JP2022057264A - 熱融着性積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】包装袋等に好適に用いられるポリエチレン系の積層フィルムであって、耐ブロッキング性等の優れた特性を維持しながら、ヤング率等の機械的強度が一層向上した積層フィルムを提供する。【解決手段】それぞれ石油由来の線状低密度ポリエチレンを含有する(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層を有する積層フィルムであって、(B)中間層に植物由来のバイオマスポリエチレンを含有する、上記積層フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエチレン系の積層フィルムに関し、より具体的には包装用フィルムとして好適に用いられ、特に強度(ヤング率)に優れるとともに、植物由来の樹脂を使用することにより環境負荷も低減された、積層フィルムに関する。
プラスチック多層フィルムをヒートシールすることによって構成した包装袋は、食品、飲料、洗剤、シャンプー、化粧品等の各種の内容物を収納するものとして、幅広く使用されている。このようなプラスチック多層フィルムのヒートシール部となる内層側を構成するフィルムとしては、内層側から熱融着層、中間層及びその外側に基材フィルム(基材層)を積層するラミネート層からなる3層構造のポリエチレン系の積層フィルムが、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。これらの積層フィルムは、シール強度、耐衝撃性、耐ブロッキング性などの観点から好適な特性を有するよう設計されたものであったが、スタンディングパウチ等に使用するにあたっては、更に高い機械的強度を有する積層フィルムが強く求められている。
特開2005-14461号公報
上記技術背景に鑑み、本発明の目的は、包装袋等に好適に用いられるポリエチレン系の積層フィルムであって、耐ブロッキング性等の優れた特性を維持しながら、ヤング率等の機械的強度が一層向上した積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、それぞれ石油由来の線状低密度ポリエチレンを含有する熱融着層、中間層、およびラミネート層を有する積層フィルムにおいて、中間層にバイオマス由来の低密度ポリエチレンを添加することで、ヤング率が顕著に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]
それぞれ石油由来の線状低密度ポリエチレンを含有する(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層を有する積層フィルムであって、(B)中間層に植物由来のバイオマスポリエチレンを含有する、上記積層フィルム。
に、関する。
以下、[2]から[7]は、いずれも本発明の好ましい一態様又は一実施形態である。
[2]
DSC測定より得られる融解曲線より算出した0℃~130℃の融解熱量ΔHが135~164J/gである、[1]に記載の積層フィルム。
[3]
前記植物由来のバイオマスポリエチレンの分子量分布Mw/Mnが、3.5以上である、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]
(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層が、いずれも植物由来のバイオマスポリエチレンを含有する、[1]から[3]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[5]
(C)ラミネート層の側に、直接または接着層を介して(D)基材層を有する、[1]から[4]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[6]
[1]から[5]のいずれか一項に記載の積層フィルムを含んでなる包装袋。
[7]
[1]から[5]のいずれか一項に記載の積層フィルムを含んでなるスタンディングパウチ。
本発明の積層フィルムは、耐ブロッキング性等の従来のポリエチレン系積層フィルムの優れた特性を維持しながら、ヤング率が大幅に向上するとともに、その製造等における環境負荷も低減されるなど、実用上高い価値を有する性質を従来技術の限界を超えた高いレベルで兼ね備えたものであり、スタンディングパウチ等の包装袋をはじめとする各種用途において、好適に使用できる。
本発明は、それぞれ石油由来の線状低密度ポリエチレンを含有する(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層を有する積層フィルムであって、(B)中間層に植物由来のバイオマスポリエチレンを含有する、上記積層フィルム、である。
すなわち、本発明の積層フィルムは、(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層のそれぞれに、石油由来の線状低密度ポリエチレンを含有する。
また、本発明の積層フィルムは、少なくとも(B)中間層に、植物由来のバイオマスポリエチレンを所定量含有する。
石油由来の線状低密度ポリエチレン
本発明において用いられる石油由来の線状低密度ポリエチレンは、石油を原料として用いて製造したエチレンの単独重合体、又は石油を原料として用いて製造したエチレンと、αーオレフィンとの共重合体であり、公知の製造方法により合成したものであってよい。
α-オレフィンとしては、炭素数が3~20の化合物を用いることができ、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられ、これらの混合物を用いてもよい。α-オレフィンは、好ましくは、炭素数4、6又は8の化合物若しくはこれらの混合物であり、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン若しくはこれらの混合物である。
石油由来の線状低密度ポリエチレンは、市販品でもよく、例えば、宇部丸善ポリエチレン(株)製2040F(C6-LLDPE、MFR;4.0、密度;0.918g/cm)を用いることができる。
石油由来の線状低密度ポリエチレンは、密度が好ましくは、0.905~0.935g/cm、より好ましくは、0.915~0.930g/cmであり、MFRが好ましくは、0.5~6.0g/10分、より好ましくは、2.0~4.0g/10分である
石油由来の線状低密度ポリエチレンは、分子量分布(重量平均分子量:Mw、と数平均分子量:Mn、との比:Mw/Mnで表示)が1.5~4.0であることが好ましく、さらに好ましくは1.8~3.5の範囲にある。このMw/Mnはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。
石油由来の線状低密度ポリエチレンは、示差走査熱量計(DSC)の昇温速度10℃/分で測定した吸熱曲線から求めた鋭いピークが1個ないし複数個あり、該ピークの最高温度、すなわち融点が95~140℃であることが好ましく、さらに好ましくは105~130℃の範囲にある。
石油由来の線状低密度ポリエチレンは、チーグラー触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒をはじめとする従来公知の触媒を用いた従来公知の製造法により製造することができる。分子量分布が狭く、高強度のフィルムを形成し得る線状低密度ポリエチレンを得る観点からは、シングルサイト触媒を用いることが好ましい。
上記のシングルサイト触媒とは、均一な活性種を形成しうる触媒であり、通常、メタロセン系遷移金属化合物や非メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより、調整される。シングルサイト触媒は、マルチサイト触媒に比べて、活性点構造が均一であるため、高分子量かつ均一度の高い構造の重合体を重合することができるため好ましい。シングルサイト触媒としては、特に、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。メタロセン系触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物と、助触媒と、必要により有機金属化合物と、担体の各触媒成分とを含む触媒である。
上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、そのシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基等である。置換シクロペンタジエニル基としては、炭素数1~30の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ハロシリル基等から選ばれた少なくとも一種の置換基を有するものである。その置換シクロペンタジエニル基の置換基は2個以上有していてもよく、また置換基同士が互いに結合して環を形成し、インデニル環、フルオレニル環、アズレニル環、その水添体等を形成してもよい。置換基同士が互いに結合し形成された環がさらに互いに置換基を有していてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物において、その遷移金属としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム等が挙げられ、特にジルコニウム、ハフニウムが好ましい。該遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては通常2個を有し、各々のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は架橋基により互いに結合しているものが好ましい。なお、架橋基としては炭素数1~4のアルキレン基、シリレン基、ジアルキルシリレン基、ジアリールシリレン基等の置換シリレン基、ジアルキルゲルミレン基、ジアリールゲルミレン基等の置換ゲルミレン基等が挙げられる。好ましくは、置換シリレン基である。
周期律表第IV族の遷移金属化合物において、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子としては、代表的なものとして、水素、炭素数1~20の炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、ポリエニル基等)、ハロゲン、メタアルキル基、メタアリール基等が挙げられる。
上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、一種または二種以上の混合物を触媒成分とすることができる。
助触媒としては、上記の周期律表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効になしうる、または触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衝させうるものをいう。助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼン可溶のアルミノキサンやベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、イオン交換性層状珪酸塩、ホウ素化合物、活性水素基含有あるいは非含有のカチオンと非配位性アニオンからなるイオン性化合物、酸化ランタン等のランタノイド塩、酸化スズ、フルオロ基を含有するフェノキシ化合物等が挙げられる。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。該担体としては無機または有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、モンモリロナイト等のイオン交換性
層状珪酸塩、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられる。
また更に必要により使用される有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物等が例示される。このうち有機アルミニウムが好適に使用される。
石油由来の線状低密度ポリエチレンは、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、他のエチレン系重合体をはじめとする、他のポリマーと共に用いてもよい。
石油由来の線状低密度ポリエチレンは、本発明の目的を損なわない範囲で、通常オレフィン重合体に添加される種々公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤(滑剤)等を必要に応じて配合することができる。
植物由来のバイオマスポリエチレン
本発明において用いられる、植物由来のバイオマスポリエチレンは、植物を原料として用いて製造したエチレンを重合して得られるポリエチレンである。
本発明において、上記植物由来のバイオマスポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び線状低密度ポリエチレンのいずれであってもよいが、低密度ポリエチレン、又は線状低密度ポリエチレンであることが好ましく、低密度ポリエチレンであることが特に好ましい。
植物由来のポリエチレンは、市販品でもよく、例えば、Braskem社から製造販売されているものを用いることができる。具体的には、SLH218、及びSPB681を好適に使用することができる。
本発明において用いられる、植物由来のバイオマスポリエチレンは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーが重合してなるものである。バイオマス由来のエチレンには、下記の製造方法により得られたものを用いることが好ましいが、それには限定されない。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリエチレンはバイオマス由来となる。なお、ポリエチレンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよく、バイオマス由来ではないエチレンや、エチレン以外の原料モノマーを含んでいてもよい。
植物由来のバイオマスポリエチレンの原料となるバイオマスエチレンの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法により得ることができる。以下、バイオマスエチレンの製造方法の一例を説明する。
バイオマスエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。
本発明において、バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
バイオマスエチレンを得るために、この段階で、エタノール中の不純物総量が1ppm以下にする等の高度な精製をさらに行ってもよい。
エタノールの脱水反応によりエチレンを得る際には通常触媒が用いられるが、この触媒は、特に限定されず、従来公知の触媒を用いることができる。プロセス上有利なのは、触媒と生成物の分離が容易な固定床流通反応であり、例えば、γ-アルミナ等が好ましい。
この脱水反応は吸熱反応であるため、通常加熱条件で行う。商業的に有用な反応速度で
反応が進行すれば、加熱温度は限定されないが、好ましくは100℃以上、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは300℃以上の温度が適当である。上限も特に限定されないが、エネルギー収支および設備の観点から、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下である。
反応圧力も特に限定されないが、後続の気液分離を容易にするため常圧以上の圧力が好ましい。工業的には触媒の分離の容易な固定床流通反応が好適であるが、液相懸濁床、流動床等でもよい。
エタノールの脱水反応においては、原料として供給するエタノール中に含まれる水分量によって反応の収率が左右される。一般的に、脱水反応を行う場合には、水の除去効率を考えると水が無いほうが好ましい。しかしながら、固体触媒を用いたエタノールの脱水反応の場合、水が存在しないと他のオレフィン、特にブテンの生成量が増加する傾向にあることが判明した。恐らく、少量の水が存在しないと脱水後のエチレン二量化を押さえることができないためと推察している。許容される水の含有量の下限は、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上必要である。上限は特に限定されないが、物質収支上および熱収支の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
このようにしてエタノールの脱水反応を行うことによりエチレン、水および少量の未反応エタノールの混合部が得られるが、常温において約5MPa以下ではエチレンは気体であるため、これら混合部から気液分離により水やエタノールを除きエチレンを得ることができる。この方法は公知の方法で行えばよい。
気液分離により得られたエチレンはさらに蒸留され、このときの操作圧力が常圧以上であること以外は、蒸留方法、操作温度、および滞留時間等は特に制約されない。
原料がバイオマス由来の発酵エタノールの場合、得られたエチレンには、エタノール発酵工程で混入した不純物であるケトン、アルデヒド、およびエステル等のカルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガスや、酵素の分解物・夾雑物であるアミンおよびアミノ酸等の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニア等が極微量含まれる。ポリエチレンの製造や使用においては、これら極微量の不純物が問題となるおそれがあるので、精製により除去しても良い。精製方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。好適な精製操作としては、例えば、吸着精製法をあげることができる。用いる吸着剤は特に限定されず、従来公知の吸着剤を用いることができる。例えば、高表面積の材料が好ましく、吸着剤の種類としては、バイオマス由来の発酵エタノールの脱水反応により得られるエチレン中の不純物の種類・量に応じて選択される。
なお、エチレン中の不純物の精製方法として苛性水処理を併用してもよい。苛性水処理をする場合は、吸着精製前に行うことが望ましい。その場合、苛性処理後、吸着精製前に水分除去処理を施す必要がある。
植物由来のバイオマスポリエチレンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンおよび/またはα-オレフィンをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα-オレフィンをさらに含んでもよい。
上記のα-オレフィンは、炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数3~20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであることが好ましい。ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであれば、バイオマス由来の原料であるエチレンの重合により製造することが可能となるからである。また、このようなα-オレフィンを含むことで、重合されてなるポリオレフィンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。
上記のポリエチレンが、エチレン単独重合体であることが好ましい。バイオマス由来の原料であるエチレンを用いることで、理論上100%バイオマス由来の成分により製造することが可能となるからである。
上記のポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度(以下、「バイオマス度」ということがある)は、放射性炭素(14C)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、14Cが一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中の14C含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中には14Cが殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリエチレン中の全炭素原子中に含まれる14Cの割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、ポリエチレン中の14Cの含有量をP14Cとした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
bio(%)=P14C/105.5×100
本発明で用いるバイオマスポリエチレンにおいては、理論上、ポリエチレンの原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス由来のエチレン濃度は100%であり、バイオマス由来のポリエチレンのバイオマス度は100%となる。また、化石燃料由来の原料のみで製造された化石燃料由来のポリエチレン中のバイオマス由来のエチレン濃度は0%であり、化石燃料由来のポリエチレンのバイオマス度は0%となる。
本発明において、バイオマスポリエチレンは、バイオマス度が100%である必要はない。バイオマスポリエチレンの一部にでもバイオマス由来の原料が用いられていれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減できるからである。
本発明で用いるバイオマスポリエチレンにおいて、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。重合温度や重合圧力は、重合方法や重合装置に応じて、適宜調節するのがよい。重合装置についても特に限定されず、従来公知の装置を用いることができる。
例えば、以下に説明するエチレンを含むモノマーの重合方法を適用することができる。
バイオマスポリエチレンの重合方法は、目的とするポリエチレンの種類、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の密度や分岐の違いにより、適宜選択することができる。例えば、重合触媒として、チーグラー触媒、フィリップス触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合、および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で行うことが好ましい。
分子量分布が広く柔軟性や成形性に優れたバイオマスポリエチレンを得る観点からは、チーグラー触媒、フィリップス触媒等のマルチサイト触媒を用いることが好ましい。
好ましいチーグラー触媒としては、エチレン、α-オレフィンの配位重合に用いるチーグラー触媒として一般的に知られているものでよく、例えばチタン化合物および有機アルミニウム化合物を含む触媒であり、ハロゲン化チタン化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒、チタニウム、マグネシム、塩素等からなる固体触媒成分と有機アルミニウム化合物からなる触媒等を例示することができる。このような触媒としては、より具体的には、無水マグネシウムジハロゲン化物のアルコール予備処理物と有機金属化合物との反応生成物にチタン化合物を反応させて得られる触媒成分(a)と有機金属化合物(b)からなる触媒、マグネシウム金属と水酸化有機化合物またはマグネシウムなどの酸素含有有機化合物、遷移金属の酸素含有有機化合物、およびアルミニウムハロゲン化物を反応させて得られる触媒成分(A)と有機金属化合物の触媒成分(B)とからなる触媒、(i)金属マグネシウムと水酸化有機化合物、マグネシウムの酸素含有有機化合物、およびハロゲン含有化合物から選んだ少なくとも一員、(ii)遷移金属の酸素含有有機化合物およびハロゲン含有化合物から選ばれた少なくとも一員、(iii)ケイ素化合物を反応させて得られる反応物と、(iv)ハロゲン化アルミニウム化合物を反応させて得られる固体触媒成分(A)と有機金属化合物の触媒成分(B)とからなる触媒等を例示することができる。
また、フィリップス触媒としては、エチレン、α-オレフィンの配位重合に用いるフィリップス触媒として一般的に知られているものでよく、たとえば酸化クロム等のクロム化合物を含む触媒系であり、具体的には、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、シリカ-チタニア等の固体酸化物に、三酸化クロム、クロム酸エステル等のクロム化合物を担持した触媒を例示することができる。
植物由来のバイオマスポリエチレンの密度には特に制限はないが、好ましくは、0.905~0.935g/cm、より好ましくは、0.915~0.930g/cmである。すなわち、植物由来のバイオマスポリエチレンは、低密度ポリエチレン又は線状低密度ポリエチレンであることが好ましい。
植物由来のバイオマスポリエチレンのMFRにも特に制限はないが、成形性等の観点から、好ましくは0.3~15.0g/10分、より好ましくは、1.0~12.0g/10分、さらに好ましくは1.5~10.0g/10分、特に好ましくは2.0~9.0g/10分である
植物由来のバイオマスポリエチレンの分子量分布にも特に制限はないが、柔軟性、成形性等の観点から、分子量分布(重量平均分子量:Mw、と数平均分子量:Mn、との比:Mw/Mnで表示)が3.5以上であることが好ましく、3.8~9.0であることがより好ましく、さらに好ましくは4.0~8.6。このMw/Mnはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定でき、より具体的には例えば本願実施例に記載の方法により測定することができる。
また、植物由来のバイオマスポリエチレンは、示差走査熱量計(DSC)の昇温速度10℃/分で測定した吸熱曲線から求めた鋭いピークが1個ないし複数個あり、該ピークの最高温度、すなわち融点が95~140℃であることが好ましく、さらに好ましくは100~135℃の範囲にある。
植物由来のバイオマスポリエチレンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。また、他のエチレン系重合体をはじめとする、他のポリマーと共に用いてもよい。
植物由来のバイオマスポリエチレンは、本発明の目的を損なわない範囲で、通常オレフィン重合体に添加される種々公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤(滑剤)等を必要に応じて配合することができる。
本発明の積層フィルムは、以下に説明する(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層を有する。
(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層は、いずれも上述の石油由来の線状低密度ポリエチレンを含有する。(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層がいずれも上述の石油由来の線状低密度ポリエチレンを含有することで、各層間の積層強度を十分なものにすることができる。また、積層フィルムの生産性やコストの点でも有利である。
(A)熱融着層
本発明の積層フィルムを構成する(A)熱融着層は、本発明の積層フィルムを用いて包装袋を形成する際に、最内層とされ、他のフィルムと融着されるケースが多い。このため、高いシール強度が得られるように、低融点の樹脂を用いることが好ましい。例えば、石油由来の線状低密度ポリエチレンのエチレン含量を低く設定することで、(A)熱融着層の融点を下げることができる。より具体的には、石油由来の線状低密度ポリエチレンのエチレン含量を10質量%以下とすることが好ましく、7質量%以下とすることがより好ましく、5質量%以下とすることが好ましい。
フィルムの強度や、他の層と共通する材料を使用する必要性などから、石油由来の線状低密度ポリエチレンのエチレン含量を高くせざるを得ない場合には、低融点の樹脂を(A)熱融着層に添加してもよい。また、植物由来のバイオマスポリエチレンを(A)熱融着層に添加する場合には、融点の低い植物由来のバイオマスポリエチレンを添加してもよい。
上記の他の低融点の樹脂として、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体等の比較的低密度のエチレン系重合体;脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン類、スチレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂等の粘着性付与樹脂、等を挙げることができる。
ヒートシール性等の観点から、(A)熱融着層における石油由来の線状低密度ポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、55~99質量%であることがより好ましく、65~95質量%であることが特に好ましい。
剛性等の観点から、(A)熱融着層における植物由来のバイオマスポリエチレンの含有量は、1質量%以上であることが好ましく、5~40質量%であることがより好ましく、7~30質量%であることが特に好ましい。
(A)熱融着層の厚みには特に制限はないが、ヒートシール性等の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。
一方、フィルム強度等の観点からは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
熱融着層には、本発明の目的を損なわない範囲で、通常ポリオレフィンに添加される種々公知の添加剤、例えば、アンチブロッキング剤、スリップ剤(滑剤)、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、等を必要に応じて配合することができる。
アンチブロッキング剤としては、シリカ、タルク、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、合成ゼオライト、デンプン、酸化アルミニウム、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリテトラフロロエチレン樹脂等が挙げられる。
また、スリップ剤としては、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイルパルミドアミド、ステアリルパルミドアミド、メチレンビスステアリルアミド、メチレンビスオレイルアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスエルカ酸アミドなどの各種アミド類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、水添ひまし油などを例示することができる。
(B)中間層
本発明の積層フィルムを構成する各層のうち、(A)熱融着層は適切なシール強度が得られるよう設計することが好ましく、(C)ラミネート層は(D)基材層等との間のラミネート強度等を考慮して設計することが好ましいのに対して、(B)中間層はその様な制約が比較的少ないので、機械的性質等、本発明の積層フィルム全体に所望の物性、性能を付与することを優先して設計することができる。この場合、(B)中間層の厚みを、(A)熱融着層の厚み及び(C)ラミネート層の厚みよりも大きなものとすることが好ましく、(A)熱融着層の厚み及び(C)ラミネート層の厚みの和よりも大きなものとすることが特に好ましい。
より具体的には、(B)中間層の厚みは、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが特に好ましい。
一方、ヒートシール性等の観点からは、(B)中間層の厚みは、150μm以下であることが好ましく、130μm以下がより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましく、90μm以下であることが特に好ましい。
例えば、積層体全体について高い機械的強度を実現する観点からは、(B)中間層には機械的強度の高い樹脂を高い割合で使用することが好ましい。例えば、石油由来の線状低密度ポリエチレンとして、高分子量で、分子量分布が狭いものを選択し、更にその含有量を高く設定することが好ましい。
この観点からは、(A)熱融着層における石油由来の線状低密度ポリエチレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、75~100質量%であることがより好ましく、85~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることが特に好ましい。
また、石油由来の線状低密度ポリエチレンの分子量分布は、4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることが特に好ましい。同じく、石油由来の線状低密度ポリエチレンの分子量は、20000以上であることが好ましく、25000以上であることがより好ましく、50000以上であることがさらに好ましく、70000以上であることが特に好ましい
積層体全体について柔軟性や耐衝撃強度を向上する観点からは、(B)中間層には柔軟性や耐衝撃強度の高い樹脂を高い割合で使用することが好ましい。例えば、石油由来の線状低密度ポリエチレンとして、柔軟性や耐衝撃強度の高い樹脂を選択し、更にその含有量を高く設定することができる。
また、(B)中間層にエラストマーやゴム成分を添加することによっても、(B)中間層の柔軟性や耐衝撃強度を向上し、積層体全体の柔軟性や耐衝撃強度を向上することできる。この際のエラストマーやゴム成分としては、例えばエチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体等を挙げることができ、その添加量は1~30質量%とすることができ、5~10質量%とすることが好ましい。
(C)ラミネート層
本発明の積層フィルムを構成する(C)ラミネート層は、必要又は所望に応じて、後述の(D)基材層をはじめとする他の層と積層することができる。
従って、(C)ラミネート層は、他の層との間のラミネート強度等を考慮して設計することが好ましい。
この観点からは、(C)ラミネート層における石油由来の線状低密度ポリエチレンは、(D)基材層をはじめとする他の層との親和性に優れたものを適宜選択することが好ましく、その含有量は、40~99質量%であることが好ましく、70~95質量%であることが特に好ましい。
また、他の層との間のラミネート強度を更に向上するため、(C)ラミネート層の表面((B)中間層と積層する面とは反対側の面)に、コロナ処理、粗面化処理等の処理を行ってもよい。
一方、本発明の積層フィルムを保管等する際のブロッキング防止の観点からは、(C)ラミネート層は、ブロキング防止剤を含んでいてもよい。
ブロッキング防止剤としては、粉末状のシリカ、好ましくは合成シリカ、等を好適に使用することができる。粉末状のシリカを(C)ラミネート層中に均一に分散させる観点からは、粉末状のシリカを、(C)ラミネート層を構成する石油由来の線状低密度ポリエチレンとの混和性に優れた樹脂中、例えば低密度ポリエチレン中に分散してマスターバッチを形成し、次いでマスターバッチを石油由来の線状低密度ポリエチレン中に添加してもよい。また、ラミネート層には、本発明の目的を損なわない範囲で、スリップ剤(滑剤)、を必要に応じて配合することができる。
スリップ剤としては、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイルパルミドアミド、ステアリルパルミドアミド、メチレンビスステアリルアミド、メチレンビスオレイルアミド、エチレンビスオレイルアミド、エチレンビスエルカ酸アミドなどの各種アミド類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、水添ひまし油などを例示することができる。
(C)ラミネート層の厚みには特に制限はないが、ラミネート加工性等の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることが特に好ましい。
一方、フィルム強度等の観点からは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。
(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層のいずれも、本発明の目的に反しない限りにおいて、石油由来の線状低密度ポリエチレン(及び存在する場合には、植物由来のバイオマスポリエチレン)以外の、各種添加材、充填材、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、難燃剤、顔料、染料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、マイカ、タルク、クレー、抗菌剤、防曇剤等を添加することができる。さらにまた、その他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム類、炭化水素樹脂、石油樹脂等を本発明の目的に反しない範囲で配合してもよい。
積層フィルム
本発明の積層フィルムは、それぞれ石油由来の線状低密度ポリエチレンを含有する(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層を有する。本発明の積層フィルムにおいては、好ましくは(B)中間層を介して、(C)ラミネート層と(A)熱融着層とが積層されるが、それ以外の層が存在していてもよい。
本発明の積層フィルムは、種々公知のフィルム成形方法、例えば、予め、(C)ラミネート層、(B)中間層、及び(A)熱融着層となるフィルムをそれぞれ成形した後、当該フィルムを貼り合せて積層フィルムとする方法、多層ダイを用いて(B)中間層及び(A)熱融着層からなる複層フィルムを得た後、当該(B)中間層面に、(C)ラミネート層を押出して積層フィルムとする方法、多層ダイを用いて(C)ラミネート層及び(B)中間層からなる複層フィルムを得た後、当該(B)中間層面に、(A)熱融着層を押出して積層フィルムとする方法、あるいは、多層ダイを用いて(C)ラミネート層、(B)中間層及び(A)熱融着層からなる積層フィルムを得る方法などを採用することができる。
また、フィルム成形方法は、種々公知のフィルム成形方法、具体的には、T-ダイキャストフィルム成形方法、インフレーションフィルム成形方法を採用し得る。
本発明の積層フィルム及びそれを構成する各層は、延伸されていないフィルム(無延伸フィルム)であっても、延伸フィルムであってもよい。
本発明の積層フィルムの各層の厚さには特に限定は無いが、通常3μm以上、好ましくは5~150μm、より好ましくは5~90μmの範囲にある。
本発明の積層フィルムの厚さも特に限定はされないが、実用的な強度を確保する等の観点から、通常20μm以上であり、好ましくは25μm以上、より好ましくは30μm以上である。一方、例えば(D)基材層と積層された後においても実用的な可撓性を有する等の観点からは、通常200μm以下であり、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。
本発明の積層フィルムは、(B)中間層に植物由来のバイオマスポリエチレンを含有する。B)中間層に植物由来のバイオマスポリエチレンを含有することで、本発明の積層フィルムは、耐ブロッキング性等の従来のポリエチレン系積層フィルムの優れた特性を維持しながら、ヤング率が大幅に向上するという、顕著な技術的効果を実現する。本発明の積層フィルムは、ヤング率が大幅に向上しているので、高い機械的強度を要するスタンディングパウチ等の用途に特に有利である。
(B)中間層における植物由来のバイオマスポリエチレンの含有量は、3質量%以上であることが好ましく、4.4質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。
(B)中間層における植物由来のバイオマスポリエチレンの含有量には特に上限は無いが、耐破袋性等の観点から、通常50質量%以下であることが好ましく、30質量以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の積層フィルムは、(B)中間層に植物由来のバイオマスポリエチレンを含有すればよいが、ヤング率を一層向上させ、また環境負荷を一層低減する観点からは、(A)熱融着層、及び/又は(C)ラミネート層にも植物由来のバイオマスポリエチレンを含有することが好ましい。(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層のすべてに植物由来のバイオマスポリエチレンを含有することが特に好ましい。
(A)熱融着層、及び/又は(C)ラミネート層における植物由来のバイオマスポリエチレンの含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。
(A)熱融着層、及び/又は(C)ラミネート層における植物由来のバイオマスポリエチレンの含有量には特に上限は無いが、耐破袋性等の観点から、通常50質量以下であり、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の積層フィルムの植物由来のバイオマスポリエチレンの含有量は、6質量%以上であることが好ましく、12質量%以上であることが特に好ましい。
本発明の積層フィルムの植物由来のバイオマスポリエチレンの含有量には特に上限は無いが、引裂き性とフィルム強度等の観点から、通常30質量%以下であることが好ましい。
植物由来のバイオマスポリエチレンの含有量は、例えば、各層を製造する際の樹脂組成物の配合を調整することによって適宜増減させることができる。
製造後のフィルム各層の植物由来のバイオマスポリエチレンの含有量は、例えば、放射性炭素(14C)測定によってフィルム中のバイオマス由来の炭素の含有量を測定し、この測定結果と植物由来のバイオマスポリエチレン中のバイオマス由来の炭素の含有量とから算出することができる。
本発明の積層フィルムは、(B)中間層(並びに好ましくは、(A)熱融着層、及び/又は(C)ラミネート層)に植物由来のバイオマスポリエチレンを含有することで、製造における化石燃料の使用量を低減し、環境負荷を低減することができる。
積層フィルムのバイオマス度は、各層のバイオマス度を各層の重量で加重平均して計算することができる。
積層フィルムのバイオマス度は、各層のバイオマス度を調整することで適宜増減することができ、各層のバイオマス度は、各層に使用する樹脂のバイオマス度及びその使用量を調整することで適宜増減することができる。
本発明の積層フィルムのバイオマス度は、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。
本発明の積層フィルムのバイオマス度は高いほど好ましく、特に上限は存在しないが、フィルムの物性や、コスト等との関係から、通常60質量%以下であり、多くの場合30質量%以下である。
本発明の積層フィルムの、DSC測定より得られる融解曲線より算出した0℃~130℃の融解熱量ΔHは、135~164J/gであることが好ましい。
0℃~130℃の融解熱量ΔHが上記範囲にあることで、積層フィルムのヤング率を一層効果的に向上させることができる。
DSCによる融解曲線の測定、及び当該融解曲線からの0℃~130℃の融解熱量ΔHの算出は、従来公知の方法により行うことができ、より具体的には、例えば本願実施例記載の方法により行うことができる。
0℃~130℃の融解熱量ΔHは、135~164J/gであることがより好ましく、140~164J/gであることが特に好ましい。
0℃~130℃の融解熱量ΔHは、石油由来の線状低密度ポリエチレン以外の成分を添加する等してフィルムの結晶性を低下させることで減少させることができる。石油由来の線状低密度ポリエチレン以外の成分として、植物由来のバイオマスポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体等を添加することが好ましい。
本発明の積層フィルムは延伸フィルムであっても無延伸フィルムであってもよいが、
機械的物性の向上の観点からは、延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムであることが特に好ましい。
二軸延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸、多段延伸等の方法が適宜採用される。
二軸延伸の条件としては、公知の二軸延伸フィルムの製造条件、例えば、逐次二軸延伸法では、縦延伸温度を100℃~145℃、延伸倍率を4~7倍の範囲、横延伸温度を150~190℃、延伸倍率を8~11倍の範囲とすることが挙げられる。
(D)基材層
所望に応じて、本発明の積層フィルムを、その(C)ラミネート層において、(D)基材層と積層することができる。
(D)基材層には特に制限はなく、例えば通常プラスチック包装袋に使用されるフィルムを、好適に使用することができる。
好ましい(D)基材層の材質としては、例えば、結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン-エチレン共重合体、結晶性ポリブテン-1、結晶性ポリ4-メチルペンテン-1、低-、中-、或いは高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラまたはメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂から構成されたプラスチックフィルムを挙げることができる。また、包装する内容物が酸素に敏感なものの場合には、上記フィルムに金属酸化物等を蒸着したフィルム、或いは有機化合物を被覆したフィルムや、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層を設けてもよい。
これらの材料からなるプラスチックフィルムは、未延伸、一軸延伸、或いは二軸延伸して用いられる。
(D)基材層として、これらのプラスチックフィルムを単層で、或いは、二種以上を積層したものとして使用することができ、また、これらのプラスチックフィルムの一種、或いは、二種以上と、アルミニウム等の金属箔、紙、セロファン等を貼合わせて構成することもできる。
好ましい(D)基材層として、例えば、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエステルフィルムからなる単層フィルム、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムとPETを積層した二層構成のフィルム、PET/ナイロン/ポリエチレンを積層した三層構成のフィルム等が挙げられる。これらの積層フィルムの製造に際しては、各層間に必要に応じて接着剤、アンカー剤を介在させることもできる。また、デザインを表現するインキ層を設けてもよい。
(D)基材層を(C)ラミネート層に積層する方法には特に制限はないが、例えば押出しラミネート等により(C)ラミネート層に(D)基材層を直接積層することができる。また、ドライラミネート等により接着剤を介して(C)ラミネート層に(D)基材層を積層してもよい。接着剤としては、ウレタン系接着剤、酸変性ポリオレフィン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエーテル系接着剤、ポリアミド系接着剤等、通常のものを使用することができる。
(D)基材層の厚さは任意に設定することができるが、通常は、5~50μm、好ましくは10~30μmの範囲から選択される。
本発明の積層フィルム、及び本発明の積層フィルムの(C)ラミネート層に(D)基材層を積層した積層フィルムは、各種用途において好ましく使用され、特に包材として使用するのに適している。
包材として使用する場合、(A)熱融着層において積層フィルム同士、或いは積層フィルムと他のフィルムとをヒートシールして、包装袋を形成することができる。
本発明の積層フィルムはヤング率が向上しているので、その様な包装袋は自立させやすく、例えばスタンディングパウチとして好適に使用することができる。
本発明の積層フィルムを使った包装袋、好ましくはスタンディングパウチ、に収納すべき内容物には特に制限はないが、例えば、液体状の薬剤や、液体洗剤、柔軟剤、などのトイレタリー用品、あるいは、濃縮コーヒーのような液体食品などの液体や粉末洗剤、シュガー、胡椒、塩などの粉体を収納するのに特に好適である。
以下、実施例/比較例を参照しながら、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はいかなる意味においても、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例/比較例における物性、特性の評価は、以下の方法により行った。
(1)分子量分布(Mw/Mn)
下記の条件で、ポリマー試料を前処理後、GPCで分子量を測定し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を分子量分布とした。
i)前処理
試料(30mg)にGPC測定用移動相(o-ジクロロベンゼン)20mLを加えて145℃で振とう溶解し、得られた溶液を孔径が1.0μmの焼結フィルタで熱ろ過したものをGPC測定に供した。
ii)GPC
装置:東ソー株式会社製、ゲル浸透クロマトグラフHLC-8321
カラム:東ソー株式会社製、内径7.5mm×30cm、4本(TSKgel GMH6-HT:2本、及びTSKgel GMH6-HTL:2本)

カラム温度:140℃
検出器:示差屈折計
流量:1mL/min
サンプリング間隔:0.5秒
(2)融解熱量
示差走査熱量計(DSC)としてティー・エイ・インスツルメント社製Q100を用い、試料約5mgを精秤し、JISK7121に準拠し、窒素ガス流入量:50ml/分の条件下で、25℃から加熱速度:10℃/分で200℃まで昇温して熱融解曲線を測定し、得られた熱融解曲線から、試料の結晶融解熱量を求めた。
(3)ヤング率
試験片として、フィルムから縦方向(MD)及び横方向(TD)に短冊状フィルム片(長さ:150mm、幅:15mm)を切出し、引張り試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、RTG1210)を用い、チャック間距離:100mm、クロスヘッドスピード:5mm/分の条件で引張試験を行い、ヤング率(MPa)を求めた。測定値は5回の平均値である。
(比較例1)
各層を構成する成分を表1に示す配合で、それぞれ別々の押出機に供給し、Tダイ法によって表1に示す樹脂組成の(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層を、同じく表1に示す層構成で有する積層フィルムを作製した。植物由来のバイオマスポリエチレンを使用していないので、バイオマス度は、0質量%であった。
作製したフィルムについて、融解熱量、及びヤング率の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2から5、及び実施例1から8)
植物由来のバイオマスポリエチレンを使用する等、樹脂組成を表1に示す通り変更したことを除くほか、比較例1と同様にして積層フィルムを作製し、融解熱量、及びヤング率の評価を行った。結果を表1に示す。
表1中の樹脂組成欄に略号で記載された各構成成分の詳細は、以下のとおりである。
・LLDPE
石油由来の線状低密度ポリエチレン
MFR(2.16kg、190℃):2.3g/10min
密度:918kg/m
分子量分布(Mw/Mn):2.52
・バイオPE
植物由来のバイオマス低密度ポリエチレン
MFR(2.16kg、190℃):3.8g/10min
密度:922kg/m
分子量分布(Mw/Mn):5.88
Figure 2022057264000001
本発明の積層フィルムは、従来のポリエチレン系積層フィルムの優れた特性を維持しながら、特にスタンディングパウチ等の包装袋に使用する際に重要なヤング率等の機械的特性が大幅に改善されるとともに、その製造等における環境負荷も低減されるなど、実用上高い価値を有する性質を高いレベルで兼ね備えたものであり、スタンディングパウチ等の包装袋に特に好適に使用され、農業、食品加工業、流通、外食などの産業の各分野において高い利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. それぞれ石油由来の線状低密度ポリエチレンを含有する(A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層を有する積層フィルムであって、(B)中間層に植物由来のバイオマスポリエチレンを含有する、上記積層フィルム。
  2. DSC測定より得られる融解曲線より算出した0℃~130℃の融解熱量ΔHが135~164J/gである、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記植物由来のバイオマスポリエチレンの分子量分布Mw/Mnが、3.5以上である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. (A)熱融着層、(B)中間層、及び(C)ラミネート層が、いずれも植物由来のバイオマスポリエチレンを含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. (C)ラミネート層の側に、直接または接着層を介して(D)基材層を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の積層フィルムを含んでなる包装袋。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載の積層フィルムを含んでなるスタンディングパウチ。
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