JP2022047133A - アンテナ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】超高速通信を実現し、かつ、多素子アンテナの小型化を図ったアンテナ装置を提供する。【解決手段】アンテナ装置10は、MIMOアレー12を最小構成単位とし、第1平面20上の第1円周21に沿って最小構成単位が等間隔で複数配置された第1アレー群14aと、第1平面20上の第2円周22に沿って最小構成単位が等間隔で複数配置された第2アレー群14bと、第2平面30上の第3円周31に沿って最小構成単位が等間隔で複数配置された第3アレー群16aと、第2平面30上の第4円周32に沿って最小構成単位が等間隔で複数配置された第4アレー群16bとを備える。第1円周21および第2円周22は、第1平面20上の第1点25を共通の中心とし、第3円周31および第4円周32は、第2平面30上の第2点35を共通の中心とし、第1平面20および第2平面30は、平行である。【選択図】図1
Description
本発明は、アンテナ装置に関し、超高速通信を実現する小型化された多素子MIMOアンテナに関するものである。
2020年に第5世代移動通信規格(5G)の商用化が開始され、理論上は20Gbpsの超高速通信が実現されようとしている。2030年代には次世代の移動通信規格(6G)の商用化が検討されており、更なる超高速通信の実現に期待が寄せられている。従って、超高速通信を実現できる多素子MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)アンテナの開発は必要不可欠である。
Massive MIMOの基地局アレーではパッチアンテナを2次元的に配列した平面アレーの開発例が多い。しかしながら、平面パッチアレーは、特定の空間領域を照射する目的で使用され、全方位にわたる通信性能を提供しない。その結果、全パッチ素子数に対応するFull-Rankのチャネル応答行列が形成されず、伝送容量の低下を招く。
移動局側アンテナにおいて第5世代以降の100Gbpsを超える伝送容量を実現するためには、(1)繰り返しアレー配列によるLarge-ScaleMIMOの構成、(2)同相励振サブアレーによる高利得化、(3)直交アレー配列による低相関化、(4)回転アレー構造による全アジマス方位放射、(5)全アレー到来波照射によるフルランク行列の形成、の5つの要件を全て満足する必要がある。
そこで、従来、上記5つの要件を満足するデイジーチェーンMIMOアンテナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、高次の大規模MIMOアレーアンテナの実現のため、多くの基本モジュールアンテナを幾何学的に2次元配列する。たとえば、128×128MIMOアレーを実現するためには、2つの64×64MIMOアレーを重なりが生じない距離に隣接して配置する。
しかしながら、特許文献1の技術では、128×128MIMOアレーは64×64MIMOアレーの2倍以上の占有面積が必要である。これは、アンテナの大型化を招き、車両応用の実用化を考慮するとアンテナの小型化が課題となる。つまり、特許文献1の技術は、コネクテッドカーの高速通信を目的に円周上の等角度分割線上に配列されたN個(Nは3個以上の整数)の水平面内無指向性アンテナと移相器と信号加算器によって電波の到来波方向に応じてアンテナの指向性の最適化を図り、超高速通信を実現するものであるが、多素子アンテナの小型化については検討されていない。
そこで、本発明は、超高速通信を実現し、かつ、多素子アンテナの小型化を図ったアンテナ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係るアンテナ装置は、アンテナ装置であって、MIMO通信用の複数のアンテナ素子で構成されるMIMOアレーを最小構成単位とし、第1平面上の第1円周に沿って前記最小構成単位が等間隔で複数配置された第1アレー群と、前記第1平面上の第2円周に沿って前記最小構成単位が等間隔で複数配置された第2アレー群と、第2平面上の第3円周に沿って前記最小構成単位が等間隔で複数配置された第3アレー群と、前記第2平面上の第4円周に沿って前記最小構成単位が等間隔で複数配置された第4アレー群とを備え、前記第1円周および前記第2円周は、前記第1平面上の第1点を共通の中心とし、それぞれ、第1半径および第2半径の円周であり、前記第3円周および前記第4円周は、前記第2平面上の第2点を共通の中心とし、それぞれ、前記第1半径および前記第2半径の円周であり、前記第1平面および前記第2平面は、平行であり、前記第1平面および前記第2平面に対する平面視において、前記第1点および前記第2点の位置は、同じである。
つまり、本発明は、リング構造を有した多素子MIMOアンテナを多段に積層することによって、小型でありながら全アジマスにおいて超高速通信を達成する大規模MIMOアレーアンテナを実現することを最も重要な特徴とする。
本発明のアンテナ装置は、小型でありながら、通信を行うターゲットの方向を高精度で推定することで、ビームを推定した到来波方向に向けて常時最適な受信信号を得て超高信頼性通信を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
図1は、実施の形態に係る256×256大規模MIMOアレーアンテナ10の構成の一例を示す図である。256×256大規模MIMOアレーアンテナ10は、実施形態に係るアンテナ装置の一例であり、MIMO通信用の複数のアンテナ素子で構成される最小構成単位の一例である4×4MIMOアレー12で構成される下段アレー群14および上段アレー群16を備える。下段アレー群14は、第1平面20上の第1円周21に沿って4×4MIMOアレー12が等間隔で複数配置された第1アレー群14aと、第1平面20上の第2円周22に沿って4×4MIMOアレー12が等間隔で複数配置された第2アレー群14bとを含む。上段アレー群16は、第2平面30上の第3円周31に沿って4×4MIMOアレー12が等間隔で複数配置された第3アレー群16aと、第2平面30上の第4円周32に沿って4×4MIMOアレー12が等間隔で複数配置された第4アレー群16bとを含む。第1円周21および第2円周22は、第1平面20上の第1点25を共通の中心とし、それぞれ、第1半径(rL1)23および第2半径(rL2)24の円周である。第3円周31および第4円周32は、第2平面30上の第2点35を共通の中心とし、それぞれ、第1半径23と同じ第3半径(rU1)33および第2半径24と同じ第4半径(rU2)34の円周である。第1平面20および第2平面30は、平行である。第1平面20および第2平面30に対する平面視において、第1点25および第2点35の位置は、同じである。
つまり、図1の下段アレー群(Lower Array)14および上段アレー群(Upper Array)16は128×128MIMOアレーアンテナである。図1の特徴的な形状から本発明アンテナを“Pancake MIMO Antenna”と名づけた。下段アレー群14および上段アレー群16の外側(Outer Array)と内側(Inner Array)のアレー群(第1アレー群14a、第2アレー群14b、第3アレー群16a、第4アレー群16b)は64×64MIMOアレーを形成しており、それぞれ16個の4×4MIMOアレー12を22.5°間隔で配置している。外側アレーの半径(つまり、第1円周21および第3円周31の半径)は、それぞれ、rL1およびrU1(本実施の形態では、これらは同じ値)で、内側アレーの半径(つまり、第2円周22および第4円周32の半径)は、それぞれ、rL2およびrU2(本実施の形態では、これらは同じ値)である。LおよびUの添え字は下段および上段を表している。上下段アレー群の間隔はdである。
図2は256×256大規模MIMOアレーアンテナ10の最小構成単位となっている4×4MIMOアレー12の構造を示す図である。4×4MIMOアレー12は、円周に沿って等間隔で配置された複数のアンテナ素子#1~#8および中心に配置されたアンテナ素子#9で構成される円形配列フェーズドアレーアンテナであり、4つのサブアレー#2-#3、#1-#4、#5-#8、#6-#7を含む。4×4MIMOアレー12では、図2に示すように、4つのサブアレー#2-#3、#1-#4、#5-#8、#6-#7を同相励振することによって4つの指向性ビームを作る。これにより、同相励振サブアレーによる高利得化と到来波方向に対する直交配列によってサブアレー間の低相関化を実現している。なお、アンテナ素子#1~#8は、例えば、1/4波長バーチカルアンテナ、または、半波長ダイポールアンテナである。
図1において各4×4MIMOアレー12の傍に記載したsと番号の組み合わせはサブアレーの番号を示しており、例えば下段アレー群14の外側アレーの右側に位置するs1-4は、サブアレー1から4がこの4×4MIMOアレー12によって形成されることを意味している。この記述に従い、上段アレー群16の内側アレーのs253-256に至るまで総数256個のサブアレーが割り当てられている。
このように4×4MIMOアレー12は4つのMIMOサブチャネルを形成する。従って、外側および内側アレーは4×16=64個のサブチャネルを形成し、2重リング構造とすることで上下段アレー群は64×2=128個のサブチャネルを実現する。さらに2重リング構造を2段重ねとすることによって256×256MIMOアレーとして動作させる。
なお、4×4MIMOアレー12の回転対称構造によって指向性ビームは45度間隔で回転させることができる。従って、全サブアレーを同期して指向性走査させることによって、256×256大規模MIMOアレーアンテナ10はアジマス全方位に対して良好な通信性能を提供する。
次に、大局的な観点から小型化手法に対する分類を実施し、性能比較を通して256×256大規模MIMOアレーアンテナ10のアレー構成法に関する設計指針を説明する。
図3は256×256大規模MIMOアレーアンテナ10の小型化へのアプローチの概要を示す図である。まずステップ1では、64×64MIMOアンテナを2重リング構造に配置することによって128×128MIMOの小型化を達成する(図3の(a))。非特許文献1(小川晃一、“2重リング構造により小型化を図った移動局大規模MIMOアンテナ”、信学技報、AP2020-13、pp.21-26、July 2020)に開示された先行研究では内側アレーの半径r2を外側アレーの半径r1の0.72倍とすることによって放射効率が最大化されることを見出し、伝送容量を小型化適用以前の85%にまで向上させることに成功している。
ステップ2では、ステップ1の研究成果に基づき、2つの異なった方法によって256×256大規模MIMOアレーアンテナの小型化にアプローチする(図3の(b))。その1つは、2次元配列(平面構造)による小型化である。具体的には、図1のモーメント法解析プログラム(Fortran)おいて、上段アレー群16と下段アレー群14との間隔dをゼロ(d=0)とし、外側および内側アレーの半径(rL1、rU1およびrL2、rU2)を図3の(b)の左側のように2次元配列することによって、図1の構造を平面化して解析する。もう1つのアプローチは図3の(b)の右側に示した3次元配列(立体構造)であって図1に示した構造そのものである。
図3の(b)の左側に示されるように、2次元配列はそのシンプルさゆえに実用化が容易であるが、アレー群半径が内側アレーになるほど小さくなり、特性劣化が大きくなることが予想される。一方、図3の(b)の右側に示されるように、3次元配列は上下段アレー群ともに半径を大きくできるため特性上は有利であるが、給電構造を含む製造工程が複雑になる欠点がある。このように、2次元配列と3次元配列は特性と実用化の容易さの観点でトレードオフの関係が存在する。そこで、両者の特性上の優劣、すなわちアンテナ性能の定量化の実施に集中し、256×256大規模MIMOアレーアンテナ10の開発に際して、これら2つの小型化アプローチの選択を行う際の設計指針を次に説明する。
図4は2次元配列および3次元配列の256×256大規模MIMOアレーアンテナのチャネル利得(縦軸;Average of Channel Gain [dB])の比較を示す図である。図4の(a)は2次元配列のチャネル利得を示し、図4の(b)は3次元配列のチャネル利得を示す。いずれの構造でも外側および内側アレー半径の決定は、非特許文献1に開示された研究結果に従い、rU2=0.72rU1あるいはrL2=0.72rL1の関係に近い配列を行った。アンテナ素子は全て半波長ダイポールである。周波数は5GHzである。アンテナ素子の指向性はモーメント法によって求めた。
チャネル利得は、評価アンテナとアイソトロピックアンテナを用いて同一の伝搬環境を移動したときのそれぞれの平均受信電力の比として定義した。クラスター波の到来波方向
は0度、広がり角σは30度である。図4(a)および(b)において、横軸は図1に示したサブアレーの番号(Number of Subarray)であって、サブアレー1-64、65-128、129-192、193-296は、それぞれ半径rL1、rL2、rU1、rU2の下段外側・内側アレーおよび上段外側・内側アレーに対応している。なお、図4の(a)の2次元配列では上下段アレー群の間隔をd=0としている。
は0度、広がり角σは30度である。図4(a)および(b)において、横軸は図1に示したサブアレーの番号(Number of Subarray)であって、サブアレー1-64、65-128、129-192、193-296は、それぞれ半径rL1、rL2、rU1、rU2の下段外側・内側アレーおよび上段外側・内側アレーに対応している。なお、図4の(a)の2次元配列では上下段アレー群の間隔をd=0としている。
図4から、2次元配列および3次元配列ともにチャネル利得は周期的に変動していることがわかる。横軸のサブアレー番号が1、65、129、193の周辺では、図1に示すように、サブアレーは到来波の正面方向に位置していることから高いチャネル利得が得られている。一方、サブアレー番号が33、97、161、225周辺では、到来波方向と反対方向にサブアレーが位置しているため、前方に存在する多くの他のサブアレーによって到来波が遮蔽されチャネル利得は大きく低減している。
図4の(a)の2次元配列の場合、半径rL1に対応するサブアレーでは3次元配列と同等のチャネル利得が得られているが、半径rL2、rU1、rU2に属するサブアレーでは、半径が小さくなるに従ってチャネル利得が大きく低減することがわかる。一方、図4の(b)の3次元配列の場合、サブアレー番号が1-128の下段アレー群14とアレー番号が129-256の上段アレー群16において同等のチャネル利得が得られている。
図5および図6は、それぞれ、図4と同じ構造パラメータにおける2次元配列と3次元配列の256×256大規模MIMOアレーアンテナの指向性を示す図である。図5および図6において(a)、(b)、(c)、(d)はサブアレー番号が、それぞれs1、s65、s129、s193の指向性を示す図である。
図5の2次元配列の場合、s129およびs193とs1およびs65の指向性の比較から、s129およびs193では到来波方向(x軸方向)の利得が大きく劣化していることがわかる。一方、図6の3次元配列では、すべてのサブアレーでx軸方向にビームが形成されており、大きな利得が得られている。図5および図6の結果は、図4で示したチャネル利得のサブアレー番号に対応した挙動と一致しており、これにより、2次元配列と3次元配列におけるサブアレー指向性とチャネル利得の関係が解明された。
図7は2次元配列および3次元配列の256×256大規模MIMOアレーアンテナにおける伝送容量(横軸;Channel Capacity [bits/s/Hz])の累積分布関数(CDF)の確率値(縦軸;Cumulative Percentage [%])を示す図である。ここでは、2次元配列の場合が実線で示され、3次元配列の場合が破線で示されている。3次元配列の50%確率値(図中の横破線)における伝送容量は、2次元配列と比較して100bits/s/Hz(10%)の増加が得られている。これは、図4のチャネル利得に起因している。
以上の検討結果から、2次元配列と3次元配列の特性上の定量化が図られ、256×256大規模MIMOアレーアンテナ10のアレー構成法に関する設計指針を得ることができた。
以上のように、利得特性に基づいて、3次元配列が2次元配列と比較して高い伝送容量を有することが明らかとなった。一方、MIMO通信の伝送容量を決定するもう1つの重要なパラメータはチャネル間相関である。次に、チャネル間相関の低減によって伝送容量のさらなる向上を図った方法を説明する。
図8はチャネル間相関を低減する256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aのアレー配置を示す図である。ここでは、第1平面20および第2平面30を平面視した場合の256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aの構成例が示されている。より詳しくは、第2アレー群14bを構成する複数の4×4MIMOアレー12は、第1点25と第1アレー群14aを構成する複数の4×4MIMOアレー12のそれぞれの位置とを結ぶ複数の第1線上に位置し、第4アレー群16bを構成する複数の4×4MIMOアレー12は、第2点35と第3アレー群16aを構成する複数の4×4MIMOアレー12のそれぞれの位置とを結ぶ複数の第2線上に位置し、複数の第1線と複数の第2線とは、第1平面20および第2平面30に対する平面視において、第1点25および第2点35を中心として所定のオフセット角δだけ回転した位置関係にある。所定のオフセット角δは、複数の第1線のうち隣接する2つの第1線がなす角度の半分であり、本実施の形態では、第1アレー群14a、第2アレー群14b、第3アレー群16a、および、第4アレー群16bのそれぞれは、16個の4×4MIMOアレー12で構成されることから、所定のオフセット角は、11.25°(360°÷16÷2)である。
相関は複素相関の絶対値によって定義した。なお、図1のアレー配置では、下段アレー群(Lower Array)14の真上に上段アレー群(Upper Array)16が置かれていた。それに対して図8では、上段アレー群16の位置を下段アレー群14からδ=11.25°だけオフセットさせる。これによって、上下段のアジマス方向に関する素子位置にずれが生じるので、チャネル間相関の低減が期待できる。そこで、初期ステップとして、理論検討によってアレー素子オフセット法の適用効果を調べた。
図9はチャネル間相関の解析モデルを示す図である。図1で説明した4×4MIMOアレー12を、モデルの単純化のため、図9のアンテナ素子12aとアンテナ素子12bで示した単一点素子(アイソトロピックアンテナ)に置き換え、この2つのアンテナ素子12aおよび12b間の相関を求めた。上段アレー群16と下段アレー群14のオフセット角度をδ=11.25°とすると、隣接するアンテナ素子間の距離sは次の式(1)となる。
ここでrはアンテナ素子が設置されている円の半径である。
下段アレー群14と上段アレー群16の2つのアンテナ素子に直交する方向から広がり角σ(標準偏差)のガウス波(図9における「Gaussian Wave」参照)が入射するときアンテナ素子間の相関は次の式(2)および(3)によって与えられる。
ここでk=2π/λは波数(λは波長)である。式(1)、(2)および(3)より相関ρ(s)は半径rの関数として次の式(4)によって表される。
図10は上記式(4)によって計算した256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aのアレー半径r(横軸;Radius of Array r [cm])と相関ρ(縦軸;Correlation Coefficient |ρ|)の関係を示す図である。到来波の広がり角はσ=10°(実線)、30°(破線)、50°(点線)とした。図10のように、半径rが小さくなると上記式(1)に従って素子間距離sが減少し、相関は高くなる。図10より、半径が20cm以上、広がり角が30°以上において、相関の低減効果が大きいことがわかった。
図11は256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aの上下段のサブアレーのオフセット角度δとチャネル間相関(縦軸;Absolute of Complex Correction)の関係をモンテカルロ解析によって求めた結果を示す図である。ここでは、オフセット角度δが0°の場合(実線)と11.25°の場合(破線)とが示されている。アンテナ形状は図4の(b)と同じである。横軸は下段アレー群14の外側アレー(第1アレー群14a)のサブアレー番号(Number of Lower Subarray)である。δ=0°はオフセットなしの状態であって図1のアレー配置を意味している。図11のように、δ=0°の場合はサブアレー番号によらず高い相関を示すがδ=11.25°の場合は相関が0.6程度に低減しており、これにより、相関低減の効果が確認された。
図12は256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aのオフセット角度δと固有値分布(縦軸;Average Eigenvalue)の関係を示す図である。ここでは、オフセット角度δが0°の場合(実線)と11.25°の場合(破線)とが示されている。横軸はサブチャネルの番号(Number of Subchannel)を示す。オフセットあり(δ=11.25°)となし(δ=0°)の場合を比較すると、オフセットによってサブチャネル128以上の下位の固有値が上昇していることがわかる。これは相関低減による効果である。
図13は256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aのオフセット角度δと伝送容量(横軸; Channel Capacity [bits/s/Hz])の累積分布関数の確率値(Cumulative Percentage [%])との関係を示す図である。図13には、比較が容易になるように、オフセット有無の累積分布関数(オフセット角度δが0°の場合(実線)および11.25°の場合(破線))、とともに図7で示した2次元配列の伝送容量のCDF(点線)も転記した。図13の50%確率値(図中の横破線)から、オフセットなしの場合と比較してオフセットによって10%程度の伝送容量の向上が達成できていることがわかる。
図14は256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aの上下段アレー群の間隔d(横軸;Distance Between Lower and Upper Arrays d [cm])と伝送容量(縦軸;Channel Capacity [bits/s/Hz])の関係を示す図である。ここでは、オフセット角度δが0°の場合(実線)と11.25°の場合(破線)とが示されている。間隔dが20cm以上ではほぼ一定の伝送容量が得られており、d=20cmが高い伝送容量を得るための設計指針値となる。
図15は256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aについての到来波方向(横軸;Angle of Incident Wave
[deg])と伝送容量(縦軸;Channel Capatity [bits/s/Hz])の関係を示す図である。ここでは、非特許文献2(生川菜々:“大規模MIMOアンテナ解析のための散乱体ランダム配置によるモンテカルロ法”,信学技報,AP2019-55,pp.43-48,Aug.2019.)に開示された256×256MIMO(図の黒三角)、実施の形態に係る256×256大規模MIMOアレーアンテナ10a(d=20cm:図の黒丸)、および、非特許文献1に開示された128×128MIMO(図の黒四角)について図示されている。指向性走査機能によってアジマス角度によらず一定の伝送容量が得られていることがわかる。実施の形態に係る256×256大規模MIMOアレーアンテナ10a(d=20cm:図の黒丸)を他のアレー構成と比較すると、非特許文献2に開示された256×256MIMO(図の黒三角)との比較では、占有面積が1/5で72%の伝送容量を達成している。さらに非特許文献1に開示された128×128MIMO(図の黒四角)との比較では、実施の形態に係る256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aは2倍のサブアレー数を有するにも関わらず、占有面積が同じで133%の伝送容量を達成した。このように、実施の形態に係る256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aは高い伝送容量を維持しながら大幅な占有面積の削減を実現している。
[deg])と伝送容量(縦軸;Channel Capatity [bits/s/Hz])の関係を示す図である。ここでは、非特許文献2(生川菜々:“大規模MIMOアンテナ解析のための散乱体ランダム配置によるモンテカルロ法”,信学技報,AP2019-55,pp.43-48,Aug.2019.)に開示された256×256MIMO(図の黒三角)、実施の形態に係る256×256大規模MIMOアレーアンテナ10a(d=20cm:図の黒丸)、および、非特許文献1に開示された128×128MIMO(図の黒四角)について図示されている。指向性走査機能によってアジマス角度によらず一定の伝送容量が得られていることがわかる。実施の形態に係る256×256大規模MIMOアレーアンテナ10a(d=20cm:図の黒丸)を他のアレー構成と比較すると、非特許文献2に開示された256×256MIMO(図の黒三角)との比較では、占有面積が1/5で72%の伝送容量を達成している。さらに非特許文献1に開示された128×128MIMO(図の黒四角)との比較では、実施の形態に係る256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aは2倍のサブアレー数を有するにも関わらず、占有面積が同じで133%の伝送容量を達成した。このように、実施の形態に係る256×256大規模MIMOアレーアンテナ10aは高い伝送容量を維持しながら大幅な占有面積の削減を実現している。
以上のように、本実施の形態に係るアンテナ装置は、MIMO通信用の複数のアンテナ素子で構成されるMIMOアレーを最小構成単位とし、第1平面20上の第1円周21に沿って最小構成単位が等間隔で複数配置された第1アレー群14aと、第1平面20上の第2円周22に沿って最小構成単位が等間隔で複数配置された第2アレー群14bと、第2平面30上の第3円周31に沿って最小構成単位が等間隔で複数配置された第3アレー群16aと、第2平面30上の第4円周32に沿って最小構成単位が等間隔で複数配置された第4アレー群16bとを備え、第1円周21および第2円周22は、第1平面20上の第1点25を共通の中心とし、それぞれ、第1半径23および第2半径24の円周であり、第3円周31および第4円周32は、第2平面30上の第2点35を共通の中心とし、それぞれ、第1半径23と同じ第3半径33および第2半径24と同じ第4半径34の円周であり、第1平面20および第2平面30は、平行であり、第1平面20および第2平面30に対する平面視において、第1点25および第2点35の位置は、同じである。
これにより、最小構成単位であるMIMOアレーが2重リング化され、かつ、2重リング化されたMIMOアレーが積層された構造となるので、超高速通信と小型化とが両立したアンテナ装置が実現される。
また、最小構成単位は、円周に沿って等間隔で配置された複数のアンテナ素子で構成される4つのサブアレーを含む。これにより、4つのサブアレーを同相励振することによって4つの指向性ビームを作ることができ、同相励振サブアレーによる高利得化と到来波方向に対する直交配列によるサブアレー間の低相関化が実現される。
また、第2アレー群14bを構成する複数の最小構成単位は、第1点25と第1アレー群14aを構成する複数の最小構成単位のそれぞれの位置とを結ぶ複数の第1線上に位置し、第4アレー群16bを構成する複数の最小構成単位は、第2点35と第3アレー群16aを構成する複数の最小構成単位のそれぞれの位置とを結ぶ複数の第2線上に位置し、複数の第1線と複数の第2線とは、第1平面20および第2平面30に対する平面視において、第1点25および第2点35を中心として所定のオフセット角だけ回転した位置関係にある。これにより、チャネル間相関が低減される。
具体的には、所定のオフセット角は、複数の第1線のうち隣接する2つの第1線がなす角度の半分である。これにより、チャネル間相関の低減化が最大化される。
また、第1アレー群14a、第2アレー群14b、第3アレー群16a、および、第4アレー群16bのそれぞれは、16個の最小構成単位で構成され、所定のオフセット角は、11.25°である。これにより、各リングについて16個の最小構成単位であるMIMOアレーが配置された、低チャネル間相関の大規模MIMOアレーアンテナが実現される。
以上、本発明に係るアンテナ装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、アンテナ装置として、256×256大規模MIMOアレーアンテナ10が例として説明されたが、本発明に係るアンテナ装置は、このような規模に限定されるものではなく、32×32MIMOアレーアンテナ、64×64MIMOアレーアンテナ、128×128MIMOアレーアンテナ、512×512MIMOアレーアンテナ等の規模として実現されてもよい。また、本発明に係るアンテナ装置は、実施の形態のような2重リング構造および2層構造に限定されるものではなく、3重以上のリング構造であってもよいし、3層以上の層構造であってもよい。
また、上記実施の形態では、アンテナ装置の最小構成単位は、4×4MIMOアレー12であったが、これに限定されるものではなく、2×2MIMOアレー等であってもよい。
また、上記実施の形態では、上段アレー群16は、リング構造の中心(第2点35)に最小構成単位の4×4MIMOアレー12が配置されたが、必ずしも、中心に最小構成単位が配置される必要はない。同様に、最小構成単位の4×4MIMOアレー12では、リング構造の中心にアンテナ素子#9が配置されたが、必ずしも、中心にアンテナ素子が配置される必要はない。
また、上記実施の形態では、チャネル間相関を低減するために、オフセット角δは、複数の第1線のうち隣接する2つの第1線がなす角度の半分であったが、その値ピッタリである必要はなく、その値に近い角度であってもよい。
本発明は、アンテナ装置として、例えば、到来波方向に指向性を向けることで高信頼性通信を実現でき、コネクテッドカーや飛翔車両など移動局側に対して新たな技術的な飛躍を与えることができる小型化された大規模MIMOアレーアンテナとして、利用できる。
10、10a 256×256大規模MIMOアレーアンテナ(アンテナ装置)
12 4×4MIMOアレー(最小構成単位)
14 下段アレー群
14a 第1アレー群
14b 第2アレー群
16 上段アレー群
16a 第3アレー群
16b 第4アレー群
20 第1平面
21 第1円周
22 第2円周
23 第1半径
24 第2半径
25 第1点(中心)
30 第2平面
31 第3円周
32 第4円周
33 第3半径
34 第4半径
35 第2点(中心)
#1~#9 アンテナ素子
12 4×4MIMOアレー(最小構成単位)
14 下段アレー群
14a 第1アレー群
14b 第2アレー群
16 上段アレー群
16a 第3アレー群
16b 第4アレー群
20 第1平面
21 第1円周
22 第2円周
23 第1半径
24 第2半径
25 第1点(中心)
30 第2平面
31 第3円周
32 第4円周
33 第3半径
34 第4半径
35 第2点(中心)
#1~#9 アンテナ素子
Claims (5)
- アンテナ装置であって、
MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)通信用の複数のアンテナ素子で構成されるMIMOアレーを最小構成単位とし、
第1平面上の第1円周に沿って前記最小構成単位が等間隔で複数配置された第1アレー群と、
前記第1平面上の第2円周に沿って前記最小構成単位が等間隔で複数配置された第2アレー群と、
第2平面上の第3円周に沿って前記最小構成単位が等間隔で複数配置された第3アレー群と、
前記第2平面上の第4円周に沿って前記最小構成単位が等間隔で複数配置された第4アレー群とを備え、
前記第1円周および前記第2円周は、前記第1平面上の第1点を共通の中心とし、それぞれ、第1半径および第2半径の円周であり、
前記第3円周および前記第4円周は、前記第2平面上の第2点を共通の中心とし、それぞれ、前記第1半径および前記第2半径の円周であり、
前記第1平面および前記第2平面は、平行であり、
前記第1平面および前記第2平面に対する平面視において、前記第1点および前記第2点の位置は、同じである、
アンテナ装置。 - 前記最小構成単位は、円周に沿って等間隔で配置された複数のアンテナ素子で構成される4つのサブアレーを含む、
請求項1記載のアンテナ装置。 - 前記第2アレー群を構成する前記複数の最小構成単位は、前記第1点と前記第1アレー群を構成する前記複数の最小構成単位のそれぞれの位置とを結ぶ複数の第1線上に位置し、
前記第4アレー群を構成する前記複数の最小構成単位は、前記第2点と前記第3アレー群を構成する前記複数の最小構成単位のそれぞれの位置とを結ぶ複数の第2線上に位置し、
前記複数の第1線と前記複数の第2線とは、前記第1平面および前記第2平面に対する平面視において、前記第1点および前記第2点を中心として所定のオフセット角だけ回転した位置関係にある、
請求項1または2記載のアンテナ装置。 - 前記所定のオフセット角は、前記複数の第1線のうち隣接する2つの前記第1線がなす角度の半分である、
請求項3記載のアンテナ装置。 - 前記第1アレー群、前記第2アレー群、前記第3アレー群、および、前記第4アレー群のそれぞれは、16個の前記最小構成単位で構成され、
前記所定のオフセット角は、11.25°である、
請求項4記載のアンテナ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020152875A JP2022047133A (ja) | 2020-09-11 | 2020-09-11 | アンテナ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020152875A JP2022047133A (ja) | 2020-09-11 | 2020-09-11 | アンテナ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022047133A true JP2022047133A (ja) | 2022-03-24 |
Family
ID=80780167
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020152875A Pending JP2022047133A (ja) | 2020-09-11 | 2020-09-11 | アンテナ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022047133A (ja) |
-
2020
- 2020-09-11 JP JP2020152875A patent/JP2022047133A/ja active Pending
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