳化をした後、ホモミキサー(クレアミックスCLM-0.8S、エム・テクニック株式会社製)によりホモジナイズ(17000rpm,3min)し、水中油型乳化組成物を得た。次に、2000mL容ステンレスビーカーに水を700g投入し50~55℃に調温した後に、上記水中油型乳化組成物を50g、ホエイ蛋白質(Lacprodan SP-9213、アーラフーズイングレディエンツジャパン株式会社製、ホエイ蛋白質含量86質量%)を85.0g加え、回転数300rpmで15分水和した。その後、酸性成分として75%リン酸溶液(75%食品添加物リン酸、ラサ工業株式会社製)を、pHメーター(LAQUA F-71、株式会社堀場製作所)とpH電極(9615S-10D、株式会社堀場製作所)とを用いてpHを測定しながら加え、pHを3.0に調節すると同時に総重量1000gとなるように加水した。こうして製造した液体を、50~55℃に保持したまま、ホモジナイザー(ホモゲナイザー H-20型、三和エンジニアリング株式会社製)を用いて圧力20Mpaで均質化処理した。25℃まで冷却させた後に、120℃で20秒間UHT殺菌を行い、100gずつアルミパウチに密封充填したものを実施例1のホエイ蛋白質含有飲料とする。得られたホエイ蛋白質含有飲料の油滴のメジアン径(D50)は134nmであった。
実施例2~9及び比較例1~8についても、表1及び表2に従い、実施例1と同様の方法で製造した。実施例8では菜種白絞油(菜種白絞油、辻製油株式会社製)、実施例9ではHLB11のショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステルS-1170、三菱ケミカルフーズ株式会社製)を用いた。また、比較例6ではHLB5のショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステルS570、三菱ケミカルフーズ株式会社製)、実施例7ではデカグリセリンモノオレート(SYグリスターMO-7S、坂本薬品工業株式会社製)と乳酸グリセリンモノステアレート(サンソフトNo.661AS、太陽化学株式会社製)、実施例8ではレシチン(SLP-ペースト、辻製油株式会社製)を使用した。
〔乳化粒子径の測定及び乳化安定性の評価〕
実施例及び比較例において使用したホエイ蛋白質の変性温度は60℃より高い温度であることから、ホエイ蛋白質の分子構造を維持した範囲での乳化安定性に関する加速試験を行った。すなわち、製造直後及び60℃で72時間保存後の実施例及び比較例の蛋白質含有飲料中の油滴のメジアン径(D50)を、レーザー回折/散乱式粒子径測定装置(機器名:LA-900、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。さらに、製造直後の油滴のメジアン径(D50)をα、60℃で72時間保存後の油滴のメジアン径(D50)をβとし、長期安定性の指標として油滴のメジアン径(D50)の変化量(β/α)を算出した。α及びβの値が500nm以下であり、かつβ/αが、1.5以下の場合に、常温(25℃)保管において長期間状態が変化せず乳化安定性が高いと評価した。また、製造直後及び60℃で72時間保管後に性状評価で「分離」と評価した実施例及び比較例については飲用に不適であるとし、乳化安定性の評価を行わなかった。結果は表1及び表2に示す。
〔性状評価〕
製造直後及び60℃で72時間保存後のアルミパウチに入った実施例及び比較例の蛋白質含有飲料を200mlガラスビーカーに移し、25℃で1時間静置したものについて目視で性状確認を行った。均質な液体を「均質」、油浮きや沈殿、クリーミングを起こしている実施例及び比較例を「分離」とした。結果は表1及び表2に示す。
〔風味の評価〕
製造直後及び60℃72時間保存後の実施例及び比較例の蛋白質含有飲料を20~50代のパネラーA~Fの6名によって試飲して評価した。具体的には、本発明の飲料は常温で保管されることを想定しているため、25℃に調温した実施例及び比較例の蛋白質含有飲料20mlを飲み干し、評価した。評価項目は「ホエイ蛋白質特有な不快味」、「清涼感」とした。評価方法は以下に示す。6名の評価の平均値の小数点第二位を四捨五入した値をスコアとし、1.0以上1.5未満を◎、1.5以上2未満を〇、2以上2.5未満を△、2.5以上3.0以下を×として評価した。なお、△及び×は飲用に不適であるとした。結果は表1及び表2に示す。
〈蛋白質特有な不快味の評価〉
蛋白質特有な不快味については以下の基準により段階で評価した。
1:ホエイ蛋白質特有な不快味が全く感じられない。
2:ホエイ蛋白質特有な不快味をわずかに感じられるが、容易に飲み込める。
3:ホエイ蛋白質特有な不快味を顕著に感じ、飲み込み難い。
〈清涼感の評価〉
清涼感については以下の基準により3段階で評価した。
1:味の重たさや甘味、苦味、エグ味を感じず、飲みやすく、清涼感を強く感じる。
2:味の重たさや甘味、苦味、エグ味を少し感じるが、舌からすぐ消え、清涼感がある。
3:味の重たさや甘味、苦味、エグ味を顕著に感じ、舌に残り、清涼感がない。
実施例1~7はホエイ蛋白質特有な不快味を感じず、清涼感を有する飲料を得られることが分かった。また、製造直後及び60℃で72時間保存後でも、油滴のメジアン径(D50)は500nm以下であり、その変化量も1.5以下となった。状態・風味の評価においても、すべての項目で飲用として適用できる結果であった。このことから、本発明において、長期的に乳化安定性と風味に優れたホエイ蛋白質含有飲料を得ることができたことが分かった。
一方で、ホエイ蛋白質含量が20.0質量%であって15.0質量%を超える比較例1は、ホエイ蛋白質の配合量が多いため、製造直後から「分離」があり乳化安定性が低いことが確認されたとともに、ホエイ蛋白質特有な不快味を強く感じられたことから、飲用には不適である。
中鎖脂肪酸油含量が0.050質量%であって0.1質量%未満の比較例2は、油脂の配合量が少ないため、ホエイ蛋白質特有な不快味が強く感じられたことから、飲用には不適である。
中鎖脂肪酸油含量が20.0質量%超の比較例3は、油脂の量が多すぎるため、60℃で72時間保存後に油滴のメジアン径(D50)が500nmより大きく、保存前後の変化量も1.5を超える値となっており、保存後には分離が確認されたことから、乳化安定性は良くなく、さらに、油脂感のある重たい風味で清涼感がなかったことから、飲用には不適である。
ショ糖脂肪酸エステル含量が油脂100質量部に対して1.0質量部未満の比較例4は、乳化剤が少ないことから乳化が不十分であるため、製造直後から「分離」が確認されたことから、飲用には不適である。
ショ糖脂肪酸エステル含量が油脂100質量部に対して30質量部超の比較例5は、乳化剤の量が油脂量に対して過剰であるため、乳化剤由来の苦味やエグ味感じられ、ホエイ蛋白質特有な不快味も強く感じられたことから、飲用には不適である。
HLB11未満のショ糖脂肪酸エステルを含有した比較例6は、ショ糖脂肪酸エステルの水分散性が低いため、製造直後から「分離」があり乳化安定性が低いことが確認されたため、飲料には不適であった。
乳化剤としてデカグリセリンモノオレート及び乳酸グリセリンモノステアレートを含有しHLBが11~16のショ糖脂肪酸エステルを含有していない比較例7は、乳化剤による乳化不足のため、油滴のメジアン径(D50)が500nmより大きく、保管前後の変化量も1.5を超える値となっており、60℃で72時間保存後には分離が確認されたことから、乳化安定性は良くなく、さらに、油脂感のある重たい風味であり、乳化剤由来のエグ味も強く感じられ、風味に清涼感がなかったことから、飲用には不適である。
乳化剤としてレシチンを含有しHLB11~16のショ糖脂肪酸エステルを含有していない比較例8は、乳化剤による乳化不足のため、油滴のメジアン径(D50)が500nmより大きく、保管前後の変化量も1.5を超える値となっており、60℃で72時間保存後には分離が確認されたことから、乳化安定性は良くなく、さらに、油脂感のある重たい風味であり、乳化剤由来のエグ味も強く感じられ、風味に清涼感がなかったことから、飲用には不適である。
Figure 2022057707000001
Figure 2022057707000002
以上の結果から、本発明におけるホエイ蛋白質含有蛋白質飲料は、長期的に乳化安定性に優れ、ホエイ蛋白質特有な不快味が低減された、清涼感のあるすっきりした風味を持つという効果が認められた。

Claims (2)

  1. 蛋白質、油脂、乳化剤を含むpH2.5~5.0の蛋白質含有飲料であって、
    前記蛋白質は、前記飲料中のホエイ蛋白質含量が5.0~15.0質量%であり、
    前記油脂の含量は、0.1~20.0質量%であり、
    前記乳化剤は、HLB11~16のショ糖脂肪酸エステルを、前記油脂100質量部に対して1.0~30.0質量部含有し、
    前記飲料中の油滴のメジアン径(D50)は、500nm以下である、ホエイ蛋白質含有飲料。
  2. 蛋白質、油脂、乳化剤を含むpH2.5~5.0の蛋白質含有飲料であって、HLB11~16のショ糖脂肪酸エステルを配合した水相部に前記油脂を配合し、油滴のメジアン径(D50)が500nm以下である水中油型乳化組成物を製造する工程と、前記蛋白質としてホエイ蛋白質を配合したpH2.5~5.0の溶液に前記水中油型乳化組成物を配合する工程とを備える、ホエイ蛋白質含有飲料の製造方法。

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